(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】ガス切れ推定システム、ガス切れ推定プログラム、ガス切れ推定メーターおよびガス切れ推定方法
(51)【国際特許分類】
F17C 13/02 20060101AFI20220627BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20220627BHJP
【FI】
F17C13/02 301Z
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2018004838
(22)【出願日】2018-01-16
【審査請求日】2020-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】増田 智紀
(72)【発明者】
【氏名】宇野 太郎
(72)【発明者】
【氏名】塩野 直志
(72)【発明者】
【氏名】小津 努
(72)【発明者】
【氏名】川田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】池田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】土岐 爽真
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-130709(JP,A)
【文献】特開平08-329159(JP,A)
【文献】実開平07-032298(JP,U)
【文献】特開2002-279025(JP,A)
【文献】米国特許第05023806(US,A)
【文献】独国特許出願公開第19632357(DE,A1)
【文献】特開2010-144751(JP,A)
【文献】特開2003-067455(JP,A)
【文献】特開2003-148692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/02
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス容器からガス機器に流れるガス流量を多頻度で計測し、または前記ガス容器のガス残量を多頻度で計測する計測部と、
前記計測部より時系列のデータを収集するデータ収集部と、
過去のデータ、該データから求められたガス切れ推定日を含む履歴データを記憶する記憶部と、
前記ガス容器のガス残量が基準値に到達した時点、または前記ガス容器の使用開始から所定時間が経過した時点で、前記データ収集部が収集した時系列のデータと同一または近似する前記履歴データを前記記憶部から検索し、該検索された前記履歴データを参照して使用中のガス容器のガス切れ推定日を算出する演算部と、
を備えることを特徴とする、ガス切れ推定システム。
【請求項2】
前記演算部は、ガス使用量の推移情報、ユーザーの属性情報、温度情報、気象情報の何れかまたは2以上を含む変動情報により前記データを補正することを特徴とする、請求項1に記載のガス切れ推定システム。
【請求項3】
さらに、前記ガス切れ推定日を通報する通報手段を備え、
前記演算部が前記ガス切れ推定日の通報時期を算出し、
前記通報手段が前記通報時期に前記ガス切れ推定日を通報することを特徴とする、請求項1に記載のガス切れ推定システム。
【請求項4】
コンピュータで実現させるガス切れ推定プログラムであって、
ガス容器からガス機器に流れるガス流量を多頻度で計測し、または前記ガス容器のガス残量を多頻度で計測する計測部から時系列のデータを収集する機能と、
過去のデータ、該データから求められたガス切れ推定日を含む履歴データを記憶する機能と、
前記ガス容器のガス残量が基準値に到達した時点、または前記ガス容器の使用開始から所定時間が経過した時点で
、データ収集部が収集した時系列のデータと同一または近似する前記履歴データを検索し、該検索された前記履歴データを参照して使用中のガス容器のガス切れ推定日を算出する機能と、
を前記コンピュータで実現するためのガス切れ推定プログラム。
【請求項5】
ガス容器からガス機器に流れるガス流量を多頻度で計測し、または前記ガス容器のガス残量を多頻度で計測する計測部と、
前記計測部より時系列のデータを収集するデータ収集部と、
過去のデータ、該データから求められたガス切れ推定日を含む履歴データを記憶する記憶部と、
前記ガス容器のガス残量が基準値に到達した時点、または前記ガス容器の使用開始から所定時間が経過した時点で、前記データ収集部が収集した時系列のデータと同一または近似する前記履歴データを前記記憶部から検索し、該検索された前記履歴データを参照して使用中のガス容器のガス切れ推定日を算出する演算部と、
前記ガス切れ推定日を通報する通報部と、
を備えることを特徴とする、ガス切れ推定メーター。
【請求項6】
さらに、前記ガス切れ推定日を表示する情報表示手段を備え、
前記演算部が前記ガス切れ推定日の通報または表示する時期を算出し、
前記通報部が前記時期に前記ガス切れ推定日を通報し、前記情報表示手段が前記時期に前記ガス切れ推定日を表示することを特徴とする、請求項5に記載のガス切れ推定メーター。
【請求項7】
ガス容器からガス機器に流れるガス流量を多頻度で計測し、または前記ガス容器のガス残量を多頻度で計測する工程と、
時系列のデータを収集する工程と、
過去のデータ、該データから求められたガス切れ推定日を含む履歴データを記憶する工程と、
前記ガス容器のガス残量が基準値に到達した時点、または前記ガス容器の使用開始から所定時間が経過した時点で
