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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04886 20220101AFI20220624BHJP
   G06F 3/023 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
G06F3/04886
G06F3/023 460
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018149972
(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公開番号】P2020027307
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛
(72)【発明者】
【氏名】河野 良平
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】太田 浩司
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-196030(JP,A)
【文献】特開2013-222426(JP,A)
【文献】特開2018-085076(JP,A)
【文献】特開2018-010472(JP,A)
【文献】特開2012-043266(JP,A)
【文献】特開2011-076233(JP,A)
【文献】特開2012-221478(JP,A)
【文献】特開2015-041189(JP,A)
【文献】特開平11-143677(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0040070(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048
G06F 3/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパッドと、ディスプレイと、前記タッチパッドからの入力に応じて、前記ディスプレイに複数の選択対象を含むGUI(Graphical User Interface)を表示させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記タッチパッドへの操作体の動きに対応して、前記GUI上でポインタが動くように前記ディスプレイに前記ポインタを表示させ、
前記複数の選択対象のうちの、前記ポインタ上の所定の基準点が位置する選択対象について、(i)当該所定の基準点が当該選択対象上に位置する期間が所定停滞期間以上であり、かつ、前記ポインタの単位時間当たりの移動量が所定移動量以下である場合、当該選択対象を強調表示させ、(ii)前記所定の基準点が当該選択対象上に位置する期間が前記所定停滞期間未満である、または、前記ポインタの単位時間当たりの移動量が前記所定移動量を超える場合、当該選択対象を強調表示させず、
前記操作体が前記タッチパッドから離れた後から所定待機期間が経過するまで、既に強調表示させていた前記選択対象を強調表示させたままとし、前記所定待機期間が経過すれば、前記選択対象への前記強調表示を解除する
入力装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記タッチパッドに前記操作体が接触したときに、前記操作体が接触した前記タッチパッド上の位置に対応する前記ディスプレイ上の位置に前記ポインタを表示させる
請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記操作体が前記タッチパッドから離れたときに、前記ポインタを非表示にする
請求項1または2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記タッチパッドに前記操作体が接触したときに、前記複数の選択対象のうち、前記操作体が接触した前記タッチパッド上の位置に対応する前記ディスプレイ上の位置に最も近い前記選択対象を強調表示させる
請求項1から3のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記操作体が前記タッチパッドから離れた後から前記所定待機期間が経過するまでの間に、前記操作体が前記タッチパッドに再度接触したときに、強調表示させている前記選択対象の位置に前記ポインタを表示させる
請求項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記制御部は、強調表示した前記選択対象を選択する
請求項1からのいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記ポインタは、前記複数の選択対象のそれぞれよりも大きく表示される
請求項1からのいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項8】
前記複数の選択対象のそれぞれは、前記ポインタと互いに重なったとき、前記ポインタと重複しない部分を有する
請求項1からのいずれか1項に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチパッドからの入力に応じてGUI(Graphical User Interface)を表示する入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、PDA(Personal Digital Assistant)の画面上にポインタを表示させ、PDAを傾けたと検知された方向へカーソルを移動させ、カーソルの存在する位置に強調表示を行う入力装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-246920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、カーソルを移動させているときにカーソルが重なっている選択対象がすべて強調表示となるため、入力しているユーザが煩雑さを感じてしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る入力装置は、タッチパッドと、ディスプレイと、前記タッチパッドからの入力に応じて、前記ディスプレイに複数の選択対象を含むGUI(Graphical User Interface)を表示させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記タッチパッドへの操作体の動きに対応して、前記GUI上でポインタが動くように前記ディスプレイに前記ポインタを表示させ、前記複数の選択対象のうちの、前記ポインタ上の所定の基準点が位置する選択対象について、(i)当該所定の基準点が当該選択対象上に位置する期間が所定停滞期間以上であり、かつ、前記ポインタの単位時間当たりの移動量が所定移動量以下である場合、当該選択対象を強調表示させ、(ii)前記所定の基準点が当該選択対象上に位置する期間が前記所定停滞期間未満である、または、前記ポインタの単位時間当たりの移動量が前記所定移動量を超える場合、当該選択対象を強調表示させず、前記操作体が前記タッチパッドから離れた後から所定待機期間が経過するまで、既に強調表示させていた前記選択対象を強調表示させたままとし、前記所定待機期間が経過すれば、前記選択対象への前記強調表示を解除する
