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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】負荷試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/34 20200101AFI20220627BHJP
【FI】
G01R31/34 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022524962
(86)(22)【出願日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 JP2021031315
【審査請求日】2022-04-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391028328
【氏名又は名称】株式会社辰巳菱機
(74)【代理人】
【識別番号】100127306
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 剛
(72)【発明者】
【氏名】近藤 豊嗣
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特許第6906269(JP,B1)
【文献】国際公開第2017/134768(WO,A1)
【文献】特開2011-169702(JP,A)
【文献】特開2020-112492(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1371099(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗器群を複数設け、試験対象電源からの電力供給を受ける、抵抗部と、
双方向変圧器と、少なくとも第1コイルグループと微調整用コイルグループを有し、前記試験対象電源からの電力供給を受ける、リアクトル部とを備え、
前記第1コイルグループと前記微調整用コイルグループのそれぞれは、U相用のコイルとV相用のコイルとW相用のコイルを含むコイルセットを1以上有し、
前記試験対象電源として第1試験対象電源からの電力供給を受ける場合、前記第1試験対象電源からの電力は、前記双方向変圧器を介さずに前記第1コイルグループに供給され、前記双方向変圧器を介して降圧された状態で前記微調整用コイルグループに供給され、
前記試験対象電源として、前記第1試験対象電源よりも、低圧の第2試験対象電源からの電力供給を受ける場合、前記第2試験対象電源からの電力は、前記双方向変圧器を介して昇圧された状態で前記第1コイルグループに供給され、前記双方向変圧器を介さずに前記微調整用コイルグループに供給される、負荷試験装置。
【請求項2】
前記第1コイルグループは、前記コイルセットを複数有し、
前記微調整用コイルグループは、複数のコイルグループを有し、
前記微調整用コイルグループの前記複数のコイルグループのそれぞれは、前記コイルセットを1以上有し、
前記第1コイルグループの前記コイルセット、及び前記微調整用コイルグループの前記複数のコイルグループの前記コイルセットは、それぞれ、コイル保持部材に保持され、
前記コイル保持部材は、前記U相用のコイルの内側を通る鉄心と、前記V相用のコイルの内側を通る鉄心と、前記W相用のコイルの内側を通る鉄心と、前記3つの鉄心を連結する連結部を含む、請求項1に記載の負荷試験装置。
【請求項3】
前記3つの鉄心は、上下方向に延び、
前記連結部は、前記3つの鉄心の下部を連結する下連結部と、前記3つの鉄心の上部を連結する上連結部とを有し、
前記下連結部と前記上連結部の一方と、前記3つの鉄心は一体的に構成され、
前記下連結部と前記上連結部の他方は、前記3つの鉄心と別体で構成される、請求項2に記載の負荷試験装置。
【請求項4】
前記微調整用コイルグループの前記複数のコイルグループのうち、一部は、第1保持面に取り付けられ、残りは、前記第1保持面よりも上段に設けられた第2保持面に取り付けられる、請求項2または請求項3に記載の負荷試験装置。
【請求項5】
前記コイル保持部材は、前記U相用のコイルと前記V相用のコイルと前記W相用のコイルを覆う絶縁カバーを有する、請求項2~請求項4のいずれかに記載の負荷試験装置。
【請求項6】
前記第1コイルグループは、前記コイルセットを複数有し、
直列に接続された状態と、前記複数のコイルセットのうちの1つが単独で使用される状態とが切り替え可能な状態で、前記第1コイルグループにおける前記複数のコイルセットが接続される、請求項1に記載の負荷試験装置。
【請求項7】
前記リアクトル部は、前記第1試験対象電源と接続するための第1リアクトル側入力端子と、前記第2試験対象電源と接続するための第2リアクトル側入力端子とを有し、
前記第1試験対象電源からの電力供給を受ける場合、前記第1試験対象電源からの電力は、前記第1リアクトル側入力端子と真空遮断器を介して前記第1コイルグループに供給され、前記第1リアクトル側入力端子と前記真空遮断器と前記双方向変圧器を介して前記微調整用コイルグループに供給され、
前記第2試験対象電源からの電力供給を受ける場合、前記第2試験対象電源からの電力は、前記第2リアクトル側入力端子と配線用遮断器と前記双方向変圧器を介して前記第1コイルグループに供給され、前記第2リアクトル側入力端子と前記配線用遮断器を介して前記微調整用コイルグループに供給される、請求項1から請求項6のいずれかに記載の負荷試験装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、発電機の負荷試験を行う負荷試験装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平09-15307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、力率の調整は考慮されていない。
【0005】
したがって本発明の目的は、複数種類の試験対象電源に対応して、力率の調整が容易に行える負荷試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る負荷試験装置は、抵抗器群を複数設け、試験対象電源からの電力供給を受ける、抵抗部を備える。負荷試験装置は、双方向変圧器と、少なくとも第1コイルグループと微調整用コイルグループを有し、試験対象電源からの電力供給を受ける、リアクトル部を備える。
第1コイルグループと微調整用コイルグループのそれぞれは、U相用のコイルとV相用のコイルとW相用のコイルを含むコイルセットを1以上有する。
試験対象電源として第1試験対象電源からの電力供給を受ける場合、第1試験対象電源からの電力は、双方向変圧器を介さずに第1コイルグループに供給され、双方向変圧器を介して降圧された状態で微調整用コイルグループに供給される。
