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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】熱源装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/10 20060101AFI20220624BHJP
   F16K 1/00 20060101ALI20220624BHJP
   F16K 31/04 20060101ALI20220624BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20220624BHJP
【FI】
F16K11/10 Z
F16K1/00 A
F16K31/04 K
F24H1/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018054215
(22)【出願日】2018-03-22
(65)【公開番号】P2019167980
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000129231
【氏名又は名称】株式会社ガスター
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093894
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 清
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 毅
(72)【発明者】
【氏名】池田 賢司
(72)【発明者】
【氏名】竹下 昌也
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 一幸
(72)【発明者】
【氏名】野々山 昌生
(72)【発明者】
【氏名】島津 智行
(72)【発明者】
【氏名】古川 真也
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-132102(JP,A)
【文献】特開2012-017793(JP,A)
【文献】特開2004-101061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00-1/54
11/00-11/24
31/00-31/05
F24H 1/00
1/18-1/20
4/00-4/06
15/00-15/10
15/212
15/375
15/395-15/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体流通用の第1の流路の一端側に該第1の流路と交わる方向に伸設された流路分岐用通路が接続形成され、該流路分岐用通路の前記第1の流路と交わる側の一端側からは液体流通用の第2の流路が伸設形成されて前記流路分岐用通路の他端側からは液体流通用の第3の流路が伸設形成され、前記流路分岐用通路の前記一端側と他端側間の通路には流路開閉弁が設けられて、該流路開閉弁は前記流路分岐用通路の伸長方向に伸長されて該流路分岐用通路の伸長方向に沿って移動自在に設けられたロッドと、該ロッドの前記流路分岐用通路の前記一端側に設けられた第1の弁体と前記ロッドの他端側に設けられた第2の弁体とを有し、前記第1の弁体はその先端側を前記流路分岐用通路の前記一端側の向きにして設けられ前記第2の弁体はその先端側を前記流路分岐用通路の前記他端側の向きにして設けられ、前記第1の流路は前記第1および第2の弁体の配置部位で前記流路分岐用通路に接続されており、前記第1と第2の弁体はそれぞれ前記ロッドに抜け止め状態で該ロッドの伸長方向に摺動自在に設けられ、該ロッドの外周側には一端側が前記第1の弁体に支持されて他端側が前記第2の弁体に支持されたバネ体が前記ロッドの伸長方向に伸縮自在に設けられており、前記流路開閉弁は、前記ロッドを前記流路分岐用通路の伸長方向に沿って進退移動させることにより、前記第1の弁体を該第1の弁体の弁閉位置とし前記第2の弁体を該第2の弁体の弁閉位置として前記第1の流路と前記第2の流路および前記第3の流路との液体流通を共に断つ非接続状態と、前記第2の弁体を該第2の弁体の弁閉位置として前記第1の弁体を該第1の弁体の弁閉位置から離れる方向に前記ロッドに連動させて開弁移動させることにより前記第1の流路と前記第2の流路との間にのみ液体を流通させる第1の接続状態と、前記第1の弁体を該第1の弁体の弁閉位置として前記第2の弁体を該第2の弁体の弁閉位置から離れる方向に前記ロッドに連動させて開弁移動させることにより前記第1の流路と前記第3の流路の間にのみ液体を流通させる第2の接続状態とを切り替え自在と成しており、前記第1の弁体と前記第2の弁体の少なくとも一方の弁体は該弁体の先端側が前記流路分岐用通路と前記第1の流路側との接続側の部位と該接続側の部位とは反対側の部位とが異なる形状を有し、該異なる形状を有する弁体には、該弁体の先端側の前記流路分岐用通路と前記第1の流路との接続側の部位においては前記第1または第2の対応する接続状態において該弁体が前記弁閉位置から離れたときに該弁体の先端側における前記流路分岐用通路と前記第1の流路との接続側の部位の側周面の領域と前記流路分岐用通路の内周面との間に液体が流れる隙間が形成されるように形成されるとともに、該弁体の先端側における前記流路分岐用通路と前記第1の流路との接続側の部位とは反対側の部位の側周面においては該弁体が前記弁閉位置から離れても前記流路分岐用通路の内周面に隙間無く当接して液体の流れを閉塞する閉塞部を形成する流れ規制手段が設けられていることにより、該流れ規制手段が設けられた弁体が前記弁閉位置から離れても液体が前記流路分岐用通路の前記第1の流路との接続側にのみ流れて前記流路分岐用通路と前記第1の流路との接続側の反対側には流れず前記流路開閉弁の前記バネ体の配設領域には流れない構成と成していることを特徴とする三方弁。
【請求項2】
前記隙間は前記弁体に形成された切り欠きにより形成されていることを特徴とする請求項記載の三方弁。
【請求項3】
前記流れ規制手段が設けられている弁体が前記ロッドの伸長方向に摺動するときに前記弁体の前記ロッドと交わる方向の向きが変わらないようにする弁体向き維持手段が設けられていることを特徴とする請求項または請求項記載の三方弁。
【請求項4】
前記第1と第2の少なくとも一方の弁体は先端側に向けて断続的または連続的に縮径する形状を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載の三方弁。
【請求項5】
前記第1の弁体と前記第2の弁体の少なくとも一方の基端側には、前記流路開閉弁が前記第1の接続状態にあるときと前記第2の接続状態にあるときに前記流路開閉弁の前記バネ体の配設領域を覆うカバー部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項にいずれか記載の三方弁。
【請求項6】
