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  • 特許-シミュレーション装置及びプログラム 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】シミュレーション装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20220624BHJP
【FI】
G05B23/02 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017006566
(22)【出願日】2017-01-18
(65)【公開番号】P2018116457
(43)【公開日】2018-07-26
【審査請求日】2019-11-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富田 智子
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-076626(JP,A)
【文献】特開2015-032152(JP,A)
【文献】特開2014-174748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に設置される設備の動作を制御する空調集中コントローラに代わって前記設備を制御管理する設備管理装置を接続し、前記設備管理装置の動作試験に用いるシミュレーション装置において、
既設の前記空調集中コントローラに接続された後、前記空調集中コントローラから既設の前記設備の接続関係を含む構成情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された構成情報を記憶する記憶手段と、
前記空調集中コントローラとは別の場所に設置されている前記設備管理装置に接続された後、前記設備管理装置の動作試験を開始する前に、前記構成情報を前記設備管理装置へ送信する送信手段と、
を有することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項2】
記記憶手段に記憶されている構成情報を編集する編集処理手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項3】
施設に設置される設備の動作を制御する空調集中コントローラに代わって前記設備を制御管理する設備管理装置を接続し、前記設備管理装置の動作試験を行うシミュレーション装置に搭載されるコンピュータを、
既設の前記空調集中コントローラに接続された後、前記空調集中コントローラから既設の前記設備の接続関係を含む構成情報を取得する取得手段、
前記取得手段により取得された構成情報を記憶する記憶手段、
前記空調集中コントローラとは別の場所に設置されている前記設備管理装置に接続された後、前記設備管理装置の動作試験を開始する前に、前記構成情報を前記設備管理装置へ送信する送信手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーション装置及びプログラム、特にシミュレーション対象となる設備管理装置への情報設定に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ビル管理システムを構築してビル全体の設備を統合管理する場合がある。この場合、一般にBAS(Building Automation System)と呼ばれる空調等の設備を系統別に制御管理する設備管理装置(以下、「BAS」)を設置し、BASに、設備を接続して動作制御を行う1又は複数の空調集中コントローラを接続する。このように構成することで、BASから空調集中コントローラを介して設備の管理、監視、運用等を統合的に行っている。
【0003】
BASをビルに新たに設置するには、ビルの既設システムを停止できないなどを理由に、事業所内においてBASにシミュレータを接続して事前に動作試験を行うのが一般的である。
【0004】
動作試験を行うためには、導入先となるビルにおける設備の接続関係、各設備の種類や数、仕様、設置場所等を含む構成情報をBASに登録し、その上で、BASから各設備の動作制御、例えば空調設備であれば空調機の運転/停止、設定温度の変更等をシミュレータ相手に行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開2013/145270号
【文献】特開2009-2950号公報
【文献】特開2016-1825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
BASに事前に登録する構成情報には、前述したように設備の種類や数、仕様等を設定する必要がある。構成情報設定用のインタフェース(設定用画面)が用意されている場合があるが、設備が多数設置されていると、その設定作業が面倒である。また、人手により設定されるため設定ミスが発生しうる。この場合、正常に動作確認ができなかった原因を特定するのが面倒になってくる。仮に既設設備と相違する設定がされた状態で動作試験が正常に終了したとしても、BASが現場に設置されたときに正常に動作する保証はない。
