(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】タイリングパネル、自発光パネル、および、製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 33/02 20060101AFI20220627BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20220627BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220627BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20220627BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220627BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220627BHJP
G09F 9/40 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
H05B33/02
H05B33/10
H05B33/14 A
G02B5/30
G09F9/00 338
G09F9/30 365
G09F9/40 301
G09F9/30 349E
G09F9/30 308A
G09F9/30 308Z
(21)【出願番号】P 2020132123
(22)【出願日】2020-08-04
【審査請求日】2020-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2020000572
(32)【優先日】2020-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】特許業務法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 二郎
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0035765(US,A1)
【文献】特開2014-170221(JP,A)
【文献】特開2014-106382(JP,A)
【文献】特開2019-045861(JP,A)
【文献】特開2011-047977(JP,A)
【文献】国際公開第2008/123416(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
H05B 33/10
H01L 51/50 - 51/56
G02B 5/30
G09F 9/00
G09F 9/30
G09F 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自発光パネルを配列してなるタイリングパネルであって、
前記複数の自発光パネルのそれぞれは、表面側に、表示領域として、主表示領域と、前記主表示領域に連接してパネル背面方向に屈曲する部分を有する副表示領域とを有し、
隣り合う2つの自発光パネルは、互いの前記副表示領域が近接するように配され、
前記副表示領域は、光の入出射経路上に円偏光層が形成されて
おり、
隣り合う2つの自発光パネルの副表示領域の一方の副表示領域における直線偏光板の偏光軸と、他方の副表示領域における直線偏光板の偏光軸とは直交する
ことを特徴とするタイリングパネル。
【請求項2】
前記円偏光層は、前記副表示領域から延伸して前記主表示領域まで達している
ことを特徴とする請求項1に記載のタイリングパネル。
【請求項3】
前記円偏光層は、前記主表示領域の全域に形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のタイリングパネル。
【請求項4】
前記円偏光層は、下層として1/4波長板を有し、上層として直線偏光板を有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のタイリングパネル。
【請求項5】
前記自発光パネルは、第1の方向に沿って列設され、かつ、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って列設され、
前記第1の方向において、第3の方向を直線偏光板の偏光
軸とする前記自発光パネルと、前記第3の方向に直交する第4の方向を直線偏光板の偏光
軸とする前記自発光パネルとが交互に並び、
前記第2の方向において、
前記第3の方向を直線偏光板の偏光
軸とする前記自発光パネルと、前
記第4の方向を直線偏光板の偏光
軸とする前記自発光パネルとが交互に並ぶ
ことを特徴とする請求項
1に記載のタイリングパネル。
【請求項6】
前記第1の方向と前記第3の方向とは45度の角をなす
ことを特徴とする請求項
5に記載のタイリングパネル。
【請求項7】
前記自発光パネルは、平面視における前記自発光パネルの外周を構成する4辺の全てに前記副表示領域を有する
ことを特徴とする請求項5に記載のタイリングパネル。
【請求項8】
前記自発光パネルは第1の方向に沿って列設され、
隣り合う2つの自発光パネルの副表示領域の一方の副表示領域における直線偏光板の偏光軸と前記第1の方向とは45度の角度をなし、
前記一方の副表示領域における直線偏光板の偏光軸と他方の副表示領域における直線偏光板の偏光軸とは直交する
ことを特徴とする請求項1に記載のタイリングパネル。
【請求項9】
前記自発光パネルは、支持部材と、前記支持部材上に載置され発光素子を複数備えるフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板上に貼付される前記円偏光層とを備える
ことを特徴とする請求項1から
8のいずれか1項に記載のタイリングパネル。
【請求項10】
前記自発光パネルは、発光素子として、有機EL素子を備える
ことを特徴とする請求項1から
9のいずれか1項に記載のタイリングパネル。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか1項に記載のタイリングパネルの製造方法であって、
前記自発光パネルの前記副表示領域に前記円偏光層を形成した後、複数の前記自発光パネルの配列を行う
ことを特徴とするタイリングパネルの製造方法。
【請求項12】
複数の自発光パネルを配列してなるタイリングパネルであって、
前記複数の自発光パネルのそれぞれは、表面側に、表示領域として、主表示領域と、前記主表示領域に連接してパネル背面方向に屈曲する部分を有する副表示領域とを有し、
隣り合う2つの自発光パネルは、互いの前記副表示領域が近接するように配され、
前記副表示領域は、光の入出射経路上に直線偏光板が形成されており、
隣り合う2つの自発光パネルの一方の副表示領域における直線偏光板の偏光
軸と、他方の副表示領域における直線偏光
板の偏光
軸とは直交する
ことを特徴とするタイリングパネル。
【請求項13】
複数の自発光パネルを配列してなるタイリングパネルを構成する自発光パネルであって、
表面側に、表示領域として、主表示領域と、前記主表示領域に連接してパネル背面方向に屈曲する部分を有する副表示領域とを有し、
前記副表示領域は、表面に円偏光
板が形成されて
おり、
隣り合う2つの自発光パネルの副表示領域の一方の副表示領域における直線偏光板の偏光軸と、他方の副表示領域における直線偏光板の偏光軸とは直交する
ことを特徴とする自発光パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の表示パネルを配列して1つの表示装置として用いるタイリングディスプレイ、構成要素としての表示パネル、および、表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL(Electroluminescence:電界発光)素子やQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode:量子ドット効果)素子などの発光を利用した自発光パネルの開発が盛んに行われている。自己発光素子は、各種材料の薄膜を積層した構造を有し、平坦化絶縁層に覆われた薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)基板上に、少なくとも、画素電極と、対向電極と、これらに挟まれた発光層とを備える。
【0003】
