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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】ペット用ヘルスケア食器
(51)【国際特許分類】
   A01K 5/01 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
A01K5/01 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022020179
(22)【出願日】2022-02-14
(62)【分割の表示】P 2021169487の分割
【原出願日】2021-10-15
【審査請求日】2022-02-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521062778
【氏名又は名称】庄司電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126402
【弁理士】
【氏名又は名称】内島 裕
(72)【発明者】
【氏名】村上 聡
(72)【発明者】
【氏名】辻 圭悟
【審査官】川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-213436(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0308470(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0133991(US,A1)
【文献】特許第7029848(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2009/0126641(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 5/00-5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウルと、前記ボウルが設置されるボウル受けと、前記ボウル受けを支持するスタンドとを備えるペット用ヘルスケア食器であって、
前記ボウルは、餌や水が収容される領域を略均等に複数の領域に区分けする1以上の区分け部材を備え
前記ボウルは、前記複数の領域の少なくとも隣接する領域と異なる形状のスローフィーダー部を備え、
前記ボウル受けは、設置された前記ボウルが10度乃至20度の角度に傾斜するように10度乃至20度の傾斜角をなす受け部を有し、
前記スタンドは、前記ボウルの高さ位置が9cm乃至18cmであって、ペットの体高から0cm乃至15cm低い前記高さ位置となるように前記ボウル受けを支持し、
前記ボウル受けに設置された前記ボウルは、前記傾斜して低くなっている箇所が前部となり、該前部から前記ペットが前記ボウルに収容された前記餌や前記水を摂取し、
所定の使用期間経過後に、前記ボウルの向きを所定の角度回転させることで前記スローフィーダー部により形成されるルートを変更して使用される
ペット用ヘルスケア食器。
【請求項2】
ボウルと、前記ボウルが設置されるボウル受けと、前記ボウル受けを支持するスタンドとを備えるペット用ヘルスケア食器であって、
前記ボウルは、餌や水が収容される領域を略均等に複数の領域に区分けする1以上の区分け部材を備え
前記ボウルは、前記複数の領域の少なくとも隣接する領域と異なる形状のスローフィーダー部を備え、
前記ボウル受けは、設置された前記ボウルが10度乃至20度の角度に傾斜するように10度乃至20度の傾斜角をなす受け部を有し、
前記スタンドは、高さ調整機構を備え、前記ボウルがペットの体高から0cm乃至15cm低い高さ位置となるように前記ボウル受けを前記高さ調整機構により支持し、
前記ボウル受けに設置された前記ボウルは、前記傾斜して低くなっている箇所が前部となり、該前部から前記ペットが前記ボウルに収容された前記餌や前記水を摂取し、
所定の使用期間経過後に、前記ボウルの向きを所定の角度回転させることで前記スローフィーダー部により形成されるルートを変更して使用される
ペット用ヘルスケア食器。
【請求項3】
ボウルと、前記ボウルが設置されるボウル受けと、前記ボウル受けを支持するスタンドとを備えるペット用ヘルスケア食器であって、
前記ボウルは、餌や水が収容される領域を略均等に複数の領域に区分けする1以上の区分け部材を備え
前記ボウルは、前記複数の領域の少なくとも隣接する領域と異なる形状のスローフィーダー部を備え、
