(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】平版印刷インキ用液体変性PETポリエステル
(51)【国際特許分類】
C08G 63/91 20060101AFI20220624BHJP
C09D 11/037 20140101ALI20220624BHJP
C09D 11/104 20140101ALI20220624BHJP
C09D 167/00 20060101ALI20220624BHJP
C09D 7/41 20180101ALI20220624BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20220624BHJP
C08G 63/183 20060101ALI20220624BHJP
B41M 1/30 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
C08G63/91
C09D11/037
C09D11/104
C09D167/00
C09D7/41
C09D7/61
C08G63/183
B41M1/30 D
(21)【出願番号】P 2018561616
(86)(22)【出願日】2017-05-22
(86)【国際出願番号】 US2017033805
(87)【国際公開番号】W WO2017205275
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-05-11
(32)【優先日】2016-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507385165
【氏名又は名称】サン ケミカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カイ-ウーヴェ・ガウドル
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・シュアーマン
(72)【発明者】
【氏名】フレディ・ドライエ
(72)【発明者】
【氏名】アナベル・プチ
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第01/025309(JP,A1)
【文献】特表2018-510225(JP,A)
【文献】特開平10-007622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/91
C09D 11/037
C09D 11/104
C09D 167/00
C09D 7/41
C09D 7/61
C08G 63/183
B41M 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃で液体であるポリエステル樹脂の製造方法であって、
a)1つ以上のモノアルコールおよび/またはポリオールとのアルコール分解反応を介して未使用、スクラップ、リサイクルおよび/または再生ポリエチレンテレフタレート(PET)を解重合するステップと、
b)ステップa)の得られたポリオールオリゴマーを1種以上の植物油、脂肪酸アルキルエステル、または油変性アルキド樹脂で、
2~12時間エステル交換するステップと、
c)1つ以上の酸または無水物との反応を介して、ステップb)の油変性ポリオールオリゴマーを再重合させるステップと、を含み、
ステップa)において使用されるすべてのモノアルコールおよびポリオールの合計に対する前記PETの重量比が、20:1~5:1の範囲である、方法。
【請求項2】
ステップa)において使用されるすべてのモノアルコールおよびポリオールの合計に対する前記PETの重量比が、15:1~5:1の範囲である;または、
ステップa)で使用される前記1つ以上のモノアルコールおよび/またはポリオールが、それぞれ独立して、モノ、ジ、トリ、テトラ、またはヘキサ官能性アルコールからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップb)において、脂肪酸メチルエステルが使用される;または、
前記1つ以上の酸または無水物が、それぞれ独立して、モノ、ジまたはトリカルボン酸誘導体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記成分は、
a)PETが、全成分の総重量を基準にして、1重量%~60重量%、
b)1つ以上のモノアルコールおよび/またはポリオールが、全成分の総重量を基準にして、5重量%~25重量%、
c)1種以上の植物油、脂肪酸アルキルエステル、または油変性アルキド樹脂が、全成分の総重量を基準にして、25重量%~60重量%、および
d)1つ以上の酸または酸無水物が、全成分の総重量を基準にして、5重量%~30重量%、の量で使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記PETは、全成分の総重量を基準にして、25重量%~45重量%の量で使用される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法によって調製された、25℃で液体であるポリエステル樹脂。
【請求項7】
1mgKOH/g~50mgKOH/gの酸価を有する;または、
1~500Pa・sの粘度を有する;または、
800~5000ダルトンの数平均分子量を有する;または、
1500~10,000ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項6に記載のポリエステル樹脂。
【請求項8】
請求項6または7に記載のポリエステル樹脂を含む、インキまたはコーティング組成物。
【請求項9】
a)請求項6または7に記載の液体ポリエステル樹脂であって、前記インキまたはコーティング組成物の総重量を基準にして、1重量%~60重量%の量である液体ポリエステル樹脂と、
b)前記インキまたはコーティング組成物の総重量を基準にして、0.1重量%~40重量%の量である1種以上の着色剤と、を含む、請求項8に記載のインキまたはコーティング組成物。
【請求項10】
a)前記インキまたはコーティング組成物の総重量を基準にして、0.1重量%~30重量%の量である1種以上のアルキド樹脂と、
b)前記コーティングまたはインキ組成物の総重量を基準にして、0.1重量%~30重量%の量である1種以上のロジン樹脂または炭化水素樹脂と、
c)前記インキまたはコーティング組成物の総重量を基準にして、0.1重量%~40重量%の量である1種以上の植物油、鉱物油、または脂肪酸アルキルエステルと、
d)前記インキまたはコーティング組成物の総重量を基準にして、0.1重量%~30重量%の量である1種以上の増量剤または充填剤と、
e)前記インキまたはコーティング組成物の総重量を基準にして、0.1重量%~4重量%の量である1種以上の安定剤と、
f)前記インキまたはコーティング組成物の総重量を基準にして、0.1重量%~5重量%の量である1種以上の酸化性乾燥剤と、のうちの1種以上をさらに含む、
請求項8に記載のインキまたはコーティング組成物。
【請求項11】
平版印刷インキまたはコーティング組成物である;または、
せん断速度D=50 1/sで5~150Pa・sの粘度を有する枚葉平版印刷インキまたはコーティング組成物である;または、
せん断速度D=50 1/sで5~150Pa・sの粘度を有する平版印刷ヒートセットインキまたはコーティング組成物である、請求項8~10のいずれか一項に記載のインキまたはコーティング組成物。
【請求項12】
オーバープリントワニスの総重量を基準にして、1重量%~60重量%の量である、請求項6または7に記載の樹脂を含む、オーバープリントワニス。
【請求項13】
a)前記オーバープリントワニスの総重量を基準にして、0.1重量%~30重量%の量である1種以上のアルキド樹脂と、
b)前記オーバープリントワニスの総重量を基準にして、0.1重量%~30重量%の量である1種以上のロジン樹脂または炭化水素硬質樹脂と、
c)前記オーバープリントワニスの総重量を基準にして、0.1重量%~20重量%の量である1種以上の植物油、鉱物油、または脂肪酸アルキルエステルと、
d)前記オーバープリントワニスの総重量を基準にして、0.1重量%~5重量%の量である1種以上の酸化性乾燥剤と、
e)前記オーバープリントワニスの総重量を基準にして、0.1重量%~20重量%の量である1種以上の増量剤または充填剤と、のうちの1種以上をさらに含む、
請求項12に記載のオーバープリントワニス。
【請求項14】
請求項8~11のいずれか一項に記載のインキまたはコーティング組成物を含む、印刷物。
【請求項15】
請求項12または13のいずれか一項に記載のオーバープリントワニスを含む、印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、その全体が本明細書に組み込まれる、2016年5月23日出願の米国仮出願第62/340,017号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、未使用、スクラップ、リサイクルおよび/または再生ポリエチレンテレフタレート(PET)から調製された液体ポリエステル樹脂に関する。液体ポリエステル樹脂は、平版印刷インキおよびコーティング組成物などのインキおよびコーティング組成物を調製するための原料として好適である。
【背景技術】
【0003】
使用前または使用後であるかに関わらず、ポリエチレンテレフタレート(PET)のリサイクルは、その環境への影響および社会によって生産されるこれらの材料が大量に増加しているために、世界的な関心事である。解決策として、例えば、PETの解糖による解重合などのケミカルリサイクリングでは、ヒドロキシル基を有する明確に定義された再使用可能な樹脂を生成する。PET廃棄物の解糖から生じるポリエステルポリオールは、ポリウレタンフォームおよび接着剤、不飽和ポリエステルおよび飽和ポリエステル可塑剤の製造における出発材料として利用されることが周知である。
【0004】
米国特許第6,127,436号には、グリコールおよび多価アルコールを用いたアルコール分解反応、続いて多塩基性カルボン酸および/または無水物とのエステル化により、再生、リサイクルまたは未使用PETを解重合して硬質不活性樹脂を製造する方法を教示している。しかし、これらの樹脂は、より極性の高い溶媒への溶解度が限られており、鉱油、植物油および脂肪酸アルキルエステル、およびトルエンには不溶性である。開示されている樹脂はまた、ロジン樹脂および炭化水素樹脂との相容性はない。
