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特許7094488洗浄水タンク装置、及び、それを備えた水洗大便器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】洗浄水タンク装置、及び、それを備えた水洗大便器
(51)【国際特許分類】
   E03D 1/01 20060101AFI20220627BHJP
   E03D 1/26 20060101ALI20220627BHJP
   E03D 1/32 20060101ALI20220627BHJP
   E03D 1/012 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
E03D1/01 Z
E03D1/26
E03D1/32
E03D1/012
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018058555
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2019167788
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】柏村 英明
(72)【発明者】
【氏名】黒木 恵子
(72)【発明者】
【氏名】羽生 亜矢子
(72)【発明者】
【氏名】下川 雄基
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-070415(JP,A)
【文献】特開2011-144521(JP,A)
【文献】特開2014-029082(JP,A)
【文献】特開2015-068054(JP,A)
【文献】特開平09-013463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
停電時に洗浄水を貯水できる洗浄水タンク装置であって、
便器に供給する洗浄水を貯水し且つ上部に第1の開口が形成された洗浄水タンクと、
上記洗浄水タンクの外部の給水源からの洗浄水を上記洗浄水タンクに供給する水供給管と、
上記洗浄水タンク内に洗浄水を給水する給水装置と、
上記第1の開口を覆う蓋状部材とを有し、
上記給水装置は、
上記洗浄水タンクの内部に設けられる給水口部と、
上記洗浄水タンクの外部において上記水供給管と接続される接続部と、
上記接続部から上記給水口部まで延びる給水流路と、
上記蓋状部材の外方に設けられる電磁弁機構により上記給水流路を開閉する電動式流路開閉装置と、
上記洗浄水タンクの内部に設けられる機械式機構により上記給水流路を開閉する機械式流路開閉装置と、を備え、
上記電動式流路開閉装置は、上記第1の開口よりも上方に配置され、
上記洗浄水タンクは、第1の底面と、上記第1の底面よりも上方且つ上記給水装置の上記接続部より上方に形成されると共に満水水位より下方に形成される第2の底面とを備えることを特徴とする洗浄水タンク装置。
【請求項2】
上記洗浄水タンクの上記第2の底面は、上記洗浄水タンクの側方領域に形成されている、請求項1記載の洗浄水タンク装置。
【請求項3】
上記洗浄水タンクの上記第2の底面は、上記洗浄水タンクの側壁まで延びている、請求項1記載の洗浄水タンク装置。
【請求項4】
上記洗浄水タンクの上記第2の底面は、上記洗浄水タンクの正面側の縦壁まで延びている、請求項1記載の洗浄水タンク装置。
【請求項5】
上記蓋状部材は、
上記第1の開口を一部覆うように形成され且つ上記第1の開口よりも小さい第2の開口を形成する第1蓋状部材と、
上記第2の開口を覆う第2蓋状部材とを備え、
上記第1蓋状部材と上記第2蓋状部材とを組合せることにより、上記第1蓋状部材と上記第2蓋状部材との間に上記電動式流路開閉装置の取付部を挟み込むような取付構造が形成される、請求項1乃至4の何れか1項に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項6】
さらに、上記電動式流路開閉装置の取付部の外周と、上記取付構造との間をシールするシール部材を備えている、請求項5に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項7】
上記蓋状部材の上記第1蓋状部材は、つば部を備え、上記つば部には水を誘導する誘導部が形成されている、請求項6に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項8】
さらに、上記洗浄水タンクの下方に設けられ且つ上記洗浄水タンクを支持する基板を備え、
上記基板は、その上面且つ上記誘導部の下方においてU字状に形成された水受け部を備えている、請求項7に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項9】
上記電動式流路開閉装置は、上記洗浄水タンクの正面側に設けられている、請求項1乃至8の何れか1項に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかに記載の洗浄水タンク装置を備えた水洗大便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄水タンク装置に係り、特に、停電時に便器を洗浄する洗浄水を貯水できる洗浄水タンク装置、及び、それを備えた水洗大便器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されているように、停電時に洗浄水を貯水できる洗浄水タンク装置として、電磁弁装置と機械式開閉弁装置とを備えた給水装置によって洗浄水タンクへの給水を行う洗浄水タンク装置が知られている。
【0003】
図11に示すように、この洗浄水タンク装置118において、給水装置132のうち、洗浄水タンク120内の水位を検知するフロート(図示せず)を備えた機械式開閉弁装置(図示せず)、及び洗浄水タンク120内に吐水する給水口部146等は、洗浄水タンクの内部に配置される必要がある。
