(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】支保作業に影響することなく所定経路に従って岩石を破砕できる偏心ホブ式掘進機
(51)【国際特許分類】
E21C 27/06 20060101AFI20220627BHJP
E21D 9/10 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
E21C27/06
E21D9/10
(21)【出願番号】P 2020568308
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(86)【国際出願番号】 CN2020084608
(87)【国際公開番号】W WO2021088316
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2020-12-06
(31)【優先権主張番号】201911071177.X
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518139627
【氏名又は名称】中国▲鉱▼▲業▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】江 紅祥
(72)【発明者】
【氏名】朱 真才
(72)【発明者】
【氏名】劉 送永
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-295986(JP,A)
【文献】特開平06-257376(JP,A)
【文献】特表昭61-500620(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1233977(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0314931(US,A1)
【文献】国際公開第91/018185(WO,A1)
【文献】米国特許第04838614(US,A)
【文献】中国特許出願公開第102364048(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21C 27/06
E21D 1/00-9/14
E21D 11/00-19/06
E21D 23/00-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
坑道掘進に使用される偏心ホブ式掘進機であって、
履帯走行機構(1)、ラック(2)、液圧ポンプ室(3)、電源ボックス(4)、スライドレールベース(5)、推進シリンダーI(6)、スライド台(7)、トランスミッションケース(8)、ホブアーム回転スライド装置(10)、ホブアーム(11)、低速高トルクモーター(12)、偏心盤状ホブ(13)、コントロールボックス(14)、積載装置(15)、搬送装置(16)、
自走枠を備える仮支保装置(17)および補助操作台(18)を含み、
前記履帯走行機構(1)は、掘進機を走行させ、前記ラック(2)は、前記履帯走行機構(1)
の上に取り付けられ、
ここで、前記液圧ポンプ室(3)、
前記電源ボックス(4)、
前記スライドレールベース(5)、
前記自走枠を備える仮支保装置(17)および
前記補助操作台(18)は、いずれも前記ラック(2)
の上に取り付けられ、
前記液圧ポンプ室(3)および
前記電源ボックス(4)は、
前記ラック(2)の尾部に
おいて前記スライドレールベース(5)の左右両側に左右対称に設けられ、
前記スライドレールベース(5)は、前記液圧ポンプ室(3)および
前記電源ボックス(4)の前端に位置し、
前記積載装置(15)は、
前記ラック(2)の前端に取り付けられ、
前記搬送装置(16)は、
前記積載装置(15)の中央であって
前記ラック(2)の下方に取り付けられ、
前記スライド台(7)は、前記スライドレールベース(5)にスライド可能に取り付けられるとともに、2つの前記推進シリンダーI(6)を介して
前記スライドレールベース(5)に接続され、
前記トランスミッションケース(8)は、前記スライド台(7)の前端に取り付けられ、
前記トランスミッションケース(8)のケース体には、2つの液圧モーター(9)が
前記トランスミッションケースの出力軸(8-4)を中心に対称に取り付けられ、
