(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】廃棄物封止装置
(51)【国際特許分類】
B09B 5/00 20060101AFI20220627BHJP
B65F 1/06 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
B09B5/00 Z ZAB
B09B5/00 P
B65F1/06 A
(21)【出願番号】P 2020158364
(22)【出願日】2020-09-23
【審査請求日】2021-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2019172558
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592182791
【氏名又は名称】株式会社スミロン
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】春山 泰三
【審査官】越本 秀幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-145562(JP,A)
【文献】特開2012-081274(JP,A)
【文献】特開2009-051509(JP,A)
【文献】特開2006-124029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00-5/00
B65F 1/00-1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(10)と、
廃棄物(W)を封止する一対の長尺封止シート(S)を重合可能に供給するシート供給機構(20)と、
前記一対の長尺封止シート(S)の間に前記廃棄物(W)を導入する導入部(30)と、
前記廃棄物(W)を間に置いて重ね合わされている前記一対の長尺封止シート(S)を圧着し、前記廃棄物(W)を封止する圧着機構(40)と、
前記一対の長尺封止シート(S)を切断し、前記一対の長尺封止シート(S)によって前記廃棄物(W)が封止されている封止体(M)を前記一対の長尺封止シート(S)から切離する切断機構(50、50A)であって、前記一対の長尺封止シート(S)に対し移動可能に設けられているカッター(51、51A)と、前記カッター(51、51A)が、前記一対の長尺封止シート(S)を切断する際に、前記一対の長尺封止シート(S)を保持可能に前記筐体(10)に固設される保持手段(52、52A)と、前記カッター(51、51A)の移動に連動し、前記一対の長尺封止シート(S)を保持するときの保持状態と、前記一対の長尺封止シート(S)に対する保持が解除される解除状態との間で前記保持手段(52、52A)の状態を切り替える切替機構(53)とを有する切断機構(50、50A)
とを具備
し、
前記保持手段(52、52A)が、前記一対の長尺封止シート(S)を挟持する挟持部(52a、91)を有し、
前記切替機構(53)が、前記カッター(51、51A)が、前記一対の長尺封止シート(S)を切断する切断動作開始前の待機位置(P0)に位置するとき、前記カッター(51、51A)と共に移動するカッターホルダ(55、55A)に当接される被当接部(54a、93a)を有し、前記被当接部(54a、93a)に前記カッターホルダ(55、55A)が当接しているときに、前記挟持部(52a、91)を開状態に保持し、前記被当接部(54a、93a)に前記カッターホルダ(55、55A)が当接していないときに、前記挟持部(52a、91)を閉状態に切り替える、廃棄物封止装置。
【請求項2】
前記保持手段(52、52A)が、前記挟持部(52a、91)を前記閉状態に付勢する付勢手段(52b、94)を有し、前記切替機構(53)が、前記被当接部(54a、93a)を含み前記挟持部(52a、91)を開閉可能に前記挟持部(52a、91)に連結されるレバー部材(54、93)と、前記カッターホルダ(55、55A)に設けられ、前記付勢手段(52b、94)の付勢力に抗し前記挟持部(52a、91)を開状態に維持可能に前記被当接部(54a、93a)と当接する当接部(55a、95)とを有する、請求項
1に記載の廃棄物封止装置。
【請求項3】
前記切断機構(50、50A)が、前記カッター(51、51A)の移動をガイドするガイド部(57)と、前記カッター(51、51A)の手動による移動操作を受付ける操作部(58)とを更に有する、請求項1