一方で、洗浄水タンク120内の洗浄水から生じる蒸気が悪影響を及ぼすことを抑制するために電磁弁装置152は洗浄水タンク120外に配置されている。これに伴って、電磁弁装置152の弁体が閉止する流路も洗浄水タンク120外に配置されている。給水源からの洗浄水を洗浄水タンク120まで供給する水供給管130は、洗浄水タンク120の下方から立ち上がるように形成される。水供給管130は、洗浄水タンク装置118の側方側に配置される。水供給管130を比較的真っすぐ立ち上がるように延ばすと電磁弁装置152と比較的簡単に接続できる。このため、洗浄水タンク120は、水供給管130や電磁弁装置152を配置するため、その側部の一部をその上端部から下端部までタンクの内側に向かって凹ませる切り欠き構造121を形成していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-70415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、洗浄水タンク120において切り欠き構造121が形成された領域は、貯水領域として使えない領域となり、洗浄水タンク120に規定の洗浄水量を貯水するためには満水水位を上昇させる必要が生じていた。よって、洗浄水タンク120の高さを高くする必要が生じ、洗浄水タンク装置118の高さを低くするローシルエット化を阻害してしまうという課題があった。
【0006】
また、洗浄水タンク装置118においては、洗浄水タンク120の壁面を挟んで外部側に給水装置132の電磁弁装置152や電磁弁側の流路が配置され、洗浄水タンク120の壁面を挟んで内部側に機械式開閉弁装置及び給水口部146が配置され、壁面を貫通させた比較的長い距離の流路によりこれらが連通されている。よって、給水装置が比較的大型な装置として形成されやすく、洗浄水タンク装置118をローシルエット化しにくいという課題もあった。
【0007】
さらに、洗浄水タンク120の前方から隠れるような後方側の位置に切り欠き構造121が形成されるので、水供給管130と給水装置132との接続部の接続作業やメンテナンス作業を行うことがしにくいという課題があった。また、給水装置132の流路が洗浄水タンク120の壁面を貫通して配置されるため組立がしにくいという課題もあった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、停電時に洗浄水を貯水できる洗浄水タンク装置において、ローシルエット化することができる洗浄水タンク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、停電時に洗浄水を貯水できる洗浄水タンク装置であって、便器に供給する洗浄水を貯水し且つ上部に第1の開口が形成された洗浄水タンクと、上記洗浄水タンクの外部の給水源からの洗浄水を上記洗浄水タンクに供給する水供給管と、上記洗浄水タンク内に洗浄水を給水する給水装置と、上記第1の開口を覆う蓋状部材とを有し、上記給水装置は、上記洗浄水タンクの内部に設けられる給水口部と、上記洗浄水タンクの外部において上記水供給管と接続される接続部と、上記接続部から上記給水口部まで延びる給水流路と、上記蓋状部材の外方に設けられる電磁弁機構により上記給水流路を開閉する電動式流路開閉装置と、上記洗浄水タンクの内部に設けられる機械式機構により上記給水流路を開閉する機械式流路開閉装置と、を備え、上記洗浄水タンクは、第1の底面と、上記第1の底面よりも上方且つ上記給水装置の上記接続部より上方に形成される第2の底面とを備えることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、停電時に洗浄水を貯水できる洗浄水タンク装置において、給水装置が蓋状部材の外方に設けられる電磁弁機構により上記給水流路を開閉する電動式流路開閉装置と、洗浄水タンクの内部に設けられる機械式機構により上記給水流路を開閉する機械式流路開閉装置と、を備える場合に、洗浄水タンクは、第1の底面と、上記第1の底面よりも上方且つ上記給水装置の上記接続部より上方に形成される第2の底面とを備えている。このような構造を有する洗浄水タンク装置において、第2の底面より上方の領域に洗浄水を貯水することができる。本発明によれば、従来の洗浄水タンクにおいて給水装置の下方までの比較的大きな切り欠き領域として形成され貯水領域として使えなかった領域に、洗浄水を貯水することができ、洗浄水タンクの満水水位を下げることができる。従って、停電時に洗浄水を貯水できる洗浄水タンク装置において、洗浄水タンク装置をローシルエット化することができる。
また、例えば、停電時に洗浄水を貯水できる洗浄水タンク装置において、電動式流路開閉装置の電磁弁機構を蓋状部材の外方に設けることにより洗浄水タンク内の洗浄水から生じた蒸気が電磁弁機構に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。さらに、給水装置の大部分、例えば電動式流路開閉装置以外の基本的な構造の給水流路、機械式流路開閉装置が、洗浄水タンクの内部に設けられている。よって、洗浄水タンク内に延びる給水流路と機械式流路開閉装置との距離を比較的近くすることができる。これにより、給水装置を比較的小型に形成することができ、従来のように洗浄水タンクの壁面を跨ぐように給水装置の流路を配置する切欠きを洗浄水タンクに設ける必要がなくなり、本発明のように給水装置の大部分を内部に収める洗浄水タンクを比較的小型に形成することができる。従って、停電時に洗浄水を貯水できる洗浄水タンク装置において、洗浄水タンク装置をローシルエット化することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、洗浄水タンクの上記第2の底面は、上記洗浄水タンクの側方領域に形成されている。