前記スタンドは、支持する前記ボウル受けと前記ボウル受けに設置された前記ボウルとが10度乃至20度の角度に傾斜するように10度乃至20度の傾斜角をなす底部を有し、かつ、前記ボウルの高さ位置が9cm乃至18cmであって、ペットの体高から0cm乃至15cm低い前記高さ位置となるように前記ボウル受けを支持し、
前記ボウル受けに設置された前記ボウルは、前記傾斜して低くなっている箇所が前部となり、該前部から前記ペットが前記ボウルに収容された前記餌や前記水を摂取し、
所定の使用期間経過後に、前記ボウルの向きを所定の角度回転させることで前記スローフィーダー部により形成されるルートを変更して使用される
ペット用ヘルスケア食器。
【請求項4】
ボウルと、前記ボウルが設置されるボウル受けと、前記ボウル受けを支持するスタンドとを備えるペット用ヘルスケア食器であって、
前記ボウルは、餌や水が収容される領域を略均等に複数の領域に区分けする1以上の区分け部材を備え、
前記ボウルは、前記複数の領域の少なくとも隣接する領域と異なる形状のスローフィーダー部を備え、
前記スタンドは、支持する前記ボウル受けと前記ボウル受けに設置された前記ボウルとが10度乃至20度の角度に傾斜するように10度乃至20度の傾斜角をなす底部を有し、かつ、高さ調整機構を備え、前記ボウルがペットの体高から0cm乃至15cm低い高さ位置となるように前記ボウル受けを前記高さ調整機構により支持し、
前記ボウル受けに設置された前記ボウルは、前記傾斜して低くなっている箇所が前部となり、該前部から前記ペットが前記ボウルに収容された前記餌や前記水を摂取し、
所定の使用期間経過後に、前記ボウルの向きを所定の度回転させることで前記スローフィーダー部により形成されるルートを変更して使用される
ペット用ヘルスケア食器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用ヘルスケア食器に関し、より詳細には、犬などのペットに餌や水を与えるためのペット用ヘルスケア食器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ペット用食器のボウル(皿)を、地面に置いて給餌したり、高さが固定の載置台に載置して給餌する場合、ペット(犬、猫など)のために適正な高さで給餌できず、ペットが胃捻転などの病気になる可能性があった。
【0003】
また、普通のボウルでは、フード(餌や水など)を早食いしてしまい、早すぎる食事による膨満感や不快感が生じ、さらに肥満になる傾向があった。この点、ペットの早食いを防止すると満腹感が生じやすく太りにくい。そこで、健康的なスローイーティング(ゆっくり食べること)を促進して、肥満・膨張・逆流・過食を防ぐことが求められていた。
【0004】
これまで、ボウルにスローフィーダー部(突起状の障害物)を設け、スローフィーダー部の存在によりスムーズにフードを飲食することができるエリア(ルート)を限定して、少し食べづらくすることで食事スピードを緩やかにし、健康的なスローイーティングを実現するペット用食器があった(例えば、特許文献1を参照。)。
【0005】
しかし、同じボウルを使用し続けると、ペットがスローフィーダー部の存在に慣れてしまい、すなわちスムーズにフードを食べることができるルートを覚えてしまい、早食い抑制効果が薄れてしまうという問題点があった。
【0006】
もちろん、いくら適正な姿勢で持続的なスローイーティングを実現しても、その他の要素で食事の際のストレスが増加するようでは、健康的な食事を実現するヘルスケア食器とはなり得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-22195号公報
【文献】特開2008-178337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
健康的な食事に資するヘルスケア食器を製品レベルで開発するためには、以下のような種々の事情を可能な限り総合的に一体的に考慮して、一挙同時に問題点をクリアすることができる仕様を策定しなくてはならない。
特に、健康的な食事は、快適な食事(適正な姿勢、マズルの長さに適合したボウル、食事の際のストレス低減など)と、持続的なスローイーティングの観点から達成されることが求められていた。
【0009】
(1)ボウルの高さ位置は、ペットの成長や状態(ケガ、病気等)に合わせて、体高に応じた適切な高さ位置(好ましくは体高マイナス0cm乃至15cm程度。)に適宜調整できることが好ましい。適正な姿勢による食べ易さ(身体に余計な負担をかけない楽な食事)や消化促進を図るべく、多段階調整可能な高さ調整機構があることが望ましい。従来の高さ調整機構(例えば、特許文献2を参照。)のように外見上ものものしい構造であると圧迫感があり食事の際のストレスが増加してしまう。また、多段階調整を容易かつ確実に実現でき、安定性があり、丈夫で安全なことも求められている。
