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特許7094228N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの新規結晶形
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  • 特許-N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの新規結晶形 図1
  • 特許-N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの新規結晶形 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの新規結晶形
(51)【国際特許分類】
   C07D 405/12 20060101AFI20220624BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20220624BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220624BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
C07D405/12 CSP
A61K31/496
A61P35/00
A61P43/00 111
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018561474
(86)(22)【出願日】2017-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2017061919
(87)【国際公開番号】W WO2017202674
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-03-12
【審判番号】
【審判請求日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】62/340,797
(32)【優先日】2016-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307012403
【氏名又は名称】ネルビアーノ・メデイカル・サイエンシーズ・エツセ・エルレ・エルレ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カンディアーニ,イラリア
(72)【発明者】
【氏名】オッタイアーノ,ジョバンニ
(72)【発明者】
【氏名】トマージ,アッティリオ
【合議体】
【審判長】瀬良 聡機
【審判官】野田 定文
【審判官】冨永 保
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-517551(JP,A)
【文献】特開2021-42213(JP,A)
【文献】芦澤一英、医薬品の多形現象と晶析の科学、丸善プラネット株式会社、2002年、56-102、304-317
【文献】平山令明、有機化合物結晶作製ハンドブック、丸善株式会社、2008年、17-23、37-40、45-51、57-65、78-79
【文献】米持悦生、薬剤学、2004年、Vol.64、No.1、50-52
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
の化合物の結晶形4の結晶を調製する方法であって、
前記結晶は、8.6±0.2、15.6±0.2及び17.9±0.2度の反射角2θにピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とし、
以下の工程:
a)式(II)
【化2】
の塩化アシルを式(III):
【化3】
のインダゾール-3-イルアミンに添加し、式(III)のインダゾール-3-イルアミンが完全に反応したときに添加を停止する工程;
b)得られた式(IV):
【化4】
の化合物を穏やかな塩基性条件下で脱保護して、上記に記載の式(I)の化合物を得る工程;
c)得られた式(I)の化合物をエタノール中に懸濁する工程;
d)工程c)の懸濁液を50℃~70℃の温度に加熱し、室温に冷却する工程;及び
e)工程d)から得られた懸濁液に水を添加し、沈殿物を濾過し、乾燥させて式(I)の化合物の結晶形4の結晶を得る工程;
あるいは、
f)エタノール中で式(I)の化合物の結晶形2の結晶のスラリーを還流温度で加熱して溶液を得、前記溶液を55℃~60℃の温度に冷却する工程;
g)工程a)~e)に記載のようにして得られた一定量の結晶形4の結晶のシードを工程f)の溶液に添加し、続いて水を添加する工程;
h)工程g)の混合物を還流温度で30~90分間加熱し、続いて前記混合物を室温に冷却し、12時間撹拌する工程;及び
i)工程h)の混合物を濾過し、40℃で乾燥させて式(I)の化合物の結晶形4の結晶を得る工程
を含む、結晶形4の結晶を調製する方法。
【請求項2】
工程g)の混合物を還流温度で60分間加熱する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの新規結晶形、その調製方法、プロテインキナーゼ活性の脱制御によって引き起こされる疾患を治療するうえでのその有用性及びそれを含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プロテインキナーゼ(PK)の機能不全は、多くの疾患の顕著な特徴である。ヒトがんに関与するがん遺伝子及びがん原遺伝子の大部分がPKをコードしている。PKの増強された活性はまた、良性前立腺過形成、家族性腺腫症、ポリポーシス、神経線維腫症、乾癬、アテローム性動脈硬化症に関連する血管平滑細胞増殖、肺線維症、関節炎、糸球体腎炎並びに術後狭窄及び再狭窄などの多くの非悪性疾患にも関与する。
【0003】
PKは、炎症状態並びにウイルス及び寄生生物の増殖にも関与する。PKはまた、神経変性障害の病因及び発症においても重要な役割を果たす可能性がある。
【0004】
PKの機能不全又は脱制御の概要については、例えばCurrent Opinion in Chemical Biology 1999,3,459~465;Nature Rev.Drug Discov.2002;及びCarcinogenesis 2008,29,1087-1091を参照のこと。
【0005】
PKの1つのサブセットは、内在性タンパク質-チロシンキナーゼ活性(RPTK)を有する膜受容体の群である。増殖因子に結合すると、RPTKは活性化され、細胞質内でそれら自身及び一連の基質をリン酸化する。この機構を介して、それらは増殖、分化又は他の生物学的変化のための細胞内シグナルを伝達することができる。RPTKの構造異常、過剰発現及び活性化はヒト腫瘍においてしばしば観察され、細胞増殖をもたらすシグナル伝達の構成的点火が悪性形質転換をもたらし得ることを示唆する。未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)は、RPTKのインスリン受容体サブファミリーに属するチロシンキナーゼ受容体である:ALK遺伝子は、2番染色体上に位置し、特に発生の間、主として神経細胞において発現される。ALK遺伝子は、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)の大きなサブセットにおいて、5番染色体上のヌクレオホスミン(NPM)遺伝子との平衡染色体転座に関与する。ALK+ ALCLにおいて、転座の結果、NPMユビキタスプロモーターが融合タンパク質の異所性発現を駆動し、この融合タンパク質内でNPM部分が二量体化し、ALKキナーゼドメインが自己リン酸化を受けて、構成的に活性になる。
【0006】
文献からの多くのデータは、NPM-ALK融合タンパク質が強い発がん能を有し、その異所性発現が細胞形質転換の原因であることを実証している。さらに、マウスT細胞リンパ球におけるヒトNPM-ALKの構成的発現は、短い潜伏期間でトランスジェニック動物においてリンパ系新生物を発生させるのに十分である。
【0007】
ALCLは、CD30抗原(Ki-1)の表面発現を特徴とする定義された疾患であり、成人非ホジキンリンパ腫の2%及び小児非ホジキンリンパ腫の13%を占め、主に若年男性患者が罹患する。ALK+ ALCLはすべてのALCLの70%を占め、全身徴候を伴う侵攻性疾患であり、しばしば節外病変(骨髄、皮膚、骨、軟部組織)を伴う。
【0008】
ALKを発現するALCLの約15~20%が、ALKの細胞質部分を含み、異なるN末端部分を有する異なる染色体転座を担持することが認められており、それらすべてがALKキナーゼドメインの構成的活性化をもたらす。
【0009】
さらに、黒色腫、乳癌並びに神経芽腫、神経膠芽腫、ユーイング肉腫、網膜芽細胞腫のような外胚葉起源の固形腫瘍から樹立された細胞株は、ALK受容体を発現することが判明した。
【0010】
ROS1はインスリン受容体スーパーファミリーに属する。他のチロシンキナーゼ受容体分子と同様に、これは、細胞外環境から細胞の核内への増殖シグナルの伝達に役割を果たす。これは、2つのオーファン受容体チロシンキナーゼファミリーメンバーの1つであり、公知の結合リガンドはない。遺伝子再構成、突然変異又はコピー数の増加などのROS1の遺伝的変化は、がんをもたらすことができるがん遺伝子を生成する(Stumpfova and Janne,2012)。ROS1は、NSCLC患者において融合タンパク質(ROS1に対する6つの異なるパートナー)の形態で発見され、NSCLC患者の約2%に見出されている(Bergethon et al.,2012;Davies et al,2012)。2つの他のROS1遺伝子再構成が、多形性神経膠芽腫、胆管癌、卵巣がん、胃腺癌、結腸直腸がん、炎症性筋線維芽細胞腫、血管肉腫及び類上皮血管内皮腫を含む様々な他のがんで検出されている(Lee et al.,2013;Davies and Doebele,2013;Davies,et al.,2012;Shaw et al.,2013)。
【0011】