試験対象電源として、第1試験対象電源よりも、低圧の第2試験対象電源からの電力供給を受ける場合、第2試験対象電源からの電力は、双方向変圧器を介して昇圧された状態で第1コイルグループに供給され、双方向変圧器を介さずに微調整用コイルグループに供給される。
【0007】
本調整用コイルグループと、微調整用コイルグループと、双方向変圧器を設けて、試験対象電源からの電力の一部を昇圧若しくは降圧した状態で、当該コイルグループに電力を供給する。
これにより、高圧の試験対象電源(第1試験対象電源)、低圧の試験対象電源(第2試験対象電源)の両方に対応して、力率の調整が容易に行える負荷試験装置を実現することが可能になる。
【0008】
好ましくは、第1コイルグループは、コイルセットを複数有する。
微調整用コイルグループは、複数のコイルグループを有する。
微調整用コイルグループの複数のコイルグループのそれぞれは、コイルセットを1以上有する。
第1コイルグループのコイルセット、及び微調整用コイルグループの複数のコイルグループのコイルセットは、それぞれ、コイル保持部材に保持される。
コイル保持部材は、U相用のコイルの内側を通る鉄心と、V相用のコイルの内側を通る鉄心と、W相用のコイルの内側を通る鉄心と、3つの鉄心を連結する連結部を含む。
【0009】
複数のコイル保持部材のそれぞれが、コイルセットを保持する。
これにより、電気的な絶縁を維持した状態で安定的にコイルを保持することが可能になる。
また、1つのコイル保持部材が複数のコイルセットを保持する形態に比べて、他のコイルからの電磁的な影響を受けにくくできる。
【0010】
さらに好ましくは、3つの鉄心は、上下方向に延びる。
連結部は、3つの鉄心の下部を連結する下連結部と、3つの鉄心の上部を連結する上連結部とを有する。
下連結部と上連結部の一方と、3つの鉄心は一体的に構成される。
下連結部と上連結部の他方は、3つの鉄心と別体で構成される。
【0011】
コイルの内側に鉄心を通した後に、連結部の一部(例えば、上連結部)を、鉄心に取り付けて、コイル保持部を形成することが可能になる。
【0012】
さらに好ましくは、微調整用コイルグループの複数のコイルグループのうち、一部は、第1保持面に取り付けられ、残りは、第1保持面よりも上段に設けられた第2保持面に取り付けられる。
【0013】
コイルグループを保持する面(保持面)を上下に複数設けることで、小さいコイルグループが設けられた領域の上方の領域を有効に活用して、多くのコイルグループを収容することが可能になる。
【0014】
さらに好ましくは、コイル保持部材は、U相用のコイルとV相用のコイルとW相用のコイルを覆う絶縁カバーを有する。
【0015】
絶縁カバーを設けない形態に比べて、コイルへの埃などの付着を防止し、他のコイルからの電磁的な影響を受けにくくできる。
【0016】
また、好ましくは、第1コイルグループは、コイルセットを複数有する。
直列に接続された状態と、複数のコイルセットのうちの1つが単独で使用される状態とが切り替え可能な状態で、第1コイルグループにおける複数のコイルセットが接続される。
【0017】
接続形式を直列と並列で切り替えることにより、複数のコイルの合成インダクタンスを変えることができ、様々な試験対象電源に対応して、力率の調整が容易に行える負荷試験装置を実現することが可能になる。
【0018】
また、好ましくは、リアクトル部は、第1試験対象電源と接続するための第1リアクトル側入力端子と、第2試験対象電源と接続するための第2リアクトル側入力端子とを有する。
第1試験対象電源からの電力供給を受ける場合、第1試験対象電源からの電力は、第1リアクトル側入力端子と真空遮断器を介して第1コイルグループに供給され、第1リアクトル側入力端子と真空遮断器と双方向変圧器を介して微調整用コイルグループに供給される。
第2試験対象電源からの電力供給を受ける場合、第2試験対象電源からの電力は、第2リアクトル側入力端子と配線用遮断器と双方向変圧器を介して第1コイルグループに供給され、第2リアクトル側入力端子と配線用遮断器を介して微調整用コイルグループに供給される。
【0019】
誤配線による負荷試験装置を構成する部材の破損などを防ぎやすくなる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明によれば、複数種類の試験対象電源に対応して、力率の調整が容易に行える負荷試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態における負荷試験装置、第1試験対象電源、駆動用電源の構成を示す模式図である。
図2】本実施形態における負荷試験装置、第2試験対象電源、駆動用電源の構成を示す模式図である。
図3】リアクトル部の構成を示す模式図である。
図4】リアクトル部の構成を示す斜視図である。
図5】第11コイルセット~第13コイルセットの斜視図である。
図6】絶縁カバーが設けられた第11コイルセットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。
なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。また、各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが出来る。
【0023】
方向を説明するために、水平方向の一方をx方向(左右方向、第1方向)、x方向に垂直な水平方向をy方向(前後方向、第2方向)、x方向とy方向に垂直な鉛直方向をz方向(上下方向、第3方向)として説明する。
図4図6において、xyz軸のそれぞれの矢印が指し示す方向をそれぞれ左方向、前方向、上方向と定義する。
【0024】
(用語の定義)
本実施形態では、U相用のコイルとV相用のコイルとW相用のコイルの1セットをコイルセットと定義し、1以上のコイルセットの群をコイルグループと定義する。
【0025】
(負荷試験装置1)
本実施形態における乾式の負荷試験装置1は、第1負荷試験領域1aと第2負荷試験領域1bを備える(図1図2参照)。
第1負荷試験領域1aは、抵抗部30、第1冷却部40、第1操作部50を有する。
第2負荷試験領域1bは、リアクトル部60、第2冷却部70、第2操作部80を有する。
第1負荷試験領域1aと第2負荷試験領域1bは、1つの筐体に収容されてもよいし、別々の筐体に収容されてもよい。
【0026】
(抵抗部30)
抵抗部30は、複数の抵抗器群、第1抵抗部側入力端子35a、第2抵抗部側入力端子35bを有する。
抵抗器群のそれぞれは、U相用の抵抗器、V相用の抵抗器、W相用の抵抗器のセットを1以上含む。
負荷試験の際には、試験対象電源(第1試験対象電源100a、第2試験対象電源100b)からの電力が、複数の抵抗器群の一部又は全部に供給される。複数の抵抗器群のうち、試験対象電源からの電力を供給する抵抗器群を選択することで、負荷量が調整される。
【0027】
(第1抵抗部側入力端子35a、第2抵抗部側入力端子35b)
