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特許7094557MELKに対するモノクローナル抗体およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】MELKに対するモノクローナル抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20220627BHJP
   C07K 16/40 20060101ALI20220627BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20220627BHJP
   G01N 33/15 20060101ALI20220627BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20220627BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/40
C12P21/08
G01N33/15 Z
G01N33/50 Z
G01N33/574 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018537214
(86)(22)【出願日】2017-08-25
(86)【国際出願番号】 JP2017030443
(87)【国際公開番号】W WO2018043311
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】P 2016169085
(32)【優先日】2016-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502240113
【氏名又は名称】オンコセラピー・サイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】原田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】鄭 秀蓮
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐輔
【審査官】加藤 幹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/073374(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/058933(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2011/0152106(US,A1)
【文献】特表2007-502115(JP,A)
【文献】特表2013-517764(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0353935(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/13
C07K 16/40
C12P 21/08
G01N 33/15
G01N 33/50
G01N 33/574
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列を含むCDR1;
SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列を含むCDR2;および
SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域、ならびに
SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列を含むCDR1;
SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列を含むCDR2;および
SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域
の両方を含む、MELKタンパク質またはその部分ペプチドに結合することができる、抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項2】
SEQ ID NO:7に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域およびSEQ ID NO:8に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域の両方を含む、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項3】
SEQ ID NO:9に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを特異的に認識する、請求項1または2に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項4】
アフィニティー標識、酵素標識、放射性同位体標識、または蛍光標識と結合している、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片をコードするポリヌクレオチド。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片を含む、MELK関連疾患を診断、MELK阻害剤による治療後の薬効を判定、またはMELK阻害剤による治療効果の高い対象をスクリーニングするための試薬。
【請求項7】
以下の段階を含む、対象におけるMELK関連疾患または該疾患の発症素因の診断マーカーを検出する方法:
(a) 該対象から単離した試料を請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片と接触させる段階;および
(b) 該抗体またはその抗原結合性断片と該試料との結合を検出することによって、該試料中のMELKタンパク質を該マーカーとして検出する段階。
【請求項8】
前記MELK関連疾患が、MELKを発現しているがんまたは子宮内膜症である、請求項6に記載の試薬。
【請求項9】
前記がんが、乳がん、膀胱がん、子宮頸がん、胆管細胞がん、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸直腸がん、食道がん、胃がん、肝がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、リンパ腫、骨肉腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、腎がん、および小細胞肺がん(SCLC)からなる群より選択される、請求項8に記載の試薬。
【請求項10】
前記MELK関連疾患が、MELKを発現しているがんまたは子宮内膜症である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記がんが、乳がん、膀胱がん、子宮頸がん、胆管細胞がん、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸直腸がん、食道がん、胃がん、肝がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、リンパ腫、骨肉腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、腎がん、および小細胞肺がん(SCLC)からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
以下の段階を含む、試料中のMELKタンパク質を検出する方法:
(a) 対象から単離した試料を請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片と接触させる段階;および
(b) 該抗体またはその抗原結合性断片と該試料との結合を検出することによって、該試料中のMELKタンパク質を検出する段階。
【請求項13】
以下の段階を含む、対象におけるMELK阻害剤による治療後の薬効を判定する方法:
(a) 該対象から単離した試料を請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片と接触させる段階;
(b) 該抗体またはその抗原結合性断片と該試料との結合を検出することによって、該試料中のMELKタンパク質を検出する段階;
(c) 該試料中のMELKタンパク質レベルを薬剤投与前の発現レベルと比較する段階であって、薬剤投与前と比較してMELKタンパク質レベルが低いときに該対象における薬効があったことが示される、段階。
【請求項14】
以下の段階を含む、MELK阻害剤による治療効果の高い対象をスクリーニングする方法:
(a) 該対象から単離した試料を請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片と接触させる段階;
(b) 該抗体またはその抗原結合性断片と該試料との結合を検出することによって、該試料中のMELKタンパク質を検出する段階;
(c) 該試料中のMELKタンパク質レベルを対照と比較する段階であって、対照と比較してMELKタンパク質レベルが同程度かそれよりも高いときに、該対象におけるMELK阻害剤による治療効果が高いことが示される、段階。
【請求項15】
前記試料が、前記対象から単離した細胞または組織である、請求項7、および10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
以下の工程を含む、MELKタンパク質またはその部分ペプチドに結合することができる抗体を製造する方法:
(a) 請求項5に記載のポリヌクレオチドが導入されたベクターを含む細胞を培養する段階;および
(b) 該細胞の培養物または培養培地から前記抗体を回収する段階。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MELKに対するモノクローナル抗体、該抗体を用いてMELK関連疾患を診断する方法、MELKタンパク質を検出する方法、MELK阻害剤による治療後の薬効を判定する方法、MELK阻害剤による治療効果の高い対象をスクリーニングする方法、および該抗体を含む診断試薬に関する。
【背景技術】
【0002】
MELK、すなわち母体胚性ロイシンジッパーキナーゼ(参照配列:Genbankアクセッション番号NM_014791.3;SEQ ID NO:21)は、哺乳動物胚発生に関与するsnf1/AMPKセリン・スレオニンキナーゼファミリーの新規メンバーとして以前に同定された(Heyer BS et al., Dev Dyn. 1999 Aug, 215(4):344-51(非特許文献1))。この遺伝子は、幹細胞の再生(Nakano I et al., J Cell Biol. 2005 Aug 1, 170(3):413-27(非特許文献2))、細胞周期の進行(Blot J et al., Dev Biol. 2002 Jan 15, 241(2):327-38(非特許文献3);Seong HA et al., Biochem J. 2002 Feb 1, 361(Pt 3):597-604(非特許文献4))、およびmRNA前駆体のスプライシング(Vulsteke V et al., J Biol Chem. 2004 Mar 5, 279(10):8642-7. Epub 2003 Dec 29(非特許文献5))において重要な役割を果たすことが示された。
【0003】
加えて、23,040個の遺伝子を含むゲノム全域にわたるcDNAマイクロアレイを用いる遺伝子発現プロファイル解析を通して、MELKが乳がんにおいて上方制御されることが示された(Lin ML et al., Breast Cancer Res. 2007, 9 (1):R17(非特許文献6)、WO2006/016525(特許文献1)、WO2008/023841(特許文献2))。実際に、MELKは、例えば肺がん細胞、膀胱がん細胞、リンパ腫細胞、および子宮頸がん細胞といったいくつかのがん細胞において上方制御される(WO2004/031413(特許文献3)、WO2007/013665(特許文献4)、およびWO2006/085684(特許文献5)を参照されたい)。複数のヒト組織およびがん細胞株でのノーザンブロット解析から、MELKは大部分の乳がんおよび乳がん細胞株において有意に高レベルで過剰発現するが、正常な重要臓器(心臓、肝臓、肺、および腎臓)では発現しないことが実証された(WO2006/016525(特許文献1))。さらに、siRNAによるMELK発現の抑制が、ヒト乳がん細胞の増殖を有意に阻害すること(特許文献1)、抗MELK低分子阻害剤がマウスの乳がん異種移植片を縮小したことが示されている(Chung S et al., Oncotarget. 2012 Dec, 3(12):1629-1640 (非特許文献7)、Chung S et al., Oncotarget. 2016 Feb 24, 7(14):18171-18182 (非特許文献8))。
【0004】