浴槽に接続される追い焚き循環通路を有し、該追い焚き循環通路に請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載の三方弁が設けられていることを特徴とする熱源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路を切り換える機能を有する三方弁およびその三方弁を備えた熱源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11には、本出願人が提案している熱源装置の構成例が模式的なシステム構成図により示されている。この熱源装置10は、給湯機能と暖房機能を有しており、同図に示されるように、器具ケース12内に燃焼室13が設けられ、燃焼室13内には、給湯用のバーナ装置14と暖房用のバーナ装置15が設けられている。これらのバーナ装置14、15には、ガス供給通路70を通して燃料ガスが供給されるものであり、図11の図中、符号71,171はガス電磁弁、符号72はガス比例弁をそれぞれ示す。バーナ装置14,15の下方側には、バーナ装置5の給排気用の燃焼ファン11が設けられている。
【0003】
燃焼室13内には、給湯用のバーナ装置14により加熱する給湯熱交換器16,17と、暖房用のバーナ装置15により加熱する暖房用熱交換器18,19とが設けられている。給湯熱交換器16と暖房用熱交換器18は、排気ガス(燃焼ガス)中の顕熱を回収するメインの熱交換器であり、給湯用熱交換器17と暖房用熱交換器19は、排気ガス中の潜熱を回収する潜熱回収用の熱交換器である。なお、周知の如く、潜熱回収用の熱交換器も排気ガス中の顕熱も回収するものである。潜熱回収用の熱交換器17,19はそれぞれ、メインの熱交換器16,18よりも、熱交換器内を通る熱媒体の流れの上流側に設けられる。
【0004】
給湯熱交換器17の入口側には給水通路21が設けられており、給水通路21には、給水通路21を流れる湯水の量を検出することにより給湯の水量を検出する流量検出手段26と、給湯流量を可変するため水量サーボ25が設けられている。なお、給水通路21に、入水温度を検出する入水温度センサを設けてもよいが、この例では、入水温度センサを設けずに演算により入水温度を検出する構成と成している。
【0005】
また、給湯熱交換器16の出口側には給湯通路22が設けられており、給湯通路22の先端側は、適宜の給湯先に導かれている。この給湯通路22と給水通路21とを、給湯交換器16,17を介さずに接続するバイパス通路23が設けられ、バイパス通路23の給水通路21との接続部には、バイパス流量弁としてのバイパスサーボ24が設けられている。給湯通路22には、給湯熱交換器16の出側に熱交出側温度検出センサ27が設けられ、バイパス通路23の形成部よりも下流側に出湯湯温検出センサ28が設けられている。
【0006】
また、前記暖房用熱交換器18,19は、液体循環通路5に設けられており、液体循環通路5には、シスターンタンク31と、液体の熱媒体を循環させる液体循環ポンプ33とが設けられ、暖房用熱交換器18,19は、液体循環ポンプ33の駆動によって循環する熱媒体を加熱する機能を有する。シスターンタンク31の一部は大気開放と成しており、シスターンタンク31には、例えば液体の体積膨張等によってシスターンタンク31から溢れた液体のオーバーフロー通路(図示せず)が接続され、オーバーフロー通路の先端部は熱源装置の外部(排水口等)に導かれている。シスターンタンク31には、補水調整弁59を介して補水用通路58が接続されており、必要に応じて水を補給できるように形成されている。
【0007】
液体循環通路5は、器具ケース1内に設けられた管路34,36,40,41,42,43,45,46,47,143を有する暖房回路と、器具ケース12の外部に設けられた外部通路の管路37,38,44,48とを有している。管路43は暖房用熱交換器18の出側に設けられており、管路43には暖房用熱交換器18を通って導出される液体の温度を検出する暖房高温サーミスタ62が設けられている。一方、暖房用熱交換器18の入側の管路34と管路36との接続部位には、暖房用熱交換器18に導入される液体の温度を検出する暖房低温サーミスタ61が設けられている。
【0008】
また、熱源装置10には、往管52と戻り管54を有する追い焚き循環路103を介して浴槽102が接続されており、この追い焚き循環路103は、熱交換器104を介して前記液体循環通路5と熱的に接続されている。熱交換器104は追い焚き循環路103と液体循環通路5の管路46との液―液熱交換器により形成された浴槽湯水追い焚き用の熱交換器である。追い焚き循環路103には、浴槽湯水を循環させる浴槽湯水循環ポンプ49が設けられ、熱交換器104は、浴槽湯水循環ポンプ49の駆動によって追い焚き循環路103を循環する湯水と液体循環通路5を通る(循環する)液体との熱交換によって浴槽湯水を加熱する構成と成している。なお、符号50は流水センサを示す。
【0009】
追い焚き循環路103には、浴槽湯水の温度を検出する風呂温度センサ63と、熱交換器104を通って加熱された湯水の温度を検出する温度センサ64とが設けられており、浴槽湯水の水位を検出する水位センサ(図示せず)が適宜設けられる。浴槽湯水循環ポンプ49の吸入口側に戻り管54の一端側が接続され、戻り管54の他端側は循環金具106を介して浴槽102に連通接続されている。浴槽湯水循環ポンプ49の吐出口側には往管52の一端側が接続され、往管52の他端側は循環金具105を介して浴槽102に連通接続されている。なお、循環金具105,106は、同図に示されるように分けて設置されるとは限らず、1つの循環金具に往管52と戻り管54が接続される構成としてもよい。
【0010】
前記給湯通路22には、分岐通路23の形成部および出湯湯温検出センサ28の配設部よりも下流側に、管路107を介して注湯水ユニット57が接続されており、注湯水ユニット57には逆止弁56が設けられている。注湯水ユニット57には風呂用注湯導入通路55の一端側が接続され、風呂用注湯導入通路55の他端側は、前記戻り管54に接続されている。なお、給湯熱交換器16,17から給湯通路22と管路10、注湯水ユニット57、風呂用注湯導入通路55、追い焚き循環通路103を順に通って浴槽102に至るまでの通路によって、湯張りや注水を行うための湯張り注水通路が構成されている。
【0011】
追い焚き循環通路103には、三方弁8,9が設けられており、三方弁9には管路154が接続され、三方弁8には管路108を介してドレン排水通路68が接続されている。潜熱回収用熱交換器においてはドレンが発生するので、前記熱交換器17,19の下側にドレン回収手段(ドレン受け部)65が設けられ、このドレン回収手段65によって回収されるドレンは、ドレン排出通路69を通してドレン中和器66,67に導入され、中和された後に、ドレン排出通路68を通って熱源装置10の外部(ドレン排出通路68の先端部が接続されている排水口等)に導かれる。
【0012】
