(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】作物画像におけるジャガイモウイルスを検出するための方法、媒体、およびシステム
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20220624BHJP
A01G 13/00 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
A01G7/00 603
A01G13/00 Z
(21)【出願番号】P 2019541830
(86)(22)【出願日】2017-10-12
(86)【国際出願番号】 CA2017051214
(87)【国際公開番号】W WO2018068143
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-09-18
(32)【優先日】2016-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502195857
【氏名又は名称】マッケイン フーズ リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】519134588
【氏名又は名称】レッソン・エアロスペース・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Resson Aerospace Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】リシン・ベール
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ロス
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-90066(JP,A)
【文献】特開2012-80790(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0131867(US,A1)
【文献】野菜のウイルス病 見分け方とその対策,農作物病害虫防除シリーズ第2集,日本,福島県、(社)福島県植物防疫協会,1990年03月,p.13-16
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
A01G 13/00
G01N 21/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのジャガイモ植物が描画された作物画像におけるジャガイモウイルスを検出する方法であって、
前記作物画像をメモリに記憶することと、
プロセッサによって、前記作物画像から、ジャガイモ植物の葉の描画された第1区域を識別することであって、前記作物画像において、前記第1区域が、葉でない画像の描画された第2区域と重ならない、前記第1区域を識別することと、
プロセッサによって、前記第1区域における複数のエッジを識別することと、
プロセッサによって、前記作物画像の画像セグメント内の前記エッジに基づいて、前記第1区域において前記画像セグメントが1つ以上の葉皺基準を満たすかを判断することであって、前記葉皺基準が、ウイルスによって生じた葉皺を表し、ジャガイモウイルスの視覚的徴候である葉皺を判断するためのものである、判断することと、
プロセッサによって、少なくとも、前記画像セグメントが前記1つ以上の葉皺基準を満たすかに基づいて、前記画像セグメントがジャガイモウイルスの徴候を表示するかを判断することと、
を備える、方法。
【請求項2】
前記方法は、
プロセッサによって、前記画像セグメントが1つ以上の色基準を満たすかを判断することであって、前記色基準がウイルスによって生じた褪色を表す、判断すること
をさらに備え、
前記プロセッサによって、前記画像セグメントがジャガイモウイルスの徴候を表示するかを判断することは、
プロセッサによって、少なくとも、前記画像セグメントが前記1つ以上の葉皺基準および前記1つ以上の色基準を満たすかに基づいて、前記画像セグメントがジャガイモウイルスの徴候を表示するかを判断すること
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
プロセッサによって、ジャガイモウイルスの徴候の表示として識別された、前記作物画像内の画像セグメントの数量に基づいて、前記作物画像がジャガイモウイルスを含むかを判断することをさらに備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の葉皺基準は、前記画像セグメント内のエッジの数量の最小閾値を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の葉皺基準は1つ以上の直線基準を含み、
前記画像セグメントが前記直線基準を満足するかを判断することは、前記エッジによって定義された、前記画像セグメント内の直線を識別することを備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の直線基準は、直線の数量の最小閾値を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の葉皺基準は1つ以上の輪郭基準を含み、前記画像セグメントが前記輪郭基準を満足するかを判断することは、前記エッジによって定義された、前記画像セグメント内の輪郭を識別することを備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の輪郭基準は、面積の最大閾値を超えた面積を前記画像セグメント内の各輪郭が有するかを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の色基準は、色錐において2つの平均の色チャンネル値の間のユークリッド距離の1つ以上の数値範囲を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記第1区域を識別することは、前記作物画像のマゼンタチャンネルに基づいて、または、前記作物画像から生成された画像のマゼンタチャンネルに基づいて、第1マスクを生成することを備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1区域を識別することは、色チャンネル値の範囲の1つ以上の所定閾値に基づいて第2マスクを生成することをさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
プロセッサによって実行可能な命令を備えるコンピュータ可読媒体であって、前記命令は実行されるとき、
作物画像をメモリに記憶することと、
前記作物画像から、ジャガイモ植物の葉の描画された第1区域を識別することであって、前記作物画像において、前記第1区域が、葉でない画像の描画された第2区域と重ならない、前記第1区域を識別することと、
