(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】研削盤用水溶性クーラント再循環装置
(51)【国際特許分類】
B24B 55/03 20060101AFI20220624BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20220624BHJP
B23Q 11/10 20060101ALI20220624BHJP
B23F 23/00 20060101ALI20220624BHJP
B04C 9/00 20060101ALI20220624BHJP
B03C 1/247 20060101ALI20220624BHJP
B01D 19/00 20060101ALI20220624BHJP
B03C 1/00 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
B24B55/03
B23Q11/00 U
B23Q11/10 E
B23F23/00
B04C9/00
B03C1/247
B01D19/00 B
B03C1/00 A
(21)【出願番号】P 2018074255
(22)【出願日】2018-04-06
【審査請求日】2020-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(73)【特許権者】
【識別番号】594142207
【氏名又は名称】トヨタ自動車北海道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】315017775
【氏名又は名称】日本電産マシンツール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】石原 博之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 幸也
(72)【発明者】
【氏名】山崎 徹
(72)【発明者】
【氏名】杉田 耕陪
(72)【発明者】
【氏名】古田 成毅
(72)【発明者】
【氏名】今井 康史
(72)【発明者】
【氏名】今村 和広
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-217119(JP,A)
【文献】国際公開第2014/192837(WO,A1)
【文献】特開2007-203411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 55/03
B23Q 11/00
B23Q 11/10
B23F 23/00
B04C 9/00
B03C 1/247
B01D 19/00
B03C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削盤から排出された水溶性クーラントを受入れて前記水溶性クーラントを濾過する濾過装置と、前記濾過装置から濾過処理された水溶性クーラントを受入れて貯留するクリーンタンクと、前記クリーンタンク内の水溶性クーラントを前記研削盤へ供給するクーラント供給装置とを備え、前記研削盤から排出される水溶性クーラントを浄化して前記研削盤へ連続的に再循環させる研削盤用水溶性クーラント再循環装置であって、
前記クリーンタンクの液面に浮遊する浮遊切粉を前記研削盤から排出された水溶性クーラントに加える浮遊切粉加入装置
と、
前記研削盤から排出される水溶性クーラントを前記濾過装置へ導くクーラント排出路とを、含み、
前記濾過装置は、前記研削盤から排出された水溶性クーラントを前記浮遊切粉加入装置により加入された前記浮遊切粉と共に濾過処理
し、
前記クリーンタンクは、前記クリーンタンクに貯留された水溶性クーラントが溢れ出すオーバフロー出口を、備え、
前記浮遊切粉加入装置は、前記クリーンタンクに貯留された水溶性クーラントの液面に浮遊する浮遊切粉を前記オーバフロー出口側へ移動させるように前記クリーンタンクに貯留された水溶性クーラントの液面に向かって前記水溶性クーラントを噴出する噴射ノズルと、前記オーバフロー出口から流出された前記浮遊切粉を前記クーラント排出路へ排出する浮遊切粉排出路と、を備える
ことを特徴とする研削盤用水溶性クーラント再循環装置。
【請求項2】
前記クーラント排出路は、前記研削盤から排出された水溶性クーラントを受け入れて前記濾過装置へ導く区間で、前記研削盤から排出された水溶性クーラントに浮遊する大気泡の脱気および前記研削盤から排出された水溶性クーラント内に混在する前記大気泡よりも小径の小気泡の脱気と、前記研削盤から排出された水溶性クーラント内でスラッジの沈殿とを促進する長手状の整流タンクを、含み、
前記クリーンタンクのオーバフロー出口は、前記クリーンタンクの液面に浮遊する浮遊切粉を前記整流タンクへ流入させる
ことを特徴とする請求項
1の研削盤用水溶性クーラント再循環装置。
【請求項3】
前記研削盤は、研削砥石を用いて被研削材に対する研削加工および前記研削砥石の前記被研削材に対する研削加工部位への前記水溶性クーラントの供給を所定周期で休止させ、予め備えられたドレッサを用いて前記研削砥石をドレッシングするドレッシング装置を備え、
前記浮遊切粉加入装置は、前記ドレッシング装置によるドレッシング期間中に前記噴射ノズルから前記水溶性クーラントを噴射させる
ことを特徴とする請求項
1または2の研削盤用水溶性クーラント再循環装置。
【請求項4】
前記噴射ノズルは、前記クリーンタンクのオーバフロー出口から見て前記オーバフロー出口の幅方向に対する角度が順次大きくなる第1方向および第2方向上にそれぞれ位置する第1噴射ノズルおよび第2噴射ノズルを含み、
前記第1噴射ノズルおよび第2噴射ノズルの順で前記クリーンタンク内の水溶性クーラントの液面に浮遊する前記浮遊切粉を前記オーバフロー出口側に移動させるように噴射する
ことを特徴とする請求項
1から3のいずれか1の研削盤用水溶性クーラント再循環装置。
【請求項5】
前記第1噴射ノズルおよび第2噴射ノズルは、前記第1噴射ノズルおよび第2噴射ノズルの順で大きくなる、前記オーバフロー出口の幅方向に対する噴射角度を、有する
ことを特徴とする請求項
4の研削盤用水溶性クーラント再循環装置。
【請求項6】
前記クリーンタンクは、互いに連通するが独立した液面を有する一次クリーンタンクおよび二次クリーンタンクから構成され、
前記一次クリーンタンクは、前記オーバフロー出口を備えるとともに、前記濾過装置により濾過処理された水溶性クーラントを受けて前記浮遊切粉を前記水溶性クーラントの液面に浮遊させ、
前記二次クリーンタンク内の水溶性クーラントは、前記研削盤の研削加工部位へ供給される
ことを特徴とする請求項
1の研削盤用水溶性クーラント再循環装置。
【請求項7】
前記クリーンタンクに浮遊する浮遊切粉は、互いに絡み合った切粉の集団と気泡の集団との集合体であり、前記研削盤および前記濾過装置の稼働と共に大きさが成長するものである
ことを特徴とする請求項1から
6のいずれか1の研削盤用水溶性クーラント再循環装置。
【請求項8】
前記濾過装置は、前記研削盤から排出された水溶性クーラントを前記浮遊切粉加入装置により加入された前記浮遊切粉と共に濾過処理する第1濾過装置と、前記第1濾過装置により濾過された水溶性クーラントを貯留する中間タンクと、前記中間タンクに貯留されている水溶性クーラントを濾過処理して前記クリーンタンクへ供給する第2濾過装置とを、備える
ことを特徴とする請求項1から
