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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】仕切り部を有した弁当箱及び仕切り板
(51)【国際特許分類】
   A45C 11/20 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
A45C11/20 G
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020083536
(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公開番号】P2021177835
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】592195311
【氏名又は名称】若泉漆器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】若泉 繁則
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-275233(JP,A)
【文献】実開昭55-163832(JP,U)
【文献】実公昭33-013775(JP,Y1)
【文献】特開2003-250622(JP,A)
【文献】実公昭38-008883(JP,Y1)
【文献】実開平07-036737(JP,U)
【文献】実公昭18-001988(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0172043(US,A1)
【文献】特開平11-301647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 11/20
B65D 25/04-25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の仕切り板を組み付けて構成した仕切り部によって複数の収容部を有す弁当箱であって、厚さ寸法がmで長さが異なる3種類の仕切り板4a、4b、4cを有し、最も長い仕切り板4aには2か所に幅寸法がm+αの切欠き溝5,5を、中間長さの仕切り板4bは中央部に幅寸法がm+αの切欠き溝5と先端部に切欠き6を有すと共に先端には表面に突出した厚さ寸法Mの係止片8を設け、最も短い仕切り板4cは切欠き溝を有さず先端部に切欠き6を形成すると共に先端には表面に突出して切欠き溝5より大きくて厚さ寸法Mの係止片8を設けた形状とし、一方の仕切り板の切欠き溝に他方の仕切り板が嵌って収容部を形成したことを特徴とする弁当箱。
【請求項2】
弁当箱に複数の収容部を形成する為の仕切り板において、厚さ寸法がmで長さが異なる3種類の仕切り板4a、4b、4cを有し、最も長い仕切り板4aには2か所に幅寸法がm+αの切欠き溝5,5を、中間長さの仕切り板4bは中央部に幅寸法がm+αの切欠き溝5と先端部に切欠き6を有すと共に先端には表面に突出した厚さ寸法Mの係止片8を設け、最も短い仕切り板4cは切欠き溝を有さず先端部に切欠き6を形成すると共に先端には表面に突出して切欠き溝5より大きくて厚さ寸法Mの係止片8を設けた形状とし、一方の仕切り板の切欠き溝に他方の仕切り板が嵌って収容部を形成することを特徴とする弁当箱の仕切り板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の仕切りを有し、各仕切り空間には各々の食材を詰めることが出来る弁当箱及び該弁当箱の仕切り板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は従来から使用されている一般的な弁当箱(イ)であり、該弁当箱(イ)には仕切りが設けられ、その為に4つの収容部(ロ)、(ロ)・・・を備えている。夫々の収容部(ロ)、(ロ)・・・にはご飯、及び各種の料理が収容される。
この種の弁当箱(イ)は、従来から松花堂弁当箱と称され、宴席の場、正月、節分、子供の日、その他の行事の際、各種イベントなどの催事食の際、病院などの給食、仕出し用等に用いられている。
【0003】
同図に示すように、この弁当箱(イ)は略正方形状の箱型であって、四辺の側辺部(ハ)、(ハ)・・・を有している。そして、その内部には十文字の仕切り部(ニ)が設けられ、該仕切り部(ニ)によって4つの収容部(ロ)、(ロ)・・・が形成されている。
上記仕切り部(ニ)は弁当箱(イ)と一体化した構造であって、側辺部(ハ)、(ハ)・・・及び底部(ホ)に連結して固定されている。
【0004】
図5に示す弁当箱(イ)は十文字の仕切り部(ニ)が設けられることで、4つの収容部(ロ)、(ロ)・・・が形成されている。しかし、松花堂弁当箱と称されるものには同じ大きさの収容部(ロ)、(ロ)・・・が4個に限るものではない。
