(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】細菌学的に制御された流体を生成するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/28 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
A61M1/28 110
(21)【出願番号】P 2019560335
(86)(22)【出願日】2017-11-06
(86)【国際出願番号】 EP2017078347
(87)【国際公開番号】W WO2018202321
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2020-11-06
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2017/031405
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】591013229
【氏名又は名称】バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
(73)【特許権者】
【識別番号】501453189
【氏名又は名称】バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Baxter Healthcare S.A.
【住所又は居所原語表記】Thurgauerstr.130 CH-8152 Glattpark (Opfikon) Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100199277
【氏名又は名称】西守 有人
(72)【発明者】
【氏名】ヴィースランデル, アンデシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンソン, オロフ
(72)【発明者】
【氏名】ウィクター, ペール-オーラ
(72)【発明者】
【氏名】ウェリングス, アンデシュ
(72)【発明者】
【氏名】イェプソン, ヘレナ
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-252396(JP,A)
【文献】特表2002-539896(JP,A)
【文献】特表2014-519345(JP,A)
【文献】米国特許第05032265(US,A)
【文献】特開昭59-166156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00 - 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合浄水装置(110)を備えるシステムであって、
前記統合浄水装置(110)は、
水源(398)から水を受けるための水入り口(333)に接続されたプレフィルタ回路(402)であって、粒子フィルタおよび活性炭フィルタが前記水入り口(333)を介して受けた水をフィルタすることによって前処理された水を生成するよう構成される、プレフィルタ回路(402)と、
前記プレフィルタ回路(402)から前処理された水を受けるよう構成された流体回路(404)であって、前記流体回路(404)が、
RO-ポンプ(450)と、
逆浸透、RO、デバイス(301)と、を含む、流体回路(404)と、を含み、
前記浄水装置(110)はさらに、前記RO-ポンプ(450)を用いて前記ROデバイス(301)を通じて前処理された水をポンプし、精製水を生成し、精製水出口コネクタ(128)を通じて前記精製水を出すように構成され、
前記流体回路(404)はさらに、
前記ROデバイス(301)からの精製水を摂氏65度を超える温度に熱するように
透過流体経路(371a)に構成された加熱デバイス(302)を含み、
前記浄水装置(110)はさらに、前記熱せられた精製水を用いて前記流体回路(404)を加熱殺菌するよう構成され、
前記システム(10a)はさらに、
ラインセット(40)であって、前記ラインセット(40)の水ラインコネクタ(68)において前記精製水出口コネクタ(128)に接続されるラインセット(40)を備え、
前記ラインセット(40)が、前記精製水をフィルタして滅菌精製水とするよう構成された少なくともひとつの滅菌滅菌化グレードフィルタ(70a、70b)を含むシステム。
【請求項2】
前記ラインセット(40)が再利用可能ラインセットである請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくともひとつの滅菌滅菌化グレードフィルタ(70a、70b)が、
1マイクロメートル未満の平均細孔直径を有する請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記流体回路(404)が、前記ROデバイス(301)からの前記精製水をさらに処理し、さらに浄化された水を出力するよう構成された電気脱イオンユニット、EDIユニット、(306)を含み、
前記流体回路(404)が、前記EDIユニット(306)からの前記精製水を前記水出口コネクタ(128)を通じて出力するよう構成される請求項1から
3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記ラインセット(40)がドレインライン(56)を含み、前記ドレインライン(56)が前記ドレインライン(56)のドレインラインコネクタ(58)において前記浄水装置(110)のドレインコネクタ(118)に接続され、
前記浄水装置(110)がさらに、前記ラインセット(40)の前記ドレインライン(56)から受けたドレイン流体をドレイン(339)に輸送するための、前記ドレインコネクタ(118)に接続された第1ドレイン経路(384)を備える請求項1から
4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記浄水装置(110)がさらに、前記熱せられた精製水を用いて、前記浄水装置(110)の前記ドレインコネクタ(118)と前記水出口コネクタ(128)とを加熱殺菌するよう構成される
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記浄水装置(110)は、
前記流体回路(404)内を流れる前記精製水を、前記加熱デバイス(302)によって、摂氏65度を超える温度に、熱するよう前記浄水装置(110)に周期的に命令するようプログラムされ、かつ、所定の殺菌基準が充たされるように前記熱せられた水を用いて前記流体回路(404)の加熱殺菌を制御するようプログラムされるコントロールユニット(112)を含む請求項1から
6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントロールユニット(112)が、前記流体回路(404)内を流れる水を、前記加熱デバイス(302)によって熱するよう前記浄水装置(110)に命令するようプログラムされ、かつ、前記ラインセット(40)の加熱殺菌のために前記精製水出口コネクタ(128)を通じて前記ラインセット(40)に前記熱せられた水を出すようプログラムされる請求項1から
7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
少なくともひとつの濃縮物源(84a、84b)と、
サイクラ(20)と、を備え、
前記サイクラは、
サイクラコントロールユニット(22)と、
前記コントロールユニット(22)によって制御されるよう構成されたポンプアクチュエータ(5)と、を含み、
前記ラインセット(40)は前記サイクラ(20)と共に動作可能であり、かつ、さらに、
前記ポンプアクチュエータ(5)によって駆動されるよう構成されたポンプチャンバ(44)を有するポンピングカセット(42)と、
前記ポンピングカセット(42)と流体連通するミキシングコンテナ(62)と、を備え、
前記サイクラコントロールユニット(22)が、前記精製水と前記少なくともひとつの濃縮物とを混ぜるためのインストラクションを有し、前記インストラクションが、
前記ポンプアクチュエータ(5)に、前記ポンプチャンバ(44)を動作させることで、前記ミキシングコンテナ(62)に前記精製水の第1量をポンプさせることと、
前記ポンプアクチュエータ(5)に、前記ポンプチャンバ(44)を動作させることで、前記ミキシングコンテナ(62)に、前記少なくともひとつの濃縮物源(84a、84b)からの前記少なくともひとつの濃縮物の規定量をポンプさせることと、を行うことを含む請求項1から
8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記サイクラコントロールユニット(22)が、前記ラインセット(40)の加熱殺菌を行うためのインストラクションを備え、前記インストラクションが、
(i)前記ポンプアクチュエータ(5)に、前記ラインセット(40)内で熱水を循環させることを含む
請求項8または9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ラインセット(40)が、前記精製水をフィルタして滅菌精製水とするよう構成された2つ以上の滅菌滅菌化グレードフィルタ(70a、70b)を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
システムで細菌学的に制御された流体を生成するための方法であって、前記システムが、加熱殺菌された流体回路を伴う
浄水装置であって、精製水を生成するよう構成された
逆浸透、RO、ユニットおよび前記流体回路を加熱殺菌するために使用される前記ROユニットからの精製水を加熱するよう透過流体経路に構成された加熱デバイスを含む浄水装置と、前記精製水を使用箇所に輸送するために前記浄水装置の水出口コネクタに接続されたラインセットと、を備え、前記方法は、
水源からの水を前記流体回路の前記逆浸透ユニット、ROユニット、で処理することによって、精製水を生成すること(S1
)と、
前記精製水出口コネクタおよびそれに接続された前記ラインセットを通るよう前記精製水を導くこと(S3)であって、前記ラインセットが少なくともひとつの滅菌滅菌化グレードフィルタを含み、
前記滅菌滅菌化グレードフィルタが、1マイクロメートル未満の平均細孔直径を有する、ことと、を含む方法。
【請求項13】
前記システム(1)がサイクラ(20)を備え、
前記方法はさらに、
前記サイクラ(20)のポンプアクチュエータに、前記ラインセットのポンプチャンバを動作させることで、前記ラインセットのミキシングコンテナに前記精製水の第1量をポンプさせること(S41)と、