【0007】
本発明は、誤りのない構成情報を設備管理装置に容易に設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るシミュレーション装置は、施設に設置される設備の動作を制御する空調集中コントローラに代わって前記設備を制御管理する設備管理装置を接続し、前記設備管理装置の動作試験に用いるシミュレーション装置において、既設の前記空調集中コントローラに接続された後、前記空調集中コントローラから既設の前記設備の接続関係を含む構成情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された構成情報を記憶する記憶手段と、前記空調集中コントローラとは別の場所に設置されている前記設備管理装置に接続された後、前記設備管理装置の動作試験を開始する前に、前記構成情報を前記設備管理装置へ送信する送信手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記記憶手段に記憶されている構成情報を編集する編集処理手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るプログラムは、施設に設置される設備の動作を制御する空調集中コントローラに代わって前記設備を制御管理する設備管理装置を接続し、前記設備管理装置の動作試験を行うシミュレーション装置に搭載されるコンピュータを、既設の前記空調集中コントローラに接続された後、前記空調集中コントローラから既設の前記設備の接続関係を含む構成情報を取得する取得手段、前記取得手段により取得された構成情報を記憶する記憶手段、前記空調集中コントローラとは別の場所に設置されている前記設備管理装置に接続された後、前記設備管理装置の動作試験を開始する前に、前記構成情報を前記設備管理装置へ送信する送信手段、として機能させる。

【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、誤りのない構成情報を設備管理装置に容易に設定することができる。
【0012】
また、既設の構成情報を有効利用して構成情報を新たに生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本実施の形態においてBASの設備制御プロセッサがビルに導入された後の空調システムの構成図である。
図1B】本実施の形態において設備制御プロセッサに対して導入前にシミュレーションを行うときの構成図である。
図2】本実施の形態におけるシミュレータを形成するコンピュータのハードウェア構成図である。
図3】本実施の形態におけるシミュレータ及び設備制御プロセッサのブロック構成図である。
図4】本実施の形態における構成情報のデータ構成の一例を示した図である。
図5】本実施の形態においてシミュレータが既設の空調集中コントローラから構成情報を取得するときの構成図である。ける構成情報のデータ構成の一例を示した図である。
図6】本実施の形態における設備制御プロセッサのディスプレイに表示される空調設備の制御管理に用いる管理画面の一例を示した図である。
図7】本実施の形態におけるシミュレータのディスプレイに表示されるシミュレータ画面の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0015】
図1Aは、本実施の形態において、設備制御プロセッサがビルに導入された後の空調システムの構成図である。なお、本実施の形態では、設備として空調設備を取り扱う場合を例にして説明する。図1Aには、設備管理サーバ1、監視PC2、設備制御プロセッサ20及び空調集中コントローラ4がネットワーク5に接続された構成が示されている。空調集中コントローラ4は、空調設備の動作を制御するコントローラである。図1Aには、2台の空調集中コントローラ4を図示しているが、1台以上であればよい。各空調集中コントローラ4は、接続した室外機6及び室外機6に接続される室内機7を含む空調設備を動作制御対象としている。
【0016】
設備制御プロセッサ20は、空調集中コントローラ4を介して空調設備を制御管理する設備管理装置(BAS)の一部である。本実施の形態においては、動作試験の対象となる。設備制御プロセッサ20は、運転の開始や停止、設定温度等空調設備の運転制御に関する指示を空調集中コントローラ4へ送り、また室内機7のリモコン(図示せず)のユーザ操作による設定変更等を受け付ける。設備管理サーバ1は、ネットワーク5を介して設備制御プロセッサ20やシーケンサ(図示せず)の管理情報を送受信するサーバコンピュータである。監視PC2は、Webブラウザを使用して、設備管理サーバ1により提供される管理情報等の情報の表示を行うことで管理者に各種情報を提供するパーソナルコンピュータである。
【0017】
設備制御プロセッサ20は、空調集中コントローラ4及び空調設備が既設されているビルに新規に導入される場合、ビルの既設システムを停止できないなどを理由に事業所内でシミュレータを用いて動作試験を行うのが効率的である。
