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特許7094174配線・配管材の断熱壁貫通配設構造、断熱ブロック体、および断熱壁貫通部形成装置
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  • 特許-配線・配管材の断熱壁貫通配設構造、断熱ブロック体、および断熱壁貫通部形成装置 図1
  • 特許-配線・配管材の断熱壁貫通配設構造、断熱ブロック体、および断熱壁貫通部形成装置 図2
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  • 特許-配線・配管材の断熱壁貫通配設構造、断熱ブロック体、および断熱壁貫通部形成装置 図7
  • 特許-配線・配管材の断熱壁貫通配設構造、断熱ブロック体、および断熱壁貫通部形成装置 図8
  • 特許-配線・配管材の断熱壁貫通配設構造、断熱ブロック体、および断熱壁貫通部形成装置 図9
  • 特許-配線・配管材の断熱壁貫通配設構造、断熱ブロック体、および断熱壁貫通部形成装置 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】配線・配管材の断熱壁貫通配設構造、断熱ブロック体、および断熱壁貫通部形成装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 5/00 20060101AFI20220624BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20220624BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20220624BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
F16L5/00 G
F25D23/00 305C
F25D23/00 305K
F25D23/00 305J
F25D23/00 305E
F24F13/02 H
H02G3/22
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018149407
(22)【出願日】2018-08-08
(65)【公開番号】P2020024019
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】池場 賢次
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-299922(JP,A)
【文献】特開2010-011618(JP,A)
【文献】特開2006-274643(JP,A)
【文献】特開平10-259980(JP,A)
【文献】特開平07-245029(JP,A)
【文献】実開昭48-063366(JP,U)
【文献】特開2012-255261(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0153605(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 5/00
F25D 23/00
F24F 13/02
H02G 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱材層を有する断熱壁に設けられた貫通孔を通るように配線・配管材が配設されてなる、配線・配管材の断熱壁貫通配設構造であって、
断熱性能を有し通孔が貫通形成されたブロック状の断熱ブロック体を備え、
前記通孔は、その内壁が筒状に延びており、前記断熱ブロック体は、その通孔を囲うようにして中が詰まっている、ブロック体であって、また、
前記断熱ブロック体は、前記通孔が開口する固定面を備え、その固定面が、前記断熱壁における一方側の面と向かい合い、かつ、前記通孔が、前記貫通孔と連通するようにして、前記一方側の面に配置されており、
前記配線・配管材は、前記貫通孔に加えて前記通孔を通るように配設されており、