前記ポンプアクチュエータに、前記ポンプチャンバを動作させることで、前記ミキシングコンテナに、少なくともひとつの濃縮物源からの少なくともひとつの濃縮物の規定量をポンプさせること(S42)と、を含む
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
摂氏65度を超える温度に前記生成された精製水を熱すること(S5)と、
前記水出口コネクタを通るように熱せられた前記精製水を導くこと(S6)と、
前記ラインセット内において熱せられた前記精製水を循環させること(S7)と、をさらに含む
請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
インストラクションを備えるコンピュータプログラムであって、
前記インストラクションは、前記プログラムがコントロールユニットによって実行された場合、請求項1から11のいずれか一項に記載の前記コントロールユニットおよびそれに関するシステムに、請求項12から
14のいずれか一項に記載の方法を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は細菌学的に制御された流体を生成する技術分野に関し、特に透析に適した細菌学的に制御された流体を生成することに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の家で患者に医療を提供することが普及してきている。腎不全で苦しむ患者にとって、腹膜透析(PD)や血液透析(HD)による家での治療は、患者が自身を家で治療することを可能とし、医療センタ訪問の回数を低減することができるオプションである。
【0003】
そのような透析治療は、典型的には、透析流体を密封された滅菌コンテナに使用可能な状態で提供し、2-5リットルバッグで患者の家に届けることを必要とする。PD治療は、一日当たり8から20リットルの透析流体を必要とし、患者毎にそれを一週間に7日、一年に365日必要とする。各患者にコンテナを提供するための配布の努力、および多くの患者がコンテナを取り扱い、保存することに困難を感じることを考慮して、治療の時点、例えば患者の自宅で透析流体を混合または配合することが提案されている。次いで、濃縮物を水と混合して、治療の時点で透析流体にする。濃縮物は治療の時点で提供されなければならないが、すぐに使用できる透析流体よりはるかに少ない量で提供される。濃縮物は、通常、すぐに使用できる流体と比較して、10~40倍に高度に濃縮されている。
【0004】
自動PDは通常、透析流体を患者にポンプ輸送し、使用済み透析流体を患者から除去するためのサイクラを使用する。これは、透析流体バッグ、患者、およびドレーンに通じるラインに接続されたカセットを介して行われる。
【0005】
PDの主な副作用の1つは、患者に深刻な結果をもたらし、最終的には患者がPD治療をもはや使用できなくなることがある腹膜炎の危険性である。腹膜炎の危険性は、腹膜との接続中の接触汚染、および流入する透析流体中の微生物の存在に強く関連する。患者は無菌的にかつ汚染を避けるために特別な注意を払って、接続を行うように訓練される。
【0006】
したがって、PD治療をうまく実施するためには、治療中および治療準備中に、汚染のすべての危険性、およびシステム内に微生物が導入され、潜在的に腹膜に到達する危険性を回避することが極めて重要である。
【0007】
透析流体の調製において、そして上記と一致して、高純度レベルの水が使用されるべきである。US5591344Aから、水を精製し、精製水を濃縮物と混合して透析溶液を調製し、透析溶液を血液透析処理に使用することが知られている。透析器の膜は、あらゆる汚染物質に対する追加の障壁として働く。US5591344Aによれば、細菌は、経時的に流体回路の内面上で増殖する。このような汚染を低減するために、体外のラインを含む流体回路の加熱殺菌が行われる。水は高温に加熱され、流体回路内を循環する。流体回路は、化学物質混合タンク、水処理および体外透析モジュールを有する透析溶液調製を含むので、そのような流体回路を殺菌するために必要とされる加熱された水の量および電力は大きく、加熱プロセスは時間がかかる。
【0008】
US2015/0273090A1は、逆浸透フィルタ手段によって処理された水を提供する水処理装置を開示している。処理された水は、さらなる物質とのさらなる混合のために血液透析装置に輸送される。加熱殺菌は、水処理装置の流路の一部を殺菌するために使用される。
【発明の概要】
【0009】
いくつかの用途、例えばPDは、非常に高い純度の透析溶液を必要とする。透析溶液の純度は、腹膜に注入するのに適した純度でなければならない。
【0010】
本開示の目的は、透析流体を提供するために使用される精製水の生成の細菌学的制御を可能にする使用時点システムおよび方法を提供することである。さらなる目的は、精製水を製造する費用効率のよい方法を提供することである。さらに別の目的は、透析流体を製造する費用効率のよい方法を提供することである。別の目的は、PD流体の製造に使用するのに適した精製水の製造を可能にする使用時点システムおよび方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、PD流体の製造を可能にする使用時点システムおよび方法を提供することである。
【0011】
これらの目的および他の目的は、独立請求項によって、および従属請求項による実施の形態によって、少なくとも部分的に達成される。
【0012】
第1の態様によると、本開示は、統合浄水装置を備えるシステムに関する。浄水装置は、水源から水を受けるための水入り口に接続されたプレフィルタ回路と、前記水入り口を介して受けた水をフィルタすることによって前処理された水を生成するよう構成された粒子フィルタおよび活性炭フィルタと、を備える。浄水装置はさらに、プレフィルタ回路から前処理された水を受けるよう構成された流体回路であって、流体回路はROポンプおよび逆浸透、RO、デバイスを含む流体回路を備える。浄水装置はさらに、前記RO-ポンプを用いて前記ROデバイスを通じて前処理された水をポンプし、精製水を生成し、精製水出口コネクタを通じて前記精製水を出すように構成される。流体回路はさらに、前記ROデバイスからの精製水を摂氏65度を超える温度に熱するよう構成された加熱デバイスを含む。浄水装置はさらに、前記熱せられた精製水を用いて前記流体回路を加熱殺菌するよう構成される。システムはさらに、ラインセットであって、前記ラインセットの水ラインコネクタにおいて前記精製水出口コネクタに接続されるラインセットを備える。前記ラインセットは、前記精製水をフィルタして滅菌精製水とするよう構成された少なくともひとつの滅菌滅菌化グレードフィルタを含む。
【0013】
このシステムは、透析処置のための流体、特にPDのための透析流体の生成の細菌学的制御を提供する。「細菌学的」および「微生物学的」は、本開示において、同義語とみなされる。浄水装置は、その流体回路を加熱滅菌することができるので、流体回路内での細菌の増殖を防止することができる。少なくとも1つの滅菌滅菌化グレードフィルタは、浄水装置からの水が無菌であることを確実にする。したがって、このシステムは、高純度レベルの、したがって細菌がなく、内毒素の量、すなわち濃度が非常に低い精製水の連続的な産生を保証する。
【0014】
ある実施の形態によると、前記ラインセットが再利用可能ラインセットである。したがって、ラインセットは、複数回使用することができる。治療と治療の間に、ラインセットをすすぎ、殺菌しなければならない。
【0015】
ある実施の形態によると、前記流体回路が、1mL当たり100コロニー形成単位未満の細菌量および1mL当たり0.25内毒素単位未満の細菌内毒素量を伴う精製水を生成するよう構成される。これにより、浄水装置は、透析用の水としての(細菌学的)純度レベルの精製水を製造することができる。
【0016】
ある実施の形態によると、前記少なくともひとつの滅菌滅菌化グレードフィルタが、前記精製水をフィルタリングして、1mL当たりゼロコロニー形成単位の細菌量および1mL当たり0.05内毒素単位未満の細菌内毒素量を伴う滅菌精製水にするよう構成される。したがって、少なくとも1つの滅菌滅菌化グレードフィルタは、生成された精製水の無菌性を保証する。
【0017】
ある実施の形態によると、前記流体回路が、前記ROデバイスからの前記精製水をさらに処理し、さらに浄化された水を出力するよう構成された電気脱イオンユニット、EDIユニット、を含み、前記流体回路が、前記EDIユニットからの前記精製水を前記水出口コネクタを通じて出力するよう構成される。EDIユニットは摂氏25度で1.3μS/cm未満、摂氏20度で1.1μS/cm未満の導電レベルを有するように、ROデバイスからの水を精製することができる。
【0018】
ある実施の形態によると、前記ラインセットがドレインラインを含み、該ドレインラインが前記ドレインラインのドレインラインコネクタにおいて前記浄水装置のドレインコネクタに接続され、前記浄水装置がさらに、前記ラインセットの前記ドレインラインから受けたドレイン流体をドレインに輸送するための、前記ドレインコネクタに接続された第1ドレイン経路を備える。したがって、使用済み流体を、ラインセットを介してドレインに輸送することができる。
【0019】
ある実施の形態によると、前記浄水装置がさらに、前記熱せられた精製水を用いて、前記浄水装置の前記ドレインコネクタと前記水出口コネクタとを加熱殺菌するよう構成される。したがって、浄水装置の外部からの汚染にさらされる可能性があるこれらのコネクタを加熱殺菌することができ、それによってシステムの細菌学的制御が改善される。
【0020】
ある実施の形態によると、浄水装置は、前記流体回路内を流れる前記精製水を、前記加熱デバイスによって、摂氏65度を超える温度に、熱するよう前記浄水装置に周期的に命令するようプログラムされ、かつ、所定の殺菌基準が充たされるように前記熱せられた水を用いて前記流体回路の加熱殺菌を制御するようプログラムされるコントロールユニットを備える。例えば、殺菌基準は例えば当技術分野で知られているようなA0コンセプトに従って決定された加熱殺菌のある時間および温度を満たすことを含むことができる。
ある実施の形態によると、前記コントロールユニットが、前記流体回路内を流れる水を、前記加熱デバイスによって熱するよう前記浄水装置に命令するようプログラムされ、かつ、前記ラインセットの加熱殺菌のために前記精製水出口コネクタを通じて前記ラインセットに前記熱せられた水を出すようプログラムされる。この場合、水温は、摂氏85度~摂氏95度のような摂氏65度以上に加熱されてもよい。
【0021】