、データ収集部が収集した時系列のデータと同一または近似する前記履歴データを検索し、該検索された前記履歴データを参照して使用中のガス容器のガス切れ推定日を算出する工程と、
を含むことを特徴とする、ガス切れ推定方法。
【請求項8】
前記ガス切れ推定日を表示または通報する工程を含むことを特徴とする、請求項7に記載のガス切れ推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はたとえば、LPガス(Liquefied Petroleum Gas :液化石油ガス)のガス使用量に関するデータの処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
LPガスは、ボンベやシリンダなどのガス容器に装填されてユーザーの軒先などに配送される。ユーザーに設置されるガス容器はガス消費量に応じて設置され、通常、バックアップ用を含めて複数本が設置される。このガス容器はガス切れ前の段階で配送業者により交換することが行われている。
LPガスの残量管理に関し、ガス容器とガス消費設備との間にあるガス供給路に配置された流量計測手段で検知したガス消費量とガス容器のガス残量から、ガス消費設備で消費可能な残時間を算出して表示することが知られている(たとえば、特許文献1)。
ガス容器の配送予測に関し、安全率マスタを用いてガス切れの発生日を予測し、配送効率およびガス切れリスクを考慮した配送予定日を算出することが知られている(たとえば、特許文献2)。
【0003】
ガス容器の配送日に関し、ガスメーターの指針データを受け付け、前回指針日から次回指針日までの間のガス使用量に基づいてガス残量を更新し、指針日間の一日当たりのガス使用量と、過去の期間における一日当たりのガス使用量の変化率とに基づいて予測された一日当たりのガス使用量に応じて、更新されたガス残量を減少させて将来のガス残量を予測し、このガス残量が所定日となる日を配送日に決定することが知られている(たとえば、特許文献3)。また、ガスメーターの複数の指針データからガス使用量を得てガス残量を更新し、ガス容器の過去のガス使用量の比較によるガス使用量の変化に基づき更新されたガス残量を減少させて将来のガス残量を予測し、予測されたガス残量が所定値となる日をガス容器の配送日に決定することが知られている(たとえば、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-075366号公報
【文献】特許第5802225号公報
【文献】特許第5570552号公報
【文献】特許第5570553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、LPGユーザーが使用中のガス容器のガス切れ日を特定する方法は、月に1度の指針データと配送員の経験に依存するところが大きく、ガス切れ日の推定精度が悪かった。このような人的な処理をベースにした配送システムには、配送先のガス容器のLPG残量が予想より多かったり、ガス切れを起こしたりすることもあり、業務効率が悪く、配送コストもかかるという課題がある。
このような人的処理による課題の解消に向け、スマートメーターの導入が検討されている。本発明者らは、使用中のガス容器側から多頻度で取得した複数のガス使用量に関するデータ(ガスデータ)のトレンドからガス切れ推定日を容易に特定することができるとの知見を得ている。
【0006】
斯かる要求や課題について、特許文献1~特許文献4にはその開示や示唆はなく、それを解決する構成等についての開示や示唆はない。
そこで、本発明の目的は上記課題および上記知見に基づき、ガス容器のガス切れ管理を容易化し、LPガス利用システムの利便性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のガス切れ推定システムの一側面によれば、ガス容器からガス機器に流れるガス流量を多頻度で計測し、または前記ガス容器のガス残量を多頻度で計測する計測部と、前記計測部より時系列のデータを収集するデータ収集部と、過去のデータ、該データから求められたガス切れ推定日を含む履歴データを記憶する記憶部と、前記ガス容器のガス残量が基準値に到達した時点、または前記ガス容器の使用開始から所定時間が経過した時点で、前記データ収集部が収集した時系列のデータと同一または近似する前記履歴データを前記記憶部から検索し、該検索された前記履歴データを参照して使用中のガス容器のガス切れ推定日を算出する演算部とを備える。
このガス切れ推定システムにおいて、前記演算部は、ガス使用量の推移情報、ユーザーの属性情報、温度情報、気象情報の何れかまたは2以上を含む変動情報により前記データを補正してよい。
このガス切れ推定システムにおいて、さらに、前記ガス切れ推定日を通報する通報手段を備え、前記演算部が前記ガス切れ推定日の通報時期を算出し、前記通報手段が前記通報時期に前記ガス切れ推定日を通報してよい。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のガス切れ推定プログラムの一側面によれば、コンピュータで実現させるガス切れ推定プログラムであって、ガス容器からガス機器に流れるガス流量を多頻度で計測し、または前記ガス容器のガス残量を多頻度で計測する計測部から時系列のデータを収集する機能と、過去のデータ、該データから求められたガス切れ推定日を含む履歴データを記憶する機能と、前記ガス容器のガス残量が基準値に到達した時点、または前記ガス容器の使用開始から所定時間が経過した時点で、データ収集部が収集した時系列のデータと同一または近似する前記履歴データを検索し、該検索された前記履歴データを参照して使用中のガス容器のガス切れ推定日を算出する機能とを前記コンピュータで実現する。
