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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】付加製造による3次元物体の作製方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 69/02 20060101AFI20220624BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20220624BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220624BHJP
【FI】
B29C69/02
B29C64/124
B33Y10/00
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2019552013
(86)(22)【出願日】2018-03-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 US2018022370
(87)【国際公開番号】W WO2018182974
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】62/476,947
(32)【優先日】2017-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515220524
【氏名又は名称】カーボン,インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】510204998
【氏名又は名称】アディダス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ボール,ブレイデン・リード
(72)【発明者】
【氏名】カールソン,クレイグ・ビー
(72)【発明者】
【氏名】ダックス,グレゴリー・ダブリュー,ザ・セカンド
(72)【発明者】
【氏名】カバリア,ハーディク
(72)【発明者】
【氏名】マクラスキー,ショーン・フリードリック・ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】プライス,アール・グリフィン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーゲル,ヘンドリク
(72)【発明者】
【氏名】ペロー,ジャック
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05264061(US,A)
【文献】国際公開第2015/200201(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/145050(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/100462(WO,A1)
【文献】特開2016-037008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 69/00-69/02
B29C 64/00-64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元物体を作製する方法であって、
(a)付加製造により二重硬化重合性液体から中間物体を製造するステップであって、前記中間物体が、ゆがんだおよび/または平坦化した形態の前記3次元物体の形状を有するステップと、
(b)任意選択的に前記中間物体を洗浄するステップと、次いで
(c)前記中間体を、前記3次元物体に対応する形状を有する型に接触させるステップであって、前記中間体が、前記型の形状に適合するステップと、次いで
(d)前記3次元物体が、前記型からの分離後に前記型に適合する形状を維持する条件下で、前記型に接触している前記中間物体をさらに硬化して、前記3次元物体を製造するステップと、次いで
(e)前記3次元物体を前記型から分離するステップと
含み
前記中間物体と前記3次元物体の両方の少なくとも一部が、格子またはメッシュの構成である、方法。
【請求項2】
(i)前記製造ステップのスピードを高める、
(ii)前記製造ステップに必要な支持体の数を減少させる、
(iii)前記3次元物体が適合しない、前記製造ステップのサイズ制限内に適合する、または
(iv)前記の組み合わせ
となるように、前記中間物体の構成を前記3次元物体の構成と異ならせる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中間物体が、前記型により曲げられる、前記型により少なくとも部分的に平坦化する、またはこれらの組み合わせである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記型が、
(i)クレードル、
(ii)プレス、
(iii)クレードルとプレスの組み合わせ、または
(iv)少なくとも一対のプレート
を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
(i)前記3次元物体と前記中間物体の両方が、幾何学的境界を有し、前記境界は互いに形状が異なるものの、体積と接近の両方で互いに対応し、
(ii)前記3次元物体と前記中間物体の両方が、前記幾何学的境界内で幾何学的構造を有し、前記幾何学的構造が互いに補間する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記3次元物体が、所定の機械的特性を有し、前記機械的特性は、前記更なる硬化ステップが前記型の非存在下で行われる場合には得られない、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記中間物体が可撓性である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記3次元物体がエラストマー性である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記中間物体と前記3次元物体の両方の少なくとも主要な部分が、格子またはメッシュの構成である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記製造ステップ(a)が光重合ステップを含む、および/または
前記更なる硬化ステップ(d)が加熱により行われる、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記型が、クレードルを含み、前記クレードルが、前記3次元物体に対応する形状を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記3次元物体が、長さ寸法、幅寸法、および奥行き寸法を有し、前記奥行き寸法が、前記幅寸法または前記長さ寸法のいずれかより小さく、前記3次元物体が、第1の非平面表面および第2の非平面表面を含み、前記第1および第2の非平面表面が、前記奥行き寸法により隔てられている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記製造ステップ(a)が、
(i)キャリアプレートおよびビルド表面を有する光透過性部材を用意するステップであって、キャリアプレートおよびビルド表面が、その間のビルド領域を画定し、ビルド表面が、その上に重合性液体を有するステップと、
(ii)光透過性部材を通して光をビルド領域に照射し、またキャリアプレートおよびビルド表面を互いに離して前進させることにより、キャリアプレート上に中間物体を製造するステップと
により行われ、
前記3次元物体の前記第1または第2の非平面表面が、前記中間物体の平面表面に対応し、
前記キャリアプレートが、平面表面を含み、
前記中間物体の前記平面表面が、前記製造ステップ(a)中に前記キャリアプレートの前記平面表面に付着する、
請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記中間物体が、前記型により少なくとも部分的に曲げられる、請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
前記型がプレスを含み、前記プレスが、前記3次元物体に対応する形状を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記3次元物体が、長さ寸法、幅寸法、および奥行き寸法を有し、
前記奥行き寸法が、前記幅寸法または前記長さ寸法のいずれかより小さく、
前記幅寸法が、前記長さ寸法より小さく、
前記3次元物体が、前記幅寸法に沿って形成される第1および第2の対向する縁部分を含み
前記縁部分が、前記奥行き寸法に対応する厚さを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記製造ステップが、縦軸(Z)に沿って行われ、
前記長さ寸法が、前記縦軸と共に垂直に位置合わせされ、
前記幅および奥行き寸法が、前記縦軸に直交して位置合わせされ、
前記3次元物体が、前記縦軸の周りで部分的にカーブしている、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記中間物体が、前記型により部分的または完全に平坦化する、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記製造ステップ(a)が、
(i)キャリアプレート、およびビルド表面を有する光透過性部材を用意するステップであって、前記キャリアプレートおよび前記ビルド表面が、その間のビルド領域を画定し、前記ビルド表面が、その上に重合性液体を有するステップと、