又は請求項2に記載の廃棄物封止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物、特に、使用済みおむつ、生ごみ、使用済み生理用品、医療廃棄物などの各種廃棄物を封止する廃棄物封止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
使用済みおむつ、生ごみ、使用済み生理用品、医療廃棄物などの廃棄物を回収し廃棄するための回収装置として、特許文献1には、病院や老人保健施設などの各種施設において使用される回収カートが記載されている。特許文献1に記載の回収カートにおいては、回収カートに備えられているフレームにビニール袋が装着され、使用済みおむつなどの廃棄物が各病室において回収され、回収された廃棄物がビニール袋に収納される。特許文献1に記載の回収カートによれば、回収される多数の廃棄物を順次にビニール袋に収納でき、廃棄物を効率的に回収できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の回収カートにおいては、廃棄物が発する臭気や、当該廃棄物に付着している病原菌がビニール袋の開口から外部に漏れ出すことがある。臭気などの漏出を防止するためには、ビニール袋の開口を気密に閉塞するなどの特別の処置が必要となる。また、各家庭で生じる廃棄物の廃棄においては、多数の廃棄物をまとめて回収できるという効率性の観点ではなく、廃棄物が生じたときに、個々の廃棄物に対し直ちに臭気や病原菌の漏出を防止する処置を行えるとともに、簡易に廃棄物を廃棄可能な状態に整えることができるという観点が重要となる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、廃棄物が生じたときに、個々の廃棄物に対し直ちに臭気や病原菌の漏出を防止する処置を行えるとともに、ワンタッチの簡易な操作で廃棄物を廃棄可能な状態に整えることができる廃棄物封止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示する廃棄物封止装置は、筐体(10)と、シート供給機構(20)と、導入部(30)と、圧着機構(40)と、切断機構(50、50A)とを具備する。前記シート供給機構(20)は、廃棄物(W)を封止する一対の長尺封止シート(S)を重合可能に供給する。前記導入部(30)は、前記一対の長尺封止シート(S)の間に前記廃棄物(W)を導入する。前記圧着機構(40)は、前記廃棄物(W)を間に置いて重ね合わされている前記一対の長尺封止シート(S)を圧着し、前記廃棄物(W)を封止する。前記切断機構(50、50A)は、前記一対の長尺封止シート(S)を切断し、前記一対の長尺封止シート(S)によって前記廃棄物(W)が封止されている封止体(M)を前記一対の長尺封止シート(S)から切離する。また、前記切断機構(50、50A)は、カッター(51、51A)と、保持手段(52、52A)と、切替機構(53)とを有する。前記カッター(51、51A)は、前記一対の長尺封止シート(S)に対し移動可能に設けられている。前記保持手段(52、52A)は、前記カッター(51、51A)が、前記一対の長尺封止シート(S)を切断する際に、前記一対の長尺封止シート(S)を保持可能に前記筐体(10)に固設される。前記切替機構(53)は、前記カッター(51、51A)の移動に連動し、前記一対の長尺封止シート(S)を保持するときの保持状態と、前記一対の長尺封止シート(S)に対する保持が解除される解除状態との間で前記保持手段(52、52A)の状態を切り替える。
【0007】
本願に開示する廃棄物封止装置においては、前記保持手段(52、52A)が、挟持部(52a、91)を有し、前記切替機構(53)が、被当接部(54a、93a)を有する。前記挟持部(52a、91)は、前記一対の長尺封止シート(S)を挟持する。前記被当接部(54a、93a)は、前記カッター(51、51A)が、前記一対の長尺封止シート(S)を切断する切断動作開始前の待機位置(P0)に位置するとき、前記カッター(51、51A)と共に移動するカッターホルダ(55、55A)に当接される。そして、前記切替機構(53)は、前記被当接部(54a、93a)に前記カッターホルダ(55、55A)が当接しているときに、前記挟持部(52a、91)を開状態に保持し、前記被当接部(54a、93a)に前記カッターホルダ(55、55A)が当接していないときに、前記挟持部(52a、91)を閉状態に切り替える。