なお、図11に示される熱源装置においては、ドレン排出通路68を通ったドレンを、三方弁8を介して追い焚き循環通路103に導入することもできるものであり、追い焚き循環通路103に導入されたドレンは、浴槽102内に導出することもできるし、三方弁9を介して管路154に導入し、管路154から浴室に排出することもできる。
【0013】
図11に示されるような熱源装置10においては、熱源装置10の制御部73に信号接続されるリモコン(リモコン装置)74の運転がオンの状態において、例えば熱源装置10の利用者によって、給湯通路22の先端側に設けられている給湯栓(図示せず)が開かれると、給水通路21から導入される水が、給湯熱交換器17,18を通って給湯通路22に導入され、流量検出手段26により検出される検出流量が予め定められている給湯の作動流量に達すると給湯バーナ装置14の燃焼制御および燃焼ファン11の回転制御等が、熱源装置10に設けられた制御装置(図示せず)によって適宜行われ、予めリモコン74に設定されている給湯設定温度の湯が形成されて給湯先に供給される。
【0014】
また、リモコン74に設けられている自動スイッチがオンとなると、前記給湯動作時と同様にして、予めリモコン74に設定されている給湯設定温度の湯が形成され、その湯が、給湯通路22から前記注湯通路を通して浴槽102に導かれて注湯され、湯張りが行われる。なお、このとき、三方弁8,9により、追い焚き循環通路103を通って浴槽102に導入される湯の通過方向が適宜設定されて湯張りが行われる。
【0015】
さらに、図11に示されている熱源装置10において、前記液体循環通路5内の液体の熱媒体(例えば温水)は、必要に応じ、液体循環ポンプ33の駆動によって循環され、液体循環通路5に接続されている暖房装置の一つまたは複数に供給されるものである。なお、暖房装置を循環する熱媒体の加熱は、前記制御装置による暖房用バーナ装置15の燃焼制御および燃焼ファン11の回転制御等によって適宜行われ、また、液体循環ポンプ33の駆動制御も制御装置によって行われる。
【0016】
液体循環通路5には必要に応じて適宜の暖房装置が接続されるが、図11では、液体循環通路5には、例えば浴室暖房機等の高温暖房装置109と、温水マット110とが接続されており、温水マット110は液体分岐手段35に設けられた熱動弁74を介して液体循環ポンプ33の吐出側の通路36に接続されている。
【0017】
高温暖房装置109には、熱動弁73が設けられており、この熱動弁73が、例えば高温暖房装置109に信号接続されているリモコン装置の運転オンの操作に応じて開かれると、図11の矢印Aに示されるように、暖房用熱交換器18で加熱された熱媒体(例えば80℃の湯)が、管路43,143,48を順に通して供給され、供給された熱媒体は、高温暖房装置109の内部通路を通り、管路44を通って接続手段39に導入される。その後、矢印Bに示されるように、管路41を通って暖房用の熱交換器19に導入されて加熱され、シスターン31、管路32、暖房用液体循環ポンプ33、管路34を通って暖房用熱交換器18に戻る。
【0018】
また、この状態で、浴槽湯水の追い焚き運転も行うときには、管路43を通った液体(熱媒体)を三方弁30の切り替えにより、矢印A’に示されるように、管路45側にも通し、熱交換器104に通しながら、浴槽湯水循環ポンプ49を駆動させて追い焚き循環通路103に湯水を循環させて、管路46を通る液体と追い焚き循環通路103を通る湯水との間で熱交換し、浴槽102内の湯水の温度(風呂温度センサ63の検出温度)が風呂設定温度となるまで、浴槽湯水の追い焚き運転を行う。
【0019】
一方、高温暖房装置109の暖房運転を行わずに、浴槽湯水の追い焚き運転のみを行うときには、高温暖房装置109の熱動弁が閉じられているので、暖房用熱交換器18で加熱した高温設定温度の液体(例えば80℃の液体)を管路43に通した後、管路143には通さずに、図の矢印A’に示すように、管路45側に通す。そして、前記と同様に、この液体と浴槽湯水とを、液―液熱交換器104を介して熱交換することにより浴槽102内の湯水の追い焚き運転を行う。
【0020】
温水マット110には、暖房用熱交換器18で加熱された熱媒体を、三方弁30の切り替えによって矢印Cに示されるように管路40に通した後に、シスターン31に通し、図の矢印Dに示されるように管路32に通して液体循環ポンプ33から吐出し、管路36,37に順に通して供給される。
【0021】
なお、温水マット110への熱媒体の供給は、器具ケース12内の液体分岐手段35に設けられている熱動弁74のうち、稼働する(運転する)温水マット110に対応する熱動弁74が、例えば温水マット110に信号接続されているリモコン装置の運転オンの操作に応じて開かれることにより行われる。なお、高温暖房装置109の加熱や浴槽湯水の追い焚きを行わずに温水マット110を加熱するときには、例えば管路内が温められるまでの間に行われるホットダッシュ運転時には温水マット110に供給される液体の温度は例えば80℃、それ以外は例えば60℃とされる。
【0022】
液体循環ポンプ33の吐出側の通路は、以上のように温水マット110側に熱媒体を供給する管路36に加え、暖房用熱交換器18側に通じる管路34に分岐接続されており、管路34を通った熱媒体は、図の矢印Bに示されるように暖房用熱交換器18側に導入される。また、前記のようにして温水マット110に供給された熱媒体(液体)は、温水マット110の内部通路を通り、管路38を通って接続手段39に導入され、高温暖房装置109を通った後の液体と同様に、管路41を通って暖房用熱交換器1側に戻る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【文献】特開2006-336701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
ところで、三方弁8は、追い焚き循環通路103と管路108との接続切り替えを適宜行える必要があり、三方弁9は、追い焚き循環通路103と管路154との接続切り替えを適宜行える必要があり、三方弁30は管路40,45間の接続切り替えを適宜行える必要がある。これらのような用途で用いられる三方弁には、全閉止機能と一部閉止機能を確実に果たせることが求められており、また、三方弁8,9においては、浴槽湯水が通る追い焚き循環通路103との切り替えを行うことから、これらの機能が浴槽湯水中の汚れ物質や異物に影響されずに長期信頼性が高いことが求められる。
【0025】
しかしながら、従来用いられているバタフライバルブ型やボールバルブ型の三方弁では、このような要求を満たすことができなかった。つまり、バタフライバルブ型の弁は、全閉止機能を実現できず、一部閉止機能でも高度な閉止機能の実現は不可能であった。また、ボールバルブ型の弁はシール部が球面で摺動し、面積が広いので、浴槽水に含まれる皮脂や湯垢、スケール等の影響を受けやすく、砂等の異物に対しては、異物がシール部に挟み込まれるとシール部が傷つけられ、閉止機能が低下するおそれがあった。
【0026】
