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特許7094727カテーテルアブレーション治療中の視野角の自動追跡及び調節
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】カテーテルアブレーション治療中の視野角の自動追跡及び調節
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20220627BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20220627BHJP
   A61B 6/12 20060101ALI20220627BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B6/00 370
A61B6/12
A61B18/12
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018039361
(22)【出願日】2018-03-06
(65)【公開番号】P2018143768
(43)【公開日】2018-09-20
【審査請求日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】15/451,484
(32)【優先日】2017-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ギル・ジゲルマン
(72)【発明者】
【氏名】マキシム・ガルキン
(72)【発明者】
【氏名】ズィヤード・ゼイダン
(72)【発明者】
【氏名】ハムタル・リナト・ヤダン
(72)【発明者】
【氏名】エフド・アルカベツ
(72)【発明者】
【氏名】イド・イラン
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-012097(JP,A)
【文献】特開2007-044507(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0180074(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/10 - A61B 34/20
A61B 6/00
A61B 6/12
A61B 18/12 - A61B 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓マッピング及びアブレーションを実行するためのシステムであって、
患者の心構造の三次元(3D)マップ及び前記心構造内のカテーテルの相対的場所を生成し、前記3Dマップ及び前記カテーテルの相対的場所を視覚表示装置に提供するように構成されている、処理装置と、
前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所を視覚的に表示するように構成されている、前記視覚表示装置であって、前記心構造の前記3Dマップが視野角で表示される、前記視覚表示装置と、
前記心構造内の前記カテーテルの先端の位置及び向きを検出するように構成されている、前記処理装置と、
前記カテーテルの前記先端に近い、前記心構造の前記3Dマップの表面を判別するように構成されている、前記処理装置であって、前記カテーテルの前記先端に近い、前記心構造の前記3Dマップの前記表面が、アブレーションターゲット又はマッピング場所である、前記処理装置と、
前記アブレーションターゲット又はマッピング場所の所望の視野角を判別するように構成されている、前記処理装置と、
前記所望の視野角に基づいて、前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所の前記視野角を自動的に調節し、前記調節された視野角を前記視覚表示装置に提供するように構成されている、前記処理装置と、
前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所の前記視野角を、前記調節された視野角に更新するように構成されている、前記視覚表示装置と、を含み、
前記処理装置が、前記カテーテルの前記先端に近い、前記心構造の前記3Dマップの前記表面に対する法線ベクトルを判別するように、更に構成されており、前記処理装置が、前記心構造の前記3Dマップの前記表面に対する前記法線ベクトルを前記所望の視野角に調整することによって、前記心構造の前記3Dマップの前記視野角を調節するように構成されている、システム
【請求項2】
前記所望の視野角が、ローカル記憶装置に記憶されたデフォルトの視野角である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記デフォルトの視野角が、垂直角度、又は前記垂直角度からの一定の事前に定義されたオフセットである、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理装置が、操作者から前記アブレーションターゲット又はマッピング場所の前記所望の視野角を受信し、前記所望の視野角をローカル記憶装置に記憶するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記処理装置が、前記心構造内の対応する複数の解剖学的領域に関連付けられた前記アブレーションターゲット又はマッピング場所の複数の所望の視野角を受信し、前記複数の所望の視野角をローカル記憶装置に記憶するように、更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理装置が、医師の表示の好みを学習するための一連のトレーニングセッションを実行することによって、前記アブレーションターゲット又はマッピング場所の前記所望の視野角を判別し、前記所望の視野角をローカル記憶装置に記憶するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理装置が、前記カテーテル内にある位置決めセンサから受信した位置情報を使用して、前記心構造内の前記カテーテルの前記先端の前記位置及び向きを検出するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記処理装置が、前記心構造内の前記カテーテルの前記先端の前記位置及び前記向きとして、連続的かつリアルタイムで前記所望の視野角に基づいて、前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所の前記視野角を調節するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記視覚表示装置が、前記心構造の複数のマップ及び互いに一定の相対的な位置及び向きを有する前記心構造内又はその周辺の複数の物体を視覚的に表示するように更に構成されており、前記心構造の前記複数のマップが、前記心構造の前記3Dマップを含み、前記心構造内又はその周辺の前記複数の物体が前記カテーテルを含み、