したがって、MELKは抗がん剤の適切な標的であると考えられ、それに対するモノクローナル抗体は、治療における診断薬として役立つことが予測され得る。乳がん、悪性リンパ腫、および結腸がんに対するトラスツズマブの診断薬、リツキシマブの診断薬、およびベバシズマブの診断薬のようなモノクローナル抗体の臨床応用の成功例の他に、他の分子標的に対するいくつかのモノクローナル抗体が開発中であり、これらの診断効果が評価中である。これらの診断薬は、治療薬における効果的な患者の選択という観点から、より効果的な治療法に結び付くものと期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2006/016525
【文献】WO2008/023841
【文献】WO2004/031413
【文献】WO2007/013665
【文献】WO2006/085684
【非特許文献】
【0006】
【文献】Heyer BS et al., Dev Dyn. 1999 Aug, 215(4):344-51
【文献】Nakano I et al., J Cell Biol. 2005 Aug 1, 170(3):413-27
【文献】Blot J et al., Dev Biol. 2002 Jan 15, 241(2):327-38
【文献】Seong HA et al., Biochem J. 2002 Feb 1, 361(Pt 3):597-604
【文献】Vulsteke V et al., J Biol Chem. 2004 Mar 5, 279(10):8642-7. Epub 2003 Dec 29
【文献】Lin ML et al., Breast Cancer Res. 2007, 9(1):R17
【文献】Chung S et al., Oncotarget. 2012 Dec, 3(12):1629-1640
【文献】Chung S et al., Oncotarget. 2016 Feb 24, 7(14):18171-18182
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
分子標的治療薬を用いた腫瘍の治療における診断薬は、標的腫瘍の大部分に過剰発現が認められ、かつ正常組織では発現されないか、最小限しか発現されない細胞タンパク質を検出することが重要である。しかしながら、腫瘍に発現されるタンパク質を特異的に高感度で検出することは困難であり、そのようなタンパク質に対する抗体を得ることも困難である。たとえば、抗がん剤の標的と考えられているMELKについては、いくつかの抗体が市販されている。しかし、本発明者らが入手した市販の抗体によってMELK発現細胞の染色を試みたところ、MELKの発現レベルが低い細胞においても陽性シグナル(偽陽性)を生じることがあった。このように免疫学的な特異性が不十分な抗体では、抗体の反応強度を指標としてMELKの発現レベルの違いを明瞭に検出することができない心配がある。したがって、本発明の課題は、MELKに特異的かつ高感度で結合する抗体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者らは、MELK抗原をマウスに免疫して得られたモノクローナル抗体の中からMELKに特異的に結合する抗体を探索したところ、細胞に強制発現させたMELKタンパク質に特異的に結合することができ、かつ細胞や組織内に発現する内因性のMELKタンパク質を特異的に感度よく検出できるクローンを同定することに成功した。
【0009】
具体的には、本発明は以下に関する:
〔1〕SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列を含むCDR1;
SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列を含むCDR2;および
SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域、ならびに
SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列を含むCDR1;
SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列を含むCDR2;および
SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域
のいずれかまたは両方を含む、MELKタンパク質またはその部分ペプチドに結合することができる、抗体またはその抗原結合性断片。
〔2〕SEQ ID NO:7に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域およびSEQ ID NO:8に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域のいずれかまたは両方を含む、〔1〕に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
〔3〕SEQ ID NO:9に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを特異的に認識する、〔1〕または〔2〕に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
〔4〕MELKへの特異的な結合について、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の抗体と競合する、抗体またはその抗原結合性断片。
〔5〕アフィニティー標識、酵素標識、放射性同位体標識、または蛍光標識と結合している、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
〔6〕〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合性断片をコードするポリヌクレオチド。
〔7〕〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合性断片を含む、MELK関連疾患を診断、MELK阻害剤による治療後の薬効を判定、またはMELK阻害剤による治療効果の高い対象をスクリーニングするための試薬。
〔8〕以下の段階を含む、対象におけるMELK関連疾患または該疾患の発症素因を診断する方法:
(a) 該対象から単離した試料を〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合性断片と接触させる段階;
(b) 該抗体またはその抗原結合性断片と該試料との結合を検出することによって、該試料中のMELKタンパク質を検出する段階:および
(c) 該試料中のMELKタンパク質レベルを対照と比較する段階であって、対照と比較してMELKタンパク質レベルが高いときに該対象が該疾患を患っているかまたはその発症リスクを有することが示される、段階。
〔9〕前記MELK関連疾患が、MELKを発現しているがんまたは子宮内膜症である、〔7〕に記載の試薬または〔8〕に記載の方法。
〔10〕前記がんが、乳がん、膀胱がん、子宮頸がん、胆管細胞がん、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸直腸がん、食道がん、胃がん、肝がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、リンパ腫、骨肉腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、腎がん、および小細胞肺がん(SCLC)からなる群より選択される、〔9〕に記載の試薬または方法。
〔11〕以下の段階を含む、試料中のMELKタンパク質を検出する方法:
(a) 対象から単離した試料を〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合性断片と接触させる段階;および
(b) 該抗体またはその抗原結合性断片と該試料との結合を検出することによって、該試料中のMELKタンパク質を検出する段階。
〔12〕以下の段階を含む、対象におけるMELK阻害剤による治療後の薬効を判定する方法:
(a) 該対象から単離した試料を〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合性断片と接触させる段階;
(b) 該抗体またはその抗原結合性断片と該試料との結合を検出することによって、該試料中のMELKタンパク質を検出する段階;
(c) 該試料中のMELKタンパク質レベルを薬剤投与前の発現レベルと比較する段階であって、薬剤投与前と比較してMELKタンパク質レベルが低いときに該対象における薬効があったことが示される、段階。
〔13〕以下の段階を含む、MELK阻害剤による治療効果の高い対象をスクリーニングする方法:
(a) 該対象から単離した試料を〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合性断片と接触させる段階;
(b) 該抗体または抗原結合性断片と該試料との結合を検出することによって、該試料中のMELKタンパク質を検出する段階;
(c) 該試料中のMELKタンパク質レベルを対照と比較する段階であって、対照と比較してMELKタンパク質レベルが同程度かそれよりも高いときに、該対象におけるMELK阻害剤による治療効果が高いことが示される、段階。
〔14〕前記試料が、前記対象から単離した細胞または組織である、〔8〕~〔13〕のいずれかに記載の方法。
〔15〕以下の工程を含む、MELKタンパク質またはその部分ペプチドに結合することができる抗体を製造する方法:
(a) 〔6〕に記載のポリヌクレオチドが導入されたベクターを含む細胞を培養する段階;および
(b) 該細胞の培養物または培養培地から前記抗体を回収する段階。
【0010】
本発明はさらに以下に関する:
〔16〕以下の段階を含む、MELK関連疾患または該疾患の発症素因の診断マーカーを検出する方法:
(a) 該対象から単離した試料を〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合性断片と接触させる段階;および
(b) 該抗体または抗原結合性断片と該試料との結合を検出することによって、該試料中のMELKタンパク質を該マーカーとして検出する段階。
〔17〕MELK関連疾患または該疾患の発症素因の診断における使用のための、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
〔18〕MELK関連疾患または該疾患の発症素因を診断するための試薬の製造における、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合性断片の使用。
〔19〕以下の段階を含む、MELK阻害剤の薬効マーカーを検出する方法:
(a) 該対象から単離した試料を〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合性断片と接触させる段階;および
(b) 該抗体または抗原結合性断片と該試料との結合を検出することによって、該試料中のMELKタンパク質を該マーカーとして検出する段階。
〔20〕MELK阻害剤による治療後の薬効の判定における使用のための、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
〔21〕MELK阻害剤による治療後の薬効を判定するための試薬の製造における、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合性断片の使用。
〔22〕以下の段階を含む、MELK阻害剤治療応答性マーカーを検出する方法:
(a) 該対象から単離した試料を〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合性断片と接触させる段階;および
(b) 該抗体または抗原結合性断片と該試料との結合を検出することによって、該試料中のMELKタンパク質を該マーカーとして検出する段階。
〔23〕MELK阻害剤による治療効果の高い対象のスクリーニングにおける使用のための、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合性断片。
〔24〕MELK阻害剤による治療効果の高い対象をスクリーニングするための試薬の製造における、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合性断片の使用。
【0011】
上記に加え、本発明の他の目的および特徴は、添付の図表および実施例と併せて以下の詳細な説明を読むことによって、より十分に明らかになる。しかしながら、前述の発明の概要および以下の詳細な説明はいずれも例示的な態様であり、本発明または本発明のその他の代替的な態様を限定するものではないことが理解されるべきである。特に、本発明をいくつかの特定の態様を参照して本明細書において説明するが、その説明は本発明を例証するものであり、本発明を限定するものとして構成されていないことが理解されよう。添付の特許請求の範囲によって記載される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者は様々な変更および適用に想到することができる。同様に、本発明のその他の目的、特徴、利益、および利点は、本概要および以下に記載する特定の態様から明らかになり、当業者には容易に明白になるであろう。そのような目的、特徴、利益、および利点は、添付の実施例、データ、図表、およびそれらから引き出されるあらゆる妥当な推論と併せて上記から、単独で、または本明細書に組み入れられる参考文献を考慮して、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、強制発現系細胞株を用いた免疫組織化学染色における抗MELK抗体(OTSMAb01)の特異性を示す顕微鏡写真である。抗MELK抗体(OTSMAb01)による免疫組織化学染色の結果、MELK強制発現細胞株(MELK/293T)から作製されたパラフィン標本において特異的な染色が観察されたが、陰性対照としてEmpty Vectorを導入させた細胞株(Mock/293T)では染色されなかった。一方で市販抗体(MELK(N449)pAb(Bioworld Technology)、MELK(HPA017214)pAb(Sigma-Aldrich))も、免疫組織化学染色の結果、MELK/293Tにおいて特異的な染色が観察されたが、Mockでは染色されなかった。また、写真の下のグラフは免疫組織化学染色の結果から強制発現細胞数に占めるMELK陽性細胞の割合(%)を算出し示したものである。