ROS1遺伝子の再構成は、制御されない増殖及び腫瘍細胞の長期生存を伴う細胞死に対する抵抗性を含む、細胞における腫瘍形成特性を導く下流のシグナル伝達経路を活性化する、構成的に活性なキナーゼドメインとの融合タンパク質を作り出す。これらの経路には、細胞増殖のためのRas-ERK並びに細胞の生存(抗アポトーシス)及び増殖を制御するJAK-STAT及びPI3K/AKT経路が含まれる。ROS1融合タンパク質はまた、タンパク質翻訳の調節に重要であるmTOR経路も活性化し得る。これらの経路が活性化されているがんはより侵襲的である傾向があり、浸潤及び転移は患者の低い生存率につながる(Davies and Doebele,2013)。
【0012】
Trkは、ニューロトロフィン(NT)と呼ばれる可溶性成長因子の一群によって活性化される高親和性受容体チロシンキナーゼである。Trk受容体ファミリーは、TrkA、TrkB及びTrkCの3つのメンバーを有する。ニューロトロフィンの中には、(i)TrkAを活性化する神経成長因子(NGF)、(ii)TrkBを活性化する脳由来神経栄養因子(BDNF)及びNT-4/5、並びに(iii)TrkCを活性化するNT3がある。Trkは神経組織において広く発現されており、神経細胞の維持、シグナル伝達及び生存に関与する(Patapoutian,A.et al.,Current Opinion in Neurobiology,2001,11,272-280)。NTRK1は、TrkA受容体チロシンキナーゼをコードする。TrkAは、細胞増殖及び生存を促進するPI3K/AKT、PKC及びERK1/2経路を活性化する。
【0013】
最近の文献はまた、Trkの過剰発現、活性化、増幅及び/又は突然変異が、神経芽腫(Brodeur,GM,Nat.Rev.Cancer 2003,3,203-216)、卵巣がん(Davidson.B.,et al.,Clin.Cancer Res.2003,9,2248-2259)、乳がん(Kruettgen et al,Brain Pathology 2006,16:304-310)、前立腺がん(Dionne et al,Clin.Cancer Res.1998,4(8):1887-1898)、膵臓がん(Dang et al,Journal of Gastroenterology and Hepatology 2006,21(5):850-858)、多発性骨髄腫(Hu et al,Cancer Genetics and Cytogenetics 2007,178:1-10)、星状細胞腫及び髄芽腫(Kruettgen et al,Brain Pathology 2006,16:304-310)、神経膠腫(Hansen et al,Journal of Neurochemistry 2007,103:259-275)、黒色腫(Truzzi et al,Journal of Investigative Dermatology 2008,128(8):2031-2040)、甲状腺癌(Brzezianska et al,Neuroendocrinology Letters 2007,28(3),221-229)、肺腺癌(Perez-Pinera et al,Molecular and Cellular Biochemistry 2007,295(1&2),19-26)、大細胞神経内分泌腫瘍(Marchetti et al,Human Mutation 2008,29(5),609-616)及び結腸直腸がん(Bardelli,A.,Science 2003,300,949)を含む多くのがんに関連することを示している。がんの前臨床モデルにおいて、Trk阻害剤は、腫瘍増殖の阻害及び腫瘍転移の停止の両方に有効である。特に、TrkA、B及びC並びにTrk/Fcキメラの非選択的小分子阻害剤は、腫瘍増殖の阻害及び腫瘍転移の停止の両方において有効であった(Nakagawara,A.(2001)Cancer Letters 169:107-114;Meyer,J.et al.(2007)Leukemia,1-10;Pierotti,M.A.and Greco A.,(2006)Cancer Letters 232:90-98;Eric Adriaenssens,E.et al.Cancer Res(2008)68:(2)346-351)(Truzzi et al,Journal of Investigative Dermatology 2008,128(8):2031-2040)。したがって、Trkファミリーのキナーゼの阻害剤は、がんの治療に有用であると予想される。
【0014】
結論として、ALK又はROS1シグナル伝達を妨げることは、ALCL及び場合によっては他の適応症における腫瘍細胞増殖をブロックするための特異的で有効な方法である可能性が高い。インスリン様増殖因子1受容体(IGF-1R、IGF1R)も、RTKのインスリン受容体サブファミリーのメンバーである。さらに、TrkA、TrkB及び/若しくはTrkCシグナル伝達、又はそれらの組み合わせを妨げることは、非小細胞肺がん、乳頭状甲状腺がん、神経芽腫、膵臓がん及び結腸直腸がんを含むがこれらに限定されない様々ながんにおける腫瘍細胞増殖をブロックするための特異的で有効な方法である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【文献】Current Opinion in Chemical Biology 1999,3,459-465;Nature Rev.Drug Discov.2002
【文献】Carcinogenesis 2008,29,1087-1091
【文献】Stumpfova and Janne,2012
【文献】Bergethon et al.,2012
【文献】Davies et al,2012
【文献】Lee et al.,2013
【文献】Davies and Doebele,2013
【文献】Shaw et al.,2013
【文献】Patapoutian,A.et al.,Current Opinion in Neurobiology,2001,11,272-280
【文献】Brodeur,G.M.,Nat.Rev.Cancer 2003,3,203-216)
【文献】Davidson.B.,et al.,Clin.Cancer Res.2003,9,2248-2259
【文献】Kruettgen et al,Brain Pathology 2006,16:304-310
【文献】Dionne et al,Clin.Cancer Res.1998,4(8):1887-1898
【文献】Dang et al,Journal of Gastroenterology and Hepatology 2006,21(5):850-858
【文献】Hu et al,Cancer Genetics and Cytogenetics 2007,178:1-10
【文献】Hansen et al,Journal of Neurochemistry 2007,103:259-275
【文献】Truzzi et al,Journal of Investigative Dermatology 2008,128(8):2031-2040
【文献】Brzezianska et al,Neuroendocrinology Letters 2007,28(3),221-229
【文献】Perez-Pinera et al,Molecular and Cellular Biochemistry 2007,295(1&2),19-26
【文献】Marchetti et al,Human Mutation 2008,29(5),609-616
【文献】Bardelli,A.,Science 2003,300,949
【文献】Nakagawara,A.(2001)Cancer Letters 169:107-114
【文献】Meyer,J.et al.(2007)Leukemia,1-10
【文献】Pierotti,M.A.and Greco A.,(2006)Cancer Letters 232:90-98
【文献】Eric Adriaenssens,E.et al.Cancer Res(2008)68:(2)346-351
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
国際公開第2009/013126号(Nerviano Medical Sciences Srlの名称で)は、N-[5-(3,5-ジフルオロベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)ベンズアミドの遊離塩基形態を記載し、特許請求しており、これは、以下の式(I):
【0017】
【化1】
を有し、化学物質登録番号1108743-60-7が割り当てられ、エントレクチニブの国際一般名称(INN)が割り当てられている。
【0018】
