(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】新型サイド模様を有するタイヤ及びタイヤ金型
(51)【国際特許分類】
B60C 13/00 20060101AFI20220624BHJP
【FI】
B60C13/00 C
B60C13/00 J
(21)【出願番号】P 2020549596
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2018122600
(87)【国際公開番号】W WO2019174347
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-11-25
(31)【優先権主張番号】201810222463.0
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520350144
【氏名又は名称】山東豪邁机機科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】李承霖
(72)【発明者】
【氏名】趙鵬
(72)【発明者】
【氏名】杜平
(72)【発明者】
【氏名】張偉
(72)【発明者】
【氏名】張恭運
(72)【発明者】
【氏名】単既強
(72)【発明者】
【氏名】宮耀宇
(72)【発明者】
【氏名】王欽峰
(72)【発明者】
【氏名】孫日文
(72)【発明者】
【氏名】劉志蘭
(72)【発明者】
【氏名】沈錫良
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-132386(JP,A)
【文献】特表2016-527143(JP,A)
【文献】特開2017-136959(JP,A)
【文献】特開2017-202784(JP,A)
【文献】国際公開第2017/025207(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106799936(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイド部に識別エリアを有するケーシングを備え、当該識別エリア内には、複数のパターンユニットが設けられている新型サイド模様を有するタイヤであって、
前記パターンユニットは、前記ケーシングから突出して設けられており、湾曲区間と、各湾曲区間の両端に設けられている延伸端とを備える湾曲部を備え、複数の湾曲部の延伸端は、湾曲部チェーンを形成するように繋がっており、複数の湾曲部チェーンはずれて配置されており、隣接する二つの湾曲部チェーン同士は、前記湾曲部の長さの1/3~2/3だけずれており、
前記湾曲区間と前記延伸端はどちらも円弧状であり
、
前記湾曲部の長さは1~6mmであり、及び/又は、前記ケーシングから突出する前記パターンユニットの高さは0.1~1mmであり、
前記湾曲部のサイド部表面と前記ケーシングに直交する表面との間に形成される角度θは5°から30°の範囲であり、前記湾曲部の両側の側壁面間の距離Sは上部側から底部に向けて漸次に増大し、前記上部は、平面又は円弧面でもよく、シャープな形状であってもよいことを特徴とする新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項2】
前記延伸端及び/又はその外接円弧は、前記湾曲区間及び/又はその外接円弧よりも、曲率半径が小さいことを特徴とする、請求項1に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項3】
多段線型の延伸端の外接円弧又は円弧形状の延伸端は、多段線型の湾曲区間の外接円弧又は円弧形状の湾曲区間よりも、曲率半径が小さいことを特徴とする、請求項2に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項4】
前記延伸端の湾曲方向は、前記湾曲区間の湾曲方向と一致しないことを特徴とする、請求項2に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項5】
前記湾曲部の長さは、2~4mmであることを特徴とする、請求項1に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項6】
前記湾曲部の長さは、3mmであることを特徴とする、請求項
5に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項7】
