(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】気液分離装置
(51)【国際特許分類】
F02M 26/35 20160101AFI20220624BHJP
F02M 26/05 20160101ALI20220624BHJP
F02M 26/06 20160101ALI20220624BHJP
F02M 26/19 20160101ALI20220624BHJP
【FI】
F02M26/35 D
F02M26/05
F02M26/06 301
F02M26/19 311
(21)【出願番号】P 2017206576
(22)【出願日】2017-10-25
【審査請求日】2020-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000120249
【氏名又は名称】臼井国際産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 哲暢
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 豪孝
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/104531(WO,A1)
【文献】特開昭63-192951(JP,A)
【文献】米国特許第03885935(US,A)
【文献】特開2010-104906(JP,A)
【文献】実開昭58-191371(JP,U)
【文献】特表2007-512943(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102383983(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/35
F02M 26/05
F02M 26/06
F02M 26/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の内部に配置された旋回流発生部材により、前記配管を流れる気液二相流体を旋回させて液体を前記配管の内周面へ誘導し、前記気液二相流体から前記液体と気体を分離する気液分離装置において、
前記配管は、前記旋回流発生部材が内部に配置されると共に、前記液体が流出する排水口が前記旋回流発生部材よりも前記気液二相流体の流出側の位置に形成されたインレットパイプと、前記インレットパイプの端部に一端が差し込まれ、前記一端に形成された開口を有するインナーパイプと、を備え、
前記旋回流発生部材は、前記インレットパイプの軸線に沿って延在すると共に、前記気液二相流体の流入側から流出側に向かって次第に拡径する円錐形状を呈した翼支持部と、前記翼支持部の外周面に設けられた複数の静翼と、を備え、
前記複数の静翼は、前記外周面を取り巻くと共に、前記翼支持部の周方向に一定の間隔をあけて設けられており、
前記複数の静翼はそれぞれ、前記翼支持部の先端側における第1の端部位置と、前記翼支持部の後端側における第2の端部位置とを通る直線が前記翼支持部の軸線に対して傾斜しており、
前記翼支持部に対する前記複数の静翼の各々の取巻角度は、前記気液二相流体の旋回量を向上させるか又は前記気液二相流体の通気抵抗を抑制するように設定され、
前記取巻角度は、前記翼支持部の前記軸線から前記第1の端部位置を通って径方向に延びる第1直線と、前記翼支持部の前記軸線から前記第2の端部位置を通って径方向に延びる第2直線とのなす角であ
り、大きいほど前記旋回量を向上させ、小さいほど前記通気抵抗を抑制する
ことを特徴とする気液分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載された気液分離装置において、
前記インレットパイプの内周面には、前記気液二相流体の流れ方向に沿って内径寸法が徐々に大きくなるテーパ面が形成され、
前記旋回流発生部材は、前記気液二相流体の流出側の端部の位置が、前記テーパ面が形成された領域の前記気液二相流体の流入側の端部の近傍位置に設定されている
ことを特徴とする気液分離装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された気液分離装置において、
前記インレットパイプには、前記排水口に連結された排水パイプと、前記排水パイプの先端部に設けられた貯水タンクと、が設けられ、
前記インナーパイプには、前記貯水タンクの内部と連通するバイパスパイプが設けられている
ことを特徴とする気液分離装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された気液分離装置において、
前記インレットパイプは、前記旋回流発生部材よりも前記気液二相流体の流入側の位置に、前記液体が流出する上流排水口が形成されている
ことを特徴とする気液分離装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された気液分離装置において、
前記インレットパイプは、少なくとも前記旋回流発生部材が配置された部分を冷却するパイプ冷却構造を有する
ことを特徴とする気液分離装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された気液分離装置において、
前記インナーパイプの内周面には、前記気液二相流体の流出側に向かって内径寸法を段状に拡大する第1段差面が形成されている
ことを特徴とする気液分離装置。
【請求項7】
請求項6に記載された気液分離装置において、
前記インナーパイプは、前記第1段差面よりも前記気液二相流体の流出側の内周面に、前記気液二相流体の流出側に向かって内径寸法を段状に縮小する第2段差面が形成されている
ことを特徴とする気液分離装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載された気液分離装置において、
前記インナーパイプは、前記インレットパイプに差し込まれた部分の外周面に、周方向に延びる突出部が形成されている
ことを特徴とする気液分離装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載された気液分離装置において、
前記インナーパイプは、前記インレットパイプから突出した部分を加熱する加熱構造を有している
ことを特徴とする気液分離装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載された気液分離装置において、
前記取巻角度は、前記旋回流発生部材を軸方向から見たときに、前記翼支持部の周方向に沿って前記複数の静翼の間に隙間が生じない角度に設定される
ことを特徴とする気液分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液二相流体に含まれる気体と液体を分離する気液分離装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、円柱状の翼支持部と、この翼支持部の外周面を螺旋状に取り巻く複数の静翼と、を備えた旋回流発生部材によって配管内を流れる流体を旋回させる気液分離装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、砲弾状の翼支持部と、この翼支持部の外周面を螺旋状に取り巻く複数の静翼とを備えた旋回流発生部材も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平1-83459号公報