なお、浴槽水中には髪の毛等が混入していることから、三方弁8,9は髪の毛等が弁や弁の稼働部に絡みつかない構成を有することが好ましい。
【0027】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、第1に、弁による液体流通全閉止機能と一部閉止機能とを有することにより水等の液体の流れを適切に切り替えることができる三方弁を提供することであり、第2に、その三方弁において流れを切り替える流体が汚れていたり流体に異物が混入されていたりしても、その影響を受けずに流体の流れを適切に切り替えることができる三方弁を提供することであり、また、そのような三方弁を有することにより例えば浴槽湯水の流れる経路を適切に切り替えられる熱源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は上記目的を達成するために、次の構成をもって課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明の三方弁は、液体流通用の第1の流路の一端側に該第1の流路と交わる方向に伸設された流路分岐用通路が接続形成され、該流路分岐用通路の前記第1の流路と交わる側の一端側からは液体流通用の第2の流路が伸設形成されて前記流路分岐用通路の他端側からは液体流通用の第3の流路が伸設形成され、前記流路分岐用通路の前記一端側と他端側間の通路には流路開閉弁が設けられて、該流路開閉弁は前記流路分岐用通路の伸長方向に伸長されて該流路分岐用通路の伸長方向に沿って移動自在に設けられたロッドと、該ロッドの前記流路分岐用通路の前記一端側に設けられた第1の弁体と前記ロッドの他端側に設けられた第2の弁体とを有し、前記第1の弁体はその先端側を前記流路分岐用通路の前記一端側の向きにして設けられ前記第2の弁体はその先端側を前記流路分岐用通路の前記他端側の向きにして設けられ、前記第1の流路は前記第1および第2の弁体の配置部位で前記流路分岐用通路に接続されており、前記第1と第2の弁体はそれぞれ前記ロッドに抜け止め状態で該ロッドの伸長方向に摺動自在に設けられ、該ロッドの外周側には一端側が前記第1の弁体に支持されて他端側が前記第2の弁体に支持されたバネ体が前記ロッドの伸長方向に伸縮自在に設けられており、前記流路開閉弁は、前記ロッドを前記流路分岐用通路の伸長方向に沿って進退移動させることにより、前記第1の弁体を該第1の弁体の弁閉位置とし前記第2の弁体を該第2の弁体の弁閉位置として前記第1の流路と前記第2の流路および前記第3の流路との液体流通を共に断つ非接続状態と、前記第2の弁体を該第2の弁体の弁閉位置として前記第1の弁体を該第1の弁体の弁閉位置から離れる方向に前記ロッドに連動させて開弁移動させることにより前記第1の流路と前記第2の流路との間にのみ液体を流通させる第1の接続状態と、前記第1の弁体を該第1の弁体の弁閉位置として前記第2の弁体を該第2の弁体の弁閉位置から離れる方向に前記ロッドに連動させて開弁移動させることにより前記第1の流路と前記第3の流路と間にのみ液体を流通させる第2の接続状態とを切り替え自在と成しており、前記第1の弁体と前記第2の弁体の少なくとも一方の弁体は該弁体の先端側が前記流路分岐用通路と前記第1の流路側との接続側の部位と該接続側の部位とは反対側の部位とが異なる形状を有し、該異なる形状を有する弁体には、該弁体の先端側の前記流路分岐用通路と前記第1の流路との接続側の部位においては前記第1または第2の対応する接続状態において該弁体が前記弁閉位置から離れたときに該弁体の先端側における前記流路分岐用通路と前記第1の流路との接続側の部位の側周面の領域と前記流路分岐用通路の内周面との間に液体が流れる隙間が形成されるように形成されるとともに、該弁体の先端側における前記流路分岐用通路と前記第1の流路との接続側の部位とは反対側の部位の側周面においては該弁体が前記弁閉位置から離れても前記流路分岐用通路の内周面に隙間無く当接して液体の流れを閉塞する閉塞部を形成する流れ規制手段が設けられていることにより、該流れ規制手段が設けられた弁体が前記弁閉位置から離れても液体が前記流路分岐用通路の前記第1の流路との接続側にのみ流れて前記流路分岐用通路と前記第1の流路との接続側の反対側には流れず前記流路開閉弁の前記バネ体の配設領域には流れない構成と成している構成をもって課題を解決するための手段としている。
【0030】
さらに、第の発明の三方弁は、前記第の発明の構成に加え、前記隙間は前記弁体に形成された切り欠きにより形成されていることを特徴とする。
【0031】
さらに、第の発明の三方弁は、前記第または第の発明の構成に加え、前記流れ規制手段が設けられている弁体が前記ロッドの伸長方向に摺動するときに前記弁体の前記ロッドと交わる方向の向きが変わらないようにする弁体向き維持手段が設けられていることを特徴とする。
【0032】
さらに、第の発明の三方弁は、前記第1乃至第のいずれか一つに記載の発明の構成に加え、前記弁体は先端側に向けて断続的または連続的に縮径する形状を有していることを特徴とする。
【0033】
さらに、第の発明の三方弁は、前記第1乃至第のいずれか一つの発明の構成に加え、前記第1の弁体と前記第2の弁体の少なくとも一方の基端側には、前記流路開閉弁が前記第1の接続状態にあるときと前記第2の接続状態にあるときに前記流路開閉弁の前記バネ体の配設領域を覆うカバー部材が設けられていることを特徴とする。
【0034】
さらに、第の発明の熱源装置は、浴槽に接続される追い焚き循環通路を有し、該追い焚き循環通路に前記第1乃至第のいずれか一つの発明の三方弁が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明の三方弁によれば、液体流通用の第1の流路の一端側には、該第1の流路と交わる方向に伸設された流路分岐用通路が接続形成され、該流路分岐用通路の前記第1の流路と交わる側の一端側からは液体流通用の第2の流路が伸設形成されて前記流路分岐用通路の他端側からは液体流通用の第3の流路が伸設形成されているが、前記流路分岐用通路の前記一端側と他端側間の通路には流路開閉弁が設けられ、該流路開閉弁を以下のように構成し、その流路開閉弁の切り替えにより、前記流路の切り替えを適切に行うことができる。
【0036】
つまり、前記流路開閉弁は、前記流路分岐用通路の伸長方向に伸長されて該流路分岐用通路の伸長方向に沿って移動自在に設けられたロッドと、該ロッドの前記流路分岐用通路の前記一端側に設けられた第1の弁体と前記ロッドの他端側に設けられた第2の弁体とを有して、前記第1の弁体はその先端側を前記流路分岐用通路の前記一端側の向きにして設けられ前記第2の弁体はその先端側を前記流路分岐用通路の前記他端側の向きにして設けられ、前記第1の流路は前記第1および第2の弁体の配置部位で前記流路分岐用通路に接続されており、これら第1と第2の弁体はそれぞれ前記ロッドに抜け止め状態で該ロッドの伸長方向に摺動自在に設けられ、該ロッドの外周側には一端側が前記第1の弁体に支持されて他端側が前記第2の弁体に支持されたバネ体が前記ロッドの伸長方向に伸縮自在に設けられている。
【0037】