第1抵抗部側入力端子35aは、高圧の負荷試験を行う際に用いられ、第1試験対象電源100aと接続する(図1参照)。
第2抵抗部側入力端子35bは、低圧の負荷試験を行う際に用いられ、第2試験対象電源100bと接続する(図2参照)。
【0028】
第1試験対象電源100aからの電力供給を受ける場合、第1試験対象電源100aからの電力は、第1抵抗部側入力端子35aを介して複数の抵抗器群に供給される。
第2試験対象電源100bからの電力供給を受ける場合、第2試験対象電源100bからの電力は、第2抵抗部側入力端子35bを介して複数の抵抗器群に供給される。
【0029】
(第1冷却部40)
第1冷却部40は、抵抗部30の複数の抵抗器群に冷却風を供給する。
特に、第1冷却部40は、複数の抵抗器群のうち、試験対象電源からの電力が供給されているものに対して、冷却風を供給する。
【0030】
(第1操作部50)
第1操作部50は、負荷試験装置1の使用モード、負荷量、力率を調整するために使用される。
第1操作部50は、モードスイッチ、ファンスイッチ、操作スイッチを有する(不図示)。
【0031】
モードスイッチは、回転式、若しくはスライド式(若しくはトグル式若しくは押しボタン式)の操作スイッチである。
モードスイッチは、負荷試験装置1のオンオフを選択するために使用されるが、さらに試験対象電源の種類(高圧若しくは低圧)、抵抗器群の接続形式(直列若しくは並列)などを選択する(モード切替する)ためにも使用される形態であってもよい。
【0032】
なお、モードスイッチに抵抗器群の接続形式の選択用のものは設けずに、試験対象電源の種類を選択することとで、自動的に抵抗器群の接続形式が決定される形態であってもよい。
【0033】
負荷試験を行う場合には、モードスイッチをオンの操作位置に合わせる。負荷試験装置1をオフにする場合は、モードスイッチをオフの操作位置に合わせる。
【0034】
ファンスイッチは、スライド式(若しくはトグル式若しくは押しボタン式)の操作スイッチである。
ファンスイッチは、モードスイッチがオン状態で、第1冷却部40と第2冷却部70のオンオフ制御を行うためのスイッチである。ファンスイッチを省略し、モードスイッチをオンの操作位置に合わせた時に、第1冷却部40と第2冷却部70が動作する形態であってもよい。また、操作スイッチのオンオフ状態に応じて、第1冷却部40の冷却装置のうち、オン状態になった抵抗器群に対応するもの、及び、第2冷却部70の冷却装置のうち、オン状態になったコイルグループに対応するものだけが、オン状態にされてもよい。
【0035】
操作スイッチは、スライド式(若しくはトグル式若しくは押しボタン式)の操作スイッチである。
操作スイッチは、負荷量の調整、すなわち、抵抗部30の複数の抵抗器群に対応するスイッチング装置のオンオフ制御、及び力率の調整、すなわち、リアクトル部60の複数のコイルグループに対応するスイッチング装置のオンオフ制御を行うためのスイッチである。
【0036】
(リアクトル部60)
リアクトル部60は、真空遮断器(VCB:Vacuum Circuit Breaker)61a、配線用遮断器(MCCB:Molded Case Circuit Breaker)、双方向変圧器62、複数のコイルグループ(第1コイルグループ63a~第8コイルグループ63h)、第1リアクトル側入力端子65a、第2リアクトル側入力端子65bを有する(図3参照)。
【0037】
(真空遮断器61a)
真空遮断器61aは、第1リアクトル側入力端子65aを介した、第1試験対象電源100aから双方向変圧器62及び第1コイルグループ63aへの電力供給のオンオフ制御を行う。
【0038】
(配線用遮断器61b)
配線用遮断器61bは、第2リアクトル側入力端子65bを介した、第2試験対象電源100bから双方向変圧器62及び第2コイルグループ63bへの電力供給のオンオフ制御を行う。
【0039】
(インターロック回路)
真空遮断器61aと配線用遮断器61bの間には、インターロック回路(不図示)が設けられてもよい。
真空遮断器61aと配線用遮断器61bの間に設けられたインターロック回路により、真空遮断器61aと配線用遮断器61bは、両方が同時にオン状態にならないよう、少なくとも一方がオフ状態にされる。
【0040】
(双方向変圧器62)
双方向変圧器62は、昇圧と降圧の両方が可能な変圧器である。
双方向変圧器62は、第1リアクトル側入力端子65aを介し、第1試験対象電源100aから供給された電力の電圧について降圧する。
双方向変圧器62は、第2リアクトル側入力端子65bを介し、第2試験対象電源100bから供給された電力の電圧について昇圧する。
【0041】
(複数のコイルグループ)
力率調整を伴う負荷試験の際には、試験対象電源(第1試験対象電源100a、第2試験対象電源100b)からの電力が、複数のコイルグループ(第1コイルグループ63a~第8コイルグループ63h)の一部又は全部に供給される。複数のコイルグループのうち、試験対象電源からの電力を供給するコイルグループを選択することで、力率が調整される。
【0042】
第1コイルグループ63aは、力率の本調整用に用いられ、高い電圧が印加される。
第2コイルグループ63b~第8コイルグループ63hは、力率の微調整用に用いられ、低い電圧が印加される。
【0043】
すなわち、試験対象電源として第1試験対象電源100aからの電力供給を受ける場合、第1試験対象電源100aからの電力は、双方向変圧器62を介さずに第1コイルグループ63aに供給され、双方向変圧器62を介して降圧された状態で微調整用コイルグループ(第2コイルグループ63b~第8コイルグループ63h)に供給される。
試験対象電源として、第1試験対象電源100aよりも、低圧の第2試験対象電源100bからの電力供給を受ける場合、第2試験対象電源100bからの電力は、双方向変圧器62を介して昇圧された状態で第1コイルグループ63aに供給され、双方向変圧器62を介さずに微調整用コイルグループ(第2コイルグループ63b~第8コイルグループ63h)に供給される、
【0044】
(第1コイルグループ63a)
第1コイルグループ63aは、8つのコイルセット(第11コイルセット63a1~第18コイルセット63a8)、2つのリレー群(第11リレー群R11、第12リレー群R12)を有する。
8つのコイルセット(第11コイルセット63a1~第18コイルセット63a8)のそれぞれは、U相用コイル、V相用コイル、W相用コイルを有する。
2つのリレー群(第11リレー群R11、第12リレー群R12)のそれぞれは、3連スイッチであり、U相用リレー、V相用リレー、W相用リレーを有する。
2つのリレー群(第11リレー群R11、第12リレー群R12)により、直列に接続された状態と、複数のコイルセットのうちの1つが単独で使用される状態とが切り替え可能な状態で、第1コイルグループ63aにおける8つのコイルセット(第11コイルセット63a1~第18コイルセット63a8)が接続される。
【0045】
第11コイルセット63a1~第18コイルセット63a8のU相用コイルは、直列に接続される。