ある実施の形態によると、システムは、少なくともひとつの濃縮物源と、サイクラコントロールユニットを含むサイクラと、コントロールユニットによって制御されるよう構成されたポンプアクチュエータと、を備え、ラインセットがサイクラと共に動作可能であり、かつ、さらにポンプアクチュエータによって駆動されるよう構成されたポンプチャンバを有するポンピングカセットと、ポンピングカセットと流体連通するミキシングコンテナと、を備える。さらに、サイクラコントロールユニットは、精製水と少なくともひとつの濃縮物とを混ぜるためのインストラクションを有し、そのインストラクションは、ポンプアクチュエータに、ポンプチャンバを動作させることでミキシングコンテナに精製水の第1量をポンプさせることと、ポンプアクチュエータに、ポンプチャンバを動作させることで、ミキシングコンテナに、少なくともひとつの濃縮物源からの少なくともひとつの濃縮物の規定量をポンプさせることと、を含む。オプションで、インストラクションはまた、ポンプアクチュエータに、ポンプチャンバを動作させることで、ミキシングコンテナに精製水の第2量をポンプさせることを含む。したがって、システムは、精製水および濃縮物からPD流体などの透析流体を調製することが可能であり得る。したがって、濃縮物が無菌であり、精製水が無菌で非発熱性である場合、調製された透析流体はPDに適している。
【0022】
ある実施の形態によると、サイクラコントロールユニットが、ラインセットの加熱殺菌を行うためのインストラクションを備える。インストラクションは、ポンプアクチュエータに、ラインセット内で熱水を循環させることを含む。熱水は浄水装置から受け取る。したがって、ラインセットは、再使用できるように加熱殺菌されてもよい。例示的な実施の形態では、インストラクションは、ポンプアクチュエータに、(i)ミキシングコンテナからポンプチャンバに熱水を引かせることと、(ii)ポンプアクチュエータに、ポンプチャンバを動作させることで、熱水をミキシングコンテナ内に押し出させることと、(i)および(ii)を少なくとも一回繰り返すことと、を含む。
【0023】
第2の態様によると、本開示は、システムで細菌学的に制御された流体を生成するための方法に関する。システムが、加熱殺菌された流体回路を伴う精製水を生成するよう構成された浄水装置と、前記精製水を使用箇所に輸送するために前記浄水装置の水出口コネクタに接続されたラインセットと、を備える。方法は、水源からの水を前記流体回路の逆浸透ユニット、ROユニット、で処理することによって、精製水を生成することであって、該精製水が、1mL当たり100コロニー形成単位未満の細菌量および1mL当たり0.25内毒素単位未満の細菌内毒素量を伴う、ことを含む。方法はさらに、前記精製水出口コネクタおよびそれに接続された前記ラインセットを通るよう前記精製水を導くことであって、前記ラインセット(40)が少なくともひとつの滅菌滅菌化グレードフィルタを含み、当該フィルタが、1mL当たりゼロコロニー形成単位の細菌量および1mL当たり0.05内毒素単位未満の細菌内毒素量を伴う滅菌精製水を生成する、ことを含む。これにより、純度の高い精製水を連続的に製造することができる。浄水装置で製造された100コロニー形成単位/mL未満の精製水と滅菌滅菌化フィルタとを組み合わせることにより、精製水の非滅菌単位(PNSU)としておよそ1治療当たり10-6未満を決定することが可能となる。
【0024】
ある実施の形態によると、システムはサイクラを備え、方法はさらに、前記サイクラのポンプアクチュエータに、前記ラインセットのポンプチャンバを動作させることで、前記ラインセットのミキシングコンテナに前記精製水の第1量をポンプさせることと、前記ポンプアクチュエータに、前記ポンプチャンバを動作させることで、前記ミキシングコンテナに、少なくともひとつの濃縮物源からの少なくともひとつの濃縮物の規定量をポンプさせることと、を含む。少なくとも1つの濃縮物は無菌濃縮物である。したがって、滅菌濃縮物および滅菌精製水を使用して、滅菌透析流体を生成することができる。オプションで、方法はさらに、ポンプアクチュエータに、ポンプチャンバを動作させることで、ミキシングコンテナに精製水の第2量をポンプさせることを含む。
【0025】
ある実施の形態によると、方法はさらに、摂氏65度を超える温度に前記生成された精製水を熱することと、前記水出口コネクタを通るように熱せられた前記精製水を導くことと、前記ラインセット内において熱せられた前記精製水を循環させることと、を含む。したがって、ラインセットは、再使用できるように加熱殺菌されてもよい。
【0026】
ある実施の形態によると、方法は、前記ROユニットからの精製水を電気脱イオン、EDI、ユニットで処理することを含む。EDIから生成された精製水は、注射用の水を生成することを可能にする。
【0027】
第4の態様によると、本開示は、インストラクションを備えるコンピュータプログラムであって、該インストラクションは、前記プログラムがコントロールユニットによって実行された場合、前記コントロールユニットおよびそれに関する浄水装置に、本明細書で説明される方法を実行させる。
【0028】
第5の態様によると、本開示は、インストラクションを備えるコンピュータ可読媒体であって、該インストラクションは、コントロールユニットによって実行された場合、前記コントロールユニットおよびそれに関する浄水装置に、方法を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】いくつかの実施の形態による、浄水装置およびラインセットを備えるシステムを示す。
【
図3】接続された濃縮物コンテナを有する
図2のシステムを示す。
【
図4】いくつかの実施の形態による分離されたラインセットを示す。
【
図5】いくつかの実施の形態による浄水装置のモジュール図を示す。
【
図6】いくつかの実施の形態による浄水装置を示す。
【
図7】いくつかの実施の形態による、細菌学的に制御された流体を生成するための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、細菌学的に制御された流体を製造するためのシステムを説明する。このシステムは、高純度レベルの流体を必要とする用途に使用されることが意図されている。このような用途は、腹膜透析(PD)である。細菌学的汚染の危険性は、患者の自宅でPD流体を生成することを困難にする。システムは流体経路におけるバイオフィルム形成のリスクを低減し、接続中の細菌汚染を低減し、細菌学的制御を確実にするように設計されるべきである。すぐに使用できる溶液は、細菌を含まず、本質的に細菌内毒素を含まないべきである。
【0031】
本開示は、第1の態様において、高純度の精製水を提供するシステムを提供する。これは、加熱殺菌浄水装置と、少なくとも1つの滅菌滅菌化グレードフィルタを備えるラインセットと、を用いて達成される。ラインセットは、ある実施の形態では予め滅菌されている。その場合、少なくとも1つのフィルタは、少なくとも1つの滅菌滅菌化フィルタである。拡張された第1の態様では、システムは、精製水を少なくとも1つの濃縮物と混合することによって高純度の透析流体を提供するためのサイクラを含む。少なくとも1つの濃縮物は、ある実施の形態では予め滅菌されている。提供される透析流体は、細菌を含まず、細菌内毒素を本質的に含まず、したがって非発熱性である。
【0032】
本開示はシステムの細菌学的制御を維持するためのシステムおよび方法を提供し、その結果、システムは、生成された流体の純度を維持したままで連続的に使用され得る。
浄水装置は治療と治療との間に、熱水を使用して加熱殺菌されてもよい。この手順は、RO膜およびRO膜の下流の流路を含む流体回路を殺菌する。頻繁な熱水殺菌は流路内のバイオフィルムの蓄積から離れた設計を可能にし、内毒素汚染のリスクを低減し、システムの生体負荷を全体的に最小限にする。
【0033】
ここで、例示的なシステム10aを、
図1および
図4を参照して説明する。
図1は、使用時点透析流体生成を有する腹膜透析システムである例示的なシステム10aを示す。システム10aは、サイクラ20および浄水装置110を含む。サイクラ20のための適切なサイクラは例えば、Baxter International Inc.によって市販されているAmia(登録商標)またはHomeChoice(登録商標)サイクラを含み、これらのサイクラは、システム10aに従って生成された使用時点透析流体を実施および使用するための更新されたプログラミングを必要とすることが理解される。この目的のために、サイクラ20は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含むコントロールユニット22を含む。コントロールユニット22はさらに、浄水装置110に情報を送信し、浄水装置110から情報を受信するための有線または無線トランシーバを含む。浄水装置110はまた、少なくとも1つのプロセッサおよび少なくとも1つのメモリを含むコントロールユニット112を含む。コントロールユニット112はさらに、サイクラ20のコントロールユニット22との間で情報を送受信するための有線または無線トランシーバを含む。有線通信は例えば、イーサネット(登録商標)接続を介してもよい。無線通信は、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Z-Wave(登録商標)、無線ユニバーサルシリアルバス(「USB」)、または赤外線プロトコルのいずれかを介して、または他の適切な無線通信技術を介して行うことができる。
【0034】
サイクラ20はハウジング24を含み、ハウジング24は、コントロールユニット22を介してプログラムされた機器を保持し、当該機器は当該プログラムにより、使用時に新鮮な透析流体を調製し、新しく調製された透析流体を患者Pに送り出し、透析流体を患者P内に滞在させ、次に使用された透析流体をドレインに送り出す。図示の実施の形態では、浄水装置112は、ドレインライン56から受け取ったドレイン流体をドレイン339に輸送するために、ドレインコネクタ118に接続された第1ドレイン経路384を含む。ドレイン339は、ハウジングドレインまたはドレインコンテナであってもよい。ある実施の形態では、使用時点で新鮮な透析溶液を調製するようにコントロールユニット22を介してプログラムされた機器は、空気圧ポンプシステム用の機器を含み、この機器は以下のものを含むがそれらに限定されない。(i)1つ以上の正圧リザーバ、(ii)1つ以上の負圧リザーバ、(iii)1つまたは複数の正圧および負圧リザーバに保持される正圧および負圧を提供するための、各々がコントロールユニット22の制御下にあるコンプレッサおよび真空ポンプアクチュエータ5、またはコントロールユニット22の制御下で正圧および負圧の両方を生成する単一のポンプアクチュエータ5(iv)複数の流体バルブチャンバに正圧および負圧を供給するための複数の空気圧バルブチャンバ(v)複数の流体ポンプチャンバに正圧および負圧を供給するための複数の空気圧ポンプチャンバ(vi)複数の空気圧バルブチャンバと複数の流体バルブチャンバとの間に配置された、コントロールユニット22の制御下にある複数の電気作動オン/オフソレノイド空気圧バルブ(vii)複数の空気圧ポンプチャンバと複数の流体ポンプチャンバとの間に配置された、コントロールユニット22の制御下にある複数の電気作動可変オリフィス空気圧バルブ(viii)ある実施の形態では、透析流体が混合されているときに透析流体を加熱するための、コントロールユニット22の制御下にあるヒータ(viii)警告および他の状況において患者およびドレインラインを閉じるための、コントロールユニット22の制御下にあるオクルーダ26。
