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特許7094495切削加工補助潤滑材、切削加工補助潤滑シート、及びそれらを用いた切削加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】切削加工補助潤滑材、切削加工補助潤滑シート、及びそれらを用いた切削加工方法
(51)【国際特許分類】
   C10M 103/02 20060101AFI20220627BHJP
   B23B 35/00 20060101ALN20220627BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALN20220627BHJP
   C10N 20/04 20060101ALN20220627BHJP
   C10N 20/06 20060101ALN20220627BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20220627BHJP
   C10N 40/22 20060101ALN20220627BHJP
【FI】
C10M103/02 Z
B23B35/00
B23Q11/10 Z
C10N20:04
C10N20:06 Z
C10N30:00 Z
C10N40:22
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019514463
(86)(22)【出願日】2018-04-20
(86)【国際出願番号】 JP2018016291
(87)【国際公開番号】W WO2018198965
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2017085817
(32)【優先日】2017-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】堀江 茂
(72)【発明者】
【氏名】松山 洋介
(72)【発明者】
【氏名】中村 和宏
(72)【発明者】
【氏名】石蔵 賢二
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/022822(WO,A1)
【文献】特開2004-331737(JP,A)
【文献】特開2009-173814(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106090001(CN,A)
【文献】特開2015-129219(JP,A)
【文献】特開2007-314621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M101/00-177/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラーレンと、
重量平均分子量が5×10 4 以上、1×10 6 以下である高分子量化合物(A)と、
重量平均分子量が1×10 3 以上、2×10 4 以下である中分子量化合物(B)と、
フラーレン以外のカーボン(C)と、を含む、
切削加工補助潤滑材。
【請求項2】
前記フラーレンがC60を含む、
請求項1に記載の切削加工補助潤滑材。
【請求項3】
前記高分子量化合物(A)が、重量平均分子量が5×104以上、1×106以下の熱可塑性樹脂を含み、
前記中分子量化合物(B)が、重量平均分子量が1×103以上、2×104以下の熱可塑性樹脂を含む、
請求項1又は2に記載の切削加工補助潤滑材。
【請求項4】
前記高分子量化合物(A)が、水溶性熱可塑性樹脂及び/又は非水溶性熱可塑性樹脂を含み、
前記水溶性熱可塑性樹脂が、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールのエステル化合物、ポリアルキレングリコールのエーテル化合物、水溶性ウレタン、ポリエーテル系水溶性樹脂、水溶性ポリエステル、ポリ(メタ)アクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、セルロースのエーテル化合物、セルロースのエステル化合物、及び変性ポリアミドからなる群より選ばれる1種以上であり、
前記非水溶性熱可塑性樹脂が、ウレタン系重合体、アクリル系重合体、酢酸ビニル系重合体、塩化ビニル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリオレフィン系重合体、ポリスチレン系樹脂、及びそれらの共重合体からなる群より選ばれる1種以上である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の切削加工補助潤滑材。
【請求項5】
前記中分子量化合物(B)が、水溶性熱可塑性樹脂及び/又は非水溶性熱可塑性樹脂を含み、
前記水溶性熱可塑性樹脂が、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキサイドのモノエーテル化合物、ポリアルキレンオキサイドのモノステアレート化合物、ポリアルキレンオキサイド化合物からなる群より選ばれる1種以上である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の切削加工補助潤滑材。
【請求項6】
前記フラーレンの含有量が、該フラーレン、前記高分子量化合物(A)、前記中分子量化合物(B)、及び前記カーボン(C)の合計100質量部に対して、0.1~30質量部である、
請求項1~5のいずれか一項に記載の切削加工補助潤滑材。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の切削加工補助潤滑材からなる層を、少なくとも一部に設けてなる、
切削加工補助潤滑シート。
【請求項8】
粘着層を少なくとも一部に設けてなる、
請求項に記載の切削加工補助潤滑シート。
【請求項9】
前記粘着層にアクリル系重合体を含む、
請求項に記載の切削加工補助潤滑シート。
【請求項10】
前記削加工補助潤滑材からなる層の厚さが、0.1~20mmである、
請求項7~9のいずれか一項に記載の切削加工補助潤滑シート。
【請求項11】
請求項1~のいずれか一項に記載の切削加工補助潤滑材又は請求項7~10のいずれか一項に記載の切削加工補助潤滑シートを、切削工具及び/又は被加工材料の被加工部分に接触させながら、前記切削工具により前記被加工材料を切削する切削加工工程を有する、
切削加工方法。
【請求項12】
前記切削加工工程において、切削により貫通孔を形成する、
請求項11に記載の切削加工方法。
【請求項13】
前記被加工材料が、チタン合金、アルミ合金、超耐熱合金、ステンレス鋼、炭素繊維強化プラスチック、アラミド繊維強化プラスチック、及びこれらを含む複合材料からなる群より選ばれる1種以上である、
