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特許7094100TCRab陽性細胞およびCD45RA陽性細胞を枯渇させた細胞組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】TCRab陽性細胞およびCD45RA陽性細胞を枯渇させた細胞組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20220624BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20220624BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220624BHJP
   C07K 1/13 20060101ALN20220624BHJP
   C12N 5/078 20100101ALN20220624BHJP
   A61K 35/14 20150101ALN20220624BHJP
【FI】
A61K35/17 A ZNA
A61K35/28
A61P37/02
C07K1/13
C12N5/078
A61K35/14 Z
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017249548
(22)【出願日】2017-12-26
(65)【公開番号】P2018138539
(43)【公開日】2018-09-06
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】16206909.0
(32)【優先日】2016-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520094891
【氏名又は名称】ミルテニー バイオテック ベー.フェー. ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Miltenyi Biotec B.V. & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Friedrich-Ebert-Strasse 68, 51429 Bergisch Gladbach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー フッパート
(72)【発明者】
【氏名】ウィン リョン
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ミルテニー
(72)【発明者】
【氏名】ユリア ヅィオネク
【審査官】六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-512345(JP,A)
【文献】Oncol.Res.Treat.,2016年10月,39(suppl 3),p.217, V710
【文献】Orphanet Journal of Rare Diseases,2016年01月,11,5, page.1-8
【文献】Eur.J.Immunol.,2016年08月,46(Suppl.1),p.728,767
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00-35/768
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨髄または血液に由来するサンプルから細胞集団を調製する方法であって、
a)前記サンプルを、前記サンプルの細胞の50~99%を含む第1の画分と、前記サンプルの細胞の50~1%を含む第2の画分とに分割するステップ、
b)前記第1の画分の細胞を、TCRα/βに対する第1のマーカーで標識するステップ、
c)前記第2の画分の細胞を、CD45RAに対する第2のマーカーで標識するステップ、
d)前記標識された細胞を前記第1および第2の画分から除去し、残りの細胞を合して細胞集団とするステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記第1のマーカーは、TCRα/βに対する抗体または抗原結合性フラグメントと、検出部分とを含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第2のマーカーは、CD45RAに対する抗体または抗原結合性フラグメントと、検出部分とを含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第1の画分および/または前記第2の画分および/または前記細胞集団の細胞を、CD19に対する第3のマーカーで標識し、前記標識された細胞を除去することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記第3のマーカーは、CD19に対する抗体または抗原結合性フラグメントと、検出部分とを含むことを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記第1および/または第2および/または第3のマーカーの前記検出部分は、蛍光色素、磁性粒子または放射性標識であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ステップd)において、第1の画分と第2の画分とを合し、前記合した画分から前記標識された細胞を除去することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