【0035】
例示的な実施の形態では、複数の空気圧バルブチャンバおよび複数の空気圧ポンプチャンバはサイクラ20のハウジング24の前面または表面に配置される。ヒータはハウジング24の内側に配置され、ある実施の形態では加熱蓋(
図1には示されていない)の下の、ハウジング24の頂部に配置された加熱パンに接触する加熱コイルを含む。
【0036】
図示された実施の形態におけるサイクラ20は、ユーザインタフェース30を含む。ユーザインタフェース30はまた、膜スイッチまたは他のボタンのような1つ以上の電気機械的入力デバイス、または任意選択的にタッチスクリーンに重ねられたビデオモニタ32を含んでもよい。図示された実施の形態における浄水器110はまた、ユーザインタフェース120を含む。ユーザインタフェース120はまた、膜スイッチまたは他のボタンのような1つ以上の電気機械的入力デバイス、または任意選択的にタッチスクリーンに重ねられたビデオモニタを含んでもよい。
【0037】
さらに
図4を参照すると、使い捨てラインセット40の1つの例示的な実施の形態が示されている。使い捨てセット40はまた、
図1に示されており、サイクラ20に嵌合されて、使い捨てラインセット40内の流体を移動させ、例えば、本明細書中で議論されるように、透析流体を混合する。図示された実施の形態における使い捨てラインセット40は使い捨てカセット42を含み、使い捨てカセット42は、可撓性膜によって片側または両側が覆われた平坦な剛性プラスチック片を含み得る。サイクラ20のハウジング24に押し付けられた膜は、ポンピング及びバルブ膜を形成する。
図4は、使い捨てカセット42がサイクラ20のハウジング24に配置された空気圧ポンプチャンバと共に動作する流体ポンプチャンバ44と、サイクラ20のハウジング24に配置された空気圧バルブチャンバと共に動作する流体バルブチャンバ46とを含むことを示す。例示的な実施の形態では、ラインセット40が再利用可能ラインセットである。したがって、ラインセット40は別のラインセット40と交換される前に、1回以上再使用されてもよい。したがって、ラインセット40は、2回以上使用することができるので、半使い捨てと見なすことができる。ラインセット40は、滅菌フォーマットで使用者に送達される。
【0038】
図1および
図4は、使い捨てセット40が、カセット42の患者ラインポートから延び、患者ラインコネクタ52で終端する患者ライン50を含むことを示す。
図1は、患者ラインコネクタ52が患者移送セット54に接続され、それが患者Pの腹腔に位置するインデリングカテーテルに接続されることを説明している。使い捨てセット40は、カセット42のドレインラインポートから延び、ドレインラインコネクタ58で終端するドレインライン56を含む。
図1は、ドレインラインコネクタ58が浄水装置110のドレインコネクタ118に取り外し可能に接続されていることを示している。
【0039】
図1および
図4は、使い捨てセット40がカセット42のヒータ/混合ラインポートから延び、ヒータ/混合コンテナ62(またはバッグ)で終端するヒータ/混合ライン60を含むことをさらに示す。使い捨てセット40は、水アキュムレータ66の水入口66aまで延びる上流水ラインセグメント64aを含む。下流水ラインセグメント64bは、水アキュムレータ66の水出口66bからカセット42まで延びている。図示の実施の形態では、上流水ラインセグメント64aは水ラインコネクタ68で始まり、水アキュムレータ66の上流に配置される。
図1は、水ラインコネクタ68が浄水器110の水出口コネクタ128に取り外し可能に接続されていることを示している。
【0040】
浄水器110は、水およびおそらくは腹膜透析(「WFPD」)に適した水を出力する。WFPDは、患者Pの腹腔に送達するための透析流体を作製するのに適した精製水である。しかしながら、WFPDを確実にするために、滅菌滅菌化グレードフィルタ70aは、下流の滅菌滅菌化グレードフィルタ70bの上流にそれぞれ配置される。フィルタ70aおよび70bは、水アキュムレータ66の上流の水ラインセグメント64aに配置され得る。滅菌滅菌化グレードフィルタ70aおよび70bは、拒絶ラインを有さないパススルーフィルタであってもよい。
【0041】
例示的な実施の形態では、少なくともひとつの滅菌滅菌化グレードフィルタ70a、70bが、精製水をフィルタリングして、1mL当たりゼロコロニー形成単位(CFU/mL)の細菌量および1mL当たり0.05内毒素単位(EU/mL)未満の細菌内毒素量を伴う滅菌精製水にするよう構成される。滅菌化グレードフィルタは、投与用のPD流体を調製するために使用される水が滅菌非発熱性水の要件を満たすことを確実にする。滅菌滅菌化グレードフィルタは、内毒素を除去する能力を含む滅菌流体を生成するのに適した平均直径を有する孔を有する膜を含み、PDに適した水質をもたらす。滅菌滅菌化グレードフィルタは、PDに適した透析流体を提供するために、1つ以上の濃縮物と混合するために使用される水のための滅菌の最終段階を提供する。滅菌滅菌化グレードフィルタの平均細孔直径は例えば、1マイクロメートル未満、例えば0.1~0.5マイクロメートル、例えば0.1または0.2マイクロメートルであってもよい。細菌は典型的には数マイクロメートルの直径を有し、したがって、細孔を通過しない。フィルタ膜は、カチオン電荷を有する高分子量添加剤、例えばカチオン荷電ポリマをさらに含んでもよい。他の種類の正に帯電した添加剤の例は、EP1710011A1に見出すことができる。したがって、フィルタ膜は正に帯電する。次いで、膜は細菌内毒素を拒絶し、それによって、より少ない細菌内毒素が膜を通過する。例示的な実施の形態では、細菌および細菌内毒素はまた、膜への吸着に基づいて保持される。膜は、ポリエーテルスルホン系であってもよい。他の適切なポリマは、AN69、PAN、PMMA、セルロースなどであり得る。適切な滅菌滅菌化グレードフィルタ70aおよび70bは、例えば、Pall IV-5またはGVS Speedflowフィルタであり得るか、または本開示の譲受人によって提供されるフィルタであり得る。例示的な実施の形態では、WFPDを製造するために、1つの上流または下流の滅菌滅菌化グレードフィルタ70aおよび70bのみが必要とされるが、それにもかかわらず、2つの滅菌滅菌化グレードフィルタ70aおよび70bは1つが故障した場合の冗長性のために提供される。次いで、すぐに使用できる流体を調製する場合に濃縮物と混合される前に、精製水は無菌となり、非常に少量の細菌内毒素を有する。
【0042】
図4はさらに、カセット42の最後のバッグまたはサンプルポートから延びる最後のバッグまたはサンプルライン72が提供され得ることを示す。最後のバッグまたはサンプルライン72はコネクタ74で終端し、コネクタ74は透析流体の前混合された最終充填バッグまたはサンプルバッグまたは他のサンプル収集コンテナの係合コネクタと接続される可能性がある。最後のバッグまたはサンプルライン72およびコネクタ74は所望であれば、第3のタイプの濃縮物のために代替的に使用され得る。
【0043】
図1および
図4は、使い捨てセット40が、カセット42の第1濃縮物ポートから延びる、第1の、例えばグルコースのカセット濃縮物コネクタ80aで終端する、第1の、例えばグルコースの濃縮物ライン76を含むことを示す。第2の、例えばバッファの濃縮物ライン78はカセット42の第2濃縮物ポートから延び、第2の、例えばバッファのカセット濃縮物コネクタ82aで終端する。
【0044】
図1は、第1濃縮物コンテナ84aがコンテナ84aからコンテナライン86を通って第1コンテナ濃縮物コネクタ80bにポンプ輸送される、第1の、例えばグルコースの濃縮物を保持することを示し、第1コンテナ濃縮物コネクタ80bは第1カセット濃縮物コネクタ80aと係合する。第2濃縮物コンテナ84bは第2の、例えばバッファの濃縮物を保持し、これは、コンテナ84bからコンテナライン88を通って第2コンテナ濃縮物コネクタ82bにポンプ輸送され、第2コンテナ濃縮物コネクタ82bは第2カセット濃縮物コネクタ82aと係合する。
【0045】
ある実施の形態では、治療を開始するために、患者Pはカセット42をサイクラに装填し、ランダムまたは指定された順序で、(i)ヒータ/混合コンテナ62をサイクラ20上に配置し、(ii)上流水ラインセグメント64aを浄水器110の水出口コネクタ128に接続し、(iii)ドレインライン56を浄水器110のドレインコネクタ118に接続し、(iv)第1カセット濃縮物コネクタ80aを第1コンテナ濃縮物コネクタ80bに接続し、(v)第2カセット濃縮物コネクタ82aを第2コンテナ濃縮物コネクタ82bに接続する。この時点で、患者コネクタ52は依然としてキャップされている。一旦、以下に詳細に記載されるように、新鮮な透析流体が調製されると、患者ライン50は、新鮮な透析流体でプライミングされ、その後、患者Pは治療のために、患者ラインコネクタ52を移送セット54に接続し得る。上記のステップの各々は、ビデオモニタ32に図式的に示され、および/またはスピーカ34からの音声ガイダンスを介して提供され得る。
【0046】
使い捨てセット40の場合、カセット42の硬質部分は例えば、アモルファス構造(「TOPAS」)環状オレフィンコポリマ(「coc」)の熱オレフィンポリマから作製され得る。カセット42の可撓性膜は例えば、コポリエーテルのエーテル(「PCCE」)から作製され得、そして1つ以上の層であり得る。チューブまたはラインのいずれも、例えば、ポリ塩化ビニル(「PVC」)から作製され得る。コネクタのいずれも、例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(「ABS」、例えば、濃縮物コネクタ80a、80b、82a、82b、および後述するヒータ/混合バッグコネクタ100用)、アクリル(例えば、ドレインラインコネクタ58用)、またはPVC(例えば、水ラインコネクタ水ラインコネクタ68用)で作ることができる。バッグまたはコンテナのいずれもPVCで作ることができる。上記コンポーネントのいずれかの材料は、経時的に変化しうる。