(ii)前記光透過性部材を通して光を前記ビルド領域に照射し、また前記キャリアプレートおよび前記ビルド表面を互いに離して前進させることにより、前記キャリアプレート上に中間物体を製造するステップとにより、
任意選択的で、前記キャリアプレートと成長中の中間物体との間の連続液体界面を維持しながら行われ、
前記重合性液体から中間物体が形成され、前記中間物体が、ゆがんだおよび/または平坦化した形態の前記3次元物体の形状を有する、
請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記光透過性部材が、重合防止剤に対して透過性である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記製造ステップ(a)が、ボトムアップステレオリソグラフィにより行われる、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記製造ステップ(a)が、連続液体界面製造により行われる、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記重合性液体が、
(a)ステレオリソグラフィにより中間物体の形成に関わることができる光重合性モノマーおよび/またはプレポリマーと
(b)熱重合性モノマーおよび/またはプレポリマーと
を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記光重合性モノマーおよび/またはプレポリマーが、アクリレート、メタクリレート、α-オレフィン、N-ビニル、アクリルアミド、メタクリル酸アミド、スチレン、エポキシド、チオール、1,3-ジエン、ビニルハライド、アクリロニトリル、ビニルエステル、マレイミド、およびビニルエーテルから選択される反応性末端基を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記熱重合性モノマーおよび/またはプレポリマーが、エポキシ/アミン、エポキシ/ヒドロキシル、オキセタン/アミン、オキセタン/アルコール、イソシアネート/ヒドロキシル、イソシアネート/アミン、イソシアネート/カルボン酸、シアン酸エステル、無水物/アミン、アミン/カルボン酸、アミン/エステル、ヒドロキシル/カルボン酸、ヒドロキシル/酸塩化物、アミン/酸塩化物、ビニル/Si-H、Si-Cl/ヒドロキシル、Si-Cl/アミン、ヒドロキシル/アルデヒド、アミン/アルデヒド、ヒドロキシメチルまたはアルコキシメチルアミド/アルコール、アミノプラスト、アルキン/アジド、クリック化学反応性基、アルケン/硫黄、アルケン/チオール、アルキン/チオール、ヒドロキシル/ハライド、イソシアネート/水、Si-OH/ヒドロキシル、Si-OH/水、Si-OH/Si-H、Si-OH/Si-OH、パーフルオロビニル、ジエン/ジエノフィル、オレフィンメタセシス重合基、チーグラー-ナッタ触媒用のオレフィン重合基、開環重合基、およびそれらの組み合わせから選択される反応性末端基を含む、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記重合性液体が、ステップ(a)におけるその光重合後に分解し、かつ前記更なる硬化ステップ(d)に必要な成分を形成する、光重合性成分を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に付加製造(additive manufacturing)に関し、具体的には、意図的にゆがんだ中間物体(warped intermediate object)を付加製造により製造し、次いで次の硬化ステップで物体をその意図する仕上がり形状に回復することによって、二重硬化樹脂(dual cure resin)から3次元物体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の付加または3次元製作手法では、3次元物体の構築は、段階的若しくは交互積層方式により実施されている。通常、層形成は、可視光またはUV光照射の作用下で光硬化性樹脂の固化により実施されている。一般に「ステレオリソグラフィ(stereolithography)」と呼ばれており、2つの特定の技法が知られている。一方は、新たな層が成長物体の上面に形成されるものであり、他方は、新たな層が成長物体の底面に形成されるものである。このような方法の例としては、Hullによる米国特許第5236637号明細書(例えば、図3~4を参照)、Lawtonによる米国特許第5391072号明細書および5529473号明細書、Johnによる米国特許第7438846号明細書、Shkolnikによる米国特許第7892474号明細書、El-Siblaniによる米国特許第8110135号明細書、Joyceによる米国特許出願公開第2013/0292862号明細書、並びにChenらによる米国特許出願公開第2013/0295212号明細書に示されている。
【0003】
近年、「連続液体界面製造(continuous liquid interface production)」(または「CLIP」)と呼ばれる技法が開発されている。これらの技法により、レイヤーレス(layerless)方式で3次元物体の迅速な製造が可能となり、これによって、部品は望ましい構造および機械的特性を有し得る。例えば、J.DeSimoneらによる国際出願PCT/US2014/015486号(米国特許第9211678号明細書で公開されている);国際出願PCT/US2014/015506号(米国特許第9205601号明細書で公開されている)、国際出願PCT/US2014/015497号(米国特許第9216546号明細書で公開されている)、J.Tumblestonら、Continuous liquid interface production of 3D Objects、Science 347,1349-1352(2015年3月16日オンラインで公開)、およびR.Janusziewczら、Layerless fabrication with continuous liquid interface production、Proc.Natl.Acad.Sci.USA113,11703-11708(2016年10月18日)を参照されたい。
【0004】
更に最近では、ステレオリソグラフィ技法(特にCLIP用)に適した二重硬化ステレオリソグラフィ樹脂が、J.Rollら、米国特許第9453142号明細書、ならびに米国特許出願公開第2016/0136889号明細書、2016/0137838号明細書および2016/016077号明細書に記載されている。これらの樹脂は、中間物体が製造され、一般的に光により重合される第1の重合性系(時には「パートA」と呼ばれている)を通常含んでおり、また、中間物体が最初に形成された後に通常硬化し、望ましい構造および/または引張特性を最終物体に付与する、少なくとも第2の重合性系(「パートB」)も含んでいる。
【0005】
いくつかの物体を二重硬化樹脂から製造する際に生じる問題は、樹脂材料を浪費する支持体を含む必要性があることである。また、それらの支持体を除去するステップは、製造を遅らせ、最終物体上に好ましくない人工物を残す可能性がある。
【0006】
更なる問題としては、支持体の必要性は最小にすることができるが、付加製造では物体が、深く、そのため遅い配向で提供されるように、製造用の物体を配向する必要性があり得ることである。
【0007】
ステレオリソグラフィ装置のキャリアプレートに接触する平らな表面に配向ができ、同時に製造の深度が浅い物体では、前述した問題は避けることができる。しかし残念ながら、すべての物体がそのような幾何形状を有しているわけではなく、作製用装置に適合するように作製中の物体を設計し直すことで、付加製造の主な目的(部品設計の自由度)は失われることになる。したがって、付加製造用の新しい技法は引き続き要求されている。
【発明の概要】
【0008】
前述した解決策は、最初の付加製造用に、意図的にゆがんだ(warped)または平坦化した(flattened)バージョンの物体を作製すること、また、意図的ゆがみ(intential warp)のない最終製品用に意図された形状に対応する形状を有する「ネガ(negative)」またはリバース型を作製することである。次いで、ゆがんだ中間体を、焼成用のテンプレートキャリアに配置して、製品に(通常、よりカーブしている)仕上がり形状を付与し、他方、最初の印刷用に平坦化している表面(キャリアへの付着、支持体の脱離、および/またはより迅速な印刷配向用)も利用可能とする。付加製造ステップ用の意図的ゆがみは、他の状況にも適用でき、したがって、ゆがみは、平坦化、カール、またはそれらの組み合わせを構成し得る。例えば、物体が、普通なら大きすぎて、特定の付加製造デバイスの動作空間内に適合できない場合は、その空間内に適合するためにゆがめることができ、または、物体が、普通ならその意図する形状の可撓性が大きすぎて、付加製造デバイスで効率よく製造できない場合、それに更なる剛性を付与するために、任意の多様なパターンでゆがめる、またはカールすることができる。
【0009】
したがって、本発明の一態様は、3次元物体を作製する方法であって、(a)付加製造によって二重硬化重合性液体から中間物体を製造するステップであって、中間物体が、ゆがんだまたはひずんだ形態の3次元物体の形状を有するステップ;(b)任意選択的で、中間物体を洗浄する(例えば、有機溶媒を含む洗浄液を用いて)ステップ;次いで(c)中間体を、3次元物体に対応する形状を有する型(form)に接触させるステップであって、中間体が、型の形状に適合するステップ;次いで(d)3次元物体が、型からの分離後に型に適合する形状を維持する条件下で、型に接触している中間物体をさらに硬化して、3次元物体を製造するステップ;次いで(e)3次元物体を型から分離するステップを含む方法である。