【0008】
本願に開示する廃棄物封止装置においては、前記保持手段(52、52A)が、付勢手段(52b、94)を有し、前記切替機構(53)が、レバー部材(54、93)と、当接部(55a、95)とを有する。前記付勢手段(52b、94)は、前記挟持部(52a、91)を前記閉状態に付勢する。前記レバー部材(54、93)は、前記被当接部(54a、93a)を含み、前記挟持部(52a、91)を開閉可能に前記挟持部(52a、91)に連結される。前記当接部(55a、95)は、前記カッターホルダ(55、55A)に設けられ、前記付勢手段(52b、94)の付勢力に抗し前記挟持部(52a、91)を開状態に維持可能に前記被当接部(54a、93a)と当接する。
【0009】
本願に開示する廃棄物封止装置においては、前記切断機構(50、50A)が、ガイド部(57)と、操作部(58)とを更に有する。前記ガイド部(57)は、前記カッター(51、51A)の移動をガイドする。前記操作部(58)は、前記カッター(51、51A)の手動による移動操作を受付ける。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述のような構成であり、廃棄物が生じたときに、個々の廃棄物に対し直ちに臭気や病原菌の漏出を防止する処置を行えるとともに、ワンタッチの簡易な操作で廃棄物を廃棄可能な状態に整えることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る廃棄物封止装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1の廃棄物封止装置を側方から見た内部透視図である。
【
図3】
図1の廃棄物封止装置における圧着ロールを示す斜視図である。
【
図4】(a)
図1の廃棄物封止装置の解除状態における要部を示す底面図である。(b)当該要部の側面図である。(c)保持状態における要部を示す底面図である。
【
図5】
図1の廃棄物封止装置におけるカッターホルダを示す斜視図である。
【
図6】(a)
図5のカッターホルダを示す上面図である。(b)
図5のカッターホルダを示す側面図である。
【
図7】
図1の廃棄物封止装置におけるカッターを示す斜視図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る廃棄物封止装置を示す斜視図である。
【
図9】
図8の廃棄物封止装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図10】
図8の廃棄物封止装置を側方から見た内部透視図である。
【
図11】(a)
図8の廃棄物封止装置の解除状態における要部を示す底面図である。(b)当該要部の側面図である。(c)保持状態における要部を示す底面図である。
【
図12】
図1の廃棄物封止装置における幅広クリップを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る廃棄物封止装置を図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するのに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この実施形態に限定されるものではない。
【0013】
〈実施形態〉
図1~
図7を参照して、本発明の実施形態に係る廃棄物封止装置を説明する。
図1は、実施形態に係る廃棄物封止装置を示す斜視図である。
図2は、
図1の廃棄物封止装置を側方から見た内部透視図である。
図3は、
図1の廃棄物封止装置における圧着ロールを示す斜視図である。
図4は、
図1の廃棄物封止装置における要部を示す底面図、及び側面図である。
図5は、
図1の廃棄物封止装置におけるカッターホルダを示す斜視図である。
図6は、
図5のカッターホルダを示す上面図、及び側面図である。
図7は、
図1の廃棄物封止装置におけるカッターを示す斜視図である。
【0014】
図1、