【0006】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の入力装置は、ユーザが目的とする選択対象まで操作する際に、ポインタ表示によってリアルタイムに自分がどのように操作しているか、もしくは操作できているかをユーザに確認させることができ、かつ、頻繁な強調表示の切り替えによる視覚的な煩雑さを、入力装置を操作するユーザに感じさせることを低減でき、ユーザはより直感的な操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施の形態に係る入力装置及び入力装置が配置されている車両の車室の構成の一例を示す図である。
図2図2は、タッチパッドを車両の上方からみた場合の外観正面図である。
図3図3は、実施の形態に係る自動車に搭載される入力装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、ディスプレイに表示されるGUIとタッチパッドの一例を示す図である。
図5図5は、GUIへの入力方法について説明するための図である。
図6図6は、GUIへの入力方法について説明するための図である。
図7図7は、GUIへの入力方法について説明するための図である。
図8図8は、GUIへの入力方法について説明するための図である。
図9図9は、GUIへの入力方法について説明するための図である。
図10図10は、実施の形態に係る入力装置における動作の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、実施の形態に係る入力装置における動作の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、変形例に係る入力装置及び入力装置が配置されている車両の車室の構成の一例を示す図である。
図13図13は、変形例に係る自動車に搭載される入力装置の機能的な構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した、入力装置に関し、以下の問題が生じることを発見した。
【0010】
特許文献1に記載の入力装置では、PDAに内蔵されたジャイロセンサ等がPDAの傾きを検知すると、検知した値に応じて、GUIに表示されているポインタとしてのカーソルを移動させ、カーソルの存在する位置に強調表示させることが開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、カーソルが重なっている選択対象は、強調表示とされる。カーソルが移動しているときも、カーソルと重なっている選択対象は、強調表示されるため、カーソルが通過した場合であっても、強調表示される。つまり、ユーザが目的とする選択対象以外の選択対象も強調表示される。そのため、入力しているユーザが視覚的な煩雑さを感じてしまうという課題があった。また、カーソルを移動するとともに、強調表示される選択対象が切り替えられ、強調表示が移動するため、カーソルを移動させる操作の邪魔になっているという課題もあった。
【0011】
以上の課題を解決するために、本発明者は、鋭意検討の上、下記の構成の入力装置を見出すに至った。
【0012】
本開示の一態様に係る入力装置は、タッチパッドと、ディスプレイと、前記タッチパッドからの入力に応じて、前記ディスプレイに複数の選択対象を含むGUI(Graphical User Interface)を表示させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記タッチパッドへの操作体の動きに対応して、前記GUI上でポインタが動くように前記ディスプレイに前記ポインタを表示させ、前記複数の選択対象のうちの、前記ポインタ上の所定の基準点が位置する選択対象について、(i)当該所定の基準点が当該選択対象上に位置する期間が所定停滞期間以上であり、かつ、前記ポインタの単位時間当たりの移動量が所定移動量以下である場合、当該選択対象を強調表示させ、(ii)前記所定の基準点が当該選択対象上に位置する期間が前記所定停滞期間未満である、または、前記ポインタの単位時間当たりの移動量が前記所定移動量を超える場合、当該選択対象を強調表示させない。
【0013】
これによれば、GUI上において、ポインタがとどまったすべての選択対象について強調表示させるわけではなく、ポインタがGUI上の選択対象上において所定停滞期間とどまり、かつ、GUI上でのポインタの単位時間当たりの移動量が所定移動量以下であるという限定された条件が満たされた選択対象を強調表示させる。よって、制御部40は、ユーザが目的とする選択対象まで操作する際、ポインタ表示によってリアルタイムに自分がどのように操作しているか、もしくは操作できているかをユーザに確認させることができ、かつ、頻繁な強調表示の切り替えによる視覚的な煩雑さを、入力装置を操作するユーザに感じさせることを低減できる。
【0014】
また、前記制御部は、前記タッチパッドに前記操作体が接触したときに、前記操作体が接触した前記タッチパッド上の位置に対応する前記ディスプレイ上の位置に前記ポインタを表示させてもよい。
【0015】
これによれば、GUI上の選択対象のうち、操作体のタッチパッドへの接触時に、タッチパッド上の座標位置と対応するGUI上の位置にポインタが表示され、ユーザが目的とする選択対象に近い位置にポインタを表示させることができる。このため、ユーザが目的とする選択対象まで、より早くポインタを移動させることができる。また、ユーザの直感的な操作を効果的に補助することができる。
【0016】
また、前記制御部は、前記操作体が前記タッチパッドから離れたときに、前記ポインタを非表示にしてもよい。
【0017】
これによれば、操作体がタッチパッドに接触しているときにポインタを表示させ、操作体がタッチパッドに接触していないときにポインタを非表示にするため、ユーザの操作状況に応じたより直感的なGUI表示が可能となる。
【0018】
また、前記制御部は、前記タッチパッドに前記操作体が接触したときに、前記複数の選択対象のうち、前記操作体が接触した前記タッチパッド上の位置に対応する前記ディスプレイ上の位置に最も近い前記選択対象を強調表示させてもよい。
【0019】
これによれば、タッチパッドへの接触時に、ユーザが目的としているGUI上の位置に近い選択対象を強調表示させることができる。このため、ユーザは、目的とする選択対象をより早く選択できる。また、タッチパッド上の座標に対応したディスプレイ上の位置に選択対象がない場合でも、該当する選択対象を強調表示させることができる。このことにより、ユーザは、選択対象を選択するために、操作体の位置をタッチパッド上で細かく調整することなく、選択対象を強調表示させることができる。また、タッチパッド上の座標位置と対応するGUI上の位置にポインタが表示されるため、ユーザの直感的な操作を効果的に補助することができる。
