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特許7094409通知システム、通知方法、ならびに、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】通知システム、通知方法、ならびに、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/06 20120101AFI20220624BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20220624BHJP
【FI】
G06Q40/06
G06Q30/02 354
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021038643
(22)【出願日】2021-03-10
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110135
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 裕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100163452
【弁理士】
【氏名又は名称】南郷 邦臣
(74)【代理人】
【識別番号】100180312
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 牧子
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 貴大
(72)【発明者】
【氏名】源 賢司
(72)【発明者】
【氏名】川村 将太
(72)【発明者】
【氏名】穴井 信貴
(72)【発明者】
【氏名】新井 元気
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-160196(JP,A)
【文献】特開2020-30462(JP,A)
【文献】特開2018-92475(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0025212(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0011613(KR,A)
【文献】稲毛 ゆか,”ポイント運用・投資の先駆者、ユーザー30万人達成までの軌跡”,月刊消費者信用,一般社団法人金融財政事情研究会,2018年11月01日,第36巻 第11号,p.52-56,ISSN:0288-8122
【文献】福島 由恵ほか,”ポイント投資で賢く稼ぐ”,お金の増やし方 ,日本,日経BP社,2019年01月12日,p.70-77,ISBN:978-4-296-10125-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1数量のポイントを価値変動対象に対応付けてポイント運用サービスに預託したユーザに対して、前記価値変動対象の投資サービスへの誘導時期を設定する設定部、
前記設定された誘導時期が到来すると、前記ユーザが前記ポイント運用サービスから引出し可能なポイントの第2数量であって、
(p) 前記第1数量と、
(q) 前記第1数量のポイントが預託された預託時点における前記価値変動対象の第1価値と、
(r) 現在時点における前記価値変動対象の第2価値と、
に基づいた第2数量を算定し、前記第1数量に対する前記第2数量の成長度合を算定する算定部、
前記成長度合が誘導閾値を超えて
(a) いれば、前記成長度合により前記ユーザを前記投資サービスへ誘導するための誘導通知を、前記ユーザへ送信し、
(b) いなければ、前記到来した誘導時期における前記誘導通知の送信を抑制する
送信部、
前記成長度合が前記誘導閾値を超えていなければ、前記ユーザに対して、新たな誘導時期を設定し直す更新部
を備えることを特徴とする通知システム。
【請求項2】
前記第1価値は、前記投資サービスにおいて前記価値変動対象を前記預託時点で購入可能な価格に基づいて算定され、
前記第2価値は、前記投資サービスにおいて前記価値変動対象を前記現在時点の売却可能な価格に基づいて算定される
ことを特徴とする請求項1に記載の通知システム。
【請求項3】
前記成長度合は、前記第2数量から前記第1数量を減算した差である評価益であり、
前記誘導閾値は、非負の値である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通知システム。
【請求項4】
前記成長度合は、前記第2数量から前記第1数量を減算した差である評価益の前記第1数量に対する割合である評価益率であり、
前記誘導閾値は、非負の値である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通知システム。
【請求項5】
前記成長度合は、前記第2数量の前記第1数量に対する割合である数量比であり、
前記誘導閾値は、100%以上の値である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通知システム。
【請求項6】
前記設定された誘導時期から前記新たに設定されるべき誘導時期までの期間は、前記成長度合に応じて定められる
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の通知システム。
【請求項7】
前記誘導閾値は、前記ユーザに対して設定され、
前記更新部は、
前記誘導通知が送信された前記ユーザに対する前記誘導閾値を、前記成長度合を超える新たな値に設定し直し、
前記誘導通知を送信してから所定期間を経過しても前記誘導通知が送信された前記ユーザが前記投資サービスに誘導されなければ、前記ユーザに対して、新たな誘導時期を設定し直す、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の通知システム。
【請求項8】
前記更新部は、前記価値変動対象の価値の直近変動が短縮閾値を超えると、前記ユーザに対して設定されている前記誘導時期を、前記現在時点に近付くように設定し直す
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の通知システム。
【請求項9】
前記成長度合と、前記誘導閾値と、の組は、複数の候補から選択されたいずれかが前記ユーザに対して設定され、
前記誘導通知を送信してから所定期間を経過しても前記誘導通知が送信された前記ユーザが前記投資サービスに誘導されなければ、前記ユーザに対して未だ設定されていない候補を、新たな成長度合と、新たな誘導閾値と、の組として設定し直す