前記液圧モーター(9)の出力軸は、トランスミッションケースの入力軸(8-1)に接続され、
前記トランスミッションケースの入力軸(8-1)に取り付けられた歯車I(8-2)は、
前記トランスミッションケースの出力軸(8-4)に取り付けられた歯車II(8-3)に噛み合い、
前記ホブアーム回転スライド装置(10)は、
前記トランスミッションケースの出力軸(8-4)の前端に取り付けられ、前記ホブアーム回転スライド装置(10)は、直方体構造のハウジング(10-1)を含み、前記ハウジング(10-1)の上端には、シリンダー取付板(10-3)が固定され、前記ハウジング(10-1)内には、E形溝(10-1-1)が設けられ、
前記ホブアーム(11)は、
前記E形溝(10-1-1)に挿入されるとともに、推進シリンダーII(10-2)を介して前記シリンダー取付板(10-3)に接続され、
前記低速高トルクモーター(12)は、前記ホブアーム(11)の前端に取り付けられ、
前記偏心盤状ホブ(13)は、
前記低速高トルクモーター(12)の出力軸に偏心して取り付けられ、
前記推進シリンダーI(6)、
前記液圧モーター(9)、
前記推進シリンダーII(10-2)、
前記自走枠を備える仮支保装置(17)および
前記補助操作台(18)は、それぞれ液圧回路を介して前記液圧ポンプ室(3)に接続され、
前記コントロールボックス(14)は、前記電源ボックス(4)の上端に取り付けられ、
前記低速高トルクモーター(12)、
前記コントロールボックス(14)は、それぞれ
前記電源ボックス(4)に電気的に接続され
、
前記液圧ポンプ室(3)に電力が供給されると、前記液圧ポンプ室(3)は高圧油を形成でき、
前記高圧油が前記液圧回路を介して前記推進シリンダーI(6)に供給されると、前記推進シリンダーI(6)は推進力を出力し、該推進力は前記スライド台(7)、前記トランスミッションケース(8)、前記ホブアーム回転スライド装置(10)および前記ホブアーム(11)を経て前記偏心盤状ホブ(13)を前後に移動させることができ、
前記高圧油が前記推進シリンダーII(10-2)に供給されると、前記推進シリンダーII(10-2)は推進力を出力し、該推進力は前記ホブアーム(11)を経て前記偏心盤状ホブ(13)に送達し、前記偏心盤状ホブ(13)をフライス削り作業面において垂直移動させることができ、
前記自走枠を備える仮支保装置(17)は、推進シリンダーIIIと前記推進シリンダーIIIの上に設けられたアーチ型支持棚を有し、前記高圧油を前記自走枠を備える仮支保装置(17)に供給することにより、前記推進シリンダーIIIの上昇および下降させて前記アーチ型支持棚による坑道に対する仮支保を実現できることを特徴とする、偏心ホブ式掘進機。
【請求項2】
前記偏心盤状ホブ(13)は、円盤状ホブ盤(13-1)を含み、
前記円盤状ホブ盤(13-1)の前端には、複数の機械ピック(13-2)が嵌め込まれ、
円盤状ホブ盤(13-1)の
側面の円周に沿って複数の合金ビット(13-5)が溶接され、
円盤状ホブ盤(13-1)の後端には、低速高トルクモーター(12)の出力軸が取り付けられるための孔(13-3)が形成され、
前記孔(13-3)には、キー溝(13-4)が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の偏心ホブ式掘進機。
【請求項3】
前記孔(13-3)の軸線は、円盤状ホブ盤(13-1)の軸線に対して2-5cmずれていることを特徴とする、請求項2に記載の偏心ホブ式掘進機。
【請求項4】
前記機械ピック(13-2)の材料は硬質合金であり、
前記機械ピック(13-2)は、円盤状ホブ盤(13-1)の前端においてアルキメデス螺旋のアレイに配置され、螺旋方向が
前記円盤状ホブ盤(13-1)の正面において前記円盤状ホブ盤(13-1)の中心に反時計回りであることを特徴とする、請求項2に記載の偏心ホブ式掘進機。
【請求項5】
前記アレイには、アルキメデス螺旋が12本あることを特徴とする、請求項4に記載の偏心ホブ式掘進機。
【請求項6】
前記合金ビット(13-5)の材料は、硬質合金であり、
合金ビット(13-5)は、円盤状ホブ盤(13-1)の円周に沿って均等に分布することを特徴とする、請求項2に記載の偏心ホブ式掘進機。
【請求項7】
前記低速高トルクモーター(12)の回転方向は、