【0010】
いくつかの実施形態では、(i)製造ステップのスピードを高める;(ii)製造ステップに必要な支持体の数を減少させる;(iii)3次元物体が適合しない、形成ステップのサイズ制限内に適合する;または(iv)前記の組み合わせのように、中間物体の構成は3次元物体の構成と異なる。
【0011】
いくつかの実施形態では、中間物体は、型により曲げられる、型により少なくとも部分的に平坦化する、またはそれらの組み合わせである(例えば、物体の少なくとも1つのセグメントは曲げられ、物体の少なくとも1つの更なるセグメントは、完全にまたは部分的に平坦化する)。
【0012】
いくつかの実施形態では、型は、(i)クレードル(cradle)、(ii)プレス(press)、(iii)クレードルとプレスの組み合わせ、または(iv)少なくとも一対のプレートを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、(i)3次元物体と中間物体の両方は、幾何学的境界を有し、この境界は互いに形状が異なるが、体積と接近の両方で互いに対応し(すなわち、互いに1対1の写像である);(ii)3次元物体と中間物体の両方は、幾何学的境界内で幾何学的構造を有し、この幾何学的構造は互いに補間する。
【0014】
いくつかの実施形態では、3次元物体は、所定の機械的特性を有し、この機械的特性は、更なる硬化ステップが型の非存在下で行われる場合には得られない。
【0015】
いくつかの実施形態では、中間物体は可撓性である。
【0016】
いくつかの実施形態では、3次元物体はエラストマー性である。
【0017】
いくつかの実施形態では、中間物体と3次元物体の両方の少なくとも一部(例えば、少なくとも主要な部分)は、格子またはメッシュの構成である。
【0018】
いくつかの実施形態では、製造ステップ(a)は光重合ステップを含む、および/または更なる硬化ステップ(d)は加熱により行われる。
【0019】
いくつかの実施形態では、型は、クレードルを含み、クレードルは、3次元物体に対応する形状を有する。そのいくつかの実施形態では、3次元物体は、長さ寸法、幅寸法、および奥行き寸法を有し、奥行き寸法は、幅寸法または長さ寸法のいずれかより小さく、物品は、第1の非平面表面および第2の非平面表面を含み、第1および第2の非平面表面は、奥行き寸法により隔てられている。そのいくつかの実施形態では、3次元物体の第1または第2の非平面表面は、中間物体の平面表面に対応し;キャリアプレートは、平面表面を含み;中間物体の平面表面は、製造ステップ(a)中にキャリアプレートの平面表面に付着する。そのいくつかの実施形態では、中間物体は、型(例えば、型はクレードルを含む)により、少なくとも部分的に曲げられる。
【0020】
いくつかの実施形態では、型は、プレスを含み、プレスは、3次元物体に対応する形状を有する。いくつかの実施形態では、3次元物体は、長さ寸法、幅寸法、および奥行き寸法を有し、奥行き寸法は、幅寸法または長さ寸法のいずれかより小さく、幅寸法は、長さ寸法より小さく、物品は、幅寸法に沿って形成される第1および第2の対向する縁部分を含み、縁部分は、奥行き寸法に対応する厚さを有する。そのいくつかの実施形態では、形成ステップが、縦軸(Z)に沿って行われ、長さ寸法が、縦軸と共に垂直に位置合わせされ、幅および奥行き寸法は、縦軸に直交して位置合わせされ、物品は、縦軸の周りで少なくとも部分的にカーブしている。そのいくつかの実施形態では、中間物体は、型により(部分的にまたは完全に)平坦化する。
【0021】
前述したいくつかの実施形態では、製造ステップ(a)は、(i)キャリアプレート、およびビルド表面を有する光透過性部材を用意するステップであって、キャリアプレートおよびビルド表面が、その間のビルド領域を画定し、ビルド表面が、その上に重合性液体を有するステップと;(ii)光透過性部材を通して光をビルド領域に照射し、またキャリアプレートおよびビルド表面を互いに離して前進させることにより、キャリアプレート上に中間物体を製造するステップとにより、任意選択的で、しかしいくつかの実施形態では好ましくは、キャリアプレートと成長中の中間物体との間の連続液体界面を維持しながら行われて、重合性液体から中間物体が形成され、中間物体は、ゆがんだまたはひずんだ(distorted)形態の3次元物体の形状を有する。そのいくつかの実施形態では、光透過性部材は、重合防止剤に対して透過性である。そのいくつかの実施形態では、製造ステップ(a)は、ボトムアップステレオリソグラフィ(bottom-up stereolithography)により行われる。そのいくつかの実施形態では、製造ステップ(a)は、連続液体界面製造により行われる。
【0022】
いくつかの実施形態では、重合性液体は、(a)ステレオリソグラフィにより中間物体の形成に関わることができる光重合性モノマーおよび/またはプレポリマー(好ましくは、5、10、または20重量%~50、60、または80重量%の量で含まれる)と;(b)熱重合性モノマーおよび/またはプレポリマー(好ましくは、5、10または20重量%~40、50または60重量%の量で含まれる)とを含む。例えば、いくつかの実施形態では、光重合性モノマーおよび/またはプレポリマーは、アクリレート、メタクリレート、α-オレフィン、N-ビニル、アクリルアミド、メタクリル酸アミド、スチレン、エポキシド、チオール、1,3-ジエン、ビニルハライド、アクリロニトリル、ビニルエステル、マレイミド、およびビニルエーテルから選択される反応性末端基を含む。いくつかの実施形態では、重合性液体は、ステップ(a)におけるその光重合後に分解し(例えば、その加熱時に)、かつ更なる硬化ステップ(d)に必要な成分を形成する、光重合性成分を含む。
【0023】
[有用性]
本発明は、これに限定されないが、J.Rollら、米国特許第9453142号明細書に記載のものを含め、種々の有用な物体の作製で有用である。本発明により作製できる物体の特定の例は、これに限定されるものではないが、履物ミッドソール、大型エラストマー性防護服プレート、人工器管(人工耳など)、装飾用および機能性家庭用品(例えば、ボウルなど)等を含む。
【0024】
本発明の前述したおよび他の物体および態様は、本明細書に添付の図面と以下に示す明細書でより詳細に説明する。本明細書に記載のすべての米国特許参考文献の開示は、引用することにより本明細書の一部をなるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る全プロセスの一実施形態を模式的に示すフロー図である。物体は、最初の付加製造用のその元の意図する形状からゆがんだまたはひずんだ形態で製造され、型に接触して、その意図する仕上がり形状を回復し、次いで型に接触し硬化して、意図する形状を有する最終物体を製造する。
図2】例示的な物体用の、図1のプロセスを模式的に示す図である。
図3A】本発明に係るゆがんだまたはひずんだ中間体の別の実施形態を模式的に示す上面図である。
図3B図3Aの実施形態を模式的に示す斜視図である。
図3C】本発明に係るゆがんだ中間体の更なる別の実施形態を模式的に示す上面図である。
図3D】本発明に係るゆがんだ中間体のより更なる別の実施形態を模式的に示す上面図である。
図4】ゆがんだ中間物体の初期製造のために、元の物体データファイルをゆがめるプロセスの一実施形態を模式的に示すフロー図である。
図5】例示的な物体に適用される、図4のゆがみプロセス、特にそのステップEを模式的に示す図である。
図6図5の実施形態の右側部分の詳細図である。
図7図5の実施形態の左側部分の詳細図である。
図8】履物ミッドソールに適用される、本発明に係るプロセスを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を、本発明に係る実施形態が示される添付の図面に関連して以下により完全に記載する。しかし、本発明は、多くの異なる形態で具現化でき、本明細書に記載の実施形態に限定するように解釈されるべきではない。むしろこれらの実施形態は、本開示が、完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に伝達するように提供される。
【0027】
本明細書では、「および/または」という用語は、任意のおよびすべての考えられる組み合わせ、または1つもしくは複数の関連するリスト項目、ならびに、代替(「または」)と解釈される場合は組み合わせがないことを含む。
【0028】
本明細書では「形状(shape)」は、「永久形状(permanent shape)」を指す。したがって、ゆがんだ中間物体は、最終物体の永久形状とは異なる永久(ゆがんだ)形状を有し得、中間物体と最終物体との間の形状の変化は、型に接触して行われる中間物体のその後の硬化時に、物体が製造される材料の更なる硬化(および対応する化学的および物理的変化)によって引き起こされる。
【0029】
<1.二重硬化樹脂>
付加製造で有用な、特にステレオリソグラフィ技法、例えば、連続液体界面製造(CLIP)用の二重硬化重合性液体が、知られており、例えば、J.Rollら、国際出願PCT/US2015/036893号(米国特許出願公開第2016/0136889号明細書も参照)、国際出願PCT/US2015/036902号(米国特許出願公開第2016/0137838号明細書も参照)、国際出願PCT/US2015/036924号(米国特許出願公開第2016/0160077号明細書も参照)、および国際出願PCT/US2015/036946号(米国特許第9453142号明細書も参照)に記載されている。一般的に、このような樹脂は、(a)中間物体を形成できる光重合性モノマーおよび/またはプレポリマー(通常、光触媒の存在下で);および(b)熱重合性モノマーおよび/またはプレポリマーを含み得る。
