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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/32 20060101AFI20220624BHJP
   B65D 1/32 20060101ALI20220624BHJP
   B65D 47/20 20060101ALI20220624BHJP
   B65D 1/02 20060101ALN20220624BHJP
【FI】
B65D47/32 210
B65D1/32
B65D47/20 111
B65D1/02 111
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017126332
(22)【出願日】2017-06-28
(65)【公開番号】P2019006493
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-01-09
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 信也
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】石田 智樹
【審判官】藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-193749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/32
B65D 47/20
B65D 1/20
B65D 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物の収容空間を形成する内層体と、該内層体を径方向外側から覆い、貫通孔を有する筒状の口部及び該口部に連なる胴部を有する外層体とを備える容器本体と、
前記収容空間内の内容物を外部に注出する注出孔と、外部から空気を導入し前記貫通孔を通して前記外層体と前記内層体との間の空間へと導く外気導入孔とを備え、前記容器本体の口部に着脱可能な注出キャップと、
前記注出孔と前記収容空間との連通を遮断すると共に、前記胴部の押圧による前記収容空間内の正圧によって開放する逆止弁と、
前記注出キャップとヒンジを介して連結され、前記注出孔及び前記外気導入孔を覆う上蓋と
を備える二重容器であって、
前記注出キャップは、前記上蓋との間に上下方向に延びる空気導入路を形成し、該空気導入路は、前記注出キャップ及び前記上蓋の少なくともいずれか一方に設けられた径方向に切り欠かれた切り欠き部によって形成され、
該切り欠き部の周方向両端を含まない一部領域、又は該切り欠き部に径方向から対向する部材における該切り欠き部の周方向両端を含まない一部領域には、径方向に突出する当接部が形成されており、
前記切り欠き部は、前記ヒンジと同じ周方向位置に配置されており、前記当接部は、上下方向に延在する前記切り欠き部の高さ位置にわたって上下方向に延びるリブとして形成されており、前記切り欠き部の周方向中央位置に配置されていることを特徴とする二重容器。
【請求項2】
前記注出キャップは、前記上蓋にアンダーカット係合する係合部を有し、
前記切り欠き部は、前記係合部と対向する周方向位置に配置されている、請求項1に記載の二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外層体の内側に減容変形可能な内層体が配置された容器本体と、該容器本体の口部に着脱可能な注出キャップとを備える二重容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の二重容器として、例えば特許文献1に記載されるように、容器本体と、該容器本体の口部に着脱可能な注出キャップと、該注出キャップを覆う上蓋とを備え、容器本体は、貫通孔を有する外層体と該外層体の内側に配置された内層体とを備え、注出キャップは、逆止弁によって開閉可能な内容物の注出孔と、外層体と内層体との間の空間に空気を導入する外気導入孔とを備えたものが知られている。
【0003】
このような二重容器によれば、内容物を外気との接触から保護し、内容物の品質を良好に保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-125267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されるような従来の二重容器では、内容物を注出した後に直ちに上蓋を閉めると、外気導入孔から十分な空気を導入することが困難となり、外層体と内層体との間の空間に十分な空気が供給されず、外層体が十分に復元しないなどの問題があった。この場合、内容物の連続吐出が困難となるなどのおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み開発されたもので、上蓋を閉めた後でも外層体と内層体との間の空間に十分な空気を供給し、外層体を十分に復元できる二重容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の二重容器は、
