(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】シクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマーの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 317/36 20060101AFI20220627BHJP
C08F 20/28 20060101ALI20220627BHJP
C08F 220/28 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
C07D317/36
C08F20/28
C08F220/28
(21)【出願番号】P 2018146410
(22)【出願日】2018-08-03
【審査請求日】2021-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100097504
【氏名又は名称】青木 純雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 将啓
(72)【発明者】
【氏名】青野 竜也
(72)【発明者】
【氏名】小田 和裕
(72)【発明者】
【氏名】山田 明宏
【審査官】東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108299375(CN,A)
【文献】国際公開第2013/081157(WO,A1)
【文献】特開2016-074831(JP,A)
【文献】特開2014-051456(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第03937116(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0106044(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0329666(US,A1)
【文献】特開2014-183833(JP,A)
【文献】米国特許第06627762(US,B1)
【文献】Buettner, Hendrik et al.,Synthesis of Cyclic Carbonates from Epoxides and Carbon Dioxide by Using Bifunctional One-Component Phosphorus-Based Organocatalysts,ChemSusChem,2015年,8(16),2655-2669
【文献】Werner, Thomas et al.,Hydroxyl-Functionalized Imidazoles: Highly Active Additives for the Potassium Iodide-Catalyzed Synthesis of 1,3-Dioxolan-2-one Derivatives from Epoxides and Carbon Dioxide,ChemCatChem,2014年,6(12),3493-3500
【文献】Aoyagi, Naoto et al.,Remarkably efficient catalysts of amidine hydroiodides for the synthesis of cyclic carbonates from carbon dioxide and epoxides under mild conditions,Chemistry Letters ,2012年,41(3),240-241
【文献】Aoyagi, Naoto et al.,Effective synthesis of cyclic carbonates from carbon dioxide and epoxides by phosphonium iodides as catalysts in alcoholic solvents,Tetrahedron Letters,2013年,54(51),7031-7034
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリレート基を有するエポキシ化合物と二酸化炭素を加圧下で吹き込んで反応させることで、下記式(1)で表されるシクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマー
を製造する方法であって、
二酸化炭素の圧力を0.05~0.08MPaGとし、反応温度を50℃とすることを特徴とする、
シクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマーの製造方法。
【化1】
(式(1)中、
R
1は、水素原子またはメチル基を示し、
R
2は、炭素数2~10のアルキル基を示し、
X=0または1である。)
【請求項2】
(メタ)アクリレート基を有するエポキシ化合物が、グリシジル(メタ)アクリレートまたは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルであることを特徴とする、請求項1の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロカーボネート基を含有する(メタ)アクリレートモノマーに関するものであり、経時的な増粘が抑制され、安定的に長期間、塗料などの用途で使用可能なシクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマーに関する。
【背景技術】
【0002】
シクロカーボネート基は、一般的に高極性、高誘電率かつ高分子に対する溶解性が高いなどの特徴を有しており、その特徴的な構造から様々な用途に応用可能である。特に、シクロカーボネート基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物の場合には、他のモノマー、オリゴマー類と重合させることにより、シクロカーボネート基を導入したポリマーを得ることができる。このようなシクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマーを用いて得られるポリマーは、例えばフィルム・成形材料、封止剤、塗料、接着剤、各種バインダーなどとして用いることができる。
【0003】
シクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマーは、通常、エポキシ化合物に対して二酸化炭素を作用させて得ることができ、特許文献1、2には、当該モノマーを高収率で得る方法について報告されている。これらの先行文献で挙げられているシクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマーは、ポリマー合成に用いることができ、シクロカーボネート基を側鎖に有するポリマーを得ることができる。こうしたポリマーは、例えば、特許文献3に報告されているように、透明性、粘度などの各種物性に優れ、問題無く使用できるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-202022
【文献】特開2011-32222
【文献】特開2014-105265
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、特に塗料やインク用途では、高画質化や高速化といった印刷技術の向上や複雑な形状の対象物への対応や多種の色彩のブレンドといった高い意匠性が求められることに伴って、塗料やインクの粘度を極めて精密に制御することが必要となっている。しかし、これらの用途では、特許文献1~3に記載のような従来の方法によるシクロカーボネート基を側鎖に有するポリマーを用いると、厳しい環境下での使用時や長期にわたる保管時にわずかに粘度上昇する場合があり、場合によっては印刷時にかすれを生じたりする虞があった。
【0006】
このため、高収率で得られうるシクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマーを用いたポリマーにおいても、印刷時にかすれが生じるなどの不具合が生じる懸念のない、経時的に粘度変化の小さい特性が求められる。
【0007】
本発明の課題は、シクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマーをポリマーとして塗料などに用いたとき、経時的な増粘が抑制され、安定的に長期間使用可能なシクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが、上記の課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、従来知られたシクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマーに関する報告では、そのモノマーの原料である各種の(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ化合物については言及されている場合があるものの、副生物として一定量含まれる、ジ(メタ)アクリレートモノマーの含有量については検討されていなかった。
【0009】
そこで、ジ(メタ)アクリレートモノマーの含有量に着目して検討を行った結果、重合してポリマーとして塗料などの用途に用いたとき、経時的な増粘が抑制され、安定的に長期間、塗料などの用途で使用可能であることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、
(メタ)アクリレート基を有するエポキシ化合物と二酸化炭素を加圧下で吹き込んで反応させることで、下記式(1)で表されるシクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマー
を製造する方法であって、
二酸化炭素の圧力を0.05~0.08MPaGとし、反応温度を50℃とすることを特徴とする、
シクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマーの製造方法に係るものである。
【化1】
(式(1)中、
R
1は、水素原子またはメチル基を示し、
R
2は、炭素数2~10のアルキル基を示し、
X=0または1である。)
【発明の効果】
【0011】
本発明の化合物は、ジ(メタ)アクリレートモノマーの含有量が従来よりも少ないことを特徴とする、シクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマーである。このシクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマーをモノマーとして、または重合してポリマーとして塗料などに用いたとき、経時的な増粘が抑制され、安定的に長期間、塗料などの用途で使用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、さらに詳しく記述する。
〔(A)シクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマー〕
本発明のシクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマー(A)は、下記式(1)で示される。
【化1】
【0013】
本発明のシクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマー(A)とは、1分子中に一つのシクロカーボネート基と、一つの(メタ)アクリロイル基を有することを特徴とするモノマーである。
【0014】
一般式(1)において、R2は炭素数2~10のアルキル基を表す。R2が炭素数2~10のアルキル基であることにより、ポリマー合成における反応性が良好であり、モノマー残分の少ないポリマーを得ることができる。その中でも、R2の炭素数が2~4であることが好ましく、R2の炭素数が2であることが特に好ましい。
【0015】
式(1)において、Xの値は0または1である。その中でも、X=0であることが好ましい。Xが0または1であることにより、ポリマー合成における反応性が良好であり、モノマー残分の少ないポリマーを得ることができる。
【0016】
シクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマー(A)は、各種の(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ化合物を出発物質とし、0.05~0.3MPa程度で二酸化炭素を吹き込んで反応させることにより、得ることができる。このとき、(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ化合物としては、各種のモノマーを用いることができる。しかし、低粘度であり、反応にかかる時間が短く、得られるシクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマー(A)の色相が低く透明性の良好なモノマーを得られることから、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルを用いることが好ましく、グリシジル(メタ)アクリレートを用いることがさらに好ましい。
【0017】
〔ジ(メタ)アクリレートモノマー(B)〕
ジ(メタ)アクリレートモノマー(B)は、下記式(2)で示される。
【化2】
(式(2)中、
R
3は、水素原子またはメチル基を示し、
R
4は、炭素数2~10のアルキル基を示し、
X=0または1である。)
【0018】
ジ(メタ)アクリレートモノマー(B)は、シクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマー(A)に、副生成物として含まれるものである。なお、ジ(メタ)アクリレートモノマー(B)の構造は、出発原料のモノマーとして何を選定するかにより変わる。例えば、グリシジル(メタ)アクリレートを原料とした場合には、グリセリンジ(メタ)アクリレートが生じる。このようにして生じるジ(メタ)アクリレートモノマー(B)の構造やその含有量は、ガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴など、公的の方法により同定することが可能である。
【0019】
ジ(メタ)アクリレートモノマー(B)は、シクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマー(A)の製造に伴い、生じるものであることから、R4は炭素数2~10のアルキル基を表す。その中でも、R4の炭素数は2~4であることが好ましく、2であることが特に好ましい。
【0020】
式(2)において、Xの値は0または1である。その中でも、X=0であることが好ましい。Xがこの値であることにより、ポリマー合成における反応性が良好であり、モノマー残分の少ないポリマーを得ることができる。
【0021】
(ジ(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有率)
式(1)で表されるシクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマー(A)と式(2)で表されるジ(メタ)アクリレートモノマー(B)の合計量を100質量%としたとき、式(2)で表されるジ(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有量を3質量%以下とするが、1.5質量%以下とすることが更に好ましい。これが3質量%よりも多く含まれていると、本発明のシクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマーを用いてポリマー合成を行った際に、保管時に高分子量化、粘度上昇、ゲル化反応が生じる。
【0022】
具体的には、本発明のシクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマーを用いてポリマーを合成したとき、ポリマーの合成直後の粘度(c)に対する40℃で1カ月保管した後の粘度(d)の比率(d/c)は、1.00以上であるが、1.20以下であることが好ましく、1.15以下であることが更に好ましく、1.05以下であることが特に好ましく、1.02以下であることが最も好ましい。
【0023】
また、シクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマー(A)とジ(メタ)アクリレートモノマー(B)の合計量を100質量%としたとき、ジ(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有量の下限は特になく、0質量%であってよい。しかし、高純度品を効率よく得るという製造効率の観点からは、ジ(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有量を0.1質量%以上とすることが好ましく、0.3質量%以上とすることが更に好ましく、0.5質量%以上とすることが特に好ましい。
【0024】
〔シクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマーの製造方法〕
本発明では、エポキシ基に対して二酸化炭素を作用させ、シクロカーボネート基とする。二酸化炭素を反応系中に導入する方法としては、加圧下において各種の吹き込み方法を選択することができる。このとき、圧力、温度を一定の範囲内でコントロールすることにより、目的物の収率を高め、副生物の含有率を低く抑えることができる。その場合の圧力としては、0.05~0.08MPaGである。
【0025】
合成時の反応温度は、50℃が好ましい。これによって、反応にかかる時間が長くなり過ぎず、未反応の原料が残存しにくい。また、ジ(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有量が少なく、ポリマー化に際してゲル化などの不具合も起こりにくく、着色が起こりにくい。
【実施例】
【0026】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【0027】
〔評価方法〕
(成分定量分析)
ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて、以下の条件によりシクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマー(A)、ジ(メタ)アクリレートモノマー(B)の成分定量分析を行った。(A)のピークの面積と(B)のピークの面積との面積比より、シクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマー(A)、ジ(メタ)アクリレートモノマー(B)の各収率を計算した。(A)の収率を(A)の含有量(質量%)とし、(B)の収率を(B)の含有量(質量%)とした。
また、下記式にて、転化率を算出した。
転化率(%)=
「(シクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマー(A)の面積)/(全ピークの面積の総計)」×100