【0020】
また、前記制御部は、前記操作体が前記タッチパッドから離れた後から所定待機期間が経過するまで、既に強調表示させていた前記選択対象を強調表示させたままとし、前記所定待機期間が経過すれば、前記選択対象への前記強調表示を解除してもよい。
【0021】
これによれば、タッチパッドから操作体が離れても、所定待機期間、該当する選択対象を強調表示したままとすることで、不意に操作体がタッチパッドから離れてしまった場合でも、既に強調表示させた選択対象を選択している状態からユーザは操作を再開できる。そのため、ユーザは支障をきたさずに操作を継続できる。また、タッチパッドから操作体が離れて所定待機期間が過ぎれば、該当する選択対象への強調表示を解除するため、その時には、別の選択対象を強調表示させる対象とすることができる。
【0022】
また、前記制御部は、前記操作体が前記タッチパッドから離れた後から前記所定待機期間が経過するまでの間に、前記操作体が前記タッチパッドに再度接触したときに、強調表示させている前記選択対象の位置に前記ポインタを表示させてもよい。
【0023】
このため、ユーザの意図に反して、操作体がタッチパッドから離れてしまった場合でも、ユーザは目的とする選択対象を選択するための操作をただちに再開することができる。
【0024】
また、前記制御部は、強調表示した前記選択対象を選択してもよい。
【0025】
これによれば、制御部は、ポインタがとどまった場合のみではなく、所定の条件の下で強調表示させた選択対象を選択した状態になる。このため、選択対象の選択の切り替えが、従来よりも頻繁に行われず、ユーザの直感的な操作を効果的に補助することができる。
【0026】
また、前記ポインタは、前記複数の選択対象のそれぞれよりも大きく表示されてもよい。
【0027】
このため、ユーザが視認しやすくなるように、ポインタ、または、ポインタがとどまっている選択対象を表示させることができる。
【0028】
また、前記複数の選択対象のそれぞれは、前記ポインタと互いに重なったとき、前記ポインタと重複しない部分を有してもよい。
【0029】
これによれば、ユーザが当該選択対象を視認し、かつ、識別しやすくなるように、GUI上で、ポインタと選択対象とを重ねて表示することができる。
【0030】
以下、本開示の一態様に係る入力装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0031】
(実施の形態)
[1.入力装置の構成]
まず、図1を参照しながら、実施の形態に係る入力装置及び入力装置が配置されている車両の車室の構成について説明する。図1は、実施の形態に係る入力装置及び入力装置が配置されている車両の車室の構成の一例を示す図である。なお、以下では、車両の走行方向を基準として、前方向、後方向、右方向、左方向を規定する。また、車両の車輪が地面についている状態において、上方向、下方向、水平方向、及び垂直方向を規定する。
【0032】
図1に示す自動車1(車両の一例)の車室には、入力装置10を構成するタッチパッド30と、ディスプレイ50が搭載されている。また、自動車1の車室には、さらに、シフトレバー90、及び、ステアリング70が配置されている。入力装置10は、例えば、カーナビゲーションシステムや、光ディスクを再生するためのオーディオ機器、映像再生機器等を操作するためのGUIとしてのメニュー画面や検索画面に入力を行う装置である。タッチパッド30は、自動車1などの車両に搭載される入力装置10のディスプレイ50が表示するGUIへの入力を行う装置である。
【0033】
タッチパッド30は、入力装置10のディスプレイ50に表示されているGUIに入力を行うための入力インターフェースである。ユーザは、GUIへの入力を行うことで、自動車1に搭載されている入力装置10を操作することができる。
【0034】
タッチパッド30は、シフトレバー90の後方に配置される。つまり、タッチパッド30は、自動車1に搭乗しているユーザがシート60に座っている状態で、当該ユーザの手が届く範囲の位置であって、ステアリング70を除く位置に配置される。ユーザである運転者は、左手でシフトレバー90の後方に配置されているタッチパッド30に対して入力を行うことにより、入力装置10を操作することができる。なお、タッチパッド30は、当該ユーザの手が届く範囲の位置であって、ステアリング70を除く位置に配置されていれば上記の位置に配置されていなくてもよい。なお、図1は、右ハンドルの自動車を例としているが、左ハンドルの自動車であっても、左右が反対になるだけであるため、右ハンドルの自動車の場合と同様のことが言える。
【0035】
ステアリング70は、自動車1を操舵するためのものであり、リング形状を有するリム71と、リム71の内周面に一体的に形成された略T字状のスポーク72と、スポーク72の中央部に配置されたホーンスイッチ(図示せず)を覆うホーンスイッチカバー73とを有している。タッチパッド30の構成については後で詳述する。
【0036】
ディスプレイ50は、カーナビゲーションの地図、再生された映像、入力装置10を操作するためのGUI、他の車載機器を制御するためのGUI等を表示する。ディスプレイ50は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどにより実現される。入力装置10は、スピーカ80に接続され、音声をスピーカ80に出力してもよい。また、他の車載機器としては、例えば、空調機器などがあり、入力装置10における入力によって、当該空調機器の動作が制御されるように構成されていてもよい。
【0037】
次に、タッチパッド30のハードウェア構成について図2を用いて説明する。
【0038】
図2は、タッチパッドを車両の上方からみた場合の外観正面図である。
【0039】
タッチパッド30は、タッチセンサ31と、感圧センサ32を有する。
【0040】
タッチセンサ31は、ユーザにより操作される操作体20からのタッチを受け付けるセンサである。ここで、操作体20は、指やタッチペン等である。つまり、タッチセンサ31は、当該タッチセンサ31の検出領域における位置であって、ユーザの身体の一部(例えば指)やタッチパッド用のタッチペン等によりタッチされた位置を検出するセンサである。また、タッチセンサ31は、ユーザによる複数のタッチ、すなわち、マルチタッチを受け付けるセンサである。よって、タッチセンサ31は、1本指によるタッチ位置のほかにも、同じタイミングにおいて、2本指による2か所のタッチ位置、3本指による3か所のタッチ位置を受け付けることができる。
【0041】
感圧センサ32は、タッチセンサ31に重なる領域に配置され、タッチパッド30への押し込み入力を検知する。感圧センサ32への、所定の押圧力よりも大きい押圧力の入力は、例えば決定を示す入力として受け付けられてもよい。
【0042】
なお、本実施の形態では、タッチパッド30は、上下方向に略垂直に配置されている。つまり、タッチパッド30は、タッチを受け付ける面が上方を向くように配置されている。なお、タッチパッド30は、前後方向に略垂直に配置されてもよい。この場合のタッチパッド30は、例えば、タッチを受け付ける面が後方を向くように配置されていてもよい。
