(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】床構造体
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20220627BHJP
E04B 1/00 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
E04F15/02 J
E04F15/02 101H
E04F15/02 101D
E04B1/00 501H
(21)【出願番号】P 2018032170
(22)【出願日】2018-02-26
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】五反田 貴
(72)【発明者】
【氏名】中澤 晃久
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3017018(JP,U)
【文献】特開2001-303753(JP,A)
【文献】特開2010-144435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/02
E04B 1/00
E04F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
段差を有する床部と、前記段差における上下に隣接する上段部及び下段部のうち少なくとも上段部の側部に取り付けられる幕板部と、を備える床構造体であって、
前記幕板部よりも前記床部側に配置され、前記下段部の上面から上方に延びる延出部材
と、
前記幕板部の裏面側に形成され、前記延出部材の少なくとも一部を配置可能な飲み込み部と、を備える床構造体。
【請求項2】
段差を有する床部と、前記段差における上下に隣接する上段部及び下段部のうち少なくとも上段部の側部に取り付けられる幕板部と、を備える床構造体であって、
前記幕板部よりも前記床部側に配置され、前記下段部の上面から上方に延びる延出部材を備え
、
前記下段部は、前記床部を外側の側方から見た場合に、前記上面において手前側に配置される床材と、前記上面における前記床材の奥側に配置される床材スペーサと、を有し、
前記延出部材は、前記床材スペーサから上方に延びる床構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幕板を備える床構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床部と、床部の外縁の側部に取り付けられる幕板部と、を備える床構造体が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の幕板部は、床部の外縁の側部を覆うように上下方向に延びて配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
床構造体において、床部の高さが設置条件により異なることがある。そのため、幕板部を共通部材とすると、床部の高さによっては、幕板部の上下方向の長さが足らずに、幕板部の下方に隙間が形成されることがある。この場合には、幕板部の下方の隙間から、床部の内部が視認されて、意匠性が損なわれる可能性がある。また、床部の高さが異なる場合に、床部の高さに応じて、幕板部の下方の隙間からの床部の内部の視認を防ぐことができる複数種類の部材を準備すると、部材の種類が多くなり、コストが増大することになる。
【0005】
本発明は、異なる複数の高さの床部に対応して、幕板部の下方の隙間からの床部の内部の視認を防ぐ構成を実現することで、意匠性を維持しつつ、コストを低減できる床構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、段差(例えば、後述の段差15)を有する床部(例えば、後述の床部10)と、前記段差における上下に隣接する上段部(例えば、後述の2段目段部17)及び下段部(例えば、後述の1段目段部16)のうち少なくとも上段部の側部に取り付けられる幕板部(例えば、後述の幕板部9)と、を備える床構造体(例えば、後述の床構造体1)であって、前記幕板部よりも前記床部側に配置され、前記下段部の上面(例えば、後述する上面16a)から上方に延びる延出部材(例えば、後述の第1隙間延出部材33、第2隙間延出部材34)を備える床構造体に関する。
【0007】
また、前記幕板部の裏面側に形成され、前記延出部材の少なくとも一部を配置可能な飲み込み部(例えば、後述の飲み込み部421)を更に備えることが好ましい。
【0008】
また、前記下段部は、前記床部を外側の側方から見た場合に、前記上面において手前側に配置される床材(例えば、後述のタイル11)と、前記上面における前記床材の奥側に配置される床材スペーサ(例えば、後述のスペーサ部材32)と、を有し、前記延出部材は、前記床材スペーサから上方に延びることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、異なる複数の高さの床部に対応して、幕板部の下方の隙間からの床部の内部の視認を防ぐ構成を実現することで、意匠性を維持しつつ、コストを低減できる床構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る床構造体を示す斜視図である。
