(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】熱成形を含めガラス管半製品を後処理する方法
(51)【国際特許分類】
C03B 23/04 20060101AFI20220624BHJP
B65D 23/00 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
C03B23/04
B65D23/00 H
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017236218
(22)【出願日】2017-12-08
【審査請求日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】10 2016 123 865.1
(32)【優先日】2016-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ヴィッツマン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヴィアト
(72)【発明者】
【氏名】ウラ トリンクス
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-19578(JP,A)
【文献】特開2011-70214(JP,A)
【文献】特開2009-132572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B23/00-23/26
C03B33/00-33/14
B23K26/00-26/70
C03C23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に実施される熱成形を含め、複数のガラス管半製品(1)を後処理する方法であって、前記方法は、
複数のガラス管半製品(1)を準備し、前記複数のガラス管半製品のガラス管半製品ごとに管固有のデータを供給するステップと、
個々のガラス管半製品(1)に関する前記管固有のデータ(2~5;30~31)を読み出すステップと、
少なくとも部分的に実施される熱成形を含め、前記複数のガラス管半製品(1)を後処理するステップと、
を有しており、
少なくとも部分的に実施される熱成形を含め、前記複数のガラス管半製品の個々のガラス管半製品(1)を後処理する際に、前記個々のガラス管半製品(1)に関する前記管固有のデータ(2~5;30~31)に応じて、少なくとも1つのプロセスパラメータを制御し、
前記個々のガラス管半製品(1)には、少なくとも1つのマーキング(3;4)が付されており、前記マーキングに基づき、前記個々のガラス管半製品に関する前記管固有のデータを読み出し、
前記ガラス管半製品(1)の長手方向(z)において予め定められた長さ(l)を有する、前記ガラス管半製品(1)の複数のサブセクションに関してそれぞれ、前記管固有のデータを供給する、
方法。
【請求項2】
前記管固有のデータは、前記ガラス管半製品の幾何学的寸法に関連し、特に前記ガラス管半製品に関する以下の測定量すなわち、
内径;外径;壁厚;曲率半径;内径の楕円率;外径の楕円率;以下の測定量すなわち内径、外径、壁厚、曲率半径、内径の楕円率および外径の楕円率のうち少なくとも1つの測定量の変動、
のうち少なくとも1つの測定量を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記管固有のデータは、前記ガラス管半製品の品質に関する情報を含み、特に前記ガラス管半製品に関する以下の情報すなわち、
前記ガラス管半製品の管成形に用いられたガラス溶融物の組成、前記ガラス管半製品の管成形に用いられたガラス溶融物の均質性、前記ガラス管半製品の管成形に用いられたガラス溶融物を製造および処理するためのプロセスパラメータ、前記ガラス管半製品の壁中の混入物ただし気泡、結節、結晶領域等を含む、
のうち少なくとも1つの情報を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのマーキングは、管識別情報(4)を含み、前記管識別情報(4)に基づき、前記ガラス管半製品に関する前記管固有のデータを、データ記憶装置またはデータベース(12)から読み出す、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記ガラス管半製品に関する前記管固有のデータは、前記ガラス管半製品における別のマーキング(2)に含まれており、または、前記ガラス管半製品における前記少なくとも1つのマーキング(3;4)の少なくとも1つの別のマーキングセクション(5)に含まれている、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのマーキング(3;4)は、以下の方法すなわち、
前記管固有のデータまたは前記管固有のデータへのデータリンクをコーディングするバーコードまたはマトリックスコードマーキングを付与する、特に印刷する、
前記管固有のデータまたは前記管固有のデータへのデータリンクをコーディングする接着ラベルを接着する、
前記管固有のデータまたは前記管固有のデータへのデータリンクをコーディングするRFIDタグを前記ガラス管半製品に取り付ける、
のうち1つの方法によって付与されている、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのマーキング(3;4)を、レーザビームと前記ガラス管半製品のガラスとの相互作用によって形成する、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのマーキング(3;4)を、前記ガラス管半製品のガラスの転移温度よりも高い温度において、レーザビームと前記ガラスとの相互作用により前記ガラス管半製品の壁中に形成し、特にディジタルマトリックスコード(DMC)として形成する、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記ガラス管半製品(1)に関する前記管固有のデータ(2~5;30~31)を読み出すために、前記少なくとも1つのマーキング(3;4)を光学的に無接触で読み出す、
請求項6記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのガラス管半製品を後処理の前に測定して評価し、
測定された量および評価データを、前記少なくとも1つのガラス管半製品に関する前記管固有のデータと比較して、偏差情報を求め、
求められた前記偏差情報を考慮しながら、前記個々のガラス管半製品に関する前記管固有のデータ(2~5;30~31)に応じて、少なくとも部分的に実施される熱成形を含め複数のガラス管半製品を後処理する際に用いられる前記少なくとも1つのプロセスパラメータを制御する、
請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記ガラス管半製品(1)の後処理は、
前記ガラス管半製品の1つのセクションを局所的に加熱するステップと、
局所的に加熱された前記セクションの領域において前記ガラス管半製品から分離することにより、1つの容器を前記容器の底部を形成しながら分離するステップと、
を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記ガラス管半製品から前記容器を分離する前記ステップにおいて、前記容器のネック部を予備成形し、前記容器を保持装置により逆さまの状態で受け取り、ガラス管壁の圧潰により前記容器の底部を前記ガラス管半製品から徐々に形成する、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記容器の底部をさらに処理するステップを含み、前記ステップは、
前記容器の底部を大雑把に成形するために、前記底部を少なくとも1つのバーナにより処理するステップと、
前記底部を平坦に成形するために、前記底部を少なくとも1つのバーナによりさらに処理するステップと、
前記底部を最終的に成形するために、ガス圧を用いながら、特に0.5~3.0barの範囲のガス圧を用いながら、前記底部を金型に押し込むステップと、
前記底部を冷却するステップと、
