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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】操作ボタン付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/20 20060101AFI20220624BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20220624BHJP
   B65D 83/22 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
B65D83/20
B05B9/04
B65D83/22
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2016060555
(22)【出願日】2016-03-24
(65)【公開番号】P2017171367
(43)【公開日】2017-09-28
【審査請求日】2019-01-15
【審判番号】
【審判請求日】2020-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000112853
【氏名又は名称】フマキラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若槻 健
【合議体】
【審判長】井上 茂夫
【審判官】稲葉 大紀
【審判官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-184070(JP,A)
【文献】特許第5491140(JP,B2)
【文献】米国特許第4420096(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0183228(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D35/44-35/54,B65D39/00-55/16,B65D83/00,B65D83/08-83/76,B05B1/00-3/18,B05B7/00-9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押動操作されることによって内容物を吐出する吐出管が設けられた容器本体と、
上記吐出管に嵌合し、該吐出管を押動操作する押し下げ式の操作ボタンと、
上記容器本体に取り付けられた筒状ベースと、
上記筒状ベースの外側に嵌合した状態で取り付けられ、上記操作ボタンの周囲を囲むように形成された筒状カバーとを備えた操作ボタン付き容器において、
上記操作ボタン、上記筒状ベース及び上記筒状カバーは、全て樹脂製であるとともに別部材で構成され、
上記操作ボタンには、上記吐出管に連通するノズル部が上記吐出管の中心線と交差する方向に突出するように設けられ、
上記操作ボタンには、使用者の指が上記ノズル部とは反対側の反ノズル部側から置かれる指載置面が形成され、
上記筒状カバーの内周面には、該筒状カバーの上記ノズル部側から両側方に亘って上記吐出管の周方向に連続して延びるカバー側係合部が形成され、
上記筒状ベースの外周面には、上記カバー側係合部が係合するベース側係合部が該筒状ベースの上記ノズル部側から両側方に亘って上記吐出管の周方向に連続して延びるように形成され、
上記カバー側係合部及び上記ベース側係合部の少なくとも一方は、反ノズル部側には形成されないように非連続であることを特徴とする操作ボタン付き容器。
【請求項2】
請求項1に記載の操作ボタン付き容器において、
上記操作ボタン及び上記筒状カバーを上記吐出管の中心線周りに回動操作することにより、上記操作ボタンを押し下げ可能な押下可能状態と、該操作ボタンの押し下げが不可能な非押下可能状態とに切り替えられるように構成され、
上記筒状ベースの反ノズル部側には、上記ベース側係合部の非連続部分に、非押下可能状態にある上記筒状カバーに係合して上記操作ボタン及び上記筒状カバーの回動を停止させるストッパ部が設けられていることを特徴とする操作ボタン付き容器。
【請求項3】
請求項2に記載の操作ボタン付き容器において、
上記ストッパ部は、押下可能状態にある上記筒状カバーに係合して上記操作ボタン及び上記筒状カバーの回動を停止させるように構成されていることを特徴とする操作ボタン付き容器。
【請求項4】
請求項1に記載の操作ボタン付き容器において、
上記操作ボタン及び上記筒状カバーを上記吐出管の中心線周りに回動操作することにより、上記操作ボタンを押し下げ可能な押下可能状態と、該操作ボタンの押し下げが不可能な非押下可能状態とに切り替えられるように構成され、
上記カバー側係合部及び上記ベース側係合部は、上記吐出管の中心線周りに描いた仮想円と同心上に位置するように延びていることを特徴とする操作ボタン付き容器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の操作ボタン付き容器において、
上記カバー側係合部は、上記筒状カバーの内周面に形成された溝部で構成され、
上記ベース側係合部は、上記筒状ベースの外周面に形成され、上記溝部に入る突部で構成されていることを特徴とする操作ボタン付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に薬剤等が収容される容器に関し、特に、押し下げ式の操作ボタンを有する構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
例えば、薬剤を収容したエアゾール容器の上部に押し下げ式の操作ボタンを設け、この操作ボタンを押し下げることによってエアゾール容器の上部にある吐出管を押動操作し、エアゾール容器に収容されている薬剤を外部に吐出するように構成された操作ボタン付き容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1は、エアゾール容器の上部に筒状の肩カバーを取り付け、この肩カバーの上部にキャップを嵌合させ、さらに、キャップの中心部に形成されている穴に操作ボタンを挿入し、操作ボタンの下部をエアゾール容器の吐出管に嵌合させた状態で該操作ボタンを押し下げることで吐出管を押動操作することができるようになっている。特許文献1の肩カバーの外周面には、4つの係合突起が周方向に等間隔に形成されている。また、キャップの内周面には、環状の係合突起が形成されている。肩カバーの係合突起は、肩カバーの上側からキャップを嵌合させた際にキャップの係合突起を乗り越えて該キャップの係合突起よりも上に位置して該キャップの係合突起に係合する。これにより、キャップが肩カバーに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5491140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のように押し下げ式の操作ボタンを設ける場合、使用者は薬剤の吐出側とは反対側(反吐出側)から操作ボタンに指を掛けて下方に力を作用させることになるのであるが、指を反吐出側から操作ボタンに掛けていることに起因して、使用者が意識せずに操作すると、操作ボタンを使用者側に引っ張るようにも力を作用させることになり、この使用者側に引っ張る力は、操作ボタンに対しては反吐出側に引っ張る力となって作用する。