【0030】
[A.光重合性モノマーおよび/またはプレポリマー]
時には樹脂の「パートA」とも呼ばれるこれらは、化学線または光への暴露により重合できるモノマーおよび/またはプレポリマーである。この樹脂は、2つ以上の官能基を有することができる(ただし、ポリマーがそのモノマーに溶解しない場合に、1つの官能基を有する樹脂を使用することもできる。)。パートAの目的は、形成されている物体の形状を「ロック(lock)」し、または1つまたは複数の更なる成分(例えば、パートB)用の足場を作成することである。重要なことには、パートAは、フォトリソグラフィ時の最初の固化後に形成されている物体の形状を維持するために必要な最小量以上で存在する。いくつかの実施形態では、この量は、全樹脂(重合性液体)組成物の10、20、または30重量%未満に相当する。
【0031】
パートA成分、モノマー、またはプレポリマーに適した反応性末端基の例は、これに限定されるものではないが、アクリレート、メタクリレート、α-オレフィン、N-ビニル、アクリルアミド、メタクリル酸アミド、スチレン、エポキシド、チオール、1,3-ジエン、ビニルハライド、アクリロニトリル、ビニルエステル、マレイミド、およびビニルエーテルを含む。
【0032】
パートAの固化の態様は、以下でさらに議論されるように、「パートB」と呼ばれる第2の反応性樹脂成分が、第2のステップ時に固化できる足場を提供することである。
【0033】
[B.熱重合性モノマーおよび/またはプレポリマー]
時には「パートB」とも呼ばれるこれらの成分は、パートA固化反応後に第2の固化反応に関わる反応性末端基を有するモノマーおよび/またはプレポリマーの混合物を含む、それからなる、またはそれから本質的になるものとすることができる。一般に、二重硬化樹脂では、パートBを固化するために使用する方法の例は、これに限定されるものではないが、物体または足場を熱、水または水蒸気、パートAが硬化する波長と異なる波長の光、触媒(場合によっては更なる熱)、重合性液体からの溶媒の蒸発(例えば、熱、真空、またはそれらの組み合わせを使用して)、マイクロ波の照射など、およびそれらの組み合わせに接触させることを含む。この場合、「パートB」樹脂の熱硬化が好ましい。
【0034】
パートB成分、モノマーまたはプレポリマーに適した反応性末端基対の例は、これに限定されるものではないが、エポキシ/アミン、エポキシ/ヒドロキシル、オキセタン/アミン、オキセタン/アルコール、イソシアネート/ヒドロキシル、イソシアネート/アミン、イソシアネート/カルボン酸、無水物/アミン、アミン/カルボン酸、アミン/エステル、ヒドロキシル/カルボン酸、ヒドロキシル/酸塩化物、アミン/酸塩化物、ビニル/Si-H(ヒドロシリル化)、Si-Cl/ヒドロキシル、Si-Cl/アミン、ヒドロキシル/アルデヒド、アミン/アルデヒド、ヒドロキシメチルまたはアルコキシメチルアミド/アルコール、アミノプラスト、アルキン/アジド(チオレン、Michael付加、ディールス-アルダー反応、求核置換反応などを含めて、更なる反応と共に、「クリック化学(Click Chemistry)」の一実施形態としても知られている)、アルケン/硫黄(ポリブタジエン加硫)、アルケン/過酸化物、アルケン/チオール、アルキン/チオール、ヒドロキシル/ハライド、イソシアネート/水(ポリウレタン発泡体)、Si-OH/ヒドロキシル、Si-OH/水、Si-OH/Si-H(スズ触媒によるシリコーン)、Si-OH/Si-OH(スズ触媒によるシリコーン)、パーフルオロビニル(パーフルオロシクロブタンを形成するカップリング)など、(この場合、*イソシアネートは、保護イソシアネート(例えば、オキシム)を含む)、ディールス-アルダー反応用のジエン/ジエノフィル、オレフィンメタセシス重合、チーグラー-ナッタ触媒を使用するオレフィン重合、開環重合(開環オレフィンメタセシス重合、ラクタム、ラクトン、シロキサン、エポキシド、環状エーテル、イミン、環式アセタールなどを含む)などを含む。上記から認められるように、「パートB」成分は、一般に、互いに反応性である少なくとも一対の化合物(例えば、ポリイソシアネート、およびポリアミン)を含むものである。
【0035】
[C.熱可塑性粒子]
本明細書では、熱可塑性ポリマー粒子は、重合性液体に最初可溶性でないが、その溶解温度未満で液体に分散できるものである。本明細書にて、「不溶性の(Insoluble)」は、完全に不溶性のポリマー粒子と難溶性の粒子の両方を指し、後者は、非常にゆっくり溶解するため、3次元中間体の製造時に樹脂中の粒子として光重合できないような程度に溶解せず樹脂に分散できる。このように、粒子は、これに限定されないが、本質的不混和性/不溶性、上限臨界溶液温度(UCST)、結晶化、高温で溶融/分解するシェルのカプセル化(例えば、ワックスメルト、結晶メルト、水素結合、高温での劣化等)を含めて任意の理由で、最初溶解ではなく分散できる。
【0036】
一方で、場合によっては、いくつかの実施形態で好ましくは、粒子が形成される熱可塑性ポリマーは、末端官能基または反応性基を含み得る。適切な官能基または反応性基は、これに限定されるものではないが、アミン、フェノール、マレイミド、およびカルボキシル基を含む。このような反応性基は、これに限定されないが、例えば、二重硬化系の第1および第2の硬化性成分、および熱可塑性物質などのマトリックス間の適合性および付着を促進することなどを含めて、任意の多様な目的のために含まれ得、熱硬化性成分またはUV硬化性成分と反応して、安定結合を形成することができ、熱硬化性成分またはUV硬化性成分と一時的に反応して、相分離熱可塑性物質のドメインサイズおよび形態を制御でき、潜在性触媒(特にアミンを末端とするエポキシおよびシアン酸エステル)として作用して、熱硬化性成分の硬化を触媒することができる。
【0037】
一般に、熱可塑性粒子は、0.5~10、20、または50ミクロンの平均直径を有する。熱可塑性粒子は、これに限定されないが、機械的研磨、凍結粉砕、スプレードライ、凝固など、ならびに篩分または当業者に周知の他の技法を含めて、任意の適切な技法により、熱可塑性ポリマーから調製できる。
【0038】
[D.更なる樹脂成分]
重合性液体(樹脂)に含まれる光開始剤は、I型およびII型光開始剤、ならびに一般的に用いられるUV光開始剤を含めた、任意の適切な光開始剤であってよく、これらの例は、これに限定されるものではないが、例えば、アセトフェノン(例えば、ジエトキシアセトフェノン)、ホスフィンオキシドジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(PPO)、Irgacure 369等を含む。例えば、Rollらによる米国特許第9453142号明細書を参照されたい。
【0039】
液体樹脂または重合性材料は、それに懸濁または分散した固体粒子を有することができる。作製される最終製品に依存して、任意の適切な固体粒子を使用できる。粒子は、金属、有機ポリマー、無機、または複合材またはそれらの組み合わせであってもよい。粒子は、非導電性、半導体性、または導電性(金属および非金属またはポリマー導体を含めて)であってよく、粒子は、磁性、強磁性、常磁性、または非磁性であってよい。粒子は、球状、楕円形、円筒形などを含めて任意の適切な形状であってよい。粒子は、任意の適切なサイズであってよい(例えば、平均直径1nm~20μmの範囲)。
【0040】
粒子は、以下でも議論される液体樹脂に溶解または可溶化して提供することもできるが、以下に示すような活性薬剤または検出可能な化合物を含み得る。例えば、磁性または常磁性粒子またはナノ粒子を使用できる。
【0041】
ここでも、製作される製品の特定の目的に依存して、液体樹脂は、それに不溶の更なる成分を、例えば、顔料、染料、活性化合物または医薬化合物、検出可能な化合物(例えば、蛍光、燐光、放射性)等を有することができる。このような更なる成分の例は、これに限定されるものではないが、タンパク質、ペプチド、核酸(DNA、RNA)、例えば、siRNA、糖、小さな有機化合物(薬物および薬物様化合物)など、およびそれらの組み合わせを含む。
【0042】
硬化剤:更なる成分(硬化剤)を使用できる。任意の適切な硬化剤を使用できる(例えば、米国特許第5599856号明細書;同第6656979号明細書;同第8632654号明細書および同第93115698号明細書を参照)。いくつかの実施形態では、硬化剤は、アミンまたはポリアミン(例えば、芳香族アミンまたはポリアミン、脂環式アミンまたはポリアミン、脂肪族アミンまたはポリアミン、例えば、ポリエーテルアミン等)を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、硬化剤は、チオールまたはポリチオール、アリルまたはポリアリル(ジアリル、トリアリル);マレイミド;ビニルエーテル等を含む。
【0044】
適切なチオール硬化剤の特別な例は、これに限定されるものではないが、4,4’-ジメルカプトジフェニルエーテル、4,4’-ジメルカプトビフェニル、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,3,5-トリス(3-メルカプトプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン等を含む。
【0045】