前記第1区域における複数のエッジを識別することと、
前記作物画像の画像セグメント内の前記エッジに基づいて、前記第1区域において前記画像セグメントが1つ以上の葉皺基準を満たすかを判断することであって、前記葉皺基準が、ウイルスによって生じた葉皺を表し、ジャガイモウイルスの視覚的徴候である葉皺を判断するためのものである、判断することと、
少なくとも、前記画像セグメントが前記1つ以上の葉皺基準を満たすかに基づいて、前記画像セグメントがジャガイモウイルスの徴候を表示するかを判断することと、
を前記プロセッサにさせる、コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記命令は実行されるとき、
前記画像セグメントが1つ以上の色基準を満たすかを判断することであって、前記色基準がウイルスによって生じた褪色を表す、判断すること
を前記プロセッサにさらにさせ、
前記画像セグメントがジャガイモウイルスの徴候を表示するかを判断することは、
少なくとも、前記画像セグメントが前記1つ以上の葉皺基準および前記1つ以上の色基準を満たすかに基づいて、前記画像セグメントがジャガイモウイルスの徴候を表示するかを判断すること
を含む、
請求項12に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記命令は実行されるとき、
ジャガイモウイルスの徴候の表示として識別された、前記作物画像内の画像セグメントの数量に基づいて、前記作物画像がジャガイモウイルスを含むかを判断することを、 前記プロセッサにさらにさせる、請求項12に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記1つ以上の葉皺基準は、前記画像セグメント内のエッジの数量の最小閾値を含む、請求項12~14のいずれか1項に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記1つ以上の葉皺基準は1つ以上の直線基準を含み、
前記画像セグメントが前記直線基準を満足するかを判断することは、前記エッジによって定義された、前記画像セグメント内の直線を識別することを備える、請求項12~15のいずれか1項に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記1つ以上の直線基準は、直線の数量の最小閾値を含む、請求項16に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記1つ以上の葉皺基準は1つ以上の輪郭基準を含み、前記画像セグメントが前記輪郭基準を満足するかを判断することは、前記エッジによって定義された、前記画像セグメント内の輪郭を識別することを備える、請求項12~17のいずれか1項に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記1つ以上の輪郭基準は、面積の最大閾値を超えた面積を前記画像セグメント内の各輪郭が有するかを含む、請求項18に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記1つ以上の色基準は、色錐において2つの平均の色チャンネル値の間のユークリッド距離の1つ以上の数値範囲を含む、請求項13に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項21】
前記第1区域を識別することは、前記作物画像のマゼンタチャンネルに基づいて、または、前記作物画像から生成された画像のマゼンタチャンネルに基づいて、第1マスクを生成することを備える、請求項12~20のいずれか1項に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項22】
前記第1区域を識別することは、色チャンネル値の範囲の1つ以上の所定閾値に基づいて第2マスクを生成することをさらに備える、請求項21に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項23】
ジャガイモ植物がある作物画像におけるジャガイモウイルスを検出するシステムであって、
コンピュータ可読命令および前記作物画像を記憶するメモリと、
前記コンピュータ可読命令を実行するように構成されているプロセッサであって、前記コンピュータ可読命令は、
前記作物画像から、ジャガイモ植物の葉の描画された第1区域を識別することであって、前記作物画像において、前記第1区域が、葉でない画像の描画された第2区域と重ならない、前記第1区域を識別することと、
前記第1区域における複数のエッジを識別することと、
前記作物画像の画像セグメント内の前記エッジに基づいて、前記第1区域において前記画像セグメントが1つ以上の葉皺基準を満たすかを判断することであって、前記葉皺基準が、ウイルスによって生じた葉皺を表し、ジャガイモウイルスの視覚的徴候である葉皺を判断するためのものである、判断することと、
少なくとも、前記画像セグメントが前記1つ以上の葉皺基準を満たすかに基づいて、前記画像セグメントがジャガイモウイルスの徴候を表示するかを判断することと、
を前記プロセッサにさせる、前記プロセッサと、
を備える、システム。
【請求項24】
前記コンピュータ可読命令は、
前記画像セグメントが1つ以上の色基準を満たすかを判断することであって、前記色基準がウイルスによって生じた褪色を表す、判断すること
を前記プロセッサにさらにさせ、
前記画像セグメントがジャガイモウイルスの徴候を表示するかを判断することは、
少なくとも、前記画像セグメントが前記1つ以上の葉皺基準および前記1つ以上の色基準を満たすかに基づいて、前記画像セグメントがジャガイモウイルスの徴候を表示するかを判断すること
を含む、
請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記コンピュータ可読命令は、
ジャガイモウイルスの徴候の表示として識別された、前記作物画像内の画像セグメントの数量に基づいて、前記作物画像がジャガイモウイルスを含むかを判断することを、 前記プロセッサにさらにさせる、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記1つ以上の葉皺基準は、前記画像セグメント内のエッジの数量の最小閾値を含む、請求項23~25のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記1つ以上の葉皺基準は1つ以上の直線基準を含み、