7のいずれか1の研削盤用水溶性クーラント再循環装置。
【請求項9】
前記第1濾過装置は、前記研削盤から排出される水溶性クーラントおよび前記浮遊切粉に含まれる切粉を磁気的に外周面に付着させる磁気ドラムを有し、前記磁気ドラムの外周面に付着した切粉を排出することで前記水溶性クーラントを濾過するマグネチックセパレータである
ことを特徴とする請求項
8の研削盤用水溶性クーラント再循環装置。
【請求項10】
前記第2濾過装置は、前記中間タンクに貯留された水溶性クーラントから遠心力に基づいて固形異物を分離する液体サイクロンを、含む、
ことを特徴とする請求項
8または9の研削盤用水溶性クーラント再循環装置。
【請求項11】
前記研削盤は、ねじ状の研削砥石をその軸心まわりに回転させつつ軸心方向へ送りながら、歯車素材の軸心に平行な方向へ研削送りを行なうとともにその歯車素材を軸心まわりに順次回転させることで、前記研削砥石の砥粒が当たる位置を変化させて歯車の研削加工を行う連続創成式歯車研削盤である
ことを特徴とする請求項
10の研削盤用水溶性クーラント再循環装置。
【請求項12】
前記クリーンタンク内の水溶性クーラントを冷却するクーラを、前記クリーンタンクに備える
ことを特徴とする請求項
11の研削盤用水溶性クーラント再循環装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削盤から回収された水溶性クーラントを浄化して前記研削盤へ再循環させる研削盤用水溶性クーラント再循環装置に関し、特に、回収された水溶性クーラントにおいて成長する浮遊切粉の除去技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、研削砥石に対するワークの接触円弧が長いため、長い切粉が発生する傾向のある研削盤、たとえば連続創成式歯車研削盤や平面研削盤等においては、切粉が凝集し易いことから、目詰まりや研削焼けが発生し易い等の事情により、不水溶性クーラントが専ら用いられていた。これに対して、研削砥石をビトリファイド砥石で構成し、その砥粒の粒度を一定の範囲内としたり、或いは水溶性クーラントのワークへの吐出流量を比較的大量の一定の範囲とし且つ吐出圧を一定の範囲内とすることで、不水溶性クーラントから水溶性クーラントへの切り換えを可能とした技術が提案されている。たとえば、特許文献1および特許文献2に記載された研削方法がそれである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5951126号公報
【文献】特許第5955429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の研削方法が研削盤に適用される場合、研削盤から回収された水溶性クーラントを浄化して連続的に前記研削盤へ再循環させることが、量産のために重要である。このため、研削盤より回収した水溶性クーラントを貯留するダーティタンク、および、研削により発生した切粉等を上記ダーティタンクに回収した水溶性クーラントから連続的に除去してクリーンタンクへ送る濾過装置等を備えた研削盤用水溶性クーラント再循環装置が用いられる。
【0005】
しかしながら、上記の研削盤用水溶性クーラント再循環装置では、クリーンタンクの液面に浮遊切粉が滞留し、この浮遊切粉が時間の経過に伴って大きな厚みに成長する。この浮遊切粉は、液面の波動に拘わらず相互に拡散せず、むしろ水溶性クーラントとのなじみがよくない切粉が相互に絡み合い且つ空気の気泡を巻き込んで時間経過に伴って厚みがたとえば数十mm程度に成長するものである。この浮遊切粉は、厚く成長したものほど容易にばらけることが難しく、研削盤用水溶性クーラント再循環装置を定期的に停止させて人為的に浮遊切粉を除去することが必要であった。このため、浮遊切粉を人為的に除去するための工数が必要であるだけでなく、研削盤用水溶性クーラント再循環装置の停止と同時に研削盤をも同時に停止させる必要があるので、研削盤の稼働率が低下し、研削盤によるワークの生産効率が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、その目的とするところは、浮遊切粉の成長が抑制され、連続運転が可能な研削盤用水溶性クーラント再循環装置を提供することにある。
【0007】
本発明者等は、上記の事情を背景とし、研削盤から排出された水溶性クーラントを受入れて前記水溶性クーラントを濾過する濾過装置と、前記濾過装置から排出された水溶性クーラントを受入れて貯留するクリーンタンクと、前記クリーンタンク内の水溶性クーラントを前記研削盤へ供給するクーラント供給装置とを備え、前記研削盤から排出される水溶性クーラントを浄化して前記研削盤へ連続的に再循環させる研削盤用水溶性クーラント再循環装置において、種々検討を重ねた結果、前記クリーンタンクの液面に浮遊する浮遊切粉をその成長前に前記研削盤から排出された水溶性クーラントに逐次加えると、前記クリーンタンクの液面に浮遊する浮遊切粉の成長が抑制されるとともに、その浮遊切粉が濾過装置において効率よく連続的に除去されること、および、研削盤用水溶性クーラント再循環装置を定期的に停止させることが不要になるという事実を見いだした。本発明は係る知見に基づいて為されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、第1発明の要旨とするところは、(a)研削盤から排出された水溶性クーラントを受入れて前記水溶性クーラントを濾過する濾過装置と、前記濾過装置から濾過処理された水溶性クーラントを受入れて貯留するクリーンタンクと、前記クリーンタンク内の水溶性クーラントを前記研削盤へ供給するクーラント供給装置とを備え、前記研削盤から排出される水溶性クーラントを浄化して前記研削盤へ連続的に再循環させる研削盤用水溶性クーラント再循環装置であって、(b)前記クリーンタンクの液面に浮遊する浮遊切粉を前記研削盤から排出された水溶性クーラントに加える浮遊切粉加入装置と、(c)前記研削盤から排出される水溶性クーラントを前記濾過装置へ導くクーラント排出路とを、含み、(d)前記濾過装置は、前記研削盤から排出された水溶性クーラントを前記浮遊切粉加入装置により加入された前記浮遊切粉と共に濾過処理し、(e)前記クリーンタンクは、前記クリーンタンクに貯留された水溶性クーラントが溢れ出すオーバフロー出口を、備え、(f)前記浮遊切粉加入装置は、前記クリーンタンクに貯留された水溶性クーラントの液面に浮遊する浮遊切粉を前記オーバフロー出口側へ移動させるように前記クリーンタンクに貯留された水溶性クーラントの液面に向かって前記水溶性クーラントを噴出する噴射ノズルと、前記オーバフロー出口から流出された前記浮遊切粉を前記クーラント排出路へ排出する浮遊切粉排出路と、を備えることを特徴とする。
【0010】
第2発明の要旨とするところは、第1発明において、(g)前記クーラント排出路は、前記研削盤から排出された水溶性クーラントを受け入れて前記濾過装置へ導く区間で、前記研削盤から排出された水溶性クーラントに浮遊する大気泡の脱気および前記研削盤から排出された水溶性クーラント内に混在する前記大気泡よりも小径の小気泡の脱気と、前記研削盤から排出された水溶性クーラント内でスラッジの沈殿とを促進する長手状の整流タンクを、含み、(h)前記クリーンタンクのオーバフロー出口は、前記クリーンタンクの液面に浮遊する浮遊切粉を前記整流タンクへ流入させることを特徴とする。
【0011】