図2A図2ABは、MELKの発現量が異なる各種細胞株におけるMELKの発現を示す、OTSMAb01を用いたウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。PK-45P、BT-549、MDA-MB-231、A549はMELK高発現細胞株であり、MCF-7、Hep G2、HT-29はMELK低発現細胞株であった。
図2B図2Aの続きを示す。
図3A図3ABは、MELK発現細胞株を用いた免疫組織化学染色における抗MELK抗体(OTSMAb01)の特異性を示す顕微鏡写真である。上方パネルの本発明の抗MELK抗体(OTSMAb01)による免疫組織化学染色の結果、PK-45P、BT-549、MDA-MB-231、A549などMELK高発現細胞株から作製されたパラフィン切片において染色が認められたが、MCF-7、Hep G2、HT-29など低発現細胞株ではほとんど染色されなかった。一方で中央パネル、下方パネルの市販抗体(MELK(N449)pAb、MELK(HPA017214)pAb)による結果においては、MELK高発現細胞株、低発現細胞株いずれにおいても染色が認められた。細胞株を用いた解析により、市販抗体と比較して、本発明の抗MELK抗体(OTSMAb01)の免疫組織化学染色法における高い特異性が明らかになった。また、写真の下のグラフは免疫組織化学染色の結果から各細胞株に占めるMELK陽性細胞の割合(%)を算出しグラフに示したものである。
図3B図3Aの続きを示す。
図4図4は、乳がん臨床検体1~3を用いた免疫組織化学染色と半定量RT-PCRにおける発現の相関を示す。A:本発明の抗MELK抗体(OTSMAb01)を用いた免疫組織化学染色により、すべての乳がん検体においてMELK陽性所見が認められた。一方で正常乳腺検体ではほとんど染色されなかった。B:免疫組織化学染色の結果から腫瘍細胞に占めるMELK陽性細胞数の割合を算出しグラフに示した。C:同一症例のRT-PCRによる発現解析により免疫組織化学染色と相関する結果が得られた。臨床検体を用いた解析により、本発明の抗MELK抗体(OTSMAb01)の免疫組織化学染色法における高い特異性が明らかになった。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
本発明の態様を実施または試験するにあたって、本明細書に記載の方法および材料と類似のまたは同等の任意の方法および材料を用いることができるが、好ましい方法、装置、および材料をここに記載する。しかしながら、本発明の材料および方法について記載する前に、本明細書に記載の特定の大きさ、形状、寸法、材料、方法論、プロトコル等は慣例的な実験法および最適化に応じて変更可能であるため、本発明がこれらに限定されないことが理解されるべきである。本記載に使用する専門用語は特定の型または態様のみを説明する目的のためのものであり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することは意図されないことも、また理解されるべきである。
【0014】
本発明は、MELKタンパク質またはその部分ペプチドに特異的に結合することができる、抗MELKモノクローナル抗体を提供する。本発明は、本発明の抗MELKモノクローナル抗体が、免疫組織化学染色法におけるMELKタンパク質の検出において高い特異性を有する証拠を提供する。
【0015】
本発明の抗MELK抗体(OTSMAb01)は、少なくとも可変領域に下記アミノ酸配列を有する。
OTSMAb01、重鎖可変領域アミノ酸配列(シグナル配列を除く):
EVQLQQSGAELVRPGALVKLSCKASGFNIKDYYMHWVKQRPEQGLEWIGWIDPENGNTIYDPKFQGKASVTADTSSNTAYLQLSSLTSEDTAVYYCTSHHYSAMDYWGQGTSVTVSS(SEQ ID NO:7)
OTSMAb01、軽鎖可変領域アミノ酸配列(シグナル配列を除く):
DVVMTQTPLSLPVSLRDQASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLIISRVEAEDLGVYFCSQSTYVPLTFGAGTKLELKRAD(SEQ ID NO:8)
本発明の抗体は、前記アミノ酸配列をコードするDNAを用いる組み換え技術によって製造することもできる。
【0016】
本発明の抗体は、マウスへの免疫感作によって得られた複数の抗体産生ハイブリドーマから、免疫染色法によって強制発現細胞(陽性コントロール細胞)にて陽性、陰性コントロール細胞にて陰性を提示する、MELKと結合性を有する抗体をスクリーニングし選択することにより取得された。選択された抗体について更に内因性MELK発現細胞(陽性コントロール細胞)にて陽性、陰性コントロール細胞にて陰性を提示する抗体を選抜した。MELKとの相互作用がそれほど強いものでない場合には、弱い結合力を持つ抗体がバックグラウンドとしてつきまとってしまう。そこで、内因性MELK発現量が予め測定された細胞株を用いて免疫染色を行ないスクリーニングすることにより、目的とするMELKと強い結合性を有する抗体を選択することができた。
【0017】
本発明の抗体は、MELKに特異的に結合する。したがって、本発明の抗体は、MELKまたはMELKを発現している細胞もしくは組織を検出するための道具として有用である。また、本発明の抗体は、当該抗体を検出し得る標識と結合した標識体として利用することができ、当該標識体は、例えば大腸がん等のMELKを発現しているがん細胞またはがん組織を検出するうえでより好ましい。本発明の抗体に結合する標識としては、MELKに結合した抗体を検出し得る標識であればよく、アフィニティー標識(例えば、ビオチン、アビジン等)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等)、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン等)等が挙げられる。
【0018】
本発明の抗体をがん治療患者の選択に診断薬として用いる場合、本発明の抗体はそのまま用いることもできるが、各種使用形態に適した組成物とすることができる。
【0019】
I.定義
本明細書で用いる「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」という単語は、他に特記されない限り「少なくとも1つの」を意味する。
物質(例えば、ペプチド、抗体、ポリヌクレオチド等)に関して用いる「単離された」および「精製された」という用語は、該物質がそうでなければ天然源中に含まれ得る少なくとも1種の物質を実質的に含まないことを示す。したがって、単離または精製された抗体は、その抗体が由来する細胞もしくは組織源からの他の細胞材料、例えば糖質、脂質および他の混入タンパク質を実質的に含まない抗体を指す。好ましい態様では、本発明の抗体は単離または精製されている。
【0020】
「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書で互換的に用いられ、アミノ酸残基のポリマーを指す。本用語は、天然型アミノ酸ポリマーのほか、1個もしくは複数個の非天然型アミノ酸残基を含む非天然型アミノ酸ポリマーにも適用される。非天然型アミノ酸には、アミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体などが含まれる。
【0021】
「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、および「核酸」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、ヌクレオチドのポリマーを指す。
【0022】
特記しない限り、「MELK関連疾患」という用語はMELKを発現しているがんまたは子宮内膜症である。
【0023】
特記しない限り、「がん」という用語はMELK遺伝子を過剰発現するがんを指し、その例としては、乳がん、膀胱がん、子宮頸がん、胆管細胞がん、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸直腸がん、食道がん、胃がん、肝がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、リンパ腫、骨肉腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、腎がん、または小細胞肺がん(SCLC)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書において用いられる「抗体」という用語は、指定されたタンパク質またはそのペプチドに対する特異的反応性を有する免疫グロブリンおよびその断片を含むことが意図される。抗体は、他のタンパク質または標識と融合した抗体、および抗体断片を含むことができる。さらに、本明細書において抗体は最も広い意味で使用されており、具体的には、所望の生物学的活性を示す限り、インタクトなモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも二つのインタクトな抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体断片を網羅する。「抗体」とは全てのクラス(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM)を指す。
【0025】
「抗体断片」とは、インタクトな抗体の一部分であり、インタクトな抗体の1つまたは複数の抗原結合領域または可変領域を一般的に含む。したがって本発明において、抗体断片はインタクトな抗体の1つまたは複数の抗原結合部分を含むことができる。本明細書において用いられる、抗体の「抗原結合部分」または「抗原結合性断片」という用語は、抗原(例えば、MELK)に特異的に結合できる能力を保持する抗体の1つまたは複数の免疫学的に活性な断片を指す。抗体の抗原結合機能は全長抗体の断片によって実行されうることが示されている。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片、直鎖状抗体、ならびに一本鎖抗体分子が含まれる。構造にかかわらず、抗体断片は、インタクトな抗体によって認識される抗原と同一の抗原に結合する。「抗体断片」という用語はまた、特異的抗原に結合する合成ポリペプチドまたは遺伝子操作ポリペプチド、例えば軽鎖可変領域からなるポリペプチド、重鎖および軽鎖の可変領域からなる「Fv」断片、軽鎖および重鎖の可変領域がペプチドリンカーによって連結された組換え一本鎖ポリペプチド分子(「scFvタンパク質」)、ならびに超可変領域を模倣したアミノ酸残基からなる最小認識単位も含む。
【0026】
特記しない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者によって共通して理解されている用語と同じ意味を有する。
【0027】
本発明において、MELKタンパク質と、抗体の特異的な結合は、たとえば、抗体間の競合によって評価することができる。具体的には、本発明の抗体として、たとえば、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む抗体を参照抗体として、候補抗体の特異性を評価することができる。代表的な参照抗体は、OTSMAb01である。参照抗体とヒトMELKタンパク質間の抗原抗体反応に対して、候補抗体が競合した場合に、候補抗体が、参照抗体と同等の特異性を持つことが確認できる。たとえば、候補抗体非存在下でMELKタンパク質に結合する抗体の量が、候補抗体の共存下で参照抗体とMELKタンパク質を反応させたときに、10%、20%、30%、あるいは40%、より好ましくは50%、あるいはそれ以上の参照抗体の結合が阻害された場合に、抗体間の競合が生じたと判定することができる。抗体間の競合の評価には、MELKタンパク質のみならず、参照抗体が結合する限りその部分ペプチドを用いることもできる。好ましい部分ペプチドは、例えばSEQ ID NO:9のアミノ酸配列からなる部分ペプチドである。
【0028】
II.抗体の産生
本発明では、抗MELKモノクローナル抗体を用いる。当該抗体は当技術分野において周知の方法によって提供される。