前記画像セグメントが前記直線基準を満足するかを判断することは、前記エッジによって定義された、前記画像セグメント内の直線を識別することを備える、請求項23~26のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記1つ以上の直線基準は、直線の数量の最小閾値を含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記1つ以上の葉皺基準は1つ以上の輪郭基準を含み、前記画像セグメントが前記輪郭基準を満足するかを判断することは、前記エッジによって定義された、前記画像セグメント内の輪郭を識別することを備える、請求項23~28のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
前記1つ以上の輪郭基準は、面積の最大閾値を超えた面積を前記画像セグメント内の各輪郭が有するかを含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記1つ以上の色基準は、色錐において2つの平均の色チャンネル値の間のユークリッド距離の1つ以上の数値範囲を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項32】
前記第1区域を識別することは、前記作物画像のマゼンタチャンネルに基づいて、または、前記作物画像から生成された画像のマゼンタチャンネルに基づいて、第1マスクを生成することを備える、請求項23~31のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項33】
前記第1区域を識別することは、色チャンネル値の範囲の1つ以上の所定閾値に基づいて第2マスクを生成することをさらに備える、請求項32に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物画像におけるジャガイモウイルスを検出するための方法、媒体、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ジャガイモウイルスYなどのジャガイモウイルスは、世界中のあちらこちらでジャガイモ(potato、ポテトとも呼ばれる)の作物に甚大な影響を与えてきた。感染されたジャガイモ畑は最終的に畑において10%~100%が減収になることは既に報告された。ジャガイモウイルスは一般的に媒介アブラムシによって散布され、媒介アブラムシは感染された植物からウイルスを得て、後にそれらの餌となる健全植物にウイルスを散布する。ウイルスの散布は感染された植物を抜き捨てることによって軽減されうる。しかしながら、大きな作物畑において感染された植物を探すことは挑戦的で時間がかかるであろう。
【発明の概要】
【0003】
1つの実施態様において、本開示は、少なくとも1つのジャガイモ植物が描画された作物画像におけるジャガイモウイルスを検出する方法に関する。この方法は、前記作物画像をメモリに記憶することと、プロセッサによって、前記作物画像の第1区域を識別することであって、前記第1区域にジャガイモ植物の葉が描画されており、前記第1区域が前記作物画像の第2区域と重ならなく、前記第2区域に葉でない描写が描画されている、識別することと、プロセッサによって、前記第1区域における複数のエッジを識別することと、プロセッサによって、前記作物画像の画像セグメント内の前記エッジに基づいて、前記第1区域において前記画像セグメントが1つ以上の葉皺基準(leaf creasing criteria)を満たすかを判断することであって、前記葉皺基準がウイルスによって生じた葉皺を表す、判断することと、プロセッサによって、前記画像セグメントが1つ以上の色基準を満たすかを判断することであって、前記色基準がウイルスによって生じた褪色を表す、判断することと、プロセッサによって、前記画像セグメントが1つ以上の前記葉皺基準および前記色基準を満たすかに基づいて、前記セグメントがジャガイモウイルスの徴候を表示するかを判断することと、を備える。
【0004】
もう1つの実施態様において、本開示はプロセッサによって実行可能な命令を備えるコンピュータ可読媒体に関し、前記命令は実行されるとき、前記作物画像をメモリに記憶することと、前記作物画像の第1区域を識別することであって、前記第1区域にジャガイモ植物の葉が描画されており、前記第1区域が前記作物画像の第2区域と重ならなく、前記第2区域に葉でない描写が描画されている、識別することと、前記第1区域における複数のエッジを識別することと、前記作物画像の画像セグメント内の前記エッジに基づいて、前記第1区域において前記画像セグメントが1つ以上の葉皺基準を満たすかを判断することであって、前記葉皺基準がウイルスによって生じた葉皺を表す、判断することと、前記画像セグメントが1つ以上の色基準を満たすかを判断することであって、前記色基準がウイルスによって生じた褪色を表す、判断することと、前記画像セグメントが1つ以上の前記葉皺基準および前記色基準を満たすかに基づいて、前記セグメントがジャガイモウイルスの徴候を表示するかを判断することと、を前記プロセッサにさせる。
【0005】
また1つの実施態様において、本開示はジャガイモ植物がある作物画像におけるジャガイモウイルスを検出するシステムに関し、このシステムは、コンピュータ可読命令および前記作物画像を記憶するメモリと、前記コンピュータ可読命令を実行するように構成されているプロセッサであって、前記コンピュータ可読命令は、前記作物画像をメモリに記憶することと、前記作物画像の第1区域を識別することであって、前記第1区域にジャガイモ植物の葉が描画されており、前記第1区域が前記作物画像の第2区域と重ならなく、前記第2区域に葉でない描写が描画されている、識別することと、前記第1区域における複数のエッジを識別することと、前記作物画像の画像セグメント内の前記エッジに基づいて、前記第1区域において前記画像セグメントが1つ以上の葉皺基準を満たすかを判断することであって、前記葉皺基準がウイルスによって生じた葉皺を表す、判断することと、前記画像セグメントが1つ以上の色基準を満たすかを判断することであって、前記色基準がウイルスによって生じた褪色を表す、判断することと、前記画像セグメントが1つ以上の前記葉皺基準および前記色基準を満たすかに基づいて、前記セグメントがジャガイモウイルスの徴候を表示するかを判断することと、を前記プロセッサにさせる、前記プロセッサと、備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】作物画像におけるジャガイモウイルスを検出する方法のフローチャート
【
図3】作物画像におけるジャガイモ植物の葉を識別する方法のフローチャート
【
図5】
図4の作物画像のマゼンタチャンネルを示す図
【
図8】
図7の膨張処理した画像による画像マスクに基づくマゼンタチャンネル
【
図9】
図4の作物画像から葉でない区域をマスク処理した画像
【
図10】
図4の作物画像において検出したエッジを描写する画像
【
図11】エッジ基準を満たす画像セグメントが識別された画像
【
図12】直線基準を満たす画像セグメントが識別された画像
【
図13】輪郭基準を満たす画像セグメントが識別された画像
【
図14】色基準を満たす画像セグメントが識別された画像
【
図15】エッジ基準、直線基準および色基準の少なくとも1つを満たす画像セグメントが識別された画像
