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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 21/04 20060101AFI20220624BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20220624BHJP
   B60Q 1/26 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
G09F21/04 C
B60R11/02 C
B60Q1/26 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018220842
(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公開番号】P2020086141
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081433
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 章夫
(72)【発明者】
【氏名】竹田 新
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-65938(JP,A)
【文献】特表2015-505076(JP,A)
【文献】特開2012-252284(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2863378(EP,A1)
【文献】特開2019-117215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 21/04
B60R 11/02
B60Q 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体に配設されて所要の画像を表示する表示パネルを備えており、前記表示パネルは画像を低解像度で表示する低解像パネルと画像を高解像度で表示する高解像パネルで構成され、少なくとも低解像パネルを含む表示領域に表示した画像を、高解像パネルの表示領域に表示することを可能にしたことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルは表示領域の一部に高解像パネルが配設され、それ以外の領域に低解像パネルが配設されている請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
低解像パネルと高解像パネルの両表示領域にわたって表示した画像を縮小して高解像パネルの表示領域に表示することが可能である請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
低解像パネルの表示領域に表示した画像を縮小して高解像パネルの表示領域内に表示することが可能である請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
表示パネルに表示する画像を制御する表示制御手段を備えており、前記表示制御手段は、車両の周囲に存在して前記表示パネルに表示される画像を視認する視認者とその位置を検出する視認者検出手段と、前記視認者検出手段で検出した視認者の位置に応じて前記表示パネルに表示する画像を制御する画像制御手段を備え、前記画像制御手段は視認者の位置の変化に対応して表示する画像を制御する請求項1ないし4のいずれかに記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記画像制御手段は、車両と視認者との距離の違いに応じて画像の大きさを変化制御し、当該距離が所定の距離以上のときには当該画像を低解像パネルの表示領域を含む領域に表示し、当該距離が所定の距離よりも短くなったときに当該画像を高解像パネルの表示領域内に表示する請求項5に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記車両は自動運転車であり、前記表示パネルは当該自動運転車の車体に配設される請求項1ないし6のいずれかに記載の車両用表示装置。
【請求項8】
前記車両は外部に無線接続される通信機を備え、前記画像制御手段は当該通信機で受信した信号に基づいて、あるいは車両の乗員の指示に基づいて、表示する画像及びその表示形態を制御する請求項7に記載の車両用表示装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車等の車両に設けられた表示パネルを備える車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両、例えば自動車を利用して広告、宣伝を行うために、あるいは自動車の走行安全性を確保するために、自動車の車体に図柄や文字等の画像を表示する車両用表示装置が提案されている。例えば、特許文献1には、自動車のサイドミラーやリアランプにプロジェクタ(投影器)を内装し、自動車の車体パネルの外表面に画像を投影表示する技術が提案されている。また、特許文献2には、自動車の車体パネルやウインド(窓)に透過型有機ELディスプレイからなる表示パネルを配設し、この表示パネルに画像を表示する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-148678号公報
