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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】フィルタ製造装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/00 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
B01D39/00 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019172197
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021049479
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-04-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売日:平成31年2月21日、販売した場所:株式会社守谷商会、公開者:オリオン機械工業株式会社、販売した物の内容:オリオン機械工業株式会社が、株式会社守谷商会に、山崎久実および遠藤勇が発明したフィルタ製造装置を卸し、その設置場所である株式会社ユウホウへ納品した。(納品日:平成31年2月22日)
(73)【特許権者】
【識別番号】000103932
【氏名又は名称】オリオン機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 久実
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 勇
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-024697(JP,A)
【文献】特表2005-519745(JP,A)
【文献】特開昭55-137018(JP,A)
【文献】特表2001-518829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D24/00-35/04;35/08-37/08;39/00-41/04;46/00-46/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の濾材を反復折り返したプリーツ形状のフィルタ材の両端面に枠体を接着してプリーツ形状を保持するフィルタを製造するためのフィルタ製造装置であって、
前記フィルタ材を支持する櫛状支持部を有する複数の支持部材と、
前記フィルタ材を前記支持部材の櫛状支持部に載置するセット位置、前記支持部材に支持されたフィルタ材に前記枠体を接着する接着位置、及び、前記フィルタ材に前記枠体が接着されて完成された前記フィルタを前記支持部材から分離して搬出する搬出位置に、複数の前記支持部材を順次循環搬送する搬送装置と、
前記接着位置に搬送された前記支持部材に対して進退可能に設けられた押さえ部材により、前記フィルタ材を前記支持部材との間で挟持する押さえ手段と、前記枠体に接着剤を塗布して前記支持部材と前記押さえ部材との間で挟持された前記フィルタ材の前記両端面に前記枠体を接着する接着手段とを有する枠体接着装置と、
前記搬出位置に搬送された前記支持部材に支持された前記フィルタを前記支持部材から分離して搬出する搬出装置と、
を備え
前記枠体接着装置は、
長手方向に連続する枠体材を切断して所定の長さの枠体を成形する枠体成形装置と、
切断された前記枠体を保持して、前記フィルタ材の前記端面に押圧する押圧位置と、該押圧位置から離れて前記枠体に接着剤を塗布する接着剤塗布位置との間で移動させる枠体移動装置と、
枠体移動装置により接着剤塗布位置で保持された枠体に接着剤を塗布する接着剤塗布装置と、
を備え、
前記枠体移動装置は、枠体を保持する一対の保持部材を有しており、一方の保持部材が前記押圧位置にあるとき、他方の保持部材が前記接着材塗布位置にあり、前記一対の保持部材を前記押圧位置と前記接着剤塗布位置とに交互に移動させることを特徴とする、フィルタ製造装置。
【請求項2】
前記搬送装置は、
少なくとも一対の巻回車に巻回された単一の巻掛け伝動体と、該巻掛け伝動体を正逆反転可能に駆動する駆動手段とを有する巻掛け伝動装置と、
前記巻掛け伝動体の両側に設けられて、前記支持部材に当接する推進位置と、前記支持部材に当接しない退避位置とに移動可能な少なくとも一対の推進部材と、を備え、
前記一対の推進部材の一方を推進位置とするとともに他方を退避位置として前記巻掛け伝動体を正方向に駆動して前記推進部材を搬送方向に移動させる工程と、前記一対の推進部材の一方を退避位置とするとともに他方を推進位置として前記巻掛け伝動体を逆方向に駆動して前記推進部材を搬送方向に移動させる工程とを交互に行うことにより、前記支持部材を順次搬送するコンベアを含むことを特徴とする、請求項に記載のフィルタ製造装置。
【請求項3】
前記搬出装置は、
前記搬出位置に搬送された支持部材に支持された前記フィルタを把持する把持手段と、
前記把持手段により前記フィルタが把持された支持部材を下降させて、前記フィルタと前記支持部材を分離する下降手段と、
前記支持部材から分離された前記フィルタを移動させるフィルタ移動手段とを備えており、
前記搬送装置は、前記フィルタから分離された前記支持部材を前記セット位置に搬送す
る回収装置を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルタ製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ製造装置に関し、特に、シート状濾材を反復折り返したフィルタ材の端面に枠体を接着してなるフィルタを製造するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フィルタの製造に関する従来の技術として、たとえば特許文献1に記載の発明が知られている。特許文献1には、側壁を有する支持部材の上に濾材を置いて、濾材の端部を支持部材の鋸歯状の壁部から露出させるように張り出させた状態で、支持部材によって濾材を保持し、濾材の張り出し部分に接近させてフィルタフレーム部材を位置決めし、フィルタフレーム部材を濾材の張り出し部分に溶接することが開示されている。
【0003】
そして、特許文献1には、濾材のプリーツを第1の支持部材の複数の歯に整合させて濾材を第1の支持部材の上に置き、その上に第2の支持部材を置いて、濾材を第1及び第2の支持部材の間に位置決めすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2001‐518829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィルタの製造をオートメーション化して、効率良くフィルタを製造することができる装置が望まれていた。
【0006】
本発明は、効率良くフィルタを容易に製造することができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、シート状の濾材を反復折り返したプリーツ形状のフィルタ材の両端面に枠体を接着してプリーツ形状を保持するフィルタを製造するためのフィルタ製造装置であって、前記フィルタ材を支持する櫛状支持部を有する複数の支持部材と、前記フィルタ材を前記支持部材の櫛状支持部に載置するセット位置、前記支持部材に支持されたフィルタ材に前記枠体を接着する接着位置、及び、前記フィルタ材に前記枠体が接着されて完成された前記フィルタを前記支持部材から分離して搬出する搬出位置に、複数の前記支持部材を順次循環搬送する搬送装置と、前記接着位置に搬送された前記支持部材に対して進退可能に設けられた押さえ部材により、前記フィルタ材を前記支持部材との間で挟持する押さえ手段と、前記枠体に接着剤を塗布して前記支持部材と前記押さえ部材との間で挟持された前記フィルタ材の前記両端面に前記枠体を接着する接着手段とを有する枠体接着装置と、前記搬出位置に搬送された前記支持部材に支持された前記フィルタを前記支持部材から分離して搬出する搬出装置と、を備え、前記枠体接着装置は、長手方向に連続する枠体材を切断して所定の長さの枠体を成形する枠体成形装置と、切断された前記枠体を保持して、前記フィルタ材の前記端面に押圧する押圧位置と、該押圧位置から離れて前記枠体に接着剤を塗布する接着剤塗布位置との間で移動させる枠体移動装置と、枠体移動装置により接着剤塗布位置で保持された枠体に接着剤を塗布する接着剤塗布装置と、を備え、前記枠体移動装置は、枠体を保持する一対の保持部材を有しており、一方の保持部材が前記押圧位置にあるとき、他方の保持部材が前記接着材塗布位置にあり、前記一対の保持部材を前記押圧位置と前記接着剤塗布位置とに交互に移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、効率良くフィルタを容易に製造することができる装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明により製造するフィルタの実施の一形態の斜視図である。
図2】本発明のフィルタ製造装置の実施の一形態を概略で示した平面図である。
図3】本発明のフィルタ製造装置の支持部材の実施の一形態を、フィルタ材を支持した状態で示した正面図である。
図4図3に示した支持部材の側面図である。
図5図3に示した支持部材の平面図である。
図6】第1コンベアの実施の一形態を示す正面図である。
図7図6のA-A矢視図である。
図8図6のB-B矢視図である。