【文献】特開平11-83151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の旋回流発生部材にあっては、静翼が設けられた翼支持部が円柱状であったり、砲弾状であったりしている。そのため、これらの翼支持部は、少なくとも流体の流出側の端部において外周面が配管の内周面に対してほぼ平行になる。これにより、この翼支持部の外周面に沿って流れる流体が配管の内周面に向かいにくくなり、流体に対して十分な遠心力を付与することが難しかった。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、配管を流れる気液二相流体に付与する遠心力を向上させ、液体の分離性能を向上させることができる気液分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、配管の内部に配置された旋回流発生部材により、配管を流れる気液二相流体を旋回させて液体を配管の内周面へ誘導し、気液二相流体から液体と気体を分離する気液分離装置である。
前記配管は、旋回流発生部材が内部に配置されると共に、液体が流出する排水口が旋回流発生部材よりも気液二相流体の流出側の位置に形成されたインレットパイプと、インレットパイプの端部に一端が差し込まれ、この一端に形成された開口を有するインナーパイプと、を備えている。
前記旋回流発生部材は、インレットパイプの軸線に沿って延在すると共に、気液二相流体の流入側から流出側に向かって次第に拡径する円錐形状を呈した翼支持部と、翼支持部の外周面に設けられた複数の静翼と、を備えている。
そして、前記複数の静翼は、前記外周面を取り巻くと共に、前記翼支持部の周方向に一定の間隔をあけて設けられており、前記複数の静翼はそれぞれ、前記翼支持部の先端側における第1の端部位置と、前記翼支持部の後端側における第2の端部位置とを通る直線が前記翼支持部の軸線に対して傾斜している。
また、前記翼支持部に対する前記複数の静翼の各々の取巻角度は、前記気液二相流体の旋回量を向上させるか又は前記気液二相流体の通気抵抗を抑制するように設定されている。
前記取巻角度は、前記翼支持部の前記軸線から前記第1の端部位置を通って径方向に延びる第1直線と、前記翼支持部の前記軸線から前記第2の端部位置を通って径方向に延びる第2直線とのなす角であり、大きいほど前記旋回量を向上させ、小さいほど前記通気抵抗を抑制する。
【発明の効果】
【0007】
よって、本発明では、インレットパイプの軸芯付近を流れる気液二相流体は、円錐形状の翼支持部の外周面に沿って流れ、インレットパイプの内周面に向かっていく。これにより、気液二相流体がインレットパイプの軸芯付近を通過しにくくすることができる。一方、翼支持部の外周面に設けられた静翼によって、気液二相流体の流れ方向がインレットパイプの軸線に対して傾斜させられ、この気液二相流体の流れが旋回流となる。これにより、配管を流れる気液二相流体は、インレットパイプの内周面に向かいながら旋回することになり、気液二相流体に付与される遠心力を向上させ、液体の分離性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1の気液分離装置を適用した内燃機関の排気還流システムを示す全体システム図である。
【
図2】実施例1の気液分離装置を示す断面図である。
【
図4A】実施例1の旋回流発生部材を示す斜視図である。
【
図4B】実施例1の旋回流発生部材の側面図である。
【
図4C】実施例1の旋回流発生部材の正面図である。
【
図5】実施例1の気液分離装置における気液二相流体及び分離した気体・液体の流れを示す全体説明図である。
【
図6】実施例1の気液分離装置における液体の流れを拡大して示す説明図である。
【
図8】実施例1の旋回流発生部材の変形例を示す正面図である。
【
図9A】第1変形例の翼支持部を示す側面図である。
【
図9B】第2変形例の翼支持部を示す側面図である。
【
図9C】第3変形例の翼支持部を示す側面図である。
【
図10】実施例1の気液分離装置の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の気液分離装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【0010】
(実施例1)
まず、実施例1における気液分離装置の構成を、「適用例のシステム全体構成」、「気液分離装置の詳細構成」、「旋回流発生部材の詳細構成」、「パイプ冷却構造の詳細構成」に分けて説明する。
【0011】
[適用例のシステム全体構成]
図1は、実施例1の気液分離装置を適用した内燃機関の排気還流システムを示す全体システム図である。以下、
図1に基づき、実施例1の適用例のシステム全体構成を説明する。
【0012】
実施例1の気液分離装置20は、
図1に示す内燃機関1の排気還流システムSに適用している。ここで、
図1に示した内燃機関1は、走行用駆動源として車両に搭載されるディーゼルエンジンであり、4つの気筒(不図示)を有している。各気筒には、それぞれ吸気通路2と排気通路3が接続されている。
【0013】
吸気通路2は、端部に吸気口2aが形成され、この吸気口2a側から順に、吸気濾過用のエアクリーナー4、ターボ過給機5のコンプレッサ5a、吸気を冷却するインタークーラー6、吸入空気量を調整するためのスロットル弁7が設けられている。排気通路3には、内燃機関1側から順に、ターボ過給機5のタービン5b、排気を浄化するための排気浄化触媒8、排気流量を調整するための排気絞り弁9が設けられている。なお、排気絞り弁9の下流側にはマフラー10が設けられ、その先に排気口3aが形成されている。
【0014】
吸気通路2と排気通路3とは、低圧EGR通路11及び高圧EGR通路12によって接続されている。ここで、「EGR(Exhaust Gas Recirculation)」とは、内燃機関1において燃焼後の排気の一部を取り出して再度吸気させる技術であり、排気再循環ともいう。
【0015】
低圧EGR通路11は、コンプレッサ5aより上流の吸気通路2と排気浄化触媒8より下流の排気通路3とを接続している。一方、高圧EGR通路12は、コンプレッサ5aより下流の吸気通路2とタービン5bより上流の排気通路3とを接続している。
これにより、低圧EGR通路11では、タービン5bを通過した排気を、コンプレッサ5aの吸気に戻すこととなる。また、高圧EGR通路12では、タービン5bに吸い込まれる前の排気を、コンプレッサ5aを通過したエアに戻すこととなる。
【0016】
低圧EGR通路11には、吸気通路2に導かれる排気を冷却するためのEGRクーラ13と、低圧EGR通路11を介して吸気通路2に還流される排気の流量を調整するための低圧EGR弁14と、が設けられている。高圧EGR通路12には、高圧EGR通路12を介して吸気通路2に還流される排気の流量を調整するための高圧EGR弁15が設けられている。
【0017】
ここで、低圧EGR通路11では、ターボ過給機5のタービン通過排気量を低下させることなく排気の還流を可能とし、NOx低減効果が大きい。しかしながら、EGRクーラ13での冷却によって凝縮水の発生が懸念される。そこで、実施例1では、本発明の旋回流発生装置を適用した気液分離装置20(
図2参照)を、低圧EGR弁14の下流位置であって、ターボ過給機5のコンプレッサ5aの上流位置(
図1において破線Xで囲む位置)に設置し、凝縮水を捕集して排水する。
【0018】
[気液分離装置の詳細構成]
