(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】火災報知システムに対する試験の試験結果出力装置、試験結果出力方法及び試験結果出力プログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20220624BHJP
G08B 17/10 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
G08B17/00 D
G08B17/10 L
(21)【出願番号】P 2018124193
(22)【出願日】2018-06-29
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】河合 秀規
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-194840(JP,A)
【文献】特開2016-045592(JP,A)
【文献】特開2015-203894(JP,A)
【文献】特開2017-216688(JP,A)
【文献】特開2007-010879(JP,A)
【文献】特開2018-085652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B1/00-9/20
17/00-31/00
G08C13/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災を報知するための発光部又は表示部を備える火災受信機を含む火災報知システムに対する試験の結果を出力する試験結果出力装置であって、
前記火災受信機を含む撮像画像を取得する画像取得部と、
文字認識処理によって、前記撮像画像
に含まれる文字であって、火災が検知された状態を示す前記発光部
に対応する警戒区域を示す文字、又は前記表示部に表示された文字を
認識し、認識した前記文字に関連付けて記憶部に記憶された区域を、火災が検知された区域
として特定する画像分析部と、
前記
火災が検知された区域を示す試験結果を出力する出力部と、
を有する試験結果出力装置。
【請求項2】
前記火災受信機の機種ごとに前記発光部又は前記表示部が火災を報知する方式を示す機種情報を記憶する記憶部をさらに有し、
前記画像分析部は、前記試験の対象である前記火災受信機の前記機種に対応する前記機種情報に基づいて、前記撮像画像
に含まれる前記文字を検出する、請求項1に記載の試験結果出力装置。
【請求項3】
前記試験の対象である前記火災受信機の前記機種の設定をユーザから受け付ける受付部をさらに有する、請求項2に記載の試験結果出力装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記画像分析部が前記
火災が検知された区域を特定した際に、前記
火災が検知された区域を示す通知をユーザの端末に送信する、請求項1から
3のいずれか一項に記載の試験結果出力装置。
【請求項5】
前記撮像画像が時刻を含む場合に、前記画像分析部は、前記撮像画像の中で前記表示部に表示された文字を検出することによって、火災が検知された時刻を特定し、
前記出力部は、前記
火災が検知された区域に加えて、前記画像分析部が特定した前記時刻を示す前記試験結果を出力する、請求項1から
4のいずれか一項に記載の試験結果出力装置。
【請求項6】
前記撮像画像が時刻を含まない場合に、前記出力部は、前記
火災が検知された区域に加えて、前記撮像画像を撮像した端末が有する計時部の時刻に基づいて特定した火災が検知された時刻を示す前記試験結果を出力する、請求項1から
5のいずれか一項に記載の試験結果出力装置。
【請求項7】
火災を報知するための発光部又は表示部を備える火災受信機を含む火災報知システムに対する試験の結果を出力する試験結果出力方法であって、
プロセッサが、
前記火災受信機を含む撮像画像を取得するステップと、
文字認識処理によって、前記撮像画像
に含まれる文字であって、火災が検知された状態を示す前記発光部
に対応する警戒区域を示す文字、又は前記表示部に表示された文字を
認識し、認識した前記文字に関連付けて記憶部に記憶された区域を、火災が検知された区域
として特定するステップと、
前記
火災が検知された区域を示す試験結果を出力するステップと、
を実行する試験結果出力方法。
【請求項8】
前記火災受信機を撮像可能な位置に配置された第1端末のプロセッサが、前記火災受信機を含む前記撮像画像を送信するステップを実行し、
前記第1端末と通信する第2端末のプロセッサが、前記第1端末から前記撮像画像を取得する前記ステップと、前記
火災が検知された区域を特定する前記ステップと、前記試験結果を出力する前記ステップと、を実行する、請求項
7に記載の試験結果出力方法。
【請求項9】
前記撮像画像が時刻を含む場合に、前記
火災が検知された区域を特定する前記ステップは、前記撮像画像の中で前記表示部に表示された文字を検出することによって、火災が検知された時刻を特定し、
前記試験結果を出力する前記ステップは、前記
火災が検知された区域に加えて、前記
火災が検知された区域を特定する前記ステップが特定した前記時刻を示す前記試験結果を出力する、請求項
7又は
8に記載の試験結果出力方法。
【請求項10】
前記撮像画像が時刻を含まない場合に、前記試験結果を出力する前記ステップは、前記
火災が検知された区域に加えて、前記撮像画像を撮像した端末が有する計時部の時刻に基づいて特定した火災が検知された時刻を示す前記試験結果を出力する、請求項
7から
9のいずれか一項に記載の試験結果出力方法。
【請求項11】
火災を報知するための発光部又は表示部を備える火災受信機を含む火災報知システムに対する試験の結果を出力する試験結果出力プログラムであって、
コンピュータに、
前記火災受信機を含む撮像画像を取得するステップと、
文字認識処理によって、前記撮像画像
に含まれる文字であって、火災が検知された状態を示す前記発光部
に対応する警戒区域を示す文字、又は前記表示部に表示された文字を
認識し、認識した前記文字に関連付けて記憶部に記憶された区域を検出することによって、火災が検知された区域
として特定するステップと、
前記
火災が検知された区域を示す試験結果を出力するステップと、
を実行させる試験結果出力プログラム。
【請求項12】
前記撮像画像が時刻を含む場合に、前記
火災が検知された区域を特定する前記ステップは、前記撮像画像の中で前記表示部に表示された文字を検出することによって、火災が検知された時刻を特定し、
前記試験結果を出力する前記ステップは、前記
火災が検知された区域に加えて、前記