適切なアリルの例は、これに限定されるものではないが、アリル(メタ)アクリレート、2,2’-ジアリルビスフェノールAおよびトリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオンを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、硬化剤は、潜在性硬化剤(それらの組み合わせを含む)を含む。すなわち、硬化剤が室温でより安定であり得るが、次いで加熱時に活性化され得るような、より低い温度で低反応性を有する硬化剤、および/またはより低い温度で難溶性である硬化剤である。潜在性硬化剤は数多くの例が知られている(例えば、米国特許第8779036号明細書を参照;米国特許第4859761号明細書も参照)。特定の例としては、置換グアニジンおよび芳香族アミン、例えば、ジシアンジアミド、ベンゾグアナミン、o-トリルビグアニジン、ビス(4-アミノフェニル)スルホン(ジアミノジフェニルスルホン:DDSとしても知られている)、ビス(3-アミノフェニル)スルホン、4,4’-メチレンジアミン、1,2-または1,3-または1,4-ベンゼンジアミン、ビス(4-アミノフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン(例えば、Shell製のEPON1061)、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン(例えば、Shell製のEPON1062)、ビス(アミノフェニル)エーテル、ジアミノベンゾフェノン、2,6-ジアミノピリジン、2,4-トルエンジアミン、ジアミノジフェニルプロパン、1,5-ジアミノナフタレン、キシレンジアミン、1,1-ビス-4-アミノフェニルシクロヘキサン、メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)(例えば、Lonza製のLONZACURE(登録商標)M-DEA)、メチレンビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)(例えば、Lonza製のLONZACURE(登録商標)M-MIPA)、メチレンビス(2、6-ジイソプロピルアニリン)(例えば、Lonza製のLONZACURE(登録商標)M-DIPA)、4-アミノジフェニルアミン、ジエチルトルエンジアミン、フェニル-4,6-ジアミノトリアジン、およびラウリル-4,6-ジアミノトリアジンを含む。さらに他の例は、N-アシルイミダゾール、例えば、1-(2’,4’,6’-トリメチルベンゾイル)-2-フェニルイミダゾールまたは1-ベンゾイル-2-イソプロピルイミダゾール(例えば、米国特許第4436892号明細書および同第4587311号明細書を参照);シアノアセチル化合物、例えば、ネオペンチルグリコールビスシアノアセテート、N-イソブチルシアノアセトアミド、1,6-ヘキサメチレンビスシアノアセテートまたは1,4-シクロヘキサンジメタノールビスシアノアセテート(例えば、米国特許第4283520号明細書を参照);N-シアノアシルアミド化合物、例えば、N,N’-ジシアノアジピン酸ジアミド(例えば、米国特許第4529821号明細書、同第4550203号明細書および同第4618712号明細書を参照);アシルチオプロピルフェノール(例えば、米国特許第4694096号明細書を参照)および尿素誘導体、例えば、トルエン-2,4-ビス(N,N-ジメチルカルバミド)(例えば、米国特許第3386955号明細書を参照);ならびに十分に非反応性の場合は脂肪族または脂環式ジアミンおよびポリアミンを含む。ここで記載され得る例は、ポリエーテルアミン、例えば、JEFFAMINE(登録商標)230および400である。立体的および/または電子的影響因子により反応性が低下した、または/および難溶性であるか、高融点を有する脂肪族または脂環式ジアミンまたはポリアミン、例えば、JEFFLINK(登録商標)754(Huntsman)またはCLEARLINK(登録商標)1000(Dorf Ketal)も使用できる。
【0047】
[染料/非反応性光吸収剤]
いくつかの実施形態では、本発明を実施するための重合性液体は、非反応性顔料または光、特にUV光を吸収する染料を含む。このような光吸収剤の適切な例は、これに限定されるものではないが、(i)二酸化チタン(例えば、0.05または0.1~1または5重量%の量で含まれる)、(ii)カーボンブラック(例えば、0.05または0.1~1または5重量%の量で含まれる)、および/または(iii)有機紫外線吸収剤、例えば、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、オキザニリド、ベンゾフェノン、チオキサントン、ヒドロキシフェニルトリアジン、および/またはベンゾトリアゾール紫外線吸収剤(例えば、Mayzo BLS1326)(例えば、0.001または0.005~1、2または4重量%の量で含まれる。)を含む。適切な有機紫外線吸収剤の例は、これに限定されるものではないが、それらの開示が引用により本明細書の一部をなす米国特許第3213058号明細書;同第6916867号明細書;同第7157586号明細書および同第7695643号明細書に記載のものを含む。
【0048】
[フィラー]
本発明に関連して、作製される部品または物体に望まれる特性に依存して、任意の適切なフィラーを使用できる。したがって、フィラーは、固体または液体、有機または無機であってもよく、反応性および非反応性ゴム、シロキサン、アクリロニトリル-ブタジエンゴム;反応性および非反応性熱可塑性物質(これに限定されないが、ポリ(エーテルイミド)、マレイミド-スチレンターポリマー、ポリアリレート、ポリサルフォンおよびポリエーテルスルホンなどを含めて)無機フィラー、例えば、ケイ酸塩(例えば、タルク、クレイ、シリカ、マイカ)、ガラス、カーボンナノチューブ、グラフェン、セルロースナノ結晶など、ならびに前記すべての組み合わせを含み得る。適切なフィラーは、以下で議論するように、強化剤、例えば、コアシェルゴムを含む。
【0049】
[強化剤]
1つまたは複数のポリマー性および/または無機強化剤は、本発明に係るフィラーとして使用できる。一般には、米国特許出願公開第20150215430号明細書を参照されたい。強化剤は、硬化した製品中の粒子の形態で均一に分布することができる。粒子は、直径5ミクロン(μm)未満であってもよい。このような強化剤は、これに限定されるものではないが、エラストマー、分枝ポリマー、超分岐ポリマー、デンドリマー、ゴム状ポリマー、ゴム状コポリマー、ブロックコポリマー、コアシェル粒子、酸化物または無機材料、例えば、クレイ、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)、炭素系材料(例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、フラーレン)、セラミックスおよび炭化ケイ素(場合によっては、表面改質処理または官能化を伴う)から形成されるものを含む。
【0050】
[コアシェルゴム]
コアシェルゴムは、ゴム状のコアを有する微粒子材料(粒子)である。このような材料は知られており、例えば、米国特許出願公開第20150184039号明細書、ならびに米国特許出願公開第20150240113号明細書、および米国特許第6861475号明細書、同第7625977号明細書、同第7642316号明細書、同第8088245号明細書、および他の文書に記載されている。いくつかの実施形態では、コアシェルゴム粒子は、ナノ粒子(すなわち、1000ナノメートル(nm)未満の平均粒径を有する)である。一般に、コアシェルゴムのナノ粒子の平均粒径は、500nm未満、例えば、300nm未満、200nm未満、100nm未満、またはさらに50nm未満である。通常、そのような粒子は球状であり、そのため粒径は直径である。しかし、粒子が球状でない場合は、粒径は、粒子の最大長さとして定義される。適切なコアシェルゴムは、これに限定されるものではないが、Kaneka Kane Aceの名称でKaneka Corporationから販売されているもの、例えば、Kaneka Kane Ace15および120シリーズの製品、例えば、Kaneka Kane Ace MX 120、Kaneka Kane Ace MX 153、Kaneka Kane Ace MX 154、Kaneka Kane Ace MX 156、Kaneka Kane Ace MX 170、Kaneka Kane AceMX 257およびKaneka Kane Ace MX 120コアシェルゴム分散液、ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、二重硬化樹脂は、Carbon,Inc.(1089 Mills Way、Redwood City、California 94063 USA)から市販されているCarbon,Inc.硬質ポリウレタン樹脂(RPU)、可撓性のポリウレタン樹脂(FPU)、またはエラストマー性ポリウレタン樹脂(EPU)であってもよい。
【0052】
<2.付加製造方法および装置>
中間物体は、好ましくは、一般にステレオリソグラフィとしても知られている、付加製造、通常、ボトムアップ付加製造(bottom-up additive manufacturing)により、重合性樹脂から形成される。このような方法は知られており、例えば、Hullによる米国特許第5236637号明細書、Lawtonによる米国特許第5391072号明細書および同第5529473号明細書、Johnによる米国特許第7438846号明細書、Shkolnikによる米国特許第7892474号明細書、El-Siblaniによる米国特許第8110135号明細書、Joyceによる米国特許出願公開第2013/0292862号明細書、ならびにChenらによる米国特許出願公開第2013/0295212号明細書に記載されている。このような技法は、通常、大量の樹脂(または重合性液体)が担持されるウィンドウを通して光を投影することを含む。一般目的のキャリアは、通常、ウィンドウの上およびプールの上に位置し、その上に成長物体が製造される。