【0010】
(2)従来のペット用食器に設けられたスローフィーダー部では、ペットがルートに慣れると早食い抑止効果が低減してしまう問題点があるため、従来のペット用食器を回転して向きを変えて、スローフィーダー部の向きも変えることでスローフィーダー部の存在により形成されるルートを変更することが考えられるが、従来のペット用食器に設けられたスローフィーダー部の形状であるS字状・渦巻状などでは、複雑性不足で回転による変化が少なくペットが早く慣れてしまうリスクある。
また、ボウルを複数の領域に分けて異なる形状のスローフィーダー部を設けることを想定しても、領域の数が少なすぎると複雑性が不足し、逆に多すぎると1つの領域のスペースが狭くフードを収容する容量が不十分となってしまう。また、領域ごとにそれぞれ異なる形状として、食べやすく或いは食べにくく、難易度も変えられると好都合であるし、さらに複数の領域によりルートの複雑性を高くしてボウルが1周し元のルートに戻ってきたときに記憶をさらに戻りにくくすることで、スローフィーダー部による早食い抑制の効果を長期間持続することも求められていた。
【0011】
(3)ボウルを回転して向きを変えて、スローフィーダー部の向きも変えることでルートを変更する場合であっても、ペットは慣れたルートで食べるために元の向きになるように回りこんで食事をすることができる。仮に、部屋の隅や壁際であるならばペットのアプローチ方向を限定できるので異なるルートを実現できそうであるが、部屋の中央を含めてどの場所でも簡単に確実にルート変更を実現することが望まれていた。そのためにはペット用食器の前部を基準点として特定かつペットを前部に誘導する必要がある。この点、ボウル受けやスタンドに前部を特定するためのマークを付すことも考えられるが、いちいちマークを視認して確認することが必要で煩雑であり、また、前部にマークのみでは特定はできてもペットの誘導はできなく、回りこんで横から食べられてしまう。なお、ボウルやボウル受けの後部に壁部を設ければ前部特定かつ誘導が可能であるが、壁部の存在により食べにくく圧迫感もあり食事の際のストレスが増加してしまうし、構造も複雑となってしまう。
【0012】
(4)ここで、ボウル受けに設置されたボウルが10度乃至20度の角度(好ましくは15度であり、以下、「15度」と代表値で総称することがある。)に傾斜していることを想定すると、低くなっている方向からが食べ易いためその方向からペットはボウルに収容された餌を食べることとなる、すなわち傾斜により低くなっている箇所が前部となり前部に誘導されることとなる。これは、ボウルの高さ位置を、上記のペットの体高に応じた適切な高さとしていることと相俟って実現される顕著な効用である。すなわち、ボウルの位置の高さがあるためペットはボウルに対して上からでなく横からのアプローチになるので傾斜により低くなっている方向からが食べ易くなるのである。さらに、ボウルが手前側に15度傾斜していることによりペットの首への負担が軽減されて健康的な姿勢での食事となる。このように15度等の傾斜の簡易構造で視覚的なストレスも無く前部方向を特定かつ誘導可能という顕著な効果を奏することとなる。
【0013】
(5)そして、上記のとおりボウルが15度に傾斜していると、餌(特に流動食)がボウルの前部側に溜まりやすく、溜まってしまうと食べにくくストレスが増加するし、スローフィーダー部が複数設けられている意義も低下するため、それへの対策が必要となる。一方で、ボウル中央を空き領域(空白のスペース)として、ボウルの上部から飼い主等により餌が供給されたときにボウル全体(複数領域)にまんべんなく餌が広がって収容され易くすること(スローフィーダーの効果が長期間持続)、かつ一番アクセスしやすいボウル中央を障害物の空白領域として食事の際にペットの顔がぶつかる等の心配やストレスを無くすことも求められていた(全領域が食べにくいとボウル自体が嫌われて食事をしなくなる問題もある。)。
【0014】
(6)所定の使用期間経過後に、ボウルを回転して向きを変えてルートを変更するためには、ボウルのボウル受けに対する回転ズレ対策が必要となる。特別な機構が無くてもボウル受けにピッタリ挿入されるような構造の場合、実現可能にも思えるが、意図せぬ回転ズレのリスクが残るため不十分であり、特にボウルを洗うために簡単に取り外しできないという問題点も残ってしまい、仮に上記の15度の傾斜で前部を特定してそこを基準点とできない場合を想定すると、無意識で回転させてずらしてしまう可能性があり、どのくらいずれたか不明だとルート変更の管理を適切にできなくなってしまう。そのため、ボウルの回転移動防止及びボウルがボウル受けから容易に外れることを防止することが求められていた。