【0028】
(GCの条件)
装置: GC-2014(島津製作所製)
カラム: DB-1
インジェクション温度: 200℃
ディテクター温度: 250℃
昇温プロファイル: 40℃で10分間保持→10℃/分で昇温→250℃まで昇温して保持
注入量: 1μL
検出器: FID レンジ1
キャリアガス: ヘリウム 70kPa
スプリット比: 1/50
定量方法: 内部標準法(ビフェニルを使用)
【0029】
(ポリマー化試験)
得られた重合性組成物を用いて、下記条件でポリマー化を行った。
配合組成: 重合性組成物 50g
メタクリル酸メチル 50g
開始剤: 2,2‘-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(製品名:V-65(和光純薬工業(株)製))0.4g
溶剤: イソプロパノール 150g
反応温度: 75℃
反応時間: 3時間
【0030】
(粘度評価)
得られたポリマー溶液について、粘度評価を行った。具体的には、ポリマー溶液を合成した直後の粘度(c)、および40℃の恒温槽で1ヶ月間保管した後の粘度(d)を測定した。それらの粘度の比を「保管後の粘度/合成直後の粘度(d/c)」で表し、以下の基準で評価した。
○: 粘度比(d/c)が1.0以上~1.1未満
△: 粘度比(d/c)が1.1以上~1.3未満
×: 粘度比(d/c)が1.3以上、または測定不可
【0031】
各例のシクロカーボネート基含有(メタ)アクリレートモノマーを以下のようにして合成した。
<参考例1>
二酸化炭素導入管、攪拌機、温度計を備えたオートクレーブに、出発原料としてブレンマーGH(グリシジルメタクリレート)1,000部、ヨウ化ナトリウム50部、メトキシハイドロキノン0.5部を仕込んだ。系内を50℃に温調しながら、炭酸ガスボンベより、系内を0.2MPaに保ちながら二酸化炭素を断続的に吹き込み続け、8時間攪拌しながら反応させた。室温まで冷却した後、イオン交換水300部を仕込んでよく攪拌し、しばらく静置して有機相と水相を分液させ、水相を除去した。この操作を計4回繰り返し、ヨウ化ナトリウムを取り除いた。その後、有機相を70℃、減圧下で2時間かけて脱水し、目的のモノマーを得た。
【0032】
<参考例2>
二酸化炭素導入管、攪拌機、温度計を備えたオートクレーブに、ブレンマーGH(グリシジルメタクリレート)1,000部、臭化リチウム50部、ジアザビシクロウンデセン53.5部、メトキシハイドロキノン0.5部を仕込んだ。系内を60℃に温調しながら、炭酸ガスボンベより、系内を0.05MPaに保ちながら二酸化炭素を断続的に吹き込み続け、8時間攪拌しながら反応させた。室温まで冷却した後、イオン交換水300部を仕込んでよく攪拌し、しばらく静置して有機相と水相を分液させ、水相を除去した。この操作を計4回繰り返し、ヨウ化ナトリウムを取り除いた。その後、有機相を70℃、減圧下で2時間かけて脱水し、目的のモノマーを得た。
【0033】
<実施例1>
二酸化炭素導入管、攪拌機、温度計を備えたオートクレーブに、ブレンマーGH(グリシジルメタクリレート)1,000部、臭化リチウム50部、ジアザビシクロウンデセン53.5部、メトキシハイドロキノン0.5部、ジメチルホルムアミド500部を仕込んだ。ブロー弁を開けた状態で、系内を50℃に温調しながら、炭酸ガスボンベより、系内を0.05MPaに保ちながら二酸化炭素を断続的に吹き込み続け、8時間攪拌しながら反応させた。室温まで冷却した後、イオン交換水300部を仕込んでよく攪拌し、しばらく静置して有機相と水相を分液させ、水相を除去した。この操作を計4回繰り返し、ヨウ化ナトリウムを取り除いた。その後、有機相を70℃、減圧下で2時間かけて脱水し、目的のモノマーを得た。
【0034】
<実施例2>
二酸化炭素導入管、攪拌機、温度計を備えたオートクレーブに、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル1,000部、ヨウ化ナトリウム50部、メトキシハイドロキノン0.5部を仕込んだ。系内を50℃に温調しながら、炭酸ガスボンベより、系内を0.08MPaに保ちながら二酸化炭素を断続的に吹き込み続け、8時間攪拌しながら反応させた。室温まで冷却した後、イオン交換水300部を仕込んでよく攪拌し、しばらく静置して有機相と水相を分液させ、水相を除去した。この操作を計4回繰り返し、ヨウ化ナトリウムを取り除いた。その後、有機相を70℃、減圧下で2時間かけて脱水し、目的のモノマーを得た。
【0035】
<参考例3>
二酸化炭素導入管、攪拌機、温度計を備えたオートクレーブに、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル1,000部、ヨウ化ナトリウム50部、メトキシハイドロキノン0.5部を仕込んだ。系内を50℃に温調しながら、炭酸ガスボンベより、系内を0.2MPaに保ちながら二酸化炭素を断続的に吹き込み続け、8時間攪拌しながら反応させた。室温まで冷却した後、イオン交換水300部を仕込んでよく攪拌し、しばらく静置して有機相と水相を分液させ、水相を除去した。この操作を計4回繰り返し、ヨウ化ナトリウムを取り除いた。その後、有機相を70℃、減圧下で2時間かけて脱水し、目的のモノマーを得た。
【0036】
<比較例1>
二酸化炭素導入管、攪拌機、温度計を備えたオートクレーブに、ブレンマーGH(グリシジルメタクリレート)1,000部、ヨウ化ナトリウム50部、メトキシハイドロキノン0.5部を仕込んだ。系内を75℃に温調しながら、炭酸ガスを充填したバルーンより、二酸化炭素を断続的に吹き込み続け、15時間攪拌しながら反応させた。室温まで冷却した後、イオン交換水300部を仕込んでよく攪拌し、しばらく静置して有機相と水相を分液させ、水相を除去した。この操作を計4回繰り返し、ヨウ化ナトリウムを取り除いた。その後、有機相を70℃、減圧下で2時間かけて脱水し、目的のモノマーを得た。
【0037】
【0038】
表1に示す結果より、本発明に係る実施例1、2は、いずれの物性においても優れたモノマーが得られた。モノマー(A)の含有量が99%を超えており、反応にかかる時間も短かった。
【0039】
一方、比較例1においては、ジメタクリレートの含有量が本発明の範囲を超えているために、合成直後のポリマーの粘度が比較的高く、さらに長期保管時にゲル化が生じたため、粘度比の測定が不可能であった。