このように構成された本発明においては、洗浄水タンクの第2の底面は、洗浄水タンクの側方領域に形成されているので、洗浄水タンクの中心よりも側方側に配置される水供給管を第2の底面の下方の接続部まで側方方向に延ばす距離を抑制することができる。よって、この水供給管を配置できるような空間を確保するため、洗浄水タンクを内側に向けて切り欠く領域の大きさを抑制することができる。従って、洗浄水タンクの容量の低下を抑制することができ、洗浄水タンク装置をよりローシルエット化することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、洗浄水タンクの上記第2の底面は、上記洗浄水タンクの側壁まで延びている。
このように構成された本発明においては、第2の底面よりも下方に給水装置の接続部を収容する収容空間を比較的コンパクトに形成することができると共に、洗浄水タンクの側方から接続部の接続作業やメンテナンス作業を行うことができ、接続部に対する作業性を向上させることができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、洗浄水タンクの上記第2の底面は、上記洗浄水タンクの正面側の縦壁まで延びている。
このように構成された本発明においては、第2の底面の下方に配置される給水装置の接続部に対し、洗浄水タンクの正面側から接続部の接続作業やメンテナンス作業を行うことができ、接続部に対する作業性をより向上させることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、上記蓋状部材は、上記第1の開口を一部覆うように形成され且つ上記第1の開口よりも小さい第2の開口を形成する第1蓋状部材と、上記第2の開口を覆う第2蓋状部材とを備え、上記第1の蓋状部材と上記第2の蓋状部材とを組合せることにより、上記第1の蓋状部材と上記第2の蓋状部材との間に上記電動式流路開閉装置の取付部を挟み込むような取付構造が形成される。
このように構成された本発明においては、第1の蓋状部材と第2の蓋状部材とを組合せることにより、第1の蓋状部材と第2の蓋状部材との間に上記電動式流路開閉装置の取付部を挟み込むように取付けることができる。従って、上記電動式流路開閉装置への蒸気の悪影響を抑制でき且つ洗浄水タンク装置をローシルエット化することができると共に、電動式流路開閉装置を蓋状部材の外方に設ける構造の組立性を向上させることができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、さらに、上記電動式流路開閉装置の取付部の外周と、上記取付構造との間をシールするシール部材を備えている。
このように構成された本発明においては、電動式流路開閉装置が蓋状部材の外方に設けられている場合に、シール部材が、電動式流路開閉装置の取付部の外周と、第1の蓋状部材と第2の蓋状部材とにより形成された取付構造との間からの水漏れを抑制することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、蓋状部材の上記第1蓋状部材は、つば部を備え、上記つば部には水を誘導する誘導部が形成されている。
このように構成された本発明においては、第1蓋状部材はつば部を備え、このつば部には、水を誘導する誘導部が形成されているので、仮に電動式流路開閉装置から第1蓋状部材の外部側に水漏れが生じた場合においても、水をつば部から誘導部を介して水にぬれても影響の少ない部分に誘導することができ、水漏れの他の電子機器への影響を抑制することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、さらに、上記洗浄水タンクの下方に設けられ且つ上記洗浄水タンクを支持する基板を備え、上記基板は、その上面且つ上記誘導部の下方においてU字状に形成された水受け部を備えている。
このように構成された本発明においては、基板は、その上面且つ誘導部の下流端の下方においてU字状に形成された水受け部を備えている。よって、誘導部から落下した水が、水受け部に衝突した衝撃により周囲に飛散することを抑制することができ、基板に取付けられる電子機器等に水が付着することを抑制することができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、上記電動式流路開閉装置は、上記洗浄水タンクの正面側に設けられている。
このように構成された本発明においては、電動式流路開閉装置は洗浄水タンクの正面側に設けられているため、メンテナンスの作業者がメンテナンス作業を行う際に洗浄水タンクの正面側から電動式流路開閉装置にアプローチすることができ、メンテナンス時の作業性を向上することができる。
【0018】
また、本発明は、一実施形態による洗浄水タンク装置を備えた水洗大便器である。
このように構成された本発明においては、洗浄水タンクを含めた水洗大便器をローシルエット化することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の洗浄水タンク装置によれば、停電時に洗浄水を貯水できる洗浄水タンク装置において洗浄水タンク装置をローシルエット化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器の断面図である。
図2】本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置を前方左側から見た斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置の上面図である。
図4】本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置の正面図である。
図5】本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置を第2蓋状部材を外した状態で上方から見た上面図である。