図2は、実施例1の気液分離装置を示す断面図である。以下、
図2に基づき、実施例1の気液分離装置の詳細構成を説明する。
【0019】
実施例1の気液分離装置20は、
図2に示すように、インレットパイプ21と、インナーパイプ22と、第1排水パイプ23と、第2排水パイプ24と、貯水タンク25と、バイパスパイプ26と、旋回流発生部材30と、パイプ冷却構造40と、を備えている。
【0020】
インレットパイプ21は、気液二相流体の流れ方向の上流側(
図2において右側、以下「流体流入側」という)の端部が吸気口2a及び低圧EGR弁14に連通し、気体と微粒子状の液体(凝縮水)が混ざり合った状態の排気(以下、「気液二相流体」という)が流入する。このインレットパイプ21の内側には、気液二相流体の流れを内周面21aに沿って旋回させる旋回流発生部材30が配置されている。そして、このインレットパイプ21は、旋回流発生部材30よりも気液二相流体の流れ方向の下流側(
図2において左側、以下「流体流出側」という)の端部21bに、第1排水口21c(排水口)が形成され、旋回流発生部材30よりも流体流入側に、第2排水口21d(上流排水口)が形成されている。
【0021】
第1排水口21cは、気液二相流体から分離された液体が流出する開口であり、インレットパイプ21の半径方向であって重力方向の下方に開放している。第2排水口21dは、旋回する前の気液二相流体に含まれる液体が流出する開口であり、インレットパイプ21の半径方向であって重力方向の下方に開放している。なお、「重力方向」とは、
図2における下方向であり、重力が作用する方向である。
【0022】
さらに、このインレットパイプ21の内周面21aには、テーパ面21eが形成されている。このテーパ面21eは、インレットパイプ21の内径寸法を流体流出側に向かって徐々に大きくする傾斜面であり、旋回流発生部材30よりも流体流出側の位置に形成されている。これにより、インレットパイプ21の内径寸法は、テーパ面21eよりも流体流入側である第1領域27Aが最も小さく、テーパ面21eが形成された第2領域27Bにて徐々に大きくなり、テーパ面21eよりも流体流出側である第3領域27Cが最も大きくなる。
さらに、ここでは、テーパ面21eが形成された第2領域27Bの流体流入側の端部の位置と、旋回流発生部材30の流体流出側の端部の位置とが近接している。つまり、旋回流発生部材30の流体流出側の端部位置は、第2領域27Bの流体流入側の端部位置の近傍に設定されている。
【0023】
そして、第1領域27Aに第2排水口21dが形成されると共に旋回流発生部材30が配置され、第3領域27Cに第1排水口21cが形成されている。
【0024】
インナーパイプ22は、インレットパイプ21の第3領域27Cの内径寸法よりも小さい外形寸法を有する直管部材によって形成され、インレットパイプ21の流体流出側の端部21bに一端22aが差し込まれ、インレットパイプ21と同軸状態に設置される。
【0025】
なお、インレットパイプ21とインナーパイプ22との間に生じる間隙αにはスペーサー28が嵌合されている。スペーサー28は、インナーパイプ22の全周を取り囲む円筒形状を呈しており、外周面がインレットパイプ21の内周面21aに気密状態で接触し、内周面がインナーパイプ22の外周面22fに気密状態で接触している。
ここで、スペーサー28のインレットパイプ21内側の軸方向端部28aは、第1排水口21cの周縁部のうちの最も下流側の部分と軸方向位置が一致している。つまり、スペーサー28は、第1排水口21cの開口領域に重複しないものの、第1排水口21cの開口領域に対して、軸方向に隙間を開けることなく設置されている。
【0026】
インナーパイプ22は、インレットパイプ21に差し込まれた一端22aに、旋回流発生部材30よりも流体流出側で開放する開口22bが形成されている。また、このインナーパイプ22の流体流出側(
図2において左側)の端部は、ターボ過給機5のコンプレッサ5aに連通している。ここで、開口22bは、インナーパイプ22の軸方向に開放し、インレットパイプ21と、インナーパイプ22と、開口22bは、同軸になっている。
【0027】
また、このインナーパイプ22は、インレットパイプ21から突出した位置に、周面を径方向に貫通する通気口22cが形成されている。この通気口22cには、バイパスパイプ26の第2端部26bが接続している。さらに、インナーパイプ22の内周面22dには、複数の環状溝部22e(ここでは二つ)が形成されている。一方、インナーパイプ22の外周面22fには、インレットパイプ21に差し込まれた部分に突出部22gが形成され、インレットパイプ21から突出した部分に加熱用電熱シート22h(加熱構造)が設けられている。
【0028】
各環状溝部22eは、インナーパイプ22の周方向に沿って延びる環状のへこみであり、インナーパイプ22の内部、すなわち旋回流発生部材30よりも流体流出側の位置に設けられている。また、ここでは、二つの環状溝部22eのうちの一方が、インレットパイプ21に差し込まれた部分であって、突出部22gの内側に形成されていて、環状溝部22eと突出部22gとの軸方向位置が一致している。また、他方の環状溝部22eは、インレットパイプ21から突出した部分に形成されている。各環状溝部22eは、いずれも
図3に拡大して示すように、第1段差面51と、第2段差面52と、底面53と、を有している。
【0029】
第1段差面51は、環状溝部22eを形成する面の中で、流体流入側に位置する面である。この第1段差面51により、インナーパイプ22の内径寸法は、流体流出側に向かって段状に拡大される。つまり、インナーパイプ22は、環状溝部22eの流体流入側の位置での内径寸法D1よりも、環状溝部22eの内側の位置での内径寸法D2の方が大きい。また、この第1段差面51と、第1段差面51よりも流体流入側のインナーパイプ内周面221dとでなす角θ1は、ここでは90°に設定されている。
【0030】
一方、第2段差面52は、環状溝部22eを形成する面の中で、流体流出側に位置する面である。この第2段差面52により、インナーパイプ22の内径寸法は、流体流出側に向かって段状に縮小する。つまり、インナーパイプ22は、環状溝部22eの流体流出側の位置での内径寸法D3よりも、環状溝部22eの内側の位置での内径寸法D2の方が大きい。また、この第2段差面52と、第2段差面52よりも流体流出側のインナーパイプ内周面222dとでなす角θ2は、ここでは90°に設定されている。さらに、第2段差面52の高さ寸法H2は、第1段差面51の高さ寸法H1と同一寸法に設定されている。
【0031】
底面53は、インナーパイプ22の周方向に延びて環状溝部22eの底面となる面であり、第1段差面51と第2段差面52の間に位置している。
【0032】
突出部22gは、インナーパイプ22の外周面22fから半径方向の外方に突出し、インナーパイプ22の周方向に延びて、外周面22fの全周を取り囲んでいる。ここで、突出部22gは、インレットパイプ21に形成された第1排水口21cの重力方向の上方位置に形成されている。この突出部22gの高さ寸法H3は、インレットパイプ21の内周面21aとインナーパイプ22の外周面22fとの隙間寸法H4よりも小さくなるように設定されている。これにより、突出部22gの先端面とインレットパイプ21の内周面21aとの間には、隙間が生じる。
【0033】
