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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/04 20060101AFI20220627BHJP
   B60R 21/203 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
B62D1/04
B60R21/203
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018085828
(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公開番号】P2019189113
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】松尾 洋巳
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/042850(WO,A1)
【文献】特開2011-110941(JP,A)
【文献】特開2015-145173(JP,A)
【文献】実開昭57-157569(JP,U)
【文献】特開2016-064808(JP,A)
【文献】国際公開第2013/077215(WO,A1)
【文献】特開2016-199183(JP,A)
【文献】国際公開第2015/098224(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/04
B60R 21/203
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物の舵角を操作するステアリングホイールにおいて、
前記ステアリングホイールの骨格を形成する金属製の芯金と、
前記ステアリングホイールに配置されるエアバッグモジュールと、
前記芯金と前記エアバッグモジュールとの間に配置されたホーンスイッチと、を含み、
前記ホーンスイッチは、
前記芯金に形成された第一開口部に対して軸方向に摺動可能に接続される第一端部と、
前記エアバッグモジュールに形成された第二開口部に係止可能に配置される第二端部と、
を備えたガイドピンと、
前記ガイドピンの軸部に固定されたフランジ部を備えたストッパと、
前記第二端部と前記フランジ部とにより形成された空間に配置され前記第二開口部の内縁に係止されるダンパと、
前記フランジ部と前記芯金との間に配置されるホーンスプリングと、
前記芯金に配置された固定側接点と、
前記エアバッグモジュールに配置された可動側接点と、
前記第一開口部に配置された略円筒形状のガイドスリーブと、を含み、
前記ガイドスリーブは、前記ガイドピンが挿入される軸部と、該軸部の上端と下端の間に形成された拡径部と、を備え、前記軸部の下端を前記第一開口部に挿入して前記拡径部を前記芯金の表面に密着させたときに前記軸部の上端が前記芯金の表面に対して垂直に延びるように構成されている、
ことを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
前記ストッパは、前記フランジ部の前記ダンパとの接触面に形成された複数の突起を有する、請求項1に記載のステアリングホイール。
【請求項3】
前記ガイドピンは、前記フランジ部の内縁と係止可能な溝を有し、前記ストッパは、前記フランジ部の下面から前記ガイドピンの軸方向に沿って延設された円筒部を有する、請求項1に記載のステアリングホイール。
【請求項4】
前記ストッパは、前記フランジ部及び前記円筒部を周方向に複数に分割する切欠部を有する、請求項3に記載のステアリングホイール。
【請求項5】
前記ストッパは、前記フランジ部及び前記円筒部を周方向に複数に分割した分割片によって構成されている、請求項3に記載のステアリングホイール。
【請求項6】
前記ホーンスイッチは、前記第二開口部と前記ダンパとの間に配置されたプロテクタを有する、請求項1に記載のステアリングホイール。
【請求項8】
前記ガイドピンは、前記芯金に配置されたバネ部材の一部を収容可能な縮径部を備え、該縮径部は、前記ガイドピンの摺動距離よりも長い軸方向長さを有している、請求項1に記載のステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイールに関し、特に、ホーンスイッチを備えたステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の乗物の舵角を操作するステアリングホイールは、一般に、ステアリングホイールの骨格を形成する芯金と、ステアリングホイールの中央部に配置されるエアバッグモジュールと、前記芯金と前記エアバッグモジュールとの間に配置されたホーンスイッチと、を備えている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
