(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】ハニカムフィルタ
(51)【国際特許分類】
B01D 39/20 20060101AFI20220624BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20220624BHJP
C04B 38/00 20060101ALI20220624BHJP
F01N 3/022 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
B01D39/20 D
B01D46/00 302
C04B38/00 303Z
F01N3/022 C
(21)【出願番号】P 2018196100
(22)【出願日】2018-10-17
【審査請求日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】P 2017225576
(32)【優先日】2017-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】加藤 靖
(72)【発明者】
【氏名】近藤 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】松矢 淳宣
【審査官】谷本 怜美
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-144389(JP,A)
【文献】特開2005-270969(JP,A)
【文献】特開2013-184836(JP,A)
【文献】特開2014-198306(JP,A)
【文献】特開2010-227818(JP,A)
【文献】特開2003-040687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00-41/04
B01D 46/00
C04B 38/00-38/10
F01N 3/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入端面から流出端面まで延びる流体の流路となる複数のセルを取り囲むように配設された多孔質の隔壁を有するハニカム構造部と、
前記セルにおける前記流入端面側又は前記流出端面側のいずれか一方の端部を封止するように配置された目封止部と、を備え、
前記流出端面側の端部に前記目封止部が配設され、前記流入端面側が開口した前記セルを、流入セルとし、
前記流入端面側の端部に前記目封止部が配設され、前記流出端面側が開口した前記セルを、流出セルとし、
前記ハニカム構造部の前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記流入セルと前記流出セルとが一の方向に前記隔壁を挟んで交互に配置されたセル列を少なくとも含み、
前記流入セルと前記流出セルとを仕切る部位における前記隔壁
を構成する多孔質体の気孔率の値を、気孔率Aとし、
前記隔壁の前記セル相互間を仕切る部位同士が交差する交点部のうち、2つの前記流入セル間の交点部における前記隔壁
を構成する多孔質体の気孔率の値を、気孔率Bとし、
前記気孔率Aを前記気孔率Bで除算した値であるA/Bが、0.50~0.95である、ハニカムフィルタ。
【請求項2】
前記気孔率Aが、15~70%である、請求項1に記載のハニカムフィルタ。
【請求項3】
前記気孔率Aと前記気孔率Bの相加平均が、25~80%である、請求項1又は2に記載のハニカムフィルタ。
【請求項4】
前記ハニカム構造部の前記セルの延びる方向に直交する断面における前記流入セルの形状が、四角形、六角形、又は八角形である、請求項1~3のいずれか一項に記載のハニカムフィルタ。
【請求項5】
前記ハニカム構造部の前記セルの延びる方向に直交する断面における前記流出セルの形状が、四角形、又は六角形である、請求項4に記載のハニカムフィルタ。
【請求項6】
1つの前記流入セルの開口面積S1が、1つの前記流出セルの開口面積S2よりも大である、請求項1~5のいずれか一項に記載のハニカムフィルタ。
【請求項7】
前記隔壁の厚さが、100~450μmである、請求項1~6のいずれか一項に記載のハニカムフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカムフィルタに関する。更に詳しくは、耐熱衝撃性に優れ、スス等の粒子状物質の漏れ出しを有効に抑制することが可能なハニカムフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な産業において、動力源として内燃機関が用いられている。一方で、内燃機関が燃料の燃焼時に排出する排ガスには、スス(スート;Soot)や灰(アッシュ;Ash)等の粒子状物質が含まれている。例えば、ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質の除去に関する規制は世界的に厳しくなっており、粒子状物質を除去するためのフィルタとして、ハニカム構造を有するハニカムフィルタが用いられている。以下、粒子状物質を、「PM」ということがある。PMは、「Particulate Matter」の略である。
【0003】
従来、PMを除去するためのハニカムフィルタとして、複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を有するハニカム構造部と、セルのいずれか一方の端部を目封止する目封止部と、を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0004】
このようなハニカムフィルタは、多孔質の隔壁がPMを除去するフィルタの役目を果たす構造となっている。具体的には、PMを含有する排ガスを、ハニカムフィルタの流入端面から流入させ、多孔質の隔壁でPMを捕集することによって濾過した後に、浄化された排ガスを、ハニカムフィルタの流出端面から排出する。このようにして排ガス中のPMを除去することができる。
【0005】
ハニカムフィルタにおいて、隔壁によって区画形成されるセルの形状についての種々の検討がされている。例えば、セルの長手方向に直交する平面で切断した断面において、所定のセルの断面積と残余のセルの断面積とが異なるように構成されたハニカムフィルタ等が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。一例として、流入端面側が開口しているセル(以下、「流入セル」ということがある)の断面積と、流出端面側が開口しているセル(以下、「流出セル」ということがある)の断面積とが異なるように構成されたハニカムフィルタを挙げることができる。また、ハニカムフィルタの強度向上等を目的として、上記断面におけるセルの形状を、四角形以上の多角形における角部に相当する部位が円弧状に形成された形状としたハニカムフィルタなども提案されている(例えば、特許文献1、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-270969号公報
【文献】国際公開第2008/117559号