加熱用電熱シート22hは、図示しないスイッチをON操作することで発熱する電熱線を有する可撓性を有するシートであり、インナーパイプ22に巻きつけられて、外周面22fを覆っている。そして、この加熱用電熱シート22hが有する電熱線が発熱することで、インナーパイプ22が加熱される。なお、この加熱用電熱シート22hは、ここではインレットパイプ21から突出した部分に形成された他方の環状溝部22eが形成された位置を覆っており、インナーパイプ22のうち、環状溝部22e(第1段差面51)が形成された部分の外周面22fを加熱することになる。
【0034】
第1排水パイプ23は、第1管部材23aの軸方向中央部に第2管部材23bが直交するように接続したT字管によって形成され、第1管部材23aの内側にインレットパイプ21の流体流出側の端部21bが嵌着している。また、第1管部材23aと第2管部材23bとの接続部分に形成された接続開口23cが第1排水口21cと対向している。これにより、インレットパイプ21は、第1排水口21c及び接続開口23cを介して、第1排水パイプ23の第2管部材23bが連通する。
【0035】
また、インレットパイプ21に形成された第1排水口21cの内径寸法は、第1排水パイプ23の接続開口23cの内径寸法と同等に設定されている。そして、第2管部材23bは、インレットパイプ21の軸方向に対して、重力方向下方に向かって延在し、中間部に液体の流れ方向に沿って次第に縮径する縮径部23dを有している。これにより、先端開口23eの内径寸法が、接続開口23c及び第1排水口21cの内径寸法よりも小さくなっている。
【0036】
第2排水パイプ24は、第1管部材24aの軸方向中央部に第2管部材24bが直交するように接続したT字管によって形成され、第1管部材24aの内側をインレットパイプ21が貫通している。また、第1管部材24aと第2管部材24bとの接続部分に形成された接続開口24cが第2排水口21dに対向している。これにより、インレットパイプ21は、第2排水口21d及び接続開口24cを介して、第2排水パイプ24の第2管部材24bが連通する。
【0037】
また、インレットパイプ21に形成された第2排水口21dの内径寸法は、第2排水パイプ24の接続開口24cの内径寸法と同等に設定されている。そして、第2管部材24bは、インレットパイプ21の軸方向に対して、重力方向下方に向かって延在し、中間部に液体の流れ方向に沿って次第に縮径する縮径部24dを有している。これにより、先端開口24eの内径寸法が、接続開口24c及び第2排水口21dの内径寸法よりも小さくなっている。
【0038】
貯水タンク25は、第1排水パイプ23及び第2排水パイプ24の重力方向下方に設置されたタンク本体25aを有している。このタンク本体25aは、重量方向上部に形成された第1接続口25bが第1排水パイプ23の第2管部材23bの先端部23fに接続され、第2接続口25cが第2排水パイプ24の第2管部材24bの先端部24fに接続されている。そして、第2管部材23bの先端部23fに形成された先端開口23eが、第1接続口25bと連通し、第2管部材24bの先端部24fに形成された先端開口24eが、第2接続口25cと連通している。
また、このタンク本体25aの重力方向上部の側面には、バイパスパイプ26の第1端部26aが接続する通気口25dが形成されている。
なお、タンク本体25aの重量方向下部には、適宜開閉可能な排水開口(図示せず)が形成されている。タンク本体25a内に貯留された液体が一定量に達したら、排水開口を介して貯留した液体をタンク外へ放出することができる。
【0039】
バイパスパイプ26は、インナーパイプ22と貯水タンク25とを連通する両端が開放した管部材である。このバイパスパイプ26は、第1端部26aがタンク本体25aに形成された通気口25dに接続され、第2端部26bがインナーパイプ22に形成された通気口22cに接続されている。そして、タンク本体25aの内部空間は、バイパスパイプ26を介してインナーパイプ22の内部に連通している。
【0040】
[旋回流発生部材の詳細構成]
図4A~
図4Cは、実施例1の旋回流発生部材を示す図面である。以下、
図4A~
図4Cに基づき、実施例1の旋回流発生部材の詳細構成を説明する。
【0041】
旋回流発生部材30は、インレットパイプ21の第1領域27Aに配置され、このインレットパイプ21を流れる気液二相流体の流れ方向を規定して、旋回流にするものである。この旋回流発生部材30は、翼支持部31と、この翼支持部31の外周面31aに設けられた複数(ここでは四枚)の静翼32と、を備えている。
【0042】
翼支持部31は、インレットパイプ21の軸線Oに沿って延在すると共に、気液二相流体の流入側から流出側に向かって外形寸法が次第に拡径していく円錐形状を呈している。この翼支持部31の最大外径寸法R1は、インレットパイプ21の第1領域27Aの内径寸法D4よりも小さく設定されている。また、この実施例1では、翼支持部31の先端31bは、R面に形成されている。
【0043】
静翼32は、翼支持部31の外周面31aを螺旋状に取り巻き、インレットパイプ21の軸線Oに対して、延在方向が傾斜している。すなわち、この静翼32は、翼支持部31の先端31b側の端部位置32aと、翼支持部31の後端31c側の端部位置32bとを通る直線L1が、翼支持部31の軸線O´に対して傾斜している。しかも、この静翼32では、翼支持部31と静翼32との接触ラインL2が螺旋状に取り巻くように湾曲している。
なお、「先端31b」とは、翼支持部31の流体流入側の端部である。また、「後端31c」とは、翼支持部31の流体流出側の端部である。
【0044】
また、複数(四枚)の静翼32は、翼支持部31の周方向に一定の間隔を開けて設けられており、互いの対向面が平行になっている。
【0045】
さらに、この実施例1では、各静翼32の翼支持部31に対する取巻角度θ
3は、約60°に設定されている。この「取巻角度」とは、
図4Cに示すように、旋回流発生部材30を軸方向から見たときに、軸線O´から端部位置32aを通って径方向に延びる第1直線L3と、軸線O´から端部位置32bを通って径方向に延びる第2直線L4とのなす角である。これにより、旋回流発生部材30を軸方向から見たとき、翼支持部31の周方向に沿って、静翼32間に隙間βが生じる。
【0046】
そして、この旋回流発生部材30の最大外径寸法R2は、インレットパイプ21の第1領域27Aの内径寸法D4と同等に設定されている。これにより、旋回流発生部材30は、インレットパイプ21と同軸状態に設置されると共に、静翼32の径方向の先端が、インレットパイプ21の内周面21aに接触する。
【0047】
[パイプ冷却構造の詳細構成]
パイプ冷却構造40は、
図2に示すように、インレットパイプ21の外側を覆い、旋回流発生部材30が配置された部分を外部から冷却するものである。このパイプ冷却構造40は、冷却水循環用配管41と、第1冷却水管42と、第2冷却水管43と、を備えている。
【0048】
冷却水循環用配管41は、インレットパイプ21よりも内径寸法の大きい中空の円筒管である。この冷却水循環用配管41をインレットパイプ21が貫通することで、インレットパイプ21の一部は、周囲が冷却水循環用配管41によって覆われた二重管構造になる。これにより、インレットパイプ21と冷却水循環用配管41の間に、インレットパイプ21の外側を覆う空間であるパイプ冷却水循環空間41aが形成される。
なお、この冷却水循環用配管41は、インレットパイプ21のうち、第1排水口21cと第2排水口21dとの間であって、旋回流発生部材30が配置されている範囲を含む部分を外側から覆っている。
【0049】