図6】本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置を第1蓋状部材及び第2蓋状部材を外した状態で上方から見た上面図である。
図7図3のVII-VII線に沿って見た断面図である。
図8図3のVIII-VIII線に沿って見た断面図である。
図9図3のIX-IX線に沿って見た断面図である。
図10図4のX-X線に沿って見た断面図である。
図11】従来の洗浄水タンク装置を便器後方左側斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
つぎに、添付図面により、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置を説明する。
まず、図1により、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器の断面図である。
【0022】
図1に示すように、符号1は水洗大便器を示し、この水洗大便器1は、便器本体2を備え、この便器本体2には、ボウル部4と、導水路6と、ボウル部4の下部と連通する排水トラップ管路8がそれぞれ形成されている。
便器本体2のボウル部4の上縁部には、内側にオーバーハングしたリム10と、導水路6から供給される洗浄水を吐水する第1吐水口12が形成され、この第1吐水口12から吐水された洗浄水は、旋回しながら下降してボウル部を洗浄するようになっている。
本実施形態の水洗大便器1は、本発明を床置き式の水洗大便器に適用した例であるが、本発明はこれ以外の、例えば、壁掛け式の水洗大便器に適用することもできる。
【0023】
ボウル部4の下方には、一点鎖線で貯留面W0が示された溜水部14が形成されている。この溜水部14の下方には、排水トラップ管路8の入口8aが開口し、この入口8aから上昇路8bが後方に延びている。この上昇路8bには下降路8cが連続し、下降路8cの下端は排水ソケット(図示せず)を介して床下の排出管(図示せず)に接続されている。また、ボウル部4の貯留面W0の上方位置には、導水路6から供給される洗浄水を吐水する第2吐水口16が形成され、この第2吐水口16から吐水される洗浄水が溜水部14の溜水を上下方向に旋回させる旋回流を生じさせるようになっている。
【0024】
便器本体2の導水路6の上方には、便器本体2に供給する洗浄水を貯水する洗浄水タンク装置18が設けられ、この洗浄水タンク装置18に貯水された洗浄水が便器本体2に供給されるようになっている。洗浄水タンク装置18は、自身の高さが比較的低く形成されているいわゆるローシルエットタンクである。この洗浄水タンク装置18は、停電時に洗浄水を貯水できる機能を有している。この洗浄水タンク装置18は、外装カバー19に覆われている。この洗浄水タンク装置18は、便器に供給する洗浄水を貯水する洗浄水タンク20を備え、この洗浄水タンク20の底部には、上下方向に延びる排水口22が形成され、この排水口22の下端は便器本体2の導水路6と連通し、洗浄水タンク20内の洗浄水が排水口22から便器本体2の導水路6に供給されるようになっている。
【0025】
便器本体2には、後述する基板35上に洗浄水タンク装置18の動作を制御できる制御部21が設けられている(図1参照)。制御部21は、有線又は無線により、壁面に設けられ且つ使用者が洗浄開始を操作できる操作部(図示せず)、後述するフロートスイッチ28、回動装置38、給水装置32の電動式流路開閉装置52等と電気的に接続されている。制御部21は、CPU、メモリ等を内蔵し、操作部の操作又は自己の設定により、これらの各装置等に作動信号を送り、各装置等を作動させる機能を有する。
【0026】
つぎに、図2乃至図10により、洗浄水タンク装置18の詳細について説明する。
図2は本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置を前方左側から見た斜視図であり、図3は本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置の上面図であり、図4は本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置の正面図であり、図5は本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置を第2蓋状部材を外した状態で上方から見た上面図であり、図6は本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置を第1蓋状部材及び第2蓋状部材を外した状態で上方から見た上面図であり、図7図3のVII-VII線に沿って見た断面図であり、図8図3のVIII-VIII線に沿って見た断面図であり、図9図3のIX-IX線に沿って見た断面図であり、図10図4のX-X線に沿って見た断面図である。なお、図7においては、洗浄水タンクの満水時の満水水位をWL1で示している。
以下、本発明の一実施形態における説明において、水洗大便器1を使用する使用者側(水洗大便器1を使用するために水洗大便器1の前に立っている使用者側)から見て手前側を前方側(正面側)とし、使用者から見て奥側を後方側とし、洗浄水タンク装置18を前方から見て右側を右側とし、前方から見て左側を左側とし、洗浄水タンク装置18を前方から見て右側又は左側を側方側として説明している。
【0027】
図2乃至図8に示すように、洗浄水タンク装置18は、自身の上部に第1の開口24が形成された洗浄水タンク20と、この洗浄水タンク20に貯えられた洗浄水について排水口22を開放して便器本体2の導水路6に流出させる排水弁装置26と、洗浄水タンク20の満水水位WL1を電気的に検知するフロートスイッチ28と、洗浄水タンク20の外部の給水源からの洗浄水を洗浄水タンク20に供給する水供給管30と、洗浄水タンク20内に洗浄水を給水する給水装置32と、第1の開口24を覆う蓋状部材33と、洗浄水タンク20を支持する基板35とを備えている。