のうち少なくとも1つのステップを含む、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記ガラス管半製品(1)の後処理はさらに、前記ガラス管半製品に関する前記管固有のデータに基づき、前記ガラス管半製品の後処理が目下のプロセスパラメータでは不可能である、と判定された場合に、ガラス管半製品を選別除去または一時的に中間貯蔵するステップを含む、
請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記ガラス管半製品を、一時的に中間貯蔵した後、前記ガラス管半製品に関する前記管固有のデータに基づき求められた変更されたプロセスパラメータを用いて、後処理する、
請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記容器は、薬用、医用または化粧用の物質を収容する容器であり、特にバイアル、カートリッジまたはシリンジである、
請求項11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年12月8日出願の独国特許出願第102016123865.1号「熱成形を含めガラス管半製品を後処理する方法」の優先権を主張するものである。この文献をここで参照したことにより、その内容全体が本願に取り込まれるものとする。
【0002】
本発明は一般的には、ガラス管を後処理して最終製品特に中空ガラス製品を形成することに関し、特に、熱成形を含めガラス管を後処理して、最終製品もしくは中空ガラス製品を、特に狭い許容誤差範囲内に抑えられた最終製品を、形成することに関する。かかる最終製品とはたとえば、薬用物質、医用物質を保管する容器または化粧用物質も保管する容器であり、たとえばバイアル、カートリッジまたはシリンジなどである。
【背景技術】
【0003】
ガラス管の後処理にあたり最終製品の最適な品質を保証するためには、後処理施設のプロセスパラメータを、個々のガラス管の特性に合わせてできるかぎり適切に設定しなければならない。このことは、狭い許容誤差範囲内に抑えられた最終製品を製造するには特に難しく煩雑である。
【0004】
かかる最終製品の品質を高める目的で従来技術によれば、後処理する企業において適切な測定装置を用いて、ガラス管の関連特性が求められる。そのようにして初めて、関連プロセスパラメータを相応に設定することができる。これによってガラス管の後処理が遅滞するだけでなく、後処理に手間とコストもかかってしまう。
【0005】
従来技術によれば、ガラス管半製品をマーキングおよびコーディングするための様々な方法が知られている。ただしそれらの方法は、後処理する企業が関連データを直接入手可能であり引き続きそのまま利用可能であるように、ガラス管半製品の特性をコーディングするために用いられるものではない。
【0006】
従来技術によれば、ガラスをマーキングまたはコーディングするために、マーキングまたは同等のものをガラス材料にじかに書き入れるようにした方法が公知である。かかる方法はたとえば、本出願人による米国特許出願公開第20030029849号明細書(US 2003 0029849 A1)、独国特許出願公開第10234002号明細書(DE 102 34 002 A1)および国際公開第2012028611号(WO 2012 028611 A1)に開示されており、ここでこれらの文献を参照したことにより、これらの開示内容が本願に明示的に取り込まれるものとする。これによれば表面にマーキングを付与するために、ガラスに対し部分的にレーザパルスが印加される。このマーキングは極めて見やすく、特にマーキングにより及ぼされるレンズ作用によって確実に読み取ることができ、高温での製造中にすでに、応力を生じさせることなく付与することができ、したがってガラス管半製品の製造中つまり本来の管成形中にすでに、マーキングを付与するのに適している。この方法の格別な利点は、ガラスの転移温度よりも高い温度でマーキングを付与することができ、本来の管成形後、ガラス管ストランドの温度をそのような高温まで再び上昇させなくてもよい、ということである。この方法によれば製品侵害防止のためのマーキングを、さらには商標、会社のロゴまたはその他の製品装飾も、ガラス管ストランドに付与することができる。ただし、ガラス管を後処理する際のプロセスパラメータの制御については開示されていない。
【0007】
国際公開第2004000749号(WO 2004 000749 A1)および国際公開第2009128893号(WO 2009 128893 A)には、ガラス基板をマーキングするためのさらに別の方法が開示されている。
【0008】
独国特許出願公開第10335247号明細書(DE 103 35 247 A1)には、板ガラスのカッティングパターンを最適化する方法が開示されている。
【0009】
欧州特許出願公開第2818454号明細書(EP 2 818 454 A1)には、ガラス容器の底部領域を形成するための熱成形を含め、ガラス管半製品からガラス容器を製造するガラス加工処理装置が開示されている。これによればガラス管半製品内に、またはガラス管半製品上に直接、マーキングが設けられ、少なくとも部分的に実施される熱成形を含め後処理する際に、少なくとも1つのマーキングに基づき読み出される管固有のデータに応じて、プロセスパラメータを制御するためにマーキングが用いられることは、この文献には開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、特にいっそう高い品質要求を満たすことができ、特にいっそう狭い許容誤差範囲内に抑えることが可能なガラス製最終製品特に中空ガラス製品を、簡単に低コストの手法で確実に製造できるように改善された、熱成形を含めガラス管半製品を後処理する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、熱成形を含めガラス管半製品を後処理する請求項1記載の方法によって解決される。従属請求項には、さらに別の有利な実施形態が示されている。
【0012】
本発明の第1の観点によれば、少なくとも部分的に実施される熱成形を含め複数のガラス管半製品を後処理する、以下のステップを有する方法が提供される。すなわち、複数のガラス管半製品を準備し、各ガラス管半製品に関して管固有のデータを供給するステップと、個々のガラス管半製品に関する管固有のデータを読み出すステップと、少なくとも部分的に実施される熱成形を含め複数のガラス管半製品を後処理するステップと、を有しており、少なくとも部分的に実施される熱成形を含め個々のガラス管半製品を後処理する際に、個々のガラス管半製品に関する管固有のデータに応じて、少なくとも1つのプロセスパラメータを制御する。本発明によれば、個々のガラス管半製品に少なくとも1つのマーキングが付されており、このマーキングに基づき、個々のガラス管半製品に関する管固有のデータを読み出す。
【0013】
この場合、少なくとも1つのマーキングをたとえば荷札またはRFIDタグとして、個々のガラス管半製品と結合しておくことができ、または個々のガラス管半製品にじかに(たとえば印刷、接着ラベル、RFIDタグとして)付与しておくことができ、または(たとえばガラス材料中に書き込まれたマーキングとして)取り付けておくことができる。
【0014】
たとえば、後処理すべきガラス管半製品の管固有データが比較的薄いまたは厚い壁厚であることを示しているならば、後処理におけるプロセスパラメータをそれに応じて変更することができ、その結果、本発明によれば、通常の壁厚を有するガラス管半製品から製造する場合と実質的に同じ特性を有する最終製品を製造できるようになる。幾何学的、物理的または物理化学的な特性を含め、出発ガラス管のすべての関連特性について、同様のことが当てはまる。
【0015】
管固有のデータとは、本発明の内容に即していえば基本的に、ガラス管半製品の以下のような特性のことである、と理解されたい。すなわち、最終製品の特性に影響を及ぼし得るものであり、かつガラス管半製品の後処理にあたりプロセスパラメータを適切に設定することによっても影響を及ぼし得る特性のことである。さらにこの場合、ガラス管半製品の後処理におけるプロセスパラメータとは特に、ガラス管半製品からサブセクションを分離する際のプロセス条件のことであり、たとえば温度、バーナ出力、1つまたは複数のバーナとガラス管半製品との間隔、個々のバーナの配向もしくは整列、プロセス時間、プロセスサイクル等のことであり、あるいは個々のガラス管半製品から分離されたサブセクションを後処理する際のプロセス条件のことであり、たとえば温度、バーナ出力、1つまたは複数のバーナとそれぞれ分離されたサブセクションとの間隔、個々のバーナの配向もしくは整列、プロセス時間、プロセスサイクル、分離されたサブセクションを熱成形する際のプロセスパラメータ、たとえば加圧または減圧の適用、モールド等への分離されたサブセクションの(部分的な)押し込み、冷却時の熱的条件、などである。