その為に、上記仕切り部(ニ)の形状は十文字に限らず、他の形状とすることで、収容部(ロ)、(ロ)・・・の大きさ並びにその形状を変えることが出来る。
そして、仕切り部(ニ)を弁当箱(イ)と一体化することなく、着脱自在な形態とした弁当箱(イ)も知られている。
【0005】
さらに、仕切り部(ニ)は同図に示すような十文字を成して一体化する場合に限らず、複数の仕切り板を組み合わせて該仕切り部(ニ)を構成することも出来る。
図6は仕切り板を示す具体例であり、(ヘ)は横仕切り板、(ト)は縦仕切り板を表し、上記横仕切り板(へ)には下縁から切り込まれた切欠き溝(チ)が形成され、縦仕切り板(ト)には上縁から切り込まれた切欠き溝(リ)を設けている。
そこで、これら各切欠き溝(チ)と(リ)が噛み合うことで横仕切り板(ヘ)と縦仕切り板(ト)は組み合わされて前記図5に示す弁当箱(イ)に設けている十文字の仕切り部(ニ)を構成することが出来る。
【0006】
しかし、仕切り板に切欠き溝を設けて組み付けて構成している従来の仕切り部(ニ)では外れ易く、安定性に欠ける。
従来から仕切り部を備えた弁当箱は色々知られている。例えば、特開2004-275233号に係る「弁当箱」は不使用時に嵩低く且つ円滑に保管することが出来るようにしている。
すなわち、合成樹脂製の箱型でその内方に仕切り板を挿入し各区画内に料理を収容して反復使用するものであって、その縁辺部は外方に向けて開放する傾斜を有し、積み重ねると一方の内方領域に他方の外周領域が入り込むようにしていると共に相互間の密着を緩和する突起部が形成されている。
【0007】
この弁当箱では、その縁辺部は外方に向けて開放する傾斜を有し、積み重ねると一方の内方領域に他方の外周領域が入り込むようにしているので、一方のそのまま上に他方が積み重なる場合と比較して積載方向のスペースを節約することができる。
【文献】特開2004-275233号に係る「弁当箱」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来から仕切り板を備え、該仕切り板を着脱自在とした松花堂弁当箱が多用されている。しかし、従来の仕切り板を組み付けて構成した仕切り部は安定せず、分離し易い。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、切欠き溝に嵌って組み付けされて分離し難いように構成した仕切り板及び弁当箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る弁当箱は仕切り部を有して複数の収容部を設けていて、各収容部にはご飯及び色々な料理を詰めることが出来る。そして、仕切り部は弁当箱本体とは分離され、しかも該仕切り部は複数の仕切り板から成り、仕切り板には仕切り部に組み付けされるように切欠き溝が形成されている。
ここで、仕切り部の形状、個数、並びに大きさは限定されず、各種の仕切り板を組み付けすることで仕切り部が構成される。
【0010】
ところで、本発明の仕切り部は複数枚の仕切り板が切欠き溝に嵌って組み付けられているが、切欠き溝に嵌った仕切り板が抜けないように、該仕切り板の先端には表面に突出した係止片を形成している。従って、T型を成して連結した仕切り部であっても、仕切り板は引っ張っても切欠き溝から離脱することはない。
ここで、先端表面に突出する係止片の具体的な形状並びに大きさに関しては限定しないことにする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の仕切り板の先端は他の仕切り板に形成される切欠き溝に嵌って組み付けられる。そして、仕切り板の先端には切欠き溝の溝幅より大きくした係止片が形成されていることで、切欠き溝に嵌った仕切り板は引っ張っても抜けることはなく、仕切り部は分離しない。したがって、弁当箱内部に組み付けた仕切り部は安定し、仕切り板が抜けたり倒れることはなく、各収容部に夫々の料理を詰め易くなる。
そして、使い終えた弁当箱は、仕切り部を取外して各仕切り板に分離し、洗浄して収納することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】仕切り部を備えた各種弁当箱。
図2】仕切り部を構成する仕切り板の具体例。
図3】仕切り板の一部拡大図で、(a)は平面図、(b)は正面図。
図4】一方の仕切り板に設けている切欠き溝に他方の仕切り板の先端部が嵌ってT型を成している場合。
図5】仕切り部を備えた弁当箱の具体例。
図6】仕切り部を構成する仕切り板の具体例。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1(a)~(d)は各種弁当箱の平面図を表している具体例であり、四角形を成す弁当箱本体1には仕切り部2が取付けられていて、該仕切り部2によって形状並びに大きさが異なる複数の収容部3,3・・・が形成されている。
