(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】作業車両の制御システム、方法、及び作業車両
(51)【国際特許分類】
E02F 3/85 20060101AFI20220627BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20220627BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
E02F3/85 D
G05D1/02 H
E02F9/20 D
(21)【出願番号】P 2018112221
(22)【出願日】2018-06-12
【審査請求日】2021-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼岡 志尚
(72)【発明者】
【氏名】久禮 一樹
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/084030(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/021347(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/104407(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/85
G05D 1/02
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機を有する作業車両の制御システムであって、
コントローラを備え、
前記コントローラは、
ワークサイトにおいて作業区間を決定し、
少なくとも一部が前記ワークサイトの現況地形よりも下方に位置する目標設計地形を決定し、
前記作業区間において、前記現況地形が前記目標設計地形よりも下方に位置する部分である非作業区間を特定し、
前記非作業区間に基づいて前記作業区間を修正し、
修正された作業区間と前記目標設計地形とに従って前記作業機を動作させる指令信号を生成する、
作業車両の制御システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記非作業区間の距離である非作業距離に基いて、前記作業区間を修正する、
請求項1に記載の作業車両の制御システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記作業区間において前記現況地形が前記目標設計地形よりも下方に位置する部分を複数含むときには、前記複数の部分の総距離を前記非作業距離として算出する、
請求項2に記載の作業車両の制御システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記非作業距離に応じて前記作業区間を拡大する、
請求項2に記載の作業車両の制御システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記非作業距離が所定の閾値より小さいときには、修正せずに前記作業区間と前記目標設計地形とに従って前記作業機を動作させる指令信号を生成する、
請求項2に記載の作業車両の制御システム。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記作業区間の開始位置を決定し、
前記非作業距離に基づいて前記開始位置を修正する、
請求項2に記載の作業車両の制御システム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記非作業距離が所定の閾値以上であるときには、前記作業車両の進行方向において前記開始位置を後方に変更する、
請求項6に記載の作業車両の制御システム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記非作業距離が所定の閾値以上であるときには、前記作業車両の進行方向において前記開始位置を後方に、前記非作業距離に応じた距離、変更する、
請求項7に記載の作業車両の制御システム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記非作業距離が所定の閾値以上であるときには、前記作業車両の進行方向において前記開始位置を後方に、所定距離、変更する、
請求項7に記載の作業車両の制御システム。
【請求項10】
前記コントローラは、
前記作業区間の終了位置と仮の区間距離を決定し、
前記非作業距離が所定の閾値より小さいときには、前記仮の区間距離から本区間距離を決定し、
前記非作業距離が前記閾値以上であるときには、前記仮の区間距離を拡大し、拡大された仮の区間距離から前記本区間距離を決定し、
前記本区間距離と前記終了位置とから、前記作業区間の開始位置を決定する、
請求項2に記載の作業車両の制御システム。
【請求項11】
作業機を有する作業車両を制御するためにコントローラによって実行される処理であって、
ワークサイトにおいて作業区間を決定することと、
少なくとも一部が前記ワークサイトの現況地形よりも下方に位置する目標設計地形を決定することと、
前記作業区間において、前記現況地形が前記目標設計地形よりも下方に位置する部分である非作業区間を特定することと、
前記非作業区間に基づいて前記作業区間を修正することと、
修正された作業区間と前記目標設計地形とに従って前記作業機を動作させる指令信号を生成すること、
を備える方法。
【請求項12】
