(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】改良型ドア制御システム
(51)【国際特許分類】
E05C 17/22 20060101AFI20220627BHJP
E05F 15/622 20150101ALI20220627BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
E05C17/22 A
E05F15/622
B60J5/04 K
(21)【出願番号】P 2019529855
(86)(22)【出願日】2017-12-01
(86)【国際出願番号】 CA2017051455
(87)【国際公開番号】W WO2018098594
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-11-30
(32)【優先日】2016-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516097332
【氏名又は名称】ウォーレン インダストリーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ミウ トライアン
(72)【発明者】
【氏名】イングリッシュ ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】バンジョンパニス パジ
(72)【発明者】
【氏名】ブロードヘッド ダグラス
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0020893(US,A1)
【文献】特開2008-280727(JP,A)
【文献】国際公開第2008/100233(WO,A2)
【文献】特開2014-080848(JP,A)
【文献】特開2000-160902(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0376545(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 17/22
E05F 5/00
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体及び車両ドアを有する車両用の車両ドア制御システムであって、
前記車体及び車両ドアのうちの一方に接続された第1の端部を有するプッシュロッドと、
少なくともその一部が前記車体及び車両ドアの他方に接続されるロック装置と、
を備え、
前記ロック装置は、ロック装置リードスクリューと、前記ロック装置リードスクリューに取り付けられたロック装置リードスクリューナットと、ロック装置リードスクリューナット案内経路を含むロック装置ハウジングと、ロック装置リードスクリューブレーキとを含み、
前記プッシュロッドは、前記ロック装置リードスクリューナットに接続された第2の端部を有し、前記ロック装置リードスクリューナットは、回転に対して拘束されているが、前記プッシュロッドの移動によって前記ロック装置リードスクリューナット案内経路に沿って滑動可能であり、これにより前記ロック装置リードスクリューの回転が引き起こされ、
前記ロック装置リードスクリューブレーキは、前記ロック装置リードスクリューブレーキが前記ロック装置リードスクリューの回転を阻止する制動位置と、前記ロック装置リードスクリューブレーキが前記ロック装置リードスクリューの回転を許容する解放位置とに位置決め可能であ
り、
前記プッシュロッドは、前記リードスクリューナットと前記車体及び前記車両ドアの一方とに枢動可能に接続されていることを特徴とする車両ドア制御システム。
【請求項2】
前記ロック装置リードスクリューブレーキは、クラッチパックを含む、請求項1に記載の車両ドア制御システム。
【請求項3】
前記ロック装置リードスクリューブレーキは、モータと、前記モータによって移動可能であり、前記クラッチパックを選択的に圧縮して前記ロック装置リードスクリューの回転を阻止するクラッチパック圧縮部材とを更に含む、請求項2に記載の車両ドア制御システム。
【請求項4】
前記モータはモータリードスクリューに動作可能に接続され、前記モータリードスクリューは、その上にモータリードスクリューナットを有し、前記ロック装置ハウジングは、モータリードスクリューナット案内経路を含み、前記モータリードスクリューナットは、回転が拘束されているが、前記モータの回転によって前記モータリードスクリューナット案内経路に沿って滑動可能であり、前記モータリードスクリューナットは、前記クラッチパック圧縮部材に動作可能に接続されて、前記モータを前記クラッチパック圧縮部材に動作可能に接続する、請求項3に記載の車両ドア制御システム。
【請求項5】
前記モータの動作を制御するコントローラを更に備える、請求項4に記載の車両ドア制御システム。
【請求項6】
前記ドアの移動を検出するように位置決めされたドア移動センサを更に備え、前記コントローラは、前記ドア移動センサから前記ドアの移動を示す信号を受信するようにプログラムされている、請求項
5に記載の車両ドア制御システム。
【請求項7】
前記ドア移動センサは、前記リードスクリューの回転を検出するように位置決めされている、請求項
6に記載の車両ドア制御システム。
【請求項8】
前記
ドアの位置を示す信号を前記コントローラに送信するように位置決めされたドア力センサを更に備える、請求項
5に記載の車両ドア制御システム。
【請求項9】
前記ロック装置リードスクリューとリードスクリュー出力部材との間に動作可能に接続された少なくとも1つのバネを更に備え、前記リードスクリュー出力部材は、前記クラッチパックに接続されている、請求項
8に記載の車両ドア制御システム。
【請求項10】
第1の目標経路と、第2の目標経路と、前記ロック装置リードスクリューナットの第1の部分に接続され前記第1の目標経路に沿って移動可能な第1の目標物と、前記ロック装置リードスクリューナットの第2の部分に接続され前記第2の目標経路に沿って移動可能な第2の目標物と、を含むドア力センサを更に備え、
前記ロック装置リードスクリューナットの前記第1の部分は、前記ロック装置リードスクリューに取り付けられ、前記ロック装置リードスクリューナットの前記第2の部分は、前記ロック装置リードスクリューナットの前記第1の部分に対して移動可能であって前記ロック装置リードスクリューナットの前記第1の部分にリードスクリューナットバネを介して動作可能に接続され、前記プッシュロッドの前記第2の端部は、前記ロック装置リードスクリューナットの前記第2の部分に接続されており、
前記第1の目標物は、前記ロック装置リードスクリューナットの前記第1の部分と共に移動するように接続され、前記第2の目標物は、前記ロック装置リードスクリューナットの前記第2の部分と共に移動するように接続されており、