図1は、水ラインコネクタ68が浄水器110の水出口コネクタ128に取り外し可能に接続されていることを示している。ドレインライン56は、浄水器110のドレインコネクタ118に取り外し可能に接続されている。
【0047】
サイクラのコントロールユニット22は、精製水と少なくとも1つの濃縮物とを混合してPD流体にするためのインストラクションを含む。インストラクションは、i)ポンプアクチュエータ5に、ポンプチャンバ44を動作させることでミキシングコンテナ62に精製水の第1量をポンプさせることと、ii)ポンプアクチュエータ5に、ポンプチャンバ44を動作させることで、ミキシングコンテナ62に、少なくともひとつの濃縮物源84a、84bからの少なくともひとつの濃縮物の規定量をポンプさせることと、を含む。ある実施の形態では、インストラクションはさらに、ポンプアクチュエータ5に、ポンプチャンバ44を動作させることで、ミキシングコンテナ62に精製水の第2量をポンプさせることを含む。例示的な実施の形態によれば、第1の量および第2の量の精製水は足し合わせると、PD流体に必要な総量になる。
【0048】
図2は1つの例示的な実施の形態によるシステム10aを示し、システム10aは、浄水装置110と、ドレインコネクタ118および水出口コネクタ128に個別に接続されたラインセット40とを備える。
【0049】
図3は、1つの例示的な実施の形態によるシステム10aを示し、
図2に示されるシステム10a、システム10aがラインセット40に接続された第1濃縮物コンテナ84aおよび第2濃縮物コンテナ84bをさらに備える。
【0050】
カセット42を含むラインセット40、およびコンテナ84a、84b内の濃縮物は、製造中に滅菌され、一度使用された後に廃棄され得る滅菌使い捨て品として患者の家に送達される。ある実施の形態では、ラインセット40は2回以上使用されてもよく、したがって、2回または3回再使用されてもよい。この場合、ラインセット40は、半使い捨てと呼ぶことができる。いくつかの実施の形態では、濃縮物を含むコンテナ84a、84bも、2回または3回など、2回以上使用される。
【0051】
図4は、前処理モジュール160と、逆浸透(RO)モジュール170と、後処理モジュール180とを含む、1つの例示的な実施の形態による浄水装置110の機能部分の概略図である。浄水装置110は水を浄化するために、水源398、例えば水道の蛇口、から浄水装置110に水を供給するための入口ポート399を備える。水源から入ってくる水は、入口ポート399を通って前処理モジュール160に供給される。
【0052】
前処理モジュール
前処理モジュール160は、入ってくる水を粒子フィルタ及び活性炭ベッドで処理する。粒子フィルタは、入ってくる水から粘土、シルトおよびケイ素などの粒子を除去するように配置される。粒子フィルタは、マイクロメートルのサイズの粒子を、場合によってはより大きな内毒素分子も、入ってくる水から阻止するように配置される。活性炭ベッドは入ってくる水から塩素および塩素を含む組成物を除去し、有毒物質および農薬を吸収するように配置される。例示的な実施の形態では、活性炭ベッドは次亜塩素酸塩、クロラミン、および塩素のうちの1つまたはいくつかを除去するように配置される。さらなる例示的な実施の形態では、活性炭ベッドはまた、流入する水の殺虫剤を含む有機化合物(TOC全有機炭素)を低減するように配置される。
【0053】
例示的な実施の形態では、粒子フィルタおよび活性炭ベッドが1つの単一の消耗部品に一体化される。消耗部品は例えば、入ってくる水質に応じて所定の間隔で交換される。入ってくる水の質は例えば、治療箇所で浄水装置110を最初に使用する前に、資格のある人々によって検査され、決定される。
【0054】
任意選択で、前処理モジュール160は、逆浸透、RO、膜、および研磨機などの下流に配置されたデバイスを保護するためのイオン交換デバイスを備える。このように前処理モジュール160は入ってくる水をフィルタリングし、前処理された水を下流にあるROモジュール170に送出する。
【0055】
ROモジュール
ROモジュール170は、逆浸透の効果によって、細菌、発熱物質、およびイオン性物質などの不純物を前処理水から前処理水から除去する。前処理された水は、ポンプによって加圧され、浸透圧に打ち勝つようにRO膜を通過させられる。RO膜は、例えば半透膜である。それによって、供給水と呼ばれる前処理水のストリームは、水の排除ストリームと透過水のストリームとに分割される。例示的な実施の形態では、排除水は第1排除経路および第2排除経路の一方または両方を介して通されてもよい。第1排除経路は、ROポンプの供給流体経路に排除水を再循環させ、再びROデバイスに再供給される。再循環された排除水はROデバイスへの供給流を増加させ、その結果、RO膜の排除側を通過する十分な流れを得ることができ、RO膜のスケーリングおよび汚れを最小限に抑えることができる。第2排除経路は、排除水をドレインに導く。これにより、排除側の濃度レベルは、適切な、必要とされる透過液濃度を得るのに十分に低くなる。供給水の溶質含有量が低い場合、ドレイン流の一部をRO膜の入口側に戻すこともでき、それによって浄水装置110の水効率を高めることができる。したがって、ROモジュール170は前処理された水を処理し、透過水を下流に位置する後処理モジュール180に送達する。特に、ROデバイスは、前処理された水の導電率を96~99%低下させる。例えば、ROデバイスに受け取られた前処理水が200~500μS/cmの導電率を有する場合、ROデバイスはこの量を約10~20μS/cmに減少させる。透過水、したがってROデバイスからの精製水は、約10~20μS/cmの導電率を有する。ある実施の形態によれば、ROデバイスは透過水を浄化し、最大30μS/cmの導電性を持たせることができる。特に、ROデバイスは、最大15μS/cmの導電率を有するように透過水を精製することができる。
【0056】
後処理モジュール
後処理モジュール180は、透過水からイオンをさらに除去するために透過水を研磨する。透過水は、電気脱イオン、EDI、デバイス、または混合ベッドフィルタデバイスなどの研磨デバイスを使用して研磨される。EDIデバイスは、RO膜を透過したアルミニウム、鉛、カドミウム、クロム、ナトリウムおよび/またはカリウムなどのイオンを、浸透水から除去するために電気脱イオンを利用する。EDIデバイスは電気、イオン交換膜および樹脂を利用して、透過水を脱イオン化し、溶解イオン、すなわち不純物を透過水から分離する。EDIデバイスは、透過水の純度レベルよりも高い純度レベルまでEDIデバイスによって研磨された研磨水を生成する。EDIは生成水の抗菌効果を有することができ、とりわけ、EDIデバイス内の電場のために、水中の細菌および細菌内毒素の量を減少させることができる。混合ベッドフィルタデバイスは、混合ベッドイオン交換材料を有するカラムまたはコンテナを含む。
【0057】
本明細書では生成水とも呼ばれる研磨水は、その後、浄水装置110の水出口コネクタ128から生成水の使用箇所に送達される準備が整う。生成水は透析に適しており、すなわち、透析用の水である。ある実施の形態では、生成水は注射に適しており、すなわち注射用の水である。ある例示的な実施の形態では、ドレインコネクタ118は、例えばPD患者からドレインライン64を介して使用済み流体を受け取り、浄水装置110の第1ドレイン経路384を介して浄水装置110のドレイン339にさらに移送するために使用される。特に、研磨デバイスは、透過水の導電率を96~99%低下させる。例えば、研磨デバイスに受け入れられた透過水が10~20μS/cmの導電率を有する場合、研磨デバイスはこの量を約0.30μS/cmに減少させる。したがって、研磨水、したがって研磨デバイスからの精製水は、約0.30μS/cmの導電率を有する。例示的なある実施の形態によれば、研磨デバイスは、摂氏25度Cで1.3μS/cm未満の導電率を有するように水を浄化することができる。1つの例示的な実施の形態では、浄水装置110はEDIユニット306などの研磨デバイスを含まないが、透析用の水を生成することができる。
【0058】
血液透析および関連する治療のための水の最小要件は、ANSI/AAMI 13959:2014およびISO 13959:2014に定義されている。要件には、塩素、細菌、細菌内毒素、化学汚染物質および重金属などの複数の汚染物質に対する制限が含まれる。例えば、塩素/クロラミンの量は0.1mg/L未満、細菌の量は100 CFU/mL未満、内毒素の量は0.25 EU/mL未満でなければならない。
【0059】
注射用の水の要件は例えば、Official Monographs for water、United States Pharmacopeia(USP)39 National Formulary(NF)34 (August 1、2016)に定義されている。要件には、水の導電率、全有機炭素の量、および細菌内毒素の量に対する、推奨される温度依存制限が含まれる。水の導電率の限界は、USP 645(2016年8月1日)に規定されている。例えば、摂氏20度では水の導電率は1.1μS/cm未満であるべきであり、摂氏25度では水の導電率は1.3μS/cm未満であるべきである。全有機炭素(TOC)の量は0.5mg/L(500ppb)未満、細菌の量は10 CFU/mL未満、細菌内毒素の量は0.25 EU/mL未満であるべきである。
【0060】
WFPDを製造するためには、細菌および細菌内毒素の限界がさらに厳しくなる。細菌の量はゼロCFU/mLでなければならず、従って、水は無菌でなければならない。細菌内毒素の量は、0.05 EU/mL未満であるべきである。言い換えれば、滅菌精製水は非発熱性でなければならない。
【0061】
1つの例示的な実施の形態では、水出口コネクタ128およびドレインコネクタ118は浄水装置110のキャビネット壁内に埋め込まれている。また、コネクタ118、128がラインセット40に接続されていないときには、扉(図示せず)がコネクタ118、128を覆う。これにより、コネクタ118、128は、接触汚染及び塵埃のような外部からの汚染からより遮蔽される。
【0062】