火災が検知された区域を特定する前記ステップが特定した前記時刻を示す前記試験結果を出力する、請求項
11に記載の試験結果出力プログラム。
【請求項13】
前記撮像画像が時刻を含まない場合に、前記試験結果を出力する前記ステップは、前記
火災が検知された区域に加えて、前記撮像画像を撮像した端末が有する計時部の時刻に基づいて特定した火災が検知された時刻を示す前記試験結果を出力する、請求項
11又は
12に記載の試験結果出力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災報知システムに対する試験の結果を出力するための試験結果出力装置、試験結果出力方法及び試験結果出力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
火災報知システムは、監視対象の区域に設置されている複数の火災感知器と、火災感知器が感知した火災を報知する火災受信機とを含む。火災受信機は、回線を介して各火災感知器と接続される。火災報知システムが設置された際には、煙や熱を発生させることによって火災感知器に擬似的に火災を検知させる試験(点検)が行われる。火災報知システムに対する試験には大きな手間が掛かるため、試験に掛かる手間を削減するシステムの開発が進んでいる(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-175554号公報
【文献】特開2003-109137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
火災報知システムに対する試験結果は、記録表として記録する必要がある。建物には多数の火災感知器が設置されているため、従来、全ての火災感知器について試験結果を記録するために大きな手間が掛かっていた。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、火災報知システムに対する試験結果を記録する手間を削減できる試験結果出力装置、試験結果出力方法及び試験結果出力プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の試験結果出力装置は、火災を報知するための発光部又は表示部を備える火災受信機を含む火災報知システムに対する試験の結果を出力する試験結果出力装置であって、前記火災受信機を含む撮像画像を取得する画像取得部と、前記撮像画像の中で前記発光部の発光又は前記表示部に表示された文字を検出することによって、火災が検知された区域を特定する画像分析部と、前記区域を示す試験結果を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記試験結果出力装置は、前記火災受信機の機種ごとに前記発光部又は前記表示部が火災を報知する方式を示す機種情報を記憶する記憶部をさらに有し、前記画像分析部は、前記試験の対象である前記火災受信機の前記機種に対応する前記機種情報に基づいて、前記撮像画像の中で前記発光部の発光又は前記表示部に表示された文字を検出してもよい。
【0008】
前記試験結果出力装置は、前記試験の対象である前記火災受信機の前記機種の設定をユーザから受け付ける受付部をさらに有してもよい。
【0009】
前記画像分析部は、前記撮像画像の中で前記発光を検出した前記発光部の位置に対応する前記区域を特定してもよい。
【0010】
前記画像分析部は、文字認識処理によって前記撮像画像に含まれる前記文字を認識し、認識した前記文字に対応する前記区域を特定してもよい。
【0011】
前記出力部は、前記画像分析部が前記区域を特定した際に、前記区域を示す通知をユーザの端末に送信してもよい。
【0012】
前記撮像画像が時刻を含む場合に、前記画像分析部は、前記撮像画像の中で前記表示部に表示された文字を検出することによって、火災が検知された時刻を特定し、前記出力部は、前記区域に加えて、前記画像分析部が特定した前記時刻を示す前記試験結果を出力してもよい。
【0013】
前記撮像画像が時刻を含まない場合に、前記出力部は、前記区域に加えて、前記撮像画像を撮像した端末が有する計時部の時刻に基づいて特定した火災が検知された時刻を示す前記試験結果を出力してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様の試験結果出力方法は、火災を報知するための発光部又は表示部を備える火災受信機を含む火災報知システムに対する試験の結果を出力する試験結果出力方法であって、プロセッサが、前記火災受信機を含む撮像画像を取得するステップと、前記撮像画像の中で前記発光部の発光又は前記表示部に表示された文字を検出することによって、火災が検知された区域を特定するステップと、前記区域を示す試験結果を出力するステップと、を実行する。
【0015】
前記火災受信機を撮像可能な位置に配置された第1端末のプロセッサが、前記火災受信機を含む前記撮像画像を送信するステップを実行し、前記第1端末と通信する第2端末のプロセッサが、前記第1端末から前記撮像画像を取得する前記ステップと、前記区域を特定する前記ステップと、前記試験結果を出力する前記ステップと、を実行してもよい。
【0016】
前記撮像画像が時刻を含む場合に、前記区域を特定する前記ステップは、前記撮像画像の中で前記表示部に表示された文字を検出することによって、火災が検知された時刻を特定し、前記試験結果を出力する前記ステップは、前記区域に加えて、前記区域を特定する前記ステップが特定した前記時刻を示す前記試験結果を出力してもよい。
【0017】
前記撮像画像が時刻を含まない場合に、前記試験結果を出力する前記ステップは、前記区域に加えて、前記撮像画像を撮像した端末が有する計時部の時刻に基づいて特定した火災が検知された時刻を示す前記試験結果を出力してもよい。
【0018】
本発明の第3の態様の試験結果出力プログラムは、火災を報知するための発光部又は表示部を備える火災受信機を含む火災報知システムに対する試験の結果を出力する試験結果出力プログラムであって、コンピュータに、前記火災受信機を含む撮像画像を取得するステップと、前記撮像画像の中で前記発光部の発光又は前記表示部に表示された文字を検出することによって、火災が検知された区域を特定するステップと、前記区域を示す試験結果を出力するステップと、を実行させる。
【0019】
前記撮像画像が時刻を含む場合に、前記区域を特定する前記ステップは、前記撮像画像の中で前記表示部に表示された文字を検出することによって、火災が検知された時刻を特定し、前記試験結果を出力する前記ステップは、前記区域に加えて、前記区域を特定する前記ステップが特定した前記時刻を示す前記試験結果を出力してもよい。