【0006】
ここで、特許文献1の操作ボタンに対して反吐出側に引っ張る力が作用した場合、操作ボタンがキャップに接触してキャップに対しても反吐出側に引っ張る力が作用することになる。このキャップは、肩カバーに形成された4つの係合突起の係合力によって該肩カバーに取り付けられているが、それら4つの係合突起は周方向に互いに間隔をあけて設けられているだけなので、キャップが反吐出側に引っ張られた際、その力が大きかった場合には係合突起が離脱してキャップ及び操作ボタンが肩カバーから外れてしまうことが考えられる。
【0007】
このことを防止するために、係合突起の突出量を大きくすることが考えられるが、そのようにすると各係合突起を係合させる際に大きな力によって無理やり押し込むようにしなければならず、このときに係合突起が摩耗したり、係合突起の一部が損傷してしまう恐れがあり、ひいては、係合力の低下を招き、キャップ及び操作ボタンの外れを抑制できない場合があると考えられる。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、操作ボタンに反ノズル部側から指を掛けて押し下げる動作を行う場合に各部材が容器本体から外れないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、筒状カバーに、ノズル部側から両側方に亘って延びるカバー側係合部を形成し、筒状ベースに、カバー側係合部が係合するベース側係合部をノズル部側から両側方に亘って延びるように形成し、カバー側係合部及びベース側係合部の少なくとも一方が反ノズル部側において非連続となるようにした。
【0010】
第1の発明は、
押動操作されることによって内容物を吐出する吐出管が設けられた容器本体と、
上記吐出管に嵌合し、該吐出管を押動操作する押し下げ式の操作ボタンと、
上記容器本体に取り付けられた筒状ベースと、
上記筒状ベースの外側に嵌合した状態で取り付けられ、上記操作ボタンの周囲を囲むように形成された筒状カバーとを備えた操作ボタン付き容器において、
上記操作ボタン、上記筒状ベース及び上記筒状カバーは、全て樹脂製であるとともに別部材で構成され、
上記操作ボタンには、上記吐出管に連通するノズル部が上記吐出管の中心線と交差する方向に突出するように設けられ、
上記操作ボタンには、使用者の指が上記ノズル部とは反対側の反ノズル部側から置かれる指載置面が形成され、
上記筒状カバーの内周面には、該筒状カバーの上記ノズル部側から両側方に亘って上記吐出管の周方向に連続して延びるカバー側係合部が形成され、
上記筒状ベースの外周面には、上記カバー側係合部が係合するベース側係合部が該筒状ベースの上記ノズル部側から両側方に亘って上記吐出管の周方向に連続して延びるように形成され、
上記カバー側係合部及び上記ベース側係合部の少なくとも一方は、反ノズル部側には形成されないように非連続であることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、筒状カバーのカバー側係合部が筒状ベースのベース側係合部に係合することで、筒状カバーが筒状ベースに取り付けられる。そして、使用時には使用者が指を操作ボタンの指載置面に置いて操作ボタンを押し下げる。このとき、指を反ノズル部側から指載置面に置いているので、操作ボタンには反ノズル部側に引っ張る力が作用し、この力が操作ボタンから該操作ボタンを囲んでいる筒状カバーにも伝達してしまい、筒状カバーが反ノズル部側に引っ張られる。筒状カバーのカバー側係合部がノズル部側から両側方に亘って延びていて、同様に延びるベース側係合部に係合しているので、従来例のように等間隔に配置されて分断された4つの係合突起を設ける場合に比べて、筒状カバーが反ノズル部側に引っ張られた場合の耐力が大きく確保される。
【0012】
また、筒状カバーを筒状ベースに取り付ける際には、カバー側係合部及びベース側係合部の少なくとも一方が反ノズル部側には形成されていないので、カバー側係合部とベース側係合部とを係合させるのに要する力が小さくて済む。尚、反ノズル部側にカバー側係合部及びベース側係合部の少なくとも一方が形成されていなくても、上記した引っ張り力は、筒状カバーの外れという観点からは、反ノズル部側において影響を殆ど及ぼさないので、上述のように引っ張られた場合の耐力の低下は回避される。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、
上記操作ボタン及び上記筒状カバーを上記吐出管の中心線周りに回動操作することにより、上記操作ボタンを押し下げ可能な押下可能状態と、該操作ボタンの押し下げが不可能な非押下可能状態とに切り替えられるように構成され、
上記筒状ベースの反ノズル部側には、上記ベース側係合部の非連続部分に、非押下可能状態にある上記筒状カバーに係合して上記操作ボタン及び上記筒状カバーの回動を停止させるストッパ部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、操作ボタン及び筒状カバーを吐出管の中心線周りに回動操作することにより、押下可能状態と非押下可能状態とに容易に切り替えられるので、利便性が向上する。筒状カバーが非押下可能状態にあるときには、筒状ベースのストッパ部が筒状カバーに係合して操作ボタン及び筒状カバーの回動が停止するので、不意に押下可能状態に切り替わることはない。
【0015】
そして、ストッパ部をベース側係合部の非連続部分に設けていることで、非連続部分が有効に活用されて筒状ベースがコンパクトになる。
【0016】
第3の発明は、第2の発明において、
上記ストッパ部は、押下可能状態にある上記筒状カバーに係合して上記操作ボタン及び上記筒状カバーの回動を停止させるように構成されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、筒状カバーが押下可能状態にあるときには、筒状ベースのストッパ部が筒状カバーに係合して操作ボタン及び筒状カバーの回動が停止するので、不意に非押下可能状態に切り替わることはない。
【0018】
第4の発明は、第1の発明において、
上記操作ボタン及び上記筒状カバーを上記吐出管の中心線周りに回動操作することにより、上記操作ボタンを押し下げ可能な押下可能状態と、該操作ボタンの押し下げが不可能な非押下可能状態とに切り替えられるように構成され、