式(I)の化合物は、キナーゼ阻害剤、より詳細にはALK、ROS1、TrkA、TrkB及びTrkCキナーゼの阻害剤として活性であり、したがって、国際公開第2015/124697号(Ignyta Inc.及びNerviano Medical Sciences Srlの名称で)に開示されているように、及びがんを有するヒト患者における臨床試験によって実証されたように、様々ながん及び細胞増殖性障害の治療に有用である。エントレクチニブは、その細胞が、がん患者における少なくとも1つの標的遺伝子に1つ以上の遺伝子変化を含み、前記少なくとも1つの標的遺伝子がALK、ROS1、SORT1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される、様々なタイプのがん性固形腫瘍を有するがん患者において臨床的に試験されている。2015年8月15日、そのような臨床試験の所見は、様々な固形腫瘍を有する合計92人の患者が両方の臨床試験にわたって投与を受け、9人の患者が6ヵ月を超えて推奨第II相用量以上で治療され、1人が1年を超えて治療されたことを示した。第I相試験にわたって、最も頻度の高い(10%を超える発生率)治療関連有害事象は、疲労、味覚異常、感覚異常、吐気及び筋痛であった。これらのうち7例はグレード3の重症度であり、疲労(4人の患者)、認知障害(2人の患者)及び下痢(1人の患者)から構成された。グレード4又はグレード5の治療関連有害事象は観察されなかった。フェーズI試験の間に、3例の治療関連の重篤な有害事象があった:グレード3の認知障害及びグレード3の心筋炎(いずれも推奨第II相用量を超える用量で発生した。)並びにグレード2の疲労。すべての事象は可逆的であり、用量変更後に消失した。薬物動態測定は、評価された1日投与レジメンにわたって用量比例的増加を示し、半減期は1日1回投与と適合性であった。推奨第II相用量は600mgと決定され、1日1回経口投与された。第I相試験の合計18人の患者が、期待される第2相適格基準を満たし、これは、他のタイプの分子改変とは対照的に、融合物であるNTRK1、NTRK2、NTRK3、ROS1又はALKの遺伝子改変の存在;患者がALK阻害剤又はROS1阻害剤で以前に治療されていないこと;及び推奨第II相用量以上での治療を含む。第I相臨床試験では、両方の試験で期待される第2相適格基準を満たした18人の患者における、固形腫瘍における応答評価基準又はRECIST基準による完全奏効及び部分奏効と定義された奏効率は、臨床施設で評価されたように、18人の治療患者のうち13人の奏効に基づき、72%であった。これらの奏効者のうちの9人は、21回までの治療サイクルの持続的奏効で試験治療を続けた。追加の3人の患者は、安定した疾患で試験を継続した。この奏効には、(a)非小細胞肺がん又はNSCLC、結腸直腸がん及び唾液腺がんを有する患者を含む、NTRK1、NTRK2又はNTRK3遺伝子再構成を有する4人の患者のうち3人の奏効、奏効患者の1人は6ヵ月目で治療を継続中;星状細胞腫を有する第4の患者は安定した疾患で2ヵ月後も治療を継続;(b)全員がNSCLCであった、ROS1遺伝子再構成を有する8人の患者のうちで、1人の完全奏効を含む6人の奏効が含まれた。奏効であった患者全員が治療を継続し、最長21ヵ月であり、並びに(c)2人のNSCLC患者及び他の固形腫瘍を有する2人の患者を含む、ALK遺伝子再構成を有する6人の患者のうち4人の奏効;4人の奏効者のうち2人はその後進行した。
【0019】
この化合物の2つの調製物が、上記で引用した国際公開第2009/013126号の実施例2(工程i’)及び実施例7にそれぞれ記載されている。実施例2に記載の方法は、基本的に、4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-[(テトラヒドロ-ピラン-4-イル)-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-アミノ]-安息香酸アシルクロリドに5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イルアミンを添加し、次いで高温にて有機塩基で脱保護して、カラムクロマトグラフィ及び結晶化によって精製した後、所望の式(I)のアミドを得ることを含む。
【0020】
上記で引用した特許出願の実施例7に記載されている他の方法は、基本的に、トリフルオロ酢酸及びテトラメチルアンモニウムトリアセトキシボロヒドリドの存在下で2-アミノ-N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ベンズアミドをテトラヒドロ-ピラン-4-オンと反応させ、カラムクロマトグラフィによって精製した後、所望の式(I)のアミドを得ることを含む変換である。
【0021】
しかしながら、これらの調製物の固体形態は、国際公開第2009/013126号には開示されていない。国際公開第2009/013126号に記載されている実施例2(工程i’)及び実施例7の実験手順に従って得られた生成物が、国際公開第2013/174876号(Nerviano Medical Sciences Srlの名称で)に開示された。特に、実施例2(工程i’)に開示された手順は、酢酸エチル及びn-ヘキサンを含有する式(I)の化合物の結晶性溶媒和物(以下「形態3」と称する。)を生成することが見出された。国際公開第2009/013126号の実施例7の実験手順に従うと、式(I)の化合物の非晶形を生じることが認められた。
【0022】
式(I)の化合物の2つの新規固体形態は、国際公開第2013/174876号においてそれらの調製方法と共に開示されており、高い純度とヒトへの投与に適した特性を有する工業的に有利で再現性の高い方法及び低いコストで生成物を提供する。この新規方法は、塩化アシルとインダゾール-3-イルアミンとの反応、続いて穏やかな塩基性条件下での脱保護、及び「形態1」と称される結晶形の所望の式(I)の化合物を与える、シードの存在下でのエタノールと水の混合物による最終非晶質化合物の処理、又は「形態2」と称される結晶形の所望の式(I)の化合物を与える、エタノールと水の混合物による最終非晶質化合物の処理を特徴とした。国際公開第2009/013126号の実験手順に従って得られることが認められた酢酸エチルとヘキサンの溶媒和物である式(I)の化合物の結晶性溶媒和物形態も、国際公開第2013/174876号に開示されており、その中で「形態3」と称された。
【0023】
しかし、上記で定義した潜在的な医薬化合物の多形性挙動を理解し、その異なる固体形態を得るための方法を標準化することが治療法において依然として必要とされている。実際に、医薬組成物中の活性成分として使用できる化合物の多形は、薬物動態及びバイオアベイラビリティ、その毒性プロフィール、溶解度及びバルク粉末の他の物理化学的性質などの最終薬剤の多くの局面に影響を及ぼす可能性があるので、多形体の同定及び特徴付けは、それらを得るための実験条件の定義と共に、上記で定義した式(I)の化合物のような薬理学的活性を有する化合物にとって非常に重要である。
【0024】
これに関して、予想外に及び驚くべきことに、上記の式(I)の化合物が、これまでに開示されていない結晶性非溶媒和形態でも存在し得ることが見出された。化合物(I)のこの新規な結晶形は、特に明記しない限り、本明細書では式(I)の化合物の「結晶形4」又は「形態4」と称され得る。
【0025】
驚くべきことに、式(I)の化合物の形態4は、国際公開第2013/174876号に開示されている、そのうちの1つが酢酸エチルとヘキサンの溶媒和物である、3つの既知の結晶形に比べて、約40℃以上の温度でより大きな熱力学的安定性を示すことが見出された。式(I)の化合物の形態4はまた、その細胞が少なくとも1つの標的遺伝子に1つ以上の遺伝子変化を含み、前記少なくとも1つの標的遺伝子がALK、ROS1、SORT1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される、様々なタイプのがん性固形腫瘍を有するがん患者の治療に有用な剤形又は薬剤の調製において利点を提供し得る。式(I)の化合物の形態4はまた、式(I)の化合物の形態4の治療有効量を患者に投与することを含む、がんを有する患者の治療方法においても利点を提供し得る。その細胞が少なくとも1つの標的遺伝子に1つ以上の遺伝子変化を含み、前記少なくとも1つの標的遺伝子がALK、ROS1、SORT1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される、様々なタイプのがん性固形腫瘍を有するがん患者の治療に有用な剤形又は薬剤の調製。
【0026】
新しい結晶形4は、X線粉末回折(XRPD)及び示差走査熱量測定(DSC)技術を介して特徴付けられている。
【0027】
本発明をまた、以下に記載する添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、結晶形4のX線粉末回折パターン(XRPD)を示す;2θ角(度)をx軸に報告し、強度(CPS)をy軸に報告する。
図2図2は、結晶形4の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。サーモグラムは、x軸に温度(℃)及び時間(分)を報告し、y軸に熱流(mW)を報告する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書で使用される場合、「N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミド」という用語は、化学物質登録番号1108743-60-7が割り当てられ、エントレクチニブの国際一般名称(INN)が割り当てられている、化学構造:
【0030】
【化2】
を有する化合物を意味する。
【0031】
「約」という用語の使用は、値又はパラメータそれ自体を含み、記述する。例えば、「約x」は、「x」それ自体を含み、記述する。いくつかの実施形態では、測定に関連して使用される場合又は値、単位、定数若しくは値の範囲を定義するために使用される場合、「約」という用語は、特に指示されない限り、±10%の変動を指す。例えば、いくつかの実施形態では「約40℃」は、36℃~44℃を含む。
【0032】
本明細書における「添加する」という用語の使用は、添加される材料を組み合わせる順序、方法又はやり方を限定するものではない。例えば、「AをBに添加する」は、「BをAに添加する」とも記述し得る。
【0033】
本明細書で使用される場合、「投与」及び「投与する」という用語は、経口、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない投与経路による、被験体への生物活性組成物又は製剤の送達を意味する。いくつかの実施形態では、被験体への投与は経口である。
【0034】
本明細書で使用される場合、「ALK」という用語は、ヒトにおいてALK遺伝子によってコードされ、またUniProtでALK_HUMANと同定された酵素である、未分化リンパ腫キナーゼ受容体又はCD246(分化のクラスター246)を意味する。
【0035】