例えば、特許文献1には、芯金に固定されたホルダ(固定側ホーンプレート)と、エアバッグモジュールに固定されたブラケット(可動側ホーンプレート)とを備え、前記ホルダにガイド軸を固定し、前記ブラケットを前記ガイド軸に沿って移動可能に配置したホーンスイッチが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、芯金に固定された固定ピンと、エアバッグモジュールに固定されたキャップ部材とを備え、前記エアバッグモジュールを前記固定ピンに沿って移動可能に配置して、前記固定ピンに固定側接点を配置し、前記キャップ部材に可動側接点を配置したホーンスイッチが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-202859号公報
【文献】特開2010-69934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ステアリングホイールの中央部にはエアバッグモジュールが配置されることから、ホーンスイッチに利用できる空間は非常に狭い。しかしながら、特許文献1に記載された発明では、固定側及び可動側の両方にホーンプレートを使用していることから、ホーンプレートを配置する空間を確保しなければならない。
【0007】
また、特許文献1及び特許文献2に記載された発明では、芯金側にエアバッグモジュールの移動を案内するガイドピン(ガイド軸又は固定ピン)を固定し、このガイドピンに沿ってエアバッグモジュールを摺動させるようにしている。したがって、ホーン作動時には、エアバッグモジュールが芯金側に向って押し下げられ、それに伴ってガイドピンの先端がエアバッグモジュール側に突出することとなる。
【0008】
ホーン作動時にガイドピンとエアバッグモジュールとが干渉した場合には、ホーンを鳴らすために大きな力を必要とする、ホーンスイッチに配置されたダンパの制振効果が低下する等の問題が生じる。したがって、特許文献1及び特許文献2に記載された発明では、ガイドピンの先端がエアバッグモジュール側に干渉せずに突出可能な空間を確保しなければならない。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、ホーンスイッチの省スペース化を図ることができるステアリングホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、乗物の舵角を操作するステアリングホイールにおいて、前記ステアリングホイールの骨格を形成する金属製の芯金と、前記ステアリングホイールに配置されるエアバッグモジュールと、前記芯金と前記エアバッグモジュールとの間に配置されたホーンスイッチと、を含み、前記ホーンスイッチは、前記芯金に形成された第一開口部に対して軸方向に摺動可能に接続される第一端部と、前記エアバッグモジュールに形成された第二開口部に係止可能に配置される第二端部と、を備えたガイドピンと、前記ガイドピンの軸部に固定されたフランジ部を備えたストッパと、前記第二端部と前記フランジ部とにより形成された空間に配置され前記第二開口部の内縁に係止されるダンパと、前記フランジ部と前記芯金との間に配置されるホーンスプリングと、前記芯金に配置された固定側接点と、前記エアバッグモジュールに配置された可動側接点と、前記第一開口部に配置された略円筒形状のガイドスリーブと、を含み、前記ガイドスリーブは、前記ガイドピンが挿入される軸部と、該軸部の上端と下端の間に形成された拡径部と、を備え、前記軸部の下端を前記第一開口部に挿入して前記拡径部を前記芯金の表面に密着させたときに前記軸部の上端が前記芯金の表面に対して垂直に延びるように構成されている、ことを特徴とするステアリングホイールが提供される。
【0011】
前記ストッパは、前記フランジ部の前記ダンパとの接触面に形成された複数の突起を有していてもよい。
【0012】
前記ガイドピンは、前記フランジ部の内縁と係止可能な溝を有し、前記ストッパは、前記フランジ部の下面から前記ガイドピンの軸方向に沿って延設された円筒部を有していてもよい。
【0013】
前記ストッパは、前記フランジ部及び前記円筒部を周方向に複数に分割する切欠部を有していてもよい。また、前記ストッパは、前記フランジ部及び前記円筒部を周方向に複数に分割した分割片によって構成されていてもよい。
【0015】
前記ホーンスイッチは、前記第二開口部と前記ダンパとの間に配置されたプロテクタを有していてもよい。また、前記プロテクタは、前記ダンパとの接触面に形成された複数の突起を有していてもよい。