【0028】
図7に示すように、排水弁装置26は、オーバーフロー管34と、オーバーフロー管34の下端部に固着された排水弁36と、オーバーフロー管34を上下動させることにより排水弁36を開閉操作する回動装置38を備えている。排水弁36は、洗浄水タンク20の底面に設けられた排水弁座37に着座して排水口22を密閉するようになっている。また、洗浄水タンク20の排水口22の周辺部には、排水弁36の上下動をガイドし且つ高さ位置を規制するガイド部材40が取り付けられている。
【0029】
オーバーフロー管34は、上下方向に延びる円筒状の管部材である。そして、洗浄水タンク20内の洗浄水の水位が、満水水位WL1を超えて上昇し、オーバーフロー管34の上端の高さ位置を上回ったときには、洗浄水がオーバーフローし、オーバーフロー管34の上端からその円筒管内を通って洗浄水タンク20の排水口22から便器本体2側に供給されるようになっている。
【0030】
さらに、回動装置38は、DCモータ等の駆動手段を設けた駆動装置である、この回動装置38から延びる回転軸42の先端には、玉鎖44が取り付けられている。この玉鎖44の下方部分は、オーバーフロー管34に取り付けられている。回動装置38が玉鎖44を上方に引き上げるように回転軸42を回転させると、オーバーフロー管34が玉鎖44と共に上昇し、回動装置38が玉鎖44を引き下げるように回転軸42を回転させると、オーバーフロー管34が玉鎖44と共に下降するようになっている。
回動装置38は、停電時に、使用者が操作レバー(図示せず)を直接回転操作して回転軸42を回転させて排水弁36の開閉ができるような手動式の操作機構を備えている。
【0031】
フロートスイッチ28は、洗浄水タンク20の内部の上方に配置され、洗浄水タンク20の頂部よりその軸心部が下向きになるように取付けられている。フロートスイッチ28は、所定の満水水位WL1を電気的に検知し、その検知信号を制御部21に送信するようになっている。
【0032】
図2及び図9図10に示すように、水供給管30は、床置き式の水洗大便器1において洗浄水タンク20の中心よりも側方側において建物の床面又は壁面から洗浄水タンク20の下部の高さまで上昇するように配置される。水供給管30は、壁掛け式の水洗大便器を採用した場合においても、建物の床面又は壁面から洗浄水タンク20の下部の高さまで上昇するように配置される。水供給管30は、便器本体2及び洗浄水タンク20の外部側に配置される。水供給管30は、ホース等の可撓性配管により形成される。水供給管30は、給水装置32の後述する接続部48と接続される。
【0033】
つぎに、図6図7図9及び図10により、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置の給水装置32の具体的な構成について説明する。
給水装置32は、洗浄水タンク20の内部に設けられる給水口部46と、洗浄水タンク20の外部において水供給管30と接続される接続部48と、接続部48から給水口部46まで延びる給水流路50と、蓋状部材33の外方に設けられる電磁弁機構により給水流路50を開閉する電動式流路開閉装置52と、洗浄水タンク20の内部に設けられる機械式機構により給水流路を開閉する機械式流路開閉装置54(図6及び図10参照)と、を備えている。
【0034】
さらに、給水装置32は、給水流路50中に設けられる主弁座56と、給水流路50中に設けられ且つ主弁座56に着座して二次側通水路64を閉止する止水状態と主弁座56から離間して二次側通水路64を開放する給水状態とを切り換えるダイヤフラム弁であるダイヤフラム弁体58と、給水流路50のうち、洗浄水タンク20の外部の給水源からの洗浄水を供給する第1給水流路である一次側通水路60と、給水流路50においてダイヤフラム弁体58の主弁座56側と反対側に設けられ且つ内部の洗浄水の圧力が変動する圧力室62と、給水流路50のうち、洗浄水タンク20の内部の給水口部46に洗浄水を供給する第2給水流路である二次側通水路64と、圧力室62の内部圧力を洗浄水タンク20に開放できるように圧力室62から洗浄水タンク20に延びる第1流路である第1パイロット流路66と、圧力室62の内部圧力を洗浄水タンク20に開放できるように圧力室62から洗浄水タンク20に延びる第2流路である第2パイロット流路68とを備えている。
【0035】
主弁座56は、二次側通水路64の入口端に設けられている。主弁座56は、一次側通水路60と二次側通水路64との間に設けられている。
ダイヤフラム弁体58には一次側通水路60と圧力室62とを連通するブリード穴(図示せず)が形成されている。ダイヤフラム弁体58は、圧力室62の内部圧力及び一次側通水路60の水圧力との圧力差により主弁座56に向かって当接する方向又は主弁座56から離間する方向に移動するように設置されている。ダイヤフラム弁体58に形成されたブリード穴により、ダイヤフラム弁体58が閉弁した状態において、一次側通水路60と圧力室62とが連通して、圧力室62に一次側通水路60からの水圧が作用するようになっている。
【0036】
圧力室62は、内部の圧力上昇時にはダイヤフラム弁体58を主弁座56へ向かって移動させ、且つ内部の圧力低下時にはダイヤフラム弁体58を主弁座56から離間するように移動させる。
【0037】
電動式流路開閉装置52は、制御部21によって電気的に制御される電磁弁装置である。電動式流路開閉装置52は、第1パイロット流路66の第1弁座66aに着座して、第1パイロット流路66を閉止できるように形成されている第1弁体70と、第1弁体70を電気的に作動させる電磁弁機構72とを備えている。電動式流路開閉装置52は、フロートスイッチ28が洗浄水タンク20の満水水位WL1を電気的に検知していない場合には、第1弁体70を第1弁座66aから離間させて第1パイロット流路66を開放させ、フロートスイッチ28が洗浄水タンク20の満水水位WL1を電気的に検知している場合には、第1弁体70を第1弁座66aに押し付けて閉止させて第1パイロット流路66を閉止させるようになっている。