図2に示すように、実施形態に係る廃棄物封止装置は、廃棄物W、特に、使用済みおむつ、生ごみ、使用済み生理用品、医療廃棄物などの各種廃棄物を封止する装置である。図示例の廃棄物封止装置は、主に家庭で使用されることを想定して設計されており、筐体10と、シート供給機構20と、導入部30と、圧着機構40と、切断機構50と、筐体10を支持する支持台60とを具備する。支持台60は、コの字形状を有する板材から形成され、底板部61と、筐体10を間に挟むように配され、筐体10に連結される2つの縦板部62とを有する。なお、実施形態の廃棄物封止装置は、家庭での使用に最適化されているが、家庭での使用に限らず、病院、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、幼稚園、保育所、動物飼育室などの各種施設においても好適に使用できる。また、昨今のコロナウイルス禍においては、院内感染の防止が緊喫の課題となっている。実施形態の廃棄物封止装置は、家庭での使用に適するよう小型化が容易な構造を有しており、感染者が入院する各病室への設置も容易であり、院内感染を効果的に防止できるものである。
【0015】
筐体10は、
図1に示すように、前面に操作パネル11を有する。また、筐体10の上面13には、廃棄物Wが投入される投入開口30aが開口し、筐体10の下方には、廃棄物Wが封止された封止体Mを取出すための取出部12が配設されている。
【0016】
操作パネル11は、電源ボタン、封止開始ボタン、非常停止ボタンなどの各種ボタンを有しており、廃棄物封止装置を操作するためのボタン操作を受付ける。
【0017】
取出部12は、
図2に示すように、切断機構50の下方に配設される1枚の板部材を含んでいる。当該板部材は、封止体Mの取出しを容易とするために、装置前側(図の左側)が低くなる向きに傾斜するように、支持台60によって支持されている。
【0018】
また、シート供給機構20は、
図2に示すように、圧着機構40より上に配され、廃棄物Wを封止する一対の長尺封止シートSを重合可能に供給する。図示例のシート供給機構20には、長尺封止シートSを巻き出し可能に円筒状に巻回される巻き芯21が2本あり、各巻き芯21が回転することにより、シート供給機構20は、一対の長尺封止シートSが対向するよう長尺封止シートSを供給する。
【0019】
長尺封止シートSとして、包被基材と包被基材に形成された接着層(粘着層)とを具備すると共に、包被基材と接着層とによりガスバリア性を有し、廃棄物Wを包被基材に包み込んで接着層により封止するようにしたものを用いることができる。包被基材として、プラスチック製フィルムやプラスチック製シートなど各種センサに使用する赤外線、可視光線等を透過する基材を用いることが好ましい。包被基材と接着層とによるガスバリア性は、包被基材自体がガスバリア性を有するものとすることができ、接着層がガスバリア性を有するものとすることができ、包被基材と接着層との相乗作用によりガスバリア性を有するものとすることもできる。さらに接着層として、常温で少しべたついた手触りがする粘着層などを用いることができる。長尺封止シートSは、未延伸ポリプロピレン(CPP)製フィルムからなる包被基材の片面にポリエステル系ポリウレタン樹脂からなる粘着層を積層一体化したものであって、ロール状に巻回して巻き出すことができる。
【0020】
導入部30は、
図2に示すように、一対の長尺封止シートSの間に廃棄物Wを導入する。実施形態においては、導入部30は、圧着機構40の上方に配され、投入開口30aが軸方向の一端に開口している筒状ガイド30bを含んでいる。筒状ガイド30bにおける軸方向の他端には、放出開口30cが開口している。
【0021】
また、放出開口30cの下方には、投入確認センサを設置することができる。投入確認センサとして、回帰反射型の光電センサを使用することができる。この回帰反射型の光電センサは、投光部と受光部を一体として有する装置と、その装置より発せられた光を反射する反射板をそれぞれ対向する位置に一対として使用される。また、投入確認センサとして、回帰反射型の光電センサのうち小型のアンプ内蔵型センサを使用することもできる。
【0022】
圧着機構40は、
図2に示すように、廃棄物Wを間に置いて重ね合わされている一対の長尺封止シートSを圧着し、廃棄物Wを封止する。実施形態においては、圧着機構40は、一対の圧着ロール41と、一対の圧着ロール41を回転駆動する駆動機構42とを有する。駆動機構42は、電動機42aと駆動ベルト42bとを含む。また、圧着機構40の下方には、切断機構50が配され、圧着機構40と切断機構50との間にはシートガイド70が配されている。
【0023】
図3に示すように、圧着ロール41はウレタンスポンジから形成されており、軸方向の両端に設けられた大径のシール部41aと、2つのシール部41aの間に設けられた小径の弾性圧縮部41bとを有する。また、圧着ロール41の一方の端面には、ギア43aを有する円形のロール固定部材43が固設されている。