前記低速高トルクモーター(12)の正面において前記低速高トルクモーター(12)の中心に反時計回りであることを特徴とする、請求項1に記載の偏心ホブ式掘進機。
【請求項8】
前記ホブアーム(11)は、直方体構造のアーム体(11-1)を含み、
前記アーム体(11-1)の
一端面には、互いに平行であるとともに、幅が同じである2つの矩形ガイド溝(11-2)が形成され、
前記ホブアーム(11)
の前記ホブアーム回転スライド装置(10)における位置決め
は、2つの前記矩形ガイド溝(11-2)によって実現されることを特徴とする、請求項1に記載の偏心ホブ式掘進機。
【請求項9】
前記
自走枠を備える仮支保装置(17)は、4つの推進シリンダーIIIとアーチ型支持棚とから構成され、
前記アーチ型支持棚は、4つの推進シリンダーIIIの上端に取り付けられ、
4つの推進シリンダーIIIの下端は、ラックに固定して取り付けられ、
4つの推進シリンダーIIIは、それぞれ液圧回路を介して前記液圧ポンプ室(3)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の偏心ホブ式掘進機。
【請求項10】
前記補助操作台(18)は、4つの推進シリンダーIVと作業台とから構成され、
前記作業台は、4つの推進シリンダーIVの上端に取り付けられ、
4つの推進シリンダーIVの下端は、ラックに固定して取り付けられ、
4つの推進シリンダーIVは、それぞれ液圧回路を介して前記液圧ポンプ室(3)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の偏心ホブ式掘進機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭採掘技術分野に属し、掘進機械設備に関し、具体的には、支保作業に影響することなく所定経路に従って岩石を破砕できる偏心ホブ式掘進機に関する。
【背景技術】
【0002】
2018年の「BP世界エネルギー統計年鑑」には、中国は依然として世界最大のエネルギー消費者であり、世界の消費量の23.2%、世界の純成長率の33.6%を占め、石炭資源の消費が総消費量の60.4%を占め、中国の主要なエネルギー源としてかけがえのない地位を長期にわたって持つことが指摘されている。中国の石炭エネルギー需要が増加し続ける中、岩石坑道の掘削困難による採掘比率の不整合が、中国での石炭採掘を制限する主な理由となっている。現在、機械化された石炭採掘の成熟した適用により、採掘効率が大幅に改善され、不均衡な採掘比率の現象がより顕著になっている。硬岩掘削の機械設備は、炭鉱での石炭採掘と坑道掘削の協調的な進行を制限する「ボトルネック」となっている。特にプラッツ硬度係数fが10以上の硬岩の場合、工事中、掘進作業機構とそこに取り付けられたカーターに対する衝撃と摩耗が増加し、スペースが制限されるため、掘進装置の作業環境が悪化し、硬岩坑道での掘進操作機構の効果が低下し、掘進コストが高くなる。
【0003】
従来技術において、炭鉱坑道掘進には、穿孔発破法および機械ピックにより岩石を破砕する場合が多い。穿孔発破法は、効率が高く、地層に対する適用性が高いが、ほこりや有毒ガスの排出量は多く、ガス爆発などの大きな事故を起こしやすいため、鉱体資源の安全で効率的で環境に優しい採掘に不利である。一方、機械ピックによる硬岩破砕は、困難で、負荷が大きく、ピックが損傷されやすいため頻繁に交換する必要があり、岩石坑道の掘進効率が低く、コストが高い。地下試験により、ピックによるフライス削り、岩石破砕は硬岩坑道の経済的な掘進を実現しにくいことが実証された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、偏心盤状ホブの振動フライス削りの負荷が小工、性能が高く、効率的であるという特徴を十分に利用し、硬岩の高速破砕を実現し、炭鉱坑道の掘進速度を速くする支保作業に影響することなく所定経路に従って岩石を破砕できる偏心ホブ式掘進機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下の技術手段を採用する。
支保作業に影響することなく所定経路に従って岩石を破砕できる偏心ホブ式掘進機であって、
