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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】頭付きロッド固定装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/14 20060101AFI20220627BHJP
   B23K 11/30 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
B23K11/14 315
B23K11/30 311
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018155462
(22)【出願日】2018-08-22
(65)【公開番号】P2020028894
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】593049017
【氏名又は名称】セキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】迫田 宏治
(72)【発明者】
【氏名】三浦 誠司
(72)【発明者】
【氏名】小田 直樹
【審査官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-161502(JP,A)
【文献】特開2015-074030(JP,A)
【文献】特開2016-203250(JP,A)
【文献】特開平09-047884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/00-11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部と該頭部から伸びる軸部とを有する頭付きロッドの軸部がワークの挿通孔に挿入され、該頭部が該ワークの挿通孔周縁部に当接した状態で、前記頭付きロッドを該ワークに固定する頭付きロッド固定装置であって、
上下に移動可能な上部押さえと、
前記ワークが載置される載置面を有する下部受けと、
前記下部受けの載置面から突出し、前記ワークが前記載置面に載置されるときに前記挿通孔が嵌められるガイドピンと、
を備え、
前記頭付きロッドが、前記ガイドピンに嵌められた前記ワークの挿通孔上に位置付けられ、
前記頭部が前記上部押さえに押されて、前記軸部が前記ワークの挿通孔を進入することに伴って、前記ガイドピンが前記載置面から前記下部受けに没入するものであり、
前記ガイドピンは、その頂面の中央に凹所を有し正規外の頭付きロッドの軸径が正規の頭付きロッドの軸径よりも小さいとしたときに、
前記凹所は、前記正規の頭付きロッドの軸部の該凹所内への挿入を制限する一方、前記正規外の前記頭付きロッドの軸部の該凹所内への挿入を許容するように形成され、
前記正規外の頭付きロッドでは、その軸部の周面が前記ガイドピンの凹所に嵌まることにより、前記正規の頭付きロッドに比べて前記ガイドピンが前記下部受けに没入する深さが浅くなることで、前記ガイドピンの没入深さが、前記正規の頭付きロッドに係る没入深さであるか否かを検出する検出器を備えている、
ことを特徴とする頭付きロッド固定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の頭付きロッド固定装置において、
前記凹所は前記ガイドピンの頂面に開口した丸い孔であることを特徴とする頭付きロッド固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不良ボルト等の正規外の頭付きロッドを検出する頭付きロッド固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の頭付きロッド固定装置は、従来より、ボルトやピンのような頭付きロッドの軸部をワークの挿通孔に挿通させた状態で、該頭付きロッドとワークとを固定する装置として知られている。なこのよう頭付きロッド固定装置には、例えば、上下に配設された1対の電極により、頭付きロッドとワークとを上下から挟持し通電することによって溶接するボルト溶接機や、頭付きロッドの頭部に圧力をかけて、該頭付きロッドを塑性変形させる、いわゆる“カシメ“効果により、頭付きロッドとワークとを固着する加圧装置などがある。
【0003】
