(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】窓ガラス昇降装置
(51)【国際特許分類】
E05F 11/48 20060101AFI20220624BHJP
B60J 1/17 20060101ALI20220624BHJP
E05F 15/686 20150101ALI20220624BHJP
E05F 15/689 20150101ALI20220624BHJP
【FI】
E05F11/48 C
B60J1/17 B
E05F15/686
E05F15/689
(21)【出願番号】P 2019193100
(22)【出願日】2019-10-24
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】婦木 勝彦
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実開昭64-24286(JP,U)
【文献】特開2018-71231(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0059518(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 11/00-15/79
B60J 1/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と、
窓ガラスが取り付けられる移動部材と、
前記駆動部によって巻き取りおよび繰り出しされることで前記移動部材を移動させるケーブルと、
前記窓ガラスの昇降方向のうち上昇方向側に設けられ、前記ケーブルを方向転換するプーリと、
前記プーリを支持する支持部を有するプーリブラケットと
を備え、
前記プーリブラケットの前記支持部は、前記プーリを軸支する軸支部と、前記プーリの一方の端面側と対向する対向面とを有し、
前記対向面は、前記上昇方向側の前記プーリの外周部における前記一方の端面と前記対向面との間隔が、前記軸支部側における前記一方の端面と前記対向面との間隔よりも離間するように、前記上昇方向側の端部が前記プーリの軸方向を方向成分として含む方向に延びている、窓ガラス昇降装置。
【請求項2】
前記対向面は、垂線が前記プーリの軸方向を方向成分として含む上向面を有する請求項1に記載の窓ガラス昇降装置。
【請求項3】
前記プーリブラケットの前記上昇方向側の端部は、前記プーリから離間する湾曲部を有する、請求項1または2に記載の窓ガラス昇降装置。
【請求項4】
前記プーリブラケットは、前記プーリの前記一方の端面と略平行に延びる平坦部と、前記平坦部に対して前記上昇方向側に位置し、前記プーリの一方の端面から離間する方向に延びる離間部とを有し、
前記離間部は、前記プーリのケーブル案内溝の底部よりも、前記上昇方向側の領域に形成されている、請求項1から3のいずれかに記載の窓ガラス昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ガラス昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に設けられる開閉式の窓ガラスは、車両のドアパネルに窓ガラスを開閉するウインドレギュレータを取り付けた後、ウインドレギュレータのキャリアプレートに取り付けられる。窓ガラスが取り付けられるウインドレギュレータは、窓ガラスが取り付けられるキャリアプレートと、キャリアプレートに接続されたワイヤと、ワイヤを駆動する駆動部とを有している。ワイヤは、車両の上下方向で上側となるウインドレギュレータの上端部に設けられたプーリによって方向転換される(特許文献1参照)。プーリは、ウインドレギュレータの上端部に取り付けられたプーリブラケットを介して、ウインドレギュレータに回転可能に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
窓ガラスをウインドレギュレータに接続する際、窓ガラスの下端は、ドアに取り付けられたウインドレギュレータの上端部を通過してキャリアプレートに接続される場合がある。この際に、窓ガラスの下端がプーリブラケットに衝突して、その衝撃でプーリブラケットがプーリ側に移動する場合や、窓ガラスの下端がプーリに衝突してプーリがプーリブラケット側に移動する場合がある。