【0016】
また、前記ガイドピンは、前記芯金に配置されたバネ部材の一部を収容可能な縮径部を備え、該縮径部は、前記ガイドピンの摺動距離よりも長い軸方向長さを有していてもよい。
【発明の効果】
【0017】
上述した本発明に係るステアリングホイールによれば、ガイドピンをエアバッグモジュールに係止させるとともに芯金に摺動可能に配置したことにより、可動側及び固定側のホーンプレートを省略することができるとともに、ホーンスイッチの作動時にガイドピンがエアバッグモジュール側に突出することがなく、これらの空間を確保する必要がない。
【0018】
また、ガイドピンの軸部にストッパを配置したことにより、エアバッグモジュールを押し込んだときの荷重をストッパによりホーンスプリングに確実に伝達することができる。また、エアバッグモジュールとガイドピンとをダンパを介して係止させたことにより、ダンパによってエアバッグモジュールの振動周波数を調整することができる。
【0019】
したがって、本発明によれば、ホーンスイッチの機能を損なうことなく、ホーンスイッチの省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第一実施形態に係るステアリングホイールを示す図であり、(A)はエアバッグモジュール、(B)はステアリングホイール本体、である。
図2図1に示したホーンスイッチの部品展開図である。
図3図1に示したホーンスイッチの断面図であり、(A)は通常状態、(B)はホーン作動状態、を示している。
図4】ストッパの変形例を示す図であり、(A)は第一変形例、(B)は第二変形例、である。
図5】本発明の第二実施形態に係るステアリングホイールを示す図であり、(A)はエアバッグモジュール、(B)はステアリングホイール本体、である。
図6図5に示したホーンスイッチの部品展開図である。
図7図5に示したホーンスイッチの断面図であり、(A)は通常状態、(B)はホーン作動状態、を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図1(A)~図7(B)を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の第一実施形態に係るステアリングホイールを示す図であり、(A)はエアバッグモジュール、(B)はステアリングホイール本体、である。図2は、図1に示したホーンスイッチの部品展開図である。図3は、図1に示したホーンスイッチの断面図であり、(A)は通常状態、(B)はホーン作動状態、を示している。
【0022】
本発明の第一実施形態に係るステアリングホイール1は、図1(A)~図3(A)に示したように、ステアリングホイール1の骨格を形成する芯金2と、ステアリングホイール1に配置されるエアバッグモジュール3と、芯金2とエアバッグモジュール3との間に配置されたホーンスイッチ4と、を含み、ホーンスイッチ4は、芯金2に形成された第一開口部211に対して軸方向に摺動可能に接続される第一端部411と、エアバッグモジュール3に形成された第二開口部322に係止可能に配置される第二端部412と、を備えたガイドピン41と、ガイドピン41の軸部に固定されたフランジ部421を備えたストッパ42と、第二端部412とフランジ部421とにより形成された空間に配置され第二開口部322の内縁に係止されるダンパ43と、第二開口部322とダンパ43との間に配置されたプロテクタ44と、フランジ部421と芯金2との間に配置されるホーンスプリング45と、芯金2に配置された固定側接点46と、エアバッグモジュール3に配置された可動側接点47と、を備えている。
【0023】
ステアリングホイール1は、例えば、自動車等の乗物の運転席に配置され、車輪の舵角を操作する部品である。図1(B)に示したように、エアバッグモジュール3を配置する前の状態であるステアリングホイール本体11は、金属製の芯金2の外周に樹脂をモールドすることによって所望の形状に形成される。ステアリングホイール本体11の中心部には、エアバッグモジュール3を芯金2に装着するための開口部12が形成されている。
【0024】
また、芯金2は、エアバッグモジュール3を装着可能な複数の台座21を備えている。台座21は、ホーンスイッチ4のガイドピン41に対応する位置(ここでは、時計の短針の位置で表示すると、2時、6時、10時の三箇所)に配置されている。台座21は、ガイドピン41の第一端部411を挿通可能な第一開口部211と、第一開口部211の下方に配置されたバネ部材212と、頂点に固定側接点46が配置される凸部213と、を備えている。
【0025】
