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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】あと施工アンカー及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/41 20060101AFI20220627BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20220627BHJP
   F16B 13/04 20060101ALI20220627BHJP
   E01F 15/06 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
E04B1/41 503G
E04G21/12 105Z
F16B13/04 H
E01F15/06 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018158357
(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公開番号】P2020033698
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000129758
【氏名又は名称】株式会社ケー・エフ・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【弁理士】
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】成願 正彦
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-089103(JP,U)
【文献】特開平08-170617(JP,A)
【文献】特開平05-240224(JP,A)
【文献】特開昭63-284336(JP,A)
【文献】実公昭50-037491(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/38-1/61
E04G 21/12
F16B 13/04
E01F 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に環状溝が設けられている薄肉ヒンジ部に達するまでスリットが切り込まれて区分された拡張片がボルトの先端近傍に設けられ、
前記拡張片の内側にテーパ部を相対的に入り込ませて、前記拡張片を拡開可能なあと施工アンカーであって、
拡張スリーブの環状の基部に前記薄肉ヒンジ部を介して前記拡張片が設けられ、
小径部と前記小径部より径が大きい大径部を有する段付きナットが前記大径部を先端側にして前記ボルトの先端部に螺合され、
前記拡張スリーブが前記段付きナットの前記小径部に外挿されて前記基部が前記大径部に当接され、
先端部に前記テーパ部が形成されているスリーブが前記ボルトに外挿されて前記拡張スリーブの前記拡張片に当接して設けられており、
拡開前の前記拡張片の外径に対する拡開後の前記拡張片の外径の比率が1.5倍以上であることを特徴とするあと施工アンカー。
【請求項2】
請求項記載のあと施工アンカーの施工方法であって、
既設構造物の母材に底部近傍に拡径孔部を有する穿孔を形成する第1工程と、
前記拡張片が非拡開状態の前記あと施工アンカーを前記段付きナット側から前記穿孔に挿入する第2工程と、
前記スリーブを打ち込み、前記スリーブの前記テーパ部を前記拡張片の内側に入り込ませて前記拡張片を拡開させ、拡開された前記拡張片を前記拡径孔部に係止する第3工程
を備えることを特徴とするあと施工アンカーの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト、軽量気泡コンクリート、レンガ、コンクリート等の多様な母材に設置することができるあと施工アンカー及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート等の母材に取付物を固定する際にあと施工アンカーを母材に打設し、あと施工アンカーによって取付物を固定することが行なわれている。斯様なあと施工アンカーとして、特許文献1には、コンクリートの母材に上窄まりの拡径孔部を有するアンカー孔が形成され、ネジ棒と、ネジ棒に螺合され上部に上窄まりのテーパ部を有するテーパ付ナットと、テーパ付ナットのテーパ部に当接させて押し拡げられる拡張片がリング体の下部にスカート状に形成された拡径金具とからなるアンカー金物がアンカー孔に差し入れられ、打込み棒の打込みによる拡径金具の押し下げで拡張された拡張片が拡径孔部に係合され、アンカー孔におけるネジ棒とコンクリートとの間の隙間に充填材が充填されるあと施工アンカーの構造が開示されている。