【文献】特開2010-221159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のハニカムフィルタは、セルの長手方向に垂直な平面で切断した断面において、所定のセルの断面積と残余のセルの断面積とが異なるものである。そして、このハニカムフィルタは、断面積の小さいセルの流路水力直径に対する断面積の大きい前記セルの流路水力直径の比の値が1.2以上である。更に、このハニカムフィルタは、少なくとも上記断面積の大きいセルの断面形状が、少なくとも一つの角部に相当する部分が円弧状の四角形であり、隔壁の厚さに対する、隔壁が交差する部分の最小厚さの比の値が、0.7以上、1.3未満である。
【0008】
特許文献1に記載のハニカムフィルタによれば、隔壁が交差する部分の一部の薄壁化を防ぎ、高強度を維持することができるとされている。従来のハニカムフィルタの多くは、流入セルと流出セルとが隔壁を挟んで交互に配置されている。このため、特許文献1に記載のハニカムフィルタは、熱衝撃によりハニカムフィルタにクラックが発生した場合において、流入セルと流出セルとを区画する隔壁に対して、相対的にクラックが発生し易いという構成となっている。したがって、特許文献1に記載のハニカムフィルタは、ハニカムフィルタにクラックが発生してしまった場合には、スス等のPMが漏れ出し易いという問題があった。
【0009】
特許文献2に記載のハニカムフィルタにおいても、隔壁が交差する部分が、セル相互間を区画する隔壁よりも、その厚さが厚くなるように構成されている。したがって、上述した特許文献1に記載のハニカムフィルタと同様に、ハニカムフィルタにクラックが発生してしまった場合には、スス等のPMが漏れ出し易いという問題があった。
【0010】
特許文献3に記載のハニカムフィルタは、流出セルの断面形状が、四角形以上の多角形における角部に相当する部位Xが円弧状に形成された形状となっているため、隔壁が交差する部分の強度が相対的に高くなっている。このため、ハニカムフィルタの再生時の最高温度を低減できるものの、ハニカムフィルタにクラックが発生してしまった場合には、流入セルと流出セルとを区画する隔壁に対して相対的にクラックが発生し易くなる。したがって、ハニカムフィルタにクラックが発生してしまった場合には、スス等のPMが漏れ出し易いという問題があった。
【0011】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものである。本発明は、耐熱衝撃性に優れ、スス等の粒子状物質の漏れ出しを有効に抑制することが可能なハニカムフィルタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、以下に示すハニカムフィルタが提供される。
【0013】
[1] 流入端面から流出端面まで延びる流体の流路となる複数のセルを取り囲むように配設された多孔質の隔壁を有するハニカム構造部と、
前記セルにおける前記流入端面側又は前記流出端面側のいずれか一方の端部を封止するように配置された目封止部と、を備え、
前記流出端面側の端部に前記目封止部が配設され、前記流入端面側が開口した前記セルを、流入セルとし、
前記流入端面側の端部に前記目封止部が配設され、前記流出端面側が開口した前記セルを、流出セルとし、
前記ハニカム構造部の前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記流入セルと前記流出セルとが一の方向に前記隔壁を挟んで交互に配置されたセル列を少なくとも含み、
前記流入セルと前記流出セルとを仕切る部位における前記隔壁を構成する多孔質体の気孔率の値を、気孔率Aとし、
前記隔壁の前記セル相互間を仕切る部位同士が交差する交点部のうち、2つの前記流入セル間の交点部における前記隔壁を構成する多孔質体の気孔率の値を、気孔率Bとし、
前記気孔率Aを前記気孔率Bで除算した値であるA/Bが、0.50~0.95である、ハニカムフィルタ。
【0014】
[2] 前記気孔率Aが、15~70%である、前記[1]に記載のハニカムフィルタ。
【0015】
[3] 前記気孔率Aと前記気孔率Bの相加平均が、25~80%である、前記[1]又は[2]に記載のハニカムフィルタ。
【0016】
[4] 前記ハニカム構造部の前記セルの延びる方向に直交する断面における前記流入セルの形状が、四角形、六角形、又は八角形である、前記[1]~[3]のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【0017】
[5] 前記ハニカム構造部の前記セルの延びる方向に直交する断面における前記流出セルの形状が、四角形、又は六角形である、前記[4]に記載のハニカムフィルタ。
【0018】
[6] 1つの前記流入セルの開口面積S1が、1つの前記流出セルの開口面積S2よりも大である、前記[1]~[5]のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【0019】
[7] 前記隔壁の厚さが、100~450μmである、前記[1]~[6]のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【発明の効果】
【0020】
本発明のハニカムフィルタは、耐熱衝撃性に優れ、スス等の粒子状物質の漏れ出しを有効に抑制することができる。即ち、本発明のハニカムフィルタは、流入セルと流出セルとを仕切る部位における隔壁の気孔率Aが、2つの流入セル間の交点部における隔壁の気孔率Bよりも相対的に低くなっている。このため、ハニカムフィルタにクラックが発生してしまった場合に、上述した隔壁の交点部に対してクラックが発生し易くなる。隔壁の交点部に発生するクラックは、流入セル同士又は流出セル同士に亘るように当該交点部に対して対角線方向に発生するため、このようなクラックが仮に発生したとしてもPMの漏れ出しに関する影響を受けない。このため、本発明のハニカムフィルタによれば、スス等の粒子状物質の漏れ出しを有効に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明のハニカムフィルタの第一実施形態を模式的に示す流入端面側から見た斜視図である。
【
図2】
図1に示すハニカムフィルタの流入端面を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図2に示すハニカムフィルタの流入端面の一部を拡大した拡大平面図である。
【
図4】
図2のA-A’断面を模式的に示す、断面図である。
【
図5】本発明のハニカムフィルタの第二実施形態を模式的に示す、流入端面の一部を拡大した拡大平面図である。
【
図6】本発明のハニカムフィルタの第三実施形態を模式的に示す、流入端面の一部を拡大した拡大平面図である。
【
図7】本発明のハニカムフィルタの第二実施形態を模式的に示す、流入端面の一部を示す平面図である。
【
図8】本発明のハニカムフィルタの第四実施形態を模式的に示す、流入端面の一部を示す平面図である。
【
図9】本発明のハニカムフィルタの第五実施形態を模式的に示す流入端面側から見た斜視図である。
【
図10】本発明のハニカムフィルタの第六実施形態の流入端面を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられ得ることが理解されるべきである。
【0023】
(1)ハニカムフィルタ(第一実施形態):
図1~
図4に示すように、本発明のハニカムフィルタの第一実施形態は、多孔質の隔壁1を有するハニカム構造部4と、ハニカム構造部4に形成されたセル2のいずれか一方の端部に配設された目封止部5と、を備えたハニカムフィルタ100である。ここで、