特許文献1には、正規外の軸部の長さを有するボルトをワークへの溶接前に検出可能とするボルト溶接装置が開示されている。このボルト溶接装置は、上下動可能な上部電極と、ワークを載置する載置面を有する下部電極とを備え、さらに、前記載置面に開口された穴から突出可能であって、下部電極内を上下動する軸部載置部材(以下、「ガイドピン」という)を備える。
【0004】
前記ボルト溶接装置では、ワークの挿通孔が前記ガイドピンに嵌められた状態で、該ワークの挿通孔上にボルトが供給される。そして、前記ボルトの頭部が上部電極に押されることにより、該ボルトの軸部は前記ワークの挿通孔を挿通する。このとき、前記ガイドピンは、前記ボルトと共に下降するため、前記ボルトと同じ距離だけ下部電極内を下降移動する。
【0005】
従って、ボルトの軸部の長さが正規か正規外かにより、前記ガイドピンの下降移動する距離は異なる。このことを利用して、正規外のボルトを検出し、該ボルトがワークに溶接されるのを未然に防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-37797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のボルト溶接装置では、正規外の軸部の長さを有するボルトを検出することはできるが、正規外の軸部の軸径を有するボルトを検出することはできない。そのため、該正規外のボルトのワークへの固定を防止することができない。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、正規の頭付きロッドの軸径よりも小さい軸径を有する正規外の頭付きロッドとワークとが固定される前に、該正規外の頭付きロッドを、簡便な仕組みにより検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、この発明では、ガイドピンの頂面の中央に正規の頭付きロッドの軸径より小さく、かつ正規外の頭付きロッドの軸径よりも大きな凹所を設けて、正規外の頭付きロッドの軸部が、前記凹所に嵌まるようにした。
【0010】
具体的には、
頭部と該頭部から伸びる軸部とを有する頭付きロッドの軸部がワークの挿通孔に挿入され、該頭部が該ワークの挿通孔周縁部に当接した状態で、前記頭付きロッドを該ワークに固定する頭付きロッド固定装置であって、
上下に移動可能な上部押さえと、
前記ワークが載置される載置面を有する下部受けと、
前記下部受けの載置面から突出し、前記ワークが載置されるときに前記挿通孔が嵌められるガイドピンと、を備え、
前記頭付きロッドが、前記ガイドピンに嵌められた前記ワークの挿通孔上に位置付けられ、
前記頭部が前記上部押さえに押されて、前記軸部が前記ワークの挿通孔を進入することに伴って、前記ガイドピンが前記載置面から前記下部受けに没入するものであり、
前記ガイドピンは、
その頂面の中央に、正規の頭付きロッドの軸径よりも小さく、軸径が前記正規の頭付きロッドの軸径よりも小さい正規外の頭付きロッドの当該軸径よりも大きな凹所を有し、
前記正規外の頭付きロッドでは、その軸部が前記ガイドピンの凹所に嵌まることにより、前記正規の頭付きロッドに比べて前記ガイドピンが前記下部受けに没入する深さが浅くなるものであり、
前記ガイドピンの没入深さが、前記正規の頭付きロッドに係る没入深さであるか否かを検出する検出器を備えていることを特徴とする。
【0011】
これにより、前記ガイドピンに嵌められた前記ワークの挿通孔上に供給された頭付きロッドが、正規の頭付きロッドの場合、その軸部は前記凹所の中に嵌まらずに、その軸部の先端は前記ガイドピンの上端に当接した状態となる。一方、正規外の頭付きロッドの場合、その軸部は前記凹所の中に嵌まった状態となる。そのため、前記下部受けに没入するガイドピンの没入深さは、正規外の頭付きロッドの方が正規の頭付きロッドよりも浅くなる。従って、このようなガイドピンの没入深さの差異を利用して、正規外の頭付きロッドを検出することができる。よって、誤って正規外の頭付きロッドが前記挿通孔の上に供給されたとき、該正規外の頭付きロッドがワークに固定されるのを未然に防ぐ上で有利になる。さらに、ガイドピンの頂面に凹所を設けるだけで正規外の頭付きロッドを検出することができるので、コスト上昇を抑えることができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明の頭付きロッド固定装置において、前記凹所は前記ガイドピンの頂面に開口した丸い孔であることを特徴とする。
【0013】