前記視覚表示装置が、前記互いに一定の相対的な位置及び向きを維持しながら、前記心構造の前記複数のマップ及び前記心構造内又はその周辺の前記複数の物体の前記視野角を、前記調節された視野角に更新するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
心臓マッピング及びアブレーションを実行するためのシステムであって、
患者の心構造の三次元(3D)マップ及び前記心構造内のカテーテルの相対的場所を生成し、前記3Dマップ及び前記カテーテルの相対的場所を視覚表示装置に提供するように構成されている、処理装置と、
前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所を視覚的に表示するように構成されている、前記視覚表示装置であって、前記心構造の前記3Dマップが視野角で表示される、前記視覚表示装置と、
前記心構造内の前記カテーテルの先端の位置及び向きを検出するように構成されている、前記処理装置と、
前記カテーテルの前記先端に近い、前記心構造の前記3Dマップの表面を判別するように構成されている、前記処理装置であって、前記カテーテルの前記先端に近い、前記心構造の前記3Dマップの前記表面が、アブレーションターゲット又はマッピング場所である、前記処理装置と、
前記アブレーションターゲット又はマッピング場所の所望の視野角を判別するように構成されている、前記処理装置と、
前記所望の視野角に基づいて、前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所の前記視野角を自動的に調節し、前記調節された視野角を前記視覚表示装置に提供するように構成されている、前記処理装置と、
前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所の前記視野角を、前記調節された視野角に更新するように構成されている、前記視覚表示装置と、を含み、
前記処理装置が、前記心構造の前記3Dマップの前記視野角の自動調節を有効又は無効にするため、操作者からの命令を受信するように、更に構成されている、システム。
【請求項11】
処理装置を備えるシステムの作動方法であって、
前記処理装置が、視野角を自動的に追跡及び調節するための工程を実行し、
前記工程が、
患者の心構造の三次元(3D)マップ及び前記心構造内のカテーテルの相対的場所を生成し、前記3Dマップ及び前記カテーテルの相対的場所を視覚表示装置に提供することと、
前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所を視覚的に表示することであって、前記心構造の前記3Dマップが視野角で表示される、ことと、
前記心構造内の前記カテーテルの先端の位置及び向きを検出することと、
前記カテーテルの前記先端に近い、前記心構造の前記3Dマップの表面を判別することであって、前記カテーテルの前記先端に近い、前記心構造の前記3Dマップの前記表面が、アブレーションターゲット又はマッピング場所である、ことと、
前記アブレーションターゲット又はマッピング場所の所望の視野角を判別することと、
前記所望の視野角に基づいて、前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所の前記視野角を自動的に調節し、前記調節された視野角を前記視覚表示装置に提供することと、
前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所の前記視野角を、前記調節された視野角に更新することと、を含み、
前記工程が、
前記カテーテルの前記先端に近い、前記心構造の前記3Dマップの前記表面に対する法線ベクトルを判別することを、更に含み、前記心構造の前記3Dマップの前記視野角を調節することが、前記心構造の前記3Dマップの前記表面に対する前記法線ベクトルを前記所望の視野角に調整することを含む、方法。
【請求項12】
前記所望の視野角が、ローカル記憶装置に記憶されたデフォルトの視野角である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記デフォルトの視野角が、垂直角度、又は前記垂直角度からの一定の事前に定義されたオフセットである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記工程が、
操作者から前記アブレーションターゲット又はマッピング場所の前記所望の視野角を受信して、前記所望の視野角をローカル記憶装置に記憶することを、更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記工程が、
前記心構造内の対応する複数の解剖学的領域に関連付けられた前記アブレーションターゲット又はマッピング場所の複数の所望の視野角を受信することと、前記複数の所望の視野角をローカル記憶装置に記憶することと、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記アブレーションターゲット又はマッピング場所の前記所望の視野角を判別することが、医師の表示の好みを学習するための一連のトレーニングセッションを実行することと、前記所望の視野角をローカル記憶装置に記憶することと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記心構造内の前記カテーテルの前記先端の前記位置及び向きを検出することが、前記カテーテル内にある位置決めセンサから受信した情報を使用する、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記所望の視野角に基づいて、前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所の前記視野角を調節することが、連続的かつリアルタイムで実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記工程が、
前記心構造の複数のマップ及び互いに一定の相対的な位置及び向きを有する前記心構造内又はその周辺の複数の物体を視覚的に表示することであって、前記心構造の前記複数のマップが、前記心構造の前記3Dマップを含み、前記心構造内又はその周辺の前記複数の物体が、前記カテーテルを含む、ことと、
前記互いに一定の相対的な位置及び向きを維持しながら、前記心構造の前記複数のマップ及び前記心構造内又はその周辺の前記複数の物体の前記視野角を、前記調節された視野角に更新することと、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記カテーテルが、複数の位置センサを含み、前記方法が、複数のアブレーションターゲット又はマッピング場所に対して実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
処理装置を備えるシステムの作動方法であって、
前記処理装置が、視野角を自動的に追跡及び調節するための工程を実行し、
前記工程が、