近年、これらの自発光パネルを用いた表示装置において、複数の自発光パネルを配列して用いる、いわゆるタイリングパネルが提案されている。例えば、特許文献1には、フレキシブルな自発光パネルを2つ用いた折り畳み式の表示装置が開示されている。このようなタイリングパネルでは、自発光パネルの継ぎ目に非表示領域が生じることを避けるため、発光面が外側に来るように折り曲げた自発光パネルを、折り曲げ部分同士が近接するように配置することで、継ぎ目なく画像等を表示できる構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2017/0141173号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0342975号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自発光パネルでは、いわゆる「映り込み」と呼ばれる、外光反射による表示品質の低下を防ぐため、光反射を抑止するために表面加工やフィルム貼付等が行われる。しかしながら、タイリングパネルではパネルに屈曲部が存在しているため、従来から用いられている反射抑止構造では十分に機能しない場合がある。
【0006】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、タイリングパネルにおいて、自発光パネルの継ぎ目部分における光反射が要因の表示品質低下を抑止する構造を有するタイリングディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るタイリングパネルは、複数の自発光パネルを配列してなるタイリングパネルであって、前記複数の自発光パネルのそれぞれは、表面側に、表示領域として、主表示領域と、前記主表示領域に連接してパネル背面方向に屈曲する部分を有する副表示領域とを有し、隣り合う2つの自発光パネルは、互いの前記副表示領域が近接するように配され、前記副表示領域は、光の入出射経路上に円偏光層が形成されており、隣り合う2つの自発光パネルの副表示領域の一方の副表示領域における直線偏光板の偏光軸と、他方の副表示領域における直線偏光板の偏光軸とは直交することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記態様に係るタイリングパネルによれば、副表示領域においても円偏光板がパネル表面に存在するため、向かい合った2つの自発光パネルの間で円偏光板を介さない外光反射経路が生じない。したがって、自発光パネルの継ぎ目部分における光反射が要因の表示品質低下を抑止することができ、表示品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る表示装置300の模式外観図である。
【
図2】(a)は実施の形態1に係る表示装置300における自発光パネル10の平面模式図であり、(b)は表示装置300における自発光パネル10の断面模式図である。
【
図3】実施の形態1に係る自発光パネル10の模式断面図である。
【
図4】実施の形態1に係る自発光パネル10の主表示領域110において外光反射を抑制する構成について説明する概略図である。
【
図5】実施の形態1および比較例1において副表示領域120の外光の反射経路を説明する概略断面図である。
【
図6】比較例1に係る自発光パネルの主表示領域において外光反射を抑制できない理由について説明する概略図である。
【
図7】(a)は実施の形態1に係る自発光パネルの副表示領域の写真であり、(b)は比較例1に係る自発光パネルの副表示領域の写真である。
【
図8】実施の形態2に係る副表示領域120において一方の自発光パネル10から放出された光が他方の自発光パネル10で反射される経路を説明する概略断面図である。
【
図9】変形例1および変形例2に係る偏光軸の配置例を示す概略平面図である。
【
図10】実施の形態2または比較例2に係る自発光パネルの副表示領域の写真である。
【
図11】実施の形態3に係る自発光パネル10の詳細な模式断面図である。
【
図12】実施の形態3に係る表示装置の製造過程を示すフローチャートである。
【
図13】実施の形態3に係る自発光フィルムパネルの製造過程を示すフローチャートである。
【
図14】実施の形態3に係る自発光フィルムパネルの製造工程の一部を模式的に示す部分断面図である。(a)は、支持基板上に第2基板層と第3基板層が形成された状態を示す部分断面図である。(b)は、第3基板層上にパッシベーション層が形成された状態を示す部分断面図である。(c)は、パッシベーション層上にTFT層と層間絶縁層が形成された状態を示す部分断面図である。(d)は、層間絶縁層上に画素電極が形成された状態を示す部分断面図である。
【
図15】実施の形態3に係る自発光フィルムパネルの製造工程の一部を模式的に示す部分断面図である。(a)は、画素電極および層間絶縁層上に隔壁が形成された状態を示す部分断面図である。(b)は、隔壁の開口部内に第1機能層が形成された状態を示す部分断面図である。(c)は、第1機能層上に発光層が形成された状態を示す部分断面図である。
【
図16】実施の形態3に係る自発光フィルムパネルの製造工程の一部を模式的に示す部分断面図である。(a)は、隔壁上及び発光層上に第2機能層が形成された状態を示す部分断面図である。(b)は、第2機能層上に対向電極が形成された状態を示す部分断面図である。(c)は、対向電極上に封止層が形成された状態を示す部分断面図である。
【
図17】実施の形態3に係る自発光パネルの製造工程の一部を模式的に示す部分断面図である。(a)は、封止層上に平坦化層が形成され円偏光板が貼付された状態を示す部分断面図である。(b)は、第2接着層を介して第1基板層が貼付された後に第1接着層を介して支持部材に貼付された状態を示す部分断面図である。
【
図18】変形例に係る自発光パネルの構成を示す概略模式図である。
【
図19】変形例に係る自発光パネルの構成を示す概略断面図である。
【
図20】変形例に係る自発光パネルの構成を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪本開示の一態様の概要≫
本開示の一態様に係るタイリングパネルは、複数の自発光パネルを配列してなるタイリングパネルであって、前記複数の自発光パネルのそれぞれは、表面側に、表示領域として、主表示領域と、前記主表示領域に連接してパネル背面方向に屈曲する部分を有する副表示領域とを有し、隣り合う2つの自発光パネルは、互いの前記副表示領域が近接するように状態で配され、前記副表示領域は、光の入出射経路上に円偏光層が形成されており、隣り合う2つの自発光パネルの副表示領域の一方の副表示領域における直線偏光板の偏光軸と、他方の副表示領域における直線偏光板の偏光軸とは直交することを特徴とする。
【0011】
上記態様に係るタイリングパネルによれば、副表示領域においても円偏光板がパネル表面に存在するため、向かい合った2つの自発光パネルの間で円偏光板を介さない外光反射経路が生じない。したがって、自発光パネルの継ぎ目部分における光反射が要因の表示品質低下を抑止することができ、表示品質を向上させることができる。
【0012】
また、上記態様のタイリングパネルにおいて、以下の態様としてもよい。
【0013】
前記円偏光層は、前記副表示領域から延伸して前記主表示領域まで達している、としてもよい。
【0014】
このような構成とすることで、主表示領域においても外光反射を抑止することができる。
【0015】
また、前記円偏光層は、前記主表示領域の全域に形成されている、としてもよい。
【0016】
このような構成とすることで、主表示領域と副表示領域全体において外光反射を抑止することができるとともに、タイリングパネルの製造が容易となる。
【0017】
また、前記円偏光層は、下層として1/4波長板を有し、上層として直線偏光板を有する、としてもよい。
【0018】
このような構成とすることで、円偏光層を容易に実現できる。
【0020】
このような構成とすることで、一方の自発光パネルの表示が他方の自発光パネルの副表示領域に映り込むことを抑止することができる。
【0021】
また、前記自発光パネルは、第1の方向に沿って列設され、かつ、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って列設され、前記第1の方向において、第3の方向を直線偏光板の偏光軸とする前記自発光パネルと、前記第3の方向に直交する第4の方向を直線偏光板の偏光軸とする前記自発光パネルとが交互に並び、前記第2の方向において、前記第3の方向を直線偏光板の偏光軸とする前記自発光パネルと、前記第4の方向を直線偏光板の偏光軸とする前記自発光パネルとが交互に並ぶ、としてもよい。