請求項11又は12に記載の切削加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削加工補助潤滑材、切削加工補助潤滑シート、及びそれらを用いた切削加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チタン合金をはじめとする金属又は合金類、繊維強化プラスチック(FRP)、セラミックス等の高強度材は産業上必須の材料であるが、所望の形状を得るための切削加工はその強度が高いほど困難であるとともに、加工に用いる工具は高価かつ短寿命となる。航空機の構造体材料として最も汎用される高強度材としては、アルミ合金が挙げられるが、チタン合金は、アルミ合金と比較して、その密度に比して破壊強度が大きいとともに、耐腐食性が高く、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)と組み合わせることにより、さらなる軽量化が可能となるため、航空機の構造体材料に占めるチタン合金の割合は増加傾向にある。
【0003】
しかしながら、チタン合金は溶接が非常に困難であり、CFRPは溶接が不可能のため、これらの材料を用いた部材同士の接合はリベット等の締結要素を用いるのが一般的であり、そのためにはドリル等の切削工具を用いた高品位の孔加工が求められる。また、航空機エンジン等、特に耐熱性が必要とされる部位にはインコネル(商標)、ワスパロイ(商標)などのニッケル基合金が用いられる。航空機エンジン部品は形状が複雑なものが多く、切削加工は不可欠である。
【0004】
上記のような合金類はいずれも切削加工時の発熱量が大きく、熱伝導度が一般的な金属と比較して低いことから、工具に切削熱が集中しやすい。このため、切削加工時には被削材としての材料強度の高さと切削熱により、切削工具は著しく摩耗し、切削熱と工具摩耗により寸法精度、切削面粗さ、バリの発生の面で加工品位の低下を招く。またCFRPの切削加工時に発生する切削熱は、上記の合金類のそれと比較して小さいものであるが、切削工具の摩耗による切れ味の低下により炭素繊維が切れ残ることで、切削部にケバが発生し、加工品位を低下させる。高強度材及びこれらを含む複合材料を「難切削材」と称する。
【0005】
上述した難切削材の切削加工方法としては、例えば、孔あけ加工において高品質な孔を得るための技術が既にいくつか提案されている。例えば、工具の形状、例えばドリルのすくい面の曲率や先端角を段階的に変更するなどの方法が例示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-210689号公報
【文献】国際公開第2017-022822号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
金属や繊維強化プラスチックに対する切削加工のうち、孔あけ加工においては、ドリルが最も一般的に用いられ、特に高品位な寸法精度、切削面粗さが求められる場合はリーマやボーリングによる仕上げ加工がなされる。また、ドリル加工により発生した入側又は抜け側のバリやケバの除去には面取りカッタなどのバリ取り工具による仕上げ加工がなされる。難切削材のうち金属材料においては、特にドリル抜け側のバリが高くなるとバリの除去に大きな作業負荷がかかることとなり、繊維強化プラスチックの場合はドリル抜け側に層間剥離を生じると修復は非常に困難となる。このような仕上げ加工の作業負荷を減らすためには下孔あけ加工や粗加工の段階での加工品質が重要となる。
【0008】
難切削材の切削加工において、切削工具の摩耗が進み、切削抵抗が大きくなるほど、切削面の品質問題は、発生し易くなる。その対策としては、加工品質維持のために工具交換を早めることになるが、加工コストに占める工具費の割合が高くなっているのが現状である。
【0009】
従来の加工方法では、難切削金属の切削加工時に切削液を用いることが一般的である。切削液は切削部の冷却と潤滑性付与を主な目的として、加工上面もしくは工具に設けられたオイルホールより供給される。切削液の使用により、ドリル抜け側に発生するバリをある程度低減することができる。切削液には油性のものと水溶性のものがあり、前者は特に潤滑性能に優れ、後者は冷却性能に優れる。切削加工時に発生する切削熱が問題となることが多い難切削金属の加工には水溶性切削液が用いられることが多い。
【0010】
水溶性切削液には水溶性の潤滑成分を水溶液としたソリュブル型、油性潤滑成分を乳化分散させたエマルジョン型等があるが、いずれも人体及び環境への負荷が大きく、作業環境の悪化や廃液の問題が生じる。また、飛散の問題があるため、切削液の性能が十分に発揮される場はマシニングセンタなどの閉鎖系で加工可能な工作機に限られる。このため、航空機部品や自動車部品の組み立て現場では活躍の場が限られる。加えて、難切削金属と繊維強化プラスチックを組み合わせて使用する場合、繊維強化プラスチックに切削液が付着すると好ましくないため、切削液の使用は制約される。
【0011】
本発明者らは、固体潤滑材を配合した水溶性樹脂組成物をシート状に成形し、被加工材となる難切削材のドリル入側又は抜け側に配することで上記シートの成分がドリル刃先に移着し、潤滑効果及び、工具の刃先保護効果が得られることを見出した(特許文献2参照)。しかしながら、難切削金属の孔あけ時に発生するバリや、繊維強化プラスチックの孔あけ時に発生するケバの抑制には未だ改善の余地がある。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、難切削材の切削加工、特に貫通孔あけ加工において、切削面端部において生じるバリ及び欠け、難切削材が繊維強化プラスチックである場合に切削面端部に生じる繊維の切れ残り及び層間剥離を低減させることのできる切削加工補助潤滑材、該切削加工補助潤滑材を用いた切削加工補助潤滑シート、及びそれらを用いた切削加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、フラーレンを配合することにより、上記課題を解決できることを見出して、本発明をするに至った。
【0014】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
フラーレンを含む、
切削加工補助潤滑材。
〔2〕
前記フラーレンがC60を含む、
〔1〕に記載の切削加工補助潤滑材。
〔3〕
カーボン(C)をさらに含む、
〔1〕又は〔2〕に記載の切削加工補助潤滑材。
〔4〕
重量平均分子量が5×10以上、1×10以下である高分子量化合物(A)と、
重量平均分子量が1×10以上、2×10以下である中分子量化合物(B)と、をさらに含む、
〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の切削加工補助潤滑材。
〔5〕
前記高分子量化合物(A)が、重量平均分子量が5×10以上、1×10以下の熱可塑性樹脂を含み、
前記中分子量化合物(B)が、重量平均分子量が1×10以上、2×10以下の熱可塑性樹脂を含む、
〔4〕に記載の切削加工補助潤滑材。
〔6〕
前記高分子量化合物(A)が、水溶性熱可塑性樹脂及び/又は非水溶性熱可塑性樹脂を含み、
前記水溶性熱可塑性樹脂が、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールのエステル化合物、ポリアルキレングリコールのエーテル化合物、水溶性ウレタン、ポリエーテル系水溶性樹脂、水溶性ポリエステル、ポリ(メタ)アクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、セルロースのエーテル化合物、セルロースのエステル化合物、及び変性ポリアミドからなる群より選ばれる1種以上であり、
