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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/14 20060101AFI20220627BHJP
   F24F 13/26 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
F24F13/14 B
F24F13/26
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018118386
(22)【出願日】2018-06-22
(65)【公開番号】P2019219131
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒木 洋
(72)【発明者】
【氏名】七岡 寛
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏典
(72)【発明者】
【氏名】熊埜御堂 令
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】藤堂 佳織
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-191249(JP,A)
【文献】特開2002-257393(JP,A)
【文献】実開昭54-144860(JP,U)
【文献】特開2002-162078(JP,A)
【文献】特開2001-330303(JP,A)
【文献】特開平06-323594(JP,A)
【文献】特開平10-002591(JP,A)
【文献】特表2007-505283(JP,A)
【文献】特開2004-169961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/08-13/18
F24F 13/26
F24F 7/00-7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の空気を吸い込み、気流を有した空気が吹き出す送風部と、
前記送風部からの気流を、コアンダ効果によって、室内の壁部の壁面のうち室内に面した壁面に沿って、案内する案内部と、
前記案内部から流れる気流の下流において、前記壁面に沿って流れる前記気流の方向を、室内側に変更するように、前記壁部に取付けられ、かつ、前記壁面から室内に向かって突出した風向変更部と、を備えることを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記送風部は、前記壁部に形成された凹部に収容されることを特徴とする請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記風向変更部は、前記壁面に沿って流れた気流が吹き付けられるように、前記壁面側から室内側に延在した板状の翼部を備えており、
前記翼部は、前記翼部の延在する方向と、前記壁面とのなす取付け角度が変更自在となるように、前記壁部に取付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記風向変更部は、前記壁面に沿って流れた気流が吹き付けられるように、前記壁面側から室内側に延在した板状の翼部を備えており、
前記翼部は、前記壁面の法線方向に沿った軸周りに回動自在となるように、前記壁部に取付けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の送風装置。
【請求項5】
前記送風部は、前記風向変更部よりも床面側に配置されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内に気流を発生させる送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、室内に気流を発生させる送風装置が利用されている。例えば、特許文献1には、筐体内に収容された送風ファンと、送風ファン(送風部)から放出された気流の向きを変更する風向切換手段と、を備えた送風装置が提案されている。風向切換手段は、筐体に連通する導風ダクトに収容されており、導風ダクトには、上面吹出口と前面吹出口とが形成されている。この送付装置では、風向切換手段により、送風部から放出された気流は、上面吹出口と前面吹出口のいずれか一方に向かうように切換えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-29260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載の送風装置では、送風部から放出された空気を、導風ダクトに流して、導風ダクト内に配置した風向切換手段により局所的に空気を誘導する場合、気流を変更したい箇所まで、導風ダクトを延長しなければならない。