【0038】
電動式流路開閉装置52は、第1弁体70により第1パイロット流路66を開閉させることにより、ダイヤフラム弁体58を開閉させることができ、洗浄水の洗浄水タンク20内への吐水と止水を切り替える機能を有する。電動式流路開閉装置52のうち少なくとも電磁弁機構72は、電子部品が洗浄水タンク20内の湿度の高い空気の影響を受けるのを防ぐように、蓋状部材33の外側の大気空間に設けられている。
【0039】
機械式流路開閉装置54は、電気を使わない機械式のいわゆるボールタップ弁装置を形成している。機械式流路開閉装置54は、第2パイロット流路68の第2弁座68aに着座して、第2パイロット流路68を閉止できるように形成されている第2弁体74と、洗浄水タンク20内の洗浄水の水位の変動に応じて上下動する機械式機構であるフロート76(図6及び図8参照)と、機械式機構として、一方がフロート76に接続され、且つ他方が第2弁体74に接続され、フロート76が上下動することにより揺動して第2弁体74を機械的に開閉動作させる機械式機構である揺動部材78と、を備えている。第2弁体74には、フロート76の動作が揺動部材78を介して機械的な動作として伝達される。
【0040】
揺動部材78は、揺動部材78のフロート76側の部分が上方移動するとき、第2弁体74側の部分が下方移動して第2弁体74を第2弁座68aに押し付けて閉止させ、揺動部材78のフロート76側の部分が下方移動するとき、第2弁体74側の部分が上方移動して第2弁体74を第2弁座68aから離間させて開放させるようになっている。機械式流路開閉装置54は、フロート76及び揺動部材78に接続された第2弁体74により第2パイロット流路68を開閉させることにより、ダイヤフラム弁体58を開閉させることができ、洗浄水の洗浄水タンク20内への吐水と止水を切り替える機能を有する。
給水装置32の大部分、例えば電動式流路開閉装置52以外の基本的な構造である給水流路50の一次側通水路60、二次側通水路64、圧力室62、ダイヤフラム弁体58、主弁座56、機械式流路開閉装置54が、洗浄水タンク20の内部に設けられている。よって、洗浄水タンク20内に延びる給水流路50と、機械式流路開閉装置54との距離を比較的近くすることができる。これにより、給水装置32を比較的小型に形成することができ、従来のように洗浄水タンク20の壁面を跨ぐように給水装置32の流路を配置する切欠きを洗浄水タンク20に設ける必要がなくなり、本実施形態におけるように給水装置32の大部分を内部に収める洗浄水タンク20を比較的小型に形成することができる。
機械式流路開閉装置54は、てこを利用したてこ式の機械式機構により第2弁体74を機械的に開閉動作させるものであってもよく、また、カムを利用したポペット弁機構により第2弁体74を機械的に開閉動作させるものであってもよい。また、機械式流路開閉装置54は、電動式流路開閉装置52の第1弁体70をワイヤ等で機械的に開閉動作させるものであってもよい。
【0041】
つぎに、図2乃至図5図8乃至図10により、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置における給水装置32の取付構造について説明する。
【0042】
蓋状部材33は、第1の開口24を一部覆うように形成され且つ第1の開口24よりも小さい第2の開口25を形成する第1蓋状部材80と、第2の開口25を覆う第2蓋状部材82とを備えている。第1蓋状部材80と第2蓋状部材82とを組合せることにより、第1蓋状部材80と第2蓋状部材82との間に電動式流路開閉装置52の取付部73を挟み込むような取付構造84が形成される。電動式流路開閉装置52の取付部73は、蓋状部材33の内側から外側まで延びるように形成されている。取付構造84は、取付部73の外周に沿った形状の開口を形成している。取付構造84は、洗浄水タンク装置18の前方側、すなわち正面側に向けて開口を形成している。よって、電動式流路開閉装置52は、第1蓋状部材80及び第2蓋状部材82の外部側において洗浄水タンク20の正面側に設けられている。よって、メンテナンスの作業者がメンテナンス作業を行う際に洗浄水タンク20の正面側から電動式流路開閉装置52にアプローチすることができ、メンテナンス時の作業性を向上することができる。
【0043】
図8及び図10に示すように、洗浄水タンク装置18は、さらに、電動式流路開閉装置52の取付部73の外周と、取付構造84との間をシールするシール部材86を備えている。シール部材86により電動式流路開閉装置52の取付部73の外周と、取付構造84との間からの水漏れを抑制することができる。
【0044】
図2乃至図4に示すように、第1蓋状部材80は、概ね平坦な上面を形成するつば部88を備えている。つば部88には水を誘導する誘導部である開口部90が形成されている。開口部90は、洗浄水タンク20の第1の開口24の真上より外側の位置に形成されている。開口部90は、下方向きに開口され、水を、矢印F1(図2参照)に示すように、つば部88の上面から開口部90を通して洗浄水タンク20の下方に誘導させ且つ落下させることができる。よって、仮に電動式流路開閉装置52から第1蓋状部材80の外部側に水漏れが生じた場合においても、水をつば部88から開口部90を介して水にぬれても影響の少ない部分に誘導することができ、水漏れの他の電子機器への影響を抑制することができる。
なお、つば部88には水を誘導する誘導部として仕切り92も形成されていてもよい。仕切り92によりつば部88上の上面の領域を電動式流路開閉装置52の下方の領域88aと、フロートスイッチ28側の領域88bとに区画することができる。よって、仮に電動式流路開閉装置52から領域88aに水漏れが生じた場合において、水が電子機器であるフロートスイッチ28に流れることを抑制し、開口部90を介して下方に流下させることができる。よって、水漏れの他の電子機器への影響を抑制することができる。
