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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システムの制御
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20200101AFI20220627BHJP
【FI】
A24F47/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017561291
(86)(22)【出願日】2016-05-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2016061610
(87)【国際公開番号】W WO2016188967
(87)【国際公開日】2016-12-01
【審査請求日】2019-05-15
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-10
(31)【優先権主張番号】15169250.6
(32)【優先日】2015-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】エダルシェ ステファーヌ アントニー
【合議体】
【審判長】林 茂樹
【審判官】平城 俊雅
【審判官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/060268(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/050981(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/123990(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に動作するエアロゾル発生システムを制御するための方法であって、前記方法が、
ユーザーからの入力を受信する工程であって、前記入力が前記システムの第一のパラメータを調節することを求める要求である、工程と、
前記入力を前記第一のパラメータについて許容可能な値の範囲と比較する工程と、
第二のパラメータについて許容可能な値の範囲に対する調節を、前記第一のパラメータに応じて前記入力に基づき決定する工程と、
前記入力が前記第一のパラメータについて前記許容可能な値の範囲内であることを示す許可信号を提供する工程と、
前記第一のパラメータを、前記入力にしたがって、前記許可信号に基づき調節する工程と、
前記第二のパラメータについて前記許容可能な値の範囲を、前記調節にしたがって、前記許可信号に基づき調節する工程とを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
ユーザーからの第二の入力を受信する工程であって、前記第二の入力が前記システムの前記第二のパラメータを調節することを求める要求である、工程と、
前記第二の入力を前記第二のパラメータについて前記調節された許容可能な値の範囲と比較する工程とを含み、
前記許可信号は、前記第二の入力が前記第二のパラメータについて前記調節された許容可能な値の範囲内であることを示し、
方法は、さらに、
前記第二のパラメータを前記許可信号に基づき調節する工程を含む、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、さらに、
前記第一のパラメータおよび前記第二のパラメータの少なくとも一つに応じて、前記第一の入力および前記第二の入力の少なくとも一つに基づき、少なくとも一つのさらなるパラメータに対して必要な調節を決定する工程と、
少なくとも一つのさらなるパラメータを前記許可信号に基づき調節する工程とを含む、方法。
【請求項4】
それぞれのパラメータについて前記許容可能な値の範囲が、互いのパラメータの値に基づき調節される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記第二のパラメータについての前記許容可能な値の範囲に対して必要な調節を決定する工程が、前記第一のパラメータについての前記ユーザー入力値を前記必要な第二のパラメータ値と関連付けるルックアップテーブルの使用を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
そのパラメータまたは各パラメータを調節する前に前記ユーザーからの確認入力を求める工程をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも一つのパラメータがエアロゾル特性に関連する、請求項1~6のいずれか1項に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システムを制御する方法。
【請求項8】
前記少なくとも一つのパラメータが前記システムのエアロゾル発生装置に関連する、請求項1~7のいずれか1項に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システムを制御する方法。
【請求項9】
電気的に動作するエアロゾル発生装置であって、
電源と、
制御回路と、
少なくとも一つのユーザー入力を受信するための入力と、
前記制御回路を経由して前記電源から電力を受信してエアロゾル形成基体を加熱するように構成された電気ヒーターとを備え、
前記制御回路が請求項1~8のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されている、電気的に動作するエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記入力がそのまたはそれぞれの少なくとも一つのユーザー入力をリモート装置から受信するように構成された、請求項9に記載の電気的に動作するエアロゾル発生装置。