【0018】
図1Bは、空調集中コントローラ4及び空調設備の代わりにシミュレータ10を設備制御プロセッサ20に接続したシミュレーション構成を示した図である。図1A図1Bと比較すれば明らかなように、シミュレータ10は、図1Aの破線で囲んだ空調集中コントローラ4及び空調設備に置き換わっており、このシミュレーション構成にて事業所内でネットワーク8を介して設備制御プロセッサ20の動作試験を行うことになる。なお、以降の説明では、シミュレータ10により置き換わられる空調集中コントローラ4及び空調設備を「置換設備」と総称する場合もある。
【0019】
図2は、本実施の形態におけるシミュレータ10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態においてシミュレータ10を形成するコンピュータは、PC等の従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、シミュレータ10は、図2に示したようにCPU31、ROM32、RAM33、ハードディスクドライブ(HDD)34、入力手段として設けられたマウス35とキーボード36、及び表示手段として設けられたディスプレイ37をそれぞれ接続する入出力コントローラ38、通信手段としての通信インタフェース(IF)39を内部バス41に接続して構成される。
【0020】
図3は、本実施の形態におけるシミュレータ10及び設備制御プロセッサ20のブロック構成図である。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については図から省略している。
【0021】
シミュレータ10は、動作試験処理部11、構成情報取得部12、構成情報提供部13、通信処理部14、編集処理部15、構成情報記憶部16及び状態情報記憶部17を有している。動作試験処理部11は、シミュレータ10の主要部を成し、設備制御プロセッサ20又はシミュレータ10の操作者(試験者)からの空調設備の状態変更指示等に応じることで動作試験を行う。状態情報記憶部17には、室内機7の運転状態や設定温度等空調設備の状態を示す状態情報が記憶されているが、動作試験処理部11は、状態情報の表示及び状態情報の設定値の変更の受け付け等を行うユーザインタフェース(UI)部111及び設備制御プロセッサ20から送信されてくる空調設備の設定値あるいはシミュレータ10側で入力された状態情報の変更値等で状態情報記憶部17に記憶される状態情報を更新する状態情報更新部112を含む。
【0022】
前述したように、シミュレータ10は、置換設備に置き換わって設備制御プロセッサ20に接続されるが、設備制御プロセッサ20に接続される前に各空調集中コントローラ4に接続される。そして、構成情報取得部12は、空調集中コントローラ4に接続されているときに構成情報を空調集中コントローラ4から取得し、構成情報記憶部16に登録する。構成情報提供部13は、設備制御プロセッサ20の動作試験を開始する前に設備制御プロセッサ20に通信処理部14を利用して送信することで構成情報を提供する。通信処理部14は、空調集中コントローラ4又は設備制御プロセッサ20との間でデータ通信を行う。編集処理部15は、構成情報記憶部16に記憶されている構成情報の編集処理を行う。
【0023】
図4は、本実施の形態における構成情報記憶部16に記憶される構成情報のデータ構成の一例を示した図である。構成情報には、現場に設置されている構成、すなわち空調集中コントローラ4、室外機6、室内機7等の各設備に関し、各個数と各設備を特定する情報、機能及び仕様を特定する情報、設置場所を示す情報、更に各設備の接続関係を示す情報等が含まれている。なお、図4に例示したデータ項目は、一例であって設備や設置されるビル、運用等によって適宜設定すればよい。
【0024】
シミュレータ10における各構成要素11~15は、シミュレータ10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU31で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部16,17は、シミュレータ10に搭載されたHDD34にて実現される。あるいは、RAM33又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0025】
設備制御プロセッサ20は、制御管理部21、構成情報取得部22、通信処理部23、構成情報記憶部24及び状態情報記憶部26を有している。制御管理部21は、設備制御プロセッサ20の主要部を成し、空調設備の制御管理を行う。ただ、シミュレーション時には、空調集中コントローラ4及び空調設備の代わりにシミュレータ10とデータのやり取りすることになる。状態情報記憶部25には、室内機7の運転状態や設定温度等ビル設備の状態を示す状態情報が記憶されているが、制御管理部21は、空調システムの構成情報、試験者等により設定される状態情報の変更値の受け付け及び状態情報の表示等を行うユーザインタフェース(UI)部211及び試験者等により設定された空調設備の設定値等で状態情報記憶部25に記憶される状態情報を更新する状態情報更新部212を含む。