上記カバー側係合部及び上記ベース側係合部は、上記吐出管の中心線周りに描いた仮想円と同心上に位置するように延びていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、操作ボタン及び筒状カバーを吐出管の中心線周りに回動操作することにより、押下可能状態と非押下可能状態とに容易に切り替えられるので、利便性が向上する。そして、回動操作する際には、カバー側係合部及びベース側係合部が吐出管の中心線周りに描いた仮想円と同心上に位置するように延びているので、カバー側係合部及びベース側係合部が操作ボタン及び筒状カバーを吐出管の中心線周りに案内する案内部として機能する。
【0020】
第5の発明は、第1から4のいずれか1つの発明において、
上記筒状カバーは、上記筒状ベースの外側に嵌合するように形成され、
上記カバー側係合部は、上記筒状カバーの内周面に形成された溝部で構成され、
上記ベース側係合部は、上記筒状ベースの外周面に形成され、上記溝部に入る突部で構成されていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、筒状カバーを筒状ベースの外側に嵌合させると、カバー側係合部である溝部に、ベース側係合部である突部が入って係合する。溝部と突部との係合になるため、係合構造を設けるにあたって壁厚方向の寸法が短くて済み、筒状カバーの外径の拡大が抑制される。
【発明の効果】
【0022】
第1の発明によれば、筒状カバーに、ノズル部側から両側方に亘って延びるカバー側係合部を形成し、筒状ベースに、カバー側係合部が係合するベース側係合部をノズル部側から両側方に亘って延びるように形成し、カバー側係合部及びベース側係合部の少なくとも一方が反ノズル部側において非連続となるようにしたので、筒状カバーを筒状ベースに容易に取り付けることができるようにしながら、操作ボタンの操作時に筒状カバー及び操作ボタンが筒状ベースから外れるのを抑制できる。
【0023】
第2の発明によれば、筒状ベースにおけるベース側係合部の非連続部分に、非押下可能状態にある筒状カバーに係合して操作ボタン及び筒状カバーの回動を停止させるストッパ部を設けたので、筒状ベースをコンパクトにしながら、非押下可能状態にある操作ボタンが押下可能状態に不意に切り替わるのを防止して安全性を高めることができる。
【0024】
第3の発明によれば、押下可能状態から非押下可能状態に不意に切り替わらないようにすることができる。
【0025】
第4の発明によれば、カバー側係合部及びベース側係合部が、吐出管の中心線周りに描いた仮想円と同心上に位置するように延びているので、カバー側係合部及びベース側係合部によって操作ボタン及び筒状カバーを吐出管の中心線周りに案内することができる。よって、操作ボタン及び筒状カバーの回動操作を容易に行うことができる。
【0026】
第5の発明によれば、カバー側係合部が筒状カバーの内面に形成された溝部であり、ベース側係合部が筒状ベースの外面に形成された突部であることから、係合構造を設けるにあたって壁厚方向の寸法が短くて済む。これにより、筒状カバーの外径の拡大を抑制することができ、コンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態に係る操作ボタン付き容器を右側前方から見た斜視図である。
図2】実施形態に係る操作ボタン付き容器を右側後方から見た斜視図である。
図3】実施形態に係る操作ボタン付き容器の右側図である。
図4】実施形態に係る操作ボタン付き容器の背面図である。
図5図4のV-V線断面図である。
図6】操作ボタンを右側後方から見た斜視図である。
図7】操作ボタンを右側前方から見た斜視図である。
図8】操作ボタンの平面図である。
図9】操作ボタンの左側図である。
図10図8のX-X線断面図である。
図11】筒状ベースを右側後方から見た斜視図である。
図12】筒状ベースを右側前方から見た斜視図である。
図13】筒状ベースの平面図である。
図14】筒状ベースの背面図である。
図15】筒状ベースの左側面図である。
図16】筒状ベースの右側面図である。
図17図13のXVII-XVII線断面図である。
図18】筒状カバーを右側後方から見た斜視図である。
図19】筒状カバーを右側前方から見た斜視図である。
図20】筒状カバーの平面図である。
図21】筒状カバーの背面図である。
図22】筒状カバーの右側面図である。
図23図20のXXIII-XXIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る操作ボタン付き容器1の斜視図である。この操作ボタン付き容器1は、図2図5にも示すように、容器本体10と、押し下げ式の操作ボタン20と、容器本体10に取り付けられる筒状ベース30と、筒状ベース30に取り付けられる筒状カバー40とを備えている。そして、操作ボタン20及び筒状カバー40を容器本体10の吐出管13の中心線A(図5に示す)周りに回動操作することによって、操作ボタン20を押し下げ可能な押下可能状態と、該操作ボタン20の押し下げが不可能な非押下可能状態とに切り替えられるように構成されている。
【0030】
尚、この実施形態の説明では、使用者が手で持って使用するときに使用者から見て左側及び右側をそれぞれ単に「左」及び「右」といい、使用者から見て手前側となる側を単に「後」といい、使用者から見て奥側となる側を単に「前」というものとする。
【0031】
(容器本体の構成)
容器本体10には、例えば害虫忌避剤、殺虫剤、芳香剤、消臭剤、除菌剤等の液状の薬剤(内容物)を収容することができ、これらのうち、1つだけ収容するようにしてもよいし、任意の複数種を混合して収容してもよい。また、容器本体10には、上記薬剤を噴射させるためのガス等からなる噴射剤(内容物)を収容することもできる。
【0032】
容器本体10の周壁部は円筒状に形成されており、外部から内容物の残量を把握できるように透光性を有している。図5に示すように、容器本体10の上部には、バルブ機構(図示せず)を内蔵した閉塞部材12が固定されており、この閉塞部材12によって容器本体10の上部開口が閉塞されている。閉塞部材12の外径は、容器本体10の上下方向中間部の外径よりも十分に小さく設定されている。
【0033】
閉塞部材12に内蔵されているバルブ機構は従来から周知のものであり、上下方向に移動するとともに内容物を吐出するための吐出管13と、吐出管13を上方に付勢するバネ等からなる付勢部材(図示せず)と、弁体(図示せず)とを有している。吐出管13が上昇端位置にあるときには弁体によって吐出管13の下端部(上流端部)が閉じられて容器本体10の内部と吐出管13とが連通しないようになる一方、吐出管13が上昇端位置から下方へ押動操作されると吐出管13の下端部が開かれて容器本体10の内部と吐出管13とが連通して内容物が吐出管13の上端部から吐出されるように、上記バルブ機構が構成されている。