患者の心構造の三次元(3D)マップ及び前記心構造内のカテーテルの相対的場所を生成し、前記3Dマップ及び前記カテーテルの相対的場所を視覚表示装置に提供することと、
前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所を視覚的に表示することであって、前記心構造の前記3Dマップが視野角で表示される、ことと、
前記心構造内の前記カテーテルの先端の位置及び向きを検出することと、
前記カテーテルの前記先端に近い、前記心構造の前記3Dマップの表面を判別することであって、前記カテーテルの前記先端に近い、前記心構造の前記3Dマップの前記表面が、アブレーションターゲット又はマッピング場所である、ことと、
前記アブレーションターゲット又はマッピング場所の所望の視野角を判別することと、
前記所望の視野角に基づいて、前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所の前記視野角を自動的に調節し、前記調節された視野角を前記視覚表示装置に提供することと、
前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所の前記視野角を、前記調節された視野角に更新することと、を含み、
前記工程が、
前記心構造の前記3Dマップの前記視野角の自動調節を有効又は無効にするため、操作者からの命令を受信することを更に含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本明細書には、心臓マッピング及びアブレーションの実行時の視野角を自動的に追跡及び調節するためのシステム及び方法が記載されている。患者の心構造の三次元(3D)マップ、及び心構造内の治療用カテーテルの相対的場所(例えば、位置及び向き)は、視覚表示装置に表示され得る。例示の処置により、心構造内のカテーテルの先端の位置及び向き及びカテーテルの先端に近い、心構造の3Dマップの表面であり得る、現在のアブレーションターゲットが検出され得る。アブレーションターゲットの所望の視野角は、操作者とのトレーニングセッションを通じて認識、判別、提供、及び/又は学習され得る。心構造の3Dマップの視野角は、カテーテルの先端及びアブレーションターゲットの既知の場所を使用して、所望の視野角に対応するように自動的に調節され得る。本明細書に記載のとおり、他の詳細及び処置が実行されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1】CARTO(登録商標)3 Systemによって生成された、患者の心臓の例示の三次元(3D)心臓マップを示す。
図2A】例示の実施形態による、例示の心臓マッピング及びアブレーションシステムの概略図である。
図2B】例示の実施形態による、図2Aの例示の心臓マッピング及びアブレーションシステムに含まれ得る、例示のカテーテルの概略図である。
図3】例示の実施形態による、心臓アブレーション中の視野角の自動追跡及び調節のための、例示の処置のフローチャートを示す。
図4】例示の実施形態による、アブレーションターゲット周辺の表面に対する法線ベクトルの3D図形表現を示す。
図5】例示の実施形態による、所望の視野角への自動アラインメントを示した、法線ベクトルの3D図形表現を示す。
図6A】アブレーション線に沿って生成された例示の3D心臓像であり、心臓マッピング及びアブレーション処置中に様々な角度で、心房室内のカテーテルの相対的な位置及び向きを示す。
図6B】アブレーション線に沿って生成された例示の3D心臓像であり、心臓マッピング及びアブレーション処置中に様々な角度で、心房室内のカテーテルの相対的な位置及び向きを示す。
図6C】アブレーション線に沿って生成された例示の3D心臓像であり、心臓マッピング及びアブレーション処置中に様々な角度で、心房室内のカテーテルの相対的な位置及び向きを示す。
図6D】アブレーション線に沿って生成された例示の3D心臓像であり、心臓マッピング及びアブレーション処置中に様々な角度で、心房室内のカテーテルの相対的な位置及び向きを示す。
図6E】アブレーション線に沿って生成された例示の3D心臓像であり、心臓マッピング及びアブレーション処置中に様々な角度で、心房室内のカテーテルの相対的な位置及び向きを示す。
図6F】アブレーション線に沿って生成された例示の3D心臓像であり、心臓マッピング及びアブレーション処置中に様々な角度で、心房室内のカテーテルの相対的な位置及び向きを示す。
図6G】アブレーション線に沿って生成された例示の3D心臓像であり、心臓マッピング及びアブレーション処置中に様々な角度で、心房室内のカテーテルの相対的な位置及び向きを示す。
【発明を実施するための形態】
【0003】
心臓アブレーションは、不整脈として知られる心臓リズムの欠陥を、リズムの欠陥の一因となっている心臓内の組織を破壊する外傷を作ることによって補正するために使用され得る、電気生理学者によって実行される医療処置である。心臓アブレーションを使用して治療され得る例示の不整脈は、心房細動であり、心房細動は、心臓の上部小室(すなわち、心房)で始まる異常な心臓リズムである。
【0004】
心臓アブレーションは、鼠径部及び血管内の小さい切開部を通して心臓に挿入され得る、長い可撓性カテーテルを用いることができ、心臓アブレーションを使用して、小さい傷又は損傷を生成するためのエネルギー(例えば、無線周波(RF)エネルギー又は超低温)を組織に適用して、心臓リズム障害の原因であり得る不完全な電気インパルスを遮断することができる。リアルタイム三次元(3D)撮像テクノロジーは、心臓内のカテーテルの正確な位置及び向きを可視化し、電気生理学者が、カテーテルを可視化して慎重に先導し、適切な場所でRFエネルギーを管理することを可能にするための、高度なナビゲーションシステムとして機能するように用いられ得る。心臓アブレーションの目標は、不整脈を取り除いて、患者の心臓を正常な心臓リズムに戻すこと、又は不整脈の頻度及び患者の症状の重大度を低減させることである。
【0005】
心臓アブレーション用のリアルタイム3D撮像システムの一例は、Johnson & Johnsonの子会社である、Biosense Webster(登録商標),Inc.製のCARTO(登録商標)3 Systemである。CARTO(登録商標)3 Systemは、患者の心構造の3Dマップを作製するため、また、心臓内のカテーテルの正確な場所及び向きを示すために電磁石テクノロジーを使用している。図1は、CARTO(登録商標)3 Systemによって生成された、患者の心臓100の例示の3D心臓マップを示す。カテーテル102(治療用及び/又は診断用カテーテルであり得る)の場所及び向きは、患者の心臓100の3D可視化内に図示される。図示されていないが、他の物体及び像が、図1に示されている3D可視化に含まれてもよく、例えば、限定されるものではないが、追加のカテーテル並びに装置の場所及び向き、マッピングされた心臓100内の向きに使用される3D合成心臓モデル、方向的な(例えば、上、下、後ろ、前)向きを補助するための二次元(2D)像、並びにX線透過像又は他の背景画像がある。
【0006】