前記通孔には、その通孔内の前記配線・配管材周りの空隙を塞ぐように、発泡性断熱材からなる充填材が充填されている、配線・配管材の断熱壁貫通配設構造。
【請求項2】
前記断熱壁と前記断熱ブロック体とは、前記一方側の面と前記固定面との間で、前記貫通孔を切れ目なく取り囲む固定材により、気密に固定されている、請求項1に記載の配線・配管材の断熱壁貫通配設構造。
【請求項3】
前記貫通孔内を通る前記配線・配管材が前記貫通孔の両開口縁と接触するのを防止する接触防止手段を備える、請求項1または2に記載の配線・配管材の断熱壁貫通配設構造。
【請求項4】
前記接触防止手段は、両端が開口し前記配線・配管材が通る筒体からなり、その一端側が前記通孔内に配置されて前記断熱ブロック体に固定され、他端側が前記貫通孔に挿入されてその他端側の先端が前記断熱壁における他方側の面から突出している、請求項3に記載の配線・配管材の断熱壁貫通配設構造。
【請求項5】
前記配線・配管材は、ケーブルからなり、
前記貫通孔には、その貫通孔内面と、その貫通孔内を通る前記ケーブルとの接触を防止する、区画壁部が配置されている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の配線・配管材の断熱壁貫通配設構造。
【請求項6】
前記充填材は、接着性を有する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の配線・配管材の断熱壁貫通配設構造。
【請求項7】
前記配線・配管材は、ケーブルからなり、
前記ケーブルの外面における少なくとも前記充填材のある箇所に、その充填材と前記ケーブルとの接触を阻止する接触阻止部材が設けられる、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の配線・配管材の断熱壁貫通配設構造。
【請求項8】
断熱材層を有して配線・配管材が通る貫通孔を備えた断熱壁の一方側の面に配置される、断熱性能を有するブロック状の断熱ブロック体であって、
前記貫通孔と連通して前記配線・配管材が通る、貫通形成された通孔と、その通孔が開口し前記一方側の面と向かい合う固定面とを備え、
前記通孔は、その内壁が筒状に延びており、前記断熱ブロック体は、その通孔を囲うようにして中が詰まっている、ブロック体であって、また、
前記通孔は、その通孔内の前記配線・配管材周りの空隙を塞ぐように、発泡性断熱材からなる充填材が充填可能である、断熱ブロック体。
【請求項9】
前記断熱ブロック体は、半球状に形成され、その半球の平面部が、前記固定面となり、
前記通孔は、前記固定面の中心から前記半球の球面部側に向かってあけられ、
前記半球の球面部には、外方に突出する掴み部が設けられる、請求項8に記載の断熱ブロック体。
【請求項10】
前記掴み部は、前記半球の球面部において前記通孔の周囲に突出して設けられる、請求項9に記載の断熱ブロック体。
【請求項11】
請求項8ないし10のいずれか1項に記載の断熱ブロック体と、前記貫通孔内を通る前記配線・配管材が前記貫通孔の両開口縁と接触するのを防止する接触防止体とからなる、断熱壁貫通部形成装置であって、
前記接触防止体は、前記断熱壁の貫通孔に挿入されて前記配線・配管材が通る挿入部と、その挿入部から延設されて前記断熱壁の一方側の面における前記貫通孔の開口縁に当接するフランジ部とを備え、
前記断熱ブロック体は、前記固定面に、前記フランジ部を配置する配置空間を有する、断熱壁貫通部形成装置。
【請求項12】
請求項8ないし10のいずれか1項に記載の断熱ブロック体と、前記貫通孔内を通る前記配線・配管材が前記貫通孔の両開口縁と接触するのを防止する接触防止体とからなる、断熱壁貫通部形成装置であって、
前記接触防止体は、両端が開口し前記配線・配管材が通る筒体からなり、その一端側に、前記断熱ブロック体の通孔に挿入されてその断熱ブロック体に固定される固定部が設けられ、他端側に、前記断熱壁の貫通孔に挿入される挿入部が設けられる、断熱壁貫通部形成装置。
【請求項13】
前記接触防止体は、前記挿入部の先端部に、その挿入部の先端位置を変更する変更部を有する、請求項11または12に記載の断熱壁貫通部形成装置。
【請求項14】