ステップd)において、標識された細胞を、前記第1の画分および前記第2の画分から別々に除去し、各画分の残りの細胞を合することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、骨髄または血液から得られる細胞組成物であって、細胞集団は、TCRα/β陽性細胞およびCD45RA陽性細胞が枯渇しているものとする細胞組成物、該細胞組成物を提供する方法ならびに該細胞組成物の使用に関する。
【0002】
背景
幹細胞移植は、血液学的、腫瘍学的、免疫学的および遺伝的な疾患の治療にますます利用されている。通常、幹細胞は、骨髄または白血球除去後に処理された動員された血液から抽出される。
【0003】
ドナーによっては、幹細胞移植には依然として、レシピエントに対する移植片の反応に由来する合併症(移植片対宿主病、GvHDまたはGvHR)が生じるという欠点がある。他の一般的な合併症としては、移植された幹細胞の生着の失敗、コンディショニングステップの毒性または長期のもしくは不完全な免疫再構築による治療下での感染が挙げられる。
【0004】
合併症を回避し、かつ幹細胞移植片を所与のレシピエントに適合させるべく、出発細胞組成物から特定の細胞亜集団を濃縮および/または枯渇させることが知られている。これに関して、いくつかの枯渇および/または濃縮戦略が先行技術に記載されている。特に、本分野において知られている方法は、CD34+細胞の濃縮およびCD3+細胞の枯渇である。
【0005】
米国特許出願公開第20140308250号明細書(US 20140308250 A1)に開示されたもう1つの方法では、骨髄または血液から得られる細胞集団からTCRα/β陽性細胞を枯渇させ、また同時にCD19陽性細胞を枯渇させる。このようにして得られた細胞集団を、幹細胞または骨髄の移植後のヒトの造血系の再構築に用いることができる。この細胞集団は、追加の免疫細胞、例えばナチュラルキラー細胞、γ/δT細胞、樹状細胞、単球を含む。これらの細胞集団は、抗腫瘍効果および/もしくは抗ウイルス効果を有するか、または幹細胞の生着に寄与する。しかし、この米国特許出願公開第20140308250号明細書(US 20140308250 A1)に開示された方法により得られる細胞組成物は、NK細胞およびγ/δT細胞単独よりも効率的に感染に対処しうる病原体特異的T細胞を含まない。
【0006】
ウイルス抗原に遭遇した際のサイトカイン分泌に基づく別個の細胞サンプルからのウイルス特異的T細胞の単離は、知られている。この方法は、高コストで時間がかかり、得られる細胞の量は少なく、処理に使用される抗原に対する反応性が限定的である。
【0007】
本発明の課題は、TCRα/β陽性細胞およびCD45RA陽性細胞の枯渇によって造血系の再構築に適切でありつつも、NK細胞、TCRγ/δT細胞、B細胞および血液樹状細胞の他にさらにメモリーT細胞をも含む方法ならびに細胞組成物を提供することである。
【0008】
本発明の主な用途は幹細胞移植であるが、感染、混合キメリズムおよび癌再発を治療するためのドナーリンパ球輸注のような養子細胞療法を含む他の臨床的状況においても、本発明を使用することができる。
【0009】
概要
本発明の第1の態様は、骨髄または血液に由来するサンプルから細胞集団を調製する方法であって、
a)前記サンプルを、前記サンプルの細胞の50~99%を含む第1の画分と、前記サンプルの細胞の50~1%を含む第2の画分とに分割するステップ、
b)前記第1の画分の細胞を、TCRα/βに対する第1のマーカーで標識するステップ、
c)前記第2の画分の細胞を、CD45RAに対する第2のマーカーで標識するステップ、
d)前記標識された細胞を前記第1および第2の画分から除去し、残りの細胞を合して細胞集団とするステップ
を含む方法である。
【0010】
本発明のもう1つの目的は、骨髄、全血または処理された血液から得られる細胞集団を含む医薬組成物であって、該細胞集団は、TCRα/β陽性細胞およびCD45RA陽性細胞が0.1~7.0 logだけ枯渇しているものとする医薬組成物である。
【0011】
本発明のさらなるもう1つの目的は、幹細胞もしくは骨髄の移植後にヒトの造血系を再構築するための;または、感染、混合キメリズムもしくは癌再発を養子細胞移植の形態で予防および治療するための、前記医薬組成物の使用もしくは使用方法である。