第3発明の要旨とするところは、第1発明または第2発明において、(i)前記研削盤は、研削砥石を用いて被研削材に対する研削加工および前記研削砥石の前記被研削材に対する研削加工部位への前記水溶性クーラントの供給を所定周期で休止させ、予め備えられたドレッサを用いて前記研削砥石をドレッシングするドレッシング装置を備え、(j)前記浮遊切粉加入装置は、前記ドレッシング装置によるドレッシング期間中に前記噴射ノズルから前記水溶性クーラントを噴射させることを特徴とする。
【0012】
第4発明の要旨とするところは、第1発明から第3発明のいずれか1の発明において、(k)前記噴射ノズルは、前記クリーンタンクのオーバフロー出口から見て前記オーバフロー出口の幅方向に対する角度が順次大きくなる第1方向および第2方向上にそれぞれ位置する第1噴射ノズルおよび第2噴射ノズルを含み、(l)前記第1噴射ノズルおよび第2噴射ノズルの順で前記クリーンタンク内の水溶性クーラントの液面に浮遊する前記浮遊切粉を前記オーバフロー出口側に移動させるように噴射することを特徴とする。
【0013】
第5発明の要旨とするところは、第4発明において、(m)前記第1噴射ノズルおよび第2噴射ノズルは、前記第1噴射ノズルおよび第2噴射ノズルの順で大きくなる、前記オーバフローの出口幅方向に対する噴射角度を、有することを特徴とする。
【0014】
第6発明の要旨とするところは、第1発明において、(n)前記クリーンタンクは、互いに連通するが独立した液面を有する一次クリーンタンクおよび二次クリーンタンクから構成され、(o)前記一次クリーンタンクは、前記オーバフロー出口を備えるとともに、前記濾過装置により濾過処理された水溶性クーラントを受けて前記一次クリーンタンクの液面に前記浮遊切粉を浮遊させ、(p)前記二次クリーンタンク内の水溶性クーラントは、前記研削盤の研削加工部位へ供給されることを特徴とする。
【0015】
第7発明の要旨とするところは、第1発明から第6発明のいずれか1の発明において、(q)前記クリーンタンクに浮遊する浮遊切粉は、互いに絡み合った切粉の集団と気泡の集団との集合体であり、前記研削盤および前記濾過装置の稼働と共に大きさが成長するものであることを特徴とする。
【0016】
第8発明の要旨とするところは、第1発明から第7発明のいずれか1の発明において、(r)前記濾過装置は、前記研削盤から排出された水溶性クーラントを前記浮遊切粉加入装置により加入された前記浮遊切粉と共に濾過処理する第1濾過装置と、前記第1濾過装置により濾過された水溶性クーラントを貯留する中間タンクと、前記中間タンクに貯留されている水溶性クーラントを濾過処理して前記クリーンタンクへ供給する第2濾過装置とを、備えることを特徴とする。
【0017】
第9発明の要旨とするところは、第8発明において、(s)前記第1濾過装置は、前記研削盤から排出される水溶性クーラントおよび前記浮遊切粉に含まれる切粉を磁気的に外周面に付着させる磁気ドラムを有し、前記磁気ドラムの外周面に付着した切粉を排出することで前記水溶性クーラントを濾過するマグネチックセパレータであることを特徴とする。
【0018】
第10発明の要旨とするところは、第8発明または第9発明において、(t)前記第2濾過装置は、前記中間タンクに貯留された水溶性クーラントから遠心力に基づいて固形異物を分離するサイクロンを、含むことを特徴とする。
【0019】
第11発明の要旨とするところは、第10発明において、(u)前記研削盤は、ねじ状の研削砥石をその軸心まわりに回転させつつ軸心方向へ送りながら、歯車素材の軸心に平行な方向へ研削送りを行なうとともにその歯車素材を軸心まわりに順次回転させることで、前記研削砥石の砥粒が当たる位置を変化させて歯車の研削加工を行う連続創成式歯車研削盤であることを特徴とする。
【0020】
第12発明の要旨とするところは、第11発明において、(v)前記クリーンタンク内の水溶性クーラントを冷却するクーラを、前記クリーンタンクに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
第1発明によれば、研削盤から排出された水溶性クーラントを受入れて前記水溶性クーラントを濾過処理する濾過装置と、前記濾過装置により濾過処理された水溶性クーラントを受入れて貯留するクリーンタンクと、前記クリーンタンク内の水溶性クーラントを前記研削盤へ供給するクーラント供給装置とを備え、前記研削盤から排出される水溶性クーラントを浄化して前記研削盤へ連続的に再循環させる研削盤用水溶性クーラント再循環装置であって、前記クリーンタンクの液面に浮遊する浮遊切粉を前記研削盤から排出された水溶性クーラントに加える浮遊切粉加入装置を含み、前記濾過装置は、前記研削盤から排出された水溶性クーラントを前記浮遊切粉加入装置により加入された前記浮遊切粉と共に濾過処理する。このことから、前記クリーンタンクの液面に浮遊する浮遊切粉の成長が抑制され、その浮遊切粉が濾過装置において効率よく除去されるので、研削盤用水溶性クーラント再循環装置を定期的に停止させることが不要となり、その連続運転が可能となる。また、第1発明によれば、前記研削盤から排出される水溶性クーラントを前記濾過装置へ導くクーラント排出路を、含み、前記クリーンタンクは、前記クリーンタンクに貯留された水溶性クーラントが溢れ出すオーバフロー出口を、備え、前記浮遊切粉加入装置は、前記クリーンタンクに貯留された水溶性クーラントの液面に浮遊する浮遊切粉を前記オーバフロー出口側へ移動させるように前記クリーンタンクに貯留された水溶性クーラントの液面に向かって前記水溶性クーラントを噴出する噴射ノズルと、前記オーバフロー出口から流出された前記浮遊切粉を前記クーラント排出路へ排出する浮遊切粉排出路と、を備える。このことから、噴射ノズルからクリーンタンクに貯留された水溶性クーラントの液面に向かって噴射された水溶性クーラントによって、水溶性クーラントの液面に浮遊する浮遊切粉がオーバフロー出口からクーラント排出路へ排出されて研削盤から排出された水溶性クーラントと共に濾過装置へ導かれて濾過処理される。これにより、前記クリーンタンクの液面に浮遊する浮遊切粉の成長が抑制され、その浮遊切粉が濾過装置において効率よく除去されるので、研削盤用水溶性クーラント再循環装置を定期的に停止させることが不要となり、その連続運転が可能となる。
【0023】
第2発明によれば、前記クーラント排出路は、前記研削盤から排出された水溶性クーラントを受け入れて前記濾過装置へ導く区間で、前記研削盤から排出された水溶性クーラントに浮遊する大気泡の脱気および前記研削盤から排出された水溶性クーラント内に混在する前記大気泡よりも小径の小気泡の脱気と、前記研削盤から排出された水溶性クーラント内でスラッジの沈殿とを促進する長手状の整流タンクを、含み、前記クリーンタンクのオーバフロー出口は、前記クリーンタンクの液面に浮遊する浮遊切粉を前記整流タンクへ流入させる。これにより、浮遊切粉が濾過装置へ導かれる過程で、整流タンクでの脱気および沈殿により、濾過装置における濾過作用の負荷が軽減される利点がある。
【0024】
第3発明によれば、前記研削盤は、研削砥石を用いて被研削材に対する研削加工および前記研削砥石の前記被研削材に対する研削加工部位への前記水溶性クーラントの供給を所定周期で休止させ、予め備えられたドレッサを用いて前記研削砥石をドレッシングするドレッシング装置を備え、前記浮遊切粉加入装置は、前記ドレッシング装置によるドレッシング期間中に前記噴射ノズルから前記水溶性クーラントを噴射させる。研削盤でのドレッシング期間中は研削が停止されるとともに研削盤の研削加工部位への水溶性クーラントの供給も停止されることから、その分、クリーンタンクにおける水溶性クーラントの液面が上昇するので、前記クリーンタンクのオーバフロー出口から浮遊切粉が容易に溢れ出る利点がある。