使い捨てラインセット40は、少なくとも1つの滅菌滅菌化グレードフィルタセット70a、70bを備えて配置され、浄水装置110からの生成水をフィルタリングして、生成された精製水の滅菌性および非常に少量の細菌内毒素を確実にする。したがって、細菌および細菌内毒素を除去するために、すなわち、滅菌精製水を生成するために、アキュムレータバッグ66に収集された生成水は使い捨てラインセット40の1つまたはいくつかの滅菌滅菌化グレードフィルタを通過している。ある実施の形態によれば、滅菌滅菌化グレードフィルタは冗長である。アキュムレータバッグ66内に滅菌生成水を収集することによって、浄水装置110およびサイクラ20は圧力に関して切り離され、その結果、滅菌滅菌化グレードフィルタを通して水を押し出すために必要とされる高圧はサイクラ20に影響を与えない。少なくとも1つの滅菌滅菌化グレードフィルタ70a、70bは、投与用のPD流体を調製するために使用される水が滅菌かつ非発熱性の水(0 CFU/mLおよび<0.05 EU/mL)の要件を満たすことを確実にする。
【0063】
図6は、浄水装置110の例示的な実施の形態を示す。他の実施の形態では、浄水装置110はより少ない又はより多い構成要素又はモジュールを含むことができる。
図6の浄水装置110は、患者の家からの飲用水または飲料水の連続供給源などの水源398(
図5)から水を受け取る。様々な実施の形態では、浄水装置110は、本明細書で論じるように、サイクラ20にWFPDを提供するために水源398へのアクセスを有する部屋に設置することができる。水は浄水装置110に送達される前に、任意選択で、粒子プレフィルタ334を使用して予備濾過されて、汚れおよび沈殿物が除去される。水は、水入口ポート333を介して浄水装置110に入る。前述のように、浄水装置110は、前処理モジュール160、ROモジュール170、および後処理モジュール180を含む。前処理モジュール160は、水源398から水を受けるための水入り口333に接続されたプレフィルタ回路402と、水入り口333を介して受けた水をフィルタすることによって前処理された水を生成するよう構成された粒子フィルタおよび活性炭フィルタ、すなわち、活性炭ベッド、と、を含む。粒子フィルタおよび活性炭フィルタは、単一のフィルタパッケージ331内に具現化される。単一パッケージ331は、使い捨てパッケージである。プレフィルタ回路402はまた、例えばイオン交換を使用する軟化剤を含んでもよい。プレフィルタ回路402はフィルタパッケージ331の上流に、入口バルブ332および定流量デバイス330を含む。入口バルブ332は、コントロールユニット112の制御によって供給水の流入を制御する。定流量デバイス330は、水圧が定流量デバイス330の最小圧力を超えることを条件として、タンク350に一定流量を提供する。さらに、プレフィルタ回路402は、フィルタパッケージ331の下流に、タンクバルブ328と、前処理導電率センサ327と、供給水温度センサ326と、を備える。タンクバルブ328は、タンク350への前処理水の流れを制御する。前処理導電率センサ327は前処理水の導電率を監視し、水温センサ326は、前処理水の温度を監視する。前処理水の温度は例えば、前処理水の導電率測定値を較正するために必要とされる。前処理回路402は、水入口ポート333に接続され、タンク350内で終端する。入口バルブ332およびタンクバルブ328は、浄水装置110のコントロールユニット112によって制御されるように構成されている。前処理回路402における水の軟化は、代替的にまたは追加的に、当技術分野で知られているように、石灰軟化、イオン交換樹脂、またはポリリン酸塩などのスケール防止剤を使用して達成することができる。
【0064】
浄水装置110は、前処理された水をプレフィルタ回路402から受け取るように構成された流体回路404をさらに備える。流体回路404は、ROモジュール170の部品の少なくともいくつかと、後処理モジュール180の部品の少なくともいくつかとを含む。具体的には、流体回路404はROポンプ450と、逆浸透(RO)デバイス301とを備える。流体回路404は、タンク350も含む。浄水装置110はさらに、RO-ポンプ450を用いてROデバイス301を通じて前処理された水をポンプし、精製水を生成し、水出口コネクタ128を通じて精製水を出すように構成される。例示的な実施の形態では、流体回路404が、100CFU/mL未満の細菌量および0.25EU/mL未満の細菌内毒素量を伴う精製水を生成するよう構成される。これは、ROデバイス301の手段によって達成される。EDIデバイス306のような研磨デバイスは、細菌及び細菌内毒素の量を更に減少させることができる。
【0065】
ROデバイス301は
図5を参照して既に詳細に説明されており、さらなる説明のためにその説明を参照する。前処理された水は、例えばタンク350の上部からタンク350に入る。前処理された水は、タンク350内に蓄積され、ROポンプ450によってROデバイス301の供給入口301aに圧送される。ライン391は、タンク350の底部及び供給入口301aに接続されている。ROポンプ450は、ライン391に取り付けられている。
【0066】
ROポンプ450は、コントロールユニット112の制御下で、ROデバイス301で行われる逆浸透プロセスに必要な水流および圧力を提供するように構成される。例えば、
図5を参照して前述したように、ROデバイス301は、水を濾過して、その透過出口301bで精製水を提供する。排除出口301cでROデバイス301を出る排除水(排除水は水消費を節約するためにROポンプ450に再供給されてもよく、あるいはドレイン339にポンプで送られてもよい)。
【0067】
ROデバイス301を出た精製水は、浄水装置110内の流体回路404の精製流体回路371内を輸送された後、水出口コネクタ128、すなわちポートを通って出力される。精製流体回路は、透過流体経路371aと、研磨流体経路371bと、生成流体経路371cと、を含む。EDIデバイス306は、バイパス経路371dを介してバイパスされてもよい。バイパス経路371dは、EDIデバイス306の上流で精製流体回路371に接続され、EDIデバイス306の下流で精製流体回路に接続される。ROデバイス301を出る精製水は、透過流体経路371aに含まれる流量センサ410、加熱デバイス302、および透過温度センサ303を通過する。流量センサ410は、ROデバイス301を出る精製流体の流量を監視する。加熱デバイス302は、コントロールユニット112の制御によって、ROデバイス301を出る精製水を加熱する。透過温度センサ303は、加熱デバイス302のすぐ下流のROデバイス301を出る精製流体の温度を監視する。追加の導電率センサ304は、ROデバイス301を出る精製水の導電率を監視する。
【0068】
加熱デバイス302、透過温度センサ303、および追加の導電率センサ304の下流で、精製流体は、研磨流体経路371bを介して後処理モジュール180に入る。後処理モジュール180は、研磨デバイス、例えばEDIデバイス306を含む。三方向バルブ305cは、コントロールユニット112によって制御されるように構成され、精製流体の流れを選択的にEDIデバイス306に導くか、またはEDIデバイス306をバイパスするためにバイパス経路371dに導く。EDIデバイス306に導かれると、精製流体は、EDIデバイス306の生成物チャネル306a、濃縮物チャネル306bおよび電極チャネル306cに入る。精製流体は、三方向バルブ305cの下流の研磨流体経路371bを介して全てのチャネルに供給される。EDIデバイス306は、精製水(ここでは生成水とも呼ばれる)を生成するように構成される。生成された生成水は、EDIデバイス306を出て、生成流体経路371cに入る。生成物チャネルバルブ307は、生成物チャネル306aからの生成流体経路371c内の生成水の流量を調整する。濃縮流体経路377cは、濃縮水および電極流体をタンク350に戻すように配置される。したがって、流体回路404はROデバイス301からの精製水をさらに処理し、さらに精製された水を出力するように構成されたEDIユニット306を含むことができる。流体回路404は、精製水をEDIユニット306から水出口コネクタ128を介して出力するように構成されている。このようにして、精製水は水出口コネクタ128を通過し、更に、流体ラインセット40のそれに接続された水ライン64(64a、64b)に通されて、治療箇所に輸送される。流体ラインセット40は、2つの滅菌滅菌化フィルタ70a、70bを含む。滅菌滅菌化フィルタ70a、70bは、水出口コネクタ128を出る生成水をフィルタすることで、注射に適した滅菌生成水にする。いくつかの代替的な実施の形態によれば、フィルタの数は、2より少ないかまたは多い。
【0069】
ドレインコネクタ118は、ドレイン339への第1ドレイン経路384を画定する。使用済みPD流体などの流体をドレインコネクタ118からドレイン339に通すために、流体ラインセット40のドレインライン56はドレインコネクタ118に接続される。ここで、第1ドレイン経路384は、浄水装置110の内部に存在するサイクラドレイン経路の一部を具現化する。
【0070】
流量制御デバイス305aは、ヒータ302、透過温度センサ303、及び追加の導電率センサ304の下流の地点からタンク350に戻るように構成された再循環経路375内の精製水の流量を制御するように構成される。生成水圧センサ308は、EDIデバイス306の下流の生成流体経路371c内の圧力を監視するように配置される。生成水流量センサ309は、EDIデバイス306の下流の生成水の流量を監視するように配置される。生成水の圧力及び流量は、コントロールユニット112に供給される。コントロールユニット112は、流量制御デバイス305aの動作を制御するように構成されている。より具体的には、コントロールユニットは、生成水の流量を所望の流量に制御し、生成水の圧力を所望の圧力に制御するために、生成水の圧力および流量に基づいて再循環経路375内の流量を調節するように構成される。流量制御デバイス305aは例えば、再循環経路375内の流量を微調整するように構成された電動流量制御バルブである。
【0071】
生成水バルブ305dはコントロールユニット112の制御によって、生成された生成物の流れを制御して、水出口コネクタ128に行かせるように、または追加の再循環経路、ここでは第1再循環経路381を介してタンク350に戻るように構成される。第1再循環経路381内の流量を制御するために、排出バルブ396が配置されている。第1再循環経路381は、エアトラップチャンバ319を介して生成物流体経路371cに流体接続される。生成水導電率センサ312は、エアトラップチャンバ319の上流の生成水の導電率を監視するように配置される。生成流体温度センサ313は、エアトラップチャンバ319の上流の生成水の温度を監視するように構成される。