バネ部材212は、例えば、ワイヤを屈曲させて二つの直線部を形成した屈曲バネである。屈曲部及び直線部の先端を拘束することにより、直線部の中間部を水平方向に弾性変形させることができる。図1(B)及び図3(A)に示したように、バネ部材212を構成する二つの直線部は、第一開口部211に掛け渡されるように配置される。かかる構成により、ガイドピン41の先端を挿入可能なスナップ・イン構造が形成される。
【0026】
エアバッグモジュール3は、例えば、緊急時に膨張展開されるエアバッグ(図示せず)と、エアバッグにガスを供給するインフレータ31と、エアバッグ及びインフレータ31を支持するリテーナ32と、リテーナ32の上部を覆うモジュールカバー33と、を備えている。なお、インフレータ31、リテーナ32及びモジュールカバー33の構成については、従来から使用されている公知の構成を任意に適用することができ、図示した形状に限定されるものではない。
【0027】
図2及び図3(A)に示したように、リテーナ32の底面部にはホーンスイッチ4の一部を収容する凹部321が形成されており、その底部に第二開口部322が形成されている。また、図3(A)に示したように、リテーナ32の底面部における凹部321の近傍には、固定側接点46と対峙する位置に可動側接点47が配置されている。また、図2に示したように、第二開口部322には、プロテクタ44を係止するための切欠部323やノッチ324が形成されていてもよい。
【0028】
ガイドピン41は、図2に示したように、第一端部411側に縮径部413が形成されており、矢尻形状又はフック形状を有している。この縮径部413は、図3(A)に示したように、芯金2に配置されたバネ部材212の直線部を収容可能に構成されている。かかる縮径部413は、バネ部材212を収容した状態で摺動することができるように、ガイドピン41の摺動距離よりも長い軸方向長さαを有している。
【0029】
また、ガイドピン41は、図2に示したように、第二端部412側に拡径部414が形成されている。また、ガイドピン41は、縮径部413と拡径部414との間の軸部415に形成された環状の溝416を備えている。溝416は、ストッパ42のフランジ部421の内縁421eと係止可能に構成されている。また、ガイドピン41は、軽量化のための肉抜穴417を有していてもよい。
【0030】
リテーナ32の第二開口部322には、図3(A)に示したように、プロテクタ44が配置される。プロテクタ44は、第二開口部322の上面に配置される拡径部441と、第二開口部322の内縁に沿って配置される胴部442と、第二開口部322の上面に配置される爪部443と、第二開口部322のノッチ324に係止する凸部444と、を備えた環状の部品である。
【0031】
プロテクタ44は、爪部443を第二開口部322に形成された切欠部323に挿入した後、回転させることによって爪部443と拡径部441とにより第二開口部322の内縁を挟み込むことによって第二開口部322に固定される。このとき、凸部444をノッチ324に係止させることによって、プロテクタ44の位置決めを行うことができ、使用時におけるプロテクタ44の意図しない回転を抑制することができる。
【0032】
プロテクタ44は、ダンパ43との接触面に形成された複数の突起445を有していてもよい。かかる突起445を形成することにより、エアバッグモジュール3の振動周波数を調整することができる。なお、突起445は、図示した形状及び配置に限定されるものではない。
【0033】
このプロテクタ44の内側にはゴム製のダンパ43が配置される。ダンパ43は、例えば、図2及び図3(A)に示したように、両端部に拡径部431,432を備えた略円筒形状を有している。プロテクタ44を介して第二開口部322にダンパ43を配置することにより、第二開口部322との接触によるダンパ43の損耗を低減することができる。ダンパ43の中心部にはガイドピン41が挿入される。
【0034】
また、ダンパ43の上側の拡径部431は、その裏面にプロテクタ44の拡径部441に形成された突起445が接触するように構成されている。また、ダンパ43の下側の拡径部432は、その表面にストッパ42のフランジ部421に形成された突起425が接触するように構成されている。
【0035】
ストッパ42は、例えば、図2及び図3(A)に示したように、フランジ部421と、フランジ部421の下面からガイドピン41の軸方向に沿って延設された円筒部422と、フランジ部421及び円筒部422を周方向に複数に分割する切欠部423と、を有している。
【0036】
フランジ部421の内縁421eは、円筒部422よりも内側に突出しており、ガイドピン41の溝416に挿入可能に構成されている。フランジ部421の外縁には、外周に沿って部分的に形成された複数の凸部424が形成されていてもよい。かかる凸部424は、ステアリングホイール1の組み付け時に、ホーンスプリング45を仮保持する機能を有している。
