(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】吸水性樹脂粒子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20220624BHJP
C08J 3/24 20060101ALI20220624BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20220624BHJP
C08L 33/02 20060101ALI20220624BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20220624BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
C08J3/12 A CEY
C08J3/24 Z
A61F13/53 300
C08L33/02
C08K3/34
C08K3/22
(21)【出願番号】P 2019523964
(86)(22)【出願日】2018-06-07
(86)【国際出願番号】 JP2018021835
(87)【国際公開番号】W WO2018225815
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2017114081
(32)【優先日】2017-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】301023009
【氏名又は名称】SDPグローバル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104813
【氏名又は名称】古谷 信也
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 祥一
(72)【発明者】
【氏名】太田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】石田 豪伸
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-254841(JP,A)
【文献】特開2001-031770(JP,A)
【文献】特許第3648553(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/12
C08J 3/24
A61F 13/53
C08L 33/02
C08K 3/34
C08K 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、酸化アルミニウムを
4~20重量%含むタルク(c)とを含有する吸水性樹脂粒子であり、前記タルク(c)を前記重合体(A)の重量に基づいて0.1~10重量%含有する吸水性樹脂粒子。
【請求項2】
前記タルク(c)の体積平均粒子径が2.0~20μmである請求項1に記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項3】
さらに疎水性物質(d)を含有してなる請求項1又は2に記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項4】
前記タルク(c)の酸化アルミニウムの含有量が5~15重量%である請求項1~3いずれか1項に記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項5】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、酸化アルミニウムを
4~20重量%含むタルク(c)とを混合する工程を含むことを特徴とする吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項6】
前記タルク(c)の体積平均粒子径が2.0~20μmである請求項5に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸水性樹脂粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パット等の衛生材料には、パルプ等の親水性繊維とアクリル酸(塩)等とを主原料とする吸水性樹脂粒子が吸収体として幅広く利用されている。近年のQOL(quality of life)向上の観点からこれら衛生材料はより軽量かつ薄型のものへと需要が遷移しており、これに伴って親水性繊維の使用量低減が望まれるようになっている。そのため、これまで親水性繊維が担ってきた吸収体中での液拡散性や初期吸収の役割を吸水性樹脂粒子それ自体が果たすことを求められるようになり、膨潤したゲル間の通液性の高い吸水性樹脂粒子が必要とされている。
【0003】
膨潤したゲル間の通液性を向上させる手法として、吸水性樹脂粒子表面に(1)シリカ等の無機化合物を添加することにより物理的なスペースを形成させる方法、(2)変性シリコーン等の表面自由エネルギーの小さい疎水性高分子で表面処理することにより、膨潤したゲル同士の合着を抑制してゲル間隙を形成させる方法、及び(3)硫酸アルミニウムや乳酸アルミニウム等を添加する方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。しかしながら、これらの手法では、膨潤したゲル間の通液性、特に反重力方向に対する通液性は十分満足のいくものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-161788号公報
【文献】特開2013-133399号公報
【文献】特開2014-512440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、充分な保水量を持ち、初期の液拡散性および膨潤したゲル間の反重力方向に対する通液性に優れた吸水性樹脂粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、酸化アルミニウムを1~20重量%含むタルク(c)とを含有する吸水性樹脂粒子であり、タルク(c)を前記架橋重合体(A)の重量に基づいて0.1~10重量%含有する吸水性樹脂粒子;及び前記架橋重合体(A)と前記タルク(c)とを混合する工程を有することを特徴とする吸水性樹脂粒子の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸水性樹脂粒子及び本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂粒子は、充分な保水量を持ち、初期の液拡散性および膨潤したゲル間の反重力方向に対する通液性に優れる。そのため、様々の使用状況においても安定して優れた吸収性能を発揮する。本発明の吸収性樹脂粒子は、ゲルの膨潤を阻害することがない為、吸収性能が良好になるとともに、初期の液拡散性および膨潤したゲル間の通液性、特に反重力方向に対する通液性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の吸水性樹脂粒子は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、酸化アルミニウムを1~20重量%含むタルク(c)とを含む吸水性樹脂粒子である。
【0009】
本発明における水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく、公知のモノマー、例えば、特許第3648553号公報の0007~0023段落に開示されている少なくとも1個の水溶性置換基とエチレン性不飽和基とを有するビニルモノマー(例えばアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー)、特開2003-165883号公報の0009~0024段落に開示されているアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー並びに特開2005-75982号公報の0041~0051段落に開示されているカルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、水酸基、カルバモイル基、アミノ基及びアンモニオ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するビニルモノマーが使用できる。