図1は、本発明のハニカムフィルタの第一実施形態を模式的に示す流入端面側から見た斜視図である。
図2は、
図1に示すハニカムフィルタの流入端面を模式的に示す平面図である。
図3は、
図2に示すハニカムフィルタの流入端面の一部を拡大した拡大平面図である。
図4は、
図2のA-A’断面を模式的に示す、断面図である。
【0024】
ハニカム構造部4の隔壁1は、流入端面11から流出端面12まで延びる流体の流路となる複数のセル2を取り囲むように配設されたものである。即ち、複数のセル2は、多孔質の隔壁1によって区画形成されたものである。目封止部5は、ハニカム構造部4に形成されたセル2のいずれか一方の端部を封止するように配置されたものである。このため、複数のセル2のそれぞれは、流入端面11側又は流出端面12側の開口部に配設された目封止部5によって、いずれか一方の端部が封止されている。本実施形態のハニカムフィルタ100は、多孔質の隔壁1が、排ガス中のPMを捕集するための濾過材として機能する。ここで、複数のセル2のうち、流出端面12側の開口部に目封止部5が配設され、流入端面11側が開口したセル2を、流入セル2aとする。また、複数のセル2のうち、流入端面11側の開口部に目封止部5が配設され、流出端面12側が開口したセル2を、流出セル2bとする。
【0025】
ハニカム構造部4は、当該ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に直交する断面において、流入セル2aと流出セル2bとが一の方向に隔壁1を挟んで交互に配置されたセル列を少なくとも含む。なお、上述した「流入セル2aと流出セル2bとが一の方向に隔壁1を挟んで交互に配置されたセル列」は、ハニカム構造部4の上記断面において、少なくとも1列有していればよい。
図1~
図4に示すハニカムフィルタ100において、紙面の縦方向及び横方向に延びる各セル列は、流入セル2aと流出セル2bとが交互に配置されたセル列となっている。
【0026】
「流入セル2aと流出セル2bとが一の方向に隔壁1を挟んで交互に配置されたセル列」とは、流入セル2a及び流出セル2bの断面形状が多角形である場合には、以下のように構成されたセル列のことを意味する。即ち、上記セル列とは、多角形の流入セル2a及び流出セル2bの互いに向かい合う2つ辺によって構成された隔壁1によって、流入セル2aと流出セル2bとが区画されるように配列したセル列のことを意味する。このため、「流入セル2aと流出セル2bとが一の方向に隔壁1を挟んで交互に配置されたセル列」には、複数のセルが、互いの断面形状の頂点(即ち、多角形のセルの頂点同士)が向かい合うように配列したセル列は、含まないものとする。なお、複数のセルの互いの断面形状の頂点が向かい合うような部位に存在する隔壁1については、後述する「交点部15」となる。
【0027】
本実施形態のハニカムフィルタ100は、流入セル2aと流出セル2bとを仕切る部位16における隔壁1の気孔率(以下、気孔率A)と、2つの流入セル2a間の交点部15における隔壁1の気孔率(以下、気孔率B)とが、異なる値を示すことを特徴とする。より具体的には、流入セル2aと流出セル2bとを仕切る部位16における隔壁1の気孔率の値を、気孔率Aとする。また、隔壁1のセル2相互間を仕切る部位(例えば、仕切る部位16)同士が交差する交点部15のうち、2つの流入セル2a間の交点部15における隔壁1の気孔率の値を、気孔率Bとする。この場合に、気孔率Aを気孔率Bで除算した値である「気孔率A/気孔率B」が、0.50~0.95である。以下、「気孔率A/気孔率B」を、単に「A/B」と記すことがある。本実施形態のハニカムフィルタ100は、「A/B」の値を上記した数値範囲とすることにより、ハニカムフィルタ100にクラックが発生してしまった場合に、流入端面11側において流入セル2a間の交点部15に対してクラックが発生し易くなる。また、流出端面12側においては、流出セル2b間の交点部15に対してクラックが発生し易くなる。即ち、交点部15に発生するクラックは、ハニカムフィルタ100内の温度差の影響により、交点部15において対角線方向に発生する。特に、ハニカムフィルタ100の流入端面11側及び流出端面12側において、目封止部5が配設されていないセル2同士を結ぶ対角線方向にクラックが発生し易く、目封止部5が配設されているセル2同士を結ぶ対角線方向にはクラックが発生し難い。ここで、ハニカムフィルタ100の流入端面11側において、流入セル2a間の交点部15にクラックが発生したとしても、PMの漏れ出しに関する影響を受けない。同様に、ハニカムフィルタ100の流出端面12側において、流出セル2b間の交点部15にクラックが発生したとしても、PMの漏れ出しに関する影響を受けない。このため、本実施形態のハニカムフィルタ100によれば、スス等のPMの漏れ出しを有効に抑制することができる。
【0028】
本願明細書において、「交点部」とは、隔壁のセル相互間を仕切る部位同士が交差する部位のことをいう。具体的には、ハニカム構造部のセルの延びる方向に直交する断面において、以下のような位置のことをいう。「交点部」とは、複数のセルを取り囲むように格子状に配設された隔壁において、格子を構成する第一方向に沿って配置された隔壁と、第一方向とは異なる方向の第二方向に沿って配置された隔壁と、が互いに交差する部位(格子線が重なる部位)のことをいう。ここで、「格子の第一方向」は、隔壁の2つのセルを仕切る部位に対して平行な方向を含み、この隔壁に沿ってひと筆書きするような軌跡を描くものとする。そして、格子の第一方向において、この第一方向に対して隔壁が屈曲している場合には、第一方向に対する隔壁の折れ曲がり角がより小さくなるような方向を選択する。「格子の第二方向」についても、上記した「格子の第一方向」と同様にして規定することができる。
【0029】
以下、本明細書において、流入セル2aと流出セル2bとを仕切る部位16における隔壁1の気孔率の値を、単に「気孔率A」ということがある。流入セル2aと流出セル2bとを仕切る部位16としては、例えば、流入セル2aと流出セル2bとが一の方向に隔壁1を挟んで交互に配置されたセル列における、流入セル2aと流出セル2bとを仕切る部位16を挙げることができる。また、2つの流入セル2a間の交点部15における隔壁1の気孔率の値を、単に「気孔率B」ということがある。「2つの流入セル2a間の交点部15」は、例えば、セル2の形状が四角形の場合は、「2つ以上の流入セル2aの互いの断面形状の頂点が向かい合うような部位」となる。このため、「2つの流入セル2a間の交点部15」において、3つ又はそれ以上の流入セル2aが互いに向き合って配置されていてもよい。また、上述した「流入セル2aの断面形状の頂点」については、該当する断面形状の頂点に相当する部位が、丸みを帯びて形成されていてもよいし、直線状に面取りされていてもよい。なお、後述する
図5に示すハニカム構造体200のように、四角形のセル22と八角形のセル22とが一のセル列において隔壁21を挟んで交互に配置されている場合には、八角形のセル22は、面取りされた四角形のセル22として扱うことができる。
【0030】