【発明を実施するための形態】
【0007】
本出願には多数の実施例が説明され、これらは例示的な用途にのみ提供される。説明される実施例は任意の概念上意図的に制限されるものではない。ここでの開示からすぐ分かるように、本発明は多数の実施例に広く応用されうる。本発明は、ここで開示された教示から逸脱することなく、変更および変化をしながら実行されうることについて、当業者は理解できるであろう。本発明の特定の特徴が1つ以上の特定の実施例または図面とともに説明されうるが、このような特徴は、これらを説明する1つ以上の特定の実施例または図面における用途に制限されていないことが理解されるべきである。
【0008】
「一実施例」、「実施例」、「複数の実施例」、「本実施例」、「これらの実施例」、「1つ以上の実施例」、「特定の実施例」、および「1つの実施例」という用語は、特記する場合を除き、「本発明の1つ以上(でも全てではない)の実施例」を意味する。
【0009】
「含む」、「備える」、およびそれらの変形という用語は、特記する場合を除き、「含むが(それに)限らない」を意味する。要素の列挙は、特記する場合を除き、要素のいずれか1つまたは全てが互いに排他的であることを意味しない。「1つ」および「前記」という用語は、特記する場合を除き、「1つ以上」を意味する。
【0010】
方法のステップは開示または特許請求の範囲において順次に説明されうるまたは挙げられるが、このような方法は別の順番で実行するように設計してもよい。言い換えると、説明されうるいかなるステップの順序または順番は、その順番でステップを実施する要求を必然的に指定するのではない。ここで説明する方法のステップはいかなる現実的な順番で実行されうる。さらに、一部のステップは同時に実行されてもよく、一部のステップは省略してもよい。
【0011】
ジャガイモウイルスを検出するための従来の方法は、試験のために実体の植物サンプルを実験室に送ることを含む。サンプルの収集および郵送、ならびに結果を待つための時間によって、ウイルスのさらなる散布をもたらす遅延が生じうる。また、大きな作物畑に対して、農園全体にわたってジャガイモウイルスを確実に検出するに十分なサンプルを収集すること、郵送すること、および試験に支払うことは現実的ではないかもしれない。
【0012】
ここで開示される実施例は、ジャガイモウイルスの検出に基づく画像に関する。これにより、ジャガイモウイルスのための実験室によるジャガイモ作物試験に対して、迅速で、精度が高く、高価でない代替案が提供されうる。本開示の1つの実施例において、ジャガイモウイルスはジャガイモモザイクウイルスである。本開示の様々な実施例において、ジャガイモウイルスは、ジャガイモウイルスX(PVX)、ジャガイモウイルスS(PVS)、ジャガイモウイルスM(PVM)、ジャガイモウイルスY(PVY)若しくはジャガイモウイルスA(PVA)、またはこのようなウイルスの2つ以上の組み合わせである。概略的に見ると、植物、例えば、ジャガイモ植物のある作物畑(温室における作物畑などを含む)の作物画像が解析のために撮影される。例えば、空中ドローン、または農機具(例えば、コンバインの脱穀機)に装着されたカメラは、作物画像の撮影に利用されうる。コンピュータプロセッサは、ジャガイモウイルスの視覚的徴候、例えば、葉皺または葉の褪色に対して、作物画像を処理および解析する。検出された徴候の厳重さに基づいて、プロセッサは、作物画像に感染された植物、例えば、感染されたジャガイモ植物があるかを識別する。この情報を用いて、識別された植物、例えば、識別されたジャガイモ植物は、ウイルスの散布を軽減するように、抜き捨てられうる。本開示のジャガイモウイルスは植物、例えば、ジャガイモ植物などのなす科の植物に感染可能である。よって、様々な実施例において、本開示の方法、コンピュータ可読媒体、およびシステムは、植物が描画された作物画像におけるジャガイモウイルスの検出に関し、当該描画された植物は、例えば、ジャガイモ植物などのなす科の植物である。様々な実施例において、本開示のジャガイモ植物は任意のバレイショ(Solanum tuberosum L.)であり、例えば、ワキシージャガイモ(フィンガーリングジャガイモ(fingerling potato)など)、デンプンジャガイモ(starchy potato、ラセットバーバンク(Russet Burbank)など)、イエローポテト(yellow potato、ユーコンゴールドポテト(Yukon gold potato)など)、ホワイトポテト(white potato、シェポディー(Shepody)など)、レッドポテト、ブルーポテト、またはこれらの植物の2つ以上の組み合わせである。
【0013】
図1はシステム100の一例の概略図を示す。原則的に、システム100はサーバコンピュータ、デスックコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレット、PDA、スマートフォン、または、ここで説明される方法を実行できる他のシステムであってもよい。少なくとも1つの実施例において、システム100はネットワーク116との接続、例えば、インターネットまたはプライベートネットワークとの有線接続または無線接続を含む。
【0014】
示されている例示において、システム100は、メモリ102と、アプリケーション104と、出力装置106と、表示装置108と、二次記憶装置110と、プロセッサ112と、入力装置114とを含む。特定の実施例において、システム100は、メモリ102、アプリケーション104、出力装置106、表示装置108、二次記憶装置110、プロセッサ112、入力装置114、およびネットワーク接続(すなわち、ネットワーク116または他のネットワークとの接続)のうちの1つ以上を複数含む。特定の実施例において、システム100は、アプリケーション104、二次記憶装置110、ネットワーク接続、入力装置114、出力装置106、および表示装置108のうちの1つ以上を含んでいない。
【0015】
メモリ102はランダムアクセスメモリ(RAM)または他の同様な種類のメモリを含んでもよい。また、特定の実施例において、メモリ102は、プロセッサ112によって実行されるための1つ以上のアプリケーション104を記憶する。アプリケーション104はソフトウェアに対応し、当該ソフトウェアは、以下に説明される機能および方法のために処理を行うように、コンピュータ実行可能な指令を含む。二次記憶装置110は、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、CDドライブ、DVDドライブ、ブルーレイ(登録商標)ドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ、または他の種類の不揮発性データ記憶装置を含んでもよい。
【0016】