【0016】
上述のプロセスパラメータの制御とは、最も簡単なケースでは、それらのプロセスパラメータをルックアップテーブルに従って設定することであると解することができる。このルックアップテーブルには、ガラス管半製品または(分離された)そのサブセクションの関連特性と対応づけて、割り当てられたプロセスパラメータが記録されており、それらのプロセスパラメータによって望ましい特性を有する最終製品を製造することができる。かかるルックアップテーブルを特に、データベースまたはデータ担体に記録しておくことができ、後処理施設の制御装置たとえばプロセッサがそこへアクセス可能である。かかるルックアップテーブルのデータを、最も簡単なケースでは、経験ベースのデータに基づくものとすることができるけれども、計算または数値シミュレーションまたはそれ相応の一連のテストの結果とすることもでき、つまり知識ベースとすることもできる。実際に達成された最終製品の品質に基づき基本的に、かかるルックアップテーブルのデータへフィードバックを行うことも考えられ、このようにすることでそれ以降、最終製品についてさらに改善された品質を達成することができる。
【0017】
上述のプロセスパラメータの制御を当然ながら、供給された管固有のデータが組み込まれた数式または計算に従って実施することもできる。
【0018】
本発明の内容に即していえば「管固有のデータの供給」が意味するのは特に、後処理する企業がそれぞれ後処理すべきガラス管半製品の関連特性を、新たに手間をかけて求めたり測定したりしなければならないのではなく、本発明によれば後処理する企業がそれらのデータをガラス管メーカから適切な手法で間接的または直接的に入手できるようになる、という意味であり、このことはガラス管後処理における手間とコストの削減に役立つ。この目的で、後処理する企業がガラス管メーカのデータに相応にアクセスできるようにすることができ、たとえばこのメーカが運営するデータベースまたはこのメーカから入手可能なデータ担体へのアクセスによるものとすることができる。基本的に、データをガラス管にじかに記録しておくこともでき、たとえば適切なマーキング、接着ラベル、RFIDタグ等などに記録しておくこともできる。いずれのケースであれ、後処理する企業は関連する管固有のデータを簡単な手法で読み込むことができ、その際、それらの管固有のデータを新たに手間をかけて測定したり、または他のやり方で求めたりする必要がない。
【0019】
別の実施形態によれば、ガラス管半製品の長手方向における予め定められた長さのガラス管半製品のサブセクションについてそれぞれ、管固有のデータが供給され、このことを特に、ガラス管半製品に連続的にまたは部分的に設けられた管ストランドマーキングによって実現することができる。これらのサブセクションの長さを特に、生じる可能性のある廃棄セクション等を含め、製造すべき最終製品の長さに合わせて調整しておくことができる。換言すれば、製造すべき最終製品各々について、後処理する企業においてガラス管半製品を後処理するために、正確な管固有のデータを入手することができ、次いでそれらのデータに基づき、後処理のために個々に適切なプロセスパラメータを設定もしくは制御することができる。
【0020】
別の実施形態によれば、個々のガラス管半製品に関する管固有のデータは、ガラス管半製品の長手方向におけるガラス管半製品の複数のサブセクションにわたり平均化して供給される。この場合、プロセスパラメータを、ガラス管半製品サブセクション各々について個別に新たに設定もしくは制御しなおす必要がない。むしろ、個々のガラス管半製品のすべてのサブセクションの後処理について、プロセスパラメータをそのようにして求められた平均値に合わせて設定すれば十分である。
【0021】
別の実施形態によれば、ガラス管半製品はさらに、平均化された管固有のデータに応じて複数のクラスのうち1つのクラスに分類されて供給される。有利には、同一のクラスの複数のガラス管半製品を同じプロセスパラメータによって後処理することができ、これによって後処理がいっそう効率的になり、時間がさらに節約され、さらに低コストで信頼性の高いものとなる。
【0022】
別の実施形態によれば、上述の管固有のデータは、ガラス管半製品の幾何学的寸法に関連し、特にガラス管半製品に関する以下の測定量すなわち、
内径;外径;壁厚;曲率半径;内径の楕円率;外径の楕円率;以下の測定量すなわち内径、外径、壁厚、曲率半径、内径の楕円率、外径の楕円率のうち少なくとも1つの測定量の変動、
のうち少なくとも1つの測定量を含む。
【0023】
別の実施形態によれば、管固有のデータは、ガラス管半製品の品質に関する情報も含み、特にガラス管半製品に関する以下の情報すなわち、
ガラス管半製品の管成形に用いられたガラス溶融物の組成、ガラス管半製品の管成形に用いられたガラス溶融物の均質性、ガラス管半製品の管成形に用いられたガラス溶融物を製造および処理するためのプロセスパラメータ、ガラス管半製品の壁中の混入物ただし気泡、結節、結晶領域等を含む、
のうち少なくとも1つの情報も含む。
【0024】
別の実施形態によれば、ガラス管半製品に少なくとも1つのマーキングを付けることができ、このマーキングに基づき、もしくはこのマーキングから、ガラス管半製品に関する管固有のデータを(間接的にもしくは直接的に)読み出すことができる。この少なくとも1つのマーキングは、特に管識別情報を含むことができ、この管識別情報に基づき、ガラス管半製品に関する管固有のデータをデータ記憶装置またはデータベースから読み出すことができ、そこにおいてガラス管半製品またはそのサブセクションにそれぞれ対応づけられて、それらが個々の管識別情報により識別されている。したがってこの場合には、管固有のデータの供給は間接的であり、つまりデータ記憶装置、データベース等を介して行われる。このような手法であれば後処理する企業のプロセスに簡単かつ低コストで組み込むことができる。
【0025】
ただしガラス管半製品に関する管固有のデータを、ガラス管半製品における別のマーキングに含めることもでき、またはガラス管半製品における少なくとも1つのマーキングの少なくとも1つの別のマーキングセクションに含めることもできる。したがってこの場合には、管固有のデータの供給を直接的に行うことができ、つまり個々のガラス管半製品もしくはそのサブセクション各々に関して上述の別のマーキングもしくは別のマーキングセクションに書き込まれた情報を用いて、管固有のデータの供給を行うことができる。
【0026】
別の実施形態によれば、少なくとも1つのマーキングは、以下の方法すなわち、
管固有のデータまたは管固有のデータへのデータリンクをコーディングするバーコード、バーマーキングまたはマトリックスコードマーキング等を付与する、特に印刷する、
管固有のデータまたは管固有のデータへのデータリンクをコーディングする接着ラベルを接着する、
管固有のデータまたは管固有のデータへのデータリンクをコーディングするRFIDタグをガラス管半製品へ取り付ける、
のうち1つの方法によって取り付けられている。
【0027】
択一的な実施形態によれば、少なくとも1つのマーキングを、レーザビームとガラス管半製品のガラスとの相互作用によって形成することができる。基本的にレーザによる書き込みを、転移温度よりも低い温度で形成することができる。このことは特に、最終製品にはもはや存在しない書き込みについて該当する。このケースであればレーザ書き込みは、たとえば破損耐性などに関して最終製品に課される要求を満たす必要はない。
【0028】
別の実施形態によれば、少なくとも1つのマーキングを、ガラス管半製品のガラスの転移温度よりも高い温度において、レーザビームとガラスとの相互作用によりガラス管半製品の壁中に取り付けることができ、特にディジタルマトリックスコード(DMC)として取り付けることができる。この場合の利点は、この情報はあとからではもはや実質的に変造不可能であり、また、かかるマーキングを簡単かつ低コストの手法で、特に光学的に無接触で読み出し可能であり、これを後処理する企業において一般的に実施されるプロセスに簡単に組み込むことができる、ということである。
