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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】磁性ペン
(51)【国際特許分類】
   B43K 8/00 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
B43K8/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018175499
(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公開番号】P2020044743
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】301032735
【氏名又は名称】プラス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋一
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-18300(JP,A)
【文献】特開平8-324178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペン先部及び軸体を備えた磁性ペンにおいて、
前記ペン先部は、第1ヨーク、第2ヨーク、及び磁石を備え、
前記第1ヨーク及び前記第2ヨークは、それぞれ複数の脚を備え、
前記第2ヨークは、複数の貫通孔を備え、
第1ヨーク及び第2ヨークを組み合わせることで、筆記表示パネルの表示面と当接する面が、前記第1ヨーク及び前記第2ヨークで形成された磁性ペン。
【請求項2】
前記第1ヨーク及び前記第2ヨークのいずれか一方がコーティングされ、第1ヨーク及び第2ヨーク間に物理的にギャップが形成された請求項1に記載の磁性ペン。
【請求項3】
前記第1ヨーク及び前記第2ヨークのいずれか一方が、前記磁石の側面を覆っている請求項1に記載の磁性ペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロカプセル磁気泳動表示シートを含む磁気表示パネルの表示面に文字を記載するための磁性ペンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からマイクロカプセル磁気泳動表示シートを含む磁気表示パネルの表示面に文字を記載する磁性ペンは知られている。例えば、特許文献1には、磁気表示パネルに細字と太字とを記載できる磁性ペンが開示されている。
【0003】
この磁性ペンは、ポリプロピレン製の軸体の両端に、径の異なる係合凹部が形成されており、それぞれの係合凹部に鉄製の径の異なる磁性部材が固着されている。また、軸体の両端に移動可能な磁石が挿入されている。
【0004】
これにより、細字を使用したいときに、径の小さい磁性部材側に磁石を移動させ、径の小さい磁性部材を磁気表示パネルに当接させて記載する事で、細字を得る事ができる。また太字を使用したいときに、径の大きい磁性部材側に磁石を移動させ、径の大きい磁性部材を磁気表示パネルに当接させて記載する事で、太字を得る事ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-220538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の磁性ペンは、磁性部材から外部に出た磁力線が、磁性部材に対して垂直方向のみならず、拡径方向にも出るために、磁気表示パネルに黒色を表示する磁性粒子のうち、磁性部材が当接した部分の近辺の磁性粒子にも影響を与えて、表示面に表示されるために、線が滲む、線のエッジが不明瞭になるという問題があった。
【0007】
本発明は、磁力線が拡径方向に広がるのを防止し、線が滲まず、線のエッジを明瞭に記載できる磁性ペンを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明に係る磁性ペンは、ペン先部及び軸体を備えた磁性ペンにおいて、前記ペン先部は、第1ヨーク、第2ヨーク、及び磁石を備え、 前記第1ヨーク及び前記第2ヨークは、それぞれ複数の脚を備え、前記第2ヨークは、複数の貫通孔を備え、第1ヨーク及び第2ヨークを組み合わせることで、筆記表示パネルの表示面と当接する面が、前記第1ヨーク及び前記第2ヨークで形成される。
