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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220627BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
G06F3/041 580
G06F3/041 512
G06F3/044 120
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018191490
(22)【出願日】2018-10-10
(65)【公開番号】P2020060930
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】北村 一博
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/046865(WO,A1)
【文献】特開2012-069066(JP,A)
【文献】特開2012-185538(JP,A)
【文献】特開2015-153004(JP,A)
【文献】特開2002-297305(JP,A)
【文献】特開2014-215847(JP,A)
【文献】特開2015-064687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041-3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触操作による座標入力を受け付ける入力装置であって、
複数の座標が定義された、各座標の所定の属性値が前記非接触操作を行う操作体との距離が小さくなるほど大きく変化する入力パネルと、
前記属性値の変化量の分布に基づいて、前記座標入力を受け付ける座標である入力座標を算定する入力座標算定手段とを有し、
前記入力座標算定手段は、前記変化量の総和が、予め定めたしきい値より小さい場合には、前記属性値が変化している領域の中心の座標を入力座標として算定し、前記変化量の総和が、前記しきい値以上である場合には、前記変化量のピークが表れている座標を入力座標として算定することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
非接触操作による座標入力を受け付ける入力装置であって、
複数の座標が定義された、各座標の所定の属性値が前記非接触操作を行う操作体との距離が小さくなるほど大きく変化する入力パネルと、
前記属性値の変化量の分布に基づいて、前記座標入力を受け付ける座標である入力座標を算定する入力座標算定手段とを有し、
前記入力座標算定手段は、前記変化量の総和が、予め定めたしきい値より小さい場合には、前記変化量で重みづけした座標の加重平均によって求めた座標を入力座標として算定し、前記変化量の総和が、前記しきい値以上である場合には、前記変化量のピークが表れている座標を入力座標として算定することを特徴とする入力装置。
【請求項3】
非接触操作による座標入力を受け付ける入力装置であって、
複数の座標が定義された、各座標の所定の属性値が前記非接触操作を行う操作体との距離が小さくなるほど大きく変化する入力パネルと、
前記属性値の変化量の分布に基づいて、前記座標入力を受け付ける座標である入力座標を算定する入力座標算定手段とを有し、
前記入力座標算定手段は、前記変化量の総和が大きいほど大きくなるようにしきい値を設定すると共に、前記変化量が前記しきい値以上となる領域内の座標の、前記変化量で重みづけした加重平均によって求めた座標を入力座標として算定することを特徴とする入力装置。
【請求項4】
非接触操作による座標入力を受け付ける入力装置であって、
複数の座標が定義された、各座標の所定の属性値が前記非接触操作を行う操作体との距離が小さくなるほど大きく変化する入力パネルと、
前記属性値の変化量の分布に基づいて、前記座標入力を受け付ける座標である入力座標を算定する入力座標算定手段とを有し、
前記入力座標算定手段は、前記変化量の総和が大きいほど大きくなるようにしきい値を設定すると共に、前記変化量が前記しきい値以上となる領域の中心の座標を入力座標として算定することを特徴とする入力装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の入力装置であって、
前記入力パネルは、静電容量式のタッチパネルであり、前記属性値は静電容量であることを特徴とする入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザがタッチパネルに触れずに当該タッチパネル前方のタッチパネル近傍の空間で行う操作であるホバリング操作を受付ける入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユーザがタッチパネルに触れずに当該タッチパネル前方のタッチパネル近傍の空間で行う操作であるホバリング操作を受付ける入力装置に関する技術としては、タッチパネルに近接したタッチパネル前方のユーザの指が指示している座標である入力座標を、各座標の静電容量の変化パターンより検出する静電容量式のタッチパネルが知られている(特許文献1)。
