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特許7094313保護内張りを有する光検出デバイス及びそれに関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】保護内張りを有する光検出デバイス及びそれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20220624BHJP
   G01N 21/03 20060101ALI20220624BHJP
   C12M 1/00 20060101ALN20220624BHJP
【FI】
G01N21/64 F
G01N21/03 Z
C12M1/00 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019571423
(86)(22)【出願日】2018-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 US2018062017
(87)【国際公開番号】W WO2019125689
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-03-03
(31)【優先権主張番号】62/609,889
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】2020612
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514202402
【氏名又は名称】イラミーナ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】シュウ カイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ フランシス ピント
(72)【発明者】
【氏名】トーマス エイ ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】トレイシー ヘレン ファン
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0016830(US,A1)
【文献】特開2002-296175(JP,A)
【文献】特表2017-504789(JP,A)
【文献】特開2010-225939(JP,A)
【文献】特表2008-522408(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0102183(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01229322(EP,A1)
【文献】韓国公開特許第2002-0063518(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/74
C12M 1/00
H01L 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5以下のpH又は8以上のpHを有する反応液及び前記反応液での処理後に励起光に応答して光放出を発生する少なくとも1つの反応部位を収容する複数の反応窪みを形成する反応構体と、並びに
前記反応構体の下側に位置決めされるデバイス基台であって、
複数の光センサ、
前記光センサによって検出される光子に基づくデータ信号を伝送するよう前記光センサに電気的に接続されるデバイス回路、
励起光及び前記少なくとも1つの対応する反応窪みからの光放出を受け取る入力領域を有する複数の光ガイドであり、前記入力領域から前記少なくとも1つの対応する光センサに向けて前記デバイス基台内に延在し、また前記励起光をフィルタ処理して前記光放出を前記少なくとも1つの対応する光センサに通過させることを可能にする少なくとも1つのフィルタ材料を含む、該光ガイド、
前記光ガイド各々の周りに延在し、かつ各光ガイドと前記デバイス回路との間に位置決めされる内張り層、及び
前記反応液が前記反応構体及び前記光ガイドを通過して前記デバイス回路と相互作用するのを防止するよう前記光ガイド各々の周りに延在し、かつ各光ガイドと前記内張り層との間に位置決めされる保護層であり、前記反応液に対して化学的に不活性であり、前記デバイス基台内の前記複数の光ガイドに衝合し、液体不浸透性バリア層を含む、該保護層
を有する、該デバイス基台と、
を備える、デバイス。
【請求項2】
請求項記載のデバイスにおいて、前記デバイス回路は、前記デバイス基台の誘電材料層内に設け、前記内張り層は前記保護層と前記誘電材料層との間に位置決めされ、また前記内張り層は前記誘電材料層に衝合する、デバイス。
【請求項3】
請求項1記載のデバイスにおいて、前記保護層は、さらに、前記デバイス基台の頂面と、前記反応窪みの周りに延在する前記反応構体の間質領域との間に延在する、デバイス。
【請求項4】
請求項記載のデバイスにおいて、前記内張り層は、前記保護層と前記デバイス基台の前記頂面との間に延在する、デバイス。
【請求項5】
請求項1記載のデバイスにおいて、前記保護層は、二酸化ケイ素、金属酸化物、金属窒化物又はそれらの組合せを有する、デバイス。
【請求項6】
請求項1記載のデバイスにおいて、前記保護層は、二酸化ケイ素、シリコンオキシ窒化物、一酸化ケイ素、炭化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、シリコン窒炭化物、二酸化ケイ素、金属酸化物、金属窒化物又はそれらの組合せを有する、デバイス。
【請求項7】
請求項記載のデバイスにおいて、前記反応液のpHは8以上である、デバイス。
【請求項8】
請求項1記載のデバイスにおいて、前記反応液のpHは5以下であり、また前記保護層は、炭化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、シリコン窒炭化物、金属酸化物、金属窒化物又はそれらの組合せを有する、デバイス。
【請求項9】
請求項1記載のデバイスにおいて、前記内張り層は窒化ケイ素層を含むものである、デバイス。
【請求項10】
請求項1記載のデバイスにおいて、前記デバイス回路は相互接続した導電性素子を有し、また前記保護層は前記反応液が前記導電性素子を酸化するのを防止する、デバイス。
【請求項11】
請求項1記載のデバイスにおいて、前記保護層の厚さは、5ナノメートル~100ナノメートルの範囲内である、デバイス。
【請求項12】
請求項1記載のデバイスにおいて、前記反応構体は、前記複数の各反応窪み内で前記反応構体に固定化される少なくとも1つの反応部位を有し、また前記反応液は、前記入射励起光に応答して光放出を発生する少なくとも1つの反応部位で反応を開始する及び/又は反応生成物を形成する、デバイス。
【請求項13】
請求項12記載のデバイスにおいて、前記少なくとも1つの反応部位は少なくとも1つの検体を有し、前記反応液は少なくとも1つの蛍光標識付けした分子を含む、デバイス。
【請求項14】
請求項1記載のデバイスにおいて、前記デバイス基台の前記デバイス回路は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路を形成する、デバイス。
【請求項15】
バイオセンサであって、
請求項1記載のデバイスと、及び
前記デバイスに備え付けるフローセルであって、前記反応液、及び前記反応液を前記反応構体に導くよう前記反応構体の前記複数の反応窪みに流体連通する少なくとも1つのフローチャンネルを有する、該フローセルと
を備える、バイオセンサ。
【請求項16】
複数の光センサ及び前記光センサによって検出される光子に基づくデータ信号を伝送するよう前記光センサに電気的に接続されるデバイス回路を備えるデバイス基台内に複数のトレンチを形成するトレンチ形成ステップであって、前記複数のトレンチは、前記デバイス基台の頂面から前記少なくとも1つの対応する光センサに向って延在するものである、該トレンチ形成ステップと、
前記デバイス基台に内張り層を堆積する内張り層堆積ステップであって、前記内張り層は少なくとも前記複数のトレンチ内に延在するものである、該内張り層堆積ステップと、
前記内張り層上に保護層を堆積する保護層堆積ステップであって、前記保護層は少なくとも前記複数のトレンチ内に延在するものである、該保護層堆積ステップと、
複数の光ガイドを形成するよう前記堆積した保護層上で前記複数のトレンチを少なくとも1つのフィルタ材料で充填するフィルタ材料充填ステップであって、前記少なくとも1つのフィルタ材料は、少なくとも第1波長の光をフィルタ処理し、また第2波長の光を前記少なくとも1つの対応する光センサまで通過させることを可能にするものである、該フィルタ材料充填ステップと、並びに
前記複数の光ガイド及び前記保護層上に反応構体を形成する反応構体形成ステップであって、前記反応構体は、5以下のpH又は8以上のpHを有する反応液及び前記反応液での処理後に励起光に応答して光放出を発生する少なくとも1つの反応部位を収容する複数の反応窪みを形成するよう、少なくとも1つの光ガイドに対応する複数の反応窪みを形成するものである、該反応構体形成ステップと、
を備え、
前記保護層は、前記反応液に対して化学的に不活性であり、前記デバイス基台内の前記複数の光ガイドに衝合し、液体不浸透性バリア層を含む、方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、前記保護層は、二酸化ケイ素、シリコンオキシ窒化物、一酸化ケイ素、炭化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、シリコン窒炭化物、二酸化ケイ素、金属酸化物、金属窒化物又はそれらの組合せを有し、また前記内張り層は窒化ケイ素層を含むものである、方法。
【請求項18】
請求項16記載の方法において、前記デバイス基台上に前記内張り層を堆積するステップは、さらに、前記デバイス基台の頂面上に前記内張り層を堆積するステップを含み、また前記デバイス基台上に前記保護層を堆積するステップは、さらに、前記デバイス基台の頂面上に延在する前記内張り層の部分上に前記保護層を堆積するステップを含むものである、方法。
【請求項19】
請求項16記載の方法において、さらに、前記反応構体上に5以下のpH又は8以上のpHを有する反応液を通過させるステップを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本件特許出願は、2017年12月22日に出願され、また「保護内張りを有する光検出デバイス及びその製造方法(Light Detection Devices with Protective Liner and Method of Manufacturing Same)」と題する米国仮出願第62/609,889号、及び2018年3月19日に出願され、また「保護内張りを有する光検出デバイス及びその製造方法」と題するオランダ国特許出願第2020612号の優先権を主張する。上述した特許出願それぞれの内容全体は参照により本明細書に組み入れられるものとする。
本発明開示は保護内張りを有する光検出デバイス及びそれに関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的又は化学的な研究における種々のプロトコールは、局所的支持表面又は所定反応チャンバ内での多数の制御された反応を実施することを伴う。次に指定の反応を観測又は検出し、後続の分析は反応に関与する物質の特性を同定又は解明するのに役立てることができる。例えば、幾つかの複数検定において、識別可能な標識(例えば、蛍光標識)を有する未知の検体を制御された条件の下で幾千もの既知のプローブに曝露させることができる。各既知のプローブはマイクロプレートの対応するウェル内に付着させることができる。ウェル内において既知のプローブと未知の検体との間で生起するいかなる化学的反応をも観測することは、検体の特性を同定又は解明するのに役立てることができる。このようなプロトコールの他の例としては、シークエンシング・バイ・シンセシス(SBS)又はサイクリック・アレイ・シークエンシングのような既知のDNAシークエンシングがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
幾つかの従来の蛍光検出プロトコールにおいて、励起光を蛍光標識付け検体に指向させ、また検体から放出され得る蛍光信号を検出するのに光学系を使用する。しかし、このような光学系は比較的高額であり、比較的大型のベンチトップ設置面積を伴うことがあり得る。例えば、このような光学系は、レンズ、フィルタ、及び光源の構成を含むことがあり得る。
【0004】
他に提案された検出システムにおいては、蛍光放出を検出するための大型光学的アセンブリを必要としない電子固体光検出器又は撮像装置(例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器又は電荷結合素子(CCD)検出器)上に設けた局所的支持表面又は所定反応チャンバ内で制御された反応を生起させる。しかし、このような提案された固体撮像システムは幾つかの限界があり得る。例えば、溶液としての試薬(例えば、蛍光標識付けした分子)を、このようなシステムの電子デバイス上に位置付けた検体に対して流体的に送給することは難題を呈し得る。幾つかのシナリオにおいて、試薬液は電子デバイスを破損させ、また例えば、そのコンポーネントを腐食若しくはそうでなくとも劣化させることがあり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明開示の一態様においてデバイスを提供する。本発明デバイスは、約5以下のpH又は約8以上のpHを有する反応液及び前記反応液での処理後に励起光に応答して光放出を発生する少なくとも1つの反応部位を収容する複数の反応窪みを形成する反応構体を備える。本発明デバイスは、さらに、前記反応構体の下側に位置決めされるデバイス基台を備える。前記デバイス基台は、複数の光センサと、及び前記光センサによって検出される光子に基づくデータ信号を伝送するよう前記光センサに電気的に接続されるデバイス回路とを備える。前記デバイス基台は、さらに、励起光及び前記少なくとも1つの対応する反応窪みからの光放出を受け取る入力領域を有する複数の光ガイドであり、前記入力領域から前記少なくとも1つの対応する光センサに向けて前記デバイス基台内に延在し、また前記励起光をフィルタ処理して前記光放出を前記少なくとも1つの対応する光センサに通過させることを可能にする少なくとも1つのフィルタ材料を含む、該複数の光ガイドを備える。本発明デバイスは、さらに、前記光ガイド各々の周りに延在し、かつ各光ガイドと前記デバイス回路との間に位置決めされる遮蔽層を備える。前記デバイス基台は、さらに、前記反応液が前記反応構体及び前記光ガイドを通過して前記デバイス回路と相互作用するのを防止するよう前記光ガイド各々の周りに延在し、かつ各光ガイドと前記遮蔽層との間に位置決めされる保護層を備える。前記保護層は、前記反応液に対して化学的に不活性である。