【0043】
ユーザは、タッチパッド30が備える、タッチセンサ31や感圧センサ32への入力を行うことによって入力装置10のディスプレイ50に表示されているGUI11への入力を行うことができる。
【0044】
なお、ここでは、タッチパッド30への押し込み入力を検知する構成として、感圧センサ32を用いたが、それに限定されるものではなく、例えばタッチセンサ31の直下にプッシュスイッチを設け、タッチパッド30への所定の押圧力より大きな押圧力による押し込み入力をプッシュスイッチで検知する構成としてもよい。
【0045】
[2.入力装置の機能構成]
次に、入力装置の機能的な構成について説明する。
【0046】
図3は、実施の形態に係る自動車に搭載される入力装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0047】
図3に示すように、入力装置10は、タッチパッド30と、制御部40と、ディスプレイ50と、を備える。
【0048】
タッチパッド30は、タッチセンサ31及び感圧センサ32への入力が行われると、当該入力を示す入力信号が制御部40に出力される。
【0049】
制御部40は、タッチパッド30により出力された入力信号に応じて、ディスプレイ50上に表示されたGUI11を変化させる。制御部40による入力信号に応じた制御の詳細については後述する。
【0050】
なお、制御部40は、例えば、所定のプログラムを実行するプロセッサと、当該所定のプログラムを記憶しているメモリとにより実現されてもよいし、専用回路により実現されてもよい。制御部40は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)により実現されてもよい。
【0051】
以下、制御部40によりディスプレイ50に表示されるGUI11について図4を用いて説明する。
【0052】
図4は、ディスプレイに表示されるGUIとタッチパッドの一例を示す図である。
【0053】
制御部40は、図4に示すように、ディスプレイ50に、キーボード配列のGUI11を表示させる。GUI11は、複数の選択対象12、14a、14b、15、16a、16b、16c、16dを含む。また、GUI11は、表示バー13、および、現在時刻を示す時計表示17を含んでいてもよい。制御部40は、タッチパッド30の検出結果に応じて複数の選択対象12、14a、14b、15、16a、16b、16c、16dのうちの1つを選択した状態において決定を示す入力を受け付けると、選択されていた選択対象に対応付けられている具体的な機能を実行する。
【0054】
複数の選択対象12のそれぞれは、当該選択対象12に対応するかな文字1文字の入力を制御部40が受け付けるための選択対象である。つまり、制御部40は、選択対象12への入力を受け付けると、選択対象12が示すかな文字1文字の入力を実行する。
【0055】
表示バー13は、既に制御部40により入力された文字が表示される部分である。
【0056】
選択対象14aは、表示バー13上に表示されている文字または文字列において次に文字の入力が行われる位置を示すカーソルを左側に移動させることを示す入力を制御部40が受け付けるための選択対象である。選択対象14bは、表示バー13上に表示されている文字または文字列において上記カーソルを右側に移動させることを示す入力を制御部40が受け付けるための選択対象である。つまり、制御部40は、選択対象14aまたは選択対象14bへの入力を受け付けると、表示バー13上に表示されている文字または文字列において、受け付けた入力に応じてカーソルを左または右に移動させる。
【0057】
選択対象15は、表示バー13上に表示された文字または文字列を消去する入力を制御部40が受け付けるための選択対象である。選択対象15は、例えば、表示バー13上に表示された文字または文字列のうちカーソルが表示されている直前の1文字を消去するための選択対象、つまりバックスペースの機能を実行するための選択対象である。つまり、制御部40は、選択対象15への入力を受け付けると、表示バー13上に入力されている文字または文字列のうちカーソルが表示されている直前の1文字を消去する。
【0058】
選択対象16a~16dは、ディスプレイ50に表示されているキーボード配列のGUI11に表示される複数の選択対象12が示す文字を切り替えるための選択対象である。例えば、選択対象16aは、複数の選択対象12が示す文字をかな文字対応に切り替えることための選択対象である。また、選択対象16bは、複数の選択対象12が示す文字を数字対応に切り替えるための選択対象である。また、選択対象16cは、複数の選択対象12が示す文字をアルファベット対応に切り替えるための選択対象である。また、選択対象16dは、複数の選択対象12が示す文字を記号対応に切り替えるための選択対象である。
【0059】
なお、図4では、かな文字入力のキーボード配列がGUI11上に表示されている例を示しているが、これに限らずに、GUI11上に表示されるキーボード配列は、テンキー配列などの数字入力の配列、QWERTY配列などのアルファベット入力の配列などであってもよい。これらのキーボード配列の切り替えは、選択対象16a、選択対象16b、選択対象16c、選択対象16dのいずれかにポインタを合わせ、選択対象16a、選択対象16b、選択対象16c、選択対象16dのいずれかに強調表示された後、制御部40が決定を示す入力を受け付けると、ディスプレイ50に表示されているキーボード配列を、かな、数字、アルファベット、記号等に切り替えることができる。なお、複数の選択対象12、14a、14b、15、16a、16b、16c、16dのうち、強調表示をさせる選択対象を決定する処理の詳細については、後述する。
【0060】
次に、制御部40によるGUI11への入力方法について、図5図9を用いて具体的に説明する。
【0061】
図5図9は、GUIへの入力方法について説明するための図である。
【0062】
図5の(a)は、タッチパッド30に入力されたタッチに応じてGUI11上に表示されるポインタ18について説明するための図である。図5の(b)は、タッチパッド30への入力を示す図である。
【0063】
制御部40は、タッチパッド30に操作体20が接触したときに、ポインタ18を表示させる。つまり、制御部40は、タッチパッド30が操作体20の接触を検出していない状態から接触を検出している状態に遷移した場合、ディスプレイ50に表示されていなかったポインタ18を表示させる。このとき、制御部40は、操作体20が接触したタッチパッド30上の位置に対応するディスプレイ50上の位置にポインタ18を表示させる。タッチパッド30上の位置に対応するディスプレイ50上の位置とは、タッチパッド30上とディスプレイ50上にそれぞれ設定された2つの座標平面の間で予め定められた対応関係にある位置のことである。つまり、タッチパッド30上の複数の座標と、ディスプレイ50上の複数の座標とは、それぞれ一対一で対応付けられている。例えば、図5の(a)および(b)に示す例では、操作体20がタッチパッド30の中央付近の位置に接触したことがタッチパッド30により検出された場合、制御部40は、タッチパッド30の中央付近の位置に対応するディスプレイ50上の位置である、かな文字「む」が表示されている選択対象19aの位置にポインタ18を表示させる。