内容物の収容空間を形成する内層体と、該内層体を径方向外側から覆い、貫通孔を有する筒状の口部及び該口部に連なる胴部を有する外層体とを備える容器本体と、
前記収容空間内の内容物を外部に注出する注出孔と、外部から空気を導入し前記貫通孔を通して前記外層体と前記内層体との間の空間へと導く外気導入孔とを備え、前記容器本体の口部に着脱可能な注出キャップと、
前記注出孔と前記収容空間との連通を遮断すると共に、前記胴部の押圧による前記収容空間内の正圧によって開放する逆止弁と、
前記注出キャップとヒンジを介して連結され、前記注出孔及び前記外気導入孔を覆う上蓋と
を備える二重容器であって、
前記注出キャップは、前記上蓋との間に上下方向に延びる空気導入路を形成し、該空気導入路は、前記注出キャップ及び前記上蓋の少なくともいずれか一方に設けられた径方向に切り欠かれた切り欠き部によって形成され、
該切り欠き部の周方向両端を含まない一部領域、又は該切り欠き部に径方向から対向する部材における該切り欠き部の周方向両端を含まない一部領域には、径方向に突出する当接部が形成されており、
前記切り欠き部は、前記ヒンジと同じ周方向位置に配置されており、前記当接部は、上下方向に延在する前記切り欠き部の高さ位置にわたって上下方向に延びるリブとして形成されており、前記切り欠き部の周方向中央位置に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の二重容器は、上記構成において、
前記注出キャップは、前記上蓋にアンダーカット係合する係合部を有し、
前記切り欠き部は、前記係合部と対向する周方向位置に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上蓋を閉めた後でも外層体と内層体との間の空間に十分な空気を供給し、外層体を十分に復元できる二重容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る二重容器(上蓋開放時)の縦断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る二重容器(上蓋開放時)の平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る二重容器において、内容物を吐出後に上蓋を閉じたときの空気が導入される様子を示す図である。
図4図3のA部詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1図4を参照して、本発明の一実施形態に係る二重容器について詳細に例示説明する。
【0014】
なお、本明細書において上下方向とは、容器の正立状態を基準とし、容器の軸線に沿って口部3が配置される側(すなわち、図1における上側)を上方、図示しない底部が配置される側(すなわち、図1における下側)を下方とする。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る二重容器1は、容器本体2と該容器本体2の口部3に着脱可能な注出キャップ4とを備えている。また、容器本体2は、貫通孔5を有する合成樹脂製の外層体6と、該外層体6の内側に配置され内容物の収容空間Sを形成する合成樹脂製の内層体7とを備えている。内層体7は、外層体6よりも薄肉の袋状に形成されており、外層体6の内面に剥離可能に積層されて外層体6の形状に対応した形状を成している。そして、内層体7は内容物の注出に伴い減容変形しつつ貫通孔5から外気を外層体6と内層体7との間に導入するように構成されている。注出キャップ4は、逆止弁8によって開閉可能な内容物の注出路Rを備えている。
【0016】
容器本体2は、口部3と、該口部3よりも拡径された胴部(図示省略)と、胴部の下部を閉塞する底部(図示省略)とからなるボトル状をなしている。胴部は所定の剛性を有しており、スクイズ(押圧)されて凹むことができるとともに、スクイズが解除されると凹んだ状態から元の形状に復元することができる。
【0017】
内層体7の内部すなわち収容空間Sには、例えば、化粧水などの化粧料、シャンプーやリンスあるいは液体石鹸などのトイレタリー、醤油等の食品調味料などの液体状の内容物を収容することができる。
【0018】
ここで、内層体7が外層体6の内面に「剥離可能に積層されている」とは、外層体6の内面に接着、擬似接着ないし溶着された状態で積層されている内層体7が、当該外層体6に対して剥がれることができることだけでなく、外層体6の内面に単に密着状態で積層された内層体7が、当該外層体6に対して離れることを含む。
【0019】
なお、外層体6と内層体7との間において外層体6と内層体7とを互いに接着する接着帯が、胴部に設けられていてもよい。接着帯は、口部3から底部にまで延びる細長い縦帯状に構成することができる。接着帯は、後述する貫通孔5の周方向位置を避けていれば、1本であってもよいし、2本以上であってもよく、例えば、パーティングラインを挟んで2本設けることができる。また、接着帯は、容器本体2の周方向の1箇所のみに設けてもよいし、対向する2箇所に設けられていてもよい。なお、接着帯は必須の構成ではない。