本明細書で使用される場合、「がん」又は「腫瘍」という用語は互換的に使用され得る。これらの用語は、制御されない増殖、不死性、転移能、急速な成長及び増殖速度並びに特定の特有な形態学的特徴などの、がんを引き起こす細胞に典型的な特徴を有する細胞の存在を意味する。がん細胞はしばしば腫瘍の形態であるが、そのような細胞は、動物内に単独で存在することができ、又は白血病細胞などの非腫瘍形成性がん細胞であり得る。これらの用語には、固形腫瘍、軟部組織腫瘍又は転移性病変が含まれる。本明細書で使用される場合、「がん」という用語は、前がん性及び悪性のがんを含む。特定の実施形態では、がんは、固形腫瘍、軟部組織腫瘍又は転移性病変である。これらの用語はまた、それらを形成する細胞のタイプに由来する固形腫瘍、血液、骨髄又はリンパ系のがんを指す。固形腫瘍の例には、肉腫及び癌腫が含まれるが、これらに限定されない。血液のがんの例には、白血病、リンパ腫及び骨髄腫が含まれるが、これらに限定されない。これらの用語には、身体の特定の部位に由来する原発がん、それが始まった場所から身体の他の部位に広がった転移性がん、寛解後の元の原発がんからの再発、及び以前のがんの病歴を有する人物における、以前のがんとは異なるタイプの新たな原発がんである第二の原発がんが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「がん」は、異常な細胞増殖によって引き起こされる何らかの悪性及び/又は浸潤性の増殖物又は腫瘍を指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「結晶性」という用語は、物質が分子レベルで規則的な秩序内部構造を有し、規定されたピークを有する特有のX線回折パターンを与える固相を意味する。
【0037】
本明細書で使用される「他の治療薬」という用語は、抗エストロゲン、抗アンドロゲン及びアロマターゼ阻害剤などの抗ホルモン薬、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、微小管を標的とする薬剤、白金ベースの薬剤、アルキル化剤、DNA損傷剤又はDNA挿入剤、抗腫瘍性代謝拮抗薬、他のキナーゼ阻害剤、他の抗血管新生薬、キネシンの阻害剤、治療用モノクローナル抗体、mTORの阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤並びに低酸素応答の阻害剤を意味するが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書で使用される「患者」及び/又は「被験体」という用語は、治療、観察又は実験の対象であったか又は今後対象となるであろう哺乳動物(ヒトを含む。)などの動物を意味する。いくつかの実施形態では、被験体又は患者はヒトである。
【0039】
「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、化合物と共に被験体又は患者に投与される希釈剤、崩壊剤、沈降防止剤、界面活性剤、流動促進剤、潤滑剤及び他の賦形剤並びにビヒクルを意味する。
【0040】
本明細書で使用される場合、「ROS1」は、UniProt識別子ROS1_HUMANを有し、ROS1遺伝子によってコードされるROS1受容体チロシン-プロテインキナーゼを意味する。
【0041】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、症状の改善又は疾患進行の減速などの治療効果を提供するために、被験体に投与された場合、治療をもたらすのに十分な化合物又は医薬組成物の量を意味する。例えば、治療有効量は、ALK、TrkA、TrkB、TrkC及びROS1活性又はそれらの組み合わせの阻害に応答して疾患又は状態の症状を低減するのに十分な量であり得る。
【0042】
本明細書で使用される「トロポミオシン受容体キナーゼ」という用語は、ニューロトロフィンファミリーのペプチドホルモンによって活性化されるトロポミオシン受容体キナーゼ(Trk)のファミリーを意味し、TrkA、TrkB及びTrkCを含むが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「TrkA」という用語は、UniProt識別子NTRK1_HUMANを有し、NTRK1遺伝子によってコードされる野生型トロポミオシン受容体キナーゼAを意味する。本明細書で使用される場合、「TrkB」という用語は、UniProt識別子NTRK2_HUMANを有し、NTRK2遺伝子によってコードされる野生型トロポミオシン受容体キナーゼBを意味する。本明細書で使用される場合、「TrkC」という用語は、UniProt識別子NTRK3_HUMANを有し、NTRK3遺伝子によってコードされる野生型トロポミオシン受容体キナーゼCを意味する。TrkA、TrkB及びTrkCは、当業者にはそれぞれTrk1、Trk2及びTrk3とも称される。TrkAへの言及はTrk1への言及である。TrkBへの言及はTrk2への言及である。TrkCへの言及はTrk3への言及である。
【0043】
一実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約8.6度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0044】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約8.6±0.5度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0045】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約8.6±0.2度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0046】
一実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約15.6度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0047】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約15.6±0.5度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0048】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約15.6±0.2度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0049】
一実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約17.9度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0050】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約17.9±0.5度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0051】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約17.9±0.2度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0052】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約15.6及び17.9度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0053】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約15.6及び17.9±0.5度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0054】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約15.6及び17.9±0.2度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0055】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約15.6、17.9及び39.0度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0056】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約15.6、17.9及び39.0±0.5度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0057】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約15.6、17.9及び39.0±0.2度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0058】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約8.6、10.3、11.0、11.9、14.3、14.6、15.1、15.3、15.6、16.1、17.1、17.9、19.0、19.2、19.6、19.7、20.1、20.7、21.3、22.1、22.7、24.3、24.6、25.3、25.5、25.9、26.7、26.9、27.3、27.7、28.1、28.6、29.0、29.5、29.9、30.5、31.0、31.6、32.2、33.3、34.0、35.4、36.4、36.8及び39.0度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0059】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約8.6、10.3、11.0、11.9、14.3、14.6、15.1、15.3、15.6、16.1、17.1、17.9、19.0、19.2、19.6、19.7、20.1、20.7、21.3、22.1、22.7、24.3、24.6、25.3、25.5、25.9、26.7、26.9、27.3、27.7、28.1、28.6、29.0、29.5、29.9、30.5、31.0、31.6、32.2、33.3、34.0、35.4、36.4、36.8及び39.0±0.5度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0060】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約8.6、10.3、11.0、11.9、14.3、14.6、15.1、15.3、15.6、16.1、17.1、17.9、19.0、19.2、19.6、19.7、20.1、20.7、21.3、22.1、22.7、24.3、24.6、25.3、25.5、25.9、26.7、26.9、27.3、27.7、28.1、28.6、29.0、29.5、29.9、30.5、31.0、31.6、32.2、33.3、34.0、35.4、36.4、36.8及び39.0度±0.2度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0061】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約200℃~約205℃の示差走査熱量測定スキャンにおけるピークを示すことを特徴とする。