【0012】
以下の図を参照して、様々な例示的詳細を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1に、白血球除去物、TCRab枯渇画分および95:5の混合物(TCRab枯渇:CD45RA枯渇)についてのCD4+およびCD8+T細胞によるIFNγ生成から、各サンプルについて陰性対照を差し引いたものを示す。
図2図2に、TCRab枯渇画分および95:5の混合物(TCRab枯渇:CD45RA枯渇)についてのCD4+およびCD8+T細胞によるIFNγ生成から、各サンプルについて陰性対照を差し引いたものを示す。
図3図3に、同種異系細胞との相互作用に際しての、CD45RA陰性細胞およびCD45RA陽性細胞の細胞培養上清の細胞のBrdUカウント数ならびにインターフェロンγ含分を示す。
【0014】
詳細な説明
本発明の方法は、骨髄または血液に由来するサンプルから細胞集団を調製する方法を含む。「骨髄または血液に由来するサンプル」という用語には、骨髄、その画分または前処理された骨髄、全血、血液画分、血液製剤または処理された血液、白血球アフェレーシス(白血球除去)、静脈穿刺または骨髄穿刺により得られるすべての細胞集団が包含される。好ましくは、細胞調製物は、幹細胞移植の状況において幹細胞動員薬剤で予め処置された健康なドナーから得られる。
【0015】
「枯渇」という用語は、細胞集団から特定の細胞の量を減少させることを指す。この枯渇は、少なくとも2の対数段階により、好ましくは少なくとも3の対数段階により、特に好ましくは少なくとも4の対数段階(例えば4.6の対数段階)により、最も好ましくは少なくとも4ないし5の対数段階による、例えばTCRα/βまたはCD45RAのような細胞表面マーカーの存在(または非存在)によって定められる細胞の量に基づくことができる。
【0016】
対数段階による除去は、以下の通りである:1 log:不要な細胞を90%除去、2 log:不要な細胞を99%除去、3 log:不要な細胞を99.9%除去、4 log:不要な細胞を99.99%除去。分離性能を算出するための方法は当業者に知られており、例えばBosio et al., Isolation and Enrichment of Stem Cells, Advances in Biochemical Engineering and Biotechnology, Springer Verlag Berlin Heidelberg, 2009に記載されている。
【0017】
本発明の枯渇プロセスは、細胞表面マーカーTCRα/βおよび表面マーカーCD45RAを用いて行われる。この枯渇は、従来技術で知られているいずれの技術で実施されてもよく、例えばパニング、エルトリエーションまたは磁気細胞分離で行われることができる。枯渇効率が高いことから、例えばCLINIMACS PlusまたはCLINIMACS Prodigy装置(いずれもMiltenyi Biotec GmbHより入手可能)による磁気細胞分離を用いる枯渇が好ましい。
【0018】
さらなる変形形態において、本発明は、細胞集団を調製するための方法に関し、特にインビトロで細胞集団を調製するための方法に関する。本方法は、以下のステップを含む。
【0019】
- ドナーの骨髄または血液に由来する細胞サンプル(すなわち、特にTCRα/β陽性細胞およびCD45RA陽性細胞を含む集団の細胞サンプル)を準備するステップ、
- 前記細胞サンプルを、第1の画分と第2の画分とに分割するステップ、
- 前記第1の細胞集団からTCRα/β陽性細胞を枯渇させるステップ、
- 前記第2の細胞集団からCD45RA陽性細胞を枯渇させるステップ、
- 前記TCRα/β枯渇生成物と前記CD45RA枯渇生成物とを合するステップ。
【0020】
好ましくは、TCRα/β陽性細胞の枯渇は、TCRα/βに対する抗体または抗原結合性フラグメントを用いて行われる。受容体TCRα/βの配列番号1~11(配列プロトコル参照)によるタンパク質またはヌクレオチド配列に基づき、TCRα/βに対する抗体フラグメントもしくは抗原フラグメントまたはそれらの誘導体もしくは複合体を作製し、これをTCRα/β陽性細胞の枯渇に用いることができる。
【0021】
好ましい一実施形態において、本方法は、以下のステップをさらに含む:第1の画分および/または第2の画分および/または細胞集団のCD19を発現する細胞を、第3のマーカーで標識し、標識された細胞を除去するステップ。
【0022】
標識
本発明の方法において使用される第1、第2および/または第3のマーカーは、それぞれTCRα/βおよび/またはCD45RAおよび/またはCD19に対する抗体または抗原結合性フラグメントと、検出部分とを含みうる。
【0023】
これらのマーカーの検出部分は、同一であっても異なっていてもよく、蛍光色素、磁性粒子または放射性標識であってもよい。
【0024】