前記ロック装置リードスクリューブレーキが前記制動位置に位置決めされているとき、前記車両ドアの移動により前記プッシュロッドを介して前記ロック装置リードスクリューナットの前記第1の部分と前記ロック装置リードスクリューナットの前記第2の部分との間に相対移動をもたらして、第1の導電性目標物と第2の導電性目標物との間に相対移動を生じさせ、
前記ドア力センサは、前記第1及び第2の導電性目標物の位置を示す信号を前記コントローラへ送信するように前記コントローラに接続され、前記コントローラは、前記モータの動作を、前記第1及び第2の導電性目標物の相対位置の差に少なくとも部分的に基づいて制御するようにプログラムされている、請求項
5に記載の車両ドア制御システム。
【請求項11】
前記第1の目標経路に沿う第1の誘導コイル配列と、前記第2の目標経路に沿う第2の誘導コイル配列とを含むドア力センサを更に備え、前記第1の目標物は第1の導電性目標物であり、第2の目標物は第2の導電性目標物である、請求項
10に記載の車両ドア制御システム。
【請求項12】
車体及び車両ドアを有する車両用の車両ドア制御システムであって、
前記車体及び前記車両ドアの一方に接続された第1の端部を有するプッシュロッドと、
少なくともその一部が前記車体及び前記車両ドアの他方に取り付けられたロック装置と、
を備え、
前記ロック装置が、ロック装置トラベラー案内経路に沿って移動可能なロック装置トラベラーと、ロック装置ブレーキとを含み、
前記プッシュロッドは、前記ロック装置トラベラーに接続された第2の端部を有し、前記ロック装置トラベラーは、前記プッシュロッドの移動によって前記ロック装置トラベラー案内経路に沿って移動可能であり、
前記ロック装置ブレーキは、前記ロック装置ブレーキが前記ロック装置トラベラーの移動を阻止する制動位置と、前記ロック装置ブレーキが前記ロック装置トラベラーの移動を許容する解放位置とに位置決め可能であり、
前記車両ドア制御システムが更に、
前記ロック装置ブレーキを前記制動位置と前記解放位置との間で移動させるように動作可能なモータと、
前記モータの動作を制御するコントローラと、
第1の目標経路と、第2の目標経路と、前記ロック装置トラベラーの第1の部分に接続され前記第1の目標経路に沿って移動可能な第1の目標物と、前記ロック装置
トラベラーの第2の部分に接続され前記第2の目標経路に沿って移動可能な第2の目標物とを含むドア力センサと、
を備え、
前記ロック装置トラベラーの前記第1の部分は、トラベラー経路に沿った移動に対して拘束され、前記ロック装置トラベラーの前記第2の部分は、前記ロック装置トラベラーの前記第1の部分に対して移動可能であって前記ロック装置トラベラーの前記第1の部分にトラベラーバネを介して動作可能に接続され、
前記プッシュロッドの前記第2の端部は、前記ロック装置トラベラーの前記第2の部分に接続されており、
前記第1の目標物は、前記ロック装置トラベラーの前記第1の部分と移動するように接続され、前記第2の目標物は、前記ロック装置トラベラーの前記第2の部分と移動するように接続されており、
前記ロック装置ブレーキが前記制動位置に位置決めされると、前記車両ドアの移動により前記プッシュロッドを介して前記ロック装置トラベラーの前記第1の部分と前記ロック装置トラベラーの前記第2の部分との間に相対移動をもたらして、前記第1の目標物と前記第2の目標物との間に相対移動を生じさせ、
前記ドア力センサは、前記第1及び第2の目標物の位置を示す信号を前記コントローラへ送信するように前記コントローラに接続され、前記コントローラは、前記モータの制御動作を、前記第1及び第2の目標物の相対位置の差に少なくとも部分的に基づいて制御するようにプログラムされている、ことを特徴とする車両ドア制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概略的には、車両ドアチェックシステムに関し、より詳細には、ドアが制止されることになる位置をユーザが選択できるドアチェックシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両ドアは、典型的には、全閉位置と全開位置との間で旋回して、乗客が車両に出入りするのを可能にする。ドアチェックシステムは、典型的には、利便性のため1又は複数の中間保持位置をドアに与えるために利用されている。しかしながら、従来のドアチェックシステムには、幾つかの欠陥がある。例えば、ドアチェックシステムによって提供される中間位置は、車両に出入りするのに十分な余裕を車両ユーザに与えないか、又は中間位置が外側に大きく離れて位置決めされてドアが隣接する駐車車両(例えば、モールの駐車場内)に衝突する危険性があるという点で、不便である場合がある。
【0003】
特許文献には、全開位置と全閉位置との間でドアを保持する中間位置の選択に関して、無限調整を可能にするドアチェックシステムが幾つか提案されている。このようなシステムは、場合によっては複雑で、デブリによる汚染に起因して故障する傾向があり、大型になり、車両ドアの内部で利用可能な既に制限されたスペース量に大幅に割り込む可能性がある。上述の問題又は従来技術のドアチェックシステムに関連する他の問題のうちの1又は2以上に少なくとも部分的に対処するドアチェックシステムを提供することが有利となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの態様では、車体及び車両ドアを有する車両用の車両ドア制御システムが提供される。車両ドア制御システムは、プッシュロッド及びロック装置を含む。プッシュロッドは、車体及び車両ドアのうちの一方に接続された第1の端部を有する。ロック装置の少なくとも一部分は、車体及び車両ドアの他方に接続されている。ロック装置は、ロック装置リードスクリューと、ロック装置リードスクリューに取り付けられたロック装置リードスクリューナットと、ロック装置リードスクリューナット案内経路を含むロック装置ハウジングと、ロック装置リードスクリューブレーキとを含む。プッシュロッドは、ロック装置リードスクリューナットに接続された第2の端部を有する。ロック装置リードスクリューナットは、回転に対して拘束されているが、プッシュロッドの移動によってロック装置リードスクリューナット案内経路に沿って滑動可能であり、これによりロック装置リードスクリューの回転が生じる。ロック装置リードスクリューブレーキは、ロック装置リードスクリューブレーキがロック装置リードスクリューの回転を阻止する制動位置と、ロック装置リードスクリューブレーキがロック装置リードスクリューの回転を許容する解放位置とに位置決め可能である。
【0005】
別の態様では、車体及び車両ドアを有する車両用の車両ドア制御システムが提供される。車両ドア制御システムは、車体及び車両ドアのうちの一方に接続された第1の端部を有するチェックアームと、チェックアームキーパーとを含む。チェックアームキーパーの少なくとも一部分は、車体及び車両ドアの他方に接続されている。チェックアームキーパーは、プランジャカム面を有する少なくとも1つのプランジャと、プランジャカム面と係合するプランジャ駆動カム面を有するプランジャ駆動カムとを含む。プランジャ駆動カムが第1の回転方向で回転することにより、少なくとも1つのプランジャによってチェックアームに加わる制動力が増大し、プランジャ駆動カムが第2の回転方向に回転することにより、少なくとも1つのプランジャによってチェックアームに加わる制動力が減少する。