【請求項11】
電気的に動作するエアロゾル発生システムであって、
請求項9または10に記載の電気的に動作するエアロゾル発生装置と、
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された電子表示装置とを備え、前記表示装置が、
各パラメータ値が前記電気的に動作するエアロゾル発生システムのパラメータと対応し、前記パラメータが相互依存している、複数の調節可能なパラメータ値を表示し、
前記複数のパラメータ値のそれぞれについて許容可能な値の範囲を表示し、
前記複数のパラメータ値のうち少なくとも一つについて調節された許容可能な値の範囲をユーザー入力に基づき表示するように構成されており、前記ユーザー入力が前記パラメータ値の別の値を調節することを求める要求であり、
前記表示装置が、前記複数のパラメータ値を含むセットが格納された記憶媒体を含み、
前記複数のパラメータ値のうちの一方は、前記システムの前記対応するパラメータについて最大許容可能な値に対応し、
前記複数のパラメータ値のうちの他方は、前記第一のパラメータを最大許容可能な値にするために必要な値に対応し、
通信リンクが、前記電気的に動作するエアロゾル発生装置と前記電子表示装置の間に提供される、電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記電子表示装置がユーザー入力を受信するようにさらに構成されているタッチスクリーン装置である、請求項11に記載の電気的に動作するエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に動作するエアロゾル発生システムを制御する方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
数多くの先行技術文献、例えば、EP-A-0 295 122、EP-A-1 618 803およびEP-A-1 736 065には、数多くの利点を有する電気的に動作する喫煙システムが開示されている。こうしたシステムの一部の例の1つの利点は、副流煙を著しく減少させつつ、喫煙者が喫煙を選択的に一時停止したり再開したりできることである。
【0003】
EP-A-0 295 122、EP-A-1 618 803およびEP-A-1 736 065などの先行技術文献には、エアロゾル形成基体として液体を使用する電気的な喫煙システムが開示されている。液体は、ハウジング内に受けられることができるカートリッジ内に含まれうる。喫煙者に提供されるエアロゾルを形成するために、吸煙中に液体基体を加熱するヒーターに接続されている電池などの電源が提供される。
【0004】
US 2014/0334804 A1には、電気的喫煙システムの選択した設定値に対してユーザーにある程度の制御を提供することを目的としたシステムが説明されている。この文書で開示されているシステムでは、ユーザーは、加熱時間および加熱停止時間の一方または両方を制御できる。
【0005】
エアロゾル発生システムの制御について改善された手段または代替的な手段があることに利益がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様によれば、電気的に動作するエアロゾル発生システムを制御する方法が提供されている。方法は、ユーザーから入力を受信する工程であって、入力がシステムからの第一のパラメータを調節することを求める要求である工程と、第一のパラメータについて許容可能な値の範囲への入力を比較する工程と、入力が第一のパラメータについて許容可能な値の範囲内であることを示す許可信号を提供する工程と、第二のパラメータについて許容可能な値の範囲に対する調節を第一のパラメータに応じて入力に基づき決定する工程と、第一のパラメータと、第二のパラメータについて許容可能な値の範囲とを、許可信号に基づき調節する工程とを含む。
【0007】
有利なことに、こうした方法を提供することで、ユーザーはシステムの動作の態様を制御できるようになり、またなされた変更の結果がユーザーに表示されるようになる。ユーザーにより要求された第一のパラメータへの調節に基づき、第二のパラメータについて許容可能な値の範囲に対する調節を決定することにより、ユーザーには、要求された変更の結果に関連する情報が提供されることができ、またそれによって、望ましくない結果なしに、エアロゾル発生システムのパラメータを調節する自由が増大する。
【0008】
方法はさらに、現在の第二のパラメータ値を第二のパラメータについて調節された許容可能な値の範囲と比較する工程と、現在の第二のパラメータ値が調節された許容可能な値の範囲の外にある場合に、第二のパラメータ値を調節する工程とを備えうる。第二のパラメータ値は、現在の値がそれぞれ、下限の値よりも小さいか、または上限の値よりも大きいかに基づき、許容可能な範囲の下限の値となるように、または許容可能な範囲の上限の値となるように、調節されうる。
【0009】
方法はさらに、第一のパラメータに応じて、第三のパラメータについて、第一のパラメータの調節を要求するユーザー入力に基づき許容可能な値の範囲を調節する工程を備えうる。ここで理解される通り、ユーザー入力の結果として、パラメータについて1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の許容可能な値の範囲の調節につながりうる。
【0010】
第一の実施形態では、方法はさらに、ユーザーから第二の入力を受信する工程であって、第二の入力がシステムの第二のパラメータを調節することを求める要求である工程と、第二の入力を第二のパラメータについて調節された許容可能な値の範囲と比較する工程と、許可信号を供給する工程であって、第二の入力が第二のパラメータについて調節された許容可能な値の範囲内であることをさらに示す工程と、許可信号に基づき第二のパラメータを調節する工程とを含むことが好ましい。
【0011】