前記作業区間を修正することは、前記非作業区間の距離である非作業距離に基づいて、前記作業区間を修正することを含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記非作業距離を算出することは、前記作業区間において前記現況地形が前記目標設計地形よりも下方に位置する部分を複数含むときに、前記複数の部分の総距離を前記非作業距離として算出することを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記作業区間を修正することは、前記非作業距離に応じて前記作業区間を拡大することを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記指令信号を生成することは、前記非作業距離が所定の閾値より小さいときに、修正せずに前記作業区間と前記目標設計地形とに従って前記作業機を動作させる指令信号を生成することを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記作業区間の開始位置を決定することをさらに備え、
前記作業区間を修正することは、前記非作業距離に基づいて前記開始位置を修正することを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記作業区間を修正することは、前記非作業距離が所定の閾値以上であるときに、前記作業車両の進行方向において前記開始位置を後方に変更することを含む、
請求項16に記載の作業車両の制御システム。
【請求項18】
前記作業区間の終了位置と仮の区間距離を決定することと、
前記非作業距離が所定の閾値より小さいときには、前記仮の区間距離から本区間距離を決定することと、
前記非作業距離が前記閾値以上であるときには、前記仮の区間距離を拡大し、拡大された仮の区間距離から前記本区間距離を決定することと、
をさらに備え、
前記作業区間を修正することは、前記本区間距離と前記終了位置とから、前記作業区間の開始位置を決定することを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項19】
作業機と、
前記作業機を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
ワークサイトにおいて作業区間を決定し、
少なくとも一部が前記ワークサイトの現況地形よりも下方に位置する目標設計地形を決定し、
前記作業区間において、前記現況地形が前記目標設計地形よりも下方に位置する部分である非作業区間を特定し、
前記非作業区間に基づいて前記作業区間を修正し、
修正された作業区間と前記目標設計地形とに従って前記作業機を動作させる指令信号を生成する、
作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両の制御システム、方法、及び作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブルドーザ、或いはグレーダ等の作業車両において、作業車両を自動的に制御するシステムが提案されている。例えば、特許文献1のシステムでは、コントローラが、ワークサイトでの作業機の動くべき目標プロファイルをワークサイトの地形などから予め決定する。コントローラは、目標プロファイルに沿って複数の作業区間に分けて掘削するよう複数のカットロケーションを決定する。コントローラは、決定したカットロケーションから掘削を開始し、目標プロファイルに沿って作業機を動作させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワークサイトの現況地形は必ずしも滑らかな形状であるとは限らず、凹凸を含む場合がある。ある作業区間の現況地形に目標プロファイルよりも深い凹みがあるときには、当該作業区間で作業機が掘削する土量が少なくなる。その結果、掘削の回数、或いは距離が増え、作業効率が低下してしまう。
【0005】
本発明の目的は、作業車両の自動制御において、凹凸のある地形に対して作業を行う場合であっても作業効率の低下を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、作業機を有する作業車両の制御システムであって、コントローラを備える。コントローラは、以下の処理を実行するようにプログラムされている。コントローラは、ワークサイトにおいて作業区間を決定する。コントローラは、少なくとも一部がワークサイトの現況地形よりも下方に位置する目標設計地形を決定する。コントローラは、非作業区間を特定する。非作業区間は、作業区間において、現況地形が目標設計地形よりも下方に位置する部分である。コントローラは、非作業区間に基づいて作業区間を修正する。コントローラは、修正された作業区間と目標設計地形とに従って作業機を動作させる指令信号を生成する。
【0007】
第2の態様は、作業機を有する作業車両を制御するためにコントローラによって実行される方法であって、以下の処理を備える。第1の処理は、ワークサイトにおいて作業区間を決定することである。第2の処理は、少なくとも一部がワークサイトの現況地形よりも下方に位置する目標設計地形を決定することである。第3の処理は、非作業区間を特定することである。非作業区間は、作業区間において、現況地形が目標設計地形よりも下方に位置する部分である。第4の処理は、非作業区間に基づいて作業区間を修正することである。第5の処理は、修正された作業区間と目標設計地形とに従って作業機を動作させる指令信号を生成することである。