【0003】
特許文献1における拡径金具は、縦方向の切り込みで区画される拡張片が薄肉ヒンジ部を介してリング体に連続して設けられ、リング体と拡張片との間の薄肉ヒンジ部は外側に溝状凹部が設けられて形成されている。そして、コンクリートの母材内で、拡開前の拡張片の外径に対する拡開後の拡張片の外径の比率が約1.4倍となるように拡張片が拡張され、あと施工アンカーがコンクリートに固定されている(特許文献1の図1図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3636632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のあと施工アンカーは、固定される母材が強度の高いコンクリートであるため、拡開前の拡張片の外径に対する拡開後の拡張片の外径の比率(拡開率)が約1.4倍でも、拡張片の拡径孔部への係合力に加えてネジ棒とコンクリートが摩擦で定着することも定着力に加わるが、固定される母材がアスファルト、軽量気泡コンクリート(ALC)、レンガ等の脆弱な母材である場合には、摩擦で定着することは困難となる。また、このタイプのあと施工アンカーでは、所要のあと施工アンカーの埋込長を得るため、ある程度深いアンカー打設用の穿孔を形成する必要があるため、穿孔作業に手間を要し、施工効率に劣るという問題もある。
【0006】
また、特許文献1のあと施工アンカーの設置構造は、アンカー孔におけるネジ棒とコンクリートとの間の隙間に樹脂或いはモルタルの充填材を注入、充填することを必須要件とする構造であるため、かかる点からも、充填材の注入作業、ひいてはあと施工アンカーの施工作業に手間がかかるという問題もある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、脆弱な母材も含め多様な母材に設置することができる高い汎用性を有すると共に、施工作業を効率化することができるあと施工アンカー及びその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のあと施工アンカーは、外周に環状溝が設けられている薄肉ヒンジ部に達するまでスリットが切り込まれて区分された拡張片がボルトの先端近傍に設けられ、前記拡張片の内側にテーパ部を相対的に入り込ませて、前記拡張片を拡開可能なあと施工アンカーであって、拡開前の前記拡張片の外径に対する拡開後の前記拡張片の外径の比率が1.5倍以上であることを特徴とする。
これによれば、あと施工アンカーが打設される母材がアスファルト、軽量気泡コンクリート(ALC)、レンガ等の脆弱な母材、柔らかい母材である場合にも、拡張片を大きく拡げて定着することができる。従って、脆弱な母材も含め多様な母材に設置することができ、汎用性を高めることができる。また、拡張片を大きく拡げて定着することから、あと施工アンカーの埋込長を浅くし、アンカー打設用の穿孔も浅くすることができることから、穿孔作業に要する手間も少なくすることができ、あと施工アンカーの施工作業を効率化することができる。また、アンカー打設用の穿孔に、樹脂或いはモルタルの充填材を注入、充填せずに設置する場合には、かかる点からも、あと施工アンカーの施工作業を効率化することも可能である。
【0009】
本発明のあと施工アンカーは、拡張スリーブの環状の基部に前記薄肉ヒンジ部を介して前記拡張片が設けられ、小径部と前記小径部より径が大きい大径部を有する段付きナットが前記大径部を先端側にして前記ボルトの先端部に螺合され、前記拡張スリーブが前記段付きナットの前記小径部に外挿されて前記基部が前記大径部に当接され、先端部に前記テーパ部が形成されているスリーブが前記ボルトに外挿されて前記拡張スリーブの前記拡張片に当接して設けられることを特徴とする。
これによれば、あと施工アンカーが打設される母材の穿孔の底部を頂部側とする傘状に拡張片を拡開させ、拡開させた拡張片を穿孔の拡径孔部の段部など穿孔の孔壁に碇状に引っ掛けることが可能となる。これにより、あと施工アンカーの定着強度をより高めることができると共に、あと施工アンカーの埋込長をより浅くしても必要な定着強度を得ることができる。また、段付きナットを穿孔内に残したままボルトを取り外し、交換することが可能であるため、優れたメンテナンス性を発揮することができる。
【0010】
本発明のあと施工アンカーは、後側に前記テーパ部が設けられているコーンナットが前記ボルトの先端部に螺合され、前記ボルトに外挿されるスリーブの前部に前記薄肉ヒンジ部を介して前記拡張片が設けられ、前記拡張片が前記コーンナットの前記テーパ部に当接するように配置されると共に、前記拡張片のそれぞれの先端部が刃状に形成されていることを特徴とする。