図2Aは、統合リアルタイム3D撮像テクノロジー(例えば、CARTO(登録商標)3 System又は他の3D撮像テクノロジー)を用いた、例示の心臓マッピング及びアブレーションシステム200の概略図である。心臓マッピング及びアブレーションシステム200には、限定されるものではないが、カテーテル(複数可)220、心臓外センサ214、基準装置群(reference device constellation)215、エネルギー源219、及び/又はコンソールシステム201といった構成要素のうちのいずれをも含み得る。コンソールシステム201には、限定されるものではないが、処理装置(複数可)202、ローカル記憶装置208、操作者インターフェース(複数可)218、及び/又は視覚表示装置216といった構成要素のうちのいずれかを含み得る。心臓マッピング及びアブレーションシステム200の特定の要素は、視覚化及び診断に使用される情報を収集するため、及びアブレーション治療を実行するために、患者205の上に、中に、及び/又は患者205に近接して、直接使用され得る。下記のとおり、この情報は、処理、視覚化、並びに操作者制御及び指示のために、コンソールシステム201に提供され得る。
【0007】
基準装置群215は、患者205の下に位置付けられたコンピュータ制御の(例えば、処理装置(複数可)202によって制御される)磁石からなる環を含み得る。磁石は、周辺空間の磁場に対する原点基準点として使用され得る、既知かつ固定の強度及び位置の値を有し得、心臓の正確な3D像を製造するのに使用される処理装置(複数可)202に基準情報を提供し得る。
【0008】
心臓外センサ(複数可)214は、例えば、患者205の皮膚上の電極であり得る。心臓外センサ(複数可)214は、心臓の電気生理学的パターンによる皮膚上の電気変化の検出を介して、心臓の電気活動を検出し、不整脈の診断及び治療活動方針の判別に使用される、電気活動に関する情報を処理装置(複数可)202に提供し得る。心臓外センサ(複数可)214によって検出された心臓外信号の処理された形態が、視覚表示装置216に表示され得る。
【0009】
治療及び診断の目的で、患者205に対して1つ又は2つ以上の装置が使用され得る。例示の心臓マッピング及びアブレーションシステム200では、これらの目的のために、カテーテル(複数可)220が表示され、説明されているが、診断用及び/又は治療用処置に他の装置が使用されてもよい。
【0010】
1つ又は2つ以上のカテーテル220は、医師により、患者205の脈管系を通して患者205の心臓に経皮的に挿入され得る。カテーテル(複数可)220は、診断用マッピングのための情報を収集する、及び/又は治療用処置をもたらす(例えば、アブレーションを実行する)目的で、場所及び/又は電気センサが装備され得る。異なるタイプのカテーテル(複数可)220を使用してもよく、これには、限定されるものではないが、固定カテーテル、偏向可能カテーテル、2方向カテーテル、単方向カテーテル、三尖弁マッピングカテーテル、暈状(halo-shaped)先端カテーテル、及び/又は投げ縄状カテーテルといった例示のタイプが挙げられる。カテーテル220(複数可)がターゲット場所(例えば、経路沿いの1つ又は2つ以上の場所)で、例えば、RFエネルギーを適用することによって、アブレーションを実行するのに使用された場合、カテーテル(複数可)220は、処理装置202(複数可)によって命令され得るように、エネルギー源219からRFエネルギーを受信し得る。一例では、カテーテル(複数可)220は、エネルギー源219から直接RFエネルギーを要求し得る。
【0011】
カテーテル(複数可)220は、図2Bにより詳細に示されているが、図2Bは、カテーテル220に含まれ得る要素のうち、すべてではなく一部を示す。カテーテル220は、限定されるものではないが、電極(複数可)222、非接触電極224、位置決めセンサ(複数可)226、遠位先端228、遠位端230、ハンドル232、及び/又はケーブル240、といった構成要素のうちのいずれかを含み得る。
【0012】
カテーテル220の遠位端230は、心臓組織の電気特性を測定するのに使用され得る電極(複数可)222を、遠位先端228に含み得る。電極(複数可)222はまた、診断の目的で電気信号を心臓に送信するのに使用され得る。電極(複数可)222はまた、アブレーションの所望の場所で心組織に直接エネルギー(例えば、RFエネルギー)を適用することによって、欠陥のある心組織に対するアブレーションを実行し得る。
【0013】
遠位端230は、アレイに配置される非接触電極224を含み得、非接触電極224は、患者205の心室の壁から遠視野電気信号を同時に受信し、測定するのに使用され得る。電極(複数可)222及び非接触電極224は、心臓の電気特性に関する情報を処理装置(複数可)202に処理用として提供する。
【0014】
遠位端230は、カテーテル220の遠位先端228に位置決めセンサ(複数可)226(場所センサとも呼ばれる)を含み得、身体内のカテーテル220の位置及び向きを判別するのに使用される信号を生成し得る。一例では、遠位先端の正確な位置決め情報を促進にするため、位置決めセンサ(複数可)226、電極(複数可)222及び遠位先端の相対的な位置及び向きが固定され、認識される。例えば、位置決めセンサ(複数可)226の位置は、心臓の外側の既知の位置に対する相対的位置にある程度基づいて(例えば、心臓外センサ214に基づいて)判別され得る。位置決めセンサ(複数可)226の使用により、カテーテル220の位置情報が患者205の解剖学的構造に対応するため、周辺空間の磁場内の場所の正確さの改善がもたらされ得、患者の動きに適応可能な場所情報が提供される。
【0015】
カテーテル220のハンドル232は、医師によって操作され得、医師が遠位先端228を所望の方向に効果的に進めることを可能にするためのコントロール234を含み得る。
【0016】
電極222、224及びセンサ226は、コンソールシステム201に電気及び位置情報を提供するため、ハンドル232及びケーブル240を通過し得るワイヤを介して、処理装置(複数可)202に接続され得、コンソールシステム201は、心臓内のカテーテル220の機能をリアルタイムで操作し、表示するのに使用され得る。
【0017】
コンソールシステム201内の処理装置(複数可)202は、例えば、コンピュータ内部に包含され得る、1つ又は2つ以上の信号処理回路を含み得る。処理装置(複数可)202は、心臓マッピング及びアブレーションシステム200の機能を実行するため、ハードウェアに実装され得、かつ/又はソフトウェアでプログラミングされ得る。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形態で処理装置(複数可)202にダウンロードされてもよく、かつ/又は磁気若しくは光学媒体若しくは他の不揮発性メモリなどの有形媒体で提供されてもよい。例えば、心臓マッピング及びアブレーションシステム200の心臓可視化及び診断機能の拡張は、ソフトウェアモジュールを処理装置(複数可)202にダウンロードし、インストールすることによって成され得る。一例では、処理装置(複数可)202は、汎用コンピュータを含み得る。