本発明によって用いられる例示的な抗体産生技術について以下に記載する。
【0029】
(i)モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は実質的に均一な抗体の集団から得られる。すなわち、集団を構成する個々の抗体は、わずかな量で存在しうる可能性のある天然の変異を除き同一である。このように、「モノクローナル」という修飾語は、別個の抗体との混合物ではないという抗体の特徴を示す。
例えばモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature, 256: 495 (1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて産生することができ、または組換えDNA法(US4,816,567号)によっても産生されうる。
【0030】
ハイブリドーマ法において、マウスまたは他の適切な宿主動物、例えばハムスターなどをMELKポリペプチド(MELKタンパク質またはその部分ポリペプチド)で免疫して、MELKポリペプチドに特異的に結合する抗体を産生するまたは産生できるリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球をインビトロにおいてMELKポリペプチドで免疫してもよい。その後、ポリエチレングリコールなどの適切な融合剤を用いてリンパ球を骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59-103 (Academic Press, 1986))。
【0031】
調製したハイブリドーマ細胞を、融合していない親骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する1つまたは複数の物質を含有することが好ましい適切な培養培地中に播種し、その培地中で増殖させる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠損している場合、ハイブリドーマ用の培養培地には典型的に、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含めることができ(HAT培地)、これらの物質によってHGPRT欠損細胞の増殖を妨害する。
【0032】
好ましい骨髄腫細胞とは、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による安定した高レベルの抗体産生を補助し、かつHAT培地などの培地に感受性を有するものである。好ましい骨髄腫細胞株は、マウス骨髄腫株、例えばSalk Institute Cell Distribution Center,San Diego,California USAから入手可能なMOPC-21およびMPC-11マウス腫瘍に由来するもの、ならびに、American Type Culture Collection,Manassas,Virginia,USAから入手可能なSP-2細胞およびX63-Ag8-653細胞を含む。ヒトモノクローナル抗体の産生に関して、ヒト骨髄腫細胞株およびマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株も記載されている(Kozbor, J. Immunol., 133: 300 1 (1984);Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。
【0033】
ハイブリドーマ細胞が増殖している培養培地を、抗原に対するモノクローナル抗体の産生について分析する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降法によって、または、放射免疫測定法(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着測定(ELISA)などの、インビトロ結合測定によって決定される。
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson et al., Anal Biochem. 107: 220-39 (1980) の3Dスキャッチャード分析によって判定することができる。
所望の特異性、親和性、および/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を同定した後に、このクローンを限界希釈法によってサブクローニングし、標準的な方法によって増殖させることができる(Goding, Monoclonal Antibodies : Principles and Practice, pp. 59-103 (Academic Press, 1986))。この目的に適した培養培地の例として、D-MEM培地またはRPMI1640培地が含まれる。さらに、ハイブリドーマ細胞は動物における腹水腫瘍のようなインビボで増殖させることもできる。
【0034】
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、均一になるまで精製してもよい。例えば、一般的なタンパク質に対して用いられる分離法および精製法に従って、抗体の分離および精製を行うことができる。例えば、これらに限定されないが、アフィニティークロマトグラフィーなどのカラムクロマトグラフィー、フィルタ、限外濾過、塩析、透析、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、および等電点電気泳動の使用を適切に選択しかつ組み合わせることにより、培地、腹水、または血清から適切に抗体を分離および単離することができる(Antibodies: A Laboratory Manual. Ed Harlow and David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory (1988))。プロテインAカラムおよびプロテインGカラムをアフィニティーカラムとして使用することができる。用いられるべき例示的なプロテインAカラムには、例えば、Hyper D、POROS、およびSepharose F.F.(Pharmacia)が含まれる。
【0035】
例示的なクロマトグラフィーには、アフィニティークロマトグラフィー以外に、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等が含まれる(Strategies for Protein Purification and Characterization: A Laboratory Course Manual. Ed Daniel R. Marshak et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1996))。クロマトグラフィー手順は、HPLCおよびFPLCなどの液相クロマトグラフィーによって行うことができる。
【0036】
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)容易に単離され、配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい供給源として役立つ。DNAを単離すると、発現ベクターの中に配し、これを次に、免疫グロブリンタンパク質を他の方法では産生しない大腸菌(E.coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞中にトランスフェクションして、組換え宿主細胞中でのモノクローナル抗体の合成を達成することができる。抗体をコードするDNAの細菌中での組換え発現に関する総説には、Skerra et al., Curr. Opinion in Immunol., 5: 256-262 (1993) およびPluckthun, Immunol. Revs., 130: 151-188 (1992) が含まれる。
【0037】
MELKに対して反応性を示す特異的な抗体または抗体断片を産生するための別の方法とは、細菌中で発現される免疫グロブリン遺伝子またはその一部分をコードする発現ライブラリーを、MELKタンパク質またはその部分ペプチドを用いてスクリーニングすることである。例えば、完全なFab断片、VH領域、およびFv領域をファージ発現ライブラリーを用いて細菌中で発現させることができる。例えば、Ward et al., Nature 341: 544-546 (1989);Huse et al., Science 246: 1275-1281 (1989);およびMcCafferty et al., Nature 348: 552-554 (1990)を参照されたい。例えばMELKペプチドを用いてそのようなライブラリーをスクリーニングすることによって、MELKに対して反応性を有する免疫グロブリン断片を同定することができる。あるいは、抗体またはその断片を産生するためにSCID-huマウス(Genpharmから入手できる)を用いてもよい。
【0038】
さらなる態様において、抗体または抗体断片は、McCafferty et al., Nature, 348: 552-554 (1990)に記載されている技術を用いて作製された抗体ファージライブラリーから単離することができる。Clackson et al., Nature, 352: 624-628 (1991) およびMarks et al., J MoL BioL, 222: 581-597 (1991)では、ファージライブラリーを用いたマウス抗体およびヒト抗体の単離についてそれぞれ記載している。その後の刊行物では、鎖シャッフリングによる高親和性(nM範囲)ヒト抗体の産生(Marks et al., BioTechnology, 10: 779-783 (1992))、ならびに非常に大きなファージライブラリーを構築するための戦略としての組み合わせ感染およびインビボ組換え(Waterhouse et al., Nuc. Acids. Res., 21: 2265-2266 (1993))について記載されている。このようにこれらの技術は、モノクローナル抗体単離のための従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術に代わる実行可能な手段である。
【0039】
本発明は、MELK関連疾患の診断、MELK阻害剤による治療後の薬効の判定、およびMELK阻害剤による治療効果の高い対象のスクリーニングに適した抗体を提供する。本発明は、免疫組織化学染色において高い特異性でMELKタンパク質を検出することができるマウスモノクローナル抗体クローン(OTSMAb01)の樹立に成功した。この抗体クローンを乳がん臨床検体の免疫組織化学染色に用いると、乳がん検体では陽性所見が認められるが、正常乳腺検体ではほとんど染色されないことが実証された。さらに、市販の抗MELK抗体を用いるとMELK高発現細胞株、低発現細胞株いずれから作製された試料においても染色が認められたのに対し、本発明の抗MELK抗体を用いた場合はMELK高発現細胞株から作製された試料において特異的に染色されることが明らかになった。このように高い抗原特異性を有する本発明の抗体は、MELK発現レベルが高い患者、ひいてはMELK阻害剤による治療が有効である可能性が高い患者を選択する上で有利である。
【0040】
本発明の抗MELKマウスモノクローナル抗体クローン(OTSMAb01)の重鎖可変領域(H鎖V領域)および軽鎖可変領域(L鎖V領域)のアミノ酸配列は、それぞれSEQ ID NO:7および8に示されている。
【0041】
重鎖可変領域および軽鎖可変領域に含まれるCDR(相補性決定領域)は、当技術分野において周知の方法にしたがって決定することができる。例えば、Kabatら(Kabat E. A. et al., (1991) Sequence of Proteins of Immunological Interest. 5th Edition)またはChothiaら(Chothia et al., J. Mol. Biol. (1987) 196; 901-917)によって記載された方法が、CDR決定に関して一般的に用いられる。Kabatの定義によって決定された本発明の抗MELKマウスモノクローナル抗体クローン(OTSMAb01)の重鎖可変領域のCDR1、2、3は、それぞれSEQ ID NO:1、2、3に示されており、このクローンの軽鎖可変領域のCDR1、2、3は、それぞれSEQ ID NO:4、5、6に示されている。
【0042】
したがって本発明は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域のいずれかまたは両方を含む、MELKタンパク質またはその部分ペプチドに結合することができる、抗体またはその抗原結合性断片であって、該重鎖可変領域は、
SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列を含むCDR1;
SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列を含むCDR2;および
SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を含むCDR3
を含み、該軽鎖可変領域は、
SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列を含むCDR1;
SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列を含むCDR2;および
SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列を含むCDR3
を含む、抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0043】
本発明において、本発明の抗体が結合するMELKタンパク質の部分ペプチドは、好ましくは、MELKタンパク質(SEQ ID NO:22)の264-601位に当たるアミノ酸配列(SEQ ID NO:9)を含み、かつSEQ ID NO:22に示されるアミノ酸配列から選択されたアミノ酸配列からなる。より好ましくは、本発明におけるMELKタンパク質の部分ペプチドは、SEQ ID NO:9のアミノ酸配列からなることができる。
【0044】
上記の「SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列を含むCDR1;SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列を含むCDR2;およびSEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を含むCDR3」を含む重鎖可変領域の1つの例は、SEQ ID NO:7に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域である。上記の「SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列を含むCDR1;SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列を含むCDR2;およびSEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列を含むCDR3」を含む軽鎖可変領域の1つの例は、SEQ ID NO:8に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域である。
【0045】
したがって、一態様において、本発明は、SEQ ID NO:7に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域およびSEQ ID NO:8に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域のいずれかまたは両方を含む、抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0046】
本発明の抗体は従来の方法によって調製することができる。例えば、従来の遺伝子組み換え技術にしたがって、抗体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを適切なベクターに組み込み、該ベクターを宿主に導入し、かつ該宿主から抗体を産生させることによって、抗体を調製することができる(例えば、Vandamme, A. M. et al., Eur. J. Biochem. (1990) 192, 767-75を参照されたい)。
【0047】
本発明の抗体の可変領域(V領域)をコードするポリヌクレオチドの核酸配列は、本発明の抗体のV領域のアミノ酸配列から推定することができる。本発明の抗体クローンの重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)をコードする核酸配列としては、それぞれ、例えば、SEQ ID NO:10および11に示される核酸配列を用いることができる。本発明の抗体のV領域をコードするポリヌクレオチドは、固相合成技術(Beaucage SL & Iyer RP, Tetrahedron (1992) 48, 2223-311; Matthes et al., EMBO J (1984) 3, 801-5)およびオリゴヌクレオチド合成技術(Jones et al., Nature (1986) 321, 522-5)のような従来の方法によって配列情報に基づき合成することができる。
【0048】
抗体V領域をコードするポリヌクレオチドを、抗体定常(C)領域をコードするポリヌクレオチドを含んだ発現ベクターに組み込む。
本発明において用いられる抗体の産生のため、該抗体(抗体遺伝子)をコードするポリヌクレオチドを、発現制御要素(例えば、エンハンサー、プロモーター)の制御下で抗体遺伝子が発現できるように、発現ベクターに組み込む。発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換し、抗体を発現させる。
【0049】
抗体遺伝子の発現において、抗体のH鎖をコードするポリヌクレオチドとL鎖をコードするポリヌクレオチドを別個の発現ベクターに組み込んでもよく、その後、得られた組み換え発現ベクターを宿主細胞に同時形質転換する。あるいは、抗体のH鎖をコードするポリヌクレオチドとL鎖をコードするポリヌクレオチドの両方を単一の発現ベクターに一緒に組み込んでもよく、その後、得られた組み換え発現ベクターを宿主細胞に形質転換する(例えば、WO94/11523号)。
【0050】
抗体遺伝子は公知の方法によって発現させることができる。哺乳類細胞における発現の場合、従来の有用なプロモーター、発現される抗体遺伝子、およびポリ(A)シグナル(抗体遺伝子の3'末端に対して下流に位置する)を、機能的に連結させることができる。例えば、有用なプロモーター/エンハンサー系として、ヒトサイトメガロウイルス前初期プロモーター/エンハンサー系を用いることができる。
他のプロモーター/エンハンサー系、例えば、ウイルス(例えば、レトロウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルスおよびサルウイルス40(SV40))に由来するもの、ならびに哺乳類細胞に由来するもの(例えば、ヒト伸長因子1α(HEF1α))を本発明における抗体の発現に用いることもできる。
SV40プロモーター/エンハンサー系が用いられる場合、遺伝子発現はMulliganら(Nature (1979) 277, 108-14)の方法によって容易に行うことができる。HEF1αプロモーター/エンハンサー系が用いられる場合、遺伝子発現はMizushimaら(Nucleic Acids Res. (1990) 18, 5322)の方法によって容易に行うことができる。
【0051】
大腸菌における発現の場合、従来の有用なプロモーター、関心対象の抗体を分泌させるためのシグナル配列、および抗体遺伝子を、機能的に連結させることができる。プロモーターとして、lacZプロモーターまたはaraBプロモーターを用いることができる。lacZプロモーターが用いられる場合、遺伝子発現はWardら(Nature (1989) 341, 544-6.; FASBE J. (1992) 6, 2422-7)の方法によって行うことができ、その一方でaraBプロモーターが用いられる場合、遺伝子発現はBetterら(Science (1988) 240, 1041-3)の方法によって行うことができる。
【0052】
抗体の分泌のためのシグナル配列に関して、関心対象の抗体が大腸菌の細胞周辺腔に分泌されることが意図される場合、pelBシグナル配列(Lei, S.P. et al., J. Bacteriol. (1987) 169, 4379-83.)を用いることができる。細胞周辺腔の中に分泌された抗体を単離し、その後、抗体が適切な立体構造をとるように再び折り畳ませる。
【0053】
ウイルス(例えば、SV40、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス(BPV))などに由来する複製起点を用いることができる。宿主細胞系における遺伝子コピー数を増加させるために、発現ベクターには、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(APH)遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、大腸菌キサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子およびジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)遺伝子などの選択マーカー遺伝子をさらに含めてもよい。本発明において用いられる抗体の産生に関しては、真核生物および原核生物の細胞系を含む任意の発現系を用いることができる。真核生物細胞には、動物(例えば、哺乳類、昆虫、カビおよび真菌、酵母)の樹立細胞株が含まれる。原核生物細胞には、大腸菌細胞などの細菌細胞が含まれる。本発明において用いられる抗体は、CHO細胞、COS細胞、骨髄腫細胞、BHK細胞、Vero細胞、およびHeLa細胞などの哺乳類細胞において発現されることが好ましい。
【0054】
次に、形質転換された宿主細胞をインビトロまたはインビボで培養して、関心対象の抗体を産生させる。宿主細胞の培養は任意の公知の方法によって行うことができる。本明細書において使用できる培養培地は、DMEM、MEM、RPMI1640またはIMDM培地であってよい。培養培地は、ウシ胎仔血清(FCS)などの血清サプリメントを含んでもよい。
【0055】
組み換え抗体の産生において、上記の宿主細胞のほかに、トランスジェニック動物を宿主として用いることもできる。例えば、抗体遺伝子を、動物の母乳中で元来産生されるタンパク質(例えば、βカゼイン)をコードする遺伝子の所定部位へ挿入して、融合遺伝子を調製する。抗体遺伝子が導入された融合遺伝子を含むDNA断片を非ヒト動物の胚へ注射し、この胚を次に、雌性動物へ導入する。該胚を体内に有する該雌性動物はトランスジェニック非ヒト動物を産む。関心対象の抗体は該トランスジェニック非ヒト動物またはその子孫から母乳中に分泌される。該抗体を含有する母乳の量を増加させる目的で、適切なホルモンを該トランスジェニック動物に投与することができる(Ebert, K.M. et al., Bio/Technology (1994) 12, 699-702)。
【0056】
上記のように発現され産生された抗体を、細胞または宿主動物の体から単離し、精製することができる。本発明において用いられる抗体の単離および精製は、アフィニティーカラムに対して行うことができる。抗体の単離および精製に従来用いられる他の方法を用いることもでき、したがって、方法は特に限定されない。例えば、さまざまなクロマトグラフィー、ろ過、限外ろ過、塩析および透析を単独でまたは組み合わせて用いて、関心対象の抗体を単離および精製することができる(Antibodies A Laboratory Manual. Ed. Harlow, David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988)。
【0057】
(ii)抗体断片
さまざまな技術が抗体断片の産生のために開発されている。従来は、インタクトな抗体のタンパク質分解消化を介してこれらの断片が得られていた(例えば、Morimoto et al., Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24: 107-117 (1992)およびBrennan et al., Science, 229: 81 (1985)を参照されたい)。しかしながら、これらの断片は現在、組換え宿主細胞によって直接産生することができる。例えば、抗体断片を抗体ファージライブラリーから単離することができる。あるいは、Fab'-SH断片を大腸菌から直接回収し、化学的にカップリングして、F(ab')2断片を形成させてもよい(Carter et al., Bio/Technology 10: 163-167 (1992))。別のアプローチによれば、F(ab')2断片を組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。抗体断片の産生のための他の技術は、当業者には明らかであろう。他の態様において、最適な抗体とは一本鎖Fv断片(scFv)である。WO93/16185号;US5,571,894号;およびUS5,587,458号を参照されたい。また抗体断片は、例えばUS5,641,870号に例えば記載されているように、「直鎖状抗体」であってもよい。そのような直鎖状抗体断片は単一特異性または二重特異性を有しうる。
【0058】
(iii)標識化抗体
本発明の抗体を、任意で、アフィニティー標識、酵素標識、放射性同位体標識、蛍光標識、または化学発光標識と結合させる。例えば、MELKを発現しているがん内部に存在しかつ検出可能な標識の存在によって、診断される対象におけるがんまたは腫瘍の有無の判定が可能になる。また、がん内部の標識の局在性によって、疾患の拡大を判定することもできる。
使用に適した標識には、例えば、フルオレセインおよびローダミン等の蛍光標識;ならびにルシフェラーゼ等の酵素標識が含まれる。使用される検出可能な/検出用の標識は、使用するイメージング様式にしたがって選択される。そのような標識と抗体との結合体は、当技術分野で公知のプロトコルおよび技術を用いて作製することができる。本発明において、本発明の抗体は使用の直前に所望の標識と結合されてもよいし、標識と結合した抗体として提供されてもよい。