【0008】
第3の態様は、作業車両であって、作業機と、作業機を制御するコントローラとを備える。コントローラは、以下の処理を実行するようにプログラムされている。コントローラは、ワークサイトにおいて作業区間を決定する。コントローラは、少なくとも一部がワークサイトの現況地形よりも下方に位置する目標設計地形を決定する。コントローラは、非作業区間を特定する。非作業区間は、作業区間において、現況地形が目標設計地形よりも下方に位置する部分である。コントローラは、非作業区間に基づいて作業区間を修正する。コントローラは、修正された作業区間と目標設計地形とに従って作業機を動作させる指令信号を生成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、非作業区間に基づいて、作業区間が修正される。非作業区間は、現況地形が目標設計地形よりも下方に位置する部分である。従って、凹みのある部分の広さに応じて、非作業区間が決定される。そのため、現況地形において凹みのある部分の広さに応じて、作業区間を決定することができる。それにより、凹凸のある地形に対して作業を行う場合であっても作業効率の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る作業車両を示す側面図である。
【
図2】作業車両の駆動系と制御システムとの構成を示すブロック図である。
【
図4】作業車両の自動制御の処理を示すフローチャートである。
【
図5】最終設計地形、現況地形、及び目標設計地形の一例を示す図である。
【
図6】複数の作業区間、及び、作業区間の開始位置の一例を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係る作業区間を決定するための処理を示すフローチャートである。
【
図10】作業区間の決定方法の一例を示す図である。
【
図11】制御システムの第1変形例に係る構成を示すブロック図である。
【
図12】制御システムの第2変形例に係る構成を示すブロック図である。
【
図13】変形例に係る作業区間の決定方法の一例を示す図である。
【
図14】第2実施形態に係る作業区間を決定するための処理を示すフローチャートである。
【
図15】第2実施形態に係る作業区間の決定方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る作業車両について、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係る作業車両1を示す側面図である。本実施形態に係る作業車両1は、ブルドーザである。作業車両1は、車体11と、走行装置12と、作業機13と、を備えている。
【0012】
車体11は、運転室14とエンジン室15とを有する。運転室14には、図示しない運転席が配置されている。エンジン室15は、運転室14の前方に配置されている。走行装置12は、車体11の下部に取り付けられている。走行装置12は、左右一対の履帯16を有している。なお、
図1では、左側の履帯16のみが図示されている。履帯16が回転することによって、作業車両1が走行する。
【0013】
作業機13は、車体11に取り付けられている。作業機13は、リフトフレーム17と、ブレード18と、リフトシリンダ19と、を有する。リフトフレーム17は、車幅方向に延びる軸線Xを中心として上下に動作可能に車体11に取り付けられている。リフトフレーム17は、ブレード18を支持している。
【0014】
ブレード18は、車体11の前方に配置されている。ブレード18は、リフトフレーム17の上下動に伴って上下に移動する。リフトフレーム17は、走行装置12に取り付けられてもよい。リフトシリンダ19は、車体11とリフトフレーム17とに連結されている。リフトシリンダ19が伸縮することによって、リフトフレーム17は、軸線Xを中心として上下に回転する。
【0015】
図2は、作業車両1の駆動系2と制御システム3との構成を示すブロック図である。
図2に示すように、駆動系2は、エンジン22と、油圧ポンプ23と、動力伝達装置24と、を備えている。
【0016】
油圧ポンプ23は、エンジン22によって駆動され、作動油を吐出する。油圧ポンプ23から吐出された作動油は、リフトシリンダ19に供給される。なお、
図2では、1つの油圧ポンプ23が図示されているが、複数の油圧ポンプが設けられてもよい。
【0017】
動力伝達装置24は、エンジン22の駆動力を走行装置12に伝達する。動力伝達装置24は、例えば、HST(Hydro Static Transmission)であってもよい。或いは、動力伝達装置24は、例えば、トルクコンバーター、或いは複数の変速ギアを有するトランスミッションであってもよい。
【0018】
制御システム3は、入力装置25と、コントローラ26と、記憶装置28と、制御弁27とを備える。入力装置25は、運転室14に配置されている。入力装置25は、後述する作業車両1の自動制御の設定を行うための装置である。入力装置25は、オペレータによる操作を受け付け、操作に応じた操作信号を出力する。入力装置25の操作信号は、コントローラ26に出力される。
【0019】
入力装置25は、例えば、タッチパネル式のディスプレイを含む。ただし、入力装置25は、タッチパネルに限らず、ハードウェアキーを含んでもよい。入力装置25は、作業車両1から離れた場所(例えば、コントロールセンタ)に配置されてもよい。オペレータは、コントロールセンタにある入力装置25から無線通信を介して作業車両1を操作してもよい。