【0029】
別の実施形態によれば、この方法の実施にあたり、特に後処理する企業において最初に、たとえば商品入荷コントロールにおいて無作為抽出検査式で、少なくとも1つのガラス管半製品が後処理の前に測定されて評価される。このようにして測定された量および評価データは、個々のガラス管半製品に関して供給された管固有のデータと比較されて、偏差情報が求められ、その際、求められた偏差情報を考慮しながら、個々のガラス管半製品に関する管固有のデータに応じて、少なくとも部分的に実施される熱成形を含め複数のガラス管半製品を後処理する際に用いられる少なくとも1つのプロセスパラメータが制御もしくは設定される。特に、このようにして無作為抽出式にガラス管を測定することによって、供給された管固有のデータと実際の管固有のデータとの間に場合によっては生じるシステマティックな偏差を確実に特定し、次いで補正することができる。このようにすれば、たとえばシステマティックな測定誤差またはガラス管半製品のメーカが「粉飾した」管固有のデータを、後処理する企業の側において簡単な手法で確実に補正して回避することができる。
【0030】
別の実施形態によれば、ガラス管半製品の後処理は、ガラス管半製品の1つのセクションを局所的に加熱し、局所的に加熱されたセクションの領域においてガラス管半製品から1つのセクションを分離することによって、1つの容器をこの容器の底部を形成しながら分離するステップを含む。その際に特に、まだ十分に可塑性のある壁部セクションの圧潰および溶融によって、底部を形成することができ、その結果、少なくとも1つの閉じた端部を有する縦長の最終製品もしくは中空ガラス製品が得られる。この場合、管固有のデータに基づき、特にプロセスパラメータを制御することができ、または適切に設定することができる。このプロセスパラメータは、ガラス管半製品のセクションの局所的な加熱と容器の分離とに作用を及ぼすことができ、特にバーナ出力と、ガラス管半製品のセクションの(やはり一時的な)保持に用いられる後処理施設の保持セクションの軸方向調整とに作用を及ぼすことができる。
【0031】
別の実施形態によれば、ガラス管半製品から容器を分離する際に、容器のネック部もしくは狭められたネックセクションが予備成形され、その際、容器が保持装置によって逆さまの状態で受け取られ、ガラス管壁の圧潰により容器の底部がガラス管半製品から徐々に形成される。
【0032】
別の実施形態によれば、容器の底部をさらに処理するステップが設けられており、このステップは、以下のステップすなわち、容器の底部を大雑把に成形するために、底部を少なくとも1つのバーナにより処理するステップと、底部を平坦に成形するために、底部を少なくとも1つのバーナによりさらに処理するステップと、底部を最終的に成形するために、ガス圧を用いながら、特に0.5~3.0barの範囲のガス圧を用いながら、底部を金型に押し込むステップと、底部を冷却するステップと、のうち少なくとも1つのステップを含む。この場合、管固有のデータに基づき特に、これらの別の方法ステップのうち1つまたは複数の方法ステップに該当するプロセスパラメータを制御することができ、または適切に設定することができる。
【0033】
別の実施形態によれば、ガラス管半製品の後処理はさらに、ガラス管半製品に関する管固有のデータに基づき、ガラス管半製品の後処理が目下のプロセスパラメータでは不可能である、と判定された場合には、ガラス管半製品を選別除去または一時的に中間貯蔵するステップを含む。このようにすれば特に、それぞれ同じ関連特性または同等の関連特性を有するガラス管半製品のクラスを形成することができ、次いで、かかるガラス管製品(またはガラス管製品から分離されて中間貯蔵されたそれらのサブセクション)のクラス全体を形成することができ、さらにその後、最終製品へと後処理する際に、それらのクラスを同一のプロセスパラメータまたは実質的に同じプロセスパラメータによって後処理することができる。この場合に得られる利点とは、このようにすれば関連するプロセスパラメータをそれほど頻繁には変更しなくてもよい、ということであり、これにより後処理においてさらに利点をもたらすことができる。この場合には一時的に中間貯蔵された後、特に、ガラス管半製品に関する管固有のデータに基づき求められた、一度変更されたプロセスパラメータによって、新たなクラスを後処理することができる。
【0034】
別の実施形態によれば、後処理後の最終製品は、薬用、医用または化粧用の物質を収容する容器であり、特にバイアル、カートリッジまたはシリンジである。もっと一般的にいえば最終製品は、目的に合わせて物質充填用に少なくとも1つの開口部を有する、既述の形式の中空ガラス製品である。
【0035】
別の実施形態によれば、追跡調査のために、かつ/または容器が本物であるのかの判定特に容器の真正または出自を判定するために、容器にマーキングがマークされる。かかるマーキングに基づき、品質保証の枠組みで追跡調査を行うことによって、最終製品のいっそう高い品質が確保される。ただしこのマーキングを、このことに加え容器が本物であるのかの判定特に容器の真正または出自の判定に用いることもできる。
【0036】
以下では、添付の図面を参照し具体例を挙げながら本発明について説明するが、この説明を通して、さらに別の特徴、利点および解決すべき課題が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1a】本発明によるガラス管半製品に関する第1の実施例を、この製品に設けられており管固有のデータをコーディングするマーキングと共に示す図である。
【
図1b】本発明によるガラス管半製品に関する第2の実施例を、この製品に設けられており管固有のデータをコーディングするマーキングの拡大図と共に示す図である。
【
図1c】本発明によるガラス管半製品に関する第3の実施例を、この製品に設けられており管固有のデータを間接的にコーディングするマーキングと共に示す図である。
【
図2a】本発明による方法を実施するための、ガラス管半製品に管固有のデータを付ける装置と、熱成形を含めガラス管半製品を後処理する施設とを示す概略図である。
【
図2b】複数のガラス管半製品に関する管固有のデータを記憶するデータベースを示す図である。
【
図3a】最終製品を製造するための本発明によるガラス管半製品の後処理方法の第1の実施例を概略的に示すフローチャートである。
【
図3b】最終製品を製造するための本発明によるガラス管半製品の後処理方法の第2の実施例を概略的に示すフローチャートである。
【
図4】最終製品を製造するための本発明によるガラス管半製品の後処理方法のさらに別の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図中、同じ参照符号は、同じまたは実質的に同じ作用を有する要素または要素群を表す。
【0039】
図1aは、本発明によるガラス管半製品に関する第1の実施例を、この製品に設けられたマーキングと共に示す図である。本発明の内容に即していえばガラス管半製品とは特に、予め定められた寸法および特性を備えた既製のガラス管のことを意味し、このガラス管は、ガラス製最終製品特に中空ガラス製品となるよう後処理するための出発ワークピースの役割を果たす。かかるガラス管半製品は通常、たとえば1.5mなど予め決められた長さで納品され、管半製品内部への不所望な不純物侵入を防止する目的で、後処理する企業への納品時には管端部の片側または好ましくは両側が封止されている。この目的で、ガラス管半製品1の少なくとも一方の端部を、熱成形によって完全に封止することも可能である。
【0040】
ガラス管半製品1の製造時、ガラス管1に管ストランドマーキング2が継続的に付与され、以下で説明するように、これらの管ストランドマーキング2は、ガラス管半製品1の長さlの個々のサブセクションに関する管固有のデータをそれぞれ含む。ガラス管半製品1にはさらに、管ストランドマーキング2とは別に第2のマーキング3が設けられており、この第2のマーキング3は、ガラス管半製品1を識別するための管識別情報を含んでおり、好ましくは管ID、管シリアル番号または同等のものを含んでいる。さらに第2のマーキングにおいて、ガラス管1のメーカ、製造場所および/または製造施設に関する記載も表すことができる。管ストランドマーキングは基本的に、最終製品(たとえば薬品容器)となるまでそのまま残しておくことができる。ガラス管半製品1についての情報は、マーキング2,3に好ましくは平文として含まれているのではなく、予め定められた計算命令またはデコーディング命令に従って初めて読み取り可能である。