【0020】
前記撮像画像が時刻を含まない場合に、前記試験結果を出力する前記ステップは、前記区域に加えて、前記撮像画像を撮像した端末が有する計時部の時刻に基づいて特定した火災が検知された時刻を示す前記試験結果を出力してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、火災報知システムに対する試験結果を記録する手間を削減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態に係る火災報知システムの模式図である。
【
図2】本実施形態に係る火災報知システムが有する火災受信機の模式図である。
【
図3】本実施形態に係る火災報知システムが有する作業者端末及び撮像端末のブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る火災報知システムに対する試験結果出力方法を示す模式図である。
【
図5】初期設定画面を表示している作業者端末の正面図である。
【
図6】本実施形態に係る火災報知システムが有する火災受信機の正面図である。
【
図7】履歴情報生成部が生成する履歴情報の模式図である。
【
図8】本実施形態に係る試験結果出力方法のフローチャートを示す図である。
【
図9】本実施形態に係る火災報知システムに対する試験結果出力方法を示す模式図である。
【
図10】本実施形態に係る火災報知システムに対する試験結果出力方法を示す模式図である。
【
図11】途中設定画面を表示している作業者端末の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[火災報知システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る火災報知システムSの模式図である。火災報知システムSは、作業者端末1と、撮像端末2と、火災受信機3と、火災感知器4とを有する。火災受信機3は、電線等の回線Wを介して、火災感知器4に接続されている。
【0024】
火災受信機3は、火災報知システムSの各種の動作を司り、火災感知器4が感知した情報に基づいて火災を報知する制御装置である。火災受信機3は、例えばP型火災受信機又はR型火災受信機である。
【0025】
火災警報の監視対象となる警戒区域Aには、それぞれ一以上の火災感知器4が設けられている。警戒区域Aは、例えば建物の階層、階層を分割した領域、建物内の部屋等の区域である。
【0026】
作業者端末1は、火災報知システムSを試験する作業者(ユーザ)が保持する、無線通信を行うことが可能なコンピュータである。作業者端末1は、例えばスマートフォン等の携帯端末である。作業者端末1は、作業者による操作を受け付けるとともに、撮像端末2が撮像した撮像画像を表示部上に表示する。
【0027】
撮像端末2は、火災受信機3を撮像する、無線通信を行うことが可能なコンピュータである。撮像端末2は、例えばスマートフォン等の携帯端末である。撮像端末2は三脚等の支持部材に固定されており、火災受信機3の正面を撮像可能な位置に配置されている。撮像端末2は、火災受信機3の正面を含む撮像範囲を撮像し、撮像画像を作業者端末1に送信する。
【0028】
作業者は、火災感知器4の近くで試験用の擬似的な煙又は熱を発生させている間に、作業者端末1に表示された撮像画像を視認することで、火災感知器4が試験用の擬似的な煙又は熱を感知しているか否かを確認することができる。したがって、火災報知システムSにおいては、一人の作業者が火災感知器4の試験をする作業の効率を向上させることができる。
【0029】
また、火災報知システムSにおいては、撮像画像を解析した結果に基づいて試験結果が出力される。したがって、作業者が、試験の途中又は試験を終了した後に試験結果を記録した記録表等の書面を作成するための時間を短縮することができる。
【0030】
[火災報知システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る火災報知システムSが有する火災受信機3の模式図である。
図2に示す火災受信機3はP型火災受信機であるが、R型火災受信機であってもよい。火災受信機3は、制御部31と、報知部32とを備える。火災受信機3は、操作部や音声出力部等、その他の部材を備えてもよい。
【0031】
制御部31は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有する。制御部31は、火災感知器4が火災を検知した際に報知するための制御を行う。制御部31は、回線Wに接続されている。回線Wは、警戒区域ごとに、一以上の火災感知器4に順に接続(いわゆる送り配線)され、制御部31とは反対側の終端部において終端器5に接続されている。
【0032】
制御部31は、警戒区域内に設置された一以上の火災感知器4のいずれかから火災を検知したことが通知されると、火災が発生した警戒区域を示す情報を、報知部32を用いて報知する。
【0033】
火災受信機3がP型火災受信機の場合には、報知部32(地区窓ともいう)は、火災受信機3の正面側に設けられており、ランプを含む。報知部32は、制御部31からの信号に従って作動する。報知部32は、警戒区域の数以上の数のランプを有する。報知部32のランプは、それぞれいずれか1つの警戒区域の回線Wに関連付けられている。いずれかの警戒区域の火災感知器4で火災が検知されると、該警戒区域の回線Wに関連付けられたランプが発光する。火災受信機3がR型火災受信機の場合には、報知部32はディスプレイを含み、ディスプレイは火災が検知された警戒区域を表す文字を表示する。
【0034】
火災感知器4は、試験用の擬似的な熱又は煙を検知すると、自身の電気的特性(例えばインピーダンス)を変化させる、あるいは回線W上に信号を送信することによって、火災受信機3に火災を検知したことを通知する。
【0035】
終端器5は、火災感知器4が接続されている回線Wの、火災受信機3とは反対側の終端部に設けられる終端装置である。終端器5は、回線Wの断線を検出するために設けられる。終端器5は、回線Wの最も終端側(すなわち火災受信機3から最も遠い位置)にある火災感知器4に内蔵されてもよい。
【0036】
図3は、本実施形態に係る火災報知システムSが有する作業者端末1及び撮像端末2のブロック図である。
図3において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図3に示したもの以外のデータの流れがあってよい。