【0009】
本発明のガス切れ推定メーターの一側面によれば、ガス容器からガス機器に流れるガス流量を多頻度で計測し、または前記ガス容器のガス残量を多頻度で計測する計測部と、前記計測部より時系列のデータを収集するデータ収集部と、過去のデータ、該データから求められたガス切れ推定日を含む履歴データを記憶する記憶部と、前記ガス容器のガス残量が基準値に到達した時点、または前記ガス容器の使用開始から所定時間が経過した時点で、前記データ収集部が収集した時系列のデータと同一または近似する前記履歴データを前記記憶部から検索し、該検索された前記履歴データを参照して使用中のガス容器のガス切れ推定日を算出する演算部と、前記ガス切れ推定日を通報する通報部とを備える。
このガス切れ推定メーターにおいて、さらに、前記ガス切れ推定日を表示する情報表示手段を備え、前記演算部が前記ガス切れ推定日の通報または表示する時期を算出し、前記通報部が前記時期に前記ガス切れ推定日を通報し、前記情報表示手段が前記時期に前記ガス切れ推定日を表示してよい。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のガス切れ推定方法の一側面によれば、ガス容器からガス機器に流れるガス流量を多頻度で計測し、または前記ガス容器のガス残量を多頻度で計測する工程と、時系列のデータを収集するデータ工程と、過去のデータ、該データから求められたガス切れ推定日を含む履歴データを記憶する工程と、前記ガス容器のガス残量が基準値に到達した時点、または前記ガス容器の使用開始から所定時間が経過した時点で、データ収集部が収集した時系列のデータと同一または近似する前記履歴データを検索し、該検索された前記履歴データを参照して使用中のガス容器のガス切れ推定日を算出する工程とを含む。
このガス切れ推定方法において、前記ガス切れ推定日を表示または通報する工程を含んでよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) たとえば、LPガスユーザー側の使用ガス流量から多頻度で取得した時系列のデータと、過去の使用ガス流量を表すデータとを比較してガス切れ推定日を算出するので、ガス切れ推定日の算出精度を高めることができる。
(2) 時系列で取得した複数のデータからガス使用量が特定され、ガス容器の残量の推定精度を高めることができる。
【0012】
(3) 使用ガス流量から多頻度で取得したデータにはLPガスユーザーの使用傾向や属性情報が必然的に反映されているので、LPガスユーザーの属性情報を特定することなく、ガス容器の使用状態からガス切れ推定日を算出でき、多頻度で計測したデータを纏めて管理センターで一定のロジックなどを用いた推定処理より、推定精度が高い。
(4) ガス使用量の多頻度計測およびガス切れ推定日の算出に対し、管理センターへの通信はガス切れ推定日の通報のみでよく、通信頻度が少なく、データ送信のための電力消費を抑制でき、電池寿命を伸ばすことができる。
(5) 配送処理に必要な情報量であるガス切れ推定日をガスメーターから管理センターで受けることができるので、管理センター側で処理する情報量が少なく、管理センター側に残量算出システムの導入が不要であり、システム構築の投資を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施の形態に係るガス切れ推定システムを示す図である。
【
図2】Aは履歴データを示す図、Bは使用中のガス容器のガスデータを示す図である。
【
図3】ガス切れ推定の処理シーケンスを示す図である。
【
図4】実施例1に係るガス切れ推定システムを示す図である。
【
図5】Aはガスメーターを示す図、Bはガス切れ推定部のハードウェアを示す図である。
【
図6】Aはガスデータテーブルを示す図、Bは履歴データベースを示す図である。
【
図7】Aは管理センターのハードウェアを示す図、Bは管理センター表示部の情報提示を示す図である。
【
図8】ガス切れ推定の処理シーケンスを示す図である。
【
図9】実施例2に係るガス切れ推定システムを示す図である。
【
図10】実施例2に係るガス切れ推定システムの処理シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔一実施の形態〕
図1は、一実施の形態に係るガス切れ推定システムを示している。
図1に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
このガス切れ推定システム2には計測部4、データ収集部6、データ処理部8、記憶部10、通報部12が備えられる。計測部4はたとえば、公知のガスメーター14に備えられる。データ収集部6、データ処理部8、記憶部10および通報部12はガス切れ推定部16を構成している。
【0015】
ガスGはガス供給路18を通してガス容器20からガス機器22に流れる。計測部4はガス供給路18に設置されてガス使用量を多頻度で計測し(多頻度検針)、その計測出力としてガスデータを出力する。
ガスデータは、ガス容器20(または20-1、20-2)のガス切れ推定日の算出に用いられる。したがって、ガスデータは、たとえば、ガス流量の計測値、ガス使用量、ガス残量、ロードサーベイやガスメーター14の出力パルス、計測値と同様にガス使用量やガス残量を示すデータ、アラーム情報、ガス使用量やガス残量を表す容器内圧力の何れでもよいし、これらの2以上を組合せたデータでもよい。