図9】投入装置の実施の一形態を示す正面図である。
図10図9の平面図である。
図11図9の側面図である。
図12図9のA-A線矢視図である。
図13図10のB-B矢視図である。
図14図9のC-C矢視図である。
図15図10のD-D矢視図である。
図16】第2コンベアの一方の組(a)と他方の組(b)の実施の一形態を示す正面図である。
図17図16の平面図である。
図18図16の左側面図である。
図19図16の右側面図である。
図20図19のA部の拡大断面図である。
図21】枠体接着装置の押さえ手段の実施の一形態を示す正面図である。
図22図21の平面図である。
図23図21の右側面図である。
図24図21の左側面図である。
図25】接着手段の枠体成形装置と吸着コンベアの実施の一形態を示した正面図である。
図26】接着手段の枠体移動装置の実施の一形態を示した正面図である。
図27】接着手段の実施の一形態を示した側面図である。
図28図27の平面図である。
図29図26のA-A矢視図である。
図30図29の一部拡大図である。
図31】接着手段の接着剤塗布装置の実施の一形態を示した正面図である。
図32図31の平面図である。
図33図31の側面図である。
図34】搬送装置の回収装置の実施の一形態を示した正面図である。
図35図34の平面図である。
図36図34の側面図である。
図37図34のA-A矢視図である。
図38図34のB-B矢視図である。
図39図34のC-C矢視図である。
図40】搬出装置の搬出コンベアの実施の一形態を示した正面図である。
図41図40の平面図である
図42図40の側面図である。
図43図42の把持手段の実施の一形態を示した底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の一形態を、図に基づいて詳細に説明する。
【0011】
最初に、本実施の形態により製造するフィルタFを図1に基づいて説明する。フィルタFは、シート状の濾材を波状またはジグザグ状に反復折り返したプリーツ形状のフィルタ材Faと、フィルタ材Faの波状またはジグザグ状となっている両端面Fa1、Fa1にそれぞれ接着されて、フィルタ材Faのプリーツ形状を保持する薄板状の枠体Fb、Fbとを備えている。フィルタ材Faに用いるシート状濾材の素材は、特に限定されることはなく、たとえば不織布や布帛などを採用することができる。また、枠体Fbの素材は、特に限定されることはなく、たとえば合成樹脂や、金属、木材などを採用することができる。そして、枠体Fbは、たとえば所定の幅および厚さを有する長尺の可撓性を有するテープからなりロール状に巻かれた枠体材Fb’(後述する)を引き出し、所定の長さに切断することで、容易に得ることができる。フィルタ材Faと枠体Fbとの接着は、後述する実施の形態では、ホットメルト接着剤を枠体Fbに塗布してフィルタ材Faの端面に押圧する場合で説明するが、ホットメルト接着剤に限定されることはなく、他の接着剤を用いることもできる。
【0012】
次に、このようなフィルタFを製造するためのフィルタ製造装置について説明する。フィルタ製造装置1は、概略、図2に示すように、複数の支持部材10と、フィルタ材Faを支持部材10に載置するセット位置P1、支持部材10に支持されたフィルタ材Faに枠体Fbを接着する接着位置P2、及び、フィルタ材Faに枠体Fbが接着されて製造されたフィルタFを支持部材10から分離して搬出する搬出位置P3へ、複数の支持部材10を順次循環搬送する搬送装置20と、枠体Fbに接着剤を塗布してフィルタ材Faの両端面に接着する枠体接着装置100と、搬出位置P3に搬送された支持部材10からフィルタFを分離して搬出する搬出装置200とを備えている。
【0013】
フィルタ材Faを支持する支持部材10を図3図5に基づいて説明する。図3図5に示すように、支持部材10は、台板11と、台板11の上面に着脱可能に取付けられた櫛状支持部12と、台板11の下面に取付けられた一対のスライダ13、13および被推進部14とを備えている。台板11は、平面視が略矩形に成形されたもので、特に素材を限定されることはないが、例えばステンレスなどの金属により構成することができる。なお、後述する説明では支持部材10を移動させる方向によって台板11を押圧する側面が異なるため、図5と、支持部材10を移動させる方向を説明するために参照する図とを関連付けて、台板11の各側面に符号11a~11dを付した。
【0014】
図4に示すように、櫛状支持部12は、中央櫛状支持部15とその両側に配置される側方櫛状支持部16、16とにより分割構成されている。そして、中央櫛状支持部15と各側方櫛状支持部16、16は、互いに間隔をおいて配置されている。各櫛状支持部15、16の上面は、プリーツ形状のフィルタ材Faを密着させた状態で支持することができる形状に成形されている。すなわち各櫛状支持部15、16の上面は、図3に示すように、支持したフィルタ材Faの端面Fa1に対して枠体Fbを接着する方向から見て、フィルタ材Faの折り返し線と対応する峰部と谷部を有しており、フィルタ材Faに枠体Fbを接着する際の所定の形状に保持することができる形状に成形されている。
【0015】
なお、図3では、フィルタ材Faの端面を比較的太い1本の実線で示すとともに、櫛状支持部12とフィルタ材Faとの形状を明確に示すために両者12、Faの間を離して示しているが、実際には、両者12、Faは密着した状態となる。
【0016】
各櫛状支持部15、16の素材は、特に限定されることはないが、例えば所謂エンジニアリングプラスチックなどの合成樹脂により構成することができる。なお、各櫛状支持部15、16は、製造するフィルタFの寸法に応じたものに交換し取り付けることができる。そのため、図示は省略するが、大きさや形状が異なる櫛状支持部15、16を用意し、これらの櫛状支持部15、16には共通の位置に雌ねじを形成しておくとともに、台板11の各雌ねじと対応する位置にボルト等の締結部材を挿通することができる孔を形成しておき、台板11の下面から挿通された締結部材によって櫛状支持部15、16を取り付けるよう構成することができる。
【0017】
スライダ13は、断面が矩形の角柱状に成形されたものであり、各支持部材10の下面の互いに対向する側縁とそれぞれ平行に延びるように(本実施の形態では台板11の側面11b、11dに沿って延びるように)取付けられており、後述するように搬送装置20に支持されるものである。スライダ13の素材は、特に限定されることなく、たとえば耐摩擦性や耐摩耗性、滑り特性などを有するエンジニアリングプラスチックなどの合成樹脂などにより構成することができる。両スライダ13、13の間には、後述する搬送装置20の第1コンベア21の推進部材32または第2コンベア23の推進部材72に押圧されることにより支持部材10を移動させるための被推進部14が設けられている。被推進部14は、スライダ13,13の間であって、スライダ13の長手方向略中央に配設されており、スライダ13の長手方向と直交する面を有しており、その下端はスライダ13の下面よりも下方に延びている。
【0018】
次に、搬送装置20を図2に基づいて説明する。搬送装置20は、フィルタ材Faを支持部材10の櫛状支持部12に載置するためのセット位置P1を有する第1コンベア21と、支持部材10を第1コンベア21から受け取って、第1コンベア21による搬送方向と交差する方向に搬送する投入装置22と、支持部材10を投入装置22から受け取って第1コンベア21と反対方向に搬送し、フィルタ材Faに枠体Fbを接着する接着位置P2を経由、製造されたフィルタFが支持された支持部材10を搬出位置P3に搬送する第2コンベア23と、フィルタFが分離された支持部材10を搬出位置P3から第1コンベア21の上流端に回収する回収装置24とを含んでいる。
【0019】
図6図8に示すように、第1コンベア21は、スプロケット25~30に巻回されたチェーン31と、チェーン31の側方に張り出すようにして複数設けられた推進部材32と、スプロケット30に接続された駆動・停止を制御可能な駆動手段であるモータ33と、支持部材10の搬送方向に延びるフレーム34に沿って複数設けられて、各支持部材10の下面の互いに対向する側縁の近傍に取付けられたスライダ13の下面を支持するローラ35とを備えている。ローラ35の回転軸は、水平方向に延びている。第1コンベア21のスプロケット25~30は、その回転軸がそれぞれ水平方向に延びるよう配設されている。また、推進部材32は、チェーン31の長手方向に等間隔で設けられている。推進部材32は、チェーン31のスプロケット25と26の間に巻き掛けられた部分において、ローラ35に支持された支持部材10の被推進部14に当接可能な長さを有してしている。そのため、モータ33を回転駆動すると、チェーン31のスプロケット25と26の間に巻き掛けられた部分において、推進部材32がローラ35に支持された支持部材10の被推進部14に当接し、支持部材10を搬送方向下流に向かって推進移動させることができる。
【0020】
図6に示したように、第1コンベア21の中間位置には、支持部材10の櫛状支持部12にフィルタ材Faを載置するためのセット位置P1が設定されている。なお、図に示したように、推進部材32は、チェーン31の側方に張り出すようにして設けられているので、スプロケット25~30に干渉することはない。また、第1コンベア21は、チェーン31を巻き掛けるスプロケット25~30の回転軸が水平方向に延びるよう配設されているので、平面図で示した図7において搬送方向と直交する幅方向の寸法を後述する第2コンベア23と比較して小さくすることができる。
【0021】