ことを特徴とする請求項1に記載の通知システム。
【請求項10】
前記ユーザは、複数回、ポイントを前記ポイント運用サービスに預託することができ、
前記成長度合は、前記第2数量の総量であり、
前記誘導閾値は、定数、もしくは、前記ユーザにより初めて前記ポイント運用サービスにポイントが預託されたときの前記第1数量に基づいて定められる値である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通知システム。
【請求項11】
通知システムが実行する通知方法であって、
第1数量のポイントを価値変動対象に対応付けてポイント運用サービスに預託したユーザに対して、前記価値変動対象の投資サービスへの誘導時期を設定する設定工程、
前記設定された誘導時期が到来すると、前記ユーザが前記ポイント運用サービスから引出し可能なポイントの第2数量であって、
(p) 前記第1数量と、
(q) 前記第1数量のポイントが預託された預託時点における前記価値変動対象の第1価値と、
(r) 現在時点における前記価値変動対象の第2価値と、
に基づいた第2数量を算定し、前記第1数量に対する前記第2数量の成長度合を算定する算定工程、
前記成長度合が誘導閾値を超えて
(a) いれば、前記成長度合により前記ユーザを前記投資サービスへ誘導するための誘導通知を、前記ユーザへ送信し、
(b) いなければ、前記到来した誘導時期における前記誘導通知の送信を抑制する
送信工程、
前記成長度合が前記誘導閾値を超えていなければ、前記ユーザに対して、新たな誘導時期を設定し直す更新工程
を備えることを特徴とする通知方法。
【請求項12】
コンピュータを、
第1数量のポイントを価値変動対象に対応付けてポイント運用サービスに預託したユーザに対して、前記価値変動対象の投資サービスへの誘導時期を設定する設定部、
前記設定された誘導時期が到来すると、前記ユーザが前記ポイント運用サービスから引出し可能なポイントの第2数量であって、
(p) 前記第1数量と、
(q) 前記第1数量のポイントが預託された預託時点における前記価値変動対象の第1価値と、
(r) 現在時点における前記価値変動対象の第2価値と、
に基づいた第2数量を算定し、前記第1数量に対する前記第2数量の成長度合を算定する算定部、
前記成長度合が誘導閾値を超えて
(a) いれば、前記成長度合により前記ユーザを前記投資サービスへ誘導するための誘導通知を、前記ユーザへ送信し、
(b) いなければ、前記到来した誘導時期における前記誘導通知の送信を抑制する
送信部、
前記成長度合が前記誘導閾値を超えていなければ、前記ユーザに対して、新たな誘導時期を設定し直す更新部
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポイント運用サービスを利用しているユーザを投資サービスへ誘導する通知システム、通知方法、ならびに、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
買い物の特典等として付与されたポイントをユーザが預託(deposit)すると、当該ユーザが預託しているポイントの数量を、時間の経過とともに価値が変動する対象(以下「価値変動対象」という。)の価値に連動させて増減させ、当該ユーザが好きな時点でポイントを引き出して(withdraw)、買い物の支払に充当したり、商品と交換したりできるポイント運用サービスが提供されている。
【0003】
たとえば特許文献1、特許文献2に開示されるように、価値変動対象としては、株式、株価指数、為替、投資信託、暗号資産(仮想通貨)等、種々のものが考えられる。
【0004】
また、これらの価値変動対象に対する投資をする投資サービスが、ポイント運用サービスとは別に提供されている。
【0005】
一般に投資サービスでは、金員を介して投資を行うため、マネーロンダリング対策や投資家保護の観点から、法令上の制約が多い。したがって、ユーザが投資サービスを利用するにあたっては、本人確認等の厳格な手続が必要となる。
【0006】
一方、ポイント運用サービスで価値が増減されるのは、いわゆる金員ではなく、特定のポイント事業者によって管理され、用途が限定されたポイントであるので、法律上の投資とは異なる。したがって、投資サービスに見られるような制約は、ポイント運用サービスには適用されないか、制約が緩和されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6042011号公報
【文献】特許第6357521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、投資サービスの利用を開始するためには、ユーザもサービス提供者も厳格な手続をする必要があるため、手間や時間がかかる。したがって、ユーザを投資サービスに誘導するには、ユーザに強い動機を与えて、離脱率を下げる必要がある。
【0009】
そこで、ポイント運用サービスのユーザを、これと同じ価値変動対象に係る投資サービスに誘導するために、ユーザに強い動機を与える技術が望まれている。
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するもので、ポイント運用サービスを利用しているユーザを投資サービスへ誘導する際の誘導の効果を高めるのに好適な通知システム、通知方法、ならびに、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明に係る通知システムは、
第1数量のポイントを価値変動対象に対応付けてポイント運用サービスに預託したユーザに対して、前記価値変動対象の投資サービスへの誘導時期を設定し、
前記設定された誘導時期が到来すると、前記ユーザが前記ポイント運用サービスから引出し可能なポイントの第2数量であって、
(p) 前記第1数量と、
(q) 前記第1数量のポイントが預託された預託時点における前記価値変動対象の第1価値と、
(r) 現在時点における前記価値変動対象の第2価値と、
に基づいた第2数量を算定し、前記第1数量に対する前記第2数量の成長度合を算定し、
前記成長度合が誘導閾値を超えて
(a) いれば、前記成長度合により前記ユーザを前記投資サービスへ誘導するための誘導通知を、前記ユーザへ送信し、
(b) いなければ、前記到来した誘導時期における前記誘導通知の送信を抑制し、
前記成長度合が前記誘導閾値を超えていなければ、前記ユーザに対して、新たな誘導時期を設定し直す