【0022】
このような構成とすることで、自発光パネルの表示が隣接する自発光パネルの副表示領域に映り込むことを抑止することができ、かつ、自発光パネルが二次元的に配置されたタイリングパネルを容易に実現できる。
【0023】
また、前記第1の方向と前記第3の方向とは45度の角をなす、としてもよい。
【0024】
このような構成とすることで、第1の方向または第2の方向を偏光軸とする偏光板を介して視聴した場合に、隣接する自発光パネル間の輝度むらを抑止することができる。
【0025】
また、前記自発光パネルは、支持部材と、前記支持部材上に載置され発光素子を複数備えるフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板上に貼付される前記円偏光層とを備える、としてもよい。
【0026】
このような構成とすることで、自発光パネルを容易に形成できる。
【0027】
また、前記自発光パネルは、発光素子として、有機EL素子を備える、としてもよい。
【0028】
また、上記態様のタイリングパネルの製造方法は、前記自発光パネルの前記副表示領域に前記円偏光層を形成した後、複数の前記自発光パネルの配列を行う、としてもよい。
【0029】
この工程により、円偏光層を各自発光パネルの副表示領域の表面に確実に形成することができる。
【0030】
また、本開示の一態様に係るタイリングパネルは、複数の自発光パネルを配列してなるタイリングパネルであって、前記複数の自発光パネルのそれぞれは、表面側に、表示領域として、主表示領域と、前記副表示領域に連接してパネル背面方向に屈曲する部分を有する副表示領域とを有し、隣り合う2つの自発光パネルは、互いの前記副表示領域が近接するように配され、前記副表示領域は、光の入出射経路上に直線偏光板が形成されており、隣り合う2つの自発光パネルの一方の副表示領域における直線偏光板の偏光軸と、他方の副表示領域における直線偏光板の偏光軸とは直交することを特徴とする。
【0031】
上記態様のタイリングパネルによれば、一方の自発光パネルの表示が他方の自発光パネルの副表示領域に映り込むことを抑止することができる。
【0032】
本実施の一態様に係る自発光パネルは、複数の自発光パネルを配列してなるタイリングパネルを構成する自発光パネルであって、表面側に、表示領域として、主表示領域と、前記主表示領域に連接してパネル背面方向に屈曲する部分を有する副表示領域とを有し、前記副表示領域は、表面に円偏光板が形成されており、隣り合う2つの自発光パネルの副表示領域の一方の副表示領域における直線偏光板の偏光軸と、他方の副表示領域における直線偏光板の偏光軸とは直交することを特徴とする。
【0033】
上記態様の自発光パネルによれば、当該自発光パネルを複数配列してタイリングパネルとしたときに、副表示領域における外光反射を抑制することができる。
【0034】
≪実施の形態1≫
1.表示装置の概略構成
本開示に係る表示装置について説明する。
【0035】
図1は、実施の形態1に係る表示装置300の外観図である。
図1に示すように、表示装置300は、表示装置ユニット200Aと、表示装置ユニット200Bとからなる。なお、表示装置ユニット200Aと表示装置ユニット200Bとは、互いに対向する外周面の向きを除いて同じ構成であるので、区別しないときは、表示装置ユニット200と記載する。
【0036】
表示装置ユニット200は、自発光パネル10を備える。
図2(a)は、実施の形態1に係る表示装置300のうち、表示装置ユニット200Aの自発光パネル10Aと表示装置ユニット200Bの自発光パネル10Bとを正面から見た平面概略図である。自発光パネル10は、z方向(
図1における紙面手前側)に光を出射する自発光パネルであり、一端が光の出射方向とは逆側に曲がっている。表示領域130は、自発光パネル10の上面側に形成されており、平坦な主表示領域110と、光出射側が外側になるように曲がった副表示領域120とを含む。
図2(a)に示すように、表示装置ユニット200Aの表示領域130Aは、主表示領域110Aとそれに続く副表示領域120Aとを有し、副表示領域120Aが直線状の接続領域130において表示装置ユニット200Bの表示領域130Bと連結している。同様に、表示装置ユニット200Bの表示領域130Bは、主表示領域110Bとそれに続く副表示領域120Bとを有し、副表示領域120Bが直線状の接続領域130において表示装置ユニット200Aの表示領域130Aと連結している。
図2(b)は、
図2(a)のA-A断面に沿った自発光パネル10A、10Bの模式断面図である。
図2(b)に示すように、自発光パネル10Aは、自発光パネル10Bと対向する端面が光出射側の逆側に向けて屈曲しており、平坦部に主表示領域110Aを有し、屈曲部において平坦部との境界から自発光パネル10Bとの接続領域130までが副表示領域120Aとなっている。同様に、自発光パネル10Bは、自発光パネル10Aと対向する端面が光出射側の逆側に向けて屈曲しており、平坦部に主表示領域110Bを有し、屈曲部において平坦部との境界から自発光パネル10Aとの接続領域130までが副表示領域120Bとなっている。したがって、表示装置300では、2つの主表示領域110の間に2つの副表示領域120が存在し、これらが隙間なく連続していることにより、1つの連続した表示領域が形成されている。
【0037】
2.自発光パネル10の構成
図3は、自発光パネル10Aの模式断面図であり、
図2(a)のA-A断面に相当する。自発光パネル10Aは、
図3に示すように、支持部材11A、自発光フィルムパネル20A、円偏光板30Aを備える。なお、自発光パネル10Bの構成も同様であるので、以下、自発光パネル10A、10Bを区別せず説明する。
【0038】
支持部材11は、可撓性フィルムである自発光フィルムパネル20を担持する部材であり、例えば、ガラス、シリコン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属、プラスチック等を採用することができる。プラスチック材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂いずれの樹脂を用いてもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうち1種、または2種以上を積層した積層体を用いることができる。
【0039】
支持部材11は、長方形の平板の一辺を折り曲げた形状で、具体的には、他の自発光パネル10に面する端部が、円偏光板側が外側となるように屈曲しており、側面からみるとJ字状である。実施の形態1では、屈曲部分は、R=5mmの曲面である。
【0040】
自発光フィルムパネル20は、可撓性基板上にスイッチング素子と発光素子とが配されてなる、フレキシブル自発光パネルである。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの可撓性基板上にTFT層、層間絶縁層、発光素子層がこの順に積層されてなる。自発光フィルムパネル20は、円偏光板30側に光を出射する、いわゆる、トップエミッション型の自発光パネルである。
【0041】
自発光フィルムパネル20は、略長方形状で、周辺部が非表示部であり、周辺部を除く領域が表示部である。自発光フィルムパネル20は、表示部が、自発光パネル10の主表示領域110と副表示領域120に跨るように支持部材11に貼付されている。
【0042】
円偏光板30は、自発光フィルムパネル20の表面や内部における外光反射による映り込みを抑止する部材である。本実施の形態では、円偏光板30は、1/4波長板31と、直線偏光板32とからなる。1/4波長板31は、その表面に対して垂直な方向に透過する光の移動速度について偏光面に対する依存性を有する。より具体的には、表面に沿った一方向を遅延軸としたとき、遅延軸に直交する一方向を偏光面とする光に対し、遅延軸に平行な偏光面の光の位相が90°(π/2)だけ遅延する。直線偏光板32は、その表面に対して垂直な方向に透過する光の透過率について偏光面に対する依存性を有し、特定の面を偏光面とする光のみを透過する。
【0043】
円偏光板30は、少なくとも副表示領域120において、自発光フィルムパネル20を密着して覆っている。実施の形態1では、円偏光板30は、自発光フィルムパネル20の上面全域を密着して覆っている。
【0044】
3.円偏光板30の構成と効果
(1)外光反射抑制のための構成
以下、円偏光板30による外光反射の抑制のための構成について説明する。
【0045】