【0006】
幾つかの実施例において、前記保護層は、前記デバイス基台内の前記複数の光ガイドに衝合する。幾つかの実施例において、前記デバイス回路は、前記デバイス基台の誘電材料層内に設け、前記遮蔽層は前記保護層と前記誘電材料層との間に位置決めされ、また前記遮蔽層は前記誘電材料層に衝合する。
【0007】
前記保護層は、さらに、前記デバイス基台の頂面と、前記反応窪みの周りに延在する前記反応構体の間質領域との間に延在する。幾つかのこのような実施例において、前記遮蔽層は前記保護層と前記デバイス基台の前記頂面との間に延在する。
【0008】
幾つかの実施例において、前記保護層は、二酸化ケイ素、金属酸化物、金属窒化物又はそれらの組合せを有する。幾つかの実施例において、前記保護層は、二酸化ケイ素、シリコンオキシ窒化物、一酸化ケイ素、炭化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、シリコン窒炭化物、二酸化ケイ素、金属酸化物、金属窒化物又はそれらの組合せを有する。幾つかのこのような実施例において、前記反応液のpHは約8以上である。幾つかの実施例において、前記反応液のpHは約5以下であり、また前記保護層は、炭化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、シリコン窒炭化物、金属酸化物、金属窒化物又はそれらの組合せを有する。幾つかの実施例において、前記保護層は液体不浸透性バリア層を含む。幾つかの実施例において、前記遮蔽層は窒化ケイ素層を含むものである。
【0009】
幾つかの実施例において、前記デバイス回路は相互接続した導電性素子を有し、また前記保護層は前記反応液が前記導電性素子を酸化するのを防止する。幾つかの実施例において、前記保護層の厚さは、約5ナノメートル~約100ナノメートルの範囲内である。幾つかの実施例において、前記反応構体は、前記複数の各反応窪み内で前記反応構体に固定化される少なくとも1つの反応部位を有し、また前記反応液は、前記入射励起光に応答して光放出を発生する少なくとも1つの反応部位で反応を開始する及び/又は反応生成物を形成する。幾つかのこのような実施例において、前記少なくとも1つの反応部位は少なくとも1つの検体を有し、前記反応液は少なくとも1つの蛍光標識付けした分子を含む。
【0010】
幾つかの実施例において、前記デバイス基台の前記デバイス回路は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路を形成する。
【0011】
本発明開示の他の態様において、バイオセンサを提供する。本発明バイオセンサは、上述したデバイスのうち任意なデバイスを備える。本発明バイオセンサは、さらに、前記デバイスに備え付けるフローセルを備える。前記フローセルは、前記反応液、及び前記反応液を前記反応構体に導くよう前記反応構体の前記複数の反応窪みに流体連通する少なくとも1つのフローチャンネルを有する。
【0012】
本発明開示の他の態様において、方法を提供する。本発明方法は、複数の光センサ及び前記光センサによって検出される光子に基づくデータ信号を伝送するよう前記光センサに電気的に接続されるデバイス回路を備えるデバイス基台内に複数のトレンチを形成するトレンチ形成ステップであって、前記複数のトレンチは、前記デバイス基台の頂面から前記少なくとも1つの対応する光センサに向って延在するものである、該トレンチ形成ステップを備える。本発明方法は、さらに、前記デバイス基台に遮蔽層を堆積する遮蔽層堆積ステップであって、前記遮蔽層は少なくとも前記複数のトレンチ内に延在するものである、該遮蔽層堆積ステップと、及び前記遮蔽層上に保護層を堆積する保護層堆積ステップであって、前記保護層は少なくとも前記複数のトレンチ内に延在するものである、該保護層堆積ステップと、を備える。本発明方法は、またさらに、複数の光ガイドを形成するよう前記堆積した保護層上で前記複数のトレンチを少なくとも1つのフィルタ材料で充填するフィルタ材料充填ステップであって、前記少なくとも1つのフィルタ材料は、少なくとも第1波長の光をフィルタ処理し、また第2波長の光を前記少なくとも1つの対応する光センサまで通過させることを可能にするものである、該フィルタ材料充填ステップを備える。本発明方法は、さらに、前記複数の光ガイド及び前記保護層上に反応構体を形成する反応構体形成ステップであって、前記反応構体は、約5以下のpH又は約8以上のpHを有する反応液及び前記反応液での処理後に励起光に応答して光放出を発生する少なくとも1つの反応部位を収容する複数の反応窪みを形成するよう、少なくとも1つの光ガイドに対応する複数の反応窪みを形成するものである、該反応構体形成ステップを備える。前記保護層は、前記反応液に対して化学的に不活性である。
【0013】
幾つかの実施例において、前記保護層は、二酸化ケイ素、シリコンオキシ窒化物、一酸化ケイ素、炭化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、シリコン窒炭化物、二酸化ケイ素、金属酸化物、金属窒化物又はそれらの組合せを有し、また前記遮蔽層は窒化ケイ素層を含むものである。幾つかの実施例において、前記デバイス基台上に前記遮蔽層を堆積するステップは、さらに、前記デバイス基台の頂面上に前記遮蔽層を堆積するステップを含み、また前記デバイス基台上に前記保護層を堆積するステップは、さらに、前記デバイス基台の頂面上に延在する前記遮蔽層の部分上に前記保護層を堆積するステップを含むものである。
【0014】
幾つかの実施例において、本発明方法は、またさらに、前記反応構体上に約5以下のpH又は約8以上のpHを有する反応液を通過させるステップを備える。
【0015】
当然のことながら、上述した態様及び以下により詳細に説明する付加的概念のあらゆる組合せも本明細書記載の発明要旨の一部であると考えられる。
【0016】
本開示のこれら及び他の目的、特徴及び利点は、添付図面につき行われる本開示の種々の態様の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0017】
本発明開示のこれら及び他の目的、特徴及び利点は、必ずしも縮尺通りには描かれておらず、また同様の参照符号が図面全体にわたる類似の態様を示している添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むとより良く理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明開示によるバイオセンサの断面図を一例として示す。
図2図1のバイオセンサにおける検出デバイスの頂面図を一例として示す。
図3図2の検出デバイスにおける一部分を一例として示す断面図であり、反応構体及びその光ガイドの一部分を示す。
図4図3の断面図の拡大部分を一例として示す。
図5図4の断面図の拡大部分を反応構体上における反応液とともに一例として示す。
図6図4の断面図の拡大部分における光検出イベント中の状況を一例として示す。
図7図4の断面図の拡大部分を、反応構体及び光ガイドにおける裂け目とともに一例として示す。
図8図7の断面図の拡大部分を、反応構体、光ガイド、及びその遮蔽層における裂け目とともに一例として示す。
図9】本発明開示による光検出デバイスを製造する方法のフローチャートを一例として示す。
図10】光検出デバイスのデバイス基台における溝構成を一例として示す。
図11図10のデバイス基台の溝内における遮蔽層構成を一例として示す。
図12図11の遮蔽層上の保護層構成を一例として示す。
図13図12の保護層上の第1フィルタ材料を有する光ガイド構成を一例として示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明開示の態様、並びにその態様の若干の実施例、特徴、利点、及び詳細は、添付図面で説明される非限定的実施例につき以下により完全に説明する。周知の材料、作製ツール、処理技術、等々は関連詳細を必ずしも不明瞭にするものではないので省略する。しかし、本発明開示の態様を示すとともに、詳細な説明及び特定実施例は説明目的のためであって限定目的ではないと理解されたい。根底にある発明概念の精神及び/又は範囲内にある様々な置換、変更、付加及び/又は配列は、当業者には本発明開示から明らかであろう。
【0020】
本開示明細書全体にわたり使用される近似言葉は、関連する基本機能の変更する結果を生ずることなく許容的に変化し得る任意な定量的表現を変更するのに適用することができる。したがって、「約(about)」又は「ほぼ(substantially)」のような用語で変更される値は、特定される精密値に限定されない。例えば、これら用語は、±5%以下、例えば、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.2%以下、±0.1%以下、±0.05%以下に言及することができる。幾つかの事例において、近似言葉は値を測定する機器の精度に対応することができる。
【0021】
本明細書で使用される用語は、単に特定実施例を説明する目的のためであり、限定することは意図しない。本明細書に使用される単数形「a」、「an」及び「the」は文脈でそれ以外を明示しない限り複数形も含むことを意図する。さらに、「実施例(example)」は述べられた特徴を組み込む他の実施例の存在を排除すると解することは意図しない。さらに、それ以外を明示していない限り、用語「備えている(comprising)」(及び任意な形式の「comprise」、例えば「comprises」及び「comprising」)、「含む(include)」(及び任意な形式の「include」、例えば「includes」及び「including」)、並びに「含有する(contain)」(及び任意な形式の「contain」、例えば「contains」及び「containing」)は、制約がない連結動詞として使用される。この結果として、1つ若しくはそれ以上のステップ又は要素プロセスを「備える(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」、「含有する(contains)」いかなる実施例も、このような1つ若しくはそれ以上のステップ又は要素プロセスを持っているが、このような1つ若しくはそれ以上のステップ又は要素プロセスのみを持つことには限定しない。本明細書に使用されるように用語「あり得る(may)」及び「であり得る(may be)」は、一連の状況内での生起;特定特性、特徴又は機能の保有の可能性を示す;及び/又は1つ若しくはそれ以上の能力、性能、若しくは適格化される動詞に関する可能性を表現することによって他の動詞を適格化する。したがって、「あり得る(may)」及び「であり得る(may be)」は、修飾される用語が示された性能、機能又は用法に関して、明らかに適切、可能、又は適正であることを示すとともに、幾つかの状況では、修飾される用語がときに適切、可能又は適正でないこともあり得ることも考えられる。例えば、幾つか状況では、或る事象又は性能を期待することができるとともに、他の状況ではその事象又は性能が起こり得ないこともあり、この差異は用語「あり得る(may)」及び「であり得る(may be)」によって捉えられる。
【0022】
本明細書記載の実施例は、学術的又は商業的な分析のための様々な生物学的又は化学的なプロセス及びシステムで使用することができる。より具体的には、本明細書記載の実施例は、指定された反応を示す事象、特性、品質、又は特徴を検出するのが望まれる様々なプロセス及びシステムで使用することができる。例えば、本明細書記載の実施例としては、光検出装置、バイオセンサ、及びそれらのコンポーネント、並びにバイオセンサとともに動作する生物学的検定システムがある。幾つかの実施例において、デバイス、バイオセンサ及びシステムとしては、フローセル及びほぼ一体的構体において互いに接続される(着脱可能又は固定的に)1つ又はそれ以上の光センサがあり得る。
【0023】
デバイス、バイオセンサ及び生物学的検定システムは、個別的又は集合的に検出され得る複数の指定反応を実施するよう構成することができる。デバイス、バイオセンサ及び生物学的検定システムは、複数の指定反応が並列的に生起する多数のサイクルを実施するよう構成することができる。例えば、デバイス、バイオセンサ及び生物学的検定システムは、酵素的操作及び光又は画像検出/取得の反復サイクルによりDNA形体の濃密配列をシークエンシング(配列決定)するのに使用することができる。このようにして、デバイス、バイオセンサ及び生物学的検定システム(例えば、1つ又はそれ以上のカートリッジを介する)は、反応液における試薬又は他の反応成分をデバイス、バイオセンサ及び生物学的検定システムの反応部位に送給するマイクロ流体チャンネルを有することができる。幾つかの実施例において、反応液は、約5以下、又は約4以下、又は約3以下のpHを有するようなほぼ酸性とすることができる。幾つかの他の実施例において反応液は、約8以上、又は約9以上、又は約10以上のpHを有するようなほぼアルカリ性/塩基性とすることができる。本明細書で使用されるように、用語「酸性度(acidity)」及びその文法的変化形は約7未満のpH値に言及し、また用語「塩基度(acidity)」、「アルカリ度(alkalinity)」及びその文法的変化形は約7より大きいpH値に言及する。
【0024】
幾つかの実施例において、反応部位は、所定様態で、例えば、均一又は反復パターンで設ける又は離間させる。幾つかの他の実施例において、反応部位はランダムに分布させる。反応部位の各々は、1つ又はそれ以上の光ガイド及び関連の反応部位からの光を検出する1つ又はそれ以上の光センサに関連付けることができる。幾つかの実施例においては、反応部位は窪み又はチャンバに位置付けられ、これら窪み又はチャンバは、その内部における指定反応を少なくとも部分的にコンパートメント化することができる。
【0025】