【0024】
ギア43aは、
図2に示すように、一対の圧着ロール41の間で歯合し、一方の圧着ロール41(図における右側の圧着ロール41)の回転を他方の圧着ロール41に伝達する。また、圧着ロール41における他方の端面には、図示しない円形の被駆動板が固設されている。被駆動板の周縁部には、駆動ベルト42bと係合するギアが形成されており、駆動ベルト42bを介し、電動機42aの駆動力が一方の圧着ロール41に伝達される。また、
図3に示すように、ロール固定部材43及び被駆動板の中心には、筐体10に回転可能に支持される軸支部43bが設けられている。
【0025】
ここで、シール部41aは、種々表面処理を施し得る金属、樹脂などの硬質な高分子材料、ブタジエンゴム、シリコンゴムなどの弾性力を有する高分子材料であってもよい。そして、弾性圧縮部41bはブタジエンゴム、シリコンゴムなどの弾性力を有する高分子材料であってもよい。これらのように構成すると、長尺封止シートSの両端は圧着ロール41のシール部41aによって対向する長尺封止シートSの端部同士が確実に封止されると共に、弾性圧縮部41bでも対向する長尺封止シートS同士が接触することにより接着する。そして、弾性圧縮部41bを、弾性力を有する材料とすることによって廃棄物Wがこの部分に多少噛み込んだとしても変形してこれを許容することができ、弾性圧縮部41bを金属製とした場合のように装置を非常停止させなくてもよい。また、長尺封止シートSは直径が弾性圧縮部41bより大きい両端のシール部41aでシールされるので、廃棄物Wは外部にはみ出すことなく両端の密閉性も担保することができる。さらには、弾性圧縮部41bを設置せずになくした構造とすると、廃棄物Wを断続的に複数個或いは長い長さにわたって供給しても運転することができる。
【0026】
また、圧着機構40による圧着を自動的に行えるようにするために、圧着機構40と導入部30との間の適宜位置に上述の投入確認センサを設け、圧着機構40下方の適宜位置に通過確認センサを設けることができ、さらに封止体Mの圧着機構40への巻き込みを防止するために、圧着機構40下方の適宜位置に図示しない巻き込み防止センサを設けることができる。
【0027】
そして、投入確認センサが、投入された廃棄物Wを検知することにより、圧着機構40が作動し始める。また、通過確認センサを設けた場合には、通過確認センサが長尺封止シートSを検知すると、所定長さだけ長尺封止シートSを送るように、圧着機構40を作動した後、圧着機構40を停止する。また、通過確認センサを設けず、投入確認センサだけを設けた場合には、投入確認センサが廃棄物Wを検知すると、圧着機構40を作動させ、所定長さだけ長尺封止シートSを送ったときに、投入確認センサが廃棄物Wを検知しなくなっていれば、圧着機構40を停止する。また、巻き込み防止センサを設けた場合には、巻き込み防止センサが長尺封止シートS又は封止された廃棄物Wを検出すると、圧着機構40の動作が停止する。なお、当該巻き込みセンサが封止された廃棄物W等を検出すると、警告音や警告灯など外部に知らせる機構と連動するようにしてもよい。
【0028】
切断機構50は、一対の長尺封止シートSを切断し、一対の長尺封止シートSによって廃棄物Wが封止されている封止体Mを一対の長尺封止シートSから切離する。切断機構50は、カッター51と、保持手段(クリップ52の一部分)と、切替機構53とを有する。また、切断機構50は、操作部58を更に有する。操作部58は、カッター51の手動による移動操作を受付ける。
【0029】
カッター51は、一対の長尺封止シートSに対し移動可能に筐体10に支持される。実施形態においては、カッター51は、
図5、
図6に示すように、角筒状のカッターホルダ55の内部に保持され、カッターホルダ55と共に移動する。また、カッターホルダ55は、両端部に、ガイド孔55bを有している。ガイド孔55bに、ガイド部としてのガイドレール57が挿通されることによって、
図4に示すように、カッターホルダ55が、長尺封止シートSに対し移動可能に筐体10に支持される。
【0030】
図7に示すように、カッター51は、円形の第1回転体51a、及び円形の第2回転体51bを有している。第1回転体51aは、外周部に、一対の長尺封止シートSを切断するための一条の刃を有しており、第2回転体51bは、外周部に、第1回転体51aの刃が嵌り込む溝51cを有している。第1回転体51aは、金具51dと軸受51fとによって回転可能にカッターホルダ55に取付けられる。また、第2回転体51bは、金具51eと軸受51gとによって回転可能にカッターホルダ55に取付けられる。金具51d、金具51eには、軸受51hを設けることができる。