【0020】
コントローラ26は、取得したデータに基づいて作業車両1を制御するようにプログラムされている。コントローラ26は、例えばCPU等の処理装置(プロセッサ)を含む。コントローラ26は、入力装置25から操作信号を取得する。なお、コントローラ26は、一体に限らず、複数のコントローラに分かれていてもよい。コントローラ26は、走行装置12、或いは動力伝達装置24を制御することで、作業車両1を走行させる。コントローラ26は、制御弁27を制御することで、ブレード18を上下に移動させる。
【0021】
制御弁27は、比例制御弁であり、コントローラ26からの指令信号によって制御される。制御弁27は、リフトシリンダ19などの油圧アクチュエータと、油圧ポンプ23との間に配置される。制御弁27は、油圧ポンプ23からリフトシリンダ19に供給される作動油の流量を制御する。コントローラ26は、ブレード18が動作するように、制御弁27への指令信号を生成する。これにより、リフトシリンダ19が制御される。なお、制御弁27は、圧力比例制御弁であってもよい。或いは、制御弁27は、電磁比例制御弁であってもよい。
【0022】
制御システム3は、作業機センサ29を備える。作業機センサ29は、作業機13の位置を検出し、作業機13の位置を示す作業機位置信号を出力する。作業機センサ29は、作業機13の変位を検出する変位センサであってもよい。詳細には、作業機センサ29は、リフトシリンダ19のストローク長さ(以下、「リフトシリンダ長L」という。)を検出する。
図3に示すように、コントローラ26は、リフトシリンダ長Lに基づいてブレード18のリフト角θliftを算出する。作業機センサ29は、作業機13の回転角度を直接検出する回転センサであってもよい。
【0023】
図3は、作業車両1の構成を示す模式図である。
図3では、作業機13の基準位置が二点鎖線で示されている。作業機13の基準位置は、水平な地面上でブレード18の刃先が地面に接触した状態でのブレード18の位置である。リフト角θliftは、作業機13の基準位置からの角度である。
【0024】
図2に示すように、制御システム3は、位置センサ31を備えている。位置センサ31は、作業車両1の位置を測定する。位置センサ31は、GNSS(Global Navigation Satellite System)レシーバ32と、IMU 33と、を備える。GNSSレシーバ32は、例えばGPS(Global Positioning System)用の受信機である。例えばGNSSレシーバ32のアンテナは、運転室14上に配置される。GNSSレシーバ32は、衛星より測位信号を受信し、測位信号によりアンテナの位置を演算して車体位置データを生成する。コントローラ26は、GNSSレシーバ32から車体位置データを取得する。コントローラ26は、車体位置データにより、作業車両1の進行方向と車速とを得る。
【0025】
車体位置データは、アンテナ位置のデータでなくてもよい。車体位置データは、作業車両1内、或いは、作業車両1の周辺において、アンテナとの位置関係が固定されている任意の場所の位置を示すデータであってもよい。
【0026】
IMU 33は、慣性計測装置(Inertial Measurement Unit)である。IMU 33は、車体傾斜角データを取得する。車体傾斜角データは、車両前後方向の水平に対する角度(ピッチ角)、および車両横方向の水平に対する角度(ロール角)を含む。コントローラ26は、IMU 33から車体傾斜角データを取得する。
【0027】
コントローラ26は、リフトシリンダ長Lと、車体位置データと、車体傾斜角データとから、刃先位置Pbを演算する。
図3に示すように、コントローラ26は、車体位置データに基づいて、GNSSレシーバ32のグローバル座標を算出する。コントローラ26は、リフトシリンダ長Lに基づいて、リフト角θliftを算出する。コントローラ26は、リフト角θliftと車体寸法データに基づいて、GNSSレシーバ32に対する刃先位置Pbのローカル座標を算出する。車体寸法データは、記憶装置28に記憶されており、GNSSレシーバ32に対する作業機13の位置を示す。コントローラ26は、GNSSレシーバ32のグローバル座標と刃先位置Pbのローカル座標と車体傾斜角データとに基づいて、刃先位置Pbのグローバル座標を算出する。コントローラ26は、刃先位置Pbのグローバル座標を刃先位置データとして取得する。
【0028】
記憶装置28は、例えばメモリと補助記憶装置とを含む。記憶装置28は、例えば、RAM、或いはROMなどであってもよい。記憶装置28は、半導体メモリ、或いはハードディスクなどであってもよい。記憶装置28は、非一時的な(non-transitory)コンピュータで読み取り可能な記録媒体の一例である。記憶装置28は、プロセッサによって実行可能であり作業車両1を制御するためのコンピュータ指令を記録している。
【0029】
記憶装置28は、設計地形データとワークサイト地形データとを記憶している。設計地形データは、最終設計地形を示す。最終設計地形は、ワークサイトの表面の最終的な目標形状である。設計地形データは、例えば、三次元データ形式の土木施工図である。ワークサイト地形データは、ワークサイトの広域の地形を示す。ワークサイト地形データは、例えば、三次元データ形式の現況地形測量図である。ワークサイト地形データは、例えば、航空レーザ測量で得ることができる。