【0003】
ここで、この技術では、静電容量の変化量で重み付けした座標の加重平均を入力座標として算定している。
また、このようなタッチパネルにおいて、静電容量の変化量より距離を算定する技術も知られている(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2009-543246号公報
【文献】特許5703422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した静電容量の変化量で重み付けした座標の加重平均を入力座標として算定する技術によれば、ユーザの手とタッチパネルとの距離が比較的大きくSN比が良好でないときにも安定的に入力座標を算定できる。
【0006】
しかし、ユーザが一本の指で座標を指定しようとしたときに、当該指以外の手の部分による静電容量の変化の影響によって、当該指の指先の座標を正しく入力座標として算定できないことがある。
【0007】
そこで、本発明は、ホバリング操作などの非接触操作を受付ける入力装置において、できるだけ安定的にユーザの意図した座標を入力座標として算定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題達成のために、本発明は、非接触操作による座標入力を受け付ける入力装置に、複数の座標が定義された、各座標の所定の属性値が前記非接触操作を行う操作体との距離が小さくなるほど大きく変化する入力パネルと、前記属性値の変化量の分布に基づいて、前記座標入力を受け付ける座標である入力座標を算定する入力座標算定手段とを備えたものである。ここで、前記入力座標算定手段は、前記変化量の総和が、予め定めたしきい値より小さい場合には、前記属性値が変化している領域の中心の座標を入力座標として算定し、前記変化量の総和が、前記しきい値以上である場合には、前記変化量のピークが表れている座標を入力座標として算定するものである。
【0009】
また、前記課題達成のために、本発明は、非接触操作による座標入力を受け付ける入力装置に、複数の座標が定義された、各座標の所定の属性値が前記非接触操作を行う操作体との距離が小さくなるほど大きく変化する入力パネルと、前記属性値の変化量の分布に基づいて、前記座標入力を受け付ける座標である入力座標を算定する入力座標算定手段とを備えたものである。ここで、前記入力座標算定手段は、前記変化量の総和が、予め定めたしきい値より小さい場合には、前記変化量で重みづけした座標の加重平均によって求めた座標を入力座標として算定し、前記変化量の総和が、前記しきい値以上である場合には、前記変化量のピークが表れている座標を入力座標として算定するものである。
【0010】
これらの入力装置によれば、変化量の総和が小さいとき、すなわち、操作体と入力パネルとの距離が大きいときには、属性値が変化している領域の中心の座標や、変化量で重みづけした座標の加重平均によって求めた座標を入力座標として算定する。したがって、操作体と入力パネルとの距離が大きく、SN比が劣化している場合でも安定的に入力座標を算定することができる。
【0011】
また、これらの入力装置によれば、変化量の総和が大きいとき、すなわち、操作体と入力パネルとの距離が小さいときには、変化量のピークが表れている座標を入力座標として算定する。そして、操作体と入力パネルとの距離が小さいときには、SN比が良好となって、操作体が入力パネルに最も近づいた位置に安定的に変化量のピークが表れるので、このようにすることによりユーザが入力を意図した座標を正しく入力座標として算定することができる
また、前記課題達成のために、本発明は、非接触操作による座標入力を受け付ける入力装置に、複数の座標が定義された、各座標の所定の属性値が前記非接触操作を行う操作体との距離が小さくなるほど大きく変化する入力パネルと、前記属性値の変化量の分布に基づいて、前記座標入力を受け付ける座標である入力座標を算定する入力座標算定手段とを備えたものである。ここで、前記入力座標算定手段は、前記変化量の総和が大きいほど大きくなるようにしきい値を設定すると共に、前記変化量が前記しきい値以上となる領域内の座標の、前記変化量で重みづけした加重平均によって求めた座標を入力座標として算定するものである。
【0012】
また、前記課題達成のために、本発明は、非接触操作による座標入力を受け付ける入力装置に、複数の座標が定義された、各座標の所定の属性値が前記非接触操作を行う操作体との距離が小さくなるほど大きく変化する入力パネルと、前記属性値の変化量の分布に基づいて、前記座標入力を受け付ける座標である入力座標を算定する入力座標算定手段とを備えたものである。ここで、前記入力座標算定手段は、前記変化量の総和が大きいほど大きくなるようにしきい値を設定すると共に、前記変化量が前記しきい値以上となる領域の中心の座標を入力座標として算定するものである。