本発明において、隔壁1の気孔率A及び気孔率Bのそれぞれは、以下の方法によって求める値とする。まず、ハニカムフィルタ100から、気孔率A及び気孔率Bの測定を行ための試料片の切り出しを行う。それぞれの試料片の切り出し箇所については、ハニカムフィルタ100の流入端面11側及び流出端面12側のそれぞれにおいて、各5箇所ずつ、合計10箇所とする。それぞれの端面における切り出し箇所は、それぞれの端面の中心位置を、1箇所目の切り出し箇所とする。そして、それぞれの端面において、この中心位置を通過し互いに直交するX軸及びY軸上の、中心位置とハニカムフィルタ100の外周縁との中間点である4点を、残りの4箇所の切り出し箇所とする。
【0031】
気孔率Aを測定するための試料片は、上述した10箇所のそれぞれにおいて、流入セル2aと流出セル2bとを仕切る隔壁1の中央部分の隔壁1を含むようにして切り出す。気孔率Aを測定するための試料片は、一辺の長さを、上述した中央部分の隔壁1の厚さとし、もう一辺の長さを、各端面における隔壁1の延びる方向に100μmとし、更にもう一辺の長さを、セル2の延びる方向に20mmとする。
【0032】
気孔率Bを測定するための試料片は、上述した10箇所のそれぞれにおいて、隔壁1の交点部15の中心部を含むように切り出す。気孔率Bを測定するための試料片は、隔壁1の交点部15の中心部を中心とした一辺の長さが100μmの正方形を端面とし、軸方向の長さをセル2の延びる方向に20mmとする。
【0033】
このようにしてハニカムフィルタ100から切り出して作製した試料片を、エポキシ樹脂に埋設して固めた後、その表面について研磨を行う。そして、各試料片を全長方向に5mm切り出し、その切断面を、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」ともいう)による観察面とする。SEMとは、「Scanning Electron Microscope」の略である。走査型電子顕微鏡としては、例えば、日立ハイテクノロジー社製の走査型電子顕微鏡「型番:S3200-N」を用いることができる。
【0034】
その後、作製した試料片の観察面を、SEMにて観察し、SEM画像を取得する。隔壁1の気孔率Aの測定に際しては、上記した10個の試料片の各観察面における隔壁1について、上記SEM画像を取得する。SEM画像は100倍に拡大して観測するものとする。また、隔壁1の気孔率Bの測定に際しては、上記した10個の試料片の各観察面における隔壁1の交点部15について、上記SEM画像を取得する。次に、画像解析ソフトを用いて、各画像について、「隔壁1の面積S1」と「細孔部分(空隙部分)の面積S2」とを算出する。そして、「計算式(1):S2/(S1+S2)」により、各画像に撮像された隔壁1の気孔率を算出する。S1及びS2の値は、各10箇所の気孔率の平均値を用いる。
【0035】
気孔率を測定するハニカムフィルタ100について、隔壁1の表面及び隔壁1の細孔の内部に、排ガス浄化用の触媒(図示せず)が担持されている場合には、触媒が担持されている部分については、隔壁1の気孔部分と見做して気孔率を求める。即ち、上述した気孔率A及び気孔率Bの測定方法において、SEM画像を撮影した後、得られたSEM画像における色情報から触媒が存在すると判断される領域に関しては、隔壁1の気孔部分として識別して気孔率を求める。
【0036】
気孔率Aを気孔率Bで除算した値であるA/Bが、0.50未満であると、隔壁1の交点部15のうち対角線上に隣接して配置された2つ以上の交点部15において、連続してクラックが発生することがあり、PMの漏れ出しを十分に抑制することが困難になる。また、上記A/Bが、0.95を超えると、流入セル2aと流出セル2bとを仕切る部位16における隔壁1にもクラックが入り易くなり、PMの漏れ出しを抑制することが困難になる。
【0037】
気孔率Aを気孔率Bで除算した値であるA/Bは、0.50~0.95であり、0.55~0.90であることが好ましい。このように構成することによって、スス等のPMの漏れ出しをより有効に抑制することが可能となる。
【0038】
気孔率Bの値については特に制限はないが、25~80%であることが好ましく、30~75%であることが更に好ましい。気孔率Bの値が25%未満であると、圧力損失上昇を引き起こすことがある。また、気孔率Bの値が80%を超えると、ハニカムフィルタ100のアイソスタティック強度(Isostatic strength)が低下してしまうことがある。また、気孔率Aの値についても特に制限はないが、例えば、15~70%であることが好ましい。
【0039】
気孔率Aと気孔率Bの相加平均が、20~75%であることが好ましく、25~70%であることが更に好ましい。気孔率Aと気孔率Bの相加平均が20%未満であると、圧力損失上昇を引き起こすことがある。また、気孔率Aと気孔率Bの相加平均が75%を超えると、ハニカムフィルタ100のアイソスタティック強度が低下してしまうことがある。
【0040】
ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に直交する断面における、各セル2の形状(以下、単に「セル形状」ともいう)については特に制限はない。例えば、流入セル2aの形状については、四角形、六角形、又は八角形であることが好ましい。また、流出セル2bの形状については、四角形、又は六角形であることが好ましい。また、各セル2の形状については、多角形の角部が曲線状に形成された形状、例えば、四角形の角部が曲線状に形成された略四角形、であってもよい。
【0041】
隔壁1の厚さが、100~450μmであることが好ましく、120~430μmであることが更に好ましく、140~400μmであることが特に好ましい。隔壁1の厚さが、100μm未満であると、ハニカムフィルタ100のアイソスタティック強度が低下してしまうことがある。隔壁1の厚さが、450μmを超えると、圧力損失が増大し、エンジンの出力低下や燃費の悪化を引き起こすことがある。隔壁1の厚さは、ハニカムフィルタ100の軸方向に直交する断面を光学顕微鏡により観察する方法で測定した値である。
【0042】
ハニカムフィルタ100の全体形状については、特に制限はない。例えば、
図1~
図4に示すハニカムフィルタ100の全体形状は、流入端面11及び流出端面12が円形の円柱状である。その他、例えば、ハニカムフィルタ100の全体形状としては、流入端面及び流出端面が、楕円形やレーストラック(Racetrack)形や長円形等の略円形の柱状であってもよい。また、ハニカムフィルタ100の全体形状としては、流入端面11及び流出端面12が、四角形や六角形等の多角形の角柱状であってもよい。
【0043】
隔壁1を構成する材料に特に制限はないが、強度、耐熱性、耐久性等の観点から、主成分は、酸化物又は非酸化物の各種セラミックや金属等であることが好ましい。具体的には、例えば、セラミックとしては、コージェライト、ムライト(Mullite)、アルミナ、スピネル(Spinel)、炭化珪素、窒化珪素、及びチタン酸アルミニウム等が考えられる。金属としては、Fe-Cr-Al系金属、及び金属珪素等が考えられる。これらの材料の中から選ばれた1種又は2種以上を主成分とすることが好ましい。高強度、高耐熱性等の観点から、アルミナ、ムライト、チタン酸アルミニウム、コージェライト、炭化珪素、及び窒化珪素から構成された群より選ばれた1種又は2種以上を主成分とすることが特に好ましい。また、高熱伝導率や高耐熱性等の観点からは、炭化珪素、又は珪素-炭化珪素複合材料が特に適している。ここで、「主成分」とは、隔壁1の50質量%以上を構成する成分のことを意味する。上記成分は、隔壁1を構成する材料中に70質量%以上含まれることが好ましく、80質量%以上含まれることが更に好ましい。