これにより、正規の頭付きロッドの軸部の先端は安定して前記ガイドピンの頂面に当接する。また、正規外の頭付きロッドの軸部は安定して前記凹所に嵌まる。従って、正規外の頭付きロッドおよび正規の頭付きロッドが上部押さえに押されたとき、ガイドピンは安定して下部受けに没入できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、頭付きロッドの軸部がワークの挿通孔を進入するに伴って下部受けに没入するガイドピンの没入深さを検出して、正規の頭付きロッドの軸径より小さい軸径を有する正規外の頭付きロッドを発見できる。このため、誤って正規外の頭付きロッドがワークの挿通孔上に供給されたとき、該正規外の頭付きロッドが該ワークに固定される前に、該正規外の頭付きロッドを排除する上で有利になる。また、ガイドピンの頂面に凹所を設けるという簡便な構造により正規外の頭付きロッドを発見できるため、コスト上昇を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るボルト溶接装置の概略構成を示す正面図である。
図2】下部電極ユニットの一部を縦断面にした模式図である。
図3】ガイドピン調整用ブラケットを上から見た平面図である。
図4】ワークが載置された下部電極の一部の構成を示す縦断面図である。
図5】正規ボルトがワークの挿通孔上に供給されたときの模式図である。
図6】正規外ボルトがワークの挿通孔上に供給されたときの模式図である。
図7】ボルト保持部を横から見た平面図である。
図8】ボルト保持部を上から見た平面図である。
図9】ボルト保持部が下部電極の上に位置したところを示した正面図である。
図10】上部電極に押された正規ボルトの軸部の先端部がボルト収容孔を押し開ける状態を示した模式図である。
図11】正規ボルトの頭部がワークに接した状態を示す下部電極の模式図である。
図12】正規ボルトがワークを挿通した場合のピストンの移動距離を示す模式図である。
図13】正規外ボルトの頭部がワークに接した状態を示す下部電極の模式図である。
図14】正規外ボルトがワークを挿通した場合のピストンの移動距離を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0017】
-全体構成-
図1において、本実施形態におけるボルト溶接装置Aの概略図を示す。ボルト溶接装置Aは、ワークWとボルトXとをその上下に配設される電極により挟持し、その両電極に通電することで前記ワークWと前記ボルトXとを溶接する。ボルト溶接装置Aは、ボルト溶接機1と、ボルト供給ユニット2と、コントローラ3とを備える。
【0018】
<ボルト溶接機>
ボルト溶接機1は、本体部1aに上下に対向するように配設された上部電極ユニット10と下部電極ユニット40とを備える。
【0019】
<上部電極ユニットの構成>
図1に示すように、上部電極ユニット10は、上部電極11、上部ホルダ12および上部電極シリンダ14を備える。
【0020】
上部電極11は、上部ホルダ12の下端部に取付けられている。上部電極11は、上部ホルダ12と一体に上下移動可能に構成されている。
【0021】
上部ホルダ12は、略円筒状に形成されている。上部ホルダ12は、上部電極シリンダ14の作動により上下移動する可動部1bに上部取付部材1cを介して固定されている。
【0022】
上部電極シリンダ14は、本体部1aの上部に配設されている。上部電極シリンダ14は、エアシリンダである。
【0023】
<下部電極ユニットの構成>
図1に示すように、下部電極ユニット40は、下部電極41、下部ホルダ42、ガイドピン調整用ブラケット48およびガイドピンシリンダ49を備える。
【0024】
図1および図2に示すように、下部電極41は、電極キャップチップ44と、これを下部ホルダ42の上端に取り付けるための電極ソケット43とからなる。
【0025】
電極キャップチップ44は、電極ソケット43の上端に嵌合されている。電極キャップチップ44は、その上面にワークWが載置される載置面46を備える。
【0026】
下部ホルダ42は、略円筒状に形成されており、下部取付部材1dを介して本体部1aに固定されている。
【0027】
下部ホルダ42は、絶縁パイプ45を備える。絶縁パイプ45は、電極ソケット44内に固定されている。絶縁パイプ45は、電極ソケット44から後述するガイドピン47に通電されないように、ガイドピン47を保護するものである。
【0028】
ガイドピン調整用ブラケット48は、その上部と下部とで外径の異なる略円筒形状を有しており、その内周の下側には、比較的小径のシリンダ挿入孔48aが形成され、上側には、下部ホルダ42と連結するための大径のホルダ挿入孔48bが形成されている。シリンダ挿入孔48aはガイドピンシリンダ49と締結されている。
【0029】
