(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
E02F 9/16 20060101AFI20220627BHJP
【FI】
E02F9/16 B
(21)【出願番号】P 2017180259
(22)【出願日】2017-09-20
【審査請求日】2020-01-30
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】嶌田 優
(72)【発明者】
【氏名】閑野 弘信
【合議体】
【審判長】前川 慎喜
【審判官】有家 秀郎
【審判官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-204889(JP,A)
【文献】特開2001-55759(JP,A)
【文献】特開2008-207721(JP,A)
【文献】特開2004-340187(JP,A)
【文献】特開2003-120358(JP,A)
【文献】特開2007-239304(JP,A)
【文献】特開2014-29068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F9/00-9/28
E02F3/42-3/43
E02F3/84-3/85
B60K20/00-20/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転座席の左右両側のそれぞれに配置される操作レバーと、
前記運転座席の前方の床面に上方に突出するように設けられる操縦ボックスと、
オペレータが走行速度段を切り換えるために操作する走行速度段切換装置と、
を備え、
前記走行速度段切換装置は、前記操縦ボックスの上部に設けられていることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
請求項1に記載の作業車両であって、
前記走行速度段切換装置の操作状態を表示する表示装置が前記操縦ボックスに配置されていることを特徴とする作業車両。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の作業車両であって、
前記操縦ボックスに配置される走行レバーを備え、
前記走行速度段切換装置は、前記操縦ボックスの左右方向において、前記走行レバーからズレた位置に配置されていることを特徴とする作業車両。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の作業車両であって、
アタッチメント作業機を駆動するための第1ポート及び第2ポートと、
オペレータが前記アタッチメント作業機を足で操作するためのフットペダルと、
を備え、
前記フットペダルを中立位置から一側に操作すると、前記第1ポートに作動油が供給され、反対側に操作すると、前記第2ポートに作動油が供給されることを特徴とする作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行速度段を切り換えることが可能な作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、走行速度を低速度段と高速度段の2段階に切り換えて走行可能な作業車両が知られている。特許文献1及び2は、この種の作業車両を開示する。
【0003】
特許文献1が開示するバックホーは、走行変速兼PTO駆動用ペダルを備える。このペダルを全く踏み操作しない状態では、PTOは中立状態で、走行段は一速段である。ペダルの左側を踏み込むと、PTOは中立、走行変速段を二速段にした状態となる。ペダルの右側を踏み込んだ状態が、PTO部の駆動状態であって、この時には走行変速段は一速段である。
【0004】
特許文献2が開示する旋回作業機において、操縦フレームに、左右一対の操縦レバーが上方突出状に支持されている。一方の操縦レバーの側方には、ドーザを上下動作させるためのドーザレバーが設けられている。このドーザレバーの頭部には、走行速度の2速切り替え用のスイッチが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-151664号公報
【文献】特開2007-239304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1の構成は、走行変速兼PTO駆動用ペダルに対し、PTOの正転又は反転のうち何れか1つの操作しか割り当てることができない。従って、PTOで複動型のアクチュエータを駆動する場合に、ペダルの一方を踏むと正転駆動、反対側を踏むと逆回転駆動、というような割当てを行うことができず、直感的な操作を実現することが困難である。また、走行変速兼PTO駆動用ペダルは足元に配置されているため、オペレータが足元を覗き込まないと、速度の切替状態を目視で確認することが難しい。
【0007】