図3において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図3に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に別れて実装されてよい。
【0037】
本実施形態に係る試験結果出力装置としての作業者端末1は、制御部11と、記憶部12と、操作部13と、通信部14と、表示部15とを有する。制御部11は、設定受付部111と、画像取得部112と、画像分析部113と、履歴情報生成部114と、出力部115とを有する。
【0038】
制御部11は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、設定受付部111、画像取得部112、画像分析部113、履歴情報生成部114及び出力部115として機能する。制御部11の機能の少なくとも一部は、電気回路によって実行されてもよい。また、制御部11の機能の少なくとも一部は、ネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。設定受付部111、画像取得部112、画像分析部113、履歴情報生成部114及び出力部115の機能については、
図4~
図8を用いて後述する。
【0039】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部11が実行するプログラムを予め記憶している。
【0040】
操作部13は、作業者の操作を受け付けるための、ボタン、スイッチ、ダイヤル等の操作部材を含む。操作部13は、作業者の操作を示す信号を制御部11に入力する。
【0041】
通信部14は、インターネット、ローカルエリアネットワーク等のネットワークを介して通信をするための通信インターフェースである。通信部14は、通信を実行するためのプロセッサ、コネクタ、電気回路等を含む。通信部14は、外部から受信した通信信号に所定の処理を行ってデータを取得し、取得したデータを制御部11に入力する。また、通信部14は、制御部11から入力されたデータに所定の処理を行って通信信号を生成し、生成した通信信号を外部に送信する。
【0042】
表示部15は、液晶ディスプレイ等、情報を表示可能な表示装置を含む。表示部15は、制御部11からの信号に従って情報を表示する。表示部15として作業者による接触の位置を検出可能なタッチスクリーンを用いることによって、表示部15と操作部13とを一体に構成してもよい。
【0043】
撮像端末2は、制御部21と、記憶部22と、撮像部23と、通信部24とを有する。制御部21は、撮像制御部211と、画像送信部212とを有する。撮像端末2は、さらに作業者端末1と同様の操作部13及び表示部15を有してもよい。
【0044】
制御部21は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、撮像制御部211及び画像送信部212として機能する。制御部21の機能の少なくとも一部は、電気回路によって実行されてもよい。また、制御部21の機能の少なくとも一部は、ネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。撮像制御部211及び画像送信部212の機能については、
図4~
図8を用いて後述する。
【0045】
記憶部22は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部22は、制御部21が実行するプログラムを予め記憶している。
【0046】
撮像部23は、火災受信機3を含む撮像範囲を撮像する撮像装置(カメラ)である。撮像部23は、CCD(Charge Coupled Device)センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子を含む。撮像部23は、撮像した撮像画像を示す信号を制御部21に入力する。
【0047】
通信部24は、インターネット、ローカルエリアネットワーク等のネットワークを介して通信をするための通信インターフェースである。通信部24は、通信を実行するためのプロセッサ、コネクタ、電気回路等を含む。通信部24は、外部から受信した通信信号に所定の処理を行ってデータを取得し、取得したデータを制御部21に入力する。また、通信部24は、制御部21から入力されたデータに所定の処理を行って通信信号を生成し、生成した通信信号を外部に送信する。
【0048】
本実施形態に係る火災報知システムSは、
図2、
図3に示す具体的な構成に限定されない。例えば火災受信機3、作業者端末1及び撮像端末2は、それぞれ1つの装置に限られず、2つ以上の物理的に分離した装置が互いに接続されることにより構成されてもよい。
【0049】
[試験結果出力方法の説明]
図4は、本実施形態に係る火災報知システムSに対する試験結果出力方法を示す模式図である。まず、作業者は、作業者端末1の操作部13を操作することによって、初期設定を行う(a)。作業者端末1の設定受付部111は、操作部13を介して作業者から初期設定を受け付け、設定情報として記憶部12に記憶させる。設定受付部111は、作業者以外のユーザ(管理者や技術者等)から初期設定を受け付けてもよい。
【0050】
図5は、初期設定画面を表示している作業者端末1の正面図である。作業者端末1は、表示部15上に初期設定画面を表示し、作業者による初期設定の入力を受け付ける。初期設定画面は、機種指定欄151と、感知器数指定欄152と、決定ボタン153とを含む。機種指定欄151は、試験対象の火災受信機3の機種(例えば型番)を指定するための欄である。機種指定欄151は、火災受信機3の機種の選択肢の中から選択を受け付けてもよく、あるいは火災受信機3の機種を示す文字の入力を受け付けてもよい。
【0051】
感知器数指定欄152は、警戒区域の識別情報(番号)と、警戒区域ごとに設置されている火災感知器4の数とを関連付けて指定するための欄である。警戒区域の識別情報は、警戒区域を識別可能な数字又は文字列である。感知器数指定欄152は、警戒区域の識別情報と火災感知器4の数とを示す文字の入力を受け付ける。火災受信機3の機種ごとに対応可能な警戒区域の数が異なるため、警戒区域の識別情報は機種指定欄151で指定された火災受信機3の機種に応じて自動的に指定されてもよい。感知器数指定欄152は、省略されてもよい。
【0052】
決定ボタン153は、表示部15上に表示された仮想的なボタンである。作業者端末1の設定受付部111は、作業者によって決定ボタン153が押下されると、機種指定欄151及び感知器数指定欄152において指定された内容を、設定情報として記憶部12に記憶させる。