前記挿入部の先端部には、さや管を接続する接続具を連結可能な連結部が設けられている、請求項11ないし13のいずれか1項に記載の断熱壁貫通部形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所要の断熱性能を簡単に得ることができる、配線・配管材の断熱壁貫通配設構造、断熱ブロック体、および断熱壁貫通部形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、断熱壁によって形成される外箱を貫通するように、リード線を配設することがあった(例えば、特許文献1参照)。図10に示すように、このリード線21の配設にあたっては、外箱22に貫通孔22aがあけられ、その貫通孔22aを通るようにリード線21が配設された。そして、貫通孔22aは、断熱性パテ23で埋められることでシールされた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-226748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来のリード線21の配設にあっては、そのリード線21が通る貫通孔22aは、断熱性パテ23で埋められたが、貫通孔22a部分における断熱性能を確保するために、その断熱性パテ23を、貫通孔22aの開口部分にある程度盛る必要があった。しかし、その断熱性パテ23の盛る量は、一定せず、多いと無駄になり、少ないと断熱性能が低下した。また、このパテ盛りは、熟練者の勘を必要とする作業でもあり、また、盛られたパテ23は見栄えがよくなかった
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、所要の断熱性能を簡単に得ることができ、かつ見栄えのよい、配線・配管材の断熱壁貫通配設構造、断熱ブロック体、および断熱壁貫通部形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る配線・配管材の断熱壁貫通配設構造、断熱ブロック体、および断熱壁貫通部形成装置は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配線・配管材の断熱壁貫通配設構造は、断熱材層を有する断熱壁に設けられた貫通孔を通るように配線・配管材が配設されてなる、配線・配管材の断熱壁貫通配設構造であって、断熱性能を有し通孔が貫通形成されたブロック状の断熱ブロック体を備える。前記通孔は、その内壁が筒状に延びており、前記断熱ブロック体は、その通孔を囲うようにして中が詰まっている、ブロック体である。この断熱ブロック体は、前記通孔が開口する固定面を備え、その固定面が、前記断熱壁における一方側の面と向かい合い、かつ、前記通孔が、前記貫通孔と連通するようにして、前記一方側の面に配置されている。前記配線・配管材は、前記貫通孔に加えて前記通孔を通るように配設されている。そして、前記通孔には、その通孔内の前記配線・配管材周りの空隙を塞ぐように、発泡性断熱材からなる充填材が充填されている。
【0007】
この配線・配管材の断熱壁貫通配設構造によると、断熱壁の一方側の面に、断熱ブロック体が配置され、配線・配管材が、断熱壁の貫通孔と断熱ブロック体の通孔とを通るように配置される。そして、通孔には、発泡性断熱材からなる充填材が充填される。こうして、断熱壁の一方側の面において、貫通孔の開口周りが、発泡性断熱材からなる充填材が充填された断熱ブロック体で覆われ、貫通孔部分での断熱性能が得られる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る配線・配管材の断熱壁貫通配設構造は、請求項1に記載の配線・配管材の断熱壁貫通配設構造において、前記断熱壁と前記断熱ブロック体とは、前記一方側の面と前記固定面との間で、前記貫通孔を切れ目なく取り囲む固定材により、気密に固定されている。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る配線・配管材の断熱壁貫通配設構造は、請求項1または2に記載の配線・配管材の断熱壁貫通配設構造において、前記貫通孔内を通る前記配線・配管材が前記貫通孔の両開口縁と接触するのを防止する接触防止手段を備える。