【0006】
別の態様では、車体及び車両ドアを有する車両用の車両ドア制御システムが提供される。車両ドア制御システムは、プッシュロッド、ロック装置、モータ、コントローラ及びドア力センサを含む。プッシュロッドは、車体及び車両ドアのうちの一方に接続された第1の端部を有する。ロック装置の少なくとも一部分は、車体及び車両ドアの他方に取り付けられる。ロック装置は、ロック装置トラベラー案内経路に沿って移動可能なロック装置トラベラーと、ロック装置ブレーキとを含む。プッシュロッドは、ロック装置トラベラーに接続された第2の端部を有する。ロック装置トラベラーは、プッシュロッドの移動によってロック装置トラベラー案内経路に沿って移動可能である。ロック装置ブレーキは、ロック装置ブレーキがロック装置トラベラーの移動を阻止する制動位置と、ロック装置ブレーキがロック装置トラベラーの移動を許容する解放位置とに位置決め可能である。モータは、ロック装置ブレーキを制動位置と解放位置との間で移動させるように動作可能である。コントローラは、モータの動作を制御する。ドア力センサは、第1の目標経路及び第2の目標経路と、ロック装置トラベラーの第1の部分に接続され第1の目標経路に沿って移動可能な第1の目標物と、ロック装置リードスクリューナットの第2の部分に接続され第2の目標経路に沿って移動可能な第2の目標物とを含む。ロック装置トラベラーの第1の部分は、トラベラー経路に沿った移動に対して拘束され、ロック装置トラベラーの第2の部分は、ロック装置トラベラーの第1の部分に対して移動可能であって、ロック装置トラベラーの第1の部分にトラベラーバネを介して動作可能に接続されている。プッシュロッドの第2の端部は、ロック装置トラベラーの第2の部分に接続されている。第1の目標物は、ロック装置トラベラーの第1の部分と移動するように接続され、第2の目標物は、ロック装置トラベラーの第2の部分と移動するように接続されている。ロック装置ブレーキが制動位置に位置決めされると、車両ドアの移動により、プッシュロッドを介してロック装置トラベラーの第1の部分とロック装置トラベラーの第2の部分との間に相対移動が生じて、第1の目標物と第2の目標物との間に相対移動が生じる。ドア力センサは、コントローラに接続され、第1及び第2の目標物の位置を示す信号をコントローラへ送信するようされている。コントローラは、第1及び第2の目標物の互いに対する位置の差に少なくとも部分的に基づいてモータの制御動作を制御するようにプログラムされている。
【0007】
本明細書に記載された様々な実施形態をよりよく理解し、これらが実施形態をどのように実施できるかをより明確に示すために、単なる例証として添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態による車両ドア及び車両ドア制御システムを備えた車両の斜視図である。
【
図2】
図1に示した車両ドア制御システムの斜視図である。
【
図3】より明確にするために特定の構成部品を取り除いた
図2に示した車両ドア制御システムの分解斜視図である。
【
図4】
図2に示した車両ドア制御システムの端面図である。
【
図5】解放位置における、
図2に示した車両ドア制御システムの斜視切欠図である。
【
図6】制動位置における、
図2に示した車両ドア制御システムの斜視切欠図である。
【
図7】
図2に示した車両ドア制御システム用のブレーキの一部であるクラッチパックの分解斜視図である。
【
図8】
図7に示したクラッチパックの斜視図である。
【
図9】力伝達バネを組み込んだ
図2に示した車両ドア制御システムの一部である、力伝達構造の分解斜視図である。
【
図10】本開示の別の実施形態によるドア制御システムの斜視図である。
【
図11】
図10に示したドア制御システムの分解斜視図である。
【
図12】
図10に示したドア制御システムの他の分解斜視図である。
【
図13】完全制動位置における
図10に示したドア制御システムの側断面図である。
【
図14】解放位置における
図10に示したドア制御システムの側断面図である。
【
図15】本開示の別の実施形態によるドア制御システムの斜視図である。
【
図16】
図15に示したドア制御システムの分解斜視図である。
【
図17】
図15に示したドア制御システムの一部の分解斜視図である。
【
図18】本開示の別の実施形態によるドア制御システムの斜視図である。
【
図22】
図18に示したドア制御システムの一部の斜視図である。
【
図23】
図18に示したドア制御システムの一部の断面斜視図である。
【
図24】本開示の別の実施形態によるドア制御システムの斜視図である。
【
図25】構成部品を透過して示した、
図24に示したドア制御システムの一部の斜視図である。
【
図26】
図24に示したドア制御システムの一部の他の斜視図である。
【
図27】
図24に示したドア制御システムの一部の他の斜視図である。
【
図28】車両ドアに開始力が加わっていないときの第1及び第2のセンサ目標を示す、
図24に示したドア制御システムの一部の別の斜視図である。
【
図29】ドアがドア制御システムによって選択位置に保持されている間に、車両ドアに開始力を第1の方向に加えたときの第1及び第2のセンサ目標を示す、
図24に示したドア制御システムの一部の別の斜視図である。
【
図30】ドアがドア制御システムによって選択位置に保持されている間に、車両ドアに開始力を第2の方向に加えたときの第1及び第2のセンサ目標を示す、
図24に示したドア制御システムの一部の別の斜視図である。
【
図31】車両ドアに開始力を加えていないときの
図24に示したドア制御システムの一部であるドア力センサの平面図である。
【
図32】車両ドアが新しい位置に移動したときの
図31に示したドア力センサの平面図である。
【
図33】車両ドアに開始力を加えていないときの
図24に示したドア制御システムの一部であるリードスクリューナットの一部の側断面図である。
【
図34】ドアがドア制御システムによって選択位置に保持されている間に第1の方向に車両ドアに開始力を加えられたときの、
図33に示したリードスクリューナットの一部の側断面図である。
【
図35】ドアがドア制御システムによって選択位置に保持されている間に第2の方向に車両ドアに開始力を加えたときの、
図33に示したリードスクリューナットの一部の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態による、車体14と、ドア枢動軸線ADを中心に枢動するようにヒンジ17を介して車体14に枢着された車両ドア16と、を備えた車両12用の車両ドア制御システム10を示す
図1を参照する。車両12は、縦軸A