第11コイルセット63a1~第18コイルセット63a8のV相用コイルは、直列に接続される。
第11コイルセット63a1~第18コイルセット63a8のW相用コイルは、直列に接続される。
【0046】
第11コイルセット63a1のU相用コイルの一方の端子と、第11コイルセット63a1のV相用コイルの一方の端子と、第11コイルセット63a1のW相用コイルの一方の端子は短絡される。
【0047】
第11コイルセット63a1のU相用コイルの他方の端子は、第11リレー群R11のU相用リレーを介して、第12コイルセット63a2のU相用コイルの一方の端子と接続する。
第12コイルセット63a2のU相用コイルの他方の端子は、第13コイルセット63a3のU相用コイルの一方の端子と接続する。
第13コイルセット63a3のU相用コイルの他方の端子は、第14コイルセット63a4のU相用コイルの一方の端子と接続する。
第14コイルセット63a4のU相用コイルの他方の端子は、第15コイルセット63a5のU相用コイルの一方の端子と接続する。
第15コイルセット63a5のU相用コイルの他方の端子は、第16コイルセット63a6のU相用コイルの一方の端子と接続する。
第16コイルセット63a6のU相用コイルの他方の端子は、第17コイルセット63a7のU相用コイルの一方の端子と接続する。
第17コイルセット63a7のU相用コイルの他方の端子は、第18コイルセット63a8のU相用コイルの一方の端子と接続する。
第18コイルセット63a8のU相用コイルの他方の端子は、U相線ULと接続する。
U相線ULは、真空遮断器61a、双方向変圧器62を介して、第1リアクトル側入力端子65aのU相用端子から延びる電気線である。
第11コイルセット63a1のU相用コイルの他方の端子は、第12リレー群R12のU相用リレーを介して、第18コイルセット63a8のU相用コイルの他方の端子と接続する。
【0048】
第11コイルセット63a1のV相用コイルの他方の端子は、第11リレー群R11のV相用リレーを介して、第12コイルセット63a2のV相用コイルの一方の端子と接続する。
第12コイルセット63a2のV相用コイルの他方の端子は、第13コイルセット63a3のV相用コイルの一方の端子と接続する。
第13コイルセット63a3のV相用コイルの他方の端子は、第14コイルセット63a4のV相用コイルの一方の端子と接続する。
第14コイルセット63a4のV相用コイルの他方の端子は、第15コイルセット63a5のV相用コイルの一方の端子と接続する。
第15コイルセット63a5のV相用コイルの他方の端子は、第16コイルセット63a6のV相用コイルの一方の端子と接続する。
第16コイルセット63a6のV相用コイルの他方の端子は、第17コイルセット63a7のV相用コイルの一方の端子と接続する。
第17コイルセット63a7のV相用コイルの他方の端子は、第18コイルセット63a8のV相用コイルの一方の端子と接続する。
第18コイルセット63a8のV相用コイルの他方の端子は、V相線VLと接続する。
V相線VLは、真空遮断器61a、双方向変圧器62を介して、第1リアクトル側入力端子65aのV相用端子から延びる電気線である。
第11コイルセット63a1のV相用コイルの他方の端子は、第12リレー群R12のV相用リレーを介して、第18コイルセット63a8のV相用コイルの他方の端子と接続する。
【0049】
第11コイルセット63a1のW相用コイルの他方の端子は、第11リレー群R11のW相用リレーを介して、第12コイルセット63a2のW相用コイルの一方の端子と接続する。
第12コイルセット63a2のW相用コイルの他方の端子は、第13コイルセット63a3のW相用コイルの一方の端子と接続する。
第13コイルセット63a3のW相用コイルの他方の端子は、第14コイルセット63a4のW相用コイルの一方の端子と接続する。
第14コイルセット63a4のW相用コイルの他方の端子は、第15コイルセット63a5のW相用コイルの一方の端子と接続する。
第15コイルセット63a5のW相用コイルの他方の端子は、第16コイルセット63a6のW相用コイルの一方の端子と接続する。
第16コイルセット63a6のW相用コイルの他方の端子は、第17コイルセット63a7のW相用コイルの一方の端子と接続する。
第17コイルセット63a7のW相用コイルの他方の端子は、第18コイルセット63a8のW相用コイルの一方の端子と接続する。
第18コイルセット63a8のW相用コイルの他方の端子は、W相線WLと接続する。
W相線WLは、真空遮断器61a、双方向変圧器62を介して、第1リアクトル側入力端子65aのW相用端子から延びる電気線である。
第11コイルセット63a1のW相用コイルの他方の端子は、第12リレー群R12のW相用リレーを介して、第18コイルセット63a8のW相用コイルの他方の端子と接続する。
【0050】
2つのリレー群(第11リレー群R11、第12リレー群R12)は、第1コイルグループ63aのコイルセットへの電力供給のオンオフ制御を行うために使用される。
また、2つのリレー群(第11リレー群R11、第12リレー群R12)は、8つのコイルセット(第11コイルセット63a1~第18コイルセット63a8)に電力供給を行う動作モードと、1つのコイルセット(第11コイルセット63a1)に電力供給を行う動作モードとを切り替えるために使用される。
【0051】
第1コイルグループ63aのコイルセットに電力を供給する場合には、第11リレー群R11と第12リレー群R12のいずれか一方がオン状態にされ、他方がオフ状態にされる。
具体的には、8つのコイルセット(第11コイルセット63a1~第18コイルセット63a8)に電力供給を行う場合には、第11リレー群R11がオン状態にされ、第12リレー群R12がオフ状態にされる。
1つのコイルセット(第11コイルセット63a1)に電力供給を行う場合には、第11リレー群R11がオフ状態にされ、第12リレー群R12がオン状態にされる。
第11リレー群R11と第12リレー群R12のオンオフ制御は、第1操作部50の操作スイッチの操作状態に基づいて行われる。
【0052】
(第1コイルグループ63aのインターロック回路)
第11リレー群R11と第12リレー群R12の間には、インターロック回路(不図示)が設けられてもよい。
第11リレー群R11と第12リレー群R12の間に設けられたインターロック回路により、第11リレー群R11と第12リレー群R12は、両方が同時にオン状態にならないよう、少なくとも一方がオフ状態にされる。
【0053】
(第1コイルグループ63aのコイルセットのコイルの姿勢)
第11コイルセット63a1~第18コイルセット63a8のコイルのそれぞれは、中心軸がz方向に平行になるように配置される。
第11コイルセット63a1~第18コイルセット63a8は、y方向に並べられる(図4参照)。
第11コイルセット63a1~第18コイルセット63a8のそれぞれは、コイル保持部材に保持され、当該保持部材は、第1保持面67aに取り付けられる。