第1冷却水管42は、パイプ冷却水循環空間41aへ流れ込む冷却水(冷媒)が流れる配管であり、一端42aが冷却水循環用配管41に形成された第1開口部41bに接続され、他端(不図示)が図示しないカーエアコンの冷凍サイクルのエキスパンションバルブとエバポレータの間に接続されている。ここで、第1開口部41bは、パイプ冷却水循環空間41aを半径方向に開放する開口であり、冷却水循環用配管41の周面に円形の穴を開けることで形成されている。この第1開口部41bは、
図2に示すように、旋回流発生部材30よりも流体流入側であって、重力方向の上部に形成されている。
【0050】
第2冷却水管43は、パイプ冷却水循環空間41aから排出された冷却水(冷媒)が流れる配管であり、一端43aが冷却水循環用配管41に形成された第2開口部41cに接続され、他端(不図示)が図示しないカーエアコンの冷凍サイクルのエバポレータとコンプレッサの間に接続されている。ここで、第2開口部41cは、パイプ冷却水循環空間41aを半径方向に開放する開口であり、冷却水循環用配管41の周面に円形の穴を開けることで形成されている。この第2開口部41cは、
図2に示すように、旋回流発生部材30よりも流体流出側であって、重力方向の下部に形成されている。
【0051】
なお、第1開口部41b及び第2開口部41cを形成する位置は、
図1に示す位置に限らず、任意の位置に形成してもよい。つまり、第1開口部41bを、旋回流発生部材30よりも流体流出側に形成し、第2開口部41cを、旋回流発生部材30よりも流体流入側に形成してもよい。また、冷却水は、水圧が加わって循環するため、第1,第2開口部41b,41cの開放方向は、必ずしも重力方向に沿っていなくてもよい。
【0052】
次に、実施例1の気液分離装置20の作用を、「気液分離作用」、「液体の捕集作用」、「液体の凝集促進作用」、「液体の蒸発促進作用」、「第2段差面の液滴保持作用」に分けて説明する。
【0053】
[気液分離作用]
図5は、実施例1の気液分離装置における気液二相流体及び分離した気体・液体の流れを示す全体説明図である。以下、
図5に基づき、実施例1の気液分離作用を説明する。
【0054】
図1に示す排気還流システムSでは、吸気口2aから取り入れた外気と、低圧EGR通路11を介して排気通路3から取り入れた排気とが、流速1m/s~100m/sの速さでターボ過給機5のコンプレッサ5aへと流れ込む。このとき、外気や排気には水分が含まれており、この気体をEGRクーラ13にて冷却することで水分が凝縮して凝縮水として微粒子状の液体になり、空気等の気体に液体が混ざり合った気液二相流体になる。
【0055】
実施例1の気液分離装置20では、
図5に示すように、インレットパイプ21に流入した気液二相流体が、旋回流発生部材30が設置された第1領域27Aを通過する際、この旋回流発生部材30に沿って流れることで旋回させられて旋回流になる。そして、この旋回流によって発生した遠心力により、質量の大きい液体は、インレットパイプ21の内周面21aに向かって誘導される。
【0056】
インレットパイプ21の内周面21aへ向かって誘導された液体は、凝集して液滴となり、気体から分離される。この気体から分離された液体は、内周面21aに付着したまま、旋回流の流れによって第2領域27Bから第3領域27Cへと流れていく。
そして、第3領域27Cに流れ込んだ液体は、この第3領域27Cに形成された第1排水口21cへと流れ込み、第1排水パイプ23の接続開口23cを介して第2管部材23bへと流れ込んで、この第2管部材23bを流下する。その後、先端開口23eからタンク本体25aに流れて貯留される。
【0057】
このとき、第1排水口21cが重力方向の下方に開放すると共に、第1排水パイプ23の第2管部材23bが重力方向に沿って延在されているので、第3領域27Cに流れ込んだ液体は、自重により第1排水口21cから第2管部材23bへと流下する。また、インレットパイプ21の第3領域27Cの内径寸法よりも、インナーパイプ22の外径寸法が小さくなっているため、インレットパイプ21の内周面21aに付着した液体がインナーパイプ22内に入り込むことが防止される。つまり、第3領域27C内に流れ込んだ液体は、インレットパイプ21とインナーパイプ22との間に入りこみ、インナーパイプ22への流入が防止される。さらに、インレットパイプ21にインナーパイプ22が挿入されているので、配管径の拡大を抑制することができ、気液分離装置20の設置に必要なスペースを抑制することができる。
【0058】
そして、この実施例1では、インナーパイプ22と貯水タンク25とがバイパスパイプ26を介して連通している。そのため、インナーパイプ22を流れる気流により、貯水タンク25の内部を負圧にすることができ、第1排水パイプ23を流下する液体の流れを円滑にすることができる。
【0059】
また、インレットパイプ21を流れる気体は、軸方向に開放した開口22bからインナーパイプ22へと流れ込む。このとき、気体からは、気液二相流体の流れ方向の下流へ行くほど液体が分離していく。そして、気体は、インナーパイプ22を介してターボ過給機5のコンプレッサ5aへと流れていく。
ここで、インレットパイプ21の流体流出側の端部21bには、インナーパイプ22との間に生じる間隙αを封鎖するスペーサー28が嵌合されている。そのため、インレットパイプ21とインナーパイプ22との間から気体が漏れ出ることを防止し、気液二相流体から分離した気体を円滑にインナーパイプ22へと流入させることができる。
【0060】
そして、この実施例1では、旋回流発生部材30が、インレットパイプ21と同軸状態に設置された翼支持部31を有し、この翼支持部31が、インレットパイプ21の軸線Oに沿って延在すると共に、気液二相流体の流入側から流出側に向かって次第に拡径する円錐形状を呈している。
【0061】
そのため、インレットパイプ21の軸芯付近を流れる気液二相流体は、この翼支持部31の外周面31aに沿って流れることで、インレットパイプ21の内周面21aに向かって強制的に移動させられる。これにより、気液二相流体がインレットパイプ21の軸芯付近を流れることを防止でき、インレットパイプ21を流れる気液二相流体が低流量であっても、この気液二相流体に含まれる液体を凝集して、液滴化を促進することができる。
【0062】
さらに、旋回流発生部材30の静翼32は、インレットパイプ21の軸線Oに対して傾斜しながらこの外周面31aを取り巻いており、気液二相流体の流れ方向に対して角度を有している。そのため、気液二相流体の流れ方向をインレットパイプ21の軸線Oに対して傾斜させ、旋回流にすることができる。しかも、このとき気液二相流体に含まれる液体が静翼32に衝突し、凝集させることができて、さらに液体の液滴化を促進することができる。
【0063】
また、この旋回流発生部材30は、円錐形状の翼支持部31の外周面31aに静翼32を設けた構成であるため、例えば、板部材を螺旋状にねじることで形成された旋回流発生リボンと比べて、軸方向寸法の短縮化を図ることができる。これにより、旋回流発生部材30が配置される第1領域27Aの長さを抑制し、気液分離装置20の小型化を図ることができる。
【0064】
さらに、気液二相流体を旋回させる際の旋回量や通気抵抗は、翼支持部31の外周面31aの形状や、静翼32の数、静翼32の翼支持部31に対する取巻角度θ3等調整することで、任意に設定可能である。つまり、例えば、取巻角度θ3が大きいほど、気液二相流体が静翼32に衝突する際の衝突面積を増大させ、気液二相流体の流路を屈曲して旋回量を向上させることができる。一方、取巻角度θ3が小さいほど、静翼32の端部位置32aと端部位置32bを通る直線L1が、軸線Oに対して平行に近づいていく。そのため、気液二相流体が円滑に流れることができ、通気抵抗を抑制することができる。また、翼支持部31の外周面31aが平坦面であったり、湾曲面であったりすることで、気液二相流体を旋回させる際の旋回量や通気抵抗が変化する。