第1コンベア21のモータ33が停止した状態で、セット位置P1の支持部材10の櫛型支持部12上にフィルタ材Faをセットし、その後搬送を開始させるために、図示は省略するが、フィルタ材Faをセットし終えてから操作する搬送開始ボタンがセット位置P1の近傍に設けられている。また、図示は省略するが、モータ33を駆動した状態から第1コンベア21の搬送方向上流側から移動する支持部材10をセット位置P1で停止させるために、かかる支持部材10がセット位置P1に搬送されたことを検知してモータ33を自動で停止させるための信号を出力するセンサが設けられている。
【0022】
図9図15に示すように、投入装置22は、第1コンベア21上に支持された支持部材10を上昇手段36により上昇位置に上昇させ、第1コンベア21と直交する支承手段37上を移動させて、第2コンベア23に移載させるものである。投入装置22は、第1コンベア21により搬送された支持部材10を所定の高さの上昇位置に上昇させる上昇手段36(図9図10図12図14)と、上昇手段36により上昇位置に上昇された支持部材10を第2コンベア23に移動可能に支承する支承手段37(図11図14図15)と、支持部材10を上昇手段36の昇降台40A(後述する)から方向転換台40B(後述する)に移動させる第1投入プッシャ38(図9図10図12)と、支持部材10を方向転換台40Bから支承手段37の待機位置(後述する)、および、待機位置から第2コンベア23にそれぞれ移動させる第2投入プッシャ39(図9図10図11図13図15)とを備えている。
【0023】
図9図10図12図14に示すように、上昇手段36は、昇降台40Aと、昇降台40A及び支承手段37に隣接して配設され、支承手段37と同じ高さの方向転換台40Bと、第1コンベア21の高さと、支承手段37の高さとの間で昇降台40Aを昇降移動させる昇降アクチュエータ41と、第1投入プッシャ38によって昇降台40Aから方向転換台40Bに移動される支持部材10を位置決めするストッパ機構51と、を備えている。昇降台40Aは、第1コンベア21と同様に支持部材10の各スライダ13をそれぞれ支承する複数のローラ42を備えている。昇降アクチュエータ41は、エアシリンダなどにより構成することができるが、特に限定されることはない。昇降アクチュエータ41は、ガイドロッド43を備えており、昇降アクチュエータ41の作動ロッド41aとガイドロッド43は、昇降台40Aの両側部に設けられた接続部44に接続されている。
【0024】
第1コンベア21により支持部材10が移載された昇降台40Aは、昇降アクチュエータ41を伸長駆動することにより、方向転換台40Bと同じ高さまで上昇する。そして、支持部材10が第1投入プッシャ38によって昇降台40Aから方向転換台40B上に移載されると、昇降アクチュエータ41が退縮駆動されて、第1コンベア21から次の支持部材10を移載できるよう昇降台40Aのローラ42が第1コンベア21のローラ35と同じ高さとなるまで下降復帰する。方向転換台40Bは、支持部材10を上昇手段36から受け取り支承手段37に渡すもので、図14図15に示すように、方向転換台40B上の支持部材10を僅かに持ち上げる持ち上げ機構56を有している。
【0025】
図11は、図9の右方から見た側面図であるが、ストッパ機構51を省略し、その代わりに持ち上げ機構56が示されている。持ち上げ機構56は、方向転換台40Bの支持部材10のスライダ13よりも下方に突き出た被推進部14を挟むようにして支持する持ち上げ支持部材62と、この持ち上げ支持部材62を昇降可能に支持するアクチュエータ63とを備えており、方向転換台40Bの支持部材10を第2投入プッシャ39のプッシャ部材57により待機位置まで押し出す際に、アクチュエータ63を伸長駆動して、かかる支持部材10を僅かに持ち上げる。持ち上げ機構56のアクチュエータ63は、エアシリンダなどにより構成することができる。
【0026】
図9図14に示すように、ストッパ機構51は、方向転換台40Bの第2投入プッシャ39による支承手段37への移動方向と平行であって、昇降台40Aから見て遠い縁部に設けられている。ストッパ機構51は、昇降可能に配置されるストッパ部材54と、ストッパ部材54の上縁をガイド部材46(後述する)の上面から上方に位置させるストップ位置とガイド部材46の上面から下方に位置させる退避位置とに昇降移動させるストッパ昇降アクチュエータ55とを備えている。ストッパ昇降アクチュエータ55は、第1プッシャ38の水平移動アクチュエータ50が退縮駆動されてプッシャ部材48が支持部材10を方向転換台40B上へ押し出す際に、ストップ位置にストッパ部材54をガイド部材46の上面よりも上方に上昇させ、押し出された支持部材10の台板11の側面11cまたはスライダ13の端面を衝合させてガイド部材46の側面に位置と平行となるよう位置を合わせる。一方、後述する第2投入プッシャ39により方向転換台40B上の支持部材10を第2コンベア23に向かって支承手段37上へ移動させる際には、図9に示すように、ストッパ昇降アクチュエータ55は、退縮駆動されてストッパ部材54をガイド部材46の上面よりも下方の退避位置に下降させて、第2投入プッシャ39のプッシャ部材57がストッパ部材54に干渉しないように退避させる。
【0027】
支承手段37は、第1投入プッシャ38によって昇降台40Aから方向転換台40Bに移動された支持部材10を、第2コンベア23の上流端に向かって移動させることができるように支承するためのものである。図11図14図15に示すように、支承手段37は、第2コンベア23の上流端に向かって支持部材10を移動させる方向に延びる一対のガイド部材45、46(図14)と、一方のガイド部材46をその長さ方向に進退駆動するための進退アクチュエータ47(図15)とを備えている。一対のガイド部材45、46は、第2コンベア23の推進移動方向上流端に隣接して配置されて、それぞれ第2コンベア23の推進移動方向と直交する方向に延び、支持部材10の各スライダ13の両端部近傍をそれぞれ支承する。ガイド部材45、46は、本実施の形態の場合、2つの支持部材10、10を支承することができる長さを有している。ここで、ガイド部材45、46の中間(第2コンベア23の手前)に一方の支持部材10が支承される位置を待機位置ということにする。
【0028】
図14及び図15に示すように、進退アクチュエータ47は、第2コンベア23の推進移動方向と反対側に位置するガイド部材46を、支持部材10を第2投入プッシャ39によって第2コンベア23に移載する際には第2コンベア23の支承手段37から見て遠い側のフレーム64bに先端46aが当接するよう進出させて、スライダ13の第2コンベア23による推進移動方向後方(推進移動方向と反対側)の端部を支持するとともに、第2コンベア23により推進移動させる際には、ガイド部材46を後退させて第2コンベアの推進部材72の干渉を回避するよう作動する。進退アクチュエータ47は、エアシリンダなどにより構成することができるが、特に限定されることはない。
【0029】
図9図10図12に示すように、第1投入プッシャ38は、支持部材10の台板11の側面11aと平行に延びるよう配設されたプッシャ部材48(図10)と、プッシャ部材48を上昇位置にある昇降台40A上に載置された支持部材10の台板11の側面11aに当接させることができる高さの下方位置と、支持部材10の櫛状支持部12に干渉しない高さの上方位置との間で移動させる昇降アクチュエータ49と、プッシャ部材48が、下方位置にあるときに支持部材10を方向転換台40B上へ押し出すように移動させるとともに、プッシャ部材48が上方位置にあるときに方向転換台40Bの上方から昇降台40Aの上方に復帰移動させるための水平移動アクチュエータ50とを備えている。
【0030】
図9図10に示すように、昇降台40Aから方向転換台40Bに向かって支持部材10を移載する方向に沿って水平に延びるレール52が設けられており、レール52には、摺動部材53が摺動可能に設けられており、摺動部材53に昇降アクチュエータ49が取り付けられている。そして、水平移動アクチュエータ50の作動ロッド50aの先端は、摺動部材53に接続されている。
【0031】
図9図10に示すように、プッシャ部材48は、支持部材10の側面11aと平行に延びる棒状に成形されたものからなり、その一端に昇降アクチュエータ49の作動ロッド49aが接続されている。昇降アクチュエータ49の作動ロッド49aを伸長駆動すると、上昇位置にある昇降台40A上に載置された支持部材10の台板11の側面11aに当接させることができる高さの下方位置にプッシャ部材48を位置させ、また、作動ロッド49aを退縮駆動すると、支持部材10の櫛状支持部12に干渉しない高さの上方位置にプッシャ部材48を位置させる。また、水平移動アクチュエータ50は、昇降アクチュエータ49によりプッシャ部材48が下方位置にあるときに、退縮駆動して支持部材10を方向転換台40B上へ押し出すように移動させ、また、プッシャ部材48が上方位置にあるときに伸長駆動して、方向転換台40Bの上方から昇降台40Aの上方に復帰移動させることができる。
【0032】
第1投入プッシャ38の昇降アクチュエータ49、水平移動アクチュエータ50、およびストッパ昇降アクチュエータ55は、それぞれ、たとえばエアシリンダにより構成することができるが、特に限定されることはなく、他の機構を採用することもできる。
【0033】