ユーザーが第二のパラメータも調節できるようにすることで、許容可能な範囲内に保ちつつ、その好みに合わせてシステムを調節するなお一層の柔軟性がユーザーに与えられる。第一のパラメータについてのユーザーの要求に基づき、第二のパラメータについて許容可能な値の範囲をユーザーに与えることは有利である。この方法によって、技術的にみて相互に相容れないパラメータ値のセットをユーザーが要求する状況が回避される。例えば、システムの発熱体への電力を著しく増大させる要求は、電池寿命の延長の要求とは相互に相容れない可能性が高い。こうした状況を回避することで、ユーザー体験の改善がユーザーに提供される。
【0012】
この第一の実施形態の方法はさらに、第一の入力および第二の入力の少なくとも一つに応じて、第一のパラメータおよび第二のパラメータの少なくとも一つに基づき、少なくとも一つのさらなるパラメータに対して必要な調節を決定する工程と、少なくとも一つのさらなるパラメータを、許可信号に基づき調節する工程とを備えうる。さらなるパラメータは、ユーザーにより直接的に調節できない場合があり、よってその場合には、ユーザーによる他のパラメータの調節に基づいてのみ調節される。1つのパラメータに関連するユーザー入力によって、複数のさらなるパラメータに対する調節が要求されることがある。さらなるパラメータのうち1つ、一部、またはすべては、ユーザーによって直接的に調節できない場合がある。
【0013】
同様に、有利なことに、ユーザーによって要求された調節に基づき、なおさらなるパラメータについて必要な調節を決定することにより、エアロゾル発生システムのパラメータを調節するなおさらに大きな自由がユーザーに与えられうる。さらなるパラメータに対してシステムが決定した調節は、望ましくないかまたは有害なパラメータ値の組み合わせにつながるユーザー入力のリスクを低減する。
【0014】
第一の実施形態では、各パラメータについて許容可能な値の範囲は、相互のパラメータの値に基づき調節されうる。
【0015】
従って、本発明の方法は、ユーザーがエアロゾル発生システムの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれ以上のパラメータを調節できるようにしうる。パラメータは、すべて相互依存するようにしてもよく、あるいは各パラメータは残りのパラメータのうち部分集合についてのみ相互依存であってもよく、あるいはパラメータのうち少なくとも一つが残りのパラメータと依存しているように、また少なくとも一つのパラメータが残りのパラメータの部分集合についてのみ依存しているような組み合わせが提供されてもよい。
【0016】
方法は、パラメータ値の組み合わせがシステムによって技術的に達成可能な場合でも、許容可能なパラメータ値の範囲を調節しうる。このように、望ましくない結果のパラメータ値の組み合わせが回避されうる。例えば、結果的にエアロゾル温度が推奨される値よりも高くなるようなパラメータ値の組み合わせが制限されうる。
【0017】
第二のパラメータについて許容可能な値の範囲に対する調節を決定する工程は、第一のパラメータについてのユーザー入力値を許容可能な第二のパラメータ値の範囲に関連付けるルックアップテーブルを使用する工程を含みうる。同様に、ルックアップテーブルは、要求されるパラメータ値または値のセットがユーザーから提供された場合に、許容可能なパラメータ値の範囲のそれぞれの組み合わせを含むものとして提供されうる。
【0018】
第二のパラメータについて許容可能な値の範囲に対する調節を決定するためにアルゴリズムが使用されうる。また、同様に、第一のパラメータおよび第二のパラメータに対する調節がユーザーによってなされた場合に、さらなるパラメータに対する必要な調節を決定するために、アルゴリズムが提供されうる。調節可能なパラメータのうち一部またはすべては、例えば、電気ヒーターに対してかけられる電圧など、装置内での制御入力と直接的な関係を持ちうる。すなわち、調節可能なパラメータ(例えば、1~5)と装置内の制御入力との間には線形の関係がありうる。
【0019】
調節可能なパラメータの一部またはすべては、ユーザーによって選択可能な調節可能なパラメータ値間で非線形の関係を持ちうる(例えば、ゼロから高)。すなわち、装置内の制御入力、例えば、風味放出手段に対する制御入力は、非線形の方法で増大しうる。
【0020】
方法はさらに、そのパラメータまたは各パラメータを調節する前に、ユーザーからの確認入力を要求する工程を備えうる。このように、ユーザーは、第二のパラメータについて許容可能な値の範囲に対する調節に満足できない場合に、第一のパラメータを再調節するかどうかを決定できる。例えば、ユーザーはエアロゾルの発生を増大させるための熱の要件を増やすことができるが、対応する電池寿命の短縮に満足しない場合である。
【0021】
少なくとも一つのパラメータが、エアロゾルの特性に関連しうる。エアロゾルの特性は、ニコチン濃度、エアロゾル形成基体の組成物、エアロゾル密度、エアロゾル温度、味覚、および風味レベルのうち少なくとも一つとしうる。
【0022】
ニコチン濃度は、「低」、「中」および「高」としうる。エアロゾル密度は、「低」、「中」および「高」としうる。風味レベルは、「風味なし」、「低ミント」、および「高ミント」としうる。理解される通り、パラメータ値はこれらの命名した値と数値的に同等なものとしうる。エアロゾル形成基体の組成物は装置内で混合されてもよく、従って調節可能なパラメータは組成物の各成分の相対重量としうる。これは、複数のヒーターのそれぞれに供給される電力を調節することで達成されうるが、各ヒーターはエアロゾルの組成物の成分を気化するよう構成される。
【0023】
少なくとも一つのパラメータは、システムのエアロゾル発生装置に関連しうる。装置のパラメータは、ヒーター持続時間、電力レベル、電池寿命、ワイヤレス通信、および引き出し抵抗のうち少なくとも一つとしうる。例えば、引き出し抵抗は、気流内でのエアロゾル液滴の濃度を調節するためにユーザーによって調節されうる。これにより、気流内での液滴の密度である濃度が、エアロゾル形成基体に適用される熱とは少なくともある程度独立して調節されうる。