【
図3】第1隙間延出部材の周辺の構成を示す断面図である。
【
図4】第1隙間延出部材を設置した場合において、
図3に示す状態よりも2段目段部の高さを高くした場合を示す図である。
【
図5】
図4に示す第1隙間延出部材に代えて第2隙間延出部材を設置した場合を示す図である。
【
図6】第2隙間延出部材を設置した場合において、
図5に示す状態よりも2段目段部の高さを高くした場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る床構造体1について説明する。
図1は、本実施形態に係る床構造体1を示す斜視図である。
図2は、
図1のA-A線断面図である。
【0012】
本発明の一実施形態に係る床構造体1は、建物100の近傍(例えば、庭)に乾式工法で施工されたデッキである。床構造体1は、複数のタイル11で床面が形成される。
図1に示すように、床構造体1は、一辺が建物100の壁面と接する矩形形状に形成される。床構造体1の縁部には、段差15が形成される。本実施形態においては、段差15は、2段で構成され、1段目段部16(下段部)と、2段目段部17(上段部)と、を備える。1段目段部16及び2段目段部17は、上下に隣接して配置される。
【0013】
図2に示すように、床構造体1は、複数の基台2と、複数の柱としての束柱3と、複数の大引4と、複数の根太5と、幕板受け材8と、幕板部9と、第1隙間延出部材33と、床部10と、を備える。束柱3、大引4、根太5、幕板受け材8及び幕板部9は、いずれもアルミニウム形材からなる。
【0014】
床部10は、
図1に示すように、複数のタイル11(床材)と、複数の目地12と、を備える。
複数のタイル11は、それぞれ、例えば、平面視で正方形形状に形成され、所定の厚さを有する。タイル11は、
図2に示すように、四辺の縁部が大引4の上面41及び根太5の上面51によって支持されるように、大引4及び根太5の上に敷設される。床部10のうち段差15の1段目段部16及び2段目段部17を構成するタイル11は、段部の形状に合わせて加工(例えば切断)される。
複数の目地12は、タイル11同士の間において、タイル11の縁部に沿うように延びて形成される。目地12は、厚さがタイル11の厚さよりも小さく形成される。
【0015】
複数の基台2は、
図2に示すように、地面に配設されている。
複数の束柱3は、基台2に立設されている。1段目段部16の奥側に配置される束柱3の外側の側面には、根太受け31や、スペーサ部材32(床材スペーサ)や、固定金具等が取り付けられている。
【0016】
根太受け31は、
図2に示すように、1段目段部16の奥側に配置される束柱3の外側の側面に固定される。根太受け31には、1段目段部16の上面を構成するタイル11を支持する根太5の束柱3側の端部が載置される。
【0017】
スペーサ部材32は、
図2に示すように、1段目段部16の奥側に配置される束柱3の外側の側面において、根太受け31よりも上方側に固定される。スペーサ部材32は、1段目段部16における束柱3とタイル11との間の水平方向の空間を埋めるように、根太5の束柱3側の端部の上面51において、タイル11の奥側において束柱3とタイル11との間に配置される。スペーサ部材32の上面には、第1隙間延出部材33(後述)が取り付けられている。
【0018】
複数の大引4は、複数の束柱3に架設されている。大引4は、例えば、中空部を有する略角柱形状の長尺部材で構成される。複数の大引4は、長手方向が建物100の壁面に沿うように建物100に対して平行に所定間隔で配置され、複数の束柱3に架設される。
【0019】
大引4の上部は、
図2に示すように、束柱3の幅と略等しい幅を有する。大引4の上面41は、タイル11の下面と接する。大引4は、一対の突出部42、42と、一対の係止部43、43と、を有する。
【0020】
一対の突出部42、42は、大引4の上下方向の途中において、大引4の両方の側面から側方に突出する。床部10の外縁側に配置される大引4において、大引4の外側の突出部42の上面には、幕板受け材8(後述)が載置される。大引4の内側の突出部42の上面には、複数の根太5が架設されている。
【0021】
一対の係止部43、43は、大引4の下面から下方側に突出する。一対の係止部43、43は、束柱3の上端部の側面に固定されている。
【0022】
複数の根太5は、複数の大引4に架設される。根太5の上面51は、タイル11の下面と接する。根太5は、例えば、中空を有する略角柱形状の長尺部材である。複数の根太5は、長手方向が建物100の壁面が延びる水平方向に対して直交する方向に平行に所定間隔で配置され、複数の大引4に架設される。
【0023】
幕板部9は、床部10の外縁の側部を覆うように配置される。本実施形態においては、幕板部9は、段差15における1段目段部16及び2段目段部17の両方において、床部10の外縁の側部を覆うように、1段目段部16及び2段目段部17の側部に取り付けられる。
【0024】
幕板部9は、
図2に示すように、幕板受け材8を介して、床部10における間口側(
図1における右手前側)の外縁の側部において、大引4に取り付けられ、床部10における出幅側(
図1における左手前側)の外縁の側部において、根太5の側面に取り付けられる。