特定の実施例において、システム100は情報をクラウド記憶装置などの遠隔記憶装置に保存し、当該遠隔記憶装置はネットワーク116または他のネットワークなどのネットワークを介してアクセス可能である。特定の実施例において、システム100は、メモリ102および二次記憶装置110などの複数の記憶装置を介して情報を分散記憶する(すなわち、複数の記憶装置のそれぞれが一部の情報を記憶し、この複数の記憶装置が共同で情報のすべてを記憶する)。したがって、ここおよび特許請求の範囲に言及する、記憶装置にデータを記憶することは、データをローカル記憶装置に記憶すること、データを遠隔記憶装置に記憶すること、または、それぞれがローカル記憶装置または遠隔記憶装置である複数の記憶装置を介してデータを分散記憶することを意味する。
【0017】
原則的に、プロセッサ112はアプリケーション、コンピュータ可読指令、またはプログラムを実行してもよい。当該アプリケーション、コンピュータ可読指令、またはプログラムは、メモリ102もしくは二次記憶装置110に記憶されてもよく、または、ネットワーク116などを介して遠隔記憶装置から受信されてもよい。実行されるとき、アプリケーション、コンピュータ可読指令、またはプログラムは、プロセッサ12(または共同で複数のプロセッサ112)にここで説明される方法などの1つ以上の動作をさせてもよい。
【0018】
入力装置114は、情報を装置100に入れるための任意の装置を含んでもよい。例えば、入力装置114はキーボード、キーパッド、カ-ソル制御装置、タッチスクリーン、カメラ、またはマイクロホンであってもよい。入力装置114は、外部装置との有線接続または無線接続を行うための入力ポートと無線通信機(例えば、ブルートゥース(登録商標)または802.11X)とを含んでもよい。
【0019】
表示装置108は視覚的情報を表示するための任意の種類の装置を含んでもよい。例えば、表示装置108はコンピュータモニタ、フラットスクリーンディスプレイ、プロジェクタ、またはディスプレイパネルであってもよい。
【0020】
出力装置106は、情報のハードコピーを表示するための任意の種類の装置、例えば、プリンタを含んでもよい。出力装置106はスピーカなどの他の種類の出力装置を含んでもよい。少なくとも1つの実施例において、外部装置との有線接続または無線接続を行うための出力ポートと無線通信機(例えば、ブルートゥース(登録商標)または802.11X)とを含んでもよい。
【0021】
図1はシステム100のハードウェアの一例の概略図を示す。代替的な実施例において、システム100は、より少ない部品、追加的な部品、または異なる部品を含む。また、システム100の実施態様はメモリに記憶するように説明されているが、当業者にとっては、この実施態様において、例えば、二次記憶装置などの他の種類のコンピュータプログラム製品もしくはコンピュータ可読媒体、または、他の形式RAMもしくはROMに記憶されてもよく、またはこれらから読み出されてもよく、当該二次記憶装置がハードディスク、フロッピーディスク、CD、またはDVDを含むことが理解される。
【0022】
システム100またはその部品が参照される箇所において、
図1は残りの説明のために参照されうる。
【0023】
図面におけるフローチャートは、様々な実施例に基づくシステム、方法およびコンピュータ可読媒体の可能な実施の構造、機能および動作を示す。この観点からすると、フローチャートにおける各ブロックは、特定の論理的な関数を実行するための1つ以上の執行可能指令を備えるモジュール、セグメント、または一部のコードを示す。フローチャートにおけるブロックの1つまたはそれ以上(またはすべて)は、特定の機能または動作を行う特定目的のハードウェアベースシステムによって、または、特定目的のハードウェアとコンピュータ指令との組み合わせによって、実行されてもよい。
【0024】
ここで
図2を参照し、
図2は、作物画像におけるジャガイモウイルスを検出する方法200を描くフローチャートを示す。ステップ204において、作物画像はメモリ102に記憶される。作物画像400の一例は
図4に示されている。示されているように、作物画像400は、作物畑の上方から下方にあるジャガイモ植物404に向かって撮った写真であってもよい。大気遠近法(aerial perspective)によればジャガイモ植物の葉408のよい可視性を提供することができ、当該ジャガイモ植物の葉408はこの方法の解析の根拠となるウイルス徴候を表示する。
【0025】
作物画像400は、任意のカメラまたはカメラ付きの装置を用いて任意の手段で撮られうる。例えば、作物画像400は、デジタルカメラ(コンパクトカメラ(compact camera、point-and-shoot camera)、デジタルSLR、またはビデオカメラ)、カメラ付きのスマートフォン、農機具(例えば、コンバインの脱穀機)に装着されたカメラ、またはカメラ付きのドローンを用いる農民またはサービスプロバイダによって撮られうる。作物画像400は、例えば、非連続の写真、複数の写真(例えば、パノラマ)から繋げられた画像、または録画ビデオの1つ以上のフレームを含んでもよい。
【0026】
作物画像400は任意数量のジャガイモ植物を含んでもよい。例えば、作物画像400は1つのジャガイモ植物の一部から作物畑の全体のジャガイモ植物までを含んでもよい。好ましくは、作物画像400は複数のジャガイモ植物を含む。これによって、この検出方法で、作物画像に示されている複数のジャガイモ植物に対して計算効率のよい大量の解析を行うことができる。例えば、数百エーカーの作物畑は、数百枚以下の写真(例えば、1枚~700枚の写真)によって撮られることが可能であり、これらの写真は方法200によって効率的に解析されうる。計算効率のよい方法200は、作物畑全体をジャガイモウイルスに対して定期的に(例えば、毎日、毎週、または毎月)解析することを可能とする。
【0027】
方法200は、描画されたジャガイモ植物の葉に現れた視覚的徴候に基づいて、作物画像がジャガイモウイルスを含むかを判断する。ステップ208において、プロセッサ112は作物画像400(
図4)の第1区域を識別し、当該第1区域はジャガイモ植物の葉を含み、第1区域が作物画像400(
図4)の第2区域と重ならなく、当該第2区域は葉でない描写、例えば、土壌およびくずの画像を含む。特定の実施例において、プロセッサ112は、第2区域を後の解析から排除するように第2区域を削除、塗りつぶし、または変えてもよい。例えば、プロセッサ112は、第2区域を後の解析から除去するために、1つ以上の画像マスクを生成して作物画像400(
図4)に適用してもよい。
【0028】
図3は作物画像からジャガイモの葉を識別する方法300を描くフローチャートを示し、当該方法は2つの色系の画像マスクを生成し作物画像に適用することを含む。ステップ304~ステップ316はマゼンタ色彩平面系の画像マスクの生成に関し、ステップ320はRGB系の色マスクの生成に関する。ステップ324において、この2つのマスクは作物画像400(
