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特許7094445半導体製品にソーカットを形成するソーイング装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】半導体製品にソーカットを形成するソーイング装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20220624BHJP
   B23Q 17/22 20060101ALI20220624BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20220624BHJP
   B24B 49/04 20060101ALI20220624BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
H01L21/78 F
B23Q17/22 C
B24B27/06 M
B24B49/04 Z
B24B49/12
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021524170
(86)(22)【出願日】2021-02-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 NL2021050100
(87)【国際公開番号】W WO2021167450
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】2024961
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513099670
【氏名又は名称】ベシ ネーデルランズ ビー.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】BESI NETHERLANDS B.V.
【住所又は居所原語表記】Ratio 6 NL-6921 RW Duiven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマンズ,マーク
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/081746(WO,A1)
【文献】特開2003-168655(JP,A)
【文献】特開2018-206995(JP,A)
【文献】特開平08-052733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B23Q 17/22
B24B 27/06
B24B 49/04
B24B 49/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製品にソーカットを形成するソーイング装置であって、
-前記半導体製品を保持する保持面を備えるキャリアと、
-刃先を有し、前記キャリアに対して相対的に移動可能な鋸刃と、
-前記キャリアによって保持された前記半導体製品の自由表面上の点の、自身に対する相対的な位置を求める第1位置センサと、
-前記鋸刃の前記刃先上の点の、自身に対する相対的な位置を求める第2位置センサと、
-前記第1位置センサおよび前記第2位置センサにリンクされて前記鋸刃と前記キャリアとの相対的な動きを制御するように構成された制御ユニットとを備え、
前記ソーイング装置は、前記第1位置センサの位置を前記第2位置センサの位置にリンクさせる基準をさらに備えており、
前記制御ユニットは、
-前記基準の助けを借りて、前記第1位置センサおよび前記第2位置センサによって求められる位置関係を、前記鋸刃の前記刃先上の点に対する前記半導体製品の前記自由表面上の点の位置関係として加工処理し、
-前記鋸刃の前記刃先上の点に対する前記半導体製品の前記自由表面上の点の位置関係に基づいて、前記鋸刃と前記キャリアとの相対的な動きを制御するように構成されており、
前記基準は、前記第1位置センサおよび/または前記第2位置センサによって観察可能な前記キャリア上の少なくとも1つの基準面によって形成されており、前記第1位置センサおよび前記第2位置センサは、前記少なくとも1つの基準面上の少なくとも1つの点の位置を測定可能に構成されている、ソーイング装置。
【請求項2】
前記キャリアは、少なくとも1つの前記基準面を有して前記保持面の先に突出している基準要素を備えることを特徴とする請求項1に記載のソーイング装置。
【請求項3】
前記基準は、前記第1位置センサによって観察可能な第1基準面および前記第2位置センサによって観察可能な第2基準面を有し、前記第1位置センサは前記基準の前記第1基準面上の点の位置を求めるように構成されており、前記第2位置センサは前記基準の前記第2基準面上の点の位置を求めるように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のソーイング装置。