CD45RAは、ナイーブT細胞およびナイーブB細胞上の表面分子である。「CD45RA陽性細胞」という用語は、表面上にCD45RA分子を発現する細胞を指し、このCD45RA分子に、適切なCD45RA結合性分子、例えばCD45RAに対する抗体が、特異的に結合しうる。
【0025】
TCRα/βは、T細胞上の表面分子である。「TCRα/β陽性細胞」という用語は、表面上にTCRα/β分子を発現する細胞を指し、このTCRα/β分子に、適切なTCRα/β結合性分子、例えば抗体が、特異的に結合しうる。
【0026】
「抗体」という用語は、ヒト由来または動物由来の、例えばラット、ウサギ、ヤギ、ウマもしくはマウス由来のいずれのモノクローナルまたはポリクローナル抗体をも指すとともに、これらの抗体の誘導体であって結合能力または元の抗体を大部分保持するものをも指す。これらの抗体の好ましい誘導体はキメラ抗体であり、これには例えば、マウスまたはラットの可変領域とヒトの定常領域とのキメラ抗体が含まれる。「抗体」という用語には、二官能性または二重特異性の抗体および抗体構築物、例えば1本鎖由来のFv(scFv)または抗体融合タンパク質も含まれる。「scFv」という用語(1本鎖Fvフラグメント)は当業者に知られており、このフラグメントが組換え様式で生成されることが好ましい。
【0027】
本発明において利用される抗体は、ヒト抗体であってもヒト化抗体であってもよい。「ヒト化抗体」という用語は、少なくとも1つの抗体結合部位(相補性決定領域、CDR)、例えばCDR3、好ましくは6つのCDRすべてが、所望の特異性を有するヒト抗体由来のCDRにより置換されたヒト抗体を指す。必要に応じて、非ヒト定常領域をヒト抗体の定常領域に置換した。ヒト抗体の生成方法は、例えば欧州特許出願公開第0239400号明細書(EP 0239400 A1)および国際公開第90/07861号(WO 90/07861 A1)に記載されている。
【0028】
「抗原結合性フラグメント」という用語は、例えば、分離された軽鎖および重鎖、Fab、ab/c、Fv、Fab’F(ab’)2のような、上記に定義した抗体のフラグメントを指す。抗原結合性フラグメントは、軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含むことができるが、必ずしも両方を一緒に含むわけではない。
【0029】
第1、第2および/または第3のマーカーの検出部分は、蛍光色素、磁性粒子または放射性標識であってもよい。検出部分を抗体または抗原結合性フラグメントに接合させるのに適した検出部分および方法は、当業者に周知である。
【0030】
枯渇
本発明の方法において、サンプルの細胞を、第1の画分と第2の画分とに分割する。好ましくは、第1の画分は、サンプルの細胞の60%~99%、70%~99%、75%~99%、85%~99%、90%~99%または95%~99%を含み、第2の画分は、合計で100%となる各範囲を含む。
【0031】
既に記載した通りに各画分の細胞を標識した後に、第1の画分および第2の画分に由来する標識された細胞を、サンプルから除去する。標識された細胞の除去は、検出部分の性質に基づいて達成される。検出部分が蛍光色素である場合には、FACSのような蛍光ベースの方法またはTYTO装置(Miltenyi Biotec GmbH)を用いて除去が行われる。検出部分が磁性粒子である場合には、当業者に知られているような磁気細胞選別が用いられる。磁気細胞選別を含む好ましい一実施形態については、後述する。
【0032】
標識された細胞の除去を、ステップd)において、第1の画分と第2の画分とを合し、この合された画分から標識された細胞を除去する第1の実施態様において達成することができる。各画分が蛍光色素および磁性粒子のような異なる性質の検出部分を含む場合、または比較的純粋な枯渇が望まれる場合には、この戦略が好ましい。
【0033】
本発明の第2の実施形態では、ステップd)において、標識された細胞を、第1の画分および第2の画分から別々に除去し、各画分の残りの細胞を合する。この第2の戦略は、同様の性質を有する検出部分またはさらには同一の検出部分を使用する場合、および/または比較的迅速な処理が望ましい場合に好ましい。
【0034】
本発明の方法を、例えば次のようないくつかの変形形態で実施することができる。
【0035】
変形形態A) サンプルの10%の細胞からCD45RA細胞を枯渇させ、次いでサンプルの90%からTCRα/β(またはTCRα/βおよびCD19)を枯渇させ、枯渇させた細胞サンプルの双方を合する。
【0036】
変形形態B) サンプルの10%からCD45RA細胞を枯渇させ、次いでサンプルの90%からTCRα/β(またはTCRα/βおよびCD19)を枯渇させるが、双方のサンプルを2つの別々の個々の生成物として保持する。
【0037】
変形形態C) サンプルの10%をCD45RAで標識し、次いでサンプルの90%をTCRα/β-ビオチンで標識し、得られた画分を合し、次いで生成物全体を抗ビオチン試薬で標識し、磁気により分離する。必要に応じて、各標識ステップの間/後に洗浄ステップを行う。