また、上記特許文献2の構成は、走行速度段を切り換えるためのスイッチをドーザレバーの頭部に配置しているため、配置スペースの関係でスイッチは小型になりがちで、スイッチの切換状態の視認性は必ずしも優れているとはいえない。一方で、視認性の良い大型のスイッチをドーザレバーの頭部に設置しようとすると、ドーザレバーのグリップのサイズも大きくせざるを得ないが、特に操縦部のスペースが制限される超ミニショベル等においては、大きいグリップの使用が困難な場合がある。
【0008】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、走行速度段を切換操作可能な作業車両において、操作性に優れ、かつ、現在の操作状態を容易に確認できる構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の観点によれば、以下の構成の作業車両が提供される。即ち、この作業車両は、操作レバーと、操縦ボックスと、走行速度段切換装置と、を備える。前記操作レバーは、運転座席の左右両側のそれぞれに配置される。前記操縦ボックスは、前記運転座席の前方の床面に上方突出状に設けられる。前記走行速度段切換装置は、オペレータが走行速度段を切り換えるために操作される。当該走行速度段切換装置は、前記操縦ボックスの上部に設けられている。
【0011】
このように、運転座席に座るオペレータが視認可能な位置に走行速度段切換装置を設けることで、オペレータが高速度段/低速度段の操作状態を容易に確認できる。また、運転座席の前方にある操縦ボックスに走行速度段切換装置を配置することで、オペレータは左右どちらの手でも走行速度段の切換操作が可能であり、操作の自由度を向上することができる。
【0012】
前記の作業車両においては、前記走行速度段切換装置の操作状態を表示する表示装置が前記操縦ボックスに配置されていることが好ましい。
【0013】
これにより、走行速度段の切換状態の視認性を一層向上することができる。
【0014】
前記の作業車両においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この作業車両は、前記操縦ボックスに配置される走行レバーを備える。前記走行速度段切換装置は、前記操縦ボックスの左右方向において、前記走行レバーからズレた位置に配置されている。
【0015】
これにより、オペレータが、走行レバーを一方の手で操作しながら、反対側の手で走行速度段切換装置を操作することができる。即ち、両手操作の利便性を向上することができる。
【0016】
前記の作業車両においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この作業車両は、アタッチメント作業機を駆動するための第1ポート及び第2ポートと、フットペダルと、を備える。前記フットペダルは、オペレータが前記アタッチメント作業機を足で操作するために用いられる。前記フットペダルを中立位置から一側に操作すると、前記第1ポートに作動油が供給され、反対側に操作すると、前記第2ポートに作動油が供給される。
【0017】
これにより、例えばアタッチメント作業機が複動シリンダを備えている場合に、当該複動シリンダを、1つのフットペダルを一側/他側に踏むことで操作することができる。従って、直感的で分かり易い操作感を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る旋回作業車の構成を示す側面図。
【
図2】本実施形態の旋回作業車の構成を示す斜視図。
【
図4】走行速度段切換スイッチの構成を示す部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る旋回作業車1の構成を示す側面図である。
図2は、旋回作業車1の構成を示す斜視図である。以下の説明において「前」「後」「左」「右」とは、後述の下部走行体11の正面と上部旋回体12の正面とを一致させた状態で、運転座席51に座るオペレータからみて前後左右を意味する。
【0020】
図1に示す旋回作業車(作業車両)1は、小型のバックホーであって、主として、下部走行体11と、上部旋回体12と、を備える。
【0021】
下部走行体11は、左右1対のクローラ走行装置21と、油圧モータ22と、を備える。油圧モータ22は、
図2に示すように、左右のクローラ走行装置21のそれぞれに設けられている。下部走行体11は、左右のクローラ走行装置21を個別に様々な向き及び速度で駆動して、前方又は後方への直進、ステアリング等の各種の走行を行うことができる。
【0022】
上部旋回体12は、
図1に示すように、旋回フレーム31と、エンジン33と、油圧ポンプユニット34と、ボンネット38と、操縦部35と、作業装置13と、を備える。
【0023】
旋回フレーム31は、下部走行体11の上方に配置され、垂直な軸を中心として回転可能に下部走行体11に支持されている。旋回フレーム31は、旋回モータ32の駆動により、下部走行体11に対して回転することができる。エンジン33は、例えばディーゼルエンジンとして構成されており、旋回フレーム31の後部に配置されている。油圧ポンプユニット34は、エンジン33によって駆動され、旋回作業車1の走行及び作業に必要な油圧力を発生させる。