【0064】
なお、ポインタ18は、複数の選択対象12、14a、14b、15、16a、16b、16c、16dのそれぞれよりも大きく表示される。具体的には、ポインタ18の外形のサイズが複数の選択対象12、14a、14b、15、16a、16b、16c、16dのそれぞれの外形のサイズよりも大きい。また、複数の選択対象12、14a、14b、15、16a、16b、16c、16dのそれぞれは、ポインタ18と互いに重なったとき、ポインタ18と重複しない部分を有していてもよい。このため、ポインタ18が複数の選択対象12、14a、14b、15、16a、16b、16c、16dのいずれかに重なったときに、ユーザは、ポインタ18と選択対象とが重複しない部分から当該選択対象を視認しやすい。つまり、ポインタ18は、例えば、ターゲットスコープのような円周が切れ目で切断されている形状、または、矩形状の外周部のみで形成されている形状を有し、中心部分と重なった選択対象が視認できる形状であってもよい。本実施の形態に係るポインタ18は、ポイントしている位置を示す基準点18aがポインタ18の中心(重心)である。つまり、制御部40は、ポインタ18の中心(重心)が位置する選択対象を選択しうる。なお、ポインタ18の基準点18aは、ポインタ18の中心に限らずに、例えば、ポインタ18の上端部の点などであってもよい。また、以下の説明における図5図6図7および図9では、ポインタ18の基準点18aが図示されているが、実際には基準点18aは表示されない。ただし、基準点18aを表示する構成としてもよい。
【0065】
なお、制御部40は、タッチパッド30に操作体20が接触したときに、さらに、複数の選択対象12、14a、14b、15、16a、16b、16c、16dのうち、操作体20が接触したタッチパッド30上の位置に対応するディスプレイ50上の位置に最も近い選択対象を強調表示させてもよい。強調表示とは、例えば、強調表示の対象となる選択対象を、他の選択対象とは異なる色で表示したり、当該選択対象を他の選択対象より大きく表示したり、当該選択対象の領域に太枠を付けて表示したりすることである。例えば、図5の(a)および(b)に示す例では、制御部40は、操作体20が接触したタッチパッド30上の位置であるポインタ18が表示される位置に最も近い選択対象である、かな文字「む」が表示されている選択対象19aを強調表示させる。
【0066】
また、制御部40は、強調表示した選択対象を選択してもよい。ここで、選択とは、次に決定を示す入力が行われた場合に、当該選択の対象となっている選択対象に対応付けられている機能を実行することを示す状態である。例えば、図5の(a)に示す例の場合、制御部40は、決定を示す入力を受け付けると、強調表示している選択対象19aが示すかな文字「む」の文字が入力されたことを受け付け、入力されたかな文字「む」を表示バー13上に表示させる。
【0067】
なお、タッチパッド30への決定を示す入力は、所定の押圧力より大きな押圧力によるとしたが、所定の押圧力以上の押圧力ではなくダブルタップなどであってもよい。
【0068】
次に、タッチパッド30に操作体20が接触している状態で操作体20を移動させる操作、つまり、なぞり操作をタッチパッド30が検出した場合の、GUI11上でのポインタ18の動きについて図6を用いて説明する。
【0069】
図6の(a)は、なぞり操作をタッチパッド30が検出した場合の、制御部40によるGUI11上でのポインタ18の表示のさせ方の一例について説明するための図である。図6の(b)は、タッチパッド30へのなぞり操作の一例を示す図である。
【0070】
制御部40は、タッチパッド30への操作体20の動きに対応して、GUI11上でポインタ18が動くようにディスプレイ50にポインタ18を表示させる。具体的には、制御部40は、操作体20によるなぞり操作がタッチパッド30により検出された場合、当該なぞり操作によるタッチパッド30への入力座標の軌跡に対応するディスプレイ50上での座標の軌跡でポインタ18の表示を移動させる。
【0071】
例えば、制御部40は、図6の(b)に示すように、タッチパッド30が操作体20のなぞり操作による右下方向への移動を検出すると、図6の(a)に示すようにGUI11上のポインタ18を操作体20の動きと連動させて、GUI11上の右下方向に移動して表示させる。図示している例では、かな文字「む」に対応する選択対象19aの位置100から、かな文字「っ」に対応する選択対象19bの位置101までポインタ18が移動して表示される。
【0072】
このとき、制御部40は、GUI11では、ポインタ18をかな文字「っ」に対応する選択対象19bの位置101で表示させている状態であっても、所定の条件が満たされないと、選択対象19bを直ちには強調表示させない。制御部40は、具体的には、複数の選択対象12、14a、14b、15、16a、16b、16c、16dのうち、ポインタ18上の基準点18aが位置する選択対象について、(i)当該所定の基準点18aが当該選択対象上に位置する期間が所定停滞期間以上であり、かつ、ポインタ18の単位時間当たりの移動量が所定移動量以下である場合、当該選択対象を強調表示させ、(ii)ポインタ18の所定の基準点18aが当該選択対象上に位置する期間が所定停滞期間未満である、または、ポインタ18の単位時間当たりの移動量が所定移動量を超える場合、当該選択対象を強調表示させない。つまり、所定の条件を満たす選択対象とは、ポインタ18の所定の基準点18aが当該選択対象上に位置する期間が所定停滞期間以上であり、かつ、ポインタ18の単位時間当たりの移動量が所定移動量以下である選択対象である。
【0073】
そのため、制御部40は、ポインタ18を移動させている間、所定の条件が満たされない限り、他の選択対象に強調表示を切り替えることなく、かな文字「む」に対応する選択対象19aの強調表示をそのまま継続する。よって、制御部40は、所定の条件を満たす選択対象が現れるほどゆっくりとポインタ18を移動させるなぞり操作がタッチパッド30へ行われない限り、ポインタ18が位置100から位置101まで移動する間にポインタ18と重なる他の選択対象を強調表示させない。
【0074】
次に、強調表示が他の選択対象に切り替えられる場合について図7を用いて説明する。
【0075】
図7の(a)は、他の選択対象に強調表示が切り替えられた場合について説明するための図である。図7の(b)は、強調表示が切り替えられた場合に検出されたタッチパッド30への入力の一例を示す図である。なお、図7で示す場面は、図6でのなぞり操作の後の場面である。
【0076】