【0037】
また、フランジ部421のダンパ43との接触面(図の上面)には複数の突起425が形成されていてもよい。かかる突起425を形成することにより、エアバッグモジュール3の振動周波数を調整することができる。なお、突起425は、図示した形状及び配置に限定されるものではない。
【0038】
図2に示したように、ストッパ42に切欠部423を形成することにより、フランジ部421側を径方向に広げることができる。したがって、フランジ部421の内縁421eをガイドピン41の軸部415の直径よりも大きく広げた状態でガイドピン41を円筒部422に挿通した後、フランジ部421を窄めることによって溝416にフランジ部421の内縁421eを挿入することができる。
【0039】
また、図3(A)に示したように、ホーンスイッチ4の組み付け時に、円筒部422を芯金2に形成された第一開口部211に挿入することによって、フランジ部421の径が広がらないように保持することができる。したがって、かかるストッパ42を用いることにより、フランジ部421の内縁421eが溝416に収容された状態を保持することができる。
【0040】
また、図3(A)に示したように、ガイドピン41の拡径部414とガイドピン41に嵌め込まれたフランジ部421との間に形成された空間には、ダンパ43及びプロテクタ44が配置される。かかる構成により、ガイドピン41をストッパ42、ダンパ43及びプロテクタ44を介してリテーナ32の第二開口部322に係止させることができ、ガイドピン41とリテーナ32とを一体化することができる。
【0041】
そして、図3(A)に示したように、芯金2(台座21)とフランジ部421との間に形成された空間にはホーンスプリング45が配置される。かかるホーンスプリング45を配置することによって、フランジ部421を上方に持ち上げるように付勢することができる。
【0042】
フランジ部421は、ガイドピン41を介してリテーナ32と一体化されていることから、ホーンスプリング45の復原力によってリテーナ32を芯金2から離反させる方向に付勢することができる。したがって、図3(A)に示したように、ホーンスイッチ4を組み付けた状態で、可動側接点47を固定側接点46から離反させた状態に保持することができる。
【0043】
図3(A)に示した状態で、エアバッグモジュール3を下方に押し込むと、リテーナ32が下方に移動するとともに、ガイドピン41及びストッパ42は第一開口部211に沿って下方に摺動し、ストッパ42のフランジ部421がホーンスプリング45を収縮させる。
【0044】
そして、図3(B)に示したように、可動側接点47が固定側接点46に接触することによってホーンスイッチ4が作動する。エアバッグモジュール3から手を離すと、ホーンスプリング45の復原力によってエアバッグモジュール3は上方に持ち上げられ、可動側接点47は固定側接点46から離れることとなる。
【0045】
上述した本実施形態に係るステアリングホイール1によれば、ガイドピン41をエアバッグモジュール3(リテーナ32)に係止させるとともに芯金2に摺動可能に配置したことにより、可動側及び固定側のホーンプレートを省略することができるとともに、ホーンスイッチ4の作動時にガイドピン41がエアバッグモジュール3側に突出することがなく、これらの空間を確保する必要がない。
【0046】
また、ガイドピン41の軸部にストッパ42を配置したことにより、エアバッグモジュール3を押し込んだときの荷重をストッパ42によりホーンスプリング45に確実に伝達することができる。また、エアバッグモジュール3とガイドピン41との間にダンパ43を配置したことにより、ダンパ43によってエアバッグモジュール3の振動周波数を調整することができる。
【0047】
ここで、図4は、ストッパの変形例を示す図であり、(A)は第一変形例、(B)は第二変形例、である。なお、図2に示したストッパ42と同じ構成部品については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0048】
図4(A)に示した第一変形例は、ストッパ42をフランジ部421及び円筒部422を周方向に複数に分割した分割片42a~42cによって構成してものである。このように、ストッパ42を分割片42a~42cによって構成した場合であっても、フランジ部421の内縁421eをガイドピン41の溝416に挿入した状態で、円筒部422を第一開口部211に挿入することにより、ストッパ42をガイドピン41に固定することができる。
【0049】