本明細書で使用されるように、「指定反応(designated reaction)」は、関心対象の化学的又は生物学的物質の化学的、電気的、物理的、又は光学的のうち少なくとも1つの特性(又は性質)における変化が含まれる。特別な実施例において、指定反応は、例えば、関心対象の検体を蛍光標識付け生体分子が取り込むような陽性結合事象である。より一般的には、指定反応は、化学的変換、化学的変化、又は化学的相互作用であり得る。指定反応は、電気的特性の変化でもあり得る。特別な実施例において、指定反応としては、蛍光標識付け分子の検体取込みがある。検体はオリゴヌクレオチドとすることができ、また蛍光標識付け分子はヌクレオチドとすることができる。指定反応は、励起光が標識付けヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドに向けて指向され、また蛍光色素分子(フルオロフォア)が検出可能な蛍光信号を発生するとき検出することができる。代案的実施例においては、検出される蛍光は化学発光又は生物発光の結果である。指定反応は、さらに、例えば、近傍のドナー蛍光色素分子がアクセプタ蛍光色素分子に結合することによって蛍光(又はフェルスター)共鳴エネルギー転位(FRET)を増加させ、またドナー蛍光色素分子及びアクセプタ蛍光色素分子が分離することによってFRETを減少させ、消光分子(クエンチャー)が蛍光色素分子から分離することによって蛍光を増大させる、又は消光分子及び蛍光色素分子を同一場所に配置することによって蛍光を減少させる。
【0026】
本明細書で使用されるように、「反応液(reaction solution)」、「反応成分(reaction component)」、又は「反応物質(reactant)」としては、少なくとも1つの指定反応を得るのに使用され得る任意な物質がある。例えば、潜在的な反応成分としては、例えば、試薬、酵素、試料、他の生体分子、及び緩衝液がある。反応成分は、溶液の反応部位に送給することができる及び/又は反応部位で固定化することができる。反応成分は、他の物質と、例えば、反応部位で固定化される関心対象検体と直接的又は間接的に相互作用することができる。上述したように、反応液は、十分な酸性(すなわち、比較的高い酸性度を含む)であり得る(例えば、約5以下のpH、約4以下のpH、又は約3以下のpHを有する)、又は十分なアルカリ性/塩基性(すなわち、比較的高いアルカリ度/塩基度を含む)であり得る(例えば、約8以上のpH、約9以上のpH、又は約10以上のpHを有する)。
【0027】
本明細書で使用されるように、用語「反応部位(reaction site)」は、少なくとも1つの指定反応が生じ得る局所的領域である。反応部位は、物質がそこで固定化し得る反応構体又は基板の支持表面を有することができる。例えば、反応部位は、核酸のコロニーのような反応成分を有する反応構体(フローセルのチャンネル内に位置決めすることができる)の表面を有することができる。幾つかのこのような実施例において、コロニーにおける核酸が同一の配列(シーケンス)を有し、この同一配列は、例えば、一本鎖又は二本鎖鋳型(テンプレート)のクローン複製である。しかし、幾つかの実施例において、反応部位は、例えば、一本鎖又は二本鎖形態である単一核酸分子のみを有することができる。
【0028】
複数の反応部位は、反応構体に沿ってランダムに分布させる、又所定様態で(例えば、マイクロアレイのようなマトリクス内で並置させて)配列させることができる。反応部位は、さらに、指定反応をコンパートメント化するよう構成されている空間的領域又は容積部を少なくとも部分的に画定反応チャンバ又は反応窪みを有することができる。本明細書で使用されるように、用語「反応チャンバ(reaction chamber)」又は「反応窪み(reaction recess)」は、支持構体(しばしばフローチャンネルと流体連通する)の画定された空間的領域を有する。反応窪みは、周囲の環境の他の領域又は空間的領域から少なくとも部分的に分離することができる。例えば、複数の反応窪みは検出器表面のような共有壁によって互いに分離することができる。より特別な実施例として、反応窪みは、検出表面の内面で画定される凹み、ピット、ウェル、溝、キャビティ又は陥凹部(depression)を有するナノウェルとし、また開口又は開孔(すなわち、側面が開放している)を有することができ、これによってナノウェルはフローチャンネルと流体連通することができる。
【0029】
幾つかの実施例において、反応構体の反応窪みは、固体(半固体を含む)を全体的又は部分的に内部に挿入できるよう、固体に対して寸法決めかつ形状決めする。例えば、反応窪みは、捕捉ビードを収容するよう寸法決めかつ形状決めすることができる。捕捉ビードは、この捕捉ビードにクローン増幅DNA又は他の物質を有することができる。代案的に、反応窪みは、概数のビード又は固体物質を収容するよう寸法決めかつ形状決めすることができる。他の実施例として、反応窪みは、反応窪み内に流入し得る流体又は溶液の拡散を制御する又はフィルタ処理するよう構成された多孔質ジェル又は物質を充填することができる。
【0030】
幾つかの実施例において、光センサ(例えば、フォトダイオード)は対応する反応部位に関連付ける。反応部位に関連付けられた光センサは、指定反応が関連する反応部位で生起したとき、少なくとも1つの光ガイドを介して関連反応部位からの光放出を検出するよう構成される。幾つかのケースにおいて、複数の光センサ(例えば、光検出デバイス又はカメラデバイスの数個におけるピクセル)は単一反応部位に関連付けることができる。他のケースにおいて、単一の光センサ(単一ピクセル)は単一反応部位又は反応部位グループに関連付けることができる。バイオセンサにおける光センサ、反応部位、及び他の特徴は、光の少なくとも幾分を反射することなく光センサによって直接検出されるよう構成することができる。
【0031】
本明細書で使用されるように、「生物学的若しくは化学的な物質(biological or chemical substance)」は、生体分子、関心対象検体、及び他の化合物を含む。生物学的若しくは化学的な物質は、他の化合物を検出、同定若しくは分析するのに使用することができ、又は他の化合物を検討若しくは分析するための中間物として機能することができる。特別な実施例において、生物学的若しくは化学的な物質は生体分子を含む。本明細書で使用されるように、「生体分子(biomolecule)」は、バイオポリマー、ヌクレオチド、核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、タンパク質、酵素、ポリペプチド、抗体、抗原、リガンド、受容体、多糖類、炭水化物、ポリリン酸塩、細胞、組織、有機体、若しくはそれらの断片、上述した種の類似体若しくは模倣体のような任意な他の生物学的活性化合物を含む。他の実施例において、生物学的若しくは化学的な物質又は生体分子は、他の反応生成物を検出するための共役反応に使用される酵素又は試薬、例えば、ピロシークェンシング反応におけるピロリン酸塩を検出するのに使用される酵素又は試薬を含む。ピロリン酸塩検出に有用な酵素又は試薬は、例えば、参照により全体が本明細書に組み入れられるものとする、米国公開特許公報第2005/0244870号に記載されている。
【0032】
生体分子、試料、及び生物学的若しくは化学的な物質は、自然発生的な又は合成的なものとすることができ、また反応窪み又は領域における溶液又は混合物内に懸濁することができる。生体分子、試料、及び生物学的若しくは化学的な物質は、さらに、固相又はゲル材料に結合することもできる。生体分子、試料、及び生物学的若しくは化学的な物質は、さらに、医薬組成物を含むことができる。幾つかのケースにおいて、関心対象の生体分子、試料、及び生物学的若しくは化学的な物質は、標的、プローブ、又は検体と称することができる。
【0033】
本明細書で使用されるように、「バイオセンサ(biosensor)」は、複数の反応部位を有するデバイスを含み、このデバイスは、反応構体反応部位で又はその近傍で生起する指定反応を検出するよう構成されている。バイオセンサは、固体光検出又は「撮像」デバイス(例えば、CCD又はCMOS光検出デバイス)、及び随意的に、このデバイスに備え付けたフローセルを有することができる。フローセルは、反応部位と流体連通する少なくとも1つのフローチャンネルを有することができる。1つの特別な実施例として、バイオセンサは生物学的検定システムに流体的及び電気的に接続するよう構成される。生物学的検定システムは、反応液を所定プロトコール(例えば、シークエンシング・バイ・シンセシス)に従って反応部位に送給し、また複数の画像化(撮像)イベントを実施することができる。例えば、生物学的検定システムは反応液を反応部位に沿って流れるよう導くことができる。少なくとも1つの反応液は、同一又は異なる蛍光標識を有する4つのタイプのヌクレオチドを含むことができる。ヌクレオチドは、反応部位に、例えば、反応部位における対応のオリゴヌクレオチドに結合することができる。生物学的検定システムは、次に励起光源(例えば、発光ダイオード(LEDs)のような固体光源)を用いて、反応部位を照射することができる。励起光は、波長のレンジを含む所定波長を有することができる。入射した励起光によって励起された蛍光標識は、光センサが検出できる発光信号(例えば、励起光とは異なる、また可能性として互いに異なる波長の光)を発生することができる。
【0034】
本明細書で使用されるように、「固定化された(immobilized)」は、生体分子、又は生物学的若しくは化学的な物質に関連して使用されるとき、光検出デバイス又は反応構体の検出表面のような表面に分子レベルで生物学的若しくは化学的な物質を付着させることを含む。例えば、生体分子、又は生物学的若しくは化学的な物質は、非共有相互作用(例えば、静電力、ファン・デル・ワールス力、及び疎水性界面における脱水)を含む吸着技術及び官能基又はリンカーが生体分子を表面に付着させるのを促進するような共有結合技術を用いて、反応構体の表面に対して固定化することができる。生体分子又は生物学的若しくは化学的な物質を表面に固定化することは、表面、生体分子又は生物学的若しくは化学的な物質を担持する液状媒体の特性、及び生体分子又は生物学的若しくは化学的な物質自体の特性に基づく。幾つかのケースにおいて、表面は、生体分子(又は生物学的若しくは化学的な物質)を表面に固定化するのを促進するよう官能化することができる。
【0035】
幾つかの実施例において、核酸は、反応構体に、例えば、反応構体の反応窪みの表面に固定化することができる。特別な実施例において、本明細書記載のデバイス、バイオセンサ、生物学的検定システム及び方法は、天然ヌクレオチド及びこの天然ヌクレオチドと相互作用するよう構成されている酵素も使用することができる。天然ヌクレオチドとしては、例えば、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドがある。天然ヌクレオチドは、一リン酸塩、二リン酸塩、又は三リン酸塩の形態とすることができ、またアデニン(A)、チミン(T)、ウラシル(U)、グアニン(G)、又はシトシン(C)から選択される塩基を有することができる。しかし、非天然ヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、又は上述のヌクレオチドの類似体を使用することができると理解されたい。
【0036】
上述したように、生体分子又は生物学的若しくは化学的な物質は、反応構体の反応窪みにおける反応部位において固定化することができる。このような生体分子又は生物学的物質は、反応窪み内で締まり嵌め、粘着、共有結合又は封入によって物理的に保持又は固定化することができる。反応窪み内に配置し得る物品又は固体の例としては、反応チャンバ内で圧縮及び/又は保持され得るポリマービード、ペレット、アガロース・ゲル、パウダー、量子ドット、又は他の固体がある。若干の実施形態において、反応窪みは、DNAオリゴヌクレオチドに共有結合できるヒドロゲルをコーティング又は充填することができる。特別な実施例において、DNAボールのような核酸上部構造を、例えば、反応窪みの内面に付着することによって、又は反応窪み内の液体に存在させることによって、反応窪み内又は反応窪みに配置することができる。DNAボール又は他の核酸上部構造は、反応窪み内又は反応窪みで実施させ、また次いで反応窪み内又は反応窪みに配置することができる。代案的に、DNAボールは反応窪みの現場で合成することができる。反応窪み内で固定化される物質は、固体、液体、又は気体の状態とすることができる。
【0037】
図1~8は、一実施例により形成したバイオセンサ100の一部分における断面図を示す。図示のように、バイオセンサ100は、光検出デバイス104に直接又は間接的に結合したフローセル102を有することができる。図示の実施例において、フローセル102は、1つ又はそれ以上の固定メカニズム(例えば、粘着、ボンド、ファスナー、等々)によって光検出デバイス104に直接固着する。幾つかの実施例において、フローセル102は、光検出デバイス104に着脱可能に結合することができる。
【0038】
バイオセンサ100及び/又は検出デバイス104は、生物学的又は化学的な分析のための関連する任意な情報又はデータを取得するよう構成することができる。特別な実施例において、バイオセンサ100及び/又は検出デバイス104は、核酸シークエンシング(配列決定)システム(シークエンサー)を有し、このシークエンサーは、種々の用途、例えば、限定しないが、全ゲノム又は標的ゲノム領域、及びメタゲノムのデノボシークエンシング、再シークエンシングするよう構成される。シークエンシングシステムは、DNA又はRNA鑑定を実施するよう構成することができる。幾つかの実施例において、バイオセンサ100及び/又は検出デバイス104は、バイオセンサ100及び/又は検出デバイス104内で多数の並列反応を実施して、それら反応に関する実施を取得するよう構成する。
【0039】