【0062】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約200℃~約205℃の示差走査熱量測定スキャンにおけるピーク、及び約15.6度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを示すことを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0063】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約200℃~約205℃の示差走査熱量測定スキャンにおけるピーク、及び約15.6±0.5度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを示すことを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0064】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約200℃~約205℃の示差走査熱量測定スキャンにおけるピーク、及び約15.6±0.2度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを示すことを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0065】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約200℃~約205℃の示差走査熱量測定スキャンにおけるピーク、並びに約15.6及び17.9度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを示すことを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0066】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約200℃~約205℃の示差走査熱量測定スキャンにおけるピーク、並びに約15.6及び17.9±0.5度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを示すことを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0067】
別の実施形態では、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形が提供され、前記結晶形は、約200℃~約205℃の示差走査熱量測定スキャンにおけるピーク、並びに約15.6及び17.9±0.2度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを示すことを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0068】
別の実施形態では、治療有効量の、約15.6度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形と、1種以上の薬学的に許容される賦形剤とを含有する医薬組成物が提供される。
【0069】
別の実施形態では、治療有効量の、約15.6±0.5度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形と、1種以上の薬学的に許容される賦形剤とを含有する医薬組成物が提供される。
【0070】
別の実施形態では、治療有効量の、約15.6±0.2度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形と、1種以上の薬学的に許容される賦形剤とを含有する医薬組成物が提供される。
【0071】
別の実施形態では、治療有効量の、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を含有する医薬組成物が提供され、前記結晶形は、約15.6及び17.9度の2θ値でのピークを含む粉末X線回折パターンを特徴とする。
【0072】
別の実施形態では、治療有効量の、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を含有する医薬組成物が提供され、前記結晶形は、約15.6及び17.9±0.5度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0073】
別の実施形態では、治療有効量の、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を含有する医薬組成物が提供され、前記結晶形は、約15.6及び17.9±0.2度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0074】
別の実施形態では、治療有効量の、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を含有する医薬組成物が提供され、前記結晶形は、約200℃~約205℃の示差走査熱量測定スキャンにおけるピークを示すことを特徴とする。
【0075】
別の実施形態では、治療有効量の、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を含有する医薬組成物が提供され、前記結晶形は、約200℃~約205℃の示差走査熱量測定スキャンにおけるピーク、及び約15.6度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを示すことを特徴とする。
【0076】
別の実施形態では、治療有効量の、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を含有する医薬組成物が提供され、前記結晶形は、約200℃~約205℃の示差走査熱量測定スキャンにおけるピーク、及び約15.6±0.5度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを示すことを特徴とする。
【0077】
別の実施形態では、治療有効量の、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を含有する医薬組成物が提供され、前記結晶形は、約200℃~約205℃の示差走査熱量測定スキャンにおけるピーク、及び約15.6±0.2度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを示すことを特徴とする。
【0078】
別の実施形態では、治療有効量の、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を含有する医薬組成物が提供され、前記結晶形は、約200℃~約205℃の示差走査熱量測定スキャンにおけるピーク、並びに約15.6及び17.9度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを示すことを特徴とする。別の実施形態では、前記結晶形が非溶媒和である結晶形が提供される。
【0079】
別の実施形態では、治療有効量の、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を含有する医薬組成物が提供され、前記結晶形は、約200℃~約205℃の示差走査熱量測定スキャンにおけるピーク、並びに約15.6及び17.9±0.5度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを示すことを特徴とする。
【0080】
別の実施形態では、治療有効量の、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を含有する医薬組成物が提供され、前記結晶形は、約200℃~約205℃の示差走査熱量測定スキャンにおけるピーク、並びに約15.6及び17.9±0.2度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを示すことを特徴とする。
【0081】
別の実施形態では、がんを有する患者を治療する方法であって、前記患者に、治療有効量のN-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を投与することを含む方法が提供され、前記結晶形は、約15.6度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0082】
別の実施形態では、がんを有する患者を治療する方法であって、前記患者に、治療有効量のN-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を投与することを含む方法が提供され、前記結晶形は、約15.6±0.5度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0083】