【請求項4】
前記ソーイング装置は、前記第1位置センサと前記第2位置センサとを接続するフレームによって追加基準が形成されており、前記フレームによって接続された前記第1位置センサと前記第2位置センサとの間の距離は既知で固定されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のソーイング装置。
【請求項5】
前記第1位置センサおよび前記キャリアは、互いに相対的に移動可能であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のソーイング装置。
【請求項6】
前記第2位置センサおよび前記鋸刃は、互いに相対的に移動可能であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のソーイング装置。
【請求項7】
前記第1位置センサは前記半導体製品の前記自由表面上の複数の点の位置を求めるように構成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のソーイング装置。
【請求項8】
前記制御ユニットは、前記半導体製品の前記自由表面上の複数の点の位置を前記自由表面の高さ形状として加工処理するように構成されており、前記制御ユニットは、前記鋸刃および前記キャリアの相対的な動きの制御において、前記高さ形状を補償するようになっていることを特徴とする請求項7に記載のソーイング装置。
【請求項9】
前記第2位置センサは前記鋸刃の前記刃先上の複数の点の位置を求めるように構成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のソーイング装置。
【請求項10】
前記第1位置センサおよび前記第2位置センサのうちの少なくとも1つは、距離センサであることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のソーイング装置。
【請求項11】
半導体製品にソーカットを形成する方法であって、
-半導体製品をキャリアで把持するステップと、
-第1位置センサを用いて前記半導体製品の自由表面上の点の位置を求めるステップと、
-第2位置センサを用いて鋸刃の刃先上の点の位置を求めるステップと、
-前記第1位置センサの位置を前記第2位置センサの位置にリンクさせる基準を用いるステップと、
-前記第1位置センサおよび前記第2位置センサによって求められる位置関係を、前記鋸刃の前記刃先上の点に対する前記半導体製品の前記自由表面上の点の位置関係として、前記基準の助けを借りて加工処理するステップと、
-前記半導体製品の底面に対する前記鋸刃の前記刃先の位置に基づいて前記鋸刃を前記キャリアに対して移動させることにより、前記半導体製品の前記自由表面に切り込みを入れるステップと、を含み、
前記第1位置センサの位置を前記第2位置センサの位置にリンクさせる前記基準が、前記第1位置センサおよび/または前記第2位置センサによって観察可能な前記キャリア上の少なくとも1つの基準面によって決められており、
前記第1位置センサおよび前記第2位置センサは前記少なくとも1つの基準面に対する点の位置を求める方法。
【請求項12】
前記基準の位置が前記第1位置センサおよび前記第2位置センサによって求められることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記半導体製品の前記自由表面上の複数の点の位置が前記第1位置センサによって求められることを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記半導体製品の前記自由表面上の前記複数の点の位置が、前記自由表面の高さ形状として加工処理され、前記高さ形状は前記キャリアに対する前記鋸刃の移動を補償することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記半導体製品の前記自由表面の前記高さ形状は、前記鋸刃の前記刃先の移動制御に連続的に対応することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記鋸刃の刃先上の点の前記位置は、ソーカット形成の前と後において求められ、ソーカット形成の前と後での前記刃先上の前記点の位置の違いは、連続するソーカット形成における前記鋸刃と前記キャリアの相対的な動きを制御するフィードフォワード情報として用いられることを特徴とする請求項11~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