コイル保持部材の構成は、後述する。
【0054】
(第2コイルグループ63b)
第2コイルグループ63bは、1つのコイルセット(第21コイルセット63b1)、1つのリレー群(第21リレー群R21)を有する。
1つのコイルセット(第21コイルセット63b1)は、U相用コイル、V相用コイル、W相用コイルを有する。
1つのリレー群(第21リレー群R21)は、3連スイッチであり、U相用リレー、V相用リレー、W相用リレーを有する。
【0055】
第21コイルセット63b1のU相用コイルの一方の端子と、第21コイルセット63b1のV相用コイルの一方の端子と、第21コイルセット63b1のW相用コイルの一方の端子は短絡される。
【0056】
第21コイルセット63b1のU相用コイルの他方の端子は、第21リレー群R21のU相用リレーを介して、U相線ULと接続する。
第21コイルセット63b1のV相用コイルの他方の端子は、第21リレー群R21のV相用リレーを介して、V相線VLと接続する。
第21コイルセット63b1のW相用コイルの他方の端子は、第21リレー群R21のW相用リレーを介して、W相線WLと接続する。
【0057】
1つのリレー群(第21リレー群R21)は、第2コイルグループ63bのコイルセットへの電力供給のオンオフ制御を行うために使用される。
第2コイルグループ63bのコイルセットに電力を供給する場合には、第21リレー群R21がオン状態にされる。
第21リレー群R21のオンオフ制御は、第1操作部50の操作スイッチの操作状態に基づいて行われる。
【0058】
第21コイルセット63b1のコイルのそれぞれは、中心軸がz方向に平行になるように配置される。
第21コイルセット63b1は、コイル保持部材に保持され、当該保持部材は、第1保持面67aに取り付けられる。
コイル保持部材の構成は、後述する。
【0059】
(第3コイルグループ63c)
第3コイルグループ63cは、1つのコイルセット(第31コイルセット63c1)、1つのリレー群(第31リレー群R31)を有する。
1つのコイルセット(第31コイルセット63c1)は、U相用コイル、V相用コイル、W相用コイルを有する。
1つのリレー群(第31リレー群R31)は、3連スイッチであり、U相用リレー、V相用リレー、W相用リレーを有する。
【0060】
第31コイルセット63c1のU相用コイルの一方の端子と、第31コイルセット63c1のV相用コイルの一方の端子と、第31コイルセット63c1のW相用コイルの一方の端子は短絡される。
【0061】
第31コイルセット63c1のU相用コイルの他方の端子は、第31リレー群R31のU相用リレーを介して、U相線ULと接続する。
第31コイルセット63c1のV相用コイルの他方の端子は、第31リレー群R31のV相用リレーを介して、V相線VLと接続する。
第31コイルセット63c1のW相用コイルの他方の端子は、第31リレー群R31のW相用リレーを介して、W相線WLと接続する。
【0062】
1つのリレー群(第31リレー群R31)は、第3コイルグループ63cのコイルセットへの電力供給のオンオフ制御を行うために使用される。
第3コイルグループ63cのコイルセットに電力を供給する場合には、第31リレー群R31がオン状態にされる。
第31リレー群R31のオンオフ制御は、第1操作部50の操作スイッチの操作状態に基づいて行われる。
【0063】
第31コイルセット63c1のコイルのそれぞれは、中心軸がz方向に平行になるように配置される。
第31コイルセット63c1は、コイル保持部材に保持され、当該保持部材は、第1保持面67aに取り付けられる。
コイル保持部材の構成は、後述する。
【0064】
(第4コイルグループ63d)
第4コイルグループ63dは、1つのコイルセット(第41コイルセット63d1)、1つのリレー群(第41リレー群R41)を有する。
1つのコイルセット(第41コイルセット63d1)は、U相用コイル、V相用コイル、W相用コイルを有する。
1つのリレー群(第41リレー群R41)は、3連スイッチであり、U相用リレー、V相用リレー、W相用リレーを有する。
【0065】
第41コイルセット63d1のU相用コイルの一方の端子と、第41コイルセット63d1のV相用コイルの一方の端子と、第41コイルセット63d1のW相用コイルの一方の端子は短絡される。
【0066】
第41コイルセット63d1のU相用コイルの他方の端子は、第41リレー群R41のU相用リレーを介して、U相線ULと接続する。
第41コイルセット63d1のV相用コイルの他方の端子は、第41リレー群R41のV相用リレーを介して、V相線VLと接続する。
第41コイルセット63d1のW相用コイルの他方の端子は、第41リレー群R41のW相用リレーを介して、W相線WLと接続する。
【0067】
1つのリレー群(第41リレー群R41)は、第4コイルグループ63dのコイルセットへの電力供給のオンオフ制御を行うために使用される。
第4コイルグループ63dのコイルセットに電力を供給する場合には、第41リレー群R41がオン状態にされる。
第41リレー群R41のオンオフ制御は、第1操作部50の操作スイッチの操作状態に基づいて行われる。
【0068】
第41コイルセット63d1のコイルのそれぞれは、中心軸がz方向に平行になるように配置される。
第41コイルセット63d1は、コイル保持部材に保持され、当該保持部材は、第2保持面67bに取り付けられる。
コイル保持部材の構成は、後述する。
【0069】
(第5コイルグループ63e)
第5コイルグループ63eは、1つのコイルセット(第51コイルセット63e1)、1つのリレー群(第51リレー群R51)を有する。
1つのコイルセット(第51コイルセット63e1)は、U相用コイル、V相用コイル、W相用コイルを有する。
1つのリレー群(第51リレー群R51)は、3連スイッチであり、U相用リレー、V相用リレー、W相用リレーを有する。
【0070】
第51コイルセット63e1のU相用コイルの一方の端子と、第51コイルセット63e1のV相用コイルの一方の端子と、第51コイルセット63e1のW相用コイルの一方の端子は短絡される。
【0071】
第51コイルセット63e1のU相用コイルの他方の端子は、第51リレー群R51のU相用リレーを介して、U相線ULと接続する。
第51コイルセット63e1のV相用コイルの他方の端子は、第51リレー群R51のV相用リレーを介して、V相線VLと接続する。
第51コイルセット63e1のW相用コイルの他方の端子は、第51リレー群R51のW相用リレーを介して、W相線WLと接続する。
【0072】
1つのリレー群(第51リレー群R51)は、第5コイルグループ63eのコイルセットへの電力供給のオンオフ制御を行うために使用される。
第5コイルグループ63eのコイルセットに電力を供給する場合には、第51リレー群R51がオン状態にされる。
第51リレー群R51のオンオフ制御は、第1操作部50の操作スイッチの操作状態に基づいて行われる。