【0041】
図1aによれば、管ストランドマーキング2はガラス管の長手方向(z)において、好ましくは互いに予め定められた一定の間隔(l)で、ガラス管1に付与されている。これらの間隔lはたとえば、あとで最終製品(一例として薬品容器)が製造されることになるセクションの予期すべき長さに合わせて調整しておくことができ、その目的でそれらのセクションは、場合によっては生じるかもしれない廃棄セクションおよび分離除去すべきセクションを含めて、元のガラス管半製品から切り離す必要がある。
【0042】
図1bには、本発明によるガラス管半製品に関する第2の実施例が、この製品に設けられたマーキングの拡大図と共に示されている。
図1bによれば、空間的に別個に付与された第1のマーキングと第2のマーキングとの代わりに、ガラス管半製品1の予め定められた個所に、たとえばガラス管半製品1の前端部または後端部に、コンビネーションマーキング3が設けられており、このコンビネーションマーキング3は、好ましくは互いに極めて接近して配置された少なくとも第1の情報4と第2の情報5とを含んでいる。第1の情報4には管識別情報が含まれているのに対し、第2の情報5によって、個々のガラス管半製品1に関して管固有のデータがコーディングされ、あとで説明するように、望ましければガラス管半製品1の長手方向(
図1参照)における個々のサブセクションに関しても、管固有のデータがコーディングされる。あるいは第2の情報5によって、それらの管固有のデータへのデータリンクがコーディングされ、したがってこのデータリンクを用いてそれらの管固有のデータを間接的に、たとえばデータベースなどから読み出すことができる。
【0043】
図1cには、本発明によるガラス管半製品に関する第3の実施例が、この製品に設けられており管固有のデータを間接的にコーディングするマーキングと共に示されている。この目的でマーキング4は、ガラス管半製品1を一義的に表す管識別情報を、あとで述べるように、本発明による方法を実施するために必要とされるすべての記載を含めて、コーディングする。このためには、マーキング4内にコーディングされた管識別情報に基づき、またはマーキング4によってコーディングされたデータリンクに基づき、関連する管固有のデータを間接的にデータベースから読み出すことができれば十分である、とすることができる。これについては、あとで
図2bを参照しながら詳しく説明する。
【0044】
本発明の内容に即していえば、管固有のデータは、それぞれ後処理すべきガラス管半製品の少なくとも幾何学的な寸法に関連し、特に、個々のガラス管半製品について測定されるガラス管半製品に関する以下の量のうち、少なくとも1つの量に関連する。すなわち、内径;外径;壁厚;曲率半径;内径の楕円率;外径の楕円率;以下の測定量すなわち内径、外径、壁厚、曲率半径、内径の楕円率、外径の楕円率のうち少なくとも1つの測定量の変動。
【0045】
管固有のデータはさらに、ガラス管半製品の品質に関する情報も含むことができ、特に、ガラス管半製品に関する以下の情報のうち少なくとも1つの情報を含むことができる。すなわち、ガラス管半製品の管成形に用いられたガラス溶融物の組成、ガラス管半製品の管成形に用いられたガラス溶融物の均質性、ガラス管半製品の管成形に用いられたガラス溶融物を製造および処理するためのプロセスパラメータ、ガラス管半製品の壁中の混入物ただし気泡、結節、結晶領域等を含む。
【0046】
本発明の内容に即していえば、少なくとも部分的に実施される熱成形を含めガラス管半製品を後処理する際に、個々のガラス管半製品に関する管固有のデータに応じて、少なくとも1つのプロセスパラメータを制御するために、管固有のデータが用いられる。これについてはあとで詳しく説明する。
【0047】
マーキング3~5が付与される時点に応じて、マーキングに用いられる方法も選択される。したがって、たとえばレーザマーキングを用いて、管固有のデータまたは管固有のデータへのデータリンクをコーディングするマーキングたとえばバーコードまたはバーマーキングまたはマトリックスコードマーキングなどを印刷することにより、ガラスの転移温度よりも低い温度でマーキング3~5を付与すれば十分である、とすることができる。管固有のデータまたは管固有のデータへのデータリンクを、接着シールにコーディングしておくことも可能である。この接着シールは、ガラス管半製品1の適切な個所に接着され、ガラス管半製品1の後処理前に関連情報が読み取られた後、再び剥がされる。あるいは管固有のデータまたは管固有のデータへのデータリンクを、RFIDタグにコーディングしておくことも可能である。このRFIDタグは、ガラス管半製品1の適切な個所に設けられており、ガラス管半製品1の後処理前に関連情報がRF信号を用いて無接触で読み取られた後、再び取り除かれる。
【0048】
ただしマーキング3~5またはそれらの一部を、ガラスの転移温度よりも高い温度で形成することも可能であり、好ましくはディジタルマトリックスコード(DMC)の形態で、本出願人による米国特許出願公開第20030029849号明細書(US 2003 0029849 A1)、独国特許出願公開第10234002号明細書(DE 102 34 002 A1)および国際公開第2012028611号(WO 2012 028611 A1)に開示されているような方法を用いて、形成することも可能である。ここでこれらの文献を参照したことにより、それらの開示内容が本願に明示的に取り込まれたものとする。この場合、上述のデータ特に管固有のデータを、平文で(暗号化せずに)または予め定められたコーディングで付与することができる。
【0049】
管ストランドマーキング2は基本的に、最終製品もしくは中空ガラス製品(たとえば薬品容器)となるまで、そのまま残しておくことができるが、上述の別のマーキングは、後処理する企業においてガラス管半製品1を最終製品になるよう後処理する際に、再び取り除かれる。その際、場合によっては後処理する企業において、予め定められた計算規則またはコーディング規則に従い、それらの別のマーキングの情報内容を保持しながら新たなマーキングが付与され、この新たなマーキングによって、ガラス管半製品のトレーサビリティが実現され、または最終製品が本物であるのかの判定特に最終製品の真正または出自についての判定が可能となる。
【0050】
図2aには、本発明による方法を実施するための、ガラス管半製品に管固有のデータを付ける装置と、少なくとも部分的に実施される熱成形を含めガラス管半製品を後処理する施設とが示されている。
図2aの図面上部には、管固有のデータ、管識別情報およびその他の情報を含め、マーキングをガラス管半製品に付与する装置が示されている。この場合に根底を成すのは、ディジタルマトリックスコード(DMC)を用い、さらに本出願人による米国特許出願公開第20030029849号明細書(US 2003 0029849 A1)、独国特許出願公開第10234002号明細書(DE 102 34 002 A1)および国際公開第2012028611号(WO 2012 028611 A1)に開示されているような方法を用いて、ガラス管半製品にマーキングを付与する、ということである。この場合、上述のように最初にガラス管半製品1に関して、管固有のデータが測定装置10によって求められる。その際、
図1aに示したように、ガラス管半製品の長手方向に沿って互いに間隔をおいて配置された、好ましくは互いに一定の間隔で配置された、複数のサブセクションに関しても、管固有のデータを求めることができる。管固有のデータの捕捉後、それらのデータは外部のデータベース12に記憶されるか、またはたとえばデータCDなどのようなデータ担体に格納される。その際にこのことは必ず、個々のガラス管半製品の一義的な識別を可能にする情報に対応づけて行われ、特にガラス管半製品のシリアル番号または管識別情報(以下では管IDとも称する)に対応づけて行われる。したがってあとの時点で、管固有のデータについて間接的に再び問い合わせて読み出すことができる。
【0051】
別の選択肢として、またはこれに加えて、管固有のデータを、またはガラス管半製品1の以降の後処理に適切なプロセスパラメータを設定するために適した、それらの管固有のデータの少なくとも主要な部分を、測定装置10の一部とすることもできるマーキング装置によって、たとえば