【0025】
幕板受け材8は、床部10の縁部の側部に固定される。幕板受け材8には、幕板部9が取り付けられる。幕板受け材8は、床部10と幕板部9との間に配置される。幕板受け材8は、
図2に示すように、上下方向延在固定壁81と、タイル載置部82と、上方突出部としての上方突出壁83と、幕板本体固定部87と、を有する。
【0026】
上下方向延在固定壁81は、鉛直方向に延びる壁である。上下方向延在固定壁81は、大引4又は根太5の外側の側面に当接しており、大引4又は根太5の外側の側面に固定されている。
【0027】
タイル載置部82は、上下方向延在固定壁81の上端から、床部10の外側に配置される幕板部9側に水平方向に突出している。タイル載置部82の上面には、タイル11の外側の端部が載置される。
【0028】
上方突出壁83は、幕板受け材8における上方側に形成され、タイル載置部82の外側の端部側において、タイル載置部82の上面から上方側に突出する。
【0029】
幕板本体固定部87は、上下方向延在固定壁81の下端から幕板本体9a側に水平方向に突出する。幕板本体固定部87の下端は、突出部42の上面に載置される。幕板本体固定部87の側方には、幕板部9の固定用溝部911がネジ固定される。
【0030】
なお、本実施形態においては、幕板部9が幕板受け材8に取り付けられる構成について、
図2における床部10の間口側に配置される幕板部9について説明するが、
図3における床部10の出幅側に配置される幕板部9についても同様の構成である。
【0031】
幕板部9は、幕板本体9aと、蓋部材9bと、を備える。幕板本体9aは、
図2に示すように、上下方向に延びると共に水平方向に長尺な板材により形成される。幕板本体9aは、側板としての側壁91と、固定用溝部911と、上面板としてのタイル収容上面壁92と、突出係止部としての突出係止壁93と、照明収容溝94と、を備える。
【0032】
側壁91は、床部10の外縁の側部において、上下方向に延びて形成されており、平板状に形成されている。2段目段部17に取り付けられる幕板部9の側壁91において、下端部901は、1段目段部16の上面16aから離間して配置され、幕板部9の側壁91と1段目段部16の上面16aとの間には、隙間S1が形成される。幕板部9の側壁91と1段目段部16の上面16aとの隙間S1には、第1隙間延出部材33が配置される。第1隙間延出部材33の詳細については後述する。
【0033】
タイル収容上面壁92は、側壁91の上方側に形成され、側壁91の上端部から、床部10側の側方に水平方向に延びるように形成されている。タイル収容上面壁92の下方には、タイル収容上面壁92の先端側において、タイル載置部82の上面に載置されたタイル11の外側の端部が収容され、タイル収容上面壁92の基端側において、タイル収容上面壁92の下面には、幕板受け材8の上方突出壁83の上端部が当接する。
【0034】
突出係止壁93は、タイル収容上面壁92の下面におけるタイル11の外側の端部と上方突出壁83との間の位置において、タイル収容上面壁92の下面から下方側に突出する。突出係止壁93は、幕板受け材8の上方突出壁83に係止される。突出係止壁93は、幕板受け材8の上方突出壁83に係止されることで、幕板部9が床部10の外側に位置するように、幕板部9における床部10に対する水平方向の位置を位置決めする。
【0035】
固定用溝部911は、側壁91の上下方向の途中において、側壁91の外面から窪んだ溝状に形成される。固定用溝部911は、幕板受け材8の幕板本体固定部87に当接する。幕板本体9aは、固定用溝部911において、幕板受け材8の幕板本体固定部87にネジ固定される。固定用溝部911には、固定用溝部911においてネジ固定された後に、幕板本体9aの外側の側面に沿うように、蓋部材9bが取り付けられる。蓋部材9bは、幕板本体9aの固定用溝部911を覆う部材である。蓋部材9bは、幕板本体9aの固定用溝部911と係合するように構成されている。
【0036】
照明収容溝94は、側壁91の下部に設けられた溝であり、床部10側に向けて開口して形成され、水平方向に延びる。照明収容溝94には、LED等の小型照明が適宜配置される。
【0037】
第1隙間延出部材33(延出部材)について説明する。
図3は、第1隙間延出部材33の周辺の構成を示す断面図である。
図4は、第1隙間延出部材33を設置した場合において、
図3に示す状態よりも2段目段部17の高さを高くした場合を示す図である。
【0038】
第1隙間延出部材33は、スペーサ部材32の上部開口321に取り付けられている。
スペーサ部材32は、1段目段部16の上面16aにおけるタイル11の奥側においてタイル11と束柱3との間に配置される。本実施形態においては、段差15のうちの1段目段部16は、床部10を外側の側方から見た場合に、上面16aにおいて手前側に配置されるタイル11と、上面16aにおけるタイル11の奥側に配置されるスペーサ部材32と、を有する。
【0039】
第1隙間延出部材33は、幕板部9よりも床部10側に配置され、幕板部9と1段目段部16の上面16aとの隙間S1において1段目段部16の上面16aから上方に延びる。第1隙間延出部材33は、スペーサ部材32における束柱3側において、スペーサ部材32から上方に延びる。第1隙間延出部材33が、スペーサ部材32における束柱3側において、スペーサ部材32から上方に延びるため、幕板部9の照明収容溝94に照明を配置する際などの施工時に邪魔になりにくい。よって、施工性を向上できる。