図9図10図11図13図15に示すように、第2投入プッシャ39は、支承手段37上に支承された2つの支持部材10、10の各台板11の側面11bと平行に延びるようそれぞれ配設された2つのプッシャ部材57、57と、各プッシャ部材57をそれぞれ支持して方向転換台40B及び支承手段37上に載置された各支持部材10の台板11の側面11bにそれぞれ当接させることができる高さの下方位置と、各支持部材10の櫛状支持部12に干渉しない高さの上方位置との間で移動させる昇降アクチュエータ58と、下方位置にある一方のプッシャ部材57が、方向転換台40B上の支持部材10を支承手段37に向かって押し出すとともに、他方のプッシャ部材57が支承手段37上の支持部材10を第2コンベア23に向かって押し出すように移動させ、また、両方のプッシャ部材57が支持部材10の櫛状支持部12に干渉しない高さの上方位置にあるときに支承手段37の上流側に復帰移動させるための水平移動アクチュエータ59とを備えている。
【0034】
図10図11に示すように、方向転換台40B及び支承手段37から第2コンベア23に向かって支持部材10を移動させる方向に沿って水平に延びるレール60が設けられており、レール60には互いに連結された摺動部材61A、61Bが摺動可能に設けられており、摺動部材61Aに2つの昇降アクチュエータ58が取り付けられ、摺動部材61Bに水平移動アクチュエータ59の作動ロッド59aの先端が接続されている。
【0035】
第2投入プッシャ39の各プッシャ部材57は、図10図11に示すように、支持部材10の側面11bと平行に延びる棒状に成形されたものからなり、その一端に各昇降アクチュエータ58の作動ロッド58aが接続されている。昇降アクチュエータ58の作動ロッド58aを伸長駆動すると、支承手段37の方向転換台40Bの持ち上げ機構56上に位置する支持部材10と、ガイド部材45、46の中間の待機位置にある支持部材10の各台板11の側面11cにそれぞれ当接させることができる高さにプッシャ部材57を位置させ、また、作動ロッド58aを退縮退縮駆動すると、各支持部材10の櫛状支持部12に干渉しない高さにプッシャ部材57を移動させる。また、昇降アクチュエータ58によりプッシャ部材57が、持ち上げ機構56により方向転換台40Bから僅かに持ち上げられた支持部材10の台板11と同じ高さにあるときに、水平移動アクチュエータ59が退縮駆動されると、方向変換台40B上の支持部材10を支承手段37の待機位置まで、そして、支承手段37の待機位置の支持部材10を第2コンベア23の上流端まで、各プッシャ部材57を移動させることができる。このとき、上述したように、昇降台40Aから方向転換台40Bに移動された支持部材10を支承手段37に向かって移動させる際には、ストッパ機構51のアクチュエータ55を退縮駆動して、ストッパ部材54を方向転換台40Bの上面よりも下方の退避位置に下降させる。一方、プッシャ部材57が支持部材10の櫛状支持部12に干渉しない高さにあるときに水平移動アクチュエータ59が伸長されると、各プッシャ部材57を方向転換台40Bと支承手段37の待機位置よりも後方に復帰移動させることができる。
【0036】
第1投入プッシャ38と同様に、第2投入プッシャ39の各昇降アクチュエータ58、58、水平移動アクチュエータ59は、それぞれ、たとえばエアシリンダにより構成することができるが、特に限定されることはなく、他の機構を採用することもできる。
【0037】
次に搬送装置20の第2コンベア23(コンベア)の実施の一形態を図16図20に基づいて説明する。第2コンベア23は、各支持部材10のスライダ13をそれぞれ摺動可能に支持するフレーム64a、64bと、フレーム64a、64bに支持された各支持部材10を順次搬送方向に断続的に移動させるよう推進する推進機構65(後述する)とを備えている。本実施の形態における推進機構65は、一対の巻回車(プーリ)66、67に巻回された単一の巻掛け伝動体(タイミングベルト)68と、巻掛け伝動体68を正逆反転可能に駆動する駆動手段であるモータ69とを有する巻掛け伝動装置70と、巻掛け伝動装置70により推進移動方向とその反対方向に移動される複数組の推進手段71とを有している。各組の推進手段71は、支持部材10の被推進部14に当接可能な一対の推進部材72、72と、巻掛け伝動体68の両側に設けられて一対の推進部材72、72をそれぞれ支持し、一方の推進部材72を支持部材10の被推進部14に当接する推進位置(図16(a)を参照)に、他方の推進部材72を支持部材10の被推進部14に当接しない退避位置(図16(b)を参照)に、それぞれ移動させるアクチュエータ73、73とを備えている。なお、第2コンベア23のフレーム64a、64bにスライダ13の下面が支持された支持部材10は、投入装置22の上昇手段36(図9図12を参照)により上昇位置に上昇されてからその高さを維持したまま第2コンベア23に移載されているため、図18に示したように、第1コンベア21のローラ35に支持された支持部材10よりも高く位置している。
【0038】
フレーム64a、64bの上面には、各支持部材10の両スライダ13、13の外側面に接して転動するローラ80が複数配列されている。ローラ80の回転軸は、第1コンベア21のローラ35とは異なり、鉛直方向に延びている。推進機構65の巻掛け伝動装置70は、本実施の形態の場合、巻回車として一対のプーリ66、67と、巻掛け伝動体として単一のタイミングベルト68とを備えており、各プーリ66、67は、その回転軸が鉛直方向に延びるよう配設されており、一方のプーリ66には、モータ69が接続されている。そして、プーリ66、67に巻回されたタイミングベルト68の両側部に沿って、対を成し支持部材10の推進移動方向と平行に延びる複数のレール74が配列されており、各レール74には、摺動部材75が摺動可能に支持されている。タイミングベルト68の一方の側に配設された組のレール74に支持された各摺動部材75と、他方の側に配設された組のレール74に支持された各摺動部材75は、それぞれ単一の連結支持台76、76に接続されている。両連結支持台76、76は、一対のプーリ66、67に巻き掛けられたタイミングベルト68の一方の側と他方の側に、連結部材68a、68aによってそれぞれ連結されている。各連結支持台76、76上には、本実施の形態の場合、8個のアクチュエータ73が等間隔でそれぞれ取り付けられている。各アクチュエータ73は、その作動ロッド73aを鉛直方向に進退(すなわち、昇降)させるもので、各作動ロッド73aの先端には、上面に推進部材72を有する支持板77が接続されている。各支持板77は、支持部材10の推進移動方向に向かってアクチェータ73から推進移動方向の前方に延びており、その下面には、支持部材10の推進移動方向に進退する押さえアクチュエータ78がそれぞれ設けられている。各押さえアクチュエータ78の作動ロッド78aには、支持部材10の被推進部14の推進移動方向前方面に当接可能な押さえ部材79がそれぞれ設けられている。また、一対の各連結支持台76上にそれぞれ配設された各組のアクチェータ73の推進部材72と、押さえ部材79は、アクチュエータ73が伸長駆動された状態で、両フレーム64に支持されて推進される支持部材10のスライダ13、13の間に設けられた被推進部14の推進移動方向後方面および前方面に当接することができる形状にそれぞれ成形されている。
【0039】
このように構成された第2コンベア23では、本実施の形態の場合、その上流端に投入装置22から移載された支持部材10を含め、合計8個の支持部材10が、各スライダ13、13を両フレーム64a、64b上に支持されている。そして、各支持部材10の被推進部14は、両フレーム64a、64bの間からそれぞれ下方に突出している。この状態で、図16の(a)、図18図19の右方に示したように、一方の組のアクチュエータ73の作動ロッド73aを伸長駆動させて、推進部材72を支持部材10の被推進部14の推進移動方向後方面に当接させることが可能な推進位置に上昇させる。この上昇以後、かかる一方の組のアクチュエータ73に設けられた押さえアクチュエータ78の作動ロッド78aが退縮駆動されて、支持部材10の下面に設けられた被推進部14の推進移動方向前方面に押さえ部材79を当接させ、支持部材10の被推進部14を推進部材72と押さえ部材79との間で挟むようにして保持する。一方、図16の(b)、図18図19の左方に示したように、他方の組のアクチュエータ73の作動ロッド73aは、退縮駆動させており、推進部材72が支持部材10の被推進部14に当接しない退避位置に下降した状態とされている。
【0040】
この状態で、一方の組のアクチュエータ73が配列された連結支持台76を推進方向前方に移動させる方向(この方向を正回転方向とする)にモータ69を駆動すると、一方の組の各アクチュエータ73を伸長駆動させることにより推進位置に上昇された推進部材72は、それぞれ各支持部材10の被推進部14の推進移動方向後方面を押圧して、支持部材10を推進移動させる。このとき、他方の組の推進部材72を退避位置に下降させているアクチュエータ73が配列された連結支持台76は、推進移動方向と反対となる後方に移動される。そして、この他方の組の推進部材72と押さえ部材79は、一方の組の推進部材72によって推進移動された後続の支持部材10の被推進部14の下方において、その推進移動方向後方面と前方面を挟むことが可能な位置に移動される。
【0041】