【0025】
第4発明によれば、前記噴射ノズルは、前記クリーンタンクのオーバフロー出口から見て前記オーバフロー出口の幅方向に対する角度が順次大きくなる第1方向および第2方向上にそれぞれ位置する第1噴射ノズル、第2噴射ノズルを含み、前記第1噴射ノズル、第2噴射ノズルの順で前記クリーンタンク内の水溶性クーラントの液面に浮遊する前記浮遊切粉を前記オーバフロー出口側に移動させるように噴射する。このことから、クリーンタンクにおける水溶性クーラントの液面に浮遊する浮遊切粉が、第1噴射ノズルによる水溶性クーラントの噴射および第2噴射ノズルによる水溶性クーラントの噴射にしたがって、前記クリーンタンクのオーバフロー出口から浮遊切粉が容易に溢れ出る利点がある。
【0026】
第5発明によれば、前記第1噴射ノズルおよび第2噴射ノズルは、前記第1噴射ノズルおよび第2噴射ノズルの順で大きくなる、前記オーバフロー出口幅方向に対する噴射角度を、有するので、クリーンタンクにおける水溶性クーラントの液面に浮遊する浮遊切粉が、第1噴射ノズルによる水溶性クーラントの噴射および第2噴射ノズルによる水溶性クーラントの噴射にしたがって、前記クリーンタンクのオーバフロー出口から浮遊切粉が容易に溢れ出る利点がある。
【0027】
第6発明によれば、前記クリーンタンクは、互いに連通するが独立した液面を有する一次クリーンタンクおよび二次クリーンタンクから構成され、前記一次クリーンタンクは、前記オーバフロー出口を備えるとともに、前記濾過装置により濾過処理された水溶性クーラントを受けて前記一次クリーンタンクの液面に前記浮遊切粉を浮遊させ、前記二次クリーンタンク内の水溶性クーラントは、前記研削盤の研削加工部位へ供給される。これにより、クリーンタンクの液面のうち、浮遊切粉が浮遊する液面は一次クリーンタンクの液面に限定されるので、水溶性クーラントの液面に浮遊する浮遊切粉がオーバフロー出口からクーラント排出路へ効率的に排出される。
【0028】
第7発明によれば、前記クリーンタンクに浮遊する浮遊切粉は、互いに絡み合った切粉の集団と気泡の集団との集合体であり、前記研削盤および前記濾過装置の稼働と共に大きさが成長するものである。このことから、浮遊切粉を人為的に除去するための工数が必要であるだけでなく、研削盤用水溶性クーラント再循環装置の停止と同時に研削盤をも同時に停止させる必要があるので、研削盤の稼働率が低下し、研削盤によるワークの生産効率が低下するという、格別の課題が導かれる。
【0029】
第8発明によれば、前記濾過装置は、前記研削盤から排出された水溶性クーラントを前記浮遊切粉加入装置により加入された前記浮遊切粉と共に濾過処理する第1濾過装置と、前記第1濾過装置により濾過された水溶性クーラントを貯留する中間タンクと、前記中間タンクに貯留されている水溶性クーラントを濾過処理して前記クリーンタンクへ供給する第2濾過装置とを、備える。このことから、クリーンタンクへ供給される水溶性クーラントは、第2濾過装置により濾過処理されたものであるので、一層クリーン度が高められている。
【0030】
第9発明によれば、前記第1濾過装置は、前記研削盤から排出される水溶性クーラントおよび前記浮遊切粉に含まれる切粉を磁気的に外周面に付着させる磁気ドラムを有し、前記磁気ドラムの外周面に付着した切粉を排出することで前記水溶性クーラントを濾過するマグネチックセパレータである。これにより、クリーンタンクから前記浮遊切粉加入装置により加入された前記浮遊切粉は第1濾過装置(マグネチックセパレータ)によって、人手を要することなく好適に排出される。また、浮遊切粉の回収効率が高められる。
【0031】
第10発明によれば、前記第2濾過装置は、前記中間タンクに貯留された水溶性クーラントから遠心力に基づいて固形異物を分離するサイクロンを、含む。このようにすれば、第1濾過装置により濾過処理された水溶性クーラントに含まれるボンドや砥粒等の非磁性異物が、遠心力によって好適に除去される。
【0032】
第11発明によれば、前記研削盤は、ねじ状の研削砥石をその軸心まわりに回転させつつ軸心方向へ送りながら、歯車素材の軸心に平行な方向へ研削送りを行なうとともにその歯車素材を軸心まわりに順次回転させることで、前記研削砥石の砥粒が当たる位置を変化させて歯車の研削加工を行う連続創成式歯車研削盤である。これにより、連続創成式歯車研削盤の連続運転が可能となり、その稼働率が高められる。
【0033】
第12発明によれば、前記クリーンタンク内の水溶性クーラントを冷却するクーラを、前記クリーンタンクに備える。これにより、前記クーラにより冷却されたクリーンタンク内の水溶性クーラントが連続創成式歯車研削盤の研削加工点に供給されるので、研削砥石の耐久性が高められるとともに、研削加工精度が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の一実施例の連続創成式歯車研削盤用水溶性クーラント再循環装置の構成を説明する平面図である。
【
図2】
図1の連続創成式歯車研削盤用水溶性クーラント再循環装置の構成を、一部を切り欠いて説明する正面図である。
【
図3】
図1の連続創成式歯車研削盤の構成を説明する斜視図である。
【
図4】
図1の連続創成式歯車研削盤において行なわれる連続創成式歯車研削を、ビトリファイド砥石および歯車素材を用いて説明する斜視図である。
【
図5】
図1の水溶性クーラント再循環装置を、その一次クリーンタンクの蓋板を取り外して示す平面図である。
【
図6】
図1の水溶性クーラント再循環装置の一次クリーンタンクに配置された噴射ノズルの位置を説明する概略図である。
【
図7】
図1の連続創成式歯車研削盤用水溶性クーラント再循環装置に備えられている整流タンクの構成を、一部を切り欠いて説明する正面図である。
【
図8】
図1の連続創成式歯車研削盤用水溶性クーラント再循環装置に備えられているマグネチックセパレータの構成を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0036】
図1および
図2は、研削盤用水溶性クーラント再循環装置(以下、再循環装置という)10を示す平面図および正面図である。
図1および
図2において、再循環装置10は、研削盤12から排出された水溶性クーラントCLを受入れてその水溶性クーラントCLを濾過処理する濾過装置14と、濾過装置14から濾過処理された水溶性クーラントCLを受入れて貯留するクリーンタンク16と、クリーンタンク16内の水溶性クーラントCLを研削盤12へ供給するクーラント供給装置18とを備え、研削盤12から排出される水溶性クーラントCLを浄化して研削盤12へ連続的に再循環させるように構成されている。
【0037】
上記水溶性クーラントCLは、たとえば、非イオン界面活性剤および極圧添加剤を含む金属加工液組成物(水で希釈する前の「原液」、以下特に明記しない場合は同様)が、2.5~20質量%となるように水に希釈されたものである。その金属加工液組成物は、たとえば0.5~20質量%の界面活性剤と5~50質量%の硫黄系極圧添加剤とを含むものである。
【0038】
研削盤12としては、切粉が比較的長く切粉量の多い研削を行なうものであり、平面研削盤であってもよいが、本実施例ではたとえば