各パターンユニットは、左右対称で周期的に繰り返すように配列されていることを特徴とする、請求項1に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項8】
各パターンユニットは、非左右対称構造であることを特徴とする、請求項1に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項9】
前記湾曲区間の複数の線分間の端点が繋がることで形成された角度は、90°~180°であることを特徴とする請求項2に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項10】
隣接する二つの湾曲部チェーン同士は、前記湾曲部の長さの1/2だけずれていることを特徴とする請求項1に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項11】
隣接する二つの湾曲部間の
距離は、当該
距離が最小の位置で、0~0.5mmであることを特徴とする請求項1に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項12】
隣接する湾曲区間と延伸端の間の
距離は、当該
距離が最小の位置で、0~0.5mmであることを特徴とする請求項1に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項13】
前記湾曲部チェーンは、平行となるように配列され、上下方向に続けて配置された二つの前記湾曲部は、互いに整列していることを特徴とする請求項1に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項14】
前記湾曲部チェーンは、円弧状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項15】
前記湾曲部チェーンは、タイヤの中心の周りに円環状に延伸していることを特徴とする請求項1に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項16】
異なる前記湾曲部チェーンにより構成される円環又は円弧の数、又は前記湾曲部の長さは調整可能であることを特徴とする請求項1に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項17】
前記延伸端の半閉の円と前記湾曲区間との間に過渡区間が接続されており、前記半閉の円には、前記湾曲区間への開口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項18】
前記半閉の円の半径は、0.06~0.3mmであることを特徴とする請求項
17に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項19】
前記半閉の円の半径は、0.16mmであることを特徴とする請求項
18に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項20】
一つの延伸端における任意の
二点間の距離は、0.3mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項21】
上下方向に続けて配置された二つの前記湾曲部
の間の距離は、0.5~1.5mmであることを特徴とする請求項1に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項22】
前記湾曲部
の間の空き位置には、柱形部又は分岐部が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項23】
前記湾曲部の側壁には、柱形部又は分岐部が延伸して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の新型サイド模様を有するタイヤ。
【請求項24】