図1a~
図1cを参照しながら上述の記載で説明したマーキングを用いることで、個々のガラス管半製品1に直接、付与することができる。特に、ディジタルマトリックスコード(DMC)を用い、さらに本出願人による米国特許出願公開第20030029849号明細書(US 2003 0029849 A1)、独国特許出願公開第10234002号明細書(DE 102 34 002 A1)および国際公開第2012028611号(WO 2012 028611 A1)に開示されているような方法を用いて、管固有のデータを含むマーキングをガラス管半製品に付与することができる。ただし管固有のデータを、他の手法でガラス管半製品に付与することもでき、特にいわゆるRFIDタグを用いて付与することもできる。
【0052】
図2aによれば、管固有のデータの測定もしくは算出および/またはガラス管半製品1のマーキングは、制御装置11による中央制御のもとで行われ、データをデータベース12に書き込むために、かつ/またはデータベースから読み出すために、この制御装置11をデータベース12と接続することもできる。
【0053】
図2aの図面下部には、少なくとも部分的に実施される熱成形を含めガラス管半製品を後処理する装置20が概略的に描かれている。この装置は典型的には後処理する企業によって稼動され、そのような企業はガラス管半製品1を仕入れ、それらを後処理して最終製品特に中空ガラス製品を形成し、特にガラス容器、たとえば薬用物質、医用物質を保管するガラス容器または化粧用物質も保管するガラス容器を形成する。装置20は制御装置16特にプロセッサによって制御され、この制御装置16は、
図1a~
図1cを参照しながらすでに説明したように、ガラス管半製品1の少なくとも1つのマーキングを読み取るために、読み取り装置15と接続されており、このマーキングに基づき、個々のガラス管半製品1に関する管固有のデータを、たとえばデータベース12から(ネットワーク17たとえば企業内部のコンピュータネットワークを経由して、または特にセキュリティ保護されたデータ通信コネクションを介したネットワークを経由して)、あるいはデータ担体から、間接的に読み出すことができる。ただし読み取り装置15は、個々のガラス管半製品1に関する管固有のデータを、個々のガラス管半製品におけるマーキングから直接、読み取ることもでき、たとえば個々のガラス管半製品1における光学的マーキングの読み取りまたはRFIDタグの読み取りによって直接、読み取ることもできる。装置20は、共通の制御装置16を介して管固有のデータを使用できるようになる。
【0054】
ガラス管半製品の後処理装置20を、ガラス容器製造のために特に、本出願人の欧州特許出願公開第2818454号明細書(EP 2 818 454 A1)から公知の装置とすることができる。この装置は、主機と、その後段に設けられ処理ステップを実施する複数の処理ステーションを備えた底部処理機と、を含み、それらの処理ステーションは、
図2aでは一般的にサブユニット21~24として表されている。なお、これらのサブユニットの具体的な個数は、図示された4つのサブユニット21~24に明示的に限定されるものではない。
その際、ガラス容器の製造にあたり最初に、主機の保持ユニットにガラス管が取り付けられ、次いで前処理のために、主機の回転によってガラス管が様々な処理ポジションに動かされる。その後、ガラス管が分離プロセスにおいて分離され、それによって生じたガラス容器が、後段に設けられた底部処理機の保持ユニットに引き渡され、そこにおいて様々な処理ポジションでさらに処理される。底部処理機の各処理ポジションにおいてたとえば、ガラス容器の底部を適切に成形するための様々なステップが行われる。この場合、特に、種々の熱成形プロセスおよび生じたガラス容器の高速回転によって、平坦な容器底部が形成され、このプロセス中、高温が優勢的であることから、容器底部は比較的粘性が低い。
【0055】
ガラス瓶(バイアル)を製造するためにたとえば、後段に設けられたいわゆる底部処理機の種々の処理ポジションに、多数のバーナが配置されている。後段に設けられた底部処理機も、前段に設けられた主機も、ロータ部分とステータ部分とから成り、この場合、ロータ部分は1回の製造サイクル中に自身の軸を中心に1回転する。
【0056】
底部処理機の処理ポジションは、ガラス管から分離されたガラス瓶の底部成形に用いられ、ガラス管からのガラス瓶の本来の分離が行われる少なくとも1つの分離ステップと、第1の底部成形ステップと、第2の底部成形ステップと、第3の底部成形ステップと、金型による底部成形ステップと、底部冷却ステップと、取り出しステップと、アイドリングステップと、を含む。これらすべての処理ステップにおいて、ガラス瓶は逆さまの状態で保持される。詳しくは、上述の処理ステップにおいて、以下の処理プロセスが相前後するサイクルで実施される。
【0057】
分離ステップにおいて、ネック部がすでに成形されて生じたガラス瓶が、最初に底部処理機の保持装置により逆さまの状態で受け取られ、次いでガラス管から分離される。この場合、ガラス瓶がガラス管から分離され、ガラス管の壁部が圧潰されて、底部が徐々に形成される。第2の底部成形ステップにおいて、ガラス瓶の底部が少なくとも1つのバーナによってさらに処理され、これによってガラス瓶の底部が平坦に成形される。第2の底部成形ステップにおいて、ガラス瓶の底部が少なくとも1つのバーナによってさらに処理されて、ガラス瓶の底部が平坦に成形される。第3の底部成形ステップにおいて、ガラス瓶の底部が少なくとも1つのバーナによってさらに処理され、これによってガラス瓶のすでに成形されている底部がさらに精密化される。金型による底部成形ステップにおいて、ガラス瓶の底部が、比較的高いガス圧(好ましくは0.5~3.0bar)を用いて金型に押し込まれ、これによって底部が最終的に成形される。底部冷却ステップにおいて、ガラス瓶の底部が最終的に冷却される。取り出しステップにおいて、完成したガラス瓶が底部処理機から取り出される。アイドリングステップ中、底部処理機の保持ユニットは空き状態であり、次のステップで再び新たなガラス瓶を収容するために、保持ユニットが準備される。
【0058】
既述の製造方法においては、多くの処理ステップ中、ガラス瓶の底部は比較的可塑性があり、つまり比較的低い粘性を有する。この場合、ガラス瓶をガラス管半製品から分離する際に、また、後段に設けられた底部処理機において底部を成形するためのさらに別の処理ステップにおいても、プロセスパラメータが適切に選定され、それぞれ処理されるガラス管半製品またはそれぞれ目下処理される個々のガラス管半製品のサブセクションの特性に合わせて整合される。これについては
図3aおよび
図3bを参照しながらあとで詳しく説明するが、その目的は、比較的狭い許容誤差範囲を常に遵守しながらも、他の有利な物理的または物理化学的特性の点でも優れており、特に、化学的耐性が高く、ガラス容器内で保管すべき物質に対するイオン放出特にアルカリイオン放出が僅かであり、かつ剥離傾向が少ない点でも優れている、できるかぎり均質な特性を有するガラス容器を形成することである。この場合、いわゆる剥離はたいてい、ガラス容器底部領域に生じた著しく高い温度ゆえに、アルカリホウ酸塩、ナトリウム等が高温のガラスから蒸発し、それらがガラス容器の比較的低温の領域に、特にガラス容器底部から所定の距離にあるリング状ゾーンに、そのまま再び堆積することに起因している。剥離傾向という名称で知られるこのような現象によって、ガラス容器の不変の最適な品質を保証するのが難しくなる。高温領域では特に、ガラスの化学量論的組成も変化している。その後、ガラス容器が冷えると、それによって表面層の相分離が発生し、これはガラス容器の化学的耐性にさらに悪影響を及ぼす可能性がある。熱成形プロセス中、従来は部分的に制御されていなかった条件に起因して、その結果としてガラス容器製造時にさらにばらつきが引き起こされる。
【0059】