【0034】
尚、上述したバルブ機構は一例であり、吐出管13を押動操作することによって吐出管13から内容物を吐出可能にする構造のものであればよい。また、内容物を吐出する際の単位時間当たりの吐出量は任意に設定することができ、例えば霧状に吐出する噴射状態であってもよいし、垂れるように吐出する状態であってもよい。また、容器本体10に噴射剤を収容しない場合には、操作ボタン20によって操作される手動式ポンプを容器本体10に取り付けるようにしてもよい。
【0035】
(操作ボタンの構成)
図6図10に示す操作ボタン20は、例えば樹脂材を射出成型して得ることができ、全体が一体成形されている。図5に示すように、操作ボタン20は、吐出管13の上側に嵌合し、該吐出管13を押動操作するためのものであり、ボタン本体21と、ノズル部23とを有している。ノズル部23は、ボタン本体21の前部から突出している。
【0036】
図8等に示すように、ボタン本体21は、左側壁部24、右側壁部25、後壁部26及び上壁部27を有しており、図10に示すように下方にのみ開放する中空状となっている。図6図7図9等に示すように、左側壁部24、右側壁部25及び後壁部26は上下方向、即ち吐出管13の中心線A(図10に示す)方向に延びていて、左側壁部24、右側壁部25及び後壁部26により、三角形に近い形状の周壁部が構成されている。すなわち、左側壁部24は、ボタン本体21の前端部から後側へ向かって延び、後側へ行くほど左側に位置している。右側壁部25は、左側壁部24の前端部に連続し、後側へ向かって延び、後側へ行くほど右側に位置している。
【0037】
また、図8に示すように、左側壁部24及び右側壁部25の左右方向の離間距離はボタン本体21の後側へ行くほど長くなっている。左側壁部24の外面は、吐出管13の中心線A方向(上下方向)に延びる左側当接面(第1当接面)24aであり、右側壁部25の外面は、吐出管13の中心線A方向に延びる右側当接面(第2当接面)25aである。左側当接面24a及び右側当接面25aは、操作ボタン20の側面においてノズル部23の基端部(後端部)を挟むように位置し、また、左側壁部24及び右側壁部25の左右方向の離間距離がボタン本体21の後側へ行くほど長くなっているので、左側当接面24a及び右側当接面25aは、ノズル部23の基端部から離れるに従って互いの離間距離が長くなる。また、左側当接面24a及び右側当接面25aは、吐出管13の中心線A周りに仮想円を描いたときに、該仮想円の接線方向に延びている。
【0038】
左側当接面24aにおける前後方向中間部には、左側被案内部24bが設けられている。左側被案内部24bは、左側へ突出して吐出管13の中心線A方向に延びる板状をなしている。また、右側当接面25aにおける前後方向中間部には、右側被案内部25bが設けられている。右側被案内部25bは、右側へ突出して吐出管13の中心線A方向に延びる板状をなしている。図6及び図7に示すように、左側被案内部24b及び右側被案内部25bの下端部は、それぞれ左側壁部24及び右側壁部25の下端部に位置している。左側被案内部24b及び右側被案内部25bの上端部は、それぞれ左側壁部24及び右側壁部25の上下方向中間部に位置している。左側被案内部24b及び右側被案内部25bは、後述するが、筒状カバー40によって上下方向に案内される部分である。
【0039】
ボタン本体21の後壁部26は、左側壁部24の後端部から右側壁部25の後端部まで左右方向に延びており、全体として左右方向中央部が最も後側に位置するように後側に向けて湾曲している。図6に示すように、後壁部26の上下方向中央部よりも下側には、後側へ突出する突起26a、26aが左右方向に間隔をあけて設けられている。後壁部26の下部には、左右方向の中央部に、下方に開放する切欠部26bが形成されている。この切欠部26bは、突起26a、26aの間に位置している。切欠部26bの左右両縁部は互いに平行に上下方向に延び、切欠部26bの上縁部は左右方向に延びている。
【0040】
ボタン本体21の上壁部27は、左側壁部24、右側壁部25及び後壁部26の上端部に連続している。図9に示すように、上壁部27は、後側へ行くほど下に位置するように全体として傾斜しており、特に後側部分は後端に近づくほど下に位置するように湾曲形成されている。上壁部27の上面は、使用者の指が置かれる指載置面27aとされている。この指載置面27aは、平面視で、後側へ行くほど左右方向の寸法が長くなるように形成されており、指を後側から容易に置いて掛けることができるようになっている。
【0041】
図10に示すように、ボタン本体21の上壁部27の下面には、その中央部近傍から下方へ突出する嵌合筒部27bが設けられている。嵌合筒部27bの下側に、吐出管13の上側が挿入されて嵌合する。嵌合筒部27bが吐出管13に嵌合した状態で全周に亘ってシールされる。
【0042】
ボタン本体21の上壁部27の下面には、その前側に、通路形成部27cが下方へ膨出するように形成されている。通路形成部27cの内部には、嵌合筒部27bの上端部に連通する吐出通路27dが形成されている。吐出通路27dは、前側へ向かって延び、前側へ行くほど上に位置するように傾斜している。
【0043】
ノズル部23は、吐出管13の中心線Aと交差する方向である前側へ突出しており、前側へ行くほど上に位置するように傾斜している。ノズル部23は、その基端側が吐出通路27d及び嵌合筒部27bを介して容器本体10の吐出管13と連通している。ノズル部23の傾斜角度は、例えば吐出管13の中心線Aと直交する平面とのなす角度が5度以上45度以下の範囲で設定することができる。ノズル部23を傾斜させることで、内容物を斜め上方へ向けて効果的に吐出することが可能になる。
【0044】
図6図9に示すように、ノズル部23の外面には、左側及び右側へ突出して該ノズル部23の中心線方向に延びる左リブ23a及び右リブ23bが形成されている。左リブ23a及び右リブ23bの基端部は、上壁部27に連続している。また、ノズル部23の外面には、上側及び下側へ突出して該ノズル部23の中心線方向に延びる上リブ23c及び下リブ23dが形成されている。上リブ23cの基端部は、上壁部27の前部に連続している。下リブ23dの基端部は、左側壁部24及び右側壁部25の前部に連続し、該左側壁部24及び右側壁部25の下端部まで延びている。
【0045】
(筒状ベースの構成)
図11図17に示す筒状ベース30は、例えば樹脂材を射出成型して得ることができ、全体が一体成形されている。筒状ベース30は、外筒部31と、外筒部31の内側に設けられる内筒部32と、環状板部33とを有している。外筒部31は、上下方向に延び、容器本体10の上下方向中間部の外径と略同じ外径を有する円筒状に形成されている。外筒部31の中心線は、吐出管13の中心線Aと略一致するようになっている。外筒部31の下端部は全体が開放され、容器本体10の上部が外筒部31の下端部から挿入される。