【0045】
図2に示すように、洗浄水タンク装置18の基板35は、洗浄水タンク20の下方に設けられている。基板35は、ウォシュレット(登録商標)機能部(図示せず)や洗浄水タンク装置18の配線機器(図示せず)等の電子機器を取り付けることができる。基板35は、水供給管30を便器本体2の上方において給水装置32の下方まで導くことができるように構成されている。
基板35は、その上面且つ開口部90の下流端90aの鉛直方向下方においてU字状に形成された水受け部94を備えている。よって、開口部90から流下する水は、矢印F1に示すように、水受け部94に到達する。水受け部94は、その上面がU字状に中央部分が窪んで形成されているので、落下した水が水受け部94に衝突した衝撃により周囲に飛散することを抑制することができ、基板35に取付けられる他の電子機器等に水が付着することを抑制することができる。
【0046】
つぎに、図9及び図10により、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置18における洗浄水タンク20の底面の構造について説明する。
洗浄水タンク20は、洗浄水タンク20の貯水領域の最下面を形成している第1の底面20aと、第1の底面20aよりも上方且つ給水装置32の接続部48より上方に形成される第2の底面20bとを備える。第1の底面20aは、排水弁座37とほぼ同じ高さに設けられている。
【0047】
洗浄水タンク20の第2の底面20bは、給水装置32の一次側通水路60の下方且つ接続部48の上方に形成されている。第2の底面20bは、ダイヤフラム弁体58と接続部48との間に配置される。第2の底面20bは、一次側通水路60が貫通するように形成される。第2の底面20bは第1の底面20aよりも高い台状の平坦部を形成している。洗浄水タンク20の第2の底面20bは、洗浄水タンク20の側方領域に形成されている。洗浄水タンク20の側方領域は、排水口22の位置する中央領域よりも側方側の領域であり、好ましくは洗浄水タンク20の左右方向の全体長さを1とした場合に洗浄水タンク20の左右の側壁からそれぞれ1/3の長さに含まれるような側方側の領域である。
第2の底面20b及び第1の底面20aにより洗浄水タンク20の全体の底面を形成している。
【0048】
第2の底面20bは満水水位WL1よりも下方に形成されている。よって、第2の底面20bよりも上方且つ満水水位WL1よりも下方の領域は貯水領域A1を形成する。このように、第2の底面20bよりも上方の領域を貯水領域A1として使用することができる。第2の底面20bよりも上方における洗浄水タンク20の水平断面においては、貯水可能な領域の断面積が貯水領域A1の分だけ拡張されている。
【0049】
第2の底面20bは、洗浄水タンク20の側壁20cまで延びている。第2の底面20bは、第2の底面20bよりも下方に給水装置32の接続部48を収容する収容空間B1を比較的コンパクトに形成する機能も有している。収容空間B1は、第2の底面20bと基板35との間の高さにおいて、側壁20cよりも内側且つ、側壁20cよりも内側に形成される内側側壁20dよりも外側の空間として形成される。給水装置32の接続部48は、第2の底面20bと基板35との間の高さに配置される必要があるため、洗浄水タンク20の外壁を凹ませたような収容空間B1が形成されている。第2の底面20bが側壁20cまで延びていることにより、収容空間B1が比較的コンパクトに形成することができると共に、収容空間B1が側方側に開口され、洗浄水タンク装置18の側方から接続部の接続作業やメンテナンス作業を行うことができ、接続部48の作業性を向上させることができる。
【0050】
図4に示すように、第2の底面20bは、洗浄水タンク20の正面側の縦壁20eまでほぼ平坦な平面を形成するように延びている。よって、洗浄水タンク20の正面側斜め方向から給水装置32の接続部48を視認することや接続部48にアクセスすることが可能である。従って、第2の底面20bの下方に配置される給水装置32の接続部48に対し、洗浄水タンク装置18の正面側から接続部48の接続作業やメンテナンス作業を行うことができ、接続部48の作業性をより向上させることができる。
【0051】
次に、上述した本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置18の効果を説明する。
上述した本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置18によれば、停電時に洗浄水を貯水できる洗浄水タンク装置18において、給水装置32が蓋状部材33の外方に設けられる電磁弁機構72により給水流路50を開閉する電動式流路開閉装置52と、洗浄水タンク20の内部に設けられる機械式機構により給水流路50を開閉する機械式流路開閉装置54と、を備える場合に、洗浄水タンク20は、第1の底面20aと、第1の底面20aよりも上方且つ給水装置32の接続部48より上方に形成される第2の底面20bとを備えている。このような構造を有する洗浄水タンク装置18において、第2の底面20bより上方の領域に洗浄水を貯水することができる。本発明によれば、従来の洗浄水タンク120において給水装置132の下方までの比較的大きな切り欠き領域として形成され貯水領域として使えなかった領域に、洗浄水を貯水することができ、洗浄水タンク20の満水水位WL1を下げることができる。従って、停電時に洗浄水を貯水できる洗浄水タンク装置18において、洗浄水タンク20をローシルエット化することができる。