【0072】
動作中、排除水の一部はコントロールユニット112の制御下にある流体経路385a及び3方向バルブ305b(例えば、3方向ソレノイドバルブ)を経由してROデバイス301を出る。排除水の残りの部分は第1排除経路385b内のバルブ320(例えば、手動ニードルバルブ)を介してROポンプ450に戻る。3方向バルブ305bは、排除水を、第2ドレイン経路388を介してドレイン339に向けるか、または、第2排除経路389を介してタンク350に戻すか、のいずれかを選択的に行うよう構成される。
【0073】
図6の浄水装置110に関連して説明した全ての計器及びセンサは、それらの対応する信号をコントロールユニット112に送るように構成されている。浄水装置110は、細菌成長抑制剤を収容するコンテナ392を備える。図示のように、コンテナ392は、浄水装置110の入口392aと流体連通している。
図6において、化学薬品取入れ経路382は、コンテナ392を浄水装置110の流体経路に接続する。あるいは、コンテナ392は、サイクラ20と共に動作する使い捨てカセット42に直結されたライン(図示せず)を介して接続されてもよく、または水ライン64に接続されてもよく、またはドレインライン56に接続されてもよい。コンテナ392内の細菌学的増殖を阻害する薬剤は、クエン酸、クエン酸塩、乳酸、酢酸、または塩酸(またはそれらの組み合わせ)などの適切な生理学的に安全な酸であってもよい。ある実施の形態では、コンテナ392はクエン酸、クエン酸塩、またはそれらの誘導体を含む。コンテナ392はまた、酸(クエン酸など)と一緒に提供される添加剤を含んでもよいことに留意されたい。化学薬品入口392aは例えば、浄水装置110の前端に配置される。三方向バルブ317は、コントロールユニット112の制御下で、化学薬品入口392aにおいて、化学薬品取り入れポンプである第2ポンプ316及びタンク350に向かって開くように構成される。第2ポンプ316は、殺菌溶液をタンク350に供給するように構成される。コントロールユニット112の下で制御されている三方向バルブ317はまた、化学的殺菌(すなわち、洗浄剤による殺菌)、洗浄及び/又はリンスの各フェーズ中に、タンク350との間の水及び殺菌物の再循環に使用され得る。第2ポンプ316およびバルブ310は、三方向バルブ317と生成流体経路371cとを流体的に接続する経路379に配置される。バルブ310は、経路379内の流れを制御するように配置されている。
【0074】
より詳細な殺菌段階の例では、化学殺菌が開始されると、タンク350内のレベルがローレベルに調整される。コントロールユニット112は、ROポンプ450を始動させ、タンク350が空またはほぼ空になるまで作動させる。次に、ROポンプ450が停止され、入口バルブ332が開かれる。入口バルブ332を開いたままにし、次いで、第2ポンプ316を、予め設定された量の化学溶液がタンク350に計量供給されるまで動作させる。タンク350内のレベルが所定のレベルに達すると、三方向バルブ317が開いてドレイン339に通じる。ROポンプ450は化学薬品取り入れ段階の間、流体回路内の流体を循環させ、乱流を生成し、殺菌時間および接触を増加させるために、2方向に動作してもよい。取り入れ段階の終わりに、排除バイパスバルブ321が開かれ、三方向バルブ305bが駆動され、第2ドレイン経路388をドレイン339に開き、タンク350内の水位をローレベルにドレインする。
【0075】
前処理モジュール160、ROモジュール170及び後処理モジュール180は単一の統合浄水キャビネット110aの外側に、例えばヒンジされるように撤去可能に配置されたフィルタパッケージ331を除き、単一の統合浄水キャビネット110aの内側に入れられる。しかしながら、浄水装置110はコンパクトであり、1つのユニットとして構築されているという意味で、一体化されていると考えられる。次いで、フィルタパッケージ331は、使い果たされたときに交換されてもよい。代替的な実施の形態では、モジュールが別個のユニットに配置されてもよい。上述したように、精製水は、浄水装置110から水ライン64を介して使い捨てセット40に送られる。
図1を参照すると、水ライン64は、使い捨てセット40のカセット42の水ポート282に精製水を供給する。水ライン64は、ある実施の形態では浄水装置110の水出口コネクタ128に接続された第1の端部と、サイクラ20の水ポート282に接続された第2の端部とを有する可撓性チューブである。水ライン64は少なくとも2メートルの長さであってもよく、ある実施の形態では4メートルより長くてもよい。水ライン64は利用可能な水源を有する部屋に浄水装置110を設置することを可能にし、一方、サイクラ20は、その部屋とは異なる、患者が居る、例えば寝ている部屋の中に存在する。従って、水ライン64は、浄水装置110をサイクラ20に接続するのに必要なだけ長くてもよい。
【0076】
図6はまた、使い捨てラインセット40が、使用済み透析流体などの流体を浄水装置110のドレイン339に導くように構成されたドレインライン56構成を含むことを示す。ドレインライン56は例えば、サイクラ20のカセット42に接続された第1の端部と、浄水装置110のドレインコネクタ118に接続されたドレインラインコネクタ58(
図1)を含む第2の端部とを有するチューブである。ドレインライン56は代替的に、2メートルを超える長さであってもよく、いくつかの実施の形態では、4メートルを超える長さであってもよい、可撓性チューブであってもよい。ドレインライン56は、浄水装置110とサイクラ20との間を接続するのに必要な長さとすることができる。図示の実施の形態における水ライン64およびドレインライン56は、二重ルーメン管を使用して平行に延びる。浄水装置110およびサイクラ20を互いに近接して配置することも可能であり、この場合、水ライン64およびドレインライン56を含む同じ2つのライン流体経路は例えば、0.5メートル未満であり得る。さらに、二重ルーメン水ライン64およびドレインライン56が図示されているが、水ライン64およびドレインライン56が別々であることも可能である。
【0077】
浄水装置110の下方には、水トレイ420が配置されている。水トレイ420の底部には、浄水装置110からの漏れを検出するための液体センサ370が配置されている。ある例示的な実施の形態では、水トレイ420は浄水装置110の精製キャビネット110aの内側に入れられる。
【0078】
加熱殺菌
上述の通り、流体回路404は、ROデバイス301からの精製水を熱するよう構成された加熱デバイス302を含む。加熱デバイス302は、摂氏65度を超える好適な殺菌温度、例えば摂氏80度~摂氏95度の間の温度まで水を加熱することができる。水は、強力な加熱デバイス302を有することによって、そのような温度に直接加熱されてもよい。あるいは、水は徐々に加熱され、タンク350に再循環され、膜324を通ってROポンプ450によってポンプ輸送され、加熱デバイス302によって再び加熱されてもよい。浄水装置110はさらに、熱せられた精製水を用いて流体回路404を加熱殺菌するよう構成される。次に、加熱された水は、流体回路404内を循環する。流体回路404は、ドレインコネクタ118及び水出口コネクタ128を含むことができる。次いで、浄水装置110は、加熱された精製水を使用して、ドレインコネクタ118および水出口コネクタ128を加熱殺菌するように構成されてもよい。扉(図示せず)は、ドレインコネクタ118及び水出口コネクタ128の上方で、浄水装置110の外部から閉じられる。ホールセンサのような接触センサ345(
図6)が、扉が閉じていることを検出すると、流体回路404および/またはコネクタ118、128の殺菌を行うことができる。加熱された水は内部バイパスライン401aを介してコネクタ118、128を介してコネクタ118、128の間を通過し、コネクタ118、128の内側及び外側は、同じ殺菌作業で殺菌される。
【0079】
例示的な実施の形態では、浄水装置110のコントロールユニット112は、流体回路404内を流れる精製水を、加熱デバイス302によって、摂氏65度を超える温度に、熱するよう浄水装置110に周期的に命令するようプログラムされ、かつ、所定の殺菌基準が充たされるように熱せられた水を用いて流体回路404の加熱殺菌を制御するようプログラムされる。コントロールユニット112は自動的に、またはサイクラ20からのインストラクション/コマンドによって、加熱殺菌を開始することができる。殺菌はまた、ユーザによって手動で開始されてもよい。殺菌基準は、流体回路が加熱された水のある温度で、ある時間、加熱殺菌されるべきであることを含んでもよい。時間及び温度は例えば、周知のA0コンセプトに従って決定することができる。A0コンセプトは、以下のように定義される:
【数1】
zは、死滅させる必要がある細菌のタイプによって定義される値である。全ての細菌の中で最も耐性のある細菌胞子については、z=10度のz値が必要であると考えられる。摂氏80度の温度Tにおいて、A0は、期待される効果に到達するのに必要な時間、ΔTを秒で表す。T=摂氏90度であれば、60のA0を得るのに10分の1の時間、すなわち6秒しか必要とされない。代わりにTが摂氏70度であれば、必要な時間は10倍である。600のA0値は、1人の患者が考慮される場合、殺菌に十分であるべきである。しかしながら、1000以上のA0値も考えられる。摂氏65度Cを超える全ての温度は、殺菌作用を有すると考えられ、A0の演算に含めるべきである。従って、水を、摂氏65度を超える温度、例えば摂氏85度~摂氏95度の間の温度、従って沸点未満に加熱することができる。
【0080】
コネクタ118、128は、典型的にはラインセット40がコネクタ118、128から切り離され、扉(図示せず)が閉じられるたびに殺菌される。RO膜、再循環ループ381、375、任意選択でEDI 306を含む流体回路404全体を、毎週2~3回、例えば2日おきに殺菌する。流体回路404全体は、前処理回路402を除く浄水装置110内の全ての回路要素を含むことができる。
【0081】