個々のガラス管半製品を後処理するために、装置20の複数のサブユニット21~24において、適切なプロセスパラメータが設定され、たとえばプロセス温度および/またはプロセス時間および/またはプロセスサイクルおよび/またはプロセス圧力および/またはバーナの加熱出力および/または後処理中にガラス管半製品を回転させるための回転速度等が設定される。本発明によればこれらのプロセスパラメータは、少なくとも部分的に実施される熱変形を含めガラス管半製品を後処理する際に、個々のガラス管半製品1について求められた管固有のデータに応じて、適切に設定される。個々の管固有のデータに応じたこれらのプロセスパラメータの制御は、制御装置16によって行われ、この目的で制御装置16は、たとえば管固有のデータを記憶しているデータベース12へアクセスするなどして、管固有のデータにアクセスすることができる。
【0060】
図2bに示されているように、管固有のデータ30,31を、たとえばルックアップテーブル形式で個々の管識別情報である管ID1,管ID2...に対応づけて、データベース内に記憶させておくことができる。
【0061】
次に
図3aおよび
図3bを参照しながら、ガラス管半製品を後処理して最終製品たとえばガラス容器を形成するための、本発明による方法に関する2つの実施例について説明する。
【0062】
図3aによれば、最初にステップS1において、たとえば外部のデータベース12(
図2a参照)へのアクセス、ガラス管半製品に設けられたデータ担体またはマーキングの読み取りによって、後処理すべき個々のガラス管半製品に関する管固有のデータが読み込まれる。次いでステップS2において、後処理装置に対して目下設定されているプロセスパラメータを目下処理すべきガラス管半製品に関して変更する必要があるか否かについて特に、読み出された管固有のデータが評価される。ステップS2において、後処理装置の目下のプロセスパラメータが新たに処理すべきガラス管半製品もしくはそのサブセクションに関しても適切である、と判定されたならば、新たに処理すべきガラス管半製品もしくはそのサブセクションの後処理が、目下のプロセスパラメータによって行われる。そうでなければプロセスパラメータが、新たに処理すべきガラス管半製品もしくはそのサブセクションの管固有のデータに応じて変更される。新たに処理すべきガラス管半製品もしくはそのサブセクションの後処理後、他のガラス管半製品もしくは目下処理すべきガラス管半製品の他のサブセクションをさらに処理するために、この方法は再びステップS1に戻る。
【0063】
図3aに示した方法とは異なり、
図3bによる方法の場合にはステップS11の後、新たに処理すべきガラス管半製品もしくはそのガラス管半製品の次のサブセクションの後処理が、プロセスパラメータの目下の設定でそもそも可能であるか否かについて、最初に問い合わせられる。これが該当しなければ、プロセスパラメータを即座に変更するのではなく、まずはステップS14において、新たに処理すべきガラス管半製品もしくは目下処理すべきガラス管半製品の次のサブセクションの後処理がそもそも可能であるか否かについてチェックされ、つまりプロセスパラメータが個々の管固有のデータに従って変更されたとしたならば、これが可能であるか否かについてチェックされる。これが該当するならば、新たに処理すべきガラス管半製品もしくは目下処理すべきガラス管半製品の次に処理すべきサブセクションが、ステップ15において中間貯蔵される。そうでなければ、新たに処理すべきガラス管半製品もしくは目下処理すべきガラス管半製品の処理すべき次のサブセクションが、ステップS16において選別除去される。なぜならば、選別除去されたこのガラス管半製品もしくは処理すべき次のサブセクションに対して後処理がまったく不可能である、ということがステップS14において判定されたからである。
【0064】
次いでこの方法はステップS10に戻り、次のガラス管半製品もしくは目下処理すべきガラス管半製品の次のサブセクションの後処理が続けられ(ステップS10~S13)、これは、次のガラス管半製品もしくは目下処理すべきガラス管半製品の次のサブセクションも引き続き処理不可能(ステップS14の否定判定およびステップS16の選別除去)でないかぎり、または次のガラス管半製品もしくは目下処理すべきガラス管半製品の次のサブセクションも、ステップS15において中間貯蔵されるかぎり、続けられる。
【0065】
ステップS15において、十分に多くの個数のガラス管半製品もしくはサブセクションが中間貯蔵されたならば、この方法はステップS10に戻った後で最初に、ステップS15において中間貯蔵されたガラス管半製品もしくはサブセクションに対するプロセスパラメータを、適切に設定することができ、その後、それらのガラス管半製品もしくはサブセクションに関する管固有のデータに対応するプロセスパラメータを用いて、それらのガラス管半製品もしくはサブセクションを、ステップS13においてさらに処理することができる。これにより時間が節約されることになる。なぜならば、後処理のためのプロセスパラメータを持続的に変更する必要がなく、グループごとに整合するだけでよいからであり、つまりステップS15において中間貯蔵されたガラス管半製品もしくはサブセクションの次のグループについて整合するだけでよいからである。
【0066】
ステップS15は特に、ガラス管半製品もしくはサブセクションを、同じプロセスパラメータを後処理に適用する必要のあるガラス管半製品もしくはサブセクションの1つまたは複数のクラスへと予備選別するためにも適している。このようにすることによって、後処理をガラス管半製品もしくはサブセクションのかかるクラスに関して、グループごとにもしくはシーケンシャルに実施することも可能となり、これによって後処理のためのプロセスパラメータを、ガラス管半製品もしくはサブセクションのそのつど新たなクラスに関してのみ、それぞれ新たに設定すればよい。
【0067】
本発明による方法を実施するための前提として、管製造中にガラス管半製品の後処理に関連する特性を捕捉もしくは供給する必要がある。これは、ガラス管半製品の特に幾何学的な寸法に関連し、特に個々のガラス管半製品についての以下の測定量のうち少なくとも1つの測定量に関する。すなわち、内径;外径;壁厚;曲率半径;内径の楕円率;外径の楕円率;以下の測定量すなわち内径、外径、壁厚、曲率半径、内径の楕円率、外径の楕円率のうち少なくとも1つの測定量の変動。さらに、個々のガラス管半製品の品質に関する情報を、管製造時に求めることができ、特に、ガラス管半製品に関する以下の情報のうち少なくとも1つの情報を求めることができる。すなわち、ガラス管半製品の管成形に用いられたガラス溶融物の組成、ガラス管半製品の管成形に用いられたガラス溶融物の均質性、ガラス管半製品の管成形に用いられたガラス溶融物を製造および処理するためのプロセスパラメータ、ガラス管半製品の壁中の混入物ただし気泡、結節、結晶領域等を含む。
【0068】
ガラス管の良/不良選択後、これらの管固有のデータはもはや管固有には保管されず、後処理する企業がこれらのデータにあとから再びアクセスできなくなることがなく、そのようにすれば後処理する企業は相応の測定を繰り返す必要がない。むしろ本発明によれば、管製造時に生じたデータを、個々のガラス管の特性に関する関連情報と共に、後処理する企業が利用できるようになり、したがってガラス管の個々の後処理をそれらの管固有のデータに基づき実施することができ、本発明によればガラス管半製品の関連特性を再度測定する必要がなくなる。この目的で、各管は製造プロセス中、直接またはデータ参照として間接的に測定データを含むコーディングを有しており、これは後処理する企業に読み取られ、ガラス管の後処理のために適用することができる。
【0069】
第1の適用事例は、狭い外径許容誤差範囲および/または狭い内径許容誤差範囲を有する最終製品(たとえば中空ガラス製品)の製造にあたり、たとえば10.85mmの目標外径を有し許容誤差範囲が±0.1mmのガラス管の製造にあたり、ガラス管を選択するために外径測定値を使用することに関連する。ガラス管製造中に求められたオンライン測定に基づき、たとえば最大外径と最小外径の情報がガラス管に付けられる。本発明によれば、ガラス管製造中に測定された幾何学データがガラス管に割り当てられるように、製造中にガラス管にコーディングが付される。この割り当てを、関連測定値がガラス管のマーキングに書き込まれるようにして、直接的に行ってもよいし、または各ガラス管が一義的なシリアル番号によりコーディングされて、ガラス管に対する関連データが後処理する企業においてリスト/データベースから呼び出されるようにして、間接的に行ってもよい。間接的な方法によれば、使用可能なデータが格段に増える。
【0070】