【文献】特開2016-65938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年提案されている自動運転制御の自動車(以下、自動運転車と称する)では、車体に通常設けられるウインドや照明装置を省略することが考えられるため、車体パネルやウインドを含む車体外表面に表示装置、例えば表示パネルを配設することが可能となる。これにより、自動運転車の車体外表面のほぼ全面を表示面として構成した車両用表示装置を実現することができる。
【0005】
このような車両用表示装置では、表示パネルに表示する画像の表示形態を制御することが容易であるため、自動運転車と視認者(表示した画像を見る人)との距離の違いに応じて表示する画像の大きさを制御することが考えられる。すなわち、離れた位置にいる視認者に対しては画像を大きいサイズで表示し、当該視認者車が画像を視認し易くする。このように、大きいサイズの画像を表示することを考えれば、表示パネルは低解像度の表示パネルを用いれば十分であり、コストの面から好ましい。
【0006】
一方、自動運転車の近くにいる視認者が画像、特に文字画像を視認する場合には、見易い適切なサイズに縮小して表示する必要がある。これに対応する場合には、高解像度の表示パネルを用いる必要がある。しかし、このような高解像度の表示パネルを自動運転車の車体の広い領域に配設すると、表示装置が高コストになるという課題が生じる。
【0007】
本発明の目的は、視認者に対する好適な表示を行う一方で、コスト上の課題を解消した車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両表示装置は、車両の車体に配設されて所要の画像を表示する表示パネルを備えており、この表示パネルは画像を低解像度で表示する低解像パネルと画像を高解像度で表示する高解像パネルで構成され、少なくとも低解像パネルを含む表示領域に表示した画像を、高解像パネルの表示領域に表示することを可能にしている。
【0009】
本発明にかかる表示パネルは表示領域の一部に高解像パネルが配設され、それ以外の領域に低解像パネルが配設される。その上で、低解像パネルと高解像パネルの両表示領域にわたって表示した画像を縮小して高解像パネルの表示領域に表示することが可能に構成される。あるいは、低解像パネルの表示領域に表示した画像を縮小して高解像パネルの表示領域内に表示することが可能に構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、視認者に対して好適な表示を行う一方で、低コストに構成することが可能な車両用表示装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1の自動運転車の概略外観図。
図2】表示制御手段のブロック構成図。
図3】実施形態1の表示形態1を説明する外観斜視図と一部拡大図。
図4】実施形態1の表示形態2を説明する外観斜視図と一部拡大図。
図5】実施形態1の変形例の表示形態を説明する外観斜視図。
図6】実施形態2の表示形態を説明する外観斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の車両表示装置を適用した実施形態1の自動運転車の概略外観図である。この自動運転車1は、低床の箱型の車体ボディ10を有した四輪車として構成されており、自動運転制御により自動走行される。車体ボディ10は剛性のある材料で構成されており、その前後、左右の4つの側面は四隅に設けられているピラー11を除いた部分が透明材料で形成され、あるいは内外が連通するように開口されている。なお、前後,左右は便宜的に図1に矢印で示す方向である。
【0013】
前記4つの側面のうち、左側面には一対のスライドドア12が配設されており、それぞれスライドされたときに車体ボディ10の内部、すなわち車室を外部に開口し、乗降あるいは荷物の出し入れができるようになっている。これらスライドドア12も透明材料で形成され、あるいは内外が連通する枠状に形成されることが好ましい。
【0014】
その上で前記車体ボディ10の前側面と後側面、及び左側面と右側面に表示パネル2(2F,2B,2L,2R)が配設されている。特に、左側面の表示パネル2Lは、2つのスライドドア12のそれぞれに配設された2つの表示パネル21,22と、スライドドアを挟む両側の側面13に配設された2つの表示パネル23,24とを合せた4つの表示パネルで構成されている。
【0015】
前記表示パネル2は、その構造についての図示及び詳細説明は省略するが、LCD(液晶)パネルあるいは有機ELパネルで構成されており、任意の画像を表示し、自動運転車1の外部から視認されることが可能である。また、表示パネル2は画像が表示されていないときには透明状態となるので、自動運転車1の車室内から外部を視認することが可能である。なお、表示パネル2は必ずしも透明でなくてもよい。