たとえばこのような場合において、プーリブラケットの端部にバリが生じている場合、プーリとバリとの接触によって、プーリが傷ついてしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、プーリブラケットのバリと、プーリとの衝突を抑制して、プーリの傷や破損を抑制する、窓ガラス昇降装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の窓ガラス昇降装置は、駆動部と、窓ガラスが取り付けられる移動部材と、前記駆動部によって巻き取りおよび繰り出しされることで前記移動部材を移動させるケーブルと、前記窓ガラスの昇降方向のうち上昇方向側に設けられ、前記ケーブルを方向転換するプーリと、前記プーリを支持する支持部を有するプーリブラケットとを備え、前記プーリブラケットの前記支持部は、前記プーリを軸支する軸支部と、前記プーリの一方の端面側と対向する対向面とを有し、前記対向面は、前記上昇方向側の前記プーリの外周部における前記一方の端面と前記対向面との間隔が、前記軸支部側における前記一方の端面と前記対向面との間隔よりも離間するように、前記上昇方向側の端部が前記プーリの軸方向を方向成分として含む方向に延びている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の窓ガラス昇降装置によれば、プーリブラケットのバリと、プーリとの衝突を抑制して、プーリの傷や破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態の窓ガラス昇降装置の正面図である。
【
図4】
図3に示されるプーリブラケットおよびプーリの上端近傍の拡大図である。
【
図5】
図1に示されるプーリブラケットの正面図である。
【
図6】
図5に示されるプーリブラケットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の窓ガラス昇降装置を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明の窓ガラス昇降装置は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
図1および
図2に示されるように、本実施形態の窓ガラス昇降装置1は、駆動部2と、窓ガラスWが取り付けられる移動部材3と、駆動部2によって巻き取りおよび繰り出しされることで移動部材3を移動させるケーブル4と、窓ガラスWの昇降方向のうち上昇方向側に設けられ、ケーブル4を方向転換するプーリ5と、プーリ5を支持する支持部61を有するプーリブラケット6とを備えている。本実施形態では、窓ガラス昇降装置1はさらに、移動部材3を案内するガイド部材7を備えている。
【0011】
窓ガラス昇降装置1は、所定の取付対象に取り付けられ、窓ガラスWを昇降させる。本実施形態の窓ガラス昇降装置1は、例えば、車体のドアパネルP(
図2参照)等の取付対象に取り付けられるウインドレギュレータである。窓ガラス昇降装置1は、車体のドアパネルP以外の他の取付対象に取り付けられてもよい。なお、本明細書において、窓ガラス昇降装置1の各部材に関して、窓ガラス昇降装置1が取付対象に取り付けられたときの、窓ガラスWの昇降方向のうち、窓ガラスWが上昇する方向を「上」、「上側」または「上昇方向」と呼び、窓ガラスWが下降する方向を「下」、「下側」または「下降方向」と呼ぶ。
【0012】
図1および
図2に示されるように、本実施形態の窓ガラス昇降装置1は、窓ガラス昇降装置1の下端側に駆動部2が設けられ、窓ガラス昇降装置1の上端側にプーリ5が設けられ、駆動部2とプーリ5との間に、昇降方向に沿ってガイド部材7が設けられている。しかし、窓ガラス昇降装置1の構造は、図示する構造に限定されない。窓ガラス昇降装置1は、例えば、駆動部がガイド部材7の長手方向の中央近傍に設けられたものなど、公知の他の構造を有するウインドレギュレータであってもよい。
【0013】
駆動部2は、ケーブル4を駆動する駆動源である。駆動部2は、電動でケーブル4を駆動するものであっても、手動でケーブル4を駆動するものであってもよい。本実施形態では、駆動部2は、
図1に示されるように、モータ21とドラム22とを備えている。モータ21は正逆回転可能に構成され、ドラム22を正逆回転させる。これにより、ドラム22に接続されたケーブル4は、ドラム22への巻き取りおよびドラム22からの繰り出しがされる。
【0014】
ケーブル4は、駆動部2によって操作され、ケーブル4に接続された移動部材3を昇降方向に移動させる。本実施形態では、ケーブル4は、駆動部2のドラム22および移動部材3に接続されている。本実施形態では、ケーブル4は、
図1に示されるように、第1ケーブル41と第2ケーブル42とを有している。第1ケーブル41および第2ケーブル42のそれぞれの一方の端部(図示せず)は、駆動部2(ドラム22)に接続されている。第1ケーブル41および第2ケーブル42の他方の端部は、それぞれ移動部材3に接続されている。
【0015】