そして、前記流路開閉弁は、前記ロッドを前記流路分岐用通路の伸長方向に沿って進退移動させることにより、前記第1の弁体を該第1の弁体の弁閉位置とし、前記第2の弁体を該第2の弁体の弁閉位置とすると、第1の弁体と第2の弁体とは共に、第1と第2の弁体に支持されたバネ体の付勢力によってそれぞれの弁閉位置に押し付けられた状態となって、きっちりと閉じられ、前記第1の流路と前記第2の流路および前記第3の流路との液体流通を共に断つ非接続状態を適切な状態に形成することができる。
【0038】
なお、本発明の三方弁においては、ボールバルブ型の弁のようにシール部が球面で摺動する態様とする必要はなく、シール部の面積を広くする必要はない。つまり、本発明の三方弁は、弁体の形状を適宜の形状に形成することにより弁体に髪の毛等が絡むことを防止できるものであり、例えば前記弁体を先端側に向けて断続的または連続的に縮径する形状を有している構成とすることができるものであり、弁体に髪の毛等が絡むことを確実に防止できる。
【0039】
また、前記第2の弁体を該第2の弁体の弁閉位置として前記第1の弁体を該第1の弁体の弁閉位置から離れる方向に前記ロッドに連動させて開弁移動させることにより、第1の弁体側では液体の流通を可能とするが、第2の弁体側は、前記と同様にバネ体の付勢力によってきっちりと閉じることができるので、前記第1の流路と前記第2の流路との間にのみ液体を流通させる第1の接続状態を適切な接続状態(一部閉止状態)とすることができる。
【0040】
一方、前記第1の弁体を該第1の弁体の弁閉位置として前記第2の弁体を該第2の弁体の弁閉位置から離れる方向に前記ロッドに連動させて開弁移動させることにより、第2の弁体側では液体の流通を可能とし、第1の弁体側は、前記と同様にバネ体の付勢力によってきっちりと閉じることができるので、前記第1の流路と前記第3の流路との間にのみ液体を流通させる第2の接続状態を適切な接続状態(一部閉止状態)とすることができる。
【0041】
そして、本発明の三方弁は、これら3通りの接続状態(非接続状態と第1の接続状態と第2の接続状態)とを、前記ロッドを前記流路分岐用通路の伸長方向に沿って進退移動させることにより、容易に切り替え替え自在と成す優れた三方弁とすることができる。
【0042】
また、本発明の三方弁において前記第1の弁体と前記第2の弁体の少なくとも一方の弁体は該弁体の先端側が前記流路分岐用通路と前記第1の流路側との接続側の部位と該接続側の部位とは反対側の部位とが異なる形状を有し、該異なる形状を有する弁体には、該弁体の先端側の前記流路分岐用通路と前記第1の流路との接続側の部位においては前記第1または第2の対応する接続状態において該弁体が前記弁閉位置から離れたときに該弁体の先端側における前記流路分岐用通路と前記第1の流路との接続側の部位の側周面の領域と前記流路分岐用通路の内周面との間に液体が流れる隙間が形成されるように形成されるとともに、該弁体の先端側における前記流路分岐用通路と前記第1の流路との接続側の部位とは反対側の部位の側周面においては該弁体が前記弁閉位置から離れても前記流路分岐用通路の内周面に隙間無く当接して液体の流れを閉塞する閉塞部を形成する流れ規制手段が設けられていることにより、該流れ規制手段が設けられた弁体が前記弁閉位置から離れても液体が前記流路分岐用通路の前記第1の流路との接続側にのみ流れて前記流路分岐用通路と前記第1の流路との接続側の反対側には流れず前記流路開閉弁の前記バネ体の配設領域には流れない構成と成しているので、前記弁体の先端側が前記弁閉位置から離れて開弁することにより前記第1の流路へ液体が流れるようにできるとともに、たとえ液体内に髪の毛等が混入されていても、その髪の毛等がバネ体に絡まることを防ぐことができる。
【0043】
また、前記隙間を前記弁体に形成された切り欠きにより形成することにより、簡単な構成で流れ規制手段を形成でき、前記のような優れた効果を奏することができる。
【0044】
さらに、本発明の三方弁において、流れ規制手段が設けられている弁体がロッドの伸長方向に摺動するときに前記弁体のロッドと交わる方向の向きが変わらないようにする弁体向き維持手段が設けられている構成においては、弁体のロッドと交わる方向の向きを変わらないようにすることで、第1または第2の対応する接続状態において対応する弁体が該弁体の弁閉位置から離れたときに、液体が流分岐用通路の第1の流路との接続側にのみ流れて流路開閉弁のバネ体の配設領域には流れないように、より確実に液体の流れを規制できる。
【0045】
さらに、本発明の三方弁において、第1の弁体と第2の弁体の少なくとも一方の基端側には、流路開閉弁が第1の接続状態にあるときと第2の接続状態にあるときに前記流路開閉弁のバネ体の配設領域を覆うカバー部材が設けられている構成においては、流路開閉弁のバネ体の配設領域をカバー部材で覆うことにより、バネ体に髪の毛等が絡むことをより確実に防ぐことができる。
【0046】
さらに、本発明の熱源装置によれば、前記のような優れた本発明の三方弁を、浴槽に接続される追い焚き循環通路に設けることにより、追い焚き循環通路を三方弁によって流れる液体(湯水)の流れを適切に切り替え、その際、湯水が汚れていたり髪の毛等の異物が混入されていたりしても、その影響を受けずに良好な動作が可能な優れた熱源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明に係る三方弁の第1実施例を説明するための模式的な断面説明図である。
図2】第1実施例の三方弁を説明するための模式的な斜視説明図である。
図3】第1実施例の三方弁の図1とは異なる状態例を説明するための模式的な断面説明図である。
図4】第1実施例の三方弁において図1に示した状態例における湯水の流れを説明するための模式的な断面説明図である。
図5】第1実施例の三方弁を適用した熱源装置の例を説明するための模式的なシステム構成図である。
図6】本発明に係る三方弁の第2実施例を説明するための模式的な断面説明図である。
図7】第2実施例の三方弁を説明するための模式的な斜視説明図である。
図8】第2実施例の三方弁におけるカバー部材の構成を説明するための模式的な斜視説明図である。
図9】本発明に係る三方弁の参考例を説明するための模式的な断面説明図である。
図10図9に示す参考例の三方弁を説明するための模式的な斜視説明図である。
図11】開発中の熱源装置の例を説明するための模式的なシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本実施例の説明において、これまでの説明と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【実施例1】
【0049】
図1には、本発明に係る三方弁の第1実施例における一状態図が模式的な断面構成図により示されており、図2には、その斜視図が示されている。また、図3には、本実施例の三方弁の図1とは異なる状態の図が模式的な断面構成図により示されている。
【0050】