【0020】
本実施形態において、容器本体2は、共押出し成形した二層構造のパリソンをブロー成形することで外層体6に対して内層体7を剥離可能に積層させた構成になっている。なお、容器本体2は、このような構成に代えて、予め射出成形等によって形成された積層構造のプリフォームを二軸延伸ブロー成形して形成されたものとすることもできる。また、容器本体2は、外層体6と内層体7とを別々に形成した後に組み合わせることで構成してもよい。
【0021】
口部3の外周面には、注出キャップ4をねじ係合により装着するための雄ねじ部50が設けられている。雄ねじ部50は、注出キャップ4の装着筒12の内周面に設けられた雌ねじ部51と係合する。
【0022】
また、本実施形態では、口部3に貫通孔5が形成されており、注出キャップ4に設けられた外気導入孔10,通気孔11、及び口部3と注出キャップ4の装着筒12との隙間(ねじ山間に形成される螺旋状の隙間を含む)を通じて、外気を貫通孔5まで導き外層体6と内層体7との間に導入するようになっている。なお、口部3の外周面に、ねじ山を上下に貫通する通気用の溝を、例えば、貫通孔5と周方向における同位置に設け、外気の導入を促進するようにしてもよい。
【0023】
注出キャップ4は、口部3にねじ係合される装着筒12を備えている。なお、装着筒12は、ねじ係合に代えて、アンダーカットを介した嵌合によって口部3に装着されるように構成してもよい。また、注出キャップ4は、本実施形態では、キャップ本体13、内キャップ部材15、及び弁部材14を有している。
【0024】
キャップ本体13は、装着筒12と、該装着筒12の上端に連なる天壁16と、装着筒12にヒンジ17を介して連結された上蓋18とを備えている。天壁16には、注出筒19と、前述した外気導入孔10とが設けられている。上蓋18をヒンジ17周りに回動させて天壁16を上方から覆うことで、注出筒19及び外気導入孔10は閉塞される。注出筒19の内周面は、収容空間S内の内容物を注出する注出孔19aを形成している。上蓋18の頂壁18aには、注出筒19の外周面に当接して注出筒19を更に確実に閉塞する閉塞筒20が設けられている。
【0025】
キャップ本体13の天壁16の外周端には、図1に示すように段部16bが形成されている。そして、当該段部16bを形成する上下方向に延びる面には、図2に示すように、径方向に切り欠かれた切り欠き部16b1が形成されている。切り欠き部16b1は、図2から理解できるように、ヒンジ17と同じ周方向位置に形成されており、周方向にも延びている。また、切り欠き部16b1の周方向両端から離れた一部領域には、径方向外側に突出するリブ16d(当接部)が形成されている。図2の例では、リブ16dは、切り欠き部16b1の周方向の略中央位置に形成されている。上下に延びる切り欠き部16b1の下端から更に径方向外側に向けてやや下方に傾斜する切り欠き部16b2が形成されている。図2に示すように、切り欠き部16b2は、切り欠き部16b1よりも周方向に更に幅広く形成されている。リブ16dは、後述するように上蓋18に当接する当接部として機能する。
【0026】
上蓋18には、図1に示すように、キャップ本体13側の段部16bに対応する段部18eが形成されている。そして、段部18eの上端部から上蓋18の頂壁18aにかけて、図2の例では、周方向に等間隔で突出部18fが形成されている。そして、突出部18f以外の領域が凹部18e1を形成している。これらの切り欠き部16b1,16b2及び凹部18e1は、後述するように、空気導入路Tを形成している。
【0027】
キャップ本体13の段部16bにおける、ヒンジ17に対向する周方向位置には、図1に示すように、係合部16aが形成されている。係合部16aが、上蓋18側に形成された係合突部18cにアンダーカット係合することで、上蓋18は、キャップ本体13に係合固定することができる。なお、係合部16aは、機構的なバランスを考慮してヒンジ17に対向する周方向位置に形成することが好ましいが、この態様に限定されるものではなく、任意の位置に形成することができる。係合部16aは、例えばヒンジ17及び容器本体2の中心軸線を通る面に関して対称な2箇所に設けるように構成してもよい。
【0028】
弁部材14は、筒壁21と、該筒壁21の内周面から径方向内側に延びるアーム部26bと、アーム部26bの内周端から垂下する弁形成筒26aと、弁形成筒26aの下端部に一体に設けられた逆止弁8と、該筒壁21の外周側に連設された外気導入用逆止弁22とを備えている。逆止弁8は、本実施形態では、弁形成筒26aの下端内周面から径方向内側に延びる円板状の弁体の外周縁を1本の弾性ヒンジ8aで弁形成筒26aの内周面に連結した1点弁として構成されているが、例えば3点弁などの他の構成を採用することも可能である。また、外気導入用逆止弁22は、周方向に連続するフランジ状をなしている。筒壁21の上部は、キャップ本体13の天壁16から垂下する嵌合筒23に嵌合している。
【0029】