請求項1~23の何れか一項に記載のタイヤの製作に適用されるタイヤ金型であって、前記パターンユニットと合わせる溝構造が設けられているサイド板を備えることを特徴とするタイヤ金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はタイヤ分野に関し、具体的には、新型サイド模様を有するタイヤ及びタイヤ金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤのサイドには、大量のパターン、字体などのマークがある。これらのマークはタイヤ金型により作られるものであり、タイヤ金型の表面には溝構造が設けられており、タイヤの表面に加硫により該当する模様構造が形成される。一般的には、タイヤの加硫金型は金属で製造されるが、タイヤ金型の表面が比較的に綺麗に加工されており、その表面仕上げが高くなる傾向にある。しかしながら、これによって取得された黒色のタイヤの外面が滑らかとなり、当該滑らかな外面により光線が反射されてしまうので、タイヤ表面の外観視覚的な効果が悪くなる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、従来の新型サイド模様を有するタイヤの上記課題を解決するための、新型サイド模様を有するタイヤを提供する。
【0004】
本発明は、従来のタイヤ金型の上記課題を解決するためのタイヤ金型を提供する。
【0005】
本発明の実施例は、以下のようになされるものである。
【0006】
サイド部に識別エリアを有するケーシングを備えており、当該識別エリア内には、複数のパターンユニットが設けられている新型サイド模様を有するタイヤであって、
前記パターンユニットは、前記ケーシングから突出して設けられており、湾曲区間と、湾曲区間の両端に設けられている延伸端とを備える湾曲部を備える。
【0007】
好ましい実施例において、前記湾曲区間は、円弧形状及び/又は多段線型をなしており、前記延伸端は、円弧形状及び/又は多段線型をなしており、
前記延伸端及び/又はその外接円弧は、前記湾曲区間及び/又はその外接円弧よりも、曲率半径が小さくとなり、例えば、多段線型の延伸端の外接円弧又は円弧形状の延伸端は、多段線型の湾曲区間の外接円弧又は円弧形状の湾曲区間よりも、曲率半径が小さくとなり、
前記延伸端の湾曲方向は、前記湾曲区間の湾曲方向と一致しないことが好ましく、
前記湾曲部の長さは、1~6mmであり、2~4mmであることが好ましく、3mmであることがより好ましく、
各パターンユニットは、左右対称で周期的に繰り返すように配列されており、若しくは、各パターンユニットは、非左右対称構造であることが好ましく、
前記湾曲区間の複数の線分間の端点が繋がることで形成された角度は、90°~180°であることが好ましい。
【0008】
好ましい実施例において、複数の前記湾曲部における前記延伸端の間が繋がることにより、一つの湾曲部チェーンが構成されており、複数の湾曲部チェーンは、ずれて配置されており、
隣接する二つの湾曲部チェーン同士は、前記湾曲部の長さの1/3~2/3だけずれており、好ましくは、前記湾曲部の長さの1/2だけずれており、
隣接する二つの湾曲部間は、最小値が0~0.5mmである一定の隙間を持っていることが好ましく、
隣接する前記湾曲区間と前記延伸端とは、0~0.5mmの一定の隙間を持っていることが好ましい。
【0009】
好ましい実施例において、前記湾曲部チェーンは、平行となるように配列され、離れた前記湾曲部は、上下位置が重なっており、
若しくは、湾曲部チェーンは、円弧状に配置されており、好ましくは、湾曲部チェーンは、タイヤの中心を回って円環状に延伸しており、
好ましくは、異なる前記湾曲部により構成される円環又は円弧において、数又は前記湾曲部の長さを調整することにより、前記湾曲部チェーンが端から端まで繋がることが確保される。
【0010】
より好ましい実施例において、前記湾曲部チェーンにおいて、少なくとも隣接する二つの前記湾曲部の延伸端間には、連結部が設けられていることにより、同一の湾曲部チェーンにおいて、少なくとも隣接する二つの前記湾曲部が連結される。
【0011】
好ましい実施例において、前記延伸端は、半閉の円及び過渡区間を備え、前記過渡区間は、前記半閉の円と前記湾曲区間との間に接続されており、前記半閉の円には、前記湾曲区間への開口が設けられており、
前記半閉の円の半径は、0.06~0.3mmであってもよく、0.16mmであることが好ましい。
【0012】
好ましい実施例において、前記延伸端における任意の両点間の距離は、0.3mm以下である。
【0013】
好ましい実施例において、離れた前記湾曲部間の距離は、0.4mmよりも大きく、0.5~1.5mmであることが好ましい。
【0014】
好ましい実施例において、前記湾曲部間の空き位置には、柱形部又は分岐部が充填されており、若しくは湾曲部の側壁には、柱形部又は分岐部が延伸して設けられている。当該柱形部及び分岐部の形状及び/又はサイズを選択することにより、当該柱形部及び分岐部により隣接する二つの湾曲部を連結することができる。