続いて、一方の組の押さえアクチュエータ78の作動ロッド78を伸長駆動して推進部材72と押さえ部材79による各支持部材10の被推進部14に対する挟持を解除し、アクチュエータ73の作動ロッド73aを退縮駆動して退避位置に下降させる。そして、他方の組のアクチュエータ73の作動ロッド73aを伸長駆動して推進位置に上昇させ、押さえアクチュエータ78の作動ロッド78aを退縮駆動して推進部材72と押さえ部材79により各支持部材10の被推進部14を挟持する。このとき、被推進部14を挟持するのは、先のモータ69を正回転方向に駆動することにより推進移動された後続の支持部材10である。その後、一方の組のアクチュエータ73を推進方向と反対の後方に移動させる方向(この方向を逆回転方向とする)にモータ69を駆動すると、他方の組の各アクチュエータ73を伸長駆動させることにより推進位置に上昇された推進部材72は、それぞれ各支持部材10の被推進部14の推進移動方向後方面を押圧して、支持部材10を推進移動させる。このとき、一方の組の推進部材72を退避位置に下降させているアクチュエータ73が配列された連結支持台76は、推進移動方向と反対となる後方に移動される。これらのモータ69を正回転方向に駆動するときの一連の動作と逆回転方向に駆動するときの一連の動作を交互に繰り返すことにより、フレーム64a、64b上に支持された複数の支持部材10をそれぞれ順次搬送することができる。そして、第2コンベア23は、対の推進部材72を推進位置と退避位置とで正逆方向に交互に動作させて、支持部材10を推進移動させるよう構成したことにより、図19に示したように、レール74から支持部材10を支持するフレーム64a、64bまでの高さをコンパクトにすることができる。
【0042】
次に、枠体接着装置100を図2および図21図33に基づいて説明する。枠体接着装置100は、接着位置P2で支持部材10上のフィルタ材Faを押圧保持するための押さえ部材101と、押さえ部材101を駆動する押さえ手段102と、枠体Fbに接着剤を塗布してフィルタ材Faの両端面Fa1、Fa1に枠体Fb、Fbをそれぞれ接着する接着手段103とを備えている。
【0043】
図21図24に示すように、押さえ手段102の押さえ部材101は、第2コンベアにより接着位置P2に推進移動された支持部材10の上方に配設されるもので、図3~5に示す支持部材の櫛状支持部12と噛合するように対称に成形された櫛状押さえ部104を備えている。すなわち、押さえ部材101の櫛状押さえ部104は、支持部材10の櫛状支持部12に支持されたフィルタ材Faの上面の折り返し線と対応する谷部と峰部を有している。そして、図24に示すように、櫛状押さえ部104は、支持部材10と対応して、中央櫛状押さえ部105と側方櫛状押さえ部106、106とにより分割構成されており、互いに間隔をおいて、必要に応じて交換できるよう台板107に対して着脱可能に取り付けられている。
【0044】
押さえ手段102は、押さえ部材101を支持する押さえ支持部材108と、作動ロッド109aの先端が下方に向けて配設されて、押さえ部材101が支持部材10に支持されたフィルタ材Faを支持部材10との間で挟持する下降位置と、第2コンベア23により支持部材10を推進移動させる際に支持しているフィルタ材Faと干渉しない高さの上昇位置とに昇降移動させる昇降アクチュエータ109とを備えている。押さえ支持部材108は水平部108aと鉛直部108bを有するL字形に成形されており、押さえ部材101が水平部108aに取付けられている。また、押さえ部材101の上方近傍には、鉛直に延びる面を有する台板110が図示しないフレームに対して固設されており、台板110の一方の面には昇降アクチュエータ109が取り付けられ、他方の面には、一対のレール111が鉛直方向に延びるよう配設されており、レール111には摺動部材112が摺動可能に設けられており、摺動部材112には押さえ支持部材108の鉛直部108bが取り付けられている。昇降アクチュエータ109は、たとえばエアシリンダなどにより構成することができる。
【0045】
押さえ部材101の上方には、中央櫛状押さえ部105と両側方櫛状押さえ部106、106とのそれぞれの間の間隔に沿って延びるよう配設され、この各間隔の内部に進入可能な大きさの断面を有する一対のバー113と、押さえ部材101が支持部材10との間でフィルタ材Faを挟持した後に各バー113をさらに中央櫛状支持部15と側方櫛状支持部16、16との間へ下降移動させるアクチュエータ114と、押さえ部材101の下降ストロークを検出するセンサ115とが設けられている。各バー113は、押さえ部材101の推進移動方向の長さよりも長く成形されており、その両端にはそれぞれ接続部材116を介して、アクチュエータ114により昇降移動される昇降部材117が接続されている。各アクチュエータ114は、図示しないフレームに固設された支持台118に設けられており、その作動ロッド114aは各昇降部材117の略中央に連結されている。また、各アクチュエータ114は、ガイドロッド114bを含んでいる。センサ115は、支持台118に設けられており、その検出ロッド115aの先端は、押さえ支持部材108の水平部108aに対して押さえ部材101の中央部と対応する位置に取付けられており、昇降アクチュエータ109の伸長退縮駆動による水平部108aの昇降移動に追従して伸長および退縮する。支持部材10と押さえ部材101との間で挟持されたフィルタ材Faの両側に枠体Fb、Fbを接着し終えて昇降アクチュエータ109により押さえ部材101を上昇移動させる際に、各アクチュエータ114は、水平部108aの上昇開始よりも昇降部材117の上昇開始を遅延させるよう作動する。これにより、フィルタFが押さえ部材101につられて持ち上がるのを防止することができる。 しかしながら、フィルタFに用いるフィルタ材Faを押さえる必要がない場合には、バー113および接続部材116は省略してもよい。
【0046】
ここで、図2に示すように、フィルタ材Faの両側に枠体Fb、Fbを同時に接着するため、接着手段103は、第2コンベア23の接着位置P2の両側に一対で配設されている。両接着手段103、103は、対称または同じ構成を有する。そのため、以下の接着手段103に関する図に基づいた説明では、一方の側の接着手段103についてのみ説明し、他方の側の接着手段103については適宜説明を省略する。
【0047】
図25図33に示すように、各接着手段103はそれぞれ、長手方向に連続する枠体材Fb’を切断して所定の長さを有する枠体Fbとする枠体成形装置120(図25)と、所定の長さに切断された枠体Fbを保持してフィルタ材Faの端面Fa1に押圧する押圧位置PPと、この押圧位置PPから離れてフィルタ材に接着剤を塗布する接着剤塗布位置PAとの間で移動させる枠体移動装置121(図27)と、枠体移動装置121により接着剤塗布位置PAで保持された枠体Fbに接着剤を塗布する接着剤塗布装置122(図231)とを備えている。さらに、枠体移動装置121は、枠体Fbを保持する一対の保持部材123、123を有しており、一方の保持部材123が押圧位置PPにあるとき、他方の保持部材123が接着材塗布位置PAにあり、一対の保持部材123、123を押圧位置PAと接着剤塗布位置PAとに交互に移動させるよう構成されている。
【0048】
枠体Fbは、長手方向に連続するテープ状の枠体材Fb’を、ロール状に巻かれた状態から引き出して切断することにより、所定の長さに成形される。そのため、図25図28に示すように、各枠体成形装置120は、巻かれた状態の枠体材Fb’の先端を引き出す引き出し装置125と、引き出された枠体材Fb’の先端から所定の長さで切断して所定の長さを有する枠体Fbとするカッタ126と、引き出された枠体材Fb’の先端および切断された枠体Fbを吸着して移載位置PMまで移動させる吸着コンベア127と、枠体Fbを保持して移載位置PMから枠体移動装置121の保持部材123に移載する移載装置128とを有している。
【0049】
図25に示すように、引き出し装置125は、枠体材Fb’の先端部近傍を挟む一対のローラ130A、131と、一方のローラ130Aを回転駆動するモータなどの駆動手段132とを備えている。駆動手段132には駆動プーリ133が接続されており、一方のローラプーリ130Aと同軸のプーリ130Bと駆動プーリ133はベルト134が巻き掛けられている。駆動手段132を回転駆動すると、駆動プーリ133とベルト134を介して一方のプーリ130が回転し、他のプーリ131との間に挟まれた枠体材Fb’が、カッタ126と吸着コンベア127との間に引き出される。枠体材Fb’は、ロール状に巻かれた状態から引き出し装置125によって引き出される間に、巻き癖が矯正される。所定の長さの枠体材Fb’を引き出すと、駆動手段132は停止される。そして、カッタ126により所定の長さに成形された枠体Fbを吸着コンベア127で搬送する間は、枠体材Fb’の引き出しを停止する。
【0050】
図25図28に示すように、カッタ126は、吸着コンベア127上に昇降可能に(図28の紙面に対し垂直方向に移動可能に)設けられている。カッタ126は、引き出し装置125が枠体材Fb’を引き出す際には上昇して吸着コンベア127から離間しており、引き出し装置125が枠体材Fb’を吸着コンベア127上に所定の長さで引き出し停止すると、下降して枠体材Fb’の先端から所定の位置を切断して所定の長さの枠体Fbに成形する。カッタ126の構成は、枠体材Fb’を切断する刃を有するものでもよく、また、枠体材Fb’を溶断するヒートカッタを採用することもできる。
【0051】