【0030】
コントローラ26は、現況地形データを取得する。現況地形データは、ワークサイトの現況地形を示す。ワークサイトの現況地形は、作業車両1の進行方向に沿う領域の地形である。現況地形データは、ワークサイト地形データと上述の位置センサ31から得られる作業車両1の位置と進行方向とからコントローラ26での演算により取得される。現況地形データは、車載されたライダ(LIDAR:Laser Imaging Detection and Ranging)などによる現況地形の測距から取得されてもよい。
【0031】
コントローラ26は、現況地形データと、設計地形データと、刃先位置データとに基づいて、作業機13を自動的に制御する。なお、作業機13の自動制御は、オペレータによる手動操作と合わせて行われる半自動制御であってもよい。或いは、作業機13の自動制御は、オペレータによる手動操作無しで行われる完全自動制御であってもよい。作業車両1の走行は、コントローラ26によって自動的に制御されてもよい。例えば、作業車両1の走行制御は、オペレータによる手動操作無しで行われる完全自動制御であってもよい。或いは、走行制御は、オペレータによる手動操作と合わせて行われる半自動制御であってもよい。或いは、作業車両1の走行は、オペレータによる手動操作によって行われてもよい。
【0032】
以下、コントローラ26によって実行される、掘削における作業車両1の自動制御について説明する。以下の説明では、作業車両1は、例えばスロットドージングにおける各スロットを前後に行き来して、各スロットの掘削を行うものとする。
図4は、第1実施形態に係る自動制御の処理を示すフローチャートである。
【0033】
図4に示すように、ステップS101では、コントローラ26は、現在位置データを取得する。ここでは、コントローラ26は、上述したように、ブレード18の現在の刃先位置Pbを取得する。
【0034】
ステップS102では、コントローラ26は、設計地形データを取得する。
図5に示すように、設計地形データは、作業車両1の進行方向において、複数の参照点Pn(n=0,1,2,3,...,A)での最終設計地形60の高さZdesignを含む。複数の参照点Pnは、作業車両1の進行方向に沿う所定間隔ごとの複数地点を示す。複数の参照点Pnは、ブレード18の進行パス上にある。なお、
図5では、最終設計地形60は、水平方向に平行な平坦な形状であるが、これと異なる形状であってもよい。
【0035】
ステップS103では、コントローラ26は、現況地形データを取得する。コントローラ26は、記憶装置28より得られるワークサイト地形データと、位置センサ31より得られる車体の位置データ及び進行方向データから演算により、現況地形データを取得する。
【0036】
現況地形データは、作業車両1の進行方向に位置する地形を示す情報である。
図5は、現況地形50の断面を示す。なお、
図5において、縦軸は、地形の高さを示しており、横軸は、作業車両1の進行方向における現在位置からの距離を示している。
【0037】
詳細には、現況地形データは、作業車両1の進行方向において、現在位置から所定の地形認識距離dAまでの複数の参照点Pnでの現況地形50の高さZnを含む。本実施形態において、現在位置は、作業車両1の現在の刃先位置Pbに基づいて定められる位置である。ただし、現在位置は、作業車両1の他の部分の現在位置に基づいて定められてもよい。複数の参照点は、所定間隔、例えば1mごとに並んでいる。
【0038】
ステップS104では、コントローラ26は、作業範囲データを取得する。作業範囲データは、入力装置25によって設定された作業範囲を示す。
図5に示すように、作業範囲は始端と終端とを含む。作業範囲データは、始端の座標と終端の座標とを含む。或いは、作業範囲データは、始端の座標と、作業範囲の長さとを含み、始端の座標と作業範囲の長さとから、終端の座標が算出されてもよい。或いは、作業範囲データは、終端の座標と、作業範囲の長さとを含み、終端の座標と作業範囲の長さとから、始端の座標が算出されてもよい。
【0039】
コントローラ26は、入力装置25からの操作信号に基づいて作業範囲データを取得する。ただし、コントローラ26は、他の方法によって、作業範囲データを取得してもよい。例えば、コントローラ26は、ワークサイトの施工管理を行う外部のコンピュータから、作業範囲データを取得してもよい。
【0040】
ステップS105では、コントローラ26は、目標設計地形データを決定する。目標設計地形データは、
図5に破線で記載された目標設計地形70を示す。目標設計地形70は、作業におけるブレード18の刃先の望まれる軌跡を示す。目標設計地形70は、作業対象である地形の目標プロファイルであり、掘削作業の結果として望まれる形状を示す。
【0041】
図5に示すように、コントローラ26は、少なくとも一部が、現況地形50よりも下方に位置する目標設計地形70を決定する。例えば、コントローラ26は、水平方向に延びる目標設計地形70を決定する。コントローラ26は、現況地形50から、下方に所定距離dZ変位した目標設計地形70を生成する。所定距離dZは、入力装置25からの操作信号に基づいて設定されてもよい。所定距離dZは、ワークサイトの施工管理を行う外部のコンピュータから取得されてもよい。所定距離dZは、固定値であってもよい。
【0042】
なお、コントローラ26は、最終設計地形60を下方に越えないように、目標設計地形70を決定する。従って、コントローラ26は、掘削作業時には、最終設計地形60以上、且つ、現況地形50より下方に位置する目標設計地形70を決定する。