【0010】
加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2){以下、加水分解性ビニルモノマー(a2)ともいう。}は特に限定はなく、公知[例えば、特許第3648553号公報の0024~0025段落に開示されている加水分解により水溶性置換基となる加水分解性置換基を少なくとも1個有するビニルモノマー、特開2005-75982号公報の0052~0055段落に開示されている少なくとも1個の加水分解性置換基{1,3-オキソ-2-オキサプロピレン(-CO-O-CO-)基、アシル基及びシアノ基}等を有するビニルモノマー]のビニルモノマー等が使用できる。なお、水溶性ビニルモノマーとは、当業者に周知の概念であるが、数量を用いて表すなら、例えば、25℃の水100gに少なくとも100g溶解するビニルモノマーを意味する。また、加水分解性ビニルモノマー(a2)における加水分解性とは、例えば、水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解され、水溶性になる性質を意味する。加水分解性ビニルモノマー(a2)の加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれで行っても良いが、得られる吸水性樹脂粒子の吸収性能の観点から、重合後が好ましい。
【0011】
これらのうち、吸収性能等の観点から好ましいのは水溶性ビニルモノマー(a1)、更に好ましいのは上述のアニオン性ビニルモノマー、カルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ-、ジ-若しくはトリ-アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマー、更に好ましいのはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、特に好ましいのは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、とりわけ好ましいのは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましいのはアクリル酸(塩)である。
【0012】
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩及びアンモニウム(NH4)塩等が挙げられる。これらの塩のうち、吸収性能等の観点から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、更に好ましいのはアルカリ金属塩、特に好ましいのはナトリウム塩である。
【0013】
水溶性ビニルモノマー(a1)又は加水分解性ビニルモノマー(a2)のいずれかを構成単位とする場合、それぞれ1種を単独で構成単位としてもよく、また、必要により2種以上を構成単位としても良い。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合も同様である。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合、これらの含有モル比{(a1)/(a2)}は、75/25~99/1が好ましく、更に好ましくは85/15~95/5、特に好ましくは90/10~93/7、最も好ましくは91/9~92/8である。この範囲内であると、吸収性能が更に良好となる。
【0014】
架橋重合体(A)の構成単位として、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)を構成単位とすることができる。その他のビニルモノマー(a3)は1種を単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
【0015】
その他のビニルモノマー(a3)としては特に限定はなく、公知(例えば、特許第3648553号公報の0028~0029段落に開示されている疎水性ビニルモノマー、特開2003-165883号公報の0025段落及び特開2005-75982号公報の0058段落に開示されているビニルモノマー等)の疎水性ビニルモノマー等が使用でき、具体的には例えば下記の(i)~(iii)のビニルモノマー等が使用できる。
(i)炭素数8~30の芳香族エチレン性モノマー
スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン、並びにビニルナフタレン及びジクロルスチレン等のスチレンのハロゲン置換体等。
(ii)炭素数2~20の脂肪族エチレン性モノマー
アルケン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等);並びにアルカジエン(ブタジエン及びイソプレン等)等。
(iii)炭素数5~15の脂環式エチレン性モノマー
モノエチレン性不飽和モノマー(ピネン、リモネン及びインデン等);並びにポリエチレン性ビニルモノマー(シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネン等)等。
【0016】
その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量(モル%)は、吸収性能等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位の合計モル数に基づいて、0~5が好ましく、更に好ましくは0~3、特に好ましくは0~2、とりわけ好ましくは0~1.5であり、吸収性能等の観点から、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。
【0017】
架橋剤(b)としては特に限定はなく公知(例えば、特許第3648553号公報の0031~0034段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有してかつ少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する架橋剤及び水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個有する架橋剤、特開2003-165883号公報の0028~0031段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、エチレン性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤及び反応性置換基を2個以上有する架橋剤、特開2005-75982号公報の0059段落に開示されている架橋性ビニルモノマー並びに特開2005-95759号公報の0015~0016段落に開示されている架橋性ビニルモノマー)の架橋剤等が使用できる。これらのうち、吸収性能等の観点から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、更に好ましいのはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及び炭素数2~40のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましいのはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン、ポリエチレングリコールジアリルエーテル及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましいのはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。架橋剤(b)は1種を単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