ように構成する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ポイント運用サービスを利用しているユーザを投資サービスへ誘導する際の誘導の効果を高めるのに好適な通知システム、通知方法、ならびに、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】通知システムの各部の関係を示す説明図である。
図2】端末におけるホーム画面の表示例を示す説明図である。
図3】端末においてホーム画面にて通知がされたときの表示例を示す説明図である。
図4】端末においてユーザが通知を選択してSMSアプリが起動した際の表示例を示す説明図である。
図5】端末においてユーザがSMSメッセージから短縮URLを選択してブラウザアプリが起動した際の表示例を示す説明図である。
図6】通知システムにおいて、サーバが実行する設定処理の制御の流れを示すフローチャートである。
図7】通知システムにおいて、サーバが実行する通知処理の制御の流れを示すフローチャートである。
図8】通知システムにおいて、サーバが実行する通知処理の制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態を説明する。なお、本実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0015】
(通知システムの構成)
本実施例に係る通知システムは、ポイント運用システムと連携し、もしくは、ポイント運用システムの一部として機能し、ポイント運用システムを利用しているユーザへ通知を行う。ここで、通知は、ユーザが使用するスマートフォン等の端末で動作するアプリ(App)へのAppプッシュ通知、ユーザが使用するブラウザへのWebプッシュ通知、電子メールの送付、SMSを用いたショートメッセージの送付、電話、テキストチャットシステム、ビデオチャットシステム等における伝言機能の利用等、種々の態様を採用することができる。
【0016】
また、本実施例に係る通知システムは、ポイント運用システムよりも本格的な資産形成を狙うための投資システムとも連携する。ポイント運用システムと投資システムは、同じ価値変動対象の価値を参照しており、価値の変動に基づいて、前者ではユーザが預託したポイントが、後者ではユーザが投資した金員が、それぞれ増減することになる。
【0017】
本実施例に係る通知システムが1台のサーバにより構成される場合、当該サーバは、サーバプログラムをサーバコンピュータに実行させることにより実現するのが一般的であるが、専用電子回路によりサーバの処理を実行させることも可能である。
【0018】
このほか、コンピュータと専用電子回路の中間形態として、プログラムを電子回路の設計スクリプトにコンパイルして、当該設計スクリプトに基いて電子回路を動的に構成するFPGA(Field Programmable Gate Array)などの技術を適用することにより、本実施例のサーバを構成することも可能である。
【0019】
一般に、サーバコンピュータで実行されるプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な非一時的(non-transitory)情報記録媒体に記録することができる。この情報記録媒体は、サーバコンピュータとは独立して配布・販売することもできる。
【0020】
サーバコンピュータでは、フラッシュメモリやハードディスク等の非一時的(non-transitory)情報記録媒体に記録されたプログラムを、一時的(temporary)記憶装置であるRAM(Random Access Memory)に読み出してから、読み出されたプログラムに含まれる指令をCPU(Central Processing Unit)が実行する。ただし、ROMとRAMを一つのメモリ空間にマッピングして実行することが可能なアーキテクチャでは、ROMに格納されたプログラムに含まれる指令を、直接CPUが読み出して実行する。
【0021】
さらに、サーバプログラムは、当該プログラムが実行されるサーバコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網等の一時的(transitory)伝送媒体を介して、事業者が管理する配布サーバ等からサーバコンピュータへ配布・販売することができる。
【0022】
以下では、本実施形態に係る通知システムが1台のサーバにより構成される例をとりあげて説明するが、各機能ごとに複数のサーバを用意し、これらが連携協働することによって、通知システムを構成することとしても良い。
【0023】
(全体構成)
図1は、通知システムの各部の関係を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0024】
本図に示す通知システム101は、設定部111、算定部112、送信部113、更新部114を備える。上記のように、これらの各部は、サーバコンピュータがサーバプログラムを実行することによって実現することができる。
【0025】
ここで、設定部111は、第1数量のポイントを価値変動対象に対応付けてポイント運用サービスに預託したユーザに対して、価値変動対象の投資サービスへの誘導時期を設定する。
【0026】
すなわち、本実施例では、ポイント運用サービスを利用するユーザ毎に、誘導時期が設定される。本実施例では、誘導時期をデータベース115で管理する。データベース115は、サーバコンピュータ内に用意しても良いし、他のコンピュータ内に用意して、コンピュータ通信網経由でアクセスできるようにしても良い。
【0027】
また、誘導時期として、「ありえないほど未来の時期」(たとえば、西暦9999年12月31日)等の番兵値(sentinel value)設定することで、実質的に、「そのユーザに誘導をする予定がない」ことを示すことができる。
【0028】
なお、ユーザがポイントを毎月積み立てる形式でポイント運用サービスを利用している場合など、1人のユーザについて複数回、ポイントが預託されている場合(預託した時期や預託した数量が異なる)の態様については、後述する。
【0029】
一方、算定部112は、設定された誘導時期が到来すると、ユーザがポイント運用サービスから引出し可能なポイントの第2数量であって、
(p) 第1数量と、
(q) 第1数量のポイントが預託された預託時点における価値変動対象の第1価値と、
(r) 現在時点における価値変動対象の第2価値と、
に基づいた第2数量を算定し、第1数量に対する第2数量の成長度合を算定する。
【0030】
本実施例のポイント運用サービスでは、預託時点で第1数量のポイントによって価値変動対象を購入するのではなく、第1数量と、預託時期の価値変動対象の第1価値と、を記録する。