LONG及び横軸A
LATを有する。
【0010】
幾つかの実施形態では、車両ドア制御システム10は、全開位置と全閉位置との間のドア移動範囲内のどこかのユーザ選択可能な位置でドア16を停止させることができる。幾つかの実施形態では、ドア制御システム10は、前述した移動範囲内の任意の場所でドア16を停止(チェック)させることができ、無限のドアチェック(停止)機能をもたらす。他の実施形態では、ドア制御システム10は、前述した移動範囲内の1又は複数の離散位置の中から選択された、ユーザ選択可能な位置でドア16を停止させることができる。
【0011】
図2を参照すると、ドア制御システム10は、プッシュロッド20及びロック装置22を含む。プッシュロッド20は、車体14及び車両ドア16の一方に接続された第1の端部24を有する。図示した実施形態では、第1の端部24は、車体16に取り付けられた取付けブラケット26によって車体16に枢軸可能に接続され、取付けブラケット26は、プッシュロッド20の第1の端部24にてアパーチャ30を貫通するピン28を保持する。
【0012】
図3を参照すると、ロック装置22は、ロック装置リードスクリュー32、ロック装置ネジナット34、ロック装置ハウジング36(
図2)、及びロック装置リードスクリューブレーキ38を含む。
【0013】
ロック装置リードスクリューナット34は、リードスクリュー上のナットに特有なように、ロック装置リードスクリュー32に取り付けられる。図示した実施形態では、ロック装置リードスクリュー32は、符号37で示される外部リードスクリュー雄ネジ37(
図4)を有し、ロック装置リードスクリューナット34は、リードスクリュー雄ネジ37と噛み合うリードスクリュー雌ネジ39を有する。
【0014】
プッシュロッド20は、ロック装置リードスクリューナット34に少なくとも間接的に接続される第2の端部40を有する。
図3に示した例では、プッシュロッドとリードスクリューナットとの間の接続部が、符号42で示されている。接続部42は、複数の箇所での位置合わせ不良に対してある程度の許容誤差を含む。例えば、中間部材44が設けられ、これは、プッシュロッド20の第2の端部40に枢動可能に接続される(ピン接続部43を介して)。中間部材44自体は、横方向アームピン50内の容器48(
図4)内に延びるピン46を有し、横方向アームピン50は、リードスクリューナット34の両側にあるスロット52(
図3)から延びている。横方向アームピン50は、ハウジング36に含まれるロック装置リードスクリューナット案内経路54内に延びている。図示した例では、案内経路54は、ハウジング36において、リードスクリュー32の軸線と平行に延びるスロット55によって形成されている。中間部材44自体は、ハウジング36に含まれる中間部材案内経路56と係合する。案内経路56は、中間部材44のスロット58内に延びる一対の突起57によって形成することができ、スロット58は、リードスクリュー32の軸線と平行に延びている。
【0015】
接続部42を設けることによって、ロック装置22には、プッシュロッド20の第2の端部40の位置とリードスクリューナット34の位置との間に生じる可能性がある複数のタイプの位置合わせ不良に対して許容性がある。そうでない場合には、このような位置合わせ不良は、ナット34がリードスクリュー32上で固着を引き起こすことで、リードスクリュー32上でのハブ34の移動が妨げられ、これにより車両ドア14の開閉が妨げられる可能性がある。
【0016】
ロック装置リードスクリューナット34は、回転が拘束されているが(アームピン50とスロット55との係合により)、プッシュロッド20の移動によってロック装置リードスクリューナット案内経路54に沿って滑動可能である。ナット34のリードスクリュー32に沿った移動(すなわち並進)により、ロック装置リードスクリュー32の回転が引き起こされる。
【0017】
ロック装置リードスクリューブレーキ38は、該ロック装置リードスクリューブレーキ38がロック装置リードスクリュー32(
図6)の回転を阻止する制動位置と、ロック装置リードスクリューブレーキ38がロック装置リードスクリュー32の回転を許容する解放位置(
図5)と、に位置決め可能である。ブレーキ38は、クラッチパック60、モータ62、モータ62によって移動可能であってクラッチパック50を選択的に圧縮してロック装置リードスクリュー32の回転を阻止するクラッチパック圧縮部材66、及びコントローラ68を含むことができる。
【0018】
図7を参照すると、クラッチパック60は、複数のクラッチディスク72と交互に配置された複数のクラッチプレート70を含む。クラッチプレート70は、正方形の外面形状であり且つハウジング36の内壁との係合に起因して、回転不能である。クラッチディスク72は、リードスクリュー32に動作可能に接続されている。圧縮部材66が
図5に示した非圧縮位置に移動したときに、クラッチプレート70が離間して広がるのを確保するために、スペーサバネ74を設けることができる。
【0019】
クラッチパック60が圧縮部材66によって圧縮されると(
図6)、クラッチディスク72が回転を阻止されることにより、リードスクリュー32が回転するのが阻止され、これにより車両ドア14を特定位置に保持するようにする。クラッチパック60が非圧縮状態であるときに(
図5)、クラッチディスク72は回転が可能となることで、リードスクリュー32の回転が許容され、これにより車両ドア14を移動させることが可能となる。クラッチパック60に加わる圧縮量により、クラッチプレート70とクラッチディスク72との間に加わる抵抗(摩擦)力の量が制御されることに留意されたい。従って、加えられる圧縮量を選択することによって、車両ドア14に作用するチェック力を調整することができる。これにより、例えばドアを突然停止させるのではなく漸次的に減速させることが望ましい場合、車両ドア14に作用するチェック力が、選択された変化率で加えられるようになる。
【0020】
モータ62は、モータリードスクリュー80がその上に装着されるモータ出力シャフト69を有する。こうして、モータ62は、モータリードスクリュー80に動作可能に接続される。モータリードスクリュー80は、その上にモータリードスクリューナット82を有する。モータリードスクリューナット82は、ハウジング36によって又はクラッチパック圧縮部材66との係合によるなど、任意の適切な手段によって回転が妨げられるが、モータ62の回転によってモータリードスクリューナット経路に沿って並進可能である。モータリードスクリューナット82がクラッチパック圧縮部材66に接続されることにより、モータ62は、クラッチパック圧縮部材66に動作可能に接続される。
【0021】
モータ62を回転させてナット82ひいてはクラッチパック圧縮部材66を内側に引っ張ることにより、クラッチパック60の圧縮が生じ、リードスクリュー32に加わる制動力が増大し、従って、車両ドア14に加わるチェック力を増大させるようになる。
【0022】