最初に、主表示領域110における外光反射抑制について説明する。
【0046】
図4(a)は、主表示領域110において入射した外光が反射する場合の光の経路を示す模式断面図である。ここで、1/4波長板31の遅延軸と直線偏光板32の偏光面は平行と直交のいずれでもない所定の角度をなし、本実施の形態では45°の角度をなす。実施の形態1では、1/4波長板31の遅延軸はY軸と平行で、直線偏光板32の偏光面は、X軸に対してY軸方向に45°傾いた向きである。
【0047】
図4(b)から(e)は、
図4(a)の光の経路上における外光または外光反射光の偏光面を示す平面図である。直線偏光板32は、その偏光面と平行な直線偏光のみを透過するため、外光が直線偏光板32を透過し位置301に至ったとき、
図4(b)に示すように、直線偏光板32の偏光面と平行な直線偏光となる。すなわち、1/4波長板31には、その遅延軸に対して45°傾いた直線偏光が入射する。次に、外光が1/4波長板31を透過したとき、遅延軸と平行なY軸成分の位相が、遅延軸と直交するX軸成分の位相より90°(π/2)だけ遅延する。したがって、外光が1/4波長板31を透過し位置302に至ったとき、
図4(c)に示すように、左回りの円偏光となる。そして、1/4波長板31を透過した左回りの円偏光は、自発光フィルムパネル20の内部、例えば、発光素子の画素電極で反射し、再び1/4波長板31に位置303で入射する。自発光フィルムパネル20の内部で光が反射するとき、
図4(d)に示すように、自発光フィルムパネル20を鏡面とした鏡像となる。すなわち、自発光フィルムパネル20を基準としたとき、偏光の回転方向は変わらず光の進行方向のZ成分が逆向きになる。一方、光を基準としたとき、進行方向に対して右回りの円偏光となる。さらに、反射光が1/4波長板を透過して位置304に至ると、遅延軸と平行なY軸成分の位相が、遅延軸と直交するX軸成分の位相より90°(π/2)だけさらに遅延する。したがって、遅延軸であるY軸成分の位相が、遅延軸と直交するX軸成分の位相より180°(π)だけ遅れるため、位置301の状態に対して、Y軸成分の位相を反転させた状態になる。すなわち、位置301の状態に対して、偏光面の向きがX軸に対して対称の状態となるため、
図4(e)に示すように、位置304では、反射光は、X軸に対して-Y方向に45°だけ偏光面が傾いた直線偏光となる。この直線偏光の偏光面は直線偏光板32の偏光面に対して直交しているため、反射光は直線偏光板32を透過できず、位置305に到達しない。すなわち、円偏光板30に入射し自発光フィルムパネル20の表面や内部で反射した外光は円偏光板30を再び透過することができないため、自発光フィルムパネル20の表面や内部が反射面となるような外光反射を抑止することができる。
【0048】
(2)副表示領域における外光反射
以下、副表示領域における外光反射について、比較例1と実施の形態1との差異を説明する。
【0049】
図5(b)は、比較例1における副表示領域における外光反射経路を示す模式断面図である。比較例1では、自発光パネル10A、10Bそれぞれが円偏光板を有する構成ではなく、板状の円偏光板30Xが自発光パネル10Aの表示領域130Aと自発光パネル10Bの表示領域130Bとに跨って貼付されている。すなわち、比較例1に係る副表示領域では、円偏光板30Xと自発光フィルムパネル20とが密着していない。この場合、
図5(b)に示すように、円偏光板30Xを透過した外光が自発光パネル10Aの自発光フィルムパネル20A内部で反射した後、自発光フィルムパネル20Bの内部で再度反射し、円偏光板30Xに戻る光路が存在する。この場合、以下に説明するように、円偏光板30Xによる外光反射の抑止機構が機能しない。
【0050】
図6(a)から(f)は、
図5(b)の光路上における外光または外光反射光の偏光面を示す平面図である。直線偏光板32Xを透過した外光は、位置321に至ったとき、
図6(a)に示すように、直線偏光板32Xの偏光面と平行な直線偏光となる。次に、外光が1/4波長板31Xを透過し位置302に至ったとき、
図6(b)に示すように、左回りの円偏光となる。そして、1/4波長板31Xを透過した左回りの円偏光は、自発光フィルムパネル20Aの内部で反射し、さらに、自発光フィルムパネル20Bの内部で反射し、再び1/4波長板31Xに位置324で入射する。自発光フィルムパネル20Aの内部で反射した反射光は、位置323では
図6(c)に示すように、位置322に対して逆回転の右回りの円偏光となる。そして、自発光フィルムパネル20Bの内部で反射した反射光は、位置324では
図6(d)に示すように、位置323に対して逆回転の左回りの円偏光となる。すなわち、主表示領域での光反射と異なり、1/4波長板を透過した円偏光と回転方向と、反射光が1/4波長板に入射する際の円偏光の回転方向が一致する。したがって、反射光が1/4波長板を透過して位置324に至ると、遅延軸と平行なY軸成分の位相が、遅延軸と直交するX軸成分の位相より90°(π/2)だけ遅延するが、光の進行方向も逆であるために、遅延軸であるY軸成分の位相と、遅延軸と直交するX軸成分の位相との差が0に戻る。すなわち、位置324では、
図6(e)に示すように、位置321の状態に対して、偏光面の向きが同一の状態となる。この直線偏光の偏光面は直線偏光板32の偏光面に対して平行であるため、反射光は直線偏光板32を透過し、位置325においても
図6(f)に示すように直線偏光が出射される。すなわち、円偏光板30に入射し自発光フィルムパネル20の表面や内部で反射した外光であっても、円偏光板30を透過した光が自発光フィルムパネル20で2回反射して円偏光板30に戻る光路が存在する場合には、円偏光板30で遮断できない。したがって、比較例1の構成では、副表示領域で反射した外光については外光反射の抑止を行うことができない。
図7(b)の写真は、比較例1に係る表示装置における、副表示領域付近を撮像した写真である。
図7(b)に示すように、比較例1に係る構成では、副表示領域が外光反射により白く光っていることが確認できる。
【0051】
一方、
図5(a)は、実施の形態1における副表示領域における外光反射経路を示す模式断面図である。実施の形態1では、自発光パネル10A、10Bそれぞれが円偏光板を有し、円偏光板は自発光フィルムパネル20と密着する構成である。この場合、円偏光板を透過した外光が自発光フィルムパネル20A内部で反射した後に自発光フィルムパネル20Bの内部で再度反射し、円偏光板に戻る光路を考えると、
図5(a)に示すように、自発光フィルムパネル20A内部で反射した後に自発光フィルムパネル20Bの内部に入射する前に、円偏光板を2度通過する。すなわち、自発光パネル10Aにおいて、円偏光板、自発光フィルムパネル20A、円偏光板を通過した光が、自発光パネル10Bに入射する。したがって、直線偏光板32Aを透過した外光は、位置311において直線偏光となった後に位置312で円偏光となり、自発光フィルムパネル20Aの内部で反射して回転方向が反転した状態で位置313に入射するため、位置314において直線偏光板32Aの偏光面と偏光面が直交する直線偏光になる。したがって、主表示領域と同様に、直線偏光板32Aを透過する反射光がほとんどない状態となる。また、仮に直線偏光板32Aを透過する反射光が存在しても、自発光パネル10Bにおいても、位置315、316、317、318を経由する光路の途上において、位置318において直線偏光板32Bの偏光面と偏光面が直交する直線偏光になるため、位置319にはほとんど透過光が存在しない。したがって、実施の形態1に係る構成では、副表示領域で反射した外光についても外光反射の抑止を行うことができる。
図7(a)の写真は、実施の形態に係る表示装置における、副表示領域付近を撮像した写真である。
図7(a)の例では、図中左側の自発光パネルを実施の形態に係る構成としており、図中左側の自発光パネルでは副表示領域において外光反射が生じていないことが確認できる。
【0052】
4.まとめ
以上説明したように、実施の形態1に係る表示装置によれば、自発光パネルの継ぎ目に存在する副表示領域における外光反射を抑止することができる。したがって、自発光パネルの中央部と自発光パネルの継ぎ目部分とで外光反射を均一に抑止することができ、高品質なタイリングパネルとして使用することができる。
【0053】
≪実施の形態2≫
1.円偏光板30の構成
実施の形態1に係る表示装置では、円偏光板30が少なくとも自発光フィルムパネル20の副表示領域を密着して覆うことにより、副表示領域における外光反射の抑制を確実に行う構成とした。これに対し、実施の形態2では、副表示領域において、一方の自発光パネルの表示内容が他方の自発光パネルに映り込む現象をさらに抑制する構成とした。