【0053】
図5に示した初期設定画面を撮像端末2の表示部上に表示し、撮像端末2が初期設定を受け付けてもよい。この場合に撮像端末2は、受け付けた初期設定を示す設定情報を、ネットワークを介して作業者端末1に送信する。
【0054】
図4に戻り、作業者は、火災受信機3を撮像可能な位置に撮像端末2を配置し、撮像端末2による撮像を開始させる。そして作業者は、試験対象の火災感知器4の近傍で、順次試験用の擬似的な煙又は熱を発生させる(b)。火災受信機3は、火災感知器4の電気的特性が変化した場合、又は火災感知器4から所定の信号を受信した場合に、火災を報知する(c)。
【0055】
このように本実施形態では、作業者が作業者端末1で初期設定を行い、撮像端末2に火災受信機3の撮像を開始させるだけで、火災報知システムSに対する試験を開始できる。火災受信機3や火災感知器4に対して変更を加える必要がないため、火災報知システムSの試験を実施するための手間を削減できる。
【0056】
図6(a)、
図6(b)は、本実施形態に係る火災報知システムSが有する火災受信機3の正面図である。
図6(a)に示す火災受信機3は、P型火災受信機である。P型火災受信機である火災受信機3は、報知部32としてのランプ32aを有する。ランプ32aは、例えばLED(Light Emitting Diode)であり、制御部31からの信号に従って発光する発光部である。ランプ32aは警戒区域ごとに設けられており、ランプ32aの近傍には対応する警戒区域を示すラベル33が付されている。ラベル33は、警戒区域の識別情報を表してもよく、あるいは警戒区域に対応する文字列(例えば警戒区域に含まれる階層や部屋の名称)を表してもよい。
【0057】
図6(b)に示す火災受信機3は、R型火災受信機である。R型火災受信機である火災受信機3は、報知部32としてのディスプレイ32bを有する。ディスプレイ32bは、例えば液晶ディスプレイであり、制御部31からの信号に従って情報を表示する表示部である。制御部31は、火災を報知する際に、火災が検知された警戒区域を示す警戒区域情報34をディスプレイ32bに表示させる。警戒区域情報34は、警戒区域の識別情報を含んでもよく、あるいは警戒区域に対応する文字列(例えば警戒区域に含まれる階層や部屋の名称)を含んでもよい。
【0058】
火災受信機3の機種(型番)ごとに、火災が検知された警戒区域を報知する方式は異なる。作業者端末1の記憶部12は、火災受信機3の機種と、火災が検知された警戒区域を報知する方式(例えば、ランプ32aの位置又はディスプレイ32b上で文字が表示される位置)とを関連付けた機種情報を予め記憶している。
【0059】
火災受信機3は、P型火災受信機である場合に、いずれのランプ32aが発光するかによって、いずれの警戒区域において火災が検知されたかを報知する。また、P型火災受信機の機種ごとに、ランプ32aの位置は異なる。そのため、P型火災受信機の機種情報は、機種ごとに、各ランプ32aの位置(例えば撮像画像中の座標)と、各ランプ32aに対応する警戒区域の識別情報とを示す情報である。
【0060】
火災受信機3は、R型火災受信機である場合に、ディスプレイ32bが表示している文字によって、いずれの警戒区域において火災が検知されたかを報知する。また、R型火災受信機の機種ごとに、火災が検知された警戒区域を示す文字がディスプレイ32b上で表示される位置は異なる。そのため、R型火災受信機の機種情報は、機種ごとに、火災が検知された警戒区域を示す文字がディスプレイ32b上で表示される位置(例えば撮像画像中の座標)を示す情報である。
【0061】
図4に戻り、撮像端末2において、撮像制御部211は、撮像部23を用いて、火災受信機3の正面を含む撮像範囲を撮像する(d)。撮像画像は、火災受信機3の時系列変化を表す動画である。火災受信機3には時刻を表示する機種と時刻を表示しない機種とが存在するため、撮像画像は、時刻を表す文字を含む場合と、時刻を表す文字を含まない場合とがある。撮像制御部211は、撮像部23が撮像した撮像画像を、記憶部22に記憶させる。画像送信部212は、撮像部23が撮像した撮像画像を、通信部24を用いてネットワークを介して作業者端末1に送信する。画像送信部212は、撮像画像を逐次送信してもよく、撮像画像を所定の時間間隔で送信してもよく、撮像の開始から終了までの全ての撮像画像をまとめて送信してもよい。
【0062】
作業者端末1において、画像取得部112は、撮像端末2から撮像画像を受信し、記憶部12に記憶させる。また、画像取得部112は、撮像端末2から受信した撮像画像を表示部15に表示させてもよい。
【0063】
作業者端末1及び撮像端末2は、撮像画像を送受信するために、テレビ電話アプリケーションや動画配信アプリケーションのような、ネットワークを介して撮像画像を送受信可能な既存のソフトウェアを利用できる。これにより、本実施形態に係る試験結果出力方法を行うためのソフトウェアを実装するためのコストを低減できる。
【0064】
画像分析部113は、火災受信機3を含む撮像画像を分析し、火災受信機3が火災を報知したことを検出する(e)。具体的には、画像分析部113は、火災受信機3を含む撮像画像を、記憶部12から取得する。画像分析部113は、作業者が入力した初期設定を示す設定情報を、記憶部12から取得する。画像分析部113は、設定情報が示す火災受信機3の機種(型番)に対応する機種情報を、記憶部12から取得する。画像分析部113は、取得した機種情報に基づいて、火災受信機3を含む撮像画像を分析し、火災が検知された警戒区域及び時刻を特定する。撮像画像が時刻を表す文字を含まない場合には、画像分析部113は、撮像画像を分析し、火災が検知された警戒区域のみを特定する。
【0065】
機種情報がP型火災受信機に対応する場合に、画像分析部113は、撮像画像中で、機種情報が示すランプ32aの位置(座標)の画素が発光しているか否かを判定する。このとき画像分析部113は、例えば画素の輝度が所定閾値以上である場合に発光していると判定し、所定閾値未満である場合に発光していないと判定する。
【0066】
画像分析部113は、あるランプ32aの位置の画素の発光が開始したと判定した場合に、機種情報において該ランプ32aに関連付けられた識別情報と、撮像画像の中で該ランプ32aの発光が開始したフレームの時刻(すなわち火災が検知された時刻)とを、履歴情報生成部114に渡す。また、画像分析部113は、あるランプ32aの位置の画素の発光が終了したと判定した場合に、機種情報において該ランプ32aに関連付けられた識別情報と、撮像画像の中で該ランプ32aの発光が終了したフレームの時刻(すなわち火災の検知から復旧した時刻)とを、履歴情報生成部114に渡す。