モータ62を回転させてナット82ひいてはクラッチパック圧縮部材66を外側に押し進めることにより、クラッチパック60の圧縮が減少して、リードスクリュー32に加わる制動力が減少し、従って車両ドア14に加わるチェック力を減少させるようになる。
【0023】
コントローラ68は、モータ62の動作を制御する。コントローラ68は、車両12内の他のコントローラから信号を受信することができ、又は他の何れかのコントローラから実質的に独立して動作することができる。コントローラ68は、1又は複数のセンサから信号を受信して、取るべき措置を決定することができる。例えば、ドア位置センサ84を設けて、コントローラ68にドア14の位置を示すことができる。ドア位置センサ84は、例えば、コントローラ68の回路基板に取り付けられたホール効果センサとすることができ、リードスクリュー32の一端のディスクの周囲に設けられた一連の磁石86を検出するように位置決めすることができる。コントローラ68は、車両ドア14を閉じたときにリードスクリュー32のホームポジションから離れる方向に回転した回数をカウントして、ドア14の現在位置を決定することができる。リードスクリュー32上にあるディスクの円周上における磁石の数により、センサ84の分解能が決定される。この磁石の数は、適切に選択したあらゆる値とすることができる。ドア移動センサ84はまた、ドア14が移動している速度を決定するのに使用可能である。コントローラ62は、この情報を使用して、ドア14の速度を制御するためにクラッチパック60を介してどれほどの制動力が加わるかを決定することができる。
【0024】
ブレーキ38が制動位置にあるとき(
図5)、コントローラ62は、ユーザがドア14を移動するのを可能にするためにドア14に作用するチェック力を解放するのに適切な時期を決定するあらゆる適切な手段を使用することができる。例えば、コントローラ62は、ドアを特定の位置から離れるように移動させるために、ユーザがドア14にどれくらいの力(開始力と呼ぶ)を加えているかを決定するよう構成することができる。ユーザが少なくとも選択された開始力を加えたとコントローラ62が判断した場合、コントローラ62は、圧縮部材66を選択された位置に移動させるようモータ62を制御することによって、ドア14に作用するチェック力を部分的又は完全に解放するようにプログラムすることができる。
【0025】
ユーザによってドア14に加えられる力の量を決定するために、ドア制御システム10は、符号88で示されるドア力センサを使用することができる。出力部材90上にある磁石91の検出を介してリードスクリュー出力部材90(
図7)の回転位置を検出するよう、ドア力センサ88は、前述の回路基板に取り付けられ位置決めされた別のホール効果センサとすることができる。リードスクリュー出力部材90は、クラッチディスク82と直接係合する。図示した例では、クラッチディスク82は各々、出力部材90の外面98上の第2の平坦部96と係合する第1の平坦部94を有するアパーチャ92を有する。リードスクリュー出力部材90は、少なくとも1つの力伝達バネ99(
図9)を介してリードスクリュー32と係合する。図示した例では、4つの力伝達バネ99がある。図示した例では、リードスクリュー32は、各バネ99の第1の端部と係合する第1の力伝達面102を有する延長部材100を有する。リードスクリュー出力部材90は、各バネ99の第2の端部と係合する第2の力伝達面104を有する。少なくとも1つの力伝達バネ99が存在することに起因して、ドア14に力が加わると、リードスクリュー32(
図8)がリードスクリュー出力部材90に対して幾らか僅かな量の回転が存在する。この移動は、ドア移動センサ84からの信号とドア力センサ88からの信号とを比較することにより、コントローラ68によって検出可能である。例えば、クラッチパックが強く締め付けられているときには、ドア力センサによって移動が検出されないが、ユーザがドア14に幾らかの量の力を加えると、ドア移動センサ84によって選択された角度方向の移動を検出することができる。検出された相対角移動が十分に大きい場合には、コントローラ68は、ユーザが十分に高い開始力を加えたと判断することができ、コントローラ68は、ドアに加わるチェック力を減少させる(任意にゼロまで減少させる)ようモータ62に命令することができる。
【0026】
任意選択的に、圧縮部材位置センサ106(
図8)が設けられ、すなわち、前述した回路基板(符号107で示される)に取り付けられ位置決めされて圧縮部材の位置を決定し、これは、クラッチパック60を介して加えられる制動力の量及びひいてはドア14に加わるチェック力の量を決定するのに用いることができる。圧縮部材位置センサ106は、モータ出力シャフト69のディスク上に設けられた磁石108を検出するように位置決めされたホール効果センサとすることができる。コントローラ68は、圧縮部材位置センサ106から信号を受信し、これらの信号に少なくとも部分的に基づいて選択された制動力を与えるために、モータ62を駆動する方法を決定することができる。圧縮部材位置センサ106はまた、チェック力センサとも呼ばれる場合がある。
【0027】
ドア制御システム10の利点は、ハウジング36の外側の空間を通って移動及び掃引する部品がないという意味で、本質的に固定容積の占有面積を有することである。これは、本発明のシステム10は、他の構成部品が利用可能な空間が比較的小さい可能性があるドア内の占有空間がより少ない点で、チェックアームキーパーを通過するチェックアームに頼る一般的なドアチェックよりも有利である。典型的には、技術者は、移動するドア内の要素の周囲により大きなクリアランス量を提供する必要があるのに対して、移動しないハウジングを有する要素は、ドア内の他の構成部品の近くに位置決めすることができる。
【0028】
本開示の別の実施形態によるドア制御システム200が示された、
図10を参照する。ドア制御システム200は、チェックアーム202及びチェックアームキーパー204を含む。チェックアーム202は、
図1及び
図2に示したブラケット20及びピン28と同様のブラケット203及びピン205を任意選択的に使用して、車両ドア14及び車体16の一方に取付け可能(例えば、枢動可能に取付け可能)な第1の端部206を有する。チェックアーム202は、チェックアームキーパー204からの離脱を防止するためのストップ207を有する。
図11を参照すると、チェックアームキーパー204は、車両ドア14及び車体16の他方に取り付けられる。チェックアームキーパー204は、チェックアームキーパーハウジング206、第1のプランジャ208、任意選択の第2のプランジャ210、プランジャ駆動カム212、及び駆動カムアクチュエータ214を含む。チェックアームキーパーハウジング206は、取付けブラケット216を介して車両ドア14及び車両本体16の他方に固定的に取り付けることができる。図示した例では、チェックアーム202は、車体16に取り付けられ、チェックアームキーパー204は、車両ドア14に取り付けられる。