【0024】
方法はさらに、装置が電池寿命延長モードに入るように要求するユーザーからの入力を受信する工程を備えうる。これは、エコモードとして周知であることがある。エコモードに入る要求に基づき、装置は、電池寿命が最長となるように、各パラメータについて許容可能なパラメータ値の範囲を調節する。
【0025】
本発明のさらなる態様によると、電気的に動作するエアロゾル発生装置が提供される。装置は、電源、制御回路、少なくとも一つのユーザー入力を受信するための入力、および電源から制御回路を経由して電力を受け取ってエアロゾル形成基体を加熱するように構成された電気ヒーターを備える。制御回路は、本明細書で説明した通り制御方法を実行するよう構成される。
【0026】
入力は、そのまたはそれぞれの少なくとも一つのユーザー入力をリモート装置から受信するよう構成されることが好ましい。エアロゾル発生装置は、リモート装置との通信リンクを提供するための手段をさらに含むことが好ましい。通信リンクは、有線通信リンク、またはワイヤレス通信リンクとしうる。通信リンクの一例について、以下にさらに詳しく説明する。
【0027】
エアロゾル発生装置には、少なくとも一つのユーザー入力を直接受信するための手段が提供されうる。受信手段は、複数のボタン、複数のスライダー、タッチセンサー、または音声認識システム、またはそれらのうち2つ以上の組み合わせとしうる。例えば、受信手段は、エコモードを要求するユーザー入力を受信するように構成されうる。
【0028】
装置はマウスピースを含むことが好ましい。本明細書で使用される場合、「マウスピース」という用語は、エアロゾル発生システムによって発生するエアロゾルを直接吸い込むためにユーザーの口に入れられるエアロゾル発生システム、エアロゾル発生物品、またはエアロゾル発生装置の一部を意味することが好ましい。
【0029】
装置は、外側本体であるハウジングを含むことが好ましく、ユーザーによって保持される部品を備えうる。
【0030】
システムは、複数の発熱体、例えば2個、または3個、または4個、または5個、または6個またはそれ以上の発熱体を含みうる。発熱体(単一または複数)は、最も効果的にエアロゾル形成基体を加熱するように適切に配設される場合がある。
【0031】
少なくとも一つの電気発熱体は、電気抵抗性の材料を含むことが好ましい。適切な電気抵抗性の材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金およびセラミック材料および金属材料でできた複合材料が挙げられるが、これに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含む場合がある。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープシリコン炭化物が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な合金の例としては、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル-、コバルト-、クロミウム-、アルミニウム-チタン-ジルコニウム-、ハフニウム-、ニオビウム-、モリブデン-、タンタル-、タングステン-、スズ-、ガリウム-、マンガン-および鉄を含有する合金、およびニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金および鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporation(1999 Broadway Suite 4300, Denver, Colorado)の登録商標である。複合材料では、電気抵抗性の材料は、必要なエネルギー移動の動態学および外部の物理化学的性質に応じて、随意に断熱材料へ埋込、封入、または塗布されてもよく、あるいはその逆であってもよい。発熱体は、2層の不活性材料の間で絶縁された、金属製でエッチング加工が施された箔を備える場合がある。その場合、不活性材料はKapton(登録商標)、全層ポリイミドまたはマイカ箔を含んでもよい。Kapton(登録商標)は、E.I. du Pont de Nemours and Company(1007 Market Street、Wilmington、Delaware 19898、United States of America)の登録商標である。
【0032】
少なくとも一つの電気発熱体は赤外線発熱体、光子供給源、または誘導発熱体を備える場合がある。
【0033】
少なくとも一つの電気発熱体は任意の適切な形態をとる場合がある。例えば、少なくとも1つの電気発熱体は加熱用ブレードの形態をとる場合がある。少なくとも1つの電気発熱体は、異なる導電性部分または電気抵抗性の金属チューブを持つケーシングまたは基体の形態をとってもよい。エアロゾル形成基体が容器内に提供されている液体である場合、容器は使い捨ての発熱体を組み込んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体の中心を貫通する1つ以上の加熱用の針または棒が使用されうる。少なくとも1つの電気発熱体は、ディスク型の(端部の)発熱体、またはディスク型の発熱体と加熱用の針またはロッドを組み合わせたものであってもよい。少なくとも1つの電気発熱体は、エアロゾル形成基体を囲むかまたは部分的に囲むように配置された柔軟な材料シートを備えてもよい。その他の可能性としては、加熱用のワイヤーまたはフィラメント、例えばNi-Cr、プラチナ、タングステンまたは合金製のワイヤーまたは加熱プレートが挙げられる。任意選択的に、発熱体は固い担体材料内またはその上に蒸着される場合がある。