別の実施形態では、がんを有する患者を治療する方法であって、前記患者に、治療有効量のN-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を投与することを含む方法が提供され、前記結晶形は、約15.6±0.2度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0084】
別の実施形態では、がんを有する患者を治療する方法であって、前記患者に、治療有効量のN-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を投与することを含む方法が提供され、前記結晶形は、約15.6及び17.9度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0085】
別の実施形態では、がんを有する患者を治療する方法であって、前記患者に、治療有効量のN-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を投与することを含む方法が提供され、前記結晶形は、約15.6及び17.9±0.5度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0086】
別の実施形態では、がんを有する患者を治療する方法であって、前記患者に、治療有効量のN-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を投与することを含む方法が提供され、前記結晶形は、約15.6及び17.9±0.2度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0087】
別の実施形態では、がんを有する患者を治療する方法であって、前記患者に、治療有効量の、約15.6度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形と、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤とを含有する医薬組成物を投与することを含む方法が提供される。
【0088】
別の実施形態では、がんを有する患者を治療する方法であって、前記患者に、治療有効量の、約15.6±0.5度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形と、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤とを含有する医薬組成物を投与することを含む方法が提供される。
【0089】
別の実施形態では、がんを有する患者を治療する方法であって、前記患者に、治療有効量の、約15.6±0.2度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形と、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤とを含有する医薬組成物を投与することを含む方法が提供される。
【0090】
別の実施形態では、がんを有する患者を治療する方法であって、前記患者に、治療有効量の、約15.6及び17.9度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を含有する医薬組成物を投与することを含む方法が提供される。
【0091】
別の実施形態では、がんを有する患者を治療する方法であって、前記患者に、治療有効量の、約15.6及び17.9±0.5度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を含有する医薬組成物を投与することを含む方法が提供される。
【0092】
別の実施形態では、がんを有する患者を治療する方法であって、前記患者に、治療有効量の、約15.6及び17.9±0.2度の2θ値でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形を含有する医薬組成物を投与することを含む方法が提供される。
【0093】
他の実施形態では、本明細書に記載のがんを有する患者を治療する方法のいずれかが提供され、前記がんは、乳がん、肺がん、結腸直腸がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮内膜がん、胃がん、明細胞腎細胞癌、浸潤性乳管癌(乳房)、ブドウ膜黒色腫、多発性骨髄腫、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、カポジ肉腫、膵臓がん、髄芽腫、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、神経芽腫、横紋筋肉腫、神経膠芽腫、炎症性筋線維芽細胞腫、黒色腫、網膜芽細胞腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、唾液腺がん及び乳腺相似分泌癌(MASC)から選択される。
【0094】
他の実施形態では、本明細書に記載のがんを有する患者を治療する方法のいずれかが提供され、前記がんは、乳がん、肺がん、結腸直腸がん、前立腺がん、胃がん、髄芽腫、神経芽腫、神経膠芽腫、黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、唾液腺がん及び乳腺相似分泌癌(MASC)から選択される。
【0095】
他の実施形態では、本明細書に記載のがんを有する患者を治療する方法のいずれかが提供され、前記がんは、乳がん、肺がん、結腸直腸がん、髄芽腫、神経芽腫、神経膠芽腫、黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、唾液腺がん及び乳腺相似分泌癌(MASC)から選択される。
【0096】
他の実施形態では、本明細書に記載のがんを有する患者を治療する方法のいずれかが提供され、前記がんは、結腸直腸がん、神経芽腫、神経膠芽腫、黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、唾液腺がん及び乳腺相似分泌癌(MASC)から選択される。
【0097】
他の実施形態では、本明細書に記載のがんを有する患者を治療する方法のいずれかが提供され、前記がんは結腸直腸がんである。
【0098】
他の実施形態では、本明細書に記載のがんを有する患者を治療する方法のいずれかが提供され、前記がんは神経芽腫である。
【0099】
他の実施形態では、本明細書に記載のがんを有する患者を治療する方法のいずれかが提供され、前記がんは神経膠芽腫である。
【0100】
他の実施形態では、本明細書に記載のがんを有する患者を治療する方法のいずれかが提供され、前記がんは黒色腫である。
【0101】
他の実施形態では、本明細書に記載のがんを有する患者を治療する方法のいずれかが提供され、前記がんは非小細胞肺がん(NSCLC)である。
【0102】
他の実施形態では、本明細書に記載のがんを有する患者を治療する方法のいずれかが提供され、前記がんは唾液腺がんである。
【0103】
他の実施形態では、本明細書に記載のがんを有する患者を治療する方法のいずれかが提供され、前記がんは乳腺相似分泌癌(MASC)である。
【0104】
他の実施形態では、本明細書に記載のがんを有する患者を治療する方法のいずれかが提供され、前記がんは、局所進行性又は転移性である。
【0105】
本発明はまた、上記で定義した結晶形4の調製方法であって、以下の工程:
a)式(II)
【0106】
【化3】
の塩化アシルを式(III):
【0107】
【化4】
のインダゾール-3-イルアミンに添加し、式(III)のインダゾール-3-イルアミンが完全に反応したときに添加を停止する工程;
b)得られた式(IV):
【0108】
【化5】
の化合物を穏やかな塩基性条件下で脱保護して、上記で定義した式(I)の化合物を得る工程;
c)得られた式(I)の化合物をエタノール中に懸濁する工程;
d)工程c)の懸濁液を約50℃~約70℃の温度に加熱し、室温に冷却する工程;及び
e)水を添加し、濾過し、乾燥させて、上記で定義した式(I)の化合物の結晶形4を得る工程
を含む方法を開示する。
【0109】
好ましくは、工程c)で得られた懸濁液を約60℃の温度に加熱する。
【0110】
本発明はまた、一定量の結晶形4のシードを形態2に添加することによって促進される、形態2の形態4への変換による上記で定義した結晶形4の調製方法を開示する。
【0111】
したがって、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形4を調製するための方法であって、
f)エタノール中で上記で定義した式(I)の化合物の結晶形2のスラリーを還流温度(約78℃)で加熱し、混合物を約50℃~約65℃の温度に冷却する工程;
g)工程a)~e)で定義したようにして得られた一定量の結晶形4のシードを工程f)の混合物に添加し、続いて水を添加する工程;
h)工程g)の混合物を還流温度で30~90分間加熱し、続いて混合物を室温に冷却し、約12時間撹拌する工程;及び
i)工程h)の混合物を濾過し、約40℃で乾燥させて、上記で定義した式(I)の化合物の結晶形4を得る工程
を含む方法が本明細書で提供される。
【0112】
好ましくは、工程f)の溶液を55℃~60℃の温度に冷却する、上記で定義した方法が提供される。
【0113】
別の態様では、工程g)の混合物を還流温度で約60分間加熱する、上記で定義した方法が提供される。
【0114】
好ましくは、結晶形2に添加される形態4のシードの量は、結晶形2の0.05~0.5重量%である。より好ましくは、結晶形2に添加される形態4のシードの量は、結晶形2の約0.2重量%である。
【0115】
別の態様では、前述の方法のいずれかによって調製された、上記で定義した結晶形4が提供される。
【0116】
結晶形2の式(I)の化合物の調製は、上記で引用した国際公開第2013/174876号に記載されている。
【0117】