図1(a)は、周囲の4か所に長方形をした収容部3a,3a・・・が設けられ、中央部には正方形をした収容部3bが設けられている。
【0014】
すなわち、合計5つの収容部を備えた弁当箱として構成されている。そして、これら収容部3a,3a・・・、3bを形成する為に4枚の仕切り板4,4・・・が配置されて仕切り部2を形成している。
T型を成して連結する一方の仕切り板4の中央部には切欠き溝が設けられ、この切欠き溝には他の仕切り板の先端が嵌っている。本発明の弁当箱は切欠き溝に嵌った先端部が抜けないように先端に係止片を形成している。
【0015】
図1(b)に示す弁当箱は弁当箱本体1に取付けた仕切り部2によって5つの正方形をした収容部3b,3b・・・を有し、そして長方形をした2つの収容部3a,3aを設けている。
その為に、2枚の長い仕切り板4a,4aと短い2枚の仕切り板4a,4aを配置していて、これら仕切り板4a,4a,4b,4bによって仕切り部2が設けられ、2つの収容部3a,3a、及び5つの収容部3b,3b・・・を形成している。
【0016】
上記2枚の仕切り板4b,4bはT型を成して連結し、長い仕切り板4a,4aは切欠き溝を介して組み付けられている。また、仕切り板4aは仕切り板4bとも切欠き溝を介して互いに連結し、そして、仕切り板4bの先端は仕切り板4aに嵌っている。
【0017】
図1(c)に示す弁当箱は弁当箱1に取付けた仕切り部2によって正方形をした5つの小さい収容部3b,3b・・・を有し、そして正方形をした4倍の大きさの収容部3cを有している。
その為に、切欠き溝を介して互いに連結している2枚の長い仕切り板4a,4aと、2枚の短い仕切り板4c,4cを配置している。
【0018】
図1(d)に示す弁当箱は弁当箱1に取付けた仕切り部2によって長方形をした3つの収容部3d,3d・・・を有し、そして長めの長方形をした収容部3eを有している。
その為に、2枚の短い仕切り板4d,4dと、長い1枚の仕切り板4aを配置している。
このように、各収容部3a、3b・・・を形成する為に、色々な長さの仕切り板が用いられているが、図1に示す弁当箱の仕切り部形態はあくまでも具体例に過ぎない。
【0019】
ところで、弁当箱の仕切り部2によって形成された各収容部3a,3b・・・にはご飯や各種の料理を詰めることが出来る。本発明の弁当箱はこれらの収容部3a,3b・・・の形状が崩れない組み付け構造としている。
例えば、図1(a)に示す弁当箱においては、4枚の仕切り板4,4・・・が用いられ、対を成す2枚の仕切り板4,4はT型を成している。すなわち、一方の仕切り板4の中央部には切欠き溝が形成され、この切欠き溝に突き合わされる他方の仕切り板4の先端部が嵌ってT型を成して連結している。
【0020】
図2は仕切り板4を示す具体例であり、同図の(a)に示す仕切り板4aは2か所に切欠き溝5,5を有しており、両端には凸部11,11・・・を上下に形成している。 (b)に示す仕切り板4bは中央部に切欠き溝5を設け、一方の先端部には切欠き6を形成し、その為に高さ寸法は1/2としている。そして、先端7には表面に突出した係止片を設け、他方の先端上下には凸部11,11を形成している。
【0021】
(c)は長さを短くした仕切り板4cを示す具体例であり、該仕切り板4cには切欠き溝を有していない。また、先端部には切欠き6を形成し、その為に高さ寸法は1/2とし、先端7には表面に突出した係止片を設けていて、他方の先端上下には凸部11,11を形成している。
ところで、仕切り板4a,4b,4cの形態として、先端に凸部11,11・・・を形成しない場合もある。
【0022】
図3図2(b)に示す仕切り板4bの一部拡大図を示している。先端部10には切欠き6が設けられ、中央部には切欠き溝5を有し、また先端には係止片8,8を形成し、両係止片8,8の厚さ寸法Mは仕切り板4a,4bに形成している切欠き溝5の幅寸法m+αより大きくなっている。
そこで、この切欠き溝5に厚さmの仕切り板4cの先端部10が嵌った場合、先端の係止片8,8によって仕切り板4cが切欠き溝5から抜けることはない。また、切欠き6には当り面9が形成されることで、仕切り板4bが仕切り板4cに嵌り過ぎることもない。
【0023】
このように、一方の仕切り板4の先端部10が他方の仕切り板4の切欠き溝5に嵌った場合、両仕切り板4,4は互いに固定される。
図4(a)、(b)は仕切り板4aの切欠き溝5に仕切り板4bの先端部10が嵌った場合を示している。したがって、切欠き溝5に先端部10が嵌ることで仕切り板4bが倒れることはなく、また仕切り板4aが仕切り板4bの先端部10から抜けて倒れることもない。
両仕切り板4a,4bはT型を成して安定して起立し、弁当箱の仕切り部2として機能することが出来る。
【符号の説明】
【0024】
1 弁当箱本体
2 仕切り部
3 収容部
4 仕切り板
5 切欠き溝
6 切欠き
7 先端
8 係止片
9 当り面
10 先端部
11 凸部










図1
図2
図3
図4
図5
図6