前記非水溶性熱可塑性樹脂が、ウレタン系重合体、アクリル系重合体、酢酸ビニル系重合体、塩化ビニル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリオレフィン系重合体、ポリスチレン系樹脂、及びそれらの共重合体からなる群より選ばれる1種以上である、
〔4〕又は〔5〕に記載の切削加工補助潤滑材。
〔7〕
前記中分子量化合物(B)が、水溶性熱可塑性樹脂及び/又は非水溶性熱可塑性樹脂を含み、
前記水溶性熱可塑性樹脂が、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキサイドのモノエーテル化合物、ポリアルキレンオキサイドのモノステアレート化合物、ポリアルキレンオキサイドからなる群より選ばれる1種以上である、
〔4〕~〔6〕のいずれか一項に記載の切削加工補助潤滑材。
〔8〕
前記フラーレンの含有量が、該フラーレン、前記高分子量化合物(A)、前記中分子量化合物(B)、及び前記カーボン(C)の合計100質量部に対して、0.1~30質量部である、
〔4〕~〔7〕のいずれか一項に記載の切削加工補助潤滑材。
〔9〕
〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の切削加工補助潤滑材からなる層を、少なくとも一部に設けてなる、
切削加工補助潤滑シート。
〔10〕
粘着層を少なくとも一部に設けてなる、
〔9〕に記載の切削加工補助潤滑シート。
〔11〕
前記粘着層にアクリル系重合体を含む、
〔10〕に記載の切削加工補助潤滑シート。
〔12〕
前記削加工補助潤滑材からなる層の厚さが、0.1~20mmである、
〔9〕~〔11〕のいずれか一項に記載の切削加工補助潤滑シート。
〔13〕
〔1〕~〔12〕のいずれか一項に記載の切削加工補助潤滑材を、切削工具及び/又は被加工材料の被加工部分に接触させながら、前記切削工具により前記被加工材料を切削する切削加工工程を有する、
切削加工方法。
〔14〕
前記切削加工工程において、切削により貫通孔を形成する、
〔13〕に記載の切削加工方法。
〔15〕
前記被加工材料が、チタン合金、アルミ合金、超耐熱合金、ステンレス鋼、炭素繊維強化プラスチック、アラミド繊維強化プラスチック、及びこれらを含む複合材料からなる群より選ばれる1種以上である、
〔13〕又は〔14〕に記載の切削加工方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、難切削材の切削加工、特に貫通孔あけ加工において、切削面端部において生じるバリ及び欠け、難切削材が繊維強化プラスチックである場合に切削面端部に生じる繊維の切れ残り及び層間剥離を低減させることのできる切削加工補助潤滑材、該切削加工補助潤滑材を用いた切削加工補助潤滑シート、及びそれらを用いた切削加工方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0017】
〔切削加工補助潤滑材〕
本実施形態の切削加工補助潤滑材は、フラーレンを含有すること以外特に限定されないが、例えば、高分子材料と無機充填材とを含むものが挙げられる。具体的には、フラーレンと、水溶性又は非水溶性の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂などの高分子材料と、カーボン、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、モリブデン化合物などの無機充填材と、を含有する切削加工補助潤滑材が好ましく、フラーレンと、重量平均分子量が5×10以上、1×10である高分子量化合物(A)と、重量平均分子量が1×10以上、5×10以下である中分子量化合物(B)と、カーボン(C)と、を含有する切削加工補助潤滑材がより好ましい。このような切削加工補助潤滑材を用いることにより、切削工具への負荷をより低減させることができ、切削面端部にできるバリ、欠け、及び繊維の切れ残り、並びに層間剥離をより低減させることができる傾向にある。
【0018】
切削加工補助潤滑材の形状は特に限定されないが、例えば、シート状の切削加工補助潤滑材、丸棒の形状や角棒の形状などのブロック状態の切削加工補助潤滑材、溶融状態の切削加工補助潤滑材等が挙げられる。このなかでも、シート状の態様が好ましい。
【0019】
また、切削加工補助潤滑材は、フラーレンと高分子材料と無機充填材とを含む単層体であっても、フラーレンと高分子材料と無機充填材とを含む層と、他の層と、を備える積層体であってもよい。他の層としては、切削加工補助潤滑材と、被加工材料との密着性を向上させるための粘着層、切削加工補助潤滑材表面の擦り傷を防止するための保護層等が挙げられる。以下、切削加工補助潤滑材の構成について説明する。
【0020】
(フラーレン)
本実施形態の切削加工補助潤滑材は、フラーレンを含む。フラーレンとしては、最も一般的なC60、C70、C72や、それ以上の炭素数により構成されているもの、又はこれらの混合物を用いることができる。これらフラーレンのうち、構造が球形に近いものが好適に用いられ、C60が最も好ましい。フラーレンは化学修飾されていないものの他、被加工物に対して腐食その他の劣化を生じさせない官能基により化学修飾されたものを用いることができる。このような官能基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、水酸基、アシル基、フェニル基、ベンジル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基等が挙げられるがこれに限定されない。
【0021】
また、フラーレンは粉体状の他、顆粒状、水又は有機溶媒とのスラリー状又は、樹脂と混錬してコンパウンド化したものを用いることができる。
【0022】
フラーレンを用いることにより、切削加工時の摩擦熱が減少するとともに、バリが抑制される傾向にある。この理由は、特に限定されないが、五員環が六員環の炭素原子ネットワークに入ることによって球殻状に閉じている構造を有するフラーレンが摩擦係数を低減させ、固体潤滑剤として機能するためと考えられる。また、同様に、フラーレンによる潤滑性により、欠け、繊維の切れ残り、又は層間剥離についても抑制されるものと考えられる。なお、本実施形態においては、後述するカーボン(C)には、フラーレンは含まれないものとする。
【0023】
フラーレンの二次平均粒子径は特に限定されないが、好ましくは1mm以下であり、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下である。フラーレンの二次平均粒子径が上記範囲内であることにより、切削加工補助潤滑材へのフラーレンの分散性がより向上する傾向にある。また、フラーレンは分散性向上等を目的として種々のコーティングを施されたものを用いることができる。
【0024】