フローセル102は、以下により詳細に説明するように、検出デバイス104における反応部位114に又はそれに向かうよう溶液を導く1つ又はそれ以上のフローチャンネルを有することができる。フローセル102及び/又はバイオセンサ100は、したがって、例えば、指定反応を行うのに使用される種々の反応成分又は反応物を貯留することができる流体/溶液貯留システム(図示せず)を有する、又はこれと流体連通させることができる。流体貯留システムは、さらに、流体ネットワーク並びにバイオセンサ100及び/又は検出デバイス104を洗浄又はクリーニングするための、及び可能性として反応物を希釈するための流体又は溶液を貯留することもできる。例えば、流体貯留システムは、試料、試薬、酵素、他の生体分子、緩衝液、水溶液、オイル、及び他の無極性溶液、等々を貯留するリザーバを有することができる。上述したように、反応構体126に供給される流体又は溶液は、比較的酸性(例えば、約5以下のpH)又は塩基性/アルカリ性(例えば、約8以上のpH)とすることができる。さらに、流体貯留システムは、バイオセンサ100及び/又は検出デバイス104からの廃棄物を収容するための廃棄物リザーバを有することもできる。
【0040】
図示の実施例において、光検出デバイス104は、図1及び図3~8に示すように、デバイス基台125と、及びこのデバイス基台125上にオーバーレイする反応構体126とを有する。特別な実施例において、デバイス基台125は、複数の積層した層(例えば、シリコン層又はウェハー、誘電層、金属-誘電層、等)を有する。デバイス基台125は、図3に示すように、光センサ140のセンサアレイ124と、光ガイド118のガイドアレイとを有することができる。図1及び図3~8に示すように、反応構体126は反応窪み108のアレイを有することができ、これら反応窪み108は、それらの内部に設けられる(例えば、それらの表面に固定化される)少なくとも1つの対応する反応部位114を有する。若干の実施例において、光検出デバイス104は、各光センサ140が単一の光ガイド118及び/又は単一の反応窪み108に対応し(また可能性としてそれに整列し)、そこからの光子のみを受け取るよう構成する。しかし、他の実施例において、単一の光センサ140は、1つより多い光ガイド118及び/又は1つより多い反応窪み108からの光子を受け取ることができる。単一の光センサ140は、したがって、1つのピクセル又は1つより多いピクセルを形成することができる。
【0041】
図2に示すように、反応窪み108及び/又は光ガイド118(及び可能性として光センサ140)のアレイは、規定された反復パターンで設けられ、窪み108及び光ガイド118(及び可能性として光センサ140)のうち少なくとも幾つかは、規定された位置パターンに互いに等間隔で離れる。他の実施例において、反応窪み108及び/又は光ガイド118(及び可能性として光センサ140)はランダムなパターンで設けることができる、及び/又は窪み108及び光ガイド118(及び可能性として光センサ140)のうち少なくとも幾つかは、互いに不等間隔に離れて配置することができる。
【0042】
図1及び2に示すように、検出デバイス104の反応構体126は、以下にさらに説明するように、反応液がその上を流動しかつ滞在する検出器表面112を画定することができる。反応構体126の検出器表面112は、検出デバイス104の頂部に露出する表面とすることができる。検出器表面112は、窪み108の表面、並びに窪み108間及び窪み108周りに延在する間質領域113の表面を有することができる。以下にさらに説明するように、検出デバイス104のデバイス基台125は、支持構体の下側に存在して、平滑な平坦(例えば、平面状)表面を形成する保護層130を有することができ、この平滑保護層は、検出器表面112において、また特に検出器表面112の間質領域113に対して誘発される表面トポグラフィー変調を最小化する。特別な実施例において、検出器表面112の間質領域113は、反応液及び/又は任意な他の生物学的若しくは化学的物質がそこに留まるのを防止する及び/又はパッドホッピングエラーを防止する平滑平面状表面部分とすることができる。下側の保護層130の構成によって得られる検出器表面112の間質領域130の平滑さ及び/又は平坦さは、保護層130がない実施例と比べると、より平滑及び/又はより平坦であり得る。さらに、幾つかの実施例において、下側の保護層130の構成によって得られる検出器表面112の間質領域130の平滑さ及び/又は平坦さは、保護層130がない実施例と比べると、検出デバイス104の堅牢性を高めることができる。
【0043】
光検出デバイス104の検出器表面112は官能化する(例えば、指定反応を行うのに適合するよう、化学的又は物理的に変更する)ことができる。例えば、検出器表面112は官能化することができ、また図1、3及び4に示すように、1つ又はそれ以上の生体分子が固定化される複数の反応部位114を有することができる。上述したように、検出器表面112は、反応窪み108(例えば、側面開放反応チャンバ)のアレイを有することができる。各反応窪み108は1つ又はそれ以上の反応部位114を有することができる。反応窪み108は、例えば、検出器表面112に沿う深さ(又は厚さ)における変化によって画定することができる。他の実施例において、検出器表面112はほぼ平面状とすることができる。
【0044】
図3及び4に示すように、反応部位114は、検出器表面112に沿う、例えば、反応窪み108内でパターンとして分布させることができる。例えば、反応部位114は、マイクロアレイに類似するように反応窪み108に沿う行列として位置付けることができる。しかし、種々のパターンの反応部位114を使用することができると理解されたい。反応部位114は、以下にさらに説明するように、光信号を発生する生物学的若しくは化学的な物質を含むことができる。例えば、反応部位114の生物学的若しくは化学的な物質は、励起光101に応答して光放出を発生することができる。特別な実施例において、反応部位114は、反応窪み108内の検出器表面に固定化される生体分子(例えば、オリゴヌクレオチド)のクラスター又はコロニーを有する。反応部位114は、反応液処理後に入射励起に応答して光放出を発生することができる。例えば、反応液は、励起光に応答して光放出を発生する反応部位114(しかし、可能性としてデバイス104の反応構体126における他の反応部位ではない)における反応を開始する及び/又は反応生成物を形成することができる。
【0045】
図1に示すように、一実施例において、フローセル102は少なくとも1つの側壁及びフローカバー110を有する。少なくとも1つの側壁は、検出器表面112に連結し、またフローカバー110と検出器表面112との間に延在することができる。フローセル102は、フローチャンネル119が光検出デバイス104のフローカバー110と検出器表面112との間に形成されるよう構成することができる。幾つかの実施例において、フローチャンネル119は、例えば、約50~約400μm(ミクロン)、又は特に約80~約200μmの範囲内における高さ(フローカバー110と検出器表面112との間に延在する)を有することができる。一実施例において、フローチャンネル119の高さは約100μmである。フローカバー110は、図1に示すように、バイオセンサ100の外部からまたフローチャンネル119に向けて/内に伝播する励起光101に対して透過性を示す材料で構成することができる。励起光101は、任意な角度から、及び同一又は異なる角度に沿ってフローカバー110にアプローチすることができる。
【0046】
励起光101は、生物学的検定システム、バイオセンサ100又は光検出デバイス104の一部とすることができる又は一部分ではないものとすることができる任意な照明源(図示せず)から発生することができる。幾つかの実施例において、照明系は、少なくとも検出デバイス104の反応構体126を照明するため、光源(例えば、1つ又はそれ以上のLED)、及び可能性として複数の光学的コンポーネントを有することができる。光源の実施例は、レーザー、アーク灯、LEDs、又はレーザーダイオードを有することができる。光学的コンポーネントは、例えば、リフレクタ、ダイクロイック、ビームスプリッタ、コリメータ、レンズ、フィルタ、ウェッジ、プリズム、ミラー、検出器、等々とすることができる。特別な実施例において、照明系は、検出デバイス104の反応構体126における窪み108内の反応部位114に励起光101を指向させるよう構成する。幾つかの実施例において、照明系は、例えば、約300nm~約700nmの範囲内、より具体的には、約400nm~約600nmの範囲内におけるような波長レンジ内の励起光101を発生することができる。幾つかの実施例において、照明系は、反応部位108の生物学的若しくは化学的な物質(例えば、反応液によって開始される反応及び/又は反応部位114における反応液による反応生成物)を励起する所定波長での励起光101を発生して、異なる波長の光放出を発生することができる。例えば、反応部位108が光の緑波長によって励起される蛍光色素分子(フルオロフォア)を含む一実施例において、励起光は約532nmであり、また光放出は約570nm又はそれ以上であり得る。
【0047】
図1にも示すように、フローカバー110は、フローチャンネル119に流体的に関与するよう構成される少なくとも1つのポート120と、及び可能性として他のポート(図示せず)を有することができる。例えば、他のポートは、反応液又は他の生物学的若しくは化学的な物質を含むカートリッジ若しくはワークステーションからのものとすることができる。フローチャンネル119は、検出器表面112に沿って反応液のような流体又は溶液を導くよう構成する(例えば、サイズ決め及び形状決めする)ことができる。
【0048】
図3及び4は、検出デバイス104を図1よりも詳細に示す。より具体的には、図3及び4は、単一の光センサ140、関連する少なくとも1つの反応部位114からの光放出を光センサ140に向けて指向及び通過させる単一の光ガイド118、及び光センサ140によって検出される光放出(例えば、光子)に基づく信号を伝送する関連の回路146を示す。センサアレイ124の他の光センサ140及び関連のコンポーネントは、同一又は類似様態で構成することができる。しかし、光検出デバイス104は、全体にわたり均一に製造する必要はない。その代わり、1つ若しくはそれ以上の光センサ140及び/又は関連のコンポーネントを異なる様態に製造する、又は互いに異なる関係性を有することができる。
【0049】
回路146は、検出した光子に基づくデータ信号伝送のように電流を導通できる相互接続した導電素子(導体、配線、ビアホール、相互接続部、等)を含むことができる。例えば、幾つかの実施例において、回路146は超小型回路構成を有することができる。光検出デバイス104及び/又はデバイス基台125は、光センサ140のアレイを含む少なくとも1つの集積回路を有することができる。検出デバイス104内に位置決めされる回路146は、信号増幅、デジタル化、ストレージ、及び処理のうち少なくとも1つを行うよう構成することができる。回路146は、検出データを生物学的検定システムに通信するために検出した光放出を収集(及び可能性として解析)し、データ信号を生成することができる。回路146は、さらに、光検出デバイス104内で付加的なアナログ及び/又はデジタル信号処理を実施することもできる。
【0050】
デバイス基台125及び回路146は、電荷結合素子又若しくはデバイス(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイス若しくは回路を製造するのに使用されるプロセスのような集積回路製造プロセスを用いて製造することができる。例えば、図3に示すように、デバイス基台125は、幾つかの実施例においてシリコン層(例えば、ウェハー)とすることができるセンサ基台141を含む複数の積層からなるCMOSとすることができる。センサ基台141は、光センサ140と、光センサ上に形成されたゲート143を有することができる。ゲート143は光センサ140に電気的に結合することができる。光検出デバイス104が図3のように構成されるとき、光センサ140は、例えば、ゲート143を介して回路146に電気的に結合することができる。
【0051】
回路146のうち少なくとも幾分は、検出デバイス104のデバイス基台125におけるデバイス基板層内に設けることができ、このデバイス基板層に貫通して/デバイス基板層内に光ガイド118それぞれが延在することができる。幾つかの実施例において、基板層それぞれは、図3に示すように、デバイス回路146の少なくとも一部分を形成する相互接続した導電素子と、及び回路146の導電素子に隣接する(及び可能性として包囲する)誘電材料142を有することができる。回路146の導電素子は、誘電材料142内に埋設することができる。さらに図3に示すように、光ガイド118は、誘電材料142に貫通し、また回路146から離間することができる。集積回路製造(CMOS製造)に好適な種々の金属元素及び/又は誘電材料を使用することができる。例えば、幾つかの実施例において、導電素子/回路146は、W(タングステン)元素、Cu(銅)元素、Al(アルミニウム)元素、又はそれらの組合せのような、金属元素とすることができる(しかし、他の材料及び構成を使用することができると理解されたい)。幾つかの実施例においては、誘電材料はSiOとすることができる(しかし、他の材料及び構成を使用することができると理解されたい)。
【0052】
本明細書で使用されるように、用語「層(layer)」は、それ以外を明示しない限り、材料の単一連続体に限定されない。例えば、センサ基台141及び/又はデバイス基台125のデバイス層は、異なる材料である多重サブ層を含むことができる及び/又はコーティング、接着剤、等々を含むことができる。さらに、1つ又はそれ以上の層(又はサブ層)は、変更(例えば、エッチング、材料蒸着等々)を加えて本明細書記載のような特徴を設けることができる。
【0053】
図3及び4に示すように、反応構体126は、反応窪み104を延在させて形成する1つ又はそれ以上の層を有することができる。反応構体126は、デバイス基台125の頂部外面に沿って延在することができる。図示の実施例において、反応構体126は、以下にさらに説明するように、デバイス基台125の第1内張り層154並びに第1及び第2のフィルタ材料116、115の頂部外面に沿って直接堆積させる。しかし、他の実施例において、反応構体126とデバイス基台125との間に介在層を配置することができる。反応構体126は、励起光信号101及び発生した光信号が窪み108内の反応部位114から、この窪み108を通過し、かつ特定反応窪み108に対応する1つ又はそれ以上の光ガイド118における開口158内に進入できるよう構成される1つ又はそれ以上の材料を有することができる。幾つかの実施例において、反応構体126は、特定反応部位114/反応窪み108から発生した光のクロストーク又は「シェアリング」が対応しないセンサ140に通過するのを防止する1つ若しくはそれ以上の層又は特徴を有することができる。