【0024】
操縦部35は、オペレータが座る運転座席51と、運転座席51の前方に立設された操縦ボックス52と、様々な操作部材と、を備える。この操作部材としては、例えば、運転座席51の左右両側にそれぞれ設置された作業操作レバー(操作レバー)53L,53R、操縦ボックス52に支持された走行レバー54L,54R、走行速度段切換スイッチ(走行速度段切換装置)55、及び、動力取出用ペダル(フットペダル)56等を挙げることができる。
【0025】
操縦ボックス52は、
図2に示すように、運転座席51の前方の床面から上方に突出するように設けられている。その上面には、走行速度段切換スイッチ55と、走行レバー54L,54Rと、様々な表示装置と、が配置されている。
【0026】
走行レバー54L,54Rは、操縦ボックス52の上面において運転座席51に近い側かつ左右中央部に、左右方向に並べて配置されている。2つの走行レバー54L,54Rは、左右方向で互いに近接して配置され、それぞれが操縦ボックス52の上面から上に突出するように支持されている。オペレータは、左右の走行レバー54L,54Rを前又は後に倒すことで、左右のクローラ走行装置21の前進又は後進を指示することができる。
【0027】
走行速度段切換スイッチ55は、電気スイッチ、具体的には、支点軸が左右方向に向けられたロッカースイッチにより構成されている。オペレータは、走行速度段切換スイッチ55の端部を押すことで、当該スイッチの姿勢をシーソーのように切り換えることができる。走行速度段切換スイッチ55を後下がりの姿勢とすると、接点が閉じられたON状態となり、前下がりの姿勢とすると、接点が開かれたOFF状態となる。オペレータは、走行速度段切換スイッチ55をON状態にすることで高速度段(2速)を指示し、OFF状態にすることで低速度段(1速)を指示する。
【0028】
動力取出用ペダル56は、運転座席51の前方の床面の少し上、かつ、操縦ボックス52の左側に配置されている。動力取出用ペダル56は、図略のアタッチメント作業機(例えば、草刈り用のアタッチメント)を駆動するために、オペレータが足で踏んで操作する。旋回作業車1の適宜の位置には、アタッチメント作業機を駆動するための作動油を供給する第1ポート81及び第2ポート82が設けられている。本実施形態において、第1ポート81及び第2ポート82は、
図2に示すように、後述の作業装置13におけるブーム61に配置されている。
【0029】
動力取出用ペダル56は、アーム及びロッド等からなる図略のリンク機構を介して、作動油の方向を切り換えるために旋回作業車1が備える方向切換弁を変位させる。なお、方向切換弁の詳細は後述する。これにより、オペレータが動力取出用ペダル56を前側/後側に踏む操作のそれぞれに連動して、第1ポート81及び第2ポート82のうち何れかから作動油を吐出することができる。
【0030】
作業装置13は、ブーム61と、アーム62と、バケット63と、ブームシリンダ64と、アームシリンダ65と、バケットシリンダ66と、を備える。
【0031】
ブーム61は細長い部材として構成されており、その端部が、上部旋回体12の前部に回転可能に支持されている。ブーム61にはブームシリンダ64が取り付けられており、ブームシリンダ64が伸縮することでブーム61を回転させることができる。
【0032】
アーム62は細長い部材として構成されており、その端部が、ブーム61の先端部に回転可能に支持されている。アーム62にはアームシリンダ65が取り付けられており、アームシリンダ65が伸縮することでアーム62を回転させることができる。
【0033】
バケット63は、容器状に形成された部材として構成されており、その端部が、アーム62の先端部に回転可能に支持されている。バケット63にはバケットシリンダ66が取り付けられており、バケットシリンダ66が伸縮することでバケット53を回転させて、すくい動作/ダンプ動作を行うことができる。
【0034】
次に、本実施形態の旋回作業車1が備える油圧回路について説明する。
図3は、旋回作業車1の油圧回路を模式的に示す図である。
【0035】
図3に示すように、油圧ポンプユニット34は、2つの可変容量型の油圧ポンプ34a,34bと、補助油圧ポンプ34cと、を含んで構成されている。旋回作業車1は、第1油圧回路9aと、第2油圧回路9bと、を備える。第1油圧回路9aには一側の油圧ポンプ34aから作動油が供給され、第2油圧回路9bには他側の油圧ポンプ34bから作動油が供給される。
【0036】
第1油圧回路9aには、車体左側に配置されたクローラ走行装置21を駆動する油圧モータ22Lが接続されている。油圧モータ22Lと、油圧ポンプ34aの吐出ポートと、の間には、方向切換弁91が配置されている。
【0037】
第2油圧回路9bには、車体右側に配置されたクローラ走行装置21を駆動する油圧モータ22Rと、アタッチメント作業機を駆動するアタッチメントシリンダ90と、が接続されている。アタッチメントシリンダ90は、複動式シリンダとされ、前述の第1ポート81及び第2ポート82に接続される。油圧ポンプ34bの吐出ポートと、油圧モータ22R及びアタッチメントシリンダ90と、の間には、それぞれ方向切換弁92,93が配置されている。