【0018】
架橋剤(b)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位の、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)~(a3)の、合計モル数に基づいて、0.001~5が好ましく、更に好ましくは0.005~3、特に好ましくは0.01~1である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
【0019】
架橋重合体(A)の重合方法としては、公知の溶液重合(断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55-133413号公報等)や、公知の逆相懸濁重合(特公昭54-30710号公報、特開昭56-26909号公報及び特開平1-5808号公報等)が挙げられる。
【0020】
架橋重合体(A)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成成分とする単量体組成物を重合することにより得ることができるが、重合方法として好ましいのは溶液重合法であり、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、特に好ましいのは水溶液重合法であり、保水量が大きく、且つ水可溶性成分量の少ない吸水性樹脂粒子が得られ、重合時の温度コントロールが不要である点から、水溶液断熱重合法が最も好ましい。
【0021】
水溶液重合を行う場合、水と有機溶媒とを含む混合溶媒を使用することができ、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール、イソペンチルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びこれらの2種以上の混合物を挙げられる。水溶液重合を行う場合、有機溶媒の使用量(重量%)は、水の重量を基準として40以下が好ましく、更に好ましくは30以下である。
【0022】
重合に開始剤を用いる場合、ラジカル重合用開始剤が使用可能であり、例えば、アゾ化合物{アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸及び2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ハイドロクロライド等}、無機過酸化物(過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等)、有機過酸化物{過酸化ベンゾイル、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド及びジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート等}及びレドックス触媒(アルカリ金属の亜硫酸塩又は重亜硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム及びアスコルビン酸等の還元剤とアルカリ金属の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素及び有機過酸化物等の酸化剤との組み合わせよりなるもの)等が挙げられる。これらの触媒は、単独で使用しても良く、これらの2種以上を併用しても良い。ラジカル重合開始剤の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)~(a3)の、合計重量に基づいて、0.0005~5が好ましく、更に好ましくは0.001~2である。
【0023】
重合時には、必要に応じて連鎖移動剤に代表される重合コントロール剤を併用しても良く、これらの具体例としては、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、アルキルメルカプタン類、ハロゲン化アルキル類、チオカルボニル化合物類等が挙げられる。これらの重合コントロール剤は、単独で使用しても良く、これらの2種以上を併用しても良い。重合コントロール剤の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)~(a3)の、合計重量に基づいて、0.0005~5が好ましく、更に好ましくは0.001~2である。
【0024】
重合方法として懸濁重合法又は逆相懸濁重合法をとる場合は、必要に応じて、分散剤又は界面活性剤の存在下に重合を行っても良い。また、逆相懸濁重合法の場合、キシレン、ノルマルヘキサン及びノルマルヘプタン等の炭化水素系溶媒を使用して重合を行うことができる。
【0025】
重合開始温度は、使用する触媒の種類によって適宜調整することができるが、0~100℃が好ましく、更に好ましくは2~80℃である。
【0026】
重合に溶媒(有機溶媒及び水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0~10が好ましく、更に好ましくは0~5、特に好ましくは0~3、最も好ましくは0~1である。この範囲であると、吸水性樹脂粒子の吸収性能が更に良好となる。
【0027】
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0~20が好ましく、更に好ましくは1~10、特に好ましくは2~9、最も好ましくは3~8である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
【0028】
前記の重合方法により架橋重合体(A)が水を含んだ含水ゲル状物{すなわち、含水ゲル状物である架橋重合体(A)。以下、含水ゲルと略記する}を得ることができ、更に含水ゲルを乾燥することで乾燥した架橋重合体(A)を得ることができる。水溶性ビニルモノマー(a1)としてアクリル酸やメタクリル酸等の酸基含有モノマーを用いる場合、含水ゲルを塩基で中和しても良い。酸基の中和度は、50~80モル%であることが好ましい。中和度が50モル%未満の場合、得られる含水ゲル重合体の粘着性が高くなり、製造時及び使用時の作業性が悪化する場合がある。更に得られる吸水性樹脂粒子の保水量が低下する場合がある。一方、中和度が80%を超える場合、得られた樹脂のpHが高くなり人体の皮膚に対する安全性が懸念される場合がある。なお、中和は、吸水性樹脂粒子の製造において、架橋重合体(A)の重合以降のいずれの段階で行っても良く、例えば、含水ゲルの状態で中和する等の方法が好ましい例として例示される。中和する塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物や、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩を通常使用できる。
【0029】
重合によって得られる含水ゲルは、乾燥前に必要に応じて細断することができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は50μm~10cmが好ましく、更に好ましくは100μm~2cm、特に好ましくは1mm~1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性が更に良好となる。
【0030】