【0034】
少なくとも1つの電気発熱体は、熱を吸収・貯蔵して、その後、ある期間にわたりエアロゾル形成基体に熱を放出する能力を持つ材料を含む、ヒートシンクまたは蓄熱体を含みうる。ヒートシンクは、適切な金属またはセラミック材料など、任意の適切な材料で形成しうる。材料は高い熱容量(目的に適った熱貯蔵材料)を持つか、または熱を吸収しその後で可逆的な過程(高温相変化など)を経て放出する能力を持つ材料であることが好ましい。適切な熱貯蔵材料は、シリカゲル、アルミナ、炭素、ガラスマット、ガラス繊維、鉱物、金属または合金(アルミニウム、銀または鉛)、およびセルロース系材料(紙など)を含む。可逆的な相変化により熱を放出するその他の材料は、パラフィン、酢酸ナトリウム、ナフタリン、ろう、ポリエチレンオキシド、金属、金属塩、共晶塩の混合物または合金を含む。
【0035】
ヒートシンクまたは蓄熱体は、エアロゾル形成基体と直に接するよう、かつ貯蔵した熱を基体に直かに伝達できるように配置されうる。ヒートシンクまたは蓄熱体に貯蔵された熱は、金属チューブなどの熱導体の手段によってエアロゾル形成基体に伝達されうる。
【0036】
少なくとも1つの発熱体は伝導によりエアロゾル形成基体を加熱する場合がある。発熱体は基体と、または基体が付着している担体と、少なくとも部分的に接触する場合がある。発熱体からの熱は熱伝導性要素によって基体に伝導する場合がある。
【0037】
少なくとも1つの発熱体は、使用中に電気加熱式のエアロゾル発生システムを通して引き出された、入ってくる周囲空気に熱を伝達する場合があり、これが次に対流によってエアロゾル形成基体を加熱する。周囲空気はエアロゾル形成基体を通過する前に加熱される場合がある。エアロゾル形成基体が液体基体である場合、周囲空気はまず基体を通して引き出され、その後加熱される場合がある。
【0038】
エアロゾル形成基体は固体のエアロゾル形成基体でもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含むことが好ましい。エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含みうる。エアロゾル形成基体は、たばこ含有材料および非たばこ含有材料を備えうる。エアロゾル形成基体は、さらにエアロゾル形成体を含むことが好ましい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0039】
エアロゾル形成基体は液体エアロゾル形成基体でもよい。電気加熱式エアロゾル発生システムはさらに液体貯蔵部分を含みうる。液体エアロゾル形成基体は、液体貯蔵部分内に貯蔵されることが好ましい。電気加熱式のエアロゾル発生装置はさらに、液体貯蔵部分と連通する毛細管芯を含みうる。液体を保持するための毛細管芯は、液体貯蔵部分なしに提供されることも可能である。その場合には、毛細管芯には予め液体を装填しうる。
【0040】
液体貯蔵部分内の液体と接触するように毛細管芯を配置するのが好ましい。その場合、使用時に、液体は毛細管芯内での毛細管作用によって、液体貯蔵部分から少なくとも一つの電気発熱体に向かって移動される。一つの実施形態で、毛細管芯を液体貯蔵部分の中へと延びる。発熱体が活性化されると、毛細管芯内の液体が発熱体によって気化され、過飽和蒸気を形成する。過飽和蒸気は気流と混合されて運ばれる。流れる間に、蒸気は凝縮されてエアロゾルを形成し、エアロゾルはユーザーの口に向かって運ばれる。毛細管芯と組み合わせた発熱体は、素早い反応を提供することができる。というのも、その配設により、発熱体に液体の広い表面積を提供することができるためである。従って本発明による発熱体の制御は、毛細管芯またはその他の加熱用の配置の構造に依存する場合がある。
【0041】
液体基体は、適切な任意の吸収性のプラグまたは本体、例えば、発泡性の金属またはプラスチック材料、ポリプロピレン、テリレン、ナイロン繊維またはセラミックで作成しうる多孔性担体材料に吸収されうる。液体基体は、電気加熱式のエアロゾル発生装置を使用する前に多孔性担体材料内に保持されてもよく、あるいは、液体基体材料は使用中またはその直前に多孔性の担体材料内に放出されてもよい。
【0042】
エアロゾル形成基体が液体基体である場合、少なくとも一つの電気発熱体の制御は、沸点、蒸気圧、および表面張力など、液体基体の物理的特性に依存しうる。液体は、加熱されると液体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料などニコチン含有材料を含むことが好ましい。別の方法として、または追加的に、液体は非たばこ材料を含む場合がある。液体は水、溶剤、エタノール、植物エキスおよび天然または人工の風味を含む場合がある。液体はさらにエアロゾル形成体を含むことが好ましい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0043】
液体貯蔵部分を提供することの利点は、高いレベルの衛生状態が維持できることである。液体と電気発熱体との間に延びる毛細管芯を使用することで、装置の構造を比較的簡単にすることができる。液体は、液体が毛細管作用によって毛細管芯を通して運ばれるようにする粘性および表面張力を含む物理的特性を持つ。液体貯蔵部分は、容器が好ましい。液体貯蔵部分は、再充填できない。従って、液体貯蔵部分内の液体が使い尽くされた時、エアロゾル発生装置は交換される。液体貯蔵部分は、再充填可能としうる。その場合、エアロゾル発生装置は、液体貯蔵部分の一定充填回数の後で交換されうる。液体貯蔵部分は、所定の吸煙回数のための液体を保持するよう配置されることが好ましい。
【0044】