これによれば、あと施工アンカーが打設される母材を拡張片の刃状の先端部で削り、拡開した拡張片を母材に係止することができ、別途に拡径孔部を形成するためのドリルビット等を用いた作業が不要となり、あと施工アンカーの施工作業を効率化することができる。また、母材を削った拡開状態の拡張片をそのまま母材の孔壁に係止することができることから、拡張片と孔壁との摩擦力、定着強度を高めることができると共に、あと施工アンカーの埋込長をより浅くしても必要な定着強度を得ることができる。また、コーンナットを穿孔内に残したままボルトを取り外し、交換することが可能であるため、優れたメンテナンス性を発揮することができる。
【0011】
本発明のあと施工アンカーは、前記スリーブの長さ方向の所定位置に、前記あと施工アンカーが打設される穿孔の深さ確認用の位置確認部が設けられていることを特徴とする。
これによれば、段付きナット又はコーンナットが穿孔の底部に当接し、拡張片を適正に拡開できる穿孔深さであることを容易に確認することができ、施工作業の効率性、正確性をより一層高めることができる。
【0012】
本発明のあと施工アンカーの施工方法は、本発明のあと施工アンカーを施工する方法であって、既設構造物の母材に底部近傍に拡径孔部を有する穿孔を形成する第1工程と、前記拡張片が非拡開状態の前記あと施工アンカーを前記段付きナット側から前記穿孔に挿入する第2工程と、前記スリーブを打ち込み、前記スリーブの前記テーパ部を前記拡張片の内側に入り込ませて前記拡張片を拡開させ、拡開された前記拡張片を前記拡径孔部に係止する第3工程を備えることを特徴とする。
これによれば、あと施工アンカーが打設される母材の穿孔の底部を頂部側とする傘状に拡張片を拡開させ、拡開させた拡張片を穿孔の拡径孔部の段部に碇状に引っ掛けることができる。従って、あと施工アンカーの定着強度をより高めることができると共に、あと施工アンカーの埋込長をより浅くしても必要な定着強度を得ることができる。
【0013】
本発明のあと施工アンカーの施工方法は、本発明のあと施工アンカーの施工方法であって、既設構造物の母材にストレートな穿孔を形成する第1工程と、前記コーンナットと前記スリーブを前記拡張片が前記コーンナットの前記テーパ部に当接するようにして前記コーンナット側から前記穿孔に挿入する第2工程と、前記スリーブを回転させながら前記穿孔に押し込み、前記コーンナットの前記テーパ部を前記拡張片の内側に相対的に入り込ませて前記拡張片を拡開させると共に、前記拡張片の刃状の前記先端部で前記母材を削り、拡開した前記拡張片を前記母材に係止する第3工程を備えることを特徴とする。
これによれば、あと施工アンカーが打設される母材を拡張片の刃状の先端部で削り、拡開した拡張片を母材に係止することができ、別途に拡径孔部を形成するためのドリルビット等を用いた作業が不要となり、あと施工アンカーの施工作業を効率化することができる。また、母材を削った拡開状態の拡張片をそのまま母材の孔壁に係止することができることから、拡張片と孔壁との摩擦力、定着強度を高めることができると共に、あと施工アンカーの埋込長をより浅くしても必要な定着強度を得ることができる。
【0014】
本発明のあと施工アンカーの施工方法は、前記母材が脆弱母材であることを特徴とする。
これによれば、あと施工アンカーが打設される母材がアスファルト、軽量気泡コンクリート(ALC)、レンガ等の脆弱な母材である場合にも、拡張片を大きく拡げて定着することができ、例えばあと施工アンカーが打設される母材の厚さが薄い場合にも、あと施工アンカーを浅い埋込長で且つ必要な定着強度で打設することができる。また、母材に対して強過ぎる強度での定着を回避することができ、あと施工アンカーの破壊的な力が加わった場合の母材の破壊範囲を局所的な範囲に制限することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、脆弱な母材も含め多様な母材に設置することができる高い汎用性を有するあと施工アンカーとすることができ、施工作業も効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)は本発明による第1実施形態のあと施工アンカーの分解斜視図、(b)は第1実施形態のあと施工アンカーにおけるスリーブと拡張スリーブの斜視図。
図2】(a)は第1実施形態のあと施工アンカーにおける拡張スリーブの左側面図、(b)はその正面図、(c)はその縦断面図。
図3】(a)は第1実施形態のあと施工アンカーにおけるスリーブと拡張スリーブと段付きナットの正面図、(b)はその縦断面図。
図4】(a)は第1実施形態のあと施工アンカーの拡開状態の部分縦断面図、(b)はその右側面図。
図5】(a)~(g)は第1実施形態のあと施工アンカーを施工する手順を説明する説明図。
図6】(a)は第1実施形態のあと施工アンカーで用いられるドリルビットの例の縦断面図、(b)はそのドリルビットで拡底ブレードを拡開した状態の縦断面図。