【0038】
変形形態D) サンプルの10%をCD45RAで標識し、次いでサンプルの90%をTCRα/β-ビオチンで標識し、抗ビオチン試薬で標識し、得られた画分を合し、磁気により分離する。必要に応じて、各標識ステップの間/後に洗浄ステップを行う。
【0039】
変形形態E) カラムに1回通すかまたはカラムに2回通すことによる、磁気による枯渇ステップ(「バルク枯渇」+「敏感枯渇」)(これにより、最も高い枯渇効率が得られる)。
【0040】
変形形態F) カラムに1回通すことによりCD45RA部分を磁気により枯渇させ、2回通すことによりTCRα/β部分を磁気により枯渇させる。
【0041】
変形形態G) サンプルを処理し、次いで再度緩衝液で処理して、輸注に適した溶液とする。
【0042】
変形形態H) サンプルを、(CliniMACS緩衝液ではなく)輸液で処理する。
【0043】
標識された細胞の除去を行ういずれの変形形態においても同様に、残りの細胞を合して、TCRab陽性細胞およびCD45RA陽性細胞の少なくとも一部を欠く細胞集団とする。好ましくは、TCRabおよびCD45RA二重陽性細胞の総数は、レシピエントの体重1キログラム当たり2万5千個未満または全有核細胞集団の0.1%未満であり、例えば0.03%未満またはさらには0.005%未満である。
【0044】
例えば、TCRα/βおよびCD45RA二重陽性T細胞を99.99%超枯渇させて(4 log)、最終細胞量が、患者の体重1kg当たり25,000個未満のTCRab+/CD45RA+細胞となるように、すなわち100kgの患者に対して250万個未満の細胞となるようにすることが望ましい。TCRα/β陽性/CD45RA陰性のメモリーT細胞を、安全であるが免疫学的に有効な量に、すなわち10万~1億個/kg、または100kgの患者に対して10E6~10E9個の細胞となるように保持することが望ましい。TCRα/β陰性細胞(CD45RA陽性細胞集団およびCD45RA陰性細胞集団の双方)を、100kgの患者に対して、例えば全細胞量が約2.4E9個(すなわち5百万~2億5千万個/kgの範囲内)のγ/δT細胞となるように、または2千4百万個(すなわち500E6~25E9個の範囲内)のγ/δT細胞となるように維持することが望ましい(可能な限り低度の枯渇)。
【0045】
自動処理
好ましい一実施形態においては、細胞サンプル、標識複合体、洗浄緩衝液、廃棄物および所望の細胞集団のための保管容器と、1つまたは複数の遠心分離チャンバーと、標識複合体の検出部分に適した検出および分離の手段と、連結目的のチュービングセットとを含む自動化された閉鎖系内で、プロセス全体が行われる。「自動化された閉鎖系」という用語は、無菌状態での使用に適合された系を指し、すなわち、無菌圧力補償のための手段の有無にかかわらず、また手動での対応を必要としない、気密および液密となるように閉鎖された系を指す。そのようなシステムは例えば、国際公開第2009072003号(WO2009072003A2)または国際公開第2009072006号(WO2009072006A2)に記載されており、Miltenyi Biotec GmbHによりCLINIMACS PlusまたはCLINIMACS Prodigyの商品名で商品化されている。
【0046】
自動化処理には、第1および第2の画分についての所定の分割比に出発物質を分割すること、サンプル中の細胞数を測定すること、適切な量の抗体または細胞分離試薬を添加すること、該試薬とともに該細胞生成物を適切な温度での適切な撹拌下にインキュベートすること、未結合の試薬を遠心分離により除去して上清を除去すること、低速遠心分離により血小板内容物を除去して上清を除去すること、該細胞を磁場内の磁気分離カラムに通して該細胞生成物を所定の容量および溶液中で構成することが含まれる。
【0047】
医薬組成物
本発明の方法を用いて、医薬組成物を得ることができる。したがって本発明のもう1つの目的は、骨髄または血液から得られる細胞集団を含み、該細胞集団は、TCRα/β陽性細胞およびCD45RA陽性細胞が0.1 log~7.0 logだけ枯渇している医薬組成物である。
【0048】
好ましくは、該医薬組成物を、開示された本発明の方法により得ることができる。
【0049】
幹細胞もしくは骨髄の移植後にヒトの造血系を再構築するために;または感染、混合キメリズムもしくは癌再発を養子細胞移植の形態で予防および治療するために、該医薬組成物を使用することができる。
【0050】
幹細胞および骨髄の移植
骨髄移植の場合には、約1リットルの骨髄-血液混合物が、全身麻酔下でドナーの骨盤から採取される。
【0051】
この血液から幹細胞を採取するために、自身の体内ホルモン様物質を数日間にわたってドナーに投与して、幹細胞の生成および骨髄から血液循環系へのその移行を刺激する。骨髄または血液幹細胞を採取するためのドナーの前処置のための方法は従来技術であり、当業者に知られている。
【0052】