【0031】
そして、現在時点においてユーザが引き出せるポイントの総量を、ポイントの現在時点における価値変動対象の第2価値を参照して、
第2数量 = 第1数量×第2価値/第1価値
のように、必要な時期に都度計算する。
【0032】
ただし、この換算に必要な十分な精度を確保するのであれば、第1数量と第1価値を記録するかわりに、第1数量を第1価値で除算した値(預託時点で第1数量のポイントを支払って価値変動対象を購入すると仮定した場合に、入手できる価値変動対象の数量に相当する。)を記録しておき、第2数量は、この記録された値に第2価値を乗算するだけで算定することとしても良い。
【0033】
第1数量に第1価値を乗じた値は、投資サービスでいえば、「簿価」に相当し、第2数量は、投資サービスでいえば、「時価」に相当することになる。
【0034】
なお、ポイントを充当できる投資サービスにおいては、ポイントにより投資を行った時点で、当該投資されたポイントに相当する金員により価値変動対象を購入することで、ユーザは、簿価相当の価格変動対象を所有することとなる。
【0035】
また、現在の時価は、ユーザが所有する価格変動対象を売却すると仮定した際に得られる金員の額となる。
【0036】
このように考えると、第1価値としては、投資サービスにおいてユーザが第三者から価値変動対象の一単位を買うことが可能な最良価格(第三者から見た際の売値・売り気配値・アスク)を採用し、第2価値としては、投資サービスにおいてユーザが第三者へ価値変動対象の一単位を売却することが可能な最良価格(第三者から見た際の買値・買い気配値・ビッド)を採用することができる。
【0037】
投資サービスが、ユーザとサービス提供者の相対取引を想定する場合(たとえば、FXや暗号資産販売所等の差金決済取引等。)、これらの価格は、サービス提供者が設定し、スプレッドの幅だけ異なる価格となる。
【0038】
投資サービスが、板取引などを前提とするユーザ同士の競争売買取引・セリ売買取引を想定する場合(たとえば、FXや暗号資産販売所等の差金決済取引等。)、買値と売値は、その時点でのビッドとアスクに相当するものとなり、やはり異なる価格となる。
【0039】
一般的な投資において、ユーザが価値変動対象を購入した直後に売却すると、買値と売値の差額に相当する額だけ、ユーザの所有する金員が減ることになる。したがって、ユーザがある金員(簿価)分だけ価値変動対象を購入した直後に、自身が所有する価値変動対象の価値(時価)を見た場合には、あたかも、ユーザの財産が減っているかのような印象を与えることになる。
【0040】
これは、ポイント運用サービスでも同様であり、第1数量のポイントを預託した時点で、直ちに、引出し可能なポイントの第2数量を調べると、第1数量よりも小さくなってしまうかのように見える。
【0041】
そこで、ポイント運用サービスにおいて、ユーザの財産が減っているかのような印象を与えないため、預託直後は、第2数量のかわりに第1数量をそのままユーザに提示するとともに、預託時点から一定の時間(期間)が経過するまでは、ポイントの引き出しをできないこととすることができる。
【0042】
さて、本実施形態においては、ユーザを、ポイント運用サービスから、より本格的な投資サービスへ誘導することを目的とする。ここで、誘導の効果を高くするためには、ユーザの財産が増えているとの印象を与えることが重要である。そこで、本実施形態では、成長度合という概念を導入する。
【0043】
成長度合とは、第1数量から見て第2数量がどの程度成長しているか、を表す指標である。たとえば、以下のような指標を採用することができる。
【0044】
(1)第2数量から第1数量を減算した差、すなわち評価益。評価益が正であれば、ユーザから預託されたポイントは増えたことになる。
【0045】
(2)第1数量に対する評価益の割合、すなわち評価益率。これは、日常生活においても「+10%の成長率」などのような表現で利用される指標である。評価益率が正であれば、ユーザから預託されたポイントは増えたことになる。
【0046】
(3)第2数量の第1数量に対する割合である数量比。数量比が比率1、すなわち100%を超えていれば、ユーザから預託されたポイントは増えたことになる。
【0047】
ここで、ユーザがポイントをポイント運用サービスに預託した時点から見て、ユーザが引き出し可能なポイント数が増えていれば、ユーザの投資に対する好感度は上昇すると考えられ、ユーザを投資サービスに誘導した際にも、その効果が高いと考えられる。
【0048】
そこで、本実施形態では、ユーザへの誘導時期が到来することによって算定された成長度合と、誘導閾値と呼ばれるパラメータを参照して、誘導を行うか否かを決める。この誘導閾値も、誘導時期と同様に、各種のデータベース115に保存される。
【0049】
すなわち、送信部113は、成長度合が誘導閾値を超えて
(a) いれば、成長度合によりユーザを投資サービスへ誘導するための誘導通知を、ユーザが所有する端末へ送信し、
(b) いなければ、到来した誘導時期におけるユーザが所有する端末への誘導通知の送信を抑制する。
【0050】
上記の種々の成長度合に応じた誘導閾値は、たとえば以下のように定められる。
【0051】
(1) 評価益を成長度合とする場合、誘導閾値は、非負の値であり、たとえば0である。
【0052】
(2) 評価益率を成長度合とする場合、誘導閾値は、非負の値であり、たとえば0である。
【0053】
(3) 数量比を成長度合とする場合、誘導閾値は、比1(100%)以上の値であり、たとえば比1(100%)である。
【0054】
誘導閾値は、定数でも良いし、後述するように、ユーザの行動に応じて適宜変更することとしても良い。
【0055】
なお、端末への誘導通知は、上記のように、Appプッシュ通知、Webプッシュ通知、電子メール、SMS、電話、テキストチャットシステムやビデオチャットシステムの伝言機能など、種々の対応が考えられる。
【0056】
図2は、端末におけるホーム画面の表示例を示す説明図である。本図に示すように、ユーザの端末であるスマートフォン201のタッチスクリーン202には、各種のアプリに紐付けられるアイコン203が整列されたホーム画面204が表示されている。
【0057】
ここで、ユーザの端末へSMSによって誘導通知が送信された例を考える。図3は、端末においてホーム画面にて通知がされたときの表示例を示す説明図である。本図に示すように、スマートフォン201のタッチスクリーン202には、ホーム画面204内に整列されたアイコン203の一部を隠すように、通知205がポップアップ表示されている。
【0058】