【0059】
抗体と標識との結合体は、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えばアジピミド酸ジメチルHCL)、活性エステル(例えばスベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えばビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えばビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えばトルエン2,6-ジイソシアネート)、およびビス-活性フッ素化合物(例えば1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)などの、種々の二官能性タンパク質カップリング剤を用いて作製することができる。あるいは、抗体および標識を含む融合タンパク質を、例えば組換え技術またはペプチド合成により作製することができる。そのような融合タンパク質の好適な例としては、ECFP、EYFP、あるいはEGFP等の標識タンパク質と抗体との融合タンパク質が挙げられる。
【0060】
III.MELK関連疾患の診断、MELK阻害剤による治療効果の高い対象のスクリーニング(治療前診断)、またはMELK阻害剤による治療後の薬効の判定(治療後診断)
MELKは、MELK関連疾患の診断マーカーとして、ならびに当該疾患のMELK阻害剤に対する応答性および当該阻害剤の薬効を評価するためのマーカーとして有用である。したがって、本発明の抗体は、がんなどのMELK関連疾患を診断するため、MELK阻害剤による治療効果の高い対象をスクリーニングするため、またはMELK阻害剤による治療後の薬効を判定するためのマーカーの検出試薬として用いることができる。
より具体的には、本発明の抗体によって対象から単離した試料中のMELKタンパク質を検出し、MELK関連疾患の診断、MELK阻害剤による治療効果の高い対象のスクリーニング、またはMELK阻害剤による治療後の薬効の判定を実施することができる。したがって、本発明は、対象から単離した試料において本発明の抗体を用いてMELKタンパク質を検出することによる、対象においてMELK関連疾患または該疾患の発症素因を診断する方法、MELK阻害剤による治療効果の高い対象をスクリーニングする方法、および、MELK阻害剤による治療後の薬効を判定する方法を提供する。これらの方法は以下の段階を含む:
(a) 対象から単離した試料を本発明の抗体またはその抗原結合性断片と接触させる段階;
(b) 該抗体またはその抗原結合性断片と該試料との結合を検出することによって、該試料中のMELKタンパク質を検出する段階:および
(c) 該試料中のMELKタンパク質レベルを対照と比較する段階。
【0061】
典型的な態様において、前記試料は、前記対象から単離した細胞または組織であり、好ましくは、前記対象から単離した組織である。したがって、通常、本発明の各方法は、いずれも、対象から単離した試料についてインビトロ(in vitro)で実施される。バイオプシ(生検)や採血等の手法によって対象から組織や細胞を単離する手法は公知である。あるいは、治療のための医療的な処置(外科的な手術など)を通じて対象から取り除かれた生体試料を利用することもできる。対象から単離された細胞や組織は、抗体との接触の前に適宜処理することもできる。たとえば、一般に対象から得られた組織試料は、凍結後に切片とし、更にアルコールやホルマリン等で固定して免疫組織学的な解析のための試料とすることができる。あるいはホルマリンなどで組織試料や培養細胞等を固定後に、パラフィン包埋して免疫組織学的な解析のための切片を得ることもできる。
【0062】
本発明の抗体またはその抗原結合性断片の、試料との結合、すなわち、試料中の抗原タンパク質との結合は、当業者公知の方法により検出することができる。より具体的には、本発明の抗体と前記試料との接触後、試料中のMELKタンパク質に結合しなかったものを洗浄によって取り除き、その後に試料中に残る抗体を検出することにより、本発明の抗体と試料中のMELKタンパク質の結合を検出することができる。このとき、抗体が直接標識されている場合には、標識を検出することによってMELKタンパク質に結合した本発明の抗体の存在を検出することができる。標識が、酵素、蛍光物質、発光物質、あるいは粒子等の検出可能なものであれば、これらの標識を直ちに検出することができる。その他、本発明の抗体をビオチンなどのアフィニティー物質(結合性物質)で標識した場合(アフィニティー標識)には、標識アビジン等の結合パートナーで抗体の存在を捕捉することができる。あるいは本発明の抗体が直接標識されていない場合には、抗体に対する結合試薬によって本発明の抗体を検出することができる。たとえば、抗体結合試薬として、プロテインAや抗体に対する抗体を標識して抗体の検出に利用することができる。
【0063】
MELK関連疾患の診断の場合、前記段階(c)において、対照レベル(正常対照レベル、好ましくは、MELK関連疾患を患っていない健常対象から単離した試料中のMELKタンパク質の発現レベル)と比較してMELKタンパク質レベルが高いときに、対象がMELK関連疾患を患っているかまたはその発症リスクを有することが示される。
また、MELK阻害剤による治療効果の高い対象のスクリーニングの場合、前記段階(c)において、対照レベル(好ましくは、MELK関連疾患と診断された対象の組織におけるMELKタンパク質の発現レベル)と比較してMELKタンパク質レベルが同程度かそれよりも高いときに、対象におけるMELK阻害剤による治療効果が高いことが示される。
一方、MELK阻害剤による治療後の薬効の判定の場合、前記段階(c)において、対照レベル(好ましくは、薬剤投与前の対象から単離した試料中のMELKタンパク質の発現レベル)と比較してMELKタンパク質レベルが低いときに、対象における薬効があったことが示される。
【0064】
本発明の診断方法によって、MELK関連疾患を有することが示された患者は、MELK阻害剤による治療の対象となる可能性が高い。したがって、本発明の診断方法に続いて、MELK関連疾患を有することが示された患者にMELK阻害剤を投与することができる。あるいは、MELK阻害剤の治療効果が高い可能性が示された患者もまた、スクリーニングを経て、MELK阻害剤を投与することができる。更に、MELK阻害剤の投与を受けた患者において、当該阻害剤の治療効果が有ったことが示された場合にも、引き続き、同じ患者にMELK阻害剤を投与することができる。
すなわち本発明は、以下の群から選択されるいずれかの患者を本発明の方法によって特定し、当該患者にMELK阻害剤を投与する工程を含む、MELK関連疾患の治療方法に関する;
本発明の診断方法によって、MELK関連疾患を有することが示された患者;
MELK阻害剤の治療効果が高い可能性が示された患者;そして
MELK阻害剤の投与を受けた患者において、当該阻害剤の治療効果が有ったことが示された患者。
【0065】
本発明において、患者に投与されるMELK阻害剤には、公知の化合物を使用することができる。たとえば、MELKの酵素作用を阻害する種々の化合物が公知である(WO2012/016082, WO2013/109388, Oncotarget. 2012, 3: 1629-1640, Oncotarget. 2016; 7:17652-17664)。
【0066】
本発明との関連において、MELK関連疾患を患っていない(例えば、非がん性である)とわかっている生体試料から測定された対照レベルは「正常対照レベル」と称される。対象から単離された試料におけるMELKタンパク質レベルが正常対照レベルと比較して高い場合、対象は治療をうけるべきMELK関連疾患を有する、と診断されうる。
一方、MELK関連疾患を患っている(例えば、がん性である)とわかっている生体試料から測定された対照レベルは「疾患対照レベル(例えば、がん性対照レベル)」と称される。MELK阻害剤による治療前の対象から単離された試料におけるMELKタンパク質レベルが疾患対照レベルと同程度かそれよりも高い場合、対象はMELK阻害剤による治療効果が高い、と診断されうる。
また、MELK阻害剤による治療後の対象から単離された試料におけるMELKタンパク質レベルが薬剤投与前の同対象の疾患対照レベルより低い場合、治療による薬効があった、すなわち、対象はMELK阻害剤による治療効果が高い、と診断されうる。
【0067】
特定の態様において、治療すべきMELK関連疾患(例えばがん)を有する器官の非罹患領域(例えば、非がん性領域)から得られた正常細胞(または組織)を、正常対照として用いてもよい。別の態様において、対照レベルは、疾患状態(例えば、がん性または非がん性)がわかっている対象由来の試料中の予め測定されたMELKタンパク質レベルを解析することによって得られた結果に基づいて、統計的方法により決定してもよい。さらに、対照レベルは、以前に試験された試料(細胞または組織)に由来する発現パターンのデータベースに由来し得る。評価対象の試料が組織試料である場合、それと同じ組織に由来する試料を対照試料とすることが好ましい。
【0068】
さらに、本発明の1つの局面に従って、生体試料中のMELKタンパク質レベルを、複数の参照試料から測定される複数の対照レベルと比較してもよい。対象由来の生体試料の組織型と類似の組織型に由来する参照試料から測定された対照レベルを用いることが好ましい。さらに、疾患状態が判明している集団におけるMELKタンパク質レベルの基準値を用いることが好ましい。基準値は、当技術分野において公知の任意の方法によって得ることができる。例えば、平均値 +/- 2 S.D.または平均値 +/- 3 S.D.の範囲を、基準値として用いることができる。
【0069】
試料中のMELKタンパク質レベルは、そのレベルが対照レベルから例えば10%、25%、もしくは50%高いか、または1.1倍超、1.5倍超、2.0倍超、5.0倍超、10.0倍超、もしくはそれ以上高い場合に、高いとみなすことができる。試料中のMELKタンパク質レベルは、そのレベルが対照レベルから例えば10%、25%、もしくは50%低いか、または1.1倍超、1.5倍超、2.0倍超、5.0倍超、10.0倍超、もしくはそれ以上低い場合に、低いとみなすことができる。
【0070】
典型的な態様において、MELK関連疾患はMELKを発現しているがんまたは子宮内膜症である。MELKを発現しているがんは、例えば、乳がん、膀胱がん、子宮頸がん、胆管細胞がん、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸直腸がん、食道がん、胃がん、肝がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、リンパ腫、骨肉腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、腎がん、または小細胞肺がん(SCLC)であるが、これらに限定されない。
【0071】
さらなる態様において、本発明は、MELK関連疾患または該疾患の発症素因の診断マーカーを検出する方法であって、本発明の抗体またはその抗原結合性断片を用いて試料中のMELKタンパク質を当該診断マーカーとして検出する段階を含む方法を提供する。MELKは、ある種のがん細胞において正常組織と比較して発現が増強していることが明らかにされている。したがって、MELKの発現レベルを特異的に検出することができれば、それが関連する疾患の診断マーカーとして有用である。本発明との関連において、MELK関連疾患または該疾患の発症素因の診断マーカーとは、本発明の抗体またはその抗原結合性断片との結合によって検出される、対象から単離された試料中のMELKタンパク質であって、その発現レベルが対照レベルと比較して高いときに当該対象が当該疾患を患っているかまたはその発症リスクを有することが示されることを特徴とする。ここで、前記対照レベルは、正常対照レベル、好ましくは、MELK関連疾患を患っていない健常対象から単離した試料中のMELKタンパク質の発現レベルである。一般に対照レベルは、診断マーカーを検出しようとするがん細胞が由来する組織と同じ組織における発現レベルであることが好ましい。
本発明はまた、MELK関連疾患または該疾患の発症素因の診断における使用のための、本発明の抗体またはその抗原結合性断片を提供する。あるいは、本発明は、MELK関連疾患または該疾患の発症素因を診断するための試薬の製造における、本発明の抗体またはその抗原結合性断片の使用を提供する。
【0072】