【0038】
なお、
図3では省略しているが、第1油圧回路9a及び第2油圧回路9bには、作業装置13等を駆動するための他の油圧アクチュエータが接続される。
【0039】
左右の油圧モータ22L,22Rに接続される方向切換弁91,92のそれぞれにおいて、スプールは、圧油の供給を停止する中立位置から、一側に変位することで油圧モータ22L,22Rを正転させ、他側に変位することで逆転させる。
【0040】
1対の走行レバー54L,54Rのそれぞれは、左右のクローラ走行装置21の前進、後進及び停止を個別に指示することができる。オペレータは、走行レバー54L,54Rを中立位置から前側に倒すことで前進を指示し、後側に倒すことで後進を指示する。
【0041】
旋回作業車1は、1対の走行レバー54L,54Rに対応して配置されたリモコン弁95L,95Rを備える。それぞれのリモコン弁95L,95Rは2つの出力ポートを有しており、走行レバー54L,54Rの操作方向(前進/後進)に応じたポートに、操作量に応じた圧力の作動油を送ることができる。上記の方向切換弁91,92のパイロットポートには、このリモコン弁95L,95Rが出力するパイロット圧力が導かれている。従って、方向切換弁91,92のスプールは、走行レバー54L,54Rで指示される走行方向及び走行速度に応じた方向及び量だけ変位し、これにより、油圧モータ22L,22Rを、オペレータの指示に基づく方向及び速度で回転させることができる。
【0042】
また、方向切換弁93のスプールは、動力取出用ペダル56と、前述のリンク機構を介して連結されている。従って、方向切換弁93のスプールは、動力取出用ペダル56で指示される方向及び操作量に応じた方向及び量だけ変位し、これにより、アタッチメントシリンダ90を、オペレータの指示に基づく方向及び量で動作させることができる。
【0043】
図3に示すように、油圧ポンプユニット34には、上記の油圧ポンプ34a,34bのほか、油圧モータ22の出力を調整する補助油圧ポンプ34cが含まれている。この補助油圧ポンプ34cは、油圧モータ22L,22Rのそれぞれの可動斜板の角度を調整するための斜板駆動機構に作動油を供給することができる。ただし、この駆動機構と油圧モータ22L,22Rとの間には、作動油の供給/遮断を切り換えるための電磁弁94が配置されている。
【0044】
電磁弁94は、走行速度段切換スイッチ55に電気的に接続されている。オペレータが走行速度段切換スイッチ55を操作してON状態にすると、電磁弁94が開弁し、OFF状態にすると、電磁弁94が閉弁する。
【0045】
走行速度段切換スイッチ55がOFFであるときは、電磁弁94が閉じるので、補助油圧ポンプ34cからの作動油が斜板駆動機構に送られない。この場合、油圧モータ22内の可動斜板の傾斜角度が大きくなり、油圧モータ22は、1速に対応する速度で駆動される。
【0046】
走行速度段切換スイッチ55をONするとき、電磁弁94が開くので、補助油圧ポンプ34cからの作動油が斜板駆動機構に送られる。これにより、油圧モータ22内の可動斜板の傾斜角度が小さくなり、油圧モータ22は、2速に対応する速度で駆動される。
【0047】
続いて、本実施形態の旋回作業車1の走行速度段切換スイッチ55について詳細に説明する。
図4は、走行速度段切換スイッチ55の構成を示す部分拡大図である。
【0048】
走行速度段切換スイッチ55は、
図2及び
図4に示すように、操縦ボックス52の幅方向(車体の左右方向)において、走行レバー54Lより左側に配置されている。即ち、操縦ボックス52の左右幅方向において、走行レバー54L,54Rと、走行速度段切換スイッチ55と、が互いにズレた位置に配置されている。これにより、オペレータが右手で走行レバー54L,54Rを操作しながら、左手で走行速度段切換スイッチ55を操作することが可能である。なお、走行速度段切換スイッチ55が走行レバー54Rより右側に配置されても良い。
【0049】
走行速度段切換スイッチ55は、操縦ボックス52の上面の左側であって、やや中央部に近い位置に配置されている。これにより、オペレータの左右何れの手でも走行速度段切換スイッチ55を容易に操作することができる。
【0050】
そして、
図4に示すように、走行速度段切換スイッチ55の上面(表面)においては、後側にONマークが表示され、前側にOFFマークが表示されている。これにより、オペレータは、走行速度段切換スイッチ55をON状態/OFF状態に切り換えるにはどちらを押せばよいかを容易に確認することができる。
【0051】
また、走行速度段切換スイッチ55の表面には、