通知205内には、成長度合として「3.2%」が示されており、投資サービス申込のための短縮URL(Universal Resource Locator)「https://xx.yy/zz」が表示されている。
【0059】
ユーザが通知をタップすると、SMSサービスのためのアプリが起動する。図4は、端末においてユーザが通知を選択してSMSアプリが起動した際の表示例を示す説明図である。本図に示すように、スマートフォン201のタッチスクリーン202には、起動したSMSアプリ206が表示され、通知205と同じ内容のメッセージ207が表示されている。
【0060】
ユーザがメッセージ207内の短縮URLをタップすると、ブラウザアプリが起動する。図5は、端末においてユーザがSMSメッセージから短縮URLを選択してブラウザアプリが起動した際の表示例を示す説明図である。本図に示すように、スマートフォン201のタッチスクリーン202には、起動したブラウザアプリ208が表示され、ブラウザアプリ208内では、投資サービスへのユーザ登録を促す広告ページ209が表示されている。また、この広告ページ209のURLは、短縮URL「https://xx.yy/zz」からリダイレクトされて展開されたターゲットURL「https://pp.qq.rr.com/campaign/」となっている。
【0061】
広告ページ209内には、ユーザがポイント運用サービスで獲得した成長度合「3.2%」が記載されている。また、広告ページ209内には、ポイント運用サービスにてユーザが引出し可能なポイントの数量(第2数量)が「4328pt」であり、このポイントが、投資サービスにおいてそのまま投資資金として充当できる旨も記載されている。
【0062】
また、広告ページ209内には、投資サービスへのユーザ登録に必要な処理を開始するための申込リンク210が配置されている。
【0063】
ユーザが申込リンク210を選択すると、投資サービスへのユーザ登録申込フォームが表示され、ユーザは、金員を介した本格的な投資サービスに必要な種々の個人情報を入力するよう求められることになる。
【0064】
また、ここで、送信される誘導通知は、ユーザを投資サービスへ誘導するための広告ページ等に対応付けられた短縮URLが指定されており、ユーザがこれを直接あるいは間接的に選択することで、端末のブラウザが当該広告ページを表示するように構成されていることになる。
【0065】
なお、端末の設定によっては、通知205内の短縮URLを直接選択すると、SMSアプリ206を介さず直ちにブラウザアプリ208が起動して広告ページ209が表示されるように構成することも可能である。
【0066】
また、成長度合は、誘導通知そのものに含めず、ユーザに応じて構成される広告ページに埋め込んでユーザに提示することとしても良いし、ユーザが誘導通知に含まれる短縮URL等を選択する傾向を高めるために、上記の例のように、誘導通知そのものに成長度合を記載することとしても良い。
【0067】
さて、更新部114は、成長度合が誘導閾値を超えていなければ、ユーザに対して、新たな誘導時期を設定し直す。
【0068】
ここで、設定された誘導時期から新たに設定されるべき誘導時期までの期間は、前回の誘導時期を定めるために利用した期間をそのまま定数として採用しても良いし、算定された成長度合に応じて定めることとしても良い。
【0069】
たとえば、成長度合が低ければ低いほど、すなわち、誘導閾値から成長度合を減算したギャップが大きければ大きいほど(たとえば、ギャップに比例するように)、次の誘導時期までの期間を長くする、等の手法が考えられる。
【0070】
ここで、成長度合が誘導閾値を超えており、ユーザに対して誘導通知を行った場合には、更新部114は、そのユーザに対して設定される誘導時期を番兵値(上述の「ありえないほど未来の時期」を表す値。)に設定し直せば、以降の誘導通知の送信は抑制され続けることになる。
【0071】
上記のように、誘導閾値は、0や1(100%)などの定数とすることも可能であるが、ユーザの行動に応じてユーザ毎に設定されるように構成することも可能である。
【0072】
この態様では、更新部114は、
誘導通知が送信されたユーザに対する誘導閾値を、成長度合を超える新たな値に設定し直し、
誘導通知を送信してから所定期間を経過しても誘導通知が送信されたユーザが投資サービスに誘導されなければ、ユーザに対して、新たな誘導時期を設定し直す。
【0073】
たとえば、値「成長度合-誘導閾値」は、ユーザに対する誘導通知の「刺激」の大きさを意味するから、正の定数αを利用して、
成長度合 + (成長度合-誘導閾値)×α
を新たな誘導閾値とする、等の手法が考えられる。
【0074】
誘導通知を送信した直後は、上述のように、新たな誘導時期は設定されていない(ありえないほど未来の時期を表す番兵値が設定されている)ことになる。
【0075】
本実施形態では、誘導通知を送信してからたとえば数日程度の期間を経過しても誘導通知が送信されたユーザが投資サービスに誘導されなければ、近い将来にまた誘導通知を送信すべく、ユーザに対して、新たな誘導時期を設定し直す。
【0076】
ここで設定される新たな誘導時期と現在時点との間の期間は、誘導通知を送信しなかった場合の期間と同様に、種々の方式により定めることができる。
【0077】
さて、近い将来にユーザに誘導通知を送信すべく設定された誘導時期は、一旦設定された後は、その誘導時期が到来するまで変更されないように構成することが最も単純である。
【0078】
一方で、価値変動対象の価値が大きく変動した場合には、誘導時期を調整することも可能である。
【0079】
たとえば、価値変動対象の価値の直近変動が短縮閾値を超えると、更新部114は、ユーザに対して設定されている誘導時期を、現在時点に近付くように設定し直すこととしても良い。
【0080】
誘導時期の近付け方は、あらかじめ定めた定数時間や日数だけ減らすのが最も単純である。また、現在時点と誘導時期との期間を、1に近い1未満の定数倍することで、誘導時期を現在時点に近付けても良い。
【0081】
短縮閾値としては、正の定数を採用しても良い。また、価値変動対象のボリンジャーバンドを描くための標準偏差σを利用して、アッパーバンド1(+1σ)、アッパーバンド2(+2σ)、あるいは、その中間の+1.5σ等を、短縮閾値として採用することもできる。
【0082】
(設定処理)
図6は、通知システムにおいて、サーバが実行する設定処理の制御の流れを示すフローチャートである。以下本図を参照して説明する。
【0083】
本処理は、ユーザがポイント運用サービスにポイントを預託したことを契機に開始される。
【0084】