加えて、本発明は、MELK阻害剤治療応答性マーカーを検出する方法であって、本発明の抗体またはその抗原結合性断片を用いて試料中のMELKタンパク質を当該応答性マーカーとして検出する段階を含む方法を提供する。MELKは、ある種のがん細胞において特異的に発現が増強しており、そのようながん細胞の増殖がMELK阻害剤によって抑制されることが明らかにされている(WO2004/031413, WO2006/016525, WO2007/013665, WO2008/023841)。つまり、MELKの発現を指標として、MELK阻害剤に対する応答性を予測することができる。MELKを高いレベルで発現していれば、MELK阻害剤による細胞増殖抑制作用が期待できるためである。したがって、MELKの発現レベルを特異的に検出することができれば、MELK阻害剤治療応答性マーカーとして有用である。本発明との関連において、MELK阻害剤治療応答性マーカーとは、本発明の抗体またはその抗原結合性断片との結合によって検出される、対象から単離された試料中のMELKタンパク質であって、その発現レベルが対照レベルと比較して同程度かそれよりも高いときに当該対象におけるMELK阻害剤による治療効果が高いことが示されることを特徴とする。ここで、前記対照レベルは、好ましくは、疾患対照レベル、すなわちMELK関連疾患を患っているとわかっている対象の疾患部位から単離された試料におけるMELKタンパク質の発現レベル、特に好ましくは、MELK阻害剤による治療効果の高い対象から治療前に単離された試料におけるMELKタンパク質の発現レベルである。
本発明はまた、MELK阻害剤による治療効果の高い対象のスクリーニングにおける使用のための、本発明の抗体またはその抗原結合性断片を提供する。あるいは、本発明は、MELK阻害剤による治療効果の高い対象をスクリーニングするための試薬の製造における、本発明の抗体またはその抗原結合性断片の使用を提供する。
【0073】
本発明はさらに、MELK阻害剤の薬効マーカーを検出する方法であって、本発明の抗体またはその抗原結合性断片を用いて試料中のMELKタンパク質を当該薬効マーカーとして検出する段階を含む方法を提供する。MELKは、ある種のがん細胞において特異的に発現が増強しており、そのようながん細胞の増殖がMELK阻害剤によって抑制されることが明らかにされている(WO2004/031413, WO2006/016525, WO2007/013665, WO2008/023841)。そのため、そのようながん細胞を有するがん組織は、MELK阻害剤によって縮小または死滅し得る。つまり、MELKの発現レベルを指標として、そのようながん細胞を有する対象におけるMELK阻害剤の薬効を評価することができる。MELK陽性のがん細胞を有していた組織から単離された試料におけるMELKの発現レベルがMELK阻害剤による治療前に単離された試料と比較して減少していれば、MELK阻害剤によりMELK陽性のがん細胞が減少したとみなすことができるためである。したがって、MELKの発現レベルを特異的に検出することができれば、MELK阻害剤の薬効マーカーとして有用である。本発明との関連において、MELK阻害剤の薬効マーカーとは、本発明の抗体またはその抗原結合性断片との結合によって検出される、MELK阻害剤を投与された対象から単離された試料中のMELKタンパク質であって、その発現レベルが対照レベルと比較して低いときに当該対象においてMELK阻害剤の薬効があったことが示されることを特徴とする。ここで、前記対照レベルは、好ましくは、薬剤投与前の当該対象の疾患部位から単離された試料中のMELKタンパク質の発現レベルである。
本発明はまた、MELK阻害剤による治療後の薬効の判定における使用のための、本発明の抗体またはその抗原結合性断片を提供する。あるいは、本発明は、MELK阻害剤による治療後の薬効を判定するための試薬の製造における、本発明の抗体またはその抗原結合性断片の使用を提供する。
【0074】
IV.MELK関連疾患の診断、MELK阻害剤による治療効果の高い対象のスクリーニング、またはMELK阻害剤による治療後の薬効の判定のための試薬またはキット
本発明は、MELK関連疾患の診断、MELK阻害剤による治療効果の高い対象のスクリーニング、またはMELK阻害剤による治療後の薬効の判定のための試薬またはキットを提供する。具体的には、これらのキットは、MELKタンパク質の検出試薬として、本発明の抗体またはその抗原結合性断片を含む。一態様において、本発明の診断試薬またはキットのための抗体を蛍光物質、発光物質、または放射性同位体で標識することができる。抗体を標識するための方法および標識抗体を検出するための方法は、当技術分野において周知であり、任意の標識および方法を本発明のために利用することができる。
【0075】
本キットは、本発明の抗体またはその抗原結合性断片と他のマーカー検出試薬との組み合わせを含むことができる。本キットはさらに、MELKに対する陽性および陰性の対照試薬、ならびに本発明の抗体を検出するための二次抗体を含むことができる。例えば、MELKを高発現していることがわかっている細胞株の培養切片または組織試料は、有用な陽性対照試薬として役立ちうる。また、例えば、健常対象または非がん性組織から得られた組織試料は、有用な陰性対照試薬として役立ちうる。本発明の抗体を検出するための二次抗体は、蛍光物質、発光物質、放射性同位体、または酵素で標識されていることが好ましい。本発明のキットはさらに、緩衝液、希釈液、フィルタ、針、シリンジ、および使用説明を記した添付文書(例えば書面、テープ、CD-ROMなど)を含めて、商業的見地または使用者の立場から望ましい他の材料を含んでもよい。これらの試薬などを、ラベルした容器中に保持することができる。適切な容器としてはボトル、バイアル、および試験管が含まれる。容器はガラスまたはプラスチックなどの種々の材料から形成することができる。
【0076】
本発明をその特定の態様に関して本明細書において詳細に説明してきたが、前述の説明は事実上、例示的かつ説明的なものであって、本発明およびその好ましい態様を説明することを意図していることが理解されるべきである。当業者は、慣例的な実験を通して、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更および修正がその中でなされ得ることを容易に理解するであろう。したがって本発明は、上記の説明によって規定されるのではなく、添付の特許請求の範囲におよびそれらの等価物によって規定されることが意図される。
【0077】
以下、実施例を参照して本発明をより詳細に記載する。しかしながら、以下の材料、方法および実施例は、本発明のある形態の作製および使用において当業者を支援するために役立ち得る一方、本発明の局面を説明するためのものにすぎず、したがって本発明の範囲を決して限定することを意図しない。当業者は、本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができる。
【0078】
なお、本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
【実施例
【0079】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0080】
〔材料および方法〕
細胞培養
GenHunterから購入したヒト胎児腎細胞株である293TにMELK発現ベクターを導入させたMELK強制発現細胞株(MELK/293T)を作製し、陰性対照としてEmpty Vectorを導入させた細胞株(Mock/293T)を作製した。5%CO2の加湿雰囲気中37℃で、10%ウシ胎仔血清(FBS)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEM中で維持した。ATCCから購入したヒト乳がん細胞株であるMCF-7は、5%CO2の加湿雰囲気中37℃で、10%ウシ胎仔血清(FBS)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウムおよびインシュリンを補充したMEM中で維持した。JCRBから購入したヒト肝がん細胞株であるHep G2は、5%CO2の加湿雰囲気中37℃で、10%ウシ胎仔血清(FBS)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEM中で維持した。東北大学加齢医学研究所から分与されたヒト膵がん細胞株であるPK-45P、大日本製薬から購入したヒト肺がん細胞株であるA549は、5%CO2の加湿雰囲気中37℃で、10%ウシ胎仔血清(FBS)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI1640中で維持した。ATCCから購入したヒト乳がん細胞株であるBT-549は、5%CO2の加湿雰囲気中37℃で、10%ウシ胎仔血清(FBS)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、HEPES、ピルビン酸ナトリウムおよびインシュリンを補充したRPMI1640中で維持した。ATCCから購入したヒト大腸がん細胞株であるHT-29は、5%CO2の加湿雰囲気中37℃で、10%ウシ胎仔血清(FBS)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したMcCoy's5A中で維持した。ATCCから購入したヒト乳がん細胞株であるMDA-MB-231は、CO2 しの加湿雰囲気中37℃で、10%ウシ胎仔血清(FBS)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したL-15中で維持した。
【0081】
臨床検体
外科的に切除された乳がんからの組織試料(ホルマリン固定パラフィン切片、凍結組織)、ならびにそれらの対応する臨床的情報は、書面によるインフォームドコンセントをとった上で、神奈川がんセンターから入手した。
【0082】
免疫組織化学染色(IHC)
ホルマリン固定パラフィン切片化したMELK/293T、Mock/293T、MCF-7、Hep G2、HT-29、PK-45P、BT-549、MDA-MB-231、A549および臨床検体を、キシレンに3分間3回浸漬して脱パラフィンした後、100%エタノールに1分間2回、90%、70%、および50%エタノールにてそれぞれ1分間浸漬して再水和させた。抗原賦活化処理のために抗原賦活化液pH9(ニチレイバイオサイエンス)に浸漬させた切片を125℃ 30秒間インキュベートした。インキュベート後、20分間室温放置し、流水にて5分間水洗した。3.0%過酸化水素水にて10分間浸漬して内因性ペルオキシダーゼのブロッキングを行ない、Wash Buffer(TBS-T(Takara Bio))にて、5分間3回洗浄した。さらに、非特異的な反応をブロックする目的で切片上にProtein Block液(Dako)を適量滴下し、10分間静置した。湿潤箱にて1次抗体(OTSMAb01、MELK(N449)pAb、MELK(HPA017214)pAb)をそれぞれ適量滴下し、60分間静置後、Wash Bufferにて、5分間3回洗浄した。湿潤箱にて2次抗体として、ヒストファイン シンプルステインMAX-PO(ニチレイバイオサイエンス)を適量滴下し、30分間静置した。Wash Bufferにて、5分間3回洗浄した。DAB基質溶液(ニチレイバイオサイエンス)により発色反応を行なった。スライド切片をヘマトキシリン(Dako)に20秒間浸漬し、流水で洗浄した。50%、70%、および90%エタノールにてそれぞれ1分間、および100%エタノールに1分間2回浸漬して脱水を行なった。最後に、切片をキシレンで3分間2回浸漬して透徹し、Mount-Quick(DAIDO SANGYO)によって封入した。
【0083】
RT-PCR
臨床凍結組織(乳がん)はTRIzol Reagent(Invitrogen)に凍結組織片を浸けてすり潰しクロロホルム抽出を行なった。得られた抽出液におおよそ等量の70%エタノールを加えて、RNeasy Mini kit(QIAGEN)を用いて総RNAを抽出した。SuperScript II Reverse Transcriptase(Invitrogen)の逆転写酵素を用いて総RNAよりcDNAを合成した。cDNAを鋳型としてExTaq(Takara Bio)をもちいてPCR反応を行なった。発現解析目的遺伝子はMELK、ハウスキーピング遺伝子はβアクチンとした。MELKは、MELK-1F:5'- ATGATCACCTCACGGCTA -3'(SEQ ID NO:12)、MELK-1R:5'- AGGTGTTCTGCATAAGG -3'(SEQ ID NO:13)のプライマーセットを用いて、βアクチンは、Beta-actin Fw:5'- AGGATGCAGAAGGAGATCAC -3'(SEQ ID NO:14)、Beta-actin Re:5'- AGAAAGGGTGTAACGCAACT -3'(SEQ ID NO:15)のプライマーセットを用いて増幅した。アガロースゲルにてPCR増幅産物の電気泳動を行ない、MELK遺伝子の発現量を比較した。
【0084】
ウエスタンブロッティング
MCF-7、Hep G2、HT-29、PK-45P、BT-549、MDA-MB-231およびA549からRIPA Lysis Bufferにてタンパク質を抽出した。目的タンパク質をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)にて分離した。分離された目的タンパク質を、ニトロセルロース(NC)に移した。ブロッキング溶液Block-Ace(DSファーマバイオメディカル)にてメンブレン表面への非特異的結合をブロックした後、目的タンパク質へ結合できる試験抗体とともにインキュベートした。TBST Wash Bufferにてメンブレン上の余分な試験抗体を洗浄し、次いで試験抗体と結合できるペルオキシダーゼ(HRP)標識された二次抗体とともにインキュベートしてWash Bufferにてメンブレン上の余分な二次抗体を洗浄した。ECLウエスタンブロッティング検出システム(GEヘルスケア)にて、検出可能な化学発光を生じさせフィルムを使用して記録した。