【0013】
これらの入力装置によれば、操作体と入力パネルとの距離が小さいときには、変化量の総和は比較的大きくなるので、しきい値として大きな値が設定され、変化量がしきい値以上となる領域は、操作体が入力パネルに最も近づいた位置に表れる変化量のピークの周辺の領域となる。したがって、操作体が最も近づけられた座標、すなわち、ユーザが入力を意図した座標を正しく入力座標として算定することができる。
【0014】
また、操作体と入力パネルとの距離が大きいときには、変化量の総和は比較的小さくなるので、しきい値として小さな値が設定され、属性値が変化している領域を多く含む領域となる。
【0015】
したがって、この領域内の各座標を変化量で重み付けした加重平均や、この領域の中心を入力座標として算定することにより、操作体と入力パネルとの距離が大きく、SN比が劣化している場合でも、安定的に入力座標を算定することができる。
【0016】
なお、以上の入力装置において、前記入力パネルは、静電容量式のタッチパネルであり、前記属性値は静電容量であってよい。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、ホバリング操作などの非接触操作を受付ける入力装置において、できるだけ安定的にユーザの意図した座標を入力座標として算定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るディスプレイとタッチパネルの配置を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る入力座標の算定法を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る入力座標の算定法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について自動車に搭載される情報処理装置への適用を例にとり説明する。
まず、第1の実施形態について説明する。
図1aに、本第1実施形態に係る情報処理装置の構成を示す。
図示するように、情報処理装置は、ディスプレイ1、ディスプレイ1の表示面に重ねて配置されたタッチパネル2、ディスプレイ1を制御するディスプレイコントローラ3、タッチパネル2を制御するタッチパネルコントローラ4、オペレーティングシステム5、オペレーティングシステム5上で稼働するアプリケーション6、その他の周辺装置7を備えている。
【0020】
また、オペレーティングシステム5は、ディスプレイコントローラ3を介してディスプレイ1の表示を制御するディスプレイドライバ51を備えている。また、オペレーティングシステム5は、タッチパネルコントローラ4を介して、ユーザのタッチ操作やホバリング操作などのユーザ操作を受付け、受付けたユーザ操作を、その時点でタッチパネル2を入力に用いているオペレーティングシステム5やアプリケーション6に出力するタッチパネルドライバ52を備えている。また、オペレーティングシステム5は、周辺装置7用のドライバ53も備えている。
【0021】
但し、情報処理装置は、ハードウエア的には、CPUやメモリなどを備えたコンピュータを用いて構成されるものであり、オペレーティングシステム5や、アプリケーション6などは、当該コンピュータが、所定のコンピュータプログラムを実行することにより実現されるものである。
【0022】
さて、ここで、情報処理装置は、アプリケーション6として、楽曲の再生出力等を行うプレイヤアプリケーションや、ナビゲーションアプリケーションや、各アプリケーション6の選択メニューを表示してフォアグランドで実行するアプリケーション6の選択を受付けるメニューアプリケーションなどを備える。
【0023】
また、ディスプレイ1は、たとえば、液晶表示装置であり、図2に示すように、自動車のダッシュボード内等に配置される。
そして、ディスプレイドライバ51は、ディスプレイコントローラ3を制御し、オペレーティングシステム5またはアプリケーション6からの表示を要求された表示画面をディスプレイ1に表示する。
【0024】
次に、タッチパネル2は、静電容量式のタッチパネル2であり、ディスプレイ1の表示面上に配置される。
そして、タッチパネルコントローラ4は、タッチパネル2を駆動すると共に、タッチパネル2上に格子状に配置した各検知点の静電容量の基準値からの変化量を検知する。
ここで、静電容量の基準値は、タッチパネル2にユーザの手や指が検知点に接近していないときの検知点の静電容量であり、静電容量の変化量は、ユーザの手や指がタッチパネル2に近づくほど大きくなり、ユーザの手や指がタッチパネル2に接触すると最大となる。よって、静電容量の変化量は、ユーザの手や指とタッチパネル2の検知点との間の距離の程度を表すものとなる。
【0025】