【0053】
本発明に係るいくつかの実施形態では、中間物体は、連続液体界面製造(CLIP)により形成される。CLIPは知られており、例えば、国際出願PCT/US2014/015486号(米国特許第9211678号明細書、2015年12月15日公開);国際出願PCT/US2014/015506号(米国特許第9205601号明細書、2015年12月8日公開)、国際出願PCT/US2014/015497号(米国特許第9216546号明細書、2015年12月22日公開)、およびJ.Tumbleston、D.Shirvanyants、N.Ermoshkinら、Continuous liquid interface production of 3D Objects、Science 347、1349-1352(2015年3月16日にオンラインで公開)に記載されている。R.Janusziewczら、Layerless fabrication with continuous liquid interface production、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 113、11703-11708(2016年10月18日)も参照されたい。いくつかの実施形態では、CLIPは、上記のボトムアップ3次元製作の特徴を用いるが、照射するおよび/または前記前進させるステップは、成長物体とビルド表面またはウィンドウ間の安定なまたは持続的な液体界面を同時に維持しながら、例えば、(i)前記ビルド表面に接触して重合性液体のデッドゾーンを連続的に維持すること、および(ii)デッドゾーンと固体ポリマー間の重合ゾーン(例えば、活性な表面)の勾配を連続的に維持し、かつその各々に接触させる(重合ゾーンの勾配は、部分的に硬化した形態の第1の成分を含む。)ことによって実施される。
【0054】
CLIPのいくつかの実施形態では、光透過性部材は、半透過性部材(例えば、フルオロポリマー)を含み、デッドゾーンを連続的に維持することは、光透過性部材を通して重合防止剤を供給することにより行われ、これによって、デッドゾーンにおよび任意選択的で重合ゾーンの勾配の少なくとも一部に、阻害剤の勾配を作り出す。本発明で使用でき、また半透過性「ウィンドウ(window)」またはウィンドウ構造の必要性を潜在的に回避するCLIPを実施するための他の手法は、不混和液体を含む液体界面を利用すること(2015年10月29日公開のL.Robesonら、国際公開第2015/164234号パンフレットを参照)、電気分解により阻害剤としての酸素を発生すること(2016年8月25日公開のI.Cravenら、国際公開第2016/133759号パンフレットを参照)、および光活性化剤が結合する磁気的に配置可能な粒子を重合性液体中に取り込むこと(2016年9月15日公開のJ.Rolland、国際公開第2016/145182号パンフレットを参照)を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、付加製造装置は、Carbon,Inc.(1089 Mills Way、Redwood City、California 94063 USA)から市販されている、連続液体界面製造を行うCarbon,Inc.M1装置であってもよい。
【0056】
<3.意図的にゆがんだまたはひずんだ中間体の製造>
[A.概要]
図1に、本発明に係る全プロセスの一実施形態の概略フロー図を示す。この実施形態では、中間物体は、最初の付加製造のために、その元の、最終的な意図する形状からゆがんだもしくはひずんだ形状または構成で製造され、型に接触して、その意図する形状を回復し、次いで型に接触して硬化し、意図する形状を有する最終物体を製造する。一般に、その最終形状の3次元物体用のデータファイルが提供され10、それから付加製造により製造されることになるゆがんだ中間物体用のデータが生成され11、それは、ゆがんだ物体を製造するための付加製造装置を駆動するために利用される12。同様に、ゆがんだまたは変形した(disformed)物体をその意図する最終形状に回復するために使用される硬化型用のデータが生じ11’、それから硬化型を製造することができる12’(ただし、硬化型は、任意の適切な自動または手動の技法、またはそれらの組み合わせにより製造することができる。)。硬化型は、最終物体を製造するための中間体に付与すべき形状に最も適合したもの(例えば、最終物体を製造するための中間体のかなりの平坦化、最終物体を製造するための中間体のかなりのカール、それらの組み合わせ等)に依存して、クレードル、プレス、プレート(2つ以上の)、またはそれらの組み合わせを含めて、任意の適切な構成であってもよい。次に、中間物体を型に接触して配置し13、型に接触して硬化し(その直後に、最終形状の硬化が付与される、または「固定(locked in)」される。)、次いで、型から分離する14。型は、更なる物体の製造のために、任意選択的で再使用できる。
【0057】
図2に、例示的な物体用の、図1のプロセスを模式的に示す。この場合、最終物体は、ボウルの形状をとることになるが、平坦化した中間物体を製造することが望ましい。最終形状20用のデータファイルは、平坦化している物体21を製造するために付加デバイスを駆動するためのデータ20’を生成するためにゆがめられる。物体は、長さ寸法l、幅寸法w、および奥行き寸法d(これらは平均を表す)を有し、奥行き寸法は、長さまたは幅寸法より小さい(平均で)。図示するように、平坦な底面21bは、付加製造装置の平坦なキャリアプレートに接触し、物体はその上で成長し、有利にはキャリアへの付着用の平らな表面、付加製造用の浅い進行方向(より短い製造時間)、および垂直支持体をほとんど必要としない(もしあれば)プロファイルを提供する。底面21bは、この実施形態では有利には平滑であるが、上面21tは、図式的な目的に限定して平坦および平滑に示され、(例えば)凸形および凹形のカーブ、突起、陥凹など、およびそれらの組み合わせを含めて、その上に形成される輪郭および特徴を有することができる。同様に、物体は、図式的な実例の目的で固体として示されるが、物体は、実際の物体の意図する目的に依存して、内部空間、通路、チャネル、チャンバー、キャビティなど、およびそれらの組み合わせを含み得る。
【0058】
中間物体21が製造されると、それは、任意のキャリアプレートから分離され、任意選択的で洗浄され、すすがれ(任意の順番で)、型(この場合、データファイル20により定義される元の形状を付与するクレードル22)に接触して配置される。次いで、中間物体を型の中で硬化し、型から分離され、元の意図する形状を有する最終物体24を提供する(ただし、以下で議論するように、第2の硬化時の任意の収縮、または型による物体の意図的圧縮を説明するために調整を行うことができる)。
【0059】
図2に示す例は、中間体が、平坦化するようにゆがめられ、次いで、型の中でカールまたはカーブが与えられるプロセスを示唆するものの、逆に行われてもよく、ゆがみと平坦化の両方の組み合わせを使用してもよい。例えば、図3A~3Bに、本発明に係るゆがんだまたはひずんだ中間体の別の実施形態を、模式的に示す。中間物体21aは、上方から見た場合に、付加製造デバイスの有効なビルディングウィンドウまたは空間(長方形Wの破線で示される)内で適合するようにカールする(図3A)。さらに、図3Bの斜視図に示すように、この中間体は、縦軸(Z、作製の方向、または成長物体およびビルド表面が互いに離れる方向でもある。)に位置合わせされた最大長さを有して製造されるので、物体のカールは、その剛性を高め、これは、付加製造時の作製スピードを高めることができる(可撓性の物体は、新しい重合性液体(または「樹脂」)がビルド領域に流入し得る前に、かなりの吸引力を克服する必要があり得るので)。図3C~3Dに、図3Aと類似しているものの、より複雑で、または複合のカール、複数の縦軸を有する物体を示す。前述の図2の場合のように、表面は、例示的模式図では平坦に示されるものの、これらは、平均の寸法のみを表し、実際、その上に形成される複雑な特徴を単独で、または内側形体、例えば、内部のキャビティ、通路、空間と組み合わせて有し得る。
【0060】
図8に、履物ミッドソールに適用される、本発明に係るプロセスを模式的に示す。中間物体21dは、上面(図示)および底面(不図示)を有する。底面は、実質的に平面であり、物体は、付加製造のためにゆがめられるかまたは平坦化しており、底面は、その製造用のキャリアプレートに付着している。上面は、通常ミッドソールの上面部分に伴う更なる輪郭および特徴を有し(例えば、Luthiら、米国特許第5822886号明細書(Adidas)を参照)、物体の体積は、その空隙および空間を含めて、更なる構造的特徴を有し得る。中間物体21dは、型22dとして機能するクレードルに配置され、その意図する最終形状を中間物体23dに付与するために部分切取図に示され、次いでクレードルで熱硬化され、最終形状の最終物体24dとして分離される。
【0061】
[B.ゆがみ手順]
図4に、付加製造装置に入力される、ゆがんだまたは変形した構造の生成の非限定例を模式的に示す。物体の元の(または意図する最終の)幾何形状(A)を定義するファイルから、変形した境界形状が生じる(B)。変形した境界形状は、元の幾何形状の1対1の写像として生じる(すなわち、変形した境界は、元の幾何形状と同じ体積を有し、元の物体幾何形状のすべてのセグメントは、隣接したままである。)。変形は、任意の適切な入力、例えば、有限要素解析などの任意の適切な計算機技法による、変形されることになる1つの表面(例えば、1つの表面を平坦な平面表面に変形する。)、変形した形態で製造されることになる中間物体の特性(例えば、粘度、ヤング率、ポアソン比)などに基づいてもよい。第2硬化ステップ時の適切な収縮が考慮される場合は、元の物体は、中間物体に対応する体積を用いて設計でき、中間物体は、第2の硬化の前に型に接触したときのものだが、収縮または圧縮を説明する大きさの元の物体を用いる。
