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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】カーテンウォール
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/96 20060101AFI20220624BHJP
   E06B 1/12 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
E04B2/96
E06B1/12 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018196286
(22)【出願日】2018-10-18
(65)【公開番号】P2020063607
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】堀 剛文
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 浩
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 要
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-250963(JP,A)
【文献】特開2018-155032(JP,A)
【文献】実開平05-057140(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/88-2/96
E06B 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方立と外側ガラス保持部材と外側ガラスと、外側ガラスと別体の内側ガラスとを備え、方立は、室外側に内側ガラス保持部を有し、内側ガラス保持部に内側ガラスが保持してあるか又は内側ガラス保持部に内側ガラスを有する開閉障子が保持してあり、外側ガラス保持部材は、方立の室外側に取付けてあり、外側ガラス保持部材に外側ガラスが保持してあることを特徴とするカーテンウォール。
【請求項2】
方立と外側ガラス保持部材と内側ガラス保持部材と外側ガラスと、外側ガラスと別体の内側ガラスとを備え、内側ガラス保持部材は、方立の室外側に取付けてあり、内側ガラス保持部材に内側ガラスが保持してあるか又は内側ガラス保持部材に内側ガラスを有する開閉障子が保持してあり、外側ガラス保持部材は、内側ガラス保持部材の室外側に取付けてあり、外側ガラス保持部材に外側ガラスが保持してあることを特徴とするカーテンウォール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンウォールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上下の床の間に方立を架け渡し、方立にガラスを嵌め込んだカーテンウォールが知られている。かかる従来のカーテンウォールは、ガラスを複層ガラスにすることで、断熱性の向上をしている(例えば、特許文献1参照)が、より一層の断熱性の向上が求められた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-25591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、断熱性が向上したカーテンウォールの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明によるカーテンウォールは、方立と外側ガラス保持部材と外側ガラスと、外側ガラスと別体の内側ガラスとを備え、方立は、室外側に内側ガラス保持部を有し、内側ガラス保持部に内側ガラスが保持してあるか又は内側ガラス保持部に内側ガラスを有する開閉障子が保持してあり、外側ガラス保持部材は、方立の室外側に取付けてあり、外側ガラス保持部材に外側ガラスが保持してあることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明によるカーテンウォールは、方立と外側ガラス保持部材と内側ガラス保持部材と外側ガラスと、外側ガラスと別体の内側ガラスとを備え、内側ガラス保持部材は、方立の室外側に取付けてあり、内側ガラス保持部材に内側ガラスが保持してあるか又は内側ガラス保持部材に内側ガラスを有する開閉障子が保持してあり、外側ガラス保持部材は、内側ガラス保持部材の室外側に取付けてあり、外側ガラス保持部材に外側ガラスが保持してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によるカーテンウォールは、外側ガラスと、外側ガラスと別体の内側ガラスの二重構造になっているため、断熱性が向上する。内側ガラスが方立の室外側に設けた内側ガラス保持部に位置するため、室内に圧迫感を与えない。
【0008】
請求項2記載の発明によるカーテンウォールは、外側ガラスと、外側ガラスと別体の内側ガラスの二重構造になっているため、断熱性が向上する。内側ガラスが方立より室外側に位置するため、室内に圧迫感を与えない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図3のA-A断面図である。