【0031】
クリップ52は、
図4に示すように、カッター51が一対の長尺封止シートSを切断する際に、一対の長尺封止シートSを保持可能に筐体10に固設される。実施形態においては、クリップ52は、一対の長尺封止シートSを挟持する挟持部52aを有している。
【0032】
切替機構53は、カッター51の移動に連動し、一対の長尺封止シートSを保持するときの保持状態(
図4(c)参照)と、一対の長尺封止シートSに対する保持が解除される解除状態(
図4(a)参照)との間でクリップ52の状態を切り替える。クリップ52の保持状態は、挟持部52aの閉状態と対応し、クリップ52の解除状態は、挟持部52aの開状態と対応する。
【0033】
また、操作部58は、
図5に示すように、カッター51の手動による移動操作を受付けるように、カッターホルダ55の一方の端部に連結されている。
図6に示すように、操作部58は、ユーザーによって把持される把持部58aと、把持部58aを支持する支持部58bと、カッターホルダ55に連結される連結部58cとを含む。
【0034】
以上、図面を参照して説明したように、実施形態の廃棄物封止装置によれば、保持手段を含むクリップ52が、カッター51の移動に連動し、一対の長尺封止シートSを保持するときの保持状態と、一対の長尺封止シートSに対する保持が解除される解除状態との間で状態が切り替わる。従って、カッター51によって一対の長尺封止シートSを切断し封止体Mを一対の長尺封止シートSから切離する際に、クリップ52を自動的に保持状態に切り替えることができ、一対の長尺封止シートSをクリップ52によって保持し、封止体Mを安定的に切離できる。また、カッター51による切断が終了すると、クリップ52を自動的に解除状態に切り替えることができ、1つの廃棄物Wの封止が終了したときに、次の廃棄物Wを封止するための準備態勢に自動的に移ることができる。
【0035】
また、切断機構50が操作部58を有することによって、ワンタッチの簡易な操作で封止体Mを一対の長尺封止シートSから切離できる。従って、個々の廃棄物に対し直ちに臭気や病原菌の漏出を防止する処置を行えるとともに、簡易な操作で廃棄物を廃棄可能な状態に整えることができる。また、カッター51を移動するための電動機を設ける必要がなく、機構を簡略化でき、製造コストを低減でき、各家庭における費用負担を低減できる。
【0036】
次に、
図4を参照して、切替機構53をより詳細に説明する。
図4に示すように、実施形態においては、切替機構53は、レバー部材54を含む。
【0037】
図4(a)、
図4(c)に示すように、レバー部材54は、被当接部54aを含んでおり、クリップ52の挟持部52aを開閉可能とするようにクリップ52の挟持部52aに連結されている。また、クリップ52は、挟持部52aを閉状態に付勢する付勢手段としてのバネ52bを含む。被当接部54aは、カッター51が、一対の長尺封止シートSを切断する切断動作開始前の待機位置P0に位置するとき、カッターホルダ55に設けられた当接部55aに当接される。被当接部54aに当接部55aが当接しているとき、バネ52bの付勢力に抗し挟持部52aは開状態に保持される。
【0038】
また、
図4(c)に示すように、カッター51が、一対の長尺封止シートSを切断するように、待機位置P0を離れて移動すると、被当接部54aとカッターホルダ55との当接が解除され、バネ52bの付勢力によって挟持部52aは閉状態に切り替わる。
【0039】
また、カッター51が、待機位置P0以外の位置から待機位置P0に移動されると、当接部55aが被当接部54aに当接し、挟持部52aは開状態に切り替わる。挟持部52aが開状態に切り替わった後は、バネ52bの付勢力に抗しカッター51を待機位置P0に保持する必要があり、そのような保持機構としては、以下のものが考えられる。
【0040】