【0044】
目封止部5の材質は、隔壁の材質として好ましいとされた材質であることが好ましい。目封止部5の材質と隔壁1の材質とは、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
【0045】
本実施形態のハニカムフィルタ100は、ハニカム構造部4の隔壁1の表面及び隔壁1の細孔のうちの少なくとも一方に、排ガス浄化用の触媒が担持されていてもよい。このように構成することによって、排ガス中のCOやNOxやHCなどを触媒反応によって無害な物質にすることができる。また、隔壁1に捕集したススの酸化を促進させることができる。
【0046】
本実施形態のハニカムフィルタ100に触媒を担持する場合には、触媒は、SCR触媒、NOx吸蔵触媒、及び酸化触媒から構成される群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。SCR触媒は、被浄化成分を選択還元する触媒である。特に、SCR触媒が、排ガス中のNOxを選択還元するNOx選択還元用SCR触媒であることが好ましい。また、SCR触媒としては、金属置換されたゼオライトを挙げることができる。ゼオライトを金属置換する金属としては、鉄(Fe)、銅(Cu)を挙げることができる。ゼオライトとしては、ベータゼオライトを好適例として挙げることができる。また、SCR触媒が、バナジウム、及びチタニアから構成される群より選択される少なくとも1種を主たる成分として含有する触媒であってもよい。NOx吸蔵触媒としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属等を挙げることができる。アルカリ金属としては、カリウム、ナトリウム、リチウム等を挙げることができる。アルカリ土類金属としては、カルシウムなどを挙げることができる。酸化触媒としては、貴金属を含有するものを挙げることができる。酸化触媒として、具体的には、白金、パラジウム及びロジウムから構成される群より選択される少なくとも一種を含有するものが好ましい。
【0047】
(2)ハニカムフィルタ(第二実施形態~第六実施形態):
次に、本発明のハニカムフィルタの第二実施形態~第六実施形態について、
図5~
図10を参照しつつ説明する。ここで、
図5は、本発明のハニカムフィルタの第二実施形態を模式的に示す、流入端面の一部を拡大した拡大平面図である。
図6は、本発明のハニカムフィルタの第三実施形態を模式的に示す、流入端面の一部を拡大した拡大平面図である。
図7は、本発明のハニカムフィルタの第二実施形態を模式的に示す、流入端面の一部を示す平面図である。
図8は、本発明のハニカムフィルタの第四実施形態を模式的に示す、流入端面の一部を示す平面図である。
図9は、本発明のハニカムフィルタの第五実施形態を模式的に示す流入端面側から見た斜視図である。
図10は、本発明のハニカムフィルタの第六実施形態の流入端面を模式的に示す平面図である。
【0048】
図5及び
図7に示すように、本発明のハニカムフィルタの第二実施形態は、多孔質の隔壁21を有するハニカム構造部24と、ハニカム構造部24に形成されたセル22のいずれか一方の端部に配設された目封止部25と、を備えたハニカムフィルタ200である。ハニカム構造部24は、当該ハニカム構造部24のセル22の延びる方向に直交する断面において、流入セル22aと流出セル22bとが一の方向に隔壁21を挟んで交互に配置されたセル列を少なくとも含む。
【0049】
第二実施形態のハニカムフィルタ200は、流入セル22aの形状が「八角形」となり、流出セル22bの形状が「四角形」となっている。八角形の流入セル22aは、四角形の流出セル22bよりも、相対的にその断面積が大きくなっている。また、流入セル22aと流出セル22bとを仕切る部位36における隔壁21の気孔率の値をAとし、2つの流入セル22a間の交点部35における隔壁21の気孔率の値をBとした場合、A/Bの値が、0.5~0.95である。このように構成された第二実施形態のハニカムフィルタ200も、これまでに説明した第一実施形態のハニカムフィルタ100(
図1~
図4参照)と同様の作用効果を得ることができる。第二実施形態のハニカムフィルタ200は、流入セル22a及び流出セル22bの形状が異なること以外は、第一実施形態のハニカムフィルタ100(
図1~
図4参照)と同様に構成されていることが好ましい。なお、四角形のセル22と八角形のセル22とが一のセル列において隔壁21を挟んで交互に配置されている場合には、八角形のセル22は、面取りされた四角形のセル22として扱うこともできる。
【0050】
ハニカムフィルタ200は、流入セル22aの断面積が、流出セル22bの断面積に比して相対的に大きくなっているため、ハニカムフィルタ200に仮にクラックが発生したとしても、スス等のPMの漏れ出しをより有効に抑制することができる。即ち、ハニカムフィルタ200にクラックが発生してしまうような状況においても、PMの漏れ出しに対してより影響を受け難い「流入セル22a同士を区画する部位である交点部35」において、より優先的にクラックを発生させることができる。したがって、「流入セル22aと流出セル22bとを仕切る部位36」において、流入セル22aと流出セル22bとを繋ぐようなクラックを発生し難くすることができる。
【0051】
ハニカムフィルタ200のように、1つの流入セル22aの開口面積S1が、1つの流出セル22bの開口面積S2よりも大である場合、開口面積S1に対する開口面積S2の比の値(S2/S1)が、0.20~0.95であることが好ましく、0.30~0.90であることが更に好ましい。このように構成することによって、交点部35において、流入セル22aと流出セル22bとを連絡するようなクラックの発生を極めて有効に抑制することができる。
【0052】
図6に示すように、本発明のハニカムフィルタの第三実施形態は、多孔質の隔壁41を有するハニカム構造部44と、ハニカム構造部44に形成されたセル42のいずれか一方の端部に配設された目封止部45と、を備えたハニカムフィルタ300である。ハニカム構造部44は、当該ハニカム構造部44のセル42の延びる方向に直交する断面において、流入セル42aと流出セル42bとが一の方向に隔壁41を挟んで交互に配置されたセル列を少なくとも含む。
【0053】
第三実施形態のハニカムフィルタ300は、流入セル42aの形状が「各頂点が丸みを帯びた四角形」となり、流出セル42bの形状が「四角形」となっている。流入セル42aは、流出セル42bよりも、相対的にその断面積が大きくなっている。また、流入セル42aと流出セル42bとを仕切る部位56における隔壁41の気孔率の値をAとし、2つの流入セル42a間の交点部55における隔壁41の気孔率の値をBとした場合、A/Bの値が、0.5~0.95である。このように構成された第三実施形態のハニカムフィルタ300も、これまでに説明した第一実施形態のハニカムフィルタ100(
図1~
図4参照)と同様の作用効果を得ることができる。第三実施形態のハニカムフィルタ300は、流入セル42a及び流出セル42bの形状が異なること以外は、第一実施形態のハニカムフィルタ100(
図1~
図4参照)と同様に構成されていることが好ましい。
【0054】