【0016】
ガス容器20にはたとえば、ガスGをガス機器22に供給する供給用のガス容器20-1と、ガス容器20-1のガス切れをバックアップするためのガス容器20-2が備えられる。ガス容器20-1にガス切れが生じたとき、切換器24がガスの供給元のガス容器20-1からバックアップ側のガス容器20-2に切り換え、ガス容器20-2からガス機器22にガスGを供給する。
ガス機器22にはガスGを燃焼させるガス器具や給湯機器など、複数のガス機器22-1、22-2・・・が含まれる。
【0017】
データ収集部6は、計測部4により多頻度で計測された複数のガスデータを時系列で収集する。このガスデータは時系列で記憶部10に格納され、保存される。
データ処理部8は演算部の一例であり、現在使用中のガス容器20のガスデータSiと、記憶部10にある履歴データShとを比較し、使用中のガス容器20のガス切れ推定日dxを算出するとともに、ガス切れ推定日dxの通報日dyを算出する。この通報日dyは、
dy=dx-N ・・・(1)
となり、ガス切れ推定日dxより一定の期間Nだけ早く到来する日時である。この期間Nは、ガス容器20の配送準備や配送に必要な時間に安全率を考慮した幅の時間であればよい。
記憶部10には使用中のガス容器20のガスデータSi、過去のガスデータからなる履歴データShなどが格納され、蓄積されている。履歴データShには、過去のガスデータの他、ユーザーやガス容器20の属性情報、過去のガス切れ推定日、その通報日などがガス容器20の識別情報またはユーザー情報に関係付けられて格納されて保存されている。
【0018】
通報部12は管理センター26と有線または無線により接続され、データ処理部8の処理結果であるガス切れ推定日dxを通報日dyに管理センター26に向けて通報する。
管理センター26は、ガスメーター14およびガス切れ推定部16を単位としてユーザーを管理するとともに、ユーザーに対してガス容器20の配送および交換を行う。つまり、管理センター26はガス切れ推定部16からのガス切れ推定日dxの通報を受け、このガス切れ推定日dx前にガス容器20の配送処理を実行する。
なお、ガスメーター14およびガス切れ推定部16について、ガスメーター14の筐体内にガス切れ推定部16を一体に備えてよいし、ガス切れ推定部16をユニット化してガスメーター14に着脱可能に備えてよいし、ガスメーター14とガス切れ推定部16を有線または無線で接続してもよい。
【0019】
<ガスデータの一例>
交換時のガス容器20のたとえば、ガス容器20-1のガス残量の最大値をGmax、検出したガス使用量をgi、その積算値をΣgiとすれば、検出時点のガス残量Giは、
Gi=Gmax-Σgi ・・・(2)
で表すことができる(ただし、i=1、2、・・・、n)。そこで、ガスデータSiにはたとえば、ガス使用量gi、ガス残量Giのいずれを用いてもよい。
【0020】
<ガス切れ推定システム2のデータ処理>
このガス切れ推定システム2のデータ処理には、a.ガスデータSiの収集、b.ガスデータSiの蓄積、c.ガス切れ推定日dxの算出、d.通報日dyの算出、e.通報日dyの監視およびガス切れ推定日dxの通報、f.履歴データShの作成および保存、g.その他のデータ処理が含まれる。
a.ガスデータの収集
データ収集部6は、計測部4から時系列のガスデータSiを連続または不連続に取得して収集する。
【0021】
b.ガスデータSiの蓄積
データ収集部6に収集されたガスデータSiが記憶部10に蓄積され、保存される。つまり、現在使用中のガス容器20のガスデータSiは、履歴データShと区別されて記憶部10に格納される。
c.ガス切れ推定日dxの算出
データ処理部8は、ガスデータSiと履歴データShとを比較し、使用中のガス容器20のガス切れ推定日dxを算出する。このガス切れ推定日dxは使用中のガス容器20の識別情報に関係付けられて記憶部10に格納される。
d.通報日dyの算出
データ処理部8は、ガス切れ推定日dxの算出の後、その通報日dyを算出する。この通報日dyは、ガス切れ推定日dxと同様にガス容器20の識別情報に関係付けられて記憶部10に格納される。
【0022】
e.通報日dyの監視およびガス切れ推定日dxの通報
データ処理部8は、時間を計測して通報日dyの到来を監視する。この通報日dyが到来すると、データ処理部8は、有線または無線によりたとえば、ガス容器20の配送などを管理している管理センター26に向けて通報する。
f.履歴データShの作成および保存
ガス容器20の配送完了後、ガス使用中のガスデータSiは、配送完了またはガス切れ推定日dxの通報を契機に、履歴データShに組み込んで保存する。
【0023】
g.その他の処理
ガスデータSiは、ガス容器20の使用履歴、ガス切れ推定日dxの通報履歴、通報時期からガス容器20の交換記録などの管理情報とともに記憶部10に格納すればよい。
ガスデータSiについて、ガス使用量の推移情報、ユーザーの属性情報、温度情報、気象情報の何れかまたは2以上を含む変動情報を取得し、この変動情報を用いてガスデータSiを補正してもよい。
【0024】
<ガス切れ推定日および通報日の算出>