細断は、公知の方法で行うことができ、細断装置(例えば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機)等を使用して細断できる。
【0031】
有機溶媒の含有量及び水分は、赤外水分測定器(株式会社KETT製JE400等、120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W)により加熱したときの測定試料の重量減量から求められる。
【0032】
含水ゲルの溶媒(水を含む。)を留去し、乾燥する方法としては、80~230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100~230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等が適用できる。
【0033】
含水ゲルを乾燥した後、更に粉砕することができる。粉砕方法については、特に限定はなく、粉砕装置(例えば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機)等が使用できる。粉砕された架橋重合体は、必要により篩分け等により粒度調整できる。
【0034】
必要により篩分けした場合の架橋重合体(A)の重量平均粒子径(μm)は、100~800が好ましく、更に好ましくは200~700、次に好ましくは250~600、特に好ましくは300~500、最も好ましくは350~450である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
【0035】
重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準篩(JIS Z8801-1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準篩を、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿の順等に組み合わせる。最上段の篩に測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各篩及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各篩上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙{横軸が篩の目開き(粒子径)、縦軸が重量分率}にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0036】
粉砕した場合、粉砕後の架橋重合体(A)に含まれる微粒子の含有量は少ないほど吸収性能が良好となるため、架橋重合体(A)の合計重量に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有率(重量%)は3以下が好ましく、更に好ましくは1以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒子径を求める際に作成するグラフを用いて求めることができる。
【0037】
粉砕した場合、粉砕後の架橋重合体(A)の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0038】
架橋重合体(A)は、その性能を損なわない範囲で残留溶媒や残存架橋成分等の他の成分を多少含んでも良い。
【0039】
本発明の吸水性樹脂粒子は、酸化アルミニウムを含むタルク(c)を含有しており、樹脂粒子表面に有することが好ましい。タルク(c)中の酸化アルミニウムの含有量としては、1~20重量%である。この範囲外だと初期濡れ性が不良である。好ましくは4~18重量%、更に好ましくは5~15重量%である。タルク(c)の体積平均粒子径は2.0~20μmであることが好ましく、吸水特性の観点から5~15μmであることが更に好ましい。酸化アルミニウムを含むタルク中の酸化アルミニウムの含有量は鉱石の産地により異なり、クロライトなどの不純物を含んだ鉱石から製造されるタルクが用いられる。タルク(c)としては、例えば、シムゴン、SSS、N-70(いずれも商品名、日本タルク株式会社製)等の製品を使用することができる。本発明の吸水性樹脂粒子は、タルク(c)を有することで、吸収体中での初期の液拡散性及び膨潤したゲル間の反重力方向に対する通液性を付与することができる。これは、タルク(c)に含まれる酸化アルミニウムによって、吸水性樹脂粒子表面の初期濡れ性が与えられ、また膨潤したゲル間にタルク形状由来の隙間が発生することで、毛細管現象が起こり反重力方向に通液性を付与するためと推定される。
【0040】
タルク(c)の含有量は、吸収特性の観点から、吸水性樹脂粒子の重量に対して、0.1~10重量%であり、好ましくは0.5~5.0重量%、更に好ましくは、1.0~3.0重量%である。タルク(c)の含有量が0.1重量%未満の場合は膨潤したゲル間の通液性が低い。一方、10重量%を超えると保水量が低下する場合がある。また、タルク(c)を樹脂粒子表面に有する場合も、樹脂粒子表面に存在するタルク(c)は、上述の数量範囲であることが好ましい。ここで、樹脂粒子表面とは、表面又は表面近傍を指し、厚さが数十μm以下の表層部分又は全体の厚さの1/10以下の表層部分を意味する。
【0041】
本発明の吸水性樹脂粒子において、架橋重合体(A)は、更に疎水性物質(d)を含有するのが好ましい。
【0042】
疎水性物質(d)としては、炭化水素基を含有する疎水性物質(d1)、フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する疎水性物質(d2)及びポリシロキサン構造をもつ疎水性物質(d3)等が含まれる。
【0043】
炭化水素基を含有する疎水性物質(d1)としては、ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂誘導体、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂誘導体、ワックス、長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸及びその塩、長鎖脂肪族アルコール、長鎖脂肪族アミド及びこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0044】
ポリオレフィン樹脂としては、炭素数2~4のオレフィン(エチレン、プロピレン、イソブチレン及びイソプレン等)を必須構成単量体(オレフィンの含有量はポリオレフィン樹脂の重量に基づいて、少なくとも50重量%)としてなる重量平均分子量1000~100万の重合体{たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(エチレン-イソブチレン)及びイソプレン等}が挙げられる。
【0045】
ポリオレフィン樹脂誘導体としては、ポリオレフィン樹脂にカルボキシ基(-COOH)や1,3-オキソ-2-オキサプロピレン(-COOCO-)等を導入した重量平均分子量1000~100万の重合体(たとえば、ポリエチレン熱減成体、ポリプロピレン熱減成体、マレイン酸変性ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、マレイン化ポリブタジエン、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-酢酸ビニル共重合体のマレイン化物等)が挙げられる。
【0046】
ポリスチレン樹脂としては、重量平均分子量1000~100万の重合体等が使用できる。
【0047】
ポリスチレン樹脂誘導体としては、スチレンを必須構成単量体(スチレンの含有量は、ポリスチレン誘導体の重量に基づいて、少なくとも50重量%)としてなる重量平均分子量1000~100万の重合体(たとえば、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体及びスチレン-イソブチレン共重合体等)が挙げられる。