【0054】
図8は、副表示領域における表示画像反射経路を示す模式断面図である。ここでは、自発光パネル10Aの位置330において発光した光が、自発光パネル10Bの表面において外光として反射する経路を示している。この場合、自発光パネル10Aの位置330か出射した光はまず1/4波長板31Aを通過するが、自発光素子からの光は非偏光であるため透過光は特定の偏光とならず、直線偏光板32Aを透過する際に直線偏光となる。この光が直線偏光板32Bに入射するとき、直線偏光板32Aの偏光面と直線偏光板32Bの偏光面が直交しない場合、直線偏光板32Bを透過した光は位置332において直線偏光板32Bの偏光面を偏光面とする直線偏光となる。特に、直線偏光板32Aの偏光面と直線偏光板32Bの偏光面が平行である場合、光は直線偏光板32Bを略素通りする。以降、実施の形態1で説明した通り、位置333において円偏光となり、位置334において位置333とは逆回転の円偏光となり、位置335において位置332とは偏光面が直交する直線偏光となるため、位置336にはほとんど光が出射されない。しかしながら、自発光パネル10Aからの光が直線偏光板32Bや1/4波長板31Bに入射するときの入射角が大きい場合、直線偏光板32Bや1/4波長板31Bが十分に機能せず、位置336からの光の出射がある程度の強度で起きる場合がある。すなわち、副表示領域では、円偏光板30Bに対する入射角が大きいために、自発光パネル10Aからの光の反射を十分に抑止することができない場合がある。
【0055】
これに対し、
図8(b)は、実施の形態2に係る円偏光板30の直線偏光板32の偏光面の構成を示す図である。実施の形態2では、自発光パネル10Aの主表示領域における直線偏光板32Aの偏光面32aAと、自発光パネル10Bの主表示領域における直線偏光板32Bの偏光面32aBとが直交する構成とした。すなわち、副表示領域においても、直線偏光板32Aの偏光面と直線偏光板32Bの偏光面とが直交する。
【0056】
本構成により、副表示領域において直線偏光板32Aの偏光面と直線偏光板32Bの偏光面とが略直交することとなるため、自発光パネル10Aの位置330を出射した光は直線偏光板32Bを透過する際に強度が大きく低下し、位置332の時点で微弱な光となる。したがって、副表示領域において、隣接する自発光パネルの副表示領域に表示されている画像が映り込む現象を抑制することができる。
【0057】
図10(a)、(c)は比較例2に係る表示装置における副表示領域の状態を撮像した写真であり、
図10(b)、(d)は実施の形態2に係る表示装置における副表示領域の状態を撮像した写真である。比較例2に係る表示装置は、自発光パネル10Aの主表示領域における直線偏光板32Aの偏光面32aAと、自発光パネル10Bの主表示領域における直線偏光板32Bの偏光面32aBとが平行である構成とした。なお、
図10(a)と(b)は左側の自発光パネルの表示内容が同一であり、
図10(c)と(d)は左側の自発光パネルの表示内容が同一である。
図10(a)と(b)を比較すると、比較例2では右側の自発光パネルの副表示領域が映り込みにより白く光っているのに対し、実施の形態2に係る表示装置では、右側の自発光パネルの副表示領域の映り込みが抑えられていることが確認できる。また、
図10(c)と(d)を比較すると、比較例2では右側の自発光パネルの副表示領域に、白い四角(□)が強く映り込んでいるのに対し、実施の形態2に係る表示装置では、右側の自発光パネルの副表示領域に白い四角(□)が映り込んでいるものの、明るさが小さい。なお、自発光パネルの発光強度を100%としたとき、比較例2における映り込みの強度は45%であり、実施の形態2における映り込みの強度は22%であった。すなわち、実施の形態2の構成とすることで、映り込みの光強度を約半減させることができる。
【0058】
2.まとめ
以上説明したように、実施の形態2に係る表示装置によれば、自発光パネルの継ぎ目において、一方の自発光パネルの表示内容が他方の自発光パネルに映り込む現象を抑制することができる。したがって、自発光パネルの継ぎ目部分で表示品質が低下することを抑制することができ、高品質なタイリングパネルとして使用することができる。
【0059】
なお、実施の形態2では、実施の形態1の構成に加えて一方の自発光パネルの表示内容が他方の自発光パネルに映り込む現象を抑制する構成とした。しかしながら、一方の自発光パネルの表示内容が他方の自発光パネルに映り込む現象のみを抑制する構成としてもよく、この場合は1/4波長板は不要であり、直線偏光板が実施の形態2の通りに貼付されていればよい。
【0060】
≪変形例1≫
実施の形態1および実施の形態2では、表示装置において自発光パネルが1次元的に配置されるとしたが、自発光パネルは2次元的に配置されるものであってもよい。
【0061】
変形例1に係る表示装置では、自発光パネルは2次元的に配置される。各自発光パネルは、例えば、
図18(a)に示すような、4辺全てが屈曲部を有する自発光パネルであって、
図18(b)に示す展開図の形状を有する自発光フィルムパネルを備える。自発光パネルは、例えば、
図18(c)のように、隣接する2つの自発光パネルにおいて、実施の形態1または2と同様、副表示領域同士が当接するように並べることで実現できる。
【0062】
変形例1において実施の形態2と同様の効果を得る場合、自発光パネルの主表示領域における直線偏光板の偏光面と、自発光パネルに隣接する自発光パネルの主表示領域における直線偏光板の偏光面とが直交するように配置を行えばよい。
図9(a)は、X方向に自発光パネルを5個、Y方向に自発光パネルを3個配置した際の、直線偏光板の偏光面を示す模式平面図である。
図9(a)に示すように、自発光パネル10
xyの直線偏光板の偏光面32a
xyは、x方向に隣接する自発光パネル10
(x+1)yの直線偏光板の偏光面32a
(x+1)yと直交し、かつ、y方向に隣接する自発光パネル10
x(y+1)の直線偏光板の偏光面32a
x(y+1)と直交する。したがって、自発光パネル10
xyの直線偏光板の偏光面32a
xyは、1つ隔ててx方向に隣接する自発光パネル10
(x+2)yの直線偏光板の偏光面32a
(x+2)yと一致し、かつ、1つ隔ててy方向に隣接する自発光パネル10
x(y+2)の直線偏光板の偏光面32a
x(y+2)と一致し、さらに、斜め方向に隣接する自発光パネル10
(x+1)(y+1)の直線偏光板の偏光面32a
(x+1)(y+1)とも一致する。すなわち、直線偏光板の偏光面が一致する自発光パネルが市松模様を形成するように1つおきに並ぶ。このとき、自発光パネルの直線偏光板の偏光面の向きは、偏光面32a
11と平行、および、偏光面32a
11に直交、の2種類しかないため、直線偏光板の偏光面が偏光面32a
11と平行な自発光パネルと、直線偏光板の偏光面が偏光面32a
11と直交する自発光パネルと、が互いに隣接するよう交互に並べることで、m×n個(m、nは自然数)の自発光パネルを用いた表示装置を形成できる。
【0063】
≪変形例2≫
変形例1では、直線偏光板の偏光面について、互いに直交する2方向であるとのみ説明したが、特定の向きに対してすべての直線偏光板の偏光面が45°をなすような配置としてもよい。
図9(b)は、X方向(xz平面)に対してすべての直線偏光板の偏光面が45°をなす配置とした。このようにすることで、レンズ部分に直線偏光板を備える眼鏡(以下、「偏光眼鏡」と記載する)を通して表示装置の表示を見る場合においても、輝度のムラを防ぐことができる。上述したように、自発光パネル10
11、10
13、10
15、10
22、10
24、10
31、10
33、10
35のグループAは直線偏光板の偏光面が同一であり、自発光パネル10
12、10
14、10
21、10
23、10
25、10
32、10
34のグループBは直線偏光板の偏光面が同一であり、グループAとグループBの間で直線偏光板の偏光面が直交する。したがって、変形例1において例示した
図9(a)の配置の場合、偏光眼鏡のレンズがX方向を偏光軸とする直線偏光板を含む場合、グループBではレンズに含まれる直線偏光板の偏光面と、自発光パネルの直線偏光板の偏光面が一致するため輝度が高く見える。これに対し、グループAでは、レンズに含まれる直線偏光板の偏光面と、自発光パネルの直線偏光板の偏光面が一致するため輝度が低く見える。すなわち、偏光眼鏡のレンズがX方向を偏光軸とする直線偏光板を含む場合、表示装置の表示を見たときに、市松模様の形状に輝度ムラが生じて見える。一方、