【0005】
特開2005-213401号公報、特開2005-213402号公報、特開2005-200563号公報、特開2005-060514号公報には、極性の低い溶媒に溶けやすいリサイクルPETを含有する硬質ロジン樹脂および炭化水素樹脂が開示されている。しかし、これらの樹脂に含まれ得るPETの量には限りがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第6,127,436号
【文献】特開2005-213401号公報
【文献】特開2005-213402号公報
【文献】特開2005-200563号公報
【文献】特開2005-060514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、リサイクルPETから製造され、アルキド樹脂およびインキワニスの代替物として使用され得る液体樹脂が依然として必要とされている。さらに、これらの液体PET樹脂は、鉱物油、植物油、脂肪酸アルキルエステル、アルキド樹脂、炭化水素樹脂およびロジン樹脂と相溶性でなければならない。これらの液体樹脂は、高含量の再生PETを有することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の三段階法により製造される新規液体ポリエステル樹脂を提供する。(A)1種以上のモノアルコールおよび/またはポリオールとのアルコール分解反応を介して未使用、スクラップ、リサイクルまたは再生ポリエチレンテレフタレート(PET)を解重合するステップと、(B)得られたポリオールオリゴマーを植物油または脂肪酸アルキルエステルでエステル交換するステップと、(C)酸および/または無水物で再重合するステップ。本発明の液体ポリエステル樹脂は、リサイクルPETから製造された第1の樹脂であって、インキおよびコーティング組成物中の典型的な樹脂を置換し、かつインキとして単一の使用原料のみを含むコーティングと同等の印刷結果を達成するのに十分な品質である。
【0009】
特定の態様において、本発明は、以下のステップを含む液体ポリエステル樹脂の製造方法を提供する:
a)1種以上のモノアルコールおよび/またはポリオールとのアルコール分解反応を介して未使用、スクラップ、リサイクルまたは再生ポリエチレンテレフタレート(PET)を解重合するステップと、
b)ステップa)で得られたポリオールオリゴマーを1種以上の植物油、脂肪酸アルキルエステル、または油変性アルキド樹脂で、エステル交換するステップと、
c)1つ以上の酸または無水物との反応を介して、ステップb)の油変性ポリオールオリゴマーを再重合させるステップ。
【0010】
別の態様では、本発明は、新規液体ポリエステル樹脂を含むインキおよびコーティング組成物を提供する。
【0011】
別の態様では、本発明は、新規液体ポリエステル樹脂を含むオーバープリントワニスを提供する。
【0012】
さらに別の態様では、本発明は、インキおよびコーティング組成物、および/またはオーバープリントワニスを含む印刷物を提供する。
【0013】
本発明の他の利点および態様は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は例示的および説明的なものに過ぎず、特許請求されるいかなる主題も限定するものではないことを理解されたい。
【0015】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。他に記載がない限り、本明細書全体の開示を通して言及されたすべての特許、特許出願、公開された出願および刊行物、ウェブサイトおよび他の出版物は、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれる。
【0016】
本発明は、未使用、スクラップ、リサイクルおよび/または再生PETから調製された新規液体ポリエステル樹脂を提供する。本発明の液体ポリエステル樹脂は、鉱油、植物油、脂肪酸アルキルエステル、アルキド樹脂、炭化水素樹脂、およびロジン樹脂と相溶性である。本発明の液体ポリエステル樹脂は、高含量の再生PETを有することができる。さらに、本発明の液体ポリエステル樹脂は、インキおよびコーティング組成物の原料としての使用に好適である。有利には、本発明の液体ポリエステル樹脂は、平版印刷インキおよびコーティング組成物における使用に好適である。
定義
【0017】
本出願において、特に断りのない限り、単数形の使用は複数形を含む。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明白に示されていない限り、複数形も含むことが意図される。
【0018】
本出願において、「または」の使用は、他に記載がない限り、「および/または」を意味する。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprises)」および/または「含んでいる(comprising)」は、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループが存在すること、または追加することを除外するものではない。さらに、「含む(include)」「有している(having)」「有する(has)」「備える(with)」「から構成される(composed)」「含まれる(comprised)」という用語またはその変形は、詳細な説明または特許請求の範囲において使用される限りにおいて、そのような用語は「含む(comprising)」という用語と同様に包括的であることを意図する。
【0020】
本明細書で使用する場合、範囲および量は、特定の値または範囲の「約」として表すことができる。「約」は正確な量も含むことが意図される。したがって、「約5%」は「約5%」を意味し、「5%」も意味する。「約」とは、意図した用途または目的の典型的な実験誤差内であることを意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「インキおよびコーティング」、「インキ」、「組成物」および「流体」は同義的に使用される。他に明記されていない限り、用語「インキおよびコーティング」、「インキ」、「組成物」および「流体」は、オーバープリントワニスを含む。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「一価アルコール」または「モノアルコール」は、1つの官能性OH基を有するアルキル、アルキレン、シクロアルキルまたはアリールなどの炭化水素を意味する。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「多価アルコール」または「ポリオール」は、2つ以上の官能性OH基を有するアルキル、アルキレン、シクロアルキルまたはアリールなどの炭化水素を意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「物品(複数可)」は、基材または製造物を意味する。物品の例としては、これらに限定するものではないが、紙、プラスチック、プラスチックまたはポリマーフィルム、ガラス、セラミック、金属、複合材などの基材、出版物(例えば、パンフレット)、ラベル、包装材料(例えば、厚紙シートまたは段ボール)、容器(例えば、ボトル、缶)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、金属化箔(例えば、積層アルミニウム箔)、金属化ポリエステル、金属容器などの製造品が挙げられる。
【0025】
本開示全体にわたって、すべての部およびパーセンテージは、重量(重量%または全重量に対して質量%)であり、すべての温度は、特に明記しない限り、摂氏(℃)である。
植物油変性PETポリエステルの合成
【0026】
本発明は、PET、好ましくはリサイクルPETから合成されたポリエステルを提供するが、PETの製造において生じた再生廃物(使用前PET)に加えて、種々の廃棄PET成形品、およびPET成形品の製造において生じた廃棄PETの再研削品を使用することができる。さらに、PETボトルを砕片、粉末、ペレットまたはフレークに物理的かつ機械的に粉砕することによって得られた使用後のPET廃棄物フレーク、PET粉砕物および粉末は、本発明の液体ポリエステル樹脂に使用するのに好適である。さらに、PET糸、PET衣類、PET保護フィルム、およびPET包装材料からリサイクルされたPETも同様に使用することができる。
【0027】
特定の態様において、本発明は、以下のステップを含む液体ポリエステル樹脂の製造方法を提供する:
a)1種以上のモノアルコールおよび/またはポリオールとのアルコール分解反応を介して未使用、スクラップ、リサイクルまたは再生ポリエチレンテレフタレート(PET)を解重合するステップと、
b)ステップa)で得られたポリオールオリゴマーを1種以上の植物油、脂肪酸アルキルエステル、または油変性アルキド樹脂で、エステル交換するステップと、
c)1つ以上の酸または無水物との反応を介して、ステップb)の油変性ポリオールオリゴマーを再重合させるステップ。
【0028】
最終樹脂の色は、通常、液体ポリエステル樹脂の合成、ならびに印刷インキおよびコーティング、ならびにオーバープリントワニスの配合に使用される植物油の通常の薄茶色から暗褐色によって支配されていることから、混合されており、高度に着色されたPETでも許容され得ることは、本発明の利点である。着色されているフレーク状のボトルのPET廃棄物は、リサイクルPETボトルの大部分を占めており、こうした廃棄物は、生態学的および経済的観点から特に有用である。
解重合(ステップA):
【0029】
解重合ステップでは、一価アルコールおよび/またはグリコールおよび/または他の多価アルコールがPETを溶解し、アルコールと反応することにより分子量が低下する。急速な解重合の観点からは、1個または2個のヒドロキシル基を有する一級構造を有する一価および/または多価アルコールが好ましい。2種以上の一価および/または多価アルコールのうちの1つまたはこれらの組合せを使用することができる。
【0030】