【0073】
第51コイルセット63e1のコイルのそれぞれは、中心軸がz方向に平行になるように配置される。
第51コイルセット63e1は、コイル保持部材に保持され、当該保持部材は、第2保持面67bに取り付けられる。
コイル保持部材の構成は、後述する。
【0074】
(第6コイルグループ63f)
第6コイルグループ63fは、1つのコイルセット(第61コイルセット63f1)、1つのリレー群(第61リレー群R61)を有する。
1つのコイルセット(第61コイルセット63f1)は、U相用コイル、V相用コイル、W相用コイルを有する。
1つのリレー群(第61リレー群R61)は、3連スイッチであり、U相用リレー、V相用リレー、W相用リレーを有する。
【0075】
第61コイルセット63f1のU相用コイルの一方の端子と、第61コイルセット63f1のV相用コイルの一方の端子と、第61コイルセット63f1のW相用コイルの一方の端子は短絡される。
【0076】
第61コイルセット63f1のU相用コイルの他方の端子は、第61リレー群R61のU相用リレーを介して、U相線ULと接続する。
第61コイルセット63f1のV相用コイルの他方の端子は、第61リレー群R61のV相用リレーを介して、V相線VLと接続する。
第61コイルセット63f1のW相用コイルの他方の端子は、第61リレー群R61のW相用リレーを介して、W相線WLと接続する。
【0077】
1つのリレー群(第61リレー群R61)は、第6コイルグループ63fのコイルセットへの電力供給のオンオフ制御を行うために使用される。
第6コイルグループ63fのコイルセットに電力を供給する場合には、第61リレー群R61がオン状態にされる。
第61リレー群R61のオンオフ制御は、第1操作部50の操作スイッチの操作状態に基づいて行われる。
【0078】
第61コイルセット63f1のコイルのそれぞれは、中心軸がz方向に平行になるように配置される。
第61コイルセット63f1は、コイル保持部材に保持され、当該保持部材は、第2保持面67bに取り付けられる。
コイル保持部材の構成は、後述する。
【0079】
(第7コイルグループ63g)
第7コイルグループ63gは、2つのコイルセット(第71コイルセット63g1、第72コイルセット63g2)、1つのリレー群(第71リレー群R71)を有する。
2つのコイルセット(第71コイルセット63g1、第72コイルセット63g2)のそれぞれは、U相用コイル、V相用コイル、W相用コイルを有する。
第71コイルセット63g1と第72コイルセット63g2のU相用コイルは、直列に接続される。
第71コイルセット63g1と第72コイルセット63g2のV相用コイルは、直列に接続される。
第71コイルセット63g1と第72コイルセット63g2のW相用コイルは、直列に接続される。
1つのリレー群(第71リレー群R71)は、3連スイッチであり、U相用リレー、V相用リレー、W相用リレーを有する。
【0080】
第71コイルセット63g1のU相用コイルの一方の端子と、第71コイルセット63g1のV相用コイルの一方の端子と、第71コイルセット63g1のW相用コイルの一方の端子は短絡される。
【0081】
第71コイルセット63g1のU相用コイルの他方の端子は、第72コイルセット63g2のU相用コイルの一方の端子と接続する。
第72コイルセット63g2のU相用コイルの他方の端子は、第71リレー群R71のU相用リレーを介して、U相線ULと接続する。
第71コイルセット63g1のV相用コイルの他方の端子は、第72コイルセット63g2のV相用コイルの一方の端子と接続する。
第72コイルセット63g2のV相用コイルの他方の端子は、第71リレー群R71のV相用リレーを介して、V相線VLと接続する。
第71コイルセット63g1のW相用コイルの他方の端子は、第72コイルセット63g2のW相用コイルの一方の端子と接続する。
第72コイルセット63g2のW相用コイルの他方の端子は、第71リレー群R71のW相用リレーを介して、W相線WLと接続する。
【0082】
1つのリレー群(第71リレー群R71)は、第7コイルグループ63gのコイルセットへの電力供給のオンオフ制御を行うために使用される。
第7コイルグループ63gのコイルセットに電力を供給する場合には、第71リレー群R71がオン状態にされる。
第71リレー群R71のオンオフ制御は、第1操作部50の操作スイッチの操作状態に基づいて行われる。
【0083】
第71コイルセット63g1と第72コイルセット63g2のコイルのそれぞれは、中心軸がz方向に平行になるように配置される。
第71コイルセット63g1と第72コイルセット63g2は、x方向に並べられる。
第71コイルセット63g1と第72コイルセット63g2のそれぞれは、コイル保持部材に保持され、当該保持部材は、第2保持面67bに取り付けられる。
コイル保持部材の構成は、後述する。
【0084】
(第8コイルグループ63h)
第8コイルグループ63hは、1つのコイルセット(第81コイルセット63h1)、1つのリレー群(第81リレー群R81)を有する。
1つのコイルセット(第81コイルセット63h1)は、U相用コイル、V相用コイル、W相用コイルを有する。
1つのリレー群(第81リレー群R81)は、3連スイッチであり、U相用リレー、V相用リレー、W相用リレーを有する。
【0085】
第81コイルセット63h1のU相用コイルの一方の端子と、第81コイルセット63h1のV相用コイルの一方の端子と、第81コイルセット63h1のW相用コイルの一方の端子は短絡される。
【0086】
第81コイルセット63h1のU相用コイルの他方の端子は、第81リレー群R81のU相用リレーを介して、U相線ULと接続する。
第81コイルセット63h1のV相用コイルの他方の端子は、第81リレー群R81のV相用リレーを介して、V相線VLと接続する。
第81コイルセット63h1のW相用コイルの他方の端子は、第81リレー群R81のW相用リレーを介して、W相線WLと接続する。
【0087】
1つのリレー群(第81リレー群R81)は、第8コイルグループ63hのコイルセットへの電力供給のオンオフ制御を行うために使用される。
第8コイルグループ63hのコイルセットに電力を供給する場合には、第81リレー群R81がオン状態にされる。
第81リレー群R81のオンオフ制御は、第1操作部50の操作スイッチの操作状態に基づいて行われる。
【0088】
第81コイルセット63h1のコイルのそれぞれは、中心軸がz方向に平行になるように配置される。
第81コイルセット63h1は、コイル保持部材に保持され、当該保持部材は、第1保持面67aに取り付けられる。
コイル保持部材の構成は、後述する。
【0089】
(それぞれのコイルセットのコイル保持部材)
次に、それぞれのコイルセットのコイルを保持するコイル保持部材の構成について説明する。
コイル保持部材の大きさは、保持するコイルの大きさによって決定される。
【0090】
コイル保持部材は、鉄心d1、下連結部d2、上連結部d3、碍子d4を有する(図5参照)。