【0029】
第1及び第2のプランジャ208及び210は、完全制動位置(
図13)と解放位置(
図14)との間でプランジャ軸線Ap(
図13及び
図14)に沿って移動可能である。プランジャ208及び210は、各プランジャ208及び210上の平坦部211が、ハウジング206上に固定的に接続されたハウジング206上の隣接する平坦部213と係合することに起因して、軸線Apに沿って並進できるが回転できない。完全制動位置では、プランジャ208及び210は、チェックアーム202に制動力を加え、これによりドア14を所定位置に保持する。解放位置では、プランジャ208及び210は、ドア14が自由に移動できるように、チェックアーム202内に移動されない(チェックアーム202から離間しは配置することができる)。
【0030】
第1及び第2のプランジャ208及び210は各々、プランジャカム面218を有する。プランジャ駆動カム212は、各プランジャカム面218に隣接してプランジャ駆動カム面220を有する。プランジャ駆動カム212は、第1の回転方向D1(
図11及び
図12)で回転可能であり、これによりカム面220がプランジャカム面218に向かって追い出され、プランジャ208及び210がチェックアーム202に向かって移動させ、且つ漸次的に増大する制動力をチェックアーム202に加えるようにする。プランジャ駆動カム212が第1の回転方向で連続して回転することで、チェックアーム202に作用する制動力が増大する。完全制動位置から離れるように第2の回転方向D2で回転すると、プランジャ208及び210によってチェックアーム202に作用する制動力が漸次的に減少する。第1のプランジャ208は、チェックアーム202の第1の側面250(
図13及び
図14)と係合可能であり、第2プランジャ210は、チェックアーム202の第1の側面250と反対側にある第2の側面252と係合可能であることに留意されたい。
【0031】
モータ214は、プランジャ駆動カム212を第1及び第2の回転方向に駆動するのに使用される。この目的のために、モータ214は、ウォーム232がそこに存在するモータ出力シャフト230を有する。ウォーム232は、プランジャ駆動カム212上にある扇形ギア234(
図12)と係合する。モータ出力シャフト230が第1の方向で回転すると、プランジャ駆動カム212が第1の回転方向D1で回転する。モータ出力シャフトが第2の方向で回転すると、プランジャ駆動カム212は第2の回転方向D2で回転する。モータ取付けブラケット231は、モータをハウジング206に保持するのを助けるのに設けることができる。
【0032】
ドア制御システム200を組み立てるために、作業者は、プランジャ208及び210をプランジャ駆動カム212内に配置し、次いでその部分組立品を
図11及び
図12にて符号240で示されるアパーチャを通してハウジング206内に配置する。次いで、作業者は、ハウジング206の別部品であるキャップ242を用いてアパーチャ240を閉鎖することができる。モータ214は、ブラケット231を用いてハウジング内に設置することができる。
【0033】
ドア制御システム200は、図示したような直線状のチェックアーム202と、幾つかの実施形態において有利とすることができる湾曲チェックアーム202とを収容できることに留意されたい。
【0034】
ドア制御システム300を示す
図15を参照し、ここでシステム300は、チェックアーム202と同様のチェックアーム302と、チェックアームキーパー204と同様とすることができるチェックアームキーパー304とを含み、ただし、チェックアームキーパー304は、符号314(
図16)で示されるモータと、符号312で示されるプランジャ駆動カムとの間に符号360で示される二重遊星ギア列を含み、プランジャ駆動カムは、プランジャ208及び210並びにチェックアーム202と同様の方式で、プランジャ308及び310をチェックアーム302と係合又は係合解除させる。符号306で示されるハウジングは、遊星ギア列360の一部であるリングギア370を含む。モータ314の出力シャフト382上のギア380は、遊星ギア列360のためのサンギアである。
【0035】
符号318で示されるプランジャカム面及びプランジャ駆動カム面320は各々、複数のセグメントに分割されている(この例では、各々は、極性対称性を示す3つの円周方向に離間したセグメントに分割されている)。これにより、プランジャ308及び310上に軸方向力のより均等な分配が提供される。
【0036】
加えて、モータ314は、プランジャ308及び310の移動方向と同じ軸線に(すなわち、プランジャ軸線Apに沿って)配向される点に留意されたい。これにより、ドア制御システム300の容積占有面積の大部分がドア14の閉鎖面近くに保たれ、これは、より一般的には占有される(一般的には閉鎖面の近くではない)ドアの領域内に他の構成部品のためにより多くの空間残されるという点で有利である。
【0037】
図18~
図23は、別の実施形態によるドア制御システム400を示す。
図19を参照すると、ドア制御システム400は、チェックアーム402と、プランジャ駆動カム412を利用するチェックアームキーパー403とを有し、プランジャ駆動カム412は、プランジャ駆動カム412がモータ414による回転を生じると、符号408及び410で示されるプランジャに半径方向のカム力を加える。プランジャ駆動カム412の回転は、プランジャ駆動カム412の外面にありモータ414の出力シャフトに設けられたウォーム418によって係合される扇形ギア416によって与えることができる。半径方向カム力は、プランジャ駆動カム412の凹部420、422に設けられたカムインサート424、426を介して加えられる。モータ414によってプランジャ駆動カム412が回転すると、カムインサート424及び426は、プランジャ408及び410の各々の外面428に沿って滑動する。外面428は、プランジャ駆動カム412がモータ414により第1の方向(
図19中矢印D1で示す)に回転駆動されるとき、カムインサート424及び426をそれぞれの凹部420及び422内で外側に滑動させる輪郭を有する。凹部420及び422は、
図21A及び21Bに符号429で示される開口部を有する。カムインサート424及び426は、それらが凹部420及び422内で外側に移動する時点で、開口部429を通って延びて、プランジャ駆動カム412に取り付けられたカムバネ430及び432と係合する。カムバネ430及び432は、カムインサート424及び426の更なる外向きの移動を阻止し、これによりカムインサート424及び426をプランジャ408及び410の外面428に向かって弾力的に付勢することで、プランジャ408及び410がチェックアーム402に制動力を加え得るようになる。カムバネ430及び432は、符号434で示されるドア制御システムハウジングの内壁に係合する前に、半径方向に幾らかだけ拡がることができる。その結果、プランジャ駆動カム412が第1の方向D1に更に回転すると、カムバネ430及び432により、カムインサート424及び426がプランジャ408及び410に対して漸次的に増加する力を加え、従って、プランジャ408及び410は、チェックアーム402に対して漸次的に増加する制動力を加えるようになる。その結果、モータ414の動作を制御するコントローラは、複数の選択された位置でモータ414を停止させて、複数の選択された制動力をチェックアーム402に加えるようにすることができる。