【0048】
ワックスとしては、融点50~200℃のワックス(たとえば、パラフィンワックス、ミツロウ、カルナウバワックス(又はカルナバワックス)及び牛脂等)が挙げられる。
【0049】
長鎖脂肪酸エステルとしては、炭素数8~30の脂肪酸と炭素数1~12のアルコールとのエステル(たとえば、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、グリセリンラウリン酸モノエステル、グリセリンステアリン酸モノエステル、グリセリンオレイン酸モノエステル、ペンタエリスリットラウリン酸モノエステル、ペンタエリスリットステアリン酸モノエステル、ペンタエリスリットオレイン酸モノエステル、ソルビットラウリン酸モノエステル、ソルビットステアリン酸モノエステル、ソルビットオレイン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸ジエステル、ショ糖パルミチン酸トリエステル、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステル及び牛脂等)が挙げられる。
【0050】
長鎖脂肪酸及びその塩としては、炭素数8~30の脂肪酸(たとえば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ダイマー酸及びベヘニン酸等)が挙げられ、その塩としては亜鉛、カルシウム、マグネシウム又はアルミニウム(以下、それぞれZn、Ca、Mg、Alと略す)との塩(たとえば、パルミチン酸Ca、パルミチン酸Al、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Al等)が挙げられる。
【0051】
長鎖脂肪族アルコールとしては、炭素数8~30の脂肪族アルコール(たとえば、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等)が挙げられる。吸収性物品の耐モレ性の観点等から、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールが好ましく、さらに好ましくはステアリルアルコールである。
【0052】
長鎖脂肪族アミドとしては、炭素数8~30の長鎖脂肪族一級アミンと炭素数1~30の炭化水素基を有するカルボン酸とのアミド化物、アンモニア又は炭素数1~7の1級アミンと炭素数8~30の長鎖脂肪酸とのアミド化物、炭素数8~30の脂肪族鎖を少なくとも1つ有する長鎖脂肪族二級アミンと炭素数1~30のカルボン酸とのアミド化物及び炭素数1~7の脂肪族炭化水素基を2個有する二級アミンと炭素数8~30の長鎖脂肪酸とのアミド化物が挙げられる。
【0053】
炭素数8~30の長鎖脂肪族一級アミンと炭素数1~30の炭化水素基を有するカルボン酸とのアミド化物としては、1級アミンとカルボン酸とが1:1で反応した物と1:2で反応した物に分けられる。1:1で反応した物としては、酢酸N-オクチルアミド、酢酸N-ヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N-オクチルアミド及びヘプタコサン酸N-ヘキサコシルアミド等が挙げられる。1:2で反応したものとしては、二酢酸N-オクチルアミド、二酢酸N-ヘキサコシルアミド、ジヘプタコサン酸N-オクチルアミド及びジヘプタコサン酸N-ヘキサコシルアミド等が挙げられる。なお、1級アミンとカルボン酸とが1:2で反応した物の場合、使用するカルボン酸は、同一でも異なっていても良い。
【0054】
アンモニア又は炭素数1~7の1級アミンと炭素数8~30の長鎖脂肪酸とのアミド化物としては、アンモニア又は1級アミンとカルボン酸とが1:1で反応した物と1:2で反応した物に分けられる。1:1で反応した物としては、ノナン酸アミド、ノナン酸メチルアミド、ノナン酸N-ヘプチルアミド、ヘプタコサン酸アミド、ヘプタコサン酸N-メチルアミド、ヘプタコサン酸N-ヘプチルアミド及びヘプタコサン酸N-ヘキサコシルアミド等が挙げられる。1:2で反応したものとしては、ジノナン酸アミド、ジノナン酸N-メチルアミド、ジノナン酸N-ヘプチルアミド、ジオクタデカン酸アミド、ジオクタデカン酸N-エチルアミド、ジオクタデカン酸N-ヘプチルアミド、ジヘプタコサン酸アミド、ジヘプタコサン酸N-メチルアミド、ジヘプタコサン酸N-ヘプチルアミド及びジヘプタコサン酸N-ヘキサコシルアミド等が挙げられる。なお、アンモニア又は1級アミンとカルボン酸とが1:2で反応した物としては、使用するカルボン酸は、同一でも異なっていても良い。
【0055】
炭素数8~30の脂肪族鎖を少なくとも1つ有する長鎖脂肪族二級アミンと炭素数1~30のカルボン酸とのアミド化物としては、酢酸N-メチルオクチルアミド、酢酸N-メチルヘキサコシルアミド、酢酸N-オクチルヘキサコシルアミド、酢酸N-ジヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N-メチルオクチルアミド、ヘプタコサン酸N-メチルヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N-オクチルヘキサコシルアミド及びヘプタコサン酸N-ジヘキサコシルアミド等が挙げられる。
【0056】
炭素数1~7の脂肪族炭化水素基を2個有する二級アミンと炭素数8~30の長鎖脂肪酸とのアミド化物としては、ノナン酸N-ジメチルアミド、ノナン酸N-メチルヘプチルアミド、ノナン酸N-ジヘプチルアミド、ヘプタコサン酸N-ジメチルアミド、ヘプタコサン酸N-メチルヘプチルアミド及びヘプタコサン酸N-ジヘプチルアミド等が挙げられる。
【0057】
フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する疎水性物質(d2)としては、パーフルオロアルカン、パーフルオロアルケン、パーフルオロアリール、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルアルコール及びこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0058】
ポリシロキサン構造をもつ疎水性物質(d3)としては、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン{ポリオキシエチレン変性ポリシロキサン及びポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)変性ポリシロキサン等}、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン等及びこれらの混合物等が含まれる。
【0059】
疎水性物質(d)のHLB値は、1~10が好ましく、さらに好ましくは2~8、特に好ましくは3~7である。この範囲であると、吸収性物品の耐モレ性がさらに良好となる。なお、HLB値は、親水性-疎水性バランス(HLB)値を意味し、小田法(新・界面活性剤入門、197頁、藤本武彦、三洋化成工業株式会社発行、1981年発行)により求められる。
【0060】
疎水性物質(d)のうち、吸収性物品の耐モレ性の観点から、炭化水素基を含有する疎水性物質(d1)が好ましく、より好ましくは長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸及びその塩、長鎖脂肪族アルコール並びに長鎖脂肪族アミドであり、さらに好ましくはソルビットステアリン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Zn及びステアリン酸Al、特に好ましくはショ糖ステアリン酸エステル及びステアリン酸Mgであり、最も好ましくはショ糖ステアリン酸モノエステルである。