【0040】
第1隙間延出部材33は、
図3に示すように、底部支持部331と、第1高さ上下延在隠し壁334と、を有する。底部支持部331は、上面板を構成する平面部332と、一対の係合片333と、を有する。
【0041】
底部支持部331の平面部332の上面331aは、タイル11の上面11aと同一平面上に形成される。本実施形態においては、1段目段部16の上面16aは、底部支持部331の平面部332の上面331aと、タイル11の上面11aと、により構成される。
【0042】
底部支持部331は、一対の係合片333が、スペーサ部材32の上部開口321の縁部に係合することで、スペーサ部材32に取り付けられる。
【0043】
第1高さ上下延在隠し壁334は、第1高さH1で、底部支持部331の上面331aから上方側に延びる板状に形成される。第1高さ上下延在隠し壁334の上部334aは、飲み込み部421に位置する。
【0044】
飲み込み部421は、幕板部9の側壁91の裏面側に形成され、大引4の突出部42の下方の空間である。本実施形態においては、飲み込み部421は、上下方向において、幕板部9の側壁91の裏面側における大引4の突出部42の下面から側壁91の下端部901までの範囲の空間である。飲み込み部421は、第1高さ上下延在隠し壁334の上部334aを収容可能である。
【0045】
これにより、
図3に示すように、第1高さ上下延在隠し壁334は、第1高さ上下延在隠し壁334の上部334aを飲み込み部421に収容した状態で、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間S1において床部10の内部の視認を防ぐ目隠しとして機能させることが可能である。
【0046】
ここで、
図4に示すように、床部10の段差15の2段目段部17の高さを、
図3に示す場合よりも高くすることで、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間が隙間S1よりも広い隙間S2となる場合がある。幕板部9の下端部901が
図3に示す場合よりも上方側に位置して、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間が隙間S2(>隙間S1)である場合においても、飲み込み部421の上下方向の範囲において第1隙間延出部材33の上部334aの位置を調整できるため、第1隙間延出部材33を、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間S2において床部10の内部の視認を防ぐ目隠しとして機能させることができる。
【0047】
具体的には、
図3に示すように、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間が隙間S1の場合には、第1隙間延出部材33の上部334aは、飲み込み部421の上部側に配置される。また、
図4に示すように、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間が隙間S2(>隙間S3)の場合には、第1隙間延出部材33の上部334aの上端は、飲み込み部421の下端部に配置される。
【0048】
よって、第1隙間延出部材33は、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間が、隙間S1(
図3参照)から隙間S2(
図4参照)までの範囲において、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間において床部10の内部の視認を防ぐように対応できる。
【0049】
更に、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間が隙間S1、S2よりも更に広い場合において、高さ(上下方向の長さ)が第1高さH1の第1隙間延出部材33の他に、第1隙間延出部材33よりも高い(上下方向の長さが長い)第2高さH2(>第1高さH1)の第2隙間延出部材34を準備しておき、第1隙間延出部材33を第2隙間延出部材34に変更することで、隙間S1、S2よりも隙間が広い場合に対応することができる。
【0050】
例えば、
図5及び
図6に示すように、
図3及び
図4に示す第1隙間延出部材33に代えて、高さが第1高さ上下延在隠し壁334よりも高い第2高さ上下延在隠し壁344を有する第2隙間延出部材34に交換することで、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間が、隙間S1から隙間S2までの範囲の隙間よりも広い隙間の範囲に対応できる。
図5は、
図4に示す第1隙間延出部材33に代えて第2隙間延出部材34を設置した場合を示す図である。
図6は、第2隙間延出部材34を設置した場合において、
図5に示す状態よりも2段目段部17の高さを高くした場合を示す図である。
【0051】