好適な多価アルコールとしては、これらに限定されないが、デカノール、1,2-エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ポリエチレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、エトキシル化ネオペンチルグリコール、プロポキシル化ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、エトキシル化ビスフェノール-A、水素化ビスフェノール-A、またはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などの二価アルコールなどが挙げられる。
【0031】
好適な多価アルコールとしては、これらに限定するものではないが、グリセロール、トリメチロールプロパン、エトキシル化トリメチロールプロパン、プロポキシル化トリメチロールプロパン、プロポキシル化グリセロール、ペンタエリトリトール、エトキシル化ペンタエリトリトール、プロポキシル化ペンタエリトリトール、ジ-トリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、エトキシル化ジペンタエリトリトール、またはソルビトールなどの三官能基以上の多価アルコールが挙げられる。
【0032】
PETの解重合のための一価または多価アルコールは、分子設計および必要な性能に応じて適切に選択される。必要に応じて、2種以上の一価および/または多価アルコールを組み合わせて使用してもよい。
【0033】
解重合ステップにおける、すべての一価および/または多価アルコールの合計に対するPET材料の好ましい比(重量)は、20:1~1:10、好ましくは15:1~5:1の範囲である。例えば、PET対多価アルコールの比は20:1、または15:1、または10:1、または5:1、または2:1、または1:1、または1:2、または1:5、または1:10である。
【0034】
一価および/または多価アルコール(複数可)によるPET解重合は、好ましくは160℃~270℃、好ましくは190℃~250℃、より好ましくは215℃~235℃の温度で実施される。例えば、解重合は、約160℃~約260℃、または約160℃~約250℃、または約160℃~約225℃、または約160℃~約200℃、または約160℃~約175℃、または約170℃~約270℃、または約170℃~約260℃、または約170℃~約250℃、または約170℃~約225℃、または約170℃~約200℃、または約190℃~約270℃、または約190℃~約260℃、または約190℃~約250℃、または約190℃~約225℃、または約190℃~約200℃の温度で行われ得る。
【0035】
解重合ステップは、約2~12時間、好ましくは2~4時間、または固体のPET-一価および/もしくは多価アルコール混合物が透明もしくは均質な混合物、または目に見えないPET粒子を含む溶融溶液に転換するまで行われる。例えば、解重合ステップは、約2時間~約10時間、または約2時間~約8時間、または約2時間~約6時間実行され得る。
【0036】
好ましくは、解重合を促進するために触媒が使用される。好適な触媒の例としては、酢酸亜鉛などの有機塩、チタンアルコキシドなどのアルコキシド、または金属のキレートが挙げられる。樹脂の物性を損なわないように触媒の種類および量を決定することが好ましい。この観点から、好ましい触媒はチタンまたはスズ化合物、特にチタンアルコキシド、例えばチタンテトライソプロピラートまたはチタン(IV)-テトラブトキシドである。触媒の好ましい量は、解重合混合物(すなわち、PET+多価アルコール(複数可)+触媒)の総重量を基準として、0.01重量%~2.50重量%である。例えば、触媒の量は、0.01%~2.25%、または約0.01%~約2%、または約0.01%~約1.5%、または約0.01%~約1%、または約0.01%~約0.5%、または約0.01%~約0.1%、または約0.1%~約2.50%、または約0.1%~約2.25%、または約0.1%~約2%、または約0.1%~約1.5%、または約0.1%~約1%、または約0.1%~約0.5%、または約0.5%~約2.5%、または約0.5%~約2.25%、または約0.5%~約2%、または約0.5%~約1.5%、または約0.5%~約1%であってもよい。解重合反応は、大気圧、亜大気圧、または過大気圧で行うことができるが、好ましくは大気圧で実施する。アルコール分解ステップは、好ましくは、PETのオリゴマーへの解重合を促進する目的で、反応混合物から一価および/または多価アルコールを除去することなく実施される。添加は、PETを最初に溶融し、次いで反応させる、またはペレットなどのPETを高温の沸騰している一価および/または多価アルコールに供給する順序で行ってもよい。
【0037】
得られるPET解重合生成物(PETポリオール)の範囲は、標準的な条件において、使用される一価および/または多価アルコールの量および種類に依存して高分子ガラスから粘性液体までである。色は、使用されるPET材料の品質に強く依存する。リサイクルPETの品質が非常に悪い場合、例えばある程度の不溶性不純物を含む多色ボトルの使用後PETスクラップ(ボトルの紙ラベルまたはボトルの機械切断の過程で収集されたカップの摩擦落ち部分)では、PET解重合生成物は、ステップ(A)の後、高温、例えば150℃以上で濾過することができ、好ましくは、ステップ(C)の後、合成の最後に濾過を行う。
エステル交換(ステップB):
【0038】
ステップ(B)において、ステップ(A)で得られたPET解重合生成物を植物油、脂肪酸アルキルエステルまたはアルキド樹脂でエステル交換して油変性ポリエステルポリオールにする。エステル交換は、好ましくは160℃~270℃、より好ましくは230℃~260℃、最も好ましくは240℃~250℃の範囲の温度で実施される。例えば、エステル交換反応は、160℃~260℃、または160℃~250℃、または160℃~240℃、または160℃~230℃、または160℃~200℃、または160℃~180℃、または200℃~270℃、または200℃~260℃、または200℃~250℃、または200℃~230℃、または220℃~270℃、または220℃~260℃、または220℃~250℃、または220℃~230℃、または230℃~270℃、または230℃~260℃、または230℃~250℃、または240℃~270℃、または240℃~260℃、または240℃~250℃の温度で行われ得る。
【0039】
エステル交換反応は、典型的には約2~12時間、好ましくは2~5時間行われる。例えば、エステル交換は2~10時間、または2~8時間、または2~5時間、または2~3時間行うことができる。
【0040】
エステル交換に使用される油の例は、1種以上の乾性油、半乾性油、または非乾性油であり得る。好適な油の例としては、これらに限定するものではないが、アーモンド油、カカオ油、ククイ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、ココナツ油、コーン油、綿実油、ブドウ種子油、麻実油、アマニ油、オリーブ油、パーム核油、落花生油、菜種油、米ぬか油、ベニバナ油、ヒマワリ油、ゴマ油、大豆油、トール油、桐油、クルミ油、これらの組み合わせ、および脂肪酸アルキルエステルなどの脂肪酸エステルが挙げられる。
【0041】
あるいは、油は、例えば、菜種メチルエステル、菜種イソプロピルエステル、カプリル酸メチルエステル、カプリン酸イソプロピルエステル、ラウリル酸メチルエステル、ミリスチン酸メチルエステル、パルミチン酸メチルエステル、ステアリン酸メチルエステル、オレイン酸エチルエステル、エルカ酸メチルエステル、リシノール酸メチルエステル、リノール酸エチルエステル、リノレン酸メチルエステルまたはパルミチン酸イソプロピルエステルなどの1種以上の脂肪酸アルキルエステルであってもよい。
【0042】
油成分は、油変性アルキド樹脂を介して導入することもできる。アルキドは、脂肪酸および他の成分の添加によって変性されたポリエステルである。本発明の樹脂およびインキにおいて、存在するアルキドは、典型的には1,000~約20,000ダルトンの範囲の分子量を有する。
【0043】
アルキドは、例えば、多価アルコールと酸または無水物との反応生成物であり得る。アルキドは、飽和または不飽和脂肪酸、好ましくは植物および植物油で変性させ得る。このような脂肪酸の非限定的な例としては、セバチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リノール酸、リノエライド酸(linoelaidic acid)、エレオステアリン酸、チムノドン酸、アラキドン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、バーサチック酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
再重合(ステップC):
【0044】
最後のステップでは、反応したPETを含有する油変性ポリエステルポリオールを、一価または多塩基酸または無水物とさらに反応させて、分子量を調節(通常は上昇)させ、ヒドロキシル基含有量を調節する(通常は低下させる)。
【0045】
好適な量の一塩基性および/または多塩基酸誘導体(複数可)を容易に添加するために、エステル交換生成物は、任意により、ステップ(B)の後に150℃以下まで冷却させる。これはまた、例えば無水フタル酸などのモノマーの昇華を回避する。
【0046】
ステップ(C)で使用することができる多塩基性カルボン酸としては、典型的には、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和多塩基二酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族飽和多塩基酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などの芳香族飽和多塩基酸などが挙げられる。
【0047】