【0015】
(7)また、ペットのマズル(口吻)の長さ(≒鼻の長さ)に対して、ボウルの深さが、深すぎると眼球を傷付けたり、ボウルが喉にぶつかって食べ難く、食事の際のストレスが増加してしまうため、マズルの長さに適合した異なる深さの複数種類のボウルを取り替えて使用可能であることが望まれていた。
【0016】
本発明の目的は、上記の諸課題を可能な限り有機的な関連性をもって解決可能な、食事の際のストレスを軽減しつつ、ペットの成長や状態に合わせた正しい姿勢での持続的なスローイーティングにより消化吸収を高めながら食後の興奮を抑えて精神的な落ち着きによりさらに消化吸収を高めることができるペット用ヘルスケア食器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第一のペット用ヘルスケア食器は、
ボウルと、前記ボウルが設置されるボウル受けと、前記ボウル受けを支持するスタンドとを備えるペット用ヘルスケア食器であって、
前記ボウルは、餌や水が収容される領域を略均等に複数の領域に区分けする1以上の区分け部材を備え
前記ボウルは、前記複数の領域の少なくとも隣接する領域と異なる形状のスローフィーダー部を備え、
前記ボウル受けは、設置された前記ボウルが10度乃至20度の角度に傾斜するように10度乃至20度の傾斜角をなす受け部を有し、
前記スタンドは、前記ボウルの高さ位置が9cm乃至18cmであって、ペットの体高から0cm乃至15cm低い前記高さ位置となるように前記ボウル受けを支持し、
前記ボウル受けに設置された前記ボウルは、前記傾斜して低くなっている箇所が前部となり、該前部から前記ペットが前記ボウルに収容された前記餌や前記水を摂取し、
所定の使用期間経過後に、前記ボウルの向きを所定の角度回転させることで前記スローフィーダー部により形成されるルートを変更して使用される。
また、本発明の第二のペット用ヘルスケア食器は、
ボウルと、前記ボウルが設置されるボウル受けと、前記ボウル受けを支持するスタンドとを備えるペット用ヘルスケア食器であって、
前記ボウルは、餌や水が収容される領域を略均等に複数の領域に区分けする1以上の区分け部材を備え、
前記ボウルは、前記複数の領域の少なくとも隣接する領域と異なる形状のスローフィーダー部を備え、
前記ボウル受けは、設置された前記ボウルが10度乃至20度の角度に傾斜するように10度乃至20度の傾斜角をなす受け部を有し、
前記スタンドは、高さ調整機構を備え、前記ボウルがペットの体高から0cm乃至15cm低い高さ位置となるように前記ボウル受けを前記高さ調整機構により支持し、
前記ボウル受けに設置された前記ボウルは、前記傾斜して低くなっている箇所が前部となり、該前部から前記ペットが前記ボウルに収容された前記餌や前記水を摂取し、
所定の使用期間経過後に、前記ボウルの向きを所定の角度回転させることで前記スローフィーダー部により形成されるルートを変更して使用される。
【0018】
本発明の第のペット用ヘルスケア食器は、
ボウルと、前記ボウルが設置されるボウル受けと、前記ボウル受けを支持するスタンドとを備えるペット用ヘルスケア食器であって、
前記ボウルは、餌や水が収容される領域を略均等に複数の領域に区分けする1以上の区分け部材を備え
前記ボウルは、前記複数の領域の少なくとも隣接する領域と異なる形状のスローフィーダー部を備え、
前記スタンドは、支持する前記ボウル受けと前記ボウル受けに設置された前記ボウルとが10度乃至20度の角度に傾斜するように10度乃至20度の傾斜角をなす底部を有し、かつ、前記ボウルの高さ位置が9cm乃至18cmであって、ペットの体高から0cm乃至15cm低い前記高さ位置となるように前記ボウル受けを支持し、
前記ボウル受けに設置された前記ボウルは、前記傾斜して低くなっている箇所が前部となり、該前部から前記ペットが前記ボウルに収容された前記餌や前記水を摂取し、
所定の使用期間経過後に、前記ボウルの向きを所定の角度回転させることで前記スローフィーダー部により形成されるルートを変更して使用される。
また、本発明の第四のペット用ヘルスケア食器は、
ボウルと、前記ボウルが設置されるボウル受けと、前記ボウル受けを支持するスタンドとを備えるペット用ヘルスケア食器であって、
前記ボウルは、餌や水が収容される領域を略均等に複数の領域に区分けする1以上の区分け部材を備え、
前記ボウルは、前記複数の領域の少なくとも隣接する領域と異なる形状のスローフィーダー部を備え、