図2のAは、特定ユーザーの履歴データShを横軸に時間、縦軸にガス残量を取って示している。この履歴データShは、過去のガス残量の推移を表す履歴データ(過去のガスデータ)Sh1、Sh2、・・・、Shnの集合体である。例外として、使用履歴がなければ、標準ガスデータS0を履歴データShに用いてもよい。この履歴データShにおいて、Gmaxはガス残量の最大値であり、G0はガス切れに相当するガス残量の最小値である。Gmaxに幅があるのは、ガス容器20によって充填量が異なるためである。ガス切れ推定日dxについて、dx1、dx2、・・・、dxnは履歴データSh1、Sh2、・・・、Shnによりガス切れ推定日が異なることを示している。したがって、各ガス切れ推定日dxi(i=1、2、・・・、n)の通報日dyi(i=1、2、・・・、n)は、
dyi=dxi-N ・・・(2)
となる。この通報日dyiは履歴データSh1、Sh2、・・・、Shnとともに、記憶部10に格納されている。
【0025】
図2のBは、現在使用中のガス容器20のガスデータSiの推移を示している。
現在使用中のガス容器20について、時点tiでガス切れ推定日dxiを算出するには、ガスデータSiを履歴データShと対比する。履歴データShから時点tiを基準に、ガスデータSiと同一または最も近いガス残量値を含む履歴データShiを検索し、この履歴データShiを参照することにより、ガス使用中のガス容器20のガス切れ推定日dxiを算出する。
このガス切れ推定日dxiの通報日dyiは、ガス切れ推定日dxiと期間Nを用いて算出できる。
【0026】
<ガス切れ推定の処理シーケンス>
図3は、ガス切れ推定の処理シーケンスを示している。この処理シーケンスの処理はコンピュータを用いて実行するガス切れ推定方法の一例である。
計測部4は、ガス機器22に流れるガス流量を計測し、またはガス容器20のガス残量を計測し(S101)、ガスデータSiを出力する。
ガス切れ推定部16は、計測部4からガスデータSiを時系列で収集し(S102)、このガスデータSiを記憶部10に格納し、蓄積する(S103)。
使用中のガス容器20について、ガス切れ推定部16はガス容器20のガス残量の推移またはガス容器20の使用開始からの経過時間を監視し、ガス残量が基準値に到達しまたは経過時間が所定時間に到達したことを契機にガス切れ推定日dxを算出する(S104)。
このガス切れ推定日dxの算出では、既述したように、その時点tiのガスデータSiと、記憶部10の履歴データShを参照し、同時点tiでガスデータSiに相当するガス残量を含む履歴データShiを検索する。履歴データShiを参照することにより、ガスデータSiのガス切れ推定日dxiを算出する。
【0027】
このガス切れ推定日dxの算出の後、ガス切れ推定部16はガス切れ推定日dxよりN日だけ前の日時である通報日dyを算出する(S105)。
ガス切れ推定部16は時間の経過を監視し、通報日dyの到来を待って管理センター26に対し、ガス容器20またはガスユーザーの識別情報とともに、ガス切れ推定日dxを通報する(S106)。
ガス切れ推定日dxの通報を受けた管理センター26はガス容器20またはガスユーザーの識別情報とともに、ガス切れ推定日dxを提示し(S107)、ガス容器20の交換に必要な配送処理を実行する(S108)。
なお、この処理シーケンスにおいて、日々のガス使用量によって毎日、カス切れ推定日dxおよび通報日dyは変動するので、日毎に更新されるガスデータSiに基づき、ガス切れ推定日dxおよび通報日dyを日毎に算出し、通報日dyに到達する直前まで算出し続ける処理としてもよい。
【0028】
<一実施の形態の効果>
一実施の形態によれば、次の効果が得られる。
(1) ガス残量の推定精度が高められ、ガス切れやガス交換時点の予測精度が高められ、ガス容器20の交換回数を削減してガス容器交換の効率を高めることができる。
(2) ガス残量の少ないガス容器20を交換でき、配送者の負担を低減できる。
【実施例1】
【0029】
図4は、実施例1に係るガスメーターを示している。
図4において、
図1と同一部分には同一符号を付してある。
このガスメーター14には、筐体28内に既述のガス切れ推定システム2が内蔵されている。筐体28の前面には表示部30が配置され、この表示部30は通報部12の一例であり、数値表示部30-1および情報表示部30-2が備えられる。数値表示部30-1にはガス流量が表示される。情報表示部30-2は通報日dyにガス切れ推定日dxなどが表示される。
このガスメーター14には通信機能が備えられ、たとえば、インターネット32を媒介としてガス切れ推定日dxなどの情報が管理センター26に通報される。このインターネット32に代え独自の無線通信回線を用いてもよい。ガスメーター14と管理センター26の通信にはスマートフォンなどの情報端末を用いてもよいが、中継器や通信データ収集器を用いてもよい。通信データ収集器はn個の端末通信機からのデータを一括して収集し、データをまとめて管理センター26へ送信する中継機器を構成することができる。
【0030】
<ガスメーター14>
図5のAは、ガスメーター14のシステム構成を示している。
図5のAにおいて、
図1と同一部分には同一符号を付してある。
このガスメーター14には既述のように計測部4とともにガス切れ推定部16が備えられる。このガス切れ推定部16には既述の通報部12の一例として、表示部30に加えて通信部34が備えられる。通信部34は管理センター26との通信手段の一例である。
【0031】
図5のBは、ガス切れ推定部16のハードウェアを示している。このガス切れ推定部16はコンピュータで構成されており、プロセッサ36、メモリ部38、入出力部(I/O)40が備えられる。
プロセッサ36はメモリ部38にあるOS(Operating System)、ファームウェアプログラム、ガス切れ推定プログラムなど、各種のプログラムを実行し、既述のガス切れ推定システム2のデータ処理を行うとともに、メモリ部38やI/O40などの機能部を制御する。