本実施形態では、第1ケーブル41は上昇用ケーブルであり、駆動部2(ドラム22)からプーリ5に向かって上昇方向に延び、プーリ5によって方向転換されて移動部材3に向かって下降方向に延びている。また、本実施形態では、第2ケーブル42は下降用ケーブルであり、移動部材3から駆動部2に向かって下降方向に延びている。なお、ケーブル4は、公知のコントロールケーブルを用いることができる。また、ケーブル4は、本実施形態では2本のケーブルにより構成されているが、1本のケーブルにより構成されていてもよい。
【0016】
移動部材3はケーブル4により操作されて昇降し、移動部材3に接続された窓ガラスWを昇降させる。本実施形態では、移動部材3は、ガイド部材7に取り付けられ、ガイド部材7の長手方向に沿って移動し、窓ガラスWを昇降させている。移動部材3は、
図2に示されるように、窓ガラス接続部31を有し、窓ガラスWは、窓ガラス接続部31に直接または間接的に取り付けられる。窓ガラスWを移動部材3に取り付ける場合、例えば、窓ガラスWの下端は、ドアパネルPに取り付けられた窓ガラス昇降装置1の上端部、すなわち、プーリ5およびプーリブラケット6の側方を通過して下方に移動することによって、移動部材3に接続される。
【0017】
移動部材3は、本実施形態では、
図1に示されるように、第1ケーブル41の端部が接続される第1接続部32aと、第2ケーブル42の端部が接続される第2接続部32bとを有している。なお、移動部材3の形状や構造は、図示するものに限定されない。
【0018】
ガイド部材7は、移動部材3が所定の移動経路に沿って移動するように、移動部材3を案内する。ガイド部材7は、移動部材3および窓ガラスWを所定の移動長さで移動させるために昇降方向に所定の長さを有している。本実施形態では、
図1および
図2に示されるように、ガイド部材7の一端(上端)側には、プーリブラケット6を介してプーリ5が取り付けられ、ガイド部材7の他端(下端)側には、駆動部2が接続されている。
【0019】
ガイド部材7は、本実施形態では、移動部材3の移動経路に沿って延びる細長い板状に形成されている。また、ガイド部材7は、本実施形態では、窓ガラスWと同様に、ドアパネルPの湾曲に沿うように、ガイド部材7の長手方向に沿って弓状に湾曲している。なお、ガイド部材7は、移動部材3を所定の移動経路に沿って案内することができれば、その形状は特に限定されない。
【0020】
プーリ5は、ケーブル4の延びる方向を転換する所定の軸X(
図3参照)周りに回転する部材である。本実施形態では、プーリ5は、プーリブラケット6に回転可能に支持されている。具体的には、プーリ5は、
図3に示されるように、プーリブラケット6の支持部61に、軸部材AXを介して回転可能に取り付けられている。なお、軸部材AXの構造は、プーリ5をプーリブラケット6に対して回転可能に軸支することができれば、特に限定されない。たとえば、軸部材AXは本実施形態では、一部材で構成されているが、複数の部材によって構成されていてもよい。
【0021】
プーリ5は、
図3および
図4に示されるように、プーリブラケット6の支持部61と対向する一方の端面51と、一方の端面51とは反対側の他方の端面52と、ケーブル4を案内するケーブル案内溝53とを有している。ケーブル案内溝53は、
図3および
図4に示されるように、プーリ5の外周から、径方向内側に凹むように形成されている。なお、本明細書において、ケーブル案内溝53の径方向内側の部分をケーブル案内溝53の底部B(
図4参照)と呼び、底部Bに沿ってケーブル4が案内されている。
【0022】
プーリブラケット6は、プーリ5を支持する部材である。プーリブラケット6は、上述したように、プーリ5を支持する支持部61を有している。本実施形態では、
図3、
図5および
図6に示されるように、プーリブラケット6はさらに、ガイド部材7に固定されるガイド部材固定部62と、ドアパネルP等の取付対象に取り付けられる取付部63とを有している。本実施形態では、プーリブラケット6の上端側に支持部61が設けられ、下端側に取付部63が設けられ、支持部61と取付部63との間にガイド部材固定部62が設けられている。ガイド部材固定部62は、例えば溶接やボルトなど、公知の固定手段によってガイド部材7に固定される部位である。また、取付部63は、ボルト等の締結部材BLなどを用いて、ドアパネルP等の取付対象に取付られる部位である。
【0023】
プーリブラケット6は、本実施形態では、ガイド部材7と同程度の幅を有し、昇降方向に沿って延びる細長く形成された、折り曲げられた板状部材によって構成されている。本実施形態では、支持部61およびガイド部材固定部62は略同一面上に延び、取付部63は、ガイド部材7に対してガイド部材7の厚さ方向に離間して、支持部61およびガイド部材固定部62と略平行に延びている。