上記で定義した結晶形4は、その後、薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に製剤化して、医薬組成物を提供することができる。
【0118】
工程a)及びb)によれば、反応条件は、国際公開第2013/174876号の4ページ、15~28行に記載されているものと同じである。
【0119】
工程c)に従って、工程b)で得られた式(I)の非晶質化合物をエタノール中に懸濁する。
【0120】
工程d)に従って、このようにして得られた懸濁液を、溶液が得られるまで約50℃~約70℃、好ましくは約60℃の温度に加熱し、次いでそれを室温に冷却する。
【0121】
工程e)に従って、工程d)から得られた懸濁液に水を添加し、次いで得られた沈殿物を濾過し、減圧下で乾燥させて、式(I)の化合物の結晶形4を得る。
【0122】
工程f)に従って、エタノール中の、先に引用した国際公開第2013/174876号(4ページ、工程c2)に記載されているようにして得られた式(I)の化合物の結晶形2のスラリーを、溶液が得られるまで還流温度で加熱し、次いで約50℃~約65℃、好ましくは55℃~60℃の温度に冷却する。
【0123】
工程g)に従って、工程f)の懸濁液に結晶形4のシードを添加し、次に水を添加して(少なくとも15分以内に滴下する。)、完全な沈殿を得る。
【0124】
工程h)に従って、工程g)の混合物を還流温度で30~90分間、好ましくは約60分間加熱し、室温まで緩やかに冷却する。その後、混合物を少なくとも12時間撹拌する。
【0125】
工程i)に従って、工程h)で得られた生成物を濾過し、減圧下に約40℃で乾燥させて、結晶形4の式(I)の化合物を得る。
【0126】
本明細書で詳述される方法は、生産規模又は非生産規模で実施され得ることが理解される。
【0127】
この新しい手順は、式(I)の化合物の結晶形4を高純度で得ること及び固体形態を制御することを可能にする。この形態は、経口製剤の開発に適する。
【0128】
上記で定義した結晶形4は、任意の投与経路、例えば経口、非経口、局所、直腸及び経鼻経路によって投与し得る。
【0129】
本発明の組成物は、経口使用に適した形態であり得る。これらの形態の例は、錠剤、硬又は軟カプセル、水性又は油性懸濁液、エマルジョン、分散性粉末又は顆粒である。本発明の組成物はまた、局所使用に適した形態であってもよい。これらの形態の例は、クリーム、軟膏、ゲル、又は水性若しくは油性溶液若しくは懸濁液である。本発明の組成物はまた、例えば微細に粉砕された粉末又は液体エアロゾルなどの吸入による投与に適した形態であってもよい。本発明の組成物はまた、例えば微細に粉砕された粉末などの吹送による投与に適した形態であってもよい。本発明の組成物はまた、非経口投与(例えば静脈内、皮下、筋肉内用の滅菌水性若しくは油性溶液など)又は直腸投与用の坐剤として適した形態であってもよい。
【0130】
本発明の組成物は、当技術分野で周知の従来の医薬賦形剤を用いて従来の手順によって入手し得る。
【0131】
したがって、経口使用を意図した組成物は、例えば着色料、甘味料、着香料及び防腐剤などの1種以上の添加剤を含有し得る。
【0132】
例えば、固体経口形態は、活性化合物と共に酸味料、希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、サッカロース、スクロース、マンニトール、セルロース、トウモロコシデンプン又はジャガイモデンプン;潤滑剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸カルシウム及び/又はポリエチレングリコール;流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;結合剤、例えばデンプン、アラビアゴム、ゼラチンメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えばデンプン、アルギン酸、アルギネート又はデンプングリコール酸ナトリウム;発泡性混合物;染料;甘味料;湿潤剤、例えばレシチン、ポリソルベート、ラウリルスルフェート;並びに、一般に、医薬製剤に使用される非毒性で薬理学的に不活性な物質を含み得る。これらの医薬製剤は、公知の方法で、例えば混合、造粒、錠剤化、糖衣化又はフィルムコーティング工程によって製造され得る。
【0133】
経口投与用の液体分散物は、例えばシロップ、エマルジョン及び懸濁液であり得る。一例として、シロップは、担体として、サッカロース又はグリセリン及び/若しくはマンニトール及びソルビトールを伴うサッカロースを含み得る。
【0134】
懸濁液及びエマルジョンは、担体の例として、天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルアルコールを含み得る。
【0135】
筋肉内注射用の懸濁液又は溶液は、活性化合物と共に、薬学的に許容される担体、例えば滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えばプロピレングリコール及び、所望する場合は、適切な量の塩酸リドカインを含み得る。
【0136】
静脈内注射又は注入用の溶液は、担体として滅菌水を含んでもよく、又は、好ましくは滅菌水性等張生理食塩水の形態であってもよく、又は担体としてプロピレングリコールを含んでもよい。
【0137】
坐剤は、活性化合物と共に、薬学的に許容される担体、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤又はレシチンを含み得る。
【0138】
別の実施形態では、医薬として使用するための、上記で定義した結晶形4が提供される。
【0139】
別の実施形態では、単独又は他の治療薬若しくは放射線療法と組み合わせた、ALK、ROS1、TrkA、TrkB、TrkC又はそれらの組み合わせの阻害によって治療可能な疾患状態の治療において使用するための、上記で定義した結晶形4が提供される。
【0140】
別の実施形態では、がんを有する患者を治療する方法のいずれかが提供され、前記がんは、ALK、ROS1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3からなる群より選択される少なくとも1つの標的遺伝子に少なくとも1つの遺伝子変化を含む。
【0141】
本発明のさらなる目的は、ALK阻害を必要とする、ヒトを含む哺乳動物において、及び/又はALK、ROS1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3からなる群より選択される少なくとも1つの標的遺伝子に少なくとも1つの遺伝子変化を有する患者においてがんを治療する方法であって、治療有効量の上記で定義した結晶形4を前記哺乳動物に投与することを含む方法を提供することである。
【0142】
本発明のさらなる目的は、がん及び細胞増殖性障害からなる群より選択される、ALK阻害によって治療可能な疾患状態の治療のため並びに/又はROS1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3からなる群より選択される少なくとも1つの標的遺伝子に少なくとも1つの遺伝子変化を有する患者における治療のための薬剤を製造するための、単独又は他の治療薬若しくは放射線療法と組み合わせた、上記で定義した結晶形4の使用を提供することである。
【0143】
本明細書で使用される場合、以下の用語及び語句は、それらが使用される文脈が特に指示する場合を除き、一般に、以下に示す意味を有することが意図されている。
【0144】
式(I)の化合物の結晶形4のX線粉末回折ピークを定義する段落において、例えば「約...の2θ値での...」又は「2θ値約...で」という表現において使用される「約」という用語は、当業者には理解されるように、ピークの正確な位置は、機器によって、試料によって、又は使用される測定条件のわずかな変動の結果としてわずかに異なり得るため、ピークの正確な位置(すなわち列挙された2θ角の値)は絶対値であるとみなされるべきではないことを示す。一般に、X線粉末回折図における回折角の測定誤差は、約2θ=0.5度以下(又は、より適切には、約2θ=0.2度以下)であり、そのような測定誤差の程度は、X線粉末回折パターンを検討する場合には考慮されなければならない。したがって、例えば、式(I)の化合物の結晶形4が、約2θ=17.9度(又は他の言及される角度の任意の1つ)で少なくとも1つの特定のピークを有するx線粉末回折パターンを有すると記述される場合、これは、2θ=17.9±0.5度又は2θ=17.9±0.2度であると解釈することができる。±0.5度は、「プラス又はマイナス0.5度2θ」と表すこともできることが理解されるべきである。
【0145】
X線粉末回折パターンに言及する場合、「に示すものと実質的に同じ」という用語の使用は、パターンの2θ角の値が、機器によって、試料によって、又は測定条件のわずかな変動の結果としてわずかに異なることがあり、そのため図に示されている又は表に引用されているピーク位置は、やはり絶対値ではないことを意味する。これに関して、測定条件(例えば装置及び/又は試料調製など)に依存して1つ以上の測定誤差を有するX線粉末回折パターンが得られ得ることは、当技術分野において公知である。特に、X線粉末回折パターンの強度が測定条件及び試料調製に依存して異なり得ることは、一般的に公知である。例えば、X線粉末回折の当業者は、ピークの相対強度が、例えば、試料の分析に影響を及ぼし得る、30ミクロンを超えるサイズの粒子及び非ユニタリーアスペクト比によって影響され得ることを認識するであろう。当業者はまた、反射の位置が、試料が回折計において位置する正確な高さ及び回折計のゼロ較正によって影響され得ることも認識するであろう。試料の表面の平面性も結果に影響を及ぼし得る。
【0146】
したがって、当業者は、本明細書で提示される回折パターンデータが絶対値とみなされるべきではないことを理解するであろう(さらなる情報については“Fundamentals of Powder Diffraction and Structural Characterization”,Pecharsky and Zavalij,Kluwer Academic Publishers,2003参照)。