【0046】
外筒部31の上端部には環状板部33が連続している。環状板部33は、外筒部31の上端部から径方向内方へ向けて外筒部31の中心線と直交するように延び、周方向に連続する円環状をなしている。環状板部33の内方に容器本体10の上部が位置するようになっている。
【0047】
内筒部32は、環状板部33の内側から下方へ延びる円筒状をなしており、外筒部31と同心状に位置している。内筒部32の下端部は全体が開放され、容器本体10の上部が内筒部32の下端部から挿入される。内筒部32の外径は、外筒部31の内周面との間に隙間ができるように設定されている。内筒部32の内周面には、左右方向両側に突条部32a、32aが形成されている。突条部32a、32aは、容器本体10の上部に嵌合するようになっている。つまり、容器本体10の上部を内筒部32の下端部から挿入して突条部32a、32aを容器本体10の上部に嵌合させることによって筒状ベース30が容器本体10に取り付けられる。この状態で、吐出管13の上側は環状板部33よりも上方へ突出している。
【0048】
環状板部33の上面には、上方へ突出するとともに、外筒部31の中心線を中心とした円環状に延びる円環状壁部34が設けられている。円環状壁部34の外径は外筒部31の外径よりも小さく設定されており、これにより、筒状ベース30の外周面に段部30aが形成され、筒状カバー40の下側が筒状ベース30の外側に嵌合可能になる。円環状壁部34の後側には、上方へ突出する後側円弧板部35が設けられている。また、円環状壁部34の左側及び右側には、それぞれ、上方へ突出する左側円弧板部36及び右側円弧板部37が設けられている。左側円弧板部36と右側円弧板部37とは左右方向に離れている。また、左側円弧板部36及び右側円弧板部37は、後側円弧板部35から前方に離れている。左側円弧板部36及び右側円弧板部37の上端部は、後側円弧板部35の上端部よりも上方に位置している。後側円弧板部35、左側円弧板部36及び右側円弧板部37の円弧中心は、それぞれ外筒部31の中心線上に位置している。左側円弧板部36及び右側円弧板部37の間に操作ボタン20の下リブ23dが位置するようになっている。
【0049】
円環状壁部34の内周面の後側には、前側へ突出する後側突片34aが設けられている。後側突片34aは、環状板部33の上面から上方へ延びている。後側突片34aの上端部は、後側円弧板部35の上端部よりも下方に位置している。操作ボタン20が押下可能状態にあるときには操作ボタン20の後壁部26の切欠部26bの直下方に後側突片34aが位置し、かつ、操作ボタン20が非押下可能状態にあるときには操作ボタン20の後壁部26の切欠部26bから外れたところに後側突片34aが位置するように、後側突片34aの周方向の形成位置が設定されている。
【0050】
円環状壁部34の内周面の左側及び右側には、それぞれ、左側及び右側突片34b、34cが設けられている。左側突片34bは右側へ突出し、右側突片34cは左側へ突出している。左側及び右側突片34b、34cは、環状板部33の上面から上方へ延びている。左側及び右側突片34b、34cの上端部は、左側円弧板部36及び右側円弧板部37の上端部よりも下方に位置している。
【0051】
環状板部33の上面には、上方へ突出する前側円弧板部38が設けられている。前側円弧板部38は、環状板部33の内縁部に沿って延びており、環状板部33の略前半部にのみ設けられている。前側円弧板部38の左右方向中央部には、上方に開放する切欠部38aが形成されている。
【0052】
前側円弧板部38の左縁部及び右縁部には、それぞれ、上下方向に延びる左板部38b及び右板部38cが設けられている。左板部38bは、前側円弧板部38の左縁部から左側へ延び、円環状壁部34の内周面に連続している。左板部38bは、左側突片34bと略平行に延びている。右板部38cは、前側円弧板部38の右縁部から右側へ延び、円環状壁部34の内周面に連続している。右板部38cは、右側突片34cと略平行に延びている。押下可能状態にある操作ボタン20を押し下げると、左側被案内部24bが左板部38bと左側突片34bとの間に入り、右側被案内部25bが右板部38cと右側突片34cとの間に入る。
【0053】
前側円弧板部38には、左側連結リブ38dと右側連結リブ38eとが設けられている。左側連結リブ38d及び右側連結リブ38eは、それぞれ径方向に延びて前側円弧板部38と円環状壁部34とを連結している。
【0054】
円環状壁部34の外周面には、ベース側係合突部(ベース側係合部)39が設けられている。ベース側係合突部39は、後述するカバー側係合溝部42に入ることによって該カバー側係合溝部42に係合する部分であり、筒状ベース30のノズル部23側である前側から両側方(左右両側)に亘って連続して延びるように形成された突条で構成されている。ベース側係合突部39の左側端部及び右側端部は、それぞれ筒状ベース30の中心部よりも後側まで延びているが、これら両端部は連続することなく左右方向に離れている。従って、ベース側係合突部39は、筒状ベース30の反ノズル部23側(後側)には形成されないように、該後側において非連続となっている。ベース側係合突部39は、円環状壁部34の外周面に沿って延びているので、吐出管13の中心線A周りに描いた仮想円と同心上に位置するように延びている。
【0055】
筒状ベース30の後側には、ベース側係合突部39の非連続部分にストッパ部30bが設けられている。ストッパ部30bは、円環状壁部34の外周面から後側へ突出する凸部で構成されており、詳細は後述するが、非押下可能状態にある筒状カバー40に係合して操作ボタン20及び筒状カバー40の回動を停止させるためのものである。また、ストッパ部30bは、押下可能状態にある筒状カバー40に係合して操作ボタン20及び筒状カバー40の回動を停止させることもできるようになっている。
【0056】
円環状壁部34におけるストッパ部30bの周囲には、該ストッパ部30bを囲むように延びるスリット30cが形成されている。スリット30cは、ストッパ部30bの左側方を上下方向に延びる部分と、ストッパ部30bの右側方を上下方向に延びる部分と、これらの上端部同士を繋ぐように左右方向に延びる部分とで構成されており、これにより、円環状壁部34におけるストッパ部30bが形成された部分は、その下端部を基点として上側が前後方向(円環状壁部34の径方向)に撓み変形する可撓片30dとなる。この可撓片30dの変形は弾性変形である。
【0057】