血液幹細胞移植の目的は、血液細胞へと分化しうる健康な幹細胞集団をレシピエントに与えることである。それにより、レシピエントの不完全なまたは病的な細胞が置き換えられる。同種異系移植では、組織は、健康なドナーに由来する。このドナーは、一卵性同胞双生児、HLA一致同胞、HLA不一致血縁者(不適合血縁ドナー)、ハプロイド一致ドナーまたは非血縁HLA適合ドナーであることができる。同種異系移植の主な目的は、例えばレシピエントの骨髄のような病気のまたは不完全な造血系を、免疫系を含む健康で機能的な造血系に完全に置き換えることである。しかし、幹細胞移植を、自己由来の、すなわち患者自身の細胞を用いて行うこともできる。
【0053】
第1に選択されるドナーは、関連する組織適合抗原HLA-A、B、C、DRBIおよびDQB1に関して一致している同胞(Identical Sibling:IdSib)である。しかし、このような一致同胞は約30%の事例でしか見出すことができないため、HLA一致非血縁ドナー(適合非血縁ドナー、MUD)を探す必要があることが多い。まだすべての組織適合抗原が解明されるには程遠く、限られた数の対立遺伝子しか試験することができないため、一致非血縁ドナーとの適合性は、同胞ドナーとの適合性よりも低いことを想定する必要がある。
【0054】
非常に多くの大部分の患者集団が、依然としてドナーを得ていないままである。こうした患者には、HLA対立遺伝子のうちの1つのハプロタイプのみがレシピエントと合致している、すなわちハプロ一致である血縁ドナーを使用することができる。
【0055】
造血幹細胞移植に最もよく使用されるのは、非血縁ドナー(MUD)の移植片である。MUDの状況における操作されていない移植片に関しては、GvHDが主要な合併症である。GvHDの重篤な症状は、生命を脅かすものと考えられるべきであり、これには免疫抑制物質による高度の治療が必要とされるが、これに関しては応答効率が約40%であることが記載されている。
【0056】
移植
実際の移植は、2つの段階に分けることがでる。化学療法および/または放射線療法によるコンディショニングによりレシピエントの免疫系が破壊され、そうすることで、移入もしくは移植された骨髄または幹細胞が拒絶されなくなる。すなわち、レシピエントは、移植片の生着の準備が整う。このことが良好に達成されるほど、移植片の非生着または拒絶のリスクが低下する。コンディショニングの強度に応じて、達成すべき目標は、患者の中に残っている白血病細胞または悪性細胞を破壊することである。移植は、0日目に静脈内で行われる。移植片が生着し、直ちに生じる毒性が次第に弱まるまで、患者は通常はこのような症例に適した病室内に留まる。移植片が生着し、直ちに生じる毒性が弱まった後、最初の3カ月間に厳密なモニタリングが必要とされる。モニタリングの強さは、ドナーの種類および合併症に大きく依存し、これは次第に、生涯にわたる定期的なアフターケアとなる。
【0057】
適応症/使用
本発明のもしくは本発明の方法により得られた細胞集団または医薬組成物は、造血系の先天性および後天性の悪性および非悪性の疾患のような、同種異系幹細胞移植を必要とするすべての医学的適応症の治療に使用されうる。この治療には、同種異系幹細胞移植が含まれうる。特に、本発明によるまたは本発明の方法により得られた医薬組成物を、幹細胞または骨髄の移植後のヒトの造血系の再構築に使用することができる。さらに、本発明によるまたは本発明の方法により得られた医薬組成物を、遺伝子改変またはさらなる細胞操作の有無にかかわらず養子細胞移植の形態での感染、混合キメリズム、癌再発または免疫異常症の予防および治療に使用することができる。さらなる適応症は、化学療法または放射線療法の用量増強に応答する悪性疾患である。
【0058】
治療の際に、GvHDを制御するために、シクロスポリン、コルチコステロイド、代謝拮抗剤およびモノクローナル抗リンパ球抗体のような免疫抑制剤を使用することができる。
【0059】
該医薬組成物の好ましい一実施形態において、該組成物は、製薬学的に許容される少なくとも1つの担体または添加剤をさらに含む。このような担体または添加剤は、当業者に知られている。
【0060】
同種異系移植が示されているかまたはTCRα/β、CD45が枯渇した細胞調製物の治療効果を期待することができる、癌、例えば白血病と、他の疾患、例えば急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、再生不良性貧血、地中海貧血、先天異常(HHS)および固形腫瘍(例えば神経芽細胞腫、肉腫など)の治療のために、該医薬組成物を投与することができる。
【0061】
さらに、造血系の良好な再構築を達成するためには、同種異系移植の際に、十分な量のCD34+細胞を移入する必要がある(レシピエントの体重1kg当たり少なくとも2百万個、より良好には4百万個を上回る)。細胞分離後に十分なメモリーT細胞が維持される場合(例えば、1kg当たり100万個を上回るCD45RA-T細胞)には、B細胞を移植片内で保持してB細胞免疫を維持することができる。あるいは、CD19の枯渇により移植片から除去されるB細胞は、可能な限り少ない数で存在するか、または例えばインビボでの抗CD20抗体の投与によってレシピエントにおいて後で除去されることが望ましい。