前記スタンドは、支持する前記ボウル受けと前記ボウル受けに設置された前記ボウルとが10度乃至20度の角度に傾斜するように10度乃至20度の傾斜角をなす底部を有し、かつ、高さ調整機構を備え、前記ボウルがペットの体高から0cm乃至15cm低い高さ位置となるように前記ボウル受けを前記高さ調整機構により支持し、
前記ボウル受けに設置された前記ボウルは、前記傾斜して低くなっている箇所が前部となり、該前部から前記ペットが前記ボウルに収容された前記餌や前記水を摂取し、
所定の使用期間経過後に、前記ボウルの向きを所定の角度回転させることで前記スローフィーダー部により形成されるルートを変更して使用される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、食事の際のストレスを軽減しつつ、ペットの成長や状態に合わせた正しい姿勢での持続的なスローイーティングにより消化吸収を高めながら食後の興奮を抑えて精神的な落ち着きによりさらに消化吸収を高めることができるペット用ヘルスケア食器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第一の実施の形態に係るペット用ヘルスケア食器のボウルが低い位置での全体構成の斜視図である。
図2】本発明の第一の実施の形態に係るペット用ヘルスケア食器の分解斜視図である。
図3】本発明の第一の実施の形態に係るペット用ヘルスケア食器のボウルが低い位置での全体構成の正面図である。
図4】本発明の第一の実施の形態に係るペット用ヘルスケア食器のボウルが低い位置での全体構成の平面図である。
図5】本発明の第一の実施の形態に係るペット用ヘルスケア食器のボウルの回転を説明する図である。
図6】本発明の第一の実施の形態に係るペット用ヘルスケア食器のボウル受けの底面視からの構造を示す図である。
図7】本発明の第一の実施の形態に係るペット用ヘルスケア食器のスタンドの底面視からの内部構造を示す図である。
図8】本発明の第一の実施の形態に係るペット用ヘルスケア食器の高さ調整機構を説明する図である。
図9】本発明の第一の実施の形態に係るペット用ヘルスケア食器のボウルが高い位置での全体構成の斜視図である。
図10】本発明の第一の実施の形態に係るペット用ヘルスケア食器のボウルが低い位置(a)と高い位置(b)での全体構成の断面図である。
図11】本発明の第一の実施の形態に係るペット用ヘルスケア食器のボウルの高さ位置を説明する図である。
図12】本発明の第一の実施の形態に係るペット用ヘルスケア食器の異なる深さのボウルの一例を示す斜視図である。
図13】本発明の第一の実施の形態に係るペット用ヘルスケア食器の蓋の一例を示す図である。
図14】本発明の第二の実施の形態に係るペット用ヘルスケア食器のボウルが低い位置での全体構成の斜視図である。
図15】本発明の第二の実施の形態に係るペット用ヘルスケア食器の分解斜視図である。
図16】本発明の第二の実施の形態に係るペット用ヘルスケア食器のボウルが高い位置での全体構成の斜視図である。
図17】本発明の第二の実施の形態に係るペット用ヘルスケア食器のボウルが低い位置(a)と高い位置(b)での全体構成の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第一の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施の形態におけるペット用ヘルスケア食器1の構成を図1図2および図3を参照して説明する。
対象とするペットは、典型的には犬、猫などであり、犬は超小型犬、小型犬、中型犬、大型犬を含むが、以下では、人気犬種が多い超小型犬(体重5kg以下)を前提として説明することがある。
【0022】
ペット用ヘルスケア食器1は、図2の分解斜視図に示すとおり、ボウル10と、ボウル受け20と、円筒型のスタンド30とからなる。
なお、図1等は、ボウル10が低い位置(詳細は後述する。)となる状態での全体構成を示した図である。
【0023】
ボウル10は、図4に一例を示すように、4種類のスローフィーダー部11(スローフィーダー部11-1、スローフィーダー部11-2、スローフィーダー部11-3、スローフィーダー部11-4)と、所定の高さ寸法の4個の区分け部材12(区分け部材12-1、区分け部材12-2、区分け部材12-3、区分け部材12-4)が設けられている。
ボウル10は、深さ寸法は、例えば3cmであり、スローフィーダー部11の突起の高さ寸法は、例えば2cmであり(超小型犬の短頭種は舌が短くこれ以上高いと食べ難い。)、区分け部材12の高さ寸法は、例えば1.5cmである。