例えば、ガイドレール57の径を部分的に大きくしたり、ガイドレール57の外周面の表面粗さを部分的に大きくしたりすることによって、カッター51が待機位置P0に位置するときに、バネ52bの付勢力だけではカッターホルダ55が動かないだけの摩擦力をガイドレール57とガイド孔55bとの間に働かせるようにすることが考えられる。あるいは、クリップ52における挟持部52aの各支点の間に設けられている各ギアに、通常の歯よりも係合摩擦力の大きい仮止め歯を設けることも考えられる。そして、クリップ52における挟持部52aの開度が一定以上になると、各ギアの仮止め歯が互いに係合し、バネ52bの付勢力だけではカッターホルダ55が動かないようにすることが考えられる。
【0041】
以上、
図4を参照して説明したように、実施形態の廃棄物封止装置によれば、カッター51が、待機位置P0に位置するとき、レバー部材54の被当接部54aとカッターホルダ55の当接部55aとの当接によって、挟持部52aが開状態に保持される。また、カッター51が、待機位置P0を離れて移動すると、当接部55aと被当接部54aとの当接が解除され、バネ52bの付勢力によって挟持部52aが閉状態に切り替わる。従って、レバー部材54とカッターホルダ55とが当接するだけの簡単な機構によって、カッター51の移動に連動し、クリップ52の一部分である保持手段を保持状態と解除状態との間で切替可能な機構を構成することができ、廃棄物封止装置の製造を容易にすることができるとともに、製造コストを低減することができる。
【0042】
次に、
図8~
図12を参照して、本発明の他の実施形態を説明する。
図8は、他の実施形態に係る廃棄物封止装置の外観を示す斜視図である。
図9は、
図8の廃棄物封止装置の内部構造を示す斜視図である。
図10は、
図8の廃棄物封止装置を側方から見た内部透視図である。
【0043】
図8、
図9に示すように、本実施形態の廃棄物封止装置は、一対の圧着ロール41を回転駆動する駆動機構として、電動機42a及び駆動ベルト42bに加え、ハンドル80を具備している。ハンドル80が具備されることによって、本実施形態の廃棄物封止装置は、ハンドル80によって一対の圧着ロール41を回転駆動する手動モードと、電動機42aによって一対の圧着ロール41を回転駆動する電動モードの2つの動作モードで動作可能である。
【0044】
図8、
図9に示すように、ハンドル80は、直線的に延びるアーム81と、連結部82と、折畳み式の円柱状の把手83とを有している。
【0045】
アーム81は、
図8に示すように、支持台60Aの側面に沿って延びるように配される。また、
図8に示すように、アーム81は、把手83が折畳まれたときに把手83を収納する収納凹部81aを有している。収納凹部81aは、把手83と嵌り合う形状を有する。
【0046】
連結部82は、
図9に示すように、アーム81における長手方向の一端部に設けられており、一方の圧着ロール41における軸支部43bから突設される回転軸44に連結される。実施形態においては、連結部82は、回転軸44の端部と着脱可能に嵌合する、図示しない嵌合孔を有している。廃棄物封止装置が手動モードで動作されるとき、連結部82の嵌合孔と回転軸44の端部とが嵌合され、ハンドル80が廃棄物封止装置に取付けられる。廃棄物封止装置が電動モードで動作されるとき、回転軸44の端部から連結部82を引き抜くようにして、ハンドル80が廃棄物封止装置から取外される。
【0047】
以上、
図8~
図10を参照して説明したように、本実施形態の廃棄物封止装置によれば、ハンドル80が具備されることによって、電力を要することなく廃棄物Wを封止でき、例えばコンセントから離れた場所やコンセントの無い施設に廃棄物封止装置が設置される場合にも、個々の廃棄物に対し直ちに臭気や病原菌の漏出を防止する処置を行える。
【0048】
また、廃棄物封止装置にハンドル80が具備されることによって、例えば震災により停電となったときにおいても、発臭性を有していたり、病原菌が付着したりしているような廃棄物Wを無電源で安全確実に封止することができ、被災時の停電対策を図ることができる。
【0049】
なお、本実施形態の廃棄物封止装置から電動機42aを取り除き、手動モードのみで廃棄物封止装置を動作可能とすることもできる。手動モードのみで廃棄物封止装置を動作可能とした場合には、利便性は低下するものの、廃棄物封止装置の製造コストを低減でき、価格設定を多様化できる。
【0050】
【0051】
図11(a)は、保持手段が解除状態である切断機構の底面図、
図11(b)は、切断機構の側面図、
図11(c)は、保持手段が保持状態である切断機構の底面図である。
図12は、本実施形態の廃棄物封止装置における幅広クリップの詳細を示す斜視図である。
【0052】
図10、