【0054】
反応構体126は、図3及び4に示すように、複数の異なる層を有することができる。図示の実施例において、反応構体126は、図3及び4に示すように、デバイス基台125上(例えば、第1内張り層154上)及びデバイス基台125における光ガイド118(例えば、第1及び第2のフィルタ材料116、115)の開口158上に(直接的又は間接的に)延在する第1反応層160を有することができる。さらに図3及び4に示すように、図示の実施例において、反応構体126は、第1層160上に(直接的又は間接的に)延在する第2層162を有することができる。図示の実施例における反応構体126は、さらに、第2層162上に(直接的又は間接的に)延在する第3層164、及び第3層164上に(直接的又は間接的に)延在する第4層166も有する。反応窪み108は少なくとも第3層164内に延在することができる。
【0055】
第4層166は、図3及び4に示すように、第3層164における凹み(例えば、キャビティ又は空所)を延在させることによって、反応窪み108の内面(例えば、側壁及び底壁)を形成することができる。第4層166、及び可能性として第2層162は、図3及び4に示すように、検出器表面112を形成することができる。幾つかのケースにおいて、第4層166、及び可能性として第2層162は、関心対象の化学物質、生体分子又は他の検体を固定化できる固体表面をなすよう構成することができる。例えば、各反応部位114は、第4層166、及び可能性として第2層162を有することができる検出器表面112に固定化される生体分子のクラスターを含むことができる。このように、第4層166、及び可能性として第2層162は、反応部位114を固定化できる材料を有することができる。第1層160及び第4層166(及び可能性として第2層162及び第3層166)は、励起光101及び反応部位114における放出光に対して少なくともほぼ透過性を示す材料を有することができる。さらに、第4層166及び可能性として第2層162は、生体分子を固定化するのを容易にする及び/又は光放出の検出を容易にするよう物理的又は化学的に変更することができる。
【0056】
図3及び4の図示実施例に示すように、例として、第1層160及び第3層166は第1材料を有し、また第2層162及び第4層168は第1材料とは異なる第2料を有することができる。幾つかのこのような実施例において、第1材料はSiNであり、また第2材料はTaOである。しかし、反応構体126は、異ならせた層(例えば、異なる層、より少ない層、及び/又は付加層)及び/又は異ならせた材料を有することができる。
【0057】
図3及び4に示すように、検出デバイス104のデバイス基台125は、誘電材料142及び導電性回路コンポーネント146上のように、デバイス基台125の積層させた層(例えば、金属-誘電層)上に(直接的又は間接的に)延在する第1遮蔽層150を有することができる。第1遮蔽層150は、励起光101及び/又は反応部位114からの光放出(例えば、フローチャンネル118から伝播する光信号)をブロック、反射、及び/又は相当減衰するよう構成される材料を有することができる。単に例として、第1遮蔽層150はタングステン(W)を有することができる。
【0058】
第1遮蔽層150は、少なくとも1つの対応する光ガイド118に少なくとも部分的に整列する少なくとも1つの貫通開孔を有することができる。第1遮蔽層150は、このような開孔のアレイを有することができる。幾つかの実施例において、第1遮蔽層150は、これら開孔周りに全体的に延在することができる。このようにして、励起光101からの光信号及び/又は反応部位114からの光放出はブロック、反射、及び/又は相当減衰されて、光信号がデバイス基台125を経て光ガイド118の外部に通過するのを阻止し、光センサ140によって検出することができる。幾つかの実施例において、第1遮蔽層150は、隣接する光ガイド118間及び/又は光ガイドに延在する開口間に連続的に延在する。幾つかの他の実施例において、第1遮蔽層150は、隣接する光ガイド118間及び/又は光ガイドに延在する開口間に連続的に延在せず、1つ又はそれ以上の開口が第1遮蔽層150に存在し、励起光101及び反応部位114からの光放出が第1遮蔽層150を通過するのを可能にすることができる。
【0059】
幾つかの実施例において、検出デバイス104のデバイス基台125は、図3及び4に示すように、第1遮蔽層150上に(直接的又は間接的に)延在する第2遮蔽層152を有することができる。第2遮蔽層152は、反射防止材料及び/又はデバイス基台125の下側部分の汚染を防止する材料を有することができる。単に例として、第2遮蔽層152はSiONを有することができる。幾つかの実施例において、第2遮蔽層152は、第1遮蔽層150、誘電材料142及び/又はデバイス回路146の導電性(例えば、金属)コンポーネントと相互作用するのを防止しナトリウム汚染を回避するよう構成することができる。幾つかの実施例において、第2遮蔽層152は、第1遮蔽層150の構成に擬することができる。例えば、第2遮光層152は、図3及び4に示すように、少なくとも1つの光ガイド118に対して少なくとも部分的に整列する少なくとも1つの貫通開孔を有することができる。第2遮光層152は、このような開孔のアレイを有することができる。幾つかの実施例において、第2遮蔽層152はこれら開孔周りに延在することができる。幾つかの実施例において、第2遮蔽層152は、隣接する光ガイド118間及び/又は光ガイドに延在する開口間に連続的に延在する。幾つかの他の実施例において、第2遮蔽層152は、隣接する光ガイド118間及び/又は光ガイドに延在する開口間に連続的に延在せず、図3及び4に示すように、1つ又はそれ以上の開口が第2遮蔽層152に存在する。
【0060】
幾つかの実施例において、光検出デバイス104は、図3及び4に示すように、デバイス基台125上及び光ガイド118周りに延在する内張り層154を有することができる。内張り層154は、デバイス基台125上に形成される連続的共形層とすることができる。この内張り層154は反応液に対して化学的な反応性を示し得る。例えば、反応液における組成(例えば、水分及び/又は油分)及び/又は比較的高い酸性度(例えば、約5以下のpH)又は比較的高い塩基性度(例えば、約8以上のpH)に起因して、反応液は、内張り層154が反応液に曝露されるとき、内張り層154の材料と化学的に反応し、材料を溶解又は剥離させる(すなわち、内張り層154をエッチングする)ことがあり得る。曝露時間経過後、反応液は、したがって、内張り層154をエッチングし、最終的にデバイス回路146の機能性と相互作用及び腐食又は干渉し得る。例えば、内張り層154は窒化ケイ素層とする(又はSiNを含む)ことができ、また比較的高い酸性又は塩基性の反応液は、曝露されるときSiNをエッチングする傾向があり得る。このようにして、SiN内張り層154は、反応液がエッチングして、最終的にデバイス回路146と相互作用するのを防止する上で効果的ではない(例えば、デバイス回路146の導電性(例えば、金属)コンポーネントを腐食させる)。内張り層154を形成する他の材料は、反応液の組成及び/又は比較的高い酸性度又は塩基性度に起因して、同様に反応液と化学的な反応性を示し、これにより時間経過後に反応液がエッチングするのを防止するのに失敗することがあり得る。
【0061】
内張り層154は規定の開口がないものとすることができる。しかし、この内張り層154は、以下にさらに説明するように、液体又は溶液、例えば、反応液が内張り層154を流動できるようにする少なくとも1つの内部に裂け目がある小孔、クラック、破断部等を有し得る。例えば、内張り層154の密度は比較的低く、したがって、その内部裂け目が内張り層154における通路を形成し、この通路経由で溶液が誘電材料142、及び最終的にデバイス回路146の導電性(例えば、金属)コンポーネントに浸入し得ることになる。このようにして、内張り層154は、反応液が浸入し、最終的にデバイス回路と相互作用するのを防止する上で効果的でないことがあり得る。幾つかの実施例において、内張り層の密度又は内部裂け目に起因して、内張り層154は液体不浸透性でないことがあり得る。
【0062】
図示の実施例において、内張り層154は、デバイス基台125の頂部上面で第2遮蔽層152と保護層130との間に延在し、また誘電材料142と保護層130との間で光ガイド118に沿って延在する。内張り層154は、反射防止又は反射層(例えば、反応部位114から発生した光が確実に光ガイド118を通過できるようにする)、汚染防止層(例えば、ナトリウム汚染がデバイス基台125に侵入するのを防止する)及び/又は接着層(例えば、光ガイド118のフィルタ材料116を誘電材料142に接着させる)として構成することができる。幾つかの実施例において、内張り層154は、いかなるイオン種をもデバイス層(例えば、金属-誘電層)に貫入するのを阻止する汚染防止層として構成することができる。幾つかの実施例において、内張り層154はSiNを有する。幾つかの実施例において、内張り層154はSiN層を有する。
【0063】
図3及び4に示すように、内張り層154はほぼ均一な厚さとすることができる。他の実施例において、内張り層154の厚さは可変とすることができる。例えば、デバイス基台125の頂部部分上に延在する内張り層154の部分は第1厚さを有し、光ガイド118周りに延在する内張り層154の部分は第1厚さよりも厚い又は薄い第2厚さを有することができる。他の実施例において、光ガイド118周りに延在する内張り層154の部分の厚さは、デバイス基台125内における深さに沿って可変とすることができる(例えば、デバイス基台125内で深さに伴ってテーパーを付けることができる)。幾つかの実施例において、内張り層154の厚さは約10nm~100nmの範囲内とすることができる。図示の実施例において、内張り層154は約50nmの厚さとする。
【0064】
図3に示すように、デバイス基台125は、さらに、デバイス基台125のデバイス層内で光ガイド118の下側に形成した第2内張り層155を有することもできる。第2内張り層155は、内張り層154とほぼ類似又は同一のものとすることができるが、デバイス基台125内部に位置する。幾つかの実施例において、第2内張り層155は、図3に示すように、光ガイド118の底部に沿って保護層130の直下に延在することができる。このようにして、内張り層154及び第2内張り層155は、光ガイド118の周りに全体的に延在するが、窪み108の下側における光ガイド118の開口158に対しては延在しない。第2内張り層155は光ガイド118の底部を形成することができる。
【0065】
上述したように、検出デバイス104のデバイス基台125は、図3及び4に示すように、各光ガイド118とデバイス回路146との間に位置する保護内張り層130を有することができる。保護層130は、図3及び4に示すように、デバイス基台125の頂部における内張り層154上及び光ガイド118に沿って(直接又は間接的に)延在することができる。幾つかの他の実施例において(図示せず)、保護層130は、反応構体126の下側でデバイス基台125の頂部に(直接又は間接的に)延在せず、またデバイス基台126内で光ガイド118に沿って/の周りにのみ延在することができる(すなわち、誘電材料142とフィルタ材料116との間にのみ位置することができる)。
【0066】
保護層130は、光ガイド118のフィルタ材料116の周りに全体的に延在するものの、開口158の部分には延在しない。例えば、保護層130は、光ガイド118の側面周り、及び光ガイド118の下側に(内張り層154及び第2内張り層155と、フィルタ材料116との間に)延在することができる。保護層130は、さらに、デバイス基台125上(例えば、内張り層154上に直接)及び反応構体126に設けることができる。保護層130は、したがって、デバイス基台125の頂部上に設け、またデバイス基台125と反応構体126との間に位置することができる。
【0067】
保護層130は連続コーティング層とすることができる。保護層130は、反応液のような液体又は溶液が流入できる規定の又は合目的的に形成した開孔又は空所がないものとすることができる。保護層130は、以下にさらに説明するように、液体又は溶液、例えば、反応液が流動できるようにするいかなる内部裂け目がある小孔、クラック、破断部等がないようにする、又はこれらが生ずるのを防止することができる。保護層130は、したがって、液体不浸透性バリアとすることができる。本明細書記載の液体不浸透層は、いかなる液体又は溶液(例えば、反応液)をも通過するのを防止し得る、例えば、保護層130に接触する反応液の少なくとも約99体積%がほぼ大気圧で保護層を通過するのを阻止する層に言及する。保護層130は、さらに、反応液に対して化学的に不活性であり、これによって、反応液(上述したように、比較的高い酸性度又は比較的高い塩基性度を有し得る)が保護層130をエッチングしない、又は反応液が保護層130に接触するとき、約100℃及びほぼ大気圧で1時間あたり保護層130の厚さの約1オングストローム(Å)未満しかエッチングしないものとすることができる。例えば、保護層130の組成は、反応液の組成に対して化学的に反応しない、又は比較的僅かな程度しか反応しないものとすることができ、これによって反応液は、保護層130をエッチングしない、又は反応液が保護層130に接触するとき、約100℃及びほぼ大気圧で1時間あたり保護層130の厚さの約1オングストローム(Å)未満しかエッチングしないものとすることができる。内張り層154は、反応液(例えば、約5以下のpH又は約8以上のpHを有することがあり得る)に対して耐エッチング層を有し、反応液が(時間経過とともに)貫入し、最終的にデバイス回路146の機能性に相互作用しかつ腐食させる、又は干渉するのを防止できるようにする。保護層130は、したがって、反応構体126から保護層130に貫入し得る、又は反応構体126及び光ガイド118のフィルタ材料116から保護層130に貫入し得る液体又は溶液(例えば、反応液)が、デバイス回路146(並びに内張り層154(存在するならば)及び誘電材料142)に干渉するのを防止するよう構成する。
【0068】