【0024】
なお、プーリブラケット6の形状および構造は図示する構造に限定されない。例えば、プーリブラケット6が、取付部63を有さずに、支持部61においてドアパネルPに取り付けられるように構成されていてもよい。例えば、支持部61の後述する対向面61bとは反対側の面61cから軸部材(軸部材AXと同様にプーリ5を軸支する部材)を突出させ、当該軸部材をドアパネルPの挿通孔に係合させることによって、プーリブラケット6がドアパネルPに取り付けられてもよい。プーリブラケット6の材料は特に限定されないが、所定の剛性を有する金属または樹脂等によって構成される。
【0025】
プーリブラケット6の支持部61は、
図3および
図4に示されるように、プーリ5を軸支する軸支部61aと、プーリ5の一方の端面51側と対向する対向面61bとを有している。支持部61は、プーリ5を支持する部位である。本実施形態では、
図1および
図3に示されるように、対向面61bの上昇方向側の端縁Eaが、プーリ5の一方の端面51とプーリ5の軸X方向で対向する位置に位置している。本実施形態では、
図1および
図5に示されるように、プーリ5を軸X方向に見たときに、支持部61の端縁Eaが、プーリ5の一方の端面51の外周部に沿って湾曲して形成されている。これにより、支持部61がプーリ5の上端からほぼ上方に突出せず、窓ガラス昇降装置1を上下方向にコンパクトにしている。
【0026】
軸支部61aは、プーリ5が軸支される部位である。本実施形態では、軸支部61aは、
図3および
図4に示されるように、軸部材AXが挿通される貫通孔Hを有しており、貫通孔Hに挿通された軸部材AXによって、プーリ5がプーリブラケット6に回転可能に支持されている。本実施形態では、プーリブラケット6に軸部材AXを取り付けることによって、プーリ5をプーリブラケット6に取り付けているが、プーリブラケット6の軸支部61aに予め軸部材AXと同様の機能を有する軸部が設けられていてもよい。
【0027】
プーリ5は、支持部61の対向面61bにプーリ5の一方の端面51が対向した状態で回転する。本実施形態では、支持部61の対向面61bにプーリ5の一方の端面51の少なくとも一部が当接して、プーリ5の回転方向に摺動する。なお、対向面61bは、支持部61のうち、プーリ5の一方の端面51と軸X方向に対向する面全体をいい、プーリ5と接触しているか否かを問わない。
【0028】
本実施形態では、対向面61bは、
図3および
図4に示されるように、上昇方向側のプーリ5の外周部における一方の端面51と対向面61bとの間隔が、軸支部61a側における一方の端面51と対向面61bとの間隔よりも離間するように、上昇方向側の端部Eがプーリの軸X方向を方向成分として含む方向に延びるように構成されている。
【0029】
ここで、対向面61bの「上昇方向側の端部E」は、対向面61bのうち、上昇方向側の端縁Eaから所定の領域をいう。本実施形態では、対向面61bの「上昇方向側の端部E」は、
図5に示されるようにプーリ5の外周部に沿って延びる湾曲した端縁Eaからの所定の領域である。本実施形態では、プーリブラケット6は、
図3および
図4に示されるように、プーリ5の一方の端面51と略平行に延びる平坦部611と、平坦部611に対して上昇方向側に位置し、プーリ5の一方の端面51から離間する方向に延びる離間部612とを有し、離間部612に端部Eが形成されている。
【0030】
また、「軸支部61a側における一方の端面51と対向面61bとの間隔」は、対向面61bの端部Eよりも軸支部61aに近い位置における、一方の端面51と対向面61bとの間の最小となる間隔をいう。たとえば、一方の端面51と対向面61bとが端部Eよりも軸支部61a側で部分的に摺動する場合は、その摺動する部位における間隔をいう。したがって、「軸支部61a側における一方の端面51と対向面61bとの間隔」は、例えば、プーリ5に肉抜穴が設けられている部分や、軸支部61aの近傍で部分的にプーリ5の厚さが薄くなっている部分などによって、一方の端面51と対向面61bとの間隔が部分的に大きくなっていたとしても、あくまで一方の端面51と対向面61bとの間の最小となる間隔である。
【0031】
また、「上昇方向側の端部Eがプーリ5の軸X方向を方向成分として含む方向に延びている」とは、対向面61bの端部Eが、軸Xに垂直な面(プーリ5の一方の端面51と平行な方向)に沿って延びておらず、軸Xに垂直な1つの面に対して離れるように延びていることをいう。本実施形態では、プーリブラケット6は、
図3および