ここで、タッチパネル2のパネル面にはパネル面上の位置を表すタッチパネル座標が定義される二次元の座標系であるタッチパネル座標系が設定されており、タッチパネルコントローラ4は、各検出点について検知した静電容量より、静電容量の変化量のタッチパネル座標空間上の分布を表す分布情報をタッチパネルドライバ52に出力する。ただし、本実施形態では、静電容量が減少する方向を、静電容量の正の変化方向として、静電容量の変化量を表すものとする。
【0026】
そして、タッチパネルドライバ52は、分布情報より、ユーザのタッチパネル2に対するタッチ操作やホバリング操作の発生を検出し、タッチ操作やホバリング操作に対して入力を受け付けるタッチパネル座標である入力座標を算定する。
【0027】
そして、入力座標を、その時点でタッチパネル2を入力に用いているオペレーティングシステム5またはアプリケーション6に通知し、通知を受けたオペレーティングシステム5やアプリケーション6は通知された入力座標に応じた処理を実行する。
【0028】
以下、このような構成において、タッチパネルドライバ52が行うホバリング操作の検出と、ホバリング操作に対して入力を受け付ける入力座標の算定の動作について説明する。
【0029】
図3a、bに、分布情報が示す静電容量の変化量の分布を示す。
図3a2は、図3a1のようにユーザの手とタッチパネル2との距離が比較的大きいときの分布情報が表す静電容量の変化量の分布を表しており、図3b2は、図3b1に示すようにユーザの手とタッチパネル2との距離が比較的小さいときの分布情報が表す静電容量の変化量の分布を表している。
【0030】
ただし、図3の各図は、説明の明瞭化のために、2次元の座標系であるタッチパネル2のXY座標系を、1次元の座標系で代表させて表した模式図であり、実際の処理は、図3の各図で示される内容を二次元に拡張したものとなる。また、図3a2、b2の縦軸Vが静電容量の変化量を表し、横軸X/Yがのタッチパネル2のXY座標系を代表させた1次元の座標系の座標軸を表している。
【0031】
さて、タッチパネルドライバ52は、図3a2、b2の斜線を施した領域Sの面積で示される静電容量の変化量の総和が、所定のしきい値Th1以上となったならば、ホバリング操作の発生を検出し、ホバリング操作に対する入力座標の算定を開始する。
【0032】
ただし、静電容量の変化量の総和がしきい値Th1以上となっていても、ユーザのタッチパネル2への接触(タッチ)が検出されている場合には、ホバリング操作に対する入力座標の算定は行わずに、タッチ操作に対する入力座標の算定を行う。なお、ユーザのタッチパネル2への接触(タッチ)の検出は、静電容量の変化量のピークが所定値以上となっている場合にタッチを検出することにより行うこともできるし、タッチパネル2にパネル面の押圧を検知するセンサを設け、パネル面の押圧を検知している場合にタッチを検出することにより行うこともできる。
【0033】
さて、タッチパネルドライバ52は、ホバリング操作に対する入力座標の算定を、静電容量の変化量の総和に応じて、異なる算法によって行う。
すなわち、静電容量の変化量の総和が、予め定めたしきい値Th2(但し、Th2>Th1)より小さい場合には、図3a2に示すように、静電容量が変化している領域の中心Cを入力座標として算定する。
【0034】
また、静電容量の変化量の総和が、しきい値Th2以上である場合には、図3b2に示すように、静電容量の変化量のピークが表れている座標Pを入力座標として算定する。
ここで、ユーザの手とタッチパネル2との距離が大きいときには、静電容量の変化量の総和は比較的小さく、SN比が劣化して、静電容量の変化量のピークの位置は安定しない。
しかし、本実施形態では、以上のように、電容量の変化量の総和がしきい値Th2より小さい場合には、静電容量が変化している領域の中心Cを入力座標として算定するので、ユーザの手とタッチパネル2との距離が大きい場合であっても、安定的に入力座標を算定することができる。
【0035】
また、ユーザの手とタッチパネル2との距離が小さいときには、静電容量の変化量の総和は比較的大きく、SN比は良好となり、ユーザの手がタッチパネル2に最も近づいた位置に、安定的に静電容量の変化量のピークが表れる。
【0036】
そして、本実施形態では、電容量の変化量の総和がしきい値Th2以上である場合には、静電容量の変化量のピークが表れている座標Pを入力座標として算定するので、ユーザが一本の指で座標を指定しようとしたときに、当該指の指先の座標を正しく入力座標として算定することができる。
【0037】
なお、電容量の変化量の総和がしきい値Th2より小さい場合には、静電容量の変化量で重み付けした座標の加重平均を入力座標として算定するようにしてもよい。
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。
本第2実施形態は、第1実施形態と、タッチパネルドライバ52が行う、ホバリング操作に対する入力座標の算定の動作のみが異なる。