保護層130の厚さは可変とすることができる。例えば、デバイス基台125の頂部部分上に延在する保護層130の部分は第1厚さを有し、光ガイド118周り及び/又は光ガイド118の下側に延在する保護層130の部分は第1厚さよりも厚い又は薄い第2厚さを有することができる。他の実施例において、光ガイド118周りに延在する保護層130の部分の厚さは、デバイス基台125内における光ガイド118の深さに沿って可変とすることができる。このような実施例においては、保護層130における光ガイド118の周りに延在する部分の厚さは、光ガイド118の開口158からデバイス基台125内に進むにつれてテーパーを付ける(すなわち、狭く又は薄くする)ことができる。保護層130は、共形コーティング層とすることができる。図3に示す実施例においては、保護層130はほぼ均一な厚さである。幾つかの実施例において、内張り層154の厚さは約10nm~約1ミクロンの範囲内、又は約5nm~100nmの範囲内、又は約50nm~約100nmの範囲内とすることができる。図示の実施例において、内張り層154は約50nmの厚さとする。
【0069】
保護層130は、反応構体126に、又は反応構体126及び光ガイド118に貫入し得る反応液のようないかなる溶液又は液体もがデバイス回路146に相互作用するのを防止し、また反応部位114から(反応液による処理後に)放出される光が通過して少なくとも1つの対応する光センサ140(少なくとも1つの対応する光ガイド118経由で)達することができるようにする任意な材料を有することができる。例えば、保護層130は、フィルタ材料116によってフィルタ処理されない反応部位114から放出された光が通過でき、また反応液に対して化学的に不活性である任意な材料を有することができる。例えば、保護層130は、反応液(例えば、約5以下のpH又は約8以上のpHを有することがあり得る)に対して化学的に反応しない、又は比較的僅かにしか化学的に反応しない任意な材料を有することができ、これにより、反応液は、保護層130をエッチングしない、又は反応液が保護層130に接触するとき、約100℃及びほぼ大気圧で1時間あたり保護層130の厚さの約1オングストローム(Å)未満しかエッチングしないものとすることができる。例えば、保護層130は、少なくとも1つの酸化物、少なくとも1つの窒化物、又はそれらの組合せを有することができる。幾つかの実施例において、保護層130は、二酸化ケイ素、金属酸化物、金属窒化物又はそれらの組合せを有することができる。幾つかの実施例において、保護層130は、二酸化ケイ素、シリコンオキシ窒化物、一酸化ケイ素、炭化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、シリコン窒炭化物(シリコンニトロカーバイド)、二酸化ケイ素、金属酸化物、金属窒化物又はそれらの組合せを有することができる。幾つかの実施例において、反応液のpHは約8以上であり、また保護層130は、二酸化ケイ素、シリコンオキシ窒化物、一酸化ケイ素、炭化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、シリコン窒炭化物、二酸化ケイ素、金属酸化物、金属窒化物又はそれらの組合せを有することができる。幾つかの実施例において、反応液のpHは約5未満であり、また保護層130は、シリコンカーバイド、シリコンオキシカーバイド、シリコン窒炭化物、金属酸化物、金属窒化物又はそれらの組合せを有することができる。保護層130の厚さ、形成プロセス及び材料は、保護層130が反応液のようないかなる溶液又は液体も反応構体126に、又は反応構体126及び光ガイド118に貫入し、最終的にデバイス回路146(並びに内張り層154(あるならば)及び誘電材料142)と相互作用するのを阻止するよう考慮及び構成する(独立的又は集合的に)ことができる。
【0070】
上述したように、光ガイド118は、開口158からデバイス基台125内に、誘電材料層142を経て少なくとも1つの光検出センサ140に向って延在することができる。特別な実施例において、光ガイド118は細長く、また少なくとも1つの対応する反応窪み108(その開孔158)から又はその近傍から、センサ基台141内における少なくとも1つの対応する光センサ140に向って延在する。光ガイド118は中心長手方向軸線に沿って長さ方向に延在することができる。光ガイド118は3次元形状に構成することができ、これにより少なくとも1つの対応する反応窪み108の反応部位114から放出される光が、少なくとも1つの対応する光センサ140に向かうのを可能にする及び/又は促進する、例えば、円形開口158を有するほぼ円筒状又は切頭円錐状の形状に構成することができる。光ガイド118の長手方向軸線は断面の幾何学的中心を貫通することができる。しかし、他の幾何学的形状を他の実施例において使用することができる。例えば、光ガイド118の断面はほぼ正方形又は八角形の形状とすることができる。
【0071】
光ガイド118は、励起光101又は励起光101の波長を含む波長レンジをフィルタ処理するよう構成されたフィルタ材料116であって、少なくとも1つの対応する反応窪み108における少なくとも1つの反応部位114からの光放出を、該フィルタ材料116経由で少なくとも1つの対応する光センサ140に向けて伝播するよう構成されたフィルタ材料116を有することができる。光ガイド118は、例えば、フィルタ材料116が或る波長(又は波長レンジ)を吸収し、少なくとも1つの所定波長(又は波長レンジ)を通過させるような吸収フィルタ(例えば、有機吸収フィルタ)とすることができる。単なる一例として、励起光は約532nmの波長とし、少なくとも1つの反応部位114からの光放出は約570nm又はそれ以上の波長とすることができ、したがって、フィルタ材料116は、約532nm又は570nm未満の波長の光を吸収し、約570nm以上の波長の光を通過させることができるものとする。アレイの光ガイド118各々は、ほぼ同一のフィルタ材料116を含む、異にする光ガイド118は異にするフィルタ材料116を含むことができる。
【0072】
各光ガイド118は、したがって、デバイス基台125の包囲材料(例えば、誘電材料142)に対して光ガイド構体を形成するよう構成することができる。例えば、光ガイド118は少なくとも約2の屈折率を有することができる。若干の実施例において、光ガイド118は、励起光の光学密度(OD)又は吸光度が少なくとも約4ODとなるよう構成する。より具体的には、光ガイド118のフィルタ材料116は、光ガイド118が少なくとも約4ODを達成する寸法となるよう選択することができる。より特別な実施例において、光ガイド118は、少なくとも約5OD、又は少なくとも約6ODを達成するよう構成することができる。
【0073】
初期的には、デバイス104又はバイオセンサ100の反応構体126における1つ又はそれ以上の反応窪み108の反応部位114は、指定反応を含まず、このことは、全体的に図4に陰影付け(shading)/パターン付け(patterning)がないことによって表される。上述したように、反応部位114は、検出器表面112、又はより具体的には、反応窪み108の底面及び/又は側面に固定化された生物学的若しくは化学的な物質を含むことができる。特別な実施例において、反応部位114は、少なくとも1つの対応する光ガイド118における開口158の近傍に位置付けられ、これにより反応液との処理を介して指定反応を生じた後に反応部位114から発生した予め指定された光放出が、反応構体126を経て、開口158及び少なくとも1つの対応する光ガイド118のフィルタ材料116を経て、保護内張り層(及び可能性として第1及び第2の遮蔽層154、155)を経て、少なくとも1つの対応する光センサ140に伝播する。
【0074】
単一反応部位114の生物学的若しくは化学的な物質は、類似又は同一(例えば、共通配列(シークエンス)を有する検体(例えば、オリゴヌクレオチド)のコロニー)とすることができる。しかし、他の実施例において、単一の反応部位114及び/又は反応窪みは、異にする生物学的若しくは化学的な物質を含むことができる。指定反応後に、反応部位114は少なくとも1つの検体(関心対象検体)を含むことができる。例えば、検体はオリゴヌクレオチド又はその(例えば、関心対象オリゴヌクレオチドの)コロニーとすることができる。オリゴヌクレオチドは、有効な共通配列を有し、蛍光標識付けしたヌクレオチドのような所定の又は特別な蛍光標識付けした生体分子と結合することができる。
【0075】
しかし、指定反応の前には、図4に示すように、蛍光標識付けした生体分子の蛍光色素分子は、反応部位114における生物学的若しくは化学的な物質(例えば、オリゴヌクレオチド)には組み込まれない又は結合されない。指定反応を達成するために、図5に示すように、フローセルは反応構体126に反応液170のフローを供給することができる。反応液は、例えば、DNAの移植、クラスタリング、開裂、組み込み、及び/又は解読に利用される1つ又はそれ以上のシークエンシング試薬を含むことができる。しかし、この反応液170は任意な溶液とすることができる。幾つかの実施例において、反応液170は液体とすることができる。例えば、反応液170は水溶液とすることができる及び/又はオイルを含むことができる。しかし、反応液170は任意な他の液体とすることができる。反応液170は、回路146に対して反応する、腐食させる、溶解させる、劣化させる、又は動作不能にする若しくは回路機能(すなわち、信号又は電子を伝送する機能)を低下させる傾向にある1つ又はそれ以上の成分を含み得る。例えば、反応液170は、回路146と相互作用する場合、回路146の金属部分を酸化する傾向にある水溶液とすることができる。
【0076】
幾つかの実施例において、反応液170は、少なくとも幾分は蛍光標識付けされる1つ又はそれ以上のヌクレオチド型を含み、また反応液170は、さらに、反応部位114でヌクレオチドを取り込んで成長するオリゴヌクレオチドとなるようにし、これによりオリゴヌクレオチドに蛍光標識付けしたヌクレオチドで標識付けするポリメラーゼ酵素のような、1つ又はそれ以上の生体分子を含む。この実施形態において、フローセルは、オリゴヌクレオチドとなるよう取り込まれなかったいかなる遊離ヌクレオチドをも除去するための洗浄溶液を供給することができる。反応部位114は、次に少なくとも第1波長の励起光101を照射し、蛍光標識付けされたヌクレオチドが組み込まれた反応部位114で第2及び/又は第3波長の蛍光を発生できるようにする。蛍光標識付けされたヌクレオチドが組み込まれなかった反応部位114は、励起光101入射の際に光を発生しない。
【0077】
図5に図示した実施例で示すように、反応液170は反応窪み108内に供給され、少なくとも1つの蛍光標識付けされた分子が反応部位114の生物学的若しくは化学的な物質と結合又は組み込む指定反応を達成することができる。幾つかの実施例において、反応部位114における生物学的若しくは化学的な物質は検体とすることができ、また蛍光標識付けされた分子は検体に結合又は組み込む少なくとも1つの蛍光色素分子を含むことができる。このような実施例において、検体はオリゴヌクレオチドを含むことができ、また少なくとも1つの蛍光標識付けされた分子は蛍光標識付けされたヌクレオチドを含むことができる。
【0078】
反応部位114の生物学的若しくは化学的な物質(例えば、オリゴヌクレオチド)が共通配列を有するような類似又は同一のものであるとき、反応部位114は、指定反応後に共通の光放出を発生するよう構成することができ、また蛍光標識付けされた分子が反応液170からの結合又は取り込みによって励起光101は吸収される。生物学的若しくは化学的な物質が異にする配列を有するように、類似又は同一ではないとき、反応部位114は、指定反応後に異にする光放出を発生するよう構成することができ、また蛍光標識付けされた分子が反応液170からの結合又は取り込みによって励起光101は吸収される。光ガイド118のフィルタ材料116は、いかなるこのような光放出をもこのフィルタ材料を経て光センサ140まで伝播させるが、このようなもの以外の他の光放出及び/又は励起光は光センサ140まで通過するのを阻止することができるものを選択又は構成することができる。
【0079】
図6に示すように、反応液170が反応部位114の生物学的若しくは化学的な物質(例えば、オリゴヌクレオチド)と相互作用した後、反応部位114が蛍光色素分子のような蛍光標識付けされた分子を含むような指定反応を生起し、この蛍光標識付けされた分子は、励起光101によって励起されるとき(すなわち、励起光101が反応部位114に入射するとき)、所定の波長又は波長レンジの光を発する。励起光101は、したがって、反応液170の蛍光標識付けされた分子に基づいて(又はその逆に)構成することができる、及び/又は反応部位114における反応液170によって開始する反応及び/又は反応部位114における反応液170によって形成される反応生成物に基づいて構成することができる。図6に示すように、反応部位114は、反応液による処理を介して指定反応が生起した後に励起光101によって励起されるとき、励起光101とは異なる波長の光信号172を発生することができる。
【0080】
反応部位114から(反応液との処理後)放出された光172は全方向(例えば、等方的に)に進み、例えば、光172の一部分は少なくとも1つの対応する光ガイド118に指向し、また光172の一部分は、図6に示すように、フローチャンネル119又は反応構体126に指向する。光ガイド118を通過する部分に関しては、デバイス104(例えば、デバイスの光ガイド118)は、少なくとも1つの対応する光センサ140が光子を検出するのを容易にするよう構成することができる。とくに、反応部位114から放出され、対応する光ガイド118の開口に通過する光172は、フィルタ材料116経由で光センサ140に伝播する。しかし、励起光101は、図6に示すように、フィルタ材料116によって光ガイド118経由で光センサ140に伝播するのを吸収される又は別様に阻止される。光センサ140に電気的に接続されたデバイス回路146は、光センサ140が検出した光子に基づくデータ信号を伝送する。このようにして、反応液との処理を介する反応部位114における指定反応の存在が、光検出イベント中に放出光172を光センサ140によって検出させる。
【0081】