【0067】
機種情報がR型火災受信機に対応する場合に、画像分析部113は、撮像画像中で、機種情報が示すディスプレイ32b上の表示位置(座標)に表示された文字を検出する。このとき画像分析部113は、例えばOCR(光学的文字認識)等の文字認識処理を実行して、撮像画像に含まれる文字を認識する。
【0068】
画像分析部113は、火災が検知された警戒区域が表示される位置において警戒区域の識別情報(又は警戒区域に対応する文字列)の表示が開始したことを検出した場合に、該識別情報と、撮像画像の中で該識別情報の表示が開始したフレームの時刻(すなわち火災が検知された時刻)とを、履歴情報生成部114に渡す。また、画像分析部113は、火災が検知された警戒区域が表示される位置において警戒区域の識別情報(又は警戒区域に対応する文字列)の表示が終了したことを検出した場合に、該識別情報と、撮像画像の中で該識別情報の表示が終了したフレームの時刻(すなわち火災の検知から復旧した時刻)とを、履歴情報生成部114に渡す。
【0069】
画像分析部113は、撮像の開始から終了までの全ての撮像画像をまとめて分析(すなわちバッチ処理)してもよく、撮像画像を撮像端末2から受信した際に逐次分析(すなわちリアルタイム処理)してもよい。
【0070】
このように画像分析部113は、火災受信機3を撮像した撮像画像を分析することによって、火災が検知された警戒区域及び時刻を特定する。これにより、火災感知器4に対して試験用の擬似的な煙又は熱を発生させる作業者のみによって、火災報知システムSに対する試験を行うことができる。火災受信機3を監視する人間を配置する必要がないため、火災報知システムSに対する試験を実施するためのコストを削減できる。
【0071】
履歴情報生成部114は、画像分析部113が特定した火災が検知された警戒区域及び時刻に基づいて、履歴情報Dを生成する。
図7は、履歴情報生成部114が生成する履歴情報Dの模式図である。履歴情報Dは、時刻D1と、状態D2と、場所D3とを関連付けた情報である。状態D2は、火災が検知されたこと(火災発報)、又は火災の検知が終了したこと(復旧)を示す。
【0072】
画像分析部113による分析結果が、P型火災受信機においてランプ32aの発光が開始したことと、又はR型火災受信機において火災が検知された警戒区域の表示が開始したこととのどちらかを示す場合に、履歴情報生成部114は警戒区域において火災が検知されたと判定する。また、画像分析部113による分析結果が、P型火災受信機においてランプ32aの発光が終了したことと、又はR型火災受信機において火災が検知された警戒区域の表示が終了したこととのどちらかを示す場合に、履歴情報生成部114は警戒区域において火災の検知が終了したと判定する。
【0073】
そして履歴情報生成部114は、履歴情報Dにおいて、ある警戒区域で火災が検知されたこと又は火災の検知が終了したことを状態D2に設定し、状態D2が判定されたフレームの時刻(火災が検知された時刻又は火災の検知から復旧した時刻)を時刻D1に設定し、該警戒区域の識別情報又は該警戒区域に対応する文字列を場所D3に設定する。履歴情報生成部114は、生成した履歴情報Dを、出力部115に渡す。
【0074】
撮像画像が時刻を表す文字を含む場合に、履歴情報生成部114は、画像分析部113が撮像画像を分析することによって特定した火災が検知された時刻を、時刻D1に設定している。撮像画像が時刻を表す文字を含まない場合には、履歴情報生成部114は、撮像画像を撮像した撮像端末2の計時部(時計、タイマ等)の時刻を取得し、該時刻を火災が検知された時刻として時刻D1に設定してもよい。例えば履歴情報生成部114は、撮像画像を撮像した際の撮像端末2の時刻又は撮像画像を送信した際の撮像端末2の時刻を、撮像端末2から受信し、時刻D1に設定する。
【0075】
図7に示した履歴情報Dは一例であり、履歴情報Dの各項目は適宜追加又は省略されてもよい。
図7において履歴情報Dは視認性のために文字列の表で表されているが、各データは任意の形式で記録されてもよく、例えば文字列データ、数値データおよびバイナリデータのいずれでもよい。履歴情報Dは、データベースとして記録されてもよく、あるいはデータを列挙したリストとして記録されてもよい。
【0076】
出力部115は、履歴情報生成部114が生成した履歴情報Dを、試験結果として所定の方法で出力する(f)。出力部115は、履歴情報Dを示すデータを記憶部12に記憶させてもよく、履歴情報Dを表示部15に表示させてもよく、プリンタを用いて履歴情報Dを印刷してもよい。
【0077】
このように、本実施形態に係る火災報知システムSは、撮像画像を分析することによって、火災が検知された警戒区域及び時刻を示す試験の履歴情報を出力できるため、作業者が試験中又は試験終了後に記録表等を作成するための手間を削減できる。
【0078】
[試験結果出力方法のフローチャート]
図8は、本実施形態に係る火災報知システムSに対する試験結果出力方法のフローチャートを示す図である。作業者端末1において、設定受付部111は、操作部13を介して作業者から初期設定を受け付け、設定情報として記憶部12に記憶させる(S11)。設定情報は、試験対象の火災受信機3の機種(型番)を含む。
【0079】
作業者は、火災受信機3を撮像可能な位置に撮像端末2を配置し、撮像端末2による撮像を開始させる。そして作業者は、試験対象の火災感知器4の近傍で、順次試験用の擬似的な煙又は熱を発生させる。
【0080】
撮像端末2において、撮像制御部211は、撮像部23を用いて、火災受信機3の正面を含む撮像範囲を撮像する(S12)。画像送信部212は、撮像部23が撮像した撮像画像を、通信部24を用いて作業者端末1に送信する。作業者端末1において、画像取得部112は、撮像端末2から撮像画像を受信し、記憶部12に記憶させる。
【0081】
画像分析部113は、火災受信機3を含む撮像画像を、記憶部12から取得する(S13)。また、画像分析部113は、作業者が入力した初期設定を示す設定情報を記憶部12から取得し、さらに取得した設定情報が示す火災受信機3の機種に対応する機種情報を記憶部12から取得する(S14)。
【0082】
画像分析部113は、ステップS14で取得した機種情報に基づいて、火災受信機3を含む撮像画像を分析し、火災が検知された警戒区域及び時刻を特定する(S15)。このとき、画像分析部113は、試験対象の火災受信機3がP型火災受信機である場合に、発光したランプ32aの位置及び撮像画像の時刻(すなわち、撮像画像を分析することによって特定した時刻、又は撮像画像を撮像した撮像端末2の計時部から取得した時刻)に基づいて、火災が検知された警戒区域及び時刻を特定する。画像分析部113は、試験対象の火災受信機3がR型火災受信機である場合に、ディスプレイ32bに表示された文字及び撮像画像の時刻に基づいて、火災が検知された警戒区域及び時刻を特定する。