【0038】
カムバネ430及び432は、コイルバネとすることができ、各々が、複数のコイル436(
図20)を有し、プランジャ駆動カム412をコイル436の半径方向内面上に係合させる。好ましくは、休止時のカムバネ430及び432の内径は、これらが取り付けられるプランジャ駆動カム412の外面の直径よりも小さくなるようなサイズにされ、これによりカムバネ430及び432をプランジャ駆動カム412の外面乗にある程度の予荷重で保持するようにする。モータを反対方向に回転させて、プランジャ駆動カム412を方向D1とは反対の第2の回転方向で駆動することにより、カムインサートは、プランジャ408及び410の外面428の一部と係合するようになり、プランジャ408及び410は、カムインサート424及び426がそれらの凹部420及び422内で内側に滑動できるようにする。幾つかの実施形態では、インサート424及び426は、カムバネ430及び432がそれらに内向きの力を加えないように十分に内向きに滑動することができ、プランジャ408及び410は、要求時にチェックアーム402に対して実質的に制動力を加えないようにすることができる。
【0039】
本開示の別の実施形態による車両ドア制御システム500を示す
図24を参照する。車両ドア制御システム500は、
図2に示す車両ドア制御システム10と同様とすることができるが、ドア力センサ502が、
図5~
図8に示したドア力センサ88とは異なる。ドア力センサ502は、第1の目標経路506に沿った第1の誘導コイル配列504と、第2の目標経路510に沿った第2の誘導コイル配列508とを含む。ドア力センサ502は更に、ロック装置リードスクリューナット514の第1の部分514aに接続されて第1の目標経路506に沿って移動可能な第1の導電性目標物512を含む。ドア力センサ502は更に、ロック装置リードスクリューナット514の第2の部分514bに接続されて第2の目標経路510に沿って移動可能な第2の導電性目標物516を含む。
【0040】
ロック装置リードスクリューナット514の第1の部分514aは、ネジ39(
図4)に類似し且つネジ37(
図4)に類似するロック装置リードスクリュー518上のリードスクリュー雄ネジ522(
図24)と噛み合うリードスクリューナット雌ネジを有するという意味で、ロック装置リードスクリュー(符号518で示される)に取り付けられる。ロック装置リードスクリューナット514の第2の部分514bは、ロック装置リードスクリューナット514の第1の部分514aに対して移動可能である。図示した例では、第2の部分514bは、第1の部分514aのスライダアームスロット526において滑動可能に取り付けられるスライダアーム524を有する。
【0041】
図25~
図36を参照すると、ロック装置リードスクリューナット514の第2の部分514bは、リードスクリューナットバネ528を介してロック装置リードスクリューナット514の第1の部分514aに動作可能に接続されている。
図25及び
図28~
図30では、ロック装置リードスクリューナット514の第1の部分514aの本体は、内部に含まれる要素を示すために透明な形態で示されている。
図26及び
図27では、前述の本体は、明瞭にするために完全に取り除いている。
【0042】
リードスクリューナットバネ528の動作及び取付けについて、以下で更に説明する。ロック装置リードスクリューナット514の第1の部分514aは、第1の端壁532及び第2の端壁534を有するバネ凹部530(
図33で最もよく見える)を含む。プッシュロッド20の第2の端部40(
図27)は、ロック装置リードスクリューナット514の第2の部分514b(
図27)の一部であり且つバネ凹部530(
図33)を通過する貫通シャフト536(
図33)に接続されている(例えば、
図27に示す枢動接続部535を介して枢動可能に接続される)。第1のエンドプレート538は、貫通シャフト536上を滑動可能である。第2のエンドプレート540もまた、貫通シャフト536上を滑動可能である。リードスクリューナットバネ528は、貫通シャフト536を囲む螺旋圧縮バネとすることができ、螺旋圧縮バネは、第1のエンドプレート538に当接する第1のバネ端528aと、第2のエンドプレート540に当接する第2のバネ端528bとを有する。リードスクリューナットバネ528は、第1及び第2のエンドプレート538及び540を第1及び第2の端壁532及び534に向かって付勢するようなサイズにすることができる。言い換えれば、リードスクリューナットバネ528は、全ての位置において幾らかの圧縮予荷重を有することができる。貫通シャフト536は、第1及び第2の駆動面542及び544を有し、駆動面542及び544は、第1及び第2の端壁532及び534において第1及び第2の壁アパーチャ546及び547をそれぞれ通過することができる。
【0043】
図31は、ロック装置リードスクリューナット514が
図27及び
図28に示した位置にあるときに、第1及び第2の誘導コイル配列504及び508上の第1及び第2の導電性目標物512及び516の位置を示す。
【0044】
プッシュロッド20が第1の方向で移動する間に、符号548で示されるロック装置リードスクリューブレーキが解放位置にあるとき、プッシュロッド20は、貫通シャフト536を
図27及び28に示す図において左側に向かう第1の方向に駆動させる。これにより、第1の駆動面542(
図33)が第1のエンドプレート538を第2のエンドプレート540に向かって駆動し、これにより、力がリードスクリューナットバネ528の第1のバネ端528aに伝達される。次いで、力は、リードスクリューナットバネ528を通って第2のバネ端528bから第2のエンドプレート540(従って、第2の端壁534)に伝達される。貫通シャフト536は、ロック部材リードスクリューナット514の第2の部分514bの一部であるので、第2の部分514bは、左方向に向かって駆動される。力が、リードスクリューナットバネ528を通ってロック部材リードスクリューナット514の第1の部分514aに伝達されるため、ロック装置リードスクリューブレーキ548(
図27)が解放位置にある場合、ロック部材リードスクリューナット514の第1の部分514aもまた左方向に向かって駆動される。ロック部材リードスクリューナット514のこのような移動は、
図32に示したように第1及び第2の導電性目標物512及び516に影響を及ぼし、ここで第1及び第2の導電性目標物512及び516は両方とも、