図6に示すように、反応部位114から放出されて少なくとも1つの対応する光ガイド118を通過する放出光172の部分は、光ガイドのフィルタ材料116を直接経由して少なくとも1つの対応する光センサ140に伝播する。例えば、反応部位114から放出されて開口158経由で少なくとも1つの対応する光ガイド118を通過する放出光172の少なくとも大部分は、直接(直線的又はほぼ直線的に)フィルタ材料116を経由して少なくとも1つの対応する光センサ140に通過することができる。反応部位114から放出されて少なくとも1つの対応する光ガイド118を通過する放出光172の僅かな部分は角度が付いて移動し、これにより保護層130、内張り層154を経由して誘電材料層142に通過する。このような光は、誘電材料層142に埋設された回路146又は他の金属又は反射構体によって反射され、また可能性として対応する光ガイド118(及び可能性として少なくとも1つの対応する光センサ140)に戻ることができる。幾つかの実施例において、保護層130及び/又は内張り層154は、透光性とする、例えば、透明である又は少なくとも反応部位114からの放出光172に対してほぼ透過性を示すものとすることができる。
【0082】
図7及び8は、反応構体126及び光ガイド118のフィルタ材料116におけるクラック又は他の裂け目178を含むデバイス104の実施例を示す。図7及び8に示すように、反応構体126、及び可能性として少なくとも1つの光ガイド118におけるフィルタ材料116は、検出器表面112から保護層130まで延在するクラック又は他の裂け目178を有することがあり得る。裂け目178は、検出器表面112から反応構体126を経て保護層130まで、及び/又は検出器表面112から反応構体126及びフィルタ材料116を経て保護層130まで延在することがあり得る。裂け目178は、したがって、溶液又は液体を検出器表面112から検出デバイス104内に流入させ、保護層130と相互作用するのを可能にする。
【0083】
裂け目178又は他の通路は、図示の裂け目178のように規定される及び/又は連続するものではないことに留意されたい。むしろ、裂け目178は、液体又は溶液が反応構体126を経て(すなわち、検出器表面112から)保護層130まで進入し得る任意な通路を呈する。例えば、検出器表面112から反応構体126を経て(例えば、第1層160、第2層162、第3層164及び(もしあるならば)第4層166を経て)保護層130まで延在する任意な通路は、最終的に液体又は溶液(例えば、反応液)を保護層130と相互作用することを可能にし得る。他の実施例において、検出器表面112から反応構体126を経て(例えば、第1層160、第2層162、第3層164及び(もしあるならば)第4層166を経て)及び少なくとも1つの光ガイド118を経て(例えば、開口158及びフィルタ材料116を経て)保護層130まで延在する任意な通路は、最終的に液体又は溶液(例えば、反応液)を保護層130と相互作用することを可能にし得る。裂け目178は任意のこのような通路を呈する。
【0084】
反応構体126を経て延在する及び/又は反応構体126及び少なくとも1つの光ガイド118を経て延在する裂け目178は、任意なプロセス又はメカニズムによって形成され得る。例えば、反応構体126を経て延在する及び/又は反応構体126及び少なくとも1つの光ガイド118を経て延在する裂け目178は、例えば、デバイス104の製造段階中、及び/又はデバイス104の使用中に形成されることがあり得る。この形成における1つの特別なモードとして、裂け目178はデバイス104の材料における異にする熱膨張係数によって生ずることがあり、このことはデバイス104の製造段階中、及び/又はデバイス104の使用中に裂け目178を形成することがあり得る。他の実施例として、裂け目178は、反応構体126及び/又は光ガイド118の形成プロセスにおける過誤によって形成され得る、又は形成プロセスから自然発生し得る。さらに他の実施例として、裂け目178は、反応構体126及び/又は光ガイド118に対する反応液又は任意な他の液体若しくは溶液との反応及びエッチングによって形成され得る。しかし、これらは裂け目178の形成モードの単に幾つかの例であり、裂け目178は任意な動作モードによって形成され得る。
【0085】
図8に示すように、また上述したように、内張り層154は、内張り層に延在する裂け目179を有し、また溶液又は液体が裂け目で流動することを可能にする。内張り層154の裂け目179は、比較的小さい内部の裂け目、小孔、クラック等々であり得る。内張り層154の裂け目179は、例えば、デバイス104の内張り層154の製造段階中、及び/又はデバイス104の使用中に形成されることがあり得る。内張り層154の裂け目179は、例えば、デバイス104の内張り層154及び他の部分の材料における異にする熱膨張係数によって生ずることがあり得る。他の実施例として、内張り層154の裂け目179は、内張り層の形成プロセスによって生起することがあり得る。他の実施例において、内張り層154の裂け目179は、内張り層154と相互作用する、内張り層154を攻撃、腐食又は劣化させる液体又は溶液から生ずる(またしたがって、液体又は溶液が進入して通過する)ことがあり得る。しかし、これらは内張り層154の裂け目179の原因の単に幾つかの例であり、裂け目179は任意な動作モードによって形成され得る。幾つかの実施例において、内張り層154は、反応液と化学的に反応し、したがって、反応液が内張り層154をエッチングする(また最終的に回路146を劣化させる)材料を含むことがあり得る。幾つかのこのような実施形態において、内張り層154は裂け目179がある又はないものとすることができる。
【0086】
裂け目178が存在し、(例えば、検出器表面112上及び反応窪み108内に供給される)反応液170(又は任意な他の液体若しくは溶液)が反応構体126に浸入するとき、反応液170(又は他の液体若しくは溶液)は、図8に示すように、裂け目178内に/経由で又は反応構体126経由で、また可能性として光ガイド118のフィルタ材料116経由で流動する、沁み込む、貫入する又は移動することができる。さらに、図8に示すように、保護層130が存在しない場合、内張り層154の裂け目179はこのような貫入した反応液170(又は他の液体若しくは溶液)が検出デバイス104から誘電材料142に移動し続け、最終的に回路146と相互作用することを可能にする。他の実施例において、貫入した反応液170(又は他の液体若しくは溶液)は、内張り層154と化学的に反応し、この内張り層をエッチングし、また検出デバイス104から誘電材料142まで移動し続け、また最終的に回路146と相互作用することがあり得る。上述したように、反応液170は、比較的高い酸性度(例えば、約5以下のpH)又は比較的高い塩基性度(例えば、約8以上のpH)であり、また内張り層154はこのような反応液によって比較的容易にエッチングされるSiNを含むことがあり得る。上述したように、反応液170(又は他の液体若しくは溶液)は、回路146を劣化させる又は回路146の導電性部分及び/又は金属部分における動作性若しくは有効性を低下させることがあり得る。例えば、反応液170は回路146の導電性部分及び/又は金属部分と化学的に反応し、また酸化させることがあり得る。
【0087】
しかし、図8に示すように、保護層130は、いかなる反応液170をも裂け目178を経て反応構体126、及び可能性として光ガイド118のフィルタ材料116に浸入するのを防止し、又はデバイス104の回路146と相互作用するのを防止する中実連続バリア層を形成するよう構成することができる。さらに、保護層130は、反応液に対して化学的に不活性であり、これによって、反応液(上述したように、比較的高い酸性度又は比較的高い塩基性度を有し得る)が保護層130をエッチングしない、又は反応液が保護層130に接触するとき、約100℃及びほぼ大気圧で1時間あたり保護層130の厚さの約1オングストローム(Å)未満しかエッチングしない構成とすることができる。このようにして、反応構体126における裂け目179若しくは他の通路、及び/又はフィルタ材料116における裂け目179若しくは他の通路が存在することがあり得ても、保護層130は、反応液170が内張り層154の裂け目179に/内を流動し、また最終的にデバイス回路146と相互作用する(及びこれにより劣化させる)のを防止する。上述したように、保護層130の形成方法、保護層130の厚さ及び材料は、保護層130はいかなる溶液又は液体(例えば、反応液)をも内部に通過するのを可能にするいかなる裂け目がないよう、また保護層130が反応液に対して化学的に不活性であり、保護層130が(反応液による)エッチングに対する耐性があるよう、独立的に又は相対的に考慮して、構成することができる。
【0088】
図9~13は、図1~8につき説明した光検出デバイス104のような光検出デバイスを製造する方法200の実施例を示す。したがって、先頭の「1」に対して「2」を付した類似の参照符号は、上述した類似のコンポーネント、態様、機能、プロセス若しくは機能、及び説明を示すのに使用し、等しくこれらに適用され、簡便のため反復しない。例えば、方法200は、本明細書記載の種々の実施例(例えば、システム及び/又は方法)における構体又は態様を採用することができる。様々な実施例において、若干のステップは省略又は追加することができ、若干のステップは組み合わせることができ、若干のステップは同時に実施することができ、若干のステップは一斉に実施することができ、若干のステップは複数ステップに分割することができ、若干のステップは異なる順序で実施することができ、又は若干のステップ若しくは一連のステップは反復して再実施することができる。
【0089】
図9及び10に示すように、デバイス204を形成する方法200は、デバイス基台225内に複数のトレンチ280(例えば、アレイ)を形成するステップ(図9におけるステップ270)を備える。複数のトレンチは、デバイス基台225の外側/外部頂面から少なくとも1つの対応する光センサ240に向って(デバイス基台225の厚さにわたり)延在させることができる。上述したように、デバイス基台225は、光センサ240及びこの光センサ240に電気的に接続して光センサ240が検出した光子に基づく電気信号を伝送するデバイス回路246のアレイを有することができる。デバイス基台225は、任意なプロセスによって設ける又は調達することができる。例えば、方法200は、予め組み合せた又は予め製造した状態でデバイス基台225を調達するステップ、又は複数のトレンチ280を形成するステップ270に先立って、デバイス基台225を形成若しくは製造するステップを備えることができる。
【0090】
上述したように、デバイス基台225はCMOS製造技術のような半導体製造技術を用いて製造することができる。例えば、デバイス基台225は、デバイス回路246を形成するよう異なる変更を施して埋設した形体(例えば、金属素子)を有する数個の基板層(例えば、誘電材料層242)を有することができる。方法200後に光ガイド218を有するデバイス基台225の部分に対応させて、複数個のトレンチ280を基板層(例えば、誘電材料層242)に形成することができる。図10には1個のトレンチ280のみを示すが、デバイス基台225は、上述したように、光ガイド218のアレイを有することができ、したがって、トレンチ280のアレイを形成することができる。
【0091】
図10に示すように、トレンチ280は第1遮蔽層250及び/又は第2遮蔽層252の開口、及び誘電材料242から少なくとも1つの対応する光センサ240に向けて延在させることができる。図10に示すように、誘電材料242のようなデバイス基台225の内面は、内部に光ガイド218を形成するためのトレンチ280を画定することができる。トレンチ280は第2内張り層255にまで貫通し、誘電材料242に貫通する。このようにして、第2内張り層255はトレンチ280の底部を形成することができる。さらに図10に示すように、第1遮蔽層250及び/又は第2遮蔽層252における他の開口は、デバイス基台225の間質領域213に形成することができる。
【0092】
トレンチ280は、誘電材料242の部分(及び可能性として第1遮蔽層250及び/又は第2遮蔽層252の部分)を除去するプロセス又は技術によって形成することができる。例えば、トレンチ280は1つ又はそれ以上の選択的エッチングプロセス又は反応性イオンエッチングプロセスによって形成することができる。一実施例において、トレンチ280は、少なくとも1つのマスク(図示せず)をデバイス基台225に塗布し、また誘電材料242の一部分(及び可能性として第1遮蔽層250及び/又は第2遮蔽層252の部分)における材料を除去する(例えば、エッチングによる)ことによって形成することができる。
【0093】
図9及び11に示すように、複数のトレンチ280を形成した後、方法200は、第1内張り層254をデバイス基台225の頂面上及び複数のトレンチ280内に堆積するステップ(図9のステップ272)を備えることができる。幾つかの実施例において、第1内張り層254は、複数のトレンチ280の側壁上には形成するが、トレンチ280の底部における第2内張り層255上には形成しないものとすることができる。幾つかの他の実施例において、第1内張り層254はトレンチ280の底部における第2内張り層255上に形成するが、その後に除去することができる。第1内張り層254は、デバイス基台225の頂面における第2遮蔽層252上に、及び可能性としてデバイス基台225の間質領域213における第1遮蔽層250及び/又は第2遮蔽層252の任意な開口上に堆積し、図11に示すように、このような開口における誘電材料242上に第2遮蔽層252が延在することができる。
【0094】
第1内張り層254は任意なプロセス又は技術によって形成することができる。例えば、第1内張り層254は少なくとも1つの化学析出プロセス(例えば、メッキ、化学蒸着(CVD)、プラズマ助長CVD(PECVD)、若しくは原子層堆積(ALD)、等)、物理的堆積プロセス、成長モード、エピタキシー、又はそれらの組合せによって形成することができる。幾つかの実施例において、第1内張り層254はデバイス基台225の表面上に、及びトレンチ280内に(例えば、トレンチ280の側壁上、及び可能性として底面に)共形的に形成することができる。第1内張り層254は、ほぼ一定の厚さを有することができる、又は厚さを変化させることができる。上述したように、第1内張り層254(及び/又は可能性として第2内張り層255)は、そこに貫通して溶液又は液体を流動させることができる裂け目(形成の際に及び/又はデバイス204の使用中に生ずる)を有することがあり得る(図8参照)。上述したように、第1内張り層254は反応液(比較的高い酸性又は塩基性/アルカリ性を有し得る)と化学的に反応するおそれがあり、これにより反応液がその第1内張り層をエッチングする。