【0015】
上記のタイヤの製作に適用されるタイヤ金型であって、前記パターンユニットと合わせる溝構造が設けられているサイド板を備えることを特徴とするタイヤ金型。
【0016】
本発明において、上記の設計により製作される新型サイド模様を有するタイヤは、少なくとも以下のメリットを有する。
1.当該模様領域により覆わない位置と明らかな視覚コントラストを形成する。
2.湾曲部の湾曲区間の構造により、サイドのパターンの剛性を高めることができ、サイドが圧迫されると突出して変形するため、連続的且つ長い延伸部位置に変形が発生したら、応力が延伸部に集中し、破断が発生することもある。一方、湾曲区間の湾曲構造は、突出による応力を緩和し分散するできる。
3.連続しない湾曲部の間が直接に接続していないため、応力の集中を回避でき、タイヤのサイドのパターンの使用寿命を延長できる。
4.湾曲部の両端の延伸端により、両端の突起での応力が集中する際の破断を回避できる。
本発明において、上記設計により製作されるタイヤ金型により、上記のようなタイヤを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施の形態にかかる技術案をより明確に説明するために、以下、実施の形態に必要な図面を簡単に説明するが、下記の図面が本発明のいくつかの実施の形態のみを示しており、本発明の範囲を限定しないことは理解されるであろう。また、当業者は、創造的労力を払うことなく、これらの図面に応じて他の関連図面を取得することができる。
【
図1】
図1は本発明の実施の形態による、新型サイド模様を有するタイヤの第一種類のパターンユニットの構成概略図である。
【
図2】
図2は本発明の実施の形態による、新型サイド模様を有するタイヤの第一種類のパターンユニットの斜視構成概略図である。
【
図3】
図3は本発明の実施の形態による、新型サイド模様を有するタイヤの第一種類のパターンユニットにより構成された識別エリアの構成概略図である。
【
図6】
図6は
図4のタイヤ模様を製作するタイヤ金型の構成概略図である。
【
図7】
図7は本発明の実施の形態による、新型サイド模様を有するタイヤの第二種類及び第三種類のパターンユニットの構成概略図である。
【
図8】
図8は本発明の実施の形態による、新型サイド模様を有するタイヤの第四種類のユニットパターンの構成概略図である。
【
図9】
図9は本発明の実施の形態による、新型サイド模様を有するタイヤの第四種類のパターンユニットにより構成された識別エリアの構成概略図である。
【
図10】
図10は本発明の実施の形態による、新型サイド模様を有するタイヤの第一種類のパターンユニットにより構成された別の識別エリアの構成概略図である。
【
図11】
図11は本発明の実施の形態による、新型サイド模様を有するタイヤの第一種類のパターンユニットにより構成された識別エリアの構成概略図である。
【
図14】
図14は本発明の実施の形態による、新型サイド模様を有するタイヤの湾曲部における上部の構成概略図である。
【
図15】
図15は本発明の実施の形態による、新型サイド模様を有するタイヤの別の湾曲部における上部の構成概略図である。
【
図16】
図16は本発明の実施の形態による、新型サイド模様を有するタイヤの第六及び第三種類のパターンユニットの構成概略図である。
【符号の説明】
【0018】
101:パターンユニット;102:湾曲部;103:湾曲区間;104:延伸端;105:柱形部;106:分岐部;107:多段線型の湾曲区間の外接円弧;108:多段線型の延伸端の外接円弧;109:連結区間;110:タイヤ金型;111:溝構造。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施の形態における図面に基づいて、本発明の実施の形態にかかる技術案を明確且つ完全に説明するが、説明する実施の形態は本発明の実施の形態の一部であり、すべての実施の形態ではないのは明らかなことである。また、本発明の実施の形態に基づき、当業者が創造的労力を払うことなく取得される他の実施の形態のすべては本発明の保護範囲に含まれる。したがって、以下、図面に係わる本発明の実施の形態に対する詳細な説明は、本願の保護範囲を制限する意図がなく、単に本願の特定の実施の形態を示すものである。
【0020】