【0016】
前記左側面の4つの表示パネル21~24は、画素(ピクセル)が所定の密度に配列された表示パネルで構成されているが、前記スライドドア12に配設された2つの表示パネル21,22については、その上下方向の中央領域は相対的に画素が高密度に配列された表示パネル211,221で構成されている。以降においては、前者の画素が所定の密度に配列された表示パネルを低解像パネルと称し、後者の相対的に画素が高密度に配列された表示パネルを高解像パネルと称する。
【0017】
すなわち、2つのスライドドア12の表示パネル21,22は、それぞれの表示領域のうち上下方向の中央領域の一部が高解像パネル211,221で構成されている。この高解像パネル211,221は地面から0.7~1.7m程度の平均的な人間の目の高さ位置に対応する領域である。したがって、スライドドア12の2つの表示パネル21,22は、上下方向の中央領域が高解像パネル211,221で構成され、これを上下に挟む上下の各表示領域が低解像パネル212,222で構成されていることになる。
【0018】
前記車体ボディ10のルーフ14の上部にはセンサー31が配設されている。このセンサー31はCCDやMOS等の撮像素子を有する撮像カメラあるいはLiDAR(light detection and ranging)で構成されており、自動運転車1の周囲、特に左側領域に存在している視認者、すなわち歩行者等の人間を検出することが可能とされている。
【0019】
図2は前記表示パネル2を制御する表示制御手段3のブロック構成図である。この表示制御手段3は、前記センサー31に加えて視認者検出部32と画像制御部33を備えている。視認者検出部32は、前記センサー31の出力に基づいて自動運転車1の表示パネル2、特に左側面の表示パネル2Lを視認する視認者を検出する。このセンサー31と視認者検出部32とで視認者検出手段が構成される。前記視認者検出部32は、さらに検出した視認者の位置情報、特に視認者が自動運転車1の左側面に対して近傍にいるか、これよりも離れた遠方の位置にいるかを検出する。
【0020】
この位置情報の検出に際しては、例えば、自動運転車と視認者との距離を検出し、この距離が所定の基準距離よりも大きいか否かを判定することにより遠方または近傍にいるかを検出する。あるいは、単純に検出した距離を位置情報として検出してもよい。
【0021】
前記画像制御部33は、視認者検出部32において検出した視認者の位置情報に基づいて前記表示パネル2に表示する画像の表示形態を制御する。この画像制御部33には基地局、他車両、インターネット等に無線接続される通信機34が接続されており、当該通信機34を介して表示画像にかかわるデータが入力され、入力されたデータに対応する画像を表示パネル2に表示することが可能とされている。また、画像制御部33には入力部35が接続されており、自動運転車の乗員が入力部35において入力したデータに対応する画像を表示パネル2に表示することが可能とされている。
【0022】
これらのデータに基づいて表示する画像は、宣伝用広告画像、道路標識等の標識画像、コミュニケーション用のメッセージ等の文字画像、記号等の画像である。また、画像は静止画あるいは動画のいずれであってもよい。さらに、モノクロ画像やカラー画像であってもよい。
【0023】
この構成の車両表示装置を備えた自動運転車1では、画像制御部33は入力されたデータに基づいて、車体ボディ10の前後、左右の各側面に配設された表示パネル2(2F,2B,2L,2R)に所望の画像を表示する。その上で、左側面の表示パネル2Lについては、視認者検出部32において検出した視認者の位置情報に基づいて画像の表示形態を制御する。
【0024】
図3及び図4は表示制御形態の概略外観図であり、自動運転車1は駐車ないし停車しており、自動運転車1の左側に視認者Mが存在している。視認者検出部32が視認者Mを検出すると、視認者Mと自動運転車との距離Lxを検出し、この距離Lxを基準距離と比較する。距離が基準距離以上のときには遠方にいると判定し、基準距離よりも短いときには近傍にいると判定する。
【0025】
画像制御部33は通信機34あるいは入力部35からのデータにより表示パネル2に所要の画像を表示する。図3(a)のように、視認者検出部32において視認者Mが遠方にいると判定されたときには、画像制御部33は左側面の4つの表示パネル21~24の表示領域の全域に画像を表示する。ここでは、画像「ABCD」の4つの画像をそれぞれ各表示パネル21~24に表示しており、しかも画像を可及的に大きく拡大した画像として表示している。
【0026】
2つのスライドドア12のうち後側のスライドドアの表示パネル22についてみると、図3(b)に一部の拡大図を示すように、表示パネル22の表示領域の全域、すなわち高解像パネル221と低解像パネル222の各表示領域を含む領域にわたって画像「C」が拡大して表示されている。低解像度パネル222の表示領域では画像の解像度は低いが、拡大された大きな画像として表示され、かつ視認者は遠くの位置から視認しているので、解像度が低いことが問題になることはなく画像を好適に視認しかつ確認することができる。高解像パネル221の表示領域においては画像の解像度が高いので、解像度が問題になることは全くない。このとき、図示は省略するが、高解像パネルにおいても低解像パネルと同じ解像度での表示を行ってもよい。