履帯走行機構、ラック、液圧ポンプ室、電源ボックス、スライドレールベース、推進シリンダーI、スライド台、トランスミッションケース、ホブアーム回転スライド装置、ホブアーム、低速高トルクモーター、偏心盤状ホブ、コントロールボックス、積載装置、搬送装置、臨時支保装置および補助操作台を含み、
上記ラックは、上記履帯走行機構に取り付けられ、上記液圧ポンプ室、電源ボックス、スライドレールベース、臨時支保装置および補助操作台は、いずれも上記ラックに取り付けられ、上記液圧ポンプ室および電源ボックスは、ラックの尾部に左右対称に設けられ、上記スライドレールベースは、上記液圧ポンプ室および電源ボックスの前端に位置し、上記積載装置は、ラックの前端に取り付けられ、上記搬送装置は、積載装置の中央であってラックの下方に取り付けられ、上記スライド台は、上記スライドレールベース にスライド可能に取り付けられるとともに、2つの上記推進シリンダーIを介してスライドレールベースに接続され、上記トランスミッションケースは、上記スライド台の前端に取り付けられ、トランスミッションケースのケース体には、2つの液圧モーター が対称に取り付けられ、上記液圧モーターの出力軸は、トランスミッションケースの入力軸に接続され、トランスミッションケースの入力軸に取り付けられた歯車Iは、トランスミッションケースの出力軸に取り付けられた歯車IIに噛み合い、上記ホブアーム回転スライド装置は、トランスミッションケースの出力軸の前端に取り付けられ、
上記ホブアーム回転スライド装置は、直方体構造のハウジングを含み、上記ハウジングの上端には、シリンダー取付板が固定され、上記ハウジング内には、E形溝が設けられ、上記ホブアームは、E形溝に挿入されるとともに、推進シリンダーIIを介して上記シリンダー取付板に接続され、上記低速高トルクモーターは、上記ホブアームの前端に取り付けられ、上記偏心盤状ホブは、低速高トルクモーターの出力軸に偏心して取り付けられ、
上記推進シリンダーI、液圧モーター、推進シリンダーII、臨時支保装置および補助操作台は、それぞれ液圧回路を介して上記液圧ポンプ室に接続され、上記コントロールボックスは、上記電源ボックスの上端に取り付けられ、上記低速高トルクモーター、コントロールボックスは、それぞれ電源ボックスに電気的に接続される偏心ホブ式掘進機。
【0006】
さらに、上記偏心盤状ホブは、円盤状ホブ盤を含み、上記円盤状ホブ盤の前端には、複数の機械ピック が嵌め込まれ、円盤状ホブ盤の円周に沿って複数の合金ビットが溶接され、円盤状ホブ盤の後端には、低速高トルクモーターの出力軸が取り付けられるための孔が形成され、上記孔には、キー溝が形成される。
【0007】
好ましくは、上記孔の軸線は、円盤状ホブ盤の軸線に対して2-5cmずれることにより、偏心盤状ホブは回転過程においてある程度振動する。
【0008】
好ましくは、上記機械ピックの材料は硬質合金であり、上記機械ピックは、円盤状ホブ盤の前端においてアルキメデス螺旋のアレイに配置され、螺旋方向が反時計回りである。
【0009】
さらに好ましくは、上記アレイには、アルキメデス螺旋が12本ある。
【0010】
好ましくは、上記合金ビットの材料は、硬質合金であり、
合金ビットは、円盤状ホブ盤の円周に沿って均等に分布する。
【0011】
好ましくは、上記低速高トルクモーターの回転方向は、反時計回りであり、機械ピックのアレイの螺旋の形状に応じて岩石を破砕するときの機械ピックの負荷を減少できる。
【0012】
さらに、上記ホブアームは、直方体構造のアーム体を含み、上記アーム体の前端面には、互いに平行であるとともに、幅が同じである2つの矩形ガイド溝が形成され、上記ホブアームは、ホブアーム回転スライド装置における位置決めが2つの上記矩形ガイド溝によって実現される。
【0013】
さらに、上記臨時支保装置は、4つの推進シリンダーIIIとアーチ型支持棚とから構成され、上記アーチ型支持棚は、4つの推進シリンダーIIIの上端に取り付けられ、4つの推進シリンダーIIIの下端は、ラックに固定して取り付けられ、4つの推進シリンダーIIIは、それぞれ液圧回路を介して上記液圧ポンプ室に接続される。
【0014】
さらに、上記補助操作台は、4つの推進シリンダーIVと作業台とから構成され、上記作業台は、4つの推進シリンダーIVの上端に取り付けられ、4つの推進シリンダーIVの下端は、ラックに固定して取り付けられ、4つの推進シリンダーIVは、それぞれ液圧回路を介して上記液圧ポンプ室に接続される。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以下の有益な効果を有する。