まず、通知システム101は、ユーザによる預託に係る情報を取得する(ステップS251)。ここで取得される情報は、少なくとも、ユーザを識別するためのユーザID、および、ポイント運用サービスに預託されたポイントの数量(第1数量)を含む。
【0085】
次に、通知システム101は、価値変動対象の預託時点における価値(第1価値)を取得する(ステップS252)。
【0086】
ここで取得される第1価値は、投資サービスを提供する投資サーバへの問い合わせを直接行ってリアルタイムで取得しても良いし、投資サーバがウェブ配信やストリーミング配信をしている価値変動対象の価値情報から取得しても良いし、定期的なバッチ処理等で投資サーバから取得されたものを参照しても良い。
【0087】
第1価値は、ユーザが預託時点で価値変動対象を購入すると仮定した場合の、価値変動対象の所定単位あたりの価格(単価)に相当する。
【0088】
そして、通知システム101は、ユーザに対して誘導期間を定める(ステップS253)。誘導期間は、ユーザ全体に共通する既定値の固定長としても良いし、各ユーザの行動履歴等に応じて長短を調整して、ユーザ毎に異なるものとしても良い。
【0089】
ついで、通知システム101は、現在時点から誘導期間だけ経過した誘導時期を計算する(ステップS254)。
【0090】
さらに、通知システム101は、当該ユーザに対する誘導閾値を定める(ステップS255)。ここで定められる誘導閾値は、実施形態にて採用される成長度合の種類に応じて定められる定数とすることができる。
【0091】
最後に、通知システム101は、ユーザIDと、第1数量と、第1価値と、誘導時点と、誘導閾値と、を対応付けた通知レコードを通知データベースに記録し(ステップS256)、本処理を終了する。
【0092】
(通知処理)
図7および図8は、通知システムにおいて、サーバが実行する通知処理の制御の流れを示すフローチャートである。以下、これらの図を参照して説明する。
【0093】
本処理が開始されると、通知システム101は、価値変動対象の現在時点における価値(第2価値)を取得する(ステップS300)。第2価値は、第1価値と同様に、投資サーバから取得することができる。
【0094】
ついで、通知システム101は、通知データベースから、誘導時期が現在時点以前である通知レコードを検索する(ステップS301)。
【0095】
そして、検索結果の通知レコードのそれぞれについて、以下の処理を繰り返す(ステップS302)。
【0096】
まず、通知システム101は、当該通知レコードに含まれる第1数量および第1価値と、投資サーバから取得された第2価値と、に基づいて、第2数量を算定する(ステップS303)。
【0097】
ついで、通知システム101は、当該通知レコードに含まれる第1数量と、算定された第2数量と、に基づいて、成長度合を算定する(ステップS304)。
【0098】
そして、通知システム101は、算定された成長度合と、当該通知レコードに含まれる誘導閾値と、を比較して、成長度合が誘導閾値を超えていれば(ステップS305;Yes)、当該成長度合に基く誘導通知を生成する(ステップS306)。
【0099】
次に、通知システム101は、当該通知レコードに含まれるユーザIDに基づいて、通知設定が格納された設定データベース等を参照して、通知の宛先ならびに手法を取得する(ステップS307)。
【0100】
ついで、通知システム101は、取得された手法で、取得された宛先へ、誘導通知を送信する(ステップS308)。
【0101】
さらに、通知システム101は、通知データベースにおいて当該通知レコードの誘導時期を、番兵値に更新する(ステップS309)。
【0102】
そして、通知システム101は、誘導通知を送信したユーザのユーザIDと、現在時点(送信時点)と、を対応付けた送信レコードを、送信データベースに記録し(ステップS310)、ステップS321に進む。
【0103】
一方、成長度合が誘導閾値を超えていなければ(ステップS305;No)、通知システム101は、当該ユーザに対する新たな誘導期間を定める(ステップS311)。
【0104】
そして、通知システム101は、現在時点から新たな誘導期間だけ経過した新たな誘導時期を計算する(ステップS312)。
【0105】
次に、通知システム101は、通知データベースにおいて、当該通知レコードに係る誘導時期を、新たな誘導時期に更新し(ステップS313)、ステップS321に進む。
【0106】
ステップS303-S313の処理を検索結果の各通知レコードについて繰り返したら(ステップS321)、通知データベースに記録される各通知レコードの誘導時期は、現在時点よりも後になるはずである。
【0107】
繰り返し(ステップS303-S321)が終わった後、通知システム101は、送信データベースから、送信時点から所定期間が既に経過している送信レコードを検索する(ステップS331)。
【0108】
そして、通知システム101は、検索された各レコードについて以下の処理を繰り返す(ステップS332)。
【0109】
すなわち、通知システム101は、各レコードに含まれるユーザIDのユーザが、誘導通知を介して投資サービスに誘導されたか否かを調べる(ステップS333)。投資サービスに誘導されたか否か、は、たとえば、当該ユーザIDを有するユーザが投資サービスを利用しているか否か、を投資サーバに問い合わせることで判断することができる。
【0110】
ユーザが投資サービスに誘導されていなければ(ステップS333;No)、通知システム101は、当該ユーザIDを有するユーザに対する新たな誘導期間を定め(ステップS334)、現在時点から新たな誘導期間だけ経過した新たな誘導時期を計算する(ステップS335)。
【0111】
そして、通知システム101は、通知データベースにおいて当該ユーザIDに係る各通知レコードの誘導時期を、ステップS335で計算された新たな誘導時期に更新して(ステップS336)、ステップS340に進む。
【0112】
一方、ユーザが投資サービスに誘導されていれば(ステップS333;Yes)、通知システム101は、処理をステップS340に進める。
【0113】
ステップS332-336の処理を繰り返したら(ステップS340)、通知システム101は、送信データベースから、ステップS331にて検索結果となった送信レコード、すなわち、ステップS332-S336の繰り返しで吟味されたレコードを削除する(ステップS341)。
【0114】
これにより、送信データベースには、現在時点より後で、誘導通知が効を奏したか否かを判定するためのレコードのみが残ることになる。
【0115】
この後、通知システム101は、必要に応じて適切な時間待機してから(ステップS350)、処理をステップS300に戻す。