【0018】
処理装置(複数可)202は、処理センサ(複数可)226、先端電極(複数可)222及び/又は非接触電極224によって生成された信号を含む、カテーテル220からの(情報又はデータを伝達する)信号を受信、増幅、フィルタリング、及び/又はデジタル化し得る。信号は、カテーテル220の位置と向き、並びに心室の電気特性を算出するために、処理装置(複数可)202によって受信され、使用される。一例では、適切な回路機構は、処理装置(複数可)202が、すでに増幅、フィルタリング、及び/又はデジタル化された信号を受信するように、カテーテル220自体に関連付けられ得る。
【0019】
処理装置(複数可)202は、また、情報又は命令を含む信号を生成し、心臓マッピング及びアブレーションシステム200内の他の要素にそれらの信号を送信するのに使用され得る。例えば、処理装置(複数可)202は、視覚表示装置216上に表示するためのリアルタイム3D心臓マップ情報を生成して送信し得る。別の例では、処理装置(複数可)202は、情報をローカル記憶装置208に対して送受信し得る。別の例では、処理装置(複数可)202は、カテーテル(2)220に信号を送信して、エネルギー源219によって提供されるRFエネルギーをアブレーションターゲットに適用し得る。
【0020】
上で説明したように、処理装置(複数可)202は、処理装置(複数可)202内の別個のユニットとして(例えば、例示的に又は物理的に)表現され得る、特定の機能を実装し得る。例えば、処理装置(複数可)202は、カテーテル220内の位置センサ(複数可)226から位置信号を受信するように構成され得るデコーダーユニット204(例えば、処理回路としてハードウェアに、及び/又はソフトウェアモジュールとしてソフトウェアに実装される)を含み得、位置信号を使用して、カテーテル先端228に関する位置、向き、温度及び/又は心電図(ECG)の値を算出し得る。
【0021】
別の例では、処理装置(複数可)202は、システム200内の他の装置に命令を送信するためのコントローラユニット207を含み得る。例えば、コントローラユニット207は、アブレーション用のRFエネルギーをカテーテル(複数可)220に提供するよう、エネルギー源219に命令を送信し得、RFエネルギーをアブレーションターゲット(例えば、経路沿いの1つ又は2つ以上の場所)に適用するよう、カテーテル(複数可)220に命令を送信し得る。
【0022】
別の例では、下で詳細に記載されるように、処理装置(複数可)202は、アブレーションターゲットの視野角を自動的に調節するように計画され得る、視野角追跡ユニット206(例えば、処理回路としてハードウェアに、及び/又はソフトウェアモジュールとしてソフトウェアに実装される)を含み得る。処理ユニット204、205、及び206は、例であり、処理装置(複数可)202に実装され得る可能な機能をすべて含んでいるわけではない。他の処理ユニットも、処理装置(複数可)202に含まれ得るが、図示されていない。
【0023】
視覚表示装置216は、処理装置(複数可)202で実行された情報処理に基づいて、心臓の2D及び/又は3D視覚的表現及び/又はマップを表示し、心臓内のカテーテル220の正確な場所及び向きを示すために使用され得る。心臓表現/マップ及びカテーテル(複数可)に加えて、診断及び治療処置に関連する表示及び/又は情報にある他の物体(例えば、ラベル、診断など)も、視覚表示装置216に表示され得る。心臓マッピングの視覚的表現は、心臓アブレーションなどの心臓の診断及び治療処置を実行するための正確なリアルタイム視覚ガイドを提供するための、医師によって使用される重要なツールである。
【0024】
操作者インターフェース(複数可)218は、心臓マッピング及びアブレーションシステム200と相互作用し、制御するために、1人又は2人以上の操作者によって使用され得る。操作者インターフェース(複数可)218は、限定されるものではないが、キーボード及び/又はマウスといった装置を含み得る。操作者インターフェース(複数可)218は、操作者が、視覚情報にアクセスして操作することを可能にし得、個々の患者に対する治療方針を追跡するため、損傷にタグ又はラベルを付ける能力を操作者に提供し得る。
【0025】
心臓マッピング及びアブレーションシステム200の操作者としては、限定されるものではないが、例えば、カテーテルを制御し、診断を収集して解釈し、アブレーション処置を実行し得る医師(例えば、電気生理学者)と、処置中に医師のアシスタントとして働くクリニカルアプリケーションスペシャリスト(CAS)と、が挙げられ得る。CASの責任の例としては、限定されるものではないが、医師にアブレーションターゲットのより良い表示を提供するために、視覚表示装置216上の心臓システムの3D表示を調節すること、医師の指示に従うこと、ペーシング電極チャネルを選択すること、接続されたカテーテルを選択すること(自動的に検出されないカテーテルの場合)、マッピングカテーテルを選択すること、症例段階中のスクリーンレイアウトを設定すること、視覚表示上の点を獲得して、機能及び設定を有効/無効にすること、視覚表示上の点を削除すること、及び/又は視覚表示上の注釈を修正すること、といったタスクが挙げられ得る。
【0026】
一例では、心臓の診断又は治療処置中に、医師が心臓内でカテーテルを動かすと、CASは、操作者インターフェース(複数可)218(例えば、マウス及び/又はキーボード)を使用してソフトウェア(例えば、処理装置(複数可)202に位置する)を操作して、視覚表示装置216上の心臓の3D表現の視野角を調節し、アブレーションターゲットの遮られない直接表示を医師に提供し得る。医師は、アブレーションターゲットが明確に表示されるように、視覚表示装置216上の3D心臓表示を回転させるよう、CASに頻繁に要求する場合がある。例えば、アブレーションセッション中又はその近くで、頻繁な視野角変更が要求される場合がある。このアプローチの有効性及び成功は、CASの巧みさ、並びに処置中の可視化に関するCASの経験及び医師の好みの理解に大きく依存する。CASが、頻繁であり得る、医師からの口頭指示に基づいて視覚調節を行うたびに、処置はある程度遅延する。
【0027】
アブレーションターゲット視野角の調節に関する医師のCASへの依存性を軽減又は排除するため、医師の表示の好みに調整され、更新され得る、心臓処置の3D表示の自動的なリアルタイム調節及び回転に関するアプローチが、本明細書に記載されている。心臓処置の3D表示の自動的なリアルタイム調節及び回転は、他のタスクを行えるようにCASを解放することができ、また、より途切れのない連続的な調節による、所望の角度でのアブレーションターゲットの異なる表示を提供することができ、それによって、アブレーション処置中の中断及び遅延が減少する。
【0028】
一実施形態によると、方法又は処置が、心臓システムの3D可視化におけるアブレーション領域の視野角の自動追跡及び調節を可能にする。図3は、心臓アブレーション中の視野角の自動追跡及び調節のための、例示の処置300のフローチャートを示す。