図14に示すように、筒状ベース30の後側には、段部30aの下方に「LOCK」の文字からな非押下可能状態表示部30eと、「OPEN」の文字からなる押下可能状態表示部30fとが設けられている。詳細は後述するが、図12等に示す筒状カバー40に設けられている目印部40aが、非押下可能状態表示部30eと一致したときに操作ボタン20が非押下可能状態であることを示す一方、筒状カバー40に設けられている目印部40aが、押下可能状態表示部30fと一致したときに操作ボタン20が押下可能状態であることを示すようになっている。
【0058】
(筒状カバーの構成)
図18図23に示す筒状カバー40は、例えば樹脂材を射出成型して得ることができ、全体が一体成形されたものであり、筒状ベース30に取り付けられた状態で操作ボタン20の周囲を囲むように形成されている。
【0059】
筒状カバー40の下側には、嵌合壁部41が設けられている。嵌合壁部41は、筒状ベース30の円環状壁部34の外側に嵌合する円環状に形成されており、嵌合壁部41の中心は、円環状壁部34の中心と一致するようになっている。嵌合壁部41の内周面には、カバー側係合溝部(カバー側係合部)42が設けられている。
【0060】
カバー側係合溝部42には、ベース側係合突部39が入るようになっている。カバー側係合溝部42にベース側係合突部39が入ることで、筒状ベース30と筒状カバー40とを中心線A方向に引き離すような力が作用した際に、カバー側係合溝部42の内面にベース側係合突部39の外面が当接して係合し、筒状ベース30から筒状カバー40が外れないようになっている。
【0061】
カバー側係合溝部42は、筒状カバー40のノズル部23側である前側から両側方(左右両側)に亘って連続して延びるように形成されている。カバー側係合溝部42の左側端部及び右側端部は、それぞれ筒状カバー40の中心部よりも後側まで延びているが、両端部は連続することなく左右方向に離れている。従って、カバー側係合溝部42は、筒状カバー40の反ノズル部23側(後側)には形成されないように、該後側において非連続となっている。カバー側係合溝部42は、嵌合壁部41の内周面に沿って延びているので、吐出管13の中心線A周りに描いた仮想円と同心上に位置するように延びている。また、カバー側係合溝部42の周方向の長さは、ベース側係合突部39の周方向の長さよりも長く設定されており、これにより、ベース側係合突部39及びカバー側係合溝部42に非連続部分が存在していても、カバー側係合溝部42にベース側係合突部39が入った状態で、筒状カバー40が筒状ベース30に対して中心線A周りに回動可能になる。
【0062】
筒状カバー40の嵌合壁部41の内周面には、カバー側係合溝部42の非連続部分(後側部分)に凹部41a(図21に外形を破線で示す)が形成されている。この凹部41a内に、上記筒状ベース30のストッパ部30bが配置されるようになっている。さらに、凹部41aの内面には、その左側及び右側にそれぞれ左側窪み部41b及び右側窪み部41c(図21に外形を破線で示す)が形成されており、左側窪み部41bと右側窪み部41cとは嵌合壁部41の周方向に互いに離れている。左側窪み部41b及び右側窪み部41cには、筒状ベース30のストッパ部30bが入ることによって係合するようになっている。すなわち、筒状ベース30のストッパ部30bが左側窪み部41bに入るまで筒状カバー40が筒状ベース30に対して中心線A周りに回動すると、ストッパ部30bが左側窪み部41bに係合し、筒状カバー40の回動が停止する。この状態が、非押下可能状態であり、このときに、筒状カバー40の嵌合壁部41の外周面に設けられている目印部40aが筒状ベース30の非押下可能状態表示部30eと一致する。一方、筒状ベース30のストッパ部30bが右側窪み部41cに入るまで筒状カバー40が筒状ベース30に対して中心線A周りに回動すると、ストッパ部30bが右側窪み部41cに係合し、筒状カバー40の回動が停止する。この状態が、押下可能状態であり、このときに、筒状カバー40の嵌合壁部41の外周面に設けられている目印部40aが筒状ベース30の押下可能状態表示部30fと一致する。
【0063】
図18に示すように、筒状カバー40の嵌合壁部41の後側には、径方向内方へ突出して周方向に延びる突条部41dが形成されている。図5に示すように、この突条部41dによって、筒状ベース30の後側円弧板部35の上端部が覆われている。また、図示しないが、操作ボタン20を筒状カバー40に仮に組み付けた状態では、操作ボタン20の突起26a、26aが突条部41dに対して上方から接触して係合するようになっている。
【0064】
図19に示すように、筒状カバー40の周壁部43の前側には、操作ボタン20のノズル部23が挿入される切欠部43aが設けられている。この切欠部43aは上方に開放している。切欠部43aの下側部分の幅は上側部分の幅よりも狭く設定されている。切欠部43aの下側部分には、ノズル部23の下リブ23dが入るようになっている。切欠部43aの上側部分の幅は、ノズル部23の左リブ23a及び右リブ23bが入ることが可能な幅となっている。図1等に示すようにノズル部23の先端部は、切欠部43aから筒状カバー40の外部へ突出するように延び、筒状カバー40の上端部よりも上方に位置している(図3参照)。
【0065】
図18に示すように、筒状カバー40の周壁部43の上端部には、左側上板部44と、右側上板部45とが設けられている。左側上板部44及び右側上板部45は、後側へ向かって下降傾斜している。左側上板部44には、周壁部43の内部に位置する左側ボタン支持壁部46が下方へ延びるように設けられている。左側ボタン支持壁部46は、押下可能状態にある操作ボタン20の左側当接面24aと隙間をあけた状態で対向するように配置されるとともに、上下方向、即ち吐出管13の中心線A方向に延びている。
【0066】
また、図21に示すように、右側上板部45には、周壁部43の内部に位置する右側ボタン支持壁部47が下方へ延びるように設けられている。右側ボタン支持壁部47は、押下可能状態にある操作ボタン20の右側当接面25aと隙間をあけた状態で対向するように配置されるとともに、上下方向、即ち吐出管13の中心線A方向に延びている。
【0067】
左側ボタン支持壁部46及び右側ボタン支持壁部47は、吐出管13の中心線A周りに仮想円を描いたときに、該仮想円の接線方向に延びている。そして、詳細は後述するが、操作ボタン20に対して吐出管13の中心線A周りに左方向の回動力が所定以上の大きさで作用したときには、操作ボタン20の左側当接面24aが左側ボタン支持壁部46に当接して支持され、一方、操作ボタン20に対して吐出管13の中心線A周りに右方向の回動力が所定以上の大きさで作用したときには、操作ボタン20の右側当接面25aが右側ボタン支持壁部47に当接して支持されるようになっている。
【0068】