【0009】
請求項2に記載の発明に係る磁性ペンにおいて、前記第1ヨーク及び前記第2ヨークのいずれか一方がコーティングされ、第1ヨーク及び第2ヨーク間に物理的にギャップが形成される。
【0010】
請求項3に記載の発明に係る磁性ペンにおいて、前記第1ヨーク及び前記第2ヨークのいずれか一方が、前記磁石の側面を覆っている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ペン先部及び軸体を備えた磁性ペンにおいて、前記ペン先部は、第1ヨーク、第2ヨーク、及び磁石を備える。前記第1ヨーク及び前記第2ヨークは、それぞれ複数の脚を備える。前記第2ヨークは、複数の貫通孔を備える。第1ヨーク及び第2ヨークを組み合わせることで、筆記表示パネルの表示面と当接する面が、前記第1ヨーク及び前記第2ヨークで形成される。この結果、磁力線が拡径方向に広がるのを防止し、線が滲まず、線のエッジを明瞭に記載できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る磁性ペンの全体形状図である。
図2】本実施形態におけるペン先部の図1のA-A断面図である。
図3】本実施形態におけるペン先部の第1ヨークを示す図である。
図4】本実施形態におけるペン先部の第2ヨークを示す図である。
図5】本実施形態におけるペン先部の脚の配置を示す図である。
図6】本実施形態におけるペン先部からの磁力線を示す図である。
図7】本実施形態における第1ヨークの変形例を示す図である。
図8】本実施形態における第2ヨークの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態]
本発明の実施形態に係る磁性ペンについて、図面を参照して説明する。磁性ペンを説明するために、図1に示す矢印Yの上方向を「上」及び下方向を「下」と、矢印Xの左方向を「左」及び右方向を「右」と、表現して説明する。
【0014】
図1に示すように、磁性ペンは、軸体1とペン先部2とを備える。軸体1は、利用者が文字等を書く際に、手で持つ部分であり、プラスチック等の非磁性材料である材質から形成される。軸体1の大きさは、上下方向長さが10cm、直径1cm程度である。また、ペン先部2は、磁気表示パネルの表示面に当接する部分である。
【0015】
図2は、図1のA-A断面図であり、図2を用いてペン先部2を詳細に説明する。
【0016】
ペン先部2は、第1ヨーク21と、第2ヨーク22と、第3ヨーク23と、磁石24と、を備える。
【0017】
第1ヨーク21、第2ヨーク22及び第3ヨーク23は、磁性材料である材質で形成される。具体的には、これらのヨークは、材質として鉄または鋼で形成される。磁石24は、磁束を生じさせる部材で形成される。具体的には、磁石24は、磁束を生じさせる部材としてネオジウム、電磁石で形成される。
【0018】
磁石24は、第1ヨーク21、第2ヨーク22及び第3ヨーク内に配置される。具体的には、第2ヨーク22の内側に第1ヨーク21が配置され、第2ヨーク22の内側であって、第1ヨーク21の上に磁石24が配置される。さらに磁石24を覆うために蓋の役目をする第3ヨーク23を備える。
【0019】
図3を用いて、第1ヨーク21を詳細に説明する。第1ヨーク21は、基板部211と、第1脚212と、第2脚213と、第3脚214と、第4脚215と、を備える。
【0020】
基板部211の中心位置に、円筒形状の第1脚212が下向きに突出し、第1脚212の円周上であって、120°の間隔を空けて円筒形状の第2脚213、第3脚214、及び第4脚215が下向きに突出して形成されている。第1脚212、第2脚213、第3脚214、及び第4脚215の径の大きさ及び上下方向の長さは、同一である。
【0021】
第1ヨーク21の上側の面及び下側の面以外は樹脂でコーティングされている。具体的には、第1ヨーク21の磁石と対面する上側の面及び第1ヨークの磁気表示パネルの表示面に当接する面以外は、樹脂でコーティングされている。なお、第1ヨーク21及び第2ヨーク22が接する箇所はすべて樹脂コーティングされていれば良く、第1ヨーク21及び第2ヨーク22は、樹脂コーティングを介して接している。これにより、第1ヨーク21及び第2ヨーク22との接する部分には、磁気ギャップが形成される。
【0022】