これらの図に示されるように、本実施例の三方弁は、図の上下方向に伸設された液体流通用の第1の流路1を有し、該第1の流路1の一端側には該第1の流路1と交わる方向(ここでは略直交する方向であり、図の左右方向)に伸設された流路分岐用通路6が接続形成されている。該流路分岐用通路6の第1の流路1と交わる側の一端側からは液体流通用の第2の流路2が図の上下方向に伸設形成され、流路分岐用通路6の他端側からは液体流通用の第3の流路3が図の上下方向に伸設形成されて、三方弁の本体が形成されている。なお、図1図3に示す例では、第1の流路1には、該第1の流路1の側部から第4の流路4が分岐形成されている。
【0051】
流路分岐用通路6には流路開閉弁7が設けられており、該流路開閉弁7は、流路分岐用通路6の伸長方向(図の左右方向)に伸長されたロッド79を有し、ロッド79は流路分岐用通路6の伸長方向に沿って移動自在に設けられている。ロッド79はステッピングモータ90の駆動軸91に連結されており(一体化され)、ステッピングモータ90の駆動に伴い、流路分岐用通路6の伸長方向(図1の左右方向)に進退移動する構成と成している。なお、図1図3図4において、ステッピングモータ90の一部は断面図ではなく側面図により示されている。
【0052】
ロッド79の一端側(流路分岐用通路6の前記一端側)には第1の弁体81が設けられ、ロッド79の他端側には第2の弁体82が設けられている。第1の弁体81はその先端側を流路分岐用通路6の前記一端側の向きにして設けられ、第2の弁体82はその先端側を流路分岐用通路6の前記他端側の向きにして設けられており、これら第1と第2の弁体81,82はロッド79に抜け止め状態で該ロッド79の伸長方向に摺動自在に設けられている。なお、第1の弁体81は係合部92に係合することによってロッド79に対して抜け止め状態と成している。係合部92は例えばスナップリングやEリング等により形成してもよいし、他の鍔状部材により形成してもよい。また、第2の弁体82は、ロッド79と一体となっているステッピングモータ90の駆動軸91とロッド79との肩状の段差部分93によりロッド79に抜け止め状態となっている。
【0053】
ロッド79の外周側にはバネ体80が設けられ、バネ体80は一端側が第1の弁体81に支持されて他端側が第2の弁体82に支持されており、バネ体80はロッド79の伸長方向に伸縮自在に設けられている。また、本実施例において、第1と第2の弁体81,82は先端側に向けてほぼ連続的に縮径する形状を有しており、第1と第2の弁体81,82の先端側近傍領域を湯水が通るときに、たとえその湯水に髪の毛等が混入されていても弁体81,82に髪の毛等が絡まないように形成されている。なお、第1の弁体81や第2の弁体82は先端側に向けて連続的に縮径するように形成されていてもよいし、断続的に縮径するように形成されていてもよい。
【0054】
前記第1の流路1は第1および第2の弁体81,82の配置部位で流路分岐用通路6に接続されており、流路開閉弁7は、ロッド79を流路分岐用通路6の伸長方向に沿って進退移動させることにより、以下のような弁の開閉動作を行い、第1と第2と第3の流路1,2,3間における流路接続状態を切り替えるものである。つまり、流路開閉弁7は、図3(a)に示される非接続状態と、図1に示される第1の接続状態と、図3(b)に示される第2の接続状態とを切り替え自在とするものであり、以下に、その詳細を述べる。
【0055】
例えば、ロッド79の進退移動により、図3(a)に示されるように、第1の弁体81を該第1の弁体81の弁閉位置とし、第2の弁体82を該第2の弁体82の弁閉位置とすることにより、第1の流路1と第2の流路2および第3の流路3との液体流通を共に断つ非接続状態とする。このとき、バネ体80は図1の状態に比べて伸びているが伸びきった状態ではなく、第1の弁体81と第2の弁体82はそれぞれの弁閉位置にバネ体80の付勢力により押し付けられる。
【0056】
また、ロッド79の進退移動により、ロッド79を図3(a)の状態よりも左側に移動し、図1に示されるように、第2の弁体82を該第2の弁体82の弁閉位置として、第1の弁体81を該第1の弁体81の弁閉位置から離れる方向にロッド79に連動させて開弁移動させることにより、第1の流路1と第2の流路2との間にのみ液体を流通させる第1の接続状態とする。
【0057】
さらに、ロッド79の進退移動により、ロッド79を図1および図3(a)の状態よりも右側に移動し、図3(b)に示されるように、第1の弁体81を該第1の弁体81の弁閉位置として、第2の弁体82を該第2の弁体82の弁閉位置から離れる方向にロッド79に連動させて開弁移動させることにより、第1の流路1と前記第3の流路3との間にのみ液体を流通させる第2の接続状態とする。
【0058】
本実施例において、第1の弁体81の先端側には、第1の接続状態において第1の弁体81が該第1の弁81の弁閉位置(閉弁位置)から離れたときに液体が流分岐用通路の第1の流路1との接続側にのみ流れて流路開閉弁7のバネ体80の配設領域には流れないようにするための流れ規制手段が設けられている。本実施例においては、流れ規制手段は、流分岐用通路の第1の流路1との接続側にのみ切り欠き84が形成されて該切り欠き84の形成領域を除く部位には液体の流れを閉塞する閉塞部85が設けられて形成されているものである。詳しく述べると、第1の弁体81は、該弁体81の先端側が流路分岐用通路6と第1の流路1側との接続側の部位と該接続側の部位とは反対側の部位とが異なる形状を有しており、弁体81には、該弁体81の先端側の流路分岐用通路6と第1の流路1との接続側の部位においては前記第1または第2の対応する接続状態(ここでは第1の接続状態)において該弁体81が前記弁閉位置から離れたときに該弁体81の先端側における流路分岐用通路6と第1の流路1との接続側の部位の側周面の領域と流路分岐用通路6の内周面との間に液体が流れる隙間が形成されるように形成される(隙間は切り欠き84により形成される)とともに、弁体81の先端側における流路分岐用通路6と第1の流路1との接続側の部位とは反対側の部位の側周面においては該弁体81が前記弁閉位置から離れても流路分岐用通路6の内周面に隙間無く当接して液体の流れを閉塞する閉塞部を形成する流れ規制手段が設けられていることにより、該流れ規制手段が設けられた弁体81が前記弁閉位置から離れても液体が流路分岐用通路6の第1の流路1との接続側にのみ流れて流路分岐用通路6と第1の流路1との接続側の反対側には流れず流路開閉弁7のバネ体80の配設領域には流れない構成と成している。
【0059】
また、本実施例において、流れ規制手段が設けられている弁体(第1の弁体)81がロッド79の伸長方向に摺動するときに該弁体81のロッド79と交わる方向の向きが変わらないようにする弁体向き維持手段が設けられている。この弁体向き維持手段は、本実施では流路分岐通路の内壁に形成されたレール87と第1の弁体81に形成されたレール上移動部とを有して形成されている。また、第1の弁体81の基端側には、流路開閉弁7が第1の接続状態にあるときと第2の接続状態にあるときに、流路開閉弁7のバネ体80の配設領域を覆うカバー部材86が設けられている。
【0060】