接触防止手段を設けることで、配線・配管材が貫通孔の開口縁で擦れるのを防ぐことができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る配線・配管材の断熱壁貫通配設構造は、請求項3に記載の配線・配管材の断熱壁貫通配設構造において、前記接触防止手段は、両端が開口し前記配線・配管材が通る筒体からなり、その一端側が前記通孔内に配置されて前記断熱ブロック体に固定され、他端側が前記貫通孔に挿入されてその他端側の先端が前記断熱壁における他方側の面から突出している。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る配線・配管材の断熱壁貫通配設構造は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の配線・配管材の断熱壁貫通配設構造において、前記配線・配管材は、ケーブルからなり、前記貫通孔には、その貫通孔内面と、その貫通孔内を通る前記ケーブルとの接触を防止する、区画壁部が配置されている。区画壁部を設けることで、ケーブルの発熱(ジュール熱)で、断熱壁における断熱材層がやせるのを避けることができる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る配線・配管材の断熱壁貫通配設構造は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の配線・配管材の断熱壁貫通配設構造において、前記充填材は、接着性を有する。通孔内の充填材が接着性を有することで、配線・配管材がその長手方向に移動するのが規制されて、配線・配管材の周りに間隙が発生するのが防止される。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係る配線・配管材の断熱壁貫通配設構造は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の配線・配管材の断熱壁貫通配設構造において、前記配線・配管材は、ケーブルからなり、前記ケーブルの外面における少なくとも前記充填材のある箇所に、その充填材と前記ケーブルとの接触を阻止する接触阻止部材が設けられる。接触阻止部材によって、発泡性断熱材からなる充填材とケーブルとの接触を阻止することで、充填材によりケーブル表面部分の可塑剤が抜けてケーブルが硬化しクラックが入るのを防ぐことができる。
【0014】
また、請求項8に記載の発明に係る断熱ブロック体は、断熱材層を有して配線・配管材が通る貫通孔を備えた断熱壁の一方側の面に配置される、断熱性能を有するブロック状の断熱ブロック体である。この段設ブロック体は、前記貫通孔と連通して前記配線・配管材が通る、貫通形成された通孔と、その通孔が開口し前記一方側の面と向かい合う固定面とを備える。前記通孔は、その内壁が筒状に延びており、前記断熱ブロック体は、その通孔を囲うようにして中が詰まっている、ブロック体である。そして、前記通孔は、その通孔内の前記配線・配管材周りの空隙を塞ぐように、発泡性断熱材からなる充填材が充填可能である。
【0015】
この断熱ブロック体によると、断熱壁の一方側の面に、この断熱ブロック体が配置され、配線・配管材が、断熱壁の貫通孔と断熱ブロック体の通孔とを通るように配置される。そして、通孔には、発泡性断熱材からなる充填材が充填される。こうして、断熱壁の一方側の面において、貫通孔の開口周りが、発泡性断熱材からなる充填材が充填された断熱ブロック体で覆われ、貫通孔部分での断熱性能が得られる。
【0016】
また、請求項9に記載の発明に係る断熱ブロック体は、請求項8に記載の断熱ブロック体において、前記断熱ブロック体は、半球状に形成され、その半球の平面部が、前記固定面となる。前記通孔は、前記固定面の中心から前記半球の球面部側に向かってあけられる。そして、前記半球の球面部には、外方に突出する掴み部が設けられる。掴み部を設けることで、この掴み部を掴んで、断熱ブロック体を持つことができる。
【0017】
また、請求項10に記載の発明に係る断熱ブロック体は、請求項9に記載の断熱ブロック体において、前記掴み部は、前記半球の球面部において前記通孔の周囲に突出して設けられる。これにより、掴み部が、通孔の位置を示す指標となる。