図7】(a)は本発明による第2実施形態のあと施工アンカーの分解斜視図、(b)は第2実施形態のあと施工アンカーにおけるスリーブとコーンナットの斜視図。
図8】(a)は第2実施形態のあと施工アンカーにおけるスリーブの正面図、(b)はその右側面図、(c)はその縦断面図。
図9】(a)は第2実施形態のあと施工アンカーにおけるスリーブとコーンナットの正面図、(b)はその縦断面図。
図10】(a)は第2実施形態のあと施工アンカーの拡開状態の部分縦断面図、(b)はその右側面図。
図11】(a)~(f)は第2実施形態のあと施工アンカーを施工する手順を説明する説明図。
図12】第1実施形態のあと施工アンカーを用いて立設構造体を設置した例を示す斜視図。
図13】第1実施形態のあと施工アンカーにおける破壊挙動を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1実施形態のあと施工アンカー及びその施工方法〕
本発明による第1実施形態のあと施工アンカー1は、金属拡張式アンカーであり、図1図4に示すように、スリーブ11と、拡張スリーブ12と、段付きナット13と、全ねじボルトであるボルト14を備え、打設されたあと施工アンカー1のボルト14の後端部にワッシャー15が外挿され、その外側からナット16が螺合されるようになっている。
【0018】
スリーブ11は、略円筒形状であり、その先端部には先端に向かって内側に傾斜するテーパ部111が形成されており、又、その後端面113はハンマー等で打撃される打撃面になっている。スリーブ11の後部には、あと施工アンカー1の埋込深さ、あと施工アンカー1が打設される穿孔の穿孔深さが正しい位置になっているか確認するための位置確認部112が設けられている。本実施形態の位置確認部112は、スリーブ11の長さ方向の所定位置にローレット状で周状に設けられている。
【0019】
拡張スリーブ12は、環状の基部121に拡開可能な複数の拡張片122が薄肉ヒンジ部123を介して立設されたものであり、薄肉ヒンジ部123の外周には環状溝124が設けられている。一の拡張片122と薄肉ヒンジ部123と、これと隣り合う別の拡張片122と薄肉ヒンジ部123との間は、基部121と逆側から薄肉ヒンジ部123に達するまで切り込まれたスリット125で区分されている。各々の拡張片122の基部121とは逆側の端面は、内側に向かって傾斜する傾斜面126になっている。
【0020】
段付きナット13は、小径部131と、小径部131より径が大きく小径部131の外周面よりも外側に環状に突出する大径部132から形成され、小径部131と大径部132を連通するようにボルト14を螺合する雌ねじ133が形成されている。小径部131の外径は拡張スリーブ12の内径よりも若干小さく形成され、大径部132の外径は拡張スリーブ12の内径よりも大きく形成されており、小径部131が拡張スリーブ12に内挿可能であると共に、小径部131が拡張スリーブ12の基部121側から内挿された状態で、大径部132は基部121と当接可能になっている。
【0021】
あと施工アンカー1では、スリーブ11の先端のテーパ部111に拡張スリーブ12の拡張片122の傾斜面126が当接するように配置される。また、段付きナット13の小径部131が拡張スリーブ12に内挿されると共に、段付きナット13の大径部132が拡張スリーブ12の基部121に当接するように配置され、換言すれば拡張スリーブ12が段付きナット13の小径部131に外挿されて基部121が大径部132に当接される。そして、スリーブ11、拡張スリーブ12に内挿されるボルト14の先端部が、大径部132を先端側にする段付きナット13の雌ねじ133に螺合されて一体化される。不使用時にはこの螺合状態で、ボルト14に外挿されるスリーブ11或いはそのテーパ部111が拡張スリーブ12の拡張片122に当接するように設けられて、拡張片122は非拡開状態で維持される。拡張スリーブ12の拡張片122は、内挿されて段付きナット13に螺合されたボルト14の先端近傍に配置して設けられる。
【0022】
第1実施形態のあと施工アンカー1を施工する際には、例えば既設構造物の母材30に底部32の近傍に拡径孔部33を有する穿孔31を形成する。この穿孔31を形成する工程例としては、例えばストレート孔形成用ドリルビット41で母材30に穿孔31を形成し、穿孔31内を清掃具42で清掃する(図5(a)、(b)参照)。その後、拡径孔部形成用ドリルビット51を用い、拡径孔部形成用ドリルビット51の先端が穿孔31の底部32に略当接するまで拡径孔部形成用ドリルビット51を穿孔31に挿入し、拡径刃571・571を拡径して拡径刃出入り窓565・565から外側に突出し、穿孔31の底部近傍にテーパ状の拡径孔部33を形成する(図5(c)参照)。この拡径孔部33は、後述する拡張スリーブ12の拡開前の拡張片122の外径D1に対する拡開後の拡張片122の外径D2の比率が1.5倍以上になることに対応した大きさで形成される。拡径孔部33の形成後には、穿孔31内を清掃具42で再度清掃する(図5(d)参照)。