メモリ部38にはROM(Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory )、RAM(Random-Access Memory)などの記憶素子が搭載され、ガスデータテーブル42や履歴データベース44(
図6)などが格納される。
【0032】
I/O40には計測部4、表示部30、通信部34などの機能部が接続されている。このI/O40にはプロセッサ36の制御により、計測部4からガスデータが取り込まれる。プロセッサ36の算出結果であるガス切れ推定日dx、通報日dyなどはI/O40から表示部30および通信部34に出力される。これにより、表示部30の情報表示部30-2(
図4)には通報日dy、ガス切れ推定日dxが表示される。
通信部34はプロセッサ36の制御により、有線または無線により管理センター26との通信を行う。この通信には管理センター26に対する通報として、ガスメーター14の識別情報に関係付けられたガス切れ推定日dxの通報が含まれる。
【0033】
<ガスデータテーブル42および履歴データベース44>
図6のAは、ガスデータテーブル42を示している。このガスデータテーブル42には一例として識別情報部46、時間情報部48、ガスデータ部50、ガス切れ推定日部52、通報日部54が備えられる。識別情報部46には使用中(計測中)のガス容器20を特定するID(IDentification)などの識別情報が格納される。時間情報部48にはガスデータSiの収集タイミング情報が格納される。ガスデータ部50には収集タイミングで収集されたガスデータが格納される。ガス切れ推定日部52には算出したガス切れ推定日dxが格納される。通報日部54には、ガス切れ推定日dxの通報日dyが格納される。
このガスデータテーブル42によれば、ガス容器20の識別情報に関係付けられた時間情報、ガスデータ、ガス切れ推定日およびその通報日が格納され、これらを容易に把握でき、認識することができる。
【0034】
図6のBは、履歴データベース44を示している。
図6のBにおいて、
図6のAと同一部分には同一符号を付してある。履歴データベース44には、既述の履歴データSh1、Sh2、・・・、Shn(
図2のA)が履歴データテーブル44-1、44-2、・・・、44-nにより格納されている。つまり、この履歴データベース44はユーザー情報に関係付けられており、複数の履歴データテーブル44-1、44-2、・・・、44-nの集合体である。
ガス容器20の配送完了後、各ガスデータテーブル42-1、42-2、・・・、42-nは、履歴データテーブル44-1、44-2、・・・、44-nとして履歴データベース44に構成される。
なお、ユーザーによっては、LPガスの導入時、ガスデータが存在していない場合が想定される。この場合には、履歴データベース44として、ユーザーの標準的使用を想定し、標準値として仮想履歴データを格納しておけばよい。
【0035】
<管理センター26>
図7のAは、管理センター26のハードウェアを示している。管理センター26は主としてガス容器20の配送などの管理業務を担当する。この管理を実現するため、管理センター26にはコンピュータが備えられ、プロセッサ56、メモリ部58、通信部60、入出力部(I/O)62および表示部64が備えられる。
プロセッサ56は、メモリ部58にあるプログラムを実行し、データ処理を行う。このデータ処理にはガスメーター14から通報されたガス切れ推定日dx前にガス容器20の配送のためのデータ処理が含まれる。
【0036】
メモリ部58はガスメーター14側のガス切れ推定プログラムを統括し、ガス配送業務を実行するためのプログラムを格納する。このメモリ部58にガスメーター14から提供されるガスデータテーブル42や履歴データベース44などを格納してもよい。
通信部60は、ガスメーター14と有線または無線によりデータの授受を行う。
I/O62には表示部64や操作入力部66が接続されている。表示部64にはガスメーター14から通報されたガス切れ推定日dxを含む提示情報が表示される。操作入力部66はキーボード、タッチパネル、マウス、バーコード入力装置などのユーザーインターフェースが接続され、ガス容器20の配送管理に関する情報入力に用いられる。たとえば、ユーザーにガスメーター14の配送を完了した際、その完了結果などの入力が行われる。
【0037】
<表示部64の情報提示>
図7のBは、表示部64の表示例を示している。表示部64には、ガスメーター14からのガス切れ推定日dxの通報を契機に通報表示テーブル68が表示される。この通報表示テーブル68には識別情報部70、通報部72、ユーザー情報部74、ガス容器情報部76などが備えられる。
識別情報部70にはガスデータテーブル42の識別情報部46と同様の識別情報が表示される。この識別情報にはガス容器20のIDなどが含まれる。
【0038】
通報部72にはガスメーター14から提供されたガス切れ推定日dx、通報日dyなどのガス切れに関する特定情報が表示される。
ユーザー情報部74にはユーザーの属性情報としてたとえば、ユーザー名、所在地、電話番号などが表示される。
ガス容器情報部76には、ガス容器20の従前の交換日や交換完了などのガス容器交換に関する情報が格納される。ガス容器20の交換を完了すれば、その旨の情報が表示される。
【0039】