本発明の説明において、方向又は位置関係を示す用語は、図面に基づく方向又は位置関係であり、指す要素が必ず特定の方向を有する或いは特定の方向で構成・操作されるのを示す又は暗示するものではなく、本発明の説明を容易にし説明を簡略化するためのものだけであるので、本発明を制限するものとして理解されてはならない。
【0021】
なお、本発明において、特別な規定及び制限がない限り、「繋がり」、「接続」及び「固定」などの用語は広義的に理解されるであろう。例えば、固定接続でもよく、着脱可能な接続でもよく、或いは一体化でもよい。また、機械的接続でもよく、電気的接続でもよい。そして、直接な繋がりでもよく、中間媒体を経由する間接な繋がりでもよく、更に、二つの要素内部の連通、或いは二つの要素同士間の作用関係でもよい。そして、当業者は、具体的な状況に応じて本発明における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0022】
また、明確な規定及び制限がない限り、第一特徴が第二特徴の上又は下にあるとは、第一特徴が第二特徴と直接に接触してもよく、第一特徴と第二特徴とが直接に接触せず両者間の別の特徴を介して接触してもよい。なお、第一特徴が第二特徴の上、上方または上面にあるとは、第一特徴が第二特徴の真上や斜め上方にあってもよく、単に第一特徴の水平高さが第二特徴よりも高いと意味してもよい。第一特徴が第二特徴の下、下方及び下面にあるとは、第一特徴が第二特徴の真下や斜め下方にあってもよく、単に第一特徴の水平高さが第二特徴よりも小さい意味してもよい。
【0023】
実施例1
図1~
図5及び
図7~
図15を参照するように、本実施例は、新型サイド模様を有するタイヤを提供する。
【0024】
このような新型サイド模様を有するタイヤは、サイド部に識別エリアを有するケーシングを備え、当該識別エリア内には、複数のパターンユニット101が上記ケーシングから突出して設けられており、パターンユニット101は、湾曲区間103及び当該湾曲区間103の両端部に設けられた延伸端104を有する湾曲部102を備えている。
【0025】
湾曲区間103は円弧状をなしており、延伸端104も円弧状をなしており、延伸端104の曲率半径は湾曲区間103の曲率半径よりも小さい。或いは、湾曲区間103は多段線型をなしており、複数の線分間の端点が繋がることにより形成された角度は90°~180°となる。或いは、延伸端104は多段線型をなしている。或いは、湾曲区間103と延伸端104とが、それぞれ多段線型構造と弧線型構造との組み合わせをなしている。延伸端104及び/又はその外接円弧の曲率半径は、湾曲区間103及び/又はその外接円弧の曲率半径よりも小さい。延伸端の湾曲方向は、前記湾曲区間の湾曲方向と一致しない。
【0026】
複数の湾曲部102における延伸端104の間が繋がることにより、一つの湾曲部チェーンが構成されており、複数の湾曲部チェーンは、ずれて配置されており、隣接する二つの湾曲部チェーン同士は、前記湾曲部の長さの1/3~2/3だけずれており、好ましくは湾曲部102の長さの1/2だけずれている。
【0027】
湾曲部チェーンは、平行とならないように配列されてもよく、例えば、タイヤの中心を回って円環状に延伸するように円弧状をなして配列されてもよい。異なるターンの湾曲部チェーンにおいて、数又は湾曲部102の長さを調整することにより、端から端まで繋がることを確保することができる。
【0028】
パターンの配列の便宜上、各パターンユニット101は左右対称に形成され、周期的に繰り返すように配列される。もちろん、パターンユニット101は非左右対称の構造であってもよく、必要に応じて湾曲区間103及び延伸端104の直径や長さなどを適当に調整することが可能である。
【0029】
湾曲区間103と延伸端104とはいずれも円弧状をなしており、上下の二つの湾曲部における湾曲区間103と延伸端104は0~0.5mmの範囲にある一定の隙間を持ち、好ましくは、その底部は相接する。隣接する二つの湾曲部102における延伸端104同士は、0~0.5mmの範囲にある一定の隙間を持つ。若しくは、湾曲部チェーンが平行となるように配列されており、離れた湾曲部102は、上下位置が重なっている。若しくは、湾曲部チェーンは、円弧状に配置されており、好ましくは、湾曲部チェーンは、タイヤの中心を回って円環状に延伸する。好ましくは、異なる前記湾曲部チェーンにより構成される円環又は円弧において、数又は前記湾曲部の長さを調整することにより、前記湾曲部チェーンが端から端まで繋がることを確保することができる。上記の隙間とは、湾曲部における一つの箇所から当該湾曲部と隣接する他の湾曲部までの最小距離であり、若しくは、換言すれば、当該箇所から隣接する湾曲部において当該箇所と一番近い箇所までの距離である。