図3に示される、所謂シフト研削やクリップフィード研削と称される連続創成式歯車研削を行なう連続創成式歯車研削盤であるとして説明する。この研削盤12は、歯車素材BLに形成する外周歯と同じ断面形状を有する歯が螺旋状に連ねられたねじ状の高気孔率で多孔質のビトリファイド砥石22を、たとえば水平方向のY軸に平行な軸心Cyまわりに回転可能に、そのY軸に平行な軸心Cy方向すなわちシフト方向に歯車素材BLに対して相対移動可能に、Y軸に直交するZ軸方向に平行なアキシャル送り方向に歯車素材BLに対して相対移動可能に、且つ、Y軸およびZ軸に直交するX軸方向に平行な切込み方向に歯車素材BLに対して相対移動可能に備えている。また、研削盤12は、Z軸に平行な軸心Czまわりに回転可能に歯車素材BLを保持している。
【0039】
具体的には、研削盤12は、基台24上に固定されたX軸方向案内部材26によりX軸方向に案内され、X軸位置決めモータ28によりX軸方向に位置決めされるX軸テーブル30と、基台24から立設された支持壁32に固定されたZ軸方向案内部材34によりZ軸方向に案内され、Z軸位置決めモータ36によりZ軸方向に位置決めされるZ軸テーブル38と、Z軸テーブル38に形成されたY軸方向案内溝40によりY軸方向に案内され、Y軸位置決めモータ42によりY軸方向に位置決めされるY軸テーブル44と、上記X軸テーブル30上に固設されて歯車素材BLを回転可能に支持し、歯車素材BLをその軸心Czまわりに回転駆動するワーク駆動モータ46を有するワーク回転駆動装置48と、上記Y軸テーブル44上に固設されてビトリファイド砥石22を回転可能に支持し、ビトリファイド砥石22をその軸心Cyまわりに回転駆動する砥石駆動モータ50を有する砥石回転駆動装置52とを、備えている。
【0040】
図4に詳しく示すように、連続創成式歯車研削盤12は、ねじ状の高気孔率で多孔質のビトリファイド砥石22を用いて、歯車素材BLの外周面に連続創成式歯車研削を施す。すなわち、歯車研削盤12は、予め記憶されたプログラムに従ってX軸位置決めモータ28、Z軸位置決めモータ36、Y軸位置決めモータ42によりX軸テーブル30、Z軸テーブル38、Y軸テーブル44を駆動することにより、ビトリファイド砥石22を軸心Cyまわりに回転させつつ軸心Cy方向すなわちシフト方向へ送りながら、ワークである歯車素材BLの軸心Czに平行なZ軸方向すなわちアキシャル方向へ所定の研削ストロークで往復研削送りを行ないつつ、それに同期して歯車素材BLをその軸心Czまわりに順次回転させることで、再循環装置10から供給され且つクーラントノズル60から幅広く供給される水溶性クーラントCLの存在下で、常に新しい研削面すなわち常に新しい砥粒で歯車素材BLの外周面に斜歯或いは直歯の研削加工を行うようにして、ビトリファイド砥石22の砥石磨耗を抑制し、安定した精度且つ高い加工能率で、歯車素材BLの外周面に連続創成式歯車研削を施す。
【0041】
また、研削盤12の基台24には、
図3にも示すように、再循環装置10から供給された水溶性クーラントCLを放出して、研削により発生し、基台24上に滞留する切粉や研削屑を排出溝54内へ流し込み且つそれを排出管56から排出させることで基台24上を清掃する清掃ノズル62が、設けられている。
【0042】
濾過装置14は、研削盤12から排出された水溶性クーラントCLに含まれる、歯車素材BLから削除された切粉のような磁性粉やビトリファイド砥石22に含まれていた砥粒およびビトリファイドボンドなどの無機粉などの異物を除去するものである。濾過装置14は、1段階の濾過処理を行なう装置であってもよいが、本実施例では、濾過装置14は、2段階の濾過処理を行なうために、研削盤12から排出され且つクーラント排出路として機能する整流タンク58を介して流出させられた水溶性クーラントCL(ダーティ液)から切粉を磁気的に吸着して除去する第1濾過装置としてのマグネチックセパレータ64と、マグネチックセパレータ64により濾過された水溶性クーラントCLを貯留する中間タンク68と、中間タンク68内の水溶性クーラントCLからその流入時に発生させる旋回流の遠心力により異物を除去する第2濾過装置としての複数(本実施例では4本)の液体サイクロン66とを、備えている。これにより、濾過装置14は、マグネチックセパレータ64によって濾過処理を行なった後の水溶性クーラントCL(一次クリーン液)を、中間タンク68へ供給し、液体サイクロン66によって中間タンク68内の水溶性クーラントCLの濾過処理を行なった後の水溶性クーラントCL(二次クリーン液)を、クリーンタンク16へ供給する。上記液体サイクロン66には、中間タンク68内の水溶性クーラントCLが中間タンク68の蓋板68aに設けられた濾過ポンプ76a、76bによって図示しない配管を経て供給される。また、基台24に設けられた清掃ノズル62には、中間タンク68内の水溶性クーラントCLが中間タンク68の蓋板68aに設けられた第1フラッシングポンプ78によって図示しない配管を経て供給される。なお、濾過装置14が1段階の濾過処理を行なう装置である場合には中間タンク68は不要となる。
【0043】
中間タンク68は、本実施例では、マグネチックセパレータ64により濾過処理された水溶性クーラントCLが貯留される環状のタンクである。クリーンタンク16は、中間タンク68の内周側に配置され、液体サイクロン66によって濾過処理された水溶性クーラントCLが中間タンク68よりも高い液面で貯留する。クリーンタンク16は、共通の液槽が仕切壁74によって液面下で相互に連通するように分割されることにより独立した液面を有するように構成されている、一次クリーンタンク70および二次クリーンタンク72とから構成されている。液体サイクロン66によって濾過処理された水溶性クーラントCLは、一次クリーンタンク70に供給される。
【0044】
一次クリーンタンク70の蓋板70aには、一次クリーンタンク70および二次クリーンタンク72内の水溶性クーラントCLを冷却するクーラ(液体冷却装置)80が設けられている。そして、クーラントノズル60には、二次クリーンタンク72内の水溶性クーラントCLが二次クリーンタンク72の蓋板72aに設けられた比較的送出容量の大きな中圧ポンプ82によって図示しない配管を経て供給される。これにより、ワークである歯車素材BLとビトリファイド砥石22との研削加工の加工点が直接的に冷却される。この中圧ポンプ82は、クリーンタンク16内の水溶性クーラントCLを研削盤12へ供給するクーラント供給装置18の少なくとも一部を構成している。
【0045】
再循環装置10において、その一次クリーンタンク70の蓋板70aの二次クリーンタンク72側部分には、一次クリーンタンク70の液面に浮遊する切粉を磁気的に吸着してトレイ86に収集するドラム式マグネチックセパレータ88が設けられている。このドラム式マグネチックセパレータ88は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0046】
図5は、再循環装置10を、その一次クリーンタンク70の蓋板70aをクーラ80およびドラム式マグネチックセパレータ88と共に取り除いて示す平面図である。
図5において、一次クリーンタンク70の研削盤12側且つ仕切壁74側には、一次クリーンタンク70の外壁がU字状に切り欠かれることにより、一次クリーンタンク70の液面に浮遊する浮遊切粉FKを整流タンク58へ排出するためのオーバフロー出口90が、設けられている。このオーバフロー出口90と整流タンク58との間には、オーバフロー出口90から流出する浮遊切粉FKを導くための浮遊切粉排出路として機能する矩形断面の浮遊切粉案内ダクト92が、設けられている。