本発明は、構造が簡単でコンパクトで信頼性が高く、着脱が便利で、硬い岩体の引張強さが低い特性を十分に利用し、岩石破砕能力が強く、効率が高い。ホブの岩石破砕経路は異なる断面に応じて調整でき、断面への適用性が柔軟である。盤状ホブのフライス削りおよび岩石破砕の負荷が小さく、性能が高く、効率が高い。ホブが偏心して回転することで、ホブは振動フライス削りして岩石を破砕する効果を有し、これによって、ホブのフライス削り、岩石破砕の性能がさらに向上する。ホブ盤の前端に複数の機械ピックが取り付けられることにより、ピックの一部で岩石を破砕することができ、これによって、ホブはフライス削り角度の影響を受けることなく迅速に掘削することができる。スライド台が前後に移動することにより、ピックの一部が岩石を破砕する過程において巨大の推進力を提供するだけでなく、掘進機が静止している場合には異なる深さで岩石を破砕することができ、履帯走行機構が掘進周期ごとに運動することが回避され、坑道に対する掘進効率が向上するとともに、ドリリングおよびフライス削りする際に、履帯走行機構およびラックが移動しないので、臨時保作業および補助作業に影響を与えず、硬岩坑道の効率的な掘進に対して需要な意義を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る支保作業に影響することなく所定経路に従って岩石を破砕できる偏心ホブ式掘進機の模式図である。
【
図2】本発明に係るトランスミッションケース構造の模式図である。
【
図3】本発明に係るホブアーム回転スライド装置の正面断面図である。
【
図4】本発明に係るホブアーム回転スライド装置の左側面断面図である。
【
図7】本発明に係る偏心盤状ホブの正面断面図である。
【
図8】本発明に係る偏心盤状ホブの軸方向図である。
【
図9】本発明に係る偏心盤状ホブのフライス削り経路の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面および具体的な実施例により本発明をさらん詳しく説明する。
図1に示すように、本発明に係る支保作業に影響することなく所定経路に従って岩石を破砕できる偏心ホブ式掘進機は、履帯走行機構1、ラック2、液圧ポンプ室3、電源ボックス4、スライドレールベース5、推進シリンダーI6、スライド台7、トランスミッションケース8、ホブアーム回転スライド装置10、ホブアーム11、低速高トルクモーター12、偏心盤状ホブ13、コントロールボックス14、積載装置15、搬送装置16、臨時支保装置17および補助操作台18を含む。
【0018】
上記ラック2は、本発明の掘進機の各構成部分の紐帯である。履帯走行機構1は、ラック2の下方に取り付けられ、掘進機の走行を実現するものである。上記液圧ポンプ室3、電源ボックス4、スライドレールベース5、臨時支保装置17および補助操作台18は、いずれもラック2に取り付けられる。液圧ポンプ室3および電源ボックス4は、ラック2の尾部に対称に設けられる。積載装置15は、ラック2の前端に取り付けられる。積載装置15の中央であってラック2の下方には搬送装置16が取り付けられ、フライス削りにより破砕されて落ちた岩石を坑道から搬出するものである。スライド台7には、スライドレールベース5がスライド可能に取り付けられ、2つの推進シリンダーI6を介してスライドレールベース5に接続される。推進シリンダーI6のピストンロッドの伸縮を制御することにより、スライド台7をスライドレールベース5上において前後に移動させることができる。
【0019】
図1、2に示すように、上記トランスミッションケース8は、スライド台7の前端に取り付けられる。上記トランスミッションケースは、ケース体8-5を含む。トランスミッションケースのケース体8-5には、2つの液圧モーター9が対称に取り付けられる。上記ケース体8-5内には、2つのトランスミッションケースの入力軸8-1および1つのトランスミッションケースの出力軸8-4が設けられる。上記液圧モーター9の出力軸は、トランスミッションケースの入力軸8-1に接続される。トランスミッションケースの入力軸8-1に取り付けられた2つの歯車I8-2は、それぞれトランスミッションケースの出力軸8-4に取り付けられた2つの歯車II8-3に噛み合う。
【0020】