【0023】
ここで拡径孔部形成用ドリルビット51には、適宜のものを用いることが可能であるが、例えば図6の構成のものを使用すると好適である。図6の拡径孔部形成用ドリルビット51は、シャンクスリーブ52と、シャンクスリーブ52の先端側に設けられる中間スリーブ53と、中間スリーブ53に内装される圧縮コイルばね54と、中間スリーブ53の先端側に設けられるスリーブジョイント55と、ドリルビット51の先端部に設けられる拡底スリーブ56と、拡底スリーブ56に定置して内装されている拡底ブレード57と、シャンクスリーブ52から拡底スリーブ56まで延在して設けられる略円柱棒状のシャフト58を有する。
【0024】
シャンクスリーブ52は、ハンマードリル等に取り付けられるシャンク部521と、シャンク部521の先端側に設けられる略有底円筒形のスリーブ部522を備え、スリーブ部522の後部寄りには外方に突出する段差面523が形成されている。スリーブ部522にはシャフト58の後部が嵌挿されてピン結合される。また、中間スリーブ53は、略円筒形の部材であり、先端部の内周面には雌ねじ531が形成されていると共に、後部寄りの対向する位置には軸方向に延びる長孔状のストロークガイド532が周壁に形成されている。雌ねじ531にはスリーブジョイント55の後側の雄ねじ551が螺合され、中間スリーブ53の後側にはシャンクスリーブ52のスリーブ部522が内挿され、スリーブジョイント55の後端面とスリーブ部522の前端面との間に位置するようにして中間スリーブ53に圧縮コイルばね54が内装されている。
【0025】
シャンクスリーブ52に固定されたシャフト58は、圧縮コイルばね54の内側を通るようにして中間スリーブ53に内装される。また、中間スリーブ53に内挿されたスリーブ部522の前部にはガイドビス533が取り付けられ、ガイドビス533はストロークガイド532に引っ掛かるようにして設けられる。ガイドビス533がストロークガイド532に沿って移動する構成により、中間スリーブ53がシャンクスリーブ52、シャフト58に対して回転不能で、シャンクスリーブ52の回転力を拡底スリーブ56まで伝達可能になっていると共に、ストロークガイド532に沿うスムーズな動きでシャンクスリーブ52、シャフト58を拡底スリーブ56側に押し込めるようになっている。
【0026】
スリーブジョイント55は、後側の雄ねじ551の他に、基部552を挟んで前側に雄ねじ553を有し、雄ねじ553は拡底ブレード56の後部の内周面に形成された雌ねじ561に螺合されている。即ち、中間スリーブ53と拡底スリーブ56はスリーブジョイント55にそれぞれ螺着され、拡径孔部形成用ドリルビット51の回転動作の際に中間スリーブ53と拡底スリーブ56が相互に回転不能な状態で固定されている。また、スリーブジョイント55にもシャフト58が内挿され、シャフト58は拡底スリーブ56の内部まで到達するように設けられる。
【0027】
拡底スリーブ56は、略円錐状の先端部562が形成された略有底円筒状であり、後部の内周面にはスリーブジョイント55の雄ねじ553が螺合される雌ねじ561が形成されている。拡底スリーブ56の先端部562の内側には拡底ブレード57が嵌合される嵌合溝563が形成され、周壁564における嵌合溝563の延在方向の対向位置には拡径刃出入り窓565・565が形成されている。
【0028】
拡底ブレード57は、一対の拡径刃571・571と、一対の拡径刃571・571を先端側で傾動可能に支持して閉付勢するねじりコイルばね572から構成されている。拡径刃571は、超硬チップ等の刃材573を外側に有し、その後端面は内側に向かって先端方向に傾斜する傾斜面になっている。後端面の内寄りには、シャフト58の段階的或いは漸次に先細になった先端部を入り込みやすくするように、内側に向かって先端方向に後端面より急角度で傾斜する傾斜溝574が形成されている。一対の拡径刃571・571の内側面を合わせた状態では、後端面相互で先端側に谷状に凹む形状が形成され、傾斜溝574・574で略円錐状の孔が形成されるようになっている。
【0029】