このように、気流を変更する位置まで導風ダクトを延長すると、室内空間に対する送風装置の占有スペースが大きくなってしまう。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、室内空間の占有スペースを抑えつつ、室内に局所的に空気を誘導することができる送風装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成すべく、本発明に係る送風装置は、気流を有した空気が吹き出す送風部と、前記送風部からの気流を室内の壁部の壁面に沿って案内する案内部と、前記案内部から流れる気流の下流において、前記壁面に沿って流れる前記気流の方向を、室内側に変更するように、前記壁部に取付けられた風向変更部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、送風部を作動させて送風部から気流を有した空気が吹き出される。送風部の気流は、案内部で室内の壁部の壁面に沿うように案内される。壁面を案内された気流は、コアンダ効果により、気流の下流の壁部に取付けられた風向変更部に流れる。風向変更部では、壁面に沿って流れる気流の方向を室内側に変更し、壁面に沿って流れる気流を室内に誘導することができる。
【0008】
このように、ダクトなどを設けなくてもコアンダ効果を利用して、壁面に沿って安定して気流を流し、風向変更部で気流を室内に局所的に誘導することができるため、送風装置の室内空間の占有スペースを小さくすることができる。特に、エアコン等の空調機と併用することで、室内にいる人に対して涼感をさらに向上させることができ、省エネに貢献することができる。
【0009】
前記の構成において、送風部を室内に配置してもよいが、好ましい態様としては、前記送風部は、前記壁部に形成された凹部に収容される。この態様によれば、送風部が壁部の凹部に収容されるため、設置スペースを小さくすることができ、室内の空間を有効に活用することができる。さらに、壁部の近傍に案内部を設けることができるため、壁部に沿って気流を案内し易い構造を採用することができる。
【0010】
また、前記風向変更部による風向の変更方向が一定の方向に固定されていてもよいが、より好ましい態様としては、前記風向変更部は、前記壁面に沿って流れた気流が吹き付けられるように、前記壁面側から室内側に延在した板状の翼部を備えており、前記翼部は、前記翼部の延在する方向と、前記壁面とのなす取付け角度が変更自在となるように、前記壁部に取付けられている。
【0011】
この態様によれば、翼部の延在する方向と、壁面とのなす取付け角度を変更することで、壁面に沿って流れる気流の方向を異なる上下の方向に変更することができるため、たとえば、室内にいる人の位置にあわせて気流を上下の方向に変更することができる。
【0012】
さらに、他の好ましい態様としては、前記風向変更部は、前記壁面に沿って流れた気流が吹き付けられるように、前記壁面側から室内側に延在した板状の翼部を備えており、前記翼部は、前記壁面の法線方向に沿った軸周りを回動自在となるように、前記壁部に取付けられている。
【0013】
このように構成された送風装置によれば、板壁面の法線方向に沿った軸周りに翼部を回動させることで、壁面に沿って流れる気流の方向を異なる左右の方向に変更することができる。
【0014】
また、送風装置の好ましい他の態様としては、前記送風部は、前記風向変更部よりも床面側に配置されている。この構成によれば、送風部は風向変更部より床面側に配置されているため、送風部の操作が容易に行えるとともに、送風部のメンテナンスを容易に行える。
【発明の効果】
【0015】
本発明の送風装置によれば、簡単な構成で室内空気を局所的に循環させることができ、室内空間の占有スペースを少なくでき、メンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る送風装置の一実施形態の要部斜視図である。
図2】(a)は図1の送風装置の送風機周辺の中央縦断面図、(b)は送風機のみの中央縦断面図である。
図3図1の風向変更部を示し、(a)は一部を破断した平面図、(b)は正面図、(c)は左側面図である。
図4】風向変更部の変形例を示し、(a)は正面図、(b)は左側面図である。
図5】(a)は図1に示す送風装置の作用を示す要部斜視図、(b)は風向変更部の翼部を下方に揺動させた状態の要部斜視図である。