図25図27図28に示すように、吸着コンベア127は、幅方向中央に穿設された吸着孔140aが長さ方向に複数配列された吸着ベルト140と、吸着ベルト140が巻回されるプーリ141~145と、その一つのプーリ144に接続されて吸着ベルト140を循環駆動する駆動装置146と、プーリ141、142間に巻回された吸着ベルト140の上部水平部位の裏面に配設されてバキュームポンプ等の吸着手段と接続される負圧チャンバ147とを備えている。駆動装置146は、駆動・停止と駆動位置を制御可能なモータなにより構成することができる。引き出し装置125により引き出された枠体材Fb’をカッタ126により切断して所定の長さの枠体Fbが成形されると、吸着コンベア127の駆動装置146を駆動して、枠体Fbを吸着ベルト140の吸着孔140aを介して吸引することにより吸着した状態で、移載装置128が枠体Fbを取り出すことができる移載位置PMまで搬送し、駆動装置146を停止する。
【0052】
図27に示すように、移載装置128は、枠体Fbを吸着する吸着部材148と、吸着コンベア127により枠体Fbが搬送された移載位置PM(図28)と後述するように接着剤塗布位置PAにある枠体移動装置121の保持部材123との間で吸着部材148を移動させる移動装置149とを備えている。吸着部材148は、吸着表面が枠体Fbと略同じ大きさに成形された板状のもので、バキュームポンプ等の吸着手段(図示は省略する)と接続された吸着口148aが複数設けられている。移動装置149は、吸着部材148を支持する支持部材150と、支持部材150を昇降移動させる昇降アクチュエータ151と、昇降アクチュエータ151を支持して、吸着コンベア127上の移載位置PMに位置する枠体Fbの上方と、接着剤塗布位置にある枠体移動装置121の保持部材123の上方との間を水平に移動させる水平移動アクチュエータ152とを備えている。
【0053】
移載装置128は、枠体Fbを吸着コンベア127から枠体移動装置121の接着剤塗布位置にある保持部材123に移載するに際して、昇降アクチュエータ151を退縮させるとともに水平移動アクチュエータ152を退縮させて昇降アクチュエータ151に支持された吸着部材148を吸着コンベア127で移載位置PMに搬送された枠体Fbの上方に配置し、昇降アクチュエータ151を伸長駆動して吸着部材148を下降させて枠体Fbに当接させて吸着口148aから図示しない吸着手段により吸引して吸着させる。続いて、昇降アクチュエータ151を退縮駆動して枠体Fbを上昇させ、その後、水平移動アクチュエータ152を伸長駆動して枠体移動装置121の接着剤塗布位置にある保持部材123の上方に移動させ、昇降アクチュエータ151を伸長駆動して枠体Fbを保持部材に当接させ、図示しない吸着手段による吸引を停止する。また、吸着コンベア127上の枠体Fbの上方に復帰移動させて、次の枠体Fbを移載するために待機させるに際しては、昇降アクチュエータ151を退縮駆動して吸着部材を上昇させ、水平移動アクチュエータ152を退縮駆動する。なお、図27の左方には、昇降アクチュエータ151が退縮しているとともに水平移動アクチュエータ152が退縮した状態を示しており、図27の右方には、昇降アクチュエータ151が退縮しているとともに水平移動アクチュエータ152が僅かに伸長した(あるいは完全に退縮する直前の)状態を示しているが、両移載装置128、128は同じ作動を行う。
【0054】
次に、枠体移動装置121を図26図30に基づいて説明する。枠体移動装置121は、枠体Fbをそれぞれ保持する一対の保持部材123、123と、保持部材123、123をそれぞれ支持して、接着剤塗布位置PAにおいては保持部材123の枠体Fbを保持する表面123aを上方に向けるとともに、接着剤塗布位置から離れて枠体Fbをフィルタ材Faの端面Fa1に押圧する押圧位置PPにおいては枠体Fbをフィルタ材Faの端面Fa1に向けるよう姿勢を変更する回転駆動装置160と、回転駆動装置160を昇降可能に支持する昇降移動アクチェータ161と、昇降移動アクチェータ161を水平移動させる水平移動アクチュエータ162とを備えている。
【0055】
各保持部材123は、枠体Fbと略同じ大きさに成形され枠体Fbを保持する表面123aを有しており、表面123aにはバキュームポンプ等の吸着手段(図示は省略する)と接続される吸着口123bが複数設けられている。回転駆動装置160は、モータなどにより構成され、その回転駆動軸にそれぞれ保持部材123が接続されている。回転駆動装置160は、フレーム163に取付けられている。なお、一対の保持部材123、123をそれぞれ支持する一対の回転駆動装置160、160は、図26に示すように、互いに干渉しないように、第2コンベア23の推進方向の上流側と下流側とに配置される。そのため、一方の保持部材123と他方の保持部材123にそれぞれ接続される回転駆動装置160、160は、図26に示すように、互いに第2コンベア23の推進移動方向において離れた位置に配置される。フレーム163は、昇降移動アクチェータ161の作動ロッド161aに取付けられている。図26図30に示すように、昇降移動アクチェータ161は、移動台164に取付けられており、移動台164の両端部は、第2コンベア23の推進移動方向と直交する方向に延びる一対のレール165、165にそれぞれ摺動可能に設けられた摺動部材166に取付けられている。そして、移動台164は、水平移動アクチュエータ162の作動ロッド162aに接続されている。水平移動アクチュエータ162は、その作動ロッド162aを退縮限位置と、伸長限位置と、伸長限位置近傍の中間位置とに制御可能に駆動することができるものである。
【0056】
枠体移動装置121は、水平移動アクチュエータ162の作動ロッド162aが退縮限位置にあり、昇降移動アクチュエータ161の作動ロッド161aが伸長限位置にあり、回転駆動装置160の回転軸160aが保持部材123の表面123aを上向きにするよう回動されている状態のときに、枠体Fbに接着剤を塗布するための接着剤塗布位置PAに保持部材123を位置させることとなる(図27図28において支持部材10と押さえ部材101から離れた位置の枠体移動装置121を参照)。
【0057】
また、枠体移動装置121は、水平移動アクチュエータ162の作動ロッド162aが中間位置にあり、昇降移動アクチュエータ161の作動ロッド161aが退縮限位置にあり、回転駆動装置160の回転軸160aが保持部材123の表面123aを立てるよう回動されている状態のときに、フィルタ材Faの端面Fa1に保持部材123が保持している枠体Fbを対向させた対向位置PFに位置させることとなる(図にはPFを示していないが、図27図28において支持部材10に枠体保持部材123が接した位置から、図27においてはその水平方向に、また図28においてはその上下方向に、僅かに離れた位置となる)。
【0058】
そして、図27図28において支持部材10に保持部材123が接した状態で示したように、水平移動アクチュエータ162が作動ロッド162aを中間位置からさらに伸長駆動したときに、保持部材123が保持している枠体Fbを支持部材10と押さえ部材101との間で挟持されたフィルタ材Faの端面に対して押圧する押圧位置PPに保持部材123を位置させることとなる。
【0059】
このとき、支持部材10に支持されたフィルタ材Faは、第2コンベア23によって接着位置P2(つまり、押さえ部材101の下方)に位置しており、押さえ手段102によって押さえ部材101と支持部材10との間に挟持されており、枠体Fbを接着する端面近傍が僅かに押さえ部材101と支持部材10の側面から突出した状態となっている。そのため、接着剤が塗布された枠体Fbを保持した保持部材が対面位置PFから押圧位置PPに移動されると、枠体Fbは、フィルタ材Faの端面に適切に接着されることとなる。
【0060】
そして、枠体移動装置121の一方の保持部材123を接着剤塗布位置PAに位置させて接着剤塗布装置122により保持部材123に吸着保持された枠体Fbに接着剤を塗布し始めるときには、第2コンベア23によって次に枠体Fbが接着されるフィルタ材Faを支持した支持部材10が接着位置P2に推進移動されて、押さえ手段102によって押さえ部材101と支持部材10との間でフィルタ材Faを挟持した状態となっている。また、一方の保持部材123に保持された枠体Fbに接着剤を塗布し終えるまでの間に、先にフィルタ材Faの端面Fa1に枠体Fbを接着し終えた他方の保持部材123は、その枠体移動装置121の水平移動アクチュエータ162の作動ロッド162aが僅かに退縮駆動され、フィルタ材Faの端面Fa1に接着された枠体Fbから離れて対向位置PFに戻り、さらに、回転駆動装置160の回転軸160aを回転駆動してその表面123aを上向きにした状態とされている。
【0061】
そして、接着剤が塗布された枠体Fbを保持している枠体移動装置121の一方の保持部材123を接着剤塗布位置PAから対向位置PFまで移動させる際には、かかる一方の水平移動アクチュエータ162の作動ロッド162aを退縮限位置から中間位置まで伸長駆動し、昇降移動アクチュエータ161の作動ロッド161aを伸長限位置から退縮限位置まで退縮駆動し、回転駆動装置160の回転軸160aを保持部材123の表面123aを立てるよう回動駆動する。これと同時に、先にフィルタ材Faの端面Fa1に枠体Fbを接着し終えた他方の枠体移動装置121は、その水平移動アクチュエータ162の作動ロッド162aが退縮限まで退縮駆動され、続いて、昇降移動アクチュエータ161の作動ロッド161aを伸長駆動して、他方の保持部材123を接着剤塗布位置PAに復帰移動させる。そして、一方の保持部材を対向位置PFから押圧位置PPに移動させて保持された枠体Fbを次のフィルタ材Faに接着し、再び一方の保持部材123を対向位置PFに戻してから上向きにした状態とする間に、接着剤塗布位置PAに位置した他方の保持部材123の表面には、移載装置128により所定の長さを有する枠体Fbが吸着コンベア127から移載される。
【0062】
このように、枠体移動装置の一対の保持部材123、123を、一方が接着剤塗布位置にあるときに他方を押圧位置PPとするように交互に移動させることにより、第2コンベア23により接着位置P2に順次推進移動される支持部材10に支持されたフィルタ材Paの端面Fa1に対して枠体Fbを効率よく接着することができる。そして、接着剤塗布位置P2で保持部材123の表面を上向きの姿勢にするため、接着剤塗布装置122により接着剤が枠体Fbの周囲から垂れることなく適切に塗布される。さらに、接着剤を枠体Fbに適切に塗布することができる状態の接着剤塗布位置PAから押圧位置PPまで接着剤が塗布された枠体Fbを移動する間に、塗布された接着剤をフィルタ材Faの端面Fa1に対して枠体Fbを短時間で確実に接着することができる状態に変化させることができる。
【0063】
次に、接着剤塗布装置122を図31図33に基づいて説明する。本実施の形態では、接着剤としてホットメルト接着剤を採用する。そのため、接着剤塗布装置122は、ホットメルトガン170と、ホットメルトガン170のノズル170aを枠体移動装置121の接着剤塗布位置PAにある保持部材123に保持された枠体Fbの表面に沿って移動させる移動装置171とを有している。接着剤は、ホットメルト接着剤に限定されることはなく、他の接着剤を採用することができ、したがって、接着剤塗布装置122は、ホットメルトガン170に代えて、採用した接着剤に応じて枠体Fbに適切に塗布することができるものを用いることができる。移動装置171は、第2コンベア23の推進方向と平行に延びるようにしてフレーム172に固設されたレール173と、レール173に摺動可能に設けられ昇降アクチュエータ175を支持する摺動部材174と、プーリ176に巻き掛けられ摺動部材174が接続されるベルト177と、プーリ176と接続されてベルト177を正逆循環させる駆動装置178とを備えており、昇降アクチュエータ175にホットメルトガン170が支持されている。駆動装置178は、ホットメルトガン170のノズル170aを枠体Fbの長さやその端部の位置に応じて移動させることができるように制御することができる。枠体Fbにホットメルト接着剤を塗布する際には、ホットメルトガン170のノズル170aが移動装置171の接着剤塗布位置PAにある保持部材123に保持された枠体Fbの一端の上方に位置している。そして、ホットメルトガン170は、ホットメルト接着剤が塗布に適した流動性を有する状態に維持されている。この状態で、昇降アクチュエータ175を伸長駆動してホットメルトガン170のノズル170aを枠体Fbの表面に近づけ、ホットメルト接着剤を吐出させつつ駆動装置178を回転駆動してノズル170aを枠体Fbの一端から他端まで移動させ、ホットメルト接着剤の吐出を停止させて、昇降アクチュエータ175を退縮駆動しホットメルトガン170のノズル170aを枠体Fbの表面から上昇させる。その後、駆動装置178を回転駆動して次にホットメルト接着剤を塗布する枠体Fbの一端の上方にノズル170aを復帰移動させる。
【0064】
なお、図に示した実施の形態では、枠体Fbにホットメルト接着剤を塗布し終えたホットメルトガン170のノズル170aの周囲に付着したホットメルト接着剤を取り除く、ホットメルト接着剤掃除装置180をさらに有している。ホットメルト接着剤掃除装置180は、ホットメルトガン170のノズル170aの先端が当接される当接部材181と、ホットメルト接着剤を枠体Fbに塗布する際にホットメルトガン170を移動装置171によって移動させる方向と平行に当接部材181を移動させる移動装置182とを備えている。当接部材181は、L字状の板材により構成されており、水平部の先端縁は、下方に傾斜するよう折り曲げられている。移動装置182は、図31に示した実施の形態では、ガイドロッドが組み込まれたエアシリンダにより構成されている。エアシリンダを伸長駆動すると、当接部材がホットメルトガンのノズルの先端面を擦るように移動し、その周囲に付着したホットメルト接着剤を取り除くことができる。
【0065】
次に、搬出装置200と、搬送装置20の回収装置24とを併せて図34図43に基づいて説明する。搬出装置200は、搬出位置P3で支持部材10と分離されたフィルタFを製造装置1の外部に搬出するためのものである。また、搬送装置20の回収装置24は、搬出装置200により搬出位置P3でフィルタFと分離された支持部材10を第1コンベア21の上流端に搬送して再びセット位置P1に還流させるためのものである。
【0066】
図40図42に示すように、搬出装置200は、第2コンベア23により搬送された支持部材10に支持されたフィルタFを解放可能に把持する把持手段201と、フィルタFが把持された状態で支持部材10を下降させてフィルタFと支持部材10とを分離させる下降手段202と、支持部材10から分離されたフィルタFを製造装置1の外部に搬出するフィルタ移動手段207とを備えている。
【0067】
把持手段201は、図42図43に示すように、基台210の下面に設けられた一対のアクチュエータ211、211と、各アクチュエータ211の作動ロッド211aにそれぞれ設けられたアーム212、212とを備えている。一対のアクチュエータ211、211は、第2コンベア23の推進移動方向と直交する水平方向で、互いの作動ロッド211a、211aが相反する方向に同時に伸長・退縮するよう配設されている。各アーム212は、フィルタFの枠体Fbの長さと略同じ幅(図では左右方向)を有する板状のもので、一対のアクチュエータ211、211の作動ロッド211aをそれぞれ退縮駆動すると、両アーム212、212が閉じるように移動して間にフィルタFを挟持することができ、また、それぞれ伸長駆動すると、両アーム212、212が開くように互いに離間して、挟持していたフィルタFを解放することができる。
【0068】
図35図37図38図42に示すように、下降手段202は、支持部材10がフィルタFに干渉することなく第1取出しプッシャ204によって移動させることができる高さに下降させるもので、第2コンベア23の下流端に隣接して、後述するように第1取出しプッシャ204による支持部材10の搬送方向側に配置された第1支持台213と、搬送方向反対側に配置された第2支持台214と、第2支持台214を第1支持台213に対して近接遠退移動させる開閉アクチュエータ215と、第1支持台213と、第2支持台214に連結された開閉アクチュエータ215とをそれぞれ昇降移動させる昇降アクチュエータ216を備えている。ここで、支持部材10は、第2コンベア23により両スライダ13、13の長手方向に沿って推進移動されて第1および第2支持台213、214上に移載される。このとき、支持部材10の下面の両スライダ13、13の間に突出するように設けられた被推進部14を通過させることが必要となる。また、後述するように第1取出しプッシャ204によって第2コンベア23の推進移動方向と直交する方向に支持部材10を移動させる際には、支持部材10の被推進部14が第1支持台213を通過することが必要となる。そのため、第2コンベア23から第1および第2支持台213、214上に支持部材10を移載するとき(すなわち、第2コンベア23のフレーム64と同じ高さにあるとき)には、開閉アクチュエータ215を退縮駆動して第1支持台213から第2支持台214を離間させる。そして、第1取出しプッシャ204によって移動させるために第1および第2支持台213、214上に支持された支持部材10を昇降アクチュエータ216の退縮駆動によって下降させるときには、図35図37図38図42に示すように、開閉アクチュエータ215を伸長駆動して第1支持台213に対して第2支持台214を近接移動させる。また、少なくとも第1支持台213上には、支持部材10の被推進部14の干渉を回避するための凹部217が、第1取出しプッシャ204によって移動される方向に延びるよう形成されている。
【0069】
図40図41に示すように、フィルタ移動手段207は、フィルタFを把持した把持手段201を第2コンベアの延長線上に移動させる搬出アクチュエータ235と、搬出アクチュエータにより移動された把持手段201からフィルタFを受け取って、製造装置1の外部に搬送する第1ベルトコンベア236及び第2ベルトコンベア237とを含んでいる。
【0070】
図40図43に示すように、第2コンベア23が支持部材10を推進移動させる方向と平行に水平方向に延びる一対のレール232、232が設けられており、各レール232にそれぞれ摺動部材233が摺動可能に支持されており、把持手段201の基台210を支持する支持台234の両端が摺動部材233にそれぞれ取り付けられている。そして、搬出アクチュエータ235は、その駆動ロッド235aが支持台234に接続されて、把持手段201を支持している支持台234を移動させるよう構成されている。搬出アクチュエータ235を伸長駆動することにより、把持手段201に把持されたフィルタFが搬出コンベア208上に移動し、退縮駆動することにより把持手段201が下降手段202の第1および第2支持台213、214上に復帰移動することとなる。
【0071】
搬出装置200の搬出コンベア208は、フィルタ製造装置1の内部に配設される第1ベルトコンベア236と、第1ベルトコンベア236に隣接して配設される第2ベルトコンベア237とにより構成されている。第1および第2ベルトコンベア236、237は、同様の構成とされており、ベルトが巻回される端部ローラ239、テンションローラ240、および駆動ローラ241と、駆動ローラ241にベルト242を介して接続されたモータなどからなる回転駆動手段243とをそれぞれ備えている。第1および第2ベルトコンベア236、234は、互いのベルト238、238の上面が同じ高さで水平となるよう配設されている。
【0072】
図34図39図42に示すように、搬送装置の回収装置24は、下降手段202から第1コンベア21側に向かって延びて、支持部材10の下面のスライダの両端部近傍を支持するレール203と、レール203に支持された支持部材10を下降手段202から第1コンベア側に向かって移動させる第1取出しプッシャ204と、レール203の第1コンベア21側端部に配設されて、第1取出しプッシャ204により移動された支持部材10を昇降可能に支持する支持部材移動方向転換台205と、支持部材移動方向転換台205に支持された支持部材10を第1コンベア21の上流端に移動させる第2取出しプッシャ206とを備えている。
【0073】
レール203の上面の高さは、第1コンベア21のローラ35によって支持される高さよりも僅かに低い位置となるように設定されている。レール203の第1コンベア21側の端部は、第1コンベア21に近い側203aが短く、遠い側203bが長くなっている。また、レール203の間であって支持部材移動方向転換台205に隣接する位置には、第1取出しプッシャ204によってレール203上で移動される支持部材10を、支持部材移動方向転換台205の手前で確実に停止させるためのストッパ218(図37図38)と、このストッパ218を支持して、支持部材10に対して衝合および退避可能に進退移動させるためのアクチュエータ219とが設けられている。レール203は、2つの支持部材10を下降手段202側と支持部材移動方向転換台205側とに支持することができる長さを有している。
【0074】
図34図35に示すように、第1取出しプッシャ204は、支持部材10の側面11dと平行に延びるよう配設された一対のプッシャ部材220、220と、各プッシャ部材220を支持して下降位置にある第1および第2支持台213、214上に載置された支持部材10、および、レール203上のストッパ218により停止された位置にある支持部材10のそれぞれの台板11の搬送方向後方の側面11dに当接させることができる進出位置と、支持部材10に干渉しない後退位置に後退移動させる進退アクチュエータ221と、進退アクチュエータ221により進出位置にあるプッシャ部材220が支持部材10を第1コンベア21(支持部材移動方向転換台205)に向かって押し出すように移動させ、また、後退位置にあるプッシャ部材220が下降手段202側に復帰するように移動させるための水平移動アクチュエータ222とを備えている。下降手段202と支持部材移動方向転換台205との間に沿って延びるレール204aが設けられており、レール204aに摺動可能に支持された摺動部材204bに支持板204cが取り付けられており、支持板204cに進退アクチュエータ221が連結されている。進退アクチュエータ221を伸長駆動すると、プッシャ部材220が支持部材10の搬送方向後方縁11dに当接させることができる進出位置に進出し、進退アクチュエータ221を退縮駆動すると、プッシャ部材220が支持部材10に干渉しない後退位置に移動する。また、プッシャ部材220が進出位置にあるときに水平移動アクチュエータ222を退縮駆動すると、プッシャ部材220が2つの支持部材10をそれぞれ第1コンベア21に向かって押し出すように支持部材移動方向転換台205側に移動する。このとき、ストッパ218は、アクチュエータ219の退縮駆動によってレール203よりも下方に退避しており、レール203の支持部材移動方向転換台205側に位置していた支持部材10がストッパ218上を通過し終えると、アクチュエータ219の伸長駆動によってレール203よりも上方に上昇して、それまで下降手段202側に位置していて第1取出しプッシャ204によって支持部材移動方向転換台205に向かって送られる支持部材10を支持部材移動方向転換台205の手前で、確実に停止させる。一方、プッシャ部材220が後退位置にあるときに水平移動アクチュエータ222を伸長駆動すると、プッシャ部材220が下降手段202側に復帰するように移動する。
【0075】
支持部材移動方向転換台205は、第1取出しプッシャ204によってレール203上を移動された支持部材10の一対のスライダ13、13をそれぞれ支持する支持台223、223と、各支持台223をレール203上の高さから第1コンベア21のローラ35よりも僅かに高い位置に上昇させる移載アクチュエータ224(図37)と、第1取出しプッシャ204によってレール203から送られる支持部材10のスライダ13の、第1コンベア21側の端部を支持する昇降レール205aと、レール203と同じ高さと、第2取出しプッシャ206によって第1コンベア21に移動される支持部材10の被推進部材14の干渉を避ける位置との間で昇降レール205aを昇降移動させる昇降アクチュエータ205bとを備えている。支持台223は、移載アクチュエータ224により上昇されていない状態のとき、レール203と同じ高さとなっている。図34図38に示すように、少なくともレール203側の支持台223は、第1取出しプッシャ204によって支持部材10がレール203から移載される際に、支持部材10のスライダ13、13間に設けられた被推進部材14が通過できる凹部225を有している。また、図37に示すように、両支持台223、223の間には、第2取出しプッシャ206によって支持部材10を第1コンベア21のローラ35上に移載する際に、支持部材10のスライダ13、13間に設けられた被推進部材14が通過できる間隔226が形成されている。
【0076】
第2取出しプッシャ206によって支持部材10を第1コンベア21に移載するとき、支持台223は、移載アクチュエータ224の伸長駆動によって第1コンベア21のローラ35よりも僅かに高い位置に上昇し、支持部材10を確実に第1コンベア21に移載できるようにする。昇降レール205aは、第1取出しプッシャ204によって支持部材10をレール203から支持台223に送るときに、昇降アクチュエータ205bによってレール203と同じ高さに上昇されており、レール203から遠い側の支持台223上に確実に支持部材10を移動させることができる。また、第2取出しプッシャ206によって支持部材10を支持台223から第1コンベア21に移動するときには、昇降アクチュエータ205bによって下降されており、支持部材10の被推進部材14が昇降レール205aに干渉しない高さに退避している。
【0077】
第2取出しプッシャ206は、支持部材移動方向転換台205の移載アクチュエータ224によって支持台223が第1コンベア21のローラ35よりも僅かに高く上昇されている状態で、支持部材10を支持部材移動方向転換台205から第1コンベア21の上流端に移動させる方向に沿って水平に延びる水平レール227と、水平レール227に摺動可能に設けられた摺動部材228と、摺動部材228を水平レール227に沿って水平移動させる水平アクチュエータ229と、摺動部材228に設けられた昇降アクチェータ230と、昇降アクチュエータ230の作動ロッド230aに取付けられ、第1コンベア21に向かって移動させる支持部材10の側面11aと平行に延びる棒状のプッシャ部材231とを備えている。
【0078】
昇降アクチュエータ230を伸長駆動することにより、プッシャ部材231が上方から支持部材移動方向転換台205の上昇した状態の支持台223に支持された支持部材10の台板11の第1コンベア21に向かう移動方向後方の側面11aと同じ高さに下降することとなる。そして、水平アクチュエータ229が退縮駆動することにより、昇降アクチュエータ230に取付けられたプッシャ部材231が支持部材10を支持台223から第1コンベア21の上流端に移動させるよう押圧することとなる。また、昇降アクチュエータ230を退縮駆動するとともに、水平アクチュエータ229を伸長駆動することによりプッシャ部材231が支持部材移動方向転換台205の支持台223よりも上方で、且つ、支持台223から第1コンベア21と反対側に離れた位置に復帰移動することとなる。
【0079】
以上のように構成されたフィルタ製造装置1は、セット位置P1でフィルタ材Faを支持部材10に支持した後、第1コンベア21により投入装置22に向けて搬送を開始してからの停止、投入装置22による第2コンベア23への搬送と停止、第2コンベア23による接着位置P2へおよび接着位置P2から搬出位置P3への搬送および停止、枠体接着装置100の各構成要素における駆動装置の駆動開始と停止、搬出位置P3でフィルタが分離された支持部材10をセット位置P1に還流させるために回収装置24と第1コンベア21による搬送と停止、及び、搬出位置P3で支持部材10から分離されたフィルタFの搬出装置200による装置1の外部への搬出と停止を、全て連動して自動で制御することができる。
【符号の説明】
【0080】
F:フィルタ、 Fa:フィルタ材、 Fb:枠体、 P1:セット位置、 P2:接着位置、 P3:搬出位置、 1:フィルタ製造装置、 10:支持部材、 20:搬送装置、 21:第1コンベア、 22:投入装置、 23:第2コンベア(コンベア)、 24:回収装置、 70:巻掛け伝動装置、 72:第2コンベアの推進部材、 100:枠体接着装置、 101:押さえ部材、 102:押さえ手段、 103:接着手段、 120:枠体成形装置、 121:枠体移動装置、 122:接着剤塗布装置、 123:保持部材、 PA:接着剤塗布位置、 PP:押圧位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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