ソーイングされた前記半導体製品が、ソーカットの位置を登録するための制御測定を受けることを特徴とする請求項11~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記ソーカットの位置の前記登録において、前記半導体製品の前記自由表面に対して直角に測定されたソーカット深さ、および前記半導体製品の前記自由表面の平面内で測定されたソーカットオフセットの少なくとも1つが測定されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製品にソーカットを形成するソーイング装置に関する。本発明は、半導体製品にソーカットを形成する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製品製造の最終段階では、個別の集積回路(IC)パッケージを得るために、組立てられたダイを個片化する(ダイシング)。ここでの個片化(singulation)は、回転
する鋸刃を用いて個別のダイを連結するキャリアを機械加工することで実施され、ここでキャリアは通常、ウェハ、リードフレーム、または基板によって形成される。機械加工作業の一部として、ダイを封止している任意のパッケージ材料(多くの場合エポキシ樹脂である)は通例では同時に分離される。ソーイング作業の際の半導体製品内のせん断力の大きさを最小化するためには、半導体製品の背後に鋸刃が入り込むことが可能なスペースがある限り、ソーイング深さを最大化してそれにより鋸刃をICパッケージの厚さよりオーバーシュートさせることが有益である。このスペースの寸法は、通常、個片化工程の際に半導体製品を保持する治具やキャリアによって決定される。従って、一方ではソーイング深さを最大限まで深くし、他方で鋸刃が治具やソーイング装置の他の部分に食い込むことを防ぐように高精度に制御することが重要である。
【0003】
代わりに、ICパッケージに対する鋸刃の変位はリードフレームの厚さ、およびもしあるならパッケージ材料の厚さによって制限されうる。この鋸深さの制限は、更なる処理のために個別ICパッケージのレイアウトを維持するように、箔材層などのキャリア下層を存続させたままでICパッケージを個片化する際に有益である。結局、この場合、ICパッケージは箔材層を介して接続されたままとなる。この場合には、接続されたICパッケージを、箔材層を切断して完全に分離してしまうことを防止するために、ソーイング深さの細心の制御が重要であると理解できる。
【0004】
さらに別の筋書きでは、鋸によるキャリアの機械加工は、(最初は)ソーイング深さがキャリアの厚さよりも小さいため、キャリア内に溝が形成される程度の部分的なソーイングに限定される。この場合(または少なくとも、最初は)個別のICパッケージの分離は起こらない。後述するソーイング作業は、強固なはんだ接合を生成するために、はんだフィレットがICパッケージの外周に付着するはんだ濡れ性のよい側面が必要となる高信頼性ICパッケージ(特にクワッドフラットノーリード(quad-flat no leads)パッケージ)の製造に適用される。部分的なソーイング作業の後で、ここで形成された溝には、はんだ付け可能な表面仕上げめっきが施される。引き続くソーイング作業では、溝に隣接する個片化の線に沿ってICパッケージを個片化し、切断端部に容易にはんだ濡れしやすい段差形状を生成する。これにより、適切なはんだ濡れ性を保証し、およびその後のICパッケージのプリント配線基板へのはんだ付けの際に高信頼性はんだ接合の形成を保証する。一定の深さを有する溝を高精度で生成するために、ソーイング深さの正確な制御がこの用途においても大変重要である。
【0005】
特開第2003-168655号公報は、半導体または電子部品などのワークを溝削りまたは切断するダイシング装置を開示している。ダイシング装置は、ワークの上側位置を測定するためのレーザーゲージを備えており、このレーザーゲージは、またワークの上面に形成される溝形状を測定することもできる。さらに、カメラを用いて切断刃の下端とワークの上面との間の距離を計算することも開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した筋書きには、半導体製品の製造におけるソーイング深さの正確な制御の重要さを説明する幾つかの可能な使用法がある。本発明の目的は、半導体製品内に形成するソーカットの精度を向上させることである。特に、本発明は制御可能な鋸深さ精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ここに請求項1に記載の、半導体製品にソーカットを形成するソーイング装置を提供する。本発明の範囲内では、半導体製品の自由表面は、鋸刃とキャリアとの相対的な動きの際に形成される少なくとも1つの制御されたカットが行われる半導体製品の表面である。前記カット(複数回含む)は、半導体製品を複数のICパッケージに完全に分離してもよいが、半導体製品の自由表面に対して垂直な方向に測定した高さの一部に沿ってのみ延びる(浅い)溝を形成してもよい。代わりに、カット(複数回含む)は、半導体製品を分離してもよいが、下層の箔材層を残しておいてもよい。