そのため、旋回流発生部材30の形状調整によって、インレットパイプ21を流れる気液二相流体の旋回量や通気抵抗を容易且つ適切にコントロールすることが可能になる。
【0065】
また、この実施例1では、静翼32が、翼支持部31の周方向に沿って複数設けられ、一定間隔で平行に並んでいる。そのため、インレットパイプ21を流れる気液二相流体の旋回量や通気抵抗をさらに適切にコントロールすることができる。
【0066】
そして、この実施例1では、インレットパイプ21の内周面21aに、気液二相流体の流れ方向に沿って徐々に内径寸法を大きくするテーパ面21eが形成された第2領域27Bを有している。一方、この第2領域27Bの流体流入側の端部と、旋回流発生部材30の流体流出側の端部の位置とが近接している。
そのため、旋回流発生部材30の翼支持部31の後端31cまで流れた液体は、テーパ面21eの内側に速やかに流れ出ることができる。これにより、翼支持部31の外周面31aや静翼32に沿って内周面21aに向けて誘導された液体を、第1排水口21cへと円滑に排出することができ、液体の誘導・分離をさらに促進することができる。
【0067】
[液体の捕集作用]
実施例1の気液分離装置20では、インレットパイプ21が、第1排水口21cに加え、旋回流発生部材30よりも流体流入側に形成された第2排水口21dを有している。
【0068】
そのため、気液二相流体に含まれている液体が比較的多く、気液二相流体を旋回させて気体から分離していなくても、すでにある程度の大きさの液滴になり、自重で重力方向の下方へと流下可能な液体は、旋回流発生部材30に沿って流れる前に、自重により第2排水口21dからインレットパイプ21の外部へと排出される。そして、この第2排水口21dに接続された第2排水パイプ24を介して、貯水タンク25内へと流れて貯留される。
【0069】
すなわち、この実施例1の気液分離装置20では、気液二相流体に含まれる液体のうち、この気液二相流体を旋回させなくても自重で重力方向下方に流下可能な液体を、気液二相流体を旋回させる前に予め捕集することができる。これにより、気液二相流体を旋回させる際、液体の含有量を低減させて、液体の分離率の向上を図ることができる。
【0070】
また、旋回流によってインレットパイプ21の内周面21aに向かって誘導されつつ液滴化した液体は、第3領域27Cへと流れたら、自重により第1排水口21cを通って第1排水パイプ23へと流れ込む。そして、この第1排水パイプ23を流下して貯水タンク25に捕集される。しかしながら、自重で落下することができない小さい液滴は、インナーパイプ22の外周面22fに付着したまま、インレットパイプ21内に留まることがある。
【0071】
一方、気液二相流体に含まれる気体の一部は、インナーパイプ22の中へ流れ込まず、インレットパイプ21とインナーパイプ22との間に入り込む。しかし、インレットパイプ21とインナーパイプ22の間に流れ込んだ気体は、スペーサー28によって流れが阻止されて抜けていくことができない。そのため、この気体は、インレットパイプ21の内周面21aに沿った旋回流となって流れるものの、スペーサー28に衝突することで、インナーパイプ22の外周面22fに沿って逆流し、インナーパイプ22の開口22bへ向かう。
【0072】
これにより、自重によって落下できずにインナーパイプ22の外周面22fに付着した一部の液滴は、インナーパイプ22の開口22bへ向かう気体によって、開口22bに向かって移動することがある。
【0073】
これに対し、実施例1の気液分離装置20では、インレットパイプ21に差し込まれた部分であって、第1排水口21cに対向した位置のインナーパイプ22の外周面22fに、周方向に延びた突出部22gが形成されている。
【0074】
そのため、
図6に示すように、スペーサー28に衝突してからインナーパイプ22の外周面22fに沿って開口22bへと向かう気体によって、インナーパイプ22の外周面22fに付着した状態で開口22bに向かって移動させられた液滴Wは、突出部22gによって堰き止められる。そして、この液滴Wは、突出部22gによって堰き止められることで集合し、質量が大きくなると自重によって落下して、第1排水口21cから第1排水パイプ23へと流下する。
【0075】
これにより、インナーパイプ22の外周面22fに付着した一部の液滴が、気体と共にインナーパイプ22の開口22bに向かっても、インナーパイプ22内に流れ込むことを防止でき、適切に捕集して、インナーパイプ22を流れる気体に液滴化した液体が混じることを防止できる。
【0076】
[液体の凝集促進作用]
インレットパイプ21を流れる気液二相流体は、所定の流速で旋回流発生部材30に沿って流れることで旋回流となる。しかしながら、気液二相流体の流速が低い場合には、旋回流の流速も遅くなり、発生する遠心力が弱くなる。このような場合では、液体がインレットパイプ21の内周面21aへ誘導されにくく、液体の凝集が促進されずに、気体からの液体の分離を十分に行うことができないことがある。
【0077】
これに対し、実施例1の気液分離装置20では、パイプ冷却構造40を有しており、インレットパイプ21が冷却水循環用配管41を貫通し、このインレットパイプ21と冷却水循環用配管41との間にパイプ冷却水循環空間41aが形成されている。そして、このパイプ冷却水循環空間41aには、図示しないカーエアコンの冷凍サイクルに接続された第1,第2冷却水管42,43が接続されている。
【0078】
そのため、冷凍サイクル内を冷却水が循環すれば、エキスパンションバルブから排出されて低温・低圧の霧状になった冷却水の一部は、第1冷却水管42を介してパイプ冷却水循環空間41aへと流れ込む。
このパイプ冷却水循環空間41aに流れ込んだ冷却水は、インレットパイプ21の軸方向に流れ、第2開口部41cから流れ出て、第2冷却水管43を介して冷凍サイクルに戻る。
【0079】
ここで、低温・低圧の霧状になった冷却水は、パイプ冷却水循環空間41aを流れている間に周囲の熱を奪って気化していく。そのため、インレットパイプ21及び冷却水循環用配管41が冷却される。
【0080】
一方、インレットパイプ21の内部には、気液二相流体が流れている。そのため、この気液二相流体がインレットパイプ21の内周面21aに接触すると、気液二相流体の熱がインレットパイプ21に伝わり、熱が奪われて冷却される。これにより、気液二相流体の温度が低下して、この気液二相流体に含まれる液体の液滴化を促進することができる。また、液滴化が促進されることで、発生する液滴の重量が重くなり、旋回流による遠心力が弱くても、液体をインレットパイプ21の内周面21aへと誘導することができる。この結果、気液二相流体からの液体の分離率を向上させることができる。
【0081】
[液体の蒸発促進作用]
実施例1の気液分離装置20において、液体が分離された気体は、旋回流の状態を維持したままインナーパイプ22内へ流れ込み、図示しないターボ過給機5へ供給される。しかしながら、気体から分離しきれなかった液体が存在すると、この分離しきれなかった液体は、気体と共にインナーパイプ22内に流れ込むことがある。
【0082】