図2図3のB-B断面図である。
図3】(a)は本発明に係るカーテンウォールの第1実施形態を示す室外側正面図であり、(b)は同カーテンウォールの縦断面図である。
図4】本発明のカーテンウォールの第2実施形態を示す横断面図である。
図5】本発明のカーテンウォールの第2実施形態を示す縦断面図である。
図6】本発明のカーテンウォールの第3実施形態を示す横断面図である。
図7】本発明のカーテンウォールの第3実施形態を示す縦断面図である。
図8】本発明のカーテンウォールの参考例(内側ガラス保持部材を省いた状態)を示す横断面図である。
図9】本発明のカーテンウォールの参考例(内側ガラス保持部材を省いた状態)を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1~3は、本発明に係るカーテンウォールの第1実施形態を示している。本カーテンウォールは、ビルの外壁を成すものであって、図3に示すように、建物の躯体8に固定して方立1,1,…が左右方向に一定の間隔をあけて設けてあり、方立1,1,…間に無目9,10,…が架設してあり、方立1,1,…と無目9,10,…とで区画される開口部のうち、各階の床11から天井ま12での範囲のビジョン部13にあたる開口部には、外側ガラス3と内側ガラス4が室内外方向に間隔をあけて取付けてあり、天井12から上階の床11までの範囲のスパンドレル部14にあたる開口部には、ガラス(複層ガラス)15と耐火ボード16が室内外方向に間隔をあけて取付けてある。
【0011】
方立1は、アルミ合金の押出形材よりなり、図1に示すように、矩形中空断面の本体部17と、本体部17の室外側に設けた内側ガラス保持部5を一体に有している。内側ガラス保持部5は、左右両側が開口した内側ガラス保持溝18,18を有し、内側ガラス保持溝18,18に内側ガラス4の側端部がビード19,20を介して保持してある。
【0012】
方立1の室外側には、外側ガラス保持部材5が取付けてある。外側ガラス保持部材5は、内側ガラス4と外側ガラス3の間に位置するベース部材21と、ベース部材21に係合取付けした略T字形断面の押縁22とからなり、ベース部材21の室外側面と押縁22の見付壁23との間に、複層ガラスよりなる外側ガラス3の側端部が保持してある。ベース部材21は、室内側面に形成した複数の爪片24a,24bを方立1の室外側面に形成した係止部25a,25bに係止した上で、ねじ26で固定してある。方立1とベース部材21との当接面には、ガスケット27が設けてある。ベース部材21の室外側面には、外側ガラス3の室内側面を受けるシール受け材28を取付け、シール受け材28の外周側にシール29を充填してある。
押縁22は、見込壁30の室内外方向中間部に樹脂製の断熱ブリッジ材31を有しており、これにより外側ガラス保持部材2は、室内外の伝熱を遮断した断熱構造としてある。さらに、断熱ブリッジ材31より室内側の形材33の断熱ブリッジ材31の付け根付近には、ゴム又は軟質樹脂よりなるヒレ片32が室外側に向けて湾曲した状態で取付けてあり、ヒレ片32の先端部は外側ガラス3の小口面に当接している。このヒレ片32により、室外の冷気が室内側のアルミ部(形材33、ベース部材21)に当たるのを防ぎ、断熱性を一層向上している。押縁22の見付壁23の先端部には、外側ガラス3の室外側面を受けるビード34が取付けてある。
【0013】
ビジョン部13の上側及び下側に位置する無目9,10は、図2に示すように、室内側部35を方立1にブラケット36で取付けてあり、室外側部に上向きに開口したガラス保持溝37と下向きに開口したガラス保持溝38が形成してあり、各ガラス保持溝37,38にビジョン部13の外側ガラス3の上下端部及びスパンドレル部14のガラス15の上下端部を保持してある。上向きに開口したガラス保持溝37には、溝に入った結露水を室外に排水するための排水経路53が設けてある。
上下のガラス保持溝37,38の間の見込壁39には、室内外方向中間部に樹脂製の断熱ブリッジ材40を有しており、これにより無目9,10は断熱構造としてある。さらに、スパンドレル部14のガラス15の室内側に位置するガスケット41と、ビジョン部13の外側ガラス3の室内側のシール29を受けるシール受け材42とにヒレ片43がそれぞれ設けてあり、各ヒレ片43の先端部が断熱ブリッジ材40の上面と下面にそれぞれ当接している。これらのヒレ片43により、室外の冷気が断熱ブリッジ材40より室内側のアルミ部に当たるのを防ぎ、断熱性を一層向上している。
また、上下のガラス保持溝37,38の間の見込壁39上には、アルミ製のピース状のガラスライナー受け部材44が設けてあり、ガラスライナー受け部材44上にガラス3,15を受けるガラスライナー45を設けている。
ビジョン部13上側の無目9の室内側部35の下面と、ビジョン部13下側の無目10の室内側部35の上面とには、内側ガラス保持部材46a,46bが取付けてあり、各内側ガラス保持部材36a,46bに内側ガラス4の上端部及び下端部が保持してある。
【0014】
次に、本カーテンウォールの施工手順を説明する。まず、躯体8に方立1,1,…を取付ける。次に、方立1の室外側に外側ガラス保持部材2のベース部材21を取付けるとともに、方立1,1,…間に無目9,10を架設する。なお、方立1を躯体8に取付ける前に、方立1に予めベース部材21を取付けてあってもよい。次に、無目9,10に内側ガラス保持部材46a,46bを取付ける。次に、ビジョン部13の外側ガラス3とスパンドレル部14のガラス15を取付ける。その後、ビジョン部13の内側ガラス4を取付ける。