内キャップ部材15は、キャップ本体13の天壁16と容器本体2の口部3との間に配置され、かつ、キャップ本体13の装着筒12の内周面にアンダーカットを介して嵌合される外筒24を備えている。また、図1に示すように外筒24の下端には、内周方向に延びる隔壁33と、隔壁33の内周側端から下方へと環状をなして延び、嵌入突起27との間で上述の筒壁21を嵌合させる嵌入筒30と、嵌入筒30の下端から更に内周側へと延びて筒壁21を下方から支持する底壁25と、底壁25の内周側端から下方に向けて弁形成筒26aに沿って延びる弁支持筒54aと、逆止弁8が着座する弁座54cとを備えている。弁座54cの中央部には、収容空間Sと注出路R及び注出孔19aとを連通する開口55が形成されている。
【0030】
嵌入筒30及び嵌入突起27の外周側には、口部3の上端内周面に嵌合する環状のシール突起31が垂設されている。外筒24の下部には、前述した通気孔11が形成されている。
【0031】
本実施形態では、内容物の注出路Rは、キャップ本体13の注出筒19及び天壁16、弁部材14の筒壁21、アーム部26b、弁形成筒26a、及び逆止弁8によって区画されている。
【0032】
そして、上蓋18を開き容器本体2の胴部を押圧すると、収容空間S内の内圧上昇によって逆止弁8は弾性ヒンジ8a周りに注出筒19の方向に変位し、内容物を開口55及び注出路Rを通じて外界に注出することができる。
【0033】
内容物を注出させた後、容器本体2の胴部の押圧を解除すると、収容空間S内の内圧が下がり、逆止弁8は、再び図1に示すように弁座54cに着座する。これによって、内容物を外気との接触から保護することができるため、内容物の品質を良好に保持することができる。また、逆止弁8が着座する際、弾性ヒンジ8a周りに回動しながら戻ることによって弁形成筒26a内の空気の体積が増加するため、注出路R内は負圧となる。これにより、注出筒19の内側に残留する内容物は、負圧により弁形成筒26a側へと引き込まれるため、注出筒19からの液だれを効果的に防止することができる。
【0034】
また、内容物の減少に伴い内層体7は減容変形を維持する一方、外層体6は剛性により元の形状に復元する。このとき外層体6と内層体7との間の空間が負圧となるため、図3に示すように外気導入用逆止弁22が開き、外層体6と内層体7との間の空間には外気導入孔10、及び貫通孔5を通じて外気が導入される。本実施形態では、図3に示すように、上蓋18が閉じられた状態であっても、外部から空気導入路Tを経由して外気導入孔10へと空気を導くことができる。図3において空気導入路T部分Aを拡大したA部詳細図を図4に示す。図4において、外部の空気は、キャップ本体13側に設けられた切り欠き部16b2及び16b1、並びに上蓋18側に設けられた凹部18e1より形成される空気導入路Tを経由して、キャップ本体13及び上蓋18によって閉じられた空間内に導入される。なお、空気導入路Tは、必要最低限の深さのみを確保することで、薄肉化による部材の不要な変形を抑制することが好ましい。
【0035】
図3及び図4に示す上蓋18の閉塞時において、上蓋18は、ヒンジ17に対向する周方向位置に設けられた係合部16aに係合突部18cをアンダーカット係合させることでキャップ本体13に固定されている。このアンダーカット係合時に、上蓋18の係合突部18cは僅かに径方向外側に付勢されるため、図3の左方向に移動する。これによって、キャップ本体13側に形成された切り欠き部16b1と上蓋18の段部18eとの隙間(空気導入路Tの一部)が狭くなる。しかし、本実施形態では、切り欠き部16b1の周方向両端を除く一部領域(図2の例では、周方向の略中央位置)にリブ16dを形成したので、図3において上蓋18が左方向に移動しても、上蓋18の段部18eは、リブ16dに最初に当接してそれ以上左方向に移動することがない。従って、リブ16dの周方向両側位置において切り欠き部16b1と上蓋18の段部18eとの間に確実に隙間を形成することができる。これにより、上蓋18を閉塞しても、図3及び図4に矢印で示すように、外部からの空気を、空気導入路T(切り欠き16b2、切り欠き16b1、及び凹部18e1)を通じて外気導入孔10から外層体6と内層体7との間の空間に導入することが可能となる。
【0036】
なお、リブ16dを設けることなく、切り欠き16b1等を深く形成することによっても、空気導入路Tの閉塞を抑制することができる。しかし、本実施形態のように、切り欠き16b1の深さをなるべく浅く形成すると共にリブ16dを形成して空気導入路Tの閉塞を抑制した方が、切り欠き16b1部分の部材の薄肉化を防ぐことができる。このため、例えば部材の変形等による弁のシール性低下等の問題の発生を抑制することができる。
【0037】
また、段部16b,18eによる液密性の確保を行わず、閉塞筒20による注出筒19の閉塞のみによって内容物の漏出を抑制する構成も考えられる。しかしその場合、流通時の衝撃等によって注出筒19の液密性が損なわれる虞がある。そこで、段部16b,18eの一部のみを切り欠くことで液密性の確保と空気の導入という2つの機能を両立させている。
【0038】