なお、本実施形態においてフラーレン又はカーボン(C)の平均粒子径とは、メディアン径を指す。メディアン径とは、粒子径の累積分布曲線(個数基準)から得られる、その曲線で50%の高さとなる粒子直径(D50値)をいうものであり、例えば実施例に記載の方法により測定することができる。
【0025】
本実施形態における切削加工補助潤滑材中のフラーレンの含有量は、フラーレン、後述する高分子量化合物(A)、後述する中分子量化合物(B)、及び後述するカーボン(C)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部であり、より好ましくは1~25質量部であり、さらに好ましくは15~20質量部である。切削加工補助潤滑材中のフラーレンの含有量が上記範囲内であることにより、切削加工時により効果的に潤滑効果が発揮され、被加工材の加工品質が向上する傾向にある。
【0026】
(高分子量化合物(A))
高分子量化合物(A)は潤滑剤として機能することができ、切削加工補助潤滑材の潤滑性を向上させ、切削面端部にできるバリ、欠け、繊維の切れ残り、及び層間剥離を低減するという効果を発揮し得る。さらに、高分子量化合物(A)は成形剤としても機能することができ、切削加工補助潤滑材の成形性を向上させ、単層形成性(支持基材を用いることなく、それ自体で層(シート)を形成することが出来ること)という効果を発揮し得る。
【0027】
高分子量化合物(A)としては、重量平均分子量が5×10以上、1×10以下であれば、特に限定されず、水溶性若しくは非水溶性の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げられる。このなかでも、水溶性熱可塑性樹脂、非水溶性熱可塑性樹脂が好ましく、水溶性熱可塑性樹脂がより好ましい。水溶性又は非水溶性の熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、以下で説明する水溶性樹脂及び非水溶性樹脂が挙げられる。なお、「水溶性樹脂」とは、25℃、1気圧において、水100gに対し、1g以上溶解する高分子化合物をいう。高分子量化合物(A)は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0028】
水溶性樹脂を用いた場合、水溶性樹脂が有する潤滑性によって、切削加工時の切削屑の排出性が向上する傾向にある。また、水溶性樹脂を用いることにより、切削加工補助潤滑材の表面硬度が適度な柔らかさとなるため、切削工具への負荷をさらに低減できる傾向にある。さらに、切削加工後に切削加工箇所に付着した樹脂成分を容易に除去することが可能である。
【0029】
水溶性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド-プロピレンオキサイド共重合体等のポリアルキレンオキサイド;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリアルキレングリコールのエステル化合物;ポリアルキレングリコールのエーテル化合物;水溶性ウレタン;ポリエーテル系水溶性樹脂;水溶性ポリエステル;ポリ(メタ)アクリル酸ソーダ;ポリアクリルアミド;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロースのエーテル化合物;セルロースアセテート、セルロースプロピオネート等のセルロースのエステル化合物;変性ポリアミドが挙げられる。このなかでもポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリエーテル系水溶性樹脂が上記観点から好ましい。
【0030】
非水溶性樹脂を用いた場合、水溶性樹脂を用いた場合と比較して、切削加工補助潤滑材の表面硬度が高くなる傾向にある。そのため、例えば、切削加工時の切削工具の食い付き性が向上し、設計通りの位置に切削部を形成することができ、さらに、切削加工補助潤滑材の剛性が向上し、ハンドリング性が向上する。
【0031】
非水溶性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン系重合体;アクリル系重合体;酢酸ビニル系重合体;塩化ビニル系重合体;ポリエステル系重合体;ポリエチレンワックス等のポリオレフィン系重合体;スチレン単独重合体(GPPS)、スチレン-ブタジエン共重合体(HIPS)、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(例えばMS樹脂)などで例示されるポリスチレン系樹脂;及びそれらの共重合体などが挙げられる。
【0032】
高分子量化合物(A)の重量平均分子量は、5×10以上であり、好ましくは6×10以上であり、より好ましくは1×10以上であり、さらに好ましくは1.25×10以上である。また、高分子量化合物(A)の重量平均分子量は、1×10以下であり、好ましくは8×10以下であり、より好ましくは7×10以下であり、さらに好ましくは6×10以下である。高分子量化合物(A)の重量平均分子量が5×10以上であることにより、成形性がより向上する。また、高分子量化合物(A)の重量平均分子量が1×10以下であることにより、潤滑性がより向上する。なお、高分子量化合物(A)を2種以上用いる場合には、それぞれの化合物が、上記重量平均分子量を満たすことが好ましい。なお、本実施形態において、重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる(以下同様とする)。
【0033】
切削加工補助潤滑材中の高分子量化合物(A)の含有量は、高分子量化合物(A)、中分子量化合物(B)、及びカーボン(C)の合計100質量部に対して、好ましくは10質量部以上であり、より好ましくは20質量部以上であり、さらに好ましくは25質量部以上であり、特に好ましくは30質量部以上である。また、切削加工補助潤滑材中の高分子量化合物(A)の含有量は、高分子量化合物(A)、中分子量化合物(B)、及びカーボン(C)の合計100質量部に対して、好ましくは60質量部以下であり、より好ましくは55質量部以下であり、さらに好ましくは50質量部以下である。
【0034】
高分子量化合物(A)の含有量が10質量部以上であることにより、潤滑性がより向上する傾向にある。また、高分子量化合物(A)の含有量が60質量部以下であることにより、成形性がより向上する傾向にある。また、高分子量化合物(A)の含有量が上記範囲内であることにより、切削工具への負荷がより低減し、切削面端部にできるバリ、欠け、及び繊維の切れ残り、並びに層間剥離がより低減する傾向にある。特に、高分子量化合物(A)の含有量が20質量部以上であることにより、加工孔周辺にできるバリ、欠け、及び繊維の切れ残り、並びに層間剥離がより低減する傾向にある。
【0035】
(中分子量化合物(B))
中分子量化合物(B)は潤滑剤として機能することができ、切削加工補助潤滑材の潤滑性を向上させ、切削面端部にできるバリ、欠け、及び繊維の切れ残り、並びに層間剥離を低減という効果を発揮し得る。中分子量化合物(B)としては、重量平均分子量が1×10以上、2×10以下であれば、特に限定されず、水溶性又は非水溶性の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げられる。このなかでも、水溶性又は非水溶性の熱可塑性樹脂が好ましく、水溶性の熱可塑性樹脂がより好ましい。