【0062】
ヒト患者に投与すべき枯渇された細胞集団の量は典型的には、2×10E10~1×10E11個のリンパ球である。
【0063】
上記で概説した例示的な実施態様に関連して様々な詳細を説明してきたが、上記の開示を検討することにより、既知のまたは予見されないもしくは現在は予見できない様々な代替形態、変更形態、変形形態、改良形態および/または実質的な等価物が明らかになりうる。したがって、上記の例示的な実施形態は、説明を意図したものであり、これらに限定されるものではない。
【0064】
実施例
抗原特異的T細胞は、幹細胞移植後の免疫防御を支援することができるとともに、様々な疾患(例えばCMV、EBV、インフルエンザ)から患者を守ることができよう。CD45RAおよびCD45ROの発現により、T細胞を、CD45RO+/CD45RA-であるメモリーT細胞と、CD45RA+/CD45RO-であるナイーブT細胞とに分けることができる。
【0065】
CD45RO+メモリーT細胞は、反復的な抗原接触(例えばCMV、EBVまたはインフルエンザ由来の抗原)によって再活性化されることができ、いくつかのサイトカイン(例えばIFNγ)を生成して感染に対する免疫応答を引き起こす。CD45RA枯渇血液製剤(例えばLPまたは全血)は、主にCD45RO+メモリーT細胞を含む。この細胞は、様々な抗原に反応してINFγを生成しうる。
【0066】
対照的に、TCRab枯渇細胞性生成物ではCD45RO+メモリーT細胞も枯渇しており、これらの細胞性生成物においては、抗原特異的T細胞はほとんど期待されない。
【0067】
本発明の方法では、分離戦略として、TCRabの枯渇とCD45RAの枯渇との組み合わせを用いる。一例として、標的細胞画分は、TCRab枯渇生成物95%およびCD45RA枯渇生成物5%を含む。
【0068】
実験の全般的説明
略称の一覧:CMV:サイトメガロウイルス、EBV:エプスタイン・バール・ウイルス、IFNγ:インターフェロンγ、LP:白血球除去物、MQ:MACSQuant Analyzer 10、SEB:ブドウ球菌エンテロトキシンB、TCRab:T細胞受容体αβ。
【0069】
以下の実験において、TCRabの枯渇およびCD45RAの枯渇を、1つのLP(TCRab枯渇に対して1/2LPおよびCD45RAに対して1/2LP)で実施した。TCRab枯渇画分95%とCD45RA枯渇画分5%とを混ぜ合わせ、様々な抗原で刺激した。インキュベーションを6時間行った後、細胞内染色およびMQでの測定によってINFγ生成を測定した。この95:5の混合物のINFγの生成を、未分離のLPおよびTCRab枯渇画分と比較した。
【0070】
実験のステップ毎の説明
A)白血球除去サンプルの分割
半分を、CliniMACS Prodigy(Miltenyi Biotec GmbH)を用いたLP-TCRabの枯渇に用いる。
【0071】
半分を、CliniMACS Prodigy(Miltenyi Biotec GmbH)を用いたCD45RAの枯渇に用いる。
【0072】
B)枯渇後、TCRab枯渇画分およびCD45RA枯渇画分を、95:5の細胞比で混合する。
【0073】
C)以下の画分を、データシートRapid Cytokine Inspector(CD4/CD8 T Cell)Kit, 130-097-343(Miltenyi Biotec GmbH)により行われるRapid Cytokine Assay(抗原特異的T細胞の検出)に使用する:
・未分離の白血球除去物、
・TCRab枯渇画分、
・95:5の混合物(TCRab枯渇画分:CD45RA枯渇画分)。
【0074】
D)すべての画分を、各刺激剤のデータシートにしたがって以下の抗原で刺激する:
・CEF-Pool→データシート130-098-426(PepTivator(登録商標) CEF MHC Class I Plus)(Miltenyi Biotec GmbH)、
・CMV(pp56およびIE-1 Peptivator)→データシート130-093-493(Miltenyi Biotec GmbH)(PepTivator(登録商標)CMV IE-1)および130-093-438(PepTivator(登録商標)CMV pp65)(Miltenyi Biotec GmbH)、
・EBV-Consensus-Pool→データシート130-099-764(PepTivator(登録商標)EBV Consensus)(Miltenyi Biotec GmbH)、
・SEB(陽性対照)、
・刺激なし(陰性対照)。
【0075】
細胞を37℃で6時間刺激し、2時間後にブレフェルジンAを添加する(エキソサイトーシスのブロック)。
【0076】