【0029】
図2A及び2Bに記載のとおり、処置300は、心臓マッピング及びアブレーションシステム内のコンピュータ又は他の処理装置によって実行され得、心臓マッピング及びアブレーションシステム内の他の装置と相互作用し、そこから情報(例えば、配置及び電気信号)を取得することができる。例えば、処置300は、図2Aに示されている心臓マッピング及びアブレーションシステム200の処理装置(複数可)202内の視野角追跡ユニット206に実装(例えば、ソフトウェアモジュールとしてダウンロード)されてもよい。
【0030】
図3の工程302を参照すると、カテーテル先端の位置が検出され得る。カテーテル先端の位置は、アブレーション源の位置であり、カテーテル先端の場所及び/又は向きによって画定され得る。図2Bを参照する上の説明のとおり、カテーテル220の遠位先端228にある電極(複数可)222は、心臓組織にエネルギー(例えば、RFエネルギー)を適用することによってアブレーションを実行する。図2A及び図2Bに記載のとおり、カテーテル先端の位置は、カテーテル及び基準点から受信した場所情報を使用して判別され得る。アブレーションは、アブレーション源(カテーテル先端)がアブレーションの場所と接触したときに発生する。
【0031】
工程304では、カテーテル先端に近い、3D心臓マップの表面が検出され得、この表面が、現在のアブレーションターゲット又はアブレーションの場所となる。上で説明したとおり、アブレーションは、アブレーション源(カテーテル先端)が心臓組織と接触したときに発生する。
【0032】
工程306では、アブレーションターゲット周辺の表面に対する法線が判別され得る。アブレーションターゲットの表面に対する法線ベクトル(すなわち、垂直のベクトル)は、アブレーションターゲットに対して視野角を調節するために使用され得る。例えば、法線ベクトルは、x、y及びzデカルト座標を使用して三次元で確定され得る。法線ベクトルは、患者の中及び患者の周辺にあるセンサから受信したものと同じ、3D心臓マップを生成するのに使用された位置情報を使用する、カテーテルの先端周辺の心臓組織に関する詳細な位置情報を使用して判別され得る(例えば、図2A及び図2Bの説明を参照のこと)。
【0033】
図4は、アブレーションターゲット404周辺の表面406に対する法線ベクトル408の3D図形表現400を示す。アブレーションターゲット404は、カテーテルの先端が心組織402に接触する点である。アブレーションターゲット404周辺の表面406は、正確にアブレーションターゲット404で接触する二次元(2D)表面406(例えば、X-Y平面)である。次いで、法線ベクトル408は、アブレーションターゲット404の2D表面406に対して90°(すなわち、直角)の角度のベクトルであると判別され得る。下の工程308及び310に記載のとおり、法線ベクトル408を使用して、視野角を所望の視野角に調節することができる。本明細書には、法線ベクトル408が記載されているが、視野角を調節する目的で、任意の他の角度のベクトルを同様に使用できることに留意されたい。
【0034】
工程308では、現在のアブレーションターゲット周辺の表面に対する所望の視野角が判別され得る。例えば、医師は、視覚表示にアブレーション処置を表示するときに、アブレーション処置を実行する際のアブレーションターゲットの好ましい視野角を有し得る。この場合、好ましい視野角が操作者によって提供され得る又はシステムに入力され得る。例えば、図2Aを参照すると、医師(又はCAS)は、操作者インターフェース(複数可)218を使用して、視野角追跡ユニット206によって使用される、1つ又は2つ以上の視野角を処理装置(複数可)202に提供し得る。視野角は、例えば、ローカル記憶装置208のコンソールシステム201に記憶され得る。
【0035】
一例では、複数の視野角が、操作者によって提供され得、異なる解剖学的領域と関連付けられ得る。例えば、医師は、心臓の第1の室にあるときに第1の視野角を、心臓の第2の室にあるときに第2の視野角(第1の視野角とは異なる)を、というように所望し得る。例えば、左肺静脈(LPV)に対する自動表示方針は、右肺静脈(RPV)の場合と異なり得る。視野角の好みは、特定の医師に関連して(例えば、図2Aのローカル記憶装置208に)記憶され得、それによって、処置300は、それぞれカスタマイズされた好みの設定での、複数の操作者/医師による使用を支持し得る。
【0036】
好ましい視野角が不明である場合、デフォルトの視野角が使用され得る。例えば、視野角が、アブレーションターゲット周辺の表面に対して直角になるように、デフォルトの角度は直角であり得る。一例では、処置300は、デフォルト又は入力した視野角で始まり得、医師によって実行される処置中に、特定の医師に関連付けられた好ましい視野角(複数可)を適応又は学習し得る。例えば、システム(例えば、図2Aの視野角追跡ユニット206)が、アブレーションセッション中に医師の表示の好みを(例えば、マシン学習アプローチを使用して)学習し得るように、トレーニングセッションが実行され得る。学習された好みは、記録され、医師によって実行される将来のアブレーション処置に自動的に適用され得る。このように、システム(例えば、図2Aの視野角追跡ユニット206及び/又は処理装置(複数可)202)は、医師の好みを判別するため、医師によって実行されたいくつかの処置に対する「学習」モードになり得る。いったん記録されると、これらの異なる好みは、処置300の異なる部分で、必要に応じて実装され得る。この学習モードは、設定された数の処置後に停止することも、システムがより多くの処置に使用されるように継続的に更新することもできる。
【0037】
工程310では、心臓システムの3Dマップ内におけるアブレーションターゲットの表示は、アブレーションターゲット周辺の表面の表示の法線が、表示方向に対して所望の視野角になるように、自動的に調整され得る。このように、工程310では、工程302~308で収集された情報を使用して(例えば、図2Aの視野角追跡ユニット206によって)、表示のアラインメントを所望の視野角に調節することができ、そのようにして、視野角の調節は、視覚表示上に自動的に表示され得る。表示は、心臓の3Dマップを含み得るが、カテーテル及びケーブルなどの他のマップ及び物体も、すべて互いに相対的な位置及び向きで表示内に含み得る。このように、3D表示のアラインメントを所望の角度に調節することは、同じ相対的位置及び向きを維持しながら、3D表示内のすべてのマップ、表面、及び物体の視野角を調節することを含む。換言すれば、同じ座標系を共有する物体及びマップの場合、座標系が表示内で回転されると、すべての物体も同様に表示内で一緒に回転され、そのため、それらの相対的な位置及び向きが維持され得る。表示角度の調節及び回転はまた、処置中の物体の場所及び向きの移動又は変更を考慮に入れることができる。
【0038】