【0036】
水溶性熱可塑性樹脂である中分子量化合物(B)としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリエチレンオキサイドオレイルエーテル、ポリエチレンオキサイドセチルエーテル、ポリエチレンオキサイドステアリルエーテル、ポリエチレンオキサイドラウリルエーテル、ポリエチレンオキサイドノニルフェニルエーテル、ポリエチレンオキサイドオクチルフェニルエーテル等のポリアルキレンオキサイドのモノエーテル化合物;ポリエチレンオキサイドモノステアレート、ポリエチレンオキサイドソルビタンモノステアレート、ポリグリセリンモノステアレート等のポリアルキレンオキサイドのモノステアレート化合物;ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド-プロピレンオキサイド共重合体等のポリアルキレンオキサイドが挙げられる。この中でも、ポリエチレンオキサイドモノステアレートが好ましい。このような中分子量化合物(B)を用いることにより、潤滑性がより向上する傾向にある。中分子量化合物(B)は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0037】
中分子量化合物(B)の重量平均分子量は、1×10以上であり、好ましくは1.25×10以上であり、より好ましくは1.5×10以上であり、さらに好ましくは2×10以上であり、よりさらに好ましくは2.5×10以上であり、特に好ましくは3×10以上である。また、中分子量化合物(B)の重量平均分子量は、2×10以下であり、好ましくは1.5×10以下であり、より好ましくは1.25×10以下であり、さらに好ましくは1×10以下であり、よりさらに好ましくは7.5×10以下であり、特に好ましくは5×10以下である。中分子量化合物(B)の重量平均分子量が1×10以上であることにより、成形性がより向上する。また、中分子量化合物(B)の重量平均分子量が2×10以下であることにより、潤滑性がより向上する。
【0038】
切削加工補助潤滑材中の中分子量化合物(B)の含有量は、高分子量化合物(A)、中分子量化合物(B)、及びカーボン(C)の合計100質量部に対して、好ましくは10質量部以上であり、より好ましくは15質量部以上であり、さらに好ましくは20質量部以上である。また、切削加工補助潤滑材中の中分子量化合物(B)の含有量は、高分子量化合物(A)、中分子量化合物(B)、及びカーボン(C)の合計100質量部に対して、好ましくは75質量部以下であり、より好ましくは60質量部以下であり、さらに好ましくは45質量部以下であり、よりさらに好ましくは40質量部以下である。
【0039】
中分子量化合物(B)の含有量が10質量部以上であることにより、潤滑性がより向上する傾向にある。また、中分子量化合物(B)の含有量が75質量部以下であることにより、成形性がより向上する傾向にある。また、中分子量化合物(B)の含有量が上記範囲内であることにより、切削工具への負荷がより低減し、切削面端部にできるバリ、欠け、及び繊維の切れ残り、並びに層間剥離がより低減する傾向にある。
【0040】
また、分子量の異なる高分子量化合物(A)と中分子量化合物(B)を併用することにより、切削工具への負荷がより低減し、切削面端部にできるバリ、欠け、及び繊維の切れ残り、並びに層間剥離がより低減する傾向にある。
【0041】
(カーボン(C))
カーボン(C)は固体潤滑剤として機能することができ、切削加工補助潤滑材の潤滑性を向上させ、切削工具の加工寿命を延ばす効果を発揮し得る。さらに、カーボン(C)は切削加工時の温度において、体積を有する固体状で存在するため、切削加工時の潤滑性を維持できる。カーボン(C)としては、特に限定されないが、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、コロイド黒鉛、熱分解黒鉛、膨張化黒鉛、鱗片状黒鉛が挙げられる。この中でも、鱗片状のものが好ましい。カーボン(C)が鱗片状黒鉛を有することにより、摩耗低減性能がより向上する傾向にある。カーボン(C)は1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0042】
切削加工補助潤滑材を用いた切削加工、特に、連続切削加工において、カーボン(C)は、切削工具の表面や溝、及び被加工材料の切削部の内側面に付着することで潤滑性を示す。その際、カーボン(C)は、高分子量化合物(A)、中分子量化合物(B)に比べて、温度変化に伴う、体積及び硬度の変化が小さいため、切削加工を行う場合、切削工具や加工箇所の温度が上昇しても、一定の体積及び硬度を保つことができる。即ち、カーボン(C)は、切削加工を行う場合、例えば、切削工具と被加工材料との間に常在して潤滑性を高め、ベアリングのような効果を示すことができるので、切削工具の摩耗を抑制する効果がある。カーボン(C)は他の固体潤滑剤と比較して適度に高い硬度を有するため、上記ベアリング効果に優れ、潤滑性に優れる。結果として、切削工具への負荷がより低減し、切削面端部にできるバリ、欠け、及び繊維の切れ残り、並びに層間剥離がより低減する傾向にある。
【0043】
カーボン(C)の平均粒子径は、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは100μm以上であり、さらに好ましくは150μm以上であり、特に好ましくは200μm以上である。また、カーボン(C)の平均粒子径は、好ましくは1000μm以下であり、より好ましくは750μm以下であり、さらに好ましくは500μm以下であり、特に好ましくは300μm以下である。カーボン(C)の平均粒子径が50μm以上であることにより、潤滑性並びに成形性がより向上し、結果として、切削工具への負荷がより低減し、切削工具寿命が伸び、切削面端部にできるバリ、欠け、及び繊維の切れ残り、並びに層間剥離がより低減する傾向にある。
【0044】
また、カーボン(C)の平均粒子径が100μm以上であることにより、潤滑性並びに成形性が更に向上し、結果として、ドリル寿命が更に伸び、加工孔周辺にできるバリ、欠け、及び繊維の切れ残り、並びに層間剥離が更に低減する傾向にある。また、カーボン(C)の平均粒子径が1000μm以下であることにより、切削工具の摩耗がより抑制される傾向にある。なお、カーボン(C)を2種以上含む場合には、それぞれの平均粒子径が上記範囲を満たせばよい。
【0045】
切削加工補助潤滑材中のカーボン(C)の含有量は、高分子量化合物(A)、中分子量化合物(B)、及びカーボン(C)の合計100質量部に対して、好ましくは5質量部以上であり、より好ましくは15質量部以上であり、さらに好ましくは20質量部以上であり、特に好ましくは25質量部以上である。また、切削加工補助潤滑材中のカーボン(C)の含有量は、高分子量化合物(A)、中分子量化合物(B)、及びカーボン(C)の合計100質量部に対して、好ましくは70質量部以下であり、より好ましくは65質量部以下であり、さらに好ましくは60質量部以下である。カーボン(C)の含有量が5質量部以上であることにより、潤滑性がより向上する傾向にある。また、カーボン(C)の含有量が70質量部以下であることにより、成形性がより向上する傾向にある。また、カーボン(C)の含有量が上記範囲内であることにより、切削工具への負荷がより低減し、切削面端部にできるバリ、欠け、及び繊維の切れ残り、並びに層間剥離がより低減する傾向にある。