図6】(a)は図1に示す送風装置の風向変更部の翼部を壁面の法線方向に沿った軸周りに回動させて斜めにした状態の作用を示す要部斜視図、(b)は送風機の斜め上部に風向変更部を設置した状態の要部斜視図である。
図7】本発明に係る送風装置の作用効果を示すシミュレーション結果の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る送風装置の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る送風装置の要部斜視図、図2は、図1の送風装置の送風機周辺の中央縦断面図および送風機のみの中央縦断面図、図3は、図1の風向変更部の一部を破断した平面図、正面図、および左側面図である。
【0018】
図1~3において、本実施形態の送風装置1は、室内10に局所的に気流を誘導する装置である。具体的には、送風装置1は、室内10を形成する床面11と壁面12との交差部である直角のコーナー部14の近傍に設置される送風機20と、壁面12の上部に設置される風向変更部30と、を備えている。
【0019】
より具体的には、送風機20は、気流を有した空気が吹き出す送風ファン(送風部)21と、送風ファン21からの気流を室内10の壁部の壁面12に沿って案内する案内部22と、を少なくとも備えている。風向変更部30は、案内部22から流れる気流の下流において、壁面12に沿って流れる気流の方向を、室内10側に変更するように、室内10の壁部12Aに取り付けられている。
【0020】
送風装置1を設置する建物等の室内10は、床面11と壁面12とを有しており、図2に示すように、床面11は、所定間隔で固定された根太等の造作材11bに合板等の床材11aを固定することにより、形成されている。
【0021】
壁部12Aは、間柱12aと壁材12bとを備えている。壁面12は、床面11に対して直角方向に立設された複数の間柱12aに石膏ボード等の壁材12bを固定することにより形成されている。本実施形態では、送風ファン21は、筐体25に収納された状態で、床面11から上方に所定距離d1だけ離れた位置に形成された凹部15に収容されている。
【0022】
筐体25は、金属あるいは樹脂製であり、上述したように、筐体25の内部に送風ファン21が収容されている。筐体25の室内に面する前面には、室内10の空気を吸入するための吸い込み口26が形成されている。吸い込み口26は、複数の板材が傾斜状態で上下方向に等間隔で取付けられたガラリ構造となっている。
【0023】
本実施形態では、送風ファン21は、横長円筒形のファンがケーシング21a内に配置されたクロスフローファンであり、カーテン状の気流を発生することができる。送風ファン21のケーシング21aは、吸い込み口26に対向する開口21bを有するとともに、吹き出し口22aに連通する送風路21cを有している。送風路21cは、上流側(下方)から下流側(上方)に向けて送風路の流路断面が小さくなるような形状となっており、これにより、上方に向けて気流の速度を高めることができる。
【0024】
さらに、筐体25には、送風路21cに連通した案内部22が形成されており、案内部22には、吹き出し口22aが形成されている。吹き出し口22aは、壁面12に近接した状態で室内10に露出しており、上方に向かって開口している。
【0025】
案内部22は、壁面12に沿った方向に延在した一対の延在部22b,22cを備えており、一対の延在部22b,22cは、送風ファン21からの空気が流れるように離間して筐体25に形成され、延在部22b,22cの端部には、吹き出し口22aが形成されている。
【0026】
この延在部22b,22cにより、送風ファン21から案内部22を流れる空気を、延在部22b,22cにより整流化した気流にし、この整流化した気流を、吹き出し口22aから壁面12に沿って案内することができる。なお、本実施形態では、案内部22に、一対の延在部22b,22cを設けたが、例えば、気流を案内することができるのであれば、一方の延在部22bのみで、案内部22が構成されていてもよい。
【0027】
さらに、送風機20の筐体25の前面には送風ファン21を駆動し、送風ファン21の風量を調整するための操作部27が設けられている。操作部27は、例えば、メンブレンスイッチ等で構成され、「OFF」、「弱」、「中」、「強」等の4つのスイッチで送風ファン21の風量を調整する操作パネルである。
【0028】
つぎに、壁面12の上部に設置される風向変更部30について説明する。図1に示すように、風向変更部30は、天井面13から所定の距離d2だけ下がった位置に設置される。具体的には、通常の住宅等では天井面の高さは2.3~2.4mであるが、風向変更部30は床面11からの高さが、例えば1.8m~2.0mとなるように距離d2が設定され、人が容易に操作できる高さに設置されている。