図5は、所望の視野角510への自動アラインメント工程310を用いた、法線ベクトル508の3D図形表現500を示す。心組織502上のアブレーションターゲット504の法線ベクトル508は、所望の視野角510にそろうように調節される。可視化は三次元であるため、法線ベクトル508は、所望の視野角510に対応するよう、x、y、及びz軸沿いの3D空間内で調節される。
【0039】
処置300は、アブレーション処置全体を通して、また、例えば、カテーテルが心構造内の経路沿いを移動するときに、異なるマッピング場所又はアブレーションターゲット場所に対して、繰り返され得る。更に、処置300は、任意の特定の医師用に処置300をカスタマイズし、その有効性を最適化するため、アブレーション処置の前、処置中、及び/又は処置の後に、視野角の好みなどの情報を操作者が入力できるようにすることにより、適応され得る。更に、工程302~310は、任意の順番で実行され得る。
【0040】
一例では、操作者は、アブレーションシステムを操作するときに、処置300を選択的に有効化及び/又は無効化して、医師が自動視野角追跡とCASによる手動視野角調節との間で切り替えられるようにすることができる。
【0041】
アブレーション処置中に表示される表示をCASが変更することが必要とされるシステムとは対照的に、処置300は、アブレーション中の視野角の自動追跡と、医師の好みに応じた視野角の自動及びリアルタイム調節と、を可能にする。自動処置300は、視野角調節への関与を必要とせず、アブレーション処置に対する改善された焦点を医師にもたらし得、CASを解放して他のタスクを実行できるようにし得る。
【0042】
図6A図6Gは、アブレーション線(図示せず)に沿って生成された例示の3D心臓像であり、心臓マッピング及びアブレーション処置中に様々な角度で、心房室内のカテーテルの相対的な位置及び向きを示す。図6A図6G中のカテーテルの経路は、心房室の前壁から始まり(図6A)、心房室の頂部に向かって移動し(図6B図6E)、心房室の後壁に向かって続いている(図6F及び図6G)。図6A図6Gのアブレーションの経路は、心房細動を治療するための肺静脈隔離(PVI)アブレーションを得るために使用され得る、例示の経路である。図6A図6Gは、心臓アブレーション中の視野角の自動追跡及び調節に関する処置(図3の処置300など)を使用して、カテーテル及び3D心臓像の視野角を、アブレーション操作を実行する医師の所望の視野角に調節し得る様子を示す。
【0043】
図6Aは、アブレーション線の経路に沿った、第1のアブレーション位置でのカテーテルの第1の表示を示す。図6Bは、アブレーション経路に沿った、第2のアブレーション位置でのカテーテルの第1の表示を示す。3D像の視野角は、図6A及び図6Bで同一であるが、図6Bに示されている第2のカテーテルアブレーション位置に対する視野角は最適ではない。図6Cは、本明細書に記載のとおり、心臓アブレーション中の視野角の自動追跡及び調節を使用して、第2の視野角が決定され得るように、第2のアブレーション位置の最適化又は改善された視野角である、アブレーション経路沿いの第2のアブレーション位置の第2の視野角を示す。上に説明したとおり、この最適化された視野角は、医師の好み、一部のデフォルト値、又は学習された視野角に基づき得る。
【0044】
図6D図6Gは、それぞれ、アブレーション線沿いの第3、第4、第5、及び第6のカテーテル位置を示しており、心臓アブレーション中の視野角の自動追跡及び調節を使用して得られ得る、それぞれ個別の位置に対するアブレーション領域及びターゲットの所望の視野角となっている。
【0045】
本明細書に記載の実施形態及び処置は、ハードウェア及び/又はソフトウェアに実装され得る。アブレーションを実行するためのコンピュータシステムは、本明細書に記載の処置を含む、付加的な機能を導入するソフトウェアモジュールを実行することができ得る。本明細書に記載の処置は、高度な心臓可視化と、心臓リズム障害を診断し、治療する医師の能力を強化するための診断能力を有効にし得る。本明細書に開示される処置は、心臓内のアブレーション処置に関して述べられているが、これらの処置は、身体の他の部分におけるアブレーションにも同様に使用され得る。
【0046】
〔実施の態様〕
(1) 心臓マッピング及びアブレーションを実行するためのシステムであって、
患者の心構造の三次元(3D)マップ及び前記心構造内のカテーテルの相対的場所を生成し、前記3Dマップ及び前記カテーテルの相対的場所を視覚表示装置に提供するように構成されている、処理装置と、
前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所を視覚的に表示するように構成されている、前記視覚表示装置であって、前記心構造の前記3Dマップが視野角で表示される、前記視覚表示装置と、
前記心構造内の前記カテーテルの先端の位置及び向きを検出するように構成されている、前記処理装置と、
前記カテーテルの前記先端に近い、前記心構造の前記3Dマップの表面を判別するように構成されている、前記処理装置であって、前記カテーテルの前記先端に近い、前記心構造の前記3Dマップの前記表面が、アブレーションターゲット又はマッピング場所である、前記処理装置と、
前記アブレーションターゲット又はマッピング場所の所望の視野角を判別するように構成されている、前記処理装置と、
前記所望の視野角に基づいて、前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所の前記視野角を自動的に調節し、前記調節された視野角を前記視覚表示装置に提供するように構成されている、前記処理装置と、
前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所の前記視野角を、前記調節された視野角に更新するように構成されている、前記視覚表示装置と、を含む、システム。
(2) 前記処理装置が、前記カテーテルの前記先端に近い、前記心構造の前記3Dマップの前記表面に対する法線ベクトルを判別するように、更に構成されており、前記処理装置が、前記心構造の前記3Dマップの前記表面に対する前記法線ベクトルを前記所望の視野角に調整することによって、前記心構造の前記3Dマップの前記視野角を調節するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記所望の視野角が、ローカル記憶装置に記憶されたデフォルトの視野角である、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記デフォルトの視野角が、垂直角度、又は前記垂直角度からの一定の事前に定義されたオフセットである、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記処理装置が、操作者から前記アブレーションターゲット又はマッピング場所の前記所望の視野角を受信し、前記所望の視野角をローカル記憶装置に記憶するように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0047】