【0046】
(その他の成分)
切削加工補助潤滑材は、必要に応じて、その他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、潤滑性向上成分、形成性向上成分、可塑剤、柔軟剤、表面調整剤、レベリング剤、帯電防止剤、乳化剤、消泡剤、ワックス添加剤、カップリング剤、レオロジーコントロール剤、防腐剤、防黴剤、ハイドロキノン等の酸化防止剤、光安定剤、コハク酸等の核剤、有機フィラー、無機フィラー、固体潤滑剤、熱安定化剤、着色剤などが挙げられる。
【0047】
潤滑性向上成分としては、特に限定されないが、例えば、エチレンビスステアロアミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアリルアミドなどで例示されるアマイド系化合物;ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸などで例示される脂肪酸系化合物;ステアリン酸ブチル、オレイン酸ブチル、ラウリン酸グリコールなどで例示される脂肪酸エステル系化合物;流動パラフィン、などで例示される脂肪族炭化水素系化合物;オレイルアルコールなどで例示される高級脂肪族アルコールが挙げられ、これらのうち少なくとも1種を選択することができる。
【0048】
形成性向上成分としては、特に限定されないが、例えば、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、熱硬化性ポリイミド が挙げられ、これらのうち少なくとも1種を選択することができる。
【0049】
可塑剤、柔軟剤を含むことにより、被加工材料(例えば、CFRP)曲面に切削加工補助潤滑材を配置した際に、例えば、切削加工補助潤滑材への応力や歪みが軽減されることで、切削加工補助潤滑材の割れを抑制することができ、曲面追従性がより向上する傾向にある。可塑剤、柔軟剤としては、特に限定されないが、例えば、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ化植物油、セバシン酸エステルなどが挙げられる。
【0050】
フラーレン及びカーボン(C)以外の固体潤滑剤としては、特に限定されないが、例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、モリブデン化合物、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミドなどが挙げられる。
【0051】
〔切削加工補助潤滑シート〕
本実施形態の切削加工補助潤滑シートは、上記切削加工補助潤滑材からなる層を、少なくとも一部に設けてなるものであれば、特に制限されず、例えば、シート状に成形された切削加工補助潤滑材の単層体や、シート状に成形された切削加工補助潤滑材と他の層との積層体が例示される。
【0052】
(粘着層)
切削加工補助潤滑シートは、上記他の層として、被加工材料と接する面に粘着層を有していてもよい。粘着層を有することにより、切削加工補助潤滑材と被加工材料の密着性がより向上する傾向にある。
【0053】
粘着層の構成成分は、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、例えば、ウレタン系重合体、アクリル系重合体、酢酸ビニル系重合体、塩化ビニル系重合体、ポリエステル系重合体及びそれらの共重合体が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド、シアネート樹脂などの樹脂が挙げられる。このなかでも、被加工材料(例えば、CFRP)への糊残りがなく、常温にて容易に粘着できる特性が要求されることから、アクリル系重合体が好ましく、溶剤型アクリル粘着剤及びアクリルエマルジョン型粘着剤(水系)がより好ましい。
【0054】
粘着層は、その他必要に応じて、粘着層の成分に酸化防止剤等の劣化防止剤、炭酸カルシウム、タルク、シリカ等の無機フィラーを含んでもよい。
【0055】
切削加工後に被加工材料から切削加工補助潤滑材を除去した際、被加工材料に付着する切削加工補助潤滑材及び/又は粘着層の成分の量は、被加工材料と切削加工補助潤滑材の接触部分及び被加工部分の面積1mm当たり、好ましくは1.0×10-8g以下であり、より好ましくは5.0×10-9g以下である。被加工材料に付着する切削加工補助潤滑材及び/又は粘着層の成分の量の下限は、特に限定されないが、0が好ましい。ここでいう被加工部分とは、例えば、ドリル孔あけ加工の場合、加工孔の内部を指す。
【0056】
(厚さ)
粘着層を除く切削加工補助潤滑材の厚さは、被加工材料を切削加工する際の切削方法、切断方法、切削加工する部分の面積や体積、切削加工する際に使用する切削工具の大きさ、繊維強化プラスチック(CFRP)の構成、その厚さなどによって適宜選択されるので、特に限定されない。このなかでも、切削加工補助潤滑シートにおける切削加工補助潤滑材からなる層の厚さは、好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.2mm以上であり、さらに好ましくは0.5mm以上である。また、切削加工補助潤滑材からなる層の厚さは、好ましくは20mm以下であり、より好ましくは10mm以下であり、さらに好ましくは5mm以下である。切削加工補助潤滑材からなる層の厚さが0.1mm以上であることにより、十分な切削応力低減が得られる傾向にある。また、切削加工補助潤滑材からなる層の厚さが20mm以下であることにより、切削加工を行う場合、切削工具への切削加工補助潤滑材の巻き付きが減少し、切削加工補助潤滑材における亀裂発生をより抑制できる傾向にある。
【0057】
また、切削加工補助潤滑材に含まれる樹脂が切削粉のバインダーとなることを抑制でき、切削粉が切削部にとどまることを低減できる傾向にある。これにより、切削部内部の凹凸が拡大することを抑制できる傾向にある。つまり、切削加工補助潤滑材の組成と厚さとを適正化することで、潤滑性を向上させることができ、切削加工を行う場合、切削工具溝を通じた切削粉の排出を最適化できる。また、本発明の効果をより一層得るためには、切削加工補助潤滑材の総厚さを上述した範囲内で適宜制御することが好ましく、薄い切削加工補助潤滑材を複数枚重ねて使用することも可能である。
【0058】
粘着層の厚さは特に限定されるものではなく、好ましくは0.01mm以上であり、より好ましくは0.05mm以上である。また、粘着層の厚さは、好ましくは5mm以下であり、より好ましくは2.5mm以下である。
【0059】