図18に示すように、左側ボタン支持壁部46には、上記操作ボタン20の左側被案内部24bが挿入され、該左側被案内部24bを吐出管13の中心線A方向に案内する左側案内用開口部46aが該中心線A方向(上下方向)に延びるように形成されている。左側案内用開口部46aは左側ボタン支持壁部46に形成されたスリットで構成されていて、下端部は開放されている。操作ボタン20が押下可能状態にあるときに、左側案内用開口部46aの下端部は、筒状ベース30の左板部38bと左側突片34bとの間の直上方に位置している。
【0069】
図21に示すように、右側ボタン支持壁部47には、上記操作ボタン20の右側被案内部25bが挿入され、該右側被案内部25bを吐出管13の中心線A方向に案内する右側案内用開口部47aが該中心線A方向(上下方向)に延びるように形成されている。右側案内用開口部47aは右側ボタン支持壁部47に形成されたスリットで構成されていて、下端部は開放されている。操作ボタン20が押下可能状態にあるときに、右側案内用開口部47aの下端部は、筒状ベース30の右板部38cと右側突片34cとの間の直上方に位置している。
【0070】
筒状カバー40の周壁部43における切欠部43aの左縁部には、ノズル部23の左側の外面と対向するように配置される左側ノズル支持壁部48が設けられている。左側ノズル支持壁部48と、ノズル部23の左側の外面との間には所定の隙間が形成されていて、操作ボタン20が押下可能状態にあるときには、左側ノズル支持壁部48とノズル部23とが接触しないようになっている。左側ノズル支持壁部48は、左側ボタン支持壁部46と連続しており、左側ボタン支持壁部46は左側ノズル支持壁部48を介して周壁部43と一体化している。また、左側ノズル支持壁部48の下端部は、左側ボタン支持壁部46の下端部よりも上に位置している。
【0071】
筒状カバー40の周壁部43における切欠部43aの右縁部には、ノズル部23の右側の外面と対向するように配置される右側ノズル支持壁部49が設けられている。右側ノズル支持壁部49と、ノズル部23の右側の外面との間には所定の隙間が形成されていて、操作ボタン20が押下可能状態にあるときには、右側ノズル支持壁部49とノズル部23とが接触しないようになっている。右側ノズル支持壁部49は、右側ボタン支持壁部47と連続しており、右側ボタン支持壁部47は右側ノズル支持壁部49を介して周壁部43と一体化している。また、右側ノズル支持壁部49の下端部は、右側ボタン支持壁部47の下端部よりも上に位置している。
【0072】
そして、操作ボタン20に対して吐出管13の中心線A周りの左方向の回動力が所定以上の大きさで作用したときには、ノズル部23の左側の外面が左側ノズル支持壁部48に当接して支持され、一方、操作ボタン20に対して吐出管13の中心線A周りの右方向の回動力が所定以上の大きさで作用したときには、ノズル部23の右側の外面が右側ノズル支持壁部48に当接して支持される。
【0073】
(組立方法)
次に、上記のように構成された操作ボタン付き容器1の組立方法について説明する。操作ボタン20と、筒状ベース30と、筒状カバー40とを成型した後、はじめに操作ボタン20を筒状カバー40に組み付ける。すなわち、操作ボタン20を筒状カバー40の下方から該筒状カバー40の周壁部43の内部へ挿入していき、このとき、ノズル部23の先端部を周壁部43の内部へ先に差し込んで、該先端部を切欠部43aの内部に挿入する。そして、ボタン本体21を周壁部43の内部に挿入する。ボタン本体21を周壁部43の内部に挿入する際には、ボタン本体21の左側被案内部24bを筒状カバー40の左側案内用開口部46aに下端部から挿入するとともに、ボタン本体21の右側被案内部25bを筒状カバー40の右側案内用開口部47aに下端部から挿入する。ボタン本体21を周壁部43に更に深く挿入する際には、左側案内用開口部46a及び右側案内用開口部47aによって案内されるので、スムーズに挿入することができる。ボタン本体21を周壁部43に完全に挿入すると、操作ボタン20の突起26a、26aが筒状カバー40の突条部41dに対して上方から接触して係合するので、操作ボタン20が筒状カバー40に仮組み付けされた状態で離脱することはない。
【0074】
その後、筒状カバー40の嵌合壁部41の内側に筒状ベース30の円環状壁部34を挿入して、嵌合壁部41を円環状壁部34の外側に嵌合させ、筒状カバー40の嵌合壁部41のカバー側係合溝部42に、筒状ベース30の円環状壁部34のベース側係合突部39を入れて両者を係合させる。カバー側係合溝部42にベース側係合突部39を入れるときには、嵌合壁部41や円環状壁部34が弾性変形することや、ベース側係合突部39が弾性変形し、これにより、カバー側係合溝部42にベース側係合突部39を入れることができる。また、ベース側係合突部39及びカバー側係合溝部42には非連続部分があるので、ベース側係合突部39及びカバー側係合溝部42を係合させるのに要する力が小さくて済む。
【0075】
尚、非連続部分はベース側係合突部39及びカバー側係合溝部42の一方にのみ形成されていてもよい。また、ベース側係合部を溝部とし、カバー側係合部を突部としてもよい。
【0076】
次いで、容器本体10の上部を筒状ベース30の内筒部32の下端部から該内筒部32に挿入し、図17等に示す突条部32a、32aを容器本体10の上部に嵌合させる。これにより、筒状ベース30が容器本体10に取り付けられる。筒状ベース30は、使用者が操作ボタン20を回動させようとしたときに、操作ボタン20と共に回動しないように容器本体10に対して強固に取り付けられている。
【0077】
図5に示すように、筒状ベース30を容器本体10に取り付けると、嵌合筒部27bの下側に吐出管13の上側が挿入されて嵌合する。
【0078】
(実施形態の作用効果)
次に、上記のように構成された操作ボタン付き容器1の作用効果について説明する。操作ボタン20の左側被案内部24b及び右側被案内部25bが筒状カバー40の左側案内用開口部46a及び右側案内用開口部47aに挿入されているので、操作ボタン20を回動させる力は筒状カバー40に伝達される。
【0079】
従って、操作ボタン20を左方向に回動させると、筒状カバー40も同方向に回動する。筒状ベース30のストッパ部30bが筒状カバー40の右側窪み部41cに入るまで筒状カバー40が回動すると、ストッパ部30bが右側窪み部41cに入って係合し、これにより、筒状カバー40の回動が停止して押下可能状態になる。このときに、筒状カバー40の嵌合壁部41の外周面に設けられている目印部40aが筒状ベース30の押下可能状態表示部30fと一致するので、使用者は操作ボタン20が押下可能状態であることを容易に把握できる。
【0080】