【0147】
「治療可能な疾患状態」という用語は、本発明による治療が疾患状態の緩解を提供すること、又は少なくとも治療中の哺乳動物の状態及び生活の質が改善されることを意味する。
【0148】
そのような疾患状態の例は、特に、癌腫、扁平上皮癌、骨髄系又はリンパ系の造血腫瘍、間葉起源の腫瘍、中枢神経系及び末梢神経系の腫瘍、黒色腫、セミノーマ、奇形癌、骨肉腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、甲状腺濾胞状がん並びにカポジ肉腫を含む特定のタイプのがんを含み得る種々のがんである。
【0149】
そのような疾患状態の例は、乳がん、非小細胞肺がんなどの肺がん、結腸直腸がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮内膜がん、胃がん、膵臓がん、甲状腺乳頭がん、明細胞腎細胞癌、ブドウ膜黒色腫、多発性骨髄腫、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、カポジ肉腫及び髄芽腫などの、しかしこれらに限定されない特定のタイプのがんである。
【0150】
そのような疾患状態の他の例は、ALK+未分化大細胞リンパ腫(ALCL)並びに場合によって神経芽腫、横紋筋肉腫、神経膠芽腫、炎症性筋線維芽細胞腫及びいくつかの種類の黒色腫、乳癌腫、ユーイング肉腫、網膜芽細胞腫及び非小細胞肺癌(NSCLC)のような、ALK活性が役割を果たす可能性がある他の適応症である。
【0151】
そのような疾患状態のさらに他の例は、良性前立腺過形成、家族性腺腫性ポリポーシス、神経線維腫症、乾癬、アテローム性動脈硬化症に関連する血管平滑細胞増殖、肺線維症、関節炎、糸球体腎炎並びに術後狭窄及び再狭窄などの、しかしこれらに限定されない細胞増殖性障害である。
【0152】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される結晶形は、当技術分野で周知の薬学的に許容される担体を用いて経口投与用に製剤化される。
【0153】
いくつかの実施形態では、上記で定義した式(I)の化合物の結晶形4又は薬学的に許容される塩の治療有効用量は、疾患、障害の重症度及び治療される患者の状態によって異なり得る。したがって、医師は、通例のごとく、各々の患者について最適用量を設定しなければならない。いずれにせよ、有効用量範囲は、1用量当たり約10mg~約1g(遊離塩基として計算)、1日当たり1~3回であり得る。
【0154】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の結晶形4の治療有効用量は、約100mg~約2000mg、又は約100mg~約1750mg、又は約100mg~約1500mg、又は約100mg~約1250mg、又は約150mg~1250mg、又は約175mg~約1250mg、又は約200mg~約1250mg、又は250mg~約1250mg、又は約300mg~約1250mg、又は約350mg~約1250mg、又は約400mg~約1250mg、又は約400mg~約1000mg、又は約450mg~約950mg、又は約450mg~約900mg、又は約450mg~約850mg、又は約500mg~約850mg、又は約500mg~約800mg、又は約525mg~約800mg、又は約525mg~約775mg、又は約550mg~約800mg、又は約575mg~約800mg、又は約575mg~約775mg、又は約600mg~800mg、又は約600mg~775mg、又は約600mg~750mg、又は約600mg~約725mg、又は約500mg~約725mg、又は約500mg~約700mgである。
【0155】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の結晶形4の治療有効用量は、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約525mg、約550mg、約600mg、約625mg、約650mg、約675mg、約700mg、約725mg、約750mg、約775mg、約800mg、約825mg、約850mg、約875mg、約900mg、約925mg、約950mg、約975mg、又は約1000mgである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の結晶形4の治療有効用量は、1日1回経口投与される、約600mgである。
【実施例
【0156】
実験項
以下の実施例は、本開示の実施形態を例示するために含まれるものであり、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0157】
本明細書に記載される結晶形は、例えば実施例3及び4に記載の方法を含む、X線粉末回折パターン(XRPD)及び示差走査熱量測定(DSC)などの当技術分野で公知の様々な方法によって特徴付けられ得る。
【0158】
本発明の一実施形態では、結晶形4は、図1に示す図と実質的に同じX線回折図を特徴とし、表1に記載の約2θ値(度)で有意なピーク強度を有する。いかなる追加物質(他の結晶形、賦形剤)も含まない試料では、表2に記載された約2θ値(度)で回折ピークを観察することが可能なはずである。
【0159】
【表1】
【0160】
以下の実施例において、温度はセ氏(℃)で測定し、特に指示がない限り、反応又は実験は室温(RT)で行う。
【0161】
実施例1]
式(I)の化合物の結晶形4の調製。
工程a)及びb)は、国際公開第2013/174876号の4ページ、15~28行に記載されている。
【0162】
工程c)
国際公開第2013/174876号に記載された手順(3~4ページの工程a及びb)によって得られた乾燥非晶質N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミド(式(I)の化合物)2.88Kgを約10倍容量のエタノールに懸濁する(懸濁液A)。
【0163】
工程d)
工程c)で得られた懸濁液A 20mLを約60℃に加熱して溶液を得、次いでこの溶液を室温に冷却する。
【0164】
工程e)
工程d)から得られた懸濁液に水20mLを添加し、沈殿物を濾過する。生成物を減圧下で乾燥して、N-[5-(3,5-ジフルオロ-ベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドを結晶形4として得る(DSC分析を図2に報告する)。
【0165】
実施例2]
播種による結晶形4の調製。
工程f)
エタノール110mLを、国際公開第2013/174876号(工程c2、4及び11~12ページ)に記載されているようにして得られた、2N-[5-(3,5-ジフルオロベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形2 11.3gに添加し、溶液が得られるまで混合物を加熱還流する。次いで、混合物を約58℃に冷却する。
【0166】
工程g)
実施例1に記載したように調製した結晶形4のシード20mgを工程f)の混合物に添加する;次いで、水220mLを約15分以内に混合物に滴下し、完全な沈殿を得る。
【0167】
工程h)
このようにして得られた混合物を再び約60分間加熱還流し、室温まで緩やかに冷却する;次いで、この混合物を室温で12時間撹拌する。
【0168】
工程i)
沈殿物を濾過し、減圧下に約40℃で乾燥させて、9.5gのN-[5-(3,5-ジフルオロベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミドの結晶形4を得る。
【0169】
実施例3]
X線粉末回折(XRPD)による分析結果
化合物(I)の結晶形4を、Thermo/ARL XTRA装置を用いて実施したX線粉末回折(XRPD)によって特徴付け、室温で2°~40°の2θにてCuKα線源(45kV、40mA、1.8kW-Kα1放射線、波長λ=1.54060オングストローム)を用いて粉末試料を照射した。
【0170】
走査速度は1.20°/分(1ステップ当たり1秒の計数時間で0.020°ステップ)であった。
【0171】
X線回折図において、回折角2θを水平軸(x軸)に、線強度を垂直軸(y軸)にプロットしている。
【0172】
先の段落で報告したように、式(I)の化合物の結晶形4は、図1に示すX線粉末回折パターンと実質的に同じX線粉末回折パターンを提供し、表1及び表2に示す2θ角値で実質的に最も顕著なピークを有する。
【0173】
したがって、本発明に記載の式(I)の化合物の結晶形4は、図1に示すX線粉末回折パターンと同一のX線粉末回折パターンを提供する結晶に限定されず、本明細書の以下の図1に示すものと実質的に同じX線粉末回折パターンを提供する式(I)の化合物の結晶形4の任意の試料又はバッチは、本発明の範囲内であることが理解される。X線粉末回折の当業者は、X線粉末回折パターンの実質的な同一性を判断することができる。
【0174】
結晶形4のX線回折ピーク位置を以下の表2に報告する。
【0175】
【表2】
【0176】
実施例4]
示差走査熱量測定(DSC)による分析結果
DSC分析は、Mettler Toledo Starシステム装置を用いて実施した。アルミニウム製のDSCパンに試料2~4mgを充填した。分析の温度範囲は、25℃から最大値の300℃までであった。試料を窒素静的条件下に10℃/分の加熱速度で分析した。
【0177】
図2は、結晶形4のDSCサーモグラムを報告する。
【0178】
結晶形4の観察された融解吸熱は、およそ200~205℃(ピーク温度)の範囲であり、デルタHは70~82J/gの範囲である。DSCの開始及び/又はピーク温度値は、装置によって、方法によって又は試料によってわずかに異なり得るため、引用される値は絶対値とみなされるべきではないことが理解される。実際に、観察される温度は、試料の調製技術及び使用される特定の機器だけでなく温度変化の速度にも依存する。そのような種々の条件を適用して得られる温度値は、プラス又はマイナス約4℃だけ変動し得ることが推定され、考慮に入れられる。
図1
図2