図4に示すように、ON状態に対応する側に光透過部57が設けられている。この光透過部57に対応する位置において、走行速度段切換スイッチ55の内部にはランプ(表示装置)58が設けられている。このランプ58は、例えば、走行速度段切換スイッチ55をON状態とすると点灯するように構成することができる。これにより、オペレータは、暗い環境(例えば、夜間)でも、当該走行速度段切換スイッチ55のON/OFF状態を容易に確認することができる。
【0052】
走行速度段切換スイッチ55の上面において、前記光透過部57の位置には、高速を示す小さな絵(アイコン)が描かれている。これにより、走行速度段切換スイッチ55の姿勢と走行速度段の対応を分かり易くオペレータに示すことができる。また、ランプ58の点灯状態ではアイコンが光によって浮かび上がるので、オペレータは、走行速度段切換スイッチ55のON/OFF状態をより一層容易に確認できる。
【0053】
このように、本実施形態では、走行速度段切換スイッチ55により速度段の切換を行う構成となっているので、動力取出用ペダル56に速度段の切換操作を割り当てる必要がなくなる。従って、走行速度段切換スイッチ55と動力取出用ペダル56の組合せにより、複動型の油圧アクチュエータを用いたアタッチメント作業機を旋回作業車1に装着した場合に、動力取出用ペダル56を前側に踏めばアタッチメント作業機が一側に駆動され、他側に踏めば他側に駆動されるシンプルな操作を実現することができる。
【0054】
以上に説明したように、本実施形態の旋回作業車1は、作業操作レバー53L,53Rと、操縦ボックス52と、走行速度段切換スイッチ55と、を備える。作業操作レバー53L,53Rは、運転座席51の左右両側のそれぞれに配置される。操縦ボックス52は、運転座席51の前方の床面に上方に突出するように設けられる。走行速度段切換スイッチ55は、オペレータが走行速度段を切り換えるために操作される。当該走行速度段切換スイッチ55は、操縦ボックス52の上部に設けられている。
【0055】
このように、運転座席51に座るオペレータが視認可能な位置に走行速度段切換スイッチ55を設けることで、オペレータが高速度段/低速度段の操作状態を容易に確認することができる。また、運転座席51の前方にある操縦ボックス52に走行速度段切換スイッチ55を配置することで、オペレータは左右どちらの手でも走行速度段の切換操作が可能であり、操作の自由度を向上することができる。
【0056】
また、本実施形態の旋回作業車1においては、操縦ボックス52に、走行速度段切換スイッチ55の操作状態を表示するランプ58を備える。
【0057】
これにより、走行速度段の切換状態の視認性を一層向上することができる。
【0058】
また、本実施形態の旋回作業車1においては、操縦ボックス52に配置された走行レバー54L,54Rを備える。走行速度段切換スイッチ55は、操縦ボックス52の左右方向において、走行レバー54L,54Rからズレた位置に配置されている。
【0059】
これにより、オペレータが、走行レバー54L,54Rを一方の手で操作しながら、反対側の手で走行速度段切換スイッチ55を操作することができる。即ち、両手操作の利便性を向上することができる。
【0060】
また、本実施形態の旋回作業車1においては、アタッチメント作業機を駆動するための第1ポート81及び第2ポート82と、動力取出用ペダル56と、を備える。動力取出用ペダル56は、オペレータがアタッチメント作業機を足で操作するために用いられる。動力取出用ペダル56を中立位置から一側に操作すると、第1ポート81に作動油が供給され、反対側に操作すると、第2ポート82に作動油が供給される。
【0061】
これにより、例えばアタッチメント作業機が複動式のアタッチメントシリンダ90を備えている場合に、当該アタッチメントシリンダ90を、動力取出用ペダル56を一側/他側に踏むことで操作することができる。従って、直感的で分かり易い操作感を実現することができる。
【0062】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0063】
走行速度段切換スイッチ55が、走行レバー54L,54Rに対して左右方向で並ぶように配置されても良い。また、走行速度段切換スイッチ55が、上部後面に配置されても良い。
【0064】
走行速度段切換スイッチ55は、ロッカースイッチに代えて、他の形式の電気スイッチとして構成されても良い。
【0065】
ランプ58は、走行速度段切換スイッチ55に内蔵される構成に代えて、例えば、操縦ボックス52の上面において走行速度段切換スイッチ55の近傍に配置されても良い。
【0066】
それぞれの操作部材の位置は、適宜変更することができる。例えば、動力取出用ペダル56を操縦ボックス52の右側に配置しても良い。
【0067】
本発明は、旋回作業車だけでなく、他の様々な構成及び用途の作業車両に適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 作業車両
51 運転座席
52 操縦ボックス
53L,53R 作業操作レバー(操作レバー)
55 走行速度段切換スイッチ(走行速度段切換装置)
56 動力取出用ペダル
58 ランプ(表示装置)
81 第1ポート
82 第2ポート