また、例えば、停電時に洗浄水を貯水できる洗浄水タンク装置18において、電動式流路開閉装置52の電磁弁機構72を蓋状部材33の外方に設けることにより洗浄水タンク20内の洗浄水から生じた蒸気が電磁弁機構72に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。さらに、給水装置32の大部分、例えば電動式流路開閉装置52以外の基本的な構造の給水流路50、機械式流路開閉装置54が、洗浄水タンク20の内部に設けられている。よって、洗浄水タンク20内に延びる給水流路50と機械式流路開閉装置54との距離を比較的近くすることができ、給水装置32を比較的小型に形成することができ、従来のように洗浄水タンク20の壁面を跨ぐように給水装置32の流路を配置する切欠きを洗浄水タンク20に設ける必要がなくなり、本実施形態におけるように給水装置32の大部分を内部に収める洗浄水タンク20を比較的小型に形成することができる。従って、停電時に洗浄水を貯水できる洗浄水タンク装置18において、洗浄水タンク20をローシルエット化することができる。
【0052】
さらに、一実施形態による洗浄水タンク装置18によれば、洗浄水タンク20の第2の底面20bは、洗浄水タンク20の側方領域に形成されているので、洗浄水タンク20の中心よりも側方側に配置される水供給管30を第2の底面20bの下方の接続部48まで側方方向に延ばす距離を抑制することができる。よって、この水供給管30を配置できるような空間を確保するため、洗浄水タンク20を内側に向けて切り欠く領域の大きさを抑制することができる。従って、洗浄水タンク20の容量の低下を抑制することができ、洗浄水タンク20をよりローシルエット化することができる。
【0053】
また、一実施形態による洗浄水タンク装置18によれば、第2の底面20bよりも下方に給水装置32の接続部48を収容する収容空間を比較的コンパクトに形成することができると共に、洗浄水タンク20の側方から接続部48の接続作業やメンテナンス作業を行うことができ、接続部48に対する作業性を向上させることができる。
【0054】
また、一実施形態による洗浄水タンク装置18によれば、第2の底面20bの下方に配置される給水装置32の接続部48に対し、洗浄水タンク20の正面側から接続部48の接続作業やメンテナンス作業を行うことができ、接続部48に対する作業性をより向上させることができる。
【0055】
また、一実施形態による洗浄水タンク装置18によれば、第1蓋状部材80と第2蓋状部材82とを組合せることにより、第1蓋状部材80と第2蓋状部材82との間に電動式流路開閉装置52の取付部73を挟み込むように取付けることができる。従って、電動式流路開閉装置52への蒸気の悪影響を抑制でき且つ洗浄水タンク20をローシルエット化することができると共に、電動式流路開閉装置52を蓋状部材33の外方に設ける構造の組立性を向上させることができる。
【0056】
また、一実施形態による洗浄水タンク装置18によれば、電動式流路開閉装置52が蓋状部材33の外方に設けられている場合に、シール部材86が、電動式流路開閉装置52の取付部73の外周と、第1蓋状部材80と第2蓋状部材82とにより形成された取付構造84との間からの水漏れを抑制することができる。
【0057】
また、一実施形態による洗浄水タンク装置18によれば、第1蓋状部材80はつば部88を備え、このつば部88には、水を誘導する開口部90が形成されているので、仮に電動式流路開閉装置52から第1蓋状部材80の外部側に水漏れが生じた場合においても、水をつば部88から開口部90を介して水にぬれても影響の少ない部分に誘導することができ、水漏れの他の電子機器への影響を抑制することができる。
【0058】
また、一実施形態による洗浄水タンク装置18によれば、基板35は、その上面且つ開口部90の下流端90aの下方においてU字状に形成された水受け部94を備えている。よって、開口部90から落下した水が、水受け部94に衝突した衝撃により周囲に飛散することを抑制することができ、基板35に取付けられる電子機器等に水が付着することを抑制することができる。
【0059】
また、一実施形態による洗浄水タンク装置18によれば、電動式流路開閉装置52は洗浄水タンク20の正面側に設けられているため、メンテナンスの作業者がメンテナンス作業を行う際に洗浄水タンク20の正面側から電動式流路開閉装置52にアプローチすることができ、メンテナンス時の作業性を向上することができる。
【0060】
また、一実施形態による洗浄水タンク装置18を備えた水洗大便器1によれば、洗浄水タンク20を含めた水洗大便器1をローシルエット化することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 水洗大便器
2 便器本体
4 ボウル部
6 導水路
8 排水トラップ管路
8a 入口
8b 上昇路
8c 下降路
10 リム
12 第1吐水口
14 溜水部
16 第2吐水口
18 洗浄水タンク装置
19 外装カバー
20 洗浄水タンク
20a 第1の底面
20b 第2の底面
20c 側壁
20d 内側側壁
20e 縦壁
21 制御部
22 排水口
24 第1の開口
25 第2の開口
26 排水弁装置
28 フロートスイッチ
30 水供給管
32 給水装置
33 蓋状部材
34 オーバーフロー管
35 基板
36 排水弁
37 排水弁座
38 回動装置
40 ガイド部材
42 回転軸
44 玉鎖
46 給水口部
48 接続部
50 給水流路
52 電動式流路開閉装置
54 機械式流路開閉装置
56 主弁座
58 ダイヤフラム弁体
60 一次側通水路
62 圧力室
64 二次側通水路
66 第1パイロット流路
66a 第1弁座
68 第2パイロット流路
68a 第2弁座
70 第1弁体
72 電磁弁機構
73 取付部
74 第2弁体
76 フロート
78 揺動部材
80 第1蓋状部材
82 第2蓋状部材
84 取付構造
86 シール部材
88 つば部
88a 領域
88b 領域
90 開口部
90a 下流端
94 水受け部
A1 貯水領域
B1 収容空間
F1 矢印
0 貯留面
WL1 満水水位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11