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  • 特許-鍬の木柄装着構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】鍬の木柄装着構造
(51)【国際特許分類】
   B25G 3/26 20060101AFI20220627BHJP
   F16B 7/20 20060101ALI20220627BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20220627BHJP
   B25G 1/00 20060101ALI20220627BHJP
   B25G 3/04 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
B25G3/26
F16B7/20 A
F16B7/18 A
B25G1/00 B
B25G3/04 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020195654
(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公開番号】P2022084062
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】397070646
【氏名又は名称】株式会社相田合同工場
(74)【代理人】
【識別番号】100084102
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】相 田 聡
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-117082(JP,U)
【文献】実開昭60-074979(JP,U)
【文献】実開昭56-055455(JP,U)
【文献】米国特許第09764459(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25G 3/00 - 3/38
A01B 1/00 - 1/24
F16B 7/18 - 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍬本体の木柄装着位置に、木柄の三周面に対応する底面部及び両側面部からなる端面コ状の適宜長さで、且つ前記底面部の適宜位置に連結孔を穿設した受け板部を突設し、前記連結孔と対応する貫通孔を穿設した木柄先端部分を受け板部に沿わせ、アーチ状の押圧板部と連結孔及び貫通孔に対応するボルト孔を備えた固定体を前記木柄の表面に配置し、連結孔、貫通孔及びボルト孔を貫通する固定ボルトを装着し、前記固定ボルトに螺合したナットを緊締して木柄を鍬本体に装着してなる鍬の木柄装着構造。
【請求項2】
固定体に、押圧板部の先端を折曲して木柄先端面に係止する係止部を設けてなる請求項1記載の鍬の木柄装着構造。
【請求項3】
受け板部の基端側の開口部分に、前記受け板部の底面部及び両側面部とで木柄外周面に対応するよう抑え帯板部を架設した請求項1又は2記載の鍬の木柄装着構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍬の木柄装着構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鍬は、周知のとおり種々の形態の鍬本体(平鍬、唐鍬、備中鍬、草削鍬、とんび鍬等)に木柄を装着しているもので、木柄の装着構造は、鍬本体の風呂部分に設けた貫通孔若しくは鍬本体の基縁外側に装着筒部を設け、装着筒部に木柄を挿通し、挿通した木柄と装着筒部の内面との間に楔板を打ち込んで木柄を固定している(特許文献1)。しかし上記の装着筒部を採用して楔体を使用する装着構造は、装着筒部が短いと装着された木柄がガタツキ易く、装着筒部が長くなれば鍬本体の重量増加となり、また経年変化(木柄の乾燥)によって楔体がゆるみ、木柄の堅牢装着が阻害される。
【0003】
そこで楔板を採用せずに、鍬本体から木柄を添わせる対向板部を突設し、対向板部間の木柄を貫通ボルトとナットとで固定する手段(特許文献2)、また前記手段において対向板部の一方を座金とする手段が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭60-125081号公報。
【文献】実開昭60-74979号公報。
【文献】実開昭60-117082号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
農作業に鍬を使用する際の鍬の動作は、木柄の手元側を中心とした木柄先方の鍬本体の地面に対する上下回動となる。前記の動作によって鍬本体と木柄の連結部分には、木柄の手元側が鍬本体から離れる方向に力が加わり、連結部分に1本の貫通ボルトを採用した場合には、当該貫通ボルトの1点支持となり連結部分のガタツキが生じやすい。このため対向板部と木柄の連結には、木柄の先元方向で2本の貫通ボルトが採用されている。しかし貫通ボルト2本を使用する構造は、木柄の装着時や木柄取替えのための木柄着脱作業が煩瑣となる。
【0006】
そこで本発明は、貫通ボルト1本の装着でも鍬使用に際しても十分対応できる新規な鍬の木柄装着構造を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載に係る木柄装着構造は、鍬本体の木柄装着位置に、木柄の三周面に対応する底面部及び両側面部からなる端面コ状の適宜長さで、且つ前記底面部の適宜位置に連結孔を穿設した受け板部を突設し、前記連結孔と対応する貫通孔を穿設した木柄先端部分を受け板部に沿わせ、アーチ状の押圧板部と連結孔及び貫通孔に対応するボルト孔を備えた固定体を前記木柄の表面に配置し、連結孔、貫通孔及びボルト孔を貫通する固定ボルトを装着し、前記固定ボルトに螺合したナットを緊締して木柄を鍬本体に装着してなることを特徴とする。