図3に示すように、ガイドピン調整用ブラケット48の上部は、円筒を半割にした半割部材48dを有する。すなわち、ガイドピン調整用ブラケット48は、半割部材48dと他方の本体部48cとで構成されている。
【0030】
本体部48cは、これにもう一方の半割部材48dが組み付けられている。これにより、下部ホルダ42の下端部を2つの部材48c,48dで挟み、それらの部材48c、48dをボルト48eにより締結することで、下部ホルダ42を前記ガイドピン調整用ブラケット48に連結固定している。
【0031】
ガイドピンシリンダ49は、その上部に上部エア管接続部53を備える。上部エア管接続部53は、空気をガイドピンシリンダ49内に供給または排出されるようになっている。
【0032】
ガイドピンシリンダ49は、その下部に下部エア管接続部54を備える。下部エア管接続部54は、空気をガイドピンシリンダ49内に供給または排出されるようになっている。
【0033】
ガイドピンシリンダ49は、ガイドピン47の没入深さを検出する検出器としてのオートスイッチ60を備える。オートスイッチ60は、上部エア管接続部53と下部エア管接続部54との間に設けられている。オートスイッチ60は、後述するマグネット55の近接により発生する静電気を検知する近接スイッチである。オートスイッチ60は、マグネット55の近接を検知すると、溶接するための通電信号をコントローラ3へ出力するようになっている。
【0034】
ピストン52は、ガイドピンシリンダ49内を上部エア管接続部53および下部エア管接続部54から供給または排出される空気圧により上下移動するようになっている。
【0035】
ピストンロッド51はピストン52に接続されている。ピストンロッド51は、ガイドピンシリンダ49および下部ホルダ42の内部を上下移動するようになっている。
【0036】
マグネット55は、ピストン52に設けられている。
【0037】
<ガイドピン>
図2および図4に示すように、下部電極ユニット40はガイドピン47を備えている。ガイドピン47は絶縁パイプ45内を上下移動するように構成されている。ガイドピン47の上端は、載置面46から突出して、ワークWの挿通孔Waが嵌められるようになっている。また、ガイドピン47は、その上端にワークWの挿通孔Waが嵌められたとき、ワークWから突出高さhだけ突出した状態で保持されるようになっている。
【0038】
ガイドピン47は、その下端において、ロッド57の上端に取り付けられた接続部材58を介してロッド57に接続されている。ロッド57は、その下端においてピストンロッド51の上端に接続されている。つまり、ガイドピン47は、ロッド57とピストンロッド51と一体に上下移動するように構成されている。
【0039】
図4に示すように、ガイドピン47は、その頂面の中央に凹所59を有する。凹所59は、ガイドピン47の頂部が開口し、内径Dを有する丸い孔である。
【0040】
図5および図6に示すように、内径Dは、正規ボルトX1の軸径d1よりも小さく、かつ、正規外ボルトX2の軸径d2よりも大きくなるように設計されている。ここで、軸径d2は軸径d1よりも小さいものとする。つまり、正規ボルトX1の先端部X1cはガイドピン47の上端に当接する一方、正規外ボルトX2の軸部X2bは凹所59内に嵌まり、該正規外ボルトX2の頭部X2aはガイドピン47の上端に当接する。
【0041】
<ボルト供給ユニット>
図1に示すように、ボルト供給ユニット2は、上部電極ユニット10の側方(図1中右側)に位置している。ボルト供給ユニット2は、載置面46に載置されたワークWの挿通孔Wa上にボルトXを供給するものである。
【0042】
ボルト供給ユニット2は、ボルト整列機4を備える。ボルト整列機4は、中空のボルト供給チューブ20に接続されている。ボルト整列4は、ボルトXを1つずつボルト供給チューブ20を介して、後述するボルト保持部7上に位置するボルト出口5まで送るようになっている。
【0043】
図7に示すように、ボルト供給ユニット2は、フィードシリンダ6を備える。フィードシリンダ6は、エアシリンダである。フィードシリンダ6は、その内部にピストンロッド8を備える。フィードシリンダ6は、ピストンロッド8の先端に設けられたボルト保持部7を載置面46に対して前進後退させるように構成されている。
【0044】
図8および図9に示すように、ボルト保持部7は、真上から見て左右対称の1対のアーム23,23からなるアーム部22を備える。アーム23,23は、その基端部においてそれぞれピン26,26に垂直方向に軸支され、互いに左右に開閉可能に形成されている。また、アーム23,23は、その基端部に設けられたバネ27により互いに閉の状態に付勢されるように構成されている。