図9(b)の配置の場合、偏光眼鏡のレンズがX方向を偏光軸とする直線偏光板を含む場合、グループAとグループBのいずれも、レンズに含まれる直線偏光板の偏光面と、自発光パネルの直線偏光板の偏光面のなす角が45°と同じであるため、偏光眼鏡のレンズがX方向を偏光軸とする直線偏光板を含む場合、表示装置の表示を見たときに、グループAとグループBとの間で輝度ムラが見えない。つまり、偏光眼鏡などのX方向を偏光軸とする直線偏光板を通して表示装置の表示を見る場合において、自発光パネル間の輝度ムラを抑止することができる。
【0064】
なお、ここではすべての自発光パネルの直線偏光板の偏光面がX方向に対して45°をなす配置としたが、表示装置と視聴者との間に存在しうる直線偏光板の偏光面はX方向に限らずXY平面と直交する任意の向きであってよく、当該向きに対してすべての自発光パネルの直線偏光板の偏光面が45°をなす配置とすればよい。
【0065】
≪実施の形態3≫
1.自発光パネル10の詳細構成
本実施の形態では、自発光パネル10の詳細構成とその製造方法について説明する。
【0066】
自発光パネル10は、支持部材11と、自発光フィルムパネル20と、円偏光板30とが積層されてなる。
【0067】
図11は、自発光パネル10の詳細を示す模式断面図であり、
図3の一部を拡大したものである。
【0068】
支持部材11は、自発光フィルムパネル20と円偏光板30とを担持する材料であり、上述の通り、金属、ガラス、樹脂等からなる。
【0069】
円偏光板30は、1/4波長板31、1/2波長板33、直線偏光板32がこの順に積層されてなる。1/4波長板31は、例えば、液晶材料を可撓性樹脂に配列してなる。1/4波長板31の膜厚は、例えば、1μmである。1/2波長板33は、例えば、液晶材料を可撓性樹脂に配列してなる。1/2波長板33の膜厚は、例えば、2μmである。直線偏光板32は、例えば、ヨウ素で染色したポリビニルアルコール(PVA)からなる。直線偏光板32の膜厚は、例えば、5μmである。なお、図示していないが、1/4波長板31と1/2波長板315との間、1/2波長板315と直線偏光板32との間には、1~2μm程度の接着層が存在している。また、図示していないが、1/4波長板31と自発光フィルムパネル20との間には、例えば、15μmの接着層が存在している。なお、直線偏光板32上に、例えば、20~60μm程度のアクリル樹脂フィルムからなる保護層を形成してもよい。
【0070】
<自発光フィルムパネル>
自発光フィルムパネル20は、支持部材11側から順に、第1接着層201、第1基板層202、第2接着層211、第2基板層212、第3基板層213、パッシベーション層214、TFT層215、層間絶縁層220、画素電極231、隔壁232、第1機能層233、発光層234、第2機能層235、対向電極236、封止層237、平坦化層240、第3接着層241が積層されてなる。このうち、画素電極231、第1機能層233、発光層234、第2機能層235、対向電極236が自発光素子たる有機EL素子を形成している。また、画素電極231、第1機能層233、発光層234については、素子単位で形成されている。
【0071】
<第1接着層>
第1接着層201は、自発光フィルムパネル20を支持部材11に貼付し固定するための接着層である。第1接着層201の材料としては、公知の粘着剤を用いることができ、例えば、アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、フッ素系ポリマーなどを用いることができる。
【0072】
<第1基板層>
第1基板層202は、フレキシブル基板の第1層となる可撓性の膜であり、自発光フィルムパネル20の強度を保つための裏張り基板である。第1基板層202の材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂を用いてもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることができる。なお、例えば、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリサルホン(PSu)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体を用いてもよい。または、例えば、第1基板層202は樹脂に限らず、ガラス薄膜、金属薄膜等の無機材料からなる可撓性基板であってもよい。第1基板層202の膜厚は、例えば、50μmである。
【0073】
<第2接着層>
第2接着層211は、裏張り基板である第1基板層202を有機EL表示パネル製造時の基板である第2基板層212および第3基板層213に貼付し固定するための接着層である。第1接着層211の材料としては、公知の粘着剤を用いることができ、例えば、アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、フッ素系ポリマーなどを用いることができる。第2接着層211の膜厚は、例えば、25μmである。
【0074】
<第2基板層>
第2基板層212は、フレキシブル基板の第2層となる可撓性の膜であり、有機EL表示パネル製造時の基板である第3基板層213を保持基板に仮止めするための基板であり、例えば、ポリイミド(PI)からなる。第1基板層212の膜厚は、例えば、10μmである。
【0075】
<第3基板層>
第3基板層213は、フレキシブル基板の第3層となる可撓性の膜であり、TFTおよび発光素子を直接担持する基板である。第3基板層213の材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂を用いてもよく、例えば、ポリイミド(PI)を用いることができる。なお、例えば、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体を用いてもよい。第2基板層213の膜厚は、例えば、10μmである。
【0076】
<パッシベーション層>
パッシベーション層214は、第3基板層213側から水や酸素などの不純物がTFT層や発光素子内へと侵入するのを防ぎ、不純物によるこれらの層の劣化を抑制する機能を有する。パッシベーション層214の材料は、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)を用いることができる。
【0077】
<TFT層>
TFT層215は、有機EL素子のそれぞれを駆動する回路であり、画素ごとに駆動回路が形成される。
【0078】
<層間絶縁層>
層間絶縁層220は、パッシベーション層214およびTFT層215上に形成される樹脂層であり、TFT層215の上面の段差を平坦化するためのものである。層間絶縁層220の材料としては、例えば、ポジ型の感光性材料を用いることができる。
【0079】
<画素電極>
画素電極231は、光反射性の金属材料からなる金属層を含み、層間絶縁層220上に形成されている。画素電極231は、画素ごとに設けられ、層間絶縁層220に設けられたコンタクトホールを通じてTFT層215と電気的に接続されている。
【0080】
本実施形態においては、画素電極231は、陽極として機能する。
【0081】
<隔壁>
隔壁232は、画素電極231の上面の一部の領域を露出させ、その周辺の領域を被覆した状態で画素電極231上に形成されている。隔壁232は、それぞれ四角錐台状もしくはそれに類似した形状であり、断面は上方を先細りとする順テーパーの台形状もしくは上に凸のお椀状である。画素電極231上面において隔壁232で被覆されていない領域(以下、「開口部」という)は、サブピクセルに対応している。すなわち、隔壁832は、サブピクセルごとに設けられた開口部232aを有する。隔壁232は、画素電極231が形成されていない部分では、層間絶縁層220上に形成されている。すなわち、画素電極831が形成されていない部分では、隔壁232の底面は層間絶縁層220の上面と接している。
【0082】
隔壁232は、第1機能層233、および/または発光層234を塗布法で形成する際、塗布されたインクが隣接するサブピクセルのインクと接触しないようにするための構造物として機能する。また、隔壁232は、第1機能層233、および/または発光層234を蒸着法で形成する際、蒸着マスクを載置するための構造物として機能する。なお、隔壁232は、第1機能層233、発光層234の少なくとも一方を塗布法で形成する場合には、少なくとも頂部が撥液性を有していることが好ましい。
【0083】