切削加工補助潤滑材を構成する各層の厚さは、次のようにして測定する。まず、クロスセクションポリッシャー(日本電子データム株式会社製 CROSS-SECTION POLISHER SM-09010)、又はウルトラミクロトーム(Leica社製 EM UC7)を用いて切削加工補助潤滑材を切削加工補助潤滑材に対して垂直方向に切断する。次に、SEM(走査型電子顕微鏡、Scanning Electron Microscope、KEYENCE社製 VE-7800)を用いて、切断面に対して垂直方向から切断面を観察し、切削加工補助潤滑材を構成する各層の厚さを測定する。その際、1視野に対して、5箇所の厚さを測定し、その平均値を各層の厚さとする。
【0060】
(切削加工補助潤滑材の製造方法)
切削加工補助潤滑材の製造方法としては、特に制限されるものではなく、高分子材料などの樹脂と充填材(例えば、無機充填材)とを含む樹脂組成物を、シートや、丸棒の形状や角棒の形状などのブロック状態に成形する従来公知の方法を広く利用することができる。例えば、フラーレン、高分子量化合物(A)、中分子量化合物(B)、及びカーボン(C)を、溶媒の存在下又は溶媒の非存在下で混合し、支持体に塗布、冷却、固化させてシートを形成し、その後、支持体を除去、剥離して切削加工補助潤滑材を得る方法;フラーレン、高分子量化合物(A)、中分子量化合物(B)、及びカーボン(C)を、溶媒存在下又は溶媒非存在下で混合し、シートの形状に押出成形して、必要に応じて延伸することにより切削加工補助潤滑材を得る方法などが挙げられる。
【0061】
切削加工補助潤滑材が前述した積層体(例えば、粘着層や保護層を有する切削加工補助潤滑シート)である場合、当該積層体を製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、予め作製した層の少なくとも片面にもう一つの層を直接形成する方法や、予め作製した層ともう一つの層を、接着樹脂や熱によるラミネート法などで貼り合わせる方法などが挙げられる。
【0062】
また、粘着層を切削加工補助潤滑材の表面に形成する方法としては、工業的に使用される公知の方法であれば、特に限定されない。具体的には、ロール法やカーテンコート法、スプレー噴出法などで粘着層を形成する方法や、ロールやT-ダイ押出機等を使用し、予め所望の厚さの粘着層を形成する方法などが例示される。該粘着層の厚さは、特に限定されるものではなく、被加工材料の曲率や切削加工補助潤滑材の構成により最適な厚さを、適宜、選択できる。
【0063】
また、溶融状態の切削加工補助潤滑材を製造する場合には、樹脂と充填材とを混合して得られる樹脂組成物を切削加工補助潤滑材として用いるか、樹脂と充填材と溶媒とを混合して得られる樹脂組成物を切削加工補助潤滑材として用いる方法が挙げられる。
【0064】
(被加工材料)
被加工材料としては、金属、繊維強化プラスチック、セラミックス、又はこれらを含む複合材料であれば特に限定されない。金属としては、鉄、アルミニウム、チタン等の他、チタン合金、アルミ合金、超耐熱合金、ステンレス鋼(SUS)、ジュラルミン、炭素鋼、工具鋼等の合金類が挙げられる。繊維強化プラスチックとしては、マトリックス樹脂と強化繊維により構成される複合材であれば特に限定されない。マトリックス樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂;ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂、PP(ポリプロピレン)樹脂、PC(ポリカーボネート)樹脂、メチルメタアクリレート樹脂、ポリエチレン、アクリル、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。強化繊維としては、特に限定されないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維が挙げられる。また、強化繊維の形態としては、特に限定されないが、例えば、フィラメント、トウ、クロス、ブレード、チョップ、ミルドファイバー、フェルトマット、ペーパー、プリプレグ等が挙げられる。このような繊維強化プラスチックの具体例としては、特に限定されないが、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、アラミド繊維強化プラスチック(AFRP)等の繊維強化プラスチック(FRP)が挙げられる。このなかでも、比較的に、引張り強さ、引張り弾性力が大きく、密度が小さい炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が好ましい。繊維強化プラスチックは、その他必要に応じて、無機フィラーや有機フィラー等を含んでいてもよい。セラミックスとしては、アルミナ、石英、ジルコニア等の硬質酸化物の他、炭化ケイ素などの炭化物、窒化ケイ素、窒化ガリウム等の窒化物が挙げられる。また、セラミックスの形態としては特に限定されないが、単結晶、多結晶、粉末焼結体等が挙げられる。
【0065】
(工具刃先への潤滑材移着方法)
本実施形態の切削加工補助潤滑材を工具刃先へ移着する方法は特に限定されないが、粘着層が設けられたシート形状の切削加工補助潤滑材を被加工材の切削加工部へ密着させ、シートごと切削加工を行う方法が最も好ましい。なお、本明細書では、被加工材料と切削加工補助潤滑材とを固定するために用いる粘着性を有する化合物の層を粘着層と定義する。しかしながら、工具・切削の種類や被加工材の形状により、ブロック形状の切削加工補助潤滑材を予め加工に用いる工具で切削することで移着を行い、切削する方法、液状の切削加工補助潤滑材を被加工材の切削加工部へ塗布又は噴霧する方法等がより好ましい場合がありうる。
【0066】
〔切削加工方法〕
本実施形態の切削加工方法は、切削加工補助潤滑材を、切削工具及び/又は被加工材料の被加工部分に接触させながら、切削工具により被加工材料を切削する切削加工工程を有するものであれば特に制限されず、例えば切削工具としてドリルを用いることにより、切削加工工程において、切削により貫通孔を形成する孔あけ加工などが含まれる。そのなかで、本実施形態の切削加工補助潤滑材がより効果を発揮する切削加工形態は孔あけ加工であるが、潤滑材の作用機序に鑑み、適用範囲はこれに限定されない。本実施形態の切削加工補助潤滑材の工具刃先への移着性を向上するという特質上、工具刃先への潤滑材供給が制限され、工具抜け側の加工品質不良を生じやすい、貫通深孔あけ加工に特に効果を発揮する。
【0067】
本明細書で言う孔あけ加工はドリルによる貫通孔あけ加工の他、エンドミルによる止まり孔加工、長孔加工を含む繰り広げ孔加工、座付き孔加工、タップによるねじ切り加工及びこれらを組み合わせた加工を含むが、これらに限定されず、工具回転方向に対し垂直に被加工材へ切り込む加工を意味する。本実施形態の切削加工補助潤滑材は下孔あけ等の粗加工、リーマやボーリングなどの仕上げ加工の区別なく用いることができ、小径工具による孔あけ後に大径工具による孔あけを行う、ガイド孔あけ加工後に深孔あけ加工を行うといった、多段階孔あけ加工に用いることもできる。また、加工時には切り屑の排出を促すステップ加工、センタースルーエアーや、ミスト加工、エアブロー等公知の加工オプションを組み合わせることでより高い加工品質を得られる場合がある。工作機としては被加工材の材質及び形状、加工孔形状に応じて、ハンドドリル、ボール盤、フライス盤、NC旋盤、マシニングセンタ、五軸加工機等から適宜選択し、あるいは組み合わせて使用することができる。