図4(B)に示した第二変形例は、ストッパ42をフランジ部421のみで構成したものである。例えば、第一変形例のストッパ42の円筒部422を省略することにより、第二変形例に示したストッパ42を形成することができる。例えば、フランジ部421をガイドピン41の溝416に圧入したり、接着剤や留め具で固定したりすることによって、円筒部422を省略することができる。また、図示しないが、フランジ部421をリング形状に形成し、ガイドピン41の軸部415の外表面に形成された螺旋溝に螺合させるようにしてもよい。
【0050】
次に、本発明の第二実施形態に係るステアリングホイール1について、図5(A)~図7(B)を参照しつつ説明する。ここで、図5は、本発明の第二実施形態に係るステアリングホイールを示す図であり、(A)はエアバッグモジュール、(B)はステアリングホイール本体、である。図6は、図5に示したホーンスイッチの部品展開図である。図7は、図5に示したホーンスイッチの断面図であり、(A)は通常状態、(B)はホーン作動状態、を示している。なお、上述した第一実施形態に係るステアリングホイール1と同じ構成部品については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0051】
第二実施形態に係るステアリングホイール1は、芯金2の台座21に配置されたバネ部材212の構成が異なるものである。第二実施形態におけるバネ部材212は、例えば、図5(B)に示したように、J字形状に屈曲させた屈曲バネである。かかる屈曲バネの両端部を拘束することによって長い直線部を水平方向に弾性変形させることができる。
【0052】
かかるバネ部材212を使用した場合、図7(A)に示したように、ガイドピン41の縮径部413には、一本のバネ部材212のみが収容されることから、ガイドピン41が片持ち支持構造となる。かかる片持ち支持構造の場合、ガイドピン41が芯金2に対して傾倒してしまう可能性がある。
【0053】
そこで、本実施形態に係るホーンスイッチ4は、第一開口部211に配置された略円筒形状のガイドスリーブ48を備えている。ガイドスリーブ48は、例えば、図6に示したように、下端が第一開口部211に挿入される軸部481と、軸部481に形成された拡径部482と、拡径部482から上端に渡って形成されたキー483と、ストッパ42の切欠部423に挿入可能な突起484と、を備えている。また、ストッパ42は、キー483に挿通されるキー溝426を有している。
【0054】
かかる構成により、ガイドスリーブ48のキー483にストッパ42のキー溝426を挿入し、ガイドスリーブ48の突起484をストッパ42の切欠部423に挿入させることによって、ガイドスリーブ48に対してストッパ42を軸方向に摺動可能に連結することができる。突起484は、ストッパ42の抜け止めとして機能する。
【0055】
そして、図7(A)に示したように、ガイドスリーブ48の下端を芯金2の第一開口部211に挿入し、拡径部482を芯金2(台座21)の表面に密着させた状態にすることにより、第一開口部211に対してガイドスリーブ48を鉛直に配置することができる。したがって、ガイドピン41が片持ち支持構造の場合であっても、ガイドスリーブ48によってガイドピン41の傾倒を抑制することができる。
【0056】
本発明は上述した実施形態に限定されず、例えば、第二実施形態に示したストッパ42において、図4(A)に示したような分割片によって構成してもよいし、図4(B)に示したようなフランジ部のみによって構成してもよい等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
1 ステアリングホイール
2 芯金
3 エアバッグモジュール
4 ホーンスイッチ
11 ステアリングホイール本体
12 開口部
21 台座
31 インフレータ
32 リテーナ
33 モジュールカバー
41 ガイドピン
42 ストッパ
42a~42c 分割片
43 ダンパ
44 プロテクタ
45 ホーンスプリング
46 固定側接点
47 可動側接点
48 ガイドスリーブ
211 第一開口部
212 バネ部材
213 凸部
321 凹部
322 第二開口部
323 切欠部
324 ノッチ
411 第一端部
412 第二端部
413 縮径部
414 拡径部
415 軸部
416 溝
417 肉抜穴
421 フランジ部
421e 内縁
422 円筒部
423 切欠部
424 凸部
425 突起
426 キー溝
441 拡径部
442 胴部
443 爪部
444 凸部
445 突起
481 軸部
482 拡径部
483 キー
484 突起

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7