【0062】
元の幾何形状の境界から、内部構造定義が生成される(C)。内部構造定義は、任意の適切なコンピュータ支援設計(CAD)プログラムを用いて製造できる。いくつかの実施形態では、内部構造は、格子またはメッシュの形態である部分を含むことになる。次いで、内部構造定義は、境界表現(BREP)フォーマット(D)、例えば、.stlファイルフォーマットに変換される。
【0063】
次に、内部構造定義は、変形した幾何形状(E)に補間される。変形した幾何形状は、上記のように、元の幾何形状の1対1の写像であるので、補間は、内部幾何形状の構造的特徴が不適切に互いに交差または接触することなしに実施できる。この挙動は、物体のAからBへの変形のために使用される方法(例えば、有限要素解析)により引き起こされ、これは、過度に有害な結果を起こさずに、E部分のその元の形状Fへの戻りをさらに引き起こす。図5に、このような補間の例を模式的に示し、図6~7に、図5中の左および右端セグメントの詳細図を示し、ここで、各矢印の起点は元の物体の構造セグメントの位置を表し、各矢印の終了(点)は変形した(この場合、平坦化している。)物体の構造セグメントまたは特徴の位置を表す。
【0064】
代替的な実施形態では、図4に示す項C、D、およびEに示されるステップは、プロセスの過程で形に表す必要はない。代わりに、3つすべては、純粋に数学的またはポイントクラウドの空間で存在することができ、幾何形状にはけっしてならない。現在、好ましい実施形態は、図4に示す手法を必要とする.stlファイルを使用するが、.stlファイルは、必須なものではなく、他のオプションを使用できる。例えば、ファイルは、.igesファイルとしてエクスポートされるポリサーフェスフォーマットで、またはmeshファイルフォーマット、例えば、.stl、.obj、.ply、.3mf、.amf、および.meshなどを含めて、任意の適切な境界表現(BREP)フォーマットで提供できる。同様に、ハードウェアおよびソフトウェアの選択は重要ではなく、プログラミングは、任意の適切な言語、例えば、C++、Python、Fortran等で実施できる。
【0065】
[C.付加製造による中間物体の製造]
付加製造装置または方法(上述の)を駆動するために、ゆがんだ中間体用のデータまたはデータファイルを使用して、二重硬化樹脂(上述の)から中間物体を製造できる。中間物体は、ゆがんだ中間体用のデータまたはデータファイルにより定義される3次元の形状または構成を有する。
【0066】
[D.洗浄]
中間物体は、その形成後に、任意選択的に洗浄され(例えば、有機溶媒を用いて)、任意選択的に乾燥され(例えば、風乾され)および/またはすすがれる(任意の順番で)。
【0067】
本発明を実施するために使用できる溶媒(または「洗浄液」)は、これに限定されるものではないが、水、有機溶媒、およびそれらの組み合わせ(例えば、共溶媒として組み合わせて)を含み、任意選択的で更なる成分、例えば、界面活性剤、キレート剤(配位子)、酵素、ホウ砂、染料または着色剤、芳香など、およびそれらの組み合わせを含む。洗浄液は、任意の適切な形態、例えば、溶液、エマルション、分散液等であってもよい。
【0068】
洗浄液として、または洗浄液の成分として使用できる有機溶媒の例は、これに限定されるものではないが、アルコール、エステル、二塩基エステル、ケトン、酸、芳香族、炭化水素、エーテル、双極性非プロトン性、ハロゲン化、および塩基有機溶媒、ならびにそれらの組み合わせを含む。溶媒は、その環境および健康への影響にある程度基づき選択できる(例えば、GSK Solvent Selection Guide 2009を参照)。追加の例は、ハイドロフルオロカーボン溶媒(例えば、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(Vertrel(登録商標)XF、DuPont(商標)Chemours)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンなど);ハイドロクロロフルオロカーボン溶媒(例えば、3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタンなど);ハイドロフルオロエーテル溶媒(例えば、メチルノナフルオロブチルエーテル(HFE-7100)、メチルノナフルオロイソブチルエーテル(HFE-7100)、エチルノナフルオロブチルエーテル(HFE-7200)、エチルノナフルオロイソブチルエーテル(HFE-7200)、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテルなど);揮発性メチルシロキサン溶媒(例えば、ヘキサメチルジシロキサン(OS-10、Dow Corning)、オクタメチルトリシロキサン(OS-20、Dow Corning)、デカメチルテトラシロキサン(OS-30、Dow Corning)など)、およびそれらの組み合わせを含む。
【0069】
洗浄装置としては、これに限定されないが、米国特許第5248456号明細書;同第5482659号明細書、同第6660208号明細書;同第6996245号明細書および同第8529703号明細書に記載されているものを含め、任意の適切な洗浄装置を使用できる。
【0070】
[E.型]
上記したように、本発明で使用する型は、最終の意図する物体のものに対応する形状(またはより具体的には、逆輪郭)を有するクレードル、プレス、プレート(例えば、2つ以上のプレート)、またはそれらの組み合わせであってもよい。このような型は、ポリマー、金属(例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金)、無機材料、例えば、セラミックス、およびそれらの組み合わせを含めて、任意の適切な材料からなり得る。型は、鋳造、機械加工、付加製造など、およびそれらの組み合わせを含めて、任意の適切な技法により製造できる。いくつかの実施形態では、型(複数可)は、Carbon,Inc.エポキシ(EPX)またはシアン酸エステル(CE)樹脂を用い、連続液体界面製造を行うCarbon,Inc.M1装置で付加製造により製造でき、すべてCarbon,Inc.(1089 Mills Way、Redwood City、California 94063 USA)から市販されている。
【0071】
物体の型への接触は、型、例えば、クレードルに物体を単に配置することを含んでよく、中間物体の重量は、物体を型と一致させるのに十分であり、または型と共にある中間物体に圧力を加えて、物体にその意図する形状を取らせることを含んでもよい。
【0072】
[F.更なる硬化]
物体は、型に接触すると、その最終の意図する形状(および好ましくは最終の意図する引張特性)をそれに付与するために、型に接触しながらさらに硬化する。更なる(または第2の)硬化は、これに限定されないが、米国特許第9453142号明細書に記載されているものを含めて任意の適切な技法により実施できるものの、好ましい実施形態における更なる硬化は、加熱により行われる。
【0073】
加熱は、能動的加熱(例えば、オーブン、例えば、電気、ガス、ソーラーオーブンもしくは電子レンジ、またはそれらの組み合わせで)であってもよく、受動的加熱(例えば、室温で)であってもよい。能動的加熱は、一般に受動的加熱よりもより迅速になり、いくつかの実施形態では好ましいが、受動的加熱(例えば、中間体を室温で十分な時間単に維持して、更なる硬化をもたらす)が、いくつかの実施形態では好ましい。
【0074】
オーブンは、当技術分野において知られるように、バッチ式または連続式(コンベア)オーブンであってもよい。より均一な、または規則的な熱を硬化される物体に提供する働きをすることができる物体用のマルチゾーンコンベアオーブンおよび多熱源コンベアオーブン、ならびに関連キャリアを含めて、コンベアオーブンが、いくつかの実施形態では好ましい。コンベア加熱オーブン、および関連制御の設計は、当技術分野において周知されている。例えば、米国特許第4951648号明細書;同第5179265号明細書;同第5197375号明細書および同第6799712号明細書を参照されたい。
【0075】
いくつかの実施形態では、加熱ステップは、少なくとも第1(オーブン)温度および第2(オーブン)温度で行われ、第1温度は周囲の(室)温度より高く、第2温度は第1温度より高く、および第2温度は300℃未満である(例えば、室温と第1温度の間、および/または第1温度と第2温度の間での傾斜または段階的上昇で)。いくつかの実施形態では、加熱ステップは、少なくとも第1(オーブン)温度および第2(オーブン)温度で行われ、第1温度は室温より高く、第2温度は第1温度より高く、および第2温度は300℃未満である(例えば、室温と第1温度の間、および/または第1温度と第2温度の間での傾斜または段階的上昇)。
【0076】
例えば、中間体を段階的に約70℃~約150℃の第1温度で、次いで、約150℃~200または250℃の第2温度で加熱でき、各加熱の期間は、中間体のサイズ、形状、および/または厚さに依存する。別の実施形態では、温度を室温から70~150℃の温度、および最大で250または300℃の最終(オーブン)温度に、加熱速度を毎分0.5℃から毎分5℃に変化させる傾斜加熱スケジュールにより中間体を硬化できる(例えば、米国特許第4785075号明細書を参照)。
【0077】
更なる硬化ステップが完了すれば、最終物体を型から分離し、任意のルーチンの後処理ステップ(更なる洗浄、切断、粉砕など)を実施し、配送またはその使用目的のために物体を包装し、または他の部品と共に組み立てることができる。