そして、図5(a)~(d)の工程の後、図5(e)に示すように、拡張片122が非拡張状態でボルト14により一体化されているあと施工アンカー1を段付きナット13側から穿孔31に挿入し、段付きナット13を穿孔31の底部32に当接するように配置して、位置確認部112が母材30の表面に位置してあと施工アンカー1の埋込深さ或いは穿孔31の穿孔深さが正しいことを確認する。そして、スリーブ11の後端面113に略有底円筒形の打込具43の開放側の先端面431を当接させ、打込具43の後端をハンマー44で打撃してスリーブ11を打ち込む。この打ち込みにより、スリーブ11のテーパ部111が複数の拡張片122の内側に相対的に入り込み、拡張片122が拡張してあと施工アンカー1が打設される。ここで拡張スリーブ12の拡開された拡張片122は、拡開前の拡張片122の外径D1に対する拡開後の拡張片122の外径D2の比率が1.5倍以上になるように拡開され(図4参照)、複数の拡張された拡張片122はあと施工アンカー1の係止部を構成して拡径孔部33に係合される(図5(f)参照)。
【0030】
その後、あと施工アンカー1によって取り付けられる所要の構造体の取付板45を、既設構造物の母材30から突出するボルト14に挿通するように配置し、取付板45の外側からワッシャー15をボルト14に外挿し、更に、その外側からナット16をボルト14に螺合して、所要の構造体が既設構造物の母材30に取り付けられる(図5(g)参照)。
【0031】
第1実施形態によれば、あと施工アンカー1が打設される母材30がアスファルト、軽量気泡コンクリート(ALC)、レンガ等の脆弱な母材、柔らかい母材である場合にも、拡張片122を大きく拡げて定着することができる。従って、脆弱な母材も含め多様な母材に設置することができ、汎用性を高めることができる。また、拡張片122を大きく拡げて定着することから、あと施工アンカー1の埋込長を浅くし、アンカー打設用の穿孔31も浅くすることができることから、穿孔作業に要する手間も少なくすることができ、あと施工アンカー1の施工作業を効率化することができる。また、母材30の厚さが限られている場合にもあと施工アンカー1による取付が可能である。なお、アンカー打設用の穿孔31に、樹脂或いはモルタルの充填材を注入、充填せずに設置する場合には、かかる点からも、あと施工アンカー1の施工作業を効率化することも可能である。
【0032】
また、第1実施形態のあと施工アンカー1は、打設される母材30の穿孔31の底部32を頂部側とする傘状に拡張片122を拡開させ、拡開させた拡張片122を穿孔31の拡径孔部33の段部など穿孔31の孔壁に碇状に引っ掛けることが可能となる。これにより、あと施工アンカー1の定着強度をより高めることができると共に、あと施工アンカー1の埋込長をより浅くしても必要な定着強度を得ることができる。また、段付きナット13を穿孔内に残したままボルト14を取り外し、交換することが可能であるため、優れたメンテナンス性を発揮することができる。
【0033】
また、位置確認部112により、段付きナット13が穿孔31の底部32に当接し、拡張片122を適正に拡開できる穿孔深さであることを容易に確認することができ、施工作業の効率性、正確性をより一層高めることができる。
【0034】
〔第2実施形態のあと施工アンカー及びその施工方法〕
本発明による第2実施形態のあと施工アンカー2も、金属拡張式アンカーであり、図7図10に示すように、スリーブ21と、コーンナット22と、全ねじボルトであるボルト23を備え、打設されたあと施工アンカー2のボルト23の後端部にワッシャー24が外挿され、その外側からナット25が螺合されるようになっている。
【0035】
スリーブ21は、略円筒形状であり、スリーブ21の前部に、外周に環状溝211が設けられた薄肉ヒンジ部212を介して複数の拡張片213が立設されている。一の拡張片213と薄肉ヒンジ部212と、これと隣り合う別の拡張片213と薄肉ヒンジ部212との間は、前側から薄肉ヒンジ部212に達するまで切り込まれたスリット214で区分されている。各々の拡張片213の先端部には斜めに傾斜した刃状の刃部2131が形成されている。
【0036】
スリーブ21の後部には、あと施工アンカー2の埋込深さ、あと施工アンカー2が打設される穿孔の穿孔深さが正しい位置になっているか確認するための位置確認部215が設けられており、第2実施形態の位置確認部215も、スリーブ21の長さ方向の所定位置にローレット状で周状に設けられている。また、スリーブ21の後部の内周には、スリーブ21を回転させる専用治具47で把持される回転用ボルト46が螺合される雌ねじ216が形成されている。
【0037】
コーンナット22は、環状の基部221の後側に後方に向かうに従って漸次外径が縮径するテーパ部222が設けられたものであり、テーパ部222と基部221を連通するようにボルト23を螺合する雌ねじ223が形成されている。
【0038】