【0116】
これらの処理を実行することで、通知システム101は、ポイント運用サービスのユーザを効果的に投資サービスに誘導することができるようになる。
【0117】
なお、本図では図示を省略しているが、ステップS350の後、通知システム101は、価値変動対象の価値の直近変動を取得し、これを短縮閾値と比較して、これが短縮閾値と比較して、超えていれば、通知データベースに格納されている各レコードの誘導時期を、現在時点に近付くように設定し直す処理を実行してから、ステップS300に戻るように構成することもできる。
【0118】
直近変動が短縮閾値を超えたか否かは、ステップS300で取得された価値変動対象の価値の履歴を元に判定しても良いし、投資サーバに対して、直近で価値変動対象の価値がアッパーバンド1や等をアッパーバンド2等を超えることがあったか否かを問い合わせることによって判定しても良い。
【0119】
(複数回の預託)
ポイント運用サービスにおいては、月に1回などの周期で、たまったポイントを運用に自動的に回すような、積立の設定がされていることもある。このような場合には、同じユーザIDについて、異なる預託時点、異なる第1数量のレコードが複数、通知データベースに格納されることになる。
【0120】
このような場合には、各レコードを別個の存在として取り扱っても良い。すなわち、各預託について、たとえば「○年○月○日に預託したポイントが○%増加」した旨を示す誘導通知が、ユーザへ個別に送信されることになる。
【0121】
一方、1つのユーザIDについて通知データベースに格納されるレコードは1つだけ、とすることも可能である。
【0122】
この態様では、ある預託がされると、当該預託に係るユーザIDのレコードを通知データベースにて検索し、見つからなければ、上記フローチャートと同様に当該預託に係るレコードを通知データベースに登録する。
【0123】
一方、見つかった場合には、
既存のレコードの第1数量に、今回の預託の第1数量を加算した数量を、新たな第1数量とし、
既存のレコードの第1数量および第1価値と、今回の預託の第1数量および第1価値と、の重み付き平均を新たな第1価値として上書きする
ことによって、価値変動対象の平均価値を、各々の預託時期および預託数量に応じて記録することができるようになる。
【0124】
この態様では、預託した総ポイント数が運用によってどれだけ成長したか、すなわち、「これまでに預託した総ポイントが□%増加」した旨等を示す誘導通知が送られることになる。
【0125】
また、2つにデータベースのテーブルを分離して管理することも可能である。たとえば、第1テーブルでは、ユーザIDと、誘導時期と、を対応付けるレコードを格納し、第2テーブルでは、ユーザIDと、預託したポイントの数量と、預託時期における価値変動対象の価値と、を対応付けるレコードを格納しても良い。
【0126】
この場合には、ユーザが過去に預託した履歴をすべて追跡することができるので、総ポイントの成長度合を誘導通知に示したり、各預託のうち最も成長度合が高いものを誘導通知に示したり、等、ユーザを投資サービスに誘導するために効果を奏するような成績の良い情報を、誘導通知に示すことができるようになる。
【0127】
本態様と組み合わせる成長度合の一例として、一律に、あるいは、ユーザ毎に定められた積立目標数量を定め、これまでの預託の現時点における第2数量の総量(ユーザが持つ預託ポイントの時価総額に相当する。)が積立目標数量以上となったか否かによって通知をするか否かを決める態様もありうる。すなわち、現在時点における各預託の第2数量の総量が、成長度合として機能し、積立目標数量が、誘導閾値として機能することになる。
【0128】
この手法では、誘導閾値として機能する積立目標数量は、全ユーザについて共通する定数値としても良いし、ユーザが初めて預託をした際の第1数量に応じて定めても良い。
【0129】
なお、この手法は、積立ではなく、1回の預託についても適用することができる。すなわち、成長度合として、第2数量を採用し、誘導閾値として、定数、もしくは、初めて預託がされたときの第1数量に基いて定められる値を採用する。
【0130】
このほか、積立の態様では、成長度合として、初めて預託をしてからの経過期間を採用し、誘導閾値として、ある一定の期間を採用することとしてもよい。
【0131】
積立の態様においても、通知に対するユーザからの反応がなければ、誘導閾値を更新することで、適切なタイミングでユーザを投資サービスに誘導することが可能である。
【0132】
(成長度合と誘導閾値の組が複数)
上記のように、成長度合の算定手法には、種々のやり方が考えられる。そこで、ある算定手法により誘導通知を送信し、誘導閾値を更新した後に、当該誘導通知が効を奏しなかった場合には、別の算定手法を採用する、などの態様を採用することができる。
【0133】
たとえば、このやり方では、算定手法の一つにより得られた評価益を示す誘導通知で効果が得られなかった後は、他の算定手法により得られた評価益率を示す誘導通知で再度誘導を試みる、等、ユーザに訴求する成長度合を、種々試行することができるようになる。
【0134】
(まとめ)
以上説明したように、本実施形態に係る通知システムは、
第1数量のポイントを価値変動対象に対応付けてポイント運用サービスに預託したユーザに対して、前記価値変動対象の投資サービスへの誘導時期を設定する設定部、
前記設定された誘導時期が到来すると、前記ユーザが前記ポイント運用サービスから引出し可能なポイントの第2数量であって、
(p) 前記第1数量と、
(q) 前記第1数量のポイントが預託された預託時点における前記価値変動対象の第1価値と、
(r) 現在時点における前記価値変動対象の第2価値と、
に基づいた第2数量を算定し、前記第1数量に対する前記第2数量の成長度合を算定する算定部、
前記成長度合が誘導閾値を超えて
(a) いれば、前記成長度合により前記ユーザを前記投資サービスへ誘導するための誘導通知を、前記ユーザへ送信し、
(b) いなければ、前記到来した誘導時期における前記誘導通知の送信を抑制する
送信部、
前記成長度合が前記誘導閾値を超えていなければ、前記ユーザに対して、新たな誘導時期を設定し直す更新部
を備える。
【0135】
また、本実施形態に係る通知システムにおいて、
前記第1価値は、前記投資サービスにおいて前記価値変動対象を前記預託時点で購入可能な価格に基づいて算定され、
前記第2価値は、前記投資サービスにおいて前記価値変動対象を前記現在時点の売却可能な価格に基づいて算定される
ように構成することができる。
【0136】
また、本実施形態に係る通知システムにおいて、