【0078】
前述したのは本発明についての例示であり、本発明を制限すると解釈するべきではない。本発明は、以下の特許請求の範囲により定義され、特許請求の範囲の均等物は、本発明に包含されるものとする。
なお、本願の出願当初の特許請求の範囲の請求項は以下の通りである。
[請求項1]
3次元物体を作製する方法であって、
(a)付加製造により二重硬化重合性液体から中間物体を製造するステップであって、前記中間物体が、ゆがんだまたはひずんだ形態の前記3次元物体の形状を有するステップと、(b)任意選択的に前記中間物体を洗浄する(例えば、有機溶媒を含む洗浄液を用いて)ステップと、次いで(c)前記中間体を、前記3次元物体に対応する形状を有する型に接触させるステップであって、前記中間体が、前記型の形状に適合するステップと、次いで(d)前記3次元物体が、前記型からの分離後に前記型に適合する形状を維持する条件下で、前記型に接触している前記中間物体をさらに硬化して、前記3次元物体を製造するステップと、次いで(e)前記3次元物体を前記型から分離するステップと
を含む方法。
[請求項2]
(i)前記製造ステップのスピードを高める、(ii)前記製造ステップに必要な支持体の数を減少させる、(iii)前記3次元物体が適合しない、前記形成ステップのサイズ制限内に適合する、または(iv)前記の組み合わせとなるように、前記中間物体の構成を前記3次元物体の構成と異ならせる、請求項1に記載の方法。
[請求項3]
前記中間物体が、前記型により曲げられる、前記型により少なくとも部分的に平坦化する、またはこれらの組み合わせである(例えば、前記物体の少なくとも1つのセグメントが曲げられ、前記物体の少なくとも1つの更なるセグメントが、完全または部分的に平坦化する)、請求項1又は2に記載の方法。
[請求項4]
前記型が、(i)クレードル、(ii)プレス、(iii)クレードルとプレスの組み合わせ、または(iv)少なくとも一対のプレートを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
[請求項5]
(i)前記3次元物体と前記中間物体の両方が、幾何学的境界を有し、前記境界は互いに形状が異なるものの、体積と接近の両方で互いに対応し(すなわち、互いに1対1の写像である)、(ii)前記3次元物体と前記中間物体の両方が、前記幾何学的境界内で幾何学的構造を有し、前記幾何学的構造が互いに補間する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
[請求項6]
前記3次元物体が、所定の機械的特性を有し、前記機械的特性は、前記更なる硬化ステップが前記型の非存在下で行われる場合には得られない、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
[請求項7]
前記中間物体が可撓性である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
[請求項8]
前記3次元物体がエラストマー性である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
[請求項9]
前記中間物体と前記3次元物体の両方の少なくとも一部(例えば、少なくとも主要な部分)が、格子またはメッシュの構成である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
[請求項10]
前記製造ステップ(a)が光重合ステップを含む、および/または前記更なる硬化ステップ(d)が加熱により行われる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
[請求項11]
前記型が、クレードルを含み、前記クレードルが、前記3次元物体に対応する形状を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
[請求項12]
前記3次元物体が、長さ寸法、幅寸法、および奥行き寸法を有し、前記奥行き寸法が、前記幅寸法または前記長さ寸法のいずれかより小さく、前記物品が、第1の非平面表面および第2の非平面表面を含み、前記第1および第2の非平面表面が、前記奥行き寸法により隔てられている、請求項11に記載の方法。
[請求項13]
前記3次元物体の前記第1または第2の非平面表面が、前記中間物体の平面表面に対応し、前記キャリアプレートが、平面表面を含み、前記中間物体の前記平面表面が、前記製造ステップ(a)中に前記キャリアプレートの前記平面表面に付着する、請求項11又は12に記載の方法。
[請求項14]
前記中間物体が、前記型(例えば、前記型はクレードルを含む)により少なくとも部分的に曲げられる、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
[請求項15]
前記型がプレスを含み、前記プレスが、前記3次元物体に対応する形状を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
[請求項16]
前記3次元物体が、長さ寸法、幅寸法、および奥行き寸法を有し、前記奥行き寸法が、前記幅寸法または前記長さ寸法のいずれかより小さく、前記幅寸法が、前記長さ寸法より小さく、前記物品が、前記幅寸法に沿って形成される第1および第2の対向する縁部分を含み前記縁部分が、前記奥行き寸法に対応する厚さを有する、請求項15に記載の方法。
[請求項17]
前記形成ステップが、縦軸(Z)に沿って行われ、前記長さ寸法が、前記縦軸と共に垂直に位置合わせされ、前記幅および奥行き寸法が、前記縦軸に直交して位置合わせされ、前記物品が、前記縦軸の周りで部分的にカーブしている、請求項15又は16に記載の方法。
[請求項18]
前記中間物体が、前記型により(部分的または完全に)平坦化する、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
[請求項19]
前記製造ステップ(a)が、
(i)キャリアプレート、およびビルド表面を有する光透過性部材を用意するステップであって、前記キャリアプレートおよび前記ビルド表面が、その間のビルド領域を画定し、前記ビルド表面が、その上に重合性液体を有するステップと、(ii)前記光透過性部材を通して光を前記ビルド領域に照射し、また前記キャリアプレートおよび前記ビルド表面を互いに離して前進させることにより、前記キャリアプレート上に中間物体を製造するステップとにより、任意選択的で、しかしいくつかの実施形態では好ましくは、前記キャリアプレートと成長中の中間物体との間の連続液体界面を維持しながら行われ、前記重合性液体から中間物体が形成され、前記中間物体が、ゆがんだまたはひずんだ形態の前記3次元物体の形状を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
[請求項20]
前記光透過性部材が、重合防止剤に対して透過性である、請求項19に記載の方法。
[請求項21]
前記製造ステップ(a)が、ボトムアップステレオリソグラフィにより行われる、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
[請求項22]
前記製造ステップ(a)が、連続液体界面製造により行われる、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
[請求項23]
前記重合性液体が、(a)ステレオリソグラフィにより中間物体の形成に関わることができる光重合性モノマーおよび/またはプレポリマー(好ましくは、5、10、もしくは20重量%~50、60、もしくは80重量%の量で含まれる)と、(b)熱重合性モノマーおよび/またはプレポリマー(好ましくは、5、10もしくは20重量%~40、50もしくは60重量%の量で含まれる)とを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
[請求項24]
前記光重合性モノマーおよび/またはプレポリマーが、アクリレート、メタクリレート、α-オレフィン、N-ビニル、アクリルアミド、メタクリル酸アミド、スチレン、エポキシド、チオール、1,3-ジエン、ビニルハライド、アクリロニトリル、ビニルエステル、マレイミド、およびビニルエーテルから選択される反応性末端基を含む、請求項23に記載の方法。
[請求項25]
前記熱重合性モノマーおよび/またはプレポリマーが、エポキシ/アミン、エポキシ/ヒドロキシル、オキセタン/アミン、オキセタン/アルコール、イソシアネート/ヒドロキシル、イソシアネート/アミン、イソシアネート/カルボン酸、シアン酸エステル、無水物/アミン、アミン/カルボン酸、アミン/エステル、ヒドロキシル/カルボン酸、ヒドロキシル/酸塩化物、アミン/酸塩化物、ビニル/Si-H、Si-Cl/ヒドロキシル、Si-Cl/アミン、ヒドロキシル/アルデヒド、アミン/アルデヒド、ヒドロキシメチルまたはアルコキシメチルアミド/アルコール、アミノプラスト、アルキン/アジド、クリック化学反応性基、アルケン/硫黄、アルケン/チオール、アルキン/チオール、ヒドロキシル/ハライド、イソシアネート/水、Si-OH/ヒドロキシル、Si-OH/水、Si-OH/Si-H、Si-OH/Si-OH、パーフルオロビニル、ジエン/ジエノフィル、オレフィンメタセシス重合基、チーグラー-ナッタ触媒用のオレフィン重合基、開環重合基、およびそれらの組み合わせから選択される反応性末端基を含む、請求項23又は24に記載の方法。
[請求項26]
前記重合性液体が、ステップ(a)におけるその光重合後に分解し(例えば、その加熱時に)、かつ前記更なる硬化ステップ(d)に必要な成分を形成する、光重合性成分を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8