【0008】
本発明のソーイング装置は、2つの位置センサを使用する。一つは、半導体製品の自由表面の位置測定用であり、もう一つは、鋸刃、特にその刃先の位置測定用である。半導体製品の自由表面の位置(またはその上の少なくとも1点)および鋸刃の刃先(またはその上の少なくとも1点)を実際に測定することにより、それらの相対位置を測定するために必要な推論量を最小化し、従って、半導体製品をそこに取り付けたキャリアと鋸刃との相対移動の際の位置誤差を最小化する。
例えば、鋸刃の摩耗による刃先の凹凸や、半導体製品の反りによる自由表面内の高さの違いなどをこれらの測定値によって補正可能である。これにより、ソーイング装置が所定の深さのソーカットを高精度で行うことを可能にする。ソーカットの深さは、本明細書では半導体製品の自由表面に対する垂直方向として定義する。
【0009】
2つの位置センサを用いることにより、半導体製品の自由表面に刃先が接触する点での鋸刃の刃先を半導体製品の自由表面と一緒に観察することが容易になる。すなわち、鋸刃が前記自由表面に切り込む半導体製品の自由表面と向き合う刃先上の位置については、それ自身と測定すべき対象物との間の明確な視線に依存する単一位置センサの使用は、実際上困難である。一般に、丸鋸が使用されている。理論的には半導体製品の自由表面に面していない側の鋸刃の刃先の検査が行われる。しかしながら、接触の実際位置で鋸刃を直接的に検査することは、例えば、鋸刃の吊り下げに関する位置誤差を除去できる。
【0010】
位置センサは、それら自身と物体との相対的な位置を測定する。正確なソーカットを行うために必要とされる、鋸刃とキャリア(および従ってそれに接続された半導体製品)との相対的な動きを正確に制御するために、位置センサとの相対的な位置に代えて、鋸刃の刃先の位置と半導体製品の自由表面との互いの相対的な位置を測定しなければいけない。つまり、これにより、位置センサの位置における誤差を取り除く。
本発明は、第1位置センサの位置を第2位置センサの位置にリンクさせることが出来る基準の使用を提案する。この基準は、固定及び既知の、あるいは第1および第2の位置センサによって観察されて得られる、第1および第2の位置センサに対する位置と既知の寸法とを有する対象物の形態をとる。
制御ユニットは、位置センサに対する基準の寸法および位置を、第1および第2の位置センサの互いの相対的な位置に変換するように構成されている。第1位置センサおよび第2位置センサによって測定された鋸刃の刃先の位置と半導体製品の自由表面の位置とを合わせて、制御ユニットは、次に鋸刃の刃先上の点に対する半導体製品の自由表面上の点の位置を測定することができる。位置情報はその後、鋸刃とキャリアとの相対的な動きを高精度に制御するために用いられる。半導体製品の(自由表面の)位置、および、鋸刃に対する半導体製品の(自由表面の)瞬時的な位置は、キャリアの位置に直接的にリンクされ
ていることを注記する。すなわち、キャリアは通常、治具またはチャックと呼ばれており、半導体製品を半導体製品の位置がキャリアに対して固定されるように例えば吸引手段などにより把持するように構成されている。鋸刃とキャリアの相対的な動きの制御は、従って、半導体製品に対する鋸刃の移動操作、位置の測定、特にソーカットの深さにおける位置の測定を意味する。
【0011】
基準は、第1位置センサおよび/または第2位置センサによって観察可能なキャリア上の少なくとも1つの基準面によって形成されており、第1位置センサおよび第2位置センサは、少なくとも1つの基準面上の少なくとも1つの点の位置を測定可能に構成されている。基準面の位置、または、少なくともその上の点は、従って、第1位置センサおよび第2位置センサによって測定されてもよく、ここで、前記基準面は、第1および第2の位置センサの双方により観察可能であり、この場合、その後、それらに対する前記基準面の位置を個別に測定することができる。
代わりに、基準は、少なくともその1つは第1位置センサにより観察可能であり、少なくとも別の1つは第2位置センサにより観察可能であるキャリア上の複数の基準面から構成してもよい。後者の場合には同じ物体の一部で形成する場合であり、複数の基準面の相対的な向きと位置は既知である。少なくとも1つの基準面がキャリアの一部を形成し、その方法の中心を形成し、固定された寸法を有して位置センサに対する位置の測定の際にその位置を変化させないことが、重要である。
【0012】