図4)に適用される。説明されたこの2つの色系の画像マスクを生成しともに適用することによっていい結果が得られるが、この2つの色系の画像マスクの1つのみを生成し適用すること、または、1つ以上の異なる色系の画像マスクを生成し適用することによっても満足できる結果が得られることが理解される。特定の実施例において、ジャガイモの葉の識別は、前述した2つの色系の画像マスクの1つまたは2つともを生成し適用すること、また、他の色系の画像マスクを生成し適用することを含んでもよい。
【0029】
大半のカメラはRGB空間にマッピングされる画像を撮るように構成されている。ステップ304において、プロセッサ112は作物画像400(
図4)からCMYK画像を生成し当該CMYK画像をメモリ102に記憶する。プロセッサ112は、従来の任意の方法に基づいて、作物画像(またはそのコピー)をCMYK画像に転換してもよい。撮った作物画像400(
図4)がすでにCMYK色彩空間にマッピングされた場合、このステップは省略されてもよい。
【0030】
本発明者は、作物画像のマゼンタ色彩平面が葉でない描写を分離することに有効であることを見出した。ステップ308において、プロセッサ112はCMYK画像のマゼンタ色彩平面から二値画像を生成する。
図5は作物画像400(
図4)のマゼンタ色彩平面500の一例を示す。
図6は作物画像400(
図4)のマゼンタ色彩平面500(
図5)に基づいて生成される二値画像600の一例を示す。二値画像において、すべての画素は第1色または第2色(一般的には白または黒)である。明確に描くために、以下の例示は二値画像を白または黒の画素を有する画像とする。ただし、他の実施例において、二値画像は任意の二色によって形成されてもよいことは明白に考えられる。
【0031】
マゼンタ色彩平面500は、各画素を、その画素が1つ以上のマゼンタ基準を満たすかに基づいて、黒または白に設定することによって、二値化されうる。マゼンタ基準は、マゼンタ値の最小閾値もしくはマゼンタ値の最大閾値、1つ以上のマゼンタ値の範囲、または、これらの組み合わせを含んでもよい。マゼンタ値の閾値より大きいまたは小さいマゼンタ値を有する画素、および/または、1つ以上のマゼンタ値の範囲の中にまたは外にあるマゼンタ値を有する画素は、すべて白に設定されてもよく、すべて黒に設定されてもよい。マゼンタ基準は、複数の作物画像に対する応用のために予め決められてもよく、各作物画像のために個別に決められてもよい。例えば、作物画像400(
図4)は、所定のマゼンタ基準の適用に対して十分な均一性を提供するように、ホワイトバランスや照明条件などの画像特性を抗生するように前処理を受けてもよい。他の実施例において、マゼンタ基準は、特定の作物画像の画像特徴(例えば、照明およびホワイトバランス)に基づいて、各作物画像400(
図4)に対して決められている。
図6の二値画像600はマゼンタ基準によって準備され、当該マゼンタ基準は0から255までのスケールにおいて値が0であるマゼンタ値の閾値を含み、マゼンタ値の閾値より大きいマゼンタ値を有する画素は白に設定され、白の画素は葉でない描写604を表す。
【0032】
画素についてRGB画像からCMYK画像への変換のための数学的関係が存在することが理解され、それよって、CMYK画像を生成または記憶をする必要とせずに、RGB作物画像からマゼンタ系の二値画像600を生成するようにアルゴリズムが立てられる。
【0033】
ステップ312において、プロセッサ112は、二値化された画像600(
図6)を形態的に膨張処理して、拡大された葉でない区域704(例えば、白の画素の区域)を有する膨張処理された二値画像700(
図7)を生成する。これは、作物画像から余分な葉でない描写を捉えるのに有効であり、特に保守的なマゼンタプロファイル(magenta profile)がステップ308において適用される場合、葉でない区域604(
図6)において植物の葉をとらえることが回避される。例えば、ステップ308において適用されるマゼンタプロファイルは、植物の葉の境界線を引いた葉でない区域の部分を一貫して捉えることがなくとも、形態的な膨張処理によれば、葉でない区域704(
図7)を拡大してこれらの境界線の部分を捉えることができる。代替的な実施例において、ステップ308において適用されるマゼンタプロファイルは十分な精度を有するため、ステップ312における形態的な膨張処理は省略されうる。
【0034】
ステップ316において、プロセッサ112は膨張された二値画像700から第1マスクを生成する。
図8を参照すると、プロセッサ112は二値画像700(
図7)を反転して画像マスク800を生成する。描かれている例において、これは、葉でない区域804を黒の画素によって表し、葉の区域808を白の画素によって表すことを可能とする。これにより、画像マスクにおける黒の画素がその画像マスクの適用される画像から削除される(または塗りつぶされる)という業界標準に従う。例えば、画像マスク800が作物画像400(
図4)に適用されるとき、画像マスク800の黒の葉でない区域804によっては作物画像400(
図4)においてそれと対応する部分を黒く塗りつぶし、画像マスク800の白の葉の区域808によっては作物画像400(
図4)においてそれと対応する部分をそのまま残す。
【0035】
代替的な実施例において、ステップ308において生成された二値化された画像600(
図6)、または、ステップ312において生成された膨張された二値画像700(
図7)は、標準的な変換と逆のように白の画像および黒の画像を処理するマスク操作によれば、色反転されずに直接的にマスクとして利用されてもよい。
【0036】
ステップ320において、プロセッサ112は色チャンネルの閾値処理(例えば、RGB閾値処理)に基づいて第2マスクを生成する。例えば、プロセッサ112は、色チャンネル基準(例えば、RGB基準)に基づいて作物画像400(
図4)を二値化することによって、画像マスクを生成してもよい。色チャンネル基準は、色チャンネル値の1つ以上の所定閾値(例えば、RGB値)、色チャンネル値(例えば、RGB値)の1つ以上の所定範囲(例えば、RGB値の範囲)、または、これらの組み合わせを含んでもよい。例えば、RGB値の閾値より大きいまたは小さいRGB値を有する画素、または、1つ以上のRGB値の範囲の中にまたは外にあるRGB値を有する画素は、すべて白に設定されてもよく、すべて黒に設定されてもよい。1つの実施例において、RGB基準は(17、54、17)から(174、211、153)までのRGB値の範囲を含み、赤チャンネル、緑チャンネル、および青チャンネルのそれぞれは0~255の範囲内にマッピングされており、RGB値の範囲の中に属する画素は黒に設定されて葉でない区域を表し、残りの画素は白に設定され葉の区域を表す。
【0037】
ステップ324において、プロセッサ112は、生成した色系のマスクを作物画像400(
図4)に適用し、マスク処理された作物画像を生成する。