(6) 前記処理装置が、前記心構造内の対応する複数の解剖学的領域に関連付けられた前記アブレーションターゲット又はマッピング場所の複数の所望の視野角を受信し、前記複数の所望の視野角をローカル記憶装置に記憶するように、更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記処理装置が、医師の表示の好みを学習するための一連のトレーニングセッションを実行することによって、前記アブレーションターゲット又はマッピング場所の前記所望の視野角を判別し、前記所望の視野角をローカル記憶装置に記憶するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記処理装置が、前記カテーテル内にある位置決めセンサから受信した位置情報を使用して、前記心構造内の前記カテーテルの前記先端の前記位置及び向きを検出するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記処理装置が、前記心構造内の前記カテーテルの前記先端の前記位置及び前記向きとして、連続的かつリアルタイムで前記所望の視野角に基づいて、前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所の前記視野角を調節するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記処理装置が、前記心構造の前記3Dマップの前記視野角の自動調節を有効又は無効にするため、操作者からの命令を受信するように、更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0048】
(11) 前記視覚表示装置が、前記心構造の複数のマップ及び互いに一定の相対的な位置及び向きを有する前記心構造内又はその周辺の複数の物体を視覚的に表示するように更に構成されており、前記心構造の前記複数のマップが、前記心構造の前記3Dマップを含み、前記心構造内又はその周辺の前記複数の物体が前記カテーテルを含み、
前記視覚表示装置が、前記互いに一定の相対的な位置及び向きを維持しながら、前記心構造の前記複数のマップ及び前記心構造内又はその周辺の前記複数の物体の前記視野角を、前記調節された視野角に更新するように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(12) 心臓マッピング及びアブレーション処置の一部として、視野角を自動的に追跡及び調節するための方法であって、
患者の心構造の三次元(3D)マップ及び前記心構造内のカテーテルの相対的場所を生成し、前記3Dマップ及び前記カテーテルの相対的場所を視覚表示装置に提供することと、
前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所を視覚的に表示することであって、前記心構造の前記3Dマップが視野角で表示される、ことと、
前記心構造内の前記カテーテルの先端の位置及び向きを検出することと、
前記カテーテルの前記先端に近い、前記心構造の前記3Dマップの表面を判別することであって、前記カテーテルの前記先端に近い、前記心構造の前記3Dマップの前記表面が、アブレーションターゲット又はマッピング場所である、ことと、
前記アブレーションターゲット又はマッピング場所の所望の視野角を判別することと、
前記所望の視野角に基づいて、前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所の前記視野角を自動的に調節し、前記調節された視野角を前記視覚表示装置に提供することと、
前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所の前記視野角を、前記調節された視野角に更新することと、を含む、方法。
(13) 前記カテーテルの前記先端に近い、前記心構造の前記3Dマップの前記表面に対する法線ベクトルを判別することを、更に含み、前記心構造の前記3Dマップの前記視野角を調節することが、前記心構造の前記3Dマップの前記表面に対する前記法線ベクトルを前記所望の視野角に調整することを含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記所望の視野角が、ローカル記憶装置に記憶されたデフォルトの視野角である、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記デフォルトの視野角が、垂直角度、又は前記垂直角度からの一定の事前に定義されたオフセットである、実施態様14に記載の方法。
【0049】
(16) 操作者から前記アブレーションターゲット又はマッピング場所の前記所望の視野角を受信して、前記所望の視野角をローカル記憶装置に記憶することを、更に含む、実施態様12に記載の方法。
(17) 前記心構造内の対応する複数の解剖学的領域に関連付けられた前記アブレーションターゲット又はマッピング場所の複数の所望の視野角を受信することと、前記複数の所望の視野角をローカル記憶装置に記憶することと、を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(18) 前記アブレーションターゲット又はマッピング場所の前記所望の視野角を判別することが、医師の表示の好みを学習するための一連のトレーニングセッションを実行することと、前記所望の視野角をローカル記憶装置に記憶することと、を含む、実施態様12に記載の方法。
(19) 前記心構造内の前記カテーテルの前記先端の前記位置及び向きを検出することが、前記カテーテル内にある位置決めセンサから受信した情報を使用する、実施態様12に記載の方法。
(20) 前記所望の視野角に基づいて、前記心構造の前記3Dマップ及び前記心構造内の前記カテーテルの前記相対的場所の前記視野角を調節することが、連続的かつリアルタイムで実行される、実施態様12に記載の方法。
【0050】
(21) 前記心構造の前記3Dマップの前記視野角の自動調節を有効又は無効にするため、操作者からの命令を受信することを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(22) 前記心構造の複数のマップ及び互いに一定の相対的な位置及び向きを有する前記心構造内又はその周辺の複数の物体を視覚的に表示することであって、前記心構造の前記複数のマップが、前記心構造の前記3Dマップを含み、前記心構造内又はその周辺の前記複数の物体が、前記カテーテルを含む、ことと、
前記互いに一定の相対的な位置及び向きを維持しながら、前記心構造の前記複数のマップ及び前記心構造内又はその周辺の前記複数の物体の前記視野角を、前記調節された視野角に更新することと、を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(23) 前記カテーテルが、複数の位置センサを含み、前記方法が、複数のアブレーションターゲット又はマッピング場所に対して実行される、実施態様12に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G