【0043】
ステップS106では、コントローラ26は、作業区間71-75を決定する。
図6に示すように、コントローラ26は、作業車両1の進行方向に並ぶ複数の作業区間71-75を決定する。各作業区間71-75は、ブレード18による1カット分の作業を行う区間である。作業区間71-75の詳細な決定方法については後に説明する。
【0044】
ステップS107では、コントローラ26は、作業区間71-75と目標設計地形70とに従って作業機13を制御する。コントローラ26は、ステップS106で決定した作業区間71-75ごとに、目標設計地形70に従った作業を行う。詳細には、コントローラ26は、各作業区間の開始位置Ps1-Ps5から作業を開始し、目標設計地形70に従ってブレード18の刃先位置が移動するように、作業機13への指令信号を生成する。生成された指令信号は、制御弁27に入力される。それにより、ブレード18の刃先位置Pbが開始位置Ps1-Ps5から目標設計地形70に向かって移動する。
【0045】
第1の開始位置Ps1から1つの作業区間71の掘削が完了すると、コントローラ26は、作業車両1を第2の開始位置Ps2に移動させ、次の作業区間72の掘削を行う。作業区間72の掘削が完了すると、コントローラ26は、作業車両1を第3の開始位置Ps3に移動させ、次の作業区間73の掘削を行う。これらの作業が繰り返されることにより、作業範囲内で1つの目標設計地形70の掘削が完了する。
【0046】
作業範囲内で1つの目標設計地形70の掘削が完了すると、コントローラ26は、さらに下方に位置する次の目標設計地形70について、各作業区間の作業の開始位置とその作業順序を決定し、各作業区間の掘削を開始する。このような処理が繰り返されることにより、現況地形50が最終設計地形60に近づくように、掘削が行われる。
【0047】
ステップS108では、コントローラ26は、ワークサイト地形データを更新する。コントローラ26は、刃先位置Pbの最新の軌跡を示す位置データによってワークサイト地形データを更新する。ワークサイト地形データの更新は、随時、行われてもよい。或いは、コントローラ26は、車体位置データと車体寸法データとから履帯16の底面の位置を算出し、履帯16の底面の軌跡を示す位置データによってワークサイト地形データを更新してもよい。この場合、ワークサイト地形データの更新は即時に行うことができる。
【0048】
或いは、ワークサイト地形データは、作業車両1の外部の測量装置によって計測された測量データから生成されてもよい。外部の測量装置として、例えば、航空レーザ測量を用いてよい。或いは、カメラによって現況地形50を撮影し、カメラによって得られた画像データからワークサイト地形データが生成されてもよい。例えば、UAV(Unmanned Aerial Vehicle)による空撮測量を用いてよい。外部の測量装置又はカメラの場合、ワークサイト地形データの更新は、所定周期ごと、あるいは随時に行われてもよい。
【0049】
次に、作業区間の決定方法について説明する。
図7は、作業区間を決定するための処理を示すフローチャートである。
図8は、作業区間を決定方法を示す図である。
図7に示すように、ステップS201では、コントローラ26は、作業区間の終了位置Pf1を取得する。コントローラ26は、記憶装置28から終了位置Pf1を取得する。
【0050】
ステップS202では、コントローラ26は、作業区間の仮の区間距離D0を取得する。コントローラ26は、記憶装置28から仮の区間距離D0を取得する。区間距離D0は、作業車両1の進行方向における作業区間の長さである。仮の区間距離D0は、一定値であってもよい。仮の区間距離D0は、ブレード18の容量、作業車両1の機械能力等に応じて、コントローラ26によって決定されてもよい。
【0051】
ステップS203では、コントローラ26は、判定区間を決定する。
図8に示すように、コントローラ26は、作業車両1の進行方向において、終了位置Pf1から後方に、仮の区間距離D0、離れた位置を、仮の開始位置Ps1’として決定する。コントローラ26は、終了位置Pf1と仮の開始位置Ps1’との間の区間を、判定区間Aとして決定する。なお、
図8では、終了位置Pf1は、終端の位置と一致している。しかし、終了位置Pf1は前回の作業区間の開始位置から決定された位置であってもよい。
【0052】
ステップS204では、コントローラ26は、非作業距離Dを算出する。非作業距離Dは、非作業区間の距離である。非作業区間は、ステップS203で決定された判定区間において、現況地形50が目標設計地形70よりも下方に位置する区間として特定される。非作業距離Dは、ステップS203で決定された判定区間において、現況地形50が目標設計地形70よりも下方に位置する部分の距離である。非作業距離Dは、判定区間における、現況地形50が目標設計地形70よりも下方に位置する区間での目標設計地形70の距離の総和であってもよい。
図8において、判定区間Aにおける非作業距離Dは、Da1である。なお、作業区間において現況地形50が目標設計地形70よりも下方に位置する部分を複数含むときには、複数の部分の総距離を非作業距離として算出する。例えば、
図9に示すように、判定区間Aにおいて現況地形50が目標設計地形70よりも下方に位置する部分を複数含むときには、コントローラ26は、各部分の距離Da1,Da2の合計を判定区間Aの非作業距離Dとして算出する。
【0053】