基準は、キャリア上の基準面により形成されるので、前記基準面は、半導体製品の実装面として機能するキャリアの機能部分の一部を形成することは必ずしも必要ではない。特定の実施形態では、キャリアは、少なくとも1つの基準面を有して保持面の先に突出している基準要素を備えてもよい。専用の基準要素を使用することにより、基準要素の位置は第1位置センサおよび第2位置センサの両方によって容易に観察可能であるように選択されてもよい。基準要素を保持面から突出させることにより、キャリアに保持された半導体製品は、基準面と前記基準面を観察する位置センサとの間の視線を妨げない。
【0013】
より詳細には、基準は、第1位置センサによって観察可能な第1基準面および第2位置センサによって観察可能な第2基準面を有してもよく、第1位置センサは基準の第1基準面上の点の位置を測定するように構成され、第2位置センサは基準の第2基準面上の点の位置を測定するように構成されている。第1基準面および第2基準面の相対的な向きおよび位置が既知であるので、第1位置センサおよび第2位置センサの位置を互いにリンクさせることができる。すなわち、前記センサの位置を他のセンサとの相対的な位置で表すことができる。このような第1基準面と第2基準面とを有する基準の例は、所定の既知の厚さを有し、第1位置センサに対向する第1面と、第2位置センサに対向する第2面とを有する板状の要素がある。前記板状の要素はキャリアに接続されてもよい。
【0014】
追加基準が第1位置センサと第2位置センサとを接続するフレームによって形成されてもよく、第1位置センサと第2位置センサとの間のフレームに架かる距離は既知で固定されている。この場合、位置センサを接続するフレームの寸法が既知であるので、第2位置センサの位置に関連する第1位置センサの位置(およびその逆)を測定することもできる。
【0015】
第1位置センサおよびキャリアは、互いに対して移動可能であってもよい。これにより単一位置センサを用いて半導体製品の自由表面をマッピングすることを可能にまたは容易にしてもよい。それらに関連して、第1位置センサは半導体製品の自由表面上の複数の点の位置を測定するように構成されてもよい。制御ユニットは、次に、半導体製品の自由表面上の複数の点の位置を前記自由表面の高さ形状として加工処理するように構成されていてもよく、ここで、制御ユニットは、鋸刃およびキャリアの相対的な動きの制御において
、前記高さ形状を補償するように適合されている。これにより、自由表面から前記自由表面に対する垂直な方向への距離として定義される一定の深さのソーカットの形成を可能にする。また、半導体製品の(自由表面)が例えば反りなどのために平坦でない場合でも同様である。
最終的なICパッケージの寸法安定性に対する厳格な要求を踏まえると、半導体製品の任意の反りがソーカットの形成において修正できることが重要である。これは、特に、半導体製品の部分的なソーイング作業のみを行うソーイング装置の使用の場合である。部分的なソーイング作業とは、ここではソーイング深さが任意の箔材層をも含む半導体製品の厚さよりも小さい作業の場合として定義する。部分的なソーイング作業は、半導体製品の表面に部分的な切り込み、または溝を有する半導体製品を可能にする。これは半導体製品が個別のICパッケージに完全に個片化される状況を含んでもよいが、前記分離されるICパッケージの相互の向きを保持するために下層の箔材層がそのまま残っている状況も含む。後者の場合には、ソーイング深さは、箔材層を除いた半導体製品の局所的な厚さと全く同じでなければならない。
【0016】
第2位置センサおよび鋸刃は、互いに対して移動可能であってもよい。鋸刃が回転式である場合には、第2位置センサおよび鋸刃は、すでに互いに対して移動可能であり、ここで位置センサは鋸刃の刃先全体を観察することができる。第2位置センサは、ここでは、鋸刃に対して固定された位置を有してもよい。鋸刃の代わりにまたは鋸刃と一緒に、第2位置センサが鋸刃に対して移動可能であることもまた可能である。後者の場合には、刃先の位置測定における鋸刃の動きを低減し、これにより、ソーイング作業の時間短縮を導けると共に、ソーイング装置の摩滅を低減することができるので有益である。
第2位置センサは一般に鋸刃の刃先上の複数の点の位置を測定するように構成されている。これにより、位置センサは、制御ユニットと協働して、鋸刃の摩耗により変化する刃先の高さ形状を測定することが可能になる。第2位置センサおよび鋸刃は、好ましくは、刃先が半導体製品の自由表面に接触する鋸刃の吊り下げに対する位置で、位置センサが刃先を直接的に観察できるように互いに配置されている。例えば、半導体製品の自由表面が下向きの場合には第2位置センサは鋸刃の刃先に沿った最も上の位置を観察するように構成されている。
【0017】