図8に示すように、本発明のハニカムフィルタの第四実施形態は、多孔質の隔壁61を有するハニカム構造部64と、ハニカム構造部64に形成されたセル62のいずれか一方の端部に配設された目封止部65と、を備えたハニカムフィルタ400である。ハニカム構造部64は、当該ハニカム構造部64のセル62の延びる方向に直交する断面において、流入セル62aと流出セル62bとが一の方向に隔壁61を挟んで交互に配置されたセル列を少なくとも含む。
【0055】
第四実施形態のハニカムフィルタ400は、流入セル62a及び流出セル62bのそれぞれの形状が「六角形」となっている。そして、流入セル62aと流出セル62bとを仕切る部位76における隔壁61の気孔率の値をAとし、2つの流入セル62a間の交点部75における隔壁61の気孔率の値をBとした場合、A/Bの値が、0.5~0.95である。このように構成された第四実施形態のハニカムフィルタ400も、これまでに説明した第一実施形態のハニカムフィルタ100(
図1~
図4参照)と同様の作用効果を得ることができる。第四実施形態のハニカムフィルタ400は、流入セル62a及び流出セル62bの形状が異なること以外は、第一実施形態のハニカムフィルタ100(
図1~
図4参照)と同様に構成されていることが好ましい。
【0056】
セル62の形状が六角形の場合には、「2つの流入セル62a間の交点部75」として、「2つの流入セル62aと1つの流出セル62b間に存在する交点部75」と、「3つの流入セル62a間に存在する交点部75」との2種類の交点部75が存在する。本実施形態のハニカムフィルタ400においては、上述した2種類の交点部75の何れか一方の交点部75における気孔率の値を、気孔率Bとした場合に、A/Bが、0.50~0.95であればよい。なお、3つの流入セル62a間に存在する交点部75における気孔率の値を、気孔率Bとした場合に、A/Bが、0.50~0.95であることがより好ましい。
【0057】
図9に示すように、本発明のハニカムフィルタの第五実施形態は、ハニカム構造部84と、ハニカム構造部84に形成されたセル82のいずれか一方の端部に配設された目封止部85と、を備えたハニカムフィルタ500である。特に、ハニカムフィルタ500においては、それぞれのハニカム構造部84が、柱状のハニカムセグメント86によって構成され、複数個のハニカムセグメント86の互いの側面同士が接合層87によって接合されている。即ち、本実施形態のハニカムフィルタ500においては、セグメント構造のハニカムフィルタを構成する個々のハニカムセグメント86のそれぞれが、ハニカムフィルタ500におけるハニカム構造部84となっている。ここで、「セグメント構造のハニカムフィルタ」とは、個々に作製された複数個のハニカムセグメント86が接合されることによって構成されたハニカムフィルタのことである。なお、
図1~
図4に示すような、ハニカム構造部4の隔壁1が全て一体的に形成されているようなハニカムフィルタ100を、「一体型のハニカムフィルタ」ということがある。本発明のハニカムフィルタにおいては、「セグメント構造のハニカムフィルタ」であってもよいし、「一体型のハニカムフィルタ」であってもよい。
【0058】
ハニカムフィルタ500においては、少なくとも1つのハニカムセグメント86が、これまでに説明した第一実施形態のハニカムフィルタのハニカム構造部と同様に構成されていることが好ましい。このようなハニカムフィルタ500であっても、これまでに説明した第一実施形態のハニカムフィルタと同様の作用効果を得ることができる。複数個のハニカムセグメント86は、それぞれ同じセル構造を有するものであってもよいし、それぞれ異なるセル構造を有するものであってもよい。
【0059】
ハニカムフィルタ500における外周壁83は、外周コート材によって形成された外周コート層であることが好ましい。外周コート材は、複数個のハニカムセグメント86を接合した接合体の外周に塗工して、外周コート層を形成するためのコート材である。また、複数個のハニカムセグメント86を接合した接合体は、当該接合体に対して、その外周部分を研削加工し、上述した外周コート層を配設したものであることが好ましい。また、
図1~
図4に示すような一体型のハニカムフィルタ100についても、ハニカム構造部4の外周に配設された外周壁3が、上記したような、外周コート材によって形成された外周コート層であってもよい。
【0060】
図9に示すハニカムフィルタ500においては、セル82(即ち、流入セル82a及び流出セル82b)の形状が四角形となっている。ただし、各ハニカムセグメント86における各セル82の形状について四角形に限定されることはなく、これまでに説明した第一実施形態~第四実施形態のハニカムフィルタにおけるセルの形状を採用することができる。
【0061】
図10に示すように、本発明のハニカムフィルタの第六実施形態は、ハニカム構造部4と、ハニカム構造部4に形成されたセル2のいずれか一方の端部に配設された目封止部5と、を備えたハニカムフィルタ600である。特に、ハニカムフィルタ600においては、ハニカムフィルタ600の全体形状が、端面が楕円形の柱状となっている。即ち、
図10に示すように、流入端面11の形状が、楕円形となっている。ハニカムフィルタ600の全体形状が異なること以外は、第一実施形態のハニカムフィルタ100(
図1~
図4参照)と同様に構成されていることが好ましい。
【0062】
図10に示すハニカムフィルタ600においては、セル2(即ち、流入セル2a及び流出セル2b)の形状が四角形となっている。ただし、セル2の形状について四角形に限定されることはなく、これまでに説明した第一実施形態~第四実施形態のハニカムフィルタにおけるセルの形状を採用することができる。
【0063】
(3)ハニカムフィルタの製造方法:
次に、本発明のハニカムフィルタを製造する方法について説明する。本発明のハニカムフィルタの製造方法としては、ハニカム成形体を作製する工程、セルの開口部に目封止部を形成する工程、ハニカム成形体を乾燥及び焼成する工程、を備えたものを挙げることができる。
【0064】
(3-1)成形工程:
成形工程は、成形原料を混練して得られる坏土をハニカム形状に押出成形してハニカム成形体を得る工程である。ハニカム成形体は、第一端面から第二端面まで延びるセルを区画形成する隔壁、及びこの隔壁の最外周を囲繞するように形成された外周壁を有するものである。隔壁によって構成されたハニカム構造の部分が、ハニカム構造部となる。成形工程においては、まず、成形原料を混練して坏土とする。次に、得られた坏土を押出成形して、隔壁と外周壁とが一体的に成形されたハニカム成形体を得る。
【0065】
成形原料は、セラミック原料に分散媒及び添加剤を加えたものであることが好ましい。添加剤としては、有機バインダ、造孔材、界面活性剤等を挙げることができる。分散媒としては、水等を挙げることができる。成形原料としては、従来公知のハニカムフィルタの製造方法において使用される成形原料と同様のものを用いることができる。
【0066】
成形原料を混練して坏土を形成する方法としては、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。
【0067】
押出成形は、ハニカム成形体の断面形状に対応したスリットが形成された押出成形用の口金を用いて行うことができる。例えば、押出成形用の口金としては、これまでに説明した第一実施形態~第四実施形態のハニカムフィルタにおけるセルの形状に対応したスリットが形成された口金を用いることが好ましい。