ステップS205では、非作業距離Dが所定の閾値Th1より小さいかを判定する。好ましくは、所定の閾値Th1は、作業効率を考慮して設定された値である。所定の閾値Th1は一定値であってもよい。或いは、所定の閾値Th1は、オペレータの操作によって変更可能であってもよい。或いは、所定の閾値Th1は、コントローラ26によって決定されてもよい。非作業距離Dが所定の閾値Th1より小さくないとき、すなわち、非作業距離Dが所定の閾値Th1以上であるときには、処理はステップS206に進む。
【0054】
ステップS206では、コントローラ26は、仮の区間距離を修正する。コントローラ26は、非作業距離Dに応じて、仮の区間距離を拡大する。
図8に示すように、コントローラ26は、判定区間Aの仮の区間距離D0に、判定区間Aの非作業距離Da1を追加することで、仮の区間距離をD0+Da1に修正する。
【0055】
次に、ステップS203に戻り、コントローラ26は、次の判定区間を決定する。
図8に示すように、コントローラ26は、作業車両1の進行方向において、終了位置Pf1から後方に、仮の区間距離(D0+Da1)、離れた位置Ps1’’に、仮の開始位置を修正する。コントローラ26は、修正前の仮の開始位置Ps1’と修正された仮の開始位置Ps1’’との間の区間を、次の判定区間Bとして決定する。
【0056】
そして、ステップS204において、コントローラ26は、判定区間Bの非作業距離Dを算出する。
図8に示すように、判定区間Bの非作業距離DはDb1である。ステップS205において、コントローラ26は、判定区間Bの非作業距離D(=Db1)が所定の閾値Th1より小さいかを判定する。判定区間Bの非作業距離D(=Db1)が所定の閾値Th1より小さいときには、処理はステップS207に進む。
【0057】
ステップS207において、コントローラ26は、本区間距離を決定する。コントローラ26は、非作業距離が所定の閾値より小さくなったときの仮の区間距離を本区間距離として決定する。
図8に示すように、判定区間Bの非作業距離D(=Db1)が所定の閾値Th1より小さいときには、コントローラ26は、仮の区間距離(D0+Da1)を本区間距離として決定する。
【0058】
そして、ステップS208において、コントローラ26は、開始位置を決定する。コントローラ26は、終了位置Pf1から後方に、本区間距離(D0+Da1)、離れた位置Ps1’’を最終的な開始位置Ps1として決定する。他の開始位置Ps2,Ps3,...についても、上記と同様の処理によって決定される。
【0059】
なお、判定区間Bの非作業距離D(=Db1)が所定の閾値Th1以上であるときには、非作業距離Dが所定の閾値Th1より小さくなるまで、ステップS203-S206の処理が繰り返される。そして、コントローラ26は、非作業距離Dが所定の閾値Th1より小さくなったときの仮の区間距離を本区間距離として決定する。
【0060】
例えば、
図10に示すように、判定区間Bの非作業距離D(=Db1)が所定の閾値Th1以上であるときには、コントローラ26は、仮の区間距離を非作業距離Db1、さらに拡大して、次の判定区間Cを決定する。コントローラ26は、判定区間Cの非作業距離Dが所定の閾値Th1より小さいかを判定する。判定区間Cの非作業距離Dが所定の閾値Th1より小さいときには、コントローラ26は、仮の区間距離(D0+Da1+Db1)を本区間距離として決定する。そして、コントローラ26は、終了位置Pf1から後方に、仮の区間距離(D0+Da1+Db1)、離れた位置Ps1’’’を最終的な開始位置Ps1として決定する。
【0061】
なお、
図8において、判定区間Aの非作業距離D(=Db1)が所定の閾値Th1より小さいときには、コントローラ26は、判定区間Aの仮の区間距離D0を修正せずに、本区間距離として決定する。そして、仮の開始位置Ps'を最終的な開始位置Ps1として決定する。
【0062】
以上説明した本実施形態に係る作業車両1の制御システム3では、非作業距離Dに基づいて区間距離D0が修正される。それにより、開始位置Ps1が修正され、作業区間が修正される。詳細には、非作業距離Dが大きいほど、区間距離D0が拡大される。それにより、開始位置Ps1が、作業車両1の進行方向において後方に修正され、その結果、作業区間が拡大する。そのため、現況地形50において凹みのある部分の広さに応じて、作業区間を決定することができる。それにより、凹凸のある地形に対して作業を行う場合であっても作業効率の低下を抑えることができる。
【0063】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0064】
作業車両1は、ブルドーザに限らず、ホイールローダ、モータグレーダ、油圧ショベル等の他の車両であってもよい。
【0065】
作業車両1は、遠隔操縦可能な車両であってもよい。その場合、制御システム3の一部は、作業車両1の外部に配置されてもよい。例えば、コントローラ26は、作業車両1の外部に配置されてもよい。コントローラ26は、ワークサイトから離れたコントロールセンタ内に配置されてもよい。その場合、作業車両1は、運転室14を備えない車両であってもよい。
【0066】
作業車両1は、電動モータで駆動される車両であってもよい。その場合、電源は作業車両1の外部に配置されてもよい。電源が外部から供給される作業車両1は、内燃エンジン及びエンジン室を備えない車両であってよい。
【0067】
コントローラ26は、互いに別体の複数のコントローラ26を有してもよい。例えば、