制御部40は、図7の(a)に示すように、強調表示されていた選択対象19aとは異なる選択対象19b上にポインタ18の基準点18aが位置し、(i)当該所定の基準点18aが当該選択対象上に位置する期間が所定停滞期間以上であり、かつ、ポインタ18の単位時間当たりの移動量が所定移動量以下である場合、選択対象19bを強調表示させる。制御部40は、例えば、ポインタ18の基準点18aが選択対象を表す矩形領域内の外周部を除く領域であって、矩形領域全体の98%である領域と重なり、かつ、所定停滞期間として40msec当該領域に滞在し、かつ、GUI11内でのポインタ18の移動量が単位時間当たり10ピクセル(1ピクセルはGUI11上に設定されている座標間隔)である条件を満たしたとき、ポインタ18の基準点18aが重なっている選択対象を強調表示させる。ここで、移動量を算出するときの単位時間は、ディスプレイ50上でGUI11である画面を最新の状態に更新する複数のタイミング間の時間間隔であるフレームレートであってもよいし、タッチパッド30が検出する複数のタイミング間の時間間隔であるサンプリング周期であってもよい。
【0077】
次に、操作体20がタッチパッド30から離れたときの、GUI11の表示について図8を用いて説明する。
【0078】
図8の(a)は、操作体20がタッチパッド30から離れたときの、ポインタ18の表示および選択対象の強調表示について説明するための図である。図8の(b)は、操作体20がタッチパッド30から離れた操作が行われたことを示す図である。なお、図8で示す場面は、図7で強調表示が他の選択対象に切り替えられた場面の後の場面である。
【0079】
制御部40は、図8の(a)に示すように、タッチパッド30から操作体20が離れて、タッチパッド30が操作体20の接触を検出していない状態となった場合、ポインタ18を非表示にする。つまり、制御部40は、タッチパッド30が操作体20の接触を検出している状態から接触を検出していない状態に遷移した場合、ディスプレイ50に表示しているポインタ18を非表示に切り替える。
【0080】
また、制御部40は、操作体20がタッチパッド30から離れた後から所定待機期間が経過するまで、既に強調表示させている選択対象19bを強調表示させたままとする。つまり、制御部40は、タッチパッド30が操作体20の接触を検出している状態から操作体20の接触を検出しない状態に遷移してから所定待機期間が経過するまで、当該遷移のタイミングにおいて強調表示させている選択対象を強調表示させたままとする。図8の(a)の例では、操作体20がタッチパッド30から離れた後も、選択対象19bは強調表示されている。制御部40は、操作体20がタッチパッド30から離れた後から所定待機期間が経過すれば、既に強調表示させていた選択対象19bへの強調表示を解除する。
【0081】
次に、一旦タッチパッド30から操作体20が離れた後に、再び操作体20がタッチパッド30に接触した場合の、GUI11の表示について図9を用いて説明する。
【0082】
図9の(a)は、操作体20がタッチパッド30から離れたあとに再び操作体20がタッチパッド30に接触した場合の、ポインタ18の表示および選択対象の強調表示について説明するための図である。図8の(b)は、操作体20がタッチパッド30から離れた後に、再び操作体20がタッチパッド30に接触した操作が行われたことを示す図である。なお、図9で示す場面は、図8で操作体20がタッチパッド30から離れた場面の後の場面である。
【0083】
制御部40は、図9の(a)に示すように、操作体20がタッチパッド30から離れた後から所定待機期間が経過するまでの間に、操作体20がタッチパッド30に再度接触したときに、強調表示させている選択対象19bの位置にポインタ18を表示させる。なお、制御部40は、操作体20がタッチパッド30から離れて所定待機期間が経過してから再びタッチパッド30に接触した場合、操作体20がタッチパッドから離れる直前にGUI11上に表示されていた位置ではなく、操作体が接触したタッチパッド30上の位置に対応するGUI11上の位置にポインタ18を表示させることとなる。つまり、この場合、制御部40は、図5で説明した動作を繰り返す。
【0084】
[3.動作]
次に、入力装置10の動作について、図10及び図11を用いて説明する。
【0085】
図10及び図11は、実施の形態に係る入力装置における動作の一例を示すフローチャートである。
【0086】
制御部40は、タッチパッド30からの信号によって、タッチパッド30に操作体20が接触しているか否かを判定する(S1)。タッチパッド30からの信号とは、タッチパッド30が有するタッチセンサ31及び感圧センサ32への入力を示す入力信号である。なお、感圧センサ32への入力動作は、図2の説明で述べたので、図10及び図11の動作の説明では、感圧センサ32への入力動作の説明を省略する。
【0087】
制御部40は、タッチパッド30に操作体20が接触していると判定した場合(S1でYes)、ディスプレイ50に表示されるGUI11上の対応する位置に、ポインタ18を表示させる(S2)。このとき、制御部40は、複数の選択対象12、14a、14b、15、16a、16b、16c、16dのうち、操作体20が接触したタッチパッド30上の位置に対応するディスプレイ50上の位置に最も近い選択対象を強調表示させてもよい。
【0088】
制御部40は、タッチパッド30に操作体20が接触していないと判定した場合(S1でNo)、ステップS1に戻る。
【0089】
制御部40は、表示させているポインタ18の基準点18aが選択対象12、14a、14b、15、16a、16b、16c、16dのいずれかに位置するか否かを判定する(S3)。
【0090】
制御部40は、基準点18aが重なっている選択対象がある場合(S3でYes)、当該選択対象についてステップS4以降の処理を実行する。なお、制御部40は、基準点18aが重なっている選択対象が無い場合(S3でNo)、後述する図11のステップS11以降の処理を実行する。
【0091】
制御部40は、ポインタ18上の基準点18aが位置する選択対象について、当該基準点18aが当該選択対象上に位置する期間が所定停滞期間以上であり、かつ、ポインタの単位時間当たりの移動量が所定移動量以下であるか否かを判定する(S4)。
【0092】
制御部40は、ポインタ18上の基準点18aが位置する選択対象について、当該基準点18aが当該選択対象上に位置する期間が所定停滞期間以上であり、かつ、ポインタの単位時間当たりの移動量が所定移動量以下であると判定した場合(S4でYes)、当該選択対象をGUI11上において強調表示させる(S5)。
【0093】
制御部40は、ポインタ18上の基準点18aが位置する選択対象について、当該基準点18aが当該選択対象上に位置する期間が所定停滞期間未満であるか、または、ポインタの単位時間当たりの移動量が所定移動量を超えると判定した場合(S4でNo)、当該選択対象をGUI11上において強調表示させない(S6)。
【0094】
次に、図11に進み、制御部40は、タッチパッド30から操作体20が離れたか否かを判定する(S11)。具体的には、制御部40は、タッチパッド30が操作体20の接触を検出している状態から接触を検出していない状態に遷移したか否かを判定する。
【0095】
制御部40は、タッチパッド30から操作体20が離れたと判定した場合(S11でYes)、GUI11上の対応する位置のポインタ18の表示を消去し、ポインタ18を非表示にする(S12)。
【0096】