図31に示したこれらの位置の左側に移動する。
【0045】
第1の導電性目標物512(
図31)の位置を用いて、車両ドア16(
図24)の位置を決定することができる。より詳細には、ドア力センサ502は、コントローラ550に接続され、コントローラ550に第1の導電性目標物512の位置を示す信号を送信することができる。第1の導電性目標物512は、ロック装置リードスクリューナット514の第1の部分514aと共に移動するように接続されているので、第1の導電性目標物512の位置は、プッシュロッド20の位置及びひいては車両ドア16の位置を決定する。加えて、第1の導電性目標物512の位置の変化率を検出することによって、コントローラ550は、ドア16が移動している間にその速度を決定することができる。
【0046】
ロック装置リードスクリューブレーキ548が制動位置にあるときには、リードスクリュー518の転回が阻止され、これによりロック装置リードスクリューナット514の第1の部分514aの移動が阻止される。その結果、ユーザが車両ドア16を移動させる開始力を加えると、ロック装置リードスクリューナット514の第2の部分514bは移動するが、ロック装置リードスクリューナット514の第1の部分514aは静止したままである。この状況は、
図29及び
図34に例示されている。第1の駆動面542は、第1のエンドプレート538を第2のエンドプレート540に向かって駆動するように位置決めされ、これによりリードスクリューナットバネ528の第1のバネ端528aに力が伝達される。しかしながら、ロック装置リードスクリューナット514の第1の部分514aはロックされているので、ロック装置リードスクリューナット514の第1部分514aの移動が駆動される代わりに、リードスクリューナットバネ528が撓む(例えば、図示した実施形態では縮む)。生じる移動量は、使用者によって加えられる開始力及びリードスクリューナットバネ528のバネ定数に基づく。
図29から分かるように、第2の導電性目標物516は、ロック装置リードスクリューナット514の第2の部分514bと共に移動するように接続されているので、第2の導電性目標物516においては移動があるが、第1の導電性目標物512では移動がない(すなわち、第1の導電性目標物512及び第2の導電性目標物516間が相対移動する)。
【0047】
図30は、ロック装置リードスクリューブレーキ548が制動位置にある間に、ユーザが開始力を加えてプッシュロッド20を第2の方向に駆動するとき、第1の導電性目標物512に対する第2の導電性目標物516の結果として生じる相対移動を示す。このような事象の間に、第2の駆動面544は、第2のエンドプレート540を第1のエンドプレート538に向かって駆動するように位置決めされ、これによりリードスクリューナットバネ528の第2のバネ端528bに力が伝達される(
図35)。しかしながら、ロック装置リードスクリューナット514の第1の部分514aがロックされているので、ロック装置リードスクリューナット514の第1の部分514aが駆動運動する代わりに、リードスクリューナットバネ528が撓む(例えば、図示した実施形態では縮む)。
【0048】
ドア力センサ502(
図28)は、コントローラ550に接続されて、第1及び第2の導電性目標物512及び516の位置を示す信号をコントローラ550に送信するようになっている。コントローラ550は、第1及び第2の導電性目標物512及び516間の相対位置の差に少なくとも部分的に基づいて、符号552で示されるモータの動作を制御するようにプログラムされている。理解されるように、第1の導電性目標物512と第2の導電性目標物516との間の位置の差は、車両ドア16がロック装置リードスクリューブレーキ548によって保持されている位置から離れるよう車両ドア16に加わる力に関係する。コントローラ550は、ドア16に加わる力を決定する際、モータ62を制御する際のコントローラ68と同様の方式で、モータ552の動作を制御することができる。ユーザが十分に高い開始力を加えたとコントローラ550が判断した場合、コントローラ550は、モータ552に命令してドア55に作用するチェック力を減少させる(任意選択的にゼロまで減少させる)ことができる。
【0049】
図2~
図9に示された構成部品と同じ名称を有する
図24~
図30に示した構成部品は、本明細書に記載した相違点を除いて、
図2~
図9の構成部品と同様であると解釈できる。従って、例えば、ロック装置リードスクリューブレーキ548は、
図5及び
図6に示したブレーキ38と同様とすることができ、従って、クラッチパック554、モータ552、クラッチパック554を選択的に圧縮してロック装置リードスクリュー518及びコントローラ550の回転を防止するようモータ552によって移動可能であるクラッチパック圧縮部材556を含むことは理解される。
【0050】
ドア力センサ502は、導電性目標物を含む誘導センサとして説明されているが、第1及び第2の目標物を有する他の何れかの適切な構造を含むことができ、両目標は、第1及び第2の目標経路に沿って移動してそれらの相対移動がコントローラによって検出され、これにより車両ドアによって加わる開始力を決定し、又はより広くは、開始力が選択された閾値力を超えるかどうかを決定して、制動位置と解放位置との間でロック装置ブレーキを移動するように動作可能なモータを制御する。更に、
図24~
図35に関連して図示及び説明したロック装置は、リードスクリュー及びリードスクリューナットを組み込む必要はないが、代わりに、リードスクリューナットがプッシュロッド20によって移動可能な任意の適切なトラベラーである任意の適切な構造を組み込むことができ、この場合、ロック装置ブレーキはトラベラーの移動を防止し、またトラベラーは、相互に移動可能であり且つトラベラーバネを介して接続された第1及び第2の部分から構成される。更に、ロック装置ブレーキは、任意の適切な種類のブレーキとすることができ、クラッチパックを含む必要はない。
【0051】
以上のことから、ドア力センサ502は、車両ドア16の位置、ドア16の移動中の速度、及びユーザがドア16に加える開始力を決定する能力を提供することが分かる。
【0052】
更に多くの代替の実施構成及び実施可能な修正があり、上記実施例は、1又は複数の実施構成の例示にすぎない点は、当業者であれば理解されるであろう。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【符号の説明】
【0053】
14 車体
16 車両ドア
20 プッシュロッド
500 車両ドア制御システム
502 ドア力センサ
514 ロック装置リードスクリューナット
518 ロック装置リードスクリュー
522 リードスクリュー雄ネジ
524 スライダアーム
526 スライダアームスロット
548 ロック装置リードスクリューブレーキ
550 コントローラ
552 モータ