図4に示されるように、対向面61bの端部Eにおいて、端部Eと対向する位置におけるプーリ5の一方の端面51から離れるように、湾曲または折れ曲がって傾斜して延びている。本実施形態では、端部Eにおける対向面61bは、
図4に示されるように、垂線Vがプーリ5の軸X方向を方向成分として含む上向面を有している。なお、本実施形態では、端部Eにおいて対向面61bは、湾曲面であるが、傾斜した平坦面であってもよい。また、対向面61bは、プーリブラケット6の上昇方向側の端部Eにおいて、軸Xと略平行に延びるように略垂直に折り曲げられていてもてよい。
【0032】
上述したように、プーリブラケット6の対向面61bは、一方の端面51と対向面61bとの間隔が、軸支部61a側における一方の端面51と対向面61bとの間隔よりも離間するように、上昇方向側の端部Eがプーリ5の軸X方向を方向成分として含む方向に延びるように形成されている。したがって、例えば、
図4に示されるように、プーリブラケット6の端部Eの端縁Eaに、成形、加工時にバリBRが生じた場合であっても、プーリ5の一方の端面51とバリBRとが接触することが抑制される。これにより、プーリブラケット6のバリBRと、プーリ5の一方の端面51との接触によって、プーリ5が破損することが抑制される。また、ドアパネルP等の取付対象に取り付けられた窓ガラス昇降装置1に窓ガラスWを取り付ける際に、窓ガラス昇降装置1の上端を窓ガラスWの下端が通過するときに、窓ガラスWの下端がプーリ5またはプーリブラケット6と衝突して、プーリ5とバリBRとが接触することが抑制される。したがって、本実施形態の窓ガラス昇降装置1によると、プーリ5がバリBRによって破損することが抑制される。また、プーリ5とプーリブラケット6の先端部のバリとが接触しないようにするため、プーリブラケット6の先端部がプーリ5から離れるように、プーリブラケット6の長さを長くすると、プーリブラケット6の先端部の端面と対向面61bとの角が窓ガラスWと接触して、窓ガラスWに傷が生じる虞がある。しかし、上述のように、プーリブラケット6の対向面とプーリの外周部との間隔が離間するようにすることで、プーリブラケット6の先端部の対向面が上向きに面するので、プーリブラケット6の先端部と窓ガラスWとが接触しても、窓ガラスWに傷が生じにくい。
【0033】
また、本実施形態では、
図4に示されるように、プーリブラケット6の上昇方向側の端部Eは、プーリ5から離間する湾曲部を有している。端部Eが湾曲部を有していることによって、バリBRが形成される端縁Eaの部分における、対向面61bの垂線Vは、端部Eが湾曲していない場合(たとえば、端縁Eaの位置は同じであるが、端部Eが傾斜した平面である場合)と比較して、プーリ5の一方の端面51に平行な線Lとの間の角度が小さくなる。したがって、プーリブラケット6の端縁EaにバリBRが生じた場合に、バリBRが延びる方向がプーリ5の一方の端面51に向きにくくなる。したがって、よりプーリ5の破損を抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態では、
図3および
図4に示されるように、プーリブラケット6は、平坦部611と離間部612とを有しており、端部Eに設けられた離間部612は、
図4に示されるように、プーリ5のケーブル案内溝53の底部Bよりも、上昇方向側の領域に形成されている。この場合、ケーブル4の操作時にケーブル4からプーリ5に対して、一方の端面51が対向面61bに向かって押し付けられる力(
図4の矢印AR参照)が加わったとしても、一方の端面51と平坦部611とが当接して、プーリ5のガタつきが抑制される。したがって、プーリ5のガタつきを抑制することによって、プーリ5とバリBRとの接触による傷や破損をさらに抑制することができる。また、プーリブラケット6は、平坦部611と離間部612とを有していることにより、プーリ5とバリBRとにより生じる異音も抑制することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 窓ガラス昇降装置
2 駆動部
21 モータ
22 ドラム
3 移動部材
31 窓ガラス接続部
32a 第1接続部
32b 第2接続部
4 ケーブル
41 第1ケーブル
42 第2ケーブル
5 プーリ
51 一方の端面
52 他方の端面
53 ケーブル案内溝
6 プーリブラケット
61 支持部
61a 軸支部
61b 対向面
61c 反対側の面
611 平坦部
612 離間部
62 ガイド部材固定部
63 取付部
7 ガイド部材
AX 軸部材
B ケーブル案内溝の底部
BL 締結部材
BR バリ
E 対向面の上昇方向側の端部
Ea 対向面の上昇方向側の端縁
H 貫通孔
L 一方の端面に平行な線
P ドアパネル
V 対向面の垂線
W 窓ガラス
X 軸