【0045】
ボルト保持部7は、隣接する1対のフィンガー25,25からなるフィンガー部24を備えている。フィンガー25,25は、それぞれ枢着ボルト29,29によりアーム23,23の先端に固定されている。フィンガー25,25は、枢着ボルト29,29を軸心として互いに左右に下開きするようになっていて、該枢着ボルト29、29に挿通されたキックバネ28,28の先端部28a,28aにより互いに内側へ付勢されるようになっている。
【0046】
ボルト保持部7は、ボルト収容孔36を備える。ボルト収容孔36は、フィンガー部24の先端部に形成されている。ボルト収容孔36は、縦断面にしてフィンガー25,25の上面から下面に向けて円筒形の大径部37と、下方に向けて径が窄まるように形成されたテーパ部38と、比較的径の小さい円筒形の小径部39とを備える。ボルト収容孔36は、フィンガー25,25により2分割されるようになっている。ボルト収容孔36内で、ボルトXの頭部Xaは大径部37に、ボルトXの先端部Xcはテーパ部38に支持されるようになっている。
【0047】
<コントローラ>
コントローラ3は、ボルト溶接時にボルト溶接装置Aを制御するためのものである。コントローラ3は、ボルト溶接装置Aの各動作を検出して、ボルト溶接機1およびボルト供給ユニット2の動作制御を行うように構成されている。
【0048】
-ボルト溶接時のボルト溶接装置の動作-
まず、正規ボルトX1をワークWに溶接する場合のボルト溶接装置Aの動作を説明する。
【0049】
ガイドピン47の上端は、エア管接続部54からの加圧エアの供給により、載置面46から突出した状態となっている。この突出したガイドピン47の上端にワークWの挿通孔Waが嵌められて、該ワークWは載置面46上に載置される。このとき、ガイドピン47の上端は、ワークWから突出した状態となっていて、突出した高さは突出高さhとなっている。
【0050】
次に、ボルト整列機4は正規ボルトX1を、ボルト供給チューブ20を介して、ボルト出口5へ移送する。正規ボルトX1は、ボルト出口5からボルト保持部7に受け渡される。正規ボルトX1は、軸部X1bの先端が下向きになるように真っ直ぐにボルト収容孔36に保持されている。
【0051】
図7に示すように、フィードシリンダ6は、ボルト保持部7を載置面46に向けて前進させる。そして、ボルト収容孔36に収容された正規ボルトX1は、ガイドピン47に嵌められたワークWの挿通孔Wa上に位置付けられる。
【0052】
図10に示すように、上部電極11の下降移動により、正規ボルトX1の頭部X1aが押される。これにより、正規ボルトX1の先端部X1cはボルト収容孔36の先端を左右に押し開いて、ガイドピン47の上端に当接する。このとき、正規ボルトX1の軸径d1は内径Dよりも大きいため、正規ボルトX1の軸部X1bは凹所59内に嵌まらない。
【0053】
図11に示すように、さらに、頭部X1aが上部電極11に押されることにより、軸部X1bはワークWの挿通孔Waを進入していく。軸部X1bの進入に伴って、ガイドピン47は下部電極41に没入する。そして、頭部X1aがワークWに当接したところで、ガイドピン47の没入は停止する。このとき、ガイドピン47の没入深さは、突出高さhにボルトXの軸の長さLを足した距離h+Lに等しい距離となる。
【0054】
図12に示すように、ガイドピン47と共に上下移動するピストン52は、ガイドピン47の没入深さと同じ距離h+Lを下降移動して停止する。オートスイッチ60は、ピストン52が停止する位置付近に位置しているため、近接したマグネット55を検知する。つまり、オートスイッチ60は、ガイドピン47が下部電極41に没入する没入深さを検出して、溶接のための通電信号をコントローラ3へ出力する。その結果、正規ボルトX1およびワークWは上部電極11と下部電極41とにより挟持された状態で通電され、溶接される。
【0055】
次に、正規外ボルトX2が挿通孔Waに供給された場合のボルト溶接装置Aの動作を説明する。
【0056】
ボルト収容孔36に収容された正規外ボルトX2の頭部X2aが上部電極11に押されることにより、先端部X2cがボルト収容孔36の先端を左右に押し開くところまでは前記正規ボルトX1の場合と同様である。
【0057】
軸径d2は凹所59の内径Dよりも小さいため、軸部X2bは凹所59内に嵌まり、頭部X2aはガイドピン47の上端に接した状態となる。
【0058】