代替的な実施の形態では、ラインセット40は各治療後に変更されない。代わりに、ラインセット40は、交換される前に2回、3回、または4回再使用される。次いで、ラインセット40は、浄水装置110に接続されたままである。ラインセット40は各治療後に殺菌されなければならない。例示的な実施の形態では、コントロールユニット112が、流体回路404内を流れる水を、加熱デバイス302によって熱するよう浄水装置110に命令するようプログラムされ、かつ、ラインセット40の加熱殺菌のために精製水出口コネクタ128を通じてラインセット40に熱せられた水を出すようプログラムされる。次に、加熱された水は、アキュムレーターバッグ66に集められ、サイクラ20のコントロールユニット22のインストラクションに含まれるサイクラ20のポンプアクチュエータ5の手段によって混合コンテナ62にポンプ輸送される。サイクラ20のコントロールユニット22はまた、ラインセット40の加熱殺菌を行うためのインストラクションを備えてもよい。インストラクションは、(i)ポンプアクチュエータ5に、ミキシングコンテナ62からポンプチャンバ44に熱水を引かせることと、(ii)ポンプアクチュエータ5に、ポンプチャンバ44を動作させることで、熱水をミキシングコンテナ62内に押し出させることと、(i)および(ii)を少なくとも一回繰り返すことと、を含む。これにより、加熱された水が混合コンテナ62に出入りし、これを完全に加熱殺菌する。ある実施の形態では、ラインセット40の加熱殺菌は、例えばA0コンセプトに従って定義される、浄水装置110の流体回路404と同じ種類の殺菌基準を満たすべきである。
【0082】
以下、
図7のフローチャートを参照して、システム、例えば前述のシステムを用いて細菌学的に制御された流体を製造する方法を説明する。システムが、加熱殺菌された流体回路404を伴う精製水を生成するよう構成された浄水装置110と、精製水を使用箇所に輸送するために浄水装置110の水出口コネクタ128に接続されたラインセット40と、を備える。本方法は、説明されたコントロールユニットの一方または両方によってプログラムが実行されるときに、説明されたようなコントロールユニットおよびシステムの一方または両方に、本明細書で説明されたような実施の形態のいずれかによる方法を実行させるインストラクションを含むコンピュータプログラムによって実施されてもよい。この方法は、コンピュータ可読媒体に存在することができる。コンピュータ可読媒体は、コントロールユニットの一方または両方によって実行されると、コントロールユニットおよびシステムの一方または両方に、本明細書で説明される実施の形態のいずれかによる方法を実行させるインストラクションを備える。
【0083】
ここでは、浄水装置の流体回路は既に加熱殺菌されているものとする。そうでなければ、本方法は、任意選択でコネクタ118、128を含む流体回路404の加熱殺菌を実行することS0によって開始されてもよい。ラインセット40がコネクタ118、128に接続されている場合には、ラインセット40を加熱殺菌することもできる。加熱殺菌後、ラインセット40が接続されていない場合、ユーザはラインセット40をコネクタ118、128に接続する。その後、浄水装置は、精製水の製造を開始する準備が整う。この方法は、水源398からの水を流体回路404のROユニット301で処理しS1て、ROユニット301から精製水を生成し、したがって水を透過させることを含む。このようにして、プレフィルタされた水は、ROポンプ450の手段によってROユニット301の膜324を通って押し出される。ある例示的な実施の形態では、この方法は流体回路の研磨デバイスで透過水を処理するS2ことをさらに含む。研磨デバイスは、例えばEDIデバイスである。透過水は、ROポンプ450の手段によってEDIを通って押し出される。生成された精製水は、100CFU/mL未満の細菌量および0.25EU/mL未満の細菌内毒素量を有する。研磨デバイスが使用される場合、研磨デバイスは、細菌および内毒素の量を減少させるか、またはさらに減少させるのを助けることができる。さらなるステップにおいて、方法は、精製水出口コネクタおよびそれに接続されたラインセット40を通るよう精製水を導くことS3であって、ラインセット40が少なくともひとつの滅菌滅菌化グレードフィルタ70a、70bを含み、当該フィルタが、ゼロCFU/mLの細菌量および0.05EU/mL未満の細菌内毒素量を伴う滅菌精製水を生成する、ことを含む。これは、フィルタ/複数のフィルタの膜に、1マイクロメートル未満の孔径およびカチオン電荷を有する高分子量添加剤などの特定の特性を与えることによって達成される。ラインセット40は、精製水をアキュムレータバッグ66に蓄積する。
【0084】
例示的な実施の形態では、ラインセット40はサイクラ20のポンピングアクチュエータ5と共に動作するように構成される。さらに、少なくとも1つの濃縮物源84a、84bがラインセット40に接続される。方法は、次いで、サイクラ20のポンプアクチュエータ5に、ラインセット40のポンプチャンバ20を動作させることで、ラインセット40のミキシングコンテナに集積バッグ66から精製水の第1量をポンプさせることを含んでもよい。精製水を濃縮物と混合するために、方法は、ポンプアクチュエータ5に、ポンプチャンバ20を動作させることで、ミキシングコンテナ62に、少なくともひとつの濃縮物源84a、84bからの少なくともひとつの濃縮物の規定量をポンプさせることS42を含む。ある例示的な実施の形態では、方法はさらに、ポンプアクチュエータ5に、ポンプチャンバ20を動作させることで、ミキシングコンテナ62に精製水の第2量をポンプさせることS43を含む。次いで、流体は、混合コンテナ62からいくらかの流体を連続的にポンプで出し入れすることによって混合されうる。次いで、既に混合されたPD流体は、患者Pに注入される準備が整う。ポンプアクチュエータ5の手段により、PD流体は患者P内に注入される。
【0085】
ある実施の形態では、1つ以上の滅菌滅菌化グレードフィルタを含む使い捨てセットが各使用後に廃棄される。代替的な実施の形態ではカセット、関連するライン、ヒータ/混合バッグ、水アキュムレータ(提供される場合)、および1つ以上の滅菌滅菌化グレードフィルタを含む使い捨てセットは1つ以上のさらなる治療のために再使用される。そうするために、治療の終わりに使い捨てカセットを精製水で洗い流して、残りの使用済み透析流体をカセットおよびドレインラインからドレインに押し出すことが企図される。患者は、患者の移送セット(患者の留置腹膜カテーテルに通じる)から患者ラインを切り離し、移送セットおよび患者ラインをそれぞれキャップ、例えば殺菌剤を含むキャップでキャップする。代替的な実施の形態では例えば、ドレインラインには治療と治療との間に患者ラインの端部に接続するためのポートが設けられて、より効果的に洗浄または殺菌され得る患者ラインループを作り出す。カセットの濃縮物ラインは、濃縮物コンテナに接続されたままである。カセットからの水ラインは、浄水器に接続されたままである。カセットからのドレインラインは例えば、本明細書で論じられるような少なくとも1つの導電率センサを有する浄水器へのドレインライン接続を介して、ドレインに接続されたままである。
【0086】
ここで、ラインセット40は、再び使用できるように殺菌されてもよい。ある例示的な実施の形態では、方法は、摂氏65度を超える温度に生成された精製水を熱することS5と、水出口コネクタ128を通るように熱せられた精製水を導くことS6と、ラインセット40を加熱消毒するためにラインセット40内において熱せられた精製水を循環させることS7と、を含む。本方法は、RO膜を含む、前述のような流体回路404を、同じ運転で、または同じ殺菌サイクル中に加熱殺菌することをさらに含むことができる。加熱された水は、ある実施の形態では水アキュムレータ66に送達される。治療の最後におけるその最終ステップにおけるサイクラ20は、水アキュムレータ66から加熱された精製水を引き出し、その水をカセット、ドレインライン、およびおそらくはヒータ/混合コンテナに、およびそれを通って送り込む。
【0087】
ある実施の形態では、サイクラ20のコントロールユニット22は、サイクラ20に、カセット42およびヒータ/混合バッグ62全体にわたって、および水ラインセグメント64aおよび64bを通して繰り返し、加熱水を出し入れさせるようにプログラムされる。温水はまた、ドレインライン56および患者ライン50を通って、例えば、患者ラインコネクタ52に配置された疎水性膜まで循環される。流体ラインセット40の加熱殺菌は、特定の殺菌基準が満たされるまで継続されてもよい(S9)。基準が満たされる場合、ラインセットの加熱殺菌が停止され、加熱された水がドレインに導かれる。基準が満たされない場合、加熱殺菌が継続される。基準は、温水が特定の温度で特定の時間循環されるべきであることを含むことができる。例えば、温度は摂氏85度~摂氏95度の間とすべきであり、時間は0.5~2時間とすべきである。時間および温度は当技術分野で知られているように、A0コンセプトに従って決定することができる。半使い捨てセット40の温水殺菌が完了すると、温水は浄水装置110のドレイン339に送られる。
【0088】
ある実施の形態では、細菌増殖防止剤の供給は浄水装置110への入力として接続される。治療の最後における最終ステップとして、浄水装置110は、所望量の細菌増殖防止剤を精製水に混合し、次いで、精製水は、ある実施の形態では水アキュムレータ66に送達される。また、水は前述したように、浄水装置110内の加熱デバイスによって高温に加熱されてもよい。治療の最後における最終段階においてサイクラ20は、増殖阻害剤を含む精製水を水アキュムレータ66から引き出し、水および阻害剤をカセット、ドレインライン、および場合によってはヒータ/混合コンテナにポンプで送り込み、すなわち、加熱された精製水のみによる殺菌に関して説明したのと同じ手順を実行する。殺菌が終了した後、使用済み水はドレイン339に送られる。
【0089】
ある実施の形態では、使い捨てセットを再使用することができる回数は濃縮物コンテナ内の濃縮物のレベルからずらされる。例えば、濃縮物コンテナは3回の治療分の濃縮物を保持し、提供するように構成されてもよい(加えて、3回の完全な治療を確実にするために、いくらかの余分が加えられてもよい)。したがって、使い捨てセットは2回再使用されることが意図され、その結果、3回の治療の終わりに、患者は単に、濃縮物コンテナが接続されたままの使い捨てセットを、捨てるためにサイクラから取り除いてもよく、かつ、二つの新たな濃縮物コンテナと一緒に新たな使い捨てセットを再接続してもよい。サイクラのコントロールユニットは3つの治療期間にわたって消費された各濃縮物の量を追跡することが想定されており、その結果、コントロールユニットは(i)治療を完了するのに十分な濃縮物が存在しない場合に、ユーザが治療を開始することを防止し、かつ/または(ii)1つまたは複数個少ないサイクルで治療を実行するためのオプションをユーザに提供し得る。
【0090】
最も実際的で好適な実施の形態であると現時点で考えられているものとの関係で本発明が説明されたが、本発明は開示された実施の形態に限定されるものではなく、むしろ添付の請求項の範囲に含まれる種々の変形例および等価な構成をカバーするよう意図されていることは理解されるべきである。