F)抗IFNγ-PEおよびRapid Cytokine Inspectorによる細胞内染色、これは、データシートRapid Cytokine Inspector(CD4/CD8 T Cell) Kit, 130-097-343(Miltenyi Biotec GmbH)およびRapid Cytokine Inspector Anti-Cytokine Antibodies, 130-097-600(Miltenyi Biotec GmbH)により行われる。
【0077】
G)MACSQuant Analyzer 10(Miltenyi Biotec GmbH)での、染色された細胞の測定。
【0078】
実験結果
IFNγ+T細胞(IFNγ生成)の頻度が高いほど、抗原特異的細胞の反応が高度になり、幹細胞移植に対するプラスの効果が高くなる。この効果は、95:5の混合物については期待されるが、標的細胞のTCRab枯渇画分については期待されない。
【0079】
95:5の混合物(TCRab枯渇画分:CD45RA枯渇画分)は、TCRab枯渇画分と比較して、CEF-PoolおよびCMVでの刺激後にIFNγが生成されることを示す。このことは、95:5の混合物がCMVに対する抗原特異的T細胞およびCEF-Pool(CMV、EBV、インフルエンザ)由来のペプチドを含むことを示している。このことは、TCRab枯渇画分と比較して有利である。
【0080】
図1に、白血球除去物、TCRab枯渇画分および95:5の混合物(TCRab枯渇:CD45RA枯渇)についてのCD4+およびCD8+T細胞によるIFNγ生成から、各サンプルについて陰性対照を差し引いたものを示す。TCRab枯渇画分と比較して、「95:5の混合物(TCRab枯渇:CD45RA枯渇)」のカラムから、IFNγ生成のプラスの効果を見て取ることができる。
【0081】
図2に、TCRab枯渇画分および95:5の混合物(TCRab枯渇:CD45RA枯渇)についてのCD4+およびCD8+T細胞によるIFNγ生成から、各サンプルについて陰性対照を差し引いたものを示す。TCRab枯渇画分由来の細胞は反応を示さず、すなわちIFNγ生成を示さないが、一方で本発明の方法により得られた細胞は、IFNγ生成のプラスの効果を示す。
【0082】
本発明の方法で得られた抗原特異的T細胞は、幹細胞移植後の免疫防御を支援することができるとともに、様々な疾患(例えばCMV、EBV、インフルエンザ)から患者を守ることができよう。
【0083】
同種異系反応性の低下
未処理のアフェレーシス生成物は、同種異系反応性T細胞を含み、これによって患者への輸注後に重度の副作用が生じる可能性がある。TCRα/βの枯渇によって、同種異系反応性が除かれる。同種異系反応性細胞がCD45RA枯渇生成物に含まれている場合には、TCRα/β枯渇生成物とCD45RA枯渇生成物の組み合わせ物は、これらの同種異系反応性細胞を含みうる。
【0084】
手法:末梢血単核細胞を、磁気細胞選別によってCD45RA陽性細胞とCD45RA陰性細胞とに分離した。γ線を照射した第三者のPBMCを、共培養系においてCD45RA陽性または陰性のレスポンダー細胞を活性化するための刺激細胞として使用した。CD45RA陽性細胞およびCD45RA陰性細胞の増殖応答を、BrdUカウント数によって評価した。活性化状態を、細胞培養上清中のインターフェロンγの定量によって評価した。独立した3回の実験を行った。
【0085】
結果:CD45RA陽性細胞は、CD45RA陰性細胞と比較して有意に高いBrdUカウント数を有していた(200000対40000)。このことは、同種異系細胞との相互作用時に、CD45RA陽性細胞では活性増殖が生じるが、CD45RA陰性細胞では活性増殖が生じないことを示している。同種異系細胞との相互作用時に、CD45RA陽性細胞の上清ではインターフェロンγが検出されたが、CD45RA陰性細胞の上清ではインターフェロンγが検出されなかった。
【0086】
結論:TCRα/β枯渇幹細胞生成物にCD45RA枯渇細胞を加えても、この幹細胞生成物の、望ましくない同種異系反応性が生じる可能性が高まることはない。
【0087】
細胞生成物/医薬組成物の製造
CliniMACS plusにおいて:分離プログラムDEPLETION 3.1を設定し、CliniMACS Depletion Tubing Setを使用する。TCRab標識生成物を用いて実行したDEPLETION 3.1/Depletion Tubing Setの敏感な枯渇を完了させる直前に、CD45RA標識細胞(5%)を、再適用のバッグに加えた。
【0088】
枯渇前の組成:
(1.12E10=2.74E9の)TCRab+/CD45RA+細胞24.5%
枯渇後の組成:
(3.33E9=1E6の)TCRab+/CD45RA+細胞0.03%、TCRab+/CD45RA+細胞の、3.43 logの枯渇。
図1
図2
図3
【配列表】
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