本発明のソーイング装置のとりうる実施形態では、第1位置センサおよび第2位置センサのうちの少なくとも1つは距離センサである。前記距離センサは、自身と自身が観察するように設定された所定の点との間の距離を測定するように適合している。距離センサは、ここでは、自身に対する前記点の一次元的な位置を測定してもよい。距離センサにより測定された位置に基づいた鋸刃とキャリアの相対的な動きの制御は、ここでは、この寸法で行われる。
第1位置センサと自由表面との間の距離、および第2位置センサと刃先との間の距離のそれぞれの測定に基づいて、鋸刃の刃先と半導体製品の自由表面との間の距離を測定することにより、鋸刃が自由表面を貫通する深さを制御できる。好ましい実施形態では、距離センサは共焦点センサである。距離センサは、代替的に三角測量方式センサ(triangulation sensor)によって形成されてもよい。
【0018】
本発明によるソーイング装置で収集された情報は、品質管理および/または統計情報の収集に有益である。
【0019】
本発明は、さらに、請求項11に記載の半導体製品にソーカットを形成する方法に関する。処理ステップでは、キャリア上の基準を介して得た、第1位置センサおよび第2位置センサの互いの相対的な位置に関する知識を用いて、それぞれの位置センサに対する自由表面(上の点)および刃先の位置を自由表面(上の点)および刃先の互いの相対的な位置に変換する。この高精度な位置情報によって、鋸刃とキャリアの相対的な動きを高精度に
制御することを可能にし、半導体製品に正確なソーカットを行うことを可能にする。キャリアは、第1位置センサおよび第2位置センサの位置測定用の基準の中心として用いられ、これがソーカット形成の精度を実質的に高める。
基準の位置は、第1位置センサおよび第2位置センサによって測定されてもよい。この作業のためには、基準は、第1位置センサおよび第2位置センサによって観察可能でなければならない。ソーイング装置に関連して既に述べたように、基準は、位置センサによって観察可能な1または複数の基準面を有する、専用または非専用の基準要素でよい、ソーイング装置の一部によって形成されてもよい。
【0020】
第1位置センサは、半導体製品の自由表面上の複数の点の位置を測定してもよい。半導体製品の自由表面上の複数の点は、これにより前記自由表面の高さ形状として加工処理されてもよく、この高さ形状によりキャリアに対する鋸刃の移動が補償される。
この補償は、半導体製品の自由表面の高さ形状が、半導体製品の自由表面に沿ったソーカットの全長に亘って(より)均一な深さのソーカットが鋸刃の刃先によってなされるという効果を有してもよい。ここでソーカットの深さは、再び、自由表面に垂直な方向における前記自由表面からの距離として定義される。
【0021】
半導体製品の自由表面の高さ形状は、鋸刃の刃先が段階的に処理してもよい。半導体製品の自由表面へこの段階的処理をさせることは、鋸刃が半導体製品を貫通する距離をソーカットの長さに亘って一定の回数だけ調整することで、ソーイング深さを達成してもよい。調整間隔が小さいほど、半導体製品の自由表面の高さ形状への鋸刃の処理性がよりよくなり、ソーカットの深さの差異はより小さくなる。位置センサによって測定された鋸刃と半導体製品との相対的な位置に基づいてソーイング深さが調整されるので、調整回数は典型的には半導体製品の自由表面上の点の数である測定分解能を超えることはない。ここで、半導体製品の自由表面上の点の位置は第1位置センサによって測定される。
【0022】
半導体製品の自由表面の高さ形状は、代替的に鋸刃の刃先が連続的に処理してもよい。この例では、ソーカットの(部分的な)形成の際に鋸刃は直線に沿って移動される。
このため、ソーカットは、半導体製品の反りの結果として通常見られる全体的な高さ勾配を処理することができるだけであり、自由表面内の局所的な高さの差異を処理することができない漸進的な進行になる。鋸刃による処理軌跡は、通常、半導体製品の自由表面上の2つの点の間に直線を描いて前記直線に対して一定の切り込み深さで自由表面内に切り込むことで測定される。
【0023】
鋸刃の刃先上の点の位置は、連続する全てのソーカットを形成する前に測定されてもよい。各ソーイング作業の際に鋸刃は摩耗する。引き続くソーカットの形成におけるこの摩耗を計算に入れるためには、引き続くソーイング作業を開始する前に刃先の位置を測定することが必要である。実際問題として、鋸刃の刃先全体に沿った複数の点の位置は、鋸刃とキャリアの相対移動、従ってソーカットの形成において、刃先全体の摩耗をマッピングして補正できるように測定される。
【0024】
鋸刃の刃先の摩耗を補正するさらに正確な方法は、刃先の点の位置をソーカットの形成の前と後で測定してもよいことである。ここで、ソーカットの形成の前と後での前記刃先の点の位置の違いは、連続的なソーカットの形成における鋸刃とキャリアの相対的な動きを制御するフィードフォワード情報として用いられる。鋸刃とキャリアの動きは、ここに外挿法(extrapolation)により予測される刃先の摩滅に対して補正される。従って、測