好ましい酸誘導体は、ジカルボキシ芳香族カルボン酸無水物である。好適な無水物としては、これらに限定するものではないが、フタル酸無水物(PA)、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)、テトラヒドロフタル酸無水物、1,2-ヘキサヒドロフタル酸無水物、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ナジン酸無水物、およびトリメリト酸無水物、およびそれらの組み合わせが挙げられる。多塩基性カルボン酸誘導体、特にPAおよびMHHPAの混合物もあらゆる比で使用することができる。あるいは、テレフタル酸ジメチルエステルなどの芳香族アルキルエステルを使用することもできる。
【0048】
一塩基性および/または多塩基性酸は、通常、全反応物の総重量を基準にして、1~50重量%、好ましくは2~25重量%の量で添加される。例えば、多塩基酸は、1%~45%、または1%~40%、または1%~35%、または1%~30%、または1%~25%、または1%~20%、または1%~15%、または1%~10%、または1%~5%、または2%~50%、または2%~45%、または2%~40%、または2%~35%、または2%~30%、または2%~25%、または2%~20%、または2%~15%、または2%~10%、または2%~5%、または5%~50%、または5%~45%、または5%~40%、または5%~35%、または5%~30%、または5%~25%、または5%~20%、または5%~15%、または5%~10%の量で添加され得る。必要に応じて、安息香酸などの単官能酸を粘度調整および分子量制御のために添加することもできる。
【0049】
反応が、180℃~270℃で行われ、脱水重縮合反応を開始させることが好ましい。例えば、反応は、180℃~260℃、または180℃~250℃、または180℃~240℃、または180℃~230℃、または180℃~220℃、または180℃~210℃、または180℃~200℃、または200℃~270℃、または200℃~260℃、または200℃~250℃、または200℃~240℃、または200℃~230℃、または200℃~220℃、または200℃~210℃で実行され得る。この反応は、好ましくは、反応雰囲気が不活性ガス、例えば窒素で十分に置換された後に行われる。縮合の間、水は反応混合物から除去される。形成された水を除去するのを助けるためには、ガス流が有利である。反応は、好ましくは、ステップ(A)および(B)と同じ容器中で、かつステップ(A)および(B)の後にいかなる後処理も行わずに行われる。反応は触媒なしで行うことができるが、ほとんどの場合、ステップ(B)の後に反応混合物中に残る任意の量の触媒は、変換時間を短縮するのに好適である。そうでない場合には、さらなる触媒が添加される。好適な触媒は、ステップ(A)および(B)で列挙したものと同じ触媒であるが、必須ではないが、(A)と同じ触媒が、このステップにおいて使用される。任意により、分子量を増やし、水および残留物を除去するために、50,000~1,000Pa、より好ましくは20,000~500Paの好ましい圧力で真空を適用する。
【0050】
反応は、酸価が所望の値に低下するまで行われる。好ましくは、液体ポリエステル樹脂の酸価は、1~50mgKOH/g、より好ましくは2~10mgKOH/gである。例えば、液体ポリエステル樹脂の酸価は、1~45mgKOH/g、または1~40mgKOH/g、または1~35mgKOH/g、または1~30mgKOH/g、または1~25mgKOH/g、または1~20mgKOH/g、または1~15mgKOH/g、または1~10mgKOH/g、または1~5mgKOH/g、または1~2mgKOH/g、または2~50mgKOH/g、または2~45mgKOH/g、または2~40mgKOH/g、または2~35mgKOH/g、または2~30mgKOH/g、または2~25mgKOH/g、または2~20mgKOH/g、または2~15mgKOH/g、または2~10mgKOH/g、または2~5mgKOH/g、または5~50mgKOH/g、または5~45mgKOH/g、または5~40mgKOH/g、または5~35mgKOH/g、または5~30mgKOH/g、または5~25mgKOH/g、または5~20mgKOH/g、または5~15mgKOH/g、または5~20mgKOH/gであってもよい。
【0051】
形成されたポリエステル樹脂は明瞭で透明な液体から高粘度のペースト状樹脂までの範囲である。樹脂は、典型的には、1~500パスカル秒(Pa・s)の粘度を有する。例えば、樹脂は、1~450Pa・s、または1~400Pa・s、または1~350Pa・s、または1~300Pa・s、または1~250Pa・s、または1~200Pa・s、または1~150Pa・s、または1~100Pa・s、または1~50Pa・s、または2~500Pa・s、または2~450Pa・s、または2~400Pa・s、または2~350Pa・s、または2~300Pa・s、または2~250Pa・s、または2~200Pa・s、または2~100Pa・s、または5~500Pa・s、または5~450Pa・s、または5~400Pa・s、または5~350Pa・s、または5~300Pa・s、または5~250Pa・s、または5~200Pa・s、または5~150Pa・s、または5~100Pa・sの粘度を有し得る。
【0052】
液体ポリエステル樹脂は、典型的には800~5000ダルトンの数平均分子量を有する。例えば、樹脂は、800~4500ダルトン、または800~4000ダルトン、または800~3500ダルトン、または800~3000ダルトン、または800~2500ダルトン、または800~2000ダルトン、または800~1500ダルトン、または800~1000ダルトン、または1000~5000ダルトン、または1000~4500ダルトン、または1000~4000ダルトン、または1000~3500ダルトン、または1000~3000ダルトン、または1000~2500ダルトン、または1000~2000ダルトンの数平均分子量を有し得る。
【0053】
液体ポリエステル樹脂は、典型的には1500~10,000ダルトンの重量平均分子量を有する。例えば、樹脂は、1500~9500ダルトン、または1500~9000ダルトン、または1500~8500ダルトン、または1500~8000ダルトン、または1500~7500ダルトン、または1500~7000ダルトン、または1500~6500ダルトン、または1500~6000ダルトン、または1500~5500ダルトン、または1500~5000ダルトン、または1500~4500ダルトン、または1500~4000ダルトン、または1500~3500ダルトン、または1500~3000ダルトン、または1500~2500ダルトン、または1500~2000ダルトン、または2000~10,000ダルトン、または2000~9500ダルトン、または2000~9000ダルトン、または2000~8500ダルトン、または2000~8000ダルトン、または2000~7500ダルトン、または2000~7000ダルトン、または2000~6500ダルトン、または2000~6000ダルトン、または2000~5500ダルトン、2000~5000ダルトン、または2000~4500ダルトン、または2000~4000ダルトン、または2000~3500ダルトン、または2000~3000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。
【0054】
樹脂の色は、PET材料の質、ならびに植物油および/または脂肪酸アルキルエステルの色に依存する。
【0055】
通常、形成されたPETポリエステルは、トルエン、芳香族および脂肪族鉱油、植物油、脂肪酸アルキルエステルおよびトリグリセリドに可溶性である。合成に使用されるPETの含有量は、全成分の総重量を基準にして、最大で60重量%であり得る。60重量%を超えると、上記溶媒中で所望の優れた溶解性が著しく低下し、酢酸エチルおよびアセトンなどの高極性溶媒中でのみ可溶性になる。例えば、PETは、1重量%~60重量%、または1重量%~55重量%、または1重量%~50重量%、または1重量%~45重量%、または1重量%~40重量%、または1重量%~35重量%、または1重量%~30重量%、または1重量%~25重量%、または1重量%~20重量%、または1重量%~15重量%、または1重量%~10重量%、または1重量%~5重量%、または5重量%~60重量%、または5重量%~55重量%、または5重量%~50重量%、または5重量%~45重量%、または5重量%~40重量%、または5重量%~35重量%、または5重量%~30重量%、または5重量%~25重量%、または5重量%~20重量%、または5重量%~15重量%、または5重量%~10重量%の量で使用してもよい。
【0056】
本発明の方法は、例えば、押出機中でバッチ方式または連続方式で実施することができる。任意により、解重合(A)、エステル交換(B)、および予備重合(C)の反応ステップは、例えば窒素または二酸化炭素などの不活性雰囲気下で行われる。
【0057】
本発明の方法は、未使用、スクラップ、リサイクルまたは再生PETを、平版印刷インキなどのインキおよびコーティング組成物のために付加価値のある材料である液体ポリエステル樹脂に容易に変換する。本発明の液体ポリエステル樹脂は、例えば、平版印刷枚葉インキ、ヒートセットインキ、およびコールドセットインキ、凸版印刷インキ、ならびに平版印刷オーバープリントワニスにおける使用に好適であり、インキ中の持続可能な原料の全体量が増す。
インキおよびコーティング組成物、ならびにオーバープリントワニス
【0058】
本発明に従って調製されたPETベースのポリエステルを含有する本発明のインキおよびコーティング組成物は、当該分野で公知である典型的な手順を用いて、通常は乾式粉砕によって、または塩基もしくはフラッシュを用いて製造される。インキの典型的な製造手順では、乾燥顔料の必要量を、すべての顔料を湿潤させるのに十分な時間ミキサー内で、本発明の油変性PET-ポリエステル、鉱油および植物油、フェノール系ロジン樹脂または炭化水素樹脂などの硬質樹脂を含有するアルキド樹脂およびワニス、および添加剤と混合する(プレミックス)。次いで、プレミックスを三本ロールミル(または他の粉砕ミルで、約1~5MPaの圧力、約20℃~約40℃の温度で、所望の粉砕仕様が満たされるまで粉砕する。最後に、必要に応じて、混練後のステーションで粘度、タックおよび流量を調整することができる。
【0059】