【0068】
ここで、押出成形においては、成形時の押出速度を上げて、押出圧力を高くすることが好ましい。このような方法で押出成形を行うことにより、「流入セルと流出セルとを仕切る部位における隔壁」を、その他の部位に比して緻密することができる。即ち、得られるハニカムフィルタにおいて、「2つの流入セル間の交点部における隔壁の気孔率B」を相対的に高くすることができる。これにより、流入セルと流出セルとを仕切る部位における隔壁の気孔率Aを、2つの流入セル間の交点部における隔壁の気孔率Bで除算した値であるA/Bを、0.5~0.95の数値範囲に調整することができる。
【0069】
(3-2)目封止工程:
目封止工程は、セルの開口部を目封止することで目封止部を形成する工程である。例えば、目封止工程においては、ハニカム成形体の製造に用いた材料と同様の材料で、セルの開口部を目封止することで目封止部を形成する。目封止部を形成する方法については、従来公知のハニカムフィルタの製造方法に準じて行うことができる。
【0070】
(3-3)焼成工程:
焼成工程は、目封止部を形成したハニカム成形体を焼成して、ハニカムフィルタを得る工程である。目封止部を形成したハニカム成形体を焼成する前に、得られたハニカム成形体を、例えば、マイクロ波及び熱風で乾燥してもよい。また、例えば、目封止部を形成する前のハニカム成形体に対して、先に、焼成工程を行って、焼成工程によって得られたハニカム焼成体に対して、上述した目封止工程を行ってもよい。
【0071】
ハニカム成形体を焼成する際の焼成温度は、ハニカム成形体の材質によって適宜決定することができる。例えば、ハニカム成形体の材質がコージェライトの場合、焼成温度は、1380~1450℃が好ましく、1400~1440℃が更に好ましい。また、焼成時間は、最高温度でのキープ時間として4~6時間程度とすることが好ましい。
【実施例】
【0072】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0073】
(実施例1)
コージェライト化原料100質量部に、造孔材を0.5質量部、分散媒を33質量部、有機バインダを5.6質量部、それぞれ添加し、混合、混練して坏土を調製した。コージェライト化原料としては、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、及びシリカを使用した。分散媒としては水を使用し、造孔材としては平均粒子径10~50μmの吸水性ポリマーを使用し、有機バインダとしてはメチルセルロース(Methylcellulose)を使用し、分散剤としてはデキストリン(Dextrin)を使用した。
【0074】
次に、所定の金型を用いて坏土を押出成形し、セル形状が四角形で、全体形状が円柱状のハニカム成形体を得た。なお、押出成形時においては、ハニカム成形体の断面形状に対応したスリットが形成された押出成形用の口金を用い、押出成形においては、後述する比較例1における押出成形と比較して押出速度を上げて、押出圧力を高くして成形を行った。
【0075】
次に、ハニカム成形体を、熱風乾燥機にて乾燥させた。乾燥時の雰囲気温度は、95~145℃とした。
【0076】
次に、乾燥したハニカム成形体に、目封止部を形成した。具体的には、まず、ハニカム成形体の流入端面に、流入セルが覆われるようにマスクを施した。その後、マスクの施されたハニカム成形体の端部を、目封止スラリーに浸漬し、マスクが施されていない流出セルの開口部に目封止スラリーを充填した。その後、ハニカム成形体の流出端面についても、上記と同様の方法で、流入セルの開口部に目封止スラリーを充填した。その後、目封止部を形成したハニカム成形体を、更に、熱風乾燥機で乾燥した。
【0077】
次に、乾燥させたハニカム成形体を焼成して、ハニカム焼成体を作製した。焼成時の雰囲気温度は、1350~1440℃とし、焼成時間は、10時間とした。
【0078】
次に、ハニカム焼成体の外周部分に配設された壁材を、研削加工によって取り除き、その外周部分に対して外周コート材を塗工し、外周コート材からなる外周壁を作製した。外周コート材としては、セラミック粒子として、平均粒子径が20~50μm、90%粒子径が150μm以下であるコージェライト粒子を用意し、コロイダルシリカ、アルミナファイバー、水と混合して調製したセラミックスラリーを用いた。ハニカムフィルタの外周壁を、上述したようなに外周コート材を用いて形成したハニカムフィルタについて、表1の「外周壁の形成方法」の欄において、「外周加工」と記す。一方、押出成形によって得られたハニカム成形体の外周部分を、そのまま外周壁として用いたハニカムフィルタを、表1の「外周壁の形成方法」の欄において、「一体」と記す。
【0079】
実施例1のハニカムフィルタは、隔壁の厚さが300μmであり、セル密度が46.5個/cm2であった。ハニカムフィルタのセルの延びる方向に直交する断面におけるセル形状は、四角形であった。表1の「セル構造」の欄に、隔壁の厚さ、セル密度、セル形状を示す。
【0080】
実施例1のハニカムフィルタは、軸方向に直交する断面の形状が円形であり、ハニカム構造部において、
図3に示すように、流入セル2aと流出セル2bとが隔壁1を挟んで交互に配列したセル列を有するものであった。実施例1のハニカムフィルタの形状を、表1の「断面形状」、「直径」、「全長」の欄に示す。
【0081】
実施例1のハニカムフィルタについて、以下の方法で、「流入セルと流出セルとを仕切る部位における隔壁の気孔率A」と、「2つの流入セル間の交点部における隔壁の気孔率B」と、を測定した。また、気孔率A及び気孔率Bの値から、平均気孔率、及び気孔率比を求めた。平均気孔率は、気孔率Aと気孔率Bの相加平均の値(即ち、(A+B)/2)である。気孔率比は、気孔率Bに対する気孔率Aの値(即ち、A/B)である。それぞれの結果を、表2に示す。
【0082】
[気孔率の測定方法]
まず、ハニカムフィルタから、気孔率A及び気孔率Bの測定を行ための試料片を切り出した。試料片の切り出し箇所については、ハニカムフィルタの流入端面側及び流出端面側のそれぞれにおいて、各5箇所ずつ、合計10箇所とした。それぞれの端面における切り出し箇所は、それぞれの端面の中心位置(1箇所目)と、この中心位置を通過し互いに直交するX軸及びY軸上の、中心位置とハニカムフィルタの外周縁との中間点である4点(2~5箇所目)とした。気孔率Aを測定するための試料片は、上述した10箇所のそれぞれにおいて、流入セルと流出セルとを仕切る隔壁の中央部分の隔壁を含むようにして切り出した。気孔率Aを測定するための試料片は、一辺の長さを、上述した中央部分の隔壁の厚さとし、もう一辺の長さを、各端面における隔壁の延びる方向に100μmとし、更にもう一辺の長さを、セルの延びる方向に20mmとした。気孔率Bを測定するための試料片は、上述した10箇所のそれぞれにおいて、隔壁の交点部の中心部を含むように切り出した。気孔率Bを測定するための試料片は、隔壁の交点部の中心部を中心とした一辺の長さが100μmの正方形を端面とし、軸方向の長さをセルの延びる方向に20mmとした。次に、作製した試料片を、エポキシ樹脂に埋設して固めた後、その表面について研磨を行った。そして、各試料片を全長方向に5mm切り出し、その切断面をSEMにて観察して、SEM画像を取得した。走査型電子顕微鏡は、日立ハイテクノロジー社製の「型番:S3200-N」を用いた。気孔率Aの測定に際しては、10個の試料片の各観察面における隔壁の中央部分について、100倍に拡大したSEM画像を取得した。また、気孔率Bの測定に際しては、上記した10個の試料片の各観察面における隔壁の交点部について、100倍に拡大したSEM画像を取得した。その後、画像解析ソフトを用いて、各画像について、「隔壁の面積S1」と「細孔部分(空隙部分)の面積S2」とを算出し、「計算式(1):S2/(S1+S2)」により、各画像に撮像された隔壁の気孔率を算出した。S1及びS2の値は、各10箇所の気孔率の平均値を用いた。