【0026】
構成情報取得部22は、構成情報をシミュレータ10から取得し、構成情報記憶部24に登録する。通信処理部23は、ネットワーク5を介して設備管理サーバ1や空調集中コントローラ4との間、シミュレーション時にはシミュレータ10との間でデータ通信を行う。
【0027】
設備制御プロセッサ20における各構成要素21~23は、設備制御プロセッサ20を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部24,25は、設備制御プロセッサ20に搭載されたHDDにて実現される。あるいは、RAM又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0028】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0029】
次に、本実施の形態におけるシミュレーションの動作手順について説明する。
【0030】
シミュレーションを開始する前に、シミュレータ10と設備制御プロセッサ20の双方に構成情報及び状態情報を設定しておく必要がある。最初に、構成情報を設定する必要があるが、本実施の形態では、既設の空調集中コントローラ4がある場合、次のようにして設定する。
【0031】
試験者は、シミュレータ10を持って現場に訪問し、既設の空調集中コントローラ4にシミュレータ10を接続する。このときのネットワーク構成を図5に示す。構成情報取得部12は、接続後起動されると、各空調集中コントローラ4から構成情報を取得する。データ通信ができれば接続方法や通信プロトコル等は特に限定する必要はない。既設の各空調集中コントローラ4には、当該空調集中コントローラ4に接続されている設備に関する構成情報が記憶されているが、空調集中コントローラ4に記憶されている構成情報は、今まで利用されている構成情報であることから誤りのない構成情報である。従って、シミュレータ10は、各空調集中コントローラ4から、設定ミスのない構成情報を得ることができる。
【0032】
なお、本実施の形態では、試験者が現場に訪問して構成情報を既設の空調集中コントローラ4から取得するように説明したが、ネットワーク経由で取得できるのであれば、現紅訪問せずに事業所から取得するようにしてもよい。
【0033】
続いて、試験者は事業所に戻り、設備制御プロセッサ20にシミュレータ10を接続する。データ通信ができれば接続方法や通信プロトコル等は特に限定する必要はない。そして、構成情報提供部13は、起動されると、設備制御プロセッサ20に構成情報を送信する。設備制御プロセッサ20における構成情報取得部22は、シミュレータ10から送信されてきた構成情報を受信すると、構成情報記憶部24に登録する。このようにして、シミュレータ10は、構成情報を設備制御プロセッサ20に提供するが、設備制御プロセッサ20には、空調集中コントローラ4から取得した構成情報をそのまま提供することになるので、誤りのない構成情報を設備制御プロセッサ20に確実かつ容易に設定することが可能となる。また、構成情報の設定の効率化を図ることができる。
【0034】
また、設備制御プロセッサ20において、状態情報記憶部26には、管理者等により現地に設置する置換設備の状態の初期値が設定される。設備制御プロセッサ20は、状態情報をシミュレータ10へ送信することで空調設備の状態値を合致させるようにしてもよい。以上の初期設定の終了後、試験者は設備制御プロセッサ20の動作試験を開始する。
【0035】
図6は、本実施の形態における設備制御プロセッサ20のディスプレイに表示される空調設備の制御管理に用いる管理画面の一例を示した図である。試験者は、この制御管理画面から、例えばいずれかの室内機7の運転を開始したり、設定温度を変更したりするなど空調設備の状態を変更しながら試験を行う。試験者により空調設備の状態を変更する操作が行われると、制御管理部21は、その操作に応じて状態の変更指示をシミュレータ10へ送信する。
【0036】
シミュレータ10における動作試験処理部11は、設備制御プロセッサ20からの変更指示に応じて、状態情報記憶部16にて管理している当該空調設備の状態情報を変更する。そして、その変更が正常に終了すると、変更処理が正常終了した旨を設備制御プロセッサ20へ送信する。
【0037】
設備制御プロセッサ20は、シミュレータ10から正常終了の旨の通知を受けると、状態情報記憶部26にて管理している当該空調設備の状態情報を更新する。これにより、表示内容と保持しておく情報を一致させる。
【0038】