このとき、気体と共にインナーパイプ22に流れ込んだ液体が、ある程度の質量を有する液滴となっている場合には、下流へと流れていくと、ターボ過給機5のコンプレッサ5aの回転翼等に衝突し、衝撃を与えることがある。
【0083】
これに対し、実施例1の気液分離装置20では、インナーパイプ22の内周面22dに、第1段差面51と、第2段差面52と、底面53と、を有する複数(ここでは二つ)の環状溝部22eが形成されている。
【0084】
そのため、インナーパイプ22に流れ込んだ液体は、このインナーパイプ22内を旋回しながら流れる気体によって内周面22dへと誘導されて凝集し、液滴化した状態で内周面22dに付着したまま流れたとき、環状溝部22eの中に入り込む。
【0085】
このとき、環状溝部22eの中では、
図7に示すように、この環状溝部22eに気体が流れ込むことで乱流が発生し、気液二相流体の流れ方向の上流側に位置する第1段差面51に沿って圧力の低い負圧領域Fが発生する。そのため、気体と共に環状溝部22e内に流れ込んだ液滴Wは、負圧領域Fに引っ張られ、第1段差面51に向かって引き寄せられる。これにより、液滴Wが第1段差面51の近傍位置、つまり環状溝部22e内に留まることになる。
【0086】
一方、この環状溝部22eの底面53は、インナーパイプ22の周方向に延びている。そのため、旋回流となった気体は、この環状溝部22eの内部を底面53に沿って周方向に流れる。また、環状溝部22e内に留まった液滴Wも、旋回流になった気体と共に環状溝部22eの内部を底面53に沿って流れる。つまり、気体及び液滴Wは、この環状溝部22e内を底面53に沿って旋回する。そして、液滴Wは、この底面53に沿った旋回を続けることで蒸発していく。
【0087】
そして、インナーパイプ22に流れ込んだ液滴Wが、第1段差面51に引き寄せられた状態で、環状溝部22e内で旋回して蒸発することにより、この液滴Wが気体と共にインナーパイプ22を流下することを防止できる。
【0088】
このように、液滴化して気体から分離した液体(液滴W)は、第1段差面51に引き寄せられた状態で、環状溝部22e内で旋回して蒸発するため、この液滴Wが環状溝部22eよりも流体流出側へと流れることが防止できる。
【0089】
特に、この実施例1では、環状溝部22eが、インナーパイプ22の内周面22dに複数(二つ)形成されている。このため、液滴Wを環状溝部22e内に留まらせて蒸発させる機会が複数回(二回)ある。これにより、より多くの液体を気化させることができ、液滴の気化率の向上を図ることができる。
【0090】
さらに、この実施例1の気液分離装置20では、
図5に示すように、インレットパイプ21から突出した部分のインナーパイプ22の外周面22fが加熱用電熱シート22hによって覆われている。そのため、この加熱用電熱シート22hをON操作して発熱させることで、インナーパイプ22の外周面22fを加熱することができる。
【0091】
これにより、インレットパイプ21から突出した部分のインナーパイプ22内の温度を上昇させ、インナーパイプ22に気体と共に流れ込んだ液体の蒸発を促進することができる。この結果、インナーパイプ22内に流れ込んだ液滴を蒸発させて気化させることができ、液滴のままの液体が気体と共に流下することをさらに防止して、液滴の気化率の向上を図ることができる。
【0092】
なお、この実施例1では、インナーパイプ22の内周面22dのうち、インレットパイプ21から突出して加熱用電熱シート22hによって覆われた部分に、第1段差面51を有する環状溝部22eが形成されている。そのため、インナーパイプ22のうち、この環状溝部22eが形成された部分の外周面22fが加熱用電熱シート22hによって加熱される。
【0093】
これにより、環状溝部22eの第1段差面51の近傍位置に留まっている液滴の蒸発を促進することができ、インナーパイプ22内に流れ込んだ液滴の蒸発を効率的に行うことができる。
【0094】
[第2段差面の液滴保持作用]
実施例1では、インナーパイプ22に形成された環状溝部22eが、第1段差面51よりも流体流出側に位置し、この流体流出側に向かってインナーパイプ22の内径寸法を段状に小さくする第2段差面52を有している。
【0095】
そのため、
図7に示すように、環状溝部22eに入り込んだ液滴Wが、旋回流によって流体流出側へと移動して第1段差面51から離れても、第2段差面52によって移動が阻止され、環状溝部22e内に留まらせることができる。
すなわち、第2段差面52により、環状溝部22eよりも下流側へ液滴Wが流れてしまうことを防止することができる。そのため、この液滴Wを環状溝部22eの内部に留まらせて蒸発させ、液滴Wのままでの液体の流下を抑制することができる。
【0096】
以上、本発明の気液分離装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加などは許容される。
【0097】
実施例1では、旋回流発生部材30の静翼32を四枚設けた例を示したが、これに限定されない。静翼32は、一枚以上あればよい。また、静翼32の翼支持部31に対する取巻角度θ
3も任意に設定することができ、
図8に示すように、この取巻角度θ
3を、旋回流発生部材30を軸方向から見たときに、翼支持部31の周方向に沿って静翼32間に隙間が生じない角度に設定してもよい。
【0098】
また、翼支持部31の外周面31aの軸方向寸法Lや、最大外径寸法R1、先端31bの曲率等は任意に設定することができる。また、外周面31aの形状についても実施例1に限定されず、例えば平坦面(
図9A参照)や、凸湾曲面(
図9B参照)、凹湾曲面(
図9C参照)等に任意に設定することができる。
さらに、静翼32の断面形状においても、任意に設定することができ、例えば、断面が長方形の静翼や、断面がしずく型の静翼であってもよい。
【0099】
また、実施例1では、インレットパイプ21に第1排水口21c及び第2排水口21dを形成した例を示したが、これに限らない。例えば、
図10に示す気液分離装置20Aのように、インレットパイプ21の流体流入側の端部21fを、インレットパイプ21よりも内径寸法が大きい流体流入管50の流体流出口の端部50aに差し込んでもよい。
【0100】
このとき、インレットパイプ21の端部21fには、軸方向Oに沿って開放する開口21gが形成されている。
【0101】
また、流体流入管50の端部50aには、内径拡大部50bと、排水口50cと、が形成されている。ここで、内径拡大部50bは、流体流入管50の端部50aの内径寸法を通常領域よりも拡大した領域である。また、排水口50cは、内径拡大部50bの周面に形成された開口であり、流体流入管50の半径方向であって重力方向の下方に開放している。
さらに、内径拡大部50bと流体流入管50の通常領域との境界位置には、流体流入管50の内径寸法を徐々に大きくする傾斜面からなるテーパ面50dが形成されている。また、排水口50cには、先端が貯水タンク25に連通した第2排水パイプ24が取り付けられている。一方、インレットパイプ21の端部21fは、内径拡大部50bの内側に差し込まれ、排水口50cの上方に突出している。
【0102】
この
図10に示す気液分離装置20Aでは、流体流入管50から気液二相流体が流れ込み、インレットパイプ21内で旋回流となる。このとき、気液二相流体に含まれている液体のうち、自重で重力方向の下方へと流下可能な液体は、インレットパイプ21に流れ込む前に、自重により排水口50cから流体流出管50の外部へと排出される。これにより、インレットパイプ22内で旋回する気液二相流体に含まれる液体を低減させて、液体の分離率の向上を図ることができる。