図1、3-5に示すように、上記ホブアーム回転スライド装置10は、トランスミッションケースの出力軸8-4の前端に取り付けられる。ホブアーム回転スライド装置10は、直方体構造のハウジング10-1を含む。上記ハウジング10-1の上端には、シリンダー取付板10-3が固定される。上記ハウジング10-1内には、E形溝10-1-1が形成される。
【0021】
図6に示すように、上記ホブアーム11は、直方体構造のアーム体11-1を含む。上記アーム体11-1の前端面には、互いに平行であるとともに、幅が同じである2つの矩形ガイド溝11-2が形成される。上記アーム体11-1の幅は、上記E形溝10-1-1の幅に適合する。ホブアーム11は、E形溝10-1-1に挿入され、推進シリンダーII10-2を介して上記シリンダー取付板10-3に接続される。推進シリンダーII10-2のピストンロッドの伸縮を制御することにより、ホブアーム11をホブアーム回転スライド装置10に対してスライトさせることができる。2つの液圧モーター9の出力軸の回転角度を制御することにより、ホブアーム回転スライド装置10を回転させ、さらにホブアーム11を回転運動させることができる。
【0022】
図1、7、8に示すように、上記低速高トルクモーター12は、ホブアーム11の一端に取り付けられる。上記偏心盤状ホブ13は、円盤状ホブ盤13-1を含む。円盤状ホブ盤13-1の前端には、複数の機械ピック13-2が嵌め込まれる。上記機械ピック13-2は、材料が硬質合金であり、硬度が高く、耐摩耗性に優れている。機械ピック13-2は、円盤状ホブ盤13-1の前端においてアルキメデス螺旋のアレイに配置され、螺旋方向が反時計回りである。本実施例において、上記アレイには、アルキメデス螺旋が12本ある。円盤状ホブ盤13-1の円周に沿って複数の合金ビット13-5が溶接される。上記合金ビット13-5は、材料が硬質合金であるため、硬度が高く、耐摩耗性に優れている。合金ビット13-5は、円盤状ホブ盤13-1の円周に沿って均等に分布する。円盤状ホブ盤13-1の後端には、孔13-3が形成される。上記孔13-3の軸線は、円盤状ホブ盤13-1の軸線に対して2-5cm外れている。上記孔13-3には、キー溝13-4が形成される。偏心盤状ホブ13は、孔13-3を介して低速高トルクモーター12の出力軸に偏心して取り付けられる。偏心取付により、偏心盤状ホブ13は、フライス削りの過程においてある程度振動する。低速高トルクモーター12は、偏心盤状ホブ13が硬岩に対してドリリングおよび振動フライス削りを行うように偏心盤状ホブ13を駆動する。フライス削りの経路を
図9に示す。上記低速高トルクモーター12の回転方向は反時計回りである。機械ピック13-2のアレイの螺旋の形状に応じて、岩石破砕するときの機械ピック13-2の負荷を減少させることができる。
【0023】
上記偏心盤状ホブ13は、ドリリングおよびフライス削りの過程において、ラック2が移動せず、スライド台7のスライドレールベース5でのスライドを制御することにより、運動を実現することができる。これによって、偏心盤状ホブ13のドリリングおよびフライス削り過程において、臨時支保および補助作業に影響を与えることがない。
【0024】
図1に示すように、上記臨時支保装置17は、4つの推進シリンダーIIIおよびアーチ型支持棚から構成される。上記アーチ型支持棚は、4つの推進シリンダーIIIの上端に取り付けられる。4つの推進シリンダーIIIの下端は、ラックに固定して取り付けられる。上記補助操作台18は、4つの推進シリンダーIVおよび作業台から構成される。上記作業台は、4つの推進シリンダーIVの上端に取り付けられる。4つの推進シリンダーIVの下端は、ラックに固定して取り付けられる。
【0025】
上記推進シリンダーI6、液圧モーター9、推進シリンダーII10-2、推進シリンダーIIIおよび推進シリンダーIVは、それぞれ液圧回路を介して液圧ポンプ室3に接続される。液圧ポンプ室3は、上記推進シリンダーI6、液圧モーター9、推進シリンダーII10-2、推進シリンダーIIIおよび推進シリンダーIVに高圧油を提供する。
【0026】
上記コントロールボックス14は、電源ボックス4の上端に取り付けられ、プリセットプログラムにより掘進機の各部分の運動を制御することができる。上記電源ボックス4はそれぞれ低速高トルクモーター12およびコントロールボックス14に電気的に接続され、それらに電力を提供することができる。