本実施例の三方弁は以上のように構成されており、非接続状態のときには、図3(a)に示されるように、第1と第2の弁体81,82は、いずれも、バネ体80の付勢力により弁閉位置に押し付けられるため、第1の流路1と第2の流路2と第3の流路3とが的確に非接続状態となり、流路閉止状態を確実に保つことができる。
【0061】
また、第1または第2の接続状態時にも第1または第2の弁体81,82はバネ体80の付勢力により弁閉位置に押し付けられることにより、第1の流路1と第3の流路3との接続が断たれて第1の流路1と第2の流路2との間のみが接続状態となる一部閉止状態と、第1の流路1と第2の流路2との接続が断たれて第1の流路1と第3の流路3との間のみが接続状態となる一部閉止状態とを、適宜、確実に保つことができる。
【0062】
しかも、この一部閉止状態時には、バネ体80は前記非接続状態時よりも縮められているので、第1と第2の弁体81,82には前記非接続状態時より強い力が加えられることになる。そのため、例えば第1の接続状態において、第1の弁体81がその閉弁位置から離されているときに、第1の弁体81の近傍を液体が通過することにより第1の弁体81に液体からの力が加えられても、その力によって第1の弁体81がぐらついたりすることを非常に的確に抑制できる。同様に、第2の接続状態において、第2の弁体82の近傍を液体が通過することにより第2の弁体82に液体からの力が加えられても、その力によって第2の弁体82がぐらついたりすることを非常に的確に抑制できる。
【0063】
さらに、図4(a)には、第1の接続状態における湯水の流れが矢印により模式的に示されているが、本実施例では、例えば第1の接続状態において第1の弁体81が該弁体81の弁閉位置から離れたときに液体が流分岐用通路の第1の流路1との接続側にのみ流れて流路開閉弁7のバネ体80の配設領域には流れないようにするための流れ規制手段が設けられているので、例えば第2の流路2側から第1の流路1側に浴槽湯水が流れる際に、その湯水内に髪の毛等が混入されていても、その髪の毛等がバネ体80に絡まることを防ぐことができる。なお、図4(b)には、湯水の流れが非常に簡潔に模式的に示されている。
【0064】
さらに、本実施例の三方弁においては、第1の弁体81の基端側に、流路開閉弁7が第1の接続状態にあるときと第2の接続状態にあるときにバネ体80の配設領域を覆うカバー部材86が設けられているので、流路開閉弁7のバネ体80の配設領域をカバー部材86で覆うことにより、バネ体80に髪の毛等が絡むことをより確実に防ぐことができる。
【0065】
図5には、本実施例の三方弁と同様の流路開閉弁7を備えた三方弁を、図11に示した開発中の熱源装置における三方弁8,9として適用した例が示されている。図5に示す熱源装置10においては、三方弁8,9は追い焚き循環通路103に設けられているため、第1の流路1と第2の流路2とが接続状態となると、第1と第2の流路1,2の間で浴槽湯水が流れることになる。
【0066】
そうすると、三方弁8においては、図4(a)の矢印に示されるような流れが生じることになり、湯水がバネ体80側には流れずに第1の流路1に流れていき、三方弁9においては、図4(a)の矢印とは逆方向の流れが生じることになるが、いずれの場合も、たとえ湯水内に髪の毛等が混入されていても、その髪の毛等がバネ体80に絡まることを防ぐことができるし、バネ体80の配設領域をカバー部材86で覆うことにより、バネ体80に髪の毛等が絡むことをより確実に防ぐことができる。なお、図4(a)に示されている三方弁は、図5の三方弁8と左右反転状態に描かれており、また、本実施例の三方弁を図5の三方弁9に適用する場合は第4の流路4が省略されることになるが、三方弁8としての適用例と同様の動作により同様の効果を奏することができる。
【0067】
また、本実施例の三方弁と同様の流路開閉弁7を備えた三方弁を、図5に示すように三方弁8,9として適用した場合、図3(a)に示した閉弁状態(非接続状態)から図4(a)に示した開弁状態(第1の接続状態)に移行する動作は、注湯水ユニット57または浴槽湯水循環ポンプ49等を止めた状態で、または、止めることで、追い焚き循環通路103における湯水の流れを一時停止して行うことが好ましい。
【0068】
それというのは、追い焚き循環通路103に湯水の流れがある状態で三方弁の接続状態切り替え動作を行うと、三方弁を閉弁状態(非接続状態)から開弁状態(第1の接続状態)に移行する際、三方弁内で開弁開始時の狭小の隙間で高速(例えば2m/sec)の流れが生じ、特に、切り欠き84部分において偏流が生じやすく、この偏流によりロッド79の偏流振動が生じて好ましくない。そのため、偏流振動が生じないように、三方弁の閉弁状態から開弁状態への移行時には追い焚き循環通路103の流れを停止して、三方弁内の流路における流れ自体を止めると有効である。なお、三方弁の閉弁状態から開弁状態への移行状態だけではなく、開弁状態から閉弁状態への移行状態においても同様に、追い焚き循環通路103内の湯水の流れを止めることが好ましい。
【0069】
このようなことから、熱源装置には、三方弁の接続状態切り替え時に注湯水ユニット57と浴槽湯水循環ポンプ49の少なくとも一方を停止させる制御構成を設けることが好ましい。
【0070】
ところで、浴槽湯水循環ポンプ49を停止しても、追い焚き循環通路103の湯水の流れが慣性で止まりにくい場合がある(流れが止まる前に三方弁の状態移行を行なわれる場合がある)。そこで、切り欠き84部分での偏流に起因するエロージョン・コロージョンに強い青銅、または、エロージョン・コロージョンを生じないシンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPS)、 ポリフェニレンサルファイド(PPS)またはポリフェニレンエーテル(PPE)等を適用して、弁体81および、弁体81に対向する本体側(流路分岐用通路6や第2の流路2を形成する管路壁)を形成することが好ましい。
【0071】
さらに、追い焚き循環通路103に湯水の流れが弱まっても、偏流振動によって流路開閉弁7の弁体81,82と三方弁の本体側(流路壁)が衝突を繰り返す場合があるので、この衝突による悪影響を防ぐために、流路開閉弁7の弁体81,82には、閉弁位置で三方弁本体の流路内壁部に接する部位94を、振動を吸収する素材であるEPDM(ゴム)やシリコン、フッ素系のゴム等で形成することが好ましい。
【実施例2】
【0072】
次に、本発明に係る三方弁の第2実施例について説明する。なお、第2実施例の説明において、前記第1実施例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。図6には、第2実施例の三方弁の一状態図が模式的な断面構成図により示されており、図7には、その斜視図が模式的に示されている。
【0073】