【0029】
図1に示すように、風向変更部30は、壁面12に沿って流れる気流の下流において、壁面12に沿って流れる気流の方向を室内10側に変更する部材である。具体的には、風向変更部30は、壁面12の壁部に固定される固定部31と、固定部31に対して角度を変更できる翼部32とを備えている。
【0030】
図3(a)に示すように、固定部31は、ベース31aの両端部から水平方向に延出する受部31b,31bを有しており、各受部31bには翼部32を支持するための受孔31cが形成されている。翼部32は、壁面に沿って流れた気流が吹き付けられるように、壁面12側から室内10側に延在した平板部32aと、平板部32aの基端側に形成され、固定部31に支持されるパイプ状の軸部32bと、を備えている。
【0031】
具体的には、図3(a)および図3(b)に示すように、翼部32は、翼部32の延在する方向Lと、壁面12とのなす取付け角度が変更自在となるように、壁部12Aに取付けられている。
【0032】
より具体的には、翼部32の固定部31の受部31b,31bの外側には、受部31bに挿通された軸部32bとともに回動自在に連結されたつまみ33,33が設けられており、各受部31bの内部に収容された位置決めリング34が、つまみ33に固定されている。
【0033】
図3(b)および図3(c)に示すように、各位置決めリング34には、外周部に位置決め用の凹部34aがそれぞれ3個形成されている。各受部31bの上面には位置決めピン35,35が挿入できる受け孔31d,31dが形成されている。位置決めピン35を各リング34の凹部34aのいずれかに差し込むことで翼部32の方向を、水平方向の他に、上方向または下方向に固定することができる。
【0034】
さらに、本実施形態では、図6(a)に示すように、翼部32は、壁面12の法線方向に沿った軸周りに回転自在となるように、壁部12Aに取付けられている。
【0035】
より具体的には、風向変更部30の固定部31の裏面に3つの磁石からなるマグネットキャッチ36が固定されている。一方、室内10を構成する壁面12には、送風機20が設置された上部に、マグネットキャッチ36が吸着する金属板材で形成された磁性板材37が固定されている。このため、風向変更部30を、壁面12の上部に固定された磁性板材37の表面にマグネットキャッチ36で吸着させて、これを固定することができる。この結果、風向変更部30を、固定部31を水平にして固定できることは勿論、翼部32を壁面12の法線方向に沿った軸周りに回動させた状態、言いかえれば左右において斜めに傾斜した状態等に固定することができる。
【0036】
風向変更部30を壁面12に固定する構成として、磁性板材37とマグネットキャッチ36との構成を示したが、他の例として、図4(a)および図4(b)に示す風向変更部30Aの固定部31のように、複数の座付き貫通孔38を形成し、この貫通孔38に木ねじ等を挿通させて壁面12の間柱にねじ込んで固定するように構成してもよい。この例では、固定部31に対して翼部32の先端部を上下に揺動させるだけで、壁面12に対して固定部31を水平状態から斜めにすることはできない。
【0037】
以下に、本実施形態の送風装置1の動作について説明する。図5(a)の状態で、送風機20内の送風ファン21を駆動させると、吸い込み口26から室内の空気が、吸い込まれ、送風ファン21で加圧される。送風ファン21から吹き出された気流は、ケーシング21aの送風路21cにより流速が増加する。流速が増加した気流は、送風機20の吹き出し口22aから上方に向けて案内され吹き出され、壁面12に沿って上昇する。上昇した気流は、ダクト等を設けなくても、コアンダ効果によって、壁面12に吸い寄せられるように流れ、拡散せずに風向変更部30に到達する。
【0038】
図5(a)に示す状態では、風向変更部30は、壁面12に固定された磁性板材37の長手方向に沿って水平に吸着固定され、固定部31に対して翼部32が水平状態になっている。このため、吹き出されて壁面12に沿って流れる気流の方向は水平に変更され、水平方向に気流が案内される。送風ファン21の風量を操作部27のスイッチで強める又は弱めることにより、気流の速度を調整することができる。
【0039】
この実施形態の送風装置1では、送風機20は吹き出し口22aを除く筐体25の大部分が、壁面12に形成された凹部15に収容されるため、床面の設置スペースを小さくすることができ、室内空間を有効に活用することができる。