【0015】
図4,5は、本発明のカーテンウォールの第2実施形態を示している。本実施形態は、方立1の室外側に内側ガラス保持部5を有し、内側ガラス保持部5に、内側ガラス4を上框47と下框48と左右の縦框49a,49bとで框組みした開閉障子6が保持してある。開閉障子6は、片方の方立1の側面に上部と下部が支持金具50で取付けてあり、支持金具50の軸51を支点に室内側に回動して開くようになっている(図4中の矢印54参照)。そうして開閉障子6を室内側に開くことで、外側ガラス3及び内側ガラス4の掃除が行える。
【0016】
以上に述べたように、第1及び第2実施形態のカーテンウォールは、ビジョン部13のガラスが外側ガラス3と内側ガラス4の二重構造になっているため、断熱性が向上する。内側ガラス4が方立1の室外側に設けた内側ガラス保持部5に位置するため、室内に圧迫感を与えない。
さらに、外側ガラス3は複層ガラスであり、外側ガラス保持部材2は断熱構造を有しているので、断熱性能がより一層向上する。
【0017】
図6,7は、本発明のカーテンウォールの第3実施形態を示している。本実施形態のカーテンウォールは、図6に示すように、方立1が矩形断面の中空状となっており、該方立1の室外側面に内側ガラス保持部材7が取付けてあり、内側ガラス保持部材7の室外側面に外側ガラス保持部材2が取付けてある。そして、内側ガラス保持部材7に内側ガラス4が保持してあり、外側ガラス保持部材2に外側ガラス3が保持してある。
内側ガラス保持部材7は、室内側面に複数の爪片24a,24bと、爪片24a,24bの間に設けたねじ止め部52を有し、複数の爪片24a,24bを方立1の室外側面に設けた係止部25a,25bに係止すると共に、ねじ止め部52を方立1にねじ26で固定して取付けてある。
外側ガラス保持部材2は、内側ガラス保持部材7と同様に、室内側面に複数の爪片24a,24bと、爪片24a,24bの間に設けたねじ止め部52を有し、複数の爪片24a,24bを内側ガラス保持部材7の室外側面に設けた係止部25a,25bに係止すると共に、ねじ止め部52を内側ガラス保持部材7にねじ26で固定して取付けてある。内側ガラス保持部材7と外側ガラス保持部材2の爪片24a,24b、係止部25a,25b及びねじ止め部52は、同じ位置・大きさで設けてあり、したがって内側ガラス保持部材7の方立1との連結部の構造と、外側ガラス保持部材2の内側ガラス保持部材7との連結部の構造は、共通している。
【0018】
本実施形態のカーテンウォールの施工手順を説明する。まず、躯体8に方立1,1,…を取付ける。次に、方立1,1,…の室外側に内側ガラス保持部材7を取付け、内側ガラス保持部材7の室外側に外側ガラス保持部材2のベース部材21を取付ける。なお、方立1を躯体8に取付ける前に、方立1に予め内側ガラス保持部材7とベース部材21を取付けてあってもよい。次に、方立1,1,…間に無目9,10を架設する。次に、無目9,10に内側ガラス保持部材46a,46bを取付ける。次に、ビジョン部13の外側ガラス3とスパンドレル部14のガラス15を取付ける。その後、ビジョン部13の内側ガラス4を取付ける。
【0019】
以上に述べたように、第3実施形態のカーテンウォールは、ビジョン部13のガラスが外側ガラス3と内側ガラス4の二重構造になっているため、断熱性が向上する。内側ガラス4が方立1より室外側に位置するため、室内に圧迫感を与えない。
さらに、外側ガラス3は複層ガラスであり、外側ガラス保持部材2は断熱構造を有しているので、断熱性能がより一層向上する。
また、内側ガラス保持部材7の方立1との連結部の構造と、外側ガラス保持部材2の内側ガラス保持部材7との連結部の構造とが共通しているため、部材の兼用化によりコストを抑えながら、ガラスが二重構造でないカーテンウォールにも対応できる。
【0020】
図8,9は、参考例であって、図6,7に示す第3実施形態のカーテンウォールから、内側ガラス保持部材7を省き、ビジョン部13のガラスを外側ガラス3のみとした場合を示している。先に述べたように、内側ガラス保持部材7の方立1との連結部の構造と、外側ガラス保持部材2の内側ガラス保持部材7との連結部の構造は共通しているため、本参考例のように外側ガラス保持部材2を方立1の室外側に取付けることができる。これにより、部材の兼用化によりコストを抑えながら、ビジョン部13のガラスが二重構造でないカーテンウォールにも対応できる。
【0021】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。第3実施形態において、内側ガラスを開閉障子とすることもできる。外側ガラス及び内側ガラスの保持構造は、適宜変更することができる。方立、内側ガラス保持部材及び外側ガラス保持部材の断面形状、互いの連結部の構造は、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 方立
2 外側ガラス保持部材
3 外側ガラス
4 内側ガラス
5 内側ガラス保持部
6 開閉障子
7 内側ガラス保持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9