図11に示すように、本実施形態に係る廃棄物封止装置において、切断機構50Aは、
図1に示す廃棄物封止装置と同様に、カッター51Aと、保持手段(幅広クリップ52Aの一部分)と、切替機構(93、93a、95)とを有する。カッター51Aと、カッター51Aを保持するカッターホルダ55Aとは、
図1の廃棄物封止装置の対応部材と同様のものであるので、詳細説明は省略し、以下、本実施形態の保持手段を含む幅広クリップ52Aと、切替機構(93、93a、95)とを主に説明する。
【0053】
幅広クリップ52Aは、
図11、
図12に示すように、挟持部91と、固定板部92と、レバー部材としての可動板部93と、被当接部93aと、付勢手段としてのバネ94とを有する。幅広クリップ52Aは、固定板部92が取付金具100と接合され、取付金具100が筐体10に固定されることによって、筐体10に固定される。
【0054】
挟持部91は、一対の長尺封止シートSを安定的に保持できるように、ジグザグ状の歯列を各々有している。挟持部91の一方は、固定板部92と一体形成されており、固定板部92が筐体10に固定されることによって、筐体10に固定される。挟持部91の他方は、可動板部93と一体形成されている。
【0055】
レバー部材としての可動板部93は、回動軸93bを回動中心とし回動可能に固定板部92と連結されており、可動板部93が、固定板部92に対し回動することによって、挟持部91の状態が、長尺封止シートSを挟持する閉状態と、長尺封止シートSに対する挟持が解除される開状態との間で変化する。付勢手段としてのバネ94は、挟持部91を閉状態とするように、可動板部93を付勢している。
【0056】
また、
図12に示すように、可動板部93の回動端部には被当接部93aが形成されている。
図11(a)に示すように、カッターホルダ55Aが初期位置に位置するとき、カッターホルダ55Aに設けられている当接部95が可動板部93の被当接部93aと当接し、バネ94の付勢力に抗し挟持部91を開状態に保持する。
図11(c)に示すように、カッターホルダ55Aが初期位置とは異なる位置に移動すると、当接部95と被当接部93aとの当接状態が解除され、挟持部91の状態は、閉状態に変化し、一対の長尺封止シートSが挟持される。
【0057】
以上、図面を参照して説明したように、実施形態の廃棄物封止装置によれば、保持手段を含む幅広クリップ52Aが、カッター51Aの移動に連動し、一対の長尺封止シートSを保持するときの保持状態と、一対の長尺封止シートSに対する保持が解除される解除状態との間で状態が切り替わる。従って、
図1の廃棄物封止装置と同様に、カッター51Aによって一対の長尺封止シートSを切断し封止体Mを一対の長尺封止シートSから切離する際に、幅広クリップ52Aを自動的に保持状態に切り替えることができ、一対の長尺封止シートSを幅広クリップ52Aによって保持し、封止体Mを安定的に切離できる。また、カッター51による切断が終了すると、幅広クリップ52Aを自動的に解除状態に切り替えることができ、1つの廃棄物Wの封止が終了したときに、次の廃棄物Wを封止するための準備態勢に自動的に移ることができる。
【0058】
また、実施形態の廃棄物封止装置によれば、幅広クリップ52Aにおける幅広の挟持部91によって一対の長尺封止シートSが保持される。従って、より安定的に一対の長尺封止シートSを保持できる。また、幅広クリップ52Aの挟持部91がジグザグ状の歯列を各々有することによって、更に安定的に一対の長尺封止シートSを保持でき、更に安定的に封止体Mを切離できる。
【0059】
以上、図面(
図1~
図12)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記(1))。
【0060】
(1)実施形態においては、レバー部材54とバネ52bとを含む物理的な機構によって挟持部52aを開閉するものとしたが、これに限らず、被当接部54aを電気スイッチとし、電気スイッチの入切によって、電動式に挟持部52aを開閉することもできる。
【符号の説明】
【0061】
P0…待機位置
10…筐体
20…シート供給機構
30…導入部
40…圧着機構
50、50A…切断機構
51、51A…カッター
52…クリップ(保持手段)
52A…幅広クリップ(保持手段)
52a、91…挟持部
52b、94…バネ(付勢手段)
53…切替機構
54…レバー部材
54a…被当接部
55…カッターホルダ
55a…当接部
57…ガイドレール
58…操作部
93…可動板部(レバー部材)