第2隙間延出部材34の構成は、第1隙間延出部材33の第1高さ上下延在隠し壁334に代えて、第2高さ上下延在隠し壁344の高さが異なるのみで、他の構成は、第1隙間延出部材33の構成と同様である。第2隙間延出部材34は、
図5及び
図6に示すように、底部支持部341と、第1高さ上下延在隠し壁344と、を有する。
【0052】
図5に示すように、第2高さ上下延在隠し壁344は、第2高さH2で、底部支持部341の上面341aから上方側に延びる板状に形成される。第2高さ上下延在隠し壁344の第2高さH2は、前述の第1隙間延出部材33の第1高さ上下延在隠し壁334の第1高さH1よりも高い(第2高さH2>第1高さH1)。第2高さ上下延在隠し壁344の上部344aは、飲み込み部421に位置する。
【0053】
飲み込み部421は、幕板部9の側壁91の裏面側に形成され、大引4の突出部42の下方の空間である。本実施形態においては、飲み込み部421は、上下方向において、幕板部9の側壁91の裏面側における大引4の突出部42の下面から側壁91の下端部901までの範囲の空間である。飲み込み部421には、第2高さ上下延在隠し壁344の上部344aを収容可能である。
【0054】
これにより、
図5に示すように、第2高さ上下延在隠し壁344は、第2高さ上下延在隠し壁344の上部344aを飲み込み部421に収容した状態で、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間S2において床部10の内部の視認を防ぐ目隠しとして機能させることが可能である。
【0055】
ここで、
図6に示すように、床部10の段差15の2段目段部17の高さを、
図5に示す場合よりも高くすることで、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間が隙間S2よりも広い隙間S3となる場合がある。幕板部9の下端部901が
図5に示す場合よりも上方側に位置して、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間が隙間S3(>隙間S2)である場合においても、飲み込み部421の上下方向の範囲において第2隙間延出部材34の上部344aの位置を調整できるため、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間S3において床部10の内部の視認を防ぐ目隠しとして機能させることができる。
【0056】
具体的には、
図5に示すように、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間が隙間S2の場合には、第2隙間延出部材34の上部344aは、飲み込み部421の上部側に配置される。また、
図6に示すように、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間が隙間S3(>隙間S2)の場合には、第2隙間延出部材34の上部344aの上端は、飲み込み部421の下端部に配置される。
【0057】
よって、第2隙間延出部材34は、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間が、隙間S2(
図5参照)から隙間S3(
図6参照)までの範囲において、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間からの床部10の内部の視認を防ぐように対応できる。
【0058】
以上のように構成される第1隙間延出部材33及び第2隙間延出部材34を準備することで、第1隙間延出部材33を使用する場合には、
図3及び
図4に示すように、第1隙間延出部材33の高さが第1高さH1で形成されており、第1隙間延出部材33の上部(少なくとも一部)を配置可能な飲み込み部421を有するため、1段目段部16の上面と幕板部9の下端部901との間の隙間が、隙間S1(
図3参照)から隙間S2(
図4参照)までの範囲において、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間からの床部10の内部の視認を防ぐように対応できる。よって、第1隙間延出部材33を異なる高さの床部10に対応できるように構成することで、意匠性を維持しつつ、第1隙間延出部材33に要するコストを低減できる。
【0059】
また、第2隙間延出部材34を使用する場合には、
図5及び
図6に示すように、第2隙間延出部材34の高さが第2高さH2(>第1高さH1)で形成されており、第2隙間延出部材34の上部(少なくとも一部)を配置可能な飲み込み部421を有するため、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間が、前述の第1隙間延出部材33とは対応範囲よりも大きな隙間S2(
図5参照)から隙間S3(
図6参照)までの範囲において、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間からの床部10の内部の視認を防ぐように対応できる。よって、第1隙間延出部材33と同様に、第2隙間延出部材34を異なる高さの床部10に対応できるように構成することで、意匠性を維持しつつ、第2隙間延出部材34に要するコストを低減できる。
【0060】