【0061】
本発明の吸水性樹脂粒子は、架橋重合体(A)の表面が表面架橋剤(e)により架橋された構造を有することが好ましい。架橋重合体(A)の表面を架橋することにより吸水性樹脂粒子のゲル強度を向上させることができ、吸水性樹脂粒子の望ましい保水量と荷重下における吸収量とを満足させることができる。表面架橋剤(e)としては、公知(特開昭59-189103号公報に記載の多価グリシジル化合物、多価アミン、多価アジリジン化合物及び多価イソシアネート化合物等、特開昭58-180233号公報及び特開昭61-16903号公報の多価アルコール、特開昭61-211305号公報及び特開昭61-252212号公報に記載のシランカップリング剤、特表平5-508425号公報に記載のアルキレンカーボネート、特開平11-240959号公報に記載の多価オキサゾリン化合物並びに特開昭51-136588号公報及び特開昭61-257235号公報に記載の多価金属等)の表面架橋剤等が使用できる。これらの表面架橋剤のうち、経済性及び吸収特性の観点から、多価グリシジル化合物、多価アルコール及び多価アミンが好ましく、更に好ましいのは多価グリシジル化合物及び多価アルコール、特に好ましいのは多価グリシジル化合物、最も好ましいのはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。表面架橋剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0062】
表面架橋をする場合、表面架橋剤(e)の使用量(重量部)は、表面架橋剤の種類、架橋させる条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸収特性の観点等から、架橋重合体(A)100重量部に対して、0.001~3が好ましく、更に好ましくは0.005~2、特に好ましくは0.01~1.5である。
【0063】
架橋重合体(A)の表面架橋は、架橋重合体(A)と表面架橋剤(e)とを混合し、必要に応じて加熱することで行うことができる。架橋重合体(A)と表面架橋剤(e)との混合方法としては、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、V型混合機、ミンチ混合機、リボン型混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、コニカルブレンダー及びロールミキサー等の混合装置を用いて架橋重合体(A)と表面架橋剤(e)とを均一混合する方法が挙げられる。この際、表面架橋剤(e)は、水及び/又は任意の溶剤で希釈して使用しても良い。
【0064】
架橋重合体(A)と表面架橋剤(e)とを混合する際の温度は特に限定されないが、10~150℃が好ましく、更に好ましくは20~100℃、特に好ましくは25~80℃である。
【0065】
架橋重合体(A)と表面架橋剤(e)とを混合した後、加熱処理を行う。加熱温度は、樹脂粒子の耐壊れ性の観点から好ましくは100~180℃、更に好ましくは110~175℃、特に好ましくは120~170℃である。180℃以下の加熱であれば蒸気を利用した間接加熱が可能であり設備上有利であり、100℃未満の加熱温度では吸収性能が悪くなる場合がある。また、加熱時間は加熱温度により適宜設定することができるが、吸収性能の観点から、好ましくは5~60分、更に好ましくは10~40分である。表面架橋して得られる吸水性樹脂を、最初に用いた表面架橋剤と同種又は異種の表面架橋剤を用いて、更に表面架橋することも可能である。
【0066】
架橋重合体(A)の表面を表面架橋剤(e)により架橋した後、必要により篩別して粒度調整される。得られた粒子の平均粒経は、好ましくは100~600μm、更に好ましくは200~500μmである。微粒子の含有量は少ない方が好ましく、100μm以下の粒子の含有量は3重量%以下であることが好ましく、150μm以下の粒子の含有量が3重量%以下であることが更に好ましい。
【0067】
本発明の吸水性樹脂粒子は、更に水不溶性無機粒子(f)を含んでも良い。水不溶性無機粒子(f)を含むことで吸水性樹脂粒子に含まれる粒子の表面が水不溶性無機粒子(f)で表面処理されることにより、吸水性樹脂粒子の耐ブロッキング性及び通液性が向上する。
【0068】
水不溶性無機粒子(f)としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、クレー等が挙げられ、入手の容易性や扱いやすさ、吸収性能の観点から、コロイダルシリカ及びフュームドシリカが好ましく、更に好ましいのはコロイダルシリカである。水不溶性無機粒子(f)は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0069】
水不溶性無機粒子(f)の使用量(重量部)は、吸収性能の観点から吸水性樹脂100重量部に対して、0.01~5が好ましく、更に好ましくは0.05~1、特に好ましくは0.1~0.5である。
【0070】
水不溶性無機粒子(f)を含む場合、吸水性樹脂粒子と水不溶性無機粒子(f)とを混合することが好ましく、混合は、後述するタルク(c)の混合と同様の方法で行うことができ、その条件も同様である。
【0071】
水不溶性無機粒子(f)を混合した後の吸水性樹脂粒子は、粒度調整して用いても良く、粒度調整は表面架橋剤(e)により架橋した後に行う粒度調整と同様に行うことができ、粒度調整後の粒径も同様である。
【0072】
本発明の吸水性樹脂粒子は、必要に応じて、添加剤{たとえば、公知(特開2003-225565号及び特開2006-131767号等に記載)の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、通液性向上剤(たとえば、硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物等)及び有機質繊維状物等}を含むこともできる。これらの添加剤を含有させる場合、添加剤の含有量(重量%)は、重合体(A)の重量に基づいて、0.001~10が好ましく、更に好ましくは0.01~5、特に好ましくは0.05~1、最も好ましくは0.1~0.5である。
【0073】
本発明の製造方法は、架橋重合体(A)と、タルク(c)とを混合する工程を有する。本発明の製造方法は、本発明の吸水性樹脂粒子を得るのに好適である。架橋重合体(A)とタルク(c)との混合方法としては、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、V型混合機、ミンチ混合機、リボン型混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、コニカルブレンダー及びロールミキサー等の公知の混合装置を用いて均一混合する方法が挙げられる。
【0074】
架橋重合体(A)とタルク(c)との混合は、重合体(A)の撹拌下にタルク(c)を加えることが好ましい。加えられるタルク(c)は、水及び/又は溶剤と同時に添加しても良い。タルク(c)を水及び/又は溶剤と同時に添加する場合、タルク(c)を水及び/又は溶剤に分散した分散体を添加することができ、水に分散した溶液を添加することが好ましい。分散体を添加する場合、噴霧又は滴下して添加することが好ましい。
【0075】
タルク(c)を水に分散した分散液を用いる場合、分散液に含まれるタルク(c)の含有量は、分散液の合計重量に対して0.5~30重量%が好ましく、更に好ましくは1.0~15重量%である。上記範囲より低濃度の場合は、加水量が多くなり樹脂粒子同士がブロッキングし易くなり、高濃度の場合は不均一となるため、好ましくない。
【0076】
溶剤の種類は特に制限されないが、多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,4-ブタンジオール等)が好適に使用され、溶剤は1種単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