前記成長度合は、前記第2数量から前記第1数量を減算した差である評価益であり、
前記誘導閾値は、非負の値である
ように構成することができる。
【0137】
また、本実施形態に係る通知システムにおいて、
前記成長度合は、前記第2数量から前記第1数量を減算した差である評価益の前記第1数量に対する割合である評価益率であり、
前記誘導閾値は、非負の値である
ように構成することができる。
【0138】
また、本実施形態に係る通知システムにおいて、
前記成長度合は、前記第2数量の前記第1数量に対する割合である数量比であり、
前記誘導閾値は、100%以上の値である
ように構成することができる。
【0139】
また、本実施形態に係る通知システムにおいて、
前記設定された誘導時期から前記新たに設定されるべき誘導時期までの期間は、前記成長度合に応じて定められる
ように構成することができる。
【0140】
また、本実施形態に係る通知システムにおいて、
前記誘導閾値は、前記ユーザに対して設定され、
前記更新部は、
前記誘導通知が送信された前記ユーザに対する前記誘導閾値を、前記成長度合を超える新たな値に設定し直し、
前記誘導通知を送信してから所定期間を経過しても前記誘導通知が送信された前記ユーザが前記投資サービスに誘導されなければ、前記ユーザに対して、新たな誘導時期を設定し直す、
ように構成することができる。
【0141】
また、本実施形態に係る通知システムにおいて、
前記更新部は、前記価値変動対象の価値の直近変動が短縮閾値を超えると、前記ユーザに対して設定されている前記誘導時期を、前記現在時点に近付くように設定し直す
ように構成することができる。
【0142】
また、本実施形態に係る通知システムにおいて、
前記成長度合と、前記誘導閾値と、の組は、複数の候補から選択されたいずれかが前記ユーザに対して設定され、
前記誘導通知を送信してから所定期間を経過しても前記誘導通知が送信された前記ユーザが前記投資サービスに誘導されなければ、前記ユーザに対して未だ設定されていない候補を、新たな成長度合と、新たな誘導閾値と、の組として設定し直す
ように構成することができる。
【0143】
また、本実施形態に係る通知システムにおいて、
前記ユーザは、複数回、ポイントを前記ポイント運用サービスに預託することができ、
前記成長度合は、前記第2数量の総量であり、
前記誘導閾値は、定数、もしくは、前記ユーザにより初めて前記ポイント運用サービスにポイントが預託されたときの前記第1数量に基づいて定められる値である
ように構成することができる。
【0144】
本実施形態に係る通知方法は、通知システムが実行する通知方法であって、
第1数量のポイントを価値変動対象に対応付けてポイント運用サービスに預託したユーザに対して、前記価値変動対象の投資サービスへの誘導時期を設定する設定工程、
前記設定された誘導時期が到来すると、前記ユーザが前記ポイント運用サービスから引出し可能なポイントの第2数量であって、
(p) 前記第1数量と、
(q) 前記第1数量のポイントが預託された預託時点における前記価値変動対象の第1価値と、
(r) 現在時点における前記価値変動対象の第2価値と、
に基づいた第2数量を算定し、前記第1数量に対する前記第2数量の成長度合を算定する算定工程、
前記成長度合が誘導閾値を超えて
(a) いれば、前記成長度合により前記ユーザを前記投資サービスへ誘導するための誘導通知を、前記ユーザへ送信し、
(b) いなければ、前記到来した誘導時期における前記誘導通知の送信を抑制する
送信工程、
前記成長度合が前記誘導閾値を超えていなければ、前記ユーザに対して、新たな誘導時期を設定し直す更新工程
を備える。
【0145】
本実施形態に係るプログラムは、コンピュータを、
第1数量のポイントを価値変動対象に対応付けてポイント運用サービスに預託したユーザに対して、前記価値変動対象の投資サービスへの誘導時期を設定する設定部、
前記設定された誘導時期が到来すると、前記ユーザが前記ポイント運用サービスから引出し可能なポイントの第2数量であって、
(p) 前記第1数量と、
(q) 前記第1数量のポイントが預託された預託時点における前記価値変動対象の第1価値と、
(r) 現在時点における前記価値変動対象の第2価値と、
に基づいた第2数量を算定し、前記第1数量に対する前記第2数量の成長度合を算定する算定部、
前記成長度合が誘導閾値を超えて
(a) いれば、前記成長度合により前記ユーザを前記投資サービスへ誘導するための誘導通知を、前記ユーザへ送信し、
(b) いなければ、前記到来した誘導時期における前記誘導通知の送信を抑制する
送信部、
前記成長度合が前記誘導閾値を超えていなければ、前記ユーザに対して、新たな誘導時期を設定し直す更新部
として機能させる。
【0146】
また、本実施形態に係るプログラムは、非一時的なコンピュータ読取可能な情報記録媒体に記録することができる。
【0147】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明によれば、ポイント運用サービスを利用しているユーザを投資サービスへ誘導する際の誘導の効果を高めるのに好適な通知システム、通知方法、ならびに、プログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0149】
101 通知システム
111 設定部
112 算定部
113 送信部
114 更新部
115 データベース
201 スマートフォン
202 タッチスクリーン
203 アイコン
204 ホーム画面
205 通知
206 SMSアプリ
207 メッセージ
208 ブラウザアプリ
209 広告ページ
210 申込リンク
【要約】
【課題】ポイント運用サービスのユーザを投資サービスへ誘導する効果を高める。
【解決手段】通知システム101において、設定部111は、第1数量のポイントを価値変動対象に対応付けてポイント運用サービスに預託したユーザに対して、誘導時期を設定する。算定部112は、誘導時期が到来すると、ユーザが引出し可能なポイントの第2数量を、第1数量と、預託時点における価値変動対象の第1価値と、現在時点における価値変動対象の第2価値と、に基づいて算定し、第1数量に対する第2数量の成長度合を算定する。送信部113は、成長度合が誘導閾値を超えていれば、ユーザを投資サービスへ誘導するための誘導通知をユーザへ送信し、いなければ、誘導通知の送信を抑制する。更新部114は、成長度合が誘導閾値を超えていなければ、ユーザに対して、新たな誘導時期を設定し直す。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8