【0047】
この浮遊切粉案内ダクト92は、一次クリーンタンク70の液面に浮遊する浮遊切粉FKを、研削盤12から排出された水溶性クーラントCL(ダーティ液)に加える浮遊切粉加入装置としても機能している。この結果、濾過装置14は、研削盤12から排出された水溶性クーラントCL(ダーティ液)を、フラッシングノズル(噴射ノズル)FN1乃至FN4および浮遊切粉案内ダクト92により加入された浮遊切粉FKと共に濾過処理する。
【0048】
ここで、一次クリーンタンク70の液面に浮遊して滞留する浮遊切粉FKは、その液面の波動に拘わらず相互に拡散せず、むしろ水溶性クーラントCLとのなじみがよくない切粉が相互に絡み合い且つ空気の気泡を巻き込んだ集合体であって、時間経過に伴って厚みがたとえば数十mm程度に成長する性質がある。この浮遊切粉FKは、厚く成長したものほど容易にばらけることが難しく、再循環装置10を定期的に停止させて人為的に浮遊切粉を除去することが必要となるので、浮遊切粉FKを人為的に除去する作業により、再循環装置10の停止と同時に研削盤12をも同時に停止させる必要があり、研削盤12の稼働率が低下し、研削盤12によるワークの生産効率が低下する場合があった。
【0049】
図5に示される一次クリーンタンク70には、その液面に浮遊する浮遊切粉FKをオーバフロー出口90側へ移動させるために、複数のフラッシングノズルFN(本実施例では4個のFN1乃至FN4)が配置されている。これら複数のフラッシングノズルFN1乃至FN4には、二次クリーンタンク72内の水溶性クーラントCLが二次クリーンタンク72の蓋板72aに設けられた第2フラッシングポンプ84から図示しない配管を経て順次圧送され、一次クリーンタンク70の液面に浮遊する浮遊切粉FKをオーバフロー出口90側へ移動させるようになっている。これら複数のフラッシングノズルFN1乃至FN4は、浮遊切粉移動装置として機能している。
【0050】
研削盤12は、ビトリファイド砥石22を用いて歯車素材BLに対する連続的な研削加工およびビトリファイド砥石22に対する研削加工部位への水溶性クーラントCLの連続的な供給を、所定周期で休止させ、予め備えられた図示しないドレッサを用いてビトリファイド砥石22をドレッシングするドレッシング装置を備えている。
【0051】
たとえば、再循環装置10の制御装置100は、研削盤12においてそのビトリファイド砥石22の目立てや形状の整形のためのドレッシング工程が開始されると、中圧ポンプ82を停止させて、それまでクーラントノズル60から比較的大量に流出させられていた二次クリーンタンク72内の水溶性クーラントCLを停止させるので、一次クリーンタンク70および二次クリーンタンク72の液面が上昇させられる。この状態において、制御装置100は、図示しない電磁開閉弁を制御して、たとえばフラッシングノズルFN1乃至FN4から二次フラッシングポンプ84から圧送された二次クリーンタンク72内の水溶性クーラントCLを順次噴射させる。すなわち、制御装置100は、前記ドレッシング装置によるドレッシング期間中に、フラッシングノズルFN1乃至FN4から水溶性クーラントCLを噴射させる。
【0052】
図6の概略図に示すように、フラッシングノズルFN1乃至FN4は、一次クリーンタンク70のオーバフロー出口90の幅中心から見て一次クリーンタンク70のオーバフロー出口90の幅方向W
0に対する角度が順次大きくなる方向上の一次クリーンタンク70の側壁上にそれぞれ位置させられている。フラッシングノズルFN1乃至FN4の位置を示すオーバフロー出口90の幅方向W
0に対する角度θa、θb、θc、θdは、θa<θb<θc<θdである。また、
図5に示すように、フラッシングノズルFN1乃至FN4は、オーバフロー出口90の幅方向W
0に対する噴射角度が順次大きくなる向きにそれぞれ設けられている。制御装置100は、フラッシングノズルFN1乃至FN4のうちの上記角度が小さい側から大きくなる側へ、順次噴射させる。フラッシングノズルFN1乃至FN4のオーバフロー出口90の幅方向W
0に対する噴射角度θ1乃至θ4は、θ1(負)<θ2(正)<θ3(正)<θ4(正)であるので、制御装置100は、フラッシングノズルFN1を所定時間噴射させ、その噴射完了後に、次のフラッシングノズルFN2を所定時間噴射させ、その噴射完了後に、次のフラッシングノズルFN3を所定時間噴射させ、その噴射完了後に、フラッシングノズルFN4を所定時間噴射させ、一次クリーンタンク70内の水溶性クーラントの液面に浮遊する浮遊切粉FKをオーバフロー出口90側に移動させるようにする。
【0053】
整流タンク58は、
図1に示すように、研削盤12から排出された水溶性クーラントCL(ダーティ液)を再循環装置10の濾過装置14へ導くクーラント排出路として機能する長手状のタンクであって、上流側の端部は研削盤12の排出管56および一次クーラントタンク70からの浮遊切粉案内ダクト92に接続され、下流側の端部は、濾過装置14のマグネチックセパレータ64に矩形断面の第1接続ダクト94を介して接続されている。また、整流タンク58の長手方向の中間位置は、前記第2濾過装置として機能する4本の液体サイクロン66によって中間タンク68に貯留された水溶性クーラントCL(一次クリーン液)から遠心力に基づいて分離された固形異物を含む水溶性クーラントCLを案内して、整流タンク58内を流れる、研削盤12から排出された水溶性クーラントCLに加える分離物加入装置96に、接続されている。これらにより、オーバフロー出口90から流出して浮遊切粉案内ダクト92により案内される浮遊切粉FKを含む水溶性クーラントCKと、液体サイクロン66により中間タンク68に貯留された水溶性クーラントCL(一次クリーン液)から分離された固形異物を含む水溶性クーラントCLとが、整流タンク58内を流れる研削盤12からの水溶性クーラントCLに加えられ、濾過装置14によって再度濾過処理されるようになっている。
図7において破線で示される矢印は、整流タンク58内において、研削盤12から排出された水溶性クーラントCL、オーバフロー出口90から流出して浮遊切粉案内ダクト92により案内される浮遊切粉FKを含む水溶性クーラントCK、および、液体サイクロン66により分離された固形異物を含む水溶性クーラントCLの、それぞれの流れ方向をそれぞれ示している。
【0054】
図7に示すように、整流タンク58の底壁58aは、水溶性クーラントCLの流れ方向に向かうほどゆるやかに深くなるように形成され、整流タンク58の長さの2/3程度を超えると深さが一定となるように形成され、整流タンク58の長さの7/8程度を超えると深さが急に浅くなるスロープSLが、形成されている。このスロープSLは、沈殿物の掻き出しのためのものである。整流タンク58は、研削盤12の排出管56よりも少なくとも数倍以上の十分に大きな流通断面を有し、研削盤12から排出された水溶性クーラントCLを受け入れて濾過装置14のマグネチックセパレータ64へ導くゆるやかな流通区間で、研削盤12から排出された水溶性クーラントCLに浮遊する大気泡の脱気および水溶性クーラントCL内に混在する前記大気泡よりも小径の小気泡の脱気と、研削盤12から排出された水溶性クーラントCL内でスラッジの沈殿を促進する。
【0055】