【0103】
また、この気液分離装置20Aでは、流体流出管50の内径寸法D5が、インレットパイプ21の内径寸法D4よりも大きくなるように設定されている。そのため、気液二相流体の流速を、流体流入管50よりもインレットパイプ21内で高めることができる。これにより、インレットパイプ21内での気液二相流体の旋回力を向上することができる。
【0104】
さらに、内径拡大部50bと流体流入管50の通常領域との境界位置にテーパ面50dが形成されていることで、流体流出管50の内周面に沿って流れていた液滴を、管路中心から外側に向けて吹き飛ばすことができる。そのため、流体流入管50に差し込まれたインレットパイプ21内に液滴が入りにくくすることができる。
【0105】
また、この実施例1では、インレットパイプ21の内周面21aにテーパ面21eを形成した例を示した。しかしながら、テーパ面21eは形成していなくてもよい。この場合であっても、気液二相流体から分離した液体は、旋回流の流れによって第1排水口21cに流れ込むことができる。
【0106】
また、実施例1では、第1排水口21cに接続された第1排水パイプ23及び第2排水口21d(上流排水口)に接続された第2排水パイプ24を貯水タンク25に接続した例を示したが、第1排水パイプ23第2排水パイプ24、貯水タンク25は、必ずしも設置しなくてもよい。つまり、インレットパイプ21内から排出された液体を貯留することなく外部へと排出してもよい。また、貯水タンクも数も一つに限らず、排水パイプごとに設定してもよいし、一部の排水パイプだけを貯水タンクに接続してもよい。すなわち、貯水タンクは任意に設置可能である。さらに、第2排水口21dやバイパスパイプ26は、必ずしも形成されていなくてよい。
【0107】
また、実施例1では、スペーサー28をインレットパイプ21及びインナーパイプ22とは別体にした例を示したが、これに限らない。スペーサー28をインレットパイプ21の内周面21aに一体に設けたり、インナーパイプ22の外周面22fに一体に設けたりしてもよい。
【0108】
そして、実施例1の気液分離装置20では、パイプ冷却構造40において、カーエアコンの冷媒を冷却水として利用する例を示したが、例えばエンジン冷却水(LLC:Long Life Coolant)を利用してもよい。また、冷却水の流れ方向は、実施例1とは逆の向きであってもよい。
【0109】
また、実施例1の気液分離装置20では、インナーパイプ22の内周面22dに形成した環状溝部22eが、第1段差面51及び第2段差面52を有する例を示した。しかしながら、これに限らず、インナーパイプ22の内周面22dに、流体流出側に向かってインナーパイプ22の内径寸法を段状に大きくする第1段差面51のみを形成してもよい。
この場合であっても、第1段差面51に沿って負圧領域が発生し、この第1段差面51の近傍位置に液滴化した液体を留まらせて周方向に旋回させ、蒸発させることができる。
【0110】
さらに、このように、第1段差面のみを形成する場合において、この第1段差面を気液二相流体の流れ方向に沿って複数形成してもよい。つまり、インナーパイプ22の内径寸法を、階段状に複数回大きくしてもよい。
この場合には、複数の第1段差面のそれぞれの近傍位置に液滴化した液体を留まらせて、蒸発させることができるため、複数回に分けて液滴を蒸発させることが可能となり、液滴の気化率を向上させることができる。
【0111】
また、実施例1では、インナーパイプ22に形成された第1段差面51と、この第1段差面51よりも流体流入側のインナーパイプ内周面221dとでなす角θ1が90°に設定する例を示した。しかし、この角θ1は、第1段差面51に沿って等負圧領域Fが形成できる角度であればよい。つまり、この角θ1は、具体的には90°以下の鋭角に設定されればよい。
【0112】
さらに、実施例1の気液分離装置20では、インナーパイプ22に形成された第2段差面52と、第2段差面52よりも流体流出側のインナーパイプ内周面222dとでなす角θ2が90°に設定されている例を示した。しかし、この角θ2は、第2段差面52に沿って環状溝部22e内の液滴の下流側への移動を阻止できる角度であればよい。つまり、この角θ2は、具体的には90°以下の鋭角に設定されればよい。
【0113】
さらに、この実施例1では、インナーパイプ22の内周面22dに形成された環状溝部22eと、インナーパイプ22の外周面22fに形成された突出部22gとの軸方向の位置が一致している例を示した。これにより、インナーパイプ22の内周面22dをへこませた位置を外方に突出させることで、環状溝部22eと突出部22gとを同時に形成することが可能になると共に、環状溝部22eを形成したことによるインナーパイプ22の厚みの低下を抑制することができる。
しかしながら、これに限らず、環状溝部22eと突出部22gとの軸方向位置は、軸線Oに沿ってずれていてもよい。
【0114】
さらに、この実施例1では、インナーパイプ22の外周面22fを加熱する加熱手段として、可撓性を有する加熱用電熱シート22hを用いる例を示したが、これに限らない。インレットパイプ21から突出した部分のインナーパイプ22を加熱することができればよいので、例えば、インナーパイプを二重管構造にし、二重になった管の間に高温の排気ガスを循環させて配管を加熱してもよい。つまり、加熱手段としては、排気ガスの循環構造を用いてもよい。
【0115】
また、実施例1の気液分離装置20は、排気還流システムSの中でも、低圧EGR弁14の下流位置であって、ターボ過給機5のコンプレッサ5aの上流位置(
図1において一点鎖線Xで囲む位置)に設置する例を示したが、これに限らない。排気還流システムSの中で凝縮水が発生する位置に設置することができるため、インタークーラー6の下流位置であって、内燃機関1の気筒給気口の上流側(
図1において一点鎖線Yで囲む位置)に設置してもよい。
【0116】
また、この実施例1では、重力方向に対して気液二相流体の流れ方向が水平になるような、いわゆる横置き方向に気液分離装置20を設置する例を示した。しかしながら、本発明の気液分離装置20の設置方向はこれに限らず、排気還流システムS内でのレイアウト等の影響により、設置方向を適宜設定してもよい。
【0117】
さらに、実施例1では、内燃機関1が車両に搭載されるディーゼルエンジンである例を示したが、これに限らず、内燃機関1はガソリンエンジンであっても適用可能である。
【0118】
そして、実施例1では、気液分離装置20を、内燃機関1の排気還流システムSに適用した例を示した。しかしながら、これに限らず、例えば冷凍サイクル装置に適用し、気体冷媒と液体冷媒とを分離するようにしてもよい。つまり、本発明の気液分離装置は、気液二相流体から気体と液体を分離する装置に適用することができる。
【0119】
さらに、各配管(インレットパイプ等)の形状、接続箇所、径の寸法等についても、実施例1に示すものに限らず、任意に設定することが可能である。
【符号の説明】
【0120】
20 気液分離装置
21 インレットパイプ
21a 内周面
21c 第1排水口(排水口)
21d 第2排水口(上流排水口)
21e テーパ面
22 インナーパイプ
22b 開口
22c 通気口
22d 内周面
22e 環状溝部
22f 外周面
22g 突出部
22h 加熱用電熱シート(加熱構造)
23 第1排水パイプ
24 第2排水パイプ
25 貯留タンク
26 バイパスパイプ
30 旋回流発生部材
31 翼支持部
31a 外周面
32 静翼
40 パイプ冷却構造