図9は、代表的な、マスク処理された作物画像900を示し、当該処理された作物画像900は、ステップ316において生成されたマゼンタ色彩平面系のマスクによってマスク処理し、ステップ320において生成されたRGB系のマスクによってさらにマスク処理することによって生成された。示されているように、塗りつぶされた第2区域904は少ない葉を含みまたは葉を含まず、残りの第1区域908は、少し葉でない描写を含みながら、または葉でない描写を含まずに、その大部分が植物の葉を含む。例えば、第1区域908は作物画像400(
図4)に描かれた植物の葉の少なくとも80%を含み、第2区域904作物画像400(
図4)に描かれた葉でない描写の少なくとも80%を含む。後の処理中、葉皺および葉の褪色は残された第1区域908に基づいて評価される。
【0038】
ここで
図2を参照する。作物画像400(
図4)のジャガイモ植物の葉408を含む第1区域908(
図9)を識別した後、この方法では、ジャガイモウイルスの徴候に対して第1区域908を評価すること、および、これらの徴候を図って作物画像内のジャガイモ植物がジャガイモウイルスに感染されたかを判断する(
図9)ことを行う。
【0039】
ステップ212において、プロセッサ112は、作物画像400(
図4)を複数の画像セグメントに分割する。例えば、プロセッサ112は、作物画像400(
図4)または少なくとも第1区域908(
図9)を、別個の画像セグメントのアレイに概念的に分割してもよい。各画像セグメントは別個の解析ブロックを表してもよい。プロセッサ112は、ウイルス徴候に対して各画像セグメントをそれぞれに評価してもよい。例えば、プロセッサ112は各画像セグメントに対してステップ216からステップ236のそれぞれを繰り返してもよい。続いて、プロセッサ112は、ウイルス徴候を表示する画像セグメントの数量およびグループ分けに基づいて、作物画像400(
図4)においてどれかのジャガイモ植物がジャガイモウイルスに感染されたかを判断してもよい。
【0040】
プロセッサ112は作物画像400を任意数量の画像セグメント(例えば、10個以上のセグメント、10個~10000個のセグメントなど)に分割してもよい。画像セグメントの数量は、作物画像400の解像度または視野に基づくものであってもよい。例えば、作物画像400の視野が狭い(例えば、作物画像400に相当に少ない植物または1つの植物の一部のみが撮られている)場合、プロセッサ112は作物画像400を比較的に少ない画像セグメント(例えば、10個~50個のセグメント)に分割してもよく、よって、画像セグメントのそれぞれは、ウイルス徴候に対して解析するのに十分なジャガイモ植物の部分を含む。一方、作物画像400の視野が広い(例えば、作物画像400に多くの植物が撮られている)場合、プロセッサ12は作物画像400を多くの画像セグメント(例えば、51個~10000個のセグメント)に分割してもよく、よって、作物画像400内の植物または葉のそれぞれは解析のために複数の画像セグメントにわたって分割される。1つの画像セグメントは任意のサイズおよび形状を有してもよい。
図11~
図15は、四角形かつ均一なサイズを有する画像セグメント1104、1204、1304、1404、および1505を含み例示を示す。こうすれば、画像を画像セグメントに分割することを簡単化することができる。他の実施例において、プロセッサ112は作物画像400を四角形でない画像セグメントに分割してもよく、当該四角形でない画像セグメントは、例えば、円形または三角形のセグメント、または、他の規則的もしくは不規則的な形状のセグメントである。例えば、セグメントは、複数の異なる形状および/または複数の異なるサイズのセグメントを含んでもよい。
【0041】
特定のジャガイモウイルス、例えば、ジャガイモウイルスYの徴候の1つは葉皺である。ステップ216において、プロセッサ112は第1区域908(
図9)内の葉皺を識別する。プロセッサ112は、葉皺の識別に有効である任意のプロセスまたはアルゴリズムを適用してもよい。従来のテクスチャ解析方法(例えば、GLCMテクスチャ解析)と比べると、発明者は、エッジ検出方法、直線検出方法、輪郭検出方法の1つ以上(またはすべて)を介して、葉皺によってより速く計算効率よく識別されることを見出した。原則的に、第1区域908(
図9)の1つのセグメント内の比較的に多くのエッジおよび直線、ならびに比較的に小さい輪郭面積はジャガイモウイルスの徴候でありえる。
【0042】
ステップ220において、プロセッサ112は、第1区域908(
図9)の画像セグメント内のエッジを検出し、検出したエッジを、ジャガイモウイルスの葉皺の徴候を示すエッジ基準と比較する。プロセッサ112は、植物の葉におけるエッジの検出に適した任意のエッジ検出方法、例えば、キャニーエッジ検出法(Canny edge detection)を利用してもよい。キャニーエッジ検出法は2つの画像勾配閾値(上方閾値および下方閾値)を利用し、ノイズまたは自然の色変化から検出エッジを見分ける。例えば、キャニーエッジ検出法のための上方閾値および下方閾値は以下のように提供されてもよい。
【0043】
【0044】
【0045】
操作において、画素勾配値が上方閾値より大きい場合、この画素はエッジとして認められ、画素勾配値が下方閾値より小さい場合、この画素はエッジとして認められなく、画素勾配値が2つの閾値の間にある場合、この画素は、上方閾値より大きい画素と隣接するときにのみエッジとして認められる。この例示において、上方閾値は画像セグメントにおける平均勾配より大きい標準偏差であり、下方閾値は画像セグメントにおける平均勾配より小さい標準偏差である。
【0046】
図10は、プロセッサ112によって検出された、第1区域908(
図9)において白の画素によって表されているエッジ1004を含む画像1000を示す。プロセッサ112は、検出したエッジ1004(
図10)を、ジャガイモウイルスの葉皺の徴候を示すエッジ基準と比較してもよい。エッジ基準は、エッジの数量の最小閾値を含んでもよく、例えば、絶対数としての、または、セグメント内の画素数量との割合(例えば、10%のエッジ画素よりも大きい)としてのエッジ画素(例えば、白の画素)の数量の最小閾値を含んでもよい。
図11は代表的な画像1100を示し、画像1100は、ジャガイモウイルスの徴候としてのエッジ画素13.8%以上を有することがプロセッサ112によって識別されたセグメント1104を示す。
【0047】
ステップ224において、プロセッサ112は、ステップ220において検出されたエッジ1004(
図10)によって定義された第1区域908(