【0027】
<動作原理>
本発明に係る支保作業に影響することなく所定経路に従って岩石を破砕できる偏心ホブ式掘進機により坑道掘進する際に、動作電力システムから液圧ポンプ室3に電力を提供し、液圧ポンプ室3が電力を受けて高圧油を形成する。高圧油が推進シリンダーI6に供給されることにより、推進シリンダーI6は、推進力を出力し、スライド台7、トランスミッションケース8、ホブアーム回転スライド装置10およびホブアーム11を経て偏心盤状ホブ13を前後に移動させる。高圧油が液圧モーター9に供給されることにより、液圧モーター9は、動力を出力し、トランスミッションケースの入力軸8-1、歯車I8-2、歯車II8-3、トランスミッションケースの出力軸8-4、ホブアーム回転スライド装置10およびホブアーム11を経て偏心盤状ホブ13をフライス削り作業面において周方向に沿って移動させる。高圧油が推進シリンダーII10-2に供給されることにより、推進シリンダーII10-2は、推進力を出力し、ホブアーム11を経て偏心盤状ホブ13に送達し、偏心盤状ホブ13をフライス削り作業面において垂直移動させる。高圧油が臨時支保装置17に供給されることにより、臨時支保装置17は坑道に対する支保を完成させる。高圧油が補助操作台18に供給されることにより、補助操作台18は、補助作業(例えば、アンカー、支保)に適切な高さに調節される。電源ボックス4は、コントロールボックス14および低速高トルクモーター12に動力を提供する。まず、掘削される坑道の断面の面積に基づいて偏心盤状ホブ13のフライス削り経路を設計し、コントロールボックス14に入力する。次に、コントロールボックス14は、推進シリンダーI6のピストンロッドを最短まで短縮させることにより、偏心盤状ホブ13を推進行程の最後端に移動させ;推進シリンダーII10-2のピストンロッドを最短まで短縮させることにより、円盤状ホブ13をフライス削り経路の開始位置に移動させ;履帯走行機構1の運動を制御することにより、掘進機全体を適切な位置に移動させる。臨時支保装置17を上昇させて臨時支保を完成させる。低速高トルクモーター12を起動させ、偏心盤状ホブ13を回転させると同時に、推進シリンダーI6のピストンロッドを伸長させることにより、偏心盤状ホブ13は岩石に深さ5-10cmの穴をドリリングし、推進シリンダーI6をロックする。最後に、液圧モーター9および推進シリンダーII10-2を制御し、偏心盤状ホブ13を所定の経路に従って回転させることで硬岩をフライス削りして破砕する。偏心盤状ホブ13が硬岩をフライス削りして破砕すると同時に、いくつかの補助作業(例えば、アンカー、支保)を行うために補助操作台の高さを調節してもよい。1つの断面の掘進が完成された後、新たに同様の方式で推進シリンダーI6、液圧モーター9および推進シリンダーII10-2を調節し、次の断面の掘進を行い、この過程を繰り返す。推進シリンダーI6のピストンロッドが最長の位置まで伸長したときに、臨時支保装置17から退出し、推進シリンダーI6のピストンロッドを最短まで短縮させ、履帯走行機構1を制御することにより掘進機を適切な位置まで前進させ、引き続き掘進作業を行い、掘進が完成されるまで上記操作を繰り返す。上記坑道掘進の過程において、落ちた砕石は積載装置15および搬送装置16によって坑道から搬出される。
【符号の説明】
【0028】
1 履帯走行機構、
2 ラック、
3 液圧ポンプ室、
4 電源ボックス、
5 スライドレールベース、
6 推進シリンダーI、
7 スライド台、
8 トランスミッションケース、
8-1 トランスミッションケースの入力軸、
8-2 歯車I、
8-3 歯車II、
8-4 トランスミッションケースの出力軸、
8-5 ケース体、
9 液圧モーター、
10 ホブアーム回転スライド装置、
10-1 ハウジング、
10-1-1 E型槽、
10-2 推進シリンダーII、
10-3 シリンダー取付板、
11 ホブアーム、
11-1 アーム体、
11-2 矩形ガイド溝、
12 低速高トルクモーター、
13 偏心盤状ホブ、
13-1 円盤状ホブ盤、
13-2 機械ピック、
13-3 孔、
13-4 キー溝、
13-5 合金ビット、
14 コントロールボックス、
15 積載装置、
16 搬送装置、
17 臨時支保装置、
18 補助操作台。