なお、図4では、ボウル10は、餌や水が収容される領域を略均等に4領域に区分けする4個の区分け部材12を備え、区分け部材12はボウル10の中央部分が空き領域となるように放射状に配置され、また、4領域の各領域にそれぞれ異なる形状のスローフィーダー部11を備えているが、3領域に区分けする3個の区分け部材12を備え、区分け部材12はボウル10の中央部分が空き領域となるように放射状に配置され、また、3領域の各領域にそれぞれ異なる形状のスローフィーダー部11を備える態様であってもよい。
スローフィーダー部11による早食い対策とともに、一定の使用期間(例えば、数日間である。)の経過後に、図5に示すように、ボウル10の向きを所定の角度分(4領域の場合は90度ずつ、また3領域の場合は120度ずつ)だけ回転させることでスローフィーダー部11の存在により形成されるルートを変えてスローフィーダー部11に対する慣れを防ぎ、スローフィーダー部11による早食い抑制の効果を長期間持続可能としている。
3領域又は4領域にして領域ごとにそれぞれ異なる(一部領域同士同じであってもよい)形状とすると、領域の数が少なすぎると複雑性が不足し、逆に多すぎると1つの領域のスペースが狭くフードを収容する容量が不十分となってしまう問題が発生しなく、また、領域ごとにそれぞれ異なる形状として、食べやすく或いは食べにくく、難易度も変えられ、さらに複数の領域によりルートの複雑性を高くしてボウル10が1周し元のルートに戻ってきたときに記憶をさらに戻りにくくすることで、スローフィーダー部11による早食い抑制の効果を長期間持続することが可能となる。
スローイーティング(例えば、現在の食事時間の2倍又は5分を目標値。)を実現できると、人間同様に消化に良く、満腹感も得やすく様々な病気の原因となる肥満対策に有効であり、また、副交感神経が優位になり、食後の休息行動を取る時間が早まり身体に良い。
また、区分け部材12により、ボウル10が手前側に傾斜していても、餌(特に流動食)がボウル10の前部側に溜まり食べにくくストレスが増加することを抑制することができ、一方で、ボウル10の中央を空き領域(空白のスペース)として、ボウル10の上部から飼い主等により餌が供給されたときにボウル10の全体(複数領域)にまんべんなく餌が広がって収容され易くすること(スローフィーダー部11の効果が長期間持続)、かつ一番アクセスしやすいボウル10の中央を障害物の空白領域として食事の際にペットの顔がぶつかる等の心配やストレスを無くすことも実現している。
【0024】
また、ボウル10は、係合部としての凹部13(凹部13-1、凹部13-2、凹部13-3、凹部13-4)が設けられており、ボウル受け20の係合部としての凸部22(凸部22-1、凸部22-2、凸部22-3、凸部22-4)に4方向で係合させることで回転制御(固定・ズレ防止)や脱着防止を行う。なお、上述の3領域に区分けする態様では、3方向で係合させることであってよい。
所定の使用期間経過後に、ボウル10を回転して向きを変えてルートを変更するためには、ボウル10のボウル受け20に対する回転ズレ対策が必要であり、ボウル10の回転移動防止及びボウル10がボウル受け20から容易に外れることを防止すべく、所定の回転位置でロックするための係合機構(90度ずつ回転に対応して4個)を設け、ボウルが凸部だと取り扱いの邪魔になるおそれも考慮して、ボウル10が凹部・ボウル受け20が凸部となるように形成した。
【0025】
ボウル10は、深さの異なる複数種類(例えば、ボウル10、ボウル10´の2種類。)を用意することで、ペットのマズル(鼻の長さ)違いに対応することができる。詳細は後述する。
【0026】
ボウル受け20は、深さの異なる複数種類のボウル10とボウル10´などを取り替えて設置できるように、ある程度の高さ寸法をもって形成され、ボウル10等が設置される受け部が所定の深さを有して対応可能に形成されている。
【0027】
ボウル受け20は、ボウル10が設置される受け部が後述する内周壁部23の一部によりテーパ状(すり鉢状)に実現され、当該受け部は、設置されたボウル10が10度乃至20度の角度(好ましくは15度であり、以下、「15度」と代表値で総称することがある。)に傾斜するように、地面(床面)に対して、15度の傾斜をなすように形成されている。なお、この15度の傾斜は、本実施の形態(第一の実施の形態)では、ボウル受け部20に15度の傾斜を設けることで実現するが、後述する第二の実施の形態では、スタンド30に15度の傾斜を設けることで実現している。