【0077】
架橋重合体(A)とタルク(c)を混合する際の温度は、30~150℃が好ましく、更に好ましくは50~100℃である。この範囲であると、更に均一混合しやすくなり、吸収特性が更に良好となる。
【0078】
架橋重合体(A)の表面を表面架橋剤(e)で架橋した後、タルク(c)の分散液を混合することが好ましい。
【0079】
重合体(A)とタルク(c)との混合後に加熱する場合、加熱時間は加熱温度により適宜設定することができるが、吸収性能の観点から、好ましくは5~60分、更に好ましくは10~40分である。重合体(A)とタルク(c)とを混合して得られる吸水性樹脂を、更に表面処理することも可能である。
【0080】
本発明の吸水性樹脂粒子は、架橋重合体(A)とタルク(c)と混合後に、篩別して粒度調整して用いても良い。粒度調整は表面架橋剤(e)により架橋した後に行う粒度調整と同様に行うことができ、粒度調整後の粒径も同様である。
【0081】
本発明の吸水性樹脂の含水率は耐壊れ性の観点から1~10重量%に制御することが好ましく、更に好ましくは2~9重量%、特に好ましくは3~8重量%である。本発明の吸水性樹脂粒子の見掛け密度(g/ml)は、0.52~0.70が好ましく、更に好ましくは0.54~0.68、特に好ましくは0.56~0.66である。この範囲であると、吸収性物品の排尿等により膨潤した吸水性樹脂(ゲル)を固定化する機能が更に良好となる。吸水性樹脂粒子の見掛け密度は、JIS K7365:1999に準拠して、25℃で測定される。含水率は乾燥機を用い、通気乾燥することで適宜調節することができる。
【0082】
本発明の吸水性樹脂粒子の保水量(g/g)は、後述する方法で測定することができ、吸水性能の観点から、33以上が好ましく、35以上が更に好ましく、37以上がより更に好ましい。また、上限値は、荷重下での吸収量の観点から、49以下が好ましく、47以下がさらに好ましく、45以下がより更に好ましい。保水量は、表面架橋剤(e)の使用量(重量%)で適宜調整することができる。
【0083】
本発明の吸水性樹脂粒子のDrop試験法に基づく初期濡れ時間(秒)は、後述する方法で測定することができ、吸収性物品の漏れ抑制の観点から好ましくは7未満であり、5未満が更に好ましい。7を超えると初期の吸収速度が遅く、吸収速度不足により漏れが生じやすいため好ましくない。初期濡れ時間(秒)は、タルク(c)の使用量(重量%)で適宜調整することができる。
【0084】
本発明の吸水性樹脂粒子のWicking試験法に基づく5分後拡散長(cm)は、後述する方法で測定することができ、通液性の観点から、好ましくは9以上であり、11以上が更に好ましい。9未満であると、繰り返し使用後の液拡散性に劣るために漏れが生じやすく、好ましくない。5分後拡散長(cm)は、タルク(c)の使用量(重量%)で適宜調整することができる。
【0085】
本発明の吸水性樹脂粒子は、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の衛生材料に用いられる吸収体を構成するものであり、吸収体を含む吸収性物品に好適に用いられる。本発明の吸水性樹脂粒子が使用された吸水体は、吸収量に優れ、液の取り込み速度に優れるとともに、吸収後の加圧下のドライタッチ性に優れる。
【0086】
本発明の吸水性樹脂粒子を用いた吸収体は、吸収性樹脂粒子を単独で用いて構成されていても良く、吸水性樹脂粒子と親水性繊維より構成されていても良い。親水性繊維の具体例としては、木材からのメカニカルパルプ、ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、溶解パルプ等の木材パルプ繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維等を例示できる。好ましい親水性繊維は木材パルプ繊維である。これら親水性繊維はナイロン、ポリエステル等の合成繊維を一部含有していても良い。
【0087】
吸収体の構成としては、吸水性樹脂粒子と親水性繊維とを均一な組成となるように混合することによって得られた混合分散体、層状の親水性繊維の間に吸水性樹脂粒子が挟まれたサンドイッチ構造体、吸水性樹脂粒子と親水性繊維とをティッシュで包んだ構造体等が挙げられる。なお、吸収体には、他の成分、例えば、吸収体の形態保持性を高めるための熱融着性合成繊維、ホットメルト接着剤、接着性エマルジョン等の接着性バインダーが配合されていても良い。
【0088】
また、吸水性樹脂粒子を用いた吸収体を、液体が通過し得る液体透過性シート(トップシート)と、液体が通過し得ない液体不透過性シート(バックシート)との間に保持することによって、吸収性物品とすることもできる。液体透過性シートは、身体と接触する側に配され、液体不透過性シートは、身体と接する反対側に配される。
【0089】
液体透過性シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の繊維からなる、エアスルー型、スパンボンド型、ケミカルボンド型、ニードルパンチ型等の不織布及び多孔質の合成樹脂シート等が挙げられる。また、液体不透過性シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂からなる合成樹脂フィルム等が挙げられる。
【実施例】
【0090】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。なお、吸水性樹脂の生理食塩水に対する保水量、初期濡れ時間、5分後拡散長は以下の方法により測定した。
【0091】
<保水量の測定方法>
目開き63μm(JIS Z8801-1:2006)のナイロン網で作製したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9%)1,000ml中に無撹拌下、1時間浸漬した後引き上げて、15分間吊るして水切りした。その後、ティーバッグごと、遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバッグを含めた重量(h1)を測定し、次式から保水量を求めた。なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃であった。(h2)は、測定試料の無い場合について上記と同様の操作により計測したティーバッグの重量である。
保水量(g/g)=(h1)-(h2)
【0092】
<初期濡れ時間の測定方法(Drop試験法)>
JIS標準篩(JIS Z8801-1:2006)を用いて、吸収性樹脂粒子約10gを300~500μmに分級した。厚みが100μm以上のポリエチレン製フィルムを3×4cmに切り出し、片面に両面テープ{ナイスダックNM-40(ニチバン株式会社製)}を貼り付けた。その後、フィルムの粘着面の上部に、分級した吸収性樹脂粒子をフィルムの粘着面が隙間無く隠れるまで散布した。散布後、フィルムを裏返して粘着しなかった吸収性樹脂粒子を除去した。続いて、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)に適量の青色1号を加えて染色生理食塩水とした。200μl容マイクロピペット{PIPETMAN Model P-200(ギルソン社製)}および200μl容マイクロチップを用いて染色生理食塩水40μlを吸い出し、吸収性樹脂粒子の粘着したフィルムに滴下した。滴下した時点を0秒として時間を計測し、吸収性樹脂粒子上の液体が無くなった時点を終点として得られた時間(秒)を記録した。なお、使用した染色生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃であった。この測定を5回繰り返して平均した値(秒)を初期濡れ時間とした。
【0093】
<5分後拡散長の測定方法(Wicking試験法)>