あと施工アンカー2では、スリーブ21の前部の拡張片213がコーンナット22の後部のテーパ部222に当接するように配置される。そして、スリーブ21に内挿されるボルト23の先端部が、基部221を先端側にするコーンナット22の雌ねじ223に螺合されて一体化される。不使用時にはこの螺合状態で、ボルト23に外挿されるスリーブ21の前部の拡張片213が、ボルト23の先端部に螺合されたコーンナット22のテーパ部222に当接するように設けられて、拡張片213は非拡開状態で維持される。スリーブ21の拡張片213は、コーンナット22に螺合されたボルト23の先端近傍に配置して設けられる。
【0039】
第2実施形態のあと施工アンカー2を施工する際には、例えば既設構造物の母材30にストレートな穿孔34を形成する。この穿孔34を形成する際には、例えばストレート孔形成用ドリルビット41で母材30に穿孔34を形成し、穿孔34内を清掃具42で清掃する(図11(a)、(b)参照)。
【0040】
その後、あと施工アンカー2のコーンナット22とスリーブ21を、拡張片213がコーンナット22のテーパ部222に当接するようにしてコーンナット22側から穿孔34に挿入し、コーンナット22を穿孔34の底部35に当接するように配置して、位置確認部215が母材30の表面に位置してあと施工アンカー2の埋込深さ或いは穿孔34の穿孔深さが正しいことを確認する(図11(c)参照)。
【0041】
その後、スリーブ21の雌ねじ216に回転用ボルト46を螺合して取り付け、回転用ボルト46の頭部を専用治具47で把持し、図11(d)の太線矢印のように、専用治具47で回転用ボルト46を介してスリーブ21を回転させると共に、スリーブ21を穿孔34内に押し込む。この動作により、コーンナット22のテーパ部222が拡張片213の内側に相対的に入り込んで拡張片213が拡開されると共に、拡張片213の先端部の刃部2131で母材30が削られ、拡開した拡張片213が母材30に係止される(図11(d)参照)。ここで拡開された拡張片213は、拡開前の拡張片213の外径D1’に対する拡開後の拡張片213の外径D2’の比率が1.5倍以上になるように拡開されて係止される(図10参照)。
【0042】
その後、回転用ボルト46をスリーブ21から抜き出して専用治具47、回転用ボルト46を取り外し、ボルト23をスリーブ21に挿入してコーンナット22の雌ねじ223に螺着する(図11(e)参照)。そして、あと施工アンカー2によって取り付けられる所要の構造体の取付板45を、既設構造物の母材30から突出するボルト23に挿通するように配置し、取付板45の外側からワッシャー24をボルト23に外挿し、更に、その外側からナット25をボルト23に螺合して、所要の構造体が既設構造物の母材30に取り付けられる(図11(f)参照)。
【0043】
第2実施形態によれば、第1実施形態と対応する構成から対応する効果が得られると共に、あと施工アンカー2が打設される母材30を拡張片213の刃状の先端部で削り、拡開した拡張片213を母材に係止することができ、別途に拡径孔部を形成するためのドリルビット等を用いた作業が不要となり、あと施工アンカー2の施工作業を効率化することができる。また、母材30を削った拡開状態の拡張片213をそのまま母材30の孔壁に係止することができることから、拡張片213と孔壁との摩擦力、定着強度を高めることができると共に、あと施工アンカー2の埋込長をより浅くしても必要な定着強度を得ることができる。また、コーンナット22を穿孔内に残したままボルト23を取り外し、交換することが可能であるため、優れたメンテナンス性を発揮することができる。
【0044】
また、位置確認部215により、コーンナット22が穿孔34の底部35に当接し、拡張片213を適正に拡開できる穿孔深さであることを容易に確認することができ、施工作業の効率性、正確性をより一層高めることができる。
【0045】
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、各実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記追加内容や変形例も含まれる。
【0046】
本発明のあと施工アンカーには、上記第1、第2実施形態に限定されず本発明の趣旨の範囲内のものが含まれ、外周に環状溝が設けられている薄肉ヒンジ部に達するまでスリットが切り込まれて区分された拡張片がボルトの先端近傍に設けられ、拡張片の内側にテーパ部を相対的に入り込ませて、拡張片を拡開可能なあと施工アンカーで、拡開前の拡張片の外径に対する拡開後の拡張片の外径の比率が1.5倍以上となる適宜のあと施工アンカーが含まれる。
【0047】
また、第1実施形態のあと施工アンカー1は第1実施形態で述べた施工手順以外で施工することも可能であり、又、第2実施形態のあと施工アンカー2は第2実施形態で述べた施工手順以外で施工することも可能である。
【0048】