【0018】
また、請求項11に記載の発明に係る断熱壁貫通部形成装置は、請求項8ないし10のいずれか1項に記載の断熱ブロック体と、前記貫通孔内を通る前記配線・配管材が前記貫通孔の両開口縁と接触するのを防止する接触防止体とからなる。ここで、前記接触防止体は、前記断熱壁の貫通孔に挿入されて前記配線・配管材が通る挿入部と、その挿入部から延設されて前記断熱壁の一方側の面における前記貫通孔の開口縁に当接するフランジ部とを備える。そして、前記断熱ブロック体は、前記固定面に、前記フランジ部を配置する配置空間を有する。接触防止体を設けることで、配線・配管材が貫通孔の開口縁で擦れるのを防ぐことができる。
【0019】
また、請求項12に記載の発明に係る断熱壁貫通部形成装置は、請求項8ないし10のいずれか1項に記載の断熱ブロック体と、前記貫通孔内を通る前記配線・配管材が前記貫通孔の両開口縁と接触するのを防止する接触防止体とからなる。ここで、前記接触防止体は、両端が開口し前記配線・配管材が通る筒体からなり、その一端側に、前記断熱ブロック体の通孔に挿入されてその断熱ブロック体に固定される固定部が設けられ、他端側に、前記断熱壁の貫通孔に挿入される挿入部が設けられる。接触防止体を設けることで、配線・配管材が貫通孔の開口縁で擦れるのを防ぐことができる。
【0020】
また、請求項13に記載の発明に係る断熱壁貫通部形成装置は、請求項11または12に記載の断熱壁貫通部形成装置において、前記接触防止体は、前記挿入部の先端部に、その挿入部の先端位置を変更する変更部を有する。この変更部により、断熱壁の厚さに対応して、挿入部の先端位置を変更することができる。
【0021】
また、請求項14に記載の発明に係る断熱壁貫通部形成装置は、請求項11ないし13のいずれか1項に記載の断熱壁貫通部形成装置において、前記挿入部の先端部には、さや管を接続する接続具を連結可能な連結部が設けられている。
【発明の効果】
【0022】
この発明に係る配線・配管材の断熱壁貫通配設構造、断熱ブロック体、および断熱壁貫通部形成装置によれば、断熱ブロック体を用い、その断熱ブロック体の通孔に発泡性断熱材からなる充填材を充填することで、所要の断熱性能を簡単に得ることができ、かつ、断熱ブロック体を用いることで、見栄えがよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の一実施の形態の、断熱壁貫通配設構造を示す縦断面図である。
図2】同じく、断熱ブロック体の斜視図である。
図3】同じく、断熱ブロック体の縦断面図である。
図4】同じく、接触防止体の拡大正面図である。
図5】同じく、接触防止体の拡大縦断面図である。
図6】この発明の一実施の形態の変形例を示す縦断面図である。
図7】この発明の他の実施の形態を示す縦断面図である。
図8】この発明のさらに他の実施の形態を示す縦断面図である。
図9】この発明のさらに他の実施の形態を示す縦断面図である。
図10】従来のリード線の配設構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明に係る配線・配管材の断熱壁貫通配設構造、断熱ブロック体、および断熱壁貫通部形成装置を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1図5は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、断熱材層1aを有する断熱壁を示す。2は、配線・配管材(配線材または配管材)を示す。3は、断熱壁1に設けられた貫通孔1bを通るように配線・配管材2が配設されてなる、配線・配管材の断熱壁貫通配設構造を示す。4は、断熱壁貫通部形成装置を示す。
【0026】