本発明の液体ポリエステル樹脂は、典型的には、インキ組成物もしくはコーティング組成物、またはオーバープリントワニス中に、インキもしくはコーティング組成物、またはオーバープリントワニスの総重量を基準にして、約1重量%~約60重量%の量で存在する。例えば、液体ポリエステル樹脂は、約1重量%~55重量%、または1重量%~50重量%、または1重量%~45重量%、または1重量%~40重量%、または1重量%~35重量%、または1重量%~30重量%、または1重量%~25重量%、または1重量%~20重量%、または1重量%~15重量%、または1重量%~10重量%、または1重量%~5重量%、または5重量%~60重量%、または5重量%~55重量%、または5重量%~50重量%、または5重量%~45重量%、または5重量%~40重量%、または5重量%~35重量%、または5重量%~30重量%、または5重量%~25重量%、または5重量%~20重量%、または5重量%~15重量%、または5重量%~10重量%の量でインキもしくはコーティング組成物、またはオーバープリントワニス中に存在し得る。
【0060】
本発明のインキおよびコーティング組成物は、染料の形態の1種以上の着色剤または内部に分散される有機または無機顔料を含有することができる。好適な染料としては、これらに限定されるものではないが、アゾ染料、アントラキノン染料、キサンテン染料、アジン染料、およびこれらの組み合わせが挙げられる。好適な顔料としては、これらに限定されるものではないが、以下が挙げられる:ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー63、ピグメントイエロー65、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー75、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー98、ピグメントイエロー106、ピグメントイエロー111、ピグメントイエロー114、ピグメントイエロー121、ピグメントイエロー126、ピグメントイエロー127、ピグメントイエロー136、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー174、ピグメントイエロー176、ピグメントイエロー188、ピグメントイエロー194、ピグメントオレンジ5、ピグメントオレンジ13、ピグメントオレンジ16、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ36、ピグメントオレンジ61、ピグメントオレンジ62、ピグメントオレンジ64、ピグメントレッド2、ピグメントレッド9、ピグメントレッド14、ピグメントレッド17、ピグメントレッド22、ピグメントレッド23、ピグメントレッド37、ピグメントレッド38、ピグメントレッド41、ピグメントレッド42、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド81:1、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド170、ピグメントレッド184、ピグメントレッド210、ピグメントレッド238、ピグメントレッド266、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー61、ピグメントグリーン7、ピグメントグリーン36、ピグメントバイオレット1、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23、ピグメントブラック7、およびこれらの組合せ。無機顔料の非限定的例としては、酸化鉄、二酸化チタン、酸化クロム、フェロシアン化第二鉄アンモニウム、酸化第二鉄ブラック、ピグメントブラックナンバー7および/またはピグメントホワイトナンバー6および7が挙げられる。他の有機および無機の顔料および染料、ならびに所望の色を達成する組み合わせを使用することもできる。
【0061】
染料および有機顔料は、典型的には、インキまたはコーティング組成物中に、インキまたはコーティング組成物の総重量を基準にして、約0.1重量%~約30重量%の量で存在する。例えば、染料および有機顔料は、約0.1重量%~約25重量%、または0.1重量%~20重量%、または0.1重量%~15重量%、または0.1重量%~10重量%、または0.1重量%~5重量%、または0.1重量%~1重量%、または0.5重量%~30重量%、または0.5重量%~25重量%、または0.5重量%~20重量%、または0.5重量%~15重量%、または0.5重量%~10重量%、または0.5重量%~5重量%、または0.5重量%~1重量%、または1重量%~30重量%、または1重量%~25重量%、または1重量%~20重量%、または1重量%~15重量%、または1重量%~10重量%、または1重量%~5重量%、または5重量%~30重量%、または5重量%~25重量%、または5重量%~20重量%、または5重量%~15重量%、または5重量%~10重量%の量で存在し得る。
【0062】
無機顔料は、典型的には、インキまたはコーティング組成物中に、インキまたはコーティング組成物の総重量を基準にして、約0.1重量%~約40重量%の量で存在する。例えば、無機顔料は、約0.1重量%~約35重量%、または0.1重量%~30重量%、0.1重量%~約25重量%、または0.1重量%~20重量%、または0.1重量%~15重量%、または0.1重量%~10重量%、または0.1重量%~5重量%、または0.1重量%~1重量%、または0.5重量%~40重量%、または0.5重量%~35重量%、または0.5重量%~30重量%、または0.5重量%~25重量%、または0.5重量%~20重量%、または0.5重量%~15重量%、または0.5重量%~10重量%、または0.5重量%~5重量%、または0.5重量%~1重量%、または1重量%~40重量%、または1重量%~35重量%、または1重量%~30重量%、または1重量%~25重量%、または1重量%~20重量%、または1重量%~15重量%、または1重量%~10重量%、または1重量%~5重量%、または5重量%~40重量%、または5重量%~35重量%、または5重量%~30重量%、または5重量%~25重量%、または5重量%~20重量%、または5重量%~15重量%、または5重量%~10重量%の量で存在し得る。
【0063】
本発明のインキおよびコーティング組成物またはオーバープリントワニスは、1種以上のアルキド樹脂、植物油、鉱油、または脂肪酸アルキルエステル、または硬質樹脂のワニスを含有し得る。硬質樹脂は、典型的には、本発明の目的のために、好ましくは、基材への塗布後に室温で不粘着性膜を形成する天然または合成のアモルファス材料である。これらの材料のほとんどは、オリゴマーまたはポリマーである。本発明の液体油変性PETポリエステル樹脂と相溶性であり、かつ/またはこれらに可溶性である硬質樹脂、油およびアルキド樹脂は、本発明のインキおよびコーティング組成物またはオーバープリントワニスに使用することができる。好ましい硬質樹脂の例としては、アビエチン酸、レボピマル酸、ネオアビエチン酸、パルストリン酸、デヒドロアビエチン酸、ピマル酸およびイソピマル酸の誘導体など、種々の異性体および異なる化学構造からなるロジン樹脂誘導体が挙げられる。ロジン誘導体は無水マレイン酸またはフマル酸で変性され、グリセロールおよびペンタエリトリトールなどのポリオールまたはフェノール系ロジン樹脂によりエステル化され得る。硬質樹脂は、炭化水素樹脂または変性脂肪族、芳香族またはハイブリッド炭化水素樹脂またはロジン樹脂であってもよく、好ましくはフェノール系ロジン樹脂である。
【0064】
存在する場合、アルキド樹脂は、典型的には、インキおよびコーティング組成物、またはオーバープリントワニス中に、インキもしくはコーティング組成物、またはオーバープリントワニスの総重量を基準にして、約0.1重量%~約30重量%の量で存在する。例えば、アルキド樹脂は、約0.1重量%~約25重量%、または0.1重量%~20重量%、または0.1重量%~15重量%、または0.1重量%~10重量%、または0.1重量%~5重量%、または0.1重量%~1重量%、または0.5重量%~30重量%、または0.5重量%~25重量%、または0.5重量%~20重量%、または0.5重量%~15重量%、または0.5重量%~10重量%、または0.5重量%~5重量%、または0.5重量%~1重量%、または1重量%~30重量%、または1重量%~25重量%、または1重量%~20重量%、または1重量%~15重量%、または1重量%~10重量%、または1重量%~5重量%、または5重量%~30重量%、または5重量%~25重量%、または5重量%~20重量%、または5重量%~15重量%、または5重量%~10重量%の量で、インキおよびコーティング組成物、またはオーバープリントワニス中に存在し得る。
【0065】
存在する場合、植物油は、典型的には、インキおよびコーティング組成物、またはオーバープリントワニス中に、インキもしくはコーティング組成物、またはオーバープリントワニスの総重量を基準にして、約0.1重量%~約40重量%の量で存在する。例えば、植物油は、約0.1重量%~約35重量%、または0.1重量%~30重量%、0.1重量%~約25重量%、または0.1重量%~20重量%、または0.1重量%~15重量%、または0.1重量%~10重量%、または0.1重量%~5重量%、または0.1重量%~1重量%、または0.5重量%~40重量%、または0.5重量%~35重量%、または0.5重量%~30重量%、または0.5重量%~25重量%、または0.5重量%~20重量%、または0.5重量%~15重量%、または0.5重量%~10重量%、または0.5重量%~5重量%、または0.5重量%~1重量%、または1重量%~40重量%、または1重量%~35重量%、または1重量%~30重量%、または1重量%~25重量%、または1重量%~20重量%、または1重量%~15重量%、または1重量%~10重量%、または1重量%~5重量%、または5重量%~40重量%、または5重量%~35重量%、または5重量%~30重量%、または5重量%~25重量%、または5重量%~20重量%、または5重量%~15重量%、または5重量%~10重量%の量で存在し得る。
【0066】