制御部40は、タッチパッド30から操作体20が離れていないと判定した場合(S11でNo)、図10のステップS3に戻る。
【0097】
制御部40は、操作体20がタッチパッド30から離れたタイミングから所定待機期間が経過したか否かを判定する(S13)。
【0098】
制御部40は、操作体20がタッチパッド30から離れたタイミングから所定待機期間が経過していないと判定した場合(ステップS13でNo)、タッチパッド30に操作体20が再度接触したか否かを判定する(S14)。
【0099】
制御部40は、タッチパッド30に操作体20が再度接触したと判定した場合(S14でYes)、強調表示している選択対象の位置にポインタ18を表示させ(S15)、図10のステップS3に戻る。
【0100】
制御部40は、タッチパッド30に操作体20が再度接触していないと判定した場合(S14でNo)、ステップS13に戻る。
【0101】
制御部40は、ステップS13において所定待機期間が経過したと判定した場合(S13でYes)、強調表示を解除し(S16)、図10のステップS1に戻る。
【0102】
[4.効果など]
本実施の形態に係る入力装置10は、タッチパッド30と、ディスプレイ50と、タッチパッド30からの入力に応じて、ディスプレイ50に複数の選択対象12、14a、14b、15、16a、16b、16c、16dを含むGUI11を表示する制御部40と、を備える。制御部40は、タッチパッド30への操作体20の動きに対応して、GUI11上でポインタ18が動くようにディスプレイ50にポインタ18を表示させる。また、制御部40は、複数の選択対象12、14a、14b、15、16a、16b、16c、16dのうちの、ポインタ18上の所定の基準点18aが位置する選択対象について、(i)当該所定の基準点18aが当該選択対象上に位置する期間が所定停滞期間以上であり、かつ、ポインタ18の単位時間当たりの移動量が所定移動量以下である場合、当該選択対象を強調表示させ、(ii)所定の基準点18aが当該選択対象上に位置する期間が所定停滞期間未満である、または、ポインタ18の単位時間当たりの移動量が所定移動量を超える場合、当該選択対象を強調表示させない。
【0103】
これによれば、GUI11上において、ポインタ18がとどまったすべての選択対象について強調表示させるわけではなく、ポインタ18がGUI11上の選択対象上において所定停滞期間とどまり、かつ、GUI11上でのポインタ18の単位時間当たりの移動量が所定移動量以下であるという限定された条件が満たされた選択対象を強調表示させる。よって、制御部40は、ユーザが目的とする選択対象まで操作する際に、ポインタ18の表示によってリアルタイムに自分がどのように操作しているか、もしくは操作できているかをユーザに確認させることができ、かつ、ポインタ18の移動中にポインタ18と重なる複数の選択対象を強調表示させにくくすることができる。このため、頻繁な強調表示の切り替えによる視覚的な煩雑さを、入力装置を操作するユーザに感じさせることを低減できる。
【0104】
また、本実施の形態に係る入力装置10において、制御部40は、タッチパッド30に操作体20が接触したときに、操作体20が接触したタッチパッド30上の位置に対応するディスプレイ50上の位置にポインタ18を表示させる。
【0105】
これによれば、ディスプレイ50に表示されたGUI11上の選択対象のうち、操作体20のタッチパッド30への接触時に、タッチパッド30上の座標位置と対応するGUI11上の位置にポインタが表示され、ユーザが目的とする選択対象に近い位置にポインタ18を表示させることができる。このため、ユーザが目的とする選択対象まで、より早くポインタ18を移動させることができる。また、ユーザの直感的な操作を効果的に補助することができる。
【0106】
また、本実施の形態に係る入力装置10において、制御部40は、操作体20がタッチパッド30から離れたときに、ポインタ18を非表示にする。これによれば、操作体20がタッチパッド30へ接触しているときに、GUI11上にポインタ18を表示させ、接触していないときに、GUI11上にポインタ18を非表示にするため、ユーザの操作状況に応じたより直感的なGUI11の表示が可能となる。
【0107】
また、本実施の形態に係る入力装置10において、制御部40は、タッチパッド30に操作体20が接触したときに、複数の選択対象12、14a、14b、15、16a、16b、16c、16dのうち、操作体20が接触したタッチパッド30上の位置に対応するディスプレイ50上の位置に最も近い選択対象を強調表示させる。
【0108】
これによれば、操作体20のタッチパッド30への接触時に、ユーザが目的としているGUI11上の位置に近い選択対象を強調表示させることができる。このため、ユーザは、目的とする選択対象をより早く選択できる。また、タッチパッド30上の座標に対応したディスプレイ50上の位置に選択対象がない場合でも、該当する選択対象を強調表示させることができる。このことにより、ユーザは、選択対象を選択するために、操作体20をタッチパッド30上で位置を細かく調整する必要がなく、選択対象を強調表示させることができる。また、タッチパッド30上の位置と対応するGUI11上の位置にポインタ18が表示されるため、ユーザの直感的な操作を効果的に補助することができる。
【0109】
また、本実施の形態に係る入力装置10において、制御部40は、操作体20がタッチパッド30から離れた後から所定待機期間が経過するまで、既に強調表示させていた選択対象を強調表示させたままとし、所定待機期間が経過すれば、選択対象への強調表示を解除する。
【0110】
これによれば、タッチパッド30から操作体20が離れても、所定待機期間、該当する選択対象を強調表示したままとすることで、不意に操作体20がタッチパッド30から離れてしまった場合でも、既に強調表示させた選択対象を選択している状態から、ユーザは操作を再開できる。そのため、ユーザは支障をきたさずに操作を継続できる。また、タッチパッド30から操作体20が離れて所定待機期間が過ぎれば、該当する選択対象への強調表示を解除するため、その時には、別の選択対象を強調表示させる対象とすることができる。
【0111】
また、本実施の形態に係る入力装置10において、制御部40は、操作体20がタッチパッド30から離れた後から所定待機期間が経過するまでの間に、操作体20がタッチパッド30に再度接触した時に、強調表示させている選択対象の位置にポインタ18を表示させる。このため、ユーザの意図に反して、操作体20がタッチパッド30から離れてしまった場合でも、ユーザは目的とする選択対象を選択するための操作をただちに再開することができる。
【0112】
また、本実施の形態に係る入力装置10において、制御部40は、選択対象を強調表示させた際に、選択対象を選択する。つまり、制御部40は、ポインタ18がとどまった場合のみではなく、所定の条件の下で強調表示させた選択対象を選択した状態になる。このため、選択対象の選択の切り替えが、従来よりも頻繁に行われず、ユーザの直感的な操作を効果的に補助することができる。
【0113】