<第1機能層>
第1機能層233は、画素電極231から発光層234へのキャリアの注入を促進させる目的で設けられる。本実施の形態では画素電極231は陽極であるため、第1機能層233は、正孔(ホール)の注入性や輸送性を備えることが好ましく、および/または、電子のブロック性を備えることが好ましい。
【0084】
<発光層>
発光層234は、開口部232a内に形成されている。発光層234は、正孔と電子の再結合によりR、G、Bの各色の光を出射する機能を有する。発光層234の材料としては、公知の材料を利用することができる。
【0085】
なお、本実施の形態では発光素子が有機EL素子であるため、発光層234は有機発光材料であるとしたが、発光層234として量子ドット発光効果を持つ材料を用いて、発光素子層を量子ドット発光素子層としてもよい。
【0086】
<第2機能層>
第2機能層235は、対向電極236から発光層234へのキャリアの注入を促進させる目的で設けられる。本実施の形態では対向電極236は陰極であるため、第2機能層235は、電子の注入性や輸送性を備えることが好ましく、および/または、ホールのブロック性を備えることが好ましい。
【0087】
<対向電極>
対向電極236は、複数の画素に共通して第2機能層235上に形成されており、陰極として機能する。
【0088】
対向電極236は、透光性と導電性とを兼ね備えており、金属材料で形成された金属層、金属酸化物で形成された金属酸化物層のうち少なくとも一方を含んでいる。
【0089】
<封止層>
対向電極236の上には、封止層237が設けられている。封止層237は、円偏光板30側から不純物(水、酸素)が有機EL素子内部へと侵入するのを防ぎ、不純物によるこれらの層の劣化を抑制する機能を有する。封止層237は、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの透光性材料を用い形成される。また、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料を用い形成された層の上に、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂材料からなる封止樹脂層を設けてもよい。
【0090】
本実施の形態においては、有機EL素子がトップエミッション型であるため、封止層237は光透過性の材料で形成されることが必要となる。
【0091】
<平坦化層>
平坦化層240は、有機EL素子の封止層237上の段差を平坦化するための樹脂層である。平坦化層240の材料としては、任意の光透過性の樹脂を用いることができる。平坦化層240の膜厚は、例えば、15μmである。
【0092】
2.表示装置の製造方法
以下、実施の形態の一形態であるタイリングディスプレイの製造方法として、表示装置の製造方法について説明する。
図13から
図17は、表示装置300の製造における各工程での状態を示す模式断面図である。また、
図12、
図13は、表示装置300の製造方法を示すフローチャートである。
【0093】
(1)支持部材11の準備
まず、自発光パネル10の形状に支持部材11の材料を成型する(ステップS10)。
【0094】
(2)自発光フィルムパネル20の形成
次に、自発光フィルムパネル20を形成する(ステップS20)。
図13は、自発光フィルムパネル20の製造方法を示すフローチャートである。
【0095】
(i)可撓性基板の形成
まず、
図14(a)に示すように、保持基板100上に第2基板層212を形成し、さらに第2基板層212上に第3基板層213を形成する。保持基板100は、例えば、ガラス基板などの剛体基板を用いることができる。なお、保持基板100は、後述するステップS330においてレーザー光を使用する場合には、光透過性の基板であることが好ましい。第2基板層212の形成は、例えば、第2基板層212の材料をスピンコート法などにより塗布し、乾燥(焼成)することで行うことができる。第3基板層213の形成も同様に、例えば、第3基板層213の材料をスピンコート法などにより塗布し、乾燥(焼成)することで行うことができる。
【0096】
次に、第3基板層213上にパッシベーション層214を形成する。パッシベーション層214は、例えば、CVD法またはスパッタリング法により第3基板層213上に均一に成膜する。
【0097】
これにより、可撓性基板が形成される(
図14(b)、ステップS210)
(ii)TFT層215の形成
次に、パッシベーション層214上にTFT層215を形成する(ステップS220)。TFT層215の形成は、公知のTFTの製造方法により行うことができる。
【0098】
(iii)層間絶縁層220の形成
次に、TFT層215上に層間絶縁層220を形成する(
図14(c)、ステップS230)。層間絶縁層220は、例えば、プラズマCVD法、スパッタリング法などを用いて積層形成することができる。
【0099】
次に、層間絶縁層220における、TFT層215のソース電極上の箇所にドライエッチングを行い、コンタクトホールを生成する。コンタクトホールは、その底部にソース電極の底面が露出されるように形成される。
【0100】
次に、コンタクトホールの内壁に沿って接続電極層を形成する。接続電極層の上部は、その一部が層間絶縁層220上に配される。接続電極層の形成は、例えば、スパッタリング法を用いることができ、金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法およびウェットエッチング法を用いパターニングすることがなされる。
【0101】
(iv)画素電極231の形成
次に、
図14(d)に示すように、層間絶縁層220上に画素電極231を形成する(ステップS240)。画素電極231の形成は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法を用いて画素電極231の材料を層間絶縁層220上に均一に成膜した後、フォトリソグラフィおよびエッチングによりパターニングすることでなされる。
【0102】
(v)隔壁232の形成
次に、
図15(a)に示すように、層間絶縁層220上の画素電極231間間隙に隔壁232を形成する(ステップS250)。隔壁232の形成は、例えば、感光性材料であるフェノール樹脂を溶媒に溶解させた溶液を、スピンコート法などを用いて一様に塗布した後、パターン露光と現像によりパターニングすることでなされる。
【0103】
(vi)第1機能層233の形成
次に、
図15(b)に示すように、隔壁232間の開口部232aに存在する画素電極231上に第1機能層233を形成する(ステップS260)。第1機能層233の形成は、例えば、第1機能層233の材料を含むインクを、インクジェットヘッドのノズルから吐出して塗布し、焼成(乾燥)を行うことでなされる。または、第1機能層233の形成は、例えば、開口部232aに対応する蒸着マスクを隔壁232上に載置し、第1機能層233の材料を真空蒸着法、PVD法、CVD法などで成膜することでなされる、としてもよい。なお、第1機能層233が多層構造である場合には、全ての層を塗布方式で成膜してもよいし、全ての層を蒸着方式で成膜してもよいし、または、一部の層を塗布方式で成膜し、残りの層を蒸着方式で成膜してもよい。
【0104】
(vii)発光層234の形成
次に、
図15(c)に示すように、隔壁232間の開口部232aに存在する第1機能層233上に発光層234を形成する(ステップS270)。発光層234の形成は、例えば、発光層234の材料を含むインクを、インクジェットヘッドのノズルから吐出して塗布し、焼成(乾燥)を行うことでなされる。または、発光層234の形成は、例えば、開口部232aに対応する蒸着マスクを隔壁232上に載置し、発光層234の材料を真空蒸着法、PVD法、CVD法などで成膜することでなされる、としてもよい。
【0105】
(viii)第2機能層235の成膜
次に、
図16(a)に示すように、発光層234および隔壁232上に、第2機能層235を形成する(ステップS280)。第2機能層235の形成は、例えば、第2機能層235の材料を真空蒸着法、PVD法、CVD法などで成膜することでなされる。
【0106】
(ix)対向電極236の成膜
次に、
図16(b)に示すように、第2機能層235上に、対向電極236を形成する(ステップS290)。対向電極236の形成は、例えば、対向電極236の材料を真空蒸着法、スパッタリング法などで成膜することでなされる。
【0107】
(x)封止層237の成膜
次に、