存在する場合、硬質樹脂のワニスは、典型的には、インキおよびコーティング組成物、またはオーバープリントワニス中に、インキもしくはコーティング組成物、またはオーバープリントワニスの総重量を基準にして、約0.1重量%~約30重量%の量で存在する。例えば、硬質樹脂のワニスは、約0.1重量%~約25重量%、または0.1重量%~20重量%、または0.1重量%~15重量%、または0.1重量%~10重量%、または0.1重量%~5重量%、または0.1重量%~1重量%、または0.5重量%~30重量%、または0.5重量%~25重量%、または0.5重量%~20重量%、または0.5重量%~15重量%、または0.5重量%~10重量%、または0.5重量%~5重量%、または0.5重量%~1重量%、または1重量%~30重量%、または1重量%~25重量%、または1重量%~20重量%、または1重量%~15重量%、または1重量%~10重量%、または1重量%~5重量%、または5重量%~30重量%、または5重量%~25重量%、または5重量%~20重量%、または5重量%~15重量%、または5重量%~10重量%の量で存在し得る。
【0067】
本発明のインキおよびコーティング組成物、およびオーバープリントワニスは、印刷されたインキまたはコーティング組成物の流量、表面張力、光沢、顔料濡れおよび磨耗および耐溶剤性を改変するために、通常の添加剤のうちの1種以上をさらに含み得る。このような添加剤は、典型的には、界面活性剤、ワックス、貯蔵寿命安定剤など、およびこれらの組み合わせである。これらの添加剤は、レベリング剤、貯蔵寿命安定剤、湿潤剤、スリップ剤、流動剤、分散剤、および脱気剤として機能し得る。存在する場合、添加剤は、典型的には、インキもしくはコーティング組成物、またはオーバープリントワニスの総重量を基準にして、約0.1重量%~約5重量%の量で存在する。例えば、1つ以上の添加剤は、約0.1重量%~約4.5重量%、または約0.1重量%~約4重量%、または約0.1重量%~約3.5重量%、または約0.1重量%~約3重量%、または約0.1重量%~約2.5重量%、または約0.1重量%~約2重量%、または約0.1重量%~約1.5重量%、または約0.1重量%~約1重量%、または約0.1重量%~約0.5重量%、または約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4.5重量%、または約0.5重量%~約4重量%、または約0.5重量%~約3.5重量%、または約0.5重量%~約3重量%、または約0.5重量%~約2.5重量%、または約0.5重量%~約2重量%、または約0.5重量%~約1.5重量%、または約0.5重量%~約1重量%の量で存在し得る。
【0068】
油およびアルキド樹脂中の二重結合の早期重合を回避するために、本発明のインキおよびコーティング組成物、またはオーバープリントワニスに1種以上の酸化防止剤を添加してもよい。例示的な酸化防止剤としては、アスコルビン酸、アスタキサンチン、カロチン、クロマン(3,4-ジヒドロ-2H-1-ベンゾピラン)、ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナマート)、オクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロ-シンナマート、ビタミンEおよびビタミンE類似体、モノ-tert-ブチルヒドロキノン(MTBHQ)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、1,4-ジヒドロキシベンゼン(HQ)、および6,6’-ジ-tert-ブチル-2,2’-メチレン-ジ-p-クレゾールが挙げられる。好ましい酸化防止剤は、MTBHQおよびBHTである。存在する場合、酸化防止剤は、典型的には、インキもしくはコーティング組成物、またはオーバープリントワニスの総重量を基準にして、約0.1重量%~約5重量%の量で存在する。例えば、酸化防止剤は、約0.1重量%~約4.5重量%、または約0.1重量%~約4重量%、または約0.1重量%~約3.5重量%、または約0.1重量%~約3重量%、または約0.1重量%~約2.5重量%、または約0.1重量%~約2重量%、または約0.1重量%~約1.5重量%、または約0.1重量%~約1重量%、または約0.1重量%~約0.5重量%、または約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4.5重量%、または約0.5重量%~約4重量%、または約0.5重量%~約3.5重量%、または約0.5重量%~約3重量%、または約0.5重量%~約2.5重量%、または約0.5重量%~約2重量%、または約0.5重量%~約1.5重量%、または約0.5重量%~約1重量%の量で存在し得る。
【0069】
油およびアルキドの乾燥を加速させるために、インキもしくはコーティング組成物、またはオーバープリントワニスは、典型的には有機カルボン酸の塩などの脂肪酸塩、コバルトおよびマンガンなどの重金属の塩などの脂肪酸塩(例えば、リノール酸、ヘキサデカン酸またはオクタン酸コバルト/マンガン)など、1種の乾燥剤を含んでもよい(例えば米国特許明細書第5,156,674号、同第6,899,756号、同第7,811,367号を参照されたい)。乾燥剤は、コバルトもしくはマンガン、またはコバルト/マンガンの組み合せをベースとした乾燥剤など、市販の金属乾燥剤のいずれかであり得る。複数のコバルト/マンガン乾燥剤は、リノール酸コバルト/マンガン、ヘキサデカン酸コバルト/マンガンまたはオクタン酸コバルト/マンガンとして市販されている。コバルト非含有乾燥剤が好ましい。存在する場合、乾燥剤は、典型的には、インキもしくはコーティング組成物、またはオーバープリントワニスの総重量を基準にして、0.1重量%~約5重量%の量で存在する。例えば、乾燥剤は、約0.1重量%~約4.5重量%、または約0.1重量%~約4重量%、または約0.1重量%~約3.5重量%、または約0.1重量%~約3重量%、または約0.1重量%~約2.5重量%、または約0.1重量%~約2重量%、または約0.1重量%~約1.5重量%、または約0.1重量%~約1重量%、または約0.1重量%~約0.5重量%、または約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4.5重量%、または約0.5重量%~約4重量%、または約0.5重量%~約3.5重量%、または約0.5重量%~約3重量%、または約0.5重量%~約2.5重量%、または約0.5重量%~約2重量%、または約0.5重量%~約1.5重量%、または約0.5重量%~約1重量%の量で存在し得る。
【0070】
本発明のインキおよびコーティング組成物またはオーバープリントワニスは、これらに限定するものではないが、吸水性、ミスト化および色の濃さを調整するために、粘土、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムまたはシリカなど、通常の増量剤または充填剤をさらに含んでもよい。存在する場合、増量剤は、典型的には、インキもしくはコーティング組成物、またはオーバープリントワニスの総重量を基準にして、約0.1重量%~約30重量%の量で存在する。例えば、増量剤は、約0.1重量%~約25重量%、または0.1重量%~20重量%、または0.1重量%~15重量%、または0.1重量%~10重量%、または0.1重量%~5重量%、または0.1重量%~1重量%、または0.5重量%~30重量%、または0.5重量%~25重量%、または0.5重量%~20重量%、または0.5重量%~15重量%、または0.5重量%~10重量%、または0.5重量%~5重量%、または0.5重量%~1重量%、または1重量%~30重量%、または1重量%~25重量%、または1重量%~20重量%、または1重量%~15重量%、または1重量%~10重量%、または1重量%~5重量%、または5重量%~30重量%、または5重量%~25重量%、または5重量%~20重量%、または5重量%~15重量%、または5重量%~10重量%の量で存在し得る。
【0071】
典型的には、本発明のインキおよびコーティング組成物、およびオーバープリントワニスは、せん断速度D=50 1/sで約5~300Pa・sの粘度を有する。好ましい粘度は約20~110Pa・sである。例えば、インキおよびコーティング組成物、またはオーバープリントワニスは、約5~290Pa・s、または5~280Pa・s、または5~270Pa・s、または5~260Pa・s、または5~250Pa・s、または5~240Pa・s、または5~230Pa・s、または5~220Pa・s、または5~210Pa・s、または5~200Pa・s、または5~190Pa・s、または5~180Pa・s、または5~170Pa・s、または5~160Pa・s、または5~150Pa・s、または5~140Pa・s、または5~130Pa・s、または5~120Pa・s、または5~110Pa・s、または5~100Pa・s、または10~300Pa・s、または10~290Pa・s、または10~280Pa・s、または10~270Pa・s、または10~260Pa・s、または10~250Pa・s、または10~240Pa・s、または10~230Pa・s、または10~220Pa・s、または10~210Pa・s、または10~200Pa・s、または10~150Pa・s、または10~140Pa・s、または10~130Pa・s、または10~120Pa・s、または10~110Pa・s、または10~100Pa・s、または20~300Pa・s、または20~290Pa・s、または20~280Pa・s、または20~270Pa・s、または20~260Pa・s、または20~250Pa・s、または20~240Pa・s、または20~230Pa・s、または20~220Pa・s、または20~210Pa・s、または20~200Pa・sの粘度を有し得る。インキおよびコーティング組成物またはオーバープリントワニスの典型的な流速値は、0.5mlのインキもしくはコーティング組成物、またはオーバープリントワニスを用いて、垂直アルミニウムプレートにより測定して、15分後に約3~15cmである。
【0072】
印刷される基材は、紙、プラスチック、金属、および複合材などの任意の典型的な基材材料から構成されてもよい。好ましい基材は、印刷用紙(paper print stock)であり、典型的には刊行物、および厚紙シートまたはボードの形態の包装材料に使用される。
実施例
【0073】
以下の実施例は、本発明の特定の態様を例解するものであり、いかなる点においてもその範囲を限定することを意図するものではなく、そのように解釈されるべきではない。