この適用事例の場合、たとえば上方、中央および下方の許容誤差範囲でガラス管の外径推移を表示することができる。測定データを読み出すことによって、ガラス管を複数のクラスに選別することができ、個々のクラスに応じて、あとでそれぞれ後処理することができる。最も簡単な適用事例はたとえば、外径クラスへガラス管を予備分類し、それらの外径クラスに応じてグループごとに、しかも個々の外径クラスに対応するプロセスパラメータをそれぞれ用いて、後処理することである。その利点とは、後処理装置の設定が標準化され、ユーザの介入が最小限に抑えられて、ガラス管加工の安定化が著しく高まることである。このようにすれば、狭い許容誤差範囲内に抑えられた最終製品を製造することができ、これを出発ガラス管に対して、メーカにおいて著しく多くのコストとダウンタイムを生じさせてしまうことを意味する許容誤差範囲を要求せずに、行うことができる。目下の従来技術とは異なり、特に管を全長にわたって測定する手間が省かれる。たとえば、管に設けられたコード用の簡単な読み取り装置を用いることによって、データをじかに読み取ることができる。
【0071】
さらに別の可能な適用事例によれば、管加工処理機を制御するために管データが使用される。従来技術によれば、たとえばバイアルの製造において、仕上げられたバイアルにおける測定が使用され、これはその管から次のバイアルを加工処理するために機械を追従制御するためである。ガラス管製造中に求められた管固有のデータにアクセスすることによって、本発明によれば新たな測定が不要となる。なぜならば、ガラス管の外径測定値はガラス管の後処理開始時にすでに存在しているからであり、管の目下の外径に従って装置を制御できるからである。
【0072】
たとえば大きい外径勾配を有する管などのように、不所望な特性を有する個々の管を選別することも、同様に可能である。
【0073】
後処理において著しく多様な要求を扱うために、僅かな許容誤差範囲で十分であるため、管メーカにとって、製品範囲の低減という利点が得られる。
【0074】
適用事例 (後処理する企業における)商品入荷コントロール:
後処理する企業における商品入荷コントロールの際に、許容誤差範囲や統計的特性量等の遵守について納品されたガラス管の無作為抽出検査を行う代わりに、本発明によれば、同じく供給された管固有のデータについて、つまりガラス管の具体的な測定データに基づき、後処理する企業において、メーカによる測定データと後処理する企業(=ユーザ)による測定データとの比較を行うことができる。この比較のためには、僅かな個数の納品済みガラス管しか必要とされず、その理由は、他のすべてのガラス管に関する偏差を相応に算出できるからである。このようにすれば、後処理する企業における商品入荷コントロールのためのコストが劇的に低減され、かつ比較測定の精度が著しく高められる。製造方法に起因して、ガラス管は幾何学的形状の局所的な変動を有する。従来、高精度の直接的な比較測定は、この変動によって不可能になっていた。なぜならば、測定ポジションにすでに僅かに偏差(数mm)が生じることから、数μmの測定誤差が引き起こされる可能性があるからである。この作用を回避するために、ガラス管のコードに測定ポジションおよび測定値を記録して、正確な比較測定が行えるようにすることができる。したがってこの方法によれば、実質的に欠陥のない(「ゼロ欠陥」)製品の基礎として、無作為抽出検査から個別製品検査への移行が可能となる。
【0075】
外径に関するデータを使用する既述の適用事例を、壁厚データおよび内径のデータについても、またはたとえば外径または内径の楕円率、壁厚差等のようにそれらから導出される幾何学的データについても、同様の手法で適合させることができる。同じことは、ガラス管の湾曲率についても当てはまる。これらに加え同様に、ガラス管のガラス品質自体に関するデータ(たとえば気泡、結節、結晶...)をコードに記録することができ、ガラス品質に応じてガラス管を個々に後処理するために用いることができる。
【0076】
これまで常に述べてきたのは、個々のガラス管半製品と結合された、または個々のガラス管半製品に直接付与された(たとえば印刷または接着された)、または個々のガラス管半製品に直接取り付けられた(たとえば書き込まれた)マーキングから、管固有のデータを読み出すことであったが、次に
図4を参照しながら、最終製品を製造するための本発明によるガラス管半製品の後処理方法のさらに別の実施例について説明する。この方法によれば、管固有の情報がガラス管スタック内のポジションに基づき求められ、このポジションは一義的なマッピングルールに従い、個々の管固有のデータに対応づけられている。
【0077】
ここで
図4による実施形態が前提とするのは、ガラス管半製品はたいてい、それぞれ複数のガラス管半製品から構成され矩形の断面を有する梱包単位の形態で、後処理する企業に納品される、ということである。もっと正確にいえば、
図4の上方部分に示されたスタックは、複数のガラス管半製品から構成されており、それらのガラス管半製品の個数は、第1の方向(x方向)ではxnであり、第1の方向に対し垂直な第2の方向(y方向)では、それらのガラス管半製品の個数はymである。この場合、ガラス管半製品の各階層は、それぞれガラス管直径の半分ずつ互いにずらされて上下に積み重ねられている。かかる梱包単位は、たとえばそれぞれ同じ長さを有する100本のガラス管半製品から成る。この梱包単位の配向は、その上面に関するマーキングに基づき一義的に設定されている。このように一義的に設定された配向ゆえに、ガラス管半製品各々に対し梱包物内で一義的なポジションを割り当てることができる。たとえば
図4の最下層のガラス管半製品は、左から右に向かって座標状のポジションPos_x1/Pos_y1~Pos_xn/Pos_y1によって識別されており、対応する管固有のデータセットであるデータ(x1/y1)~データ(xn/y1)が、これらのポジションに割り当てられている。さらに
図4の最上層のガラス管半製品は、左から右に向かって座標状のポジションPos_x1/Pos_ym~Pos_xn/Pos_ymによって識別されており、対応する管固有のデータセットであるデータ(x1/ym)~データ(xn/ym)が、これらのポジションに割り当てられている。よって、梱包単位内における個々のガラス管半製品のポジションを把握していれば、データベース、データ担体または対応するデータシートへのアクセスを通して、管固有のデータを一義的に対応づけられた状態で読み込むことができ、それによって個々のガラス管半製品に関してこのようにして求められた管固有のデータに応じて、個々のガラス管半製品を後処理する際に少なくとも1つのプロセスパラメータを制御することができる。当然ながら、梱包単位内でのガラス管半製品のポジションの上述の対応づけを、他の任意の手法においてもマッピングルールに従い設定しておくことができ、これには基本的に、関与する当事者がマッピングルールを入手可能であるかぎりは、ガラス管半製品のポジションのランダムな対応づけも含めることができる。
【0078】
本発明による方法は、狭い許容誤差範囲内に抑えられた任意の最終製品を製造するためのガラス管の後処理全般に適している。かかる最終製品の好ましい例は、薬用物質、医用物質のための容器であり、または化粧用物質のための容器でもあり、たとえばバイアル、カートリッジまたはシリンジである。
【0079】
ただし基本的に本発明による方法は、少なくとも部分的に実施される熱成形を含めガラス管を後処理する他の任意の方法にも適しており、たとえば、特にガラスの転移温度よりも高い温度で、少なくとも部分的に実施される熱成形をそれぞれが含む、ガラス管の外径および/または内径の増大または低減、ガラス管の延伸、ガラス管の外側断面および/または内側断面の変形などにも適している。
【符号の説明】
【0080】
1 ガラス管またはガラス管半製品
2 管ストランドマーキング
3 管マーキング
4 管識別情報
5 付加的な管データ
7 梱包単位
10 測定装置/測定およびマーキング装置
11 (ガラス管メーカにおける)制御装置
12 データベース
15 読み取り装置
16 (後処理する企業における)制御装置
17 ネットワーク
20 後処理装置
21 後処理装置20のサブユニット1
22 後処理装置20のサブユニット2
23 後処理装置20のサブユニット3
24 後処理装置20のサブユニット4
30 管ID1に対する管固有のデータ
31 管ID2に対する管固有のデータ
l 予め定められた間隔
z 長手方向