【0030】
延伸端104は、半閉の円弧形状及び過渡区間を備え、前記半閉の円弧形状は、半閉の円形状であることが好ましく、過渡区間は、半閉の円弧形状と湾曲区間103との間に接続されており、半閉の円弧形状には、湾曲区間103への開口が設けられている。若しくは、延伸端104は、半閉の多段線型である。
【0031】
前記延伸端104において、任意の両点間の距離は、0.3mm以下である。延伸端104が半閉の円である場合、前記半閉の円の半径は、0.06~0.3mmであり、0.16mmであることが好ましい。
【0032】
湾曲部102の長さは、1~6mmであり、2~4mmであることが好ましく、3mmであることがより好ましい。及び/又は、ケーシングからのパターンユニット101の高さは、0.1~1mmである。及び/又は、上下離れた湾曲部102間の距離は、0.4mmよりも大きく、0.5~1.5mmであることが好ましい。
【0033】
湾曲部102の側壁面とケーシングに正交する面との間に形成される角度θは、5°乃至30°であり、15°乃至25°の範囲にあることが好ましい。湾曲部の両側の側壁面間の距離Sは、上部側から底部に向けて漸次に増大し、上部は、平面又は円弧面でもよく、シャープな形状を成してもよい。
【0034】
湾曲部102の側壁には、分岐部が延伸して設けられている。若しくは、
図11~13に示すように、湾曲部102間の空き位置には、柱形部105や分岐部106が充填されている。柱形部又は分岐部と、ケーシングに正交する面との間に形成される角度は、5°乃至30°であり、15°乃至25°の範囲にあることが好ましく、柱形部は、円錐又は角錐などの形状であってもよい。
【0035】
柱形部105又は分岐部106が充填されている構造において、当該柱形部105又は分岐部106と、少なくとも一つの隣接する湾曲部102との間にも、0~0.5mmの範囲にある隙間がある。換言すれば、隣接する湾曲部間の隙間が0.5mmよりも大きい場合でも、当該隙間に柱形部105又は分岐部106を充填することにより、実際に形成される隙間の値が0~0.5mmの範囲にあるように制御することができる。
【0036】
図1及び
図3には、第一種類のパターンユニット101が図示されており、パターンユニット101を構成する湾曲部102は、円弧形状の湾曲区間103と、湾曲区間103の両端に設けられている延伸端104とを備え、延伸端104は、半閉の円及び過渡区間を備え、過渡段は、半閉の円と湾曲区間103との間に接続されており、半閉の円には、湾曲区間103への開口が設けられている。複数の湾曲部102における延伸端104間が繋がることにより、一つの直線型の湾曲部チェーンが構成されている。湾曲部102の長さは、1~6mmであり、2~4mmであることが好ましく、3mmであることがより好ましい。
図3には、複数の湾曲部102における延伸端104間が繋がることにより、一つの湾曲部チェーンが構成されており、複数の湾曲部チェーンは、ずれて配置されており、隣接する二つの湾曲部チェーン同士は、湾曲部102の長さの1/2だけずれており、上下離れた湾曲部102間の距離は、0.5~1.5mmであることが図示されている。
【0037】
図4には、隣接する二つの湾曲部102における延伸端104と湾曲区間103との間が0.5mm以下の一定の隙間を持っており、好ましくは、その底部が相接することが図示されている。そして、延伸端104の半閉の円の半径は、0.06~0.3mmであり、図において、0.16mmである。
【0038】
図5には、隣接する二つの湾曲部102における湾曲区間103間が0.5mm以下の一定の隙間を持っていることが図示されている。
【0039】
図7には、第二種類及び第三種類のパターンユニット101が図示されており、パターンユニット101を構成する湾曲部102は、多段線型の湾曲区間103及び/又は円弧形状の湾曲区間103と、湾曲区間103の両端に設けられている延伸端104とを備え、延伸端104は、半閉の円や多段線型及び過渡区間を備える。
【0040】
図8及び