【0095】
デバイス基台225上(及びトレンチ280内)に第1内張り層254を形成した後に、第1内張り層254をさらに処理することができる。例えば、第1内張り層254の少なくともデバイス基台255の頂面上に延在する部分は、平坦化/平面化、平滑化及び/又は表面トポロジー改善の他の処理を行うことができる。このような実施例の幾つかにおいて、第1内張り層254の少なくともデバイス基台255の頂面上に延在する部分(すなわち、第1内張り層254の間質領域213)はエッチング及び/又は光沢仕上げ(例えば、化学的及び/又は物理的な光沢仕上げ/平面化)をし、第1内張り層254の外面を平面化することができる。
【0096】
図9及び12に示すように、方法200は、複数のトレンチ280内に延在するデバイス基台225上の保護層230を形成するステップ(図9のステップ274)を備えることができる。幾つかの実施例において、方法200は、複数のトレンチ280内及びデバイス基台225の頂面上に延在するデバイス基台225上の保護層230を形成するステップ(図9のステップ274)を備えることができる。幾つかの実施例において、保護層230は、複数のトレンチ280の側壁上及びトレンチ280の底部上に形成することができる。保護層230は、第1内張り層254上及び第2内張り層255上に形成することができる。
【0097】
保護層230は任意なプロセス又は技術によって形成することができる。例えば、保護層230は少なくとも1つの化学析出プロセス(例えば、メッキ、化学蒸着(CVD)、プラズマ助長CVD(PECVD)、若しくは原子層堆積(ALD)、等)、物理的堆積プロセス、成長モード、エピタキシー、又はそれらの組合せによって形成することができる。幾つかの実施例において、保護層230はデバイス基台225の表面上に、及びトレンチ280内に(例えば、トレンチ280の側壁上、及び可能性として底面に)共形的に形成することができる。保護層230は、ほぼ一定の厚さを有することができる、又は厚さを変化させることができる。上述したように、保護層230は、そこに貫通して溶液又は液体を流動させることができる裂け目(形成の際に及び/又はデバイス204の使用中に生ずる)がないように決定することができる(図8参照)。保護層230の厚さ、材料及び/又は形成プロセスは、保護層230が液体不浸透性バリア層となるよう構成することができる。例えば、低欠陥密度の堅牢で高密度化された層として保護層230を形成する任意なプロセスを利用できる。幾つかの特別な実施例において、保護層230は、例えば、原子層堆積(ALD)プロセス又は高密度プラズマ化学蒸着(CVD)プロセスにより形成する。したがって、保護層230は、反応液のような液体又は溶液がデバイス基台225のデバイス層におけるデバイス回路246と相互作用するのを防止する液体不浸透性バリア層であり得る。
【0098】
上述したように、保護層230は、反応液に対して化学的に不活性であり、これによって、反応液(上述したように、比較的高い酸性度又は比較的高い塩基性度を有し得る)が保護層130をエッチングしない、又は反応液が保護層230に接触するとき、約100℃及びほぼ大気圧で1時間あたり保護層230の厚さの約1オングストローム(Å)未満しかエッチングしないよう形成することができる。例えば、保護層230の組成は、反応液(比較的高い酸性度又は比較的高い塩基性度を有し得る)の組成に対して化学的に反応しない、又は比較的僅かな程度しか化学的に反応せず、これにより反応液は保護層230をエッチングしない、又は反応液が保護層230に接触するとき、約100℃及びほぼ大気圧で1時間あたり保護層230の厚さの約1オングストローム(Å)未満しかエッチングしない。したがって、保護層230は、反応液(例えば、約5以下のpH又は約8以上のpHを有することがあり得る)に対してエッチング耐性層を有し、反応液が(時間経過につれて)その層に貫入し、最終的にデバイス回路246の機能性と相互作用する、及び腐食又は干渉するのを防止できるようにする。したがって、保護層230は、反応構体226から保護層230に貫入し得る、また光ガイド218のフィルタ材料216から保護層230に貫入し得る液体又は溶液(例えば、反応液)がデバイス回路246(並びに内張り層254(存在するならば)及び誘電材料242)と相互作用するのを防止するよう形成することができる。
【0099】
図9及び13に示すように、保護層230を形成した後、方法200は、少なくとも1つのフィルタ材料216を複数の内張りしたトレンチ280に充填して複数の光ガイド218を形成するステップ(図9のステップ276)を備える。上述したように、少なくとも1つのフィルタ材料216は、第1波長の光(例えば、励起光)をフィルタ処理し、また第2波長の光(例えば、反応部位から放出された光)が通過して少なくとも1つの対応する光センサ240に達せしめることができる。幾つかの実施例において、デバイス基台225に適用するフィルタ材料216の量は、内張りしたトレンチ280内で利用可能な容積を超えるものとすることができる。このようにして、フィルタ材料216は内張りしたトレンチ280をオーバーフローして、第1内張り層254上のようなデバイス基台225の頂面に沿って延在することができる。代案的実施例において、充填ステップ276は、フィルタ材料216がトレンチ280を越える/オーバーフローする(すなわち、デバイス基台225の頂面上に突出する)ことがないように、各内張りしたトレンチ280を選択的に充填するステップを含むことができる。
【0100】
幾つかの実施例において、フィルタ材料216を充填するステップ(図9のステップ276)は、フィルタ材料216を内張りしたトレンチ280内に押し込む(例えば、スクイージー状のコンポーネントを用いる)ステップを含むことができる。随意的に、方法200は、さらに、保護層230及び幾つかのケースでは光ガイド218内のフィルタ材料216の部分を除去するステップを含むことができる。フィルタ材料216は光ガイド218内から除去し、これにより図13に示すように、光ガイド218の開口258が保護層230より低い深さに位置する。フィルタ材料216の1つ又はそれ以上の部分を除去するため、異なるプロセスを実施することができる。例えば、除去作業は、フィルタ材料216の部分をエッチングする、又はフィルタ材料216の部分を化学的に光沢仕上げすることのうち少なくとも一方を含むことができる。
【0101】
さらに図9及び13に示すように、デバイス基台225上(及びトレンチ280内)に保護層230を形成した後、保護層230は更に処理を施すことができる。例えば、保護層230における少なくともデバイス基台225の頂面上に延在する部分を平坦化/平面化、平滑化及び/又は表面トポロジー改善の他の処理を行うことができる。幾つかの他の実施例において、保護層230における少なくともデバイス基台225の頂面上に延在する部分(すなわち、保護層230の間質領域213)はエッチング及び/又は光沢仕上げ(例えば、化学的及び/又は物理的な光沢仕上げ/平面化)をし、第1内張り層254の外面を平面化することができる。
【0102】
フィルタ材料216による光ガイド218の形成後、方法200は、複数の光ガイド218上及びデバイス基台225の頂面における保護層230上に反応構体を形成する(図3及び4参照)ステップ(図9のステップ278)を備えることができる。上述したように、複数の光ガイド218上及びデバイス基台225の頂面における保護層230上に反応構体を設ける反応構体は、少なくとも反応部位及び反応液を収容するための、それぞれが少なくとも1つの光ガイドに対応する複数の反応窪みを有することができる。幾つかの実施例において、約5以下のpH又は約8以上のpHを有する反応液を反応構体上に供給して、反応構体に反応部位を形成する。反応部位は反応液による処理後の励起光入射に応答して光放出を発生することができる。例えば、反応液は、励起光に応答して光放出を発生反応部位において反応を開始する及び/又は反応生成物を形成することができる。上述したように、反応構体は複数の層を有することができる。このように、反応構体を形成するステップ(図9のステップ278)は、複数の光ガイド218の上方及びデバイス基台225の頂面における保護層230の上方に複数の層を形成する(図3及び4参照)ステップを有することができる。反応構体は任意なプロセス又は技術によって形成することができる。
【0103】
したがって、保護層230は、反応構体に対する下側支持体を形成することができる。上述したように、保護層230の平面化された頂面は、したがって、反応構体の検出器表面内、とくに、検出器表面の間質領域213に生じた表面トポロジー変調を最小化することができる。特別な実施例において、この処理した保護層230は、結果として反応構体の検出器表面における間質領域213に対して平面状及び/又は平滑表面を生ずることができ、また反応液又は任意な他の生物学的若しくは化学的な物質が間質領域上に残留するのを防止する及び/又はホッピングエラーを防止できるようになる。少なくとも部分的には処理した下側保護層230によって生じた検出器表面における間質領域213の平坦さは、処理した保護層230がない実施例に比べると、検出デバイス204の堅牢さを向上することができる。
【0104】
随意的に、方法200は、約5以下のpH又は約8以上のpHを有する反応液を反応構体上に導入することによって、及び/又は約5以下のpH又は約8以上のpHを有する反応液を反応構体上に供給するフローセルをデバイス204に取り付ける(図1参照)ことによって、形成された反応構体の少なくとも1つの反応窪みに少なくとも1つの反応部位を準備するステップを備えることができる。反応部位を準備するステップは、フローセルをデバイス204に結合する前に又は後に行うことができる。反応部位は、反応窪みに沿う所定パターンで位置決めすることができる。反応部位は、所定様態(例えば、1部位対1光センサ、1部位対複数光センサ、又は複数部位対1光センサ)に対応することができる。他の実施例において、反応部位は反応窪みに沿ってランダムに形成することができる。上述したように、反応部位は、反応窪み内の検出器表面に固定化した生物学的若しくは化学的な物質を含むことができる。生物学的若しくは化学的な物質は、励起光に応答して光信号を発するよう構成することができる。少なくとも1つの反応部位は、したがって、反応液での処理後にのみ入射励起光に応答して光放出を発生することができる。例えば、反応液は、励起光に応答して光放出を発生する少なくとも1つの反応部位で反応を開始する及び/又は反応生成物を形成することができる。特別な実施例において、反応部位は、反応窪み内の検出器表面に固定化された生体分子(例えば、オリゴヌクレオチド)のクラスター又はコロニーを含む。
【0105】
上述した記述は説明することを意図するものであって、限定的ではないと理解されたい。例えば、上述した実施例(及び/又はその態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。さらに、多くの変更を加えて、発明の範囲から逸脱することなく、特別な状況又は材料を種々の実施例の教示に適用することができる。材料の寸法及びタイプを本明細書に記載したが、それらは様々な実施例のうち幾つかの実施例におけるパラメータを規定するものであり、すべての実施例に限定するつもりではなく、単に例示的なものである。多くの他の実施例は、上述の説明を精査すれば当業者には明らかであろう。したがって、種々の実施例の範囲は、特許請求の範囲、並びに特許請求の範囲に対する均等物の全範囲により決定すべきである。
【0106】
特許請求の範囲において、用語「含んでいる(including)」及び「そこで(in which)」は、対応する「備えている(comprising)」、「において(wherein)」の簡明英語均等物としても使用される。さらに、特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、「第3」、等々は、単なる参照標識として使用されるものであり、その目的における数値的、構造的又は他の必要条件を課すことは意図しない。本明細書記載の用語「に基づく(based on)」の形式は、要素が部分的に基づく関係性、並びに要素が全体的に基づく関係性を包含する。用語「規定された(defined)」の形式は、要素が部分的に基づく関係性、並びに要素が全体的に基づく関係性を包含する。さらに、特許請求の範囲における限定は、手段プラス機能(means-plus-function)形式で書かれたものではなく、このような特許請求の範囲の限定が、更なる構造のない機能記述が後続する語句「~のための手段(means for)」を明示的に使用しない限りかつ使用するまでは、米国特許法第112条第6項に基づいて解釈されることを意図するものではない。上述したこのようなすべての目的又は利点は、必ずしも任意の特別な実施例によって達成できるものではないと理解されたい。したがって、例えば、当業者は、本明細書記載のデバイス、システム及び方法は、本明細書で教示される1つの利点又は利点群が得られる又は最適化するように実現又は実施でき、必ずしも本明細書で教示又は示唆されるような他の目的又は利点を得られる訳ではないことを理解するであろう。
【0107】
本開示は限定数の実施例のみにつき説明したが、本開示はこのような記載された実施例に限定されるものではないことを容易に理解されるであろう。むしろ、本開示は、任意な数の改変物、代替物、置換物又は均等物を組み込む変更することができ、しかし、これらは本開示の精神及び範囲と同等である。加えて、種々の実施例を説明してきたが、本開示の態様は記載した実施例における単に1つ又は幾つかを含むことができる。さらに、幾つかの実施例は所定数の要素を有するものとして説明したが、それら実施例はその所定数の要素より少ない又は多い数でも実施することができると理解されたい。
【0108】
当然のことながら、上述した概念及び以下により詳細に説明する付加的概念のすべての組合せ(このような概念が互いに不一致であるとして)は、本明細書記載の発明要旨の一部と考えられる。とくに、本開示の最後に出現する特許請求の範囲の要旨のすべての組合せは本明細書記載の発明要旨の一部であると考えられる。
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