定されたソーカットの実際の深さを、引き続くソーカットのフイードバック操作における追加の入力として使用することができる。
【0025】
鋸切断された半導体製品は、ソーカットの位置が登録される制御測定を受けてもよい。
ソーカットの位置の登録は、半導体製品の自由表面に直角に測定されたソーカット深さ、および、半導体製品の自由表面の面内で測定されたソーカットオフセットのうちの少なくとも1つが測定されてもよい。そのような後測定は、将来のソーイング作業用に入力されてもよい。ソーカットの位置でのシステム的なエラー、および従って鋸刃の刃先上の点に対応する半導体製品の自由表面上の点の位置は、ここで検出され補正されうる。
【0026】
本発明は、以下の図面に示す例示的な実施形態に基づいて更に明瞭にされる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明によるソーイング装置の1実施形態の模式図である。
図2】本発明によるソーイング装置の別の実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1の模式図では、チャックまたは治具とも別称されるキャリア2と鋸刃3とを備えるソーイング装置1が示されている。キャリア2は、半導体製品5を保持する保持面4を備えている。保持面4は、例えば半導体製品5をキャリア2に対して静止させるための吸引手段やクランプ手段が設けられてもよい。半導体製品5は、ウェハ、リードフレーム、基板または他の任意の形態のキャリア7などに実装された多数の電子部品6(ダイ)により形成されてもよい。本実施例での鋸刃3は回転式であり、懸架軸8の周りを回転可能である。鋸刃3の外周部には、切断作業の際に半導体製品5に接触して半導体製品を切り込む刃先9が形成されている。キャリア2および鋸刃3は、互いに対して移動可能である。通常、ソーイング装置1は、鋸刃3が半導体製品5に沿って動くソーイング作業の際にキャリア2が静止位置に保持されるように構成されている。
【0029】
キャリア2の反対側に面した半導体製品5の自由表面10は、第1位置センサ11により観察される。この特定の例では、第1位置センサ11は、自身と半導体製品5の自由表面10上の点12との間の距離を測定することができる距離センサによって形成されており、これにより一次元における自由表面上の前記点12の位置を本質的に測定可能である。鋸刃3の刃先9、および特に(この場合)半導体製品5の自由表面10に向かって上向きの刃先9上の点13は第2位置センサ14によって観察される。第1位置センサ11と同様に、第2位置センサ14は距離センサによって形成されており、自身と鋸刃3の刃先9上の点13との間の距離を測定可能である。
【0030】
キャリア2には、本実施形態では、キャリア2の保持面4の先に突出している基準要素の形態の基準15が設置されている。より詳細には、基準15は、本例では既知の厚さを有する板状の要素によって形成されている。基準要素は2つの基準面を備える。これらは、第1位置センサにより観察可能な第1基準面16と第2位置センサによって観察可能な第2基準面17である。基準要素の基準15、特に基準面16,17は、基準15と位置センサ11、14とを相対的に移動させることにより、位置センサ11,14によって検出可能である。
【0031】
キャリア2と鋸刃3とを相対的に移動させる役目をもつ駆動装置18、19および位置センサ11、14は、(データリンク20を介して)制御ユニット21に接続されている。位置センサ11、14からのデータは、前記データを鋸刃3の刃先9に対する半導体製品5の自由表面10の位置として加工処理するように、制御ユニット21への接続部20を介して前記制御ユニット21へ送られる。制御ユニット21は、さらに、キャリア2と鋸刃3とを相対的に移動させる役目をもつ駆動装置18、19を、鋸刃3の刃先9に対する半導体製品5の自由表面10の位置に関する前記情報に基づいて鋸刃3とキャリア2の相対的な動きを制御するように構成されている。制御ユニット21は、任意のタイプの適切な制御手段により形成されてもよく、物理的に離れた場所に配置される複数のモジュー
ルを備えてもよい。
【0032】
図2の模式図に示すソーイング装置22が、図1に示すソーイング装置1の実施形態から異なるのは、基準15、23の導入に関するもののみである。この実施例では、追加基準23が第1位置センサ11と第2位置センサ14とを接続するフレームによって形成されている。第1位置センサ11と第2位置センサ14との間のフレームによって結び付けられた距離の追加情報がここでは半導体製品5へのソーカットの形成の精度をさらに高めるために用いられる。
図1
図2