ここで、図4a2は、図4a1のようにユーザの手とタッチパネル2との距離が比較的大きいときの分布情報が表す静電容量の分布を示し、図4b2は、図3b1に示すようにユーザの手とタッチパネル2との距離が比較的小さいときの分布情報が表す静電容量の分布を示す。
【0038】
ただし、図4の各図も、説明の明瞭化のために、2次元の座標系であるタッチパネル2の座標系を、1次元の座標系で代表させて表した模式図であり、実際の処理は、図4の各図で示される内容を二次元に拡張したものとなる。
【0039】
本第2実施形態において、タッチパネルドライバ52は、図4a2、b2の斜線を施した領域Sの面積で示される静電容量の変化量の総和が、所定のしきい値Th1以上となったならば、ホバリング操作の発生を検出し、ホバリング操作に対する入力座標の算定を開始する。
【0040】
ただし、静電容量の変化量の総和がしきい値Th1以上となっていても、ユーザのタッチパネル2への接触(タッチ)が検出されている場合には、ホバリング操作に対する入力座標の算定は行わずに、タッチ操作に対する入力座標の算定を行う。
【0041】
さて、タッチパネルドライバ52は、ホバリング操作に対する入力座標の算定において、図4a2、b2に示すように、静電容量の変化量の総和が大きくなるほど大きくなるようにしきい値Th3(但し、Th3>Th1)を設定する。
そして、静電容量の変化量がしきい値Th3以上の座標の領域B内の各座標を静電容量の変化量で重み付けした加重平均を入力座標として算定する。
但し、静電容量の変化量の総和が、静電容量の変化量がしきい値Th3以上の座標が存在しなかった場合には、静電容量の変化量の総和が上述したしきい値Th2より小さいときには、静電容量が変化している領域の中心、または、静電容量の変化量で重み付けした座標の加重平均を入力座標ととして算定し、静電容量の変化量の総和がしきい値Th2以上であるときには、静電容量の変化量のピークが表れている座標Pを入力座標として算定する。なお、しきい値Th2、Th3は、Th3>Th2となるように設定する。
【0042】
さて、上述のように、ユーザの手とタッチパネル2との距離が小さいときには、静電容量の変化量の総和は比較的大きくなるので、しきい値Th3以上の座標の領域Bは図3b2に示すように、ユーザの手がタッチパネル2に最も近づいた位置に表れる静電容量の変化量のピークの周辺の領域となる。
【0043】
したがって、以上のように座標の領域B内の各座標を静電容量の変化量で重み付けした加重平均を入力座標として算定することにより、ユーザが一本の指で座標を指定しようとしたときに、当該指の指先の座標を正しく入力座標として算定することができる。
【0044】
また、ユーザの手とタッチパネル2との距離が大きいときには、静電容量の変化量の総和は比較的小さくなるので、しきい値Th3以上の座標の領域Bは図3a2に示すように、静電容量が変化している領域を多く含む領域となる。
【0045】
したがって、以上のように座標の領域B内の各座標を静電容量の変化量で重み付けした加重平均を入力座標として算定することにより、ユーザの手とタッチパネル2との距離が大きい場合であっても、安定的に入力座標を算定することができる。
【0046】
なお、本第2実施形態においては、電容量の変化量がしきい値Th3以上の座標が存在する場合には、静電容量の変化量がしきい値Th3以上の座標の領域Bの中心を入力座標として算定するようにしてもよい。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、以上の実施形態は、車載の如何に関わらずに、タッチパネル2を備え、ホバリング操作を受付ける任意の情報処理装置に同様に適用することができる。
また、以上の実施形態では、静電容量式のタッチパネル2を用い、タッチパネル2の各座標へのユーザの接近の程度を表す値として静電容量の変化量を用いたが、ユーザの接近の程度を検出できるものであれば任意のタッチパネル2を用いてよい。ただし、この場合には、上述した実施形態における静電容量の変化量に代えて、用いたタッチパネル2と共に用いることとなる当該タッチパネル2に適合したタッチパネルコントローラ4が出力するユーザの接近の程度を表す値を用いるようにする。
【0048】
また、以上の実施形態は、タッチパネル2に対する操作を行う操作体が手ではなく、所定のペンなどである場合にも同様に適用することができる。
また、以上の実施形態においては、タッチパネル2に代えて、タッチ操作を受け付けずに、ホバリング操作のみを受け付ける座標入力装置を用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…ディスプレイ、2…タッチパネル、3…ディスプレイコントローラ、4…タッチパネルコントローラ、5…オペレーティングシステム、6…アプリケーション、51…ディスプレイドライバ、52…タッチパネルドライバ。
図1
図2
図3
図4