図9には、第四種類のパターンユニット101が図示されており、パターンユニット101を構成する湾曲部102は、多段線型の湾曲区間103と、湾曲区間103の両端に設けられている延伸端104とを備え、延伸端104も、多段線型である。そして、多段線型の湾曲区間の外接円弧108と、多段線型の延伸端の外接円弧109とが図示されており、多段線型の延伸端の外接円弧109は、多段線型の湾曲区間の外接円弧108よりも曲率半径が小さい。同様、
図7又は他の形態のパターンユニット101において、多段線型の延伸端104の外接円弧109又は円弧形状をなしている延伸端104は、多段線型の湾曲区間の外接円弧108又は円弧形状をなしている湾曲区間103よりも、曲率半径が小さい。
【0041】
図11において、隣接する湾曲部102の隙間は、必要に応じて調整でき、また、隣接する湾曲部102間の空き領域には、柱形部又は分岐部が設けられてもよい。
図12及び
図13に示すように、柱形部又は分岐部と、ケーシングに正交する面との間に形成される角度は、5°乃至30°であり、15°乃至25°の範囲にあることが好ましい。さらに、柱形部又は分岐部の形状及び/又はサイズは、実際の需要に応じて選択でき、例えば、隣接する二つの湾曲部を接続するように、柱形部又は分岐部のサイズを選択することができる。
【0042】
図14、15には、湾曲部102の両側の側壁面間の距離Sが上部側から底部に向けて漸次に増大することが図示されており、上部は、平面又は円弧面でもよく、シャープな形状を成してもよい。
【0043】
図16には、第六種類のパターンユニット101が図示されており、湾曲部チェーンにおいて隣接する二つの湾曲部102の延伸端104間には、連結区間109が設けられている。当該連結区間109は、
図16に示すように円弧形状をなしてもよく、直線形状をなしてもよい。こうすると、
図16に示す構成において、パターンユニット101は、接続して延伸する湾曲部チェーンに形成されている。
【0044】
タイヤのサイド部の模様領域において、模様領域(識別エリア)内に形成された各突起に入射する光は、隣接する側壁面に当たる。光は各側壁面間を往復反射することで減衰する。このため、光が模様領域の外部に反射されることはほとんどなく、模様領域が黒色に見えるのに対して、他の領域(文字領域とタイヤのサイド部の残り部分)は白色に見える。これにより、模様領域と他の領域とは、コントラストをなすことになる。模様部分と模様により覆わない領域との外観のコントラストは高める。
【0045】
上記の湾曲部102において、湾曲区間103、延伸端104及び/又は連結区間109の平均幅は、0.03~3mmであってもよく、0.03~0.5mmの範囲にあることが好ましい。
【0046】
この実施例によるタイヤは、従来のタイヤと比べて、少なくとも以下のメリットがある。
1.当該模様領域により覆わない位置と明らかな視覚コントラストを形成する。
2.湾曲部102における湾曲区間103により、サイドのパターンの剛性を高めることができ、サイドが圧迫されると突出して変形するため、連続的且つ長い延伸部に変形が発生したら、応力が延伸部に集中し、破断が発生することもある。一方、湾曲区間103の湾曲構造は、突出による応力を緩和し分散することができる。
3.連続しない湾曲部102の間が直接に接続していないため、応力の集中を回避でき、タイヤのサイドのパターンの使用寿命を延長できる。
4.湾曲部102の両端の延伸端104により、両端の突起での応力が集中する際の破断を回避できる。
【0047】
実施例2
この実施例は、実施例1に関わるタイヤに適用するタイヤ金型110を提供する。
図6に示すように、タイヤ金型110は、パターンユニット101と合わせる溝構造111が設けられているサイド板を備える。
【0048】
金型の識別エリアにより、加硫されたタイヤのサイドに、設計された突起構造を形成することができる。設計された突起構造は、サイドの模様領域又は文字領域を構成する。文字領域には、例えば、滑らかな平面に表示されている「ABCDEFGH」という文字が表示されている。
【0049】
設計された突起構造は、模様ブロック領域に形成されてもよく、文字領域を囲んで形成されてもよく、文字領域のみに形成されてもよい。模様領域をタイヤの径方向の外側に設けることが好ましい。レーザー光を用いて金型の溝構造111を彫刻することができる。
【0050】
上記は、本発明の好ましい実施の形態に過ぎず、本発明を限定するものではなく、当業者にとって、本発明に対して各変更及び変化を行える。本発明の精神及び原則の範囲内において、なされたいかなる修正、同等の置換、改善なども、本発明の保護範囲内に含まれるべきである。