図16(c)に示すように、対向電極236上に、封止層237を形成する(ステップS310)。封止層237の形成は、例えば、封止層237の材料をCVD法、スパッタリング法などで成膜することでなされる。
【0108】
(xi)円偏光板30の貼付
次に、円偏光板30を貼付する(
図17(a)、ステップS320)。具体的には、まず、封止層237上に、平坦化層240を形成する。平坦化層240の形成は、例えば、平坦化層240の材料をディスペンサなどで塗布することでなされる。次に、直線偏光板32に接着剤を介して1/2波長板315を貼付し、さらに1/2波長板315に接着剤を介して1/4波長板31を貼付して円偏光板30とした後、1/4波長板31に接着剤を塗布して円偏光板30を平坦化層240上に貼付する。なお、円偏光板30の貼付は、予め円偏光板30として完成させたものに接着剤を塗布して平坦化層240に貼付するとしてもよいし、さらに、予め円偏光板30として完成させ、かつ、1/4波長板31に接着剤を塗布したものを準備し、これを平坦化層240に貼付するとしてもよい。
【0109】
(xii)支持基板から可撓性基板を剥離
次に、保持基板100から、第2基板層212より上側を剥離する(ステップS330)。保持基板100と第2基板層212との剥離は、例えば、保持基板100側から保持基板100と第2基板層212との界面にレーザー光を照射することでなされる。
【0110】
(3)フレキシブル自発光パネルを支持部材に貼付
図12に戻って説明を続ける。次に、フレキシブル自発光パネルを支持部材に貼付する(
図17(b)、ステップS30)。具体的には、まず、第1基板層202上に第2接着層211を塗布し、第2基板層212の下側に貼付して、可撓性基板の補強を行う。次に、支持部材10に第1接着層201を塗布し、第1基板層202を張り付ける。これにより、自発光パネル10が完成する。
【0111】
(4)自発光パネルの配置
最後に、2つの自発光パネル10について、副表示領域の端部同士を当接することにより、タイリングディスプレイが完成する(ステップS40)。
【0112】
≪実施の形態に係るその他の変形例≫
(1)上記実施の形態においては、自発光パネル10は他の自発光パネル10と当接する部分がR=5mmで屈曲し、断面がJの字状であるとしたが、屈曲部分の構造はこれに限られず、例えば、Rは3mmや7mmなど任意の値でよい。また、屈曲部分の構造はこれに限られず、例えば、
図19(a)に示すように、接続領域130が面状であってもよい。または、例えば、
図19(b)や
図19(c)に示すように、屈曲部分は曲面でなく折れ曲がっていてもよい。
【0113】
(2)上記実施の形態において、自発光パネル10は他の自発光パネル10と当接するとしたが、隣接する自発光パネルは必ずしも接触している必要はなく、例えば、
図20(a)に示すように、微小な離間距離dをおいて離間していてもよい。ここで、微小な離間距離dとは、例えば、自発光パネル全体の幅の10%以下としてもよいし、主表示領域110の幅の5%としてもよいし、または、副表示領域120の幅と同一以下、としてもよい。または、例えば、離間距離dは、視野角として10′以下である、としてもよく、例えば、視聴距離1mに対して3mm以下としてもよい。なお、副表示領域120が円筒状に屈曲している場合、離間距離dは0.93R以下であることが好ましい。副表示領域の端部から出射した光が隣接する副表示領域で反射して、主表示領域110の法線に対し出射角30°で出射するために必要な離間距離dが0.93Rであり、離間距離dが0.93Rを超えると出射光の一部が反射せず、映り込みの抑止効果が低下するためである。
図20(b)は、離間距離dが0.93であるときに、副表示領域の端部から出射した光が、隣接する副表示領域の入射位置の接線140に直交する法線150と対称に反射した結果、法線160に対して30°をなす経路180で出射する状態を示している。この経路の光が副表示領域で発光した光が隣接する副表示領域で反射して視認される限界の映り込みを代表する光線と考えられる。図に示した関係から、
(d+R-R/√2)tan30°=R/√2
が導かれ、さらに
d=0.93R
が導出される。
【0114】
(3)上記実施の形態においては、主表示領域110が平坦な領域、副表示領域120が屈曲した領域であるとしたが、これに限られない。例えば、副表示領域120は全域が屈曲している必要はなく、屈曲した部分を含む自発光パネル10周辺部の領域であればよい。また、主表示領域110は平坦である必要はなく、例えば、円筒側面状、球面状など局面でもよいし、多面体表面状など、折り曲がった部分を含んでもよい。
【0115】
また、タイリングパネルにおいて、表示領域が、円筒側面状、球面状、多面体表面状などとなるように、自発光パネル10を配置してもよい。また、隣接する2つの自発光パネル10は副表示領域120が連続するように当接していなくてもよく、表示領域が凡そ連続するような状態であれば、副表示領域120間に隙間が生じてもよい。
【0116】
(4)上記実施の形態においては、円偏光板30は自発光パネル10において自発光フィルムパネル20の全域を被覆するものとしたが、これに限られない。例えば、円偏光板は、副表示領域120のみを被覆するものとしてもよい。または、例えば、
図19(d)に示すように、1枚の円偏光板30が、複数の自発光フィルムパネル20上に跨り、かつ、副表示領域120においても円偏光板30が自発光フィルムパネル20に密着している、としてもよい。
【0117】
(5)上記実施の形態においては、円偏光板30は自発光フィルムパネル20側から1/4波長板31、直線偏光板32の積層構造、または、1/4波長板31、1/2波長板33、直線偏光板32の積層構造であるとしたが、これに限られない。例えば、円偏光板30は直線偏光板32の上部にハードコート層や、反射防止層(AR層)を有していてもよい。また、円偏光板30の構造は1/4波長板と直線偏光板との組み合わせに限られず、直線偏光を円偏光に変換する任意の波長板と直線偏光板との組み合わせなど、円偏光の反射を利用して反射防止の機能を奏する偏光板であれば、任意の構成であってよい。
【0118】
(6)上記実施の形態においては、表示装置は2つの自発光パネル10を有するとしたが、これに限られない。例えば、表示装置は3以上の自発光パネルを一列に並べる構成であってもよく、この場合、中央に位置する自発光パネルは、両端に屈曲部分を有する。
【0119】
(7)上記実施の形態においては、自発光パネル10は支持部材11上に自発光フィルムパネル20を貼付する構成であるとしたが、支持部材と同形状の基板上に発光素子を直接配置するとしてもよい。または、例えば、ガラスや金属の薄膜からなる基板上に発光素子を形成して円偏光板を貼付し、これを曲げて自発光パネル10としてもよい。
【0120】
(8)上記実施の形態においては、表示装置300は略同一の構成を有する複数の自発光パネル10を含む構成としたが、表示装置300に含まれる複数の自発光パネルは略同一の構成である必要がなく、副表示領域の構成が実施の形態の通りであれば、構成の異なる自発光パネルによりタイリングディスプレイが構成されるとしてもよい。また、タイリングディスプレイは平面である必要はなく、曲面や多面体形状を形成するように自発光パネル10が配列されるとしてもよい。
【0121】
(9)上記実施の形態においては、自発光パネル10は自発光素子である有機EL素子またはQLED素子を備えるとしたが、自発光パネル10は表示素子が必ずしも自発光素子である必要はなく、例えば、液晶表示素子と、バックライト、光導波路、または光反射板を組み合わせたパネルであってもよい。
【0122】
(10)以上、本開示に係る表示パネル、および、表示パネルの製造方法について、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態および変形例に限定されるものではない。上記実施の形態および変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態および変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、複数の表示パネルを連結して1つの表示装置として用いるタイリングディスプレイにおいて、連結部分の光反射による画質低下を抑止することに有用である。
【符号の説明】
【0124】
10 自発光パネル
11 支持部材
20 自発光フィルムパネル
30 円偏光板
31 1/4波長板
32 直線偏光板
130 表示領域
110 主表示領域
120 副表示領域
300 表示装置