液体ポリエステル樹脂の酸価の測定
【0074】
液体ポリエステル樹脂の試料0.2~1.0gを秤量して、清浄な50ml三角フラスコ中に入れ、アセトン(10~20ml)に溶解し、すべての試料物質が確実に溶解するようにした。3滴の1%アルコール性フェノールフタレイン溶液を樹脂溶液に添加した。樹脂溶液を、標準化された0.1Nアルコール性水酸化カリウム(KOH)を用いて滴定して、最初のピンク色とし、これを約15秒間持続させ、使用したKOHのml数を記録した。
【0075】
酸価は、以下に従って算出した:
【数1】
メタノール数の測定
【0076】
メタノールの相溶性は、物質の極性を示すものである。試験試料(ここでは液体ポリエステル樹脂)をまずトルエンに溶解し、次いで溶液が濁るまで無水メタノールで滴定した。本発明の液体ポリエステル樹脂の入った10%トルエン溶液を、溶液が濁った(曇った)状態になるまで純メタノールで滴定した。濁度が生じるまでのメタノールのml数をメタノール数とした。
液体ポリエステル樹脂の分子量の測定
【0077】
単分散ポリスチレン換算分子量校正標準品を備えるサイズ排除クロマトグラフィー(GPC)およびGPCカラムG1000HXL、G500HXLx1、およびG100HXLx1(Tosoh Corp.製)を用いて数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)を測定した。流速は1.0ml/分であり、溶離液はテトラヒドロフランであり、カラム温度は40℃であった。示差屈折率検出器(RI)およびUV検出器(254nm)を使用した。測定結果から多分散度を算出した。多分散度(PD)の式は、Mw/Mnである。
レオロジー特性の測定
【0078】
粘度は、D=2~100 l/sのせん断速度で、Physika 300円錐平板レオメータ(Anton Parr GmbH)により測定した。D=50 1/sでの粘度値を記録した。特に明記しない限り、粘度は25℃で測定した。円錐平板粘度は、パスカル秒(Pa・秒)として報告されている。
【0079】
ラレー粘度は、IGTラレー粘度計を用いて測定した。ラレー粘度計は、広範囲の粘性材料の粘度を決定する。この粘度計では、ある力(ロッドの重量)が表面の一方に加えられたときに、測定された粘性材料の薄膜によって分離されている2つの平行な表面の相対速度を測定する。移動は、測定された材料の粘度によって妨げられ、ある距離にわたる表面の移動時間が測定された。ラレー粘度は、結果表に示すように、ポアズ(P)またはパスカル秒(Pa・s)のいずれかで報告している。
【0080】
収率は、Physika 300cone and plate rheometer(Anton Parr GmbH)で測定した。円錐平板レオメータを使用する場合、降伏値は、せん断速度D=2 1/sで測定した粘度値であった。ラレー粘度計を用いて、降伏値をせん断速度D=2.5 1/sでとる。
【0081】
ショートネス比(shortness ratio)は、せん断速度D=2 1/sでの粘度値を、せん断速度D=50 1/sでの粘度値で割ったものとして測定した。
【0082】
流量は、垂直のアルミニウムプレート上部に1mlのインキを置き、15分以内に、インキが(重力により)プレートを下る距離をcmまたはmm単位で測定することによって測定した(結果は、表に示す)。
軟化点
【0083】
軟化点は、環球法によって(ISO 4625またはASTM E28-67/E28-99に従って)測定した。環球法は、リングに保持され、ボールが充填された硬質樹脂のディスクが所定の速度で加熱されたときに、一定の距離を流れる温度を決定することからなる。
曇り点
【0084】
曇り点は、Cloud-o-scope(IGT Company)を用いて測定した。曇り点は、加熱された均質な樹脂/油混合物が再び冷却されたときに濁り始める温度である。曇り点温度は、印刷インキ用の合成樹脂の品質管理における特徴的な値である。本明細書で使用される方法は、ASTM D6038に記載の方法に従う。
色
【0085】
色(ガードナーカラースケール)は、Helligeカラーコンパレータを用いて決定した。樹脂充填管(1×1×10cm)の色は、対応する色が樹脂色と一致するまで、規定の色スケールと比較した。
タック
【0086】
タックは、較正されたTack-o-scope装置(Model 2001)(IGT Testing Systems,Netherlands)を用いて測定した。1mlのインキを30℃でゴム分散ローラ上に置き、50rpmのローラ速度で90秒間、次いで300rpmで30秒間分散させた。次いで、タック値をローラ速度150rpmで測定した。
光沢
【0087】
光沢は、Byk-Gardnerマイクログロス計器により60°の角度で測定した。
接着性
【0088】
接着性は、テープ試験による接着力測定のための標準試験法(ASTM D3359-8、方法B)を用いて測定した。接着性は0%~100%のスケール(基材上に残っているインキの割合)でスコア付けした。100%のスコアが最良であり、100%のインキが基材上に残っていることを意味する。
実施例1リサイクル多色PETフレークをベースとした大豆油変性ポリエステル樹脂の合成
【0089】
マントルヒータ、スターラ、供水タンク、コンデンサ、および受け器を備えたステンレススチール製反応器に、リサイクル多色PETボトルフレーク(Lybra、Plastic Providers Company,US)44.3ポンド(20.094キログラム)、プロピレングリコール工業グレード(Dow Chemical)16.98ポンド(7.70キログラム)、およびチタンテトライソプロピラート(Dorf Ketal)0.44ポンド(0.199キログラム)を入れ、窒素ガスで不活性化した。その後、温度をT=230℃まで上げた。すべてのリサイクルPETが溶融したとき、撹拌を開始し、PETがすべて溶解するまで続け、約3時間を要した。次いで、固化を回避するために、64.4ポンド(29.21キログラム)の精製大豆油(Oleon)を温度が200℃未満まで下がらないような速度で加えた。15分後、すべての油を加え、温度をT=240℃まで上げ、2時間撹拌しながら保持した。次いで、温度を150℃まで下げ、21.5ポンド(9.75キログラム)の無水フタル酸を加えた。1時間後、温度をゆっくりと250℃まで上げ、わずかな真空(200~500mbar)を加えた。留出物(約2.8ポンド(1.27キログラム))の回収中に、酸価が12mgKOH/gに達するまで反応を続けた。次いで、熱い樹脂が排出され、150μmのフィルターバッグを通して濾過し、ドラムで処理した。
特徴付け:
酸価:12mgKOH/g
粘度:25℃で23Pa・s
ガードナーカラー:12
分子量(Mn/Mw):1350/2750
実施例2リサイクル多色PET粉砕を用いた大豆油変性ポリエステル樹脂の合成
【0090】
マントルヒータ、スターラ、供水タンク、コンデンサ、および受け器を備えたガラス反応器に、熱洗浄済みのリサイクル多色PETボトル粉砕(STF-微粉、STF-リサイクル)100.0g、プロピレングリコール(Aldrich)40.0g、およびチタンテトライソプロピラート(Dorf Ketal)1.0gを入れ、窒素ガスで不活性化した。その後、温度をT=230℃まで上げた。すべてのリサイクルPETが溶融したとき、撹拌を開始し、PETがすべて溶解するまで続け、約3時間を要した。次いで、固化を回避するために、150.0gの精製大豆油(Oleon)を温度が200℃未満まで下がらないような速度で加えた。5分後、すべての油を加え、温度をT=240℃まで上げ、2時間撹拌しながら保持した。次いで、温度を150℃まで下げ、50.0gの無水フタル酸を加えた。1時間後、温度をゆっくりと250℃まで上げ、わずかな真空(200~500mbar)を加えた。留出物の回収中に、酸価が10mgKOH/gに達するまで反応を続けた。次いで、熱い樹脂が排出され、100μmの金属メッシュを通して濾過した。
特徴付け:
酸価:9mgKOH/g
粘度:25℃で26Pa・s
ガードナーカラー:12~13
分子量(Mn/Mw):2050/4750
実施例3~5リサイクルされた透明PETペレットをベースとした大豆油変性ポリエステル樹脂の一貫性
【0091】
実施例3~5は、ポリエステル糸用のリサイクルされた透明で無色のPETペレット(WSR 484、WSRリサイクル)をPETボトル粉砕の代わりに使用したことを除いて、実施例2と同じ方法で調製した。得られた樹脂の特性を表1に示す。
【表1】
【0092】
表1に示すように、本発明の液体ポリエステル樹脂は、酸価、分子量および粘度の狭い規格に記載されている一貫性の高い本発明の方法によって製造することができる。
実施例6PETをベースとしたココナツ油変性ポリエステル樹脂の合成
【0093】
マントルヒータ、スターラ、供水タンク、コンデンサ、および受け器を備えたガラス反応器に、熱洗浄済みのリサイクル多色PETボトル粉砕(STF-微粉、STF-リサイクル)100.0g、プロピレングリコール(Dow Chemical)40.0g、およびチタンテトライソプロピラート(Dorf Ketal)1.0gを入れ、窒素ガスで不活性化した。その後、温度をT=230℃まで上げた。すべてのリサイクルPETが溶融したとき、撹拌を開始し、PETがすべて溶解するまで続け、約3時間を要した。次いで、固化を回避するために、150.0gのココナツ油(Oleon)を温度が200℃未満まで下がらないような速度で加えた。5分後、すべての油を加え、温度をT=240℃まで上げ、2時間撹拌しながら保持した。次いで、温度を150℃まで下げ、50.0gの無水フタル酸を加えた。1時間後、温度をゆっくりと250℃まで上げ、わずかな真空(200~500mbar)を加えた。留出物の回収中に、酸価が10mgKOH/gに達するまで反応を続けた。次いで、熱い樹脂が排出され、100μmの金属ふるいを通して濾過した。
特徴付け:
酸価:9mgKOH/g
粘度:25℃で23Pa・s
ガードナーカラー:9~10
分子量(Mn/Mw):1530/2640
実施例7PETをベースとしたアマニ油変性ポリエステル樹脂の合成
【0094】