【0068】
本明細書で言う孔あけ加工以外の切削加工は切削工具を用いるものであれば特に限定されず、エンドミル、ルーターなどによるミーリング加工、正面フライス、平フライス、エンドミル等による平面フライス加工、丸鋸、砥石、エンドミル等を用いた切断加工、研削砥石を用いた研削加工、ラジアスエンドミル、ボールエンドミル等を用いた曲面加工、バイトによる旋削等が挙げられる。本実施形態の切削加工補助潤滑材は孔あけ加工以外の切削加工においても、粗加工、仕上げ加工、多段階加工の区別なく用いることができる。また、加工時には切り屑の排出を促すステップ加工、センタースルーエアーや、ミスト加工、エアブロー等公知の加工オプションを組み合わせることでより高い加工品質を得られる場合がある。工作機としては被加工材の材質、形状、加工孔形状に応じて、ハンドドリル、ボール盤、フライス盤、NC旋盤、マシニングセンタ、五軸加工機、丸鋸、砥石、研削盤等から適宜選択し、あるいは組み合わせて使用することができる。
【0069】
(切削工具)
切削工具は特に限定されるものではないが、被加工材の材質及び形状、加工形状、工作機の種類に応じて適宜選択する。工具の母材質は高速度鋼、超硬合金、多結晶窒化ホウ素焼結体等が用いられる。また、切削工具としてはノンコート工具の他に種々のコーテッド工具を用いた場合も本実施形態の切削加工補助潤滑材の効果が得られる。工具のコーティング種としては、ダイヤモンドコート、チタンナイトライドコート、ダイヤモンドライクカーボンコート、セラミックコート等が挙げられる。
【実施例
【0070】
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を具体的に説明する。なお、下記の実施例は本発明の実施形態の一例を示したに過ぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0071】
(実施例1、切削加工補助潤滑シートの作製)
フラーレンとして、C60を含む混合フラーレン(nanоm mix ST、フロンティアカーボン株式会社製、二次平均粒子径=100μm)2000質量部、高分子量化合物(A)として、ポリエチレンオキサイド(アルコックスE-45、明成化学工業株式会社製、重量平均分子量=5.6×10)1500質量部、及び、ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド共重合体(アルコックスEP-1010N、明成化学工業株式会社製、重量平均分子量=1.0×10)2500質量部、中分子量化合物(B)として、ポリエチレンオキサイドモノステアレート(ノニオンS-40、日油株式会社製、重量平均分子量=3.5×103)2500質量部、及びカーボン(C)として、黒鉛(XD100、伊藤黒鉛工業株式会社、平均粒子径=250μm、鱗片状)3500質量部を、核剤としてコハク酸150質量部、酸化防止剤としてハイドロキノン30質量部を、1軸押出機を使用して、温度140℃で押出機にて成形することにより、厚さ1.0mm、大きさ80mm×280mmのシートを作製した。また、厚さ0.12mmの両面テープ(No.535A、日東電工株式会社製)の強粘着面をこのシートの片面に貼り付けて、切削加工補助潤滑シートを作製した。
【0072】
なお、フラーレン及びカーボン(C)の平均粒子径(メディアン径)は、カーボンをヘキサメタりん酸溶液とトリトン数滴からなる溶液に分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、投影したカーボンの粒子それぞれの最大長さを測定する。そして、粒子径の累積分布曲線(個数基準)を算出する。その累積分布曲線(個数基準)において50%の高さとなる粒子直径を平均粒子径とした。
【0073】
また、高分子量化合物(A)及び中分子量化合物(B)の重量平均分子量は、高分子量化合物(A)及び中分子量化合物(B)を0.05質量%の食塩水に溶解、分散させ、GPC(Gel Permeation Chromatography)カラムを備えた液体クロマトグラフィーを用いて、ポリエチレングリコールを標準物質として測定し、相対平均分子量として算出した。
【0074】
(チタン合金孔あけ加工)
作製した切削加工補助潤滑シートを、被加工材料である幅280mm×奥行80mm、厚さ20mmのチタン合金板(Ti-6Al-4V)の片面全面に貼り付けた。続いて、上記チタン合金板を、切削加工補助潤滑シートが貼られた面を上側にして、マシニングセンタ(ヤマザキマザック株式会社製 立型マシニングセンタ「VCN-535C」)に備え付けたマシンバイスにチタン合金板の下側(ドリル抜け側)がフリーになるよう前後から把持し固定した。続いて、刃径6mmφのコーテッド超硬ドリル(オーエスジー株式会社製 超硬SUSドリル「ADO-SUS 3D 6」)をツールホルダに把持し、周速20m/min、回転あたり送り0.10mm/rev(孔深さ18~20mmの範囲では回転あたり送り0.020mm/rev)、の切削条件で、斜め45°上方より切削点に向けてエアブローしながら25孔連続で貫通孔あけを行った。
【0075】
(チタン合金裏バリ高さ測定)
孔あけ後のチタン合金板のドリル抜け側バリ高さ測定は以下の方法で行った。光学顕微鏡にてチタン合金板のドリル抜け側の加工端部を倍率40倍で撮影した。続いて画像処理により板表面の平均高さと加工端部の凸部(裏バリの頂点)の高さを求め、その差分を裏バリ高さとして算出した。裏バリ高さの測定点は各孔8点とし、8点の裏バリ高さの平均値を各孔の「8点平均裏バリ高さ」とした。また、1、5、10、15、20及び25孔目の平均裏バリ高さの平均値を「6孔平均裏バリ高さ」とした。実施例1における6孔平均裏バリ高さは88μmであった。
【0076】
(比較例1)
フラーレンを用いないこと以外は実施例1と同様に切削加工補助潤滑シートを作製し、チタン合金板の孔あけ加工を行い、8点平均裏バリ高さ及び6孔平均裏バリ高さを測定した。比較例1における6孔平均裏バリ高さは97μmであった。
【0077】
(比較例2)
樹脂組成を表1記載の通りとした他は実施例1と同様に切削加工補助潤滑シートを作製し、チタン合金板の孔あけ加工を行い、8点平均裏バリ高さ及び6孔平均裏バリ高さを測定した。比較例2における6孔平均裏バリ高さは186μmであった。
【0078】
【表1】
【0079】
上記の結果から、難切削材の切削加工時に、フラーレンを配合した切削加工補助潤滑シートを用いることにより高い切削品質が得られることが示された。
【0080】
本出願は、2017年4月25日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2017-085817)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の切削加工補助潤滑材は、被加工材料、特に難切削材の切削加工において、その加工品質を向上させ、加工コストを低下させるものとして、産業上の利用可能性を有する。