第2実施例は前記第1実施例とほぼ同様に構成されており、第2実施例が前記第1実施例と異なる特徴的なことは、カバー部材86が第1の弁体81の基端側と第2の弁体82の基端側とにそれぞれ設けられて、第1の弁体81の基端側に設けられているカバー部材86aと第2の弁体82の基端側に設けられているカバー部材86bとが、図8に示されるように上下で合体する態様でバネ体80の外周側を覆う態様と成していることである。
【0074】
第2実施例の三方弁は以上のように構成されており、前記第1実施例と同様の動作により同様の効果を奏することができる。
【実施例3】
【0075】
次に、本発明に係る三方弁の実施例3の代わりに三方弁の参考例について説明する。なお、参考例の説明において、前記第1、第2実施例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。図9には、参考例の三方弁の一状態図が模式的な断面構成図により示されているとともに、その状態における湯水の流れの一例が矢印によって模式的に示されており、図10には、参考例の三方弁の斜視図が示されている。
【0076】
この参考例は前記第1、第2実施例の構成要素と同様の構成要素を多く有しているが、該参考例においては、第1の弁体81の形状を第1、第2実施例における形状と異なる形状として突起部97を有するものとしており、かつ、カバー部材86を有していない。
【0077】
つまり、この参考例においては、前記第1、第2実施例に設けたような流れ規制手段やカバー部材86が設けられていないものであり、浴槽湯水等の髪の毛等が混入している水の流れを切り替える三方弁としては適さない。ただ参考例の三方弁も、前記第1、第2実施例と同様に、第1と第2と第3の流路1,2,3間における流路接続状態を切り替えることができるものである。すなわち、第1と第2と第3の流路1,2,3間を非接続状態としたり、第1の流路1と第2の流路のみを接続状態とする第1の接続状態としたり、第1の流路1と第3の流路3のみを接続状態とする第2の接続状態としたりする動作は、前記第1、第2実施例と同様に的確に行うことができるので、例えば図5の三方弁30として適用できる。
【0078】
なお、図5の三方弁30に上記参考例の三方弁を適用したり、本発明の三方弁を液体循環通路5の適宜の個所に設けたりする場合にも、前記第1、第2実施例の三方弁を図5の三方弁8,9として適用する場合と同様に、三方弁の閉弁状態から開弁状態への移行状態や開弁状態から閉弁状態への移行状態において、三方弁内に熱媒体(例えば湯水)の流れが生じないようにすることが好ましい。そのため、熱源装置には、三方弁の接続状態切り替え時に液体循環ポンプ33を停止させる(それにより液体循環通路5の流れを停止させる)制御構成を設けることが好ましい。
【0079】
また、第1、第2実施例の三方弁を図5の三方弁30として適用することもできるものであり、その場合は、前記と同様に、熱源装置には、三方弁の接続状態切り替え時に液体循環ポンプ33を停止させる制御構成を設けることが好ましい
【0080】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において様々な態様を採り得る。例えば、前記第1実施例と第2実施例の三方弁では、第1の弁体81に流れ規制手段を設けたが、この流れ規制手段の形状は前記第1および第2実施例における第1の弁体81の形状と同じにするとは限らず、他の形状としても、同様の機能を有する流れ規制手段を設けて第1の弁体81を形成することにより同様の効果を奏することができる。
【0081】
また、前記第1、第2実施例の三方弁では第1の弁体81に流れ規制手段を設けたが、このような流れ規制手段は第2の弁体82にのみ設けてもよいし、第1と第2の弁体81,82の両方に設けてもよい。つまり、例えば三方弁が設けられる通路を通る液体に応じて流れ規制手段を第1と第2の弁体81,82のいずれに設けるか、流れ規制手段をどのように設けるか、第1、第2の弁体81,82の形状や大きさ等の詳細をどうするかは適宜設定されるものである。
【0082】
さらに、前記第1実施例の三方弁では第1の弁体81に、第2実施例の三方弁では第1と第2の弁体81,82にそれぞれ、カバー部材86を設けたが、カバー部材86は省略することもできる。つまり、流れ規制手段によって湯水等の液体の流れを規制することができれば異物がバネ体80側に流れることを防ぐことができるため、カバー部材86を設けなくても支障がない場合も多いと考えられる。ただし、前記第1、第2実施例の三方弁のように浴槽湯水が流れる通路に三方弁を設ける場合は、髪の毛等がバネ体80に絡むことをより確実に防ぐためにカバー部材86を設けることが好ましい。
【0083】
さらに、流路開閉弁7におけるバネ体80の形状や寸法、ロッド79の形状や寸法等、詳細についても適宜設定されるものであり、本発明の三方弁は、例えば前記第1実施例のように、ロッド79の進退移動に応じて、第1と第2と第3の流路1,2,3の接続を、非接続状態としたり第1の接続状態としたり第2の接続状態としたりすることができるように、形成されるものである。
【0084】
さらに、前記各実施例では、ロッド79をステッピングモータ90の駆動軸91に連結し、ステッピングモータ90を駆動させてロッド79を進退移動する構成としたが、ロッド79の移動のための構成はステッピングモータ90によるとは限らず、適宜設定されるものである。
【0085】
さらに、本発明の三方弁は、必ずしも前記各実施例のように、図5に示したような熱源装置10に設けられるとは限らず、適宜の熱源装置に設けることができる。また、本発明の三方弁は、熱源装置以外であっても、弁による液体流通全閉止機能と一部閉止機能とを必要とする適宜の装置に適用できるものである。
【0086】
さらに、本発明の熱源装置は、例えば前記第1実施例のいずれかのような態様の本発明の三方弁を、例えば追い焚き循環通路103を含めた適宜の通路に設けて形成されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の三方弁は、簡単な構成で、弁による液体の流れの全閉止機能と一部閉止機能とを有することにより水等の流体の流れを適切に切り替えることができるので、例えば給湯器等の熱源装置に適宜設けることができ、特に、例えば流体が汚れていたり流体に異物が混入されていたりしても、その影響を受けずに流体の流れを適切に切り替えることができるので、浴槽湯水が流れる通路である追い焚き循環通路に三方弁を設けて、適宜流路切り替えを行えるようにすることができる。そのため、流体の汚れの影響を受けにくい三方弁やその三方弁を備えた熱源装置は、例えば浴槽湯水の追い焚き機能を備えた家庭用の熱源装置に適用できる。
【符号の説明】
【0088】
1 第1の流路
2 第2の流路
3 第3の流路
5 液体循環通路
6 流路分岐用通路
7 流路開閉弁
8,9,30 三方弁
10 熱源装置
79 ロッド
80 バネ体
81 第1の弁体
82 第2の弁体
84 切り欠き
85 閉塞部
86,86a,86b カバー部材
90 ステッピングモータ
91 駆動軸
103 追い焚き循環通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11