【0040】
つぎに、図5(b)に示すように、風向変更部30の翼部32を下方に向けて揺動させると、送風機20の吹き出し口22aから上方に向けて上昇する気流は、下方に下げられた風向変更部30の翼部32により気流の方向は下方に向けて変更される。この場合は、例えば室内10で床面11に座っている人に気流が向けられるため、この人の涼感を得ることができる。
【0041】
さらに、図6(a)に示すように、風向変更部30の固定部31を、磁性板材37に対して回動することにより、磁性板材37の長手方向に対して斜めに吸着固定することができる。この場合に、風向変更部30の翼部32は、壁面12の法線方向に沿った軸周りに回動されるため、送風された気流を、風向変更部30に対して左右任意の方向に変更できる。
【0042】
例えば、図6(a)の場合、風向変更部30の翼部32は水平状態になっており、送風機20の吹き出し口22aから吹き出された上昇気流は、隣接する壁面16の方向に向けて水平に気流の方向が変更される。室内10の隣接する側の壁面16側に人がいる場合には、その人に向けて気流が流れるため、涼感を得ることができる。なお、本実施形態では、風向変更部30を左右斜めに固定した状態で、翼部32を上下方向に揺動させることができ、気流の方向をさらに変更することができる。
【0043】
本実施形態の送風装置1では、図6(b)に示すように、送風機20の斜め上方に風向変更部30を設置してもよい。前記した例では、風向変更部30は送風機20の真上に設置されるものであるため、送風機20では吹き出し口22aから気流は真上に吹き出されるものであるが、この例では、送風機20の吹き出し口22aから出る気流は斜め上に吹き出される。そして、斜め上に吹き出される気流の下流に風向変更部30が設置される。
【0044】
図6(b)に示す送風装置1でも、送風機20の送風ファン21から吹き出された気流は、吹き出し口22aから斜め上方に向かって壁面12に沿って案内される。壁面12の斜め上方に固定された風向変更部30で気流の方向が変更され、この変更された気流を室内10内に案内することができる。
【0045】
つぎに、本実施形態に係る送風装置1の効果について、図7を参照して説明する。図7は、シミュレーションによる気流の流れを示す説明図である。図7において、(a)は送風装置1を構成する送風機20と、風向変更部30との位置関係を示す説明図であり、(b)は(a)の位置で送風機20から気流を吹き出させ、風向変更部30で気流の方向を変更したときの風速の状態を示しており、(c)はその時の気流の広がり状態を示している。
【0046】
図7(b)および図7(c)に示すように、送風機20の送風ファン21から吹き出された気流は風向変更部30で水平方向に方向を変えて流れるが、風速の大きい0.9~1.0m/sを示す気流の領域A1は実線で示される局所的な流れであり、平坦な広がりとなっていることが分かる。領域A2で示す気流は、風速が0.7~0.8m/s程度の領域であり、拡散が進まずに平面的な気流で、水平方向に広がっている。
【0047】
また、風速が0.5~0.7m/s程度の気流も、領域A3で示すように、平坦な状態で広がる気流となっている。風速が0.2~0.4m/s程度の気流も、領域A4、領域A5で示すように、平坦な状態で広がる気流となっている。このように、送風機20の送風ファン21で吹き出され、吹き出し口22aで壁面12に沿って案内された気流を、送風機20から離れた領域A5でも感じることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0049】
なお、前記の実施形態では、気流の流れは下方から上方に向かう例を示したが、送風部を室内の天井面側に設置し、気流の流れを上方から下方に向かう気流とし、気流の下流である床面側に風向変更部を配置してもよい。
【0050】
例えば、風向変更部の翼部の揺動は手動で行う例を示したが、これに限られるものでなく、モータ等の駆動装置を用いて制御するものでもよいことは勿論である。また、風向変更部として、翼部が揺動可能なものを示したが、壁面に固定された棚板で、壁面に沿って流れる気流の向きを変更するものでもよい。
【符号の説明】
【0051】
1:送風装置、10:室内、11:床面、12:壁面、13:天井面、14:コーナー部、15:凹部、20:送風機、21:送風ファン(送風部)、21a:ケーシング、22:案内部、22a:吹き出し口、25:筐体、26:吸い込み口、30:風向変更部、31:固定部、32:翼部、36:マグネットキャッチ、37:磁性板材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7