毛細管芯は繊維質または海綿状の構造を有する場合がある。毛細管芯は一束の毛細管を含むことが好ましい。例えば、毛細管芯は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含む場合がある。繊維または糸は一般的に、エアロゾル発生装置の長軸方向に配列される場合がある。毛細管芯はロッド形状に形成された海綿体様または発泡体様の材料を含む場合がある。ロッド形状はエアロゾル発生装置の長軸方向に沿って延びる場合がある。芯の構造は複数の小さな穴またはチューブを形成し、それを通して液体が毛細管作用によって電気発熱体に移動できる。毛細管芯は適切な任意の材料または材料の組み合わせを含みうる。適切な材料の例には、繊維または焼結粉末の形態のセラミックまたはグラファイトをベースにした材料がある。毛細管芯は密度、粘性、表面張力および蒸気圧といった異なる液体物理特性で使用されるように、適切な任意の毛管現象および多孔性を有する場合がある。芯の毛細管の性質は、液体の性質と相まって、加熱領域内で芯が常に湿っていることを確実にする。
【0045】
エアロゾル形成基体は、その他任意の種類の基体(例えば、ガス基体)、または様々な基体タイプの任意の組み合わせとしうる。動作中、基体は、電気加熱式のエアロゾル発生装置内部に完全に収容されうる。その場合に、ユーザーは、電気加熱式のエアロゾル発生装置のマウスピースで喫煙しうる。動作中、基体は、電気加熱式のエアロゾル発生装置内部に部分的に収容されうる。その場合に、基体は別個の物品の部分を形成してもよく、またユーザーは別個の物品を直接吸煙してもよい。
【0046】
電気加熱式エアロゾル発生システムは、エアロゾルがそこで過飽和蒸気から形成されるエアロゾル形成チャンバーを備える場合があり、エアロゾルは次にユーザーの口内に運ばれる。空気吸込み口、空気出口およびチャンバーは、エアロゾルを空気出口に運び、ユーザーの口内に入れるように、空気吸込み口からエアロゾル形成チャンバーを経由して空気出口への気流の経路を画定するように配置されることが好ましい。
【0047】
エアロゾル発生装置は携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生装置は、喫煙装置とすることができ、従来型の葉巻たばこや紙巻たばこと匹敵するサイズを有する場合がある。喫煙装置の全長は、およそ30mm~およそ150mmである場合がある。喫煙装置の外径は、およそ5mm~およそ30mmである場合がある。
【0048】
本発明のなおさらなる態様によれば、電気的に動作するエアロゾル発生システム用の記憶媒体が提供されている。記憶媒体は、各パラメータ値がシステムのパラメータに対応する複数のパラメータ値を含む組であって、パラメータが相互に依存し、ここで、複数のパラメータ値の第一のものが対応するシステムのパラメータについて最大許容可能な値に対応するものと、第一のパラメータが最大許容可能な値となるように、要求される値に対応する複数のパラメータ値の別のセットとを含む。
【0049】
有利なことに、記憶媒体は、ユーザーがシステムのパラメータを最大化するための事前に決められたパラメータ値セットを選択できるようにする。このように、ユーザーはより簡単にかつ効率的にシステムの望ましい特性を最大化できる。例えば、ユーザーは電池寿命、エアロゾル密度、または風味を最大化しうる。
【0050】
記憶媒体は、複数のセットをさらに含み、それぞれのセットが複数のパラメータ値含むことが好ましい。複数のパラメータ値を含むそれぞれのセットは、最大許容可能な値に対応する異なるパラメータ値を含む。
【0051】
複数のパラメータ値を含むこうした一つのセットは、エコモードを有効化しうる。
【0052】
本発明のなおさらなる態様によれば、本明細書で説明した制御方法を実行するように構成された電気的に動作するエアロゾル発生システム用の電子表示装置が提供されている。表示装置は、それぞれが電気的に動作するエアロゾル発生システムのパラメータに対応するパラメータ値である複数の調節可能なパラメータ値を表示する、複数のパラメータ値のそれぞれについて許容可能な値の範囲を表示する、ユーザー入力に基づき複数のパラメータ値のうち少なくとも一つについての調節された許容可能な値の範囲であって、ユーザー入力がパラメータ値のうち別の一つを調節することを求める要求であるものを表示するように構成される。
【0053】
こうした表示装置を提供することで、制御システムを備えたユーザーインターフェースが、より効率的かつより効果的なものとなる。ユーザーは、エアロゾル発生装置についての特定の要件を確実に満たすことができる潜在的な設定値を迅速かつ簡単に決定できうる。ユーザーは、気に入った機能、および装置の望ましい結果に優先順位を付けることができ、その優先順位の効果についての視覚的指標が提供されうる。
【0054】
電子表示装置は、パラメータ値をレーダー図上にプロットするよう構成されることが好ましい。レーダー図を使用することで、ユーザーにとってパラメータ値の調節の影響がさらに強調される。
【0055】
電子表示装置は、ユーザー入力を受信するようにさらに構成された、タッチスクリーン装置が好ましい。表示装置がレーダー図を使用する場合、タッチスクリーンは、ユーザーがレーダー図上で直接パラメータ値を調節できるように構成されることが好ましい。ユーザーは、レーダー図の放射状の軸に沿ってパラメータを表すアイコンを移動しうる。電子表示装置はさらに、手動で調節したパラメータ以外のパラメータに対する必要な調節が許容可能であることをユーザーが確認できる確認ボタンを表示しうる。
【0056】
電子表示装置は、通信リンクを経由して電気的に動作するエアロゾル発生装置と通信するようさらに構成されていることが好ましい。通信リンクは、電子表示装置から電気的に動作するエアロゾル発生装置へのデータフローにとって適切であることが好ましい。通信リンクは、電気的に動作するエアロゾル発生装置から電子表示装置へのデータフローにとって適切なものとしうる。通信リンクは、電気的に動作するエアロゾル発生装置から電子表示装置へ、ならびに電子表示装置から電気的に動作するエアロゾル発生装置へといったデータの双方向のフローにとって適切であることが好ましい。