なお、本実施形態では、注出キャップ4の天壁16上に、上下方向に延びる切り欠き16b1を設け、上蓋18との間に空気導入路Tを形成するように構成したが、この態様には限定されない。切り欠き16b1は、上蓋18側に設けるようにしてもよいし、注出キャップ4と上蓋18の双方に設けるようにしてもよい。また、リブ16dについても、本実施形態と同様に切り欠き16b1を設けた側の部材に形成してもよいし、切り欠き16b1を設けた部材に対向する部材側に形成してもよい。更に、双方の部材にリブ16dを形成してもよい。
【0039】
また、本実施形態では、切り欠き部16b1は、係合部16aと対向する周方向位置に配置されるように構成したが、この態様には限定されず、任意の場所に配置することができる。切り欠き部16b1は、例えば係合部16a及び容器本体2の中心軸線を通る面に関して対称な2箇所に設けるように構成してもよい。
【0040】
また、本実施形態では、切り欠き部16b1は、ヒンジ17と同じ周方向位置に配置されるように構成したが、この態様には限定されず、任意の場所に配置することができる。
【0041】
また、本実施形態では、リブ16dは、切り欠き部16b1の周方向中央位置に配置されるように構成したが、この態様には限定されない。リブ16dは、切り欠き部16b1の周方向中央位置に対してずれて配置されていてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、外気導入用逆止弁22は、周方向に連続するフランジ状に形成したが、この態様には限定されず、様々な他の形状を採用することができる。また、外気導入用逆止弁22は必ずしも設けなくてもよい。
【0043】
以上述べたように、本実施形態では、注出キャップ4が、上蓋18との間に上下方向に延びる空気導入路Tを形成し、空気導入路Tは、注出キャップ4に設けられた径方向に切り欠かれた切り欠き部16b1によって形成され、切り欠き部16b1の周方向両端を含まない一部領域には、径方向に突出するリブ16dが形成されるように構成した。これによって、上蓋18が何らかの要因で中心軸線に関してリブ16dと対向する方向に付勢されても、空気導入路Tを確実に確保することができる。従って、内容物を注出した後に直ちに上蓋18を閉塞しても、外気導入孔10から外層体6と内層体7との間の空間に空気を導入し、外層体6を復元させることができる。
【0044】
また、本実施形態では、注出キャップ4は、上蓋18にアンダーカット係合する係合部16aを有し、切り欠き部16b1は、係合部16aと対向する周方向位置に配置されるように構成した。これによって、上蓋18が、係合部16aによって付勢されても、空気導入路Tを確実に確保することができる。従って、内容物を注出した後に直ちに上蓋18を閉塞しても、外気導入孔10から外層体6と内層体7との間の空間に空気を導入し、外層体6を復元させることができる。
【0045】
また、本実施形態では、切り欠き部16b1は、ヒンジ17と同じ周方向位置に配置されるように構成した。これによって、上蓋18が何らかの要因で中心軸線に関してヒンジ17と対向する方向に付勢されても、空気導入路Tを確実に確保することができる。従って、内容物を注出した後に直ちに上蓋18を閉塞しても、外気導入孔10から外層体6と内層体7との間の空間に空気を導入し、外層体6を復元させることができる。また、切り欠き部16b1がヒンジ17と同じ周方向位置に配置されることで、切り欠き部16b1が目立たないように配置することができるため、二重容器1の見栄えをよくすることができる。
【0046】
また、本実施形態では、リブ16dは、切り欠き部16b1の周方向中央位置に配置されるように構成した。これによって、上蓋18が何らかの要因で中心軸線に関してリブ16dと対向する方向に付勢されても、リブ16dの周方向両側における切り欠き16b1部分に空気導入路Tを確実に確保することができる。従って、内容物を注出した後に直ちに上蓋18を閉塞しても、外気導入孔10から外層体6と内層体7との間の空間に空気を導入し、外層体6を復元させることができる。
【0047】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【符号の説明】
【0048】
1 二重容器
2 容器本体
3 口部
4 注出キャップ
5 貫通孔
6 外層体
7 内層体
8 逆止弁
8a 弾性ヒンジ
10 外気導入孔
11 通気孔
12 装着筒
13 キャップ本体
14 弁部材
15 内キャップ部材
16 天壁
16a 係合部
16b 段部
16b1 切り欠き部
16b2 切り欠き部
16d リブ(当接部)
17 ヒンジ
18 上蓋
18a 頂壁
18b 側壁
18c 係合突部
18e 段部
18e1 凹部
18f 突出部
19 注出筒
19a 注出孔
20 閉塞筒
21 筒壁
22 外気導入用逆止弁
23 嵌合筒
24 外筒
25 底壁
26a 弁形成筒
26b アーム部
27 嵌入突起
30 嵌入筒
31 シール突起
33 隔壁
50 雄ねじ部
51 雌ねじ部
54a 弁支持筒
54c 弁座
55 開口
R 注出路
S 収容空間
T 空気導入路
図1
図2
図3
図4