また、本発明のあと施工アンカーが打設される母材は、アスファルト、軽量気泡コンクリート、レンガ、コンクリート等の多様なものとすることが可能であるが、アスファルト、軽量気泡コンクリート(ALC)、レンガ等の脆弱な母材の場合には追加的な効果を得ることができる。即ち、本発明のあと施工アンカーでは、アスファルト、軽量気泡コンクリート(ALC)、レンガ等の脆弱な母材である場合にも、拡張片を大きく拡げて定着することができ、あと施工アンカーが打設される母材の厚さが薄い場合にも、あと施工アンカーを浅い埋込長で且つ必要な定着強度で打設することができる。更に、母材に対して強過ぎる強度での定着を回避することができ、あと施工アンカーの破壊的な力が加わった場合の母材の破壊範囲を局所的な範囲に制限することができる。尚、本発明における脆弱な母材とは、単に試験供試体の圧縮強度が低いということに限定されるものではなく、構造体として脆かったり、或いはアスファルトのように弾性的に変形してしまうものも含み、土木建設業で通常想定される適宜の脆弱な母材が含まれる。また、本発明のあと施工アンカーを用いて、既設構造物の母材に取り付けられる構造体も適宜である。
【0049】
図12は、橋梁の道路61に第1実施形態のあと施工アンカー1を打設し、取付板62を介して構造体としてワイヤーロープ式防護柵63を取り付け、設置した例である。橋梁の道路61は、図13に示すように、鉄筋コンクリート床板611、接着層612、防水層613、基層アスファルト舗装614、表層アスファルト舗装615が下から順に積層して構成されており、拡開状態のあと施工アンカー1が防水層613まで達しないように基層アスファルト舗装614及び表層アスファルト舗装615に打設されている。即ち、脆弱な母材の基層アスファルト舗装614及び表層アスファルト舗装615にあと施工アンカー1が打設されて、取付板62、ワイヤーロープ式防護柵63が設置されている。
【0050】
図12図13の構造では、あと施工アンカー1に事故等で破壊的な力が加わった場合、鉄筋コンクリート床板611、接着層612、防水層613には影響させずに、基層アスファルト舗装614及び表層アスファルト舗装615の太点線の局所的な範囲(図13参照)に破壊範囲を制限することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、アスファルト、軽量気泡コンクリート、レンガ、コンクリート等の多様な母材にあと施工アンカーを設置する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…あと施工アンカー 11…スリーブ 111…テーパ部 112…位置確認部 113…後端面 12…拡張スリーブ 121…基部 122…拡張片 123…薄肉ヒンジ部 124…環状溝 125…スリット 126…傾斜面 13…段付きナット 131…小径部 132…大径部 133…雌ねじ 14…ボルト 15…ワッシャー 16…ナット 2…あと施工アンカー 21…スリーブ 211…環状溝 212…薄肉ヒンジ 213…拡張片 2131…刃部 214…スリット 215…位置確認部 216…雌ねじ 22…コーンナット 221…基部 222…テーパ部 223…雌ねじ 23…ボルト 24…ワッシャー 25…ナット 30…母材 31…穿孔 32…底部 33…拡径孔部 34…穿孔 35…底部 41…ストレート孔形成用ドリルビット 42…清掃具 43…打込具 44…ハンマー 45…取付板 46…回転用ボルト 47…専用治具 51…拡径孔部形成用ドリルビット 52…シャンクスリーブ 521…シャンク部 522…スリーブ部 523…段差面 53…中間スリーブ 531…雌ねじ 532…ストロークガイド 533…ガイドビス 54…圧縮コイルばね 55…スリーブジョイント 551…雄ねじ 552…基部 553…雄ねじ 56…拡底スリーブ 561…雌ねじ 562…先端部 563…嵌合溝 564…周壁 565…拡径刃出入り窓 57…拡底ブレード 571…拡径刃 572…ねじりコイルばね 573…刃材 574…傾斜溝 58…シャフト 61…橋梁の道路 611…鉄筋コンクリート床板 612…接着層 613…防水層 614…基層アスファルト舗装 615…表層アスファルト舗装 62…取付板 63…ワイヤーロープ式防護柵 D1、D1’…拡開前の拡張片の外径 D2、D2’…拡開後の拡張片の外径
図1
図2
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図4
図5
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図7
図8
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図10
図11
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図13