この通報表示テーブル68の表示画面において、ユーザー情報部74のたとえば、所在地表示をクリックすれば、地図表示ウインドウ78が展開される。この地図表示ウインドウ78にはユーザーの所在地近郊を表す地図が表示されるとともに、交通情報表示ウインドウ80が重ねて表示される。この交通情報表示ウインドウ80には通報日dyに取得された交通情報が表示される。
【0040】
<ガス切れ推定処理>
図8は、ガス切れ推定の処理シーケンスを示している。この処理シーケンスにはガスメーター14側の処理手順と管理センター26側の処理手順が含まれる。
ガス切れ推定部16は、ガス容器20の交換などの配送が行われると(S201)、これを契機に初期化を行う(S202)。つまり、ガスデータSiの計測やガスデータテーブル42の更新を停止する。
初期化を契機に、ガスメーター14の計測部4では新たにガス流量またはガス残量の計測を開始し(S203)、ガスデータSiを出力する。
【0041】
ガス切れ推定部16は、計測部4からガスデータSiを時系列で収集し(S204)、このガスデータSiを記憶部10に格納し、蓄積する(S205)。つまり、ガスデータSiがガスデータテーブル42に書き込まれて保存される。
使用中のガス容器20について、ガス切れ推定部16はガス容器20のガス残量の推移またはガス容器20の使用開始からの経過時間を監視し、ガス残量が基準値に到達し、または経過時間が基準時(たとえば、基準日)に到達したことを契機にガス切れ推定日dxを算出する(S206)。
このガス切れ推定日dxの算出では、既述したように、その時点tiのガスデータSiと、記憶部10の履歴データテーブル44からガスデータSiと同一または近似の履歴データShiを検索する。この履歴データShiを参照し、ガスデータSiのガス切れ推定日dxiを算出する。
【0042】
このガス切れ推定日dxの算出の後、ガス切れ推定部16はガス切れ推定日dxよりN日だけ前の日時である通報日dyを算出する(S207)。
ガス切れ推定部16は時間の経過を監視し、通報日dyの到来を待って管理センター26に対し、ガス容器20またはガスユーザーの識別情報とともに、ガス切れ推定日dxを通報する(S208)。
ガス切れ推定日dxの通報を受けた管理センター26はガス容器20またはガスユーザーの識別情報とともに、ガス切れ推定日dxを提示し(S209)、ガス容器20の交換に必要な配送処理を実行する(S210)。
【0043】
そして、管理センター26は、配送管理者またはガスメーター14からのガス容器の交換完了通知を受け、通報表示テーブル68のガス容器情報部76に交換完了情報を提示した後、所定時間後に通報表示テーブル68の表示をリセットする(S211)。
【0044】
<ガス切れ推定日dxの算出の契機>
ガス切れ推定日dxの算出精度は、ガス容器20のガス残量と密接に関係する。ガス残量の最少化はガス切れ推定日dxの算出精度に依存し、配送負荷の低減に不可欠である。
そこで、ガス切れ推定日dxの算出には、ガス容器20の使用時からの時間的な基準日、またはガス使用を考慮したガス残量に基準値を設定すればよい。
算出の基準時としては、履歴データベース44を参照し、使用開始から従前に算出したガス切れ推定日dxiから基準日を設定すればよい。
ガス残量の基準値としては、履歴データベース44を参照し、従前に算出したガス切れ推定日dxiを参照してガス残量の基準値を設定すればよい。
【0045】
<ガス切れ推定日dxの学習およびその通報の契機>
(1) ガス切れ推定日dxのガス容器20のガス残量を計測し、その計測値を経験値として履歴データベース44に格納する。この経験値をガス切れ推定日dxの補正に利用すれば、ガス切れ推定日dxとガス残量との関係を最適化することができる。
(2) 通報日dyの決定には、管理センター26における配送の忙閑状態やユーザーが所在する地域の交通事情などの変動情報を補正値として利用すれば、配送管理者への融通性が高められる。
【0046】
<実施例1の効果>
この実施例1によれば、次の効果が得られる。
(1) ユーザーに配置されたガス容器20からガス機器22に流れる使用ガス流量を検出するガスメーター14から多頻度計測によりガス残量を把握してガス切れ推定日dxを特定できるので、効率のよいLPガスの利用システムを構築できる。
(2) ガス切れなどの不測の事態を回避できるとともに、ガス容器交換時のガス残量を低減できるので、配送負荷を削減でき、効率のよい配送システムを構築できる。
(3) ガス残量の把握およびガス切れ推定日をガスメーター14側で特定でき、管理センター26側のデータ処理負荷を拡大することなく、効率のよいガス切れ推定システムを構築することができる。
【0047】
(4) 管理センター26側ではガスメーター14との通信を通じてガスメーター14側のガス切れ推定の処理を管理でき、ガス切れ推定の負荷分散を図ることができる。
(5) 従来のLPガスのガス切れ推定を検針員や配送員の経験に委ねていた配送システムを改善でき、ガス切れの防止を図ることができるとともに、業務効率を改善でき、業務コストを低減できる。
(6) ガスメーター14側のデータ処理で算出されたガス切れ推定日を管理センター26で受ける程度であるため、通信の情報量が少なく、データトラフィックの負担を軽減できる。
(7) ガスメーター14の表示部30からガス切れ推定日dxを直接読み取ることができ、迅速にガス切れ推定日を認識できる。
【実施例2】
【0048】
図9は、実施例2に係るガス切れ推定システム2を示している。
図9において、
図5のAと同一部分には同一符号を付してある。