【0083】
【0084】
【0085】
(実施例2~30)
セル構造、断面形状、外周壁の形成方法、並びに隔壁の気孔率A及び気孔率Bを、表1及び表2に示すように変更し、実施例2~30のハニカムフィルタを作製した。実施例3,4,7,8,15~18,23,24,29,30については、セルの形状を、
図5に示すような形状とした。即ち、上述した実施例については、流入セルの形状を八角形とし、流出セルの形状を四角形とした。また、実施例7,8については、ハニカムフィルタの断面形状を、
図10に示すような楕円形とした。また、実施例13,14,17,18については、外周コート材による外周壁の形成を行わず、押出成形によって得られたハニカム成形体の外周部分を外周壁として用いた。
【0086】
実施例27~30については、ハニカムフィルタを作製する材料として、炭化珪素(SiC)を用いた。実施例27~30のハニカムフィルタは、セグメント構造のハニカムフィルタである。
【0087】
実施例2~30のハニカムフィルタの作製時には、押出成形時における押出圧力についての調整を行い、隔壁の気孔率A及び気孔率Bの値についての調節を行った。
【0088】
実施例1~30のハニカムフィルタについて、以下の示す方法で、「耐熱衝撃性(ロバスト性:Robustness)」についての評価を行った。結果を表3に示す。
【0089】
[耐熱衝撃性(ロバスト性)]
耐熱衝撃性の評価として、ハニカムフィルタに以下に記載する試験を行い、試験後のハニカムフィルタにおけるクラックの発生の有無により、ハニカムフィルタのロバスト性を評価するものとした。具体的には、まず、各実施例及び比較例のハニカムフィルタの内部に、2~12g/Lのススを堆積させた。ススの堆積については、2.2Lディーゼルエンジンを搭載するエンジンベンチにて行った。エンジンベンチの運転条件については、エンジン回転数を2000rpmとし、エンジントルクを60Nmとした。その後、ポストインジェクションによる再生処理を行い、ハニカムフィルタの入口ガス温度を上昇させ、ハニカムフィルタの前後での圧力損失が低下し始めたところでポストインジェクションを切り、エンジンをアイドル状態に切り替えた。このときのススの堆積量は、実施例の各水準において、流出端面の中央部における最高温度が1000℃となるようにし、実施例と比較例の同じ番号で、ススの堆積量が同一となる条件で試験を実施した。そして、ハニカムフィルタの「流入セルと流出セルとを仕切る部位の隔壁」及び「交点部」のそれぞれについて、クラックの有無を目視にて観察した。クラックの有無の確認については、上述した試験において、最も温度が高くなる流出端面の全箇所について確認を行った。そして、以下の評価基準に基づき、耐熱衝撃性の評価を行った。結果を表3に示す。
評価A:クラックが確認されない。
評価B:クラックが1カ所有り。
評価C:クラックが2カ所以上で連続して有り。
【0090】
また、耐熱衝撃性の評価においては、上記した2カ所での評価結果に基づいて、以下の方法で、総合判定を行った。結果を表3に示す。なお、この総合判定においては、評価Aを合格とし、評価B及び評価Cについては不合格とする。
評価A:スス漏れが無く、且つクラックが1カ所以下。
評価B:スス漏れが無いが、クラックが2カ所以上で連続して有り。
評価C:スス漏れが有り。
【0091】
【0092】
(比較例1~30)
セル構造、断面形状、外周壁の形成方法、並びに隔壁の気孔率A及び気孔率Bを、表4及び表5に示すように変更し、比較例1~30のハニカムフィルタを作製した。比較例1~30のハニカムフィルタについても、実施例1と同様の方法で、「耐熱衝撃性(ロバスト性)」についての評価を行った。結果を表6に示す。
【0093】
比較例3,4,7,8,15~18,23,24,29,30については、セルの形状を、
図5に示すような形状とした。また、比較例7,8については、ハニカムフィルタの断面形状を、
図10に示すような楕円形とした。また、比較例13,14,17,18については、外周コート材による外周壁の形成を行わず、押出成形によって得られたハニカム成形体の外周部分を外周壁として用いた。比較例27~30については、ハニカムフィルタを作製する材料として、炭化珪素(SiC)を用いた。比較例27~30のハニカムフィルタは、セグメント構造のハニカムフィルタである。なお、比較例1~30のハニカムフィルタは、気孔率A及び気孔率Bの値が異なること以外は、対応する番号の実施例1~30と同一構造のハニカムフィルタである。
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
(結果)
実施例1~30のハニカムフィルタは、耐熱衝撃性の総合判定において、合格基準を満たす「評価A」の結果を得ることができた。特に、実施例1~30のハニカムフィルタは、「流入セルと流出セルとを仕切る部位(別言すれば、隔壁の実質的な壁部分)」において、クラックが全く確認されなかった。なお、「流入セル間の交点部」については、クラックが1カ所で確認されたが、このクラックはスス漏れに対して影響を受けないものであるため、このようなクラックが発生したとしても、ハニカムフィルタの性能については影響が無いものと考えられる。したがって、実施例1~30のハニカムフィルタは、スス等の粒子状物質の漏れ出しを有効に抑制することが可能なものであった。
【0098】
比較例1~30のハニカムフィルタは、耐熱衝撃性の総合判定において、不合格となる「評価B」又は「評価C」の結果となった。特に、「流入セルと流出セルとを仕切る部位」において、クラックが確認されたハニカムフィルタについては、ハニカムフィルタからのスス漏れが確認された。また、「交点部」において、2カ所以上で連続してクラックが確認されたハニカムフィルタについては、構造上の機械的強度が低下するという点で好ましくないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明のハニカムフィルタは、排ガス中の粒子状物質を捕集するためのフィルタとして利用することができる。
【符号の説明】
【0100】
1,21,41,61,81:隔壁、2,22,42,62,82:セル、2a,22a,42a,62a,82a:流入セル、2b,22b,42b,62b,82b:流出セル、3,83:外周壁、4,24,44,64,84:ハニカム構造部、5,25,45,65,85:目封止部、11,31,51,71,91:流入端面、12,92:流出端面、15,35,55,75:流入セル間の交点部、16,36,56,76:流入セルと流出セルとを仕切る部位、86:ハニカムセグメント、87:接合層、100,200,300,400,500,600:ハニカムフィルタ。