図9)内の非連続の直線を検出し、検出した直線を、ジャガイモウイルスの徴候を示す直線基準と比較する。プロセッサ112は、ステップ220において検出されたエッジ内の直線の検出に適した任意の直線検出方法、例えば、ハフ直線検出法(Hough line detection)を利用してもよい。直線基準は直線の数量の最小閾値を含んでもよく、例えば、長さの最小閾値を有する直線の数量の最小閾値を含んでもよい。直線の数量閾値は、絶対数として、または、セグメントによって描かれた現実世界の面積内の密度(例えば、1平方センチメートルあたりの直線)として表現されてもよい。長さ閾値は、画素の絶対数として、現実世界の測量(センチメートル)として、または、セグメントの寸法との割合(例えば、セグメントの幅の百分率)として表現されてもよい。
図12は代表的な画像1200を示し、画像1200は、少なくとも50画素(例えば、少なくともセグメントの幅の30%)の長さを有する直線を少なくとも50本を有することがプロセッサ112によって識別された画像セグメント1204を示す。
【0048】
ステップ228において、プロセッサ112は、ステップ220において検出されたエッジ1004(
図10)によって定義された第1区域908(
図9)内の輪郭を検出し、検出した輪郭を、ジャガイモウイルスの葉皺の徴候を示す輪郭基準と比較する。輪郭は、ステップ220において検出されたエッジ1004(
図10)によって形成されて閉じた形状(例えば、エッジ画素によって完全に囲まれた区域)である。特定の面積閾値(例えば、1500画素)を超えた輪郭がセグメント内に存在していない場合、このようなセグメントには高い確率でジャガイモウイルスの徴候を示す葉皺が存在することを、発明者は見出した。輪郭基準は輪郭面積の最大閾値を含んでもよく、輪郭面積の最大閾値は、画素の絶対数として、現実世界の測量(平方センチメートル)として、または、セグメントの面積との割合(例えば、セグメントの面積の百分率)として表現されてもよい。
図13は、輪郭基準を満たすことがプロセッサ112によって識別された画像セグメント1304を示し、当該輪郭基準は、1500画素(例えば、セグメントの面積の8.5%)を超えた単一の輪郭面積を有する輪郭の有無である。
【0049】
特定のジャガイモウイルス、例えばジャガイモウイルスYのもう1つの徴候は、葉の褪色である。ステップ232において、プロセッサ112は、第1区域908(
図9)内の各画像セグメントの色プロファイル(color profile)を色基準と比較する。画像セグメントの色プロファイルは、このセグメントの任意の色属性(color property)の1つ以上の値を含んでもよく、当該色属性は、任意のチャンネルまたは任意の1つ以上の色彩空間(例えば、RGB、CMYK、HSV、およびHSLが挙げられるがこれらに限らない)のチャンネルに対する任意の1つ以上のヒストグラム属性(例えば、平均、モード、シグマ、半値幅、二乗平均平方根、百分位数、最小値、および最大値)を含んでもよい。同様に、色基準は、任意のこのような色属性の任意の1つ以上の数値および/または数値範囲を含んでもよく、これらの数値または数値範囲はジャガイモウイルスの葉の褪色の徴候を示してもよい。
【0050】
1つの実施例において、セグメントの色プロファイルは、このセグメント内の、色錐(color cone)において2つの平均の色チャンネル値の間のユークリッド距離を含んでもよい。例えば、色プロファイルは、このセグメント内の、色錐において平均の緑値と平均の赤値との間のユークリッド距離、および平均の緑値と平均の青値との間のユークリッド距離を含んでもよい。
図14は代表的な画像1400を示し、画像1400は、以下の色基準を満たすことがプロセッサ112によって識別されたセグメント1404を示す:平均の緑と平均の赤との間のユークリッド距離が3より小さいまたは45.5より大きい、かつ、平均の緑と平均の青との間のユークリッド距離が10より小さいまたは113より大きい。セグメント1404はジャガイモウイルスの褪色の徴候を示す。
【0051】
ステップ236において、プロセッサ112は、ステップ216~ステップ228において評価される葉皺基準、およびステップ232において評価される色基準に基づいて、各セグメントがジャガイモウイルスの徴候を示すかを判断する。特定の実施例において、プロセッサ112は、葉皺比較結果および色比較結果のそれぞれに加重値を指定し、これらの加重値の総計が所定閾値を超えた場合にセグメントがジャガイモウイルスの徴候を示すと判断する。例えば、プロセッサ112は、ステップ220におけるエッジ基準の満たしに対して20%という値を指定し、ステップ224における直線基準の満たしに対して20%という値を指定し、ステップ228における輪郭基準の満たしに対して20%という値を指定し、ステップ232における色基準の満たしに対して40%という値を指定し、そして、総計が50%を超えた場合にセグメントがジャガイモウイルスの徴候を示すと判断する。この例示によれば、すべての葉皺基準を満す場合、または、色基準および少なくとも1つの葉皺基準を満たす場合、セグメントがジャガイモウイルスの徴候を示すとして識別されることを可能とする。
図15は代表的な画像1500を示し、画像1500は、少なくとも1つの基準(エッジ、直線、輪郭、または色)をすでに満たしていることがプロセッサ112によって識別された画像セグメント1504を示す。プロセッサ112はすでに各セグメント1504に対して加重値を決めた。所定閾値(例えば、50%)を超えた加重値を有するセグメント1504は、ジャガイモウイルスの徴候を示すとしてプロセッサ112によって識別される。
【0052】
ステップ240において、プロセッサ112は、セグメント1504(
図15)がステップ236において数量基準を満たしてジャガイモウイルスの徴候を示すとして判断されたかに基づいて、作物画像400(
図4)がジャガイモウイルスを含むかを判断する。特定の実施例において、数量基準はセグメント1504(
図15)の個数の最小閾値を含んでもよく、当該最小閾値は、絶対数(例えば、5セグメント)として、または、ステップ212において形成された作物画像400(
図4)内のセグメントの総数との割合(例えば、作物画像の総セグメントの0.5%)として表現されてもよい。農民は、ステップ240において識別された作物画像を用いて、その農園においてウイルスに感染された植物の場所を見つけ(例えば、ジオタグまたは作物画像に関する他の場所情報を用いて見つける)、これらの植物を抜き捨て、ウイルスのさらなる散布を予防することができる。こうすれば、ジャガイモウイルスによる収穫量の損失を軽減することができる。
【0053】
以上の説明は実施例の例示を提供するが、説明した実施例の特定の特徴および/または機能は、説明した実施例の精神および動作原理から離れることなく変更を受け入れられることが理解される。したがって、以上にすでに説明した内容は、本発明を説明することを意図にして本発明を限定的でなく、また、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から離れることなく他の変形および変更が行えることは当業者に理解されるであろう。特許請求の範囲は、好ましい実施例および例示によって限定されるべきではなく、全体の説明に一致する最も広い解釈で考えられるべきである。