ボウル受け20に設置されるボウル10が地面(床面)から15度の角度に傾斜することで、低くなっている方向からが食べ易いため該方向からペットがボウル10に収容された餌や水を摂取する、すなわち前部となり前部に誘導されることとなる。これは、ボウル10の高さ位置を、後述するペットの体高に応じた適切な高さとしていることと相俟って実現される。すなわち、ボウル10の位置の高さがあって初めてボウル10に対して上からでなく横からのアプローチになるため傾斜により低くなっている方向からが食べ易くなる。さらに、15度の傾斜によりペットが食事をし易い角度としてストレスを低減し、首への負担が軽減されて健康的な姿勢での食事となる。また、飼い主等も、ボウル10の低い側をペット用ヘルスケア食器1の前部として容易に特定・認識することができる。このように15度等の傾斜の簡易構造で視覚的なストレスも無く前部方向を特定かつ誘導可能という顕著な効果を奏する。
【0028】
ボウル受け20は、図6も参照すると、ボウル10を受けるための凸部22(凸部22-1、凸部22-2、凸部22-3、凸部22-4)が上端縁部に形成される僅かに膨出した形状(これによりデザイン性が高くなる。)の外周壁部21と、上端から途中まで略テーパ状(すり鉢状)の傾斜面をなし以降は円筒状をなす内周壁部23とからなり、外周壁部21と内周壁部23との間には、板状体部24(板状体部24-1、板状体部24-2、板状体部24-3、板状体部24-4、板状体部24-5、板状体部24-6)が放射状に設けられている。
【0029】
スタンド30は、ボウル受け20を高さ調整機構により適切な高さ位置で支持し、ここでは一例として円筒型であるとし、その内部に高さ調整機構としての螺旋階段状部31(螺旋階段状部31-1、螺旋階段状部31-2、螺旋階段状部31-3、螺旋階段状部31-4、螺旋階段状部31-5、螺旋階段状部31-6)と、スリット32(スリット32-1、スリット32-2、スリット32-3、スリット32-4、スリット32-5、スリット32-6)とが設けられている(図7も参照。)。
スタンド30のスリット32は、ボウル受け20の板状部24(高さ調整機構の一部をなすともいえる。)とそれぞれ嵌合する(図8も参照。)。
スタンド30からボウル受け20を引っ張り上げて、嵌合を解除して、ボウル受け20を回転させて階段状に存在する嵌め合わすスリット32-1、スリット32-2、スリット32-3、スリット32-4、スリット32-5、スリット32-6のそれぞれの箇所を変えるとボウル10を受ける位置の高さを変えられる。なお、図2等に示すように、スタンド30の外側面に対応した階段状の模様を付してあると当該嵌合作業が容易となる場合がある(内部構造は視認が困難なため。)。
図9は、ボウル10が高い位置となる状態での全体構成を、餌Fが収容されている態様にて示した図である。なお、図1等は、ボウル10が低い位置となる状態での全体構成を示した図である。
また、図10(a)はボウル10が低い位置(図4におけるA-A断面)、図10(b)はボウル10が高い位置での全体構成の断面図(図1および図9と比較してペット用ヘルスケア食器1の左右の向きは逆。)である。
【0030】
スタンド30が支持するボウル受け20に設置されるボウル10の適切な高さ位置は、図11に示すように、ペットの体高(ほぼ肩の高さ)から0cm乃至15cm低い位置が好ましい。超小型犬の体高を調査した結果、ボウル10の高さとして約9cm乃至18cmであれば、多くのケースに対応可能であった(一部の小型犬にも対応可能)。従って、スタンド30の高さ調整機構によりボウル受け20に設置されるボウル10が上記の高さ位置となるように微調整を実施する。
ボウル10の高さ位置は、ペットの成長や状態(ケガ、病気等)に合わせて、体高に応じた適切な高さ位置に適宜調整できることが好ましい。適正な姿勢による食べ易さ(身体に余計な負担をかけない楽な食事)や消化促進を図るべく、スタンド30とボウル受け20との2つの部材の組み合わせにより、多段階調整を容易かつ確実に実現でき、全体的な安定性、内部構造による耐久性・安全性を確保し、見た目の違和感によるストレスも発生させることがない。
【0031】
スタンド30は、底面にズレ防止の公知の滑り止め用の部材・機構が設けられていてもよい。
【0032】
図12に、ボウル10(深さ3cm)とは異なる深さのボウル10´(中頭種・長頭種向けの深さ5cm、なお、スローフィーダー部の突起の高さ寸法は、例えば4cmであってもよい。)をボウル受け20に設置した状態を示す。ペットのマズル(口吻)の長さ(≒鼻の長さ)に対して、ボウルの深さが、深すぎると眼球を傷付けたり、ボウルが喉にぶつかって食べ難く、食事の際のストレスが増加してしまうため、ボウル受け20を十分な高さ寸法に形成して、マズルの長さに適合した異なる深さの複数種類のボウルを取り替えて使用可能としている。