【0085】
〔実施例1〕抗MELKモノクローナル抗体の作製
(1)抗MELK抗体産生ハイブリドーマの取得
ヒトMELKタンパク質(SEQ ID NO:22)の免疫抗原領域の分析を行ったところ、長いループ構造を取っている264-601アミノ酸領域(SEQ ID NO:9)でtotal antigenic scoreが良好に推移しており、配列特異性も良好であることから抗原性が高いことが予測された(株式会社医学生物学研究所)。したがって、MELK特異的抗体を産生するため、ヒトMELK遺伝子(SEQ ID NO:21)がコードするヒトMELKタンパク質(SEQ ID NO:22)の264-601アミノ酸領域(SEQ ID NO:9)のリコンビナントタンパク質を免疫原とした。Freund Adjuvantに抗原ペプチド50μgを加えた後、エマルジョン化して、Balb/cマウス(日本エスエルシー株式会社)の皮下に注射する事により初回免疫を行った。2回目以降の免疫は同様に調製した25μg抗原ペプチド量相当を皮下に注射することにより実施した。最終免疫から3日後にマウスから脾臓細胞を無菌的に調製し、常法に従って、ポリエチレングリコール法によりマウスミエローマ細胞SP2/0との細胞融合を行った。
【0086】
(2)抗MELK抗体産生ハイブリドーマの選抜
抗MELK抗体の選抜は、全長MELKタンパク質(SEQ ID NO:22)を発現する293T細胞株を用いた免疫組織化学染色により行った。すなわち、全長MELKタンパク質を強制発現させた293T細胞株をホルマリン固定パラフィン切片化した後、免疫染色を実施し、MELK強制発現細胞株(MELK/293T)にて強い反応が認められたハイブリドーマを選抜した。
【0087】
試験したハイブリドーマのうち、MELK特異的抗体を高レベルで産生することを確認したハイブリドーマクローンOTSMAb01についての免疫組織化学染色の結果を図1に示す。図1の写真およびグラフに示されているように、OTSMAb01を用いて染色した場合、市販の抗MELKポリクローナル抗体であるMELK(N449)pAbおよびMELK(HPA017214)pAbと同様に、MELK強制発現細胞株(MELK/293T)から作製されたパラフィン切片においては染色が認められた、すなわちMELK陽性細胞の割合が高いことが示された。一方、陰性対照としてEmpty Vectorを導入させた細胞株(Mock/293T)から作製されたパラフィン切片においてはほとんど染色が認められず、MELK陽性細胞の割合が低いことが示された。これらの結果から、ハイブリドーマクローンOTSMAb01は、免疫組織化学染色においてMELKを特異的に検出する抗体を産生するハイブリドーマとして有用であることが示された。
【0088】
このハイブリドーマクローンOTSMAb01を、さらなる実験用の抗体を産生させるのに選択した。ハイブリドーマクローンOTSMAb01を大量培養し、2~3週間後に培養液を採取した。プロテインAカラム(GE Healthcare,NJ)を用いて培養液から抗体を精製した。本明細書において、本発明の抗体は、クローンOTSMAb01とも称される。
【0089】
〔実施例2〕抗MELKモノクローナル抗体の特異性の評価
次に、MELKの発現量が異なる種々の細胞株を用いて、OTSMAb01の特異性を評価した。すなわち、OTSMAb01を用いた免疫組織化学染色およびウエスタンブロッティングの結果を比較し、MELKタンパク質の発現量に応じた染色が認められるか検討した。
まず、OTSMAb01を用いたウエスタンブロッティングにより、種々のヒトがん組織由来細胞株における内因性のMELKタンパク質の発現量を確認した。図2に示されているように、ヒト膵臓がん由来細胞株PK-45P、ヒト乳がん由来細胞株BT-549およびMDA-MB-231、ならびにヒト肺がん由来細胞株A549はMELK高発現細胞株であり、ヒト乳がん由来細胞株MCF-7、ヒト肝がん由来細胞株Hep G2およびヒト結腸がん由来細胞株HT-29はMELK低発現細胞株であった。
続いて、これらの細胞株から作製されたパラフィン切片について、OTSMAb01および市販の抗MELKポリクローナル抗体を用いて免疫組織化学染色を行った。図3に示されているように、OTSMAb01を用いて染色した場合、MELKを高発現していることが確認された細胞株PK-45P、BT-549、MDA-MB-231、およびA549から作製されたパラフィン切片において染色が認められた。これらのパラフィン切片には、高い割合の細胞に陽性のシグナルが検出された。一方、MELKの発現量が少ない細胞株であるMCF-7、Hep G2やHT-29から作製されたパラフィン切片はほとんど染色されず、陽性のシグナルがほとんど検出されなかった。
一方、市販の抗MELK抗体であるMELK(N449)pAb(Bioworld Technology)やMELK(HPA017214)pAb(Sigma-Aldrich)を用いて染色した場合、内因性MELKタンパク質の発現量の多少に関わらず、試験した全ての細胞株において高い割合の細胞にシグナルが検出された。そのため、これらの市販の抗体による検出結果には偽陽性シグナルが含まれている可能性が疑われた。
以上の結果より、本発明の抗MELK抗体(OTSMAb01)は、免疫組織化学染色法において試料中のMELKタンパク質の発現量と相関した検出結果を得るために有用なツールであることが示され、市販の抗MELK抗体と比較して高い特異性でMELKに結合するという有利な性質を有していることが明らかとなった。
【0090】
〔実施例3〕臨床検体におけるMELKタンパク質の検出
本発明の抗MELK抗体(OTSMAb01)の免疫組織化学染色における特異性を、乳がん臨床検体を用いて評価した。乳がん臨床検体1~3の腫瘍領域および非腫瘍領域におけるMELKのタンパク質およびRNAの発現をそれぞれ免疫組織化学染色および半定量RT-PCRによって検出した結果を図4に示す。図4に示されているように、MELKのRNAの発現が確認された腫瘍領域においてはOTSMAb01により染色された細胞、すなわちMELK陽性細胞が検出されたが、MELKのRNAの発現が確認されなかった非腫瘍領域はほとんど染色されず、MELK陽性細胞が検出されなかった。この結果は、OTSMAb01は臨床検体においても特異的にMELKタンパク質を検出できることを示している。
【0091】
〔実施例4〕抗MELKモノクローナル抗体の可変領域のアミノ酸配列の分析
本発明の抗MELK抗体(OTSMAb01)の可変領域のアミノ酸配列を分析した。
RNeasy mini kit(QIAGEN)を用いて、総RNAをハイブリドーマOTSMAb01から抽出した。Super Script II Reverse Transcriptase(Invitrogen)を用いて、総RNAからcDNAを合成した。cDNA合成用のプライマーは以下の通りである。
重鎖3'プライマーのmIGCUniRv:
5'-CTGGGAAGGTGTGCACAC-3'(SEQ ID NO:16)
軽鎖3'プライマーのmIGKRv2:
5'-GTTGTTCAAGAAGCACACGAC-3'(SEQ ID NO:17)
5' RACE System for Rapid Amplification of cDNA Ends(Invitrogen)を用いてcDNA末端にdCのポリマーを付加し、Platinum Taq DNA Polymerase High Fidelity(Invitrogen)を用いて、モノクローナル抗体の可変領域をコードするポリヌクレオチドを増幅した。増幅用のプライマーは以下の通りである。プライマー配列中の塩基「I」は、イノシンを示す。
重鎖5'および軽鎖5'プライマーの5' RACE Abridged Anchor Primer:
5'-GGCCACGCGTCGACTAGTACGGGIIGGGIIGGGIIG-3'(SEQ ID NO:18)、
重鎖3'プライマーのmIGCUniRv2:
5'-TGGACAGGGATCCAGAGTTCC-3'(SEQ ID NO:19)、ならびに
軽鎖3'プライマーのmIGKNesRv2:
5'-CAGATGTTAACTGCTCACTGGATGG-3'(SEQ ID NO:20)。
PCR産物をpGEM-T Easy Vector(Promega)にクローニングした。挿入断片領域を配列決定し、OTSMAb01の可変領域(シグナル配列を除く)の核酸配列を決定した。
【0092】
マウスモノクローナル抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列および核酸配列は以下のように決定された。
OTSMAb01、重鎖可変領域アミノ酸配列(シグナル配列を除く):
EVQLQQSGAELVRPGALVKLSCKASGFNIKDYYMHWVKQRPEQGLEWIGWIDPENGNTIYDPKFQGKASVTADTSSNTAYLQLSSLTSEDTAVYYCTSHHYSAMDYWGQGTSVTVSS(SEQ ID NO:7)(SEQ ID NO:10に示される核酸配列によってコードされる)
OTSMAb01、重鎖可変領域核酸配列:
5'-GAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGGGGCTGAGCTTGTGAGGCCAGGGGCCTTAGTCAAGTTGTCCTGCAAAGCTTCTGGCTTCAACATTAAAGACTACTATATGCACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGAACAGGGCCTGGAGTGGATTGGATGGATTGATCCTGAGAATGGTAATACTATATATGACCCGAAGTTCCAGGGCAAGGCCAGTGTAACAGCAGACACATCCTCCAACACAGCCTACCTGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCCGTCTATTACTGTACTAGTCACCATTACTCTGCTATGGACTACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCA-3'(SEQ ID NO:10)
OTSMAb01、軽鎖可変領域アミノ酸配列(シグナル配列を除く):
DVVMTQTPLSLPVSLRDQASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLIISRVEAEDLGVYFCSQSTYVPLTFGAGTKLELKRAD(SEQ ID NO:8)(SEQ ID NO:11に示される核酸配列によってコードされる)
OTSMAb01、軽鎖可変領域核酸配列:
5'-GATGTTGTGATGACCCAAACTCCACTCTCCCTGCCTGTCAGTCTTAGAGATCAAGCCTCCATCTCTTGCAGATCTAGTCAGAGCCTTGTACACAGTAATGGAAACACCTATTTACATTGGTACCTGCAGAAGCCAGGCCAGTCTCCAAAACTCCTGATCTACAAAGTTTCCAACCGATTTTCTGGGGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGACAGATTTCACACTCATAATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATCTGGGAGTTTATTTCTGCTCTCAAAGTACATATGTTCCGCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAACGGGCTGAT-3'(SEQ ID NO:11)
【0093】
Kabatの定義によって決定された本発明の抗体(OTSMAb01)のCDR配列は以下の通りである。
重鎖CDR1(CDR-H1):DYYMH(SEQ ID NO:1);
重鎖CDR2(CDR-H2):WIDPENGNTIYDPKFQG(SEQ ID NO:2);
重鎖CDR3(CDR-H3):HHYSAMDY(SEQ ID NO:3);
軽鎖CDR1(CDR-L1):RSSQSLVHSNGNTYLH(SEQ ID NO:4);
軽鎖CDR2(CDR-L2):KVSNRFS(SEQ ID NO:5);および
軽鎖CDR3(CDR-L3):SQSTYVPLT(SEQ ID NO:6)
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、臨床検体などの対象から単離された試料におけるMELKタンパク質を高い特異性で検出できる抗MELK抗体を作製することに成功した。本発明の抗MELK抗体を用いることにより、高感度かつ低バックグラウンドで試料中のMELKタンパク質を検出することができる。したがって、本発明の抗体は、MELKを発現するがん等のMELK関連疾患の診断に有用である。また、本発明の抗体は、試料中のMELKの発現量に応じたMELKの検出が可能であることから、MELK阻害剤による治療効果の高い対象のスクリーニング(治療前診断)や、対象におけるMELK阻害剤による治療後の薬効の判定(治療後診断)においても有用である。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
【配列表】
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