【0083】
履歴情報生成部114は、ステップS15で画像分析部113が特定した警戒区域及び時刻に基づいて、履歴情報を生成する(S16)。履歴情報は、火災が検知されたこと(火災発報)又は火災の検知が終了したこと(復旧)を示す状態と、状態が判定されたフレームの時刻(火災が検知された時刻又は火災の検知から復旧した時刻)と、状態が判定された警戒区域の場所とを関連付けた情報である。
【0084】
所定の終了条件(例えば作業者が作業者端末1又は撮像端末2に対して所定の終了操作を行うこと)が満たされていない場合に(S17のNO)、作業者端末1及び撮像端末2はステップS13に戻って処理を繰り返す。所定の終了条件が満たされた場合に(S17のYES)、作業者端末1はステップS18に進む。
【0085】
出力部115は、ステップS16で履歴情報生成部114が生成した履歴情報を、試験結果として所定の方法で出力する(S18)。出力部115は、履歴情報を示すデータを記憶部12に記憶させてもよく、履歴情報を表示部15に表示させてもよく、プリンタを用いて履歴情報を印刷してもよい。
【0086】
図8のフローチャートはリアルタイム処理を表しているが、バッチ処理の場合にはステップS13で撮像開始から終了までの全ての撮像画像を取得してからステップS14以降を行う点が異なり、それ以外の点については同様である。
【0087】
[本実施形態の効果]
本実施形態に係る火災報知システムSによれば、火災報知システムSは、撮像画像を分析することによって、火災が検知された警戒区域及び時刻を示す試験の履歴情報を出力できるため、作業者が試験中又は試験終了後に記録表等を作成するための手間を削減できる。
【0088】
また、火災報知システムSは、火災受信機3を撮像した撮像画像を分析することによって、火災が検知された警戒区域及び時刻を特定する。これにより、火災感知器4に対して試験用の擬似的な煙又は熱を発生させる作業者のみがいれば、火災報知システムSに対する試験を行うことができる。火災受信機3を監視する人間を配置する必要がないため、火災報知システムSに対する試験を実施するためのコストを削減できる。
【0089】
また、作業者が作業者端末1で初期設定を行い、撮像端末2に火災受信機3を撮像させるだけで、火災報知システムSに対する試験を開始できる。そのため、火災報知システムSの試験を実施するために、特別な受信機、特別なサーバ、特別なネットワークを必要とせず、既存の火災報知システムを変更せずにそのまま使用できる。したがって、火災報知システムSの試験を実施するための手間及びコストを削減できる。
【0090】
[第1変形例]
作業者端末1及び撮像端末2とは異なるサーバが、本実施形態に係る試験結果出力装置として機能してもよい。
図9は、本実施形態の変形例に係る火災報知システムSに対する試験結果出力方法を示す模式図である。
図9の火災報知システムSは、撮像画像を分析する処理をするサーバ6が設けられている点で
図3の火災報知システムSと異なっており、それ以外の点については同様である。
【0091】
サーバ6は、作業者端末1及び撮像端末2との間で通信を行うことが可能なコンピュータである。サーバ6は、
図3に示す作業者端末1と同様の制御部11、記憶部12及び通信部14を有する。サーバ6の制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、画像取得部112、画像分析部113、履歴情報生成部114及び出力部115として機能する。
【0092】
作業者は、作業者端末1の操作部13を操作することによって、初期設定を行う(a)。このとき、作業者端末1は初期設定を示す設定情報をサーバ6へ送信し、サーバ6は受信した設定情報を記憶部12に記憶させる。
【0093】
作業者は、火災受信機3を撮像可能な位置に撮像端末2を配置し、撮像端末2による撮像を開始させる。そして作業者は、試験対象の火災感知器4の近傍で、順次試験用の擬似的な煙又は熱を発生させる(b)。火災受信機3は、火災感知器4の電気的特性が変化した場合、又は火災感知器4から所定の信号を受信した場合に、火災を報知する(c)。
【0094】
撮像端末2の撮像制御部211は、撮像部23を用いて、火災受信機3の正面を含む撮像範囲を撮像する(d)。撮像端末2の画像送信部212は、撮像部23が撮像した撮像画像を、通信部24を用いてネットワークを介して作業者端末1に送信する。作業者端末1において、画像取得部112は、撮像端末2から受信した撮像画像を表示部15に表示させる。また、撮像端末2の画像送信部212は、撮像部23が撮像した撮像画像を、通信部24を用いてネットワークを介してサーバ6に送信する。
【0095】
サーバ6の画像取得部112は、撮像端末2から撮像画像を受信し、記憶部12に記憶させる。サーバ6の画像分析部113は、火災受信機3を含む撮像画像を分析し、火災受信機3が火災を報知したことを検出する(e)。サーバ6の履歴情報生成部114は、画像分析部113が特定した火災が検知された警戒区域及び時刻に基づいて、履歴情報Dを生成する。サーバ6の出力部115は、履歴情報生成部114が生成した履歴情報Dを、試験結果として所定の方法で出力する(f)。このとき、出力部115は、サーバ6が備える表示部に履歴情報を出力してもよく、作業者端末1が備える表示部15に履歴情報を出力してもよい。
【0096】
このように、作業者端末1及び撮像端末2とは異なるサーバが撮像画像を分析する処理をすることによって、作業者端末1及び撮像端末2における処理の負荷を低減することができる。
【0097】
[第2変形例]
撮像端末2が、本実施形態に係る試験結果出力装置として機能してもよい。
図10は、本実施形態の変形例に係る火災報知システムSに対する試験結果出力方法を示す模式図である。
図10の火災報知システムSは、撮像端末2が撮像画像の分析処理をする点で
図3の火災報知システムSと異なっており、それ以外の点については同様である。
【0098】
撮像端末2の制御部21は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、
図3に示す作業者端末1と同様の画像分析部113、履歴情報生成部114及び出力部115として機能する。
【0099】