また、本実施の形態に係る入力装置10において、ポインタ18は、選択対象12、14a、14b、15、16a、16b、16c、16dのそれぞれよりも大きく表示される。このため、ユーザが視認しやすくなるように、ポインタ、または、ポインタがとどまっている選択対象を表示させることができる。
【0114】
また、本実施の形態に係る入力装置10において、ポインタ18は、複数の選択対象のうちのそれぞれと互いに重なったとき、ポインタ18と重複しない部分を有する。このため、ユーザが当該選択対象を視認し、かつ、識別しやすくなるように、GUI11上で、ポインタ18と選択対象とを重ねて表示することができる。
【0115】
[5.変形例]
上記実施の形態では、選択対象を強調表示させるためのポインタ18が満たすべき条件として、例として、選択対象を強調表示させるのは、ポインタ18が選択対象を表す矩形領域内の外周部を除く98%の領域と重なり、かつ40msecという所定時間その位置に滞在し、かつGUI11内での移動量がフレームレートあたり10ピクセル(座標間隔)であるといった条件を示したが、ポインタ18が満たすべき条件の具体的数値は、これらに限らない。また、GUI11内での移動量だけでなく、GUI11内での移動量の変化量を指標として採用してもよい。条件に設定されている数値は、ユーザや使用環境の特性に合わせて、自由に変更されてもよい。
【0116】
また、上記実施の形態では、ディスプレイ50に表示されるGUI11は、キーボード配列の画面としたが、GUI11はこれに限らない。例えば、カーナビゲーションシステム用の地図表示のGUIであってもよいし、オーディオや空調等の車載機器を操作するための操作画面のGUIであってもよい。また、インターネットブラウザ等での検索を行うためのGUIであってもよいし、各種ホームページを閲覧するための画面のGUIであってもよい。いずれのGUIであっても、本開示の持つ技術的特徴は活かされる。GUI11上に表示される選択対象は、例えばアイコン等であってもよく、制御部40が選択対象への入力を受け付けたときに、あらかじめ定められた機能を実現する選択対象である。例えば、入力装置10のスイッチをオンまたはオフにするアイコン等でもよい。
【0117】
また、上記実施の形態では、ポインタ18は、略円形状の形状を有するターゲットスコープとして図5図9に図示したが、ポインタ18の形状はこれに限らず、矩形状、矢印状、手指を象った形状などであってもよい。
【0118】
また、上記実施の形態では、タッチセンサとして、自動車1のステアリング70を除く位置に配置されるタッチパッド30を用いるとしたが、これに限らない。例えば、図12及び図13に示すように、自動車1Aのステアリング70に配置されるタッチセンサ33を備える入力装置10Aを採用してもよい。
【0119】
図12は、変形例に係る入力装置及び入力装置が配置されている車両の車室の構成の一例を示す図である。図13は、変形例に係る自動車に搭載される入力装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0120】
変形例に係る入力装置10Aは、実施の形態の入力装置10と比較して、タッチセンサ33、及び、制御部40Aの機能のみが異なる。このため、タッチセンサ33および制御部40Aの異なる機能について説明し、その他の構成の説明は省略する。
【0121】
タッチセンサ33は、ステアリング70に配置される。タッチセンサ33は、例えば、ステアリング70が有するスポーク72に配置されている。
【0122】
運転者は、ステアリング70のリム71を握る右手の指でタッチセンサ33に対して入力を行うことにより、入力装置10Aを操作することができる。
【0123】
タッチセンサ33は、ユーザの身体の一部(例えば指)によりタッチされた位置を検出するセンサである。タッチセンサ33への入力が行われると、当該入力を示す入力信号が制御部40Aに出力される。
【0124】
制御部40Aは、タッチパッド30からの決定を示す入力の代わりに、例えばタッチセンサ33からのダブルタップ入力を、決定を示す入力として受け付けてもよい。
【0125】
なお、タッチセンサ33は、その直下に感圧センサやプッシュスイッチを有する構成とし、ダブルタップ入力に代わって、所定の押圧力より大きな押圧力による押し込み入力が、決定を示す入力であるとしてもよい。
【0126】
なお、タッチセンサ33へのタッチ入力に伴う表示画面は、図12に図示されたディスプレイ50に表示されるGUI11の構成に限定されるものではなく、例えば、メータ内に設けられたディスプレイ50にGUI11が表示される構成としてもよい。この場合、運転者が運転中にタッチセンサ33を操作した結果が、最小限の目線異動で視認できる。また、タッチパッド30を操作した結果が、メータ内に設置されたディスプレイ50に表示される構成としてもよい。
【0127】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態の入力装置などを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
【0128】
すなわち、このプログラムは、タッチパッドと、ディスプレイと、前記タッチパッドからの入力に応じて、前記ディスプレイに複数の選択対象を含むGUI(Graphical User Interface)を表示させる制御部と、を備える入力装置による入力方法であって、前記タッチパッドへの操作体の動きに対応して、前記GUI上でポインタが動くように前記ディスプレイに前記ポインタを表示させ、前記複数の選択対象のうちの、前記ポインタ上の所定の基準点が位置する選択対象について、(i)当該所定の基準点が当該選択対象上に位置する期間が所定停滞期間以上であり、かつ、前記ポインタの単位時間当たりの移動量が所定移動量以下である場合、当該選択対象を強調表示させ、(ii)前記所定の基準点が当該選択対象上に位置する期間が前記所定停滞期間未満である、または、前記ポインタの単位時間当たりの移動量が前記所定移動量を超える場合、当該選択対象を強調表示させない入力方法をコンピュータに実行させる。
【0129】
以上、本発明の一つまたは複数の態様に係る入力装置及び入力方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、ユーザが視覚的煩雑さに煩わされることなく、従来よりも効率的に、GUI上での選択や入力の操作を行うことのできる入力装置として有用である。
【符号の説明】
【0131】
1、1A 自動車
10、10A 入力装置
11 GUI
12、14a、14b、15、16a、16b、16c、16d、19a、19b 選択対象
13 表示バー
17 時計表示
18 ポインタ
18a 基準点
20 操作体
30 タッチパッド
31、33 タッチセンサ
32 感圧センサ
40、40A 制御部
50 ディスプレイ
60 シート
70 ステアリング
71 リム
72 スポーク
73 ホーンスイッチカバー
80 スピーカ
90 シフトレバー
100、101 位置
図1
図2
図3
図4
図5
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