図7は、本実施の形態におけるシミュレータ10のディスプレイ37に表示されるシミュレータ画面の一例を示した図である。シミュレータ10における状態情報の変更が正常に実施されたかどうかは、その状態情報をシミュレータ画面に表示させることによって視認可能となる。例えば、室内機7への設定温度は、設備制御プロセッサ20からの指示だけでなく、居住者によるリモコン操作によっても変更可能である。この場合、シミュレータ画面からリモコン操作によって室内機7に対して設定温度が変更されたとすると、その変更後の設定温度によって、状態情報記憶部16にて管理している当該室内機7の状態情報を更新すると共にリモコン操作によって設定温度の変更がされたことを、その旨と共に変更後の設定温度若しくは直前の設定温度との差分値を含む温度データを設備制御プロセッサ20へ送信する。
【0039】
設備制御プロセッサ20は、設定温度の変更の旨及び温度データをシミュレータ10から受信すると、状態情報記憶部26にて管理している当該室内機7の設定温度を変更する。また、この設定温度の変更は、管理画面に表示させることによって視認可能となる。
【0040】
更に、動作試験では、ビル側(シミュレータ10)で水漏れなどの異常を仮想的に発生させることも可能である。設備制御プロセッサ20は、シミュレータ10から異常発生の旨及びその発生した異常の内容を示すエラー情報を受信すると、状態情報記憶部26にて管理している当該空調設備の状態情報を変更したり、図示しないエラーログに記録したりする。この異常検出は、管理画面に表示させることによって視認可能となる。このように、異常を仮想的に発生させることで異常時における動作試験を行う。
【0041】
ところで、本実施の形態では、シミュレータ10と設備制御プロセッサ20との間のデータ通信は、XML通信を用いて行われる。「XML通信」というのは、コンピュータ間でXML電文によってデータ通信を行うことをいう。XMLとは、SGML(Standard Generalized Markup Language)規格に準拠したマークアップ言語であり、プログラムからデータが扱いやすいことを特徴の1つとしている。従って、緊急停止モードなどの管理項目の動作試験も可能となる。XML通信により授受された内容は、通信ログ表示領域61にて確認できる。また、XML表示ボタン62を選択すると,その内容をXMLにて表示させることができる。
【0042】
シミュレーションの実行中に何らかの不具合が発生したとする。この原因としては種々考えられるが、本実施の形態においては、既設の空調集中コントローラ4から取得した構成情報を用いるようにしたので、構成情報の設定に誤りのないことは明らかである。つまり、構成情報の設定を不具合の発生原因から外すことができるので、不具合発生の原因究明の効率化につながる。
【0043】
以上説明したシミュレーションでは、既設の空調集中コントローラ4から構成情報を取得し、その構成情報をそのまま設備制御プロセッサ20に提供することを特徴としている。従って、ビルに空調設備を新設する場合には上記方法をそのまま適用することはできない。ただ、ビルに設置する空調設備は、ビル自体は異なっても、ビルの規模やレイアウトが同一又は類似すれば、あるいはビルのオーナーが同じであれば、類似してくると考えられる。つまり、既存の構成情報をそのまま利用できないとしても、一部を変更することで流用できるのであれば、効率的である。
【0044】
そこで、本実施の形態においては、構成情報記憶部16に登録されている既存の構成情報の編集機能を有する編集処理部15を設け、類似している構成情報の一部を変更することによって設備制御プロセッサ20に設定する構成情報を作成できるようにした。上記説明した方法と異なり、人手を介することから設定ミスが発生する可能性が生じてくるが、何もない状態から構成情報を作成する場合に比して設定する項目が少なくなるため誤りのない構成情報を作成しやすくなる。
【0045】
なお、構成情報記憶部16に数多くの構成情報が蓄積されるようになった場合、シミュレーション対象の設備制御プロセッサ20の動作制御対象とするビル設備の構成に類似した構成情報を探しやすくするために、検索機能を有する検索処理部(図示せず)をシミュレータ10に設けるようにしてもよい。
【0046】
なお、本実施の形態では、空調設備の制御管理を行う設備制御プロセッサ20の動作試験を行う場合を例にして説明したが、これに限定する必要はなく、シミュレータ10は、例えば照明等他の設備の制御管理を行う設備制御プロセッサの動作試験にも提供可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 設備管理サーバ、2 監視PC、4 空調集中コントローラ、5,8 ネットワーク、6 室外機、7 室内機、10 シミュレータ、11 動作試験処理部、12,22 構成情報取得部、13 構成情報提供部、14 通信処理部、15 編集処理部、16,24 構成情報記憶部、17,25 状態情報記憶部、20 設備制御プロセッサ、21 制御管理部、31 CPU、32 ROM、33 RAM、34 ハードディスクドライブ(HDD)、35 マウス、36 キーボード、37 ディスプレイ、38 入出力コントローラ、39 通信インタフェース(IF)、40 内部バス、111,211 ユーザインタフェース(UI)部、112,212 状態情報更新部。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7