【0027】
一方、図4(a)のように、視認者検出部32において、視認者Mが自動運転車1の左側面に近づいてきたことを検出すると、画像制御部33は表示している画像「ABCD」を縮小し、これらの画像をスライドドアの2つの表示パネル21,22の高解像パネル211,221の表示領域に表示する。ここでは、前側のスライドドアの高解像パネル211に画像「AB」を表示し、後側のスライドドアの高解像パネル221に画像「CD」を表示する。
【0028】
後側のスライドドアの表示パネル22についてみると、図4(b)に一部を拡大して示すように、低解像パネル22の表示領域には画像は表示されておらず、高解像パネル221の表示領域に画像「CD」が納まるように縮小して高精細に表示されている。高解像パネル221は画像の解像度が高いので、画像を縮小しても高精細な画像として表示できる。また、視認者Mは自動運転車1に近づいており、しかも高解像パネル221は人間の目の高さ位置にあるので縮小された画像を好適に視認することができる。
【0029】
このとき、低解像パネル212,222では画像の表示を行わないように電力の供給を停止することにより、その分の省電力化が図られる。また、画像の縮小により高解像パネル211,221の表示領域に余裕があるときには、別の画像を表示してもよく、表示する情報を増やすことができる。
【0030】
なお、図1において、視認者が自動運転車1に乗降する際には、スライドドア12は開いた状態とされるが、開閉動作されるときに各スライドドア12が車体ボディの左側面13の外面側に移動されるように構成しておけば、スライドドア12が開いたときに表示パネル23,24はスライドドアにより隠された状態となるが、スライドドア12の表示パネル21,22は前面に位置されるので、視認者は乗降に際して高解像パネル211,221に表示された高精細な画像を視認することができる。
【0031】
このように、表示パネル21,22の表示領域の大部分を低解像パネル212,222で構成しても、視認者が自動運転車1から遠くにいるときには表示パネル21,22に画像を拡大して表示することにより、当該視認者Mは画像を確実に視認者できるので、低解像パネル212,222の解像度が問題になることはない。一方、視認者が近くにいるときには、表示パネル21,22の一部に構成された高解像パネル211,221に画像を縮小して表示するので、視認者Mは画像を確実に視認でき、かつ多くの情報を得ることができる。これにより、表示パネルに画像を好適に表示するとともに低コスト化が実現できる。
【0032】
なお、画像を拡大表示する際には、自動運転車と視認者との距離の変化に追従させて画像の大きさを連続的に変化させるように表示制御してもよい。すなわち、視認者が近づくのにしたがって、拡大表示していた画像を徐々に縮小して行き、所定距離以下になったときに画像を高解像パネルの表示領域に表示するようにしてもよい。
【0033】
また、図3及び図4に示した画像表示の際に、拡大した画像の全てを同時に表示パネル21,22あるいは表示パネル21~24に表示できない場合や、縮小した画像の全てを同時に高解像パネル211,221に表示できない場合には画像をこれらの表示パネルにおいてスクロールしながら表示するようにしてもよい。
【0034】
以上の説明は視認者が移動する場合の例であるが、視認者が静止しており、自動運転車1が移動する場合においても同様な表示制御が実現できる。例えば、自動運転車が乗用バスに適用された場合に、バスが停留所から離れた位置を走行しているときには、低解像パネルを含めた表示パネルの表示領域の全域にバスの行き先を示す画像を大きく表示し、停留所にいる乗客が画像を視認できるようにする。バスが停留所に停車したときには当該画像を高解像パネルに表示するとともに、他の画像、例えばこれから先に停車する停留所名等の画像を表示することにより、乗客がこれらの画像を鮮明な状態で視認することができる。
【0035】
(変形例1)
図5は実施形態1の変形例1の概略外観図であり、実施形態1と等価な部位には同一符号を付してある。この変形例1は、図5(a)のように、2つのスライドドア12と、これを挟む左側面13に配設されている4つの表示パネル21~24はそれぞれ低解像パネルで構成されているが、これら4つの表示パネル21~24の上下方向の中央領域は、自動運転車1の前後方向にわたって帯状にほぼ連絡された高解像パネル211,221,231,241(以下、211~241)として構成されている。
【0036】
変形例1においても、視認者が遠くにいるときには、図5(a)のように、左側面の4つの表示パネ21~24の表示領域の全域、すなわち高解像パネル211~241を含む全表示領域において画像「ABCD」を拡大して表示する。視認者が近くにいるときには、図5(b)のように、高解像パネル211~241に画像「ABCD」を縮小して高精細に表示する。近接した視認者はこの高解像パネル211~241に表示された縮小された高精細な画像を視認することができる。なお、縮小した画像を1つの高解像パネル、例えば高解像パネル211にのみ表示してもよい。