図5は、第1コイルグループ63aの第11コイルセット63a1と第12コイルセット63a2と第13コイルセット63a3と、これらのコイルセットのコイルを保持する3つのコイル保持部材を示す。
3つの鉄心d1は、z方向に延び、コイルセットを構成するコイルの内側を通る。
3つの鉄心d1のうち、第1の鉄心は、第1のコイルc1の内側を通る。
第1のコイルc1は、例えば、U相用コイルが対応する。
3つの鉄心d1のうち、第2の鉄心は、第2のコイルc2の内側を通る。
第2のコイルc2は、例えば、V相用コイルが対応する。
3つの鉄心d1のうち、第3の鉄心は、第3のコイルc3の内側を通る。
第3のコイルc3は、例えば、W相用コイルが対応する。
3つの鉄心d1の下部は、x方向に延びる下連結部d2を介して連結される。
このため、第1のコイルc1、第2のコイルc2、第3のコイルc3は、3つの鉄心d1と下連結部d2とで、保持される。
3つの鉄心d1の上部は、x方向に延びる上連結部d3を介して連結される。
【0091】
下連結部d2と上連結部d3の一方と、3つの鉄心d1は、一体的に構成される。
下連結部d2と上連結部d3の他方は、下連結部d2と上連結部d3の一方と3つの鉄心d1とが一体的に構成されたものとは、別体で構成される。
第1のコイルc1、第2のコイルc2、第3のコイルc3を鉄心d1に取り付けた後に、下連結部d2と上連結部d3の他方は、3つの鉄心d1に取り付けられる。
本実施形態では、下連結部d2が、3つの鉄心d1と一体的に構成され、上連結部d3が、下連結部d2と3つの鉄心d1とが一体的に構成されたものと別体で構成される例を示す。
図6は、上連結部d3と3つの鉄心d1の境界線を示すが、図4図5は、当該境界線を省略している。
【0092】
なお、3つの鉄心d1と、下連結部d2と、上連結部d3は、一体的に構成されてもよい。この場合、第1のコイルc1と第2のコイルc2と第3のコイルc3は、巻き付けにより、鉄心d1に取り付けられる。
【0093】
下連結部d2は、碍子d4を介して、保持面(第1保持面67a若しくは第2保持面67b)に取り付けられる。
なお、本実施形態では、第1コイルグループ63a、第2コイルグループ63b、第3コイルグループ63c、第8コイルグループ63hのコイルセットのそれぞれは、第1保持面67aに取り付けられ、第4コイルグループ63d、第5コイルグループ63e、第6コイルグループ63f、第7コイルグループ63gのコイルセットのそれぞれは、第2保持面67bに取り付けられる例を示す。
【0094】
(絶縁カバーd5)
絶縁性を高めるため、コイルと短絡点は絶縁カバーd5で覆われるのが望ましい(図6参照)。
【0095】
(第1リアクトル側入力端子65a、第2リアクトル側入力端子65b)
第1リアクトル側入力端子65aは、力率調整を伴う、高圧の負荷試験を行う際に用いられ、第1試験対象電源100aと接続する(図1参照)。
第2リアクトル側入力端子65bは、力率調整を伴う、低圧の負荷試験を行う際に用いられ、第2試験対象電源100bと接続する(図2参照)。
【0096】
第1試験対象電源100aからの電力供給を受ける場合、第1試験対象電源100aからの電力は、第1リアクトル側入力端子65aと真空遮断器61aを介して第1コイルグループ63aに供給され、第1リアクトル側入力端子65aと真空遮断器61aと双方向変圧器62を介して微調整用コイルグループ(第2コイルグループ63b~第8コイルグループ63h)に供給される。
第2試験対象電源100bからの電力供給を受ける場合、第2試験対象電源100bからの電力は、第2リアクトル側入力端子65bと配線用遮断器61bと双方向変圧器62を介して第1コイルグループ63aに供給され、第2リアクトル側入力端子65bと配線用遮断器61bを介して微調整用コイルグループ(第2コイルグループ63b~第8コイルグループ63h)に供給される。
【0097】
(第1保持面67a、第2保持面67b)
第1保持面67aは、真空遮断器61a、配線用遮断器61b、双方向変圧器62、第1コイルグループ63a、第2コイルグループ63b、第3コイルグループ63c、第8コイルグループ63hを保持する。
第2保持面67bは、第1保持面67aにおける、第2コイルグループ63bと第3コイルグループ63cがある領域の上段に設けられる。
第2保持面67bは、第4コイルグループ63d、第5コイルグループ63e、第6コイルグループ63f、第7コイルグループ63gを保持する。
【0098】
(第2冷却部70)
第2冷却部70は、リアクトル部60の第1コイルグループ63a~第8コイルグループ63hに冷却風を供給する。
特に、第2冷却部70は、複数のコイルセットのうち、試験対象電源からの電力が供給されているものに対して、冷却風を供給する。
第2冷却部70は省略されてもよい。
【0099】
(第2操作部80)
第2操作部80は、第2負荷試験領域1bのオンオフスイッチを有する(不図示)。
第2負荷試験領域1bのオンオフスイッチは、スライド式(若しくはトグル式若しくは押しボタン式)の操作スイッチである。
第2負荷試験領域1bのオンオフスイッチは、試験対象電源(第1試験対象電源100a若しくは第2試験対象電源100b)から第1負荷試験領域1aを介して送られてきた電力の、第2負荷試験領域1bのリアクトル部60への供給のオンオフ制御を行うためのスイッチである。
【0100】
第1操作部50のモードスイッチが試験対象電源の種類を高圧の試験対象電源に設定された状態で、第2操作部80における、第2負荷試験領域1bのオンオフスイッチがオン状態にされると、真空遮断器61aがオン状態にされ、配線用遮断器61bがオフ状態にされる。
この場合、真空遮断器61aを介して、リアクトル部60への電力供給が可能な状態にされ、第1操作部50から第2操作部80に送信された操作スイッチの操作状態に関する情報に基づいて、リアクトル部60のリレー(第11リレー群R11など)のオンオフ制御が行われる。
第1操作部50のモードスイッチが試験対象電源の種類を低圧の試験対象電源に設定された状態で、第2操作部80における、第2負荷試験領域1bのオンオフスイッチがオン状態にされると、真空遮断器61aがオフ状態にされ、配線用遮断器61bがオン状態にされる。
この場合、配線用遮断器61bを介して、リアクトル部60への電力供給が可能な状態にされ、第1操作部50から第2操作部80に送信された操作スイッチの操作状態に関する情報に基づいて、リアクトル部60のリレー(第11リレー群R11など)のオンオフ制御が行われる。
第2操作部80における、第2負荷試験領域1bのオンオフスイッチがオフ状態にされると、真空遮断器61aと配線用遮断器61bがオフ状態にされる。
【0101】
(各部の電力供給源)
第1冷却部40、第2冷却部70、抵抗部30の抵抗器群への電力供給のオンオフ制御を行うリレー、リアクトル部60のコイルセットへの電力供給のオンオフ制御を行うリレー(第11リレー群R11など)は、試験対象電源(第1試験対象電源100a若しくは第2試験対象電源100b)とは別の駆動用電源200から供給された電力に基づいて動作する。