図4を用いて、第2ヨーク22を詳細に説明する。第2ヨーク22は、筒部221と、節部222と、第1貫通孔223と、第2貫通孔224と、第3貫通孔225と、第4貫通孔226と、第5脚227と、第6脚228と、第7脚229と、を備える。
【0023】
筒部221の内部に節部222が形成される。節部222には、第1ヨーク21の第1脚212、第2脚213、第3脚214、及び第4脚215のそれぞれが挿通するための第1貫通孔223と、第2貫通孔224と、第3貫通孔225と、第4貫通孔226とが、形成される。
【0024】
第1貫通孔223、第2貫通孔224、第3貫通孔225、及び第4貫通孔226の大きさは、樹脂コーティング後の第1ヨーク21の第1脚212、第2脚213、第3脚214、及び第4脚215の大きさと同等もしくは若干大きい大きさを有する。
【0025】
節部222の下側の面には、円筒形状の第5脚227、第6脚228、及び第7脚229が、円周上に120°の間隔を空けて、第2貫通孔224と、第3貫通孔225と、第4貫通孔226との各間に、下側に突出して形成される。第5脚227、第6脚228、及び第7脚229の上下方向の長さは、第1ヨーク21を第2ヨーク22の内側に配置し、第1脚212、第2脚213、第3脚214、第4脚215が下側に突出した長さと同一である。これにより、第1脚212、第2脚213、第3脚214、第4脚215、第5脚227、第6脚228、及び第7脚229のそれぞれの筆記表示パネルの表示面と当接する面は、面一を形成している。
【0026】
図2及び図5を用いて、ペン先部2の筆記表示パネルの表示面と当接する面を説明する。図2に示すように磁石のS極が第1ヨーク21の上側面に接するため、第1ヨーク21がS極に磁化される。これにより、図5に示すように第1脚212、第2脚213、第3脚214、及び第4脚215のそれぞれの筆記表示パネルの表示面と当接する面には、S極の磁極が形成される。
【0027】
一方、図2に示すように磁石のN極が第3ヨーク24の下側面に接するため、第3ヨーク24がN極に磁化される。また、第3ヨーク24に接する第2ヨーク22もN極に磁化される。これにより、図5に示すように第5脚227、第6脚228、及び第7脚229のそれぞれの筆記表示パネルの表示面と当接する面には、N極の磁極が形成される。
【0028】
図6を用いて、ペン先部2の筆記表示パネルの表示面と当接する面の磁界を説明する。第5脚227、第6脚228、第7脚229の各面から磁力線が発生し、隣接する第1脚212、第2脚213、第3脚214、第4脚215の各面に磁力線が吸収される。
【0029】
N極に磁化された脚に隣接してS極に磁化された脚が配置されているため磁力線が広がらず、収束するために、線がにじむような不具合がなくなる。
【0030】
<本実施形態の効果>
本実施形態によれば、N極に磁化された脚に隣接してS極に磁化された脚を配置するために、第1ヨーク21の各脚と第2ヨーク22の脚とを千鳥格子上に組み合わせている。これにより、簡易な構造で、N極に磁化された脚に隣接してS極に磁化された脚を配置することができる。
【0031】
本発明の実施形態について以上説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、当業者であれば種々の変更を加える事ができる。
【0032】
(変形例1)
本実施形態において、第1ヨーク21は、第1脚212、第2脚213、第3脚214、第4脚215を備える。第2ヨーク22は、第5脚227、第6脚228、第7脚229を備える。この実施形態に代えて、図7及び図8に示すように、第1ヨーク21は、第1脚212、第2脚213、第3脚214の3つの脚を備え、第2ヨーク22は、第4脚227、第5脚228、第6脚229の3つを備えても良い。脚の数は、磁束の広がりを抑えるために第1ヨーク21及び第2ヨーク22において、2つずつ備えていれば良い。
【符号の説明】
【0033】
1・・・軸体、2・・・ペン先部、21・・・第1ヨーク、212・・・第1脚、213・・・第2脚、214・・・第3脚、215・・・第4脚、22・・・第2ヨーク、221・・・筒部、222・・・節部、223・・・第1貫通孔、224・・・第2貫通孔、225・・・第3貫通孔、226・・・第4貫通孔、227・・・第5脚、228・・・第6脚、229・・・第7脚、23・・・第3ヨーク、24・・・磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8