図8は、マグネチックセパレータ64の斜視図である。マグネチックセパレータ64は、研削盤12から排出された水溶性クーラントCL(ダーティ液)が第1接続ダクト94を介して流入させられる流入口108を有するダーティ液貯留槽110と、有底円筒状部材であって、その円筒状外周面112は切粉を吸着可能に永久磁化されており、ダーティ液貯留槽110に貯留された水溶性クーラントCLに円筒状外周面112の一部が浸漬された状態でダーティ液貯留槽110の外壁に回転可能に支持され且つ電動駆動装置114により連続的に回転駆動される磁気ドラム116と、磁気ドラム116の円筒状外周面112に切粉が吸着されることにより濾過された水溶性クーラントCL(一次クリーン液)が中間タンク68へ第2接続ダクト118を介して流出される流出口120と、ダーティ液と一次クリーン液とを隔て且つ磁気ドラム116の円筒状外周面112の下側表面と所定の間隔をもって位置させられてダーティ液を円筒状外周面112の下側表面に案内する案内板122と、円柱状部材であって、その円柱状部材の外周面が磁気ドラム116の円筒状外周面112にスプリング124による所定の押圧力で当接させられるように回転可能にダーティ液貯留槽110の外壁に支持され、磁気ドラム116の円筒状外周面112に吸着された切粉を押圧することにより脱水する絞りローラ126と、絞りローラ126によって脱水された切粉を磁気ドラム116の円筒状外周面112から掻き取って切粉受箱128内へ落下させる切粉シュート130とを、備えている。
【0056】
上述のように、本実施例の再循環装置10は、研削盤12から排出された水溶性クーラントCL(ダーティ液)を受入れてその水溶性クーラントCLを濾過処理する濾過装置14(マグネチックセパレータ64および液体サイクロン66)と、濾過装置14により濾過処理された水溶性クーラントCL(クリーン液)を受入れて貯留するクリーンタンク16(一次クリーンタンク70および二次クリーンタンク72)と、クリーンタンク16内の水溶性クーラントCLを研削盤12へ供給するクーラント供給装置18とを備え、研削盤12から排出される水溶性クーラントCL(ダーティ液)を浄化して研削盤12へ連続的に再循環させるものであって、クリーンタンク16の液面に浮遊する浮遊切粉FKを研削盤12から排出された水溶性クーラントCLに加える浮遊切粉加入装置(浮遊切粉案内ダクト92)を含み、濾過装置14は、研削盤12から排出された水溶性クーラントCL(ダーティ液)を上記浮遊切粉加入装置により加入された浮遊切粉FKと共に濾過処理する。これにより、本実施例の再循環装置10によれば、クリーンタンク16の液面に浮遊する浮遊切粉FKの成長が抑制され、その浮遊切粉FKが濾過装置14において効率よく除去されるので、再循環装置10を定期的に停止させることが不要となり、その連続運転が可能となる。
【0057】
また、本実施例の再循環装置10は、研削盤12から排出される水溶性クーラントCL(ダーティ液)を濾過装置12へ導くクーラント排出路(整流タンク58)を、含み、クリーンタンク16は、クリーンタンク16に貯留された水溶性クーラントCLが溢れ出すオーバフロー出口90を、備え、浮遊切粉加入装置(浮遊切粉案内ダクト92)は、クリーンタンク16に貯留された水溶性クーラントCLの液面に浮遊する浮遊切粉FKをオーバフロー出口90側へ移動させるようにクリーンタンク16に貯留された水溶性クーラントCLの液面に向かって水溶性クーラントCLを噴出するフラッシングノズルFN1~FN4と、オーバフロー出口90から流出された浮遊切粉FKを研削盤12からのクーラント排出路(整流タンク58)へ排出する浮遊切粉排出路(浮遊切粉案内ダクト92)と、を備える。これにより、フラッシングノズルFN1~FN4からクリーンタンク16に貯留された水溶性クーラントCLの液面に向かって噴射された水溶性クーラントCLによって、水溶性クーラントCLの液面に浮遊する浮遊切粉FKがオーバフロー出口90からクーラント排出路(整流タンク58)へ排出されて研削盤12から排出された水溶性クーラントCLと共に濾過装置14へ導かれて濾過処理される。本実施例の再循環装置10によれば、クリーンタンク16の液面に浮遊する浮遊切粉FKの成長が抑制され、その浮遊切粉FKが濾過装置14において効率よく除去されるので、再循環装置10を定期的に停止させることが不要となり、その連続運転が可能となる。
【0058】
また、本実施例の再循環装置10によれば、前記クーラント排出路は、研削盤12から排出された水溶性クーラントCL(ダーティ液)を受け入れて濾過装置14へ導く区間で、研削盤12から排出された水溶性クーラントCL(ダーティ液)に浮遊する大気泡の脱気および研削盤12から排出された水溶性クーラントCL(ダーティ液)内に混在する前記大気泡よりも小径の小気泡の脱気と、研削盤12から排出された水溶性クーラントCL(ダーティ液)内でスラッジの沈殿を促進する長手状の整流タンク58を、含み、クリーンタンク16(第1クリーンタンク70)のオーバフロー出口90は、クリーンタンク16の液面に浮遊する浮遊切粉FKを前記整流タンク58内へ流入させる。これにより、浮遊切粉FKが濾過装置14へ導かれる過程で、整流タンク58での脱気および沈殿により、濾過装置14における濾過作用の負荷が軽減される利点がある。
【0059】
また、本実施例の再循環装置10によれば、研削盤12は、研削砥石(ビトリファイド砥石22)を用いて被研削材(歯車素材BL)に対する研削加工および研削砥石(ビトリファイド砥石22)の被研削材(歯車素材BL)に対する研削加工部位への水溶性クーラントCLの供給を所定周期で休止させ、予め備えられたドレッサを用いて研削砥石(ビトリファイド砥石22)をドレッシングするドレッシング装置を備え、浮遊切粉加入装置(浮遊切粉案内ダクト92)は、前記ドレッシング装置によるドレッシング期間中にフラッシングノズルFN1~FN4から水溶性クーラントCLを噴射させる。研削盤12でのドレッシング期間中は研削が停止されるとともに研削盤12の研削加工部位への水溶性クーラントCLの供給も停止されることから、その分、クリーンタンク16における水溶性クーラントCLの液面が上昇するので、クリーンタンク16のオーバフロー出口90から浮遊切粉FKが容易に溢れ出る利点がある。
【0060】
また、本実施例の再循環装置10によれば、フラッシングノズルFN1~FN4は、一次クリーンタンク70のオーバフロー出口90の幅中心から見て一次クリーンタンク70のオーバフロー出口90の幅方向W0に対する角度が順次大きくなる方向上の一次クリーンタンク70の側壁上にそれぞれ位置させられている。また、フラッシングノズルFN1乃至FN4、オーバフロー出口90の幅方向W0に対する噴射角度が順次大きくなる向きにそれぞれ設けられ、その噴射角度が順次大きくなる順で、一次クリーンタンク70内の水溶性クーラントCLの液面に浮遊する浮遊切粉FKを前記オーバフロー出口側に移動させるように噴射する。このことから、一次クリーンタンク70における水溶性クーラントCLの液面に浮遊する浮遊切粉FKが、一次クリーンタンク70のオーバフロー出口90から浮遊切粉が容易に溢れ出る利点がある。このことは、クリーンタンク16が一つのタンクから構成される場合であっても同様であり、また、4個のフラッシングノズルFN1~FN4に替えて、2個のフラッシングノズルであっても同様の噴射順序で噴射することで、同様の効果が得られる。
【0061】