【0037】
変形例1では、実施形態1に比較して高解像パネル211~241が自動運転車1の車体前後方向に長く配設されているので、横長の画像、例えば長い文字列の画像を一括して表示することが可能になる。また、変形例1は高解像パネル211~241が横長に形成されているが、上下方向の寸法を縮小することにより、実施形態1に比較して高解像パネル211~241全体のサイズ(面積)を同等ないしそれ以下に抑えることもでき、低コスト化が実現できる。
【0038】
(実施形態2)
図6は実施形態2の概略外観図であり、実施形態1と等価な部位には同一符号を付してある。この実施形態2は、図6(a)のように、自動運転車1の前側面の表示パネル2Fに本発明を適用している。すなわち、前側面の表示パネル2Fは、表示領域の上寄りの一部に配設された高解像パネル251と、この高解像パネル251を囲む周囲の表示領域に低解像パネル252が配設された表示パネル25として構成されている。
【0039】
実施形態2においては、視認者が遠くにいるときには、前側面の表示パネル25の低解像パネル252の表示領域において画像を拡大して表示する。ここでは、画像「ABCD」を低解像パネル252に可及的に大きく拡大して表示する。一方、視認者が近くにいるときには、図6(b)のように、高解像パネル251の表示領域に画像「ABCD」を縮小して表示する。
【0040】
例えば、実施形態1において例示したように、自動運転車1からなるバスが停留所から離れた位置を走行しているときには、低解像パネル252の全面にバスの行先等の画像を大きく表示し、停留所にいる乗客が画像を視認できるようにする。バスが停留所に近づいたときには、当該画像を縮小して高解像パネル251に高精細に表示する。合せて他の情報、例えばバス番号等を合せて高精細に表示する。乗客は高解像パネル251に表示された高精細な画像を視認することによりバスにかかわる情報を得ることができる。これにより、自動運転車と視認者との距離の違いにかかわらず、視認者は表示された画像を確実に視認者できる。また、同時に前側面の表示パネル2Fのコストの情報が抑制できる。
【0041】
実施形態2は、図示は省略するが、自動運転車1の後側面の表示パネル2Bに適用されてもよい。この場合には、自動運転車が走行しているときに、後続車が遠方に存在するときには後側面の表示パネル2Bの表示領域の全域において画像を拡大して表示する。後続車が接近してきたときには、表示パネル2Bの一部に配設した高解像パネルに画像を縮小して高精細に表示する。これにより、後続車との車間距離の違いにかかわらず、後続車の乗員は自動運転車に表示された画像を確実に視認者できる。また、同時に後側面の表示パネルを低コストに構成できる。
【0042】
本発明においては、実施形態1のように、拡大した画像を表示する際には、高解像パネルと低解像パネルを含めた表示パネルの表示領域の全域において表示してもよく、あるいは実施形態2のように、低解像パネルの表示領域においてのみ表示してもよい。いずれの場合でも、画像を高解像パネルに表示する際には、高解像パネルの表示領域に収まるように画像を表示すればよい。
【0043】
以上説明した実施形態1,2においては、表示する画像の大きさに加えて、形状、画像の明るさ(明度、彩度、コントラストを含む)を適宜に制御してもよい。特に、視認者が遠方のときには表示する画像の大きさを制御するとともに、明度やコントラストを高くなるように制御し、相対距離が短くなるのにしたがって明度やコントラストを低下させるように制御してもよい。
【0044】
本発明は、特に視認者を検出することなく、車両の走行状況に応じて表示する画像を制御するようにしてもよい。例えば、車両の走行中に画像を表示パネルの表示領域の全域に表示し、車両が停車したときに高解像パネルの表示領域に画像を表示するようにしてもよい。あるいは、車両の乗員が自動運転車の周囲の状況を確認しながら人為的に画像の表示形態を制御するようにしてもよい。これらのように構成する場合には、実施形態1に記載した表示制御手段における視認者検出部を省略し、さらには画像制御部の構成を簡略化することができる。
【0045】
本発明は自動運転車の表示装置に限られるものではなく、車体ボディやウインドに表示パネルを備える車両に適用できる。また、車両に設けられる表示パネルは、必ずしも車両の車体の4つの側面に全て配設されていなくてもよく、配設されている表示パネルに対して本発明が適用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 自動運転車(自車両)
2(2F,2B,2R,2L)表示パネル
3 表示制御手段
10 車体ボディ
12 スライドドア
13 車体ボディ左側面
14 ルーフ
21~24 表示パネル(左側面)
25 表示パネル(前側面)
31 センサー(視認者検出手段)
32 視認者検出部(視認者検出手段)
33 画像制御部(画像制御手段)
34 通信機
35 入力部
211,221,231,241,251 高解像パネル
212,222,252 低解像パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6