作業者は、作業者端末1の操作部13を操作することによって、初期設定を行う(a)。作業者は、火災受信機3を撮像可能な位置に撮像端末2を配置し、撮像端末2による撮像を開始させる。そして作業者は、試験対象の火災感知器4の近傍で、順次試験用の擬似的な煙又は熱を発生させる(b)。火災受信機3は、火災感知器4の電気的特性が変化した場合、又は火災感知器4から所定の信号を受信した場合に、火災を報知する(c)。
【0100】
撮像端末2の撮像制御部211は、撮像部23を用いて、火災受信機3の正面を含む撮像範囲を撮像する(d)。撮像端末2の画像送信部212は、撮像部23が撮像した撮像画像を、記憶部22に記憶させる。
【0101】
撮像端末2の画像分析部113は、火災受信機3を含む撮像画像を分析し、火災受信機3が火災を報知したことを検出する(e)。撮像端末2の履歴情報生成部114は、画像分析部113が特定した火災が検知された警戒区域及び時刻に基づいて、履歴情報Dを生成する。撮像端末2の出力部115は、履歴情報生成部114が生成した履歴情報Dを、試験結果として所定の方法で出力する(f)。このとき、出力部115は、撮像端末2が備える表示部に履歴情報を出力してもよく、作業者端末1が備える表示部15に履歴情報を出力してもよい。
【0102】
画像分析部113が撮像画像を逐次分析(リアルタイム処理)している場合に、撮像端末2の出力部115は、火災が検知された警戒区域を特定した際に、火災が検知された警戒区域を示す通知を、ネットワークを介して作業者端末1に送信してもよい(g)。作業者端末1の表示部15は、撮像端末2から受信した通知を表示する。これにより作業者は、試験対象の火災感知器4で正常に火災が検知されたことを知ることができ、次の火災感知器4の試験に速やかに移行できる。
【0103】
このように、撮像端末2が撮像画像を分析する処理をすることによって、撮像端末2から作業者端末1へ撮像画像を送信する必要がなくなるため、通信の負荷を低減することができる。
【0104】
[第3変形例]
P型火災受信機である火災受信機3は、1つの警戒区域に配置された複数の火災感知器4のいずれかが火災を感知した場合に該警戒区域について火災を報知するため、いずれの火災感知器4が火災を感知したかを報知することはできない。いずれの火災感知器4が火災を感知したか区別するために、作業者端末1は、試験の実施中に、試験対象の火災感知器4の入力を作業者から受け付けてもよい。
【0105】
図11は、途中設定画面を表示している作業者端末1の正面図である。作業者端末1は、試験の実施中に表示部15上に途中設定画面を表示し、作業者による途中設定の入力を受け付ける。途中設定画面は、撮像画像154と、地区番号欄155と、感知器番号欄156と、決定ボタン157を含む。
【0106】
撮像画像154は、画像取得部112が撮像端末2から受信した最新の撮像画像である。最新の撮像画像は、火災受信機3の現在の状態を表している。地区番号欄155は、警戒区域の識別情報を指定するための欄である。地区番号欄155は、例えば
図5の初期設定画面で感知器数指定欄152に指定された警戒区域の識別情報を、選択肢として表示する。
【0107】
感知器番号欄156は、火災感知器4の番号を指定するための欄である。感知器番号欄156は、例えば
図5の初期設定画面で感知器数指定欄152に指定された警戒区域ごとの火災感知器4の数を上限とした通し番号を、選択肢として表示する。例えばある警戒区域の火災感知器4の数が4と指定された場合には、感知器番号欄156は通し番号として1~4を選択肢として表示する。これにより作業者は、各警戒区域に配置された火災感知器4の数を認識しながら試験を実施できる。
【0108】
決定ボタン157は、表示部15上に表示された仮想的なボタンである。作業者は、試験の実施中に、地区番号欄155及び感知器番号欄156において試験対象とする警戒区域の識別情報及び火災感知器4の番号を指定し、決定ボタン157を押下する。
【0109】
作業者端末1の設定受付部111は、作業者によって決定ボタン157が押下されると、地区番号欄155及び感知器番号欄156に指定された内容を取得する。設定受付部111は、作業者によって第1の警戒区域及び火災感知器4が指定されてから第2の警戒区域及び火災感知器4が指定されるまで(あるいは試験が終了するまで)の期間を、第1の警戒区域及び火災感知器4に対する試験区間として、記憶部12に記憶させる。
【0110】
画像分析部113は、火災が検知された警戒区域及び時刻を特定した際に、該時刻が含まれる試験区間に対応する火災感知器4の番号を、火災が検知された火災感知器4として特定する。
【0111】
履歴情報生成部114は、画像分析部113が特定した火災が検知された警戒区域、火災感知器4及び時刻に基づいて、履歴情報Dを生成する。この場合に、履歴情報Dは、
図7に示す時刻D1、状態D2及び場所D3に加えて、火災が検知された火災感知器4の番号を含む。
【0112】
このような構成により、火災報知システムSは、作業者から試験対象の火災感知器4の入力を受け付け、撮像画像を分析することによって特定した警戒区域及び時刻に加えて、いずれの火災感知器4が火災を検知したかの情報を出力できる。これにより、作業者は手作業で試験対象の火災感知器4を記録して撮像画像の分析結果と紐付ける必要がなくなるため、作業者が試験の記録表等を作成するための手間をさらに削減できる。
【0113】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【0114】
コンピュータである作業者端末1、撮像端末2及びサーバ6のうち1つ又は複数が、
図8に示す試験結果出力方法に対応するプログラムを実行する。すなわち、作業者端末1、撮像端末2又はサーバ6のプロセッサは、
図8に示す試験結果出力方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。作業者端末1、撮像端末2又はサーバ6のプロセッサは、
図8に示す試験結果出力方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行して火災報知システムSの各部を制御することによって、
図8に示す試験結果出力方法を実行する。
図8に示す試験結果出力方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0115】
S 火災報知システム
1 作業者端末
11 制御部
111 設定受付部
112 画像取得部
113 画像分析部
115 出力部
12 記憶部
2 撮像端末
212 画像送信部
3 火災受信機
32 報知部
32a ランプ
32b ディスプレイ
4 火災感知器