また、本実施例の再循環装置10によれば、クリーンタンク16は、互いに連通するが独立した液面を有する一次クリーンタンク70および二次クリーンタンク72から構成され、一次クリーンタンク70は、オーバフロー出口90を備えるとともに、濾過装置14により濾過処理された水溶性クーラントCLを受けて一次クリーンタンク70の液面に浮遊切粉FKを浮遊させ、二次クリーンタンク72内の水溶性クーラントCLは、研削盤12の研削加工部位へ供給される。これにより、クリーンタンク16の液面のうち、浮遊切粉FKが浮遊する液面は一次クリーンタンク70の液面に限定されるので、水溶性クーラントCLの液面に浮遊する浮遊切粉FKがオーバフロー出口90からクーラント排出路(整流タンク58)へ効率的に排出される。
【0062】
また、一次クリーンタンク70に浮遊する浮遊切粉FKは、互いに絡み合った切粉の集団と気泡の集団との集合体であり、前記研削盤および前記濾過装置の稼働と共に大きさが成長するものである。このことから、浮遊切粉FKを人為的に除去するための工数が必要であるだけでなく、再循環装置10の停止と同時に研削盤をも同時に停止させる必要があるので、研削盤12の稼働率が低下し、研削盤によるワーク(歯車素材BL)の生産効率が低下するという、格別の課題が導かれるが、本実施例の再循環装置10によれば、その格別の課題が解決されるという格別の効果が得られる。
【0063】
本実施例の再循環装置10によれば、濾過装置14は、研削盤12から排出された水溶性クーラントCLを浮遊切粉加入装置(浮遊切粉案内ダクト92)により加入された浮遊切粉FKと共に濾過処理する第1濾過装置(マグネチックセパレータ64)と、その第1濾過装置により濾過された水溶性クーラントCLを貯留する中間タンク68と、中間タンク68に貯留されている水溶性クーラントCLを濾過処理してクリーンタンク16へ供給する第2濾過装置(液体サイクロン66)とが、備えられる。このことから、クリーンタンク16へ供給される水溶性クーラントCL(二次クリーン液)は、第2濾過装置(液体サイクロン66)により濾過処理されたものであるので、一層クリーン度が高められている。
【0064】
本実施例の再循環装置10によれば、第1濾過装置は、研削盤12から排出される水溶性クーラントCLおよび浮遊切粉FKに含まれる切粉を磁気的に円筒状外周面112に付着させる磁気ドラム116を有し、磁気ドラム116の円筒状外周面112に付着した切粉を排出することで水溶性クーラントCL(ダーティ液)を濾過するマグネチックセパレータ64である。これにより、クリーンタンク16から浮遊切粉加入装置(浮遊切粉案内ダクト92)により加入された浮遊切粉FKは第1濾過装置(マグネチックセパレータ64)によって、人手を要することなく好適に排出される。また、マグネチックセパレータ64における浮遊切粉FKの回収効率が高められる。
【0065】
本実施例の再循環装置10によれば、第2濾過装置は、中間タンク68に貯留された水溶性クーラントCL(一次クリーン液)から遠心力に基づいて固形異物を分離する液体サイクロン66を、含む。このようにすれば、第1濾過装置(マグネチックセパレータ64)により濾過処理された水溶性クーラントCLに含まれるボンドや砥粒等の非磁性異物が、遠心力によって好適に除去される。
【0066】
本実施例の再循環装置10によれば、研削盤12は、ねじ状の研削砥石(ビトリファイド砥石22)をその軸心Cyまわりに回転させつつ軸心Cy方向へ送りながら、歯車素材BLの軸心Czに平行な方向へ研削送りを行なうとともにその歯車素材BLを軸心CZまわりに順次回転させることで、研削砥石(ビトリファイド砥石22)の砥粒が当たる位置を変化させて歯車の研削加工を行う連続創成式歯車研削盤である。これにより、連続創成式歯車研削盤の連続運転が可能となり、その稼働率が高められる。
【0067】
本実施例の再循環装置10によれば、クリーンタンク16内の水溶性クーラントCLを冷却するクーラ80を、クリーンタンク16(一次クリーンタンク70)に備える。これにより、クーラ80により冷却された水溶性クーラントCLが連続創成式歯車研削盤12の研削加工点に供給されるので、研削砥石(ビトリファイド砥石22)の耐久性が高められるとともに、歯車素材BLの研削加工精度が高められる。
【0068】
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
【0069】
たとえば、前述の実施例で用いられている4個のフラッシングノズルFN1~FN4は、1個でもよいが、好適には2個以上設けられるとよい。この場合には、フラッシングノズルのオーバフロー出口90の幅方向に対する角度を異なるように設定して噴射に時間差を設け、或いは設けない手順で噴射することで、浮遊切粉FKをオーバフロー出口90に近づくように容易に移動させることができる。
【0070】
前述の実施例では、濾過装置14は第1濾過装置(マグネチックセパレータ64)および第2濾過装置(液体サイクロン66)から構成されていたが、1つの濾過装置或いは3以上の濾過装置から構成されていてもよい。
【0071】
また、前述の実施例では、濾過装置14が第1濾過装置(マグネチックセパレータ64)および第2濾過装置(液体サイクロン66)から構成されていたが、濾過布を用いるなどの他の濾過方式の濾過装置が採用されていてもよい。
【0072】
また、前述の実施例では、研削盤12は、連続創成式歯車研削盤であったが、平面研削盤などの他の研削方式の研削盤であってもよい。
【0073】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0074】
10:研削盤用水溶性クーラント再循環装置(再循環装置)
12:研削盤
14:濾過装置
16:クリーンタンク
18:クーラント供給装置
22:ビトリファイド砥石(研削砥石)
24:基台
26:X軸方向案内部材
28:X軸位置決めモータ
30:X軸テーブル
32:支持壁
34:Z軸方向案内部材
36:Z軸位置決めモータ
38:Z軸テーブル
40:Y軸方向案内溝
42:Y軸位置決めモータ
44:Y軸テーブル
46:ワーク駆動モータ
48:ワーク回転駆動装置
50:砥石駆動モータ
52:砥石回転駆動装置
54:排出溝
56:排出管
58:整流タンク(クーラント排出路)
60:クーラントノズル
62:清掃ノズル
64:マグネチックセパレータ(第1濾過装置)
66:液体サイクロン(第2濾過装置)
68:中間タンク
68a:蓋板
70:一次クリーンタンク
70a:蓋板
72:二次クリーンタンク
72a:蓋板
74:仕切壁
76a、76b:濾過ポンプ
78:第1フラッシングポンプ
80:クーラ
82:中圧ポンプ
84:第2フラッシングポンプ
86:トレイ
88:ドラム式マグネチックセパレータ
90:オーバフロー出口(浮遊切粉加入装置)
92:浮遊切粉案内ダクト(浮遊切粉排出路、浮遊切粉加入装置)
94:第1接続ダクト
96:分離物加入装置
100:制御装置
108:流入口
110:ダーティ液貯留槽
112:円筒状外周面
114:電動駆動装置
116:磁気ドラム
118:第2接続ダクト
120:流出口
122:案内板
124:スプリング
126:絞りローラ
128:切粉受箱
130:切粉シュート
BL:歯車素材(被研削材)
CL:水溶性クーラント
FN1~FN4:フラッシングノズル(浮遊切粉加入装置、噴射ノズル)
オーバフロー出口の幅方向:W0
オーバフロー出口の幅方向に対する角度 :θa~θd
オーバフロー出口の幅方向に対する噴射角度:θ1~θ4