この断熱壁貫通配設構造3は、断熱性能を有し通孔5aが貫通形成されたブロック状の断熱ブロック体5を備える(詳しくは、通孔5aは、その内壁が筒状に延びており、断熱ブロック体5は、その通孔5aを囲うようにして中が詰まっている)。この断熱ブロック体5は、前記通孔5aが開口する固定面5bを備える。そこで、断熱ブロック体5は、固定面5bが、断熱壁1における一方側(例えば、断熱壁1の外部側)の面1cと向かい合い、かつ、通孔5aが、断熱壁1の貫通孔1bと連通するようにして、断熱壁1の一方側の面1cに配置されている。そして、配線・配管材2は、貫通孔1bに加えて断熱ブロック体5の通孔5aを通るように配設されている。すなわち、断熱ブロック体5は、断熱壁1の一方側の面1cに配置されるブロック体であって、断熱壁1の貫通孔1bと連通して配線・配管材2が通る、貫通形成された通孔5aと、その通孔5aが開口し断熱壁1の一方側の面1cと向かい合う固定面5bとを備える。
【0027】
そして、この断熱壁貫通配設構造3においては、通孔5aには、その通孔5a内の配線・配管材2周りの一部もしくは全部の空隙を塞ぐように、発泡性断熱材からなる充填材6が充填されている。すなわち、通孔5aは、その通孔5a内の配線・配管材2周りの一部もしくは全部の空隙を塞ぐように、発泡性断熱材からなる充填材6が充填可能である。そこで、この充填材6は、接着性を有する。
【0028】
また、この断熱壁貫通配設構造3においては、断熱壁1と断熱ブロック体5とは、断熱壁1の一方側の面1cと断熱ブロック体5の固定面5bとの間で、貫通孔1bを切れ目なく取り囲む固定材7により、気密に固定されている。この固定材7は、例えば、環状の両面テープからなって、貫通孔1bを取り囲むように貼り付けられたり、コーキング材からなって、貫通孔1bを取り囲むように環状に塗布されたりする。
【0029】
また、断熱壁貫通配設構造3は、断熱壁1の貫通孔1b内を通る配線・配管材2が貫通孔1bの両開口縁(断熱壁1の一方側の面1cにおける開口縁および他方側の面1dにおける開口縁)と接触するのを防止する接触防止手段8を備える。この接触防止手段8は、両端が開口し配線・配管材2が通る筒体からなり、その一端側が通孔5a内に配置されて断熱ブロック体5に固定され、他端側が貫通孔1bに挿入されてその他端側の先端が断熱壁1における他方側の面1dから突出している。
【0030】
断熱壁貫通部形成装置4は、前記断熱ブロック体5と、前記接触防止手段8としての接触防止体8aとからなる。すなわち、接触防止体8aは、両端が開口し配線・配管材2が通る筒体からなり、その一端側に、断熱ブロック体5の通孔5aに挿入されてその断熱ブロック体5に固定される固定部8bが設けられ、他端側に、断熱壁1の貫通孔1bに挿入される挿入部8cが設けられる。
【0031】
具体的には、断熱壁1は、前記断熱材層1aの両面に金属板(例えば、鋼鈑とかステンレス板)等の板材(図示せず)を配したサンドイッチ構造をしている。そして、断熱材層1aは、例えば、発泡ポリスチレンからなる。この断熱壁1は、例えば、冷凍設備とか冷蔵設備とかの、縦壁や天井等を形成するものであって、垂直に配置されたり、水平に配置されたり、傾斜して配置されたりする。
【0032】
断熱ブロック体5は、例えば、発泡スチロールからなる。この断熱ブロック体5は、半球状に形成され、その半球の平面部が、前記固定面5bとなる。そして、前記通孔5aは、固定面5bの中心から前記半球の球面部5d側に向かってあけられる(詳しくは、固定面5bの中心からその固定面5bと垂直となる方向にあけられている)。そして、断熱ブロック体5は、前記半球の球面部5dに、外方に突出する掴み部5eが設けられる。詳細には、この掴み部5eは、前記半球の球面部5dにおいて通孔5aの周囲に突出して設けられる。
【0033】
接触防止体8aは、前述したように筒体からなるが、その一端側(つまり、固定部8b)の外面に、前記断熱ブロック体5の通孔5a内面にねじ込まれる雄ネジ8dが設けられ、その雄ネジ8dによって、固定部8bは、断熱ブロック体5に固定される。また、接触防止体8aは、前記挿入部8cの先端部に、その挿入部8cの先端位置を変更する変更部8eを有する。詳細には、接触防止体8aは、接触防止体本体801と、前記変更部8eとしての調整筒体802とを備える。ここで、接触防止体本体801は、その先端に第1ネジ部8fを有し、調整筒体802は、その第1ネジ部8fに螺合する第2ネジ部8gを有する。そこで、第1ネジ部8fへの第2ネジ部8gの螺合する長さを変更することで、挿入部8cの先端位置が変更される。
【0034】