5分後拡散長は、特開平5-200068号(EP532002)記載の吸い上げ指数測定装置を用いて行った。なお、トラフ・シートはSUS304のステンレス鋼グレード2B仕上げで作成した。
【0094】
30°の角度で設置したトラフ・シートのトラフ溝に吸水性樹脂粒子1.0gを均等に距離30cmとなるように散布した。続いて、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)に適量の青色1号を加えて染色生理食塩水とし、貯液槽に注入する。貯液槽の液面がトラフの最も低い位置から0.5cm上になるように調整した後、ステレンス鋼のスクリーンメッシュが液と接触した時点を0秒として時間を計測し、5分後の、膨潤した吸水性樹脂粒子までの距離(cm)を記録した。なお、使用した染色生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃であった。
【0095】
<製造例1>
アクリル酸(a1-1){三菱化学株式会社製、純度100%}270部、架橋剤(b-1){ダイソ-株式会社製ペンタエリスリトールトリアリルエーテル}0.98部及びイオン交換水712部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液1.1部、2%アスコルビン酸水溶液2.0部及び2%の2,2’-アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液13.5部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が80℃に達した後、80±2℃で約5時間熟成することにより含水ゲルを得た。
【0096】
次にこの含水ゲルをミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断しながら、49%水酸化ナトリウム水溶液220部を添加して混合し、引き続き疎水性物質(d)としてのショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製リョートーシュガーエステルS-770、HLB:7)0.62部を添加して混合し、中和ゲルを得た。更に、中和した含水ゲルを通気型乾燥機(井上金属工業株式会社製)を用い、供給温度150℃、風速1.5m/秒の条件下で含水率が4%となるまで通気乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、篩分けして、目開き710~150μmの粒子径範囲に調整して、架橋重合体を含む樹脂粒子(A-1)を得た。
【0097】
ついで、得られた樹脂粒子(A-1)100部を高速攪拌(ホソカワミクロン株式会社製高速攪拌タービュライザー、回転数2000rpm)しながら、これに表面架橋剤(e)としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.12部、プロピレングリコール1.0部、水不溶性無機微粒子(f)としてのKlebosol30cal25(AZマテリアル社製コロイダルシリカ)1.0部及びイオン交換水1.7部を混合した混合液と、通液性向上剤としての硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物0.6部、プロピレングリコール0.6部及びイオン交換水1.5部を混合した混合液を同時に添加し、均一混合した後、135℃で30分加熱して、表面架橋された樹脂粒子(A-2)を得た。
【0098】
<製造例2>
得られた樹脂粒子(A-1)100部に使用する表面架橋剤(e)をエチレングリコールジグリシジルエーテル0.16部に、プロピレングリコール1.4部に、それぞれ変更したこと以外は製造例1と同様にして表面架橋された樹脂粒子(A-3)を得た。
【0099】
<製造例3>
得られた樹脂粒子(A-1)100部に使用する表面架橋剤(e)をエチレングリコールジグリシジルエーテル0.08部に、プロピレングリコール0.5部に、それぞれ変更したこと以外は製造例1と同様にして表面架橋された樹脂粒子(A-4)を得た。
【0100】
<実施例1>
製造例1で得られた、表面架橋された樹脂粒子(A-2)100部を高速攪拌(ホソカワミクロン株式会社製高速攪拌タービュライザー、回転数2000rpm)しながら、タルク(c)としてのシムゴン(日本タルク株式会社製、酸化アルミニウムを6%含有、体積平均粒子径10μm)3.0部、及びイオン交換水3.0部を、均一に混合した。その後80℃で30分間加熱して、本発明の吸水性樹脂粒子(P-1)を得た。
【0101】
<実施例2>
製造例1で得られた表面架橋された樹脂粒子(A-2)100部を高速攪拌(ホソカワミクロン株式会社製高速攪拌タービュライザー、回転数2000rpm)しながら、タルク(c)としてSSS(日本タルク株式会社製、酸化アルミニウムを13%含有、体積平均粒子径12μm)3.0部、及びイオン交換水3.0部を、均一に混合した。その後80℃で30分間加熱して、本発明の吸水性樹脂粒子(P-2)を得た。
【0102】
<実施例3>
実施例2において、表面架橋された樹脂粒子(A-2)を表面架橋された樹脂粒子(A-3)に変更する以外は、実施例2と同様の操作を行い、本発明の吸水性樹脂粒子(P-3)を得た。
【0103】
<実施例4>
実施例2において、表面架橋された樹脂粒子(A-2)を表面架橋された樹脂粒子(A-4)に変更する以外は、実施例2と同様の操作を行い、本発明の吸水性樹脂粒子(P-4)を得た。
【0104】
<比較例1>
製造例1で得られた表面架橋された樹脂粒子(A-2)をそのまま比較用の吸水性樹脂粒子(R-1)とした。
【0105】
<比較例2>
製造例1で得られた表面架橋された樹脂粒子(A-2)100部を高速攪拌(ホソカワミクロン株式会社製高速攪拌タービュライザー、回転数2000rpm)しながら、タルク(c)としてSSS(日本タルク株式会社製)20.0部、及びイオン交換水5.0部を、均一に混合した。その後80℃で30分間加熱して、比較用の吸水性樹脂粒子(R-2)を得た。
【0106】
<比較例3>
製造例3で得られた表面架橋された樹脂粒子(A-4)100部を高速攪拌(ホソカワミクロン株式会社製高速攪拌タービュライザー、回転数2000rpm)しながら、タルク(c)としてD-1000(日本タルク株式会社製、酸化アルミニウムを組成比として0.1%含有、体積平均粒子径1μm)3.0部、及びイオン交換水3.0部を、均一に混合した。その後80℃で30分間加熱して、比較用の吸水性樹脂粒子(R-3)を得た。
【0107】
<比較例4>
製造例3で得られた表面架橋された樹脂粒子(A-4)100部を高速攪拌(ホソカワミクロン株式会社製高速攪拌タービュライザー、回転数2000rpm)しながら、タルク(c)としてP-3(日本タルク株式会社製、酸化アルミニウムを組成比として0.1%含有、体積平均粒子径5μm)3.0部、及びイオン交換水3.0部を、均一に混合した。その後80℃で30分間加熱して、比較用の吸水性樹脂粒子(R-4)を得た。
【0108】
実施例1~4の吸水性樹脂粒子(P-1)~(P-4)及び比較例1~4の吸水性樹脂粒子(R-1)~(R-4)についての性能評価結果(保水量、初期濡れ時間、5分後拡散長)をした。結果を表1に示す。
【0109】
【0110】
吸水性樹脂粒子P-1とR-1との比較から、タルク(c)を含有することで、初期濡れ時間及び5分後拡散長が向上している。R-2から、タルク(c)の含有量が適切でなければ、保水量や拡散長等の吸水性能が劣ることがわかる。また、酸化アルミニウムの含有量が低いタルクを使用した吸水性樹脂粒子R-3及びR-4では、初期濡れ時間が劣ることがわかる。本発明の吸収性樹脂粒子は、ゲルの膨潤を阻害することがない為、吸収性能が良好になるとともに、初期の液拡散性および膨潤したゲル間の通液性、特に反重力方向に対する通液性に優れていることがわかる。