このように、高さ(上下方向の長さ)が異なる2種類の第1隙間延出部材33及び第2隙間延出部材34を準備しておくことで、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間からの床部10の内部の視認を防ぐ範囲として、より広い範囲の隙間S1~S3に対応できる。
よって、少ない種類の第1隙間延出部材33及び第2隙間延出部材34を準備しておくだけで、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間において床部10の内部の視認を防ぐ範囲を、より広い範囲の隙間S1~S3に対応させることができる。
【0061】
以上説明した本実施形態の床構造体1によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態の床構造体1は、段差15を有する床部10と、段差15における上下に隣接する2段目段部17及び1段目段部16のうち少なくとも2段目段部17の側部に取り付けられる幕板部9と、を備え、幕板部9よりも床部10側に配置され、1段目段部16の上面16aから上方に延びる第1隙間延出部材33を備える。
【0062】
そのため、幕板部9の下方の隙間S1又は隙間S2からの床部10の内部の視認を防ぐ構成を実現することで、意匠性を向上できる。床部10の高さが異なる場合においても、1段目段部16の上面16aと幕板部9の下端部901との間の隙間が、隙間S1(
図3参照)から隙間S2(
図4参照)までの範囲において、異なる高さの床部10に対応することができる。よって、第1隙間延出部材33を異なる高さの床部10に対応できるように構成することで、床部10の内部の視認を防ぐことにより意匠性を維持しつつ、異なる高さの床部10に対応して、幕板部9の下方の隙間S1,S2からの床部10の内部の視認を防ぐ構成を実現できる。これにより、異なる高さの床部10において、幕板部9の下方の隙間S1,S2からの床部10の内部の視認を防ぐ構成とするために要するコストを低減できる。また、第1隙間延出部材33よりも高さが高い第2隙間延出部材34を使用した場合も、第1隙間延出部材33と同様の効果を奏する。
【0063】
また、本実施形態においては、幕板部9の裏面側に形成され、第1隙間延出部材33の一部を配置可能な飲み込み部421を有する。そのため、飲み込み部421の上下方向の範囲において、第1隙間延出部材33を配置することができる。これにより、異なる高さの床部10において、簡易な構成により、幕板部9の下方の隙間S1,S2からの床部10の内部の視認を防ぐ構成とするために要するコストを低減できる。
【0064】
また、本実施形態においては、1段目段部16は、床部10を外側の側方から見た場合に、上面16aにおいて手前側に配置されるタイル11と、上面16aにおけるタイル11の奥側に配置されるスペーサ部材32と、を有し、第1隙間延出部材33又は第2隙間延出部材34は、スペーサ部材32から上方に延びる。これにより、スペーサ部材32に第1隙間延出部材33又は第2隙間延出部材34を設けるだけで、異なる高さの床部10に容易に対応して、簡単に、幕板部9の下方の隙間からの床部10の内部の視認を防ぐことができる。また、高さの異なる複数の隙間延出部材を準備することで、1つの隙間延出部材で異なる高さの床部10に対応でき、かつ、高さの異なる複数の隙間延出部材でより広い範囲の床部10に対応できるため、幕板部9の下方の隙間が異なる場合であっても、より広い範囲で幕板部9の下方の隙間からの床部10の内部の視認を防ぐことができる。これにより、より広い範囲で第1隙間延出部材33又は第2隙間延出部材34を幕板部9の下方の隙間からの床部10の内部の視認を防ぐように配置することで、幕板部9の下方の隙間からの床部10の内部の視認を防ぐ構成とするために要するコストをより低減できる。
【0065】
以上、本発明の床構造体1の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0066】
例えば、前記実施形態では、段差15を2段で構成したが、これに限定されない。段差を、1段で構成してもよいし、3段以上で構成してもよい。なお、段差を1段で構成する場合は、例えば、下段部を、地面で構成し、上段部を、地面から1段目の段部として構成することができる。
【0067】
また、前記実施形態では、第1隙間延出部材33又は第2隙間延出部材34を、スペーサ部材32から上方に延びるように構成したが、これに限定されない。第1隙間延出部材33又は第2隙間延出部材34を、タイルや束柱や他の部材に接続して構成してもよい。
【0068】
また、前記実施形態では、第1隙間延出部材33又は第2隙間延出部材34の上端部を、幕板部9の下端部901の高さ又はそれ以上の高さに配置したが、これに限定されず、幕板部9の下端部901よりも低い高さに配置してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 床構造体
9 幕板部
10 床部
11 タイル(床材)
15 段差
16 1段目段部(下段部)
16a 上面
17 2段目段部(上段部)
32 スペーサ部材(床材スペーサ)
33 第1隙間延出部材(延出部材)
34 第2隙間延出部材(延出部材)
334a 上部
343a 上部
421 飲み込み部