配線・配管材2は、ケーブル2aからなる。そこで、断熱壁貫通配設構造3においては、断熱壁1の貫通孔1bに、その貫通孔1b内面と、その貫通孔1b内を通る前記ケーブル2aとの接触を防止する、区画壁部9が配置されている。図示実施の形態においては、断熱壁貫通配設構造3は、接触防止体8aを備え、その接触防止体8aにおける挿入部8cが、この区画壁部9となる。
【0035】
また、充填材6となる発泡性断熱材は、例えば、発泡ウレタンからなり、通孔5aに充填された充填材6は、接触防止体8aとか区画壁部9で止められたり、その内部に進入して留まったりする。
【0036】
以上の構成からなる配線・配管材の断熱壁貫通配設構造3、断熱ブロック体5、および、その断熱ブロック体5を備える断熱壁貫通部形成装置4によると、断熱壁1の一方側の面1cに、断熱ブロック体5が配置され、配線・配管材2が、断熱壁1の貫通孔1bと断熱ブロック体5の通孔5aとを通るように配置される。そして、通孔5aには、発泡性断熱材からなる充填材6が充填される。こうして、断熱壁1の一方側の面1cにおいて、貫通孔1bの開口周りが、発泡性断熱材からなる充填材6が充填された断熱ブロック体5で覆われ、貫通孔1b部分での断熱性能が得られる。すなわち、断熱ブロック体5を用い、その断熱ブロック体5の通孔5aに発泡性断熱材からなる充填材6を充填することで、所要の断熱性能を簡単に得ることができ、かつ、断熱ブロック体5を用いることで、見栄えがよい。
【0037】
また、通孔5a内の充填材6が接着性を有することで、配線・配管材2がその長手方向に移動するのが規制されて、配線・配管材2のずれや振れが防止され、配線・配管材2の周りに間隙が発生するのが防止される。
【0038】
また、断熱ブロック体5を半球状に形成することで、少ない材料で、所要の断熱性能を得ることができる。そして、断熱ブロック体5に、外方に突出する掴み部5eを設けることで、この掴み部5eを掴んで、断熱ブロック体5を持つことができる。また、この掴み部5eは、半球の球面部5dにおいて通孔5aの周囲に突出して設けられることから、この掴み部5eが、通孔5aの位置を示す指標となる。この際、この掴み部5eの上面を、充填材6の必要充填量を示す位置に設けるのがよい。これにより、充填材6が発泡した状態で、掴み部5eの上面に到達していない場合は、必要量が足りないことを示すため、充填材6を追加充填すればよい。そして、充填材6を掴み部5eの上面まで充填すれば、断熱に必要な量を充填できたことが分かる。また、充填材6が発泡するため、充填後の発泡により、充填材6が掴み部5eの上面を超えて盛り上がることはあるが、そのような場合でも、当然に断熱性能は確保されている。
【0039】
また、配線・配管材の断熱壁貫通配設構造3とか断熱壁貫通部形成装置4においては、接触防止体8a(接触防止手段8)を設けることで、配線・配管材2が貫通孔1bの開口縁で擦れるのを防ぐことができる。そして、区画壁部9(図示実施の形態においては、挿入部8c)を設けることで、配線材としてのケーブル2aの発熱(ジュール熱)で、断熱壁1における断熱材層1aがやせるのを避けることができる。
【0040】
また、接触防止体8aは、挿入部8cの先端部に、その挿入部8cの先端位置を変更する変更部8eを有しており、この変更部8eにより、断熱壁1の厚さに対応して、挿入部8cの先端位置を変更することができる。
【0041】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、断熱ブロック体5は、一体に形成されなくても、通孔5aを縦に分断する分割面で分割されていてもよく、これにより、断熱ブロック体5の後付け(つまり、配線・配管材2が配設された後に、断熱ブロック体5を配置すること)が容易となる。
【0042】
また、接触防止体8aは、挿入部8cの先端部に、先端位置を変更する変更部8eとしての調整筒体802を有するが、この調整筒体802は、接触防止体本体801と螺合により位置調整可能に組み付けられるものでなくても、多段的に係合する等他の方法により、位置調整可能に組み付けられてもよく、また、調整筒体802を着脱することで、挿入部8cの先端位置を変更したり、また、挿入部8cの先端部を適宜除去したり折り取ったりして、その先端位置を変更してもよい。また、この挿入部8cの先端位置の変更に関しては、接触防止体8aの固定部8bの雄ネジ8dを利用して、断熱ブロック体5への雄ネジ8dのねじ込み量を変更して挿入部8cの先端位置を変更(つまり、断熱ブロック体5からの突出長を変更)してもよい。