操作ボタン20が押下可能状態にあるときには、筒状ベース30の後側突片34aが操作ボタン20の後壁部26の切欠部26bの直下方に位置しているので、後側突片34aが操作ボタン20の押下を阻害することはない。また、操作ボタン20が押下可能状態にあるときには、筒状カバー40の左側案内用開口部46aの下端部が、筒状ベース30の左板部38bと左側突片34bとの間の直上方に位置しているので、操作ボタン20の左側被案内部24bは、左側案内用開口部46aの下端部から筒状ベース30の左板部38bと左側突片34bとの間に挿入可能になっており、左板部38bと左側突片34bが操作ボタン20の押下を阻害することはない。さらに、操作ボタン20が押下可能状態にあるときには、筒状カバー40の右側案内用開口部47aの下端部が、筒状ベース30の右板部38cと左側突片34cとの間の直上方に位置しているので、操作ボタン20の右側被案内部25bは、右側案内用開口部47aの下端部から筒状ベース30の右板部38cと右側突片34cとの間に挿入可能になっており、右板部38cと右側突片34cが操作ボタン20の押下を阻害することはない。
【0081】
したがって、使用者は操作ボタン20の指載置面27aに指を置いて操作ボタン20を押し下げると、筒状ベース30の後側突片34aが操作ボタン20の後壁部26の切欠部26bに入り、また、操作ボタン20の左側被案内部24bが左板部38bと左側突片34bとの間に挿入され、さらに操作ボタン20の右側被案内部25bが右板部38cと右側突片34cとの間に挿入される。これにより、操作ボタン20の嵌合筒部27bが容器本体10の吐出管13を押動操作する。押動操作された吐出管13から吐出された内容物は、操作ボタン20の吐出通路27dを経てノズル部23に流入して吐出される。ノズル部23が傾斜しているので、内容物を斜め上方へ向けて効果的に吐出させることができる。
【0082】
操作ボタン20を押し下げる際には、操作ボタン20が筒状カバー40の左側案内用開口部46a及び右側案内用開口部47aによって下方へ案内されるので、操作が容易に行える。また、押下可能状態にある操作ボタン20を押し下げる際には、操作ボタン20の左側当接面24a及び右側当接面25aと、筒状カバー40の左側ボタン支持壁部46及び右側ボタン支持壁部47との間に隙間があるので、摺動抵抗が増大することはなく、良好な操作性が得られる。
【0083】
使用者が指を操作ボタン20の指載置面27aに置いて操作ボタン20を押し下げる際、指を反ノズル部23側である後側から指載置面27aに置いているので、操作ボタン20には後側に引っ張る力が作用し、この力が操作ボタン20から筒状カバー40にも伝達して筒状カバー40が後側に引っ張られることがある。筒状カバー40のカバー側係合溝部42が前側から左右両側方に亘って延びていて、同様に延びるベース側係合突部39に係合しているので、従来例のように等間隔に配置されて分断された4つの係合突起を設ける場合に比べて、筒状カバー40が後側に引っ張られた場合の耐力が大きく確保される。これにより、操作ボタン20の操作時に筒状カバー40及び操作ボタン20が筒状ベース30から外れるのを抑制できる。
【0084】
尚、後側にはベース側係合突部39及びカバー側係合溝部42が形成されていない非連続部分があるが、上記した引っ張り力は、筒状カバー40の外れ防止という観点からは、筒状カバー40の後側において影響を殆ど及ぼさないので、上述のように引っ張られた場合の耐力の低下は回避される。
【0085】
また、押下可能状態にある操作ボタン20を右方向に回動させると、筒状カバー40も同方向に回動し、筒状ベース30のストッパ部30bが筒状カバー40の左側窪み部41bに入るまで筒状カバー40が回動すると、ストッパ部30bが左側窪み部41bに入って係合し、これにより、筒状カバー40の回動が停止して非押下可能状態になる。このときに、筒状カバー40の嵌合壁部41の外周面に設けられている目印部40aが筒状ベース30の非押下可能状態表示部30eと一致するので、使用者は操作ボタン20が非押下可能状態であることを容易に把握できる。
【0086】
操作ボタン20が非押下可能状態にあるときには、筒状ベース30の後側突片34aが操作ボタン20の後壁部26の切欠部26bから外れたところに位置しているので、後側突片34aが操作ボタン20の後壁部26の下端部に当接して操作ボタン20が押下できなくなる。また、操作ボタン20が押下可能状態にあるときには、操作ボタン20の左側被案内部24bが筒状ベース30の左側円弧板部36の上方に位置しているので、左側円弧板部36が操作ボタン20の左側被案内部24bの下端部に当接して操作ボタン20が押下できなくなる。
【0087】
例えば操作ボタン付き容器1を落下させた場合には、ノズル部23が上述のように突出していることから、ノズル部23に衝撃力が加わって操作ボタン20に対して回動方向に過大な力が作用することが考えられる。つまり、操作ボタン20に対して吐出管13の中心線A周りに所定以上の回動力が作用することがあり、この実施形態では、左方向の過大な回動力が作用した場合には、操作ボタン20の左側当接面24aが筒状カバー40の左側ボタン支持壁部46に当接して支持される。また、右方向の過大な回動力が作用した場合には、操作ボタン20の右側当接面25aが筒状カバー40の右側ボタン支持壁部47に当接して支持される。左側当接面24a、右側当接面25a、左側ボタン支持壁部46及び右側ボタン支持壁部47が共に吐出管13の中心線A方向に延びているので、接触面積が広く確保されて力が分散して作用することになる。これにより、各部の破損を抑制できる。特に、左側被案内部24b及び右側被案内部25bの変形や破損を抑制できるとともに、左側案内用開口部46a及び右側案内用開口部47aの周縁部の変形や破損も抑制できるので、操作ボタン20の操作性が悪化してしまうのを回避できる。
【0088】
また、操作ボタン20に対して吐出管13の中心線A周りに所定以上の回動力が作用したときにノズル部23の外面を筒状カバー40の左側ノズル支持壁部48及び右側ノズル支持壁部49によって支持することができる。これにより、回動力をノズル部23にも分散できるので、各部の破損を抑制できる。
【0089】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上説明したように、本発明に係る操作ボタン付き容器は、例えば害虫忌避剤、殺虫剤、芳香剤、消臭剤、除菌剤等を収容して使用することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 操作ボタン付き容器
10 容器本体
13 吐出管
20 操作ボタン
23 ノズル部
27a 指載置面
30 筒状ベース
30b ストッパ部
39 ベース側係合突部(ベース側係合部)
40 筒状カバー
42 カバー側係合溝部(カバー側係合部)
A 中心線
図1
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