【0057】
通信リンクは、有線通信リンク、またはワイヤレス通信リンクとしうる。通信リンクは、インターフェース規格に基づき動作することが好ましい。インターフェース規格は、2つ以上のシステムまたは装置の部品間での情報交換を許容するために必要な、コード変換、ライン割り当て、またはプロトコル準拠などの1つ以上の機能的特性、または電気的、機械的、または光学的な特性などの物理的特性を描写した規格である。通信リンクのための適切なインターフェース規格の例としては、Recommended Standard 232(RS-232)系統の規格、ユニバーサルシリアルバス(USB)、Bluetooth、FireWire(Apple, Incのブランド名で、自社のIEEE 1394インターフェース用)、IrDA(Infrared Data Association - 赤外線による短距離データ交換のための通信規格)、Zigbee(無線パーソナルエリアネットワーク用のIEEE 802.15.4規格に基づくアプリケーション)およびその他のWi-Fi規格が含まれるが、これに限定されない。
【0058】
好ましい一つの実施形態では、通信リンクはワイヤレスである。インターフェースは、特定のワイヤレス通信リンクに適切なインターフェースである。例えば、インターフェースは、電気的に動作するエアロゾル発生装置からのワイヤレス信号を受信するための受信器、電気的に動作するエアロゾル発生装置にワイヤレス信号を送信するための送信器、および電気的に動作するエアロゾル発生装置からのワイヤレス信号を受信し、電気的に動作するエアロゾル発生装置にワイヤレス信号を送信するための送受信機のうちどれか一つを備えうる。例えば、有線通信リンクの場合、インターフェースは、電気的に動作するエアロゾル発生装置にあるかまたはそれに接続するためのメスコネクターと接続するためのオスコネクター、および電気的に動作するエアロゾル発生装置にあるかまたはそれに接続するためのオスコネクターと接続するためのメスコネクターのうち一方または両方を備えうる。
【0059】
本発明のなおさらなる態様によると、電気的に動作するエアロゾル発生システムが提供される。システムは、本明細書で説明した電気的に動作するエアロゾル発生装置と、本明細書で説明した電子表示装置であって、本明細書で説明した記憶媒体を備えたものとを含む。上述の通信リンクは、電気的に動作するエアロゾル発生装置と電子表示装置の間に提供される。
【0060】
本発明のなおさらなる態様によれば、本明細書で説明した電気的に動作するエアロゾル発生システムを制御する方法を実行するための命令を備えたコンピュータ読取可能媒体が提供されている。
【0061】
本発明のさらになおさらなる態様によれば、本明細書で説明した電気的に動作するエアロゾル発生システムを制御する方法を実行するためのコンピュータプログラムが提供されている。
【0062】
本発明の1つの態様のいずれの特徴も、任意の適切な組み合わせにおいて本発明のその他の態様にも適用されうる。特に、方法の態様は装置の態様に適用でき、その逆もまた可である。さらにまた、1つの態様における任意の一部またはすべての特徴は、任意の適切な組み合わせにおいて、任意のその他の態様の任意の一部またはすべての特徴に適用されうる。
【0063】
当然ながら、本発明のいずれかの態様において記述および定義された様々な特徴の特定の組み合わせを独立して実施または供給または使用することができる。
【0064】
本開示は、本明細書において添付図面を参照しながら説明されるものと実質的に同じ方法および装置にも拡大される。
【0065】
本発明は以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1図1は、本発明の一実施形態による電気的に動作するエアロゾル発生システムを制御する方法のフロー図を示す。
図2図2(a)、2(b)および2(c)は、下の図3に示すGUIの使用例を示す。
図3図3は、本発明の一実施形態による電子制御装置にあるグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
図4図4は、本発明の一実施形態による電気的に動作するエアロゾル発生システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1は、電気的に動作するエアロゾル発生システムを制御する方法のフロー図を示す。エアロゾル発生システムは、再充電可能電池などの電源、制御回路、ワイヤレス通信装置、ニコチン源および毛細管芯を含む液体貯蔵容器、および電気ヒーター要素を備える。システムはさらに、風味を含む第二の液体貯蔵容器を備えうる。システムのパラメータ値は、異なる属性を有するエアロゾルを生成するように、またはシステムの動作を調節するように、ユーザーによって調節できる。エアロゾル発生システムは、下記で図2を参照しながらさらに詳しく説明する。
【0068】
図1のフロー図は、ユーザーが装置のパラメータ値を調節できるように使用される制御方法を示す。工程100では、システムは、システムの第一のパラメータ値に対する調節を要求するユーザーからの入力を受信する。この例では、第一のパラメータは、エアロゾルの温度、電池寿命、エアロゾル中のニコチン濃度、エアロゾルの味覚、ワイヤレス通信、およびエアロゾルの風味のうちどれか一つとしうる。
【0069】
入力が受信されると、工程102で、方法は、第一のパラメータについて要求されたパラメータ値と、第一のパラメータについて許容可能な値の範囲とを比較する。要求されたパラメータ値が許容可能な範囲内であれば、方法は工程104に進む。要求されたパラメータが許容可能な範囲内ではない場合、方法は、工程100に戻り、そのパラメータ値について新しいユーザー入力を求める。
【0070】