ただし、第1冷却部40、第2冷却部70、抵抗部30の抵抗器群への電力供給のオンオフ制御を行うリレー、リアクトル部60のコイルセットへの電力供給のオンオフ制御を行うリレー(第11リレー群R11など)は、試験対象電源(第1試験対象電源100a若しくは第2試験対象電源100b)から供給された電力に基づいて動作してもよい。
【0102】
(複数種類のコイルグループと双方向変圧器を設けたことの効果)
本調整用コイルグループ(第1コイルグループ63a)と、微調整用コイルグループ(第2コイルグループ63b~第8コイルグループ63h)と、双方向変圧器62を設けて、試験対象電源からの電力の一部を昇圧若しくは降圧した状態で、当該コイルグループに電力を供給する。
これにより、高圧の試験対象電源(第1試験対象電源100a)、低圧の試験対象電源(第2試験対象電源100b)の両方に対応して、力率の調整が容易に行える負荷試験装置1を実現することが可能になる。
【0103】
(複数のコイルセットのそれぞれに対応した複数のコイル保持部材を設けたことの効果)
複数のコイル保持部材のそれぞれが、コイルセットを保持する。
コイル(第11コイルセット63a1のコイルなど)を鉄心d1が保持し、碍子d4を介して、下連結部d2を、第2負荷試験領域1bの筐体の保持面(第1保持面67aなど)が保持する。これにより、電気的な絶縁を維持した状態で安定的にコイルを保持することが可能になる。
また、1つのコイル保持部材が複数のコイルセットを保持する形態に比べて、他のコイルからの電磁的な影響を受けにくくできる。
【0104】
(連結部の一部を別体で構成することの効果)
コイルの内側に鉄心を通した後に、連結部の一部(例えば、上連結部d3)を、鉄心に取り付けて、コイル保持部を形成することが可能になる。
【0105】
(コイルグループを上下に配置することの効果)
コイルグループを保持する面(保持面)を上下に複数設けることで、小さいコイルグループが設けられた領域の上方の領域を有効に活用して、多くのコイルグループを収容することが可能になる。
【0106】
(絶縁カバーd5を設けたことの効果)
絶縁カバーd5を設けない形態に比べて、コイルへの埃などの付着を防止し、他のコイルからの電磁的な影響を受けにくくできる。
【0107】
(接続形式が切り替え可能な状態で、コイルセット(第11コイルセット63a1など)が接続されることの効果)
接続形式を直列と並列で切り替えることにより、複数のコイル(第11コイルセット63a1のU相用コイルなど)の合成インダクタンスを変えることができ、様々な試験対象電源に対応して、力率の調整が容易に行える負荷試験装置1を実現することが可能になる。
【0108】
(入力端子を高圧用と低圧用で別々にすることの効果)
誤配線による負荷試験装置1を構成する部材の破損などを防ぎやすくなる。
【0109】
(リアクトル部60のリレーのオンオフ制御の応用例)
なお、本実施形態では、第1操作部50の操作状態に連動して、リアクトル部60のリレー(第11リレー群R11など)のオンオフ制御が行われる例を説明した。
しかしながら、第2操作部72にリアクトル部60のリレー(第11リレー群R11など)のオンオフ制御を行うためのスイッチを設け、第1操作部50の操作状態とは連動せずに独立して、リアクトル部60のリレー(第11リレー群R11など)のオンオフ制御が行われてもよい。
【0110】
(コイルグループの数、コイルセットの数の応用例)
本実施形態では、8つのコイルグループのそれぞれに1~8つのコイルセットが設けられる例を説明した。しかしながら、コイルグループの数は8つに限られるものではないし、1つのコイルグループに含まれるコイルセットの数は、1~8つに限られるものではない。
【0111】
本実施形態では、2つのリレー群(第11リレー群R11、第12リレー群R12)を使って、コイルセットの接続形式、電力供給対象の切り替えが行われる例を説明した。しかしながら、接続形式などの切り替えを行うためのリレー群の数、接続方法は、これに限るものではない。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0113】
1 負荷試験装置
1a 第1負荷試験領域
1b 第2負荷試験領域
30 抵抗部
35a 第1抵抗部側入力端子
35b 第2抵抗部側入力端子
40 第1冷却部
50 第1操作部
60 リアクトル部
61a 真空遮断器
61b 配線用遮断器
62 双方向変圧器
63a 第1コイルグループ
63a1~63a8 第11コイルセット~第18コイルセット
63b 第2コイルグループ
63b1 第21コイルセット
63c 第3コイルグループ
63c1 第31コイルセット
63d 第4コイルグループ
63d1 第41コイルセット
63e 第5コイルグループ
63e1 第51コイルセット
63f 第6コイルグループ
63f1 第61コイルセット
63g 第7コイルグループ
63g1 第71コイルセット
63g2 第72コイルセット
63h 第8コイルグループ
63h1 第81コイルセット
65a 第1リアクトル側入力端子
65b 第2リアクトル側入力端子
67a 第1保持面
67b 第2保持面
70 第2冷却部
80 第2操作部
100a 第1試験対象電源
100b 第2試験対象電源
200 駆動用電源
c1 第1のコイル(U相用コイル)
c2 第2のコイル(V相用コイル)
c3 第3のコイル(W相用コイル)
d1 鉄心
d2 下連結部
d3 上連結部
d4 碍子
d5 絶縁カバー
R11 第11リレー群
R12 第12リレー群
R21 第21リレー群
R31 第31リレー群
R41 第41リレー群
R51 第51リレー群
R61 第61リレー群
R71 第71リレー群
R81 第81リレー群
UL U相線
VL V相線
WL W相線


【要約】
複数種類の試験対象電源に対応して、力率の調整が容易に行える負荷試験装置を提供する。
負荷試験装置は、双方向変圧器と、第1コイルグループと微調整用コイルグループを有し、試験対象電源からの電力供給を受ける、リアクトル部を備える。第1コイルグループと微調整用コイルグループのそれぞれは、U相用のコイルとV相用のコイルとW相用のコイルを含むコイルセットを1以上有する。第1試験対象電源からの電力供給を受ける場合、第1試験対象電源からの電力は、双方向変圧器を介さずに第1コイルグループに供給され、双方向変圧器を介して降圧された状態で微調整用コイルグループに供給される。第1試験対象電源よりも、低圧の第2試験対象電源からの電力供給を受ける場合、第2試験対象電源からの電力は、双方向変圧器を介して昇圧された状態で第1コイルグループに供給され、双方向変圧器を介さずに微調整用コイルグループに供給される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6