【0043】
また、配線・配管材2がケーブル2aからなる場合には、図6に示すように、ケーブル2aの外面における少なくとも充填材6のある箇所に、その充填材6とケーブル2aとの接触を阻止する接触阻止部材10が設けられるのが好ましい。ここで、接触阻止部材10としては、例えば、ケーブル2aの外面に巻き付けられるビニルテープ等のテープであったり、ケーブル2aの外面を覆う袋であったりする。この接触阻止部材10によると、この接触阻止部材10によって、発泡性断熱材からなる充填材6とケーブル2aとの接触を阻止することで、ケーブル2aの最外層の可塑剤が抜けて硬化しクラックが入るのを防いだり、また、そのクラックによる絶縁性の低下を防ぐことができる。なお、この図6に示す例では、充填材6は、接触防止体8aの内部まで進入している。
【0044】
また、接触防止体8aは、図7に示すように、断熱壁1の貫通孔1bに挿入されて配線・配管材2が通る挿入部8cと、その挿入部8cから延設されて断熱壁1の一方側の面1cにおける貫通孔1bの開口縁に当接するフランジ部8hとを備えてもよい。このとき、断熱ブロック体5は、固定面5bに、フランジ部8hを配置する配置空間5fを有する。詳細には、この配置空間5fは、固定面5bにおいて、通孔5aに通じ、かつ、通孔5aを囲むように、リング状に窪んで形成される。接触防止体8aを設けることで、配線・配管材2が貫通孔1bの開口縁で擦れるのを防ぐことができ、また、断熱ブロック体5が、フランジ部8hの配置空間5fを有することで、そのフランジ部8hと断熱ブロック体5との干渉を避けることができる。また、この接触防止体8aは、フランジ部8hとは反対側が貫通孔1bから突出する長さを有するが、図8に示すように、配線・配管材2を保護するためのさや管11の先端側が、この接触防止体8aを兼ねてもよい。すなわち、さや管11の先端部には、複数の切込み11a、11aが設けられ、その先端部が外側に折り曲げられて、前記フランジ部8hが形成されてもよい。
【0045】
また、前記フランジ部8h付きの接触防止体8aにおいては、図示を省略するが、その向きを逆にして、フランジ部8hが、断熱壁1の他方側の面における貫通孔1bの開口縁に当接するようにして、挿入部8cが、貫通孔1bに挿入されてもよい。
【0046】
また、図9に示すように、接触防止体8aの挿入部8cの先端部には、配線・配管材2を保護するためのさや管12を接続する接続具13を連結可能な連結部8iが、設けられてもよい。図示実施の形態においては、連結部8iは、挿入部8cの先端部に設けられた雌ネジ8jからなり、接続具13には、その雌ネジ8jにねじ込まれる雄ネジ13aが形成されている。また、接続具13には、内方に突き出る係止突起13bが設けられ、その係止突起13bが、波付きさや管12の外面を係止することで、そのさや管12は、接続具13、ひいては接触防止体8aに接続される。
【0047】
また、断熱ブロック体5は、発泡スチロールからなるものに限定されるわけではなく、同様に、充填剤6となる発泡性断熱材は、発泡ウレタンからなるものに限定されるわけではない。
【0048】
また、接触防止手段8は、無くてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 断熱壁
1a 断熱材層
1b 貫通孔
1c 一方側の面
1d 他方側の面
2 配線・配管材
2a ケーブル
3 断熱壁貫通配設構造
4 断熱壁貫通部形成装置
5 断熱ブロック体
5a 通孔
5b 固定面
5d 球面部
5e 掴み部
5f 配置空間
6 充填材
7 固定材
8 接触防止手段
8a 接触防止体
8b 固定部
8c 挿入部
8e 変更部
8h フランジ部
8i 連結部
9 区画壁部
10 接触阻止部材
12 さや管
13 接続具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10