【0033】
図13に示すように、ボウル10に対する、蓋40があってもよい。例えば、外出時等にボウル10のみ持ち運ぶ際に便利であり、また、インテリア性のあるデザインにより食器として使用していない時でもインテリア(室内装飾)として置いておくことができる。
【0034】
次に、本発明の第二の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施の形態におけるペット用ヘルスケア食器1´の構成を図14図15図16および図17を参照して説明する。
基本的な構成は、上記の第一の実施の形態と同様であるので、重複する説明は省略し、異なる特徴点のみを述べる。
【0035】
ペット用ヘルスケア食器1´は、図15の分解斜視図に示すとおり、ボウル10´´と、ボウル受け20´と、円筒型のスタンド30´とからなる。
スタンド30´は、支持するボウル受け20´とボウル受け20´に設置されたボウル10´´が10度乃至20度の角度(好ましくは15度であり、以下、「15度」と代表値で総称することがある。)に傾斜するように、地面(床面)に対して、15度の傾斜をなす底部を有して形成されている。
なお、ボウル受け20´は、深さの異なる複数種類のボウル10´´とボウル10´´´などを取り替えて設置できるように、ある程度の高さ寸法をもって形成され、ボウル10´´等が設置される受け部が所定の深さを有して対応可能に形成されている。
図16は、ボウル10´´が高い位置となる状態での全体構成を示した図である。なお、図14は、ボウル10´´が低い位置となる状態での全体構成を示した図である。
また、図17(a)はボウル10が低い位置、図17(b)はボウル10´´が高い位置での全体構成の断面図(図14および図16と比較してペット用ヘルスケア食器1´の左右の向きは逆。)である。
【0036】
上記の本発明の各実施の形態によれば、ヘルスケア食器による健康的な食事は、(1)快適な食事(適正な姿勢、マズルの長さに適合、ボウル10・ボウル10´´の傾斜角度、食事の際のストレス低減に主として基づく。)、(2)持続的なスローイーティング(3領域又は4領域、前部特定・誘導のボウル10・ボウル10´´の傾斜角度に主として基づく。)により実現することができる。食事の際のストレスを軽減しつつ、犬の成長や状態に合わせた正しい姿勢での持続的なスローイーティングにより消化吸収を高めつつ食後の興奮を抑えて精神的な落ち着き・安定によりさらに消化吸収を高めることができ、家族化したペットの健康、長寿に貢献することができる。また、落ち着いた食事時間が実現でき、インテリア性のあるデザインにより食器として使用していない時でもインテリア(室内装飾)として楽しむことができる。
【0037】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、ペット用ヘルスケア食器は、食事中にズレない重さであり、電子レンジ・食洗機に対応し、抗菌性や噛んでも傷つきにくい硬さを備え、洗いやすさや汚れが落ちやすい安全性を備える材質(bpaフリー、フタル酸エステル類及びPVCフリー)であり、また、環境に配慮して一部の部品にバイオマスプラスチック等を採用することであってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1、1´ ペット用ヘルスケア食器
10、10´、10´´、10´´´ ボウル
20、20´ ボウル受け
30、30´ スタンド
【要約】      (修正有)
【課題】消化吸収を高めることができるペット用ヘルスケア食器を提供する。
【解決手段】ボウルとボウル受けとスタンドを備えるペット用ヘルスケア食器であって、ボウルは餌や水を収容する領域を均等に3領域又は4領域に区分する3個又は4個の区分部材を備え、区分部材はボウル中央部分が空き領域となる様に放射状に配置され、ボウルは3領域又は4領域の其々異なる形状のスローフィーダー部を備え、ボウル受けはボウルが10~20度に傾斜する様に10~20度の傾斜角の受け部を有し、スタンドはボウルがペットの体高から0~15cm低い位置となる様にボウル受けを支持し、ボウルは傾斜して低くなっている箇所が前部となり、前部からペットがボウルが収容する餌や水を摂取し所定使用期間経過後にボウルの向きを、3領域の場合は120度ずつ、4領域の場合は90度ずつ回転する事でスローフィーダー部により形成されるルートを変更して使用される。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17