工程104では、方法は、ユーザーが要求した第一のパラメータの調節の結果として、第二のパラメータ値用の許容可能な値の範囲に対する調節を決定する。調節可能なパラメータの少なくとも一部は相互依存であり、これは、一つのパラメータを調節すると別のパラメータに影響することを意味する。例えば、エアロゾルの温度を調節すると、結果的に電池寿命の変化を生む。調節を決定するために、第一のパラメータについて要求されたパラメータ値は、ルックアップテーブル106への入力として使用される。
【0071】
次に方法は、工程108に進み、そこで許可信号がシステムに供給され、パラメータ値に対する調節が許容可能であることを示す。次に方法は、工程110でパラメータ値を調節する。
【0072】
制御方法は、パラメータ値のうち1つ以上(最高で全部)が、ユーザーによって調節されるように拡張されうる。この場合には、工程104で、許容可能な値の範囲が調節される代わりに、パラメータ値自体が自動的に調節される。例えば、これは、そのパラメータについての現在の値が調節された許容可能な範囲外である場合、または調節を要求するパラメータがユーザーによって調節可能ではない場合に発生しうる。許可信号を供給する前に、要求されたすべてのパラメータ値は、それぞれの許容可能な範囲内でなければならない。
【0073】
特定の例として、3つの調節可能なパラメータを持つシステムについて考慮し、図2(a)、2(b)および2(c)に示す。この例では、電池寿命、エアロゾルの温度、およびエアロゾル密度が調節可能なパラメータである。すべてのパラメータについて、当初の許容可能な範囲は1~5である。数値は任意のものであり、そのパラメータの相対的な重要性を表すために使用される。例えば、電池寿命についての5という値は、充電間の電池寿命を最大化するようにシステムに要求することである。
【0074】
3つのパラメータは相互依存であるため、電池寿命の値を増加させると、エアロゾルの温度およびエアロゾル密度の両方についての最大許容可能な値が低下する。デフォルト値での、それぞれのパラメータについて各パラメータ値は3である。ユーザーが電池寿命を5に調節した場合、結果として、エアロゾルの温度のパラメータ値およびエアロゾル密度のパラメータ値が2に下がる。
【0075】
その後、ユーザーがエアロゾル密度のパラメータ値をに調節すると、エアロゾル温度のパラメータ値は1に下がり、電池寿命のパラメータ値はユーザーが設定した値であるため変化しない。
【0076】
システムに対する損傷や望ましくないエアロゾル属性を防止するために、技術的には達成可能である場合でも、パラメータ値の一部の組み合わせが制限されうる。例えば、低いエアロゾル密度および高いエアロゾル温度を持つことは技術的には達成可能であるが、これはシステムの損傷につながりうる。
【0077】
ユーザー入力は、パーソナルコンピュータ、携帯電話(スマートフォンなど)、または専用リモート制御装置などの電子表示・入力装置から受信されうる。こうしたスマートフォンの表示・入力装置300を図3に示す。図示した通り、スマートフォンは、エアロゾル発生システムの調節可能なパラメータを示す、レーダー図の形態のグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を表示するように構成される。この例では、GUIによりユーザーは各パラメータについて現在のパラメータ値を見ることができる。スマートフォン上のタッチスクリーンは、ユーザーがパラメータをスライドして必要な調節を入力できるようにするために使用されうる。これに応答して、ディスプレイは、上述の方法に従い、残りのパラメータについて許容可能なパラメータ値の範囲に対して必要な変化を示す。
【0078】
それぞれのパラメータ値を手動で変更することに加えて、スマートフォンは、事前設定パラメータ値のセットをメモリ内に格納しうる。次に、ユーザーはドロップダウンメニュー302を使用して事前設定値を選択しうる。例えば、ユーザーは、旅行中であるため、電池寿命を最大化したいことがある。事前設定値を選択することで、その他のパラメータ値がすべて自動的に調節される。
【0079】
スマートフォン300は、通信リンクを介してエアロゾル発生システムとワイヤレス通信状態にある。調節済み設定がシステムに提供される前に、ユーザーは、タッチスクリーン上のボタンを介して、新しいパラメータ値が許容可能であることを確認するよう要求されうる。
【0080】
エアロゾル発生システムのエアロゾル発生装置400の例を図4に示す。簡単に上述した通り、装置400は、再充電可能電池402などの電源、制御回路404、ワイヤレス通信装置406、ニコチン源および毛細管芯410を備えた液体貯蔵容器408、および電気ヒーター要素412を備える。システムはさらに、風味を(表示せず)含む第二の液体貯蔵容器を備えうる。装置はまた、ユーザーがエアロゾルを吸入するために吸うマウスピース414も備える。理解される通り、システムの制御回路は、図1に関連して上述した方法を実行するように構成されている。
【0081】
使用時、ユーザーは望ましいパラメータ値をスマートフォン300に入力し、調節されたパラメータ値を承認する。次に、スマートフォン300は、調節されたパラメータ値を含む許可信号を装置400に送信する。装置400は、スマートフォン300とワイヤレス通信装置406の間の通信リンクを経由して信号を受信する。次に、新しいパラメータ値が制御回路404の制御メモリに格納される。
【0082】
ユーザーが装置を吸煙する時、吸煙センサー(表示せず)は、装置を起動し、保存されたパラメータ値に基づき制御回路が発熱体に電力を供給する。発熱体が液体エアロゾル形成基体を気化し、ユーザーはマウスピースを介してエアロゾルを吸入しうる。
【0083】
本発明は、液体エアロゾル形成基体を加熱するよう構成された電気的に動作するエアロゾル発生装置を参照しながら例示してきた。しかし、当然ながら、本発明による実施形態はその他の形態のエアロゾル形成基体を含みうる。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図3
図4