通信部34と有線または無線で接続される管理センター26には、気象情報源82が接続され、この気象情報源82から気象情報が取り込まれる。気象情報源82は、ガス切れ推定日dxに影響する変動情報を収集するための変動情報源の一例である。
管理センター26は、ユーザーの所在する地域の季節、温度、天気などの気象情報を気象情報源82から取得し、変動情報として通信部34との通信を利用し、データ処理部8に提供する。
変動情報として気象の変化は、ガス容器20のガス生成の産気率に影響し、計測部4が計測するガス流量とガス残量の関係に影響を与え、ガス切れ推定日dxと密接な関係がある。
【0049】
<ガス切れ推定の処理シーケンス>
図10は、実施例2に係るガス切れ推定の処理シーケンスを示している。この処理シーケンスでは、気象情報を含む変動情報を用いてガス切れ推定日dxを算出する。
ガス切れ推定部16は、ガス容器20の交換などの配送が行われると(S301)、これを契機に初期化を行う(S302)。
この初期化を契機に、ガスメーター14の計測部4では新たにガス流量またはガス残量の計測を開始し、ガスデータSiを出力する。
【0050】
ガス切れ推定部16は、計測部4からガスデータSiを時系列で収集するとともに(S303)、気象情報源82からユーザー所在の地域の気象情報を取得する(S304)。ガス切れ推定部16は、気象情報によりガスデータSiの補正を行い(S305)、このガスデータを記憶部10に格納し、蓄積する(S306)。
使用中のガス容器20について、既述のように、ガス切れ推定部16はガス容器20のガス残量の推移またはガス容器20の使用開始からの経過時間を監視し、ガス残量が基準値に到達し、または経過時間が基準日に到達したことを契機にガス切れ推定日dxを算出する(S307)。
【0051】
このガス切れ推定日dxの算出(S308)、通報日dyの算出(S308)、ガス切れ推定日dxの通報(S309)は既述の通りであるので説明を割愛する。
なお、実施例2では、変動情報として気象情報を例示したが、ユーザーのガス使用などの状況を変動情報に加え、またはこれらを補正情報としてガス切れ推定日dxや通報日dyを算出してもよい。
【0052】
<実施例2の効果>
この実施例2によれば、次の効果が得られる。
(1) ガス切れ推定日dxの算出には使用量の変動や季節、温度、天気、ガス使用者の状況などの変動情報をガスデータSiの補正値として利用するので、ガス切れ推定日dxの算出精度を高めることができ、交換時のガス残量を低減できる。
(2) 配送負荷を低減でき、配送効率を高めることができる。
【実施例3】
【0053】
実施例1または実施例2に記載したガス切れ推定日dxおよび通報日dy、ガス使用の形態については実施例1または実施例2の記載に限定されるものではない。
ガス切れ推定日dxおよび通報日dy、ガス使用の形態について、日々のガス使用量によって毎日、ガス切れ推定日dx、通報日dyが変動するので、日毎に更新されるガスデータSiに基づき、ガス切れ推定日dxおよび通報日dyを日毎に算出し、通報日dyに到達する直前まで算出し続ける処理としてもよい。
【0054】
<実施例3の効果>
この実施例3によれば次の効果が得られる。
(1) ガス使用量が日々変動しても、その変動に応じた精度の高いガス切れ推定日dxおよび通報日dyを算出でき、利便性の高いガス切れ推定システムを構築できる。
(2) ガス切れ直前までガスを使用できるので、ガス容器のガス残量を最小値にまで追い込むことができ、ガス残量の少ないガス容器を交換でき、ガス容器交換の負荷やコストを低減することができる。
【0055】
〔他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、ガスメーター14側にガス切れ推定部16を備えることを例示しているが、管理センター26とガスメーター14とを結ぶ中継基地にガス切れ推定部16を設置することにより、ガス切れ推定日を算出してもよい。
(2) 上記実施の形態および実施例では、ガス切れ推定日dxの通報タイミングとして通報日dyを示したが、通報時期は通報日dyに限定されず、通報時、通報時期、一定の時間幅を持つ通報時間のいずれでもよい。
【0056】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
この発明によれば、ガスメーター側でガス切れ推定を行うので、管理センター側の負担を軽減できるとともに、LPガスユーザーに直結した形態でガス切れを防止でき、効率のよいLPガスの利用システムを構築できる。
【符号の説明】
【0058】
2 ガス切れ推定システム
4 計測部
6 データ収集部
8 データ処理部
10 記憶部
12、72 通報部
14 ガスメーター
16 ガス切れ推定部
18 ガス供給路
20、20-1、20-2 ガス容器
22、22-1、22-2 ガス機器
24 切換器
26 管理センター
28 筐体
30、64 表示部
30-1 数値表示部
30-2 情報表示部
32 インターネット
34、60 通信部
36、56 プロセッサ
38、58 メモリ部
40、62 入出力部(I/O)
42、42-1、42-2・・・42-n ガスデータテーブル
44 履歴データベース
44-1、44-2・・・44-n 履歴データテーブル
46 識別情報部
48 時間情報部
50 ガスデータ部
52 ガス切れ推定日部
54 通報日部
66 操作入力部
68 通報表示テーブル
70 識別情報部
74 ユーザー情報部
76 ガス容器情報部
78 地図表示ウインドウ
80 交通情報表示ウインドウ
82 気象情報源