図13に示すように、さらに、頭部X2aが上部電極11に押されることにより、軸部X2bは凹所59に嵌まった状態で挿通孔Wa内を進入する。軸部X2bが挿通孔Wa内を進入するに伴って、ガイドピン47は下部電極41に没入する。そして、頭部X2aがワークに接したところでガイドピン47は没入を停止する。このとき、ガイドピン47の没入深さは、突出高さhと等しい距離となる。つまり、正規外ボルトX2では、軸部X2bがガイドピン47の凹所59に嵌まることにより、正規ボルトX1に比べてガイドピン47が下部電極41に没入する深さが浅くなる。
【0059】
図14に示すように、ガイドピン47と共に上下移動するピストン52は、ガイドピン47の没入深さと同じ距離である突出高さhだけ下降移動して停止する。このとき、ピストン52はオートスイッチ60の位置より上方に位置している。つまり、オートスイッチ60は、マグネット55を検出できないため、溶接のための通電信号をコントローラ3へ出力しない。その結果、上部電極11と下部電極41とにより挟持された正規外ボルトX2およびワークWは通電されず、溶接されない。
【0060】
-実施形態の効果-
本実施形態によれば、ボルトXの軸部XbがワークWの挿通孔Waを進入することに伴って下部電極41に没入するガイドピン47の没入深さを検出して、正規ボルトX1の軸径d1より小さい軸径d2を有する正規外ボルトX2を発見できる。このため、誤って正規外ボルトX2がワークWの挿通孔Wa上に供給されたとき、正規外ボルトX2がワークWに溶接される前に、正規外ボルトX2を排除する上で有利となる。また、ガイドピン47の頂面に凹所59を設けるという簡便な構造により正規外ボルトX2を発見できるため、コスト上昇を抑えることができる。
【0061】
(その他の実施形態)
前記実施形態では、凹所59はガイドピン47の頂面に開口した丸い孔であるが、これに限定されない。正規外ボルトX2の軸部X2bが嵌まり、正規ボルトX1の軸部X1bが嵌まらない凹所であればよく、例えば、ガイドピン47の上端が、複数の立設したピンから構成されるものであってもよい。つまり、軸部X2bは前記ピンで囲まれた凹所に嵌まる一方、軸部X1bは前記ピンの頂部に当接する。
【0062】
前記実施形態では、頭付きロッド固定装置をボルト溶接装置として説明したが、これに限定されない。該頭付きロッド固定装置は、ワークと該ワークの挿通孔に挿通した頭付きロッドとを上下から挟み込んで固定するものであればよく、いわゆる「カシメ効果」により頭付きロッドとワークとを固定する加圧装置などであってもよい。
【0063】
前記実施形態では、頭付きロッドをボルトXとして説明したが、これに限定されない。頭部を有し頭部から伸びた軸部を備えた頭付きロッドであればよく、溶接用のピンであってもよい。さらには、クリンチボルトやクリンチスタッドのようなカシメボルトまたはカシメピンなどであってもよい。
【0064】
前記実施形態では、ガイドピン47の没入深さを検出する検出器としてのオートスイッチ60を備えるとしたが、これに限定されない。前記検出器は、ガイドピン47の没入深さを検出するものであればよく、例えば、シリンダエンコーダ(数値換算機能)を有するサーボモータシリンダや、判別変位センサなどであってもよい。ここで、サーボモータシリンダとは、サーボモータの回転運動をシリンダ内のピストンロッドの直線運動に変換する装置で、サーボモータにより上下運動するガイドピン47の位置を制御可能とする。また、判別変位センサとは、レーザや超音波によりピストン52の距離変位を判別可能とするセンサである。
【0065】
前記実施形態では、ボルトXは、ボルト供給ユニット2により載置面46に載置されたワークWの挿通孔Wa上に供給されると説明したが、これに限定されない。ボルトXを載置面46に載置されたワークWの挿通孔Wa上に供給するものであればよく、例えば、人の手でボルトXを掴んで前記ワークWの挿通孔Wa上に供給してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明では、頭付きロッドをワークに固定する頭付きロッド固定装置に有用である。
【符号の説明】
【0067】
A ボルト溶接装置
1 ボルト溶接機
11 上部電極
41 下部電極
46 載置面
47 ガイドピン
59 凹所
60 オートスイッチ
X ボルト
X1 正規ボルト
X2 正規外ボルト
Xa 頭部
Xb 軸部
X1b 正規ボルトの軸部
X2b 正規外ボルトの軸部
d1 正規ボルトの軸径
d2 正規外ボルトの軸径
D 内径
W ワーク
Wa 挿通孔
図1
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