図11に示すように、コントローラ26は、作業車両1の外部に配置されるリモートコントローラ261と、作業車両1に搭載される車載コントローラ262とを含んでもよい。リモートコントローラ261と車載コントローラ262とは通信装置38,39を介して無線により通信可能であってもよい。そして、上述したコントローラ26の機能の一部がリモートコントローラ261によって実行され、残りの機能が車載コントローラ262によって実行されてもよい。例えば、目標設計地形70と作業順序を決定する処理とがリモートコントローラ261によって実行され、作業機13への指令信号を出力する処理が車載コントローラ262によって実行されてもよい。
【0068】
入力装置25は、作業車両1の外部に配置されてもよい。その場合、運転室は、作業車両1から省略されてもよい。或いは、入力装置25が作業車両1から省略されてもよい。入力装置25は、走行装置12及び/又は作業機13を操作するための操作レバー、ペダル、或いはスイッチ等の操作子を含んでもよい。入力装置25の操作に応じて、作業車両1の前進及び後進などの走行が制御されてもよい。入力装置25の操作に応じて、作業機13の上昇及び下降などの動作が制御されてもよい。
【0069】
現況地形50は、上述した位置センサ31に限らず、他の装置によって取得されてもよい。例えば、
図12に示すように、外部の装置からのデータを受け付けるインターフェ-ス装置37によって現況地形50が取得されてもよい。インターフェ-ス装置37は、外部の計測装置41が計測した現況地形50データを無線によって受信してもよい。或いは、インターフェ-ス装置37は、記録媒体の読み取り装置であって、外部の計測装置41が計測した現況地形50データを記録媒体を介して受け付けてもよい。
【0070】
目標設計地形70の決定方法は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、目標設計地形70は、現況地形50を鉛直方向に所定距離、変位させたものであってもよい。或いは、目標設計地形70は、水平方向に対して所定角度で傾斜したものであってもよい。所定角度は、オペレータによって設定されてもよい。或いは、コントローラ26が、所定角度を自動的に決定してもよい。
【0071】
作業区間を決定するための処理は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、上記の実施形態では、コントローラ26は、判定距離Dに応じて仮の区間距離D0を修正している。すなわち、コントローラ26は、判定距離Dに応じて次の仮の開始位置Ps1’’を決定している。しかし、コントローラ26は、上記の実施形態とは異なる方法で、仮の区間距離D0を修正してもよい。
【0072】
例えば、
図13に示すように、コントローラ26は、判定区間Aにおいて非作業距離D(=Db1)が所定の閾値Th1より小さいときには、第1の開始位置Ps1をスキップして、第2の開始位置Ps2から作業を開始してもよい。この場合も作業区間が拡大されることで、作業効率の低下を抑えることができる。なお、第1の開始位置Ps1と第2の開始位置Ps2との間の距離は、仮の区間距離D0と同じであってもよい。或いは、第1の開始位置Ps1と第2の開始位置Ps2との間の距離は、仮の区間距離D0と異なってもよい。第1の開始位置Ps1と第2の開始位置Ps2との間の距離は、一定値であってもよく、或いは、コントローラ26によって任意に決定されてもよい。
【0073】
上記の実施形態では、コントローラ26は、判定距離Dに基づいて開始位置Ps1を修正することで作業区間を修正している。しかし、コントローラ26は、判定距離Dに基づいて終了位置Pf1を修正することで作業区間を修正してもよい。例えば、
図14は、第2実施形態に係る作業区間を決定するための処理を示すフローチャートである。
図15は、第2実施形態に係る作業区間の決定方法を示す図である。
【0074】
ステップS301において、コントローラ26は、上述したステップS201の終了位置に代えて、開始位置Ps1を取得してもよい。ステップS303において、コントローラ26は、作業車両1の進行方向において前方に、開始位置Ps1から仮の区間距離D0、離れた位置を判定区間Aとして決定してもよい。判定区間Aの非作業距離D(=Da1)が所定の閾値Th1以上であるときには、ステップS306において、コントローラ26は、非作業距離Dに基づいて仮の区間距離をD0からD0+Da1に修正して、仮の終了位置Pf1’をPf1’’に修正してもよい。
【0075】
そして、コントローラ26は、ステップS307において、非作業距離Dが所定の閾値Th1より小さくなったときの仮の区間距離D0+Da1を本区間距離として決定してもよい。コントローラ26は、ステップS308において、開始位置Ps1から前方に、本区間距離D0+Da1離れた位置を、最終的な終了位置Pf1として決定してもよい。また、コントローラ26は、終了位置Pf1に続けて、同様の処理によって、他の終了位置Pf2,Pf3,...を決定してもよい。他の処理については、
図7から
図11に示す上述した実施形態に係る処理と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明によれば、作業車両の自動制御において、凹凸のある地形に対して作業を行う場合であっても作業効率の低下を抑えることができる。
【符号の説明】
【0077】
3 制御システム
13 作業機
26 コントローラ
50 現況地形
70 目標設計地形