マントルヒータ、スターラ、供水タンク、コンデンサ、および受け器を備えたガラス反応器に、リサイクル多色PETボトルフレーク(MultiPET)100.0g、プロピレングリコール(Sigma-Aldrich)40.0g、およびチタンテトライソプロピラート(Dorf Ketal)1.0gを入れ、窒素ガスで不活性化した。その後、温度をT=230℃まで上げた。すべてのリサイクルPETが溶融したとき、撹拌を開始し、PETがすべて溶解するまで続け、約3時間を要した。次いで、固化を回避するために、150.0gのアマニ油(Oleon)を温度が200℃未満まで下がらないような速度で加えた。5分後、すべての油を加え、温度をT=240℃まで上げ、2時間撹拌しながら保持した。次いで、温度を150℃まで下げ、50.0gの無水フタル酸(Sigma-Aldrich)を加えた。1時間後、温度をゆっくりと250℃まで上げ、わずかな真空(200~500mbar)を加えた。留出物の回収中に、酸価が10mgKOH/gに達するまで反応を続けた。次いで、熱い樹脂が排出され、150μmのフィルターバッグを通して濾過し、ドラムで処理した。
特徴付け:
酸価:8mgKOH/g
粘度:25℃での23Pa・s
ガードナーカラー:9
分子量(Mn/Mw):1659/3250
実施例7bPETをベースとした菜種油変性ポリエステル樹脂の合成
【0095】
マントルヒータ、スターラ、供水タンク、コンデンサ、および受け器を備えたガラス反応器に、リサイクルPET-N-特性フレーク(Kruschitz company,Austria)100.0g、プロピレングリコール(Sigma-Aldrich)40.0g、およびチタンテトライソプロピラート(Dorf Ketal)1.0gを入れ、窒素ガスで不活性化した。その後、温度をT=230℃まで上げた。すべてのリサイクルPETが溶融したとき、撹拌を開始し、PETがすべて溶解するまで続け、約3時間を要した。次いで、固化を回避するために、150.0gの菜種食用油(Aldi)を温度が200℃未満まで下がらないような速度で加えた。5分後、すべての油を加え、温度をT=245℃まで上げ、2時間撹拌しながら保持した。次いで、温度を150℃まで下げ、50.0gの無水フタル酸(Sigma-Aldrich)を加えた。1時間後、温度をゆっくりと250℃まで上げ、わずかな真空(200~500mbar)を加えた。留出物の回収中に、酸価が15mgKOH/gに達するまで反応を続けた。次いで、熱い樹脂が排出され、150μmのフィルターバッグを通して濾過し、ドラムで処理した。
特徴付け:
酸価:14mgKOH/g
粘度:21Pa・s@25℃
ガードナーカラー:5~6
分子量(Mn/Mw):1459/2950
実施例8液体ポリエステル樹脂を含有する平版印刷枚葉インキ
【0096】
実施例1の液体ポリエステル樹脂を含む4枚の平版印刷枚葉インキ、実施例8A~8D(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)を作製した。乾式粉砕を使用して、上記の一般的な手順を使用した。配合物を表2aに示す。インキ特性を表2bに示す。
【表2】
【表3】
【0097】
平版印刷インキ実施例8A~8Dは、ハイデルベルグMO4色枚葉プレスで、以下のパラメータにより評価した:
紙基材:マグナスター(115g/m2)
ファウンテン溶液:3%Sunfount 410(Sun Chemical)、7%イソプロピルアルコール
ファウンテン温度:10℃
ファウンテン導電性:1150 S/cm
ブライドローラ(Bride roller):作動
プレート:New Camif 5(Kodak)
ブランケット:Perfect Dot(Schmautz)
印刷速度:9000枚/時間
印刷時間:5000枚
【0098】
印刷されたインキは、評価するために、当業者に周知である平版印刷機で典型的なプレス性能方法によって査定された。標準的な評価方法は、「The Printing Ink Manual」Springer Press ISBN:978-0-948905-81-0などの標準的なインキ技術文献にも見出すことができる。査定された平版印刷問題のスコアは、次のスケールを使用して表3に示される:
最良(0)
非常に軽微
軽微
中程度
重要
深刻
【表4】
【0099】
平版印刷の問題の説明:
-インキの水バランスの安定性は、ファウンテン設定の変更中に安定したインキ膜の重量を維持するためのインキの能力である
-地汚れは、印刷平版の非画像領域をきれいに保つためのファウンテン溶液の不具合である。地汚れは平版から簡単に洗浄することができない。
-紙むけとは、紙の表面が粗くなること、または裂けることを意味する。通常、タックが高すぎるとヒッキー(ブランケットに付着する粒子)が目に見える。
-汚れとは、多くの場合ブランケットローラを介して、前に印刷された色、例えばイエローなど最後に印刷された色によって色が汚染されていることを意味する。
-過剰乳化とは、インキが多量のファウンテン溶液を取り込むことを意味する。
-湿し水トレイン内のインキとは、インキが湿し水ローラを介して、ファウンテンローラの方向に搬送されることを意味する。
-浮き汚れは、インキがウォーターファウンテン内で乳化していることを意味する。ピグメントはウォーターダンパーからプレート上に置かれる。浮き汚れは、版面から容易に洗い落とすことができる。
-パイリングとは、ローラ、ブランケット、および/または平板の領域にインキが堆積して、ケーキングまたはパイリングと呼ばれる乾燥したインキ蓄積を作り出すことを意味する。
-フレーミングとは、インキが「インキフレーム」のように印刷の周囲の印刷領域の外側に見出されることを意味する。
-ダクトフローは、アジテータの補助なくインキダクトを出るインキの能力である。
【0100】
平版性能に加えて、印刷品質は、機械的耐性(耐摩擦性)、光沢、ドットゲインおよび色順応性によって査定した。表4の印刷品質については、0~100(0=不良、50=許容可能、100=最良)のスコアを付与する。試験方法(サザーランド試験、光沢測定およびISO色コンプライアンスおよびドットゲイン)は、当業者に周知である。印刷評価スコアは、各群のインキの平均(すなわち、本発明のインキ8A~8Dの平均、および表3の比較インキの平均)として提示される。
【表5】
【0101】
表4に示すように、リサイクルPETを含む本発明のインキの平版印刷性能および達成可能な印刷品質は、リサイクル材料を含まないSun ChemicalのCrystalまたはDiamondインキシリーズの市販の枚葉インキに匹敵する。
実施例9液体ポリエステル樹脂を含有するイエロー平版印刷枚葉インキ
【0102】
実施例2、6、7および7bの異なるrPET樹脂を含有する8つのイエロー平版印刷枚葉インキを作製した。実施例9A~9Dでは、PET樹脂を溶解機でポスト混練した。実施例9E~9Hでは、三本ロールミルで粉砕する前に、PET樹脂を粉砕プレミックスに添加した。配合を表5aに示し、流量および粘度の基本的なインキ特性を表5bに示す。
【表6】
【表7】
【0103】
実施例9A~9Hの枚葉インキは、本発明の液体ポリエステル樹脂の汎用性を示している。植物油の種類(大豆、菜種、亜麻仁、ココナツ)、およびインキ(希釈物(9A~9D)または粉砕樹脂(9E~9H)としての本発明の樹脂)の製造手順にかかわらず、表3に記載されているインキと、平版印刷と非常に類似した挙動であるインキが得られる。
実施例10平版印刷ヒートセットインキ
【0104】
平版印刷ヒートセットインキを三本ロールミルで作製した。インキの配合を表6aに示し、基本的なインキ特性を表6bに示す。
【表8】
【表9】
【0105】
実施例10のシアンヒートセットインキを、Pruefbau印刷プルーファーによりLWC(軽量コート)紙に1.4の光学濃度で印刷し、乾燥させた。実施例10のインキの転写および光沢は、SunMagシリーズのSun Chemicalヒートセットインキに匹敵した。
実施例11平版印刷ヒートセットインキ11A~11C
【0106】
雑誌の印刷用のSun Chemical SunMagシアンヒートセットインキ(実施例11A)を実施例1の樹脂(実施例11C)5.0重量%と溶解機中で混練し、標準大豆アルキド樹脂(Lawter company)(実施例11B)5重量%を比較例として用いた。表7には、各配合物の特性を示す。
【表10】
【0107】
表7に示すように、実施例1のrPET変性アルキド樹脂の添加は、インキを「より短く」し、インキの流れを開始させる抵抗である降伏値を低下させる。したがって、実施例1の樹脂は、ヒートセットインキの粘度および流量を改変または調整するためにより少量で使用され得る。
【0108】
実施例11Cのインキ(実施例1の5%の樹脂を含む)から、Pruefbau印刷プルーファーで作製したラボプリントは、標準インキと比較して、基材への光沢および色の転写を維持している。
実施例12平版印刷コーティング/オーバープリントワニス
【0109】
平版印刷コーティング/オーバープリントワニスは、上記のように原料を混合することによって溶解機内で作製された。表8aには、平版印刷コーティング/オーバープリントワニスの配合を示し、表8bには、基本コーティング特性を示す。
【表11】
【表12】
【0110】
平版印刷コーティングを、Pruefbau印刷プルーファーによりLWC紙に印刷し、乾燥させた。光沢および接着は、Topfinish TPF 90シリーズのSun Chemical平版印刷コーティングに匹敵した(表9を参照されたい)。
【表13】
1BYK-Gardnerマイクログロス60°にて測定した。
2テープ試験(ASTM D3359)による接着力を測定するための標準試験法を用いて測定した。
【0111】
本発明の結果は、(未使用、スクラップ、リサイクルおよび/または再生PETから調製された)再生可能材料である本発明の液体ポリエステル樹脂を使用して作られたインキおよびコーティングは、再生不可能な原料から作られたインキおよびコーティングと同等か、またはそれ以上の性能を発揮することを示している。リサイクルPETを使用することで、廃棄物のコストが削減し、再生可能材料を使用することで、インキおよびコーティング組成物を調製することによるコストおよび環境への影響を低減するので、このことは重要である。
【0112】
本発明をその好ましい実施形態を含めて詳細に説明した。しかしながら、当業者は、本開示を考慮して、本発明の範囲および趣旨に含まれる本発明を修正および/または改良できることを理解されたい。