【0008】
而して木柄の先端装着部分(鍬本体との連結部分)は、固定ボルトとナットによって、固定体の押圧板部の先元端が木柄と当接すると共に、当該先元2カ所の当接位置で受け板部の底面部と押圧板部で挟圧することになり、先元2カ所に固定ボルトを配置したのと同様の機能を発揮することになる。
【0009】
また本発明の請求項2記載に係る木柄装着構造は、上記構造において特に固定体に、押圧板部の先端を折曲して木柄先端面に係止する係止部を設けてなるもので、固定体の先端の係止部が木柄の先端面と当接するので、固定体の横ずれ回動(固定ボルトの軸方向に対して直交する面上での回動)が防止される。
【0010】
また本発明の請求項3記載に係る木柄装着構造は、上記構造において特に、受け板部の基端側の開口部分に、前記受け板部の底面部及び両側面部とで木柄外周面に対応するよう抑え帯板部を架設したもので、木柄を抑え板部と抑え帯板部で囲繞された空間に挿通することで、仮に作業中に固定ボルトとナットの緊締が緩んだとしても、抑え帯板部と受け板部とで木柄を抱持しているので鍬本体が装着位置から外れる危険性がない。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成は上記のとおりで、固定ボルト1本で二カ所での挟持を実現したもので、固定ボルトを採用する木柄装着構造において、ボルト・ナットによる木柄装着操作を簡素化したものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態の木柄装着前の状態の斜視図。
図2】同木柄装着後状態の斜視図。
図3】同側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明の実施形態について説明する。実施形態に示した木柄構造は、鍬本体Aに設けた受け板部1と、固定体2と、鍬本体Aに装着する木柄3と、固定ボルト4とナット5で構成される。
【0014】
図示した鍬本体Aは、平鍬を示したが本発明はその種別は問わずいずれにも適用できるものである。
【0015】
受け板部1は、鍬本体Aの刃先縁と平行な底面部11と、木柄3の幅に対応し且つ木柄3の上面側が適宜に露出する高さとした側面部12を備えた端面コ状で、木柄3の連結部分として適する適宜な長さであり、前記側面部12の上面端が鍬本体Aにおける木柄装着位置となる元縁近傍となるように鍬本体Aに熔接して立設したものである。
【0016】
また底面部11の略中間位置に連結孔13を穿設し、基端側の底面部11と対面する開口部分に、前記底面部11及び両側面部12とで、木柄3の外周面と対応する形状となる適宜幅の抑え帯板部14を架設してなる。
【0017】
固定体2は、略底面部11における先端(鍬本体Aの位置)から抑え帯板部14の先端縁までの長さを備え、下方(底面部11方向)が浮いたアーチ状とした押圧板部21と、前記押圧板部21の先端を下方(底面部11方向)へ屈曲した係止板部22とからなり、前記した連結孔13と対応するボルト孔23を設けてなる。
【0018】
木柄3は、従前のもの同様で、先端部分(鍬本体Aとの連結部分)は矩形断面としたもので、連結孔13及びボルト孔23と対応する位置に貫通孔31を設けたものである。
【0019】
固定ボルト4は、前記連結孔13、ボルト孔23及び貫通孔31を貫通する十分な長さを備え、ナット5は、前記固定ボルト4に螺合装着されるものである。
【0020】
而して本発明の木柄連結構造は、木柄3の先端部分を受け板部1の元端側から底面部11及び側面部12に添わせると共に、抑え帯板部14の内側に差し入れて、木柄3の先端部分を受け板部1と密着させる。
【0021】
次に固定体2の係止部22を木柄3の先端面に当接して、押圧板部21を木柄3の上面に添わせ、固定ボルト4を底面部11の外側から挿入して連結孔13、貫通孔31、ボルト孔23を貫通装着し、押圧板部21の表面から露出した固定ボルト4の軸部分にナット5を螺合緊締する。
【0022】
ナット5の緊締によってアーチ状の押圧板部21が下圧され、木柄3を押圧板部21における木柄3との当接位置となる先元2カ所で、木柄3を底面部11側へ強く押圧することになり、木柄3は堅牢に固定される。
【0023】
またナット5の緊締が緩んだとしても、アーチ状の押圧板部21の弾性力で装着された木柄3がガタツクことも無く、また固定体2の先端の係止板部22が木柄3の先端面と当接しているので、固定体2が横ずれ回動することも無く、更に木柄3は抑え帯板部14の箇所で受け板部1に抱持されているので、安全に使用されるものである。
【0024】
なお本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば受け板部1の側面部12の一部または全部が鍬本体Aの元縁より外方へ突出するように溶着しても良い。また鍬本体Aにおいて、木柄3の先端対応箇所を穿設して鍬本体Aの風呂部分に木柄3を装着する構造にも本発明が適用できるものである。
【0025】
更に固定体2の係止板部22も、特に木柄先端面に当接するものではなく、木柄の先端適宜箇所に凹部を設け、当該凹部に嵌合する係止部としても良い。
【符号の説明】
【0026】
A 鍬本体
1 受け板部
11 底面部
12 側面部
13 連結孔
14 抑え帯板部
2 固定体
21 押圧板部
22 